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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】ホームドア装置
(51)【国際特許分類】
   B61B 1/02 20060101AFI20231226BHJP
   E06B 3/46 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
B61B1/02
E06B3/46
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019195640
(22)【出願日】2019-10-28
(65)【公開番号】P2021066409
(43)【公開日】2021-04-30
【審査請求日】2022-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000196587
【氏名又は名称】西日本旅客鉄道株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】509335144
【氏名又は名称】株式会社JR西日本テクシア
(73)【特許権者】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】田中 恭介
(72)【発明者】
【氏名】新山 智章
【審査官】志水 裕司
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-019315(JP,A)
【文献】再公表特許第2011/058940(JP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61B 1/02
E06B 3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口の上部のガイドに沿ってホームの長手方向に移動可能な第1扉と、
前記開口の上部に設けられ前記第1扉を駆動する第1駆動源と、
前記第1扉と共に移動可能であり、かつ当該第1扉に対して各々移動可能な第2扉及び第3扉と、
前記第1扉の上部に設けられ、前記第2扉を駆動する第2駆動源及び前記第3扉を駆動する第3駆動源とを備え
前記第2扉は、前記第1扉に設けられ前記第2駆動源の駆動力により前記第1扉に対して移動可能な第2ガイドレールに固定されており、
前記第3扉は、前記第1扉に設けられ前記第3駆動源の駆動力により前記第1扉に対して移動可能な第3ガイドレールに固定されている、ホームドア装置。
【請求項2】
前記第1駆動源、前記第1駆動源により駆動する第1タイミングベルト、及び前記第1タイミングベルトが掛けられた第1従動プーリを含む第1駆動部と、
前記第1扉、前記第2扉、及び前記第3扉を含む扉ユニットを複数備え、
隣接する扉ユニットの前記第1タイミングベルト同士は、前記第1扉を移動させたときに互いに干渉しないようにオフセットされている、請求項1に記載のホームドア装置。
【請求項3】
前記第2駆動源、前記第2駆動源により駆動する第2タイミングベルト、及び前記第2タイミングベルトが掛けられた第2従動プーリを含む第2駆動部と、
前記第3駆動源、前記第3駆動源により駆動する第3タイミングベルト、及び前記第3タイミングベルトにかけられた第3従動プーリを含む第3駆動部とを備える、請求項1に記載のホームドア装置。
【請求項4】
前記第2扉の移動にあわせて前記第2駆動源のケーブルを支持する第2扉用ケーブル支持部と、
前記第3扉の移動にあわせて前記第3駆動源のケーブルを支持する第3扉用ケーブル支持部とを備え、
前記第2扉用ケーブル支持部と前記第3扉用ケーブル支持部は、前記第2扉及び前記第3扉を駆動させたときにケーブル同士が干渉しないようにオフセットされている、請求項1乃至3のいずれか1項に記載のホームドア装置。
【請求項5】
前記第2扉用ケーブル支持部と前記第3扉用ケーブル支持部は、鉛直方向にオフセットされている、請求項4に記載のホームドア装置。
【請求項6】
前記第2扉用ケーブル支持部と前記第3扉用ケーブル支持部は、水平方向にオフセットされている、請求項4又は5に記載のホームドア装置。
【請求項7】
前記第2扉及び前記第3扉は、前記第1扉の軌道側に配置される、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のホームドア装置。
【請求項8】
前記第1扉は、前記第2扉のホーム側主面近傍の支障物を検知する第1センサと、前記第3扉のホーム側主面近傍の支障物を検知する第2センサとを備える、請求項1乃至7のいずれか1項に記載のホームドア装置。
【請求項9】
前記第1センサ及び前記第2センサは、前記第1扉の厚さ方向において前記第1扉の軌道側主面とホーム側主面との間に配置される、請求項8に記載のホームドア装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はホームドア装置に関する。
【0002】
近年、鉄道のプラットホーム上で安全性をより向上させるためにホームドア装置の設置が進められている。ホームドア装置は列車がホームに進入するまで閉状態を保ち、ホームドア装置のホーム側から軌道側への乗客の移動を規制する。列車がホームの所定位置に停止するとホームドア装置は開状態となり、乗客が列車に乗降するのを可能にする。
【0003】
ホームドア装置の中でも、列車の車両数や種類に対応させて扉の位置を変更可能なホームドア装置が知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-51471号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のような腰高のホームドアは、設置工事を行うときにホームの床に各種機器を埋め込む必要があり、設置作業が繁雑である。
【0006】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、ホームの床の工事負担を軽減できるホームドアを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、開口の上部のガイドに沿ってホームの長手方向に移動可能な第1扉と、開口の上部に設けられ第1扉を駆動する第1駆動源と、第1扉と共に移動可能であり、かつ第1扉に対して各々移動可能な第2扉及び第3扉と、第1扉の上部に設けられ、第2扉を駆動する第2駆動源及び前記第3扉を駆動する第3駆動源とを備える。
【0008】
このような構成によれば、開口部の上部に第1駆動部を設けることでホームの床の工事負担を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態によるホームドア装置の正面図である。
図2】同ホームドア装置の正面図である。
図3】同ホームドア装置の正面図である。
図4】同ホームドア装置の扉ユニットの正面図である。
図5】同扉ユニットの側面図である。
図6】同扉ユニットの上面図である。
図7】同扉ユニットの正面図である。
図8】同ホームドア装置の概略正面図である。
図9】同ホームドア装置の側断面図である。
図10】変形例によるホームドア装置の正面図である。
図11】同ホームドア装置の上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について説明する。実施形態によるホームドア装置は、例えば列車のホームに設置される。ホームドア装置は通常閉じた状態(閉状態)にあり、ホームに列車が到着した後に列車の車両のドアの位置に応じた適切な形態の開いた状態(開状態)に移行する。なお、以下の実施形態では、必要に応じて所定の三次元直交座標を用いて詳細な説明を行う。三次元直交座標のX軸は、ホームドア装置に対して人が出入りする方向に沿って延びる。三次元直交座標のY軸は、ホームドアの開閉方向又はホームが延びる方向に沿って延びる。三次元直交座標のZ軸は鉛直方向に沿って延びる。
【0011】
また、実施形態によるホームドア装置は、第1扉、第2扉、及び第3扉の三種類の扉を備えるが、主として第1扉に関連する部材については「第1」の語を付し、主として第2扉に関連する部材については「第2」の語を付し、主として第3扉に関連する部材については「第3」の語を付す。
【0012】
ホームドア装置は、所定方向に延びる列車のホームの略全長にわたって延びており、列車の線路が敷かれた軌道側とホーム側とを分ける。ホームドア装置で軌道側とホーム側とを分けることで、ホームドア装置が閉状態にあるときに人がホーム側から軌道側に行けないようにする。またホームドア装置は、いわゆるフルスクリーン型のホームドア装置であり、鉛直方向全長、又はホームの床面から少なくとも人の身長よりも高い位置までの高さを有する。
【0013】
図1はホームドア装置のX軸に沿って見た正面図である。図1に示すように、ホームドア装置10は、複数の扉ユニット12と、扉ユニット12を駆動する各部が収容されるヘッダーボックス14とを備える。またホームドア装置10は、Y軸に沿ってホームの床面に埋め込まれたレール16を備える。ヘッダーボックス14は、ホームドア装置10が設置されるホームの天井付近の梁に固定される。また、ホームドア装置10の設置に際して所定の開口を有し梁及び柱の組み合わせからなる枠構造体をホーム上に設置し、ヘッダーボックス14を梁に固定してもよい。
【0014】
図2及び図3は、所定の開状態におけるホームドア装置の正面図である。図2は、例えば片側に4カ所の乗降扉を有する車両がホーム18に停止したときに、当該車両の扉の位置に対応させてホームドア装置10の扉を開いた状態を示す。図3は、例えば片側に3カ所の乗降扉を有する車両がホーム18に停止したときに、当該車両の扉の位置に対応させてホームドア装置10の扉を開いた状態を示す。図2及び図3に示すように、ホームドア装置10は、ホームに到着した車両の形態に応じて、ヘッダーボックス14内の駆動機構等を用いて扉ユニット12の開状態を制御し、かつ扉ユニット12の位置を制御する。扉が開くと、扉の両端とヘッダーボックス14の下端と、ホームの床面によって定められる開口が複数個形成される。なお、図示の例では、5つの扉ユニットを備える形態を示すが、扉ユニット12の数は1つ以上であれば幾つでも良く、ホーム18の長さや到着する車両の形態(特に車両の扉の数及び位置)に応じて適宜変更可能であることは容易に理解できるであろう。また図示のホームドア装置10のY軸Y軸方向の長さは車両一台分の長さに相当しており、ホーム18に到着する車両の長さに応じて複数のホームドア装置10をY軸に沿って接続できる。
【0015】
図1乃至3から分かるようにホームドア装置は、車両の乗降扉の位置に対応させて扉ユニット12の位置及び形態を変化させられる。これを実現するために、ホームドア装置の扉ユニット12のY軸方向の移動ストロークを比較的大きくしてある。このように扉ユニット12の移動ストロークを大きくすると、隣接する扉ユニット12同士で可動域がY軸方向において重複する。詳細な説明は後述するが実施形態によるホームドア装置は、扉ユニット12の移動ストロークが重複していたとしても扉ユニット12の配線系統等が干渉しないように構成されている。
【0016】
図4は扉ユニットの正面図であり、第2扉が閉状態にある。図5は扉ユニットの側面図であり、図6は扉ユニットの上面図である。また図7は、扉ユニットの正面図であり第2扉が開状態にある。図4及び図7は、ホーム側から軌道側に向けて扉ユニットを見た図である。図4乃至7に示すように実施形態による扉ユニット12は、第1扉20と、第1扉20に対して引き違いとなる第2扉22A及び第3扉22Bとを備える。
【0017】
第1扉20はY軸に沿って延びるレール16上を、レール16に沿って移動する。第1扉20を駆動させる第1駆動部については後述する。
【0018】
以下、図4乃至7を参照して扉ユニット12の構成を説明する。第2扉22A及び第3扉22Bは、第1扉20と同様にY軸方向に移動可能である。より具体的には第2扉22A及び第3扉22Bは、Y軸に沿った所定幅内で第1扉20に対してY軸方向に移動可能であり、かつ第1扉20と共にY軸方向に移動する。第2扉22A及び第3扉22Bは、第1扉20に対して引き違い戸の形態をなし、+X方向において第1扉20に対してずれた位置に配置される。図示の例では、-X方向側(ホーム側)から+X方向側(軌道側)に向けて、第1扉20、第2扉22A、第3扉22Bの順番でそれぞれホーム18上のレール16内に配置される。
【0019】
第2扉22A及び第3扉22Bの移動可能な範囲は、第1扉20を基準として定められている。具体的には、第2扉22A及び第3扉22Bは、X軸に沿って見たときに第1扉20と重複してホームドア装置10に開口が形成される開状態と、X軸に沿って見たときに第1扉20と隣接して並んでいる閉状態との間で移動する。第2扉22A及び第3扉22Bは、それぞれ独立した駆動部(以下、明確化のために第2扉22Aの駆動部を「第2駆動部24A」、第3扉22Bの駆動部を「第3駆動部24B」という)によって駆動される。
【0020】
第2扉22Aを駆動する第2駆動部24Aは、第2扉22A用の駆動モータ(以下、明確化のために単に「第2駆動モータ26A」という)と、第2駆動モータ26Aによって駆動されるタイミングベルト(以下、明確化のために単に「第2タイミングベルト28A」という)、第2タイミングベルト28Aを案内する従動プーリ(以下、明確化のために単に「第2従動プーリ30A」という)、第2扉22Aに固定されたガイドレール(以下、単に「第2ガイドレール32A」という)を備えている。第2駆動モータ26A、第2タイミングベルト28A、第2従動プーリ30A、及び第2ガイドレール32Aを含む第2駆動部24Aは、第1扉20に設けられており第1扉20と共に移動する。ここで第2駆動部24Aが第1扉20に設けられているとは、第2駆動部24Aが少なくとも第1扉20と一緒にY軸に沿って移動可能に設けられていることをいう。従って、第2駆動部24Aの少なくとも一部を第1扉20に内蔵する場合、及び第2駆動部24Aが第1扉20外に設けられているが少なくともY軸に沿って一体に移動する場合は、第2駆動部24Aが第1扉20に設けられているとすることができる。
【0021】
第2駆動モータ26Aは、第1扉20の上部に固定されている。第2駆動モータ26Aには、第2タイミングベルト28Aが架け渡されており第2駆動モータ26Aを駆動することで第2タイミングベルト28Aが駆動する。第2タイミングベルト28Aの第2駆動モータ26Aに架け渡されている部分以外の部分は、第2ガイドレール32Aに沿ってY軸と平行に延びている。第2タイミングベルト28Aは一対の第2従動プーリ30Aの間を通って延びており、第2従動プーリ30Aを介して第2駆動モータ26Aに架け渡されている部分とY軸と平行に延びる部分との間で、XY平面上で延びる方向が転換されている。第2タイミングベルト28Aの両端は、それぞれ第2ガイドレール32Aの両端に固定されている。第2ガイドレール32Aは、第1扉20に対してX軸方向及びZ軸方向に移動しないよう第2駆動部24A用のブラケット(以下、明確化のために単に「第2ブラケット34A」という)により支持されている。第2駆動部24Aは、2つの第2ブラケット34Aを備え、各第2ブラケット34Aは、第1扉20の幅方向両端に配置される。第2ガイドレール32Aは、第2駆動モータ26Aの駆動力により第1扉20に対してY軸に沿って移動可能である。第2ガイドレール32Aは、第1扉20と略同一の幅(Y軸に沿った長さ)を有する。第2扉22Aの上部は第2ガイドレール32Aに固定されており、下部はホーム18上のレール16に沿ってスライドする。第2扉22Aは、基本的に第2ガイドレール32Aによって上方(+Z方向側)で支持され第2ガイドレール32Aに懸架されており、レール16は第2扉22の下端が揺動しないように第2扉22Aの面方向(±X方向)の支持を提供するに過ぎない。第2駆動モータ26Aが駆動すると第2ガイドレール32Aが第1扉20に対してY軸に沿って移動する。
【0022】
このように第2タイミングベルト28Aを用いた第2駆動部24Aで第2扉22Aを駆動することで、第2扉22Aの位置決めが容易になる。例えばタイミングベルトを用いずにボールねじ等で第2扉22Aを移動させようとすると、X軸に沿って隣接する扉同士の隙間の調整作業が非常に困難な場合がある。これに対して第2タイミングベルト28Aを用いて第2扉22を懸架した構造とすることで、扉同士の隙間の調整の自由度が上がり隙間を小さくする作業が容易になる。
【0023】
第2ガイドレール32のY軸に沿った長さは第2扉22の幅より長く、第1扉20の幅と略同一である。第2ガイドレール32のY軸に沿った一端は、第2扉22の一端と一致する位置まで延びている。第2ガイドレール32のY軸に沿った他端は、第2扉22Aの他端を越えて延びている。第2扉22Aが閉状態にあるときは第2ガイドレール32Aの他端付近が第2駆動モータ26Aに近接した位置にある。一方で第2扉22Aが開状態にあるときは第2ガイドレール32Aの一端付近が第2駆動モータ26Aに近接した位置にある。従って、第2ガイドレール32Aの移動ストロークは、第2扉22Aの幅に相当する。第2ガイドレール32Aが移動すると、これに伴って第2扉22Aが第1扉20に対してY軸に沿って移動する。
【0024】
第3扉22Bを駆動する第3駆動部24Bは、第2駆動部24Aと略同一の構成を有している。第3駆動部24Bは、第3扉22B用の駆動モータ(以下、明確化のために単に「第3駆動モータ26B」という)と、第3駆動モータ26Bによって駆動されるタイミングベルト(以下、明確化のために単に「第3タイミングベルト28B」という)、第3タイミングベルト28Bを案内する従動プーリ(以下、明確化のために単に「第3従動プーリ30B」という)、第3扉22Bに固定されたガイドレール(以下、単に「第3ガイドレール32B」という)を備えている。第3駆動モータ26B、第3タイミングベルト28B、第3従動プーリ30B、及び第3ガイドレール32Bを含む第3駆動部24Bは、第1扉20に設けられており第1扉20と共に移動する。ここで第3駆動部24Bが第1扉20に設けられているとは、第3駆動部24Bが少なくとも第1扉20と一緒にY軸に沿って移動可能に設けられていることをいう。従って、第3駆動部24Bの少なくとも一部を第1扉20に内蔵する場合、及び第3駆動部24Bが第1扉20外に設けられているが少なくともY軸に沿って一体に移動する場合は、第3駆動部24Bが第1扉20に設けられているとすることができる。
【0025】
第3駆動モータ26Bは、第1扉20の上部に固定されている。第3駆動モータ26Bには、第3タイミングベルト28Bが架け渡されており第3駆動モータ26Bを駆動することで第3タイミングベルト28Bが駆動する。第3タイミングベルト28Bの第3駆動モータ26Bに架け渡されている部分以外の部分は、第3ガイドレール32Bに沿ってY軸と平行に延びている。第3タイミングベルト28Bは一対の第3従動プーリ30Bの間を通って延びており、第3従動プーリ30Bを介して第3駆動モータ26Bに架け渡されている部分とY軸と平行に延びる部分との間で、XY平面上で延びる方向が転換されている。第3タイミングベルト28Bの両端は、それぞれ第3ガイドレール32Bの両端に固定されている。第3ガイドレール32Bは、第1扉20に対してX軸方向及びZ軸方向に移動しないよう第3駆動部24B用のブラケット(以下、明確化のために単に「第3ブラケット34B」という)により支持されている。第3駆動部24Bは、2つの第3ブラケット34Bを備え、各第3ブラケット34Bは、第1扉20の幅方向両端に配置される。第3ガイドレール32Bは、第3駆動モータ26Bの駆動力により第1扉20に対してY軸に沿って移動可能である。第3ガイドレール32Bは、第1扉20と略同一の幅(Y軸に沿った長さ)を有する。第3扉22Bの上部は第3ガイドレール32Bに固定されており、下部はホーム18上のレール16に沿ってスライドする。第3扉22Bは、基本的に第3ガイドレール32Bによって上方(+Z方向側)で支持され第3ガイドレール32Bに懸架されており、レール16は第3扉22の下端が揺動しないように第3扉22Bの面方向(±X方向)の支持を提供するに過ぎない。第3駆動モータ26Bが駆動すると第3ガイドレール32Bが第1扉20に対してY軸に沿って移動する。
【0026】
このように第3タイミングベルト28Bを用いた第3駆動部24Bで第3扉22Bを駆動することで、第3扉22Bの位置決めが容易になる。第3タイミングベルト28Bを用いて第3扉22Bを懸架した構造とすることで、扉同士の隙間の調整の自由度が上がり隙間を小さくする作業が容易になる。
【0027】
第3ガイドレール32BのY軸に沿った長さは第3扉22Bの幅より長く、第1扉20の幅と略同一である。第3ガイドレール32BのY軸に沿った一端は、第3扉22の一端と一致する位置まで延びている。第3ガイドレール32BのY軸に沿った他端は、第3扉22Bの他端を越えて延びている。第3扉22Bが閉状態にあるときは第3ガイドレール32Bの他端付近が第3駆動モータ26Bに近接した位置にある。一方で第3扉22Bが開状態にあるときは第3ガイドレール32Bの一端付近が第3駆動モータ26Bに近接した位置にある。従って、第3ガイドレール32Bの移動ストロークは、第3扉22Bの幅に相当する。第3ガイドレール32Bが移動すると、これに伴って第3扉22Bが第1扉20に対してY軸に沿って移動する。
【0028】
第2駆動部24Aと第3駆動部24Bのそれぞれの第2ガイドレール32A及び第3ガイドレール32Bは、互いに鉛直方向(Z軸方向)及び水平方向(X軸方向)の少なくとも一方に対してオフセットされている。ここで、オフセットされているとは、扉ユニット12の作動時にY軸に沿って移動しかつY軸に沿った移動領域が重複する部材同士が接触しないようにX軸及びZ軸の少なくとも一方に沿ってずれていることをいう。部材同士をずらす距離については、部材の形状等に応じて自由に設定可能である。第2ガイドレール32A及び第3ガイドレール32B同士をオフセットすることにより開状態において第2ガイドレール32A及び第3ガイドレール32Bが干渉するのを防止できる。また、第2ガイドレール32A及び第3ガイドレール32Bと第2駆動モータ26A及び第3駆動モータ26Bは、同一のXY平面上に設けられていることが好ましいため、第2駆動部24Aの第2駆動モータ26A及び第3駆動部24Bの第3駆動モータ26Bも、互いに鉛直方向にオフセットされている。また、第2駆動モータ26A及び第3駆動モータ26Bは、上面視したときにX軸方向にオフセットされていないが、第2ガイドレール32A及び第3ガイドレール32Bと、第2タイミングベルト28A及び第3タイミングベルト28Bは、XY平面上でX軸方向にオフセットされている。これにより第2扉22A及び第3扉22Bが開状態のときに、第2ガイドレール32Aと第3ガイドレール32Bとの干渉、及び第2タイミングベルト28Aと第3タイミングベルト28Bとの干渉を防止できる。
【0029】
第2扉22Aを駆動する場合、第2駆動モータ26Aを駆動することで第2タイミングベルト28Aを駆動させ、第2ガイドレール32AをY軸に沿って移動させる。これにより、第2ガイドレール32Aに固定された第2扉22Aが第2ガイドレール32Aと共にY軸に沿って移動する。この場合、第2扉22Aを開状態と閉状態との間で移動させても良いし、例えば開状態と閉状態との中間で停止させてもよい。第3扉22Bを駆動する場合も第2扉22Aと駆動する場合と同様の制御を行う。
【0030】
図8はホームドア装置の概略正面図であり、図9は同ホームドア装置の側断面図である。図8では、理解を容易にするためにヘッダーボックス14の筐体を取り除いた上で必要に応じて各部材をZ軸に沿ってずらした分解状態を示す。従って、分解状態で図示されている各部材は、実際には図9に示すようにヘッダーボックス14内に収容される。図8及び図9に示すように各扉ユニット12は、当該扉ユニット12をY軸に沿って移動させるための第1駆動部36を備える。第1駆動部36は、第1駆動源としての、扉ユニット12用の駆動モータ(以下、明確化のために単に「第1駆動モータ38」という)を備える。また第1駆動部36は、第1駆動モータ38と対になる従動プーリ(以下、明確化のために単に「第1従動プーリ40」というと、第1駆動モータ38と第1従動プーリ40との間に架け渡されたタイミングベルト(以下、明確化のために単に「第1タイミングベルト42」という)とを備える。第1駆動部36はヘッダーボックス14に対して固定されており、第2駆動部24のようにY軸に沿って移動しない。図示の例では、第1駆動モータ38と第1従動プーリ40がY軸に沿って距離をおいて配置されており、この距離が扉ユニット12の移動ストロークに相当する。
【0031】
第1扉20は、基本的に開口の上部に設けられた第1タイミングベルト42によって上方(+Z方向側)で支持されており、第1タイミングベルト42に沿って開口の幅方向に移動可能である。本実施形態では第1タイミングベルト42がガイドを構成する。レール16は第1扉20の下端が揺動しないように第1扉20の面方向(±X方向)の支持を提供するに過ぎない。第1扉20を第1駆動部36の第1タイミングベルト42で支持することで、第1扉20の面方向の位置にある程度の遊びをもたせられる。これにより第1扉20を、第2扉22に対して厳密に位置決めすることなく第1扉20と第2扉22との間の隙間を調整できる。また、第1扉20の一方の面(-X方向側の面)は、常にホーム側から視認可能な状態にあるため、この面に液晶ディスプレイ等の表示手段を設けてもよい。
【0032】
以下、第1駆動部36についてより詳細に説明する。第1駆動部36は、第1タイミングベルト42によってY軸に沿って駆動される第1駆動部用のブラケット(以下、明確化のために単に「第1ブラケット44」という)を備える。第1ブラケット44は、第1扉20の上部に固定された2つの第2ブラケット34に固定される。これにより第1ブラケット44のY軸に沿った移動に伴って第1扉20がY軸に沿って移動する。第1駆動部36はさらに、第1駆動部36、第2駆動部24A、及び第3駆動部24Bに電源及び制御信号を供給するためのケーブルを支持し案内するケーブル支持部としてのケーブルベア(登録商標)46を備える。ケーブルベア(登録商標)46の移動ストロークは、扉ユニット12の移動ストロークに相当する。なお、図8において実線に参照符号46を付した部材がケーブルベア(登録商標)46であり、各ケーブルベア(登録商標)46に隣接して描かれている破線はケーブルベア(登録商標)の稼働状態を示す。各ケーブルベア(登録商標)46の可動範囲は、実質的には扉ユニットの移動ストロークに相当する。ケーブルベア(登録商標)46の移動端からは第2駆動部24A及び第3駆動部24Bに向けてケーブル(図示せず)が延びる。したがって、ケーブルベア(登録商標)46の移動端はX軸に沿って延びる支持ロッド48によって第2駆動モータ26A及び第3駆動モータ26B付近に固定され第2駆動モータ26A及び第2駆動モータ26Bと一緒にY軸に沿って移動する。一方でケーブルベア(登録商標)46の固定端は、第1扉20の移動ストロークの長さ方向略中央に位置することが好ましい。
【0033】
図示の例ではホームドア装置10は5つの扉ユニット12を有しているため、扉ユニット12の数に対応する5つの第1駆動部36を備える。上述したようにホームドア装置10の扉ユニット12の配置の自由度を向上させるために、扉ユニット12の移動ストロークは比較的大きくなっている。扉ユニット12の移動ストロークが大きい場合、扉ユニット12の移動ストロークが隣接する扉ユニットの移動ストロークと重複する。各扉ユニット12のそれぞれが第1駆動部36、第2駆動部24A、及び第3駆動部24Bを有している。したがって、隣接する扉ユニット12の移動ストロークが重複すると第1駆動部36のケーブルベア(登録商標)46及びケーブルベア(登録商標)46により支持される配線、並びに第1タイミングベルト42が隣接する第1駆動部36の配線及び第1タイミングベルト42と干渉することがある。干渉を防止するために、第1駆動部36のケーブルベア(登録商標)46と第1タイミングベルト42のXZ断面における位置は、少なくとも±X方向及び±Z方向のいずれか一方にオフセットされていることが好ましい。図示の例では、隣接する全ての第1扉20の移動ストロークが重複している。従って、隣接する第1駆動部36のケーブルベア(登録商標)46と第1タイミングベルト42のXZ断面における位置は、少なくとも±X方向及び±Z方向のいずれか一方にオフセットされている。一方で第1扉20の移動ストロークが重複していない扉ユニット12の間では、ケーブルベア(登録商標)46と第1タイミングベルト42のXZ断面における位置が重複していてもよい。
【0034】
図示の例では、-Y側から数えて1つ目の第1扉20A、3つ目の第1扉20C、及び5つ目の第1扉20E(以下、単に「奇数番目の第1扉」と総称する場合がある)の移動ストロークが重複しない。従って、これら3つの第1扉20のケーブルベア(登録商標)46A,46C,46Eと第1タイミングベルト42A,42C,42Eは、XZ断面において同一の位置に配置される。一方で、2つ目の第1扉20Bの移動ストロークは1つ目の第1扉20A、3つ目の第1扉20C、及び4つ目の第1扉20Dの移動ストロークと重複し、4つ目の第1扉20Dの移動ストロークは2つ目、3つ目及び5つ目の第1扉20B,20C,20Eの移動ストロークと重複する。2つ目の第1扉20Bの第1タイミングベルト42BのXZ断面における位置は、奇数番目の第1扉20A,20C,20Eの第1タイミングベルト42A,42C,42Eに対して-X方向にオフセットされている。また、4つ目の第1扉20Dの第1タイミングベルト42DのXZ断面における位置は、奇数番目の第1扉20A,20C,20Eの第1タイミングベルト42A,42C,42Eに対して-X方向及び-Z方向にオフセットされている。第1タイミングベルト42の位置をオフセットすることに伴って第1駆動モータ38の位置も同様にオフセットされる。
【0035】
また、第1扉20の移動ストロークが重複すると、隣接するケーブルベア(登録商標)46同士、ひいてはケーブルベア(登録商標)46に支持される配線もY軸方向において干渉する場合がある。これは図8において破線で示すケーブルベア(登録商標)46の移動ストロークがY軸に沿って重複している点から容易に理解できる。また隣接するケーブルベア(登録商標)46同士における、移動端と第2駆動モータ26A、又は第3駆動モータ26Bを繋ぐ支持ロッド48がZ軸方向において同一の高さにあると、支持ロッド48同士が干渉しケーブルベア(登録商標)46の移動範囲が制限されてしまう。従って、隣接するケーブルベア(登録商標)46同士はZ軸方向においてもオフセットされている。この場合、例えば奇数番目の第1扉20A,20C,20Eのケーブルベア(登録商標)46A,46C,46Eをヘッダーボックス14の床面に設置し、残りの第1扉20B,20Dのケーブルベア(登録商標)46B,Dを-X方向かつ+Z方向にオフセットできる。
【0036】
ヘッダーボックス14内には第1駆動部36、第2駆動部24A、第3駆動部24Bが内蔵される。矩形断面のヘッダーボックス14内の各部の配置は特に図9に示すように、ケーブルベア(登録商標)46、並びに第2駆動部24A及び第3駆動部24Bを下部に配置し、第1駆動部36を上部に配置することが好ましい。第2駆動部24A及び第3駆動部24Bは、それぞれ第2扉22A及び第3扉22Bと共に移動するためZ軸方向、及びX軸方向において第2扉22A及び第3扉22Bの付近に配置するとよい。したがって第2駆動部24A及び第3駆動部24Bは、ヘッダーボックス14の下部、かつ軌道側に配置される。またケーブルベア(登録商標)46はヘッダーボックス14の床面に配置されるため、ヘッダーボックス14の下部に配置される。またケーブルベア(登録商標)46と第2駆動部24A及び第3駆動部24Bが干渉しないようにケーブルベア(登録商標)46をホーム側に配置するとよい。また、第1駆動モータ38を上部に配置することで第1駆動モータ38のメンテナンス性を向上させられる。上述したようにXZ断面で見たときに第1駆動モータ38を配置する位置は三か所ある。このうち例えば奇数番目の第1扉20A,C,Eの第1駆動モータ38A,38C,38Eをヘッダーボックス14の軌道側の側面に固定し、残りの第1扉20B,20Dの第1駆動モータ38B,38Dをヘッダーボックス14のホーム側の側面に固定するのがよい。このような配置によりヘッダーボックス14の大型化を抑制し、各部の干渉を防止し、かつメンテナンス性を向上させられる。
【0037】
次に、ホームドア装置の作用について説明する。図示せぬ制御部は、列車がホームに到着する前に列車の車両数や車両タイプに基づいてホームドア装置をどのような開状態にするかを判断する。ホームドア装置を開くパターンは、車両数や車両タイプ(特に片側の乗降口の数及び位置)に対応させて予め記憶される。よって制御部は、予め記憶されているパターンから適切なパターンを選択し、ホームドア装置に駆動信号として送信する。ホームドア装置に駆動信号が入力されると、ホームドア装置は駆動信号に応じて複数の扉ユニット12を駆動する。パターンによっては駆動しない扉ユニット12があってもよい。また複数のホームドア装置10が連続してホーム上に配置されている場合、到着する列車の車両数によっては駆動しない(開状態にならない)ホームドア装置10があってもよい。
【0038】
各扉ユニット12は、駆動信号に基づいて第1駆動モータ38を駆動させてY軸に沿った所定位置まで移動する。また各扉ユニット12は、駆動信号に基づいて第2駆動モータ26A及び第3駆動モータ26Bを駆動させて第2扉22A及び第3扉22Bを開閉する。なお、第2扉22Aと第3扉22Bを開く幅は、必ずしも一致していなくてもよい。入力される駆動信号によっては駆動しない第2扉22A又は第3扉22Bがあってもよい。第1扉20、第2扉22A、及び第3扉22Bの移動の組み合わせによりホームドア装置10は、例えば図2又は図3に示すような形態に移行する。また、第1扉20、第2扉22A、及び第3扉22Bの移動速度、即ち第1駆動モータ38、第2駆動モータ26A、及び第3駆動モータ26Bの駆動速度を調整することで、全ての扉が同時に移動し始め、同時に移動が終了するようにしてもよい。また、複数の第1扉20の移動量がそれぞれ大幅に異なる場合には速度差を設けて開閉をしてもよい。
【0039】
このようにホームドア装置10によれば到着する列車の車両数や車両タイプに応じてホームドア装置10の開状態を調整できる。
【0040】
またホームドア装置10をホーム上に設置する際、ホームの床面に対する加工は実質的にレール16を埋め込む作業だけである。他の構造体は、全てホーム上に設置可能であるからホームドア装置10の設置に要する工期を大幅に短縮できる。
【0041】
変形例としてホームドア装置10は、支障物を検知する支障物センサを備えていてもよい。図10は、変形例によるホームドア装置の正面図であり、図11は同ホームドア装置の上面図である。
【0042】
支障物センサ50は、第1扉20に設けられており第2扉22A及び第3扉22Bのホーム側の主面上の支障物を検知する。支障物センサ50は、第2扉22A及び第3扉22Bのホーム側の主面近傍を検出領域とする。より具体的には支障物センサ50は、第2扉22Aの主面近傍を検出する第2扉用センサと、第3扉22Bの主面近傍を検出する第3扉用センサとを備える。
【0043】
図示の例では、第3扉22Bの表面を検出する第3扉用センサを示す。なお、第2扉22Aの表面を検出する支障物センサ50も同一の構造を有するため以下の説明では、第3扉用センサに符号50を付して構造の詳細な説明を行い、第2扉用センサの詳細な説明は省略する。
【0044】
支障物センサ50は、第1扉20のホーム側の主面から突出しないように第1扉20に設けられている。より具体的には、第1扉20のホーム側の主面に、軌道側の主面に向けて凹む段52を形成し、その段52に第3扉用センサを配置する。第3扉用センサは第3扉22Bに向いており、第3扉22Bのホーム側の主面とほぼ同一のYZ平面上に配置される。第3扉用センサを設ける位置は、YZ平面においては第3扉22Bの主面の対象を検出できる限り特に制限はない。より具体的には第3扉用センサは、XZ平面においては第1扉20の2つの主面(ホーム側の主面及び軌道側の主面)の間の領域内に配置されることが好ましい。また、第3扉用センサは、構成部品が第1扉20のホーム側の主面に対してX軸方向に突出しない形状とされることが好ましい。より好ましくは第3扉用センサのホーム側の面は平坦であり、段の-X側の面と面一となる。
【0045】
ホームドア装置10は、第1扉20、第2扉22A、及び第3扉22Bを駆動するのに先だって支障物センサ50による検出結果を参照する。ホームドア装置10は第2扉22A及び第3扉22Bのホーム側の主面に支障物が無いことを確認してから、第1扉20、第2扉22A、及び第3扉22Bを駆動する。このような支障物センサ50により、第2扉22A、及び第3扉22Bに例えば人がもたれ掛かっているのを適切に検知し第2扉22A、及び第3扉22Bが開くときに巻き込まれるのを防止できる。またこのような支障物センサ50の配置により、第1扉20の周面を少なくとも面一に保てる上に、第2扉22A、及び第3扉22Bの主面から離れた位置に支障物があったとしても誤検知を抑制できる。
【0046】
以上のようにホームドア装置10によれば、ホーム18に容易に設置できる。また、第1扉20、第2扉22A、及び第3扉22Bを、タイミングベルトを用いた懸架構造とすることで、第1扉20、第2扉22A、及び第3扉22Bの隙間を厳密に位置決めする必要がなくなり、隙間を適切な距離に保てる。
【0047】
なお上述した実施形態は例示に過ぎず、各構成は請求の範囲に記載された発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0048】
上述した実施形態を一般化すると以下の態様を導き出せる。
【0049】
〔態様1〕
開口の上部のガイドに沿ってホームの長手方向に移動可能な第1扉と、
開口の上部に設けられ前記第1扉を駆動する第1駆動源と、
第1扉と共に移動可能であり、かつ当該第1扉に対して各々移動可能な第2扉及び第3扉と、
第1扉の上部に設けられ、第2扉を駆動する第2駆動源及び前記第3扉を駆動する第3駆動源とを備えるホームドア装置。
【0050】
この構成によれば開口部の上部に第1駆動部を設けることでホームの床の工事負担を軽減できる。
【0051】
〔態様2〕
第1駆動源、第1駆動源により駆動する第1タイミングベルト、及び第1タイミングベルトが掛けられた第1従動プーリとを含む第1駆動部と、第1扉、第2扉、及び第3扉を含む扉ユニットを複数備え、隣接する扉ユニットの第1タイミングベルト同士は、第1扉を移動させたときに互いに干渉しないようにオフセットされている。
【0052】
この構成によれば第1扉同士の干渉を防止できる。
【0053】
〔態様3〕
第2駆動源、第2駆動源により駆動する第2タイミングベルト、及び第2タイミングベルトが掛けられた第2従動プーリを含む第2駆動部と、
第3駆動源、第3駆動源により駆動する第3タイミングベルト、及び第3タイミングベルトにかけられた第3従動プーリを含む第3駆動部とを備える。
【0054】
この構成によれば、第1扉、第2扉及び第3扉の隙間の調整を行いやすくなる。特にボールねじやレールを用いて子扉を動かす場合と比較したときにこの効果は顕著になる。
【0055】
〔態様4〕
第2扉の移動にあわせて第2駆動源のケーブルを支持する第2扉用ケーブル支持部と、第3扉の移動にあわせて第3駆動源のケーブルを支持する第3扉用ケーブル支持部とを備え、第2扉用ケーブル支持部と第3扉用ケーブル支持部は、第2扉及び前記第3扉を駆動させたときに前記ケーブル同士が干渉しないようにオフセットされている。
【0056】
この構成によれば、ケーブル同士の干渉を防止できる。
【0057】
〔態様5〕
この場合において、第2扉用ケーブル支持部と第3扉用ケーブル支持部は、鉛直方向及び水平方向の少なくともいずれか一方にオフセットされている。
【0058】
〔態様6〕
第2扉及び第3扉は、第1扉の軌道側に配置される。
【0059】
この構成によれば、第2扉及び第3扉を移動させたときにホーム側において乗客が第2扉又は第3扉に接触するのを防止できる。
【0060】
〔態様7〕
第1扉は、第2扉のホーム側主面近傍の支障物を検知する第1センサと、第3扉のホーム側主面近傍の支障物を検知する第2センサとを備える。
【0061】
この構成によれば乗客が第2扉によって引き込まれるのを抑制できる。
【0062】
〔態様8〕
第1センサ及び第2センサは、第1扉の厚さ方向において第1扉の軌道側主面とホーム側主面との間に配置される。
【0063】
この構成によればセンサ及び追加のセンサが第2扉及び第3扉からある程度離れている対象の誤検知を抑制できる。
【符号の説明】
【0064】
10 ホームドア装置、 18 ホーム、 20 第1扉、 22 第2扉、 24 第2駆動部、 26 第2駆動モータ、 28 第2タイミングベルト、 30 第2従動プーリ、 32 第2ガイドレール、 36 第1駆動部、 38 第1駆動モータ、 40 第1従動プーリ、 42 第1タイミングベルト、 46 ケーブルベア(登録商標)、 50 支障物センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11