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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】シートディスペンサー
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/08 20060101AFI20231226BHJP
   B65D 25/52 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
B65D83/08 G
B65D25/52 B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019118922
(22)【出願日】2019-06-26
(65)【公開番号】P2021004069
(43)【公開日】2021-01-14
【審査請求日】2022-05-23
(73)【特許権者】
【識別番号】390029148
【氏名又は名称】大王製紙株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】高橋 祥子
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0258279(US,A1)
【文献】実開昭55-131984(JP,U)
【文献】特開2018-070166(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/08
B65D 25/52
A47K 10/16
A47K 10/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚のシートが積層されたシート積層体が折り曲げられて収容される本体と、
前記本体の天面に形成され、前記シートが引き出される取出口と、
前記本体内に形成され、折り曲げられた前記シート積層体を支持する支持体とを有し、
前記支持体は、前記本体の側面に形成されておらず、円柱形状の棒状部材で構成され、且つ前記本体の前記天面と底面とが対向する上下方向に沿って延び、前記支持体が延びる前記上下方向に沿って谷折りに折り曲げられた前記シート積層体の谷折り側の端部シートを支持する、シートディスペンサー。
【請求項2】
前記支持体が、前記天面の中心からずれた位置に配置されている、請求項1に記載のシートディスペンサー。
【請求項3】
前記支持体が、前記天面の中心に配置されている、請求項1に記載のシートディスペンサー。
【請求項4】
前記支持体の高さが、前記本体の前記上下方向の高さより低い、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシートディスペンサー。
【請求項5】
前記支持体が、前記底面に形成されている、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のシートディスペンサー。
【請求項6】
前記支持体が、前記天面に形成されている、請求項1乃至4のいずれか1項に記載のシートディスペンサー。
【請求項7】
前記取出口が、前記谷折り側の端部シートが引き出し可能な位置に配置されている、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のシートディスペンサー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートディスペンサーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のシートディスペンサーとして、複数枚重ねられたティシューペーパーが筒状の容器に起立した状態で収納されたものが知られている。このようなシートディスペンサーは、複数枚重ねられたティシューペーパーの束が折り曲げられた状態で容器に収納され、折り曲げられた束の谷折り側の端部からティシューペーパーが引き出されるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平8-256942号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のシートディスペンサーでは、折り曲げられたシートの束の谷折り側のシートが潰れた状態で容器から引き出されるため、引き出される際にシートが擦れて、ディスペンサー内に詰まったり、破れたりすることがある。このように、従来のシートディスペンサーは、シートの取出しに問題がある。
【0005】
本発明の課題は、シートの取出しが容易なシートディスペンサーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る第1の態様は、複数枚のシートが積層されたシート積層体が折り曲げられて収容される本体と、前記本体の天面に形成され、前記シートが引き出される取出口と、前記本体内に形成され、折り曲げられた前記シート積層体を支持する支持体とを有し、前記支持体は、前記本体の前記天面と底面とが対向する上下方向に沿って延び、前記シート積層体の谷折り側の端部シートを支持する、シートディスペンサーを提供する。
【0007】
本明細書において、折り曲げられて収容されるとは、シート積層体の積層方向が本体の天面と底面とが対向する上下方向と交差する方向となるように、本体の上下方向に延びる折り目に沿ってシート積層体が折り曲げられた状態で本体に収容されることを示す。端部シートとは、シート積層体の積層方向の両端に位置するシートを示す。谷折り側の端部シートとは、折り曲げられたシート積層体の谷折り側の端部に位置するシートである。
【0008】
また、支持体は、本体に折り曲げられた状態で収容されたシート積層体を本体内で支持し得る部材を示す。シート積層体の谷折り側の端部シートを支持するとは、シート積層体の谷折り側の端部シートの内側に支持体が挟まれることを示す。
【0009】
第1の態様では、本体の上下方向に沿って延びる支持体が、本体内に配置され、折り曲げられたシート積層体の谷折り側の端部シートを支持することで、谷折り側の端部シートがシート積層体から支持体を伝って引き出される。これにより、本体内で折り曲げられたシート積層体の積層状態が維持され、シートが取出口から引き出される際の谷折り側の端部シートの擦れを低減することができる。そのため、第1の態様によれば、取出口から引き出されるシートが詰まったり、破れたりすることを抑制することができる。
【0010】
本発明に係る第2の態様は、前記支持体が、前記天面の中心からずれた位置に配置されている、シートディスペンサーを提供することができる。本明細書において、天面の中心とは、天面の重心または図心を示す。また、中心からずれた位置とは、天面の中心から離れた位置を示す。
【0011】
第2の態様では、天面の中心からずれた位置に支持体を配置することで、支持体が、本体の天面の中心と側面との間に配置される。これにより、折り曲げられたシート積層体の谷折り側の端部シートは、天面の中心からずれた位置に配置された支持体に支持される。一方、折り曲げられたシート積層体の山折り側の端部シートは、支持体から最も遠い本体の側面に支持される。
【0012】
このような構成により、本体内に支持体を配置した場合でも、支持体と本体の側面との間のシート積層体が収容される空間を確保することができる。そのため、第2の態様によれば、本体に収容されるシートの量が低下するのを抑制することができる。
【0013】
本発明に係る第3の態様は、前記支持体が、前記天面の中心に配置されている、シートディスペンサーを提供することができる。第3の態様では、天面の中心に支持体を配置することで、谷折り側の端部シートは支持体を伝って天面の中心付近に引き出すことができる。そのため、第3の態様によれば、取出口を天面の中心付近に設けることができるため、取出口の位置決めが容易である。
【0014】
本発明に係る第4の態様は、前記支持体の高さが、前記本体の前記上下方向の高さより低い、シートディスペンサーを提供することができる。本明細書において、本体の上下方向の高さは、本体の内部の空間の高さを示す。また、支持体の高さは、本体の上下方向に沿う方向の高さを示す。
【0015】
第4の態様では、支持体の高さを本体の上下方向の高さより低くすることで、シートを引き出す際に取出口から本体内に挿入した指に対して支持体が障害になりにくい。そのため、第4の態様によれば、支持体の近くに取出口を設けた場合でも、取出口からシートを引き出す作業が容易である。
【0016】
また、第4の態様では、支持体の高さを本体の上下方向の高さより低くすることで、シート積層体を支持体が支持する領域が小さくなる。これにより、本体内にシート積層体を補充する場合に、シート積層体に対する支持体の干渉を低減することができる。そのため、第4の態様によれば、本体内にシート積層体を補充する作業が容易になる。
【0017】
本発明に係る第5の態様は、前記支持体が、前記底面に形成されている、シートディスペンサーを提供することができる。本明細書において、支持体が底面に形成されているとは、支持体が本体の底面から本体の上下方向の上方に延びるように、支持体の底面側の端部が底面に接続されていることを示す。
【0018】
第5の態様では、本体の底面に支持体を設けることで、天面に設けられる取出口に対して支持体が干渉するのを防ぐことができる。そのため、第5の態様によれば、本体内に支持体が設けられている場合でも、天面に形成される取出口の位置が制限されにくくなる。
【0019】
本発明に係る第6の態様は、前記支持体が、前記天面に形成されている、シートディスペンサーを提供することができる。本明細書において、支持体が天面に形成されているとは、支持体が本体の天面から本体の上下方向の下方に延びるように、支持体の天面側の端部が天面に接続されていることを示す。
【0020】
第6の態様では、本体の天面に支持体を設けることで、天面に取出口を設ける際に、支持体との位置関係の特定が容易である。そのため、第6の態様によれば、天面における取出口の位置決めが容易である。
【0021】
本発明に係る第7の態様は、前記支持体が、前記本体の側面に形成されている、シートディスペンサーを提供することができる。本明細書において、支持体が側面に形成されているとは、支持体が本体の側面に沿って本体の上下方向に延びていることを示す。
【0022】
第7の態様では、本体の側面に支持体を設けることによって、天面に設けられる取出口に対して支持体が干渉するのを防ぐことができる。そのため、第7の態様によれば、本体内に支持体が設けられている場合でも、天面に形成される取出口の位置が制限されにくくなる。また、支持体は本体の側面に沿って本体の上下方向に延びるように構成されるため、支持体の強度を確保することができる。
【0023】
本発明に係る第8の態様は、前記支持体が、前記本体の側面の一部で構成されている、シートディスペンサーを提供することができる。本明細書において、側面の一部で構成されているとは、支持体が本体の一部として本体の側面に設けられていることを示す。
【0024】
第8の態様では、支持体が本体の側面の一部で構成されているため、支持体の強度をさらに確保することができる。また、第8の態様では、支持体を本体の一部として構成されることで、本体とは別部材の支持体を用意する必要がないため、本体に支持体を設けることによる製造コストの増加を抑制することができる。
【0025】
本発明に係る第9の態様は、前記取出口が、前記谷折り側の端部シートが引き出し可能な位置に配置されている、シートディスペンサーを提供することができる。本明細書において、谷折り側の端部シートが引き出し可能な位置は、支持体の天面側の端部との距離が最も短い天面の領域を示す。
【0026】
第9の態様では、このように谷折り側の端部シートが引き出し可能な天面の領域に取出口を設けることで、シート積層体から支持体を伝って引き出された端部シートを、さらに取出口からスムーズに引き出すことができる。そのため、第9の態様によれば、取出口から引き出されるシートが詰まったり、破れたりすることをさらに抑制することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明の一態様によれば、シートの取出しが容易なシートディスペンサーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の第1実施形態に係るシートディスペンサー(シート積層体が収容された状態)を示す図である。
図2】第1実施形態に係るシートディスペンサー(シート積層体が収容されていない状態)を示す図である。
図3】第1実施形態に係るシートディスペンサーに収容されるシート積層体を示す図である。
図4】第1実施形態に係るシートディスペンサーに収容されるシート積層体(折り曲げられた状態)を示す図である。
図5図2を天面側から見た図である。
図6図2を底面側から見た図である。
図7図2のA-A線断面図である。
図8】第1実施形態に係るシートディスペンサーの使用状態(取出口からシートが引き出される状態)を示す図である。
図9】第2実施形態に係るシートディスペンサーを示す図である(図7に対応する断面図)である。
図10】第3実施形態に係るシートディスペンサーを示す図である(図7に対応する断面図)である。
図11】第4実施形態に係るシートディスペンサーを示す図である(図7に対応する断面図)である。
図12】第5実施形態に係るシートディスペンサーを示す図である(図7に対応する断面図)である。
図13図12を天面側から見た図である。
図14図12を底面側から見た図である。
図15図12のB-B線断面図(図7に対応する断面図)である。
図16】第5実施形態に係るシートディスペンサーの使用状態(取出口からシートが引き出される状態)を示す図である。
図17】従来のシートディスペンサーの使用状態(取出口からシートが引き出される状態)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、共通する部分は、同一の符号を付して説明を省略する場合がある。また、各図において、各部材の縮尺は実際とは異なる場合がある。
【0030】
また、各図では、シートディスペンサーの左右方向(径方向)をX方向、高さ方向(上下方向)をZ方向、奥行方向(径方向)をY方向とする。また、各図では、シートディスペンサーの上下方向(Y方向)の上側を上または上方といい、下側を下または下方という場合がある。
【0031】
図1は、本発明の実施形態のうちの第1実施形態に係るシートディスペンサー(シート積層体が収容された状態)を示す図である。図2は、第1実施形態に係るシートディスペンサー(シート積層体が収容されていない状態)を示す図である。図3は、第1実施形態に係るシートディスペンサーに収容されるシート積層体を示す図である。図4は、第1実施形態に係るシートディスペンサーに収容されるシート積層体(折り曲げられた状態)を示す図である。図5は、図2を天面側から見た図であり、図6は、図2を底面側から見た図であり、図7は、図2のA-A線断面図である。
【0032】
第1実施形態に係るシートディスペンサー100は、図1図2に示すように、本体10、蓋20、取出口30、支持体40を有する。シートディスペンサー100は、本発明に係るシートディスペンサーの一例である。また、本体10、取出口30、及び支持体40は、本発明に係るシートディスペンサーを構成する本体、取出口、及び支持体の各一例である。
【0033】
本体10は、天面11、底面12、側面13を有する。天面11と底面12は、上下方向(Y方向)に対向する。側面13は、天面11と底面12の間に構成され、天面11と底面12に連続する。本実施形態では、図1図2に示すように、本体10の形状が、円柱であり、天面11、底面12が円形状であり、側面13が筒状である。なお、本体10の形状は、特に限定されず、円柱の他、四角柱、三角柱等の形状にすることができる。
【0034】
本体10の寸法は、任意である。本体10の寸法としては、例えば、収容されるシート積層体SLの寸法に合わせて、左右方向(X方向)の長さを50mm~200mm、奥行方向(Z方向)長さを50mm~200mm、上下方向(Y方向)の長さ100mm~350mmにすることができる。なお、本実施形態では、本体10の形状が円柱であるため、本体10の寸法を、径方向(X方向、Z方向)の長さを50mm~200mm、高さ方向(Y方向)の高さを100mm~350mmにすることができる。
【0035】
また、本体10の材質は、特に限定されず、例えば、ABS、ポリスチレン、AS樹脂、アクリル樹脂、ポリプロピレン樹脂等の合成樹脂、段ボール等の厚紙、ステンレス等の金属を用いることができる。なお、各材質の厚みは、任意であり、例えば0.5mm~3mmにすることができる。
【0036】
本体10の形態は、特に制限されない。例えば、本実施形態では、図1図2に示すように、本体10の天面11側に本体10の開口OTを覆う蓋20が設けられている。蓋20は、本体10に対して取り外し可能であり、本体10にシート積層体SLを補充するときは、本体10から取り外され、本体10からシートSを引き出すときは、本体10に取り付けられる。
【0037】
なお、蓋20の形状および寸法は、任意であるが、本体10の天面11の形状および寸法に合わせるのが好ましい。また、蓋20の材質は、特に限定されず、例えば、ABS、ポリスチレン、AS樹脂、アクリル樹脂、ポリプロピレン樹脂等の合成樹脂、段ボール等の紙、ステンレス等の金属を用いることができ、本体10と同じ材質でも、異なる材質でもよい。
【0038】
本体10には、図1図3図4に示すように、複数枚のシートSが積層されたシート積層体SLが収容される。シート積層体SLは、シート積層体SLの積層方向(SD方向)が上下方向(Y方向)と交差する方向(X方向)となるように収容されている。
【0039】
シート積層体SLは、折り曲げられて本体10に収容されている。ここで、折り曲げられて収容されるとは、シート積層体SLの積層方向(SD方向)が本体10の天面11と底面12とが対向する上下方向(Y方向)と交差する方向となるように、本体10の上下方向(Y方向)に延びる折り目Fに沿ってシート積層体SLが折り曲げられた状態で本体10に収容されることを示す(図3図4参照)。
【0040】
シート積層体SLの形態は、特に限定されず、例えば、シートSが折り畳まれた状態で積層されたもの、各シートSが折り込まれた状態で互い違いに積層されたもの(いわゆるポップアップ式のシート積層体、図3参照)、複数枚のシートSが単に積層されたもの等を採用することができる。
【0041】
また、シート積層体SLの寸法は、任意である。例えば、図3に示すように、シート積層体SLが折り曲げられていない状態で、積層方向(SD方向またはX方向)の厚み20mm~120mm、長手方向(Y方向)の長さを80~300mm、幅方向(Z方向)の長さを80mm~300mmとすることができる。このようなシート積層体SLは、例えば、ロータリー式又はマルチスタンド式インタフォルダによって製造することができる。
【0042】
シート積層体SLを構成するシートSの形態は、特に限定されない。シートSは、例えば、ティシューペーパー、トイレットペーパー、キッチンペーパー、ペーパータオル等の衛生薄葉紙に適用可能である。これらの衛生薄葉紙には、保湿成分を含んだ衛生薄葉紙(例えば、ローションティシュー等)も含まれる。
【0043】
また、シートSを構成する衛生薄葉紙の用途は、特に限定されず、産業用、家庭用、携帯用のいずれも適用できる。なお、本実施形態におけるシートSは、これらの中でも、家庭用のティシューペーパーが好適である。
【0044】
シートSのプライ数は、特に限定されないが、1プライ以上にすることができ、好ましくは1プライであり、より好ましくは2プライ(2枚重ね)である。また、シートSの形状は、特に限定されず、例えば、2プライのシートが折り畳まれた状態で、輪郭形状が四角形(長方形、正方形等)のものであることが好ましい。
【0045】
シートSの材質は、特に限定されず、例えば、紙、不織布または布等を用いることができ、好ましくは紙である。なお、シートSが紙の場合、パルプを主原料とする原紙が用いられる。パルプ組成は、紙における公知の組成を用いることができる。例えば、パルプの配合割合を50質量%以上、好ましくは90質量%以上、より好ましくは100質量%とすることができる。
【0046】
また、シートSが紙の場合、パルプ組成は、特に限定されない。例えば、NBKP(針葉樹クラフトパルプ)やNUKP(針葉樹未晒しパルプ)などの針葉樹パルプと、LBKP(広葉樹クラフトパルプ)やLUKP(広葉樹未晒しパルプ)などの広葉樹パルプとを任意の比率で使用することができる。これらの中でも、広葉樹パルプに対して針葉樹パルプの比率がより多いパルプ組成であることが好ましい。また、針葉樹パルプと広葉樹パルプの比は、限定されないが、10:90~80:20であるのが好ましい。なお、パルプ組成に含まれるパルプには、古紙パルプを用いても良い。
【0047】
シートSの坪量は、特に限定されないが、プライ数に応じて、シートSが紙の場合は10~80g/m、不織布の場合は20~100g/mのものが望ましい。なお、坪量は、JIS P 8124の規定に準拠して測定される。
【0048】
また、シートSの厚みは、特に限定されず、シートSが紙の場合はJIS P 8111(1998)の環境下で測定された紙厚を採用することができる。例えば、紙厚は、2プライあたり、好ましくは50μm以上500μm以下であり、より好ましくは60μm以上330μm以下である。
【0049】
なお、紙厚の測定方法は、試験片をJIS P 8111(1998)の条件下で十分に調湿した後、同条件下でダイヤルシックネスゲージ(厚み測定器)「PEACOCK G型」(尾崎製作所製)を用い、2プライで測定する。具体的には、プランジャーと測定台の間にゴミ、チリ等がないことを確認してプランジャーを測定台の上におろし、該ダイヤルシックネスゲージのメモリを移動させてゼロ点を合わせる。次いで、プランジャーを上げて試料を試験台の上におき、プランジャーをゆっくりと下ろしたときのゲージを読み取る。このとき、プランジャーは載せるだけとする。プランジャーの端子は金属製で直径10mmの円形の平面が紙平面に対し垂直に当たるようにし、この紙厚測定時の荷重は、約70gfである。なお、紙厚は、測定を10回行って得られる平均値とする。
【0050】
また、シートSには、エンボス加工が施されていても良い。このようなエンボス加工は、公知のコンタクトエンボス、エッジエンボス付与方法等により、図示しないエンボスをシートSの両面に押し当て、複数枚のシートSを積層するもの、公知のピンエンボス付与方法により、図示しないピンをシートSに刺して、シートSの一方の面上にピンエンボスを形成するもの、公知のエンボス付与方法により、水溶性の接着剤(デンプン等)を加熱融解して、積層されたシート(図示せず)を接着することでエンボスを形成するもの等がある。
【0051】
取出口30は、シートSが引き出されるように、本体10の天面11に形成されている。具体的には、取出口30は、天面11に設けられ開口OPを構成する。天面11において取出口30が形成される位置は、特に限定されないが、好ましくは、天面11の中心11aからずれた位置11bである。ここで、天面11の中心11aとは、天面11の重心または図心を示す(図1図2参照)。
【0052】
この取出口30からは、シート積層体SLを構成するシートSが1組ずつ引き出される。具体的には、折り曲げられたシート積層体SLの谷折り側の端部シートVS(ES)が引き出される。ここで、端部シートESは、シート積層体SLの積層方向(SD方向)の両端部LEに位置するシートを示す(図3図4参照)。また、谷折り側の端部シートVS(ES)は、折り曲げられたシート積層体SLの谷折り側の端部LEに位置するシートである。
【0053】
支持体40は、本体10内に形成され、折り曲げられたシート積層体SLを支持する。具体的には、支持体40は、本体10の天面11と底面12とが対向する上下方向(Y方向)に沿って延びるように本体10内に形成されている(図1図2図7参照)。そして、支持体40は、シート積層体SLの谷折り側の端部シートVS(ES)を支持するように本体10内に配置されている。
【0054】
ここで、支持体40は、本体10に折り曲げられた状態で収容されたシート積層体SLを本体10内で支持し得る部材である(図1参照)。また、支持体40がシート積層体SLの谷折り側の端部シートVS(ES)を支持するとは、シート積層体SLの谷折り側の端部シートVS(ES)の内側VIに支持体40が挟まれることを示す。
【0055】
支持体40の形状は、特に制限されず、例えば、板状、棒状等の形状にすることができる。本実施形態では、図1図2図7に示すように、棒状部材で構成されている。また、支持体40の材質は、特に限定されず、例えば、ABS、ポリスチレン、AS樹脂、アクリル樹脂、ポリプロピレン樹脂等の合成樹脂、段ボール等の紙、ステンレス等の金属を用いることができ、本体10と同じ材質でも、異なる材質でもよい。
【0056】
支持体40が形成される位置は、特に限定されない。本実施形態では、支持体40が、底面12に形成されている。具体的には、支持体40が本体10の底面12から本体10の上下方向(Y方向)の上方に延びるように、支持体40の底面12側の端部42が底面12に接続されている(図1図2図6図7参照)。そして、支持体40の基部43が、折り曲げられたシート積層体SLの谷折り側の端部シートVS(ES)を支持する。
【0057】
また、支持体40は、本体10の天面11の中心11aからずれた位置11bに配置されている(図1図2図5図7参照)。ここで、中心11aからずれた位置11bは、天面11の中心11aから離れた位置を示す。言い換えると、支持体40は、底面12の中心12aからずれた位置12bに形成されている(図6図7参照)。
【0058】
本実施形態では、支持体40が、本体10の底面12の中心12aと側面13との間に配置されている。具体的には、側面13から距離D1だけ離れた位置に配置されている。なお、距離D1は、本体10の底面12の中心12aと側面13との距離D2よりも短い(図7参照)。
【0059】
支持体40の寸法は、特に限定されない。本実施形態では、支持体40の高さLが、本体10の上下方向(Y方向)の高さHより低くなっている(図7参照)。ここで、本体10の上下方向(Y方向)の高さHは、本体10の内部の空間HSの高さを示す。また、支持体40の高さLは、本体10の上下方向(Y方向)に沿う方向の高さを示す(図7参照)。
【0060】
なお、本実施形態では、取出口30が、谷折り側の端部シートVS(ES)が引き出し可能な位置に配置されている。ここで、谷折り側の端部シートVS(ES)が引き出し可能な位置は、支持体40の天面11側の端部41との距離が最も短い天面11の領域(天面11の中心11aからずれた位置11b)を示す(図1図5図7参照)。
【0061】
図8は、第1実施形態に係るシートディスペンサー100の使用状態(取出口からシートが引き出される状態)を示す図である。第1実施形態では、上述のように、本体10の上下方向(Y方向)に沿って延びる支持体40が、本体10内に配置され、折り曲げられたシート積層体SLの谷折り側の端部シートVS(ES)を支持することで、谷折り側の端部シートVS(ES)がシート積層体SLから支持体40を伝って引き出される(図8参照)。
【0062】
これにより、本体10内で折り曲げられたシート積層体SLの積層状態が維持され、シートSが取出口30から引き出される際の谷折り側の端部シートVS(ES)の擦れを低減することができる。そのため、本実施形態によれば、取出口30から引き出されるシートSが詰まったり、破れたりすることを抑制することができる(図8参照)。
【0063】
また、本実施形態では、上述のように、天面11の中心11aからずれた位置11bに支持体40を配置することで、折り曲げられたシート積層体SLの谷折り側の端部シートVS(ES)は、天面11の中心11aからずれた位置11bに配置された支持体40に支持される。一方、折り曲げられたシート積層体SLの山折り側の端部シートMS(ES)は、支持体40から最も遠い本体10の側面13aに支持される(図1図2図7図8)。
【0064】
このような構成により、本実施形態では、本体10内に支持体40を配置した場合でも、支持体40と本体10の側面13との間のシート積層体SLが収容される空間HSを確保することができる(図1図2図7図8)。そのため、本実施形態によれば、本体10に収容されるシートSの量が低下するのを抑制することができる。
【0065】
また、本実施形態では、上述のように、支持体40の高さLを本体10の上下方向(Y方向)の高さHより低くすることで、シートSを引き出す際に取出口30から本体10内に挿入した指(図示せず)に対して支持体40が障害になりにくい(図7図8参照)。そのため、本実施形態によれば、支持体40の近くの天面11に取出口30を設けた場合でも、取出口30からシートSを引き出す作業が容易である。
【0066】
また、本実施形態では、支持体40の高さLを本体10の上下方向(Y方向)の高さHより低くすることで、シート積層体SLを支持体40が支持する領域が小さくなる(図7図8参照)。これにより、本体10内にシート積層体SLを補充する場合に、シート積層体SLに対する支持体40の干渉を低減することができる。そのため、本実施形態によれば、本体10内にシート積層体SLを補充する作業が容易になる。
【0067】
また、本実施形態では、本体10の底面12に支持体40を設けることで、天面11に設けられる取出口30に対して支持体40が干渉するのを防ぐことができる。そのため、本実施形態によれば、本体10内に支持体40が設けられている場合でも、天面11に形成される取出口30の位置が制限されにくくなる(図2図5図7参照)。
【0068】
さらに、本実施形態では、上述のように、谷折り側の端部シートVS(ES)が引き出し可能な天面11の領域(天面11の中心11aからずれた位置11b)に取出口30が設けられている(図2図5図7参照)。このような構成により、シート積層体SLから支持体40を伝って引き出された端部シートVS(ES)を、さらに取出口30からスムーズに引き出すことができる(図8参照)。そのため、本実施形態によれば、取出口30から引き出されるシートSが詰まったり、破れたりすることをさらに抑制することができる。
【0069】
図9は、本発明の第2実施形態に係るシートディスペンサーを示す図である。なお、図9において、第1実施形態(図7等)と共通する部分は、これらと同一の符号を付して説明を省略する場合がある。
【0070】
第2実施形態に係るシートディスペンサー100では、支持体40の高さL2が、本体10の上下方向(Y方向)の高さHより低く、さらに支持体40の高さL2が、第1実施形態における支持体40の高さL1より低くなっている(図9参照)。具体的には、支持体40の高さL2は、第1実施形態における支持体40の高さL1の略半分の高さである(図7図9参照)。
【0071】
第2実施形態では、支持体40の高さL2を第1実施形態における支持体40の高さL1よりもさらに低くすることで、シートSを引き出す際に取出口30から本体10内に挿入した指(図示せず)に対して支持体40がさらに障害になりにくい(図9参照)。そのため、本実施形態によれば、支持体40の近くの天面11に取出口30を設けた場合でも、取出口30からシートSを引き出す作業がさらに容易である。
【0072】
また、第2実施形態では、支持体40の高さL2を第1実施形態における支持体40の高さL1よりもさらに低くすることで、シート積層体SLを支持体40が支持する領域がさらに小さくなる(図7図9参照)。これにより、本体10内にシート積層体SLを補充する場合に、シート積層体SLに対する支持体40の干渉をさらに低減することができる。そのため、本実施形態によれば、本体10内にシート積層体SLを補充する作業がさらに容易になる。
【0073】
図10は、本発明の第3実施形態に係るシートディスペンサーを示す図である。なお、図10において、第1実施形態(図7等)と共通する部分は、これらと同一の符号を付して説明を省略する場合がある。第3実施形態のシートディスペンサー100では、支持体40が、天面11の中心11aに配置されている(図10参照)。具体的には、支持体40は、側面13から距離D2だけ離れた位置(底面12の中心12a)に配置されている(図10参照)。
【0074】
第3実施形態では、このように天面11の中心11aに支持体40を配置することで、谷折り側の端部シートVS(ES)は支持体40を伝って天面11の中心11a付近に引き出すことができる。そのため、第3実施形態によれば、取出口30を天面11の中心11a付近に設けることができるため、取出口30の位置決めが容易である(図10参照)。
【0075】
図11は、本発明の第4実施形態に係るシートディスペンサーを示す図である。なお、図11において、第1実施形態(図7等)と共通する部分は、これらと同一の符号を付して説明を省略する場合がある。
【0076】
第4実施形態のシートディスペンサー100では、支持体40が、天面11に形成されている。具体的には、支持体40が本体10の天面11から本体10の上下方向(Y方向)の下方に延びるように、支持体40の天面11側の端部41が天面11に接続されている(図11参照)。そして、支持体40の基部43が、折り曲げられたシート積層体SLの谷折り側の端部シートVS(ES)を支持する。
【0077】
第4実施形態では、本体10の天面11に支持体40を設けることで、天面11に取出口30を設ける際に、支持体40との位置関係の特定が容易である。そのため、第4実施形態によれば、天面11における取出口30の位置決めが容易である(図11参照)。
【0078】
図12は、本発明の第5実施形態に係るシートディスペンサーを示す図である。図13は、図12を天面側から見た図であり、図14は、図12を底面側から見た図であり、図15は、図12のB-B線断面図である。なお、図12図15において、第1実施形態(図2図5図6図7等)と共通する部分は、これらと同一の符号を付して説明を省略する場合がある。
【0079】
第5実施形態のシートディスペンサー100では、支持体40が、本体10の側面13に形成されている。具体的には、支持体40が、本体10の側面13に沿って本体10の上下方向(Y方向)に延びるように、側面13に形成されている(図12図15参照)。
【0080】
支持体40を本体10の側面13に形成する態様は、特に制限されない。例えば、第5実施形態のように、支持体40を本体10の側面13の一部13bで構成することができる。具体的には、第5実施形態では、支持体40が本体10の一部10Aとして本体10の側面13に設けられている(図12図15参照)。なお、第5実施形態では、蓋20に凹部20Aが設けられており、凹部20Aが側面13の一部13bに嵌合するように、本体10の天面11側に蓋20が設けられている。
【0081】
図16は、第5実施形態に係るシートディスペンサーの使用状態(取出口からシートが引き出される状態)を示す図である。第5実施形態では、上述のように、本体10の側面13に支持体40を設けることで、天面11に設けられる取出口30に対して支持体40が干渉するのを防ぐことができる。そのため、第5実施形態によれば、本体10内に支持体40が設けられている場合でも、天面11に形成される取出口30の位置が制限されにくくなる(図12図15参照)。
【0082】
また、第5実施形態では、上述の構成により、支持体40は本体10の側面13に沿って本体10の上下方向(Y方向)に延びるように構成されるため、支持体40の強度を確保することができる(図12図15参照)。さらに、第5実施形態では、上述のように、支持体40が本体10の側面13の一部13bで構成されているため、支持体40の強度をさらに確保することができる(図12図15参照)。
【0083】
さらに、第5実施形態では、上述のように、支持体40を本体10の側面13の一部13bで構成することにより、支持体40が本体10の一部(凹部)10Aとして構成されるため、本体10とは別部材の支持体40を用意する必要がない(図12図15参照)。そのため、第5実施形態によれば、本体10に支持体40を設けることによる製造コストの増加を抑制することができる。
【実施例
【0084】
以下、本発明について、さらに実施例を用いて具体的に説明する。実施例、比較例の評価は、以下の試験により行った。
【0085】
[シートディスペンサー(試験体)]
試験体として、シートディスペンサー100を用意した(図2図7図9図10図11図12図15参照)。シートディスペンサー100は、厚みが約1mmの厚紙を用いて、本体10が筒状の円柱形状にした。本体10の天面11側には開口OTを構成し、開口OPを覆う蓋20を、本体10の天面11側に嵌合した。本体10の寸法は、径方向(X方向、Z方向)の長さを約85mm、高さ方向(Y方向)の高さを約220mmとした。また、本体10の天面11に取出口30(開口OP)を形成した。
【0086】
[シート積層体]
シートディスペンサーに収容されるシート積層体SL(図3参照)として、シートSが折り畳まれた状態で互い違いに積層されたティシューペーパー(坪量10.7g/m、2プライ、組数:150組(300枚)、奥行(縦幅)約197mm、長さ(横幅)約200mm)を用いた。なお、実施例4の場合のみ、組数:120組(240枚)とした。シート積層体SLは、積層方向(SD方向)がシートディスペンサー100の本体10の上下方向(Y方向)と交差する方向(X方向)となるように、上下方向(Y方向)に沿って折り曲げられた状態で、本体10に収容した(図1図8図16図17参照)。
【0087】
[引出し抵抗]
シートディスペンサー100の引出し抵抗を確認した。引出し抵抗は、上述の試験体(シートディスペンサー100)を平坦な載置面上に置き、本体10の取出口30(開口OP)から1組目(最上部)のシートSを本体10の天面11から上方に50mm引出し、引き出したシートSの先端(シートディスペンサー100の長手方向(X方向)の中央部分)をダブルクリップ(プラス株式会社製、「CP-103」、幅32mm)で挟み、ダブルクリップの持ち手部分の一方の穴にプッシュプルゲージ(株式会社イマダ製、「IMADA DEGTAL FORCEGAUGE Z2-20N」)のフックを通し、0.4~0.6秒の時間をかけて一定速度で、本体10の天面11に対して垂直方向(Y方向)にシートSを引き出したときの引張強度(単位:gf)を測定した。引張強度は、1枚目から10枚目までの引張強度の平均値を採用した。引出し抵抗の評価基準は、引張強度が0.25kgf以下の場合に良好である(シートSが取出し易い)ものと判断し、0.25kgfを超えた場合は良好でない(シートSが取出しづらい)ものと判断する。
【0088】
[シート破れ]
シートディスペンサー100からシートSを引き出した際のシートの破れを確認した。シートの破れは、上記の引出し抵抗を測定したときに、シートが破れた回数を確認した。シート破れの評価基準は、破れた回数が0回の場合に良好である(シートSが破れない)ものと判断し、破れた回数が1回以上の場合は良好でない(シートS破れた)ものと判断する。
【0089】
[補充性]
シートディスペンサー100におけるシートの補充性を確認した。補充性は、本体10から蓋20を取り外し、本体10内にシート積層体SLを入れたときの、入れやすさを評価した。補充性の評価は、10人の被験者が以下の基準で採点した点数を平均化した点数で評価した。なお、評価が3点以上場合は補充性が良好であるものと判断し、3点未満の場合は補充性が良好でないものと判断する。
5:とても入れやすい
4:入れやすい
3:どちらともいえない
2:やや入れにくい
1:入れにくい
【0090】
[取出性]
シートディスペンサー100におけるシートの取出性を確認した。取出性は、シートディスペンサー100の取出口30を通してシート積層体SLからシートSを引き出したときの、シートSの引き出し易さを評価した。取出性の評価は、10人の被験者が以下の基準で採点した点数を平均化した点数で評価した。なお、評価が3.5点以上の場合は取出性が良好であるものと判断し、3.5点未満の場合は取出性が良好でないものと判断する。
5:とても取り出しやすい
4:取り出しやすい
3:どちらともいえない
2:やや取り出しにくい
1:取り出しにくい
【0091】
[位置決め容易性]
シートディスペンサー100における取出口の位置決め容易性を確認した。位置決め容易性は、本体10の天面11に、取出口30を設ける場合に、取出口30の位置の決めやすさを評価した。位置決め容易性の評価は、10人の被験者が以下の基準で採点した点数を平均化した点数で評価した。なお、評価が3点以上場合は位置決め容易性が良好であるものと判断し、3点未満の場合は位置決め容易性が良好でないものと判断する。
5:とても決めやすい
4:決めやすい
3:どちらともいえない
2:やや決めにくい
1:決めにくい
【0092】
以下、実施例及び比較例について、説明する。
【0093】
[実施例1]
シートディスペンサー100において、図1図2図5図6図7に示すように、本体10の底面12に支持体40を形成した。支持体40の材質は、アクリル樹脂を用いた。支持体40の形状は、棒状とした。支持体40の寸法は、断面の直径が15mm、上下方向(Y方向)の高さ220mmとした。支持体40は、本体10の側面13との距離D1(最短距離)が約27.5mmとなる位置(底面12の中心12aからずれた位置12b)に配置した。取出口30は、支持体40の天面11側の端部41との距離が最も短い天面11の領域(天面11の中心11aからずれた位置11b)であり、かつ本体10の側面13との最短距離が約5mmとなる位置に設けた。
【0094】
[実施例2]
シートディスペンサー100において、支持体40の上下方向(Y方向)の高さを150mmとした(図9参照)以外は、実施例1と同様に試験体を作製し、同様に評価した。結果を表1に示す。
【0095】
[実施例3]
シートディスペンサー100において、支持体40の上下方向(Y方向)の高さを100mmとした(図9参照)以外は、実施例1と同様に試験体を作製し、同様に評価した。結果を表1に示す。
【0096】
[実施例4]
シートディスペンサー100において、支持体40を本体10の側面13との距離D2が約50mmとなる位置(底面12の中心12a)に設け、取出口30を天面11の中心11aに設けた(図10参照)以外は、実施例1と同様に試験体を作製し、同様に評価した。結果を表1に示す。
【0097】
[実施例5]
シートディスペンサー100において、取出口30を本体10の天面11に支持体40を形成し、支持体40と支持体40から最短となる本体10の側面13との間に取出口30を設けた(図11参照)以外は、実施例1と同様に試験体を作製し、同様に評価した。結果を表1に示す。
【0098】
[実施例6]
シートディスペンサー100において、支持体40を本体10の側面13の一部13bで構成した(図12図15参照)以外は、実施例1と同様に試験体を作製し、同様に評価した。結果を表1に示す。
【0099】
[比較例1]
シートディスペンサー100において、支持体40を形成しなかった(図17参照)以外は、実施例1と同様に試験体を作製し、同様に評価した。結果を表1に示す。
【0100】
【表1】
【0101】
表1より、本体10内に支持体40を形成したシートディスペンサー100は、引出し抵抗、シート破れ、補充性、取出性、位置決め容易性がいずれも良好であった(実施例1~6)。
【0102】
一方、本体10内に支持体40を設けなかったシートディスペンサー100は、引出し抵抗、シート破れ、取出性が劣るものであった(比較例1)。具体的には、図17に示すように、取出口30から引き出されるシートS(谷折り側の端部シートVS)に破断Bが発生した。
【0103】
これらの結果から、本体内に形成され、折れ曲げられた状態で本体に収容されたシート積層体の谷折り側の端部シートを支持する支持体が本体内に配置されたシートディスペンサーは、シートの取出しが容易であることが判った。
【0104】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0105】
100 シートディスペンサー
10 本体
HS 空間
10A 凹部
11 天面
OT 開口
11a 中心
11b ずれた位置
12 底面
12a 中心
12b ずれた位置
13 側面
13a 最も遠い側面
13b 一部
20 蓋
20A 凹部
30 取出口
OP 開口
40 支持体
41 天面側の端部
42 底面側の端部
43 基部
S シート(衛生薄葉紙)
SL シート積層体
LE 端部
ES 端部シート
VS 谷折り側の端部シート
MS 山折り側の端部シート
F 折り目
SD 積層方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17