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  • 特許-導電性ローラおよびその製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】導電性ローラおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/08 20060101AFI20231226BHJP
   F16C 13/00 20060101ALI20231226BHJP
   C08G 18/48 20060101ALI20231226BHJP
   C08G 18/10 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
G03G15/08 235
F16C13/00 B
C08G18/48 054
C08G18/10
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019201737
(22)【出願日】2019-11-06
(65)【公開番号】P2021076655
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】522345803
【氏名又は名称】株式会社アーケム
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(72)【発明者】
【氏名】杉村 考之
(72)【発明者】
【氏名】熱海 陽彦
(72)【発明者】
【氏名】田河 宏高
【審査官】飯野 修司
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-063724(JP,A)
【文献】特開2005-141192(JP,A)
【文献】特開平09-176269(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/08
F16C 13/00
C08G 18/48
C08G 18/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトと、表層と、を備えた導電性ローラにおいて、
前記表層がポリウレタンの塗膜からなり、かつ、イソシアネートインデックスが0.1~0.4であるウレタンプレポリマーを含有する表層用組成物を用いて形成され、
該表層の塗膜を、溶媒としてアセトンを用い、抽出温度80℃、抽出時間4時間の条件でソックスレー抽出を行ったとき、1本あたりの抽出率が3質量%以下であることを特徴とする導電性ローラ。
【請求項2】
前記ポリウレタンを構成するポリオール化合物が、ポリテトラメチレングリコールである請求項1記載の導電性ローラ。
【請求項3】
前記ポリテトラメチレングリコールの数平均分子量が、500~2000である請求項2記載の導電性ローラ。
【請求項4】
現像ローラである請求項1~3のうちいずれか一項記載の導電性ローラ。
【請求項5】
ポリウレタンからなる表層を形成する表層形成工程を有する、請求項1~4のうちいずれか一項記載の導電性ローラの製造方法において、
前記表層を、ウレタンプレポリマーを含有する表層用組成物を用いて形成し、かつ、前記ウレタンプレポリマーのイソシアネートインデックスが、0.1~0.4であることを特徴とする導電性ローラの製造方法。
【請求項6】
前記ポリウレタンを構成するポリオール化合物が、ポリテトラメチレングリコールである請求項5記載の導電性ローラの製造方法。
【請求項7】
前記表層用組成物中に、前記表層のイソシアネートインデックスが、1.0~2.0となるようにイソシアネート化合物を含有する請求項5または6記載の導電性ローラの製造方法。
【請求項8】
前記ポリテトラメチレングリコールの数平均分子量が、500~2000である請求項6記載の導電性ローラの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は導電性ローラおよびその製造方法に関し、詳しくは、従来よりもブリードの発生を抑制した導電性ローラおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、複写機やプリンタ、ファクシミリ等の電子写真方式を用いた画像形成装置においては、画像形成の各工程で、転写ローラや現像ローラ、トナー供給ローラ、帯電ローラ、クリーニングローラ、中間転写ローラ、ベルト駆動ローラ等の、導電性を付与したローラが用いられている。かかるローラ部材としては、従来、軸の外周に、導電剤を配合することにより導電性を付与したゴムや高分子エラストマー、高分子フォーム等からなる弾性層を形成した構造を基本構造として、所望の表面粗さや導電性、硬度等を得るために、その外周に一層または複数層の塗膜を設けたものが使用されている。
【0003】
導電性ローラの改良に係る技術としては、例えば、特許文献1には、弾性層上に、水系塗料を用いた塗膜層が設けられている構成の導電性ローラであって、弾性層に由来する汚染物質のブリードの発生を抑制して、このブリードに起因する白抜け等の画像不具合の発生の問題を解消した導電性ローラが提案されている。この導電性ローラは、シャフトの外周に、弾性層と表層とが順次形成されてなり、弾性層と表層との間に、乳化剤を含まない水系塗料を用いて形成されたブロック層が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-160134号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、レーザービームプリンターの省エネ化に伴い、トナーの低融点化が進んでいる。そして、トナーの低融点化に伴い、トナー自身の硬度も柔軟になってきている。つまり、トナーの架橋度が低くなっている。そのため、導電性ローラを現像ローラとして用いた場合、現像ローラの表面から微小に発生するブリード物の影響を受け、これにより画像に影響を与えてしまう。そのため、現像ローラにおいて、さらなるブリードの発生の抑制が求められているのが現状である。
【0006】
そこで、本発明の目的は、熱硬化時間を長くすることなく、従来よりもブリードの発生を低減した導電性ローラおよびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記課題を解消すべく鋭意検討した結果、以下の知見を得た。現像ローラの表層は、主にポリオール化合物とイソシアネート化合物とを反応させたウレタン樹脂であり、塗膜を形成するために、ポリオール化合物とイソシアネート化合物と溶剤に希釈して使用する。そして、その後、熱によりポリオール化合物とイソシアネート化合物と反応させて塗膜を硬化させ溶剤を揮発させている。しかしながら、短時間の熱硬化ではポリオール化合物とイソシアネート化合物とが完全には反応しておらず、表層の内部に未反応のポリオール化合物やイソシアネート化合物および溶剤が残留しており、これが後々ブリードしてしまう。これを解決するには熱硬化の時間を長くすることが考えられるが、ブリード物をトナーに影響がないほど少なくするには数日間キュアしなければならない。
【0008】
かかる知見に基づき、本発明者らは、さらに鋭意検討した結果、導電性ローラの表層を形成するにあたり、ポリオール化合物とイソシアネート化合物とを反応させて得られる所定のウレタンプレポリマーを含む表層用組成物を用いることで、上記問題を解決できることを見出して、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明の導電性ローラは、シャフトと、表層と、を備えた導電性ローラにおいて、
前記表層がポリウレタンの塗膜からなり、該表層の塗膜を、溶媒としてアセトンを用い、抽出温度80℃、抽出時間4時間の条件でソックスレー抽出を行ったとき、1本あたりの抽出率が3質量%以下であることを特徴とするものである。
【0010】
本発明の導電性ローラにおいては、前記ポリウレタンを構成するポリオール化合物は、ポリテトラメチレングリコールであることが好ましい。また、本発明の導電性ローラにおいては、前記ポリテトラメチレングリコールの数平均分子量は、500~2000であることが好ましい。本発明の導電性ローラは、現像ローラに好適に用いることができる。なお、数平均分子量とは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法によりポリスチレン換算値として算出した値である。
【0011】
本発明の導電性ローラの製造方法は、ポリウレタンからなる表層を形成する表層形成工程を有する導電性ローラの製造方法において、
前記表層を、ウレタンプレポリマーを含有する表層用組成物を用いて形成し、かつ、前記ウレタンプレポリマーのイソシアネートインデックスが、0.1~0.4であることを特徴とするものである。ここで、ウレタンプレポリマーのイソシアネートインデックスとは、ウレタンプレポリマーを構成するイソシアネート化合物のイソシアネート基(NCO基)とポリオール化合物の水酸基(OH基)とのモル比(NCO基/OH基)を意味する。
【0012】
本発明の導電性ローラの製造方法においては、前記ポリウレタンを構成するポリオール化合物は、ポリテトラメチレングリコールであることが好ましい。また、本発明の導電性ローラの製造方法においては、前記表層用組成物中に、前記表層のイソシアネートインデックスが、1.0~2.0となるようにイソシアネート化合物を含有することが好ましい。さらに、本発明の導電性ローラの製造方法においては、前記ポリテトラメチレングリコールの数平均分子量は、500~2000であることが好ましい。ここで、表層のイソシアネートインデックスとは、表層のポリウレタンを構成するイソシアネート化合物のイソシアネート基(NCO基)とポリオール化合物の水酸基(OH基)とのモル比(NCO基/OH基)を意味する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、熱硬化時間を長くすることなく、従来よりもブリードの発生を低減した導電性ローラおよびその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一好適な実施の形態に係る導電性ローラの長手方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。
本発明の導電性ローラは、シャフトと、ポリウレタンからなる表層と、を備えており、シャフトと表層との間には、必要に応じて少なくとも1層の弾性層を備えていてもよい。図1に、本発明の一好適な実施の形態に係る導電性ローラの長手方向断面図を示す。図示例においては、シャフト1と、シャフト1の外側に、弾性層2と、表層3と、を備え、表層3はポリウレタンの塗膜からなる。本発明の導電性ローラ10においては、表層3の塗膜を、溶媒としてアセトンを用い、抽出温度80℃、抽出時間4時間の条件でソックスレー抽出を行ったとき、導電性ローラ1本あたりの抽出率が3質量%以下、好ましくは2.5質量%以下、より好ましくは2.0質量%以下である。
【0016】
図示する本発明の導電性ローラ10の表層3は、シャフト1の外側に形成された弾性層2の上に、ポリオール化合物とイソシアネート化合物とを反応させて得られたウレタンプレポリマーを含む表層用組成物を用いて形成される。このように、あらかじめウレタンプレポリマーとすることで、ブリード物となる表層3中の未反応のポリオール化合物やイソシアネート化合物を低減させている。その結果、表層3からの抽出物が、従来の現像ローラと比較して少なくなる。すなわち、本発明の導電性ローラ10は、従来の導電性ローラと比較して、ブリードの発生が抑制されたものとなり、現像ローラとして好適に用いることができる。
【0017】
本発明の導電性ローラ10においては、ウレタンプレポリマーは、イソシアネートインデックスが0.1~0.4である。イソシアネートインデックスが、0.1未満であっても、0.4超であっても、表層3におけるブリードの発生を抑制することができない。好ましくは、イソシアネートインデックスは0.2~0.4である。なお、ウレタンプレポリマーは、イソシアネートインデックスが0.1~0.4となるように、ポリオール化合物とイソシアネート化合物とを添加し、80~100℃程度で、攪拌モーター等で1~10時間程度攪拌することで合成することができる。
【0018】
本発明の導電性ローラ10においては、ウレタンプレポリマーの原料となるポリオール化合物およびイソシアネート化合物については、特に制限はなく、既知のものを用いることができる。
【0019】
ポリオール化合物としては、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリブタジエンポリオール、水素添加ポリブタジエンポリオール、アルキレンオキサイド変性ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール等を含むことができる。これらのポリオールは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0020】
本発明の導電性ローラ10においては、ポリオール化合物としては、ポリテトラメチレングリコールが好ましい。ポリオール化合物としてポリテトラメチレングリコールを用いることで、表層3の接着力を高めることができるとともに、表層3が過度に硬質化するのを抑えることができる。
【0021】
また、ポリテトラメチレングリコールの数平均分子量については、特に限定はされないが、500~2000であることが好ましく、1000~2000であることがより好ましい。ポリテトラメチレングリコールの数平均分子量を500以上とすることで、表層3の過度な硬質化を抑えることができ、数平均分子量を2000以下とすることで、表層3の過度な軟質化を抑えることができる。
【0022】
また、イソシアネート化合物としては、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、プレポリマー化トリレンジイソシアネート(プレポリマー化TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、粗製ジフェニルメタンジイソシアネート(クルードMDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI);これらのイソシアヌレート変性物、カルボジイミド変性物、グリコール変性物等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ヘキサメチレンジイソシアネートやイソホロンジイソシアネート等の脂肪族系イソシアネート化合物が、表層の柔軟性を確保しやすくなる点等で有利である。
【0023】
表層用組成物は、ウレタンプレポリマーの他、さらに、ウレタンプレポリマーを硬化させるイソシアネート化合物を含むことが好ましい。これにより、表層3を完全に硬化させることができる。イソシアネート化合物としては、ウレタンプレポリマーを合成する際に用いることができる上記のイソシアネート化合物を挙げることができる。この際、イソシアネートインデックスが1.0~2.0となるように、表層用組成物にイソシアネート化合物を添加することが好ましい。イソシアネートインデックスをこの範囲とすることで、表層3の硬度を適切なものとすることができる。
【0024】
本発明の導電性ローラ10においては、表層用組成物は、導電剤をさらに含むことが好ましい。これにより、表層3の導電性をより高めることができ、印刷画像の不良をより確実に抑えることができる。ここで、本発明の導電性ローラ10においては、導電剤としては、特に限定はされず公知のものを用いることができる。例えば、イオン導電剤や電子導電剤を用いることが好ましい。これら導電剤は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0025】
イオン導電剤としては、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、ドデシルトリメチルアンモニウム、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム、変性脂肪酸ジメチルエチルアンモニウム等の過塩素酸塩、塩素酸塩、塩酸塩、臭素酸塩、ヨウ素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、硫酸塩、エチル硫酸塩、カルボン酸塩、スルホン酸塩等のアンモニウム塩;リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属の過塩素酸塩、塩素酸塩、塩酸塩、臭素酸塩、ヨウ素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、硫酸塩、トリフルオロメチル硫酸塩、スルホン酸塩等を挙げることができる。
【0026】
電子導電剤としては、ITO、酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛等の金属酸化物の微粒子;ニッケル、銅、銀、ゲルマニウム等の金属の微粒子:現像酸化チタンウィスカー、現像チタン酸バリウムウィスカー等の現像ウィスカー等を挙げる音ができる。さらに、電子導電剤として、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等の現像カーボン、SAF、ISAF、HAF、FEF、GPF、SRF、FT、MT等のゴム用カーボンブラック、酸化処理等を施したカラー用カーボンブラック、熱分解カーボンブラック、天然グラファイト、人造グラファイト等を挙げることができる。
【0027】
本発明の導電性ローラ10においては、表層用組成物は、さらに、必要に応じてその他の成分を含めることができる。その他の成分については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。その他の成分としては、例えば、上述したポリオール化合物およびイソシアネート化合物から形成されるウレタン成分以外のエラストマー、触媒、整泡剤、微粒子、架橋剤、充填剤、しゃく解剤、発泡剤、可塑剤、軟化剤、粘着付与剤、粘着防止剤、分離剤、離型剤、増量剤、着色剤、加硫剤等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0028】
上述したポリオール化合物およびイソシアネート化合物から形成されるウレタン成分以外のエラストマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、シリコーン、エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)、アクリロニトリル-ブタジエンゴム(NBR)、天然ゴム(NR)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、ポリノルボルネンゴム、ブチルゴム(IIR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリルゴム、エピクロロヒドリンゴム(ECO)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA);これらの混合物等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0029】
触媒としては、例えば、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズチオカルボキシレート、ジブチルスズジマレエート、ジオクチルスズチオカルボキシレート、オクテン酸スズ、モノブチルスズオキシド等の有機スズ化合物;塩化第一スズ等の無機スズ化合物;オクテン酸鉛等の有機鉛化合物;トリエチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン等のモノアミン類;テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチルプロパンジアミン、テトラメチルヘキサンジアミン等のジアミン類;ペンタメチルジエチレントリアミン、ペンタメチルジプロピレントリアミン、テトラメチルグアニジン等のトリアミン類;トリエチレンジアミン、ジメチルピペラジン、メチルエチルピペラジン、メチルモルホリン、ジメチルアミノエチルモルホリン、ジメチルイミダゾール、ピリジン等の環状アミン類;ジメチルアミノエタノール、ジメチルアミノエトキシエタノール、トリメチルアミノエチルエタノールアミン、メチルヒドロキシエチルピペラジン、ヒドロキシエチルモルホリン等のアルコールアミン類;ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、エチレングリコールビス(ジメチル)アミノプロピルエーテル等のエーテルアミン類;p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、フルオロ硫酸等の有機スルホン酸;硫酸、リン酸、過塩素酸等の無機酸;ナトリウムアルコラート、水酸化リチウム、アルミニウムアルコラート、水酸化ナトリウム等の塩基類;テトラブチルチタネート、テトラエチルチタネート、テトライソプロピルチタネート等のチタン化合物;ビスマス化合物;四級アンモニウム塩等が挙げられる。これら触媒の中でも、有機スズ化合物が好ましい。これら触媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。触媒の使用量は、ポリオール化合物100質量部に対して0.001~2.0質量部の範囲が好ましい。
【0030】
微粒子としては、例えば、ウレタン樹脂粒子や、アクリル樹脂粒子、シリカ等を用いることができる。これにより、導電性ローラ10の導電性を高めることができる。
【0031】
架橋剤は、ポリオール化合物とポリイソシアネート化合物との反応に通常使用される助剤である。その種類については、特に限定はされず、公知のものを用いることができる。例えば、グリコール類、ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、アミン類等の架橋剤が挙げられる。
【0032】
(シャフト)
本発明の導電性ローラ10は、図1に示すように、シャフト1を備えている。シャフト1を構成する材料は、良好な導電性を有する限り、特に制限はなく、例えば、金属からなるシャフトや、高剛性の樹脂基材からなるシャフト、または、これらの組み合わせとすることができ、内部を中空にくりぬいた金属製または高剛性樹脂製の円筒体等であってもよい。
【0033】
シャフト1に高剛性の樹脂を使用する場合、高剛性樹脂に導電剤を添加・分散させて、十分に導電性を確保することが好ましい。ここで、高剛性樹脂に分散させる導電剤としては、カーボンブラック粉末やグラファイト粉末、カーボンファイバー、アルミニウム、銅、ニッケル等の金属粉末、酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛等の金属酸化物粉末、導電性ガラス粉末等の粉末状導電剤が好ましい。これら導電剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。導電剤の配合量は、特に制限されるものではないが、高剛性樹脂の全体に対して、5~40質量%の範囲が好ましく、5~20質量%の範囲がより好ましい。
【0034】
金属シャフトや金属製円筒体の材質としては、鉄、ステンレス、アルミニウム等が挙げられ、これらに対して、亜鉛やニッケルのめっきを施したものでもよい。また、高剛性の樹脂基材の材質としては、ポリアセタール、ポリアミド6、ポリアミド6・6、ポリアミド12、ポリアミド4・6、ポリアミド6・10、ポリアミド6・12、ポリアミド11、ポリアミドMXD6、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンオキサイド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアリレート、液晶ポリマー、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ABS樹脂、ポリスチレン、ポリエチレン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。これらの中でも、ポリアセタール、ポリアミド6・6、ポリアミドMXD6、ポリアミド6・12、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンエーテル、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネートが好ましい。これら高剛性樹脂は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0035】
(弾性層)
本発明の導電性ローラ10においては、図示するように、シャフト1の外側に弾性層2を有していることが好ましい。この弾性層2については特に制限はなく、既知の導電性ローラの弾性層と同様の構成とすることができる。
【0036】
弾性層2を構成する材料としては、例えば、ゴム若しくは樹脂、またはこれらの発泡体(フォーム)で形成することができ、具体的には例えば、ポリウレタンや、シリコーンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、エチレン-プロピレンゴム、ポリノルボルネンゴム、スチレン-ブタジエン-スチレンゴム、エピクロルヒドリンゴム等を基材ゴムとするゴム組成物およびこれらの発泡体が挙げられる。
【0037】
本発明の導電性ローラ10においては、中でも特に、ポリウレタンフォームを用いることが好ましい。かかるポリウレタンフォームを形成するための原料としては、樹脂中にウレタン結合を含むものであれば、特に制限はない。
【0038】
弾性層2を構成するポリウレタンフォームに用いるポリオール化合物としては、例えば、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとを付加重合したポリエーテルポリオール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、酸成分とグリコール成分を縮合したポリエステルポリオール、カプロラクトンを開環重合したポリエステルポリオール、ポリカーボネートジオール等を用いることができる。
【0039】
エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとを付加重合したポリエーテルポリオールとしては、例えば、水、プロピレングリコール、エチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオール、トリエタノールアミン、ジグリセリン、ペンタエリスリトール、エチレンジアミン、メチルグルコジット、芳香族ジアミン、ソルビトール、ショ糖、リン酸等を出発物質とし、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを付加重合したものを挙げることができるが、特に、水、プロピレングリコール、エチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオールを出発物質としたものが好適である。付加するエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの比率やミクロ構造については、エチレンオキサイドの比率が好ましくは2~95質量%、より好ましくは5~90質量%であり、末端にエチレンオキサイドが付加しているものが好ましい。また、分子鎖中のエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとの配列は、ランダムであることが好ましい。
【0040】
なお、かかるポリエーテルポリオールの分子量としては、水、プロピレングリコール、エチレングリコールを出発物質とする場合は2官能となり、重量平均分子量で300~6000の範囲のものが好ましく、400~3000の範囲のものがより好ましい。また、グリセリン、トリメチロールプロパン、ヘキサントリオールを出発物質とする場合は3官能となり、重量平均分子量で900~9000の範囲のものが好ましく、1500~6000の範囲のものがより好ましい。さらに、2官能のポリオール化合物と3官能のポリオール化合物とを適宜ブレンドして用いることもできる。
【0041】
また、ポリテトラメチレンエーテルグリコールは、例えば、テトラヒドロフランのカチオン重合によって得ることができ、重量平均分子量が400~4000の範囲、特には、650~3000の範囲にあるものが好ましく用いられる。また、分子量の異なるポリテトラメチレンエーテルグリコールをブレンドすることも好ましい。さらに、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを共重合して得られたポリテトラメチレンエーテルグリコールを用いることもできる。
【0042】
さらに、ポリテトラメチレンエーテルグリコールと、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとを付加重合したポリエーテルポリオールとをブレンドして用いることも好ましい。この場合、これらのブレンド比率が、質量比で95:5~20:80の範囲、特には90:10~50:50の範囲となるよう用いることが好適である。
【0043】
また、ポリオール化合物とともに、ポリオールをアクリロニトリル変性したポリマーポリオール、ポリオールにメラミンを付加したポリオール、ブタンジオール等のジオール類、トリメチロールプロパン等のポリオール類やこれらの誘導体を併用することもできる。
【0044】
また、ポリウレタンフォームを構成するイソシアネート化合物としては、芳香族イソシアネート化合物またはその誘導体、脂肪族イソシアネート化合物またはその誘導体、脂環族イソシアネート化合物またはその誘導体が用いられる。これらの中でも芳香族イソシアネート化合物またはその誘導体が好ましく、特に、トリレンジイソシアネート(TDI)またはその誘導体、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)またはその誘導体が好適に用いられる。
【0045】
トリレンジイソシアネートまたはその誘導体としては、粗製トリレンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネートと2,6-トリレンジイソシアネートとの混合物、これらのウレア変性物、ビュレット変性物、カルボジイミド変性物、ポリオール等で変性したウレタン変性物等が用いられる。ジフェニルメタンジイソシアネートまたはその誘導体としては、例えば、ジアミノジフェニルメタンまたはその誘導体をホスゲン化して得られたジフェニルメタンジイソシアネートまたはその誘導体が用いられる。ジアミノジフェニルメタンの誘導体としては多核体等があり、ジアミノジフェニルメタンから得られた純ジフェニルメタンジイソシアネート、ジアミノジフェニルメタンの多核体から得られたポリメリック・ジフェニルメタンジイソシアネート等を用いることができる。ポリメリック・ジフェニルメタンジイソシアネートの官能基数については、通常、純ジフェニルメタンジイソシアネートと様々な官能基数のポリメリック・ジフェニルメタンジイソシアネートとの混合物が用いられ、平均官能基数が好ましくは2.05~4.00、より好ましくは2.50~3.50のものが用いられる。また、これらのジフェニルメタンジイソシアネートまたはその誘導体を変性して得られた誘導体、例えば、ポリオール等で変性したウレタン変性物、ウレチジオン形成による二量体、イソシアヌレート変性物、カルボジイミド/ウレトンイミン変性物、アロハネート変性物、ウレア変性物、ビュレット変性物等も用いることができる。また、数種類のジフェニルメタンジイソシアネートやその誘導体をブレンドして用いることもできる。
【0046】
また、イソシアネート化合物をポリオール化合物により予めプレポリマー化してもよく、その方法としては、ポリオール化合物とイソシアネート化合物とを40~70℃に、6~240時間、より好ましくは24~72時間保温する方法が挙げられる。この場合、ポリオール化合物とイソシアネート化合物との分量の比率は、得られるプレポリマーのイソシアネート含有率が4~30質量%となるように調節することが好ましく、より好ましくは6~15質量%である。イソシアネート含有率が4質量%未満であると、プレポリマーの安定性が損なわれ、貯蔵中にプレポリマーが硬化してしまい、使用に供することができなくなるおそれがある。また、イソシアネート含有率が30質量%を超えると、プレポリマー化されていないイソシアネート化合物の含有量が増加し、このポリイソシアネートは、後のポリウレタン硬化反応において用いるポリオール成分と、プレポリマー化反応を経ないワンショット製法に類似の反応機構により硬化するため、プレポリマー法を用いる効果が薄れる。イソシアネート化合物をあらかじめポリオール化合物によりプレポリマー化したイソシアネート成分を用いる場合のポリオール成分としては、上記ポリオール成分に加えて、エチレングリコールやブタンジオール等のジオール類、トリメチロールプロパンやソルビトール等のポリオール類やそれらの誘導体を用いることもできる。
【0047】
さらに、ポリウレタンフォーム原料中には、これらポリオール成分およびイソシアネート成分に加えて、所望に応じ、導電剤や発泡剤(水、低沸点物、ガス体等)、架橋剤、界面活性剤、触媒、整泡剤等を添加することができ、これにより所望に応じた弾性層とすることができる。
【0048】
導電剤としては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等の導電性カーボンと、脂肪族第四級アンモニウムサルフェートとの2種を併用することが好ましい。その配合量には特に制限はなく、所望に応じ適宜選定可能であるが、例えば、弾性層2を構成する樹脂成分100質量部に対し、導電性カーボンを0.5~3質量部にて、また、脂肪族第四級アンモニウムサルフェートを0.2~3質量部にて、配合することが好ましい。
【0049】
ポリウレタンフォームの硬化反応に用いる触媒としては、トリエチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン等のモノアミン類、テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチルプロパンジアミン、テトラメチルヘキサンジアミン等のジアミン類、ペンタメチルジエチレントリアミン、ペンタメチルジプロピレントリアミン、テトラメチルグアニジン等のトリアミン類、トリエチレンジアミン、ジメチルピペラジン、メチルエチルピペラジン、メチルモルホリン、ジメチルアミノエチルモルホリン、ジメチルイミダゾール等の環状アミン類、ジメチルアミノエタノール、ジメチルアミノエトキシエタノール、トリメチルアミノエチルエタノールアミン、メチルヒドロキシエチルピペラジン、ヒドロキシエチルモルホリン等のアルコールアミン類、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、エチレングリコールビス(ジメチル)アミノプロピルエーテル等のエーテルアミン類、スタナスオクトエート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫マーカプチド、ジブチル錫チオカルボキシレート、ジブチル錫ジマレエート、ジオクチル錫マーカプチド、ジオクチル錫チオカルボキシレート、フェニル水銀プロピオン酸塩、オクテン酸鉛等の有機金属化合物等が挙げられる。これらの触媒は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0050】
本発明の導電性ローラ10においては、ポリウレタンフォーム配合中にシリコーン整泡剤や各種界面活性剤を配合することが、フォーム材のセルを安定させるために好ましい。シリコーン整泡剤としては、ジメチルポリシロキサン-ポリオキシアルキレン共重合物等が好適に用いられ、分子量350~15000のジメチルポリシロキサン部分と分子量200~4000のポリオキシアルキレン部分とからなるものが特に好ましい。ポリオキシアルキレン部分の分子構造は、エチレンオキサイドの付加重合物やエチレンオキサイドとプロピレンオキサイドとの共付加重合物が好ましく、その分子末端をエチレンオキサイドとすることも好ましい。界面活性剤としては、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、両性等のイオン系界面活性剤や各種ポリエーテル、各種ポリエステル等のノニオン性界面活性剤が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。シリコーン整泡剤や各種界面活性剤の配合量は、ポリオール成分とイソシアネート成分との総量100質量部に対して0.1~10質量部とすることが好ましく、0.5~5質量部とすることが更に好ましい。
【0051】
ポリウレタンフォーム原料の発泡方法としては、従来から用いられているメカニカルフロス法、水発泡法、発泡剤フロス法等の方法を用いることができるが、特には、不活性ガスを混入しながら機械的攪拌により発泡させるメカニカルフロス法を用いることが好ましい。弾性層の優れた弾力性を得ることができるためである。ここで、メカニカルフロス法において用いる不活性ガスは、ポリウレタン反応において不活性なガスであればよく、ヘリウム、アルゴン、キセノン、ラドン、クリプトン等の狭義の不活性ガスの他、窒素、二酸化炭素、乾燥空気等のウレタンフォーム原料と反応しない気体が挙げられる。なお、本発明の導電性ローラ10において、ポリウレタンフォーム原料からなる弾性層2の成形条件については特に制限はなく、通常の条件に従えばよい。
【0052】
(その他の層)
本発明の導電性ローラ10は、図1に示すように、シャフト1と表層3と、必要に応じて弾性層2を備えるが、必要に応じて、その他の層をさらに備えることができる。その他の層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、弾性層2と表層3との間に形成される中間層等(図示せず)が挙げられる。この中間層ついては、特に限定はされず、弾性層2および表層3の種類に応じて、適宜選択することが可能である。例えば、湿気硬化タイプの樹脂を使用してもよいし、熱硬化タイプの樹脂を使用してもよい。
【0053】
次に、本発明の導電性ローラの製造方法について説明する。
本発明の導電性ローラの製造方法は、上述の本発明の導電性ローラ10の製造方法であり、本発明の導電性ローラ10は、シャフト1の外周、必要に応じで弾性層2等を、そして最後に表層3を順次形成することにより、製造することができる。本発明の導電性ローラ10の製造方法においては、ポリウレタンからなる表層3を形成する表層形成工程で、表層3を、ウレタンプレポリマーを含有する表層用組成物を用いて形成する。すなわち、イソシアネート化合物とポリオール化合物とからなるウレタンプレポリマーを製造し、このウレタンプレポリマーに、さらにイソシアネート化合物を添加した表層用組成物を用いて表層を形成する。そして、この際使用するウレタンプレポリマーのイソシアネートインデックスを0.1~0.4とする。このように、あらかじめウレタンプレポリマーとすることで、ブリード物となる表層3中の未反応のポリオール化合物やイソシアネート化合物を低減させている。その結果、表層3の塗膜を、溶媒としてアセトンを用い、抽出温度80℃、抽出時間4時間の条件でソックスレー抽出を行ったとき、1本あたりの抽出率が、従来の現像ローラと比較して少なくなる。すなわち、本発明の導電性ローラ10を、従来の導電性ローラと比較して、ブリードの発生が抑制されたものとすることができる。
【0054】
本発明の導電性ローラの製造方法においては、ポリウレタンを構成するポリオール化合物は、ポリテトラメチレングリコールであることが好ましい。ポリオール化合物としてポリテトラメチレングリコールを用いることで、得られる導電性ローラの表層3の接着力を高めることができるとともに、表層3が過度に硬質化するのを抑えることができる。
【0055】
また、本発明の導電性ローラの製造方法においては、ポリテトラメチレングリコールの数平均分子量は、500~2000であることが好ましく、1000~2000であることがより好ましい。ポリテトラメチレングリコールの数平均分子量を500以上とすることで、表層3の過度な硬質化を抑えることができ、数平均分子量を2000以下とすることで、表層3の過度な軟質化を抑えることができる。
【0056】
さらに、本発明の導電性ローラの製造方法においては、表層用組成物中に、表層3のイソシアネートインデックスが、1.0~2.0となるようにイソシアネート化合物を含有することが好ましい。このようにすることで、導電性ローラ10の表層3の硬度を適切なものとすることができる。
【0057】
本発明の導電性ローラの製造方法は、表層3を形成する表層用組成物として、ポリオール化合物とイソシアネート化合物とを反応させて得られた、イソシアネートインデックスが0.1~0.4のウレタンプレポリマーを含有する表層用組成物を用いること以外、従来と同様の手法で製造することができる。例えば、シャフト1の外周に各層を形成する場合、各層形成用の組成物をシャフト等の外周に塗布し、その後、加熱またはエネルギー線照射により組成物硬化させて、各層を形成することができる。各層の形成用の組成物をシャフト等の外周に塗布する方法としては、スプレー法、ロールコーター法、ディッピング法、ダイコート法、スピンコート法、ディスペンス法、押し出し法等を挙げることができる。
【実施例
【0058】
以下、本発明を、実施例を用いてより詳細に説明する。
(弾性層の作製)
プレポリマー化イソシアネート(旭硝子(株)製 800BP)100質量部と、導電性カーボンブラック(電気化学工業(株)製「デンカブラック」)3.5質量部と、イオン導電剤(昭島化学(株)製「MP-100」)1質量部と、シリコーン整泡剤3質量部と、スズ触媒0.1質量部が配合されたエーテル系ポリオールとを混合し、メカニカルフロス法で発泡させて、金属軸がセットされた金型に注入した。その後、この混合物を110℃30分にて加熱硬化させて、金属軸の外周に厚み6mmの弾性層を形成した。
【0059】
(表層の作製)
以下の手順で実施例および比較例の表層用組成物を調製し、これを、ディッピング法により塗装し、105℃、120分の条件で乾燥させることで、厚さ20μmの表層を形成し、現像ローラの各サンプルを作製した。得られた各導電性ローラにつき、下記の手順で、表層の抽出物の量および画像特性について評価した。
【0060】
<実施例1>
ポリテトラメチレングリコール(保土谷化学工業(株)製、PTG2000SN:OH価56)100質量部に対し、イソシアネート硬化剤(東ソー(株)製、コロネートHx:NCO%=21%)2質量部を添加し、80℃で6時間攪拌して、イソシアネートインデックスが0.1のプレポリマーを合成した。このウレタンプレポリマー100質量部に対し、カーボンブラック15質量部とウレタン粒子(根上工業(株)製:アートパールC-600T(平均粒子径10μm))10質量部を、メチルエチルケトン(MEK)286質量部に分散させ、次にイソシアネート硬化剤(東ソー(株)製、コロネートHx:NCO%=21%)22質量部を添加し、攪拌モーターで30分間攪拌し、表層用組成物を調製した。
【0061】
<実施例2>
実施例1で合成したウレタンプレポリマー100質量部に対し、カーボンブラック15質量部とウレタン粒子(根上工業(株)製:アートパールC-600T(平均粒子径10μm))10質量部を、MEK286質量部に分散させ、次にイソシアネート硬化剤(東ソー(株)製、コロネートHx:NCO%=21%)38質量部を添加し、攪拌モーターで30分間攪拌し、表層用組成物を調製した。
【0062】
<実施例3>
ポリテトラメチレングリコール(保土谷化学工業(株)製、PTG2000SN:OH価56)100質量部に対し、イソシアネート硬化剤(東ソー(株)製、コロネートHx:NCO%=21%)4質量部を添加し、80℃で6時間攪拌して、イソシアネートインデックスが0.2のプレポリマーを合成した。このウレタンプレポリマー100質量部に対し、カーボンブラック15質量部とウレタン粒子(根上工業(株)製:アートパールC-600T(平均粒子径10μm))10質量部を、MEK286質量部に分散させ、次にイソシアネート硬化剤(東ソー(株)製、コロネートHx:NCO%=21%)20質量部を添加し、攪拌モーターで30分間攪拌し、表層用組成物を調製した。
【0063】
<実施例4>
実施例2で合成したプレポリマー100質量部に対し、カーボンブラック15質量部とウレタン粒子(根上工業(株)製:アートパールC-600T(平均粒子径10μm))10質量部を、MEK286質量部に分散させ、次にイソシアネート硬化剤(東ソー(株)製、コロネートHx:NCO%=21%)36質量部を添加し、攪拌モーターで30分間攪拌し、表層用組成物を調製した。
【0064】
<実施例5>
ポリテトラメチレングリコール(保土谷化学工業(株)製、PTG2000SN:OH価56)100質量部に対し、イソシアネート硬化剤(東ソー(株)製、コロネートHx:NCO%=21%)8質量部を添加し、80℃で6時間攪拌して、イソシアネートインデックスが0.4のプレポリマーを合成した。このウレタンプレポリマー100質量部に対し、カーボンブラック15質量部とウレタン粒子(根上工業(株)製:アートパールC-600T(平均粒子径10μm))10質量部を、MEK286質量部に分散させ、次にイソシアネート硬化剤(東ソー(株)製、コロネートHx:NCO%=21%)16質量部を添加し、攪拌モーターで30分間攪拌し、表層用組成物を調製した。
【0065】
<実施例6>
実施例3で合成したプレポリマー100質量部に対し、カーボンブラック15質量部とウレタン粒子(根上工業(株)製:アートパールC-600T(平均粒子径10μm))10質量部を、MEK286質量部に分散させ、次にイソシアネート硬化剤(東ソー(株)製、コロネートHx:NCO%=21%)32質量部を添加し、攪拌モーターで30分間攪拌し、表層用組成物を調製した。
【0066】
<実施例7>
ポリカーボネートジオール(旭化成(株)製、デュラネートT5652:OH価56)100質量部に対し、イソシアネート硬化剤(東ソー(株)製、コロネートHx:NCO%=21%)4質量部を添加し、80℃で6時間攪拌して、イソシアネートインデックスが0.2のプレポリマーを合成した。このウレタンプレポリマー100質量部に対し、カーボンブラック15質量部とウレタン粒子(根上工業(株)製:アートパールC-600T(平均粒子径10μm))10質量部を、MEK286質量部に分散させ、次にイソシアネート硬化剤(東ソー(株)製、コロネートHx:NCO%=21%)20質量部を添加し、攪拌モーターで30分間攪拌し、表層用組成物を調製した。
【0067】
<比較例1>
ポリテトラメチレングリコール(保土谷化学工業(株)製、PTG2000SN:OH価56)100質量部に対し、カーボンブラック15質量部とウレタン粒子(根上工業(株)製:アートパールC-600T(平均粒子径10μm))10質量部を、MEK286質量部に分散させ、次にイソシアネート硬化剤(東ソー(株)製、コロネートHx:NCO%=21%)24質量部を添加し、攪拌モーターで30分間攪拌し、表層用組成物を調製した。
【0068】
<比較例2>
ポリテトラメチレングリコール(保土谷化学工業(株)製、PTG2000SN:OH価56)100質量部に対し、カーボンブラック15質量部とウレタン粒子(根上工業(株)製:アートパールC-600T(平均粒子径10μm))10質量部を、MEK315質量部に分散させ、次にイソシアネート硬化剤(東ソー(株)製、コロネートHx:NCO%=21%)40質量部を添加し、攪拌モーターで30分間攪拌し、表層用組成物を調製した。
【0069】
<比較例3>
ポリテトラメチレングリコール(保土谷化学工業(株)製、PTG2000SN:OH価56)50質量部と、ポリカーボネートポリオール(旭化成(株)製、T5652:OH価56)50質量部の合計100質量部に対し、カーボンブラック20質量部、ウレタン粒子(根上工業(株)製、アートパールC800-T)15質量部を、MEK161質量部に分散させ、次にイソシアネート硬化剤(東ソー(株)製、コロネートHx:NCO%=21%)24質量部を添加し、攪拌モーターで30分間攪拌し、表層用組成物を調製した。
【0070】
<比較例4>
ポリテトラメチレングリコール(保土谷化学工業(株)製、PTG2000SN:OH価56)15質量部と、ポリカーボネートポリオール(旭化成(株)製、T5652:OH価56)85質量部の合計100質量部に対し、カーボンブラック20質量部を、MEK138質量部に分散させ、次にイソシアネート硬化剤(東ソー(株)製、コロネートHx:NCO%=21%)24質量部を添加し、攪拌モーターで30分間攪拌し、表層用組成物を調製した。
【0071】
〔抽出率〕
各導電性ローラから表層のみを剥ぎ取り、これ評価サンプルとしてソックスレー抽出(溶媒:アセトン、抽出温度:80℃、抽出時間:4時間)し、評価サンプルの重量および抽出物の重量より抽出率を算出し、1本あたりの抽出率を算出した。
【0072】
〔画像特性〕
レックスマーク社製レーザービームプリンター(CS725dn)を用いて、現像ローラをカートリッジに組み、40℃95%RHの環境下で1週間放置し、23℃55%RHの環境下で画だしを行い、画像に横スジがでるかどうかを下記基準で確認した。
【0073】
◎:画だし1枚目から横スジなし
〇:画だし5枚目から横スジなし
△:画だし10枚目から横スジなし
×:画だし10枚目で横スジあり
【0074】
【表1】
【0075】
【表2】
【0076】
表1、2中に示すように、本発明の導電性ローラは、表層からの抽出率が少なく、現像ローラに用いた場合、画像特性に優れていることがわかる。
【符号の説明】
【0077】
1 シャフト
2 弾性層
3 表層
10 導電性ローラ(ローラ)
図1