(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】遊技機
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20231226BHJP
【FI】
A63F7/02 326A
A63F7/02 310C
(21)【出願番号】P 2020078492
(22)【出願日】2020-04-27
【審査請求日】2023-01-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000154679
【氏名又は名称】株式会社平和
(74)【代理人】
【識別番号】100104547
【氏名又は名称】栗林 三男
(74)【代理人】
【識別番号】100206612
【氏名又は名称】新田 修博
(74)【代理人】
【識別番号】100209749
【氏名又は名称】栗林 和輝
(74)【代理人】
【識別番号】100217755
【氏名又は名称】三浦 淳史
(72)【発明者】
【氏名】八子 和己
【審査官】辻野 安人
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-249837(JP,A)
【文献】特開2011-092602(JP,A)
【文献】特開平09-047543(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 7/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面に加飾シートが貼り付けられた遊技盤と、
前記遊技盤の前面側に固定されたレールベースと、
前記遊技盤を支持する枠部材と、
前記枠部材に設けられ、前記遊技盤
を前面側
から押さえる押さえ部材と、
前記枠部材に設けられ、前記遊技盤を背面側から押す押圧部と、を備え、
前記レールベースは、前方から後方へ向かって窪む凹部を備え、
前記凹部は、前記押さえ部材と対向する位置に形成され、
前記押圧部は、前記凹部の底部を前記押さえ部材に押し当て、
板状の前記底部が、前記押さえ部材と前記加飾シートとの間に挟み込まれている
ことを特徴とする遊技機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
遊技機として、遊技盤および発射装置等を備えたパチンコ遊技機が知られている。パチンコ遊技機では、遊技媒体(遊技球)が遊技盤の前面に設けられた遊技領域に発射され、遊技球が、遊技領域に設けられている入賞口に進入したことに基づき、遊技者に遊技上の利益が付与される。
【0003】
このような遊技機は、発射装置から発射された遊技球が移動する遊技領域を形成する遊技盤を備えている。遊技領域に導かれた遊技球は、釘や風車に衝突しながら落下するようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、遊技機では、品質の低下を抑制することが求められている。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、品質の低下が抑制された遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の遊技機は、
前面に加飾シートが貼り付けられた遊技盤と、
前記遊技盤の前面側に固定されたレールベースと、
前記遊技盤の前面側を押さえる押さえ部材と、を備え、
前記レールベースの一部が、前記押さえ部材と前記加飾シートとの間に挟み込まれている
ことを特徴とする。
【0008】
このような構成によれば、デザイン性を向上させる観点から、遊技盤の前面に加飾シートを貼り付けた場合であっても、レールベースの一部が、押さえ部材と加飾シートとの間に挟み込まれているため、押さえ部材が加飾シートに直接接触しない。すなわち、加飾シートが押さえ部材により直接押圧されない。このため、加飾シートの剥がれ、浮きを防ぐことができる。これにより、遊技機の品質が低下するのを防ぐことができる。
【0009】
また、本発明の前記構成において、前記レールベースの一部は、板状に形成された板部であることを特徴とする。レールベースの一部を板状に形成することで、複雑な形状とした場合に比べて公差を小さくすることができ、高精度な寸法管理を実現できる。このため、遊技盤の前後方向位置のバラつきを最小限に抑えることができる。これにより、遊技機の品質が低下するのを防ぐことができる。
【0010】
また、本発明の前記構成において、前記板部の周囲に、前方に起立する壁部が設けられていることを特徴とする。板部の周囲に壁部を設けることで、板部の剛性を増大させ、板部を変形しにくくすることができる。このため、板部の変形に基づいて板部と加飾シートとの間に隙間が形成されて、加飾シートの剥がれ、浮きが生じてしまうのを防ぐことができる。これにより、遊技機の品質が低下するのを防ぐことができる。
【0011】
また、本発明の前記構成において、前記レールベースは切り欠き部を有し、前記切り欠き部を介して、前記遊技盤に付されている所定の情報が視認可能となっていることを特徴とする。このため、レールベースを遊技盤から取り外さなくても遊技盤に付されている所定の情報を視認することができ、作業効率を向上させることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の遊技機によれば、品質の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施の形態に係る遊技機の一例を示すもので、扉が開放された状態を示す斜視図である。
【
図4】同、遊技盤ユニットを正面側から見た斜視図である。
【
図5】同、遊技盤ユニットの支持部材を正面側から見た斜視図である。
【
図6】同、扉を外した状態の遊技機を正面側から見た図である。
【
図7】同、
図6に示すA-A線での概略断面図である。
【
図8】同、レールベースを正面側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。本実施形態では遊技機の一つであるパチンコ遊技機について説明するが、その他の遊技機であってもよい。以下の説明において、基本的に「前後」とは、パチンコ遊技機の前側に遊技者が居る場合に、遊技者側が「前」で、パチンコ遊技機側が「後」を意味し、「上下」とはパチンコ遊技機の上面側が「上」で、下面側が「下」を意味し、「左右」とは遊技者の左手側が「左」を意味し、右手側が「右」を意味する。
【0015】
図1は、遊技機100の斜視図であり、扉が開放された状態を示している。
遊技機100(パチンコ遊技機100)は、遊技球を遊技媒体として用いるものであり、遊技者は、遊技場運営者から遊技球を借り受けて遊技機100による遊技を行う。なお、遊技機100における遊技において、遊技球はその1個1個が遊技価値を有した媒体であり、遊技の成果として遊技者が享受する特典(利益)は、例えば遊技者が獲得した遊技球の数に基づいて遊技価値に換算することができる。
【0016】
遊技機100は、略矩形枠状(縦長の矩形枠状)に形成された外枠102と、外枠102にヒンジ機構を介して開閉自在に取り付けられた内枠104と、内枠104に、ヒンジ機構を介して開閉自在に取り付けられた前枠106(扉ユニット)と、を備えている。
【0017】
内枠104は、外枠102と同様に、略矩形枠状に形成されている。内枠104は、遊技盤108を保持している。遊技盤(遊技板)108は、例えば透明な合成樹脂(例えばアクリル)で形成されている。また、前枠106は、ガラスユニット110(透過板)を保持している。なお、本実施形態では、ガラスユニット110を用いるものとするが、樹脂製であってもよい。内枠104および前枠106を外枠102に対して閉じると、遊技盤108とガラスユニット110とが所定の間隔(隙間)を介して略平行に対面するようになっている。このとき、遊技機100の正面側から、ガラスユニット110を介して遊技盤108が視認可能となる。
【0018】
図2は、遊技機100を正面側から見た図である。なお、
図2は、ガラスユニット110を取り外した状態である。遊技機100は、遊技の進行中等に演出を行う演出装置として、演出操作装置208、照明装置204、およびスピーカ206等を備えている。演出操作装置208は、演出に関する操作を受け付け可能に構成されており、演出ボタン208aと、演出ハンドル208bと、を備えている。演出ボタン208aは、略円形状のノブを備えており、押下操作が可能となっている。また、演出ハンドル208bは、棒状のハンドルを備えており、前方側(遊技者にとっての手前側)に引いて演出ボタン208aの周りを回転させる操作が可能となっている。照明装置204は、LED等を備えており、異なる発光色や異なる点灯態様(発光態様)にて発光可能に構成されている。また、スピーカ206は、音声、効果音、BGM等を出力可能に構成されている。
【0019】
また、遊技機100は、前枠106の右下部に設けられ、回転操作可能に構成された操作ハンドル112を備えている。操作ハンドル112は、遊技機100の前方側に向かって突出している。操作ハンドル112を回転させる発射操作が行われると、操作ハンドル112の回転角度(操作角度)(回転量)に応じた強度(射出力)で発射機構(図示せず)から遊技球が発射される。
【0020】
図3は、遊技盤108を正面側から見た図である。遊技盤108には、略円形状の外レール114bと、外レール114bに沿うように円弧状に形成された内レール114aと、が設けられている。発射機構から発射された遊技球は、内レール114aと外レール114bとの間を上昇して、遊技領域116に導かれる。遊技領域116(盤面)は、遊技盤108とガラスユニット110との間に形成される空間であって、遊技球が移動(流下、転動)可能な領域となっている。遊技盤108には、多数の遊技釘や風車が設けられており、遊技領域116に導かれた遊技球が釘や風車に衝突して、不規則な方向に移動(流下、転動)するようにしている。
【0021】
外レール114bは、遊技盤108の下方から左上方に向けて時計回り方向に延びているとともに、遊技盤108の鉛直方向(上下方向)の略中央から右上方に向けて時計回り方向に延びている。外レール114bは、遊技盤108における下部から上部に亘って湾曲して延在しており、遊技領域116を囲繞形成している。すなわち、外レール114bに囲まれた領域が、遊技球が移動する遊技領域116となっている。また、内レール114aは、遊技盤108における左側であって、遊技領域116における外レール114bよりも内側に設けられている。
【0022】
遊技領域116は、発射機構の発射強度に応じて遊技球の進入度合いを互いに異にし、遊技球の打ち分けが可能な第1遊技領域116aおよび第2遊技領域116bを含む。第1遊技領域116aは、遊技機100に正対した遊技者から見て遊技領域116の左側に位置し、第2遊技領域116bは、遊技機100に正対した遊技者から見て遊技領域116の右側に位置している。外レール114bおよび内レール114aが、遊技領域116の左側にあることから、発射機構によって所定の強度未満の発射強度で発射された遊技球は第1遊技領域116a(左打ち領域)に進入し、発射機構によって所定の強度以上の発射強度で発射された遊技球は第2遊技領域116b(右打ち領域)に進入することとなる。操作ハンドル112を操作して遊技球を第1遊技領域116aに打ち込むことを、左打ちを実行するといい、操作ハンドル112を操作して遊技球を第2遊技領域116bに打ち込むことを、右打ちを実行するという。
【0023】
また、遊技領域116には、遊技球が入球可能な一般入賞口118および始動入賞口120(始動口)が設けられている。一般入賞口118および始動入賞口120に遊技球が入球すると、それぞれ所定の賞球(入賞により獲得した遊技球)が遊技者に払い出される。なお、賞球数は1個以上であれば何個でもよい。また、一般入賞口118、始動入賞口120のそれぞれで払い出す賞球数を異ならせてもよいし、同じ賞球数に設定してもよい。
【0024】
始動入賞口120は、遊技領域116における下側の中央(左右方向中央)に設けられている。具体的な説明を省略するが、始動入賞口120に遊技球が入球すると、所定の遊技利益を付与するか否かを決定する大役抽選が行われ、大役抽選で大当たりに当選すると大役遊技が実行される。大役遊技は、複数回のラウンド遊技で構成されており、各ラウンド遊技中は、大入賞口が開放される。大入賞口は、第2遊技領域116bに設けられている。各ラウンド遊技は、その開始から所定時間が経過するか、もしくは、予め設定された上限数の遊技球が大入賞口に入球すると終了する。大入賞口に遊技球が入球すると、所定数の賞球が遊技者に払い出されることから、大役遊技の実行により、遊技者は多量の賞球を獲得することができる。
【0025】
遊技領域116の最下部にはアウト口122(排出口)が設けられている。一般入賞口118、始動入賞口120、および大入賞口のいずれにも入球しなかった遊技球は、アウト口122を介して遊技領域116から遊技盤108の背面側に排出される。
【0026】
また、遊技盤108には、厚さ方向(遊技機100の前後方向)に貫通する貫通孔108aが形成されている。また、遊技盤108の背面には、演出装置としての液晶表示装置(図示せず)が設けられている。液晶表示装置は、演出用の画像が表示される表示部を備えている。液晶表示装置の表示部は、貫通孔108aを介して露出しており、正面側から表示部に表示される画像を視認できるようになっている。
【0027】
また、遊技領域116には、左打ち領域116aと右打ち領域116bとを繋ぐ上部通路114cが含まれている。この上部通路114cは、貫通孔108aの上方に設けられている。
【0028】
本実施形態に係る遊技機は、メイン基板およびサブ基板を含む制御基板によって制御される。そして、メイン基板やサブ基板等の各基板の機能は、各種のプロセッサ(CPU、DSPなど)、ASIC(ゲートアレイなど)、ROM(情報記憶媒体の一例)、あるいはRAMなどのハードウェアや、ROMなどに予め記憶されている所与のプログラムからなるソフトウェアにより実現される。
【0029】
メイン基板は、入力手段(各種センサ等)からの入力信号を受けて、遊技を実行するための各種の演算を行い、演算結果に基づいて、出力手段(払出装置等)の動作制御を行う。
【0030】
サブ基板は、メイン基板から送られてくるコマンドや、演出操作装置208に対する操作を検出する演出操作センサからの入力信号を受けて、遊技の進行状況に合わせた演出を実行するための各種の演算を行い、演算結果に基づいて、演出装置の動作制御を行う。
【0031】
次に、前後方向における遊技盤108の位置の規制(位置決め)について説明する。
図4は、遊技盤108を有する遊技盤ユニット300の斜視図である。遊技盤ユニット300は、遊技盤108、内レール114a、外レール114b、レールベース310、および裏セット板320等を備えている。なお、遊技盤ユニット300の詳細については後述する。
【0032】
図5は、遊技盤ユニット300の支持部材(枠部材、遊技枠)を示す斜視図である。内枠50を構成する上部分を上内枠51とし、同下部分を下内枠52とし、同右板(右部分)を右内枠53とし、同左板(左部分)を左内枠54とする。左内枠54の内側(内面)には、四角箱状(ブロック状)の形状を有する押さえ部材55(盤面押さえ形状)が固定されている。押さえ部材55は、左内枠54の内面から内側に向かって突出している。本実施形態では、押さえ部材55は、左内枠54の内面における上側と下側との2箇所に設けられている。押さえ部材55は、遊技盤108よりも前方側に配置され、遊技盤108の前面側を押さえる機能を有する。押さえ部材55は樹脂製であり、例えばポリカーボネイトで形成されている。
【0033】
また、上内枠51の左下部と下内枠52の左上部とには、押圧部56がそれぞれ設けられている。押圧部56は、遊技盤108よりも後方側に配置されている。押圧部56は、弾性変形可能な弾性部材(例えば板バネ)で構成されている。遊技盤ユニット300を内枠50に取り付けると、押圧部56が遊技盤ユニット300の背面側に接触し、押圧部56が撓むようになっている。そして、押圧部56は遊技盤ユニット300を、後方側から前方側に向かって付勢する。すなわち、押圧部56は、遊技盤ユニット300の背面に接触して、遊技盤ユニット300(遊技盤108)を前方側の押さえ部材55に押し当てる機能を有する。
【0034】
図6は、遊技盤ユニット300を枠部材に取り付けた状態を示す正面図である。
図7は、
図6に示すA-A線での概略断面図である。なお、
図7では断面であることを示すハッチングを省略している。
図7に示すように、押さえ部材55は、左内枠54の外面から内面に向かって固定部材(締結部材)としてのネジ61で締め付けることにより、左内枠54の内面に固定されている。遊技盤108を、枠部材(内枠50)に設けられた押さえ部材55に、押圧部56(
図5参照)を用いて押し当てることで、遊技盤108(盤面)の前後方向の位置を位置決め(位置出し)することができる。これにより、遊技球の発射精度を向上させることができる。
【0035】
なお、本実施形態では、押さえ部材55と左内枠54とを別体としたが、これらを一体に構成してもよい。すなわち、例えば、押さえ部材55を、左内枠54と同材料である金属製(例えばアルミニウム製)としてもよい。両者を一体に構成した場合、部品公差の累積によりバラつきが大きくなるのを抑制できるため、位置決めの精度をさらに向上させることができる。
【0036】
また、押さえ部材55の先端側(内側)における遊技盤108側の角部には面取りが施されている。当該角部は、遊技盤108(遊技盤ユニット300)を内枠50に取り付ける際の軌跡上に位置する。そのため、当該角部に面取りを施すことで、遊技盤108と押さえ部材55との接触を回避でき、遊技盤108をよりスムーズに取り付けることができる。また、接触による部品の破損を防止することができる。
【0037】
(遊技盤ユニット300)
図4に戻る。遊技盤108の前面には、加飾シート330が貼り付けられている。加飾シート330は、シール状となっており、図示を省略するが、キャラクタ、模様、文字等が印刷されている。遊技盤108の前面に加飾シートを貼ることで、デザイン性を向上させることができる。加飾シート330の厚さは、約0.20mmとなっている。なお、遊技盤108の厚さは、約10.00mmとなっている。
【0038】
レールベース310は、円弧を描くように形成された内周面を有し、該内周面に沿って外レール114bが取り付けられている。レールベース310は、固定部材としてのネジを用いてネジ締めすることによって、遊技盤108の前面側に固定される。また、内レール114aは、レールベース310よりも内側に、固定部材としてのネジを用いてネジ締めすることによって、遊技盤108の前面側に固定されている。
【0039】
図8に示すように、レールベース310の内周面側には、外レール114bを支持するレール支持部311が設けられている。外レール114b(レール)は、金属製で長尺板状に形成されており、レール支持部311の内側に沿うようにして取り付けられている。また、レール支持部311の厚さ(前後方向の長さ)は、外レール114bの幅よりも大きくなっている。レールベース310は樹脂製であり、例えばポリカーボネイトで形成されている。
【0040】
また、レールベース310におけるレール支持部311(円弧)よりも外側の部分(外周側の部分)には、レール支持部311の厚さよりも厚さが薄くなるように形成された薄板状の板部312が形成されている。この板部312は遊技盤108に設けられた加飾シート330に当接(接触)する部位である。本実施形態では、板部312が、レールベース310における左上部と左下部との2箇所に設けられている。板部312は、レールベース310の左上部と左下部とに形成された凹部の底部であるともいえる。板部312は、
図6等で示した押さえ部材55に対応(対向)する位置に設けられている。板部312の厚さは、約2.00mmとなっている。
【0041】
ここで、レールベース310に板部312が設けられていない場合について説明する。
板部312が設けられていない場合、押さえ部材55が加飾シート330に直接接触することとなる。すなわち、押さえ部材55が加飾シート330に直接押し当てられることとなる。さらに換言すると、加飾シート330が、押さえ部材55に押圧される力を直接受けることとなる。この場合、加飾シート330が遊技盤108から浮き上がるという問題や、加飾シート330が遊技盤108から剥がれるという問題が生じる場合がある。このような問題の発生は遊技機の品質低下に繋がる。
【0042】
本実施形態では、上記のような問題の発生を防ぐため、押さえ部材55と加飾シート330との間にレールベース310の板部312(レールベース310の一部)を介在させている。換言すると、押さえ部材55と加飾シート330との間に、板部312(レールベース310の一部)が挟み込まれるようにしている。板部312は、押さえ部材55が加飾シート330に当たる部位を覆うようにして設けられているともいえる。
【0043】
このため、押さえ部材55が直接加飾シート330に押し当てられることがない。すなわち、加飾シート330が押さえ部材55に押圧される力を直接受けることがなく、当該力は板部312が受けることとなる。このため、加飾シート330が遊技盤108から浮き上がるという問題や、加飾シート330が遊技盤108から剥がれるという問題が生じるのを防ぐことができる。これにより、遊技機の品質低下を防ぐことができる。
【0044】
なお、押さえ部材55と加飾シート330との間に板部312を介在させる場合、板部312を介在させない場合に比べて、押さえ部材55と押圧部56との間に挟み込まれる部品が1つ増加するため、部品公差の累積によって遊技盤108の前後方向位置のバラつきが大きくなるという懸念が生じる。しかし、本実施形態では、介在させる形状(部位)を簡易な形状であり、寸法精度を出しやすい形状である板状(板部312)としているため、遊技盤108の前後方向位置のバラつきが大きくなるのを最小限に抑えることができる。板部312の場合、複雑な形状とする場合に比べて、寸法のバラつき(公差)を小さくして高精度の寸法管理を実現できる。例えば、板部312のようなシンプルな形状の場合、金型における固定側または可動側の一方のみを加工すればよく、複雑な形状とする場合に比べて金型の構造を簡易にできるため、部品公差のバラつき(公差)を小さくできる。
【0045】
なお、板部312を設けた場合でも、押圧による力を受けて板部312自体が変形してしまい、板部312と加飾シート330との間に隙間が形成されてしまった場合に、加飾シート330の浮き上がり、剥がれが発生するおそれがある。本実施形態では、そのような問題の発生を防ぐため、板部312の周囲に、板部312を囲む少なくとも1つの壁部313を設けている。壁部313は、前方(ガラスユニット110側)に向かって起立する部位である。板部312の周囲に壁部313を設けることで、板部312の剛性が増大して、板部312が変形しにくくなる(板部312が撓みにくくなる)。なお、板部312の周囲を囲む壁部313の数がより多いほど、板部312はより変形しにくくなる。壁部313を設けることで、板部312の変形を抑制でき、加飾シート330の浮き上がり、剥がれを防ぐことができる。
【0046】
また、板部312の変形を抑制する方法としては、板部312の近傍に遊技盤108との締結部を設けるという方法もある。すなわち、板部312の近傍をねじ締めするという方法もある。板部312の近傍をねじ締め固定することで、板部312の変形が困難となる(板部312が浮き上がりにくくなる)。これにより、板部312の変形を抑制でき、加飾シート330の浮き上がり、剥がれを防ぐことができる。
【0047】
また、本実施形態では、レールベース310の外側の部分(外周側の部分)に、板部312に加えて、正面(前方)から見て略コ字状の切り欠き部314(窓部)が設けられている。切り欠き部314が設けられているため、前方側から切り欠き部314を介して遊技盤108(加飾シート330)の一部を視認できるようになっている。
【0048】
本実施形態では、切り欠き部314は、遊技盤108における所定の情報が付されている位置に対応する位置に設けられている。所定の情報とは、例えば機種の識別を可能とする情報(識別番号)等であり、例えばシールに印字されて遊技盤108に付されている。なお、識別番号等の情報は、2次元コード等によって表されていて、端末を用いて読み取り可能となっていてもよい。このような構成によれば、レールベース310を遊技盤108から取り外さなくても遊技盤108に付されている所定の情報を視認することができる。よって作業の効率を向上させることができる。
【0049】
なお、本発明は、前述した実施の形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。例えば、パチンコ遊技機の構成等は前述した実施の形態のそれに限定されない。本発明は発明の範囲内において、任意の構成要素の変形、もしくは任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0050】
55 押さえ部材
100 遊技機
108 遊技盤
310 レールベース
312 板部
313 壁部
314 切り欠き部
330 加飾シート