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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】表装材、表装材の製造方法
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/94 20060101AFI20231226BHJP
   B32B 17/10 20060101ALI20231226BHJP
   E04F 13/07 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
E04B1/94 V
B32B17/10
E04F13/07 B
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019222679
(22)【出願日】2019-12-10
(65)【公開番号】P2021092057
(43)【公開日】2021-06-17
【審査請求日】2022-10-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000159032
【氏名又は名称】菊水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(72)【発明者】
【氏名】舩木 速人
(72)【発明者】
【氏名】高橋 良介
(72)【発明者】
【氏名】藤江 幸男
(72)【発明者】
【氏名】則竹 慎也
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 洋平
【審査官】伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-101626(JP,A)
【文献】特開2014-055436(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/62 - 1/99
E04F 13/00 - 13/30
B32B 1/00 - 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂類と、骨材と、吸熱性物質と、を含有するシート材と、前記シート材の他方の面に積層された絵柄層と、を備え、
前記合成樹脂類の含有量は、前記シート材の100質量%に対して6質量%以上12質量%以下の範囲内であり、
前記骨材及び前記吸熱性物質の含有量は、前記シート材の100質量%に対して80質量%以上90質量%以下の範囲内であり、
前記絵柄層は、着色剤として無機顔料を使用したインクジェットインキを用いて形成されていることを特徴とする表装材。
【請求項2】
前記シート材の厚さが、1.5mm以上2.5mm以下の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載した表装材。
【請求項3】
前記吸熱性物質は、少なくとも一つの金属水酸化物を含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載した表装材。
【請求項4】
前記シート材の一方の面に積層された基布層を更に備え、
前記基布層は、織布又は不織布であることを特徴とする請求項1から請求項3のうちいずれか1項に記載した表装材。
【請求項5】
前記基布層は、ガラス繊維を用いて形成されていることを特徴とする請求項4に記載した表装材。
【請求項6】
不燃性基材と貼り合わせた状態で、ISO5660-1に準拠したコーンカロリーメータ試験機による発熱性試験において、建築基準法施工令第108条の2第1号及び第2号に記載の要件を満たす不燃材料であることを特徴とする請求項1から請求項5のうちいずれか1項に記載した表装材。
【請求項7】
請求項1から請求項6のうちいずれか1項に記載した表装材を製造する表装材の製造方法であって、
前記シート材を押出成形により加工することを特徴とする表装材の製造方法。
【請求項8】
請求項1から請求項6のうちいずれか1項に記載した表装材を製造する表装材の製造方法であって、
前記シート材を吹付け塗装により加工することを特徴とする表装材の製造方法。
【請求項9】
請求項1から請求項6のうちいずれか1項に記載した表装材を製造する表装材の製造方法であって、
前記シート材を型押し成形により加工することを特徴とする表装材の製造方法。
【請求項10】
請求項1から請求項6のうちいずれか1項に記載した表装材を製造する表装材の製造方法であって、
前記絵柄層を、インクジェット印刷法により形成することを特徴とする表装材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、建築物の内外壁表面や、床面等として好適な表装材と、表装材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建築物の内外壁表面や床面として好適な表装材としては、例えば、特許文献1に開示されている構成のものがある。特許文献1に開示されている構成は、不織布やガラスクロス、セラミックペーパー、合成紙等を用いて形成した基材層に、合成樹脂と、骨材(又は充填材)と、添加剤等を含む塗料を、吹き付けや成型等により基材層の上に一体化したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第2542992号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示されている構成では、基材部の自己消火性が低いため、建築物等の表装材として耐火性能が低いという問題がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、耐火性能を向上させることが可能な表装材と、表装材の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、合成樹脂類と、骨材と、吸熱性物質と、を含有するシート材を備え表装材である。合成樹脂類の含有量は、シート材の100質量%に対して6質量%以上12質量%以下の範囲内であり、骨材及び吸熱性物質の含有量は、シート材の100質量%に対して80質量%以上90質量%以下の範囲内である。
また、上記課題を解決するために、本発明の一態様は、合成樹脂類と、骨材と、吸熱性物質と、を含有するシート材を備える表装材を製造する表装材の製造方法であって、シート材を押出成形により加工する。
【0006】
また、上記課題を解決するために、本発明の一態様は、合成樹脂類と、骨材と、吸熱性物質と、を含有するシート材を備える表装材を製造する表装材の製造方法であって、シート材を吹付け塗装により加工する。
また、上記課題を解決するために、本発明の一態様は、合成樹脂類と、骨材と、吸熱性物質と、を含有するシート材を備える表装材を製造する表装材の製造方法であって、シート材を型押し成形により加工する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、耐火性能を向上させることが可能な表装材と、表装材の製造方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1実施形態における表装材の構成を示す断面図である。
図2】本発明の第2実施形態における表装材の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本技術の実施形態を説明する。図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付し、重複する説明を省略する。各図面は模式的なものであり、現実のものとは異なる場合が含まれる。以下に示す実施形態は、本技術の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本技術の技術的思想は、下記の実施形態に例示した装置や方法に特定するものでない。本技術の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることが可能である。また、以下の説明における「左右」や「上下」の方向は、単に説明の便宜上の定義であって、本発明の技術的思想を限定するものではない。よって、例えば、紙面を90度回転すれば「左右」と「上下」とは交換して読まれ、紙面を180度回転すれば「左」が「右」になり、「右」が「左」になることは勿論である。
【0010】
(第1実施形態)
以下、図1を参照して、表装材10の構成について説明する。
表装材10は、図1に示すように、シート材1と、基布層2を備える。
(シート材)
シート材1は、合成樹脂類と、骨材と、吸熱性物質を含有する。なお、シート材1には、合成樹脂類と、骨材と、吸熱性物質に加え、例えば、湿潤剤、分散剤、増粘剤、光安定剤、架橋剤を含有させてもよい。
シート材1の構成としては、例えば、天然石又はその砕石、着色骨材、寒水砂、セラミック砕粒から選択した骨材や充填材に加え、水酸化アルミニウム等の吸熱性物質を骨材又は充填材として使用し、合成樹脂成分を結合材としてシート化した構成とする。
【0011】
吸熱性物質は、熱分解する際に吸熱する物質である。吸熱性物質としては、例えば、
フッ化アルミニウム、水酸化アルミニウム、第二リン酸カルシウム、シュウ酸カルシウム、水酸化コバルト、ほう砂、水酸化マグネシウム、炭酸水素ナトリウム、塩化コバルトアンモニア錯体等を用いることが可能である。なお、水酸化アルミニウムとしては、天然鉱物を用いてもよい。水酸化アルミニウムとして用いる天然鉱物としては、ベーマイト、ギブサイト、ダイアスボアがある。
【0012】
第1実施形態では、吸熱性物質が、少なくとも一つの金属水酸化物を含む場合について説明する。
シート材1の風合いや加工性、ハンドリング性、不燃性等を考慮すると、結合材としての合成樹脂成分の含有量は、シート材1の100質量%に対して、6質量%以上12質量%以下の範囲内とすることが好ましい。また、骨材、充填材、吸熱性物質の含有量は、シート材1の100質量%に対して、80質量%以上90質量%以下の範囲内とすることが好ましい。特に、吸熱性物質は、シート材1の不燃性が発現する量を添加する必要がある。
シート材1の厚さは、特に制限はないが、シート材1の加工性や不燃性等を考慮して、1.5mm以上2.5mm以下の範囲内とする。
【0013】
(基布層)
基布層2は、シート材1の一方の面(図1中では、下方の面)に積層されている。
また、基布層2は、織布又は不織布である。
基布層2の材質としては、特に制限はないが、シート材1の不燃性を考慮すると、ガラス繊維やシリカ繊維等、耐熱性の高い繊維を使用することが好ましい。
第1実施形態では、基布層2の材質として、ガラス繊維を用いた場合について説明する。
【0014】
(表装材の不燃性)
第1実施形態の表装材10は、不燃性基材と貼り合わせた状態で、ISO5660-1に準拠したコーンカロリーメータ試験機による発熱性試験において、建築基準法施工令第108条の2第1号及び第2号に記載の要件を満たす不燃材料である。
具体的には、表装材10は、不燃性基材と貼り合わせた状態で50[kW/m]の輻射熱により20分間の加熱を行い、下記の1~3の要求項目を全て満たしている。
項目1.総発熱量が8[kW/m]以下
項目2.最高発熱速度が10秒以上継続して200[kW/m]を超えない
項目3.防炎上有害な裏面まで貫通する亀裂及び穴が生じない
なお、不燃性基材としては、石こうボード、繊維混入ケイ酸カルシウム板又は亜鉛メッキ鋼板から選択して用いることが可能である。
第1実施形態の表装材10であれば、シート材1の構成を上述した構成とすることで、不燃材料としての認定を取得することが可能である。なお、表装材10は、不燃性基材と貼り合わせないシート単体の状態でも、上記の発熱性試験において上記の要求項目1~3を全て満足するため、不燃材料としての認定を取得することが可能である。
【0015】
(表装材10の製造方法)
以下、図1を参照して、第1実施形態の表装材10を製造するための製造方法(表装材10の製造方法)を説明する。
まず、シート材1を、押出成形により加工して形成する。
次に、シート材1の一方の面に、基布層2を積層する。これにより、表装材10を製造する。
なお、上述した第1実施形態は、本発明の一例であり、本発明は、上述した第1実施形態に限定されることはなく、この実施形態以外の形態であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0016】
(第1実施形態の効果)
第1実施形態の表装材10であれば、以下に記載する効果を奏することが可能となる。
(1)合成樹脂類と、骨材と、吸熱性物質を含有するシート材1を備える。そして、合成樹脂類の含有量が、シート材1の100質量%に対して、6質量%以上12質量%以下の範囲内であり、骨材及び吸熱性物質の含有量が、シート材1の100質量%に対して、80質量%以上90質量%以下の範囲内である。
その結果、既存の表装材(例えば、石材表現可能な外装シート)に対して、骨材及び吸熱性物質の比率を高めることで、不燃性を付与することが可能となり、耐火性能を向上させることが可能な表装材10を提供することが可能となる。
【0017】
(2)シート材1の厚さが、1.5mm以上2.5mm以下の範囲内である。
その結果、シート材1の厚さを規定することで、不燃性と易施工性を両立することが可能となる。
(3)吸熱性物質が、少なくとも一つの金属水酸化物を含む。
その結果、シート材1に確実な不燃性を付与することが可能となる。
(4)シート材1の一方の面に積層された基布層2が、織布又は不織布である。
その結果、シート材1の生産性を向上させることが可能となる。
(5)基布層2が、ガラス繊維を用いて形成されている。
その結果、基布層2の材質を選定することで、シート材1に確実な不燃性を付与することが可能となる。
【0018】
(6)不燃性基材と貼り合わせた状態で、ISO5660-1に準拠したコーンカロリーメータ試験機による発熱性試験において、建築基準法施工令第108条の2第1号及び第2号に記載の要件を満たす不燃材料である。
その結果、不燃性試験の規格を満足することにより、不燃材として表装材10を利用することが可能となる。
また、第1実施形態の表装材の製造方法であれば、以下に記載する効果を奏することが可能となる。
(7)シート材1を、押出成形により加工する。
その結果、シート材1を押出成形により加工することで、シート材1の生産性を向上させることが可能となる。これに加え、耐火性能を向上させることが可能な表装材の製造方法を提供することが可能となる。
【0019】
(第1実施形態の変形例)
(1)第1実施形態では、シート材1を、押出成形により加工したが、これに限定するものではない。すなわち、シート材1を、吹付け塗装により加工してもよい。この場合、シート材1を吹付け塗装により加工することで、シート材1に対し、自然な立体感や風合いを付与することが可能となる。
(2)第1実施形態では、シート材1を、押出成形により加工したが、これに限定するものではない。すなわち、シート材1を、型押し成形により加工してもよい。この場合、シート材1を型押し成形により加工することで、シート材1に対し、立体形状等の様々な表面形状を付与することが可能となる。
【0020】
(第2実施形態)
以下、図2を参照して、表装材10の構成について説明する。なお、上述した第1実施形態と同様の構成については、説明を省略する場合がある。
表装材10は、図2に示すように、シート材1と、基布層2と、絵柄層4を備える。
以下、絵柄層4について説明する。
(絵柄層)
絵柄層4は、シート材1に積層されている。具体的に、絵柄層4は、図2において、シート材1の他方の面(図2では、上方の面)に積層されており、シート材1の表面全体を覆うように形成されている。なお、形成する絵柄に応じて、シート材1が露出した部分が存在していても構わない。また、シート材1と絵柄層4との間に、インク密着性を向上させるためのプライマー層を形成してもよい。
【0021】
絵柄層4は、印刷対象となるシート材1の種類に応じて、グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷等、公知の印刷方式を用いて形成することが可能である。特に、シート材1の表面が凹凸形状を有している場合は、非接触の印刷方式であるインクジェット印刷法を用いることが望ましい。
絵柄層4を形成するインクとしては、公知の材料を用いることが可能である。特に、インクジェット印刷法を用いる場合は、水系、溶剤系、UV系等各種従来公知のインクを用いることが可能であり、印刷対象となるシート材1の種類等に応じて、適宜選択することが可能である。ここで、インクの成分としては、着色剤としての顔料又は染料を含んでおり、用いるインクの色に合わせて従来公知の顔料(無機顔料、有機顔料、ブラック顔料等)、染料を用いることが可能である。
【0022】
無機顔料としては、例えば、酸化チタン、亜鉛華、硫化亜鉛、鉛白、炭酸カルシウム、沈降性硫酸バリウム、ホワイトカーボン、アルミナホワイト、カオリンクレー、タルク、ベントナイト、黒色酸化鉄等を用いることが可能である。また、例えば、カドミウムレッド、ベンガラ、モリブデンレッド、モリブデートオレンジ、クロムバーミリオン、黄鉛、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、チタンイエロー、酸化クロム等を用いることが可能である。さらに、例えば、ビリジアン、チタンコバルトグリーン、コバルトグリーン、コバルトクロムグリーン、ビクトリアグリーン等を用いることが可能である。これに加え、例えば、群青、紺青、コバルトブルー、セルリアンブルー、コバルトシリカブルー、コバルト亜鉛シリカブルー、マンガンバイオレット、及びコバルトバイオレット等を用いることが可能である。
【0023】
有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料、染料レーキ顔料、蛍光顔料等を用いることが可能である。
ブラック顔料としては、ファーネス法、チャネル法で製造されたカーボンブラック等を用いることが可能である。また、カーボンブラックの他にも、本発明で用いることが可能であるブラック顔料としては、例えば、アニリンブラック、ルモゲンブラック、アゾメチンアゾブラック等がある。また、シアン顔料、マゼンタ顔料、イエロー顔料や、ブラウン顔料、オレンジ顔料等の有彩色顔料を複数使用して、ブラック顔料とすることも可能である。
【0024】
染料としては、特に制限はなく、油性染料、分散染料、直接染料、酸性染料及び塩基性染料等を用いることが可能である。色相としては、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック、ブルー、グリーン、レッドが好ましく用いられ、特に好ましくは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各染料が好ましく用いられる。油溶性染料の中には、水溶性染料を長鎖の塩基と造塩することにより、油溶性を示す染料も含まれる。また、C.I.ディスパーズイエロー、C.I.ディスパーズレッド、C.I.ディスパーズブルー等の分散染料を用いることも可能である。特に、長期の耐候性を付与したい場合には、無機顔料を使用したインクを用いて形成することが望ましい。
【0025】
(表装材10の製造方法)
以下、図2を参照して、第2実施形態の表装材10を製造するための製造方法(表装材10の製造方法)を説明する。
まず、シート材1を、押出成形により加工して形成する。
次に、シート材1の他方の面に、絵柄層4を形成するためのインクを、インクジェット印刷法により塗布する。これにより、絵柄層4を形成する。すなわち、絵柄層4を、インクジェット印刷法により形成する。
ここで、インクジェット印刷法により塗布するインクとしては、カチオン硬化性UVインクジェットインキを用いる。すなわち、絵柄層4は、カチオン硬化性UVインクジェットインキを用いて形成する。
【0026】
また、カチオン硬化性UVインクジェットインキの構成は、顔料主成分として無機顔料を含む構成とする。
絵柄層4を形成した後、紫外線を照射することで、絵柄層4を硬化させる。
そして、シート材1の一方の面に、基布層2を積層する。これにより、表装材10を製造する。
なお、上述した第2実施形態は、本発明の一例であり、本発明は、上述した第2実施形態に限定されることはなく、この実施形態以外の形態であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0027】
(第2実施形態の効果)
第2実施形態の表装材10であれば、以下に記載する効果を奏することが可能となる。
(1)シート材1の他方の面に積層された絵柄層4を更に備える。
その結果、絵柄層4を設けることにより、貴重な石材を表現する等、意匠性を向上させることが可能となる。
また、第2実施形態の表装材の製造方法であれば、以下に記載する効果を奏することが可能となる。
(2)絵柄層4を、インクジェット印刷法により形成する。
その結果、絵柄層4をインクジェット印刷法により形成することで、シート材1の表面形状によらず、様々な絵柄を表現することが可能となる。
【実施例
【0028】
第1実施形態及び第2実施形態を参照しつつ、以下、実施例1から7の表装材と、比較例1から4の表装材について説明する。
(実施例1)
・シート材
シート材は、押出成形により、シート材の100質量%に対して、結合材としての合成樹脂成分を10質量%、着色細骨材を10質量%、水酸化アルミニウムを80質量%含有するシート状に形成した。シート材の厚さは、1.0mmとした。
・基布層
基布層は、シリカ繊維を用いて形成した。
【0029】
(実施例2)
・シート材
シート材は、押出成形により、シート材の100質量%に対して、結合材としての合成樹脂成分を10質量%、着色細骨材を10質量%、水酸化アルミニウムを80質量%含有するシート状に形成した。シート材の厚さは、2.0mmとした。
・基布層
基布層は、シリカ繊維を用いて形成した。
(実施例3)
・シート材
シート材は、押出成形により、シート材の100質量%に対して、結合材としての合成樹脂成分を10質量%、着色細骨材を10質量%、水酸化アルミニウムを80質量%含有するシート状に形成した。シート材の厚さは、1.0mmとした。
・基布層
基布層は、ガラス繊維を用いて形成した。
【0030】
(実施例4)
・シート材
シート材は、押出成形により、シート材の100質量%に対して、結合材としての合成樹脂成分を10質量%、着色細骨材を10質量%、水酸化アルミニウムを80質量%含有するシート状に形成した。シート材の厚さは、2.0mmとした。
・基布層
基布層は、ガラス繊維を用いて形成した。
(実施例5)
・シート材、基布層
シート材及び基布層は、実施例1と同様に形成した。
・絵柄層
絵柄層は、カチオン硬化性UVインクジェットインキを用いたインクジェット印刷法により、御影石調の意匠を印刷することで形成した。なお、カチオン硬化性UVインクジェットインキには、着色剤として無機顔料のみを使用した。絵柄層を積層したシート材は、反応を進行させるために、室温の環境下で24時間以上保管した。
【0031】
(実施例6)
・シート材
シート材は、吹付け塗装により、シート材の100質量%に対して、結合材としての合成樹脂成分を10質量%、着色細骨材を10質量%、水酸化アルミニウムを80質量%含有するシート状に形成した。シート材の厚さは、薄い箇所で1.5mmとし、厚い箇所で2.5mmとした。これにより、実施例3の表装材は、表面に凹凸形状が付与されており、自然な風合いが表現されていた。
・基布層
基布層は、ガラス繊維を用いて形成した。
【0032】
(実施例7)
・シート材
シート材は、型押し成形により、シート材の100質量%に対して、結合材としての合成樹脂成分を10質量%、着色細骨材を10質量%、水酸化アルミニウムを80質量%含有するシート状に形成した。シート材の厚さは、薄い箇所で1.7mmとし、厚い箇所で2.4mmとした。これにより、実施例4の表装材は、表面に杉の木目模様が立体的に表現されており、実際の木材を再現したような意匠が表現されていた。
・基布層
基布層は、ガラス繊維を用いて形成した。
【0033】
(比較例1)
シート材を、シート材の100質量%に対して、結合材としての合成樹脂成分を30質量%、着色細骨材を70質量%含有するシート状に形成した点を除き、実施例1と同様に形成した。
(比較例2)
シート材を、シート材の100質量%に対して、結合材としての合成樹脂成分を5質量%、着色細骨材を15質量%、水酸化アルミニウムを80質量%含有するシート状に形成した点を除き、実施例1と同様に形成した。
(比較例3)
シート材の厚さを10mmとした点を除き、比較例1と同様に形成した。
(比較例4)
シート材の厚さを10mmとした点を除き、比較例2と同様に形成した。
【0034】
(性能評価、評価結果)
実施例1から7の表装材と、比較例1から4の表装材に対し、それぞれ、不燃性、成形性、意匠性を評価した。評価方法としては、以下に記載した方法を用いた。
<不燃性>
ISO5660-1に準拠したコーンカロリーメータ試験機による発熱性試験を行なった。具体的には、不燃性基材と貼り合わせた状態で、50[kW/m]の輻射熱による加熱を20分間行い、上述した項目1~3を全て満たすか否かを評価した。
なお、不燃性基材としては、石こうボードを使用した。
<成形性>
目視にて、シート材としての仕上がりを評価した。
<意匠性>
印刷表現を施した表装材を、目視にて評価することで、印刷意匠を評価した。
【0035】
(評価基準)
◎:各項目に対し、表装材の作製時・表装材の加工時に何ら不具合を生じず、品質が高い。
〇:各項目に対し、表装材の作製時・表装材の加工時に何ら不具合を生じない。
△:各項目に対し、条件によっては表装材の作製又は表装材の加工に不具合を生じるが、使用する上での問題は無い。
×:各項目に対し、不具合を生じる。
なお、「×」の評価がある表装材は、表装材全体として不合格とした。
【0036】
【表1】
【0037】
表1に示すように、実施例1から7の表装材は、いずれの評価試験においても優れた性能を示し、表装材として問題の無い結果を示した。一方、比較例1から4の表装材は、少なくとも一つの評価試験において、不合格の要素を持ち、表装材として不適格な結果を示した。
【符号の説明】
【0038】
1…シート材、2…基布層、4…絵柄層、10…表装材
図1
図2