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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】燃料供給装置
(51)【国際特許分類】
   B67D 7/32 20100101AFI20231226BHJP
   B67D 7/12 20100101ALI20231226BHJP
【FI】
B67D7/32 Z
B67D7/12 A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019178674
(22)【出願日】2019-09-30
(65)【公開番号】P2021054464
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-08-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000110099
【氏名又は名称】トキコシステムソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】黒丸 達郎
(72)【発明者】
【氏名】伊東 直人
【審査官】所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-051647(JP,A)
【文献】特開平10-141239(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67D 7/32
B67D 7/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯液タンクに貯蔵された燃料油液を送液するポンプを、補給対象に供給する燃料油液の液種毎に複数設け、
流量計、ホース及びノズルを有して構成される複数の燃料供給系統を、各液種の前記ポンプに対して一又は複数連通接続して、燃料供給装置筐体に配置し、
複数の前記ノズルのそれぞれが掛け止めされる複数のノズル掛けと、
前記複数のノズル掛けのそれぞれに設けられ、前記ノズル掛けに前記ノズルが掛け止めされていることを検知する複数のノズルスイッチと、
電源出力と接続され、複数の前記流量計による計測状況に応じて前記ポンプのポンプ駆動用モータの回転数を調整するインバータを、前記ポンプの台数よりも少ない個数分設け、
前記ポンプのポンプ駆動用モータは、インバータ切替制御部によって、前記インバータの出力それぞれと接続され、
前記インバータ切替制御部は、
前記複数の燃料供給系統のうち、燃料供給作業を開始する一の前記燃料供給系統に対して当該燃料供給系統に備えられた前記ポンプのポンプ駆動用モータと、前記インバータの出力との間を、前記複数のノズルスイッチによる検知状況に応じて択一的に電気接続させる、
燃料供給装置。
【請求項2】
前記インバータは複数設けられ、
前記インバータ切替制御部は、前記ポンプのポンプ駆動用モータと前記インバータの出力との間を電気接続させた後、複数の前記インバータのうち前記ポンプ駆動用モータと電気接続されていないインバータと他のポンプのポンプ駆動用モータとを接続可能とするよう切替制御する、
請求項1に記載の燃料供給装置。
【請求項3】
前記インバータは、前記インバータ切替制御部による切替制御の結果に基づき、複数の前記流量計の計測状況に応じて前記ポンプのポンプ駆動用モータの回転数を調整する、
請求項1又は2に記載の燃料供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両等の燃料タンクに燃料を補給するための燃料供給装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
車両等の燃料タンクに対する燃料補給は、通常、給油所等の燃料供給施設に設置されている燃料供給装置を使用して行われる。燃料供給装置は、貯液タンクに貯留されている燃料を、ポンプ等の送液機器の駆動によって、流量計等の計測機器を介して、燃料供給ホースに向けて送出し、燃料供給ホースの先端側に設けられた燃料供給ノズルを操作して、供給対象である車両等の燃料タンクにノズル筒先から燃料を吐出させて燃料供給作業を行う構成になっている。この場合、ポンプ等の送液機器の駆動はモータ駆動により行われ、モータの駆動および停止に連動し、ポンプ等の送液機器の駆動及び停止がなされる。
【0003】
燃料供給作業において、ポンプ等の送液機器の駆動及び停止は、例えば、燃料供給装置に備えられたノズル収納部に対する燃料供給ノズルの取り出し及び収納に対応して制御されるようになっている。ノズル筒先からの燃料吐出量(単位時間当たりの流量)は、作業者が燃料供給ノズルのノズルレバーを操作して、燃料供給ノズルに備えられた弁機構の弁開度をノズルレバーの操作量に応じて変えることによって、吐出遮断状態(単位時間当たりの流量が0の燃料供給停止状態)を含め、使用最大吐出量の範囲内で手動調整される。
【0004】
しかしながら、前述した従来技術では、ポンプを駆動するポンプモータの駆動制御は、燃料供給ノズルをノズル収納部から取り出した時点でポンプモータを起動し、ポンプモータは燃料供給ノズルがノズル収納部に戻されるまで回転し続けていた。
【0005】
従って、従来技術による燃料供給装置では、燃料供給作業中であっても燃料供給ノズルから実際の燃料吐出が行われていないときや、燃料供給終了後に燃料供給ノズルをノズル収納部に収納するまでの間は、ポンプモータは駆動し続けられることになり、電力を無駄に消費するという問題がある。
【0006】
そこで、特許文献1には、給油ノズル(燃料供給ノズル)をノズル掛け(ノズル収納部)から取り出してから再び給油ノズルをノズル掛けに掛け戻すまでの間は、その間における給油作業中(燃料供給作業中)の状況に応じて、インバータを用いてポンプモータの回転数を高回転と低回転との間で適宜切換えることできる給油装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開平10-59498号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、給油所では、貯液タンクに貯蔵された燃料油液を送液するポンプを燃料油液の液種毎に複数設け、燃料供給装置筐体周りの予め定められた複数の燃料供給作業エリアそれぞれで所望の液種について燃料供給作業が行えるように、流量計、燃料供給ホース及び燃料供給ノズルを有して構成される燃料供給系統を、液種毎のポンプに対して一又は複数接続して燃料供給装置筐体に配置した、いわゆるマルチ式燃料供給装置が普及している。
【0009】
このような多液種(例えば、レギュラーガソリン,ハイオクガソリン,軽油の3油種)の燃料供給を1台の燃料供給装置で対応するマルチ式燃料供給装置において、前述した特許文献に記載の、インバータを用いてポンプモータの回転数を高回転と低回転との間で適宜切り換える技術を適用しようとすると、ポンプモータの回転数を高回転と低回転との間で適宜切り換えるためのインバータは、ポンプの数分だけ必要になる。
【0010】
そのため、マルチ式燃料供給装置では、サイズが大きいインバータをポンプの数分だけ燃料供給装置筐体内に多数個組み込むことは、燃料供給装置筐体が大型化し、コストが増加してしまう課題があった。
【0011】
本開示は、上述した課題を鑑み、燃料供給装置筐体内に組み込まれるインバータの効率的な稼働を行うことによって、個々の燃料供給系統及びポンプの数分だけ設けられるインバータの数量を削減し、省スペース化、低コスト化をはかった省エネ型の燃料供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記した課題を解決するために、本開示に係る燃料供給装置は、貯液タンクに貯蔵された燃料油液を送液するポンプを、補給対象に供給する燃料油液の液種毎に複数設け、流量計、ホース及びノズルを有して構成される複数の燃料供給系統を、各液種のポンプに対して一又は複数連通接続して、燃料供給装置筐体に配置し、電源出力と接続され、ポンプのポンプ駆動用モータの回転数を調整するインバータを、ポンプの台数よりも少ない個数分設け、ポンプのポンプ駆動用モータは、インバータ切替制御部によって、インバータの出力それぞれと接続され、インバータ切替制御部は、複数の燃料供給系統のうち、燃料供給作業を開始する一の燃料供給系統に対して当該燃料供給系統に備えられたポンプのポンプ駆動用モータとインバータの出力との間を、択一的に電気接続させる。
【0013】
また、本開示に係る別の燃料供給装置は、貯液タンクに貯蔵された燃料油液を送液するポンプを、補給対象に供給する燃料油液の液種毎に複数設け、燃料供給装置筐体周りの予め定められた複数の燃料供給作業エリアそれぞれで所望の液種について燃料供給作業が行えるように、流量計、ホース及びノズルを有して構成される燃料供給系統を、各液種のポンプに対して一又は複数連通接続して、燃料供給装置筐体に配置し、電源出力と接続され、ポンプのポンプ駆動用モータの回転数を調整するインバータを、ポンプの台数よりも少ない個数分設け、ポンプのポンプ駆動用モータは、インバータ切替制御部によってを介して、ポンプの台数よりも少ない個数分のインバータの出力それぞれと接続され、インバータ切替制御部は、一の燃料供給作業エリアで一の燃料供給系統を用いた燃料供給作業の開始時には、当該一の燃料供給系統に対して燃料油液を送液するポンプのポンプ駆動用モータと、ポンプの台数よりも少ない個数分のインバータのうちの、いずれのポンプのポンプ駆動用モータとも電気接続されていない一のインバータの出力との間を、択一的に電気接続し、当該一の燃料供給作業エリアで当該一の燃料供給系統を用いた燃料供給作業の終了時には、当該一の燃料供給系統に対して燃料油液を送液していたポンプのポンプ駆動用モータと、当該ポンプ駆動用モータと択一的に電気接続されていた当該一のインバータの出力との間の電気接続を切り離し、当該一のインバータの出力を、当該一の燃料供給系統とは別の燃料供給系統に対して燃料油液を送液するポンプのポンプ駆動用モータとも新たに択一的に電気接続できるようにする。
【0014】
本開示に係る別の燃料供給装置は、貯液タンクに貯蔵された燃料油液を送液するポンプを、補給対象に供給する燃料油液の液種毎に複数設け、燃料供給装置筐体周りの予め定められた複数の燃料供給作業エリアそれぞれで所望の液種について燃料供給作業が行えるように、流量計、ホース及びノズルを有して構成される燃料供給系統を、各液種のポンプに対して燃料供給作業エリアのエリア数分だけ連通接続して、燃料供給装置筐体に配置し、電源出力と接続され、ポンプのポンプ駆動用モータの回転数を調整するインバータを、ポンプの台数よりも少ない燃料供給作業エリアのエリア数分設け、ポンプのポンプ駆動用モータは、インバータ切替制御部によって、ポンプの台数よりも少ない燃料供給作業エリアのエリア数分のインバータの出力それぞれと接続され、インバータ切替制御部は、一の燃料供給作業エリアで一の燃料供給系統を用いた燃料供給作業の開始時には、当該一の燃料供給系統に対して燃料油液を送液するポンプのポンプ駆動用モータと、ポンプの台数よりも少ない燃料供給作業エリアのエリア数分のインバータのうちの、いずれのポンプのポンプ駆動用モータとも電気接続されていない一のインバータの出力との間を、択一的に電気接続し、当該一の燃料供給作業エリアで当該一の燃料供給系統を用いた燃料供給作業の終了時には、当該一の燃料供給系統に対して燃料油液を送液していたポンプのポンプ駆動用モータと、当該ポンプ駆動用モータと択一的に電気接続されていた当該一のインバータの出力との間の電気接続を切り離し、当該一のインバータの出力を、当該一の燃料供給系統とは別の燃料供給系統に対して燃料油液を送液するポンプのポンプ駆動用モータとも新たに択一的に電気接続できるようにする。
【発明の効果】
【0015】
本開示の燃料供給装置によれば、インバータの数量を削減できるため、省スペース化、低コスト化がはかれる。
また、本開示の上記した以外の、課題、構成及び効果については、以下の実施の形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本開示に係る燃料供給装置の一実施形態である給油装置の一実施例の外観正面図である。
図2図1に示した給油装置における個々の燃料供給系統及びポンプについての説明図である。
図3】本実施例の給油装置における各給油系統のポンプそれぞれの電源接続図である。
図4】本開示に係る燃料供給装置の一実施形態である給油装置の別の実施例の外観正面図である。
図5図4に示した給油装置における個々の燃料供給系統及びポンプについての説明図である。
図6】本実施例の給油装置における各給油系統のポンプそれぞれの電源接続図である。
図7】インバータ切替制御部による給油系統の選択についての説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本開示に係る燃料供給装置について、ガソリンスタンド等の給油所に設置され、給油ノズルのノズル筒先を車両等の給油口に挿入し、ガソリン,軽油といった燃料を車両等の燃料タンクに補給する給油装置を例に、図面に基づき説明する。
【0018】
図1は、本開示に係る燃料供給装置の一実施形態である給油装置の一実施例の外観正面図である。
図2は、図1に示した給油装置における個々の燃料供給系統及びポンプについての説明図である。
図3は、本実施例の給油装置における各給油系統のポンプそれぞれの電源接続図である。
【0019】
図1及び図2に示すように、本実施例の給油装置11は、給油装置筐体20に、給油系統(燃料供給系統)30が、複数(例えば、30HL,30RF,30RB,30DRの4つ)設けられた構成になっている。
【0020】
給油装置11は、図1及び図2に示す例では、図1において正面左側の給油装置筐体20の筐体側面20Lからは、ハイオクガソリンH(以下、ハイオクと略称する)を供給する給油系統30HLの、給油ノズル31HLが先端に設けられた給油ホース32HLが導出されている。また、正面の筐体正面20Fからは、レギュラーガソリンR(以下、レギュラーと略称する)を供給する給油系統30RFの、給油ノズル31RFが先端に設けられた給油ホース32RFが導出されている。また、正面右側の筐体側面20Rからは、軽油Dを供給する給油系統30DRの、給油ノズル31DRが先端に設けられた給油ホース32DRが導出されている。また、図1では表れない背面側の筐体背面20Bからは、レギュラーを供給する給油系統30RBの、給油ノズル31RBが先端に設けられた給油ホース32RBが導出されている。
【0021】
これに伴い、給油装置筐体20の左側側面20L,正面20F,背面20B,右側側面20Rには、給油ノズル31HL,31RF,31RB(図1には表れない),31DRを非使用時にそれぞれ収納しておくノズル掛け(ノズル収納部)33(33HL,33RF,33RB(図1には表れない),33DR)が設けられている。そして、各ノズル掛け33には、給油ノズル31のノズル掛け33に対する取り出し及び収納を検出するノズルスイッチ34(34HL,34RF,34RB,34DR)が付設されている。
【0022】
そして、給油装置筐体20の筐体正面20Fには、給油系統30HLを用いたハイオクの給油作業時における給油量,給油金額,給油単価を含む給油情報を表示するための給油表示器40HFと、給油系統30RFを用いたレギュラーの給油作業時における給油情報を表示するための給油表示器40RFと、給油系統30DRを用いた軽油の給油作業時における給油情報を表示するための給油表示器40DFと、が設けられている。
【0023】
また、図1では表れない給油装置筐体20の筐体背面20Bには、給油系統30HLを用いたハイオクの給油作業時における給油情報を表示するための給油表示器40HBと、給油系統30RBを用いたレギュラーの給油作業時における給油情報を表示するための給油表示器40RBと、給油系統30DRを用いた軽油の給油作業時における給油情報を表示するための給油表示器40DBと、が設けられている。
【0024】
したがって、図示の給油装置11の場合、ハイオクの給油作業は、給油装置筐体20の筐体正面20F側の給油作業エリアでも筐体背面20Bの給油作業エリアでも、給油系統30HLを用いて行い得るようになっており、給油量を含むハイオクの給油情報は、筐体正面20Fの給油表示器40HF、筐体背面20Bの給油表示器40HBのいずれでも同じ情報内容が表示されるようになっている。同様に、軽油の給油作業も、給油装置筐体20の筐体正面20F側の給油作業エリアでも筐体背面20Bの給油作業エリアでも、給油系統30DRを用いて行い得るようになっており、給油量を含む軽油の給油情報は、筐体正面20Fの給油表示器40DF、筐体背面20Bの給油表示器40DBのいずれでも同じ情報内容が表示されるようになっている。
【0025】
一方、レギュラーの給油作業は、給油装置筐体20の筐体正面20F側の給油作業エリアでは、給油系統30RFを用いて行い得るようになっており、給油量を含むレギュラーの給油情報は、筐体正面20Fの給油表示器40RFで表示されるようになっている。また、筐体背面20B側の給油作業エリアでは、給油系統30RBを用いて行い得るようになっており、給油量を含むレギュラーの給油情報は、筐体背面20Bの給油表示器40RBで情報内容が表示されるようになっている。
【0026】
各給油系統30(30HL,30RF,30RB,30DR)は、給油装置筐体20内で、図2に示すような構成で、それぞれ電磁弁35(35HL,35RF,35RB,35DR)、流量計36(36HL,36RF,36RB,36DR)を介して、該当液種(ハイオクH,レギュラーR,軽油D)のポンプ36(36H,36R,36D)と配管接続されている。
【0027】
図示の例では、給油ノズル31HL及び給油ホース32HLを備えた給油系統30HLは、電磁弁35HL,流量計36HLを介して、給油所内の図示せぬハイオク貯液タンクと配管接続されたポンプ37Hの吐出側と配管接続されている。給油ノズル31RF及び給油ホース32RFを備えた給油系統30RFは、電磁弁35RF,流量計36RFを介して、また、給油ノズル31RB及び給油ホース32RBを備えた給油系統30RBは、電磁弁35RB,流量計36RBを介して、給油所内の図示せぬレギュラー貯液タンクと配管接続された共通のポンプ37Rの吐出側と配管接続されている。給油ノズル31DR及び給油ホース32DRを備えた給油系統30DRは、電磁弁35DR,流量計36DRを介して、給油所内の図示せぬ軽油貯液タンクと配管接続されたポンプ37Dの吐出側と配管接続されている。なお、一の給油系統30Rに対して専用のポンプ37を有する給油系統30HL,30RFにおいては、給油ノズル31HL,31DRへの燃料供給/供給停止を電磁弁35HL,30DRによらずともポンプ37H,37Dの駆動/駆動停止で行うことができるため、電磁弁35HL,30DRについては省略することもできる。各ポンプ36(36H,36R,36D)には、ポンプ駆動用のポンプモータ38(38H,38R,38D)が付設されている。
【0028】
各給油系統30(30HL,30RF,30RB,30DL)は、ポンプ37(37H,37R,37D)それぞれに付設されたポンプモータ38(38H,38R,38D)を駆動することによって、対応する液種の貯液タンクから油液が送液される。各ポンプモータ38(38H,38R,38D)は、例えば三相モータが使用され、それぞれインバータ40を介して三相電源RSTに接続され、駆動電力の供給を受ける構成になっている。三相電源RSTからポンプモータ38に供給される駆動電力の大きさは、インバータ40の駆動制御によって調整可能になっている。これにより、ポンプモータ38の回転(回転数)をインバータ40で制御でき、ポンプ37からの単位時間当たりの送出液量(給油系統30に送出される燃料の流速)が制御できる構成になっている。
【0029】
本実施例の給油装置11では、図3に示すように、液種毎の3つのポンプ37(37H,37R,37D)に対して2つのインバータ50(50X,50Y)が設けられた構成になっている。図示の例では、2つのインバータ50のうち、第1のインバータ50Xの出力は、それぞれ制御信号に基づいて開閉制御可能な制御スイッチとしてのマグネットスイッチSW1,SW3の入力端に分岐接続されている。また、第2のインバータ50Yの出力は、マグネットスイッチSW2,SW4,SW5に分岐接続されている。
【0030】
その上で、各ポンプモータ38(38H,38R,38D)のうち、レギュラー用のポンプモータ38Rは、マグネットスイッチSW1を介して第1のインバータ50Xからも、マグネットスイッチSW2を介して第2のインバータ50Xからも、選択的に駆動電力の供給を受けることができるようになっている。また、ハイオク用のポンプモータ38Hも、マグネットスイッチSW3を介して第1のインバータ50Xからも、マグネットスイッチSW4を介して第2のインバータ50Xからも、選択的に駆動電力の供給を受けることができるようになっている。これに対し、軽油用のポンプモータ38Dは、マグネットスイッチSW5を介して第2のインバータ50Xからだけ駆動電力の供給を受けることができるようになっている。
【0031】
さらに、各インバータ50(50X,50Y)それぞれ出力は、マグネットスイッチSW(SW1-SW5)の開閉制御によって選択された、各ポンプモータ38(38H,38R,38D)のうちの一のポンプモータ38(ポンプモータ38H,38R,38Dのうちのいずれか一つのポンプモータ38)とだけ接続されるようになっている。そして、各ポンプモータ38(38H,38R,38D)の駆動は、マグネットスイッチSW1-SW5を介して接続されたインバータ50(インバータ50X,50Yのうちのいずれか一つのインバータ50)によって制御駆動されるようになっている。
【0032】
そのため、各インバータ50(50X,50Y)及び各マグネットスイッチSW1-SW5は、給油装置11に備えられた制御装置60からそれぞれ供給される制御信号に応じて作動制御される構成になっている。そして、制御装置60は、液種毎の給油作業時において、各インバータ50の作動を制御するインバータ作動制御部61(レギュラー給油制御部61R,ハイオク給油作業時作動制御部61H,軽油給油制御部61D)と、マグネットスイッチSW(SW1-SW5)それぞれの開閉制御信号に応じて、レギュラー,ハイオク,軽油それぞれの給油作業時で使用するインバータ50(50X,50Yのうちのいずれか)を選択するとともに、インバータ作動制御部61のレギュラー給油制御部61R,ハイオク給油制御部61H,軽油給油制御部61Dのうちの対応する液種の給油制御部によるインバータ制御信号出力を当該選択したインバータ50(50X,50Yのうちのいずれか)に供給するインバータ切替制御部62とを含んでいる。
【0033】
レギュラー給油制御部61Rは、例えば、ノズルスイッチ34RF,34RBそれぞれの検出信号、及び流量計36RF,36RBそれぞれ付設されている流量発信器それぞれから出力される流量パルスを基にして、ポンプモータ38Rの駆動を次のように制御する。
【0034】
◇ ノズルスイッチ34RF,34RBそれぞれの検出信号を基に、両給油ノズル31RF,31RBがノズル掛け33RF,33RBに収納されている状態では、ポンプモータ38Rを運転するための制御信号の出力を行わない。
【0035】
◇ ノズルスイッチ34RF,34RBそれぞれの検出信号を基に、両給油ノズル31RF,31RBがノズル掛け33RF,33RBに収納されている状態で、いずれか一方の給油ノズル31(仮に、給油ノズル31RF)が取り出された場合、省エネルギーのため、ポンプモータ38Rを低吐出流量で運転するための制御信号を、後述するインバータ切替制御部62によって選択された一方のインバータ50(50X,50Yのうちのいずれか一方)に供給する。
【0036】
◇ 他方の給油ノズル31(この場合、給油ノズル31RB)がノズル掛け33(ノズル掛け33RB)に収納されている状態のまま、一方の取り出された給油ノズル31(31RF)が開弁操作され、対応する給油系統30(この場合、給油系統30RB)の流量計36(36RF)に付設されている流量発信器から流量パルスが出力された場合は、低吐出流量で運転中のポンプモータ38Rを低吐出流量より流量が大きい標準吐出流量で運転するための制御信号を、選択されたインバータ50(50X,50Yのうちのいずれか一方)に供給する。
【0037】
◇ 他方の給油ノズル31(31RB)がノズル掛け33(33RB)に収納されている状態のまま、一方の取り出された給油ノズル31(31RF)が閉弁操作され、対応する給油系統30(30RF)の流量計36(この場合、流量計36RF)に付設されている流量発信器からの流量パルスの出力が停止した場合は、省エネルギーのため、ポンプモータ38Rを低吐出流量で運転するための制御信号を、選択された一方のインバータ50(50X,50Yのうちのいずれか一方)に供給する。
【0038】
◇ 他方の給油ノズル31(31RB)がノズル掛け33(33RB)に収納されている状態のまま、一方の取り出された給油ノズル31(31RF)がノズル掛け33(この場合、ノズル掛け33RFB)に収納され、両給油ノズル31(31RF,31RB)がいずれもそれぞれの対応するノズル掛け33(33RF,33RB)に収納されている状態になった場合は、ポンプモータ38Rの運転を停止させるための制御信号を、選択されたインバータ50(50X,50Yのうちのいずれか一方)に供給する。
【0039】
加えて、上述した一方の給油ノズル31(31RF)を用いた給油作業の途中に、他方の給油ノズル31(31RB)を用いた給油作業が行われた場合は、レギュラー給油制御部61Rは、ノズルスイッチ34RF,34RBそれぞれの検出信号、及び流量計36RF,36RBそれぞれに付設されている流量発信器それぞれから出力される流量パルスを基にして、ポンプモータ38Rの駆動を次のように制御する。
【0040】
◆ 両給油ノズル31(31RF,31RB)がノズル掛け33(33RF,33RB)から取り出された状態で、それぞれの対応する流量計36(流量計36RF,36RB)に付設されている流量発信器のいずれもから流量パルスが出力されていない場合は、省エネルギーのため、ポンプモータ38Rを低吐出流量で運転するための制御信号を、選択されたインバータ50(50X,50Yのうちのいずれか一方)に供給し続ける。
【0041】
◆ 両給油ノズル31(31RF,31RB)がノズル掛け33(33RF,33RB)から取り出された状態で、一方又は他方のうちのいずれか片方の給油ノズル31(例えば、31RF)が開弁操作され、対応する流量計36(36RF)に付設されている流量発信器だけから流量パルスが出力された場合は、ポンプモータ38Rを低吐出流量より流量が大きい標準吐出流量で運転するための制御信号を、選択されたインバータ50(50X,50Yのうちのいずれか一方)に供給する。
【0042】
◆ 両給油ノズル31(31RF,31RB)がノズル掛け33(33RF,33RB)から取り出され、一方又は他方のうちのいずれか片方の給油ノズル31(例えば、31RF)が開弁操作されている状態で、残りの給油ノズル31(例えば、31RB)も開弁操作され、流量計36(36RF,36RB)に付設されている流量発信器それぞれから流量パルスが出力される場合は、先に開弁操作されている片方の給油ノズル31(例えば、31RF)に対する燃料送出量の低下を抑制するため、ポンプモータ38Rを標準吐出流量より流量が大きい高吐出流量で運転するための制御信号を、選択された一方のインバータ50(50X,50Yのうちのいずれか一方)に供給する。
【0043】
◆ 両給油ノズル31(31RF,31RB)が開弁操作されている状態で、一方又は他方のうちのいずれか片方の給油ノズル31(例えば、31RF)が閉弁操作され、対応する流量計36(36RF)に付設されている流量発信器だけから流量パルスが出力されなくなった場合は、残りの開弁操作されている給油ノズル31(31RB)に対する燃料送出量の変化を抑制するため、ポンプモータ38Rを高吐出流量より流量が小さい標準吐出流量で運転するための制御信号を、選択された一方のインバータ50(50X,50Yのうちのいずれか一方)に供給する。
【0044】
◆ 両給油ノズル31(31RF,31RB)ともノズル掛け33(33RF,33RB)から取り出されており、両給油ノズル31(31RF,31RB)のうちのいずれか片方の給油ノズル31(例えば、31RF)が閉弁操作され、残りの給油ノズル31(31RB)が開弁操作されている状態で、閉弁操作された片方の給油ノズル31(例えば、31RF)が対応のノズル掛け33(33RF)に収納された場合は、残りの開弁操作されている給油ノズル31(31RB)による給油作業を続けるため、標準吐出流量で運転するための制御信号を、選択されたインバータ50(50X,50Yのうちのいずれか一方)に供給し続ける。
【0045】
◆ 両給油ノズル31(31RF,31RB)ともノズル掛け33(33RF,33RB)から取り出されており、一方又は他方のうちのいずれか片方の給油ノズル31(例えば、31RF)が閉弁操作された状態、又は、一方又は他方いずれかの片方の給油ノズル31(例えば、31RF)が対応するノズル掛け33(33RF)に収納された状態で、残りの給油ノズル31(31RB)が閉弁操作され、対応する流量計36(36RB)に付設されている流量発信器からも流量パルスが出力されなくなった場合は、省エネルギーのため、ポンプモータ38Rを標準吐出流量より流量が小さい低吐出流量で運転するための制御信号を、選択されたインバータ50(50X,50Yのうちのいずれか一方)に供給する。
【0046】
◆ 一方及び他方の給油ノズル31(31RF,31RB)が両方ともそれぞれ対応するノズル掛け33(33RF,33RB)に収納された場合は、ポンプモータ38Rの運転を停止させるための制御信号を、選択されたインバータ50(50X,50Yのうちのいずれか一方)に供給する。
【0047】
このように、レギュラー給油制御部61Rは、給油ノズル31(31RF,31RB)それぞれを用いた給油作業の状況に応じて、選択されたインバータ50(50X,50Yのうちのいずれか一方)によって、効率的なかつ省エネをはかったポンプモータ38Rの運転を実現できる構成になっている。
【0048】
また、説明を省略するが、ハイオク給油制御部61H,軽油給油制御部61Dも、それぞれノズルスイッチ34HL,34DRの検出信号、及び流量計36HL,36DRそれぞれに付設されている流量発信器それぞれから出力される流量パルスを基にして、ポンプモータ38H,38Dの駆動を、レギュラー給油制御部61Rの場合と同様にして制御する。ただし、図示の例では、ポンプモータ38Rの場合とは異なり、ポンプモータ38H,38Dはそれぞれ一の給油系統30HL,30DRと接続されているだけなので、項目符号「◆」で述べた制御は実際には行われないため、予め省略することも可能である。
【0049】
これに対し、インバータ切替制御部62は、例えば、ノズルスイッチ34(34HL,34RF,34RB,34DR)それぞれの検出信号を基にして、給油系統30(30HL,30RF,30RB,30DR)それぞれの給油作業でポンプモータ38(38H,38R,38D)それぞれの駆動制御のために使用するインバータ50(50X,50Y)を、マグネットスイッチSW1-SW5それぞれの開/閉の組み合わせに応じて、切替選択する。
【0050】
そして、マグネットスイッチSW1-SW5それぞれの開/閉の組み合わせ結果に応じたインバータ50(50X,50Y)の選択結果は、同じ制御装置60内のインバータ作動制御部61にも提供される。インバータ作動制御部61では、切替選択されたインバータ50(50X,50Y)に対応し、ポンプモータ38(38H,38R,38D)それぞれの運転制御のための制御信号を供給制御する。
【0051】
インバータ切替制御部62は、マグネットスイッチSW1-SW5それぞれを、例えば次のようにして開/閉制御する。なお、説明に当たっては、まず、給油ノズル31(31HL,31RF,31RB,31DR)全てが対応するノズル掛け33(33HL,33RF,33RB,33DR)に収納されていて、いずれの給油系統30(30HL,30RF,30RB,30DR)においても給油作業が行われていない、給油装置11が待機状態では、全てのマグネットスイッチSW1-SW5が開(OFF)になっているものとして説明する。
【0052】
◎ 待機状態において、給油ノズル31RF又は31RBのうちのいずれか一方(例えば、給油ノズル31RF)が対応するノズル掛け33(33RF)から取り出され、レギュラーの給油系統30RFを用いた給油作業が開始された場合は、インバータ切替制御部62は、マグネットスイッチSW1を閉(ON)にし、かつマグネットスイッチSW2,SW3を開(OFF)にすることで、第1のインバータ50Xだけをレギュラーのポンプモータ38Rのみと接続する。これにより、待機状態において、レギュラーの給油系統30(30RF)を用いた給油作業が開始された場合には、第1のインバータ50Xがレギュラーのポンプモータ38Rの駆動制御のために選択され、インバータ作動制御部61のレギュラー給油制御部61Rは、第1のインバータ50Xに、ポンプモータ38Rの駆動を制御する制御信号を出力する。
【0053】
この状態では、給油作業に未だ使用されていない第2のインバータ50Yは、ハイオクのポンプモータ38H又は軽油のポンプモータ38DともマグネットスイッチSW4又はマグネットスイッチSW5を介して接続可能になっている。したがって、レギュラーの給油系統30RF又は30RBのうちのいずれか一方(30RF)を用いた給油作業が開始された状態においては、さらに、第1のインバータ50Xを利用したレギュラーの他方(30RG)の給油系統を用いた給油作業が同時実行可能であり、加えて、第2のインバータ50Yを利用したハイオクの給油系統30HL又は軽油の給油系統30DRを用いた給油作業のうちのいずれかの給油作業も同時実行可能になっている。その際、インバータ切替制御部62は、第2のインバータ50Yを利用したハイオクの給油系統30HLを用いた給油作業を行う場合は、マグネットスイッチSW4を閉(ON)にし、かつマグネットスイッチSW5を開(OFF)にすることで、第2のインバータ50Yだけをハイオクのポンプモータ38Hのみと接続する。また、インバータ切替制御部62は、第2のインバータ50Yを利用した軽油の給油系統30DRを用いた給油作業を行う場合は、マグネットスイッチSW5を閉(ON)にし、かつマグネットスイッチSW4を開(OFF)にすることで、第2のインバータ50Yだけを軽油のポンプモータ38Dのみと接続する。これにより、第2のインバータ50Xがハイオクのポンプモータ38H又は軽油のポンプモータ38Dのうちのいずか一方の駆動制御のために選択され、インバータ作動制御部61のハイオク給油制御部61H又は軽油給油制御部61Dのうちの選択された作動制御部(例えば、ハイオク給油制御部61H)は、第2のインバータ50Yに、選択されたポンプモータ(38H)の駆動を制御する制御信号を出力する。
【0054】
◎ 待機状態において、給油ノズル31HLが対応するノズル掛け33HLから取り出され、ハイオクの給油系統30HLを用いた給油作業が開始されたときには、インバータ切替制御部62は、マグネットスイッチSW3を閉(ON)にし、かつマグネットスイッチSW1,SW4を開(OFF)にすることで、第1のインバータ50Xだけをハイオクのポンプモータ38Hのみと接続する。これにより、待機状態において、ハイオクの給油系統30HLを用いた給油作業が開始された場合には、第1のインバータ50Xがハイオクのポンプモータ38Hの駆動制御のために選択され、インバータ作動制御部61のハイオク給油制御部61Hは、第1のインバータ50Xに、ポンプモータ38Hの駆動を制御する制御信号を出力する。
【0055】
この状態では、給油作業に未だ使用されていない第2のインバータ50Yは、レギュラーのポンプモータ38R又は軽油のポンプモータ38DともマグネットスイッチSW2又はマグネットスイッチSW5を介して接続可能になっている。したがって、ハイオクの給油系統30HLを用いた給油作業が開始された状態においては、さらに、第2のインバータ50Yを、レギュラーの給油系統30RF,30RB又は軽油の給油系統30DRのうちのいずれか給油系統30を用いた給油作業が同時実行可能になっている。その際、インバータ切替制御部62は、第2のインバータ50Yを利用したレギュラーの給油系統30RF,30RBを用いた給油作業を行う場合は、マグネットスイッチSW2を閉(ON)にし、かつマグネットスイッチSW5を開(OFF)にすることで、第2のインバータ50Yだけをレギュラーのポンプモータ38Rのみと接続する。また、インバータ切替制御部62は、第2のインバータ50Yを利用した軽油の給油系統30DRを用いた給油作業を行う場合は、マグネットスイッチSW5を閉(ON)にし、かつマグネットスイッチSW2を開(OFF)にすることで、第2のインバータ50Yだけを軽油のポンプモータ38Dのみと接続する。これにより、第2のインバータ50Yがレギュラーのポンプモータ38R又は軽油のポンプモータ38Dのうちのいずか一方の駆動制御のために選択され、インバータ作動制御部61のレギュラー給油制御部61R又は軽油給油制御部61Dのうちの選択された作動制御部(例えば、レギュラー給油制御部61R)は、第2のインバータ50Yに、選択されたポンプモータ(38R)の駆動を制御する制御信号を出力する。
【0056】
◎ 待機状態において、給油ノズル31DRが対応するノズル掛け33DRから取り出され、軽油の給油系統30DRを用いた給油作業が開始されたときには、インバータ切替制御部62は、マグネットスイッチSW5を閉(ON)にし、かつマグネットスイッチSW2,SW4を開(OFF)にすることで、第2のインバータ50Yだけを軽油のポンプモータ38Dのみと接続する。これにより、待機状態において、軽油の給油系統30DRを用いた給油作業が開始された場合には、第2のインバータ50Yが軽油のポンプモータ38Dの駆動制御のために選択され、インバータ作動制御部61の軽油給油制御部61Dは、第2のインバータ50Yに、ポンプモータ38Dの駆動を制御する制御信号を出力する。
【0057】
この状態では、給油作業に未だ使用されていない第1のインバータ50Xは、レギュラーのポンプモータ38R又はハイオクのポンプモータ38HともマグネットスイッチSW1又はマグネットスイッチSW3を介して接続可能になっている。したがって、軽油の給油系統30DRを用いた給油作業が開始された状態においては、さらに、第1のインバータ50Xを、レギュラーの給油系統30RF,30RB又はハイオクの給油系統30HLのうちのいずれか給油系統30を用いた給油作業が同時実行可能になっている。その際、インバータ切替制御部62は、第1のインバータ50Xを利用したレギュラーの給油系統30RF,30RBを用いた給油作業を行う場合は、マグネットスイッチSW1を閉(ON)にし、かつマグネットスイッチSW3を開(OFF)にすることで、第1のインバータ50Xだけをレギュラーのポンプモータ38Rのみと接続する。また、インバータ切替制御部62は、第1のインバータ50Xを利用したハイオクの給油系統30HLを用いた給油作業を行う場合は、マグネットスイッチSW3を閉(ON)にし、かつマグネットスイッチSW1を開(OFF)にすることで、第1のインバータ50Xだけをハイオクのポンプモータ38Hのみと接続する。これにより、第1のインバータ50Xがレギュラーのポンプモータ38R又はハイオクのポンプモータ38Hのうちのいずか一方の駆動制御のために選択され、インバータ作動制御部61のレギュラー給油制御部61R又はハイオク給油制御部61Hのうちの選択された作動制御部(例えば、レギュラー給油制御部61R)は、第1のインバータ50Xに、選択されたポンプモータ(38R)の駆動を制御する制御信号を出力する。
【0058】
このように構成された本実施例の給油装置11によれば、給油装置筐体20内に組み込まれる第1のインバータ50X及び第2のインバータ50Yの効率的な稼働を行うことによって、個々の給油系統30(30HL,30RF,30RB,30DR)及びポンプ37(37H,37R,37D)の数分だけ設けられるインバータの数量を削減し、省スペース化、低コスト化をはかった省エネ型の給油装置11を提供することができる。
【0059】
次に、本開示に係る燃料供給装置の一実施形態である給油装置の別の実施例について、図面に基づき説明する。なお、その説明に当たっては、前述した実施例の給油装置11と同様な構成については、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0060】
図4は、本開示に係る燃料供給装置の一実施形態である給油装置の別の実施例の外観正面図である。
図5は、図4に示した給油装置における個々の燃料供給系統及びポンプについての説明図である。
図6は、本実施例の給油装置における各給油系統のポンプそれぞれの電源接続図である。
【0061】
図4及び図5に示すように、本実施例の給油装置12は、給油装置筐体20に、給油系統(燃料供給系統)30が、複数(例えば、30HF,30HB,30RF,30RB,30DF,30DBの6つ)設けられた構成になっている。
【0062】
給油装置12は、図4及び図5に示す例では、給油装置筐体20の筐体正面20Fからは、ハイオクガソリンH(以下、ハイオクと略称する)を供給する給油系統30HFの、給油ノズル31HFが先端に設けられた給油ホース32FLと、レギュラーガソリンR(以下、レギュラーと略称する)を供給する給油系統30RFの、給油ノズル31RFが先端に設けられた給油ホース32RFと、軽油Dを供給する給油系統30DFの、給油ノズル31DFが先端に設けられた給油ホース32DFとが導出されている。また、図4では表れない給油装置筐体20の筐体背面20Bからは、ハイオクガソリンHを供給する給油系統30HBの、給油ノズル31HBが先端に設けられた給油ホース32HBと、レギュラーガソリンRを供給する給油系統30RBの、給油ノズル31RBが先端に設けられた給油ホース32RBと、軽油Dを供給する給油系統30DBの、給油ノズル31DBが先端に設けられた給油ホース32DBとが導出されている。
【0063】
これに伴い、給油装置筐体20の筐体正面20Fには、給油ノズル31HF,31RF,31DFを非使用時にそれぞれ収納しておくノズル掛け(ノズル収納部)33(33HF,33RF,33DF)が設けられている。また、図4では表れない給油装置筐体20の筐体背面20Bには、給油ノズル31HB,31RB,31DBを非使用時にそれぞれ収納しておくノズル掛け(ノズル収納部)33(33HB,33RB,33DB)が設けられている。そして、各ノズル掛け33には、給油ノズル31のノズル掛け33に対する取り出し及び収納を検出するノズルスイッチ34(34HF,34HB,34RF,34RB,34DF,34DB)が付設されている。
【0064】
そして、給油装置筐体20の筐体正面20Fには、筐体正面20Fに設けられた給油系統30HF,30RF,30DFのうちから給油作業で択一的に使用された給油系統30による給油作業時における給油量,給油金額,給油単価を含む給油情報を表示するために、給油系統30HF,30RF,30DFで共用する給油表示器40Fが設けられ、図4では表れない給油装置筐体20の筐体背面20Bには、筐体正面20Bに設けられた給油系統30HB,30RB,30DBのうちから給油作業で択一的に使用された給油系統30による給油作業時における給油量,給油金額,給油単価を含む給油情報を表示するために、給油系統30HB,30RB,30DBで共用する給油表示器40Bが設けられている。
【0065】
したがって、図示の給油装置12の場合、給油装置筐体20の筐体正面20F側、筐体正面20B側それぞれで、ハイオク,レギュラー,軽油のうちの所望の一の液種の給油作業が行い得るようになっており、給油装置筐体20の筐体正面20F側、筐体正面20B側それぞれでの給油作業時における給油情報は、対応する側の給油表示器40F,40Bに表示されるようになっている。
【0066】
各給油系統30(30HF,30HB,30RF,30RB,30DR,30DB)は、給油装置筐体20内で、図5に示すような構成で、それぞれ電磁弁35(35HF,35HB,35RF,35RB,35DR,35DB)、流量計36(36HF,36HB,36RF,36RB,36DR,36DB)を介して、該当液種(ハイオクH,レギュラーR,軽油D)のポンプ36(36H,36R,36D)と配管接続されている。
【0067】
図示の例では、給油ノズル31HF及び給油ホース32HFを備えた給油系統30HFは、電磁弁35HF,流量計36HFを介して、また、給油ノズル31HB及び給油ホース32HBを備えた給油系統30HBは、電磁弁35HB,流量計36HBを介して、給油所内の図示せぬハイオク貯液タンクと配管接続されたポンプ37Hの吐出側と配管接続されている。同様に、給油ノズル31RF及び給油ホース32RFを備えた給油系統30RFは、電磁弁35RF,流量計36RFを介して、また、給油ノズル31RB及び給油ホース32RBを備えた給油系統30RBは、電磁弁35RB,流量計36RBを介して、給油所内の図示せぬレギュラー貯液タンクと配管接続されたポンプ37Rの吐出側と配管接続されている。また、給油ノズル31DF及び給油ホース32DFを備えた給油系統30DFは、電磁弁35DF,流量計36DFを介して、また、給油ノズル31DB及び給油ホース32DBを備えた給油系統30DBは、電磁弁35DB,流量計36DBを介して、給油所内の図示せぬレギュラー貯液タンクと配管接続されたポンプ37Dの吐出側と配管接続されている。各ポンプ36(36H,36R,36D)には、ポンプ駆動用のポンプモータ38(38H,38R,38D)が付設されている。
【0068】
各給油系統30(30HF,30HB,30RF,30RB,30DR,30DB)は、ポンプ37(37H,37R,37D)それぞれ付設されたポンプモータ38(38H,38R,38D)を駆動することによって、対応する液種の貯液タンクから油液が送液される。各ポンプモータ38(38H,38R,38D)は、例えば三相モータが使用され、それぞれインバータ40を介して三相電源RSTに接続され、駆動電力の供給を受ける構成になっている。三相電源RSTからポンプモータ38に供給される駆動電力の大きさは、インバータ40の駆動制御によって調整可能になっており、これにより、ポンプモータ38の回転(回転数)を制御でき、ポンプ37からの単位時間当たりの送出液量(給油系統30に送出される燃料の流速)が制御できる構成になっている。
【0069】
なお、本実施例の給油装置12の場合、筐体正面20F側の給油系統30HF,30RF,30DFそれぞれの電磁弁35HF,35RF,35DFは、筐体正面20F側でハイオク,レギュラー,軽油のうちの所望の一の液種について対応する一の給油系統30を用いて給油作業が行われている間は、残りの別の液種の給油系統30を用いて同時に給油作業が行えないように、所望の一の液種の給油系統30に対応する電磁弁35のみが開弁され、残りの別の液種の給油系統30の電磁弁35はその給油ノズル31が誤って操作されても、この所望の一の液種の給油系統30による給油作業が終了するまで、その閉弁状態が維持されるように制御される。筐体正面20B側の給油系統30HB,30RB,30DBそれぞれの電磁弁35HF,35HB,35RFについても、同様な制御が行われ、筐体背面20F側でも、所望の一の液種について対応する一の給油系統30を用いた給油作業しか行われないようになっている。。
【0070】
本実施形態の給油装置12では、図6に示すように、液種毎の3つのポンプ37(37H,37R,37D)に対して2つのインバータ50(50X,50Y)が設けられた構成になっている。図示の例では、2つのインバータ50のうち、第1のインバータ50Xの出力は、それぞれ制御信号に基づいて開閉制御可能な制御スイッチとしてのマグネットスイッチSW1,SW3,SW5の入力端に分岐接続されている。また、第2のインバータ50Yの出力は、マグネットスイッチSW2,SW4,SW6に分岐接続されている。
【0071】
その上で、各ポンプモータ38(38H,38R,38D)のうち、レギュラー用のポンプモータ38Rは、マグネットスイッチSW1を介して第1のインバータ50Xからも、マグネットスイッチSW2を介して第2のインバータ50Yからも、選択的に駆動電力の供給を受けることができるようになっている。また、ハイオク用のポンプモータ38Hも、マグネットスイッチSW3を介して第1のインバータ50Xからも、マグネットスイッチSW4を介して第2のインバータ50Yからも、選択的に駆動電力の供給を受けることができるようになっている。また、軽油用のポンプモータ38Dも、マグネットスイッチSW5を介して第1のインバータ50Xからも、マグネットスイッチSW6を介して第2のインバータ50Yからも、選択的に駆動電力の供給を受けることができるようになっている。
【0072】
さらに、各インバータ50(50X,50Y)それぞれ出力は、マグネットスイッチSW(SW1-SW6)の開閉制御によって選択された、各ポンプモータ38(38H,38R,38D)のうちの一のポンプモータ38(ポンプモータ38H,38R,38Dのうちのいずれか一つのポンプモータ38)とだけ接続されるようになっている。そして、各ポンプモータ38(38H,38R,38D)の駆動は、マグネットスイッチSW1-SW6を介して接続されたインバータ50(インバータ50X,50Yのうちのいずれか一つのインバータ50)によって制御駆動されるようになっている。
【0073】
そのため、各インバータ50(50X,50Y)及び各マグネットスイッチSW1-SW6は、給油装置12に備えられた制御装置60からそれぞれ供給される制御信号に応じて作動制御される構成になっている。そして、制御装置60は、液種毎の給油作業時におけるインバータ作動制御部61(レギュラー給油制御部61R,ハイオク給油作業時作動制御部61H,軽油給油制御部61D)と、マグネットスイッチSW(SW1-SW6)それぞれの開閉制御信号に応じて、レギュラー,ハイオク,軽油それぞれの給油作業時で使用するインバータ50(50X,50Yのうちのいずれか)を選択するとともに、インバータ作動制御部61のレギュラー給油制御部61R,ハイオク給油制御部61H,軽油給油制御部61Dのうちの対応する液種の給油制御部によるインバータ制御信号出力を、選択したインバータ50(50X,50Yのうちのいずれか)に供給するインバータ切替制御部62とを含んでいる。
【0074】
インバータ作動制御部61のレギュラー給油制御部61R,ハイオク給油制御部61H,軽油給油制御部61Dは、それぞれ対応する給油系統30HF・30HB,30RF・30RB,30DF・30DBのノズルスイッチ34HF・34HB,34RF・34RB,34DF・34DBそれぞれの検出信号、及び流量計36HF・36HB,36RF・36RB,36DF・36DBそれぞれ付設されている流量発信器それぞれから出力される流量パルスを基にして、ポンプモータ38Rの駆動を、前述した実施例の場合と同様にして制御する。ただし、前述した実施例とは異なり、ポンプモータ38H,38Dについても、ポンプモータ38Rの場合と同様な制御が行われる。
【0075】
このように、インバータ作動制御部61は、給油ノズル31(31HF・31HB,31RF・31RB,31DF・31DB)それぞれを用いた給油作業の状況に応じて、選択されたインバータ50(50X,50Yのうちのいずれか一方)によって、効率的なかつ省エネをはかったポンプモータ38(38H,38R,38D)の運転を実現できる構成になっている。
【0076】
インバータ切替制御部62は、例えば、ノズルスイッチ34(34HF・34HB,34RF・34RB,34DF・34DB)それぞれの検出信号を基にして、給油系統30(30HF・30HB,30RF・30RB,30DF・30DB)それぞれの給油作業でポンプモータ38(38H,38R,38D)それぞれの駆動制御のために使用するインバータ50(50X,50Y)を、マグネットスイッチSW1-SW6それぞれの開/閉の組み合わせに応じて、切替選択する。
【0077】
図7は、本実施例の給油装置におけるインバータ切替制御部による給油系統の選択についての説明図である。
【0078】
本実施例では、インバータ切替制御部62は、マグネットスイッチSW1-SW6それぞれの開/閉を、図7に示すようにして、次の述べるように制御する。
【0079】
■ 給油装置12の正面側で、ハイオク、レギュラー、軽油のうちの所望の一の液種について給油作業を行う場合は、インバータ50Xを優先的に用いるように、マグネットスイッチSW1,SW3,SW5を開閉制御して、インバータ50Xだけを所望の一の液種のポンプ38(38H,38R,38Dのいずれか一つ)のみと接続する。ただし、給油装置12の背面側で、所望の一の液種とは異なる液種について給油作業実行中で、既にインバータ50Xを用いて所望の一の液種とは異なるポンプ38についてその作動を制御している場合には、インバータ50Yを代わりに用いるように、マグネットスイッチSW2,SW4,SW6を開閉制御して、インバータ50Yだけを所望の一の液種のポンプ38(38H,38R,38Dのいずれか一つ)のみと接続する。また、給油装置12の背面側で、所望の一の液種と同じ液種について給油作業実行中で、既にインバータ50X又はインバータ50Yを用いて所望の一の液種と同じポンプ38についてその作動を制御している場合には、マグネットスイッチSW1-SW6の開閉状態を変化させない。
【0080】
■ 給油装置12の背面側で、ハイオク、レギュラー、軽油のうちの所望の一の液種について給油作業を行う場合は、インバータ50Yを優先的に用いるように、マグネットスイッチSW2,SW4,SW6を開閉制御して、インバータ50Yだけを所望の一の液種のポンプ38(38H,38R,38Dのいずれか一つ)のみと接続する。ただし、給油装置12の正面側で、所望の一の液種とは異なる液種について給油作業実行中で、既にインバータ50Yを用いて所望の一の液種とは異なるポンプ38についてその作動を制御している場合には、インバータ50Xを代わりに用いるように、マグネットスイッチSW1,SW3,SW5を開閉制御して、インバータ50Xだけを所望の一の液種のポンプ38(38H,38R,38Dのいずれか一つ)のみと接続する。また、給油装置12の背面側で、所望の一の液種と同じ液種について給油作業実行中で、既にインバータ50X又はインバータ50Yを用いて所望の一の液種と同じポンプ38についてその作動を制御している場合には、マグネットスイッチSW1-SW6の開閉状態を変化させない。
【0081】
このように構成された本実施例の給油装置12によっても、給油装置筐体20内に組み込まれる第1のインバータ50X及び第2のインバータ50Yの効率的な稼働を行うことによって、個々の給油系統30(30HF・30HB,30RF・30RB,30DF・30DB)及びポンプ37(37H,37R,37D)の数分だけ設けられるインバータの数量を削減し、省スペース化、低コスト化をはかった省エネ型の給油装置12を提供することができる。
【0082】
なお、本開示に係る燃料供給装置の一実施形態である給油装置における給油系統30の配置等の具体的構成は、上述した給油装置11,12に限定されない。給油装置は、ポンプ37を補給対象に供給する燃料油液の液種毎に複数設け、給油装置筐体20の周りの予め定められた複数の燃料供給作業エリアそれぞれで所望の液種について燃料供給作業が行えるように給油系統30を、各液種の前記ポンプ37に対して一又は複数連通接続して、給油装置筐体20に配置した構成であればよい。また、インバータ作動制御部61の液種毎の各給油制御部によるポンプモータ38の駆動制御も、上述した給油装置11,12の具体的な制御に限定されず、省エネ、静音、電力デマンドコントロール等を目的としたポンプ37(ポンプモータ38)の回転をインバータで回転制御するものであればよい。また、液種毎に設けられたポンプ37のポンプモータ38とインバータ50それぞれとの接続も、マグネットスイッチSWの開閉切換に限定されない。
【符号の説明】
【0083】
11,12 給油装置、
20 給油装置筐体、
30 給油系統、
31 給油ノズル、
32 給油ホース、
33 ノズル掛け、
34 ノズルスイッチ、
35 電磁弁、
36 流量計、
37 ポンプ、
38 ポンプモータ、
40 給油表示器
50 インバータ、
60 制御装置、
61 インバータ作動制御部、
61R レギュラー給油制御部、
61H ハイオク給油制御部、
61D 軽油給油制御部、
62 インバータ切替制御部、
RST 三相電源。
図1
図2
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図5
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図7