(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】整髪用泡状化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/81 20060101AFI20231226BHJP
A61K 8/60 20060101ALI20231226BHJP
A61K 8/86 20060101ALI20231226BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20231226BHJP
A61Q 5/06 20060101ALI20231226BHJP
A61K 8/02 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
A61K8/81
A61K8/60
A61K8/86
A61K8/34
A61Q5/06
A61K8/02
(21)【出願番号】P 2019096925
(22)【出願日】2019-05-23
【審査請求日】2022-04-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100187159
【氏名又は名称】前川 英明
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【氏名又は名称】小島 一真
(74)【代理人】
【識別番号】100206265
【氏名又は名称】遠藤 逸子
(72)【発明者】
【氏名】田中 広美
【審査官】▲高▼ 美葉子
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-025728(JP,A)
【文献】特開2018-158901(JP,A)
【文献】特開平11-199453(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)
アクリル系皮膜形成高分子またはビニル系皮膜形成高分子を0.1~5質量%と、
(B)常温25℃で液体の
、エチレンオキシドの平均付加モル数が10~20のポリオキシエチレンメチルグルコシドまたは平均付加モル数が10~20のポリオキシプロピレンメチルグルコシドを
1~5質量%と、
(C)常温25℃で半固形~固形の
、ポリオキシアルキレン基を有する非イオン性界面活性剤を3質量%未満と、
(D)
エタノール、イソプロパノール、プロパノール、およびブタノールからなる群から選択される低級アルコールを50質量%未満と、
(E)
2~4価の多価アルコール
を0.1~15質量%と、
水と
を含有し、
前記(B)糖アルコールアルキレンオキシド付加重合体と前記(C)非イオン性界面活性剤の合計含有量が1質量%以上5質量%以下である整髪用泡状化粧料。
【請求項2】
前記(D)低級アルコールの含有率が10~30質量%である請求項
1記載の整髪用泡状化粧料。
【請求項3】
さらに(F)噴射剤を含む請求項
1または2記載の整髪用泡状化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仕上がりが軽く、なめらかでべたつきがなく、再整髪力に優れる整髪用泡状化粧料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、整髪用化粧料には、スタイリングのために毛髪固定用高分子、皮膜形成高分子等の整髪樹脂が配合されている。しかし整髪樹脂は、ごわつき、皮膜の非均一性、高湿度下におけるスタイリング保持力低下をもたらす等の不具合がある。そこでこの不具合を解消するために、種々の対応策が採られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、(a)常温で固体の界面活性剤と、(b)常温で液体のポリアルキレングリコール重合体および/または常温で液体の多価アルコール誘導体と、(c)皮膜形成性高分子と、(d)液状油分と、を含有し、系の粘度が10,000mPa・s以下である整髪用化粧料が記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、(a)常温で固体の界面活性剤と、(b)常温で固体の糖アルコール、糖、ポリアルキレングリコール重合体、および無機塩の中から選ばれる1種または2種以上と、(c)常温で液体の1~4価アルコール誘導体および/または糖アルコール誘導体と、(d)皮膜形成性高分子と、を含有し、系の粘度が10,000mPa・s以下である整髪用化粧料が記載されている。
【0005】
上記の特許文献1および2に記載されている整髪用化粧料は、いずれも低粘度でありながら整髪力、再整髪力、セット保持力に優れ、しかも、べたつきがなく、なめらかで、仕上がりの軽さに優れるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2011-068646号公報
【文献】特開2012-025728号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の整髪用化粧料は、整髪力(セット力)といった観点からは、整髪力が高いものや、整髪力をある程度抑えているものがあるが、質感といった観点からはウエットやツヤを訴求したものが多い。しかし、プロ使用等の観点からは、簡単にスタイリングが決まるのに、手ぐしで何度でも修正が可能な再整髪力に優れ、抜け感やナチュラル感といったニュアンスの出せる軽い質感の整髪用化粧料が求められている。
【0008】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、仕上がりが軽く、ナチュラルなのに整髪力があり、何度でも再整髪できるのになめらかでべたつきのない整髪用泡状化粧料を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の整髪用泡状化粧料は、
(A)皮膜形成高分子と、
(B)常温25℃で液体の糖アルコールアルキレンオキシド付加重合体を0.1質量%以上10質量%未満と、
(C)常温25℃で半固形~固形の非イオン性界面活性剤を3質量%未満と、
(D)低級アルコールを50質量%未満と、
を含有するものである。
【0010】
(B)の糖アルコールアルキレンオキシド付加重合体は、エチレンオキシドの平均付加モル数が10~20のポリオキシエチレンメチルグルコシドまたは平均付加モル数が10~20のポリオキシプロピレンメチルグルコシドであることが好ましい。
【0011】
(B)糖アルコールアルキレンオキシド付加重合体と(C)非イオン性界面活性剤の合計含有量は1質量%以上5質量%以下であることが好ましい。
【0012】
(C)非イオン性界面活性剤はポリオキシアルキレン基を有する非イオン性界面活性剤であることが好ましい。
【0013】
本発明の整髪用泡状化粧料は、さらに(E)多価アルコールを含んでいてもよい。
【0014】
本発明の整髪用泡状化粧料は、さらに(F)噴射剤を含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の整髪用泡状化粧料は、
(A)皮膜形成高分子と、
(B)常温25℃で液体の糖アルコールアルキレンオキシド付加重合体を0.1質量%以上10質量%未満と、
(C)常温25℃で半固形~固形の非イオン性界面活性剤を3質量%未満と、
(D)低級アルコールを50質量%未満と、
を含有するので、仕上がりが軽く、ナチュラルなのに整髪力があり、何度でも再整髪できるのになめらかでべたつきのない使用性とすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を詳細に説明する。なお、以下においてPOEはポリオキシエチレンを、POPはポリオキシプロピレンを、それぞれ示す。
本発明の整髪用泡状化粧料は、
(A)皮膜形成高分子と、
(B)常温25℃で液体の糖アルコールアルキレンオキシド付加重合体を0.1質量%以上10質量%未満と、
(C)常温25℃で半固形~固形の非イオン性界面活性剤を3質量%未満と、
(D)低級アルコールを50質量%未満と、
を含有するものである。
まず、各成分について詳細に説明する。
【0017】
(A)皮膜形成高分子
皮膜形成高分子としては、特に限定されるものでなく、従来よりヘアスタイリング剤等の整髪化粧料に用いられている皮膜形成高分子を任意に用いることができる。このような皮膜形成高分子としては、アクリル系、ビニル系、ウレタン系、多糖類系の皮膜形成高分子が挙げられる。
【0018】
<アクリル系およびビニル系皮膜形成高分子>
アニオン性の高分子であれば例えば、アクリル酸アルキル・ジアセトンアクリルアミド共重合体〔プラスサイズL-53P、プラスサイズL-9909B、プラスサイズL-9948Bなど(いずれも互応化学工業(株)製)〕、アクリル酸アルキル・オクチルアクリルアミド共重合体〔Dermacryl 79(アクゾノーベル(株)製)〕、ポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコール-25・ジメチコン・アクリレーツ共重合体〔ルビフレックスSILK(BASF社製)〕、アクリル酸・アクリル酸アミド・アクリル酸エチル共重合体〔ウルトラホールド8、ウルトラホールドStrong(いずれもBASF社製)〕、アクリル酸アルキル共重合体〔アニセットNF-1000、アニセットHS-3000など(いずれも大阪有機化学工業(株)製)〕などが挙げられる。
【0019】
両性の高分子であれば例えば、アクリル酸オクチルアミド・アクリル酸ヒドロキシプロピルプロピル・メタクリル酸ブチルアミノエチル共重合体〔AMPHOMER SH30、AMPHOMER LV-71(いずれもアクゾノーベル(株)製)〕、メタクリロイルオキシエチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキル共重合体〔ユカフォーマーR205、ユカフォーマー301、ユカフォーマーSM、ユカフォーマー104Dなど(以上、三菱化学(株)製)、RAMレジン-1000、RAMレジン-2000、RAMレジン-3000、RAMレジン-4000(以上、大阪有機化学工業(株)製)〕、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体〔マーコート280、マーコート295(いずれもナルコ社製)〕、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド・アクリル酸共重合体〔マーコートプラス3330、マーコートプラス3331(いずれもナルコ社製)〕などが挙げられる。
【0020】
カチオン性の高分子であれば例えば、ビニルピロリドン・メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体ジエチル硫酸塩〔H.C.ポリマー1S(M)、H.C.ポリマー2(以上、大阪有機化学工業(株)製)、ガフコート755N(ISP社製)〕、ビニルピロリドン・ジメチルアミノプロピルメタクリルアミド・ラウリルジメチルアミノプロピルメタクリルアミド共重合体〔スタイリーゼW-20(ISP社製)〕、ビニルピロリドン・メタクリル酸N,N-ジメチルアミノエチル・アクリル酸アルキル・ジアクリル酸トリプロピレングリコール共重合体〔コスカットGA467、コスカットGA468(いずれも大阪有機化学工業(株)製)〕、ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウム〔マーコート100(ナルコ社製)〕、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体〔マーコート550(ナルコ社製)〕、塩化トリメチルアミノプロピルアクリルアミド・ジメチルアクリルアミド共重合体などが挙げられる。
【0021】
ノニオン性の高分子であれば例えば、ポリビニルピロリドン〔ルビスコールK17、ルビスコールK30、ルビスコールK90(以上、BASF社製)、PVP K(ISP社製)〕、ビニルピロリドン・酢酸ビニル共重合体〔PVP/VA S-630、PVP/VA E-735、PVP/VA E-335(以上、ISP社製)、ルビスコールVA73W、ルビスコール37E(以上、BASF社製)、PVA-6450(大阪有機化学工業(株)製)〕、ビニルメチルエーテル・マレイン酸アルキル共重合体〔ガントレッツA-425、ガントレッツES-225、ガントレッツES-335(いずれもISP社製)〕、ビニルピロリドン・メタクリルアミド・ビニルイミダゾール共重合体〔ルビセットクリア(BASF社製)〕などが挙げられる。
【0022】
<ウレタン系皮膜形成高分子>
ウレタン系皮膜形成高分子としては、例えばシリコーン/ポリエーテル系ポリウレタン樹脂〔ヨドゾールPUD;アクゾノーベル(株)製)〕、「ルビセットP.U.R.」(BASF社製)、特開2006-213706号公報に記載のシリル化ウレタン系ポリマー等が挙げられる。アクリル-ウレタン系皮膜形成高分子としては、例えば、「DynamX」(アクゾノーベル(株)製)等が挙げられる。
【0023】
<多糖類系皮膜形成高分子>
多糖類系皮膜形成高分子としては、例えばアラビアガム、グルカン、サクシノグリカン、カラギーナン、カラヤガム、トラガカントガム、グアガム、ローカストビーンガム、ガラクトマンナンガム、キサンタンガム、デンプン、キャロブガム、クインスシード(マルメロ)、カゼイン、デキストリン、ゼラチン、ペクチン酸ナトリウム、アラギン酸ナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、結晶セルロース、塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース、塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]グアガム、塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]ローカストビーンガム、塩化ヒドロキシプロピルトリモニウムでんぷん等が挙げられる。
【0024】
本発明では再整髪性等の点から、アクリル系、ビニル系、ウレタン系の皮膜形成高分子が好ましく用いられる。
【0025】
本発明の整髪用泡状化粧料において、(A)成分は主としてセット力、再整髪力、仕上がりの軽さ等に寄与する。(A)成分は1種または2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0026】
(A)皮膜形成高分子の配合量は、本発明の整髪用泡状化粧料全量に対して、0.1~5質量%が好ましく、より好ましくは1~3質量%である。0.1質量%以上であることで、(A)皮膜形成高分子によるある程度の固定感を得ることができ、一方、5質量%以下であることで、固まりすぎとごわつきを抑えることができる。
【0027】
(B)常温25℃で液体の糖アルコールアルキレンオキシド付加重合体
常温で液体の糖アルコールアルキレンオキシド付加重合体としては、エチレンオキシドの平均付加モル数が10~20のポリオキシエチレンメチルグルコシドまたは平均付加モル数が10~20のポリオキシプロピレンメチルグルコシドが好ましい。
【0028】
具体的には、POPソルビット(市販品として「ユニオールHS-1600D」(日油(株)製)など)、POE(10)メチルグルコシド(市販品として「グルカムE-10」(日本ルーブリゾール(株)製)など)、POP(20)メチルグルコシド(市販品として「グルカムP-20」(日本ルーブリゾール(株)製)など)等が挙げられる。
【0029】
(B)成分の配合量は、本発明の整髪用泡状化粧料全量に対して、0.1質量%以上10質量%未満であり、好ましくは1~5質量%である。0.1質量%以上であることで、粘着力を付与し再整髪が可能となる。また、10質量%未満であることで、べたつきを抑え、仕上がりを軽くすることができる。
【0030】
(C)常温25℃で半固形~固形の非イオン性界面活性剤
本発明に用いられる非イオン性界面活性剤としては、下記に例示する各非イオン性界面活性剤のうち常温で半固形~固形のものが例示される。
【0031】
1.下記式(I)で示されるポリオキシエチレンモノアルキルエーテル:
RO-(C2H4O)n-H (I)
〔式(I)中、Rは炭素原子数4~24のアルキル基を示し;nはエチレンオキシド付加モル数で2~100の数を示す。〕
具体的には、POEラウリルエーテル(市販品として「EMALEX 120」(日本エマルジョン(株)製)など)、POEセチルエーテル(市販品として「ノニオンP-210」など)、POEオレイルエーテル(市販品として「ノニオンE-215」など)、POEステアリルエーテル(市販品として「ノニオンS-215」など)(以上、いずれも日油(株)製)、POEトリデシルエーテル(市販品として「ファインサーブTD-150」)(青木油脂工業(株)製)等が挙げられる。
【0032】
2.下記式(II)で示されるポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル:
RO-(C2H4O)m(C3H6O)n-H (II)
〔式(II)中、Rは炭素原子数4~24のアルキル基を示し;mはエチレンオキシド付加モル数で2~100の数を示し;nはプロピレンオキシド付加モル数で2~100の数を示す。〕
具体的には、POE・POPフィトステロール(市販品として「ニッコールBPS-3007」(日光ケミカルズ(株)製)、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンデシルエーテル(市販品として「EMALEX DAPE-0212」日本エマルジョン(株)製)など)等が挙げられる。
【0033】
3.下記式(III)で示されるポリオキシエチレンモノエステル:
RCOO-(C2H4O)n-H (III)
〔式(III)中、Rは炭素原子数4~24のアルキル基を示し;nはエチレンオキシド付加モル数で2~100の数を示す。〕
具体的には、モノオレイン酸ポリエチレングリコール(市販品として「ノニオンO-4」(日油(株)製)など)等が挙げられる。
【0034】
4.下記式(IV)で示されるポリプロピレングリコールモノエステル:
RCOO-(C3H6O)n-H (IV)
〔式(IV)中、Rは炭素原子数4~24のアルキル基を示し;nはプロピレンオキシド付加モル数で2~100の数を示す。〕
具体的には、モノステアリン酸ポリエチレングリコール(市販品として「ブラウノンS-400A」(青木油脂工業(株)製)など)等が挙げられる。
【0035】
5.下記式(V)で示されるイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル:
【化1】
【0036】
〔式(V)中、Rは炭素原子数4~24のアルキル基を示し;a、b、cはエチレンオキシド付加モル数で、a+b+c=3~100の数を示す。〕
具体的には、イソステアリン酸POEグリセリル(市販品として「ユニオックス・GM-30IS」(日油(株)製)など)等が挙げられる。
【0037】
6.下記式(VI)で示されるトリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル:
【化2】
【0038】
〔式(VI)中、Rはそれぞれ独立に炭素原子数4~24のアルキル基を示し;a、b、cはエチレンオキシド付加モル数で、a+b+c=3~100の数を示す。〕
具体的には、トリイソステアリン酸POEグリセリル(市販品として「ユニオックスGT-30IS」(日油(株)製)など)等が挙げられる。
【0039】
7.下記式(VII)で示されるポリオキシエチレン硬化ヒマシ油:
【化3】
【0040】
〔式(VII)中、a、b、c、x、y、zはエチレンオキシド付加モル数で、a+b+c+x+y+z=2~150の数を示す。〕
具体的には、POE硬化ヒマシ油60(市販品として「ユニオックスHC-60」(日油(株)製)など)等が挙げられる。
【0041】
8.下記式(VIII)で示されるポリオキシエチレンアルキルエーテル:
【化4】
【0042】
〔式(VIII)中、Rはそれぞれ独立に炭素原子数4~24のアルキル基を示し;nはエチレンオキシド付加モル数で、2~100の数を示す。〕
具体的には、POE(20)オクチルドデシルエーテル(市販品として「エマレックスOD-20」(日本エマルジョン(株)製)など)、POE(25)オクチルドデシルエーテル(市販品として「エマレックスOD-25」(日本エマルジョン(株)製)など)等が挙げられる。
【0043】
9.ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル:
市販品として「ユニルーブ50MT-2200B」(日油(株)製)等が挙げられる。
【0044】
(C)成分は常温25℃で半固形~固形のものを用いる。(C)成分として半固形~固形のものを用いることで整髪力、セット保持力等を効果的に付与することができる。また、洗髪性も向上する。
特に、ポリオキシアルキレン基を有する非イオン性界面活性剤である上記1、2、3、7、8および9が好ましく、さらには1、2、7がより好ましい。
【0045】
また(C)成分は、水、アルコール系溶媒等の水性溶媒への溶解性や、再整髪力等の点から、全非イオン界面活性剤の加重平均したHLBが10以上のものが好ましく、特にはHLB12以上のものが好ましい。HLBは下記数1(ただし、MWは親水基部の分子量を表し、MOは親油基部の分子量を表す)で表される川上式により算出される。
【0046】
【0047】
(C)成分の配合量は、本発明の整髪用泡状化粧料全量に対し、3質量%未満であり、好ましくは0.01~3質量%未満、より好ましくは0.05~2質量%である。3質量%未満であることで、仕上がりが軽く、なめらかでべたつきがなく、再整髪力に優れるものとすることができる。一方、0.01質量%以上とすることで、泡状にすることができる。泡状であることで整髪用泡状化粧料の垂れ落ちや飛び散りといったことがなく、塗布した部分や量が分かりやすく、付け過ぎによる失敗を少なくすることができる。
【0048】
(B)成分と(C)成分の合計含有量は整髪用泡状化粧料全量に対し、1質量%以上5質量%以下であることが好ましい。(B)成分と(C)成分の合計含有量が1質量%以上5質量%以下であることで、整髪に際して、程よい柔軟性と粘着力を引き出すことができ、適度な整髪力を得ながら、固まり過ぎない柔軟性と粘着力が得られ、抜け感やナチュラル感といった仕上がりの軽さといった新しい質感を有しながら、手ぐしで修正が可能な再整髪力を得ることができる。
【0049】
(D)低級アルコール
低級アルコールとしては、エタノール、イソプロパノール、プロパノール、ブタノール等が好適例として挙げられる。低級アルコールの含有量は整髪用泡状化粧料全量に対し50質量%未満であり、10~30質量%がより好ましい。低級アルコールの含有量が50質量%未満であることで、泡状にすることができる。また10質量%以上であることで、適度な乾きの早さを付与し、べたつきを抑えることができる。
【0050】
(E)多価アルコール
多価アルコールとしては、2価以上のアルコールが挙げられ、具体的にはエチレングリコール、ジプロピレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリン、ジグリセリンなどの2~4価アルコールや、ソルビトール、マンニトール等の5~6価アルコールが例示される。
【0051】
多価アルコールの含有量は整髪用泡状化粧料全量に対し、0.1~15質量%が好ましく、3~10質量%が好ましい。多価アルコールの含有量は0.1質量%以上であることで、パサつきを抑え、適度な粘着力に調整することができる。また15質量%以下であることで、仕上がりが重くなり過ぎずに整髪することができる。
【0052】
(F)噴射剤
本発明の整髪用泡状化粧料は、エアゾール、非エアゾールのいずれも適用し得る。例えば、容器内へ噴射剤とともに加圧封入してフォーム状のエアゾールとすることができる。エアゾール系タイプのものでは通常、噴射剤とともに噴霧容器に充填される。噴射剤としては、プロパン、ブタン、ペンタン等のLPG系噴射剤を任意に用いることができる。これら噴射剤の配合量は整髪用泡状化粧料(原液)85~95質量%に対して5~15質量%程度が好ましい。
【0053】
本発明の整髪用泡状化粧料は、噴射剤を使用しない容器に入れて用いてもよい。噴射剤を使用しない泡状化粧料吐出容器としては、ポンプフォーマー容器(例えば「200メッシュ」,「150メッシュ」,「80メッシュ」、共に大和製罐製)、吉野工業社製200メッシュが挙げられる。
【0054】
本発明の整髪用泡状化粧料には、上記成分の他に、通常化粧品や医薬品等に用いられる他の成分を、本発明効果を損なわない範囲内で任意に添加することができる。このような成分として、例えば粉末成分、高級脂肪酸、紫外線吸収剤、金属イオン封鎖剤、アミノ酸、有機アミン、高分子エマルジョン、pH調整剤、皮膚栄養剤、ビタミン、酸化防止剤、酸化防止助剤、香料等が挙げられ、これら成分を必要に応じて適宜配合し、目的とする剤型に応じて常法により本発明の整髪用泡状化粧料を製造することができる。
【実施例】
【0055】
次に実施例によりさらに本発明を詳述するが、本発明はこれによってなんら限定されるものではない。なお配合量は特記しない限り質量%(実分)で示す。
初めに、本実施例で用いた評価方法について記す。
【0056】
[泡質]
整髪用泡状化粧料を、原液および噴射剤がエアゾール容器に充填された状態で、25℃の恒温室に1日以上放置後、原液を噴射して、下記の基準で泡質を評価した。
A:強固な泡になる
B:過不足ない泡になる
C:泡になる
D:泡がすぐに壊れる
E:泡にならない
【0057】
[整髪力]
1束の黒色バージンヘア(長さ18cm、質量4g)に試料を0.5g塗布し、指でなじませた後のヘアスタイルの作りやすさについて、専門パネラー(10名)による官能試験にて評価した。
【0058】
[再整髪力]
1束の黒色バージンヘア(長さ18cm、質量4g)に試料を0.5g塗布し、常温にて1時間乾燥させた後の毛束について、つまんでねじって動かしたときのアレンジのしやすさについて、専門パネラー(10名)による官能試験にて評価した。
【0059】
[べたつき感のなさ]
1束の黒色バージンヘア(長さ18cm、質量4g)に試料を0.5g塗布し、指でなじませた後の毛髪のべたつき感のなさについて、専門パネラー(10名)による官能試験にて評価した。
【0060】
[なめらかさ]
1束の黒色バージンヘア(長さ18cm、質量4g)に試料を0.5g塗布し、指でなじませ仕上げた後の毛髪表面のなめらかさについて、専門パネラー(10名)による官能試験にて評価した。
【0061】
[仕上がりの軽さ]
1束の黒色バージンヘア(長さ18cm、質量4g)に試料を0.5g塗布し、指でなじませ仕上げた後の仕上がりの軽さについて、専門パネラー(10名)による官能試験にて評価した。
【0062】
上記官能試験の評価は以下の基準によった。
<評価点>
5点:非常に良い
4点:良い
3点:普通(どちらともいえない)
2点:やや良くない
1点:良くない
<評価基準>
A:評価点合計が40点以上
B:評価点合計が35点以上40点未満
C:評価点合計が30点以上35点未満
D:評価点合計が20点以上30点未満
E:評価点合計が20点未満
【0063】
(実施例1~13、比較例1~7)
下記表1および2に示す処方の、整髪用泡状化粧料の原液を常法により調製し、各原液92部をエアゾール容器に入れ、弁をし、次いで、噴射剤のLPG8部を充填して、実施例1~13および比較例1~7の整髪用泡状化粧料を得た。これらの整髪用泡状化粧料について、上記の評価試験を実施した。試験の結果を表1および2に合わせて示す。
なお表1および2中、以下の成分は下記製品を用いた。
*1:ユカフォーマーR205A 三菱化学(株)
*2:PVP/VA S-630 Ashland Specialty Ingredients
*3:Luviset Clear E BASF
*4:PDMポリマー(PF) 大阪有機化学工業(株)
*5:プラスサイズL-9909B 互応化学工業(株)
【0064】
【0065】
【0066】
表1および2の結果から明らかなように、本発明の整髪用泡状化粧料は、泡質、整髪力が良好でありながら、再整髪力も良好で、べたつきがなく、なめらかであって、抜け感やナチュラル感といった仕上がりの軽さといった新しい質感が得られた。
一方、(C)非イオン界面活性剤の含有量が3質量%以上の比較例1はべたつきや重さが出てしまい、仕上がりの軽さが得られなかった。また(B)糖アルコールアルキレンオキシド付加重合体を糖アルコールや他の糖アルコール誘導体で代用した比較例2、3、4および5では再整髪効果が得られなかった。また、(B)の配合量が10質量%以上の比較例6ではべたつきや重さが出てしまい、仕上がりの軽さが得られなかった。さらに、(B)が配合されていない場合には、再整髪効果が得られなかった。
【0067】
以上のように、本発明の整髪用泡状化粧料は、仕上がりが軽く、ナチュラルなのに整髪力があり、何度でも再整髪できるのになめらかでべたつきのない整髪用泡状化粧料とすることができる。また、泡状であることで垂れ落ちや飛び散りといったことがなく、塗布した部分や量が分かりやすいため、付け過ぎによる失敗も少なくすることができる。