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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】空調ダクト
(51)【国際特許分類】
   F24F 13/02 20060101AFI20231226BHJP
   F16L 3/26 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
F24F13/02 H
F24F13/02 F
F24F13/02 A
F16L3/26
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020030063
(22)【出願日】2020-02-26
(65)【公開番号】P2021134960
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2022-11-14
(73)【特許権者】
【識別番号】591029921
【氏名又は名称】フジモリ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085556
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100115211
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 三十義
(72)【発明者】
【氏名】村田 孝友
(72)【発明者】
【氏名】京井 貴史
(72)【発明者】
【氏名】望月 勇佑
(72)【発明者】
【氏名】戸泉 正行
(72)【発明者】
【氏名】中澤 元宏
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-080154(JP,A)
【文献】実開昭57-042277(JP,U)
【文献】特開平05-001843(JP,A)
【文献】特開2007-247944(JP,A)
【文献】特開2019-113265(JP,A)
【文献】特開2019-113266(JP,A)
【文献】特開2011-085348(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 13/02
F16L 3/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物に設けられる空調ダクトであって、
長さ12メートルの吊区間の両端に設定された吊支点が耐震支持構造を介して前記建物に対して吊支持され、かつ前記耐震支持構造の水平な支持梁の上面に載せられただけで固定はされていない状態で前記吊支点に長さ方向と直交する横方向の振動が入力された場合、前記吊支点における入力加速度に対する前記吊区間の中央部における応答加速度の応答倍率が最大になる振動の周波数が、2.2Hz~3.0Hzであり、
密度20kg/m ~50kg/m の硬質発泡樹脂を主材として含み、外寸幅200mm~1550mm、外寸高さ200mm~1550mm、壁厚10mm~50mm、壁1m あたりの重さ0.5kg/m ~1.5kg/m の四角形断面の角筒状である空調ダクト。
【請求項2】
前記応答加速度の応答倍率が最大になる振動の周波数が、2.42Hz~2.83Hzである請求項1に記載の空調ダクト。
【請求項3】
建物に設けられる空調ダクトであって、
長さ12メートルの吊区間の両端に設定された吊支点が耐震支持構造を介して前記建物に対して吊支持され、かつ前記耐震支持構造の水平な支持梁の上面に載せられただけで固定はされていない状態で前記吊支点に長さ方向と直交する横方向の振動が入力された場合、前記吊支点における入力変位に対する前記吊区間の中央部における応答変位の応答倍率が最大になる振動の周波数が、2.5Hz~3.0Hzであり、
密度20kg/m ~50kg/m の硬質発泡樹脂を主材として含み、外寸幅200mm~1550mm、外寸高さ200mm~1550mm、壁厚10mm~50mm、壁1m あたりの重さ0.5kg/m ~1.5kg/m の四角形断面の角筒状である空調ダクト。
【請求項4】
前記応答変位の応答倍率が最大になる振動の周波数が、2.56Hz~2.81Hzである請求項3に記載の空調ダクト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物などの空調に用いる空調ダクトに関する。
【背景技術】
【0002】
オフィスビルなどの建物には、通常、空調ダクトを含む空調設備が設けられている(特許文献1,2等参照)。特許文献1,2には、ダクト内を通る気流による振動を抑制するための空調ダクトの構造が提案されている。これら特許文献1、2のダクト材は、一般的な亜鉛メッキ鋼板によって構成されている。
非特許文献1によれば、空調ダクトは12m以内に1か所、耐震支持を設けることとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-195266号公報
【文献】特開2010-048449号公報
【非特許文献】
【0004】
【文献】建築設備耐震設計・施工指針2014年版72ページ、一般社団法人日本建築センター刊
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的な鋼板製の空調ダクトにおいては、非特許文献1の指針に従って耐震支持が設計・施行されている。しかし、より高い耐震性を有する空調ダクトが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明は、建物に設けられる空調ダクトであって、
長さ12メートルの吊区間の両端に設定された吊支点が耐震支持構造を介して前記建物に対して吊支持された状態で前記吊支点に長さ方向と直交する横方向の振動が入力された場合、前記吊支点における入力加速度に対する前記吊区間の中央部における応答加速度の応答倍率が最大になる振動の周波数が、2.2Hz~3.0Hzであることを第1特徴とする。
前記応答加速度の応答倍率が最大になる振動の周波数が、2.42Hz~2.83Hzであることが好ましい。
【0007】
また、本発明は、建物に設けられる空調ダクトであって、
長さ12メートルの吊区間の両端に設定された吊支点が耐震支持構造を介して前記建物に対して吊支持された状態で前記吊支点に長さ方向と直交する横方向の振動が入力された場合、前記吊支点における入力変位に対する前記吊区間の中央部における応答変位の応答倍率が最大になる振動の周波数が、2.5Hz~3.0Hzであることを第2特徴とする。
前記応答変位の応答倍率が最大になる振動の周波数が、2.56Hz~2.81Hzであることが好ましい。
【0008】
前記空調ダクトは、硬質発泡樹脂を主材として含むことが好ましい。
硬質発泡樹脂の成分としては、ポリイソシアネート、ポリオレフィンなどが挙げられる。
前記硬質発泡樹脂は、空調ダクトの実部(空調路を除く部分)の断面の少なくとも半分以上を占め、好ましくは8割以上を占め、より好ましくは9割以上を占める。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、耐震性の高い空調ダクトを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る空調ダクトを含む空調設備の側面図である。
図2図2は、図1のII-II線に沿う、前記空調設備の断面図である。
図3図3は、実施例及び比較例における応答加速度の最大応答倍率と周波数との関係の測定結果を示すグラフである。
図4図4は、実施例及び比較例における応答変位の最大応答倍率と周波数との関係の測定結果を示すグラフである。
図5(a)】図5(a)は、実施例における、揺れの強さを220galに設定したときの周波数に対する応答倍率の測定結果を示すグラフである。
図5(b)】図5(b)は、実施例における、揺れの強さを240galに設定したときの周波数に対する応答倍率の測定結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態を図面にしたがって説明する。
図1に示すように、例えばオフィスビルなどの建物Bには、空調ダクト1を含む空調設備が設置されている。空調ダクト1は、一列に並べられた複数のダクト部材11と、隣接するダクト部材11を連ねる連接部材12を含む。
【0012】
図2に示すように、各ダクト部材11は、例えば四角形断面の角筒状になっている。ダクト部材11の4つの壁部11aの互いに隣接する縁部が斜め45°にカットされ、隣接する壁部11aどうしが直角に接合されている。
【0013】
ダクト部材11の主材、ひいては空調ダクト1の主材は、好ましくは硬質発泡樹脂である。硬質発泡樹脂製の空調ダクト1は、グラスウール製の空調ダクトと比べて固く、鉄板製の空調ダクトと比べて軽量である。
硬質発泡樹脂の成分としては、ポリイソシアヌレート、ポリオレフィン、ウレタン、フェノールなどが挙げられ、好ましくはポリイソシアヌレートである。
硬質発泡樹脂は、少なくとも自立性及び保形性を有し、さらに断熱性、自己消化性に富んでいることが好ましい。
硬質発泡樹脂の気泡構造は、独立気泡であることが好ましい。
前記硬質発泡樹脂の吸水量は、好ましくは2g/100cm以下である。
前記硬質発泡樹脂の透湿係数は、好ましくは2ng/(m・s・Pa)以下である。
前記硬質発泡樹脂の密度は、好ましくは20kg/m~50kg/m程度あり、より好ましくは34kg/mである。
【0014】
各ダクト部材11の長さは、好ましくは100mm~3000mm程度である。
ダクト部材11の外寸の幅は、好ましくは200mm~1550mm程度である。
ダクト部材11の外寸の高さは、200mm~1550mm程度である。
壁部11aの厚みは、好ましくは10mm~50mm程度であり、より好ましくは20mm程度である。
壁部11aの1mあたりの重さは、好ましくは0.5kg/m~1.5kg/m程度であり、より好ましくは1.0kg/mある。
【0015】
ダクト部材11の熱伝導率は、好ましくは0.010W/m・K~0.030W/m・K程度であり、より好ましくは0.020W/m・Kである。
【0016】
図2に示すように、ダクト部材11の内面及び外面は、好ましくはアルミニウムなどの金属シート13によって被覆されている。
図1に示すように、隣接するダクト部材11の間に連接部材12(ニップル)が設けられている。連接部材12は、ダクト部材11の内周面の形状に合わせた長方形の短筒形状になっている。連接部材12の材質は、亜鉛、鉄、アルミなどの金属である。好ましくは、連接部材12は亜鉛鋼板によって構成されている。
連接部材12の厚みは、好ましくは1mm程度以下であり、より好ましくは0.8mmである。
空調ダクト1の長さ方向に沿う、連接部材12の幅寸法W12は、好ましくはW12=30mm~300mm程度であり、より好ましくは60mmである。
【0017】
連接部材12は、前記隣接するダクト部材11に跨っている。連接部材12の前記長さ方向の約半分が、前記隣接する2つのダクト部材11のうち一方の内周に嵌め込まれている。連接部材12の前記長さ方向の残り約半分が、前記隣接する2つのダクト部材11のうち他方の内周に嵌め込まれている。好ましくは、連結部材とダクト部材11とは、接着剤(図示省略)によって接合されている。かつ、隣接するダクト部材11の対向端面どうしが接着剤(図示省略)によって接合されている。さらに、前記隣接するダクト部材11の外周には、これらダクト部材11に跨るようにアルミ粘着テープ15が巻かれている。
【0018】
図1に示すように、空調ダクト1は、吊支持手段20によって天井スラブや天井鉄骨等の天井材2に吊支持されている。吊支持手段20は、耐震支持構造21と、中間支持構造30を含む。耐震支持構造21は、空調ダクト1の長さ方向に12m間隔置き、又は12m以下の間隔置きに配置されている。図2に示すように、耐震支持構造21は、例えば一対の吊りボルト22と、支持梁23と、ブレース材24を含む。各吊りボルト22が天井材2から鉛直に垂下されている。一対の吊りボルト22の下端部に支持梁23が水平に架け渡されている。天井材2と吊りボルト22の下端部との間にブレース材24が斜めに架け渡されている。吊りボルト22とブレース材24の下端部どうしが連結金具26を介して連結されている。ブレース材24の中間部にはターンバックル25が設けられている。
耐震支持構造21は、建物Bに対して揺れにくく、耐震性が付与されている。
なお、図1においては、ブレース材24の図示が省略されている。
【0019】
図2に示すように、空調ダクト1が、一対の吊りボルト22の間に通され、支持梁23上に載せられて吊支持されている。
空調ダクト1における、耐震支持構造21との接触部が、吊支点1aを構成している。吊支点1aは、耐震支持構造21を介して、天井材2を含む建物Bに吊支持されている。空調ダクト1における、長さ方向に隣接する2つの吊支点1aどうしの間の部分が、吊区間1bを構成している。
【0020】
図1に示すように、吊区間1bには、1又は複数の中間支持構造30が互いに前記長さ方向に間隔を置いて配置されている。中間支持構造30は、一対の吊りボルト32と、支持梁33を含む。一対の吊りボルト32が、空調ダクト1を挟んで両側(図1の紙面手前及び紙面奥)に設けられ、天井材2から鉛直に垂下されている。一対の吊りボルト32の下端部どうし間に支持梁33が水平に架け渡されている。
支持梁33上に空調ダクト1が載せられている。
【0021】
かかる空調ダクト1において、前記吊区間1bの長さが実際又は仮に12メートルであるものとして、その両端の吊支点1aに長さ方向と直交する横方向の振動が入力された場合、吊支点1aにおける入力加速度に対する吊区間1bの中央部1cにおける応答加速度の応答倍率が最大になる振動の周波数は、2.2Hz~3.0Hzであり、好ましくは2.4Hz~2.85Hzである。また、吊支点1aにおける入力変位に対する吊区間1bの中央部1cにおける応答変位の応答倍率が最大になる振動の周波数は、2.5Hz~3.0Hzであり、好ましくは2.55Hz~2.85Hzである。
一般的な建物の固有振動数は1Hz程度である。したがって、空調ダクト1によればは、高い耐震性能を得られる。
【0022】
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の改変をなすことができる。
例えば、ダクト部材11の断面形状ひいては空調ダクト1の断面形状は、正方形、長方形の四角形に限らず、他の多角形でもよく、円形でもよい。
吊区間1bにおける中間支持構造30の数は1つだけでもよい。中間支持構造30を省略してもよい。
【実施例1】
【0023】
実施例を説明する。本発明が以下の実施例に限定されるものではない。
ダクト部材11を14個用意し、これらを一列に連ねて、空調ダクト1のサンプルを作製した。
ダクト部材11の各壁部11aとしては、ポリイソシアヌレートフォーム(硬質発泡樹脂)からなる主部にアルミニウム箔13を被覆したボードを用いた。
前記ボードの厚みは20mmであった。
前記ボードの重さは1.0kg/mであった。
ダクト部材11の断面形状は正方形とした。
ダクト部材11の内面の高さは500mm、内面の幅は500mmであった。
ダクト部材11の長さは910mmであった。
14個のダクト部材11からなる空調ダクト1の長さは12740mmであった。
隣接するダクト部材11の内面に連接部材12(ニップル)を跨らせ、ダクト部材11の内面と連接部材12との間、及び前記隣接するダクト部材11の端面どうし間にはコーキング材を塗布した。更に隣接するダクト部材11の外面に跨るようにアルミ粘着テープ15を巻き付けた。
【0024】
このようにして作製した硬質発泡樹脂空調ダクト1の両端部を吊支点1aとして耐震支持構造を介して、鉄骨桁からなる天井材に吊支持させた。
両端の吊支点1aどうしの間隔は、12000mmであった。
耐震支持構造は、4つのアングル材で四角形に組まれた剛フレームと、3つのアングル材でコ字状に組まれた保持フレームとで構成した。空調ダクト1の端部を剛フレーム内に通すとともに該剛フレームの下フレーム材(支持梁23(図2)に相当)の上面に載せた。さらに、保持フレームを空調ダクト1の上面及び両側面に宛がい、かつ該保持フレームの下端部を前記下フレーム材に連結して固定した。
両端の吊支点1a間に5つの中間支持構造30を2000mm間隔で設置し、各中間支持構造30の支持梁33に空調ダクト1を載せた。
【0025】
前記剛フレームは、天井材に対して、空調ダクト1の長さ方向と直交する横方向へ往復移動可能とし、該剛フレームの上フレーム材と天井材との間に加振機を介在させた。
加振機として、株式会社サンエス製永久磁石振動加振器SSV125LSを用いた。
吊区間1bの中央部1cには、変位計及び加速度計を設けた。
変位計として、オプテックス・エフエー株式会社製レーザー変位計CD5-W2000を用いた。
加速度計として、株式会社東京測器研究所製小型低容量加速度計ARF-100Aを用いた。
加振機、変位計及び加速度計の出力を記録する記録計として、株式会社キーエンス製データロガーNR-600を用いた。
【0026】
加振機によって、剛フレーム22をスイープ加振した。すなわち、吊支点1aに横方向の振動を入力し、その振動周波数を変化させた。
両端の加振機の位相及び振動周波数が互いに一致するように同期させた。
揺れの強さは、80galから260galまで、20gal置きに設定した。
振動周波数のスイープ範囲は表1の通りであった。
【0027】
吊区間1bの中央部1cにおける応答加速度を前記加速度計によって計測し、吊支点1aにおける入力加速度に対する応答倍率(応答加速度/入力加速度)を算出し、該加速度応答倍率が最大になる振動周波数を求めた。
結果を表1及び図3図5に示す。
【0028】
また、吊区間1bの中央部1cにおける応答変位を前記変位計によって計測し、吊支点1aにおける入力変位に対する応答倍率(応答変位/入力変位)を算出し、該変位応答倍率が最大になる振動周波数を求めた。
結果を表1及び図4図5に示す。なお、260galにおいては、中央部1c付近のダクト部材が圧縮変形されてアルミテープ15の断裂が起きた。
【0029】
【表1】
【0030】
[比較例1]
比較例1として、グラスウールボード(厚み25mm)を主材とし、その内面をガラス不織布で覆い、外面をアルミニウム箔で覆ったグラスウール空調ダクトを用意した。グラスウール空調ダクトの断面形状は実施例1の硬質発泡樹脂空調ダクトと同じ正方形であり、内面の高さ寸法及び幅寸法は500mmであった。
グラスウール空調ダクトを、実施例1の硬質発泡樹脂空調ダクトと同様に、吊支持した状態でスイープ加振した。
そして、吊支点における入力加速度に対する吊区間の中央部における応答加速度の応答倍率が最大になる振動周波数を求めた。結果を表2及び図3に示す。
また、吊支点における入力変位に対する吊区間の中央部における応答変位の応答倍率が最大になる振動周波数を求めた。結果を表2及び図4に示す。なお、200gal以上の揺れになると、中央部付近で圧縮変形が起きてアルミテープの断裂が起きた。
実施例1の硬質発泡樹脂空調ダクトによれば、グラスウール空調ダクトより高い耐震性を有することが確認された。
【0031】
【表2】
【0032】
[比較例2]
比較例2として、亜鉛メッキ鋼板(厚み0.6mm)を主材とする鉄板空調ダクトを用意した。鉄板空調ダクトの断面形状は正方形であり、内面の高さ寸法及び幅寸法は500mmであった。
鉄板空調ダクトを、実施例1の硬質発泡樹脂空調ダクトと同様に、吊支持した状態でスイープ加振した。
そして、吊支点における入力加速度に対する吊区間の中央部における応答加速度の応答倍率が最大になる振動周波数を求めた。結果を表3及び図3に示す。
また、吊支点における入力変位に対する吊区間の中央部における応答変位の応答倍率が最大になる振動周波数を求めた。結果を表3及び図4に示す。
【0033】
【表3】
【0034】
比較例1、2のダクトにおいては、加速度応答倍率が最大となる振動周波数、及び変位応答倍率が最大となる振動周波数が共に1Hzから2Hzの間であり、一般的な建物の固有振動数に近く、揺れやすいと言える。
これに対し、実施例1の硬質発泡樹脂空調ダクトによれば、加速度応答倍率が最大となる振動周波数が約2.2Hz以上、変位応答倍率が最大となる振動周波数が約2.4Hz以上であり、一般的な建物の固有振動数(1Hz程度)から大きくずれており、揺れを抑えられることが確認された。さらに、図5(a)及び同図(b)から明らかな通り、実施例1の硬質発泡樹脂空調ダクトにおいては、振動周波数が1.5Hz程度の場合、中央部1cの変位応答倍率は2以下であり、グラスウール空調ダクトの3分の1以下の変位に抑えられることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0035】
本発明は、例えば建物の空調用のダクトに適用できる。
【符号の説明】
【0036】
B 建物
1 空調ダクト
1a 吊支点
1b 吊区間
1c 中央部
2 天井材
11 ダクト部材
11a 壁部
12 連接部材
12 寸法
13 金属シート
15 アルミ粘着テープ
20 吊支持手段
21 耐震支持構造(支持構造)
22 吊りボルト
23 支持梁
24 ブレース材
30 中間支持構造
32 吊りボルト
33 支持梁
図1
図2
図3
図4
図5(a)】
図5(b)】