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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】画像形成装置及び画像定着方法
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/20 20060101AFI20231226BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
G03G15/20 510
G03G21/00 370
G03G21/00 500
G03G21/00 510
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019228869
(22)【出願日】2019-12-19
(65)【公開番号】P2021096411
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-09-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】土井 洋平
【審査官】山下 清隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-059328(JP,A)
【文献】特開2009-237328(JP,A)
【文献】特開2017-059327(JP,A)
【文献】特開2015-099269(JP,A)
【文献】特開2014-228731(JP,A)
【文献】特開2019-164343(JP,A)
【文献】特開2004-234997(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/20
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度の上昇に応じて出力電力の減少幅が閾値未満となる特性を有する第1加熱源と、前記第1加熱源よりも加熱可能な範囲が広く、かつ、温度の上昇に応じて出力電力の減少幅が閾値以上となる特性を有する第2加熱源とを備える定着器と、
印刷対象となるシートのサイズに応じて、前記第1加熱源と前記第2加熱源のいずれか一方を制御して印刷を行う制御部と、
を備え
前記制御部は、前記第1加熱源及び前記第2加熱源のいずれか一方が故障している場合には、前記印刷対象のシートのサイズによらず、故障していない加熱源を制御して前記印刷を行う画像形成装置。
【請求項2】
前記第1加熱源は、第1サイズを加熱可能な幅を有し、
前記第2加熱源は、前記第1サイズよりも大きい第2サイズを加熱可能な幅を有し、
前記制御部は、前記第1サイズ以下のシートの印刷を行う場合には前記第1加熱源を制御して印刷を行い、前記第2サイズのシートの印刷を行う場合には前記第2加熱源を制御して印刷を行う、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記定着器は、温度情報を取得する温度センサを備え、
前記制御部は、前記温度センサにより得られる前記温度情報に基づいて故障を判定する、請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、制御対象となる前記第1加熱源又は前記第2加熱源に対する温度制御が行われた後に前記温度センサにより取得された前記温度情報が所定の温度以下である場合に前記制御対象となる前記第1加熱源又は前記第2加熱源が故障であると判定する、請求項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
印刷対象となるシートのサイズに応じて、温度の上昇に応じて出力電力の減少幅が閾値未満となる特性を有する第1加熱源と、前記第1加熱源よりも加熱可能な範囲が広く、かつ、温度の上昇に応じて出力電力の減少幅が閾値以上となる特性を有する第2加熱源のいずれか一方を制御して印刷を行い、
前記第1加熱源及び前記第2加熱源のいずれか一方が故障している場合には、前記印刷対象のシートのサイズによらず、故障していない加熱源を制御して前記印刷を行う画像定着方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、画像形成装置及び画像定着方法に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置における連続印刷による定着器の非通紙領域の端部の温度上昇対策として、特定の抵抗温度係数の面状ヒータが用いられている。ここで用いられる面状ヒータは、ヒータの温度が高くなると出力電力が大きく減少する特性を有する面状ヒータである。このような面状ヒータでは、通紙領域の電力出力が低下してしまうことにより効率よく印刷が行えない場合があった。これは、面状ヒータに限らず、温度が高くなると出力電力が減少する特性を有する加熱源全てに生じ得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-17016号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、効率よく印刷を行うことができる画像形成装置及び画像定着方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の画像形成装置は、定着器と、制御部とを持つ。定着器は、温度の上昇に応じて出力電力の減少幅が閾値未満となる特性を有する第1加熱源と、前記第1加熱源よりも加熱可能な範囲が広く、かつ、温度の上昇に応じて出力電力の減少幅が閾値以上となる特性を有する第2加熱源とを備える。制御部は、印刷対象となるシートのサイズに応じて、前記第1加熱源と前記第2加熱源のいずれか一方を制御して印刷を行う。前記制御部は、前記第1加熱源及び前記第2加熱源のいずれか一方が故障している場合には、前記印刷対象のシートのサイズによらず、故障していない加熱源を制御して前記印刷を行う。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態の画像形成装置の全体構成例を示す図。
図2】実施形態の定着器の内部構成を説明するための図。
図3】実施形態における第1加熱源及び第2加熱源のサイズを比較した一例を示す図。
図4】実施形態における第1加熱源及び第2加熱源における抵抗温度係数の違いを説明するための図。
図5】実施形態の画像形成装置のハードウェア構成を示すブロック図。
図6】実施形態における画像形成装置が行う画像定着処理の流れを示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の画像形成装置及び画像定着方法を、図面を参照して説明する。
図1は、実施形態の画像形成装置1の全体構成例を示す図である。実施形態の画像形成装置1は、複合機(MFP;Multi Function Peripheral)である。画像形成装置1は、画像形成処理及び画像定着処理による印刷を実行する。画像形成処理は、シート上に画像を形成する処理である。画像定着処理は、シート上に形成された画像を定着する処理である。シートは、例えば文字や画像などが形成される紙などである。シートは、画像形成装置1が画像形成できる物であればどのような物であってもよい。
【0008】
画像形成装置1は、画像読取部10、コントロールパネル20、画像形成部30、シート収容部40、定着器50、搬送ローラ61a,61b、排紙ローラ62a,62b及び制御装置70を備える。
画像読取部10は、原稿上の読み取り対象の画像を光の明暗として読み取る。例えば、画像読取部10は、原稿読み取り台にセットされた読み取り対象のシートに印刷されている画像を読み取る。画像読取部10は、読み取った画像情報を記録する。記録された画像情報は、ネットワークを介して他の情報処理装置に送信されてもよい。記録された画像情報は、印刷データとして画像形成部30によってシート上に画像形成されてもよい。
【0009】
コントロールパネル20は、表示部および操作部を備える。表示部は、液晶ディスプレイおよび有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の表示装置である。表示部は、制御装置70の制御に応じて、画像形成装置1に関する種々の情報を表示する。操作部は、複数のボタンなどを備える。操作部は、ユーザの操作を受け付ける。例えば、操作部は、印刷の実行指示を受け付ける。操作部は、ユーザによって行われた操作に応じた信号を制御装置70に出力する。なお、表示部と操作部とは一体のタッチパネルとして構成されてもよい。
【0010】
画像形成部30は、画像形成処理を実行する。具体的には、画像形成部30は、画像読取部10によって生成された画像情報又は通信路を介して受信された画像情報に基づく画像をシート上に形成する。例えば、画像形成部30は、トナーによりシート上にトナー像を形成する。
【0011】
画像形成部30は、転写ベルト31、露光部32、複数の現像器33(現像器33Y、33M、33C及び33K)、複数の感光体ドラム34(感光体ドラム34Y、34M、34C及び34K)及び転写部35を備える。
転写ベルト31は、無端状の中間転写体である。転写ベルト31は、ローラの回転により矢印で示す方向(反時計回り)に回転する。
【0012】
露光部32は、現像器33と帯電器(不図示)の間の感光体ドラム34に対向する位置に設けられる。露光部32は、各感光体ドラム34Y、34M、34C及び34Kの表面(感光体層)に対して、画像情報に基づいたレーザ光を照射する。感光体ドラムに対してレーザ光が走査する方向が主走査方向であり、その主走査方向と直交する方向が副走査方向である。例えば、本実施形態において、主走査方向は感光体ドラムの軸方向と一致し、副走査方向は転写ベルトの回転方向と一致する。
【0013】
レーザ光の照射により、各感光体ドラム34Y、34M、34C及び34Kの表面(感光体層)上の電荷が消失する。この結果、感光体ドラム34Y、34M、34C及び34Kの表面には、レーザ光が照射された位置に静電気のパターンが形成される。すなわち、露光部32によるレーザ光の照射によって、感光体ドラム34Y、34M、34C及び34Kの表面には、静電潜像が形成される。なお、露光部32は、レーザ光の代わりに、LED(Light Emitting Diode)光を用いてもよい。
【0014】
現像器33Y、33M、33C及び33Kは、トナーを感光体ドラム34Y、34M、34C及び34Kに供給する。例えば、現像器33Yは、感光体ドラム34Yの表面上の静電潜像をイエロー(Y)により現像する。また、現像器33Mは、感光体ドラム34Mの表面上の静電潜像をマゼンタ(M)により現像する。また、現像器33Cは、感光体ドラム34Cの表面上の静電潜像をシアン(C)により現像する。また、現像器33Kは、感光体ドラム34Kの表面上の静電潜像をブラック(K)のトナーにより現像する。
【0015】
現像器33Y、33M、33C及び33Kは、感光体ドラム34Y、34M、34C及び34K上に可視像としてのトナー像を形成する。感光体ドラム34Y、34M、34C及び34K上に形成されたトナー像は、不図示の複数の1次転写ローラにより転写ベルト31上に転写(1次転写)される。1次転写ローラは、転写ベルト31を挟んで感光体ドラム34Y、34M、34C及び34Kそれぞれに対向する位置に複数設けられる。
【0016】
転写部35は、支持ローラ35a及び2次転写ローラ35bを有する。転写部35は、転写ベルト31上のトナー像を2次転写位置Uにおいてシート41に転写する。2次転写位置Uは、支持ローラ35a及び2次転写ローラ35bが転写ベルト31を挟んで対向する位置である。転写部35は、転写電流によって制御する転写バイアスを転写ベルト31に与える。転写部35は、転写バイアスにより転写ベルト31上のトナー像をシート41に転写する。転写電流は、制御装置70により制御される。
【0017】
シート収容部40は、単数又は複数の給紙カセットを備える。給紙カセットは、所定のサイズ及び所定の種類のシート41を収納する。給紙カセットは、ピックアップローラを備える。ピックアップローラは、給紙カセットからシート41を1枚ずつ取り出す。ピックアップローラは、取り出したシート41を搬送部80へ供給する。
【0018】
定着器50は、画像定着処理を実行する。具体的には、定着器50は、シート41に対して加熱及び加圧を行うことによって、シート41上に形成された画像(例えば、トナー像)をシート41に定着させる。
【0019】
搬送ローラ61a及び61bは、給紙カセットから給紙されたシート41を画像形成部30へ供給する。搬送ローラ61a及び61bは、対向する位置に設置される。
排紙ローラ62a及び62bは、定着器50によって画像が形成されたシート41を排出部に排紙する。排紙ローラ62a及び62bは、対向する位置に設置される。
【0020】
制御装置70は、画像形成装置1の各機能部を制御する。
搬送部80は、シート41を搬送する。搬送部80は、搬送路と、不図示の複数のローラを備える。搬送路は、シート41が搬送される経路である。ローラは、制御装置70の制御に応じて回転することによってシート41を搬送する。
【0021】
図2は、実施形態の定着器50の内部構成を説明するための図である。定着器50は、定着ベルト51、プレスローラ52、第1加熱源53、第2加熱源54及び温度センサ55を備える。
定着ベルト51は、シート41に対して熱を与える。定着ベルト51は、内部に備える第1加熱源53または第2加熱源54が通電されることにより発する熱で温められる。第1加熱源53及び第2加熱源54は、互いにサイズ及び抵抗温度係数が異なる。定着ベルト51は、制御装置70の制御に応じて、反時計回りに回転する。第1加熱源53及び第2加熱源54は、定着器50内に並列に配置される。
【0022】
プレスローラ52は、定着ベルト51と対向して設置される。プレスローラ52は、シート41を定着ベルト51に押圧する。
第1加熱源53は、表面に発熱抵抗体が設けられた面状のヒータである。第1加熱源53は、制御装置70からの通電の有無に応じて、点灯又は消灯する。第1加熱源53は、温度の変化に応じて出力電力の変化が閾値未満となる抵抗温度係数(TCR)特性を有するヒータである。すなわち、第1加熱源53は、ヒータの温度が高くなっても出力電力の減少幅が閾値未満となる特性を有する。そのため、第1加熱源53は、ヒータ自身が高温になっても出力電力が低下しづらい。第1加熱源53のヒータ幅は、印刷頻度が高いシートサイズ(以下「第1サイズ」という。)を加熱可能な幅であればよい。第1サイズは、例えば、A4RやA4等である。
【0023】
第2加熱源54は、表面に発熱抵抗体が設けられた面状のヒータである。第2加熱源54は、制御装置70からの通電の有無に応じて、点灯又は消灯する。第2加熱源54は、温度の変化に応じて出力電力の変化が閾値以上となる抵抗温度係数特性を有するヒータである。すなわち、第2加熱源54は、ヒータの温度が高くなると出力電力が大きく減少する特性を有する特性を有する。そのため、第2加熱源54は、ヒータ自身が高温になると出力電力が低下しやすい。第2加熱源54のヒータ幅は、第1サイズよりも大きいサイズ(以下「第2サイズ」という。)のシートを加熱可能な幅であればよい。第2サイズのシートは、例えば、A3等である。
【0024】
上記のように、第1加熱源53は、第2加熱源54と比べて抵抗温度係数が低いヒータである。抵抗温度係数が低いということは、連続印刷が行われた場合であっても、出力電力を維持して印刷することができる。そこで、画像形成装置1は、第1サイズを印刷する場合には、抵抗温度係数が低い第1加熱源53を利用する。一方で、第1加熱源53でシート全体を加熱することが難しい第2サイズの場合には、画像形成装置1は第2加熱源54を利用する。
温度センサ55は、定着ベルト51の温度を測定する。温度センサ55は、測定した定着ベルト51の温度を制御装置70に送信する。
【0025】
図3は、実施形態における第1加熱源53及び第2加熱源54のサイズを比較した一例を示す図である。
図3に示すように、第1加熱源53は、第1サイズの紙幅全体を加熱可能な第1幅を有する。第2加熱源54は、第2サイズの紙幅全体を加熱可能な第2幅を有する。
【0026】
図4は、実施形態における第1加熱源53及び第2加熱源54における抵抗温度係数の違いを説明するための図である。
図4の横軸は加熱源の温度を表し、縦軸は加熱源の出力電力を表す。図4には、2つの線61及び62が示されている。線61は、温度の変化に応じて出力電力の変化が閾値未満となる抵抗温度係数特性を有する、すなわち第1加熱源53における温度と出力電力との関係を表す線である。線62は、温度の変化に応じて出力電力の変化が閾値以上となる抵抗温度係数特性を有する、すなわち第2加熱源54における温度と出力電力との関係を表す線である。図4からも明らかなように、第2加熱源54は、温度の変化に応じて出力電力の変化が大きい。このような場合には、高生産性を実現することが困難になる。一方で、第1加熱源53は、温度が上昇しても、出力電力がほぼ変換しない。そのため、連続印刷により第1加熱源53の温度が上昇したとしても印刷を継続することができる。その結果、高生産性を実現することができる。
【0027】
図5は、実施形態の画像形成装置1のハードウェア構成を示すブロック図である。なお、図5では、本実施形態における画像形成装置1の特徴的なハードウェア構成のみ示している。
画像形成装置1は、画像読取部10、コントロールパネル20、画像形成部30、シート収容部40、定着器50、エンジンコントローラ60、制御装置70、補助記憶装置120及びネットワークインタフェース130を備える。各機能部は、システムバス11を介してデータ通信可能に接続されている。
【0028】
画像読取部10、コントロールパネル20、画像形成部30、シート収容部40及び定着器50については説明を省略する。以下、制御装置70、補助記憶装置120及びネットワークインタフェース130について説明する。
制御装置70は、制御部71、ROM(Read Only Memory)72及びRAM(Random Access Memory)73を備える。制御部71は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やGPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサである。制御部71は、画像形成装置1の各機能部の動作を制御する。制御部71は、ROM72に記憶されたプログラムをRAM73に展開して実行することによって各種の処理を実行する。なお、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)が、制御部71が実現する適宜の機能を担ってもよい。ASICは、特定の機能を実現するための専用の回路である。
【0029】
例えば、制御部71は、印刷対象となるシートのサイズに応じて、第1加熱源53と第2加熱源54のいずれか一方を制御して印刷を行う。例えば、制御部71は、第1サイズのシートの印刷を行う場合には第1加熱源53を制御して印刷を行う。例えば、制御部71は、第2サイズのシートの印刷を行う場合には第2加熱源54を制御して印刷を行う。例えば、制御部71は、第1加熱源53または第2加熱源54のいずれか一方が故障している場合には、コントロールパネル20の表示を制御する。
【0030】
ROM72は、制御部71を動作させるためのプログラムを記憶する。RAM73は、画像形成装置1が備える各機能部が用いるデータを一時的に記憶するメモリである。なお、RAM73は、画像読取部10が生成するデジタルデータを記憶してもよい。RAM73は、ジョブ及びジョブログを一時的に記憶してもよい。
【0031】
補助記憶装置120は、例えばハードディスク又はSSD(solid state drive)であり、各種データを記憶する。各種データは、例えばデジタルデータ、ジョブ及びジョブログなどである。
【0032】
ネットワークインタフェース130は、他の装置との間でデータの送受信を行う。ここで、他の装置とは、例えばパーソナルコンピュータ等の情報処理装置である。ネットワークインタフェース130は、入力インタフェースとして動作し、他の装置から送信される印刷データ、又は、指示を受信する。他の装置から送信される指示としては、印刷の実行指示などである。また、ネットワークインタフェース130は、出力インタフェースとして動作し、他の装置に対してデータを送信する。
【0033】
図6は、実施形態における画像形成装置1が行う画像定着処理の流れを示すフローチャートである。図6に示す処理は、画像形成装置1に対して印刷の実行指示がなされた場合に実行される。
制御部71は、印刷の実行指示により指定された印刷サイズを判定する(ACT101)。具体的には、制御部71は、印刷の実行指示により指定された印刷サイズが、第1サイズ以下であるか第2サイズであるかを判定する。印刷の実行指示により指定された印刷サイズが第1サイズ以下である場合(ACT101:第1サイズ以下)、制御部71はACT102を実行する。
一方、印刷の実行指示により指定された印刷サイズが第2サイズである場合(ACT101:第2サイズ)、制御部71はACT108を実行する。
【0034】
制御部71は、第1加熱源53の温度制御を実行する(ACT102)。具体的には、制御部71は、第1加熱源53に対して電力を供給することによって、第1加熱源53の温度を上昇させる。制御部71は、第1加熱源53の温度が上昇するまで所定の期間待機する。所定の期間は、加熱源に対する温度制御がなされてから加熱源の温度がレディ温度に到達可能な時間よりも長いことが好ましい。制御部71は、所定の期間経過後に温度センサ55により得られる温度情報に基づいて、定着ベルト51の温度がレディ温度に到達したか否かを判定する(ACT103)。
【0035】
レディ温度に到達した場合(ACT103:YES)、定着器50は第1加熱源53による定着処理を行う(ACT104)。具体的には、制御部71は、定着ベルト51の温度がレディ温度に到達した場合、各種ローラを制御してシートを定着器50に搬送させる。シートが定着器50を通過することにより、シート上に形成された画像がシートに定着する。この際、加熱されている加熱源は第1加熱源53であるため、第1加熱源53による定着処理が実行されたことになる。その後、定着されたシートがされて図6の処理が終了する。
【0036】
ACT103の処理において、レディ温度に到達していない場合(ACT103:NO)、制御部71は第1加熱源53の故障と判定する(ACT105)。その後、制御部71は、コントロールパネル20の表示を制御する(ACT106)。具体的には、制御部71は、第1加熱源53が故障のため印刷速度が低下してもよければ印刷可能であることを示す情報を、コントロールパネル20の画面上に表示させる。その後、制御部71は、印刷の実行指示がなされたか否かを判定する(ACT107)。
【0037】
印刷の実行指示がなされた場合(ACT107:YES)、制御部71はACT108を実行する。
一方、印刷の実行指示がなされなかった場合(ACT107:NO)、図6の処理を終了する。ここで、印刷の実行指示がなされなかった場合とは、印刷を終了する指示がなされた場合や予め定められた期間中に操作がなされなかった場合である。
【0038】
制御部71は、ACT108の処理として、第2加熱源54の温度制御を実行する(ACT108)。具体的には、制御部71は、第2加熱源54に対して電力を供給することによって、第2加熱源54の温度を上昇させる。制御部71は、第2加熱源54の温度が上昇するまで所定の期間待機する。制御部71は、所定の期間経過後に温度センサ55により得られる温度情報に基づいて、定着ベルト51の温度がレディ温度に到達したか否かを判定する(ACT109)。
【0039】
レディ温度に到達した場合(ACT109:YES)、定着器50は第2加熱源54による定着処理を行う(ACT110)。具体的には、制御部71は、定着ベルト51の温度がレディ温度に到達した場合、各種ローラを制御してシートを定着器50に搬送させる。シートが定着器50を通過することにより、シート上に形成された画像がシートに定着する。この際、加熱されている加熱源は第2加熱源54であるため、第2加熱源54による定着処理が実行されたことになる。その後、定着されたシートがされて図6の処理が終了する。
【0040】
ACT109の処理において、レディ温度に到達していない場合(ACT109:NO)、制御部71は第2加熱源54の故障と判定する(ACT111)。
その後、制御部71は、第1加熱源53が故障しているか否かを判定する(ACT112)。具体的には、制御部71は、第2加熱源54と同様に第1加熱源53の温度制御を行ってレディ温度に到達したか否かに応じて第1加熱源53が故障しているか否かを判定する。例えば、制御部71は、所定の期間経過後にレディ温度に到達した場合には第1加熱源53が故障していないと判定する。一方、制御部71は、所定の期間経過後にレディ温度に到達していない場合には第1加熱源53が故障していると判定する。
【0041】
第1加熱源53が故障している場合(ACT112:YES)、制御部71は加熱源の故障に対するサービスマンコールを行う(ACT113)。具体的には、制御部71は、第1加熱源53及び第2加熱源54の両方が故障している場合には、故障情報を外部に出力する。例えば、制御部71は、画像形成装置1に備えられるエラーランプを点滅させる。例えば、制御部71は、コントロールパネル20の画面上にエラーを表示する。
一方、第1加熱源53が故障していない場合(ACT112:NO)、制御部71は、コントロールパネル20の表示を制御する(ACT113)。具体的には、制御部71は、第2加熱源54が故障のため第1サイズ以下のサイズであれば印刷可能であることを示す情報を、コントロールパネル20の画面上に表示させる。その後、制御部71は、印刷の実行指示がなされたか否かを判定する(ACT115)。
印刷の実行指示がなされた場合(ACT115:YES)、制御部71はACT102以降の処理を実行する。
一方、印刷の実行指示がなされなかった場合(ACT115:NO)、図6の処理を終了する。
【0042】
以上のように構成された画像形成装置1によれば、効率よく印刷を行うことが可能になる。具体的には、画像形成装置1は、印刷対象となるシートのサイズに応じて、第1加熱源53と第2加熱源54のいずれか一方を制御して印刷を行う。第1加熱源53は、例えば第1サイズを加熱可能な幅を有し、ヒータの温度が高くなっても出力電力の減少幅が閾値未満となる特性を有する。第2加熱源54は、例えば第1サイズよりも大きい第2サイズを加熱可能な幅を有し、ヒータの温度が高くなると出力電力が大きく減少する特性を有する特性を有する。そして、画像形成装置1は、印刷対象となるシートのサイズに応じて使用する加熱源を切り替える。これにより、全てのサイズのシートを第2加熱源54で印刷することがない。したがって、通紙領域の電力出力の低下に伴う印刷枚数の低下を抑制することができる。また、第1加熱源53は、ヒータの温度が高くなっても出力電力の減少幅が閾値未満となる特性を有するため、連続印刷を行っても著しく出力電力が低下することがない。すなわち、第1サイズ以下であれば高生産性を実現することができる。そのため、効率よく印刷を行うことが可能になる。
【0043】
画像形成装置1は、第1サイズ以下の印刷を行う場合には、第1サイズの範囲を加熱する。これにより、常に第2サイズの範囲を加熱するのに比べて省エネルギー化を実現することができる。
画像形成装置1は、加熱源を複数有する。そのため、画像形成装置1は、第1加熱源53が故障した場合であっても、第2加熱源54により印刷を行うことで継続して印刷が可能になる。さらに、加熱源を切り替えて継続して印刷を行うため、故障している加熱源が修理されるまでユーザの不便さを低減することができる。
【0044】
画像形成装置1は、温度センサ55による温度情報に基づいて加熱源の故障を判定する。これにより、加熱源の故障を追加の回路不要で判定することができる。
【0045】
以下、画像形成装置1の変形例について説明する。
第1加熱源53は、抵抗温度係数特性を有していないヒータでもよい。
第1加熱源53は、温度の変化に応じて出力電力の変化が閾値未満となる抵抗温度係数特性を有していれば、ハロゲンランプを有するヒータランプ又は誘導加熱方式でもよい。
第2加熱源54は、温度の変化に応じて出力電力の変化が閾値以上となる抵抗温度係数特性を有していれば、ハロゲンランプを有するヒータランプ又は誘導加熱方式でもよい。
【0046】
上述した実施形態における画像形成装置1の一部の機能をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録する。そして、上述したプログラムを記録した記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、オペレーティングシステムや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、可搬媒体や記憶装置等のことをいう。可搬媒体は、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等である。また、記憶装置は、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等である。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するものである。通信回線は、インターネット等のネットワークや電話回線等である。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」は、サーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリであってもよい。揮発性メモリは、一定時間プログラムを保持しているものである。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。また上記プログラムは、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよい。
【0047】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0048】
1…画像形成装置,50…定着器,51…定着ベルト,52…プレスローラ,53…第1加熱源,54…第2加熱源,70…制御装置,71…制御部
図1
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図5
図6