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特許7409756天びんの環境判断方法およびそのための装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】天びんの環境判断方法およびそのための装置
(51)【国際特許分類】
   G01G 23/01 20060101AFI20231226BHJP
【FI】
G01G23/01 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022570945
(86)(22)【出願日】2020-12-25
(86)【国際出願番号】 JP2020048693
(87)【国際公開番号】W WO2022137501
(87)【国際公開日】2022-06-30
【審査請求日】2023-12-11
(73)【特許権者】
【識別番号】522193547
【氏名又は名称】株式会社エー・アンド・デイ
(74)【代理人】
【識別番号】110004060
【氏名又は名称】弁理士法人あお葉国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡部 応和
(72)【発明者】
【氏名】織田 久則
【審査官】岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/129190(WO,A1)
【文献】特開2007-212254(JP,A)
【文献】特開2001-133317(JP,A)
【文献】実開平7-23239(JP,U)
【文献】米国特許第4932487(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01G 1/00-23/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被計量物を載置する計量皿と、
前記計量皿を囲う風防と、
前記風防の扉を自動で開閉する扉開閉機構と、
前記計量皿が受けた荷重が伝達される重量センサと、
前記重量センサに載せ降ろしされる内蔵分銅と、
前記内蔵分銅の分銅加除機構と、
前記内蔵分銅の標準偏差の測定と、前記扉開閉機構および前記分銅加除機構を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記風防の前記扉を閉めたまま測定した第一標準偏差と、
前記扉開閉機構によって前記扉を開け、前記分銅加除機構によって前記内蔵分銅を載せ、前記扉開閉機構によって前記扉を閉め、前記内蔵分銅の計量データを取得し、前記扉開閉機構によって前記扉を開け、前記分銅加除機構によって前記内蔵分銅を降ろし、前記扉開閉機構によって前記扉を閉める、の一連の開閉動作を伴って測定した第二標準偏差と、
を得ることを特徴とする電子天びん。
【請求項2】
前記制御部は、前記第二標準偏差が前記第一標準偏差よりも大きい場合、前記扉の開閉により周囲環境の影響を受けていることをユーザに通知する
ことを特徴とする請求項1に記載の電子天びん。
【請求項3】
前記制御部は、前記第二標準偏差と前記第一標準偏差との差分の値、または、前記第二標準偏差の2乗と前記第一標準偏差の2乗の差の平方根の値を、前記電子天びんの内部設計を考慮して設定された評価閾値に応じてランク付けし、前記扉の開閉による周囲環境の影響を評価する
ことを特徴とする請求項1に記載の電子天びん。
【請求項4】
前記制御部は、さらに、
前記第一標準偏差を測定する時の前記内蔵分銅の計量データの変動が安定するまでの第一安定時間と、前記第二標準偏差を測定する時の前記内蔵分銅の計量データの変動が安定するまでの第二安定時間を計測し、前記第二安定時間が前記第一安定時間よりも長い場合、前記第二安定時間から前記第一安定時間を差し引いた時間を追加安定時間として算出し、ユーザに通知する
ことを特徴とする請求項1に記載の電子天びん。
【請求項5】
被計量物を載置する計量皿と、前記計量皿を囲う風防と、前記風防の扉を自動で開閉する扉開閉機構と、前記計量皿が受けた荷重が伝達される重量センサと、前記重量センサに載せ降ろしされる内蔵分銅と、前記内蔵分銅の分銅加除機構と、前記内蔵分銅の標準偏差を測定し、前記扉開閉機構および前記分銅加除機構を制御する制御部と、を備えた電子天びんの周囲環境判断方法であって、
前記風防の前記扉を閉めたまま前記分銅加除機構によって前記内蔵分銅の載せ降ろしを繰り返して、前記内蔵分銅の第一標準偏差を測定するステップと、
前記扉開閉機構によって前記扉を開け、前記分銅加除機構によって前記内蔵分銅を載せ、前記扉開閉機構によって前記扉を閉め、前記内蔵分銅の計量データを取得し、前記扉開閉機構によって前記扉を開け、前記分銅加除機構によって前記内蔵分銅を降ろし、前記扉開閉機構によって前記扉を閉める、の一連の開閉動作を繰り返して、前記内蔵分銅の第二標準偏差を測定するステップと、
を有することを特徴とする、電子天びんの周囲環境判断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子天びんの周囲環境を判断する方法およびそのための電子天びんに関する。
【背景技術】
【0002】
計量値の最小表示(読み取り精度)が0.1mg以下となるような高精度の電子天びんでは、天びんの周囲環境が計量精度に影響を及ぼすことが知られている。このため、電子天びんには、計量精度の低下の要因の一つとなる計量皿周囲の空気の流動を防ぐために、風防が備えられていることが多い(例えば特許文献1)。また、電子天びんには、質量が既知の内蔵分銅を備え、天びんの繰り返し性(標準偏差)を自動で確認する自動校正機能を備えているものも多い(例えば特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許5062880号
【文献】特許4851882号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
風防付き電子天びんの場合、上記した繰り返し性の確認、即ち内蔵分銅の標準偏差を求めるための内蔵分銅の加除動作は、風防を閉めた状態で行われる。しかしながら、実際の計量時には、ユーザは、風防の扉を開けて被計量物を載せ、扉を閉じて被計量物の計量データを測定し、扉を開けて被計量物を降ろす、という一連の流れで計量を行うため、扉の開け閉めが不可避である。
【0005】
このため、計量前に繰り返し性を確かめたにも関わらず、天びんが保証している計量性能が出ないという報告が多々あり、一連の開閉動作を伴うユーザの実使用の条件下で、周囲環境の影響はどの程度あるのか知りたい、というニーズがあった。
【0006】
本発明は、上記の問題を解決するためのものであり、ユーザの実使用に近い条件で、電子天びんの周囲環境の影響について判断するための方法およびそのための電子天びんを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の電子天びんは、被計量物を載置する計量皿と、前記計量皿を囲う風防と、前記風防の扉を自動で開閉する扉開閉機構と、前記計量皿が受けた荷重が伝達される重量センサと、前記重量センサに載せ降ろしされる内蔵分銅と、前記内蔵分銅の分銅加除機構と、前記内蔵分銅の標準偏差の測定と、前記扉開閉機構および前記分銅加除機構を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記風防の前記扉を閉めたまま測定した第一標準偏差と、前記扉開閉機構によって前記扉を開け、前記分銅加除機構によって前記内蔵分銅を載せ、前記扉開閉機構によって前記扉を閉め、前記内蔵分銅の計量データを取得し、前記扉開閉機構によって前記扉を開け、前記分銅加除機構によって前記内蔵分銅を降ろし、前記扉開閉機構によって前記扉を閉める、の一連の開閉動作を伴って測定した第二標準偏差と、を得ることを特徴とする。
【0008】
上記態様において、前記制御部は、前記第二標準偏差が前記第一標準偏差よりも大きい場合、前記扉の開閉により周囲環境の影響を受けていることをユーザに通知するのも好ましい。
【0009】
上記態様において、前記制御部は、前記第二標準偏差と前記第一標準偏差との差分の値、または、前記第二標準偏差の2乗と前記第一標準偏差の2乗の差の平方根の値を、前記電子天びんの内部設計を考慮して設定された評価閾値に応じてランク付けし、前記扉の開閉による周囲環境の影響を評価するのも好ましい。
【0010】
上記態様において、前記制御部は、さらに、前記第一標準偏差を測定する時の前記内蔵分銅の計量データの変動が安定するまでの第一安定時間と、前記第二標準偏差を測定する時の前記内蔵分銅の計量データの変動が安定するまでの第二安定時間を計測し、前記第二安定時間が前記第一安定時間よりも長い場合、前記第二安定時間から前記第一安定時間を差し引いた時間を追加安定時間として算出し、ユーザに通知するのも好ましい。
【0011】
上記課題を解決するために、本発明のある態様の電子天びんの周囲環境判断方法は、被計量物を載置する計量皿と、前記計量皿を囲う風防と、前記風防の扉を自動で開閉する扉開閉機構と、前記計量皿が受けた荷重が伝達される重量センサと、前記重量センサに載せ降ろしされる内蔵分銅と、前記内蔵分銅の分銅加除機構と、前記内蔵分銅の標準偏差を測定し、前記扉開閉機構および前記分銅加除機構を制御する制御部と、を備えた電子天びんの周囲環境判断方法であって、前記風防の前記扉を閉めたまま前記分銅加除機構によって前記内蔵分銅の載せ降ろしを繰り返して、前記内蔵分銅の第一標準偏差を測定するステップと、前記扉開閉機構によって前記扉を開け、前記分銅加除機構によって前記内蔵分銅を載せ、前記扉開閉機構によって前記扉を閉め、前記内蔵分銅の計量データを取得し、前記扉開閉機構によって前記扉を開け、前記分銅加除機構によって前記内蔵分銅を降ろし、前記扉開閉機構によって前記扉を閉める、の一連の開閉動作を繰り返して、前記内蔵分銅の第二標準偏差を測定するステップと、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ユーザの実使用に近い条件で、電子天びんの周囲環境を判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施の形態に係る電子天びんの要素ブロック図である。
図2】同電子天びんの装置構成の一例である。
図3】同電子天びんにおける分銅加除機構の構成例である。
図4】同電子天びんにおける扉開閉機構の構成例である。
図5】本発明の実施の形態に係る周囲環境判断のフロー図である。
図6】本発明の実施の形態の変形例1に係る周囲環境判断のフロー図である。
図7】同フローにおける評価結果の表示例である。
図8】同フローにおける評価結果の出力例である。
図9】本発明の実施の形態の変形例2に係る周囲環境判断のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明の好適な実施の形態について図面に基づき説明する。
【0015】
(電子天びんの構成)
図1は本発明の実施の形態に係る電子天びんの要素ブロック図である。図2は、図1の電子天びんの装置構成の一例であり、同構成例の右方斜視図である。図1に示すように、電子天びん1(以下、単に天びん1と称する)は、計量皿2と、風防3と、天びん本体4と、操作部5と、表示部6と、タイマ8と、重量センサ11と、扉開閉機構12と、内蔵分銅13と、分銅加除機構14と、制御部15と、を備える。図2は上記天びん1を体現する一つの構成例であるが、以下、図2を用いて上記要素を説明する。
【0016】
天びん本体4は、重量センサ11,扉開閉機構12,内蔵分銅13,分銅加除機構14,制御部15,タイマ8を内包するケースであり、計量皿2は、天びん本体4の上部中央に配置されている。
【0017】
操作部5および表示部6は、コントロールパネル7に備えられており、コントロールパネル7は天びん本体4とケーブル接続されている。操作部5は天びん1の操作に必要なキースイッチを有しており、表示部6の画面には、計量に関するメニューおよび結果、さらに、後述する周囲環境判断に関するメニューおよび結果が表示される。但し、コントロールパネル7と天びん本体4は無線接続されていてもよい。また、操作部5および表示部6は天びん本体4に備えられていてもよい。また、操作部5は、後述する扉開閉機構12の自動開閉のトリガーとなる扉開閉センサ(またはボタン)51を備えているのも好ましい。
【0018】
風防3は、無底箱型で、天びん本体4に対して着脱可能に構成されている。着脱機構には従来周知の構成、例えば特許文献として開示した特許5062880号の構成等が使用可能である。但し、風防3は天びん本体4に一体不可分に構成されていてもよい。風防3は、前に正面板31、後ろに背面ケース32、左右に開閉扉(以下、左側の扉を左ドア33、右側の扉を右ドア34と称する)、上に開閉扉(以下、上ドア35と称する)を備える。正面板31,背面ケース32,左ドア33,右ドア34,および上ドア35によって、計量皿2の全方位を囲う計量室が形成される。なお、本明細書における前後左右上下は、それぞれ図2に示す矢印Fr-Re(前-後)、Le-Ri(左-右)、Up-Lo(上-下)が指す方向とする。
【0019】
正面板31,左ドア33,右ドア34,および上ドア35は、内部の状態が観察可能なように透明なガラス又は樹脂で構成される。背面ケース32は、例えば、ガラス、金属又はプラスチックで構成される。上ドア35,左ドア33,および右ドア34には、それぞれ、扉のスライドを補助する取手が設けられている。上ドア35は手動で前後に開閉可能であり、左ドア33および右ドア34は後述する扉開閉機構12によって自動で前後に開閉可能である。
【0020】
重量センサ11には、電磁平衡式、歪ゲージ式、または静電容量式などが用いられる。重量センサ11には、計量皿2に載置された被計量物の荷重が、ビーム等の荷重伝達機構(図示せず)を介して伝達される。重量センサ11が検出した荷重は、計量データとして制御部15に出力される。重量センサ11には、内蔵分銅13も負荷され、内蔵分銅13の計量データも制御部15に出力される。
【0021】
タイマ8は、ハードウェアタイマとソフトウェアタイマのカウント値を演算することにより、天びん1の現在時刻(システムタイム)を取得する。但し、タイマ8は制御部15の内蔵時計であってもよい。
【0022】
制御部15は、例えばCPUおよびメモリ等を集積回路に実装したマイクロコントローラである。制御部15は、重量センサ11が検出した計量データから計量値を算出する計量部151と、扉開閉機構12を制御する扉開閉制御部152と、分銅加除機構14を制御する分銅加除制御部153と、そして周囲環境判断部154を備える。これらの機能部151~154は、CPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などのPLD(Programmable Logic Device)などの電子回路により構成される。
【0023】
計量部151は、重量センサ11が検出したアナログ信号をデジタル信号に変換して、被計量物の計量データを取得する。計量部151は、被計量物が計量皿2上に載せられた場合、被計量物の計量データの変動が安定すると見込まれる所定の時間(以降、「取得時間」と称する。取得時間は予め設定され、制御部15のメモリに記憶されている)だけ待ち、計量データから、被計量物が計量皿2上に無い状態での計量データを差し引いて、計量値を算出する。扉開閉制御部152,分銅加除制御部153,および周囲環境判断部154の機能の詳細については、後述する。
【0024】
内蔵分銅13は、天びんの校正用に、天びん本体4の中に配置されている、質量が既知のおもりである。内蔵分銅13の既知のおもさは、予め制御部15のメモリに記憶されている。
【0025】
内蔵分銅13は、分銅加除機構14によって、重量センサ11に対し載せ降ろしされる。図3は、分銅加除機構14の構成例であり、同構成例の縦断面である。分銅加除機構14は、内蔵分銅13と、分銅ホルダー141と、バネ142と、荷重受け部143と、空気袋144と、袋加圧ポンプ145と、袋用一方電磁弁146を備える。内蔵分銅13は分銅ホルダー141に保持されており、分銅ホルダー141はバネ142により上方向に付勢されている。空気袋144は分銅ホルダー141を下方向に押し下げる位置に配置されており、袋加圧ポンプ145と袋用一方電磁弁146は空気袋144に接続されている。荷重受け部143は、計量皿2とは異なる荷重伝達機構(図示略)を介して、重量センサ11に接続されている。
【0026】
分銅加除機構14は、制御部15の分銅加除制御部153により制御される。分銅加除制御部153は、内蔵分銅13を重量センサ11に載せる時は、袋加圧ポンプ145を作動して、空気袋144を膨らませ、バネ142の付勢力に抗して分銅ホルダー141を押し下げ、内蔵分銅13を荷重受け部143に負荷し、内蔵分銅13の全荷重を重量センサ11に伝達する。一方、分銅加除制御部153は、内蔵分銅13を重量センサ11から降ろす時は、袋用一方電磁弁146を大気に開放し、空気袋144を萎ませ、バネ142の付勢力によって分銅ホルダー141を押し上げ、内蔵分銅13の荷重受け部143への負荷を解除する。
【0027】
図4は扉開閉機構12の構成例であり、同構成例のブロック図である。扉開閉機構12は、左ドア33と右ドア34にそれぞれ設けられ、扉開閉制御部152により独立に制御される。以下、右ドア34を用いて説明する。
【0028】
右ドア34に対し、扉開閉機構12は、第1加圧ポンプ121A、第2加圧ポンプ121B、第1圧力センサ122A、第2圧力センサ122B、第1一方電磁弁123A、第2一方電磁弁123B、およびエアシリンダ124を備える。第1加圧ポンプ121Aおよび第2加圧ポンプ121Bはエアポンプである。第1一方電磁弁123Aおよび第2一方電磁弁123Bは、弁の出口側は大気に開放されており、弁の開閉によりエアの流止を制御する。第1圧力センサ122Aは第1加圧ポンプ121Aから吐出されたエアの圧力を、第2圧力センサ122Bは、第2加圧ポンプ121Bから吐出されたエアの圧力を、それぞれ監視する。第1圧力センサ122Aおよび第2圧力センサ122Bは、それぞれエアシリンダ124に接続され、エアシリンダ124内のエアの圧力を監視する。エアシリンダ124は、ピストンロッド125とともに右ドア34の上端部に収容されている(図2)。その他の要素は、背面ケース32に収容されている。そして、エアシリンダ124の後方には、右ドア34を前進させるための第1加圧ポンプ121Aが接続され、エアシリンダ124の前方には、右ドア34を後進させるための第2加圧ポンプ121Bが接続されている。
【0029】
扉開閉機構12は、制御部15の扉開閉制御部152により制御される。扉開閉制御部152は、右ドア34を開ける時(ドアを後方へ移動する時)は、第1加圧ポンプ121Aを作動せずに第1一方電磁弁123Aを開け、第2一方電磁弁123Bを閉じて第2加圧ポンプ121Bを加圧し、第2加圧ポンプ121Bのエア圧力で右ドア34を後進させる。一方、扉開閉制御部152は、右ドア34を閉じる時(ドアを前方へ移動する時)は、第2加圧ポンプ121Bを作動せずに第2一方電磁弁123Bを開け、第1一方電磁弁123Aを閉じて第1加圧ポンプ121Aを加圧し、第1加圧ポンプ121Aのエア圧力で右ドア34を前進させる。扉開閉制御部152は、右ドア34が開ききった時、閉じきった時は、それぞれ、圧力センサ122B,122Aが圧力の急激な上昇を検知するので、加圧を停止し、弁を開きエアを大気に開放して、右ドア34の移動を停止する。
【0030】
分銅加除機構14に関し、図3の構成は特許文献として開示した特許4851882号に詳細が記載されている。但し、分銅加除機構14は、モータとカム機構によって、重量センサ11に接続される荷重受け部に対して内蔵分銅13を載せ降ろしする構成等であってもよい。扉開閉機構12に関し、図4の構成は国際出願番号PCT/JP2020/011748に詳細が記載されている。但し、扉開閉機構12は、モータとラックピニオンまたは送りねじでドアを移動させる構成等であってもよい。
【0031】
(周囲環境判断フロー)
次に、上記の天びん1を使用した周囲環境判断方法について説明する。図5は本発明の実施の形態に係る周囲環境判断のフロー図である。
【0032】
まずステップS1で、例えば、ユーザが操作部5から周囲環境判断メニューを開き、開始を選択すると、これをトリガーとして、周囲環境判断が開始される。或いは、計量の開始前に、例えばユーザが扉を開けようと扉開閉センサ51を操作した時に、周囲環境判断が自動で開始されるようにしてもよい。
【0033】
周囲環境判断が開始されると、まず、風防3の扉を閉めたまま測定する、第一測定が行われる(ステップS2~S6)。
【0034】
ステップS2に移行すると、計量部151が、取得時間経過後、重量センサ11に内蔵分銅13も被計量物も負荷されていない状態での計量データ(以降、「ゼロ計量データ」と称する)を取得する。
【0035】
次にステップS3に移行して、分銅加除制御部153が、分銅加除機構14を制御し、内蔵分銅13を荷重受け部143に載せる。
【0036】
次にステップS4に移行して、計量部151が、取得時間経過後、内蔵分銅13の計量データ(以降、「フル計量データ」と称する)を取得する。
【0037】
次にステップS5に移行して、分銅加除制御部153が分銅加除機構14を制御して、内蔵分銅13を荷重受け部143から降ろす。
【0038】
次にステップS6に移行して、周囲環境判断部154が、内蔵分銅13の測定回数をカウントアップし、測定回数が予め設定された回数(n回)に到達したか判定する。到達していない場合(No)は、ステップS2に戻る。到達した場合(Yes)は、ステップS7に移行する。なお、nは5回~10回が好適である。
【0039】
第一測定が終了すると、次に、風防3の扉の開閉を伴って測定する、第二測定が行われる(ステップS7~S15)。
【0040】
ステップS7に移行すると、計量部151が、取得時間経過後、ゼロ計量データを取得する。
【0041】
次にステップS8で、扉開閉制御部152が、扉開閉機構12を制御し、左右どちらか一方の扉(ユーザによって設定されるものとする。以下、右ドア34で説明する)を開ける。右ドア34を開けることにより、計量室の環境は、計量室外の環境の影響を受ける。
【0042】
次にステップS9に移行して、分銅加除制御部153が、分銅加除機構14を制御し、内蔵分銅13を荷重受け部143に載せる。
【0043】
次にステップS10に移行して、扉開閉制御部152が扉開閉機構12を制御して、右ドア34を閉める。
【0044】
次にステップS11に移行して、計量部151が、取得時間経過後、内蔵分銅13のフル計量データを取得する。
【0045】
次にステップS12に移行して、扉開閉制御部152が扉開閉機構12を制御して、右ドア34を開ける。右ドア34を開けることにより、計量室の環境は、再び計量室外の環境の影響を受ける。
【0046】
次にステップS13に移行して、分銅加除制御部153が分銅加除機構14を制御して、内蔵分銅13を荷重受け部143から降ろす。
【0047】
次にステップS14に移行して、扉開閉制御部152が扉開閉機構12を制御して、右ドア34を閉める。
【0048】
次にステップS15に移行して、周囲環境判断部154が、内蔵分銅13の測定回数をカウントアップし、測定回数が予め設定された回数(n回)に到達したか判定する。到達していない場合(No)は、ステップS7に戻る。到達した場合(Yes)は、ステップS16に移行する。なお、nは第一測定と同数とし、5回~10回が好適である。
【0049】
ステップS16に移行すると、周囲環境判断部154は、第一測定および第二測定の、それぞれのスパン値(フル計量データとゼロ計量データの差)を算出する。
【0050】
次にステップS17に移行して、周囲環境判断部154は、第一測定および第二測定の、それぞれのスパン値の標準偏差を算出する。
【0051】
ここで、第一測定で得られた標準偏差(これを「第一標準偏差」とする)は、扉を閉めた状態で得た繰り返し性であり、天びん1の装置が現在発揮できるパフォーマンス(周囲環境による影響が無い場合に発揮できるパフォーマンス)と捉えることができる。このため、以降、第一測定で得られた第一標準偏差には「SDbp (standard deviation of balance performance)」の符号を付ける。
【0052】
一方、第二測定で得られた標準偏差(これを「第二標準偏差」とする)は、内蔵分銅13の載せ降ろしの際、実際に被計量物を計量する時に行われる一連の開閉動作を伴って得た繰り返し性であり、天びん1の装置が周囲環境による影響を受けて出すパフォーマンスと捉えることができる。このため、以降、第二測定で得られた第二標準偏差には、「SDep(standard deviation of environment performance)の符号を付ける。
【0053】
次にステップS18に移行して、周囲環境判断部154は、第一標準偏差SDbpと第二標準偏差SDepを利用して、天びん1の周囲環境を判断する。
【0054】
周囲環境の判断は、第一標準偏差SDbpと第二標準偏差SDepを比較して、第二標準偏差SDepが第一標準偏差SDbpより大きいかを判断する。SDbpがSDepを超える場合は、判断不可とする。但し、SDbpがSDepを超えるのは稀であると考える。SDepがSDbpより大きい場合、実際の計量時の天びん1のパフォーマンス(繰り返し性)は、周囲環境の影響により、天びん1の装置が現在発揮できるパフォーマンス(繰り返し性)より劣る可能性がある。
【0055】
次にステップS19に移行して、周囲環境判断部154は、ステップS18の周囲環境判断の結果を、表示部6に表示する。周囲環境判断の結果として、表示部6には、少なくとも、第一標準偏差SDbpと第二標準偏差SDepの数値が表示される。
【0056】
また、第二標準偏差SDepが第一標準偏差SDbpよりも大きい場合は、周囲環境判断部154は、数値とともに、扉開閉により周囲環境の影響を受けていることをユーザに通知するコメント、例えば「風による性能への影響が考えられます」などを表示するのが好ましい。なお、天びん1がブザーやライト等を備える場合は、ユーザへの通知は音や光で行われてもよい。
【0057】
(効果)
精度の高い電子天びんであるほど、風防の扉が開いた時に、計量室に流入する空気が計量に影響を与えることが知られている。このため、計量性能の確認として、電子天びんは、定期的に、或いはユーザの操作時に、内蔵分銅の自動加除による自動校正機能を備えている。しかしながら、校正時の内蔵分銅の自動加除は、風防を閉めた状態で行われる。このため、校正を行っても、計量時に、天びんが保証している計量性能が出ないという報告が多々あった。
【0058】
これに対し、本形態の天びん1およびその周囲環境判断方法によれば、風防3を閉めた状態の繰り返し性(第一標準偏差SDbp)と、ユーザが実際に被計量物を計量する際に行う一連の開閉動作を伴って得た繰り返し性(第二標準偏差SDep)との、二つの標準偏差を測定する。扉開閉なしの繰り返し性(第一標準偏差SDbp)と扉開閉ありの繰り返し性(第二標準偏差SDep)を得ることで、計量時の実使用の条件で、周囲環境の影響がどの程度出るのかが分かる。
【0059】
また、第二標準偏差SDepが第一標準偏差SDbpよりも大きい場合、扉の開閉により周囲環境の影響を受けていることをユーザに通知することで、ユーザ自身に、エアコンを止める、二重風防を使う、風の当たらない場所へ移動する、などの対応を促すことができる。
【0060】
次に、実施の形態に係る天びん1の好適な変形例を示す。実施の形態と同一の構成については、同一の符号を用いて説明を割愛する。
【0061】
(変形例1)
(周囲環境評価)
本発明の実施の形態の変形例1に係る電子天びん1は、実施の形態(図1)と同一の構成を備える。その上で、変形例1の天びん1は、周囲環境について「評価」も行う。図6は本発明の実施の形態の変形例1に係る周囲環境判断のフロー図である。
【0062】
変形例1のステップS101~S118は、実施の形態(図5)のステップS1~S18と同じである。即ち、ステップS101で周囲環境判断メニューにおいて「評価」のオプションも選択されると、これをトリガーとして、周囲環境評価も開始される。ステップS102~S106で第一測定が行われ、ステップS107~S115で第二測定が行われ、そして、ステップS117~S118で扉を閉めた状態で得た第一標準偏差SDbpと扉の開閉を伴って得た第二標準偏差SDepが測定される。
【0063】
変形例1では、次のステップS119で、周囲環境判断部154は、第二標準偏差SDepと第一標準偏差SDbpの差分に対して、天びん固有の内部設計を考慮して評価閾値を設定し、天びんの周囲環境を評価する。以下に、周囲環境評価の具体例を示す。
【0064】
-例1-
(1)例として、天びんの表示カウント1dを使用して評価閾値を設定する(天びんの表示カウントとは表示部に表示される計量値の最小桁のことであり、最小表示が1μgの天びんでは1d=0.000001g、最小表示が0.1mgの天びんでは1dは0.0001gである)。
(2)天びん1の固有の内部設計として、最小表示が1μgであったとすると、さらに、天びん1のひょう量を考慮して、評価閾値を設定する。例えば、天びん1のひょう量が20gであればランク「A」の評価閾値を2dと設定し、天びん1のひょう量が5gであればランク「A」の評価閾値はより厳しく1dに設定する。
(3)天びん1の評価閾値が下記のように設定された場合で、
評価A:SDep-SDbpが1d以下
評価B:SDep-SDbpが1d超かつ3d以下
評価C:SDep-SDbp が3d超
天びん1で、第二標準偏差SDep=3.0μg、第一標準偏差SDbp=1.5μgが得られた場合は、
3.0μg-1.5μg=1.5μg=1.5d
が得られるため、「B」評価となる。
なお、SDbpがSDepを超える場合は、評価不可とする。但し、SDbpがSDepを超えるのは稀であると考える。
【0065】
-例2-
第一標準偏差SDbpを天びん1が現在発揮できる性能と仮定すると、一連の開閉動作を伴って得た第二標準偏差SDepは、天びんの現在の性能(第一標準偏差SDbp)と扉開閉の影響分(標準偏差SDoc(open-close))との合成と考えることができる。分散の加法性から、SDepの2乗は、SDbpの2乗とSDocの2乗の和として表すことができる。このため、扉開閉の影響分の標準偏差SDocは、数式1で求めることができる。
【0066】
【数1】
この扉開閉の影響分の標準偏差SDocに対して、天びん固有の内部設計を考慮して評価閾値を設定し、天びん1の周囲環境を評価する。
(1)例として、天びんの表示カウント1dを使用して評価閾値を設定する。
(2)天びん1の固有の内部設計を考慮して、ランク「A」の評価閾値をより厳しく0.5dに設定する。
(3)天びん1の評価閾値が下記のように設定された場合で、
評価A:SDocが0.5d以下
評価B:SDocが0.5d超かつ1.0d以下
評価C:SDocが1.0d超
天びん1で、扉開閉の影響分の標準偏差SDoc=1.92μgが得られた場合は、「C」評価となる。
【0067】
但し、上記は例であって、評価閾値の値や対応するランクは、天びん固有の内部設計(最小表示やひょう量だけではなく、例えば、天びんの重量センサの種類、本体ケースの内部構造や気密性等)を総合的に考慮して設計されるものとする。また、上記の例で、評価閾値の設定に用いられている表示カウント1dは、単位を1g(グラム)からより小さい単位に変換するために用いたものであり、1g(グラム)の単位のまま設定されてもよいし、また、その他の単位が用いられるのを拒むものではない。
【0068】
次にステップS120に移行して、周囲環境判断部154は、各標準偏差SDbp,SDepの数値に加えて、評価レベルと、レベルに応じたコメントを、表示部6に表示する。一例として、表示部6には、A評価の場合「周囲環境に問題はありません」、B評価の場合「風による性能への影響が考えられます」、C評価の場合「風によって性能が悪化しています。風が当たらないように対策を行ってください」が表示される。図7は評価結果の表示例である。
【0069】
なお、周囲環境判断および評価の結果は、RS232Cケーブル,USB,またはBLE(ブルートゥースローエナジー。Bluetoothは登録商標)等により、天びん1からプリンタやパーソナルコンピュータ等の外部装置に出力することも可能とする。図8はプリンタへの評価結果の出力例である。
【0070】
変形例1によれば、周囲環境について、評価という形で示すので、ユーザはより分かりやすく周囲環境の影響の大きさをイメージすることができる。
【0071】
(変形例2)
本発明の実施の形態の変形例2に係る電子天びん1は、実施の形態(図1)と同一の構成を備える。その上で、変形例2の天びん1は、次の周囲環境判断を行う。図9は本発明の実施の形態の変形例2に係る周囲環境判断のフロー図である。
【0072】
まずステップS201で、実施の形態(図5)と同様、周囲環境判断メニューから開始が選択されると、これをトリガーとして、変形例2の周囲環境判断が開始される。
【0073】
周囲環境判断が開始されると、まず、風防3の扉を閉めたまま測定する、第一測定が行われる(ステップS202~S209)。
【0074】
ステップS202で、計量部151が、取得時間経過後、ゼロ計量データを取得する。次にステップS203で、分銅加除制御部153が、分銅加除機構14を制御し、内蔵分銅13を荷重受け部143に載せる。
【0075】
ここで、内蔵分銅13が載せられると同時に、ステップS204で周囲環境判断部154が、タイマ8をスタートさせる。
【0076】
次にステップS205に移行して、周囲環境判断部154は、内蔵分銅13のフル計量データの変動が安定したかどうか(フル計量データの変動が予めメモリに記憶されている所定幅に収まったかどうか)判定する。安定しない場合(NO)は引き続き安定を待ち、安定した場合(YES)はステップS206に移行する。
【0077】
ステップS206に移行すると、周囲環境判断部154はタイマ8を止め、第一測定におけるフル計量データの変動が安定するまでの所要時間(以降、「第一安定時間」と称する)を計測する。
【0078】
次にステップS207で、計量部151は、第一安定時間T1経過後の内蔵分銅13のフル計量データを取得する。
【0079】
次にステップS208で、分銅加除制御部153が分銅加除機構14を制御して、内蔵分銅13を荷重受け部143から降ろす。次にステップS209で、周囲環境判断部154が、測定回数が予め設定された回数(n回)に到達したか判定する。到達していない場合(No)は、ステップS202に戻る。到達した場合(Yes)は、ステップS210に移行する。なお、nは5回~10回が好適である。なお、2回目以降は、ゼロ計量データの取得も第一安定時間T1後としてよい。
【0080】
第一測定が終了すると、次に、風防3の扉の開閉を伴って測定する、第二測定が行われる(ステップS210~S221)。
【0081】
ステップS210で、計量部151が、取得時間経過後、ゼロ計量データを取得する。次にステップS211で、扉開閉制御部152が、扉開閉機構12を制御し、左右どちらか一方の扉(ユーザによって設定されるものとする。以下、右ドア34で説明する)を開ける。右ドア34を開けることにより、計量室の環境は、計量室外の環境の影響を受ける。次にステップS212で、分銅加除制御部153が、分銅加除機構14を制御し、内蔵分銅13を荷重受け部143に載せる。
【0082】
ここで、内蔵分銅13が載せられると同時に、ステップS213で周囲環境判断部154が、タイマ8をスタートさせる。
【0083】
次にステップS214に移行して、扉開閉制御部152が、扉開閉機構12を制御し、右ドア34を閉める。
【0084】
次にステップS215に移行して、周囲環境判断部154は、内蔵分銅13のフル計量データの変動が安定したかどうか(フル計量データの変動が予めメモリに記憶されている所定幅に収まったかどうか)判定する。安定しない場合(NO)は引き続き安定を待ち、安定した場合(YES)はステップS216に移行する。
【0085】
ステップS216に移行すると、周囲環境判断部154はタイマ8を止め、第二測定におけるフル計量データの変動が安定するまでの所要時間(以降、「第二安定時間」と称する)を計測する。
【0086】
次にステップS217で、計量部151が、第二安定時間T2経過後の内蔵分銅13のフル計量データを取得する。次にステップS218で、扉開閉制御部152が扉開閉機構12を制御して、右ドア34を開ける。右ドア34を開けることにより、計量室の環境は、再び計量室外の環境の影響を受ける。次にステップS219で、分銅加除制御部153が分銅加除機構14を制御して、内蔵分銅13を荷重受け部143から降ろす。次にステップS220で、扉開閉制御部152が扉開閉機構12を制御して、右ドア34を閉める。次にステップS221で、周囲環境判断部154が、測定回数が予め設定された回数(n回)に到達したか判定する。到達していない場合(No)は、ステップS210に戻る。到達した場合(Yes)は、ステップS222に移行する。なお、nは第一測定と同数とし、5回~10回が好適である。また、2回目以降は、ゼロ計量データの取得も第二安定時間T2後としてよい。
【0087】
次に、ステップS222~S224で、周囲環境判断部154は、実施の形態のステップS16~S18と同様に、第一測定および第二測定のそれぞれのスパン値を算出し、第一標準偏差SDbpと第二標準偏差SDepを算出し、SDbpとSDepを比較して、周囲環境を判断する。
【0088】
次にステップS225で、周囲環境判断部154は、第一安定時間T1と第二安定時間T2を比較して、T2がT1より長い場合、第二安定時間T2から第一安定時間T1を差し引いた時間を、扉開閉の影響による計量データ安定までの「追加安定時間dT」として算出する。なお、T1がT2を超える場合は、算出不可とする。但し、T1がT2を超えるのは稀であると考える。
【0089】
次にステップS226に移行して、周囲環境判断部154は、第一標準偏差SDbpと第二標準偏差SDepとともに、第一安定時間T1と、第二安定時間T2と、追加安定時間dTを、表示部6に表示する。例えば表示部6には、「扉開閉による周囲環境の影響により計量値安定まであと[追加安定時間dT]秒お待ちください」などが表示される。
【0090】
変形例2によれば、第一安定時間T1と第二安定時間T2と追加安定時間dTの数値が表示されることにより、計量時の実使用の条件で、周囲環境の影響が低減するまで、どの程度待てばよいのかを具体的にユーザに通知することができる。
【0091】
以上、本発明の好ましい実施の形態および変形を述べたが、各形態および各変形を当業者の知識に基づいて組み合わせることは可能であり、そのような形態は本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0092】
1 電子天びん
2 計量皿
3 風防
33 左ドア(扉)
34 右ドア(扉)
4 天びん本体
5 操作部
6 表示部
8 タイマ
11 重量センサ
12 扉開閉機構
13 内蔵分銅
14 分銅加除機構
15 制御部
151 計量部
152 扉開閉制御部
153 分銅加除制御部
154 周囲環境判断部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9