(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】基板処理方法および基板処理装置
(51)【国際特許分類】
G03F 7/42 20060101AFI20231226BHJP
H01L 21/027 20060101ALI20231226BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
G03F7/42
H01L21/30 572B
H01L21/304 643A
H01L21/304 643C
H01L21/304 645D
H01L21/304 647Z
H01L21/304 648G
H01L21/304 651B
(21)【出願番号】P 2020048743
(22)【出願日】2020-03-19
【審査請求日】2022-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】小林 健司
【審査官】中澤 俊彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-205015(JP,A)
【文献】特開2002-134401(JP,A)
【文献】特開2002-134455(JP,A)
【文献】特開2001-351893(JP,A)
【文献】特開2001-077069(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/42
H01L 21/027
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
その表面にレジスト膜または金属含有膜が形成された基板を水平保持して回転させながらオゾン水を供給して
前記基板を処理する基板処理方法であって、
酸素ガスとオゾン水とを混合させることによってオゾン水の液滴を生成する液滴生成工程と、
前記液滴生成工程で生成された
前記液滴に対してUV光を照射する第1の照射工程と、
前記UV光を照射された
前記液滴を前記基板の
前記表面に供給する液滴供給工程と、を含む基板処理方法。
【請求項2】
前記液滴供給工程の実行前に
前記基板の
前記表面に向けて酸素を供給し、
前記基板の
前記表面の前記液滴が供給される領域に予め酸素雰囲気を形成する第1の酸素雰囲気形成工程を含む請求項1に記載の基板処理方法。
【請求項3】
前記液滴供給工程の実行前に
前記基板の
前記表面に向けてUV光を照射する第2の照射工程を含む請求項2に記載の基板処理方法。
【請求項4】
前記第2の照射工程は、前記第1の酸素雰囲気形成工程の前に実行される請求項3に記載の基板処理方法。
【請求項5】
前記第1の照射工程は、前記液滴供給工程の終了後に終了される請求項1から4のいずれかに記載の基板処理方法。
【請求項6】
少なくとも前記液滴供給工程の終了時点から所定の時間、
前記基板に向けて酸素を供給する工程をさらに含む請求項1から5のいずれかに記載の基板処理方法。
【請求項7】
その表面にレジスト膜または金属含有膜が形成された基板を水平保持して回転させながらオゾン水を供給して
前記基板を処理する基板処理方法であって、
前記基板の
前記表面にオゾン水を供給するオゾン水供給工程と、
前記オゾン水が
前記基板の
前記表面に着液する着液領域に向けて
前記オゾン水の上面を覆う酸素ガスを供給する酸素供給工程と、を含む基板処理方法。
【請求項8】
その表面にレジスト膜または金属含有膜が形成された基板を水平保持して回転させながらオゾン水を供給して前記基板を処理する基板処理方法であって、
前記基板の前記表面にオゾン水を供給するオゾン水供給工程と、
前記オゾン水が前記基板の前記表面に着液する着液領域に向けて酸素ガスを供給する酸素供給工程と、
前記着液領域に向けてUV光を照射する第3の照射工程
と
を含
む基板処理方法。
【請求項9】
その表面にレジスト膜または金属含有膜が形成された基板を水平保持して回転させながらオゾン水を供給して前記基板を処理する基板処理方法であって、
前記基板の前記表面にオゾン水を供給するオゾン水供給工程と、
前記オゾン水が前記基板の前記表面に着液する着液領域に向けて酸素ガスを供給する酸素供給工程と、
前記オゾン水供給工程の実行前に
前記基板の
前記表面に向けて酸素を供給し、
前記基板の
前記表面の前記着液領域に予め酸素雰囲気を形成する第2の酸素雰囲気形成工程
と
を含
む基板処理方法。
【請求項10】
前記オゾン水供給工程の実行前に
前記基板の
前記表面に向けてUV光を照射する第4の照射工程を含む請求項9に記載の基板処理方法。
【請求項11】
前記第4の照射工程は、前記第2の酸素雰囲気形成工程の前に実行される請求項10に記載の基板処理方法。
【請求項12】
前記第3の照射工程は、前記オゾン水供給工程の終了後に終了される請求項8に記載の基板処理方法。
【請求項13】
少なくとも前記オゾン水供給工程の終了時点から所定の時間、
前記基板に向けて酸素を供給する工程をさらに含む請求項7から12のいずれかに記載の基板処理方法。
【請求項14】
その表面にレジスト膜または金属含有膜が形成された基板を処理する基板処理装置であって、
前記基板を水平に保持する基板保持部と、
前記基板保持部を回転させる回転機構と、
オゾン水と酸素ガスとを混合させて液滴を生成する液滴生成ノズルと、
前記液滴生成ノズルで生成された前記液滴にUV光を照射する照射部と、を備える基板処理装置。
【請求項15】
前記液滴生成ノズルに対してオゾン水を供給するオゾン水供給配管と、
前記液滴生成ノズルに対して酸素ガスを供給する酸素ガス供給配管と、
前記オゾン水供給配管に介装され、オゾン水の供給状態を変えるオゾン水供給弁と、
前記酸素ガス供給配管に介装され、酸素ガスの供給状態を変える酸素ガス供給弁と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記オゾン水供給弁と前記酸素ガス供給弁とを制御して、前記オゾン水供給弁を供給状態とする前に、前記酸素ガス供給弁を供給状態とする流体供給制御部を含むことを特徴とする請求項14に記載の基板処理装置。
【請求項16】
前記制御部は、
前記流体供給制御部が前記オゾン水供給弁を供給状態とする前に、
前記基板の
前記表面に向けてUV光を照射させるように前記照射部を制御するUV照射制御部を含むことを特徴とする請求項15に記載の基板処理装置。
【請求項17】
前記UV照射制御部は、前記流体供給制御部が前記オゾン水供給弁および前記酸素ガス供給弁を供給状態とする前に、
前記基板の
前記表面に向けてUV光を照射させるように前記照射部を制御することを特徴とする請求項16に記載の基板処理装置。
【請求項18】
前記UV照射制御部は、前記流体供給制御部が前記オゾン水供給弁および前記酸素ガス供給弁を供給状態から非供給状態とした後まで、
前記基板の
前記表面に向けてUV光を照射させるように前記照射部を制御することを特徴とする請求項16または17に記載の基板処理装置。
【請求項19】
前記流体供給制御部は、前記オゾン水供給弁を供給状態から非供給状態とし、前記酸素ガス供給弁の供給状態をそのまま維持するように制御することによって、
前記液滴の供給を終了した後も所定時間、前記液滴生成ノズルから
前記基板の
前記表面に酸素ガスを供給することを特徴とする請求項15から18のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項20】
前記液滴生成ノズルは、
その中心軸が鉛直軸に沿って延びるとともに、その下端部に開放面を有する第1の円筒部と、
前記中心軸と同軸の中心軸を有するとともに、前記第1の円筒部よりも大径であって、その下端部に開放面を有する第2の円筒部と、
前記第1の円筒部の外周面と前記第2の円筒部の内周面との間に形成され、前記オゾン水供給配管から供給されるオゾン水を鉛直下方に流下させる第1の流路と、
前記第1の流路の下端に形成され、オゾン水を鉛直下方に供給するオゾン水供給口と、
前記オゾン水供給口よりも外側に形成され、前記中心軸に向かう斜め下方に酸素ガスを供給する酸素ガス供給口と、を含み、
前記第1の円筒部は、前記照射部から照射されたUV光を下方に向けて導光するとともに、その解放された下端から
前記基板の
前記表面に向けてUV光を放射させることを特徴とする請求項15から19のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項21】
前記液滴生成ノズルは、
前記第2の円筒部の外周面の全周を取り囲むように構成される第3の円筒部と前記第3の円筒部の下端から前記中心軸に向けて前記第2の円筒部の下端部に近接する位置まで延設される底部とを含んで構成される囲い部材と、をさらに備え、
前記第2の円筒部の外周面と、前記囲い部材の内面とによって閉空間を形成し、
前記第2の円筒部の下端面は、前記中心軸に向かう斜め下方に傾斜するように構成され、
前記囲い部材は、前記第2の円筒部の
前記下端面と平行に対向する対向面を含み、
前記第2の円筒部の
前記下端面と前記囲い部材の
前記対向面との間に形成され、前記閉空間と連通して酸素ガスを前記中心軸に向かう斜め下方に案内する第2の流路と、を含むことを特徴とする請求項20に記載の基板処理装置。
【請求項22】
前記第1の円筒部の下端面は、前記中心軸に向かう斜め下方に傾斜するように構成され、
前記第1の円筒部の
前記下端面と前記第2の円筒部の
前記下端面は、前記オゾン水供給口の部分を除いて、前記中心軸に頂点を有する下方向きの円錐面の一面となるように構成されることを特徴とする請求項21に記載の基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板を処理する基板処理方法および基板処理装置に関する。処理対象となる基板には、たとえば、半導体ウェハ、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板、太陽電池用基板などが含まれる。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のように、レジスト膜に覆われた基板からレジスト膜を除去する方法として、硫酸と過酸化水素水を混合したSPM(Sulfuric acid and hydrogen Peroxide Mixture)によってレジスト膜を分解し溶解して除去する方法が知られている。また、オゾン水によってもレジスト膜を除去できることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-4819
【文献】特開2014-22403
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載のようにSPMを用いてレジスト膜を除去する処理において、その使用済みのSPMがリサイクルのために回収されている。ここで回収されたSPMは、リサイクル業者によって硫酸を濃縮化する作業が行われる。その際、多大なエネルギーを消費するため環境負荷が大きい。また、SPMが用いられる処理はレジスト膜を除去する処理だけでなく、TiNのような金属含有膜を除去する場合も同様の課題が生じる。
【0005】
一方、硫酸を使用せずにレジスト膜や金属含有膜を除去する手法として、オゾン水を用いる手法がある。しかし、特許文献2のように単にオゾン水を基板に供給するだけではレジスト膜や金属含有膜を効果的に除去することはできない。そこで、本願の発明は、硫酸を用いず環境負荷を軽減することができるとともに、レジスト膜や金属含有膜を効果的に除去できる基板処理方法および基板処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本願の第1発明は、その表面にレジスト膜または金属含有膜が形成された基板を水平保持して回転させながらオゾン水を供給して前記基板を処理する基板処理方法であって、酸素ガスとオゾン水とを混合させることによってオゾン水の液滴を生成する液滴生成工程と、前記液滴生成工程で生成された前記液滴に対してUV光を照射する第1の照射工程と、前記UV光を照射された前記液滴を前記基板の前記表面に供給する液滴供給工程と、を含むことを特徴とする。
【0007】
本願の第2発明は、第1発明の基板処理方法であって、前記液滴供給工程の実行前に前記基板の前記表面に向けて酸素を供給し、前記基板の前記表面の前記液滴が供給される領域に予め酸素雰囲気を形成する第1の酸素雰囲気形成工程を含むことを特徴とする。
【0008】
本願の第3発明は、第1発明または第2発明の基板処理方法であって、前記液滴供給工程の実行前に前記基板の前記表面に向けてUV光を照射する第2の照射工程を含むことを特徴とする。
【0009】
本願の第4発明は、第3発明の基板処理方法であって、前記第2の照射工程は、前記第1の酸素雰囲気形成工程の前に実行されることを特徴とする。
【0010】
本願の第5発明は、第1発明から第4発明のいずれかの基板処理方法であって、前記第1の照射工程は、前記液滴供給工程の終了後に終了されることを特徴とする。
【0011】
本願の第6発明は、第1発明から第5発明のいずれかの基板処理方法であって、少なくとも前記液滴供給工程の終了時点から所定の時間、前記基板に向けて酸素を供給する工程をさらに含むことを特徴とする。
【0012】
本願の第7発明は、その表面にレジスト膜または金属含有膜が形成された基板を水平保持して回転させながらオゾン水を供給して前記基板を処理する基板処理方法であって、前記基板の前記表面にオゾン水を供給するオゾン水供給工程と、前記オゾン水が前記基板の前記表面に着液する着液領域に向けて前記オゾン水の上面を覆う酸素ガスを供給する酸素供給工程と、を含むことを特徴とする。
【0013】
本願の第8発明は、その表面にレジスト膜または金属含有膜が形成された基板を水平保持して回転させながらオゾン水を供給して前記基板を処理する基板処理方法であって、前記基板の前記表面にオゾン水を供給するオゾン水供給工程と、前記オゾン水が前記基板の前記表面に着液する着液領域に向けて酸素ガスを供給する酸素供給工程と、前記着液領域に向けてUV光を照射する第3の照射工程とを含むことを特徴とする。
【0014】
本願の第9発明は、その表面にレジスト膜または金属含有膜が形成された基板を水平保持して回転させながらオゾン水を供給して前記基板を処理する基板処理方法であって、前記基板の前記表面にオゾン水を供給するオゾン水供給工程と、前記オゾン水が前記基板の前記表面に着液する着液領域に向けて酸素ガスを供給する酸素供給工程と、前記オゾン水供給工程の実行前に前記基板の前記表面に向けて酸素を供給し、前記基板の前記表面の前記着液領域に予め酸素雰囲気を形成する第2の酸素雰囲気形成工程とを含むことを特徴とする。
【0015】
本願の第10発明は、第7発明から第9発明のいずれかの基板処理方法であって、前記オゾン水供給工程の実行前に前記基板の前記表面に向けてUV光を照射する第4の照射工程を含むことを特徴とする。
【0016】
本願の第11発明は、第10発明の基板処理方法であって、前記第4の照射工程は、前記第2の酸素雰囲気形成工程の前に実行されることを特徴とする。
【0017】
本願の第12発明は、第7発明から第11発明のいずれかの基板処理方法であって、前記第3の照射工程は、前記オゾン水供給工程の終了後に終了されることを特徴とする。
【0018】
本願の第13発明は、第7発明から第12発明のいずれかの基板処理方法であって、少なくとも前記オゾン水供給工程の終了時点から所定の時間、前記基板に向けて酸素を供給する工程をさらに含むことを特徴とする。
【0019】
本願の第14発明は、その表面にレジスト膜または金属含有膜が形成された基板を処理する基板処理装置であって、前記基板を水平に保持する基板保持部と、前記基板保持部を回転させる回転機構と、オゾン水と酸素ガスとを混合させて液滴を生成する液滴生成ノズルと、前記液滴生成ノズルで生成された前記液滴にUV光を照射する照射部と、を備えることを特徴とする。
【0020】
本願の第15発明は、第14発明の基板処理装置であって、前記液滴生成ノズルに対してオゾン水を供給するオゾン水供給配管と、前記液滴生成ノズルに対して酸素ガスを供給する酸素ガス供給配管と、前記オゾン水供給配管に介装され、オゾン水の供給状態を変えるオゾン水供給弁と、前記酸素供給配管に介装され、酸素ガスの供給状態を変える酸素ガス供給弁と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記オゾン水供給弁と前記酸素ガス供給弁とを制御して、前記オゾン水供給弁を供給状態とする前に、前記酸素ガス供給弁を供給状態とする流体供給制御部を含むことを特徴とする。
【0021】
本願の第16発明は、第14発明または第15発明の基板処理装置であって、前記制御部は、前記流体供給制御部が前記オゾン水供給弁を供給状態とする前に、前記基板の前記表面に向けてUV光を照射させるように前記照射部を制御するUV照射制御部を含むことを特徴とする。
【0022】
本願の第17発明は、第16発明の基板処理装置であって、前記UV照射制御部は、前記流体供給制御部が前記オゾン水供給弁および前記酸素ガス供給弁を供給状態とする前に、前記基板の前記表面に向けてUV光を照射させるように前記照射部を制御することを特徴とする。
【0023】
本願の第18発明は、第16発明または第17発明の基板処理装置であって、前記UV照射制御部は、前記流体供給制御部が前記オゾン水供給弁および前記酸素ガス供給弁を供給状態から非供給状態とした後まで、前記基板の前記表面に向けてUV光を照射させるように前記照射部を制御することを特徴とする。
【0024】
本願の第19発明は、第15から第18発明のいずれかの基板処理装置であって、前記流体制御部は、前記オゾン水供給弁を供給状態から非供給状態とし、前記酸素ガス供給弁の供給状態をそのまま維持するように制御することによって、前記液滴の供給を終了した後も所定時間、前記液滴生成ノズルから前記基板の前記表面に酸素ガスを供給することを特徴とする。
【0025】
本願の第20発明は、第14発明から第19発明のいずれかの基板処理装置であって、前記液滴生成ノズルは、その中心軸が鉛直軸に沿って延びるとともに、その下端部に開放面を有する第1の円筒部と、前記中心軸と同軸の中心軸を有るとともに、前記第1の円筒部よりも大径であって、その下端部に開放面を有する第2の円筒部と、前記第1の円筒部の外周面と前記第2の円筒部の内周面との間に形成され、前記オゾン水供給配管から供給されるオゾン水を鉛直下方に流下させる第1の流路と、前記第1の流路の下端に形成され、オゾン水を鉛直下方に供給するオゾン水供給口と、前記オゾン水供給口よりも外側に形成され、前記中心軸に向かう斜め下方に酸素ガスを供給する酸素ガス供給口と、を含み、前記第1の円筒部は、前記照射部から照射されたUV光を下方に向けて導光するとともに、その解放された下端から前記基板の前記表面に向けてUV光を放射させることを特徴とする。
【0026】
本願の第21発明は、第20発明の基板処理装置であって、前記液滴生成ノズルは、前記第2の円筒部の外周面の全周を取り囲むように構成される第3の円筒部と前記第3の円筒部の下端から前記中心軸に向けて前記第2の円筒部の下端部に近接する位置まで延設される底部とを含んで構成される囲い部材と、をさらに備え、前記第2の円筒部の外周面と、前記囲い部材の内面とによって閉空間を形成し、前記第2の円筒部の下端面は、前記中心軸に向かう斜め下方に傾斜するように構成され、前記囲い部材は、前記第2の円筒部の前記下端面と平行に対向する対向面を含み、前記第2の円筒部の前記下端面と前記囲い部材の前記対向面との間に形成され、前記閉空間と連通して酸素ガスを前記中心軸に向かう斜め下方に案内する第2の流路と、を含むことを特徴とする。
【0027】
本願の第22発明は、第21発明の基板処理装置であって、前記第1の円筒部の下端面は、前記中心軸に向かう斜め下方に傾斜するように構成され、前記第1の円筒部の前記下端面と前記第2の円筒部の前記下端面は、前記オゾン水供給口の部分を除いて、前記中心軸に頂点を有する下方向きの円錐面の一面となるように形成されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0028】
第1から第13発明の基板処理方法においては、硫酸を用いることなく、オゾン濃度の高いオゾン水を基板に供給できるので、レジスト膜や金属含有膜を効果的に除去することができるとともに環境負荷を軽減することができる。
【0029】
第14から第22発明の基板処理装置においては、硫酸を用いることなく、オゾン濃度の高いオゾン水を基板に供給できるので、レジスト膜や金属含有膜を効果的に除去することができるとともに環境負荷を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】
図1は、本願発明の基板処理方法および基板処理装置が適用される基板処理システムを示した概略図である。
【
図2】
図2は、この発明の第1実施形態における基板処理装置の構成を示す概略図である。
【
図3】
図3は、この発明の第1実施形態における液滴生成ノズルの平面図および側面図である。
【
図4】
図4は、この発明の第1実施形態における液滴生成ノズルの詳細を示すA―A′縦断面図およびB―B′横断面図である。
【
図5】
図5は、この発明の第1実施形態における液滴を基板に供給する様子の概略図である。
【
図6】
図6は、この発明の第1実施形態における基板処理装置の制御部と各部の構成の関係を示す機能ブロック図である。
【
図7】
図7は、この発明の第1実施形態における基板処理装置の動作を示すフローチャートでる。
【
図8】
図8は、この発明の第1実施形態における基板処理のタイミングチャートである。
【
図9】
図9は、この発明の第1実施形態における基板処理方法をレジスト膜の除去処理に適用した場合の説明図である。
【
図10】
図10は、この発明の第1実施形態における基板処理方法を金属含有膜の除去処理に適用した場合の説明図である。
【
図11】
図11は、この発明の第2実施形態における基板処理装置の構成を示す概略図である。
【
図12】
図12は、この発明の第2実施形態に係る液滴生成ノズルの構成を示す概略図である。
【
図13】
図13は、この発明の第2実施形態における基板処理方法をレジスト膜の除去処理に適用した場合の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態に係る基板処理方法および基板処理装置について、図面を参照しながら説明する。
図1は、この発明に係る基板処理方法および基板処理装置が適用される基板処理システムの概略図である。基板処理システム100は、シリコンウエハなどの円板状の基板Wを一枚ずつ処理する枚葉式の基板処理システムである。
【0032】
図1において、基板処理システム100は、オゾン水とその他の処理液で基板Wを処理する複数の処理部10a、(10b)と、処理部10a、(10b)にオゾン水とその他の処理液および処理ガスを処理部10a、(10b)に向けて供給する処理流体供給部3と、処理部10a、(10b)で処理される複数枚の基板Wを収容するキャリアCが載置されるロードポートLPと、ロードポートLPと処理部10a、(10b)との間で基板Wを搬送する搬送ロボットIRおよびCRと、基板処理システム100における基板Wの各搬送や基板Wに対する処理を制御する制御部4と、を含む。搬送ロボットIRは、キャリアCと搬送ロボットCRとの間で基板Wを搬送する。搬送ロボットCRは、搬送ロボットIRと各処理部10a、(10b)との間で基板Wを搬送する。
【0033】
ここで、基板Wの流れを説明する。複数の基板Wを収容したキャリアCがロードポートLPに載置される。ロードポートLPに載置されたキャリアCから搬送ロボットIRが処理前の基板Wを取り出す。搬送ロボットIRは、取り出した基板Wを搬送し搬送ロボットCRへ受け渡す。搬送ロボットCRは、受け取った基板Wを各処理部10a、(10b)に搬入する。各処理部10a、(10b)は搬入された基板Wに対してレジスト膜や金属含有膜を除去する処理を行う。レジスト膜や金属含有膜が除去された基板Wは搬送ロボットCRにより各処理部10a、(10b)から搬出され、搬送ロボットIRへ受け渡される。基板Wを受け取った搬送ロボットIRは、処理後の基板WをキャリアCへ戻し収容する。
【0034】
[1]第1実施形態
<基板処理装置>
以下に
図2から
図10に基づいて、本願発明の第1実施形態に係る基板処理装置および基板処理方法について説明する。
図2において、基板処理装置1は、処理部10a、処理流体供給部3および制御部4を備える。処理部10aは、搬送ロボットCRによりに搬入された基板Wをオゾン水および酸素ガスとその他の処理液とを用いて処理する。処理流体供給部3は、処理部10aにオゾン水および酸素ガスとその他の処理液を供給する。制御部4は、処理流体供給部3および処理部10aを制御する。
【0035】
<処理部>
処理部10aは、スピンチャック11と、カップ14と、液滴生成ノズル21と、処理液供給ノズル22、23と、液滴生成ノズル21および処理液供給ノズル22を移動させるノズル移動機構12と、処理液供給ノズル23を移動させるノズル移動機構13とを含む。
【0036】
スピンチャック11は、チャックピン11aとスピンベース11bとからなり、チャックピン11aにより基板Wを水平に保持して回転させる。カップ14は、スピンチャック11を取り囲み、基板Wから飛散する処理液を受けとめて排液する。液滴生成ノズル21は、オゾン水と酸素ガスとを混合させてオゾン水の液滴を生成し、そのオゾン水の液滴を基板Wの表面に供給する。処理液供給ノズル22、23は、後述する処理液を基板Wの表面に供給する。
【0037】
ノズル移動機構12は、液滴生成ノズル21を先端に保持するアーム12aと、アーム12aを上端に支持し、当該アーム12aの先端に保持された液滴生成ノズル21を昇降させる昇降駆動部12bと、昇降駆動部12bの下端部を保持し、昇降駆動部12bを回転させることで前記液滴生成ノズル21を、カップ14の外の所定の待機位置と基板W上のオゾン水の液滴の吐出位置との間で、旋回させる旋回駆動部12cとを備える。また、処理液供給ノズル22は、図示しない連結具により液滴生成ノズル21に連結されており、液滴生成ノズル21の移動に合わせて液滴生成ノズル21と一体的に昇降および旋回し、カップ14の外の所定の待機位置と基板W上の処理液の吐出位置との間で移動する。
【0038】
ノズル移動機構13は、処理液供給ノズル23を先端に保持するアーム13aと、アーム13aを上端に支持し、当該アーム13aの先端に保持された処理液供給ノズル23を昇降させる昇降駆動部13bと、昇降駆動部13bの下端部を保持し、昇降駆動部13bを回転させることで前記処理液供給ノズル23を、カップ14の外の所定の待機位置と基板W上の処理液の吐出位置との間で、旋回させる旋回駆動部13cとを備える。
【0039】
なお、前述した処理液には、薬液およびリンス液が含まれる。薬液は、例えば、フッ酸(フッ化水素水:HF)、SC1(RCA洗浄におけるStandard clean1。脱イオン水、アンモニア水および過酸化水素水の混合液。)である。リンス液とは、たとえば、脱イオン水(Deionized Water:DIW)である。
【0040】
ここで、処理液供給ノズル22は、SC1またはDIWを基板Wの表面に供給する。処理液供給ノズル23は、HFまたはDIWを基板Wの表面に供給する。
【0041】
<処理流体供給部>
処理流体供給部3は、処理部10aの液滴生成ノズル21に対してオゾン水を供給するオゾン水供給部32と、処理部10aの液滴生成ノズル21に対して酸素ガスを供給する酸素ガス供給部31と、処理液供給ノズル22に対してSC1又はDIWを供給する第1の処理液供給部33と、処理液供給ノズル23に対してHF又はDIWを供給する第2の処理液供給部34とを含む。
【0042】
オゾン水供給部32は、オゾン水を生成するオゾンユニット32cと、オゾン水生成ユニットで生成されたオゾン水を液滴生成ノズル21に対して供給するオゾン水供給配管32aと、オゾン水供給配管32aに介装され、オゾン水の供給状態を変えるオゾン水供給弁32bとを含む。
【0043】
また、酸素ガス供給部31は、半導体工場内に備えられた酸素ガス供給源31cから送られてきた酸素ガスを液滴生成ノズル21に対して供給する酸素ガス供給配管31aと、酸素ガス供給配管31aに介装され、酸素ガスの供給状態を変える酸素ガス供給弁31bとを含む。
【0044】
また、第1の処理液供給部33は、SC1を貯留するSC1供給部332と、SC1供給部332に貯留されているSC1を処理液供給ノズル22へ向けて送液するSC1供給配管332aと、SC1供給配管332aに介装され、SC1の供給状態を変えるSC1供給弁332bと、半導体工場内に備えられたDIW供給源331から送られてきたDIWを処理液供給ノズル22へ向けて送液するDIW供給配管331aと、DIW供給配管331aに介装され、DIWの供給状態を変えるDIW供給弁331bと、SC1供給配管332a及びDIW供給配管331aに流路接続され、SC1供給配管332aから送液されてきたSC1又はDIW供給配管331aから送液されてきたDIWを処理液供給ノズル22に供給する共通配管33aを含む。
【0045】
さらに、第2の処理液供給部34は、HFを貯留するHF供給部341と、HF供給部341に貯留されているHFを処理液供給ノズル23へ向けて送液するHF供給配管341aと、HF供給配管341aに介装され、HFの供給状態を変えるHF供給弁341bと、半導体工場内に備えられたDIW供給源342から送られてきたDIWを処理液供給ノズル23へ向けて送液するDIW供給配管342aと、DIW供給配管342aに介装され、DIWの供給状態を変えるDIW供給弁342bと、HF供給配管341a及びDIW供給配管342aに流路接続され、HF供給配管341aから送液されてきたHF又はDIW供給配管342aから送液されてきたDIWを処理液供給ノズル23に供給する共通配管34aを含む。
【0046】
<液滴生成ノズル>
次に、
図3および
図4を参照し、液滴生成ノズル21の構造の詳細について説明する。
ここで、
図3(a)は、液滴生成ノズル21を鉛直上方から平面視した平面図である。
図3(b)は、液滴生成ノズル21を側方から見た側面図である。
また、
図4(a)は、
図3(a)に示すA-A′断面を矢印方向へ向けて見た場合のA-A′縦断面図である。また、
図4(b)は、
図3(b)に示すB-B′断面を矢印方向へ向けて見た場合のB-B′横断面図である。
【0047】
液滴生成ノズル21は、アーム12a(
図2を参照)と連結する固定部210と、固定部210の下面に固設された囲い部材214と、固定部210の下面に固設された第1の円筒部212とを含む(
図4を参照)。さらに、液滴生成ノズル21は、固定部210の下面に固設され、第1の円筒部212の外周面を全周にわたって囲うように設けられた後述する第2の円筒部213(
図4を参照)をさらに含む。固定部210には、固定部210の上端面から下端面まで貫通する貫通孔210a、210b、210cが形成されている。そして、処理流体供給部3から配設される酸素ガス供給配管31aおよびオゾン水供給配管32a(
図4を参照)が当該貫通孔210aおよび210bの上端部に接続されている。
また、液滴生成ノズル21を構成する固定部210の貫通孔210cの上端部には、図示しないUV光の出射部が貫通
孔210cを臨むように、UV光を照射する照射部211が取り付けられている(
図4参照)。
【0048】
次に、オゾン水の液滴生成ノズル21の内部構造の詳細について
図4(a)および
図4(b)を参照しながら説明する。
図4(a)において、液滴生成ノズル21は、その中心軸C1が鉛直軸に沿って延びるとともに、その下端部に開放面を有する第1の円筒部212と、第1の円筒部212と同じくC1を中心軸とするとともに、第1の円筒部212よりも大径であって、その下端部に開放面を有する第2の円筒部213と、第1の円筒部212の外周面と第2の円筒部213の内周面との間に形成され、オゾン水供給配管32aから供給されるオゾン水を鉛直下方に流下させる第1の流路215と、第1の流路215の下端に形成され、オゾン水を鉛直下方に供給するオゾン水供給口216と、オゾン水供給口216よりも外側に形成され、中心軸C1に向かう斜め下方に酸素ガスを供給する酸素ガス供給口219と、を含んで構成される。そして、第1の円筒部212は、照射部211から照射されたUV光を下方に向けて導光するとともに、その解放された下端部の開放面から基板の表面に向けてUV光を放射させる。
また、第2の円筒部213は、C1と中心軸として固定部210の下面に固設され、貫通孔210bと連通した上円筒
部213bと、上円筒部213bの下端から連接され、C1を中心軸として上円筒部213bよりも小径の下円筒部213cとを含んで構成される。この第2の円筒部213は、固定部210に形成された貫通孔210bを流下してきたオゾン水を上円筒部213bに流入させ、上円筒部213bに流入させたオゾン水を下円筒部213cの内周面と第1の円筒部212の外周面との間に形成され第1の流路215を通じて鉛直下方へと導く。
【0049】
さらに、液滴生成ノズル21は、固定部210の下面に固設され、第1の円筒部212および第2の円筒部213と同じくC1を中心軸として第2の円筒部213の外周面の全周を取り囲むように構成される第3の円筒部214bと、第3の円筒部214bの下端から中心軸C1に向けて第2の円筒部213の下端部に近接する位置まで延設される底部214cとを含む囲い部材214を含む。第2の円筒部213の外周面と、囲い部材214の内面とによって閉空間217を形成する。酸素ガス供給配管31aから供給される酸素ガスは、第2の円筒部213の外周面と、囲い部材214の内面とによって形成される閉空間217に充てんされる。また、第2の円筒部213の下端面213aは、中心軸に向かう斜め下方に傾斜するように構成される。一方、囲い部材214にも、第2の円筒部213の下端面213aと平行に対向する対向面214aが形成されている。これら第2の円筒部213の下端面213aと囲い部材214の対向面214aとの間に閉空間217と連通する第2の流路218が形成されている。この第2の流路218は、閉空間217に充てんされた酸素ガスを酸素ガス供給口219に向けて、中心軸C1に向かう斜め下方に案内する。
【0050】
第1の円筒部212の下端面212aも、中心軸C1に向かう斜め下方に傾斜するように構成さている。この第1の円筒部212の下端面212aと前述した第2の円筒部213の下端面213aとは、オゾン水供給口216の部分を除いて、中心軸C1に頂点を有する下方向きの円錐面の一面となるように構成される。
【0051】
<オゾン水の液滴の生成>
図5は、液滴生成ノズル21においてオゾン水の液滴が生成され基板Wの表面に供給されている様子を示している。酸素ガス供給口219から供給された酸素ガスは、中心軸C1に向かう途中、オゾン水供給口216から供給されるオゾン水と衝突し、オゾン水の液滴が生成される。生成されたオゾン水の液滴は、酸素ガス供給口219から続けて供給される酸素ガスのガス流によってさらに寸断される。寸断された液滴は、ガス流に流されて中心軸C1に向かう。そして、これらオゾン水の液滴は、中心軸C1付近において互いに衝突し合い、さらに微細な液滴となって基板Wの表面に供給される。液滴となったオゾン水は、表面積が大きくなっているので、後述するUV光に曝される割合が液滴になる前に比べて高く、オゾン濃度を高められる。
【0052】
また、酸素ガス供給口219から供給された酸素ガスのガス流は、中心軸C1近傍において互いに衝突し合い、基板Wの表面に向かう流れに変わる。前述したオゾン水の微細な液滴は、この基板Wの表面に向かう酸素ガスの流れに乗って基板Wの表面に供給される。このとき、照射部211からはUV光が基板Wの表面に向けて照射されており、基板Wの表面に向かうオゾン水の微細な液滴とともに酸素ガスも、かかるUV光に曝されることとなる。これにより、オゾン水および酸素ガスがともにUV光によって活性化されるので、オゾン水の液滴中のオゾン濃度の低下を抑止できる。
【0053】
<処理液供給ノズル>
図2に戻り、本実施の形態における処理液供給ノズルとして、処理液供給ノズル22と処理液供給ノズル23とが処理部10aの内部に設けられている。
【0054】
ここで、処理液供給ノズル22は、前述したように、液滴生成ノズル21に連結具によって固定されている。処理液供給ノズル22は、ノズル移動機構12によって、液滴生成ノズル21の動きに連動して旋回および昇降動作を行う。処理液供給ノズル22は、共通配管33aを通じてSC1供給配管332aとDIW供給配管331aが流路接続されており、基板Wの上方の吐出位置において、SC1またはDIWを基板Wの表面に向けて吐出する。
【0055】
また、処理液供給ノズル23は、ノズル移動機構13によって旋回および昇降動作を行う。処理液供給ノズル23は、共通配管34aを通じてHF供給配管341aとDIW供給配管342aが流路接続されており、基板Wの上方の吐出位置において、HFまたはDIWを基板Wの表面に向けて吐出する。
【0056】
<電気的構成>
図6は、本発明の第1実施形態に係る基板処理システム100の制御部4と各部の構成の関係を示す機能ブロック図である。制御部4は、CPU(中央演算処理装置)、ROM(リードオンリメモリ)、RAM(ランダムアクセスメモリ)および記憶装置等を含む。制御部4は、流体供給制御部4a、UV照射制御部4b、ノズル制御部4c、スピン制御部4d、記憶部4eおよびレシピ実行部4fの各機能制御部を含む。これらの各機能制御部(4a~4f)の機能は、制御部4のCPUがROMまたは記憶装置等の記憶媒体に記憶されたコンピュータプログラムを実行することにより実現される。なお、制御部の機能的な構成要素の一部または全てが電子回路等のハードウェアにより実現されてもよい。
【0057】
流体供給制御部4aは、所定の処理液や酸素ガスを各ノズルから供給する場合に、各供給弁31b、32b、331b、332b、341b、342bの開閉動作を制御して、各供給配管の流路を開かせ、各ノズルから所定の処理液や処理ガスを基板Wの表面に供給させる。
【0058】
流体供給制御部4aは、オゾン水の供給状態と非供給状態とを切り変えるようにオゾン水供給弁32bを制御する。流体供給制御部4aは、液滴生成ノズル21にオゾン水を供給するときには、オゾン水供給弁32bが開くように制御する。これによって、オゾン水がオゾン水供給配管32aを通じて液滴生成ノズル21に供給される。一方、液滴生成ノズル21にオゾン水を供給しないときには、流体供給制御部4aは、オゾン水供給弁32bが閉じるように制御する。これによって、オゾン水供給部32から液滴生成ノズル21へのオゾン水の供給が停止される。
【0059】
流体供給制御部4aは、酸素ガスの供給状態と非供給状態とを切り変えるように酸素ガス供給弁31bを制御する。流体供給制御部4aは、液滴生成ノズル21に酸素ガスを供給するときには、酸素ガス供給弁31bが開くように制御する。これによって、酸素ガスが酸素ガス供給配管31aを通じて液滴生成ノズル21に供給される。一方、液滴生成ノズル21に酸素ガスを供給しないときには、流体供給制御部4aは、酸素ガス供給弁31bが閉じるように制御する。これによって、酸素ガス供給源31から液滴生成ノズル21への酸素ガスの供給が停止される。
【0060】
流体供給制御部4aは、SC1の供給状態と非供給状態とを切り変えるようにSC1供給弁332bを制御する。流体供給制御部4aは、処理液供給ノズル22にSC1を供給するときには、SC1供給弁332bが開くように制御する。これによって、SC1がSC1供給配管332a、共通配管33aを通じて処理液供給ノズル22に供給される。一方、処理液供給ノズル22にSC1を供給しないときには、流体供給制御部4aは、SC1供給弁332bが閉じるように制御する。これによって、SC1供給部332から処理液供給ノズル22へのSC1の供給が停止される。
【0061】
流体供給制御部4aは、DIWの供給状態と非供給状態とを切り変えるようにDIW供給弁331bを制御する。流体供給制御部4aは、処理液供給ノズル22にDIWを供給するときには、DIW供給弁331bが開くように制御する。これによって、DIWがDIW供給配管331a、共通配管33aを通じて処理液供給ノズル22に供給される。一方、処理液供給ノズル22にDIWを供給しないときには、流体供給制御部4aは、DIW供給弁331bが閉じるように制御する。これによって、DIW供給源331から処理液供給ノズル22へのDIWの供給が停止される。
【0062】
流体供給制御部4aは、HFの供給状態と非供給状態とを切り変えるようにHF供給弁341bを制御する。流体供給制御部4aは、処理液供給ノズル23にHFを供給するときには、HF供給弁341bが開くように制御する。これによって、HFがHF供給配管341a、共通配管34aを通じて処理液供給ノズル23に供給される。一方、処理液供給ノズル23にHFを供給しないときには、流体供給制御部4aは、HF供給弁341bが閉じるように制御する。これによって、HF供給部341から処理液供給ノズル23へのHFの供給が停止される。
【0063】
流体供給制御部4aは、DIWの供給状態と非供給状態とを切り変えるようにDIW供給弁342bを制御する。流体供給制御部4aは、処理液供給ノズル23にDIWを供給するときには、DIW供給弁342bが開くように制御する。これによって、DIWがDIW供給配管342a、共通配管34aを通じて処理液供給ノズル23に供給される。一方、処理液供給ノズル23にDIWを供給しないときには、流体供給制御部4aは、DIW供給弁342bが閉じるように制御する。これによって、DIW供給源342から処理液供給ノズル23へのDIWの供給が停止される。
【0064】
UV照射制御部4bは、照射部211からUV光を照射する照射状態とUV光を照射しない非照射状態とを切り変えるように、照射部211を制御する。UV光を照射する照射状態のとき、UV照射制御部4bは、照射部211がUV光を照射するように制御して照射部211からUV光を照射させる。UV光を照射しない非照射状態のとき、UV照射制御部4bは、照射部211がUV光を照射しないように制御して、照射部211からのUV光の照射を停止させる。
【0065】
ノズル制御部4cは、液滴生成ノズル21や処理液供給ノズル22、23を用いて基板Wに処理を行う時に、ノズル移動機構12またはノズル移動機構13が昇降動作と旋回動作を行うように昇降駆動部12b、13bおよび旋回駆動部12c、13cの駆動を制御する。
【0066】
スピン制御部4dは、処理部10aにおいて基板Wを処理するとき、スピンチャック11のチャックピン11aを閉じるように制御して基板Wを保持させるとともに、スピンベース11bの回転動作を制御して基板Wの回転速度を可変させる。処理部10aにおいて基板Wの処理が終わると、スピン制御部4dは、基板Wの回転を停止させるとともに、基板Wの保持状態を開放するように、スピンベース11bとチャックピン11aとを制御する。
【0067】
レシピ実行部4fは、基板Wに対して種々の処理を行う際に、記憶部4eに記憶された基板Wに処理を行うための処理レシピを記憶部4eから読み取り、前述した各制御部へ動作指示を送る。本実施の形態では、レシピ実行部4fは、
図7に示す各ステップ(ステップST1~6)を実行するためのレシピを記憶部4eから読み取り、その動作指示を各制御部へ送る。
【0068】
<被処理物について:レジスト膜に覆われた基板の例>
続いて、
図7~9を参照しながら上記実施の形態に係る基板処理装置において行う基板の処理方法について説明する。
【0069】
以下に説明する基板処理方法は、その表面にレジスト膜63が覆われ、当該レジスト膜63の表層が高エネルギーのイオン注入処理により炭化して硬化した硬化膜62aが形成された状態の基板Wに適用される。なお、硬化膜62aは、レジスト膜中の有機物が炭化したアモルファスカーボンを部分的に有し、硬化膜62aの表層は、通常、自然酸化膜61に覆われている(
図9参照)。
【0070】
基板Wは、キャリアCから搬送ロボットIRおよびCRにより処理部10aに搬送される。処理部10aに搬送された基板Wは、スピンチャック11の上に載置された後、チャックピン11aによって水平に保持される。チャックピン11aによって保持された基板Wは、スピンベース11bが回転するのに合わせて、水平に回転する。
【0071】
<HF処理>
水平に回転している基板Wに対して、HFを供給して基板Wの表面を覆う自然酸化膜61を除去し、基板Wの表面に残ったHFをDIWにより洗い流す処理を行う(ステップST1)。
【0072】
このステップST1において、まず、ノズル制御部4cが、ノズル移動機構13を制御することにより、処理液供給ノズル23をカップの外の待機位置から基板W上の中心上方の吐出位置に移動させる。次に時刻t1において、流体供給制御部4aが、HF供給弁341bを開くように制御する。これによって、HF供給部341からHFが、HF供給配管341a、共通配管34aを通じて処理液供給ノズル23に送液され、当該処理液供給ノズル23からHFが基板W上に供給される(
図9(a1)参照)。
【0073】
供給されたHFにより基板Wの表層にある硬化膜付きレジストを覆う自然酸化膜61が除去される。自然酸化膜61が除去されると、硬化膜62aが基板Wの表面に露出し、
図9の(a2)の状態となる。
【0074】
時刻t2において、流体供給制御部4aが、HF供給弁341bを閉じるように制御する。これによって、HF供給部341から処理液供給ノズル23へのHFの供給が停止し、HFによる処理が終了する。
【0075】
また時刻t2において、流体供給制御部4aは、DIW供給弁342bを開くように制御する。これによって、DIW供給源342からDIWが、DIW供給配管342a、共通配管34aを通じて処理液供給ノズル23に送液され、当該処理液供給ノズル23からDIWが基板Wの表面に供給されて基板W上に残っているHFを洗い流す。
【0076】
基板W上に残っていたHFを洗い流した後、時刻t3おいて流体供給制御部4aは、DIW供給弁342bを閉じるように制御する。これによって、DIW供給源342から処理液供給ノズル23へのDIWの供給が停止される。そして、ノズル制御部4cがノズル移動機構13を制御して、基板Wの中心上方に配置されている処理液供給ノズル23をカップの外の待機位置に退避させる。処理液供給ノズル23がカップの外に退避した後、基板W上に残る水分は基板Wの回転から生じる遠心力によって除去される。これにより、続くUV処理におけるUV光の基板Wの表面への到達が基板W上の水分により妨げられるのを抑制できる。
【0077】
これら一連のHFおよびDIWによる基板Wへの処理は、
図8におけるタイムチャートにおいて、時
刻t1からt3の間に実行される。このとき、
図8に示す基板Wの回転数は、たとえば、600~1200rpmほどである。また、前述の基板Wから水分を除去する際には、遠心力を大きくするために2000~2500rpmほどにしてもよい。
【0078】
<UV処理>
次に、硬化膜62aが表面に露出した基板Wに対して、照射部211からUV光を照射し、硬化膜62aを分解する処理を行う(ステップST2)。
【0079】
このステップST2では、まず、ノズル制御部4cが、ノズル移動機構12を制御して、液滴生成ノズル21を、カップの外の待機位置から基板W上の中心上方の照射開始位置まで移動させる。かかる移動によって、第1の円筒部212の下端部の開放面が基板Wの中心に向き合うように配置される。この間、スピン制御部4dがスピンチャック11の回転数を、たとえば、50~500rpmほどまで減速させるように制御する。
【0080】
液滴生成ノズル21が照射開始位置に配置されると、次に、時刻t4においてUV照射制御部4bが、照射部211を制御して基板Wの中心に向けてUV光を照射させる。そして、ノズル制御部4cが、ノズル移動機構12を制御して液滴生成ノズル21を基板Wの中心上方から基板Wの周縁部上方までの間を往復移動させる。
【0081】
かかる移動によって、
図9(b1)のように、照射部211から照射されるUV光が回転している基板Wの中心から基板Wの周縁部まで照射される(第2の照射工程)ので、基板Wの全面がUV光に曝される。これにより、硬化膜62a中のアモルファスカーボンの炭素―炭素結合が切断され、硬化膜62aを部分的に分解することができる。かかる分解によって、硬化膜62a中に隙間が生じるので、オゾン水および処理液を侵入させやすい状態にできる。
図9の(b2)のように、前述のような状態となった硬化膜62aを以降は分解膜62bと記載する。
【0082】
これら一連のUV光を基板Wへ照射する処理は、
図8におけるタイムチャートにおいて、時
刻t4からt5の間に実行される。このとき、
図8に示す基板Wの回転数は、たとえば、50~500rpmほどである。次に記載する第1の酸素雰囲気形成工程の前にUV光を照射することで、酸素雰囲気によって基板Wの表面に到達するUV光が減衰されることを抑制できる。これにより、硬化膜62aを効果的に分解することができる。
【0083】
<酸素ガス供給>
次に、硬化膜62aの一部が分解された分解膜62bが表面に露出した基板Wに向けて酸素ガスを供給し(第1の酸素雰囲気形成工程)、その酸素ガスにUV光を照射してオゾンガスを発生させる(ステップST3)。
【0084】
このステップST3では、前述したステップST2から引き続いて照射部211からUV光が基板Wに向けて照射され続けている。また、
図9(c1)に示すように、液滴生成ノズル21は、ステップST3の開始時点で基板Wの中心上方に配置される。
【0085】
液滴生成ノズル21が基板Wの中心上方に配置された状態で、時刻t5において流体供給制御部4aが、酸素ガス供給弁31bを開くように制御する。これにより酸素ガス供給部31から酸素ガスが酸素ガス供給配管31a通じて液滴生成ノズル21に供給される。
【0086】
液滴生成ノズル21に供給された酸素ガスは、液滴生成ノズル21から基板Wに向けて供給される。詳細には、まず、酸素ガスは、
図4(a)の固定部210の貫通孔210a、閉空間217、第2の流路218を通じて酸素ガス供給口219から吐出される。この酸素ガス供給口219から吐出された酸素ガスは、第1の円筒部212の下端面212aに沿って中心軸C1に向けた斜め下方に流動する。そして、かかる酸素ガスは、中心軸C1の近傍に集まりお互いに衝突し、その流れの向きを鉛直下方に変えて、基板Wに向けて供給される。これにより、基板Wの表面のオゾン水の液滴が供給される領域に予め酸素雰囲気を形成する(第1の酸素雰囲気形成工程)。
【0087】
ここで、基板Wに向かう酸素ガスは、第1の円筒部212の下端部の開放面から放射されるUV光に曝される。これによってオゾンガスが発生し、基板Wの上面近傍が、酸素ガスとオゾンガスが混じったオゾンガス雰囲気となる。このオゾンガス雰囲気は、後述するオゾン水の液滴からオゾンが失われることを抑制する機能を果たす。
【0088】
これら一連の酸素ガスを基板Wに供給する工程は、
図8におけるタイムチャートにおいて、時
刻t5からt6の間に実行される。このとき、
図8に示す基板Wの回転数は、たとえば、50~500rpmほどである。また、
図9(c1)に示すように、液滴生成ノズル21は、基板Wの中心上方から周縁部上方までの間を往復移動する。これにより、オゾン水の液滴からオゾンが失われることを抑制するためのオゾンガス雰囲気を基板Wの全面に予め準備することができる。
【0089】
<オゾン水処理>
続いて、液滴生成ノズル21からオゾン水の液滴を基板Wに供給して、基板Wの表面の分解膜62bおよびレジスト膜63を除去する処理を行う(ステップST4)。
【0090】
このステップST4では、前述したステップST3から引き続いて照射部211からUV光が基板Wに向けて照射され、酸素ガス供給口219から酸素ガスが供給されている。また、
図9(d1)に示すように、液滴生成ノズル21は、ステップST4の開始時点で基板Wの周縁部に配置される。
【0091】
まず、時刻t6において、流体供給制御部4aが、オゾン水供給弁32bを開くように制御する。これにより、オゾン水供給部32からオゾン水供給配管32a通じてオゾン水が液滴生成ノズル21に供給される。
【0092】
液滴生成ノズル21に供給されたオゾン水は、液滴生成ノズル21から基板Wに向けて液滴となって供給される。詳細には、以下の通りである。即ち、
図4のオゾン水供給口216から基板Wに向けて流下したオゾン水は、酸素ガス供給口219から吐出された酸素ガスのガス流と衝突して寸断される。これにより、オゾン水供給口216の近傍でオゾン水の液滴が生成される(液滴生成工程)。そして、オゾン水の液滴が酸素ガスのガス流に乗って液滴生成ノズル21から基板Wの表面に供給される(液滴供給工程)。
【0093】
さらに、液滴となったオゾン水は、液滴生成ノズル21から基板Wに供給されるまでの間に、第1の円筒部212の下端部の開放面から放射されるUV光に曝される(第1の照射工程)。液滴となったオゾン水は、表面積が大きくなっているので、UV光に曝される割合が液滴になる前に比べて高くなり、オゾン濃度が高められる。このようなオゾン濃度が高められたオゾン水の液滴が、基板Wの表面の分解膜62bおよびレジスト膜63に対して効果的に作用し、分解膜62bおよびレジスト膜63を確実に除去することができる。
【0094】
本実施の形態では、オゾン水供給口216の近傍で液滴となったオゾン水は、酸素ガス供給口219から供給された酸素ガスの流れに乗って
図4の中心軸C1付近で互いに衝突しあい、さらに細かく寸断され、一層微小な液滴となる。これにより、オゾン水の液滴の表面積がさらに増え、UV光に曝される面積が一層広くなり、一層効率的にオゾン水を活性化することができる。
【0095】
また、このとき、
図8のタイムチャートおよび
図9(d1)に示すように、時刻t6からt7にかけて、上記したオゾン水の供給と並行して、酸素ガスも酸素ガス供給口219から基板Wに向けて供給され続けている。この時刻t6からt7までの期間もステップST3のときと同様に、酸素ガスは第1の円筒部212の下端部の開放面から放射されるUV光に曝されており、液滴生成ノズル21と基板Wの間の空間には逐次オゾンガスが発生する。これにより、オゾン水の液滴からオゾンガスが抜けてオゾン濃度が低下することを抑制できる。なお、この酸素ガスの供給は、液滴供給工程の終了時点から所定の時間、たとえば、5~10秒続けられてもよい。即ち、基板Wの表面に残ったオゾン水がレジスト膜63に作用している間、基板Wの上面近傍にオゾンガス雰囲気を形成し続け、この基板Wの表面に残ったオゾン水からオゾンが失われることを抑制できる。
【0096】
分解膜62bに、オゾン濃度を維持したオゾン水の液滴が供給されると、オゾン水が、分解膜62b中の隙間から侵入し、分解膜62bの下にあるレジスト膜63までオゾン水が浸透する。これによって、レジスト膜63が分解され基板W表面から除去されるとともに、レジスト膜63上に形成されていた分解膜62bもレジスト膜とともに基板W上から除去される。このとき、オゾン水の液滴は、液滴生成ノズル21から酸素ガスのガス流に乗って基板W上に噴射されており、大きな物理エネルギーを有しているので、分解膜62bおよびレジスト膜63を一層効果的に除去することができる。
【0097】
時刻t7において、オゾン水の液滴による分解膜62bとレジスト膜63の除去が完了すると、流体供給制御部4aが供給弁32bを閉じるように制御する。これにより液滴生成ノズル21からのオゾン水の供給が停止する。また、同時刻である時刻t7において、流体供給制御部4aが供給弁31bを閉じるように制御する。これにより液滴生成ノズル21からの酸素ガスの供給も停止する。さらに、同時刻である時刻t7において、UV照射制御部4bが照射部211からのUV光の照射を停止するように制御する。
【0098】
なお、前述したUV光の照射の停止と、オゾン水および酸素ガスの供給の停止のタイミングとは同時であってもよいが、UV光の照射は、液滴供給工程の終了後の一定時刻まで継続することが好ましい。この場合、UV光は、基板Wの表面に付着したオゾン水に照射され続けるため、オゾン水中の酸素ガスを活性化し、オゾン水からオゾンガス抜けてオゾン濃度が低下することを抑制でき、オゾン水をより長く高濃度に保つことができ、分解膜62bおよびレジスト膜63をより一層効果的に除去することができる。
【0099】
これら一連のオゾン水の液滴を基板Wに供給する工程は、
図8におけるタイムチャートにおいて、時
刻t6からt7の間に実行される。かかる工程における基板Wの回転数は、たとえば、50~500rpmほどであり、HF処理のときの回転数よりも低く、前述した時刻t4からt5の間に実行される第2の照射工程、時刻t5からt6の間に実行される第1の酸素雰囲気形成工程のときの回転数と同じように設定される。
【0100】
本工程において、
図9の(d1)に示すように、液滴生成ノズル21は、周縁部上方から中心上方までの間を往復移動する。これにより、回転する基板Wの全面にオゾン水の液滴を供給し、分解膜62bおよびレジスト膜63を基板Wの上面全体にわたって均一に除去することができる。液滴生成ノズル21の往復移動開始の位置を基板Wの中心上方にしてもよいが、本実施例で説明したような周縁部上方を開始位置とする方が好ましい。
【0101】
<SC1処理>
続いて、処理液供給ノズル22からSC1を基板Wに向けて吐出して、基板Wの表面のレジスト膜などの残渣を除去して洗い流す処理を行う(ステップST5)。
【0102】
ステップST5の開始時点において、前述したステップST4で用いられた液滴生成ノズル21は基板W上から退避しておらず、液滴生成ノズル21とともにSC1を供給するための処理液供給ノズル22も基板Wの上方に配置されている。
【0103】
ステップST5では、まず、ノズル制御部4cがノズル移動機構12を制御して、処理液供給ノズル22を、基板Wの中心上方の吐出位置に移動して配置させる。処理液供給ノズル22が基板Wの中心上方の吐出位置に配置されると、次に、時刻t7において、流体供給制御部4aが、SC1供給弁332bを開くように制御する。これにより、SC1供給部332から共通配管33aを通じてSC1が処理液供給ノズル22に供給される。
【0104】
図9の(e1)において、処理液供給ノズル22に供給されたSC1は、処理液供給ノズル22から基板Wに向けて供給される。基板Wに供給されたSC1は、ステップST4で除去しきれなかったレジスト膜などの残渣や異物を除去し、基板Wの表面を清浄にする。
【0105】
時刻t8において、流体供給制御部4aが、SC1供給弁332bを閉じるように制御する。これにより処理液供給ノズル22からのSC1の供給が停止し、SC1によるレジスト膜などの残渣の除去処理が終了する。
【0106】
次に、時刻t8において、流体供給制御部4aは、DIW供給弁331bを開くように制御する。これにより、DIW供給源331からDIW供給配管331a、共通配管33aを通じてDIWが処理液供給ノズル22に供給される。処理液供給ノズル22に供給されたDIWは、処理液供給ノズル22から基板Wに向けて供給される。これにより、基板W上のSC1がDIWによって洗い流される。
【0107】
時刻t9において、流体供給制御部4aが、DIW供給弁331bを閉じるように制御する。これによって、処理液供給ノズル22からのDIWの供給を停止させ、DIWによるリンス処理が終了する。次に、ノズル制御部4cがノズル移動機構12を制御して、基板Wの中心上方に配置されている処理液供給ノズル22を、カップの外の待機位置に退避させる。
【0108】
これら一連のSC1を基板Wに供給する工程は、
図8におけるタイムチャートにおいて、時
刻t7からt9の間に実行される。このとき、
図8に示す基板Wの回転数は、たとえば、500~1200rpm程度である。
【0109】
<乾燥処理>
図7におけるステップST6では、基板Wを高速回転させて基板Wを乾燥させる(ステップST6)。具体的には、スピン制御部4dが、スピンベース11bの回転速度を制御し、
図8のように高速回転、たとえば、時刻t9から回転数を上昇させ始め、2500rpm程度まで基板の回転数を上昇させる。これにより、基板Wの表面に付着していたDIWが振り切られ、基板Wの表面が乾燥する(
図9の(f1))。
【0110】
基板Wの表面が乾燥すると、時刻t10において、スピン制御部4dが、スピンチャック11の回転ベースの回転速度を制御して、基板Wの回転を停止させ、その後、スピンチャック11のチャックピン11aを開かせる。
【0111】
一連の処理が完了すると、搬送ロボットCRは処理部10から基板Wを搬出する。搬出後、処理すべき新たな基板がある場合には、さらに新たな基板Wが搬送ロボットCRにより処理部10へ搬入され、前述のHF処理から乾燥処理までの一連の処理が繰り返される。
【0112】
<異なる被処理物について:金属含有膜に覆われた基板の例>
上述の例においては、その表面がレジスト膜に覆われている基板を対象として、レジスト膜を除去する処理を説明した。しかし、本願発明の基板処理方法が適用される対象の基板は、これに限られるものではない。
図10に示す例のように、本願発明の基板処理方法は、その表面が金属含有膜に覆われた基板に適用されてもよく、たとえば、TiN膜のような金属含有膜に覆われた基板に適用されてもよい。この場合、基板Wの表面は金属含有膜73に覆われ、金属含有膜73の表面は自然酸化膜71に覆われている。この自然酸化膜71が基板Wの表面に露出した状態から処理を開始し、自然酸化膜71および金属含有膜73を除去する。処理の各ステップ(ステップST1~6)やその時刻(t1~t10)は、前述したレジスト膜を除去する場合と同様の
図7および
図8に示す通りである。
【0113】
まず、ステップST1において、
図10(a11)に示すように、基板Wの表面を覆う自然酸化膜71にHFを供給して、自然酸化膜71を除去する処理を行う。時刻t1において、HF供給部341から供給されたHFは、基板W上の中心上方の吐出位置に配置された処理液供給ノズル23から基板Wに向けて供給される。かかるHFによって、基板Wの表層の自然酸化膜71が除去される。自然酸化膜71が除去されると、
図10(a21)に示すように、金属含有膜73が基板Wの表面に露出する。時刻t2において、HFの供給が停止され、処理液供給ノズル23からDIWが基板Wに供給される。かかるDIWによって基板W上に残ったHFが洗い流される。
【0114】
次のステップST2では、
図10(b11)に示すように、金属含有膜73が露出した基板Wの表面に照射部211からUV光を照射して、金属含有膜73を分解する処理を行う。照射部211は、基板Wの中心位置から周縁位置との間を往復移動しながらUV光を照射する。かかる照射により、基板Wの表面に露出した金属含有膜73の全面がUV光に曝される。これにより、金属含有膜73の中の金属―金属結合が部分的に切断され、金属含有膜73を部分的に分解することができる。かかる分解により金属含有膜中に隙間が生じるので、オゾンガスやオゾン水が金属含有膜73の表面からその内部に侵入しやすい状態にできる(
図10(b21))。
【0115】
ステップST3では、
図10(c11)に示すように、部分的に分解した金属含有膜73が露出した基板Wに向けて液滴生成ノズル21から酸素ガスを供給する。酸素ガス供給部31から液滴生成ノズル21に供給された酸素ガスは、液滴生成ノズル21から基板Wに向けて供給される。詳細には、
図4の酸素ガス供給口219から吐出された酸素ガスは、第1の円筒部212の下端面212aに沿って中心軸C1に向けて斜め下方に向けて流れ、中心軸C1の近傍に集ってお互いに衝突する。そして互いに衝突した酸素ガスは、流れの向きを下方に変えて、基板Wに向けて供給される。ここで、供給された酸素ガスは、第1の円筒部212の下端部の開放面から放射されるUV光に曝され、オゾンガスを生じ、基板Wと液滴生成ノズル21との間の空間に酸素ガスとオゾンガスが混じった雰囲気を形成する。この雰囲気は、オゾン水からオゾンが失われてオゾン濃度が低下することを抑制する保護雰囲気となる。オゾン水の液滴からオゾンが失われることを抑制できる。
【0116】
続いて、ステップST4において、
図10(d11)に示すように、部分的に分解した金属含有膜73が露出した基板Wにオゾン水の液滴を液滴生成ノズル21から供給し、金属含有膜73を除去する処理を行う。オゾン水供給部32から液滴生成ノズル21に供給されたオゾン水は、オゾン水の液滴となって液滴生成ノズル21から基板Wに向けて供給される。供給されたオゾン水の液滴は、基板Wの表層の金属含有膜73を除去する。
【0117】
液滴生成ノズル21において、酸素ガス供給口219から供給された酸素ガスは、中心軸C1に向かう途中、オゾン水供給口216から供給されるオゾン水と衝突し、オゾン水の液滴が生成される。生成されたオゾン水の液滴は、酸素ガス供給口219から続けて供給される酸素ガスのガス流によってさらに寸断される。寸断された液滴は、ガス流に流されて中心軸C1に向かう。そして、これらオゾン水の液滴は、中心軸C1付近において互いに衝突し合い、さらに微細な液滴となって基板Wの表面に供給される。液滴となったオゾン水は、表面積が大きくなっているので、後述するUV光に曝される割合が液滴になる前に比べて高く、オゾン濃度を高められる。
【0118】
部分的に分解された金属含有膜73に、オゾン濃度の低下が抑制されたオゾン水の液滴が供給されると、オゾン水が、金属含有膜の隙間から侵入しつつ、接液した個所から金属含有膜73を分解する。このとき、オゾン水の液滴は、処理液供給ノズル22から噴射されており、大きな物理エネルギーを有しているので、金属含有膜73を分解しつつ、分解が進んで破断されつつある金属含有膜の破片を物理的にも除去することができる。
【0119】
ステップST5において、
図10(e11)に示すように、金属含有膜73が除去された基板Wの表面にSC1を供給して、処理を行う。処理液供給ノズル22に供給されたSC1は、処理液供給ノズル22から基板Wに向けて吐出される。基板Wに吐出されたSC1は、金属含有膜の残渣や異物があればそれらを除去し、基板Wの表面を清浄にする。
【0120】
その後、既述したように、処理液供給ノズル22からDIWが基板Wに向けて吐出され、これにより、基板W上のSC1がDIWによって洗い流される。DIWによるリンス処理が終わると、高速回転により表面に付着していたDIWを振り切り、基板Wの表面を乾燥させる(
図10の(f11))。
【0121】
[2]第2実施形態
以下に
図11から
図13に基づいて、本願発明の第2実施形態に係る基板処理装置および基板処理方法について説明する。
【0122】
<処理部>
図11に示すように、第2実施形態に係る基板処理装置2は、基板Wを処理する処理部10bを有する。
図2に示す第1実施形態の基板処理装置1と異なる点は、処理部10aにおける液滴生成ノズル21の代わりに、処理部10bにオゾン流体供給ノズル51が設けられている点である。その他は同じであるので、同じ参照符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0123】
<オゾン流体供給ノズル>
次に、
図11および
図12を参照し、処理部10b内で用いられるオゾン流体供給ノズル51の詳細について説明する。ここで、
図12(a)は、オゾン流体供給ノズル51を水平側方から側面視した側面図である。また、
図12(b)は、オゾン流体供給ノズル51を鉛直下方から平面視した平面図である。
【0124】
図11に示すように、オゾン流体供給ノズル51は、処理部10b内において、ノズル移動機構12に取り付けられ、昇降動作および旋回動作が可能なように構成されている。
【0125】
図12(a)において、オゾン流体供給ノズル51は、酸素ガス供給配管31aが流路接続される酸素ガス供給ノズル513と、オゾン水供給配管32aが流路接続されるオゾン水供給ノズル514とを含む。また、酸素ガス供給ノズル513には、後述するオゾン水が基板Wの表面に着液する着液領域に向けてUV光を照射する照射部511が取り付けられている。本実施の例では、
図12(b)に示すようにオゾン流体供給ノズル51を鉛直下方から視た場合、酸素ガス供給ノズル513、オゾン水供給ノズル514および照射部511は一列に並ぶように配置されている。
【0126】
照射部511は、連続流である液柱状のオゾン水が基板Wの表面に着液する着液領域に向けてUV光を照射する。
図12(a)に示すように、UV光は、斜め下方に向けられた照射口512から
照射軸C2に沿って照射される。照射部511から照射されるUV光は、オゾン水供給ノズル514から供給される液柱状のオゾン水を、基板Wの表面の着液領域付近で照射することができ、オゾン水に含まれる酸素を活性化してオゾンの消失を抑制することができる。
【0127】
第2実施形態においても、
図6に示すUV照射制御部4bが、照射部511からUV光を照射する照射状態とUV光を照射しない非照射状態とを切り変えるように照射部511を制御する。
【0128】
<基板処理における各部の動作>
この第2実施形態に係る基板処理装置に適用されるレジスト膜を除去する基板処理方法の各処理のステップも、前述した第1実施形態に係る基板処理装置に適用されるレジスト膜を除去する場合と同様である。したがって、以下に、基板Wに対する処理を行う各ステップの動作について、
図7および
図13を参照しながら説明する。
図13は、
図7に対応した第2実施形態の基板処理方法をレジスト膜の除去に適用した説明図である。本実施形態においても、基板Wの表面がレジスト膜63に覆われ、レジスト膜63の表層が高エネルギーのイオン注入処理により炭化して硬化した硬化膜62aの付いた状態である例で説明する。ここで、硬化膜62aは、レジスト膜中の有機物が炭化したアモルファスカーボンを部分的に有する。硬化膜62aの表層は、通常、自然酸化膜61に覆われている。なお、以下の各処理の説明において、第1実施形態と重複する点については簡易に述べる程度にとどめる。
【0129】
<HF処理>
まず、
図13の(a1)~(a2)に示すように、水平に回転している基板Wに対して、HFを供給して基板Wの表面を覆う自然酸化膜61を除去し、基板Wの表面に残ったHFをDIWにより洗い流す処理を行う(ステップST1)。
【0130】
このステップST1において、処理液供給ノズル23から供給されたHFが、
図13の(a1)に示す基板Wの表層にある硬化膜付きレジストを覆う自然酸化膜61を除去する。自然酸化膜61が除去されると、硬化膜62aが基板Wの表面に露出し、
図13の(a2)の状態となる。基板Wの表面に残ったHFは、処理液供給ノズル23から供給されるDIWによって洗い流される。
【0131】
<UV処理>
次に、
図13の(b111)~(b211)に示すように、硬化膜62aが表面に露出した基板Wに対して、照射部511からUV光を照射し、硬化膜62aを分解する処理を行う(ステップST2)。
【0132】
このステップST2では、まず、ノズル制御部4cがノズル移動機構12を制御して、オゾン流体供給ノズル51を、カップの外の待機位置から基板W上の所定の照射位置まで移動させる。かかる移動によって、照射部511から照射されるUV光の照射軸C2が基板Wの中心と交差するように配置される。
【0133】
オゾン流体供給ノズル51が照射位置に配置されると、次に、UV照射制御部4bが、照射部511の照射状態を制御して基板Wに向けて照射軸C2に沿うようにUV光を照射させる。UV光の照射が開始されると、ノズル制御部4cがノズル移動機構12を制御して、オゾン流体供給ノズル51を旋回させる。これにより、基板Wの中心の上部に配置されたオゾン流体供給ノズル51は、基板Wの中心位置と基板Wの周縁位置との間を移動する。
【0134】
図13(b111)において、オゾン流体供給ノズル51は、照射位置から周縁位置までの間を往復移動しながら、照射部511からUV光を照射するので、回転する基板Wの表面に露出した硬化膜62aの全面がUV光に曝される。これにより、硬化膜62a中のアモルファスカーボンの炭素―炭素結合が切断され、硬化膜62aを部分的に分解することができる。かかる分解によって、硬化膜62a中に隙間が生じるので、オゾン水および処理液を侵入させやすい状態にできる。
図13の(b211)のように、前述のような状態となった硬化膜62aを以降は分解膜62bと記載する。このステップST2におけるUV光の照射は、後述するオゾン水に向けてUV光が照射する第3の照射工程に対して、第4の照射工程と記載する。
【0135】
<酸素ガス供給>
次に、
図13の(c111)に示すように、オゾン流体供給ノズル51に含まれる酸素ガス供給ノズル513から酸素ガスを基板Wに向けて供給し(第2の酸素雰囲気形成工程)、その酸素ガスにUV光を照射してオゾンガスを生じさせる(ステップST3)。
【0136】
このステップST3では、前述したステップST2から引き続いて照射部511からUV光が基板Wに向けて照射されている。そして、流体供給制御部4aが、酸素ガス供給弁31bを開くように制御して、酸素ガス供給配管31aの流路を開かせる。酸素ガス供給配管31aの流路を開くと、酸素ガスが、酸素ガス供給部31から酸素ガス供給配管31aの内部を通って酸素ガス供給ノズル513に供給される。
【0137】
図13の(c111)において、酸素ガス供給ノズル513からは、酸素ガスが後述するオゾン水が基板Wの表面に着液する着液領域に向けて供給され、当該着液領域に予め酸素雰囲気を形成する(第2の酸素雰囲気形成工程)。供給された酸素ガスは、照射部511から照射されるUV光に曝されてオゾンガスを生じ、酸素ガスとオゾンガスが混じった雰囲気となる。この雰囲気は、オゾン水からオゾンが失われることを抑制する保護雰囲気となる。これにより、後述するオゾン水の着液領域に保護雰囲気を予め準備することができ、連続流である液柱状のオゾン水がオゾン水供給ノズル514から基板Wに向けて吐出された際に、オゾン水からオゾンガス
が抜けてオゾン濃度が低下することを抑制できる。
【0138】
<オゾン水処理>
続いて、
図13の(d111)に示すように、オゾン水供給ノズル514からオゾン水を基板Wに向けて供給する(オゾン水供給工程)。これによって、分解膜62bとレジスト膜63を除去する処理を行う(ステップST4)。
【0139】
このとき、ステップST3で照射しているUV光は、ステップST4でも継続して照射される。また、ステップST3で吐出している酸素ガスも、ステップST4で継続して吐出される。ステップST4では、流体供給制御部4aが、オゾン水供給弁32bを開くように制御して、オゾン水供給配管32aの流路を開かせる。オゾン水供給配管32aの流路が開くと、オゾン水が、オゾン水供給部32からオゾン水供給配管32aの内部を通ってオゾン水供給ノズル514に供給される。
【0140】
ここで、照射部511は、オゾン水の着液領域に向けてUV光を照射している(第3の照射工程)。このUV光に曝されたオゾン水は、オゾン水中に含まれる酸素ガスが活性化されオゾンとなるので、オゾン濃度の低下を抑制することができる。
【0141】
また、このとき、オゾン水が基板に向けて吐出される領域には、酸素ガス供給ノズル513から酸素ガスが供給されており(酸素供給工程)、ステップST3のときと同様に、酸素ガスは、照射部511から照射されるUV光に曝されてオゾンガスを生じ、酸素ガスとオゾンガスが混じった雰囲気となる。この雰囲気は、オゾン水からオゾンが失われることを抑制する保護雰囲気となる。この保護雰囲気により、オゾン水からオゾンガスが抜けて濃度が低下することを抑制できる。
【0142】
なお、このときにUV光が照射されていない場合でも、酸素ガスがオゾン水の上面を覆うことで、オゾン水から生じる酸素がオゾン水中から抜け出ることを抑制し、オゾン水がさらに分解されることを抑制することができる。
【0143】
部分的に分解された分解膜62bに、濃度を維持したオゾン水が供給されると、オゾン水が、分解膜62bの隙間から侵入し、分解膜62bの下にあるレジスト膜63を分解する。下地のレジスト膜63が分解し除去されると、その上の部分的に分解された分解膜62bも除去され、基板Wは
図13の(e1)に示すような状態となる。
【0144】
オゾン水による処理が終わると、流体供給制御部4aが、オゾン水供給弁32bを閉じるように制御して、オゾン水供給配管32aの流路を閉じさせる。オゾン水供給配管32aの流路が閉じると、オゾン水供給部32からオゾン水供給ノズル514へのオゾン水の供給が停止する。次に、酸素ガス供給弁31bを閉じるように制御して、酸素ガス供給配管31aの流路を閉じさせる。酸素ガス供給配管31aの流路が閉じると、酸素ガス供給部31から酸素ガス供給ノズル513への酸素ガスの供給が停止する。続いて、UV照射制御部4bが、照射部511のUV照射状態を制御して、UV光の照射を停止する。なお、この酸素ガスの供給は、オゾン水供給工程の終了時点から所定の時間、たとえば、5~10秒続けられてもよい。基板Wの表面に残ったオゾン水がレジスト膜63に作用している間、この基板Wの表面に残ったオゾン水からオゾンが失われることを抑制できる。
【0145】
このとき、UV光の照射の停止と、オゾン水および酸素ガスの供給の停止とを同時にしてもよい。なお、UV光の照射は、オゾン水および酸素ガスの供給の停止まで継続してもよく、この場合、UV光は、基板Wの表面に付着したオゾン水に照射され続けるため、オゾン水中の酸素ガスを活性化し、オゾンガスが抜けて濃度が低下することを抑制できる。
【0146】
続いて、
図13の(e1)に示すように、処理液供給ノズル22からSC1を基板Wに向けて吐出して、基板Wの表面のレジスト膜などの残渣を除去して洗い流す処理を行う
さらに、引き続いて、処理液供給ノズル22からDIWが基板Wに向けて供給される。これにより、基板W上のSC1がDIWによって洗い流される。(ステップST5)。
【0147】
その後、
図13の(f1)に示すように、基板Wを高速回転させて基板Wを乾燥させる(ステップST6)。
【0148】
本実施の例においても、本願発明の基板処理方法が適用される対象の基板は、レジスト膜に覆われた基板に限られるものではない。第1実施形態に係る基板処理方法について述べたように、その表面が金属含有膜に覆われた基板に適用されてもよい。
【0149】
以下、請求項の各構成要素と実施形態の各構成要素との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。
【0150】
上記の実施形態においては、基板Wが基板の例であり、基板処理装置1が基板処理装置の例であり、チャックピン11aが基板保持部の例であり、スピンベース11bが回転機構の例であり、液滴生成ノズル21が液滴生成ノズルの例であり、照射部211が照射部の例である。
【0151】
また、酸素ガス供給配管31aが酸素ガス供給配管の例であり、オゾン水供給配管32aがオゾン水供給配管の例であり、酸素ガス供給弁31bが酸素ガス供給弁の例であり、オゾン水供給弁32bがオゾン水供給弁の例であり、制御部4が制御部の例であり、流体供給制御部4aが流体供給制御部の例であり、UV照射制御部4bがUV照射制御部の例である。
【0152】
さらに、第1の円筒部212が第1の円筒部の例であり、第2の円筒部213が第2の円筒部の例であり、第2の円筒部213の下端面213aが下端面の例であり、対向面214aが対向面の例であり、第1の流路215が第1の流路の例であり、オゾン水供給口216がオゾン水供給口の例であり、酸素ガス供給口219が酸素ガス供給口の例であり、囲い部材214が囲い部材の例であり、閉空間217が閉空間の例である。
【符号の説明】
【0153】
1 :基板処理装置(第1実施形態)
2 :基板処理装置(第2実施形態)
10a :処理部(第1実施形態)
10b :処理部(第2実施形態)
100 :基板処理システム
11 :スピンチャック
11a :チャックピン(基板保持部)
11b :スピンベース(回転機構)
12 :ノズル移動機構
12a :アーム
12b :昇降駆動部
12c :旋回駆動部
13 :ノズル移動機構
13a :アーム
13b :昇降駆動部
13c :旋回駆動部
14 :カップ
21 :液滴生成ノズル
210 :固定部
211 :照射部
212 :第1の円筒部
212a :下端面
213 :第2の円筒部
213a :下端面
213b :上円筒部
213c :下円筒部
214 :囲い部材
214a :対向面
214b :円筒部
214c :底部
215 :第1の流路
216 :オゾン水供給口
217 :閉空間
218 :第2の流路
219 :酸素ガス供給口
22 :処理液供給ノズル
23 :処理液供給ノズル
3 :処理流体供給部
31 :酸素ガス供給源
31a :酸素ガス供給配管
31b :酸素ガス供給弁
32 :オゾン水供給部
32a :オゾン水供給配管
32b :オゾン水供給弁
33a :共通配管
331 :DIW供給源
331a :DIW供給配管
331b :DIW供給弁
332 :SC1供給部
332a :SC1供給配管
332b :SC1供給弁
34a :共通配管
341 :HF供給部
341a :HF供給配管
341b :HF供給弁
342 :DIW供給源
342a :DIW供給配管
342b :DIW供給弁
4 :制御部
4a :流体供給制御部
4b :UV照射制御部
4c :ノズル制御部
4d :スピン制御部
4e :記憶部
4f :レシピ実行部
51 :オゾン流体供給ノズル
511 :照射部
512 :照射口
513 :酸素ガス供給ノズル
514 :オゾン水供給ノズル
61 :自然酸化膜
62a :硬化膜
62b :分解膜
63 :レジスト膜
71 :自然酸化膜
73 :金属含有膜
W :基板
C1 :中心軸
C2 :照射軸