(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】ロボット制御装置、ロボット、及びロボット制御方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20231226BHJP
B25J 13/00 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
H01L21/68 A
B25J13/00 Z
(21)【出願番号】P 2019147174
(22)【出願日】2019-08-09
【審査請求日】2022-06-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 雅也
(72)【発明者】
【氏名】北野 真也
(72)【発明者】
【氏名】中矢 敦史
(72)【発明者】
【氏名】菅原 潤一
【審査官】湯川 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-529248(JP,A)
【文献】特開2008-227199(JP,A)
【文献】特開2005-310858(JP,A)
【文献】特開2009-090406(JP,A)
【文献】特表2017-505994(JP,A)
【文献】特開2004-207279(JP,A)
【文献】特開2013-110444(JP,A)
【文献】特開2012-182393(JP,A)
【文献】特開2011-119408(JP,A)
【文献】特開2014-078669(JP,A)
【文献】特開平11-343028(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
B25J 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を保持して搬送するロボットの動作を制御するためのロボット制御装置であって、
前記ロボットは、少なくとも一つの関節軸を有するロボットアームと、前記ロボットアームの先端に設けられ、前記基板を保持するためのエンドエフェクタと、を備え、かつ、前記基板を載置するための載置位置に隣接して配置され、
前記エンドエフェクタが前記載置位置よりも上方の第1教示点に位置するとき、前記エンドエフェクタが前記基板を保持し、前記載置位置に前記基板が載置されない第1状態となり、
前記エンドエフェクタが前記載置位置よりも下方の第2教示点に位置するとき、前記エンドエフェクタが前記基板を保持せず、前記載置位置に前記基板が載置された第2状態となり、
前記エンドエフェクタが前記第1及び前記第2教示点のいずれか一方からいずれか他方まで移動する第1動作を前記ロボットに行わせることで、前記第1状態と前記第2状態とを切り替え可能であり、
前記第1動作の途中で
、前記エンドエフェクタを停止させ
ず、
前記載置位置の位置情報を予め教示によって記憶しており、前記載置位置からの距離に基づき、前記第1及び前記第2教示点の少なくともいずれかを導出することを特徴とする、ロボット制御装置。
【請求項2】
前記第1動作の途中で、前記載置位置及びその付近において、前記エンドエフェクタを減速させない、請求項1に記載のロボット制御装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のロボット制御装置と、前記ロボットアームと、前記エンドエフェクタと、を備えることを特徴とする、ロボット。
【請求項4】
前記エンドエフェクタは、前記ロボットアームの先端に接続される基端部分と、前記基端部分から分かれて先端側に延びる二つの先端部分と、を有し、
前記第1及び前記第2教示点は、前記エンドエフェクタが前記第1動作の途中で前記載置位置を通過する際に、前記二つの先端部分の間を前記載置位置が通り抜けるように設定される、
請求項3に記載のロボット。
【請求項5】
基板を保持して搬送するロボットの動作を制御するためのロボット制御方法であって、
前記ロボットは、少なくとも一つの関節軸を有するロボットアームと、前記ロボットアームの先端に設けられ、前記基板を保持するためのエンドエフェクタと、を備え、かつ、前記基板を載置するための載置位置に隣接して配置され、
前記エンドエフェクタが前記載置位置よりも上方の第1教示点に位置するとき、前記エンドエフェクタが前記基板を保持し、前記載置位置に前記基板が載置されない第1状態となり、
前記エンドエフェクタが前記載置位置よりも下方の第2教示点に位置するとき、前記エンドエフェクタが前記基板を保持せず、前記載置位置に前記基板が載置された第2状態となり、
前記載置位置の位置情報を予め教示によって記憶しており、前記載置位置からの距離に基づき、前記第1及び前記第2教示点の少なくともいずれかを導出し、
前記エンドエフェクタを前記第1及び前記第2教示点のいずれかに位置させる第1ステップと、
前記第1ステップを行ったあとで、前記エンドエフェクタが前記第1及び前記第2教示点のいずれか一方からいずれか他方まで移動する第1動作を前記ロボットに行わせることで、前記第1状態と前記第2状態とを切り替え、前記第1動作の途中で
、前記エンドエフェクタを停止させない第2ステップと、を備えることを特徴とする、ロボット制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボット制御装置、ロボット、及びロボット制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、基板を保持して搬送するロボットの動作を制御するためのロボット制御装置が知られている。このようなロボット制御装置が、例えば、特許文献1の基板搬送装置で提案されている。
【0003】
特許文献1の基板搬送装置は、ハウジングと、ハウジングの上面に設けられるロボットアームと、を備える。当該ロボットアームは、ハウジングの上面に取り付けられるアッパーアームと、アッパーアームの先端に取り付けられるフォアアームと、フォアアームの先端に取り付けられるエンドエフェクタと、を備える。また、基板アライナは、基部と、当該基部に取り付けられる基板保持部と、基板に設けられる特徴部分(例えば、切り欠き等)を検出するためのセンサと、を備える。そして、基板アライナの基部、基板保持部、及び当該基板保持部に保持された基板が、エンドエフェクタの基板保持歯を通り抜けるように構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1で提案されているような従来からあるロボット制御装置は、一般に、基板を載置するための載置位置をエンドエフェクタが通過したか否かの判定を行っていた。しかし、この判定を行うために、基板を保持して搬送する作業を迅速に行えない場合があった。
【0006】
そこで、本発明は、基板を保持して搬送する作業を迅速に行うことが可能な、ロボット制御装置、ロボット、及びロボット制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明に係るロボット制御装置は、基板を保持して搬送するロボットの動作を制御するためのロボット制御装置であって、前記ロボットは、少なくとも一つの関節軸を有するロボットアームと、前記ロボットアームの先端に設けられ、前記基板を保持するためのエンドエフェクタと、を備え、かつ、前記基板を載置するための載置位置に隣接して配置され、前記エンドエフェクタが前記載置位置よりも上方の第1教示点に位置するとき、前記エンドエフェクタが前記基板を保持し、前記載置位置に前記基板が載置されない第1状態となり、前記エンドエフェクタが前記載置位置よりも下方の第2教示点に位置するとき、前記エンドエフェクタが前記基板を保持せず、前記載置位置に前記基板が載置された第2状態となり、前記エンドエフェクタが前記第1及び前記第2教示点のいずれか一方からいずれか他方まで移動する第1動作を前記ロボットに行わせることで、前記第1状態と前記第2状態とを切り替え可能であり、前記第1動作の途中で、前記エンドエフェクタが前記載置位置を通過したか否かの判定を行わず、前記エンドエフェクタを停止させないことを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、本発明に係るロボット制御装置は、前記第1動作の途中で、エンドエフェクタが載置位置を通過したか否かの判定を行わず、エンドエフェクタを停止させない。その結果、本発明に係るロボット制御装置は、基板を保持して搬送する作業を迅速に行うことが可能となる。
【0009】
前記課題を解決するために、本発明に係るロボット制御方法は、基板を保持して搬送するロボットの動作を制御するためのロボット制御方法であって、前記ロボットは、少なくとも一つの関節軸を有するロボットアームと、前記ロボットアームの先端に設けられ、前記基板を保持するためのエンドエフェクタと、を備え、かつ、前記基板を載置するための載置位置に隣接して配置され、前記エンドエフェクタが前記載置位置よりも上方の第1教示点に位置するとき、前記エンドエフェクタが前記基板を保持し、前記載置位置に前記基板が載置されない第1状態となり、前記エンドエフェクタが前記載置位置よりも下方の第2教示点に位置するとき、前記エンドエフェクタが前記基板を保持せず、前記載置位置に前記基板が載置された第2状態となり、前記エンドエフェクタを前記第1及び前記第2教示点のいずれかに位置させる第1ステップと、前記第1ステップを行ったあとで、前記エンドエフェクタが前記第1及び前記第2教示点のいずれか一方からいずれか他方まで移動する第1動作を前記ロボットに行わせることで、前記第1状態と前記第2状態とを切り替え、前記第1動作の途中で、前記エンドエフェクタが前記載置位置を通過したか否かの判定を行わず、前記エンドエフェクタを停止させない第2ステップと、を備えることを特徴とする。
【0010】
上記構成によれば、本発明に係るロボット制御方法は、前記第1動作の途中で、エンドエフェクタが載置位置を通過したか否かの判定を行わず、エンドエフェクタを停止させない。その結果、本発明に係るロボット制御方法は、基板を保持して搬送する作業を迅速に行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、基板を保持して搬送する作業を迅速に行うことが可能な、ロボット制御装置、ロボット、及びロボット制御方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の一実施形態に係るロボットの全体構成を示す概略図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るロボットの制御系を示すブロック図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係るロボットが基板を載置する第1動作を行う様子を示す概略図であり、(A)がエンドエフェクタが第1教示点に位置しているときの図、(B)がエンドエフェクタが第2教示点に位置しているときの図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るロボットが基板を載置する第1動作を行っている際中のエンドエフェクタの速度を示すグラフである。
【
図5】本発明の一実施形態に係るロボットが基板を保持する第1動作を行う様子を示す概略図であり、(A)がエンドエフェクタが第2教示点に位置しているときの図、(B)がエンドエフェクタが第2教示点に位置しているときの図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係るロボットが基板を保持する第1動作を行っている際中のエンドエフェクタの速度を示すグラフである。
【
図7】本発明の一実施形態に係るロボット制御方法のフローチャートである。
【
図8】本発明の一実施形態に係るロボットが基板を載置する第1動作の変形例を行う様子を示す概略図であり、(A)がエンドエフェクタが第1教示点に位置しているときの図、(B)がエンドエフェクタが第2教示点に位置しているときの図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態に係るロボット制御装置、ロボット、及びロボット制御方法について、図面を参照して説明する。なお、本実施形態によって本発明が限定されるわけではない。また、以下では、全ての図を通じて、同一又は相当する要素には同一の参照符号を付し、その重複する説明を省略する。
【0014】
(ロボット10)
図1は、本実施形態に係るロボットの全体構成を示す概略図である。
図1に示すように、本実施形態に係るロボット10は、基板Sを保持して搬送するための水平多関節型ロボットとして構成され、基板Sを載置するための載置位置62に隣接して配置される。ロボット10は、基台12と、当該基台12に設けられる上下方向に伸縮可能な昇降軸14と、当該昇降軸14の上端に設けられるロボットアーム20と、当該ロボットアームの先端に設けられるエンドエフェクタ25と、を備える。また、ロボット10は、ロボットアーム20及びエンドエフェクタ25の動作を制御するためのロボット制御装置30をさらに備える。
【0015】
(昇降軸14及びロボットアーム20)
昇降軸14は、図示しないボールスクリュー等で上下方向に伸縮可能に構成され、この昇降動作は、基台12の内部に設けられたサーボモータ14a(
図2参照)によって行われる。また、昇降軸14は、基台12に対して鉛直方向に延びる回転軸L
1周りに回転可能に設けられており、この回転動作は、基台12の内部に設けられたサーボモータ14b(同前)によって行われる。
【0016】
ロボットアーム20は、各々が水平方向に延びる長尺状の部材で構成される第1リンク22及び第2リンク24を有する。
【0017】
第1リンク22は、その長手方向の基端が昇降軸14の上端に取り付けられる。第1リンク22は、昇降軸14と一体的に昇降し、かつ、昇降軸14と一体的に回転軸L1周りに回転する。
【0018】
第2リンク24は、その長手方向の基端が第1リンク22の長手方向の先端に鉛直方向に延びる回転軸L
2周りに回転可能に取り付けられる。第2リンク24の第1リンク22に対する回転動作は、第1リンク22の内部に設けられたサーボモータ24a(
図2参照)によって行われる。
【0019】
(エンドエフェクタ25)
エンドエフェクタ25は、その長手方向の基端が第2リンク24の長手方向の先端に鉛直方向に延びる回転軸L3周りに回転可能に取り付けられる手首部26と、手首部26の先端に設けられ、手首部26と一体的に動作するベース体27と、を備える。
【0020】
手首部26の第2リンク24に対する回転動作は、第2リンク24の内部に設けられたサーボモータ24a(
図2参照)によって行われる。
【0021】
ベース体27は、手首部26の先端(ロボットアームの先端)に接続される基端部分28(
図3参照)と、基端部分28から分かれて先端側に延びる二つの先端部分29a、29b(同前)と、を有する。先端部分29aは、基端部分28の幅方向の一端の先端側から厚み方向に直交する平面内に突出し、先端部分29bは、基端部分28の幅方向の他端の先端側から厚み方向に直交する平面内に突出する。ベース体27は、基端部分28、及び先端部分29a、29bを有することで、その厚み方向に見てY字状である。
【0022】
エンドエフェクタ25は、例えば、その基端部分28に設けられ、エンドエフェクタ25の中心軸線上を往復運動可能な可動部材(図示せず)と、その先端部分29a、29bそれぞれに設けられる固定部材(同前)と、を有してもよい。そして、エンドエフェクタ25は、例えば、前記可動部材を中心軸線の先端側に移動させ、当該可動部材と前記固定部材とで基板Sを挟むことで当該基板Sを保持してもよい。
【0023】
(ロボット制御装置30)
図2は、本実施形態に係るロボットの制御系を示すブロック図である。
図2に示すように、本実施形態に係るロボット制御装置30は、記憶部32と、記憶部32に格納されたプログラムを実行するための処理部34と、を備える。処理部34は、サーボモータ14a、14b、24a、26aそれぞれに対して接続される。ロボット制御装置30は、サーボモータ14a、14b、24a、26aによって、ロボット10の動作をサーボ制御することができる。
【0024】
(載置位置62)
載置位置62は、水平面内を長手方向に延びる板状部材60の先端に設けられる。板状部材60は、I字状に形成され、載置位置62を含む幅方向の寸法が均一である。板状部材60の幅方向の寸法は、エンドエフェクタ25の二つの先端部分29の間隔よりも小さい。
【0025】
(基板Sを載置位置62に載置する作業の一例)
図3及び
図4に基づき、エンドエフェクタ25で保持した基板Sを載置位置62に載置する作業の一例について説明する。また、本実施形態に係るロボット制御装置30が奏する効果についてもあわせて説明する。
図3は、本実施形態に係るロボットが基板を載置する第1動作を行う様子を示す概略図であり、(A)がエンドエフェクタが第1教示点に位置しているときの図、(B)がエンドエフェクタが第2教示点に位置しているときの図である。
【0026】
図3(A)に示すように、エンドエフェクタ25が載置位置62よりも上方の教示点T
1(第1教示点)に位置するとき(換言すれば、エンドエフェクタ25が同図に示す位置及び姿勢であるとき)、エンドエフェクタ25が基板Sを保持し、載置位置62に基板Sが載置されない第1状態となる。また、
図3(B)に示すように、エンドエフェクタ25が載置位置62よりも下方の教示点T
2(第2教示点)に位置するとき(換言すれば、エンドエフェクタ25が同図に示す位置及び姿勢であるとき)、エンドエフェクタ25が基板Sを保持せず、載置位置62に基板Sが載置された第2状態となる。
【0027】
ロボット制御装置30は、エンドエフェクタ25が教示点T1から教示点T2まで移動する動作(以下「基板Sを載置する第1動作」と称する)をロボット10に行わせることで、前記第1状態を前記第2状態に切り替えることが可能である。
【0028】
ここで、教示点T1、T2は、エンドエフェクタ25が基板Sを載置する第1動作の途中で載置位置62を通過する際に、エンドエフェクタ25の二つの先端部分29a、29bの間を載置位置62が通り抜けるように設定される。これにより、本実施形態に係るロボット10は、基板Sを保持して搬送する作業(ここでは、エンドエフェクタ25で保持した基板Sを載置位置62に載置する作業)を簡単な構造で確実に行うことが可能となる。
【0029】
なお、ロボット制御装置30は、載置位置62の位置情報を予め教示によって記憶しており、載置位置62からの距離D1に基づき、教示点T1を導出してもよい。同様に、ロボット制御装置30は、載置位置62の位置情報を予め教示によって記憶しており、載置位置62からの距離D2に基づき、教示点T2を導出してもよい。なお、距離D1、D2が互いに等しくてもよい。
【0030】
なお、ロボット制御装置30は、エンドエフェクタ25を教示点T1とするまで、前記可動部材を中心軸線の先端側に移動させ、当該可動部材と前記固定部材とで基板Sを挟むことでエンドエフェクタ25に基板Sを保持させてもよい。そして、ロボット制御装置30は、エンドエフェクタ25を教示点T1としたとき、前記可動部材を中心軸線の基端側に移動させ、当該可動部材と前記固定部材とで基板Sを挟まないことでエンドエフェクタ25上に基板Sを乗載させてもよい(すなわち、載置のみさせてもよい)。
【0031】
図4は、本実施形態に係るロボットが基板を載置する第1動作を行っている際中のエンドエフェクタの速度を示すグラフである。
図4では、横軸が時間(t)を示し、縦軸が速度(m/s)を示す。
図4に示すように、エンドエフェクタ25は、時間t
1で教示点T
1の位置及び姿勢となり、そこから教示点T
2に向けて移動を開始する。そして、エンドエフェクタ25は、最高速度v
maxで移動している際中の時間t
2で載置位置62を通過し、時間t
3で教示点T
2の位置及び姿勢となる。
【0032】
ロボット制御装置30は、基板Sを載置する第1動作の途中で、エンドエフェクタ25が載置位置62を通過したか否かの判定を行わず、エンドエフェクタ25を停止させない。これにより、本実施形態に係るロボット制御装置30は、基板Sを保持して搬送する作業を迅速に行うことが可能となる。
【0033】
さらに、ロボット制御装置30は、基板Sを載置する第1動作の途中で、載置位置62及びその付近において、エンドエフェクタ25を減速させない。これにより、本実施形態に係るロボット制御装置30は、基板Sを保持して搬送する作業(同前)をいっそう迅速に行うことが可能となる。
【0034】
(載置位置62に載置された基板Sを保持する作業の一例)
主として
図5及び
図6に基づき、載置位置62に載置された基板Sをエンドエフェクタ25で保持する作業の一例について説明する。また、本実施形態に係るロボット制御装置30が奏する効果についてもあわせて説明する。
図5は、本実施形態に係るロボットが基板を保持する第1動作を行う様子を示す概略図であり、(A)がエンドエフェクタが第2教示点に位置しているときの図、(B)がエンドエフェクタが第2教示点に位置しているときの図である。
【0035】
図5に示すように、ロボット制御装置30は、エンドエフェクタ25が教示点T
2から教示点T
1まで移動する動作(以下「基板Sを保持する第1動作」と称する)をロボット10に行わせることで、前記第2状態から前記第1状態に切り替えることが可能である。
【0036】
図6は、本実施形態に係るロボットが基板を保持する第1動作を行っている際中のエンドエフェクタの速度を示すグラフである。
図6では、横軸が時間(t)を示し、縦軸が速度(m/s)を示す。
図6に示すように、エンドエフェクタ25は、時間t
1´で教示点T
2の位置及び姿勢となり、そこから教示点T
1に向けて移動を開始する。そして、エンドエフェクタ25は、最高速度v
maxで移動している際中の時間t
2´で載置位置62を通過し、時間t
3´で教示点T
1の位置及び姿勢となる。
【0037】
ロボット制御装置30は、基板Sを保持する第1動作の途中で、エンドエフェクタ25が載置位置62を通過したか否かの判定を行わず、エンドエフェクタ25を停止させない。これにより、本実施形態に係るロボット制御装置30は、基板Sを保持して搬送する作業(ここでは、載置位置62に載置された基板Sをエンドエフェクタ25で保持する作業)を迅速に行うことが可能となる。
【0038】
さらに、ロボット制御装置30は、基板Sを保持する第1動作の途中で、載置位置62及びその付近において、エンドエフェクタ25を減速させない。これにより、本実施形態に係るロボット制御装置30は、基板Sを保持して搬送する作業(同前)をいっそう迅速に行うことが可能となる。
【0039】
(ロボット制御方法)
主として
図7に基づき、上記実施形態に係るロボット10の動作を制御するためのロボット制御方法の一例について説明する。
図7は、本実施形態に係るロボット制御方法のフローチャートである。
【0040】
図7に示すように、本実施形態に係るロボット制御方法は、エンドエフェクタ25を教示点T
1、T
2のいずれかに位置させるステップS1(第1ステップ)を備える。
【0041】
また、本実施形態に係るロボット制御方法は、ステップS1を行ったあとで、エンドエフェクタ25が教示点T1、T2のいずれか一方からいずれか他方まで移動する第1動作(換言すれば、エンドエフェクタ25が基板Sを載置する第1動作、又はエンドエフェクタ25が基板Sを保持する第1動作)をロボット10に行わせることで、前記第1状態(すなわち、エンドエフェクタ25が基板Sを保持し、載置位置62に基板Sが載置されない第1状態)と、前記第2状態(すなわち、エンドエフェクタ25が基板Sを保持せず、載置位置62に基板Sが載置された第2状態)とを切り替え、前記第1動作の途中で、エンドエフェクタ25が載置位置62を通過したか否かの判定を行わず、エンドエフェクタ25を停止させないステップS2(第2ステップ)をさらに備える。
【0042】
本実施形態に係るロボット制御方法が奏する効果は、上記実施形態に係るロボット制御装置30が奏する効果と同じであるため、ここではその説明を繰り返さない。
【0043】
(変形例)
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。したがって、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
【0044】
図8に基づき、エンドエフェクタ25で保持した基板Sを載置位置62に載置する作業の変形例について説明する。
図8は、上記実施形態に係るロボットが基板を載置する第1動作の変形例を行う様子を示す概略図であり、(A)がエンドエフェクタが第1教示点に位置しているときの図、(B)がエンドエフェクタが第2教示点に位置しているときの図である。
【0045】
図8に示すように、本変形例では、上記実施形態に係るロボット10が、エンドエフェクタ25で保持した基板Sを、プリアライナ50の載置位置62´に載置する作業を行う。プリアライナ50は、基板Sの回転位置の位置合わせを行うために設けられる。
【0046】
プリアライナ50は、例えば、基板Sが載置されるターンテーブル60´と、ターンテーブル60´を回転させるための駆動部(図示せず)と、駆動部により回転している状態の基板Sの外縁部分を検出するセンサ(同前)と、センサにより検出した基板Sの外縁部分に基づいて基板Sの中心位置を検出する処理部(どうぜん)と、を備える。すなわち、本変形例では、載置位置62´がターンテーブル60´の上面である。
【0047】
図8(A)に示すように、エンドエフェクタ25が載置位置62´よりも上方の教示点T
1´(第1教示点)に位置するとき(換言すれば、エンドエフェクタ25が同図に示す位置及び姿勢であるとき)、エンドエフェクタ25が基板Sを保持し、載置位置62´に基板Sが載置されない第1状態となる。また、
図8(B)に示すように、エンドエフェクタ25が載置位置62´よりも下方の教示点T
2´(第2教示点)に位置するとき(換言すれば、エンドエフェクタ25が同図に示す位置及び姿勢であるとき)、エンドエフェクタ25が基板Sを保持せず、載置位置62´に基板Sが載置された第2状態となる。
【0048】
そして、上記実施形態と同様に、ロボット制御装置30は、エンドエフェクタ25が教示点T1´から教示点T2´まで移動する動作(第1動作)をロボット10に行わせることで、前記第1状態を前記第2状態に切り替えることが可能である。
【0049】
なお、ロボット制御装置30は、載置位置62´の位置情報を予め教示によって記憶しており、載置位置62´からの距離D1´に基づき、教示点T1´を導出してもよい。同様に、ロボット制御装置30は、載置位置62´の位置情報を予め教示によって記憶しており、載置位置62´からの距離D2´に基づき、教示点T2´を導出してもよい。
【0050】
ロボット制御装置30が、エンドエフェクタ25が教示点T2´から教示点T1´まで移動する動作(第1動作)をロボット10に行わせる場合についは、上記実施形態と同様であるため、ここではその説明を繰り返さない。
【0051】
(その他の変形例)
上記実施形態では、ロボット制御装置30は、載置位置62の位置情報を予め教示によって記憶しており、載置位置62からの距離D1に基づき教示点T1を導出し、載置位置62からの距離D2に基づき教示点T2を導出する場合について説明した。しかし、この場合に限定されず、ロボット制御装置30は、教示点T1、T2を予め教示によって記憶していてもよい。或いは、ロボット制御装置30は、教示点T1、T2のうちいずれか一方を予め教示によって記憶し、いずれか他方を載置位置62からの距離に基づき導出してもよい。すなわち、ロボット制御装置30は、載置位置62からの距離に基づき、教示点T1、T2の少なくともいずれかを導出してもよい。
【0052】
上記実施形態では、ロボット制御装置30は、基板Sを載置する第1動作、及び基板Sを保持する第1動作の途中で、載置位置62及びその付近において、エンドエフェクタ25を減速させない場合について説明した。しかし、この場合に限定されず、ロボット制御装置30は、基板Sを保持して搬送する作業を迅速に行うことが可能な範囲内であれば、基板Sを載置する第1動作、及び基板Sを保持する第1動作の途中で、載置位置62及びその付近において、エンドエフェクタ25を減速させてもよい。
【0053】
上記実施形態では、エンドエフェクタ25は、その基端部分28に設けられ、エンドエフェクタ25の中心軸線上を往復運動可能な可動部材(図示せず)と、その先端部分29a、29bそれぞれに設けられる固定部材(同前)と、で基板Sを挟むことで当該基板Sを保持する場合について説明した。しかし、この場合に限定されず、エンドエフェクタ25は、基板Sを乗載、又は吸着することで保持してもよい。
【0054】
上記実施形態では、ベース体27が、その厚み方向に見てY字状である場合について説明した。しかし、この場合に限定されず、ベース体27は、その厚み方向に見て、四角形状であってもよい。なお、ベース体27がこのように四角形状である場合、例えば、教示点T1、T2は、基板Sを載置する第1動作、及び基板Sを保持する第1動作の途中でエンドエフェクタ25が載置位置62を通過する際に、ベース体27の先端が板状部材60の先端と隣接するように設定されてもよい。なお、ベース体27は、その厚み方向に見て、四角形以外の多角形状であってもよいし、円形状であってもよいし、その他の形状であってもよい。
【0055】
上記実施形態では、ロボット10が、三つの関節軸を有する水平多関節型ロボットとして構成される場合について説明した。しかし、この場合に限定されず、ロボット10は、一つ、二つ、又は四つ以上の関節軸(すなわち、少なくとも一つの関節軸)を有してもよい。また、ロボット10は、例えば、垂直多関節型ロボットとして構成されてもよいし、その他のロボットとして構成されてもよい。
【0056】
上記実施形態では、基板Sが円板状である場合について説明した。しかし、この場合に限定されず、基板Sは、その厚み方向に見て矩形状であってもよいし、その他の形状であってもよい。
【0057】
本発明に係るロボット制御装置は、基板を保持して搬送するロボットの動作を制御するためのロボット制御装置であって、前記ロボットは、少なくとも一つの関節軸を有するロボットアームと、前記ロボットアームの先端に設けられ、前記基板を保持するためのエンドエフェクタと、を備え、かつ、前記基板を載置するための載置位置に隣接して配置され、前記エンドエフェクタが前記載置位置よりも上方の第1教示点に位置するとき、前記エンドエフェクタが前記基板を保持し、前記載置位置に前記基板が載置されない第1状態となり、前記エンドエフェクタが前記載置位置よりも下方の第2教示点に位置するとき、前記エンドエフェクタが前記基板を保持せず、前記載置位置に前記基板が載置された第2状態となり、前記エンドエフェクタが前記第1及び前記第2教示点のいずれか一方からいずれか他方まで移動する第1動作を前記ロボットに行わせることで、前記第1状態と前記第2状態とを切り替え可能であり、前記第1動作の途中で、前記エンドエフェクタが前記載置位置を通過したか否かの判定を行わず、前記エンドエフェクタを停止させないことを特徴とする。
【0058】
上記構成によれば、本発明に係るロボット制御装置は、前記第1動作の途中で、エンドエフェクタが載置位置を通過したか否かの判定を行わず、エンドエフェクタを停止させない。その結果、本発明に係るロボット制御装置は、基板を保持して搬送する作業を迅速に行うことが可能となる。
【0059】
前記第1動作の途中で、前記載置位置及びその付近において、前記エンドエフェクタを減速させなくてもよい。
【0060】
上記構成によれば、本発明に係るロボット制御装置は、基板を保持して搬送する作業をいっそう迅速に行うことが可能となる。
【0061】
例えば、前記載置位置の位置情報を予め教示によって記憶しており、前記載置位置からの距離に基づき、前記第1及び前記第2教示点の少なくともいずれかを導出してもよい。
【0062】
本発明に係るロボットは、上記いずれかに記載の構成を備えるロボット制御装置と、前記ロボットアームと、前記エンドエフェクタと、を備えることを特徴とする。
【0063】
上記構成によれば、本発明に係るロボットは、上記いずれかに記載の構成を備えるロボット制御装置を備えるので、基板を保持して搬送する作業を迅速に行うことが可能となる。
【0064】
前記エンドエフェクタは、前記ロボットアームの先端に接続される基端部分と、前記基端部分から分かれて先端側に延びる二つの先端部分と、を有し、前記第1及び前記第2教示点は、前記エンドエフェクタが前記第1動作の途中で前記載置位置を通過する際に、前記二つの先端部分の間を前記載置位置が通り抜けるように設定されてもよい。
【0065】
上記構成によれば、本発明に係るロボットは、基板を保持して搬送する作業を簡単な構造で確実に行うことが可能となる。
【0066】
本発明に係るロボット制御方法は、基板を保持して搬送するロボットの動作を制御するためのロボット制御方法であって、前記ロボットは、少なくとも一つの関節軸を有するロボットアームと、前記ロボットアームの先端に設けられ、前記基板を保持するためのエンドエフェクタと、を備え、かつ、前記基板を載置するための載置位置に隣接して配置され、前記エンドエフェクタが前記載置位置よりも上方の第1教示点に位置するとき、前記エンドエフェクタが前記基板を保持し、前記載置位置に前記基板が載置されない第1状態となり、前記エンドエフェクタが前記載置位置よりも下方の第2教示点に位置するとき、前記エンドエフェクタが前記基板を保持せず、前記載置位置に前記基板が載置された第2状態となり、前記エンドエフェクタを前記第1及び前記第2教示点のいずれかに位置させる第1ステップと、前記第1ステップを行ったあとで、前記エンドエフェクタが前記第1及び前記第2教示点のいずれか一方からいずれか他方まで移動する第1動作を前記ロボットに行わせることで、前記第1状態と前記第2状態とを切り替え、前記第1動作の途中で、前記エンドエフェクタが前記載置位置を通過したか否かの判定を行わず、前記エンドエフェクタを停止させない第2ステップと、を備えることを特徴とする。
【0067】
上記構成によれば、本発明に係るロボット制御方法は、前記第1動作の途中で、エンドエフェクタが載置位置を通過したか否かの判定を行わず、エンドエフェクタを停止させない。その結果、本発明に係るロボット制御方法は、基板を保持して搬送する作業を迅速に行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0068】
10 ロボット
12 基台
14 昇降軸
20 ロボットアーム
22 第1リンク
24 第2リンク
25 エンドエフェクタ
26 手首部
27 ベース体
28 基端部分
29 先端部分
30 ロボット制御装置
32 記憶部
34 処理部
60 板状部材
62 載置位置
D 距離
L 回転軸
S 基板
T 教示点