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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】基板処理装置、及び基板処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/306 20060101AFI20231226BHJP
【FI】
H01L21/306 R
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020079326
(22)【出願日】2020-04-28
(65)【公開番号】P2021174926
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2022-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】中西 恭平
(72)【発明者】
【氏名】島野 達矢
(72)【発明者】
【氏名】板原 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】日野出 大輝
(72)【発明者】
【氏名】太田 喬
(72)【発明者】
【氏名】堀口 博司
【審査官】長谷川 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-100702(JP,A)
【文献】特開昭49-062513(JP,A)
【文献】特開2003-332299(JP,A)
【文献】特開2011-029455(JP,A)
【文献】特開2001-085310(JP,A)
【文献】特開2012-212847(JP,A)
【文献】特開2018-182262(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0084505(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/306
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を水平に保持する基板保持部と、
上下方向に延びる中心軸を中心として前記基板と前記基板保持部とを一体に回転させる基板回転部と、
前記基板保持部と一体に回転する前記基板に向けてエッチング液を供給する液供給部と、
前記基板に含まれる処理対象膜の膜厚を測定する膜厚測定器と、
前記液供給部により前記エッチング液が供給されている際に、前記膜厚測定器によって測定される前記膜厚が、前記膜厚測定器の測定精度に応じて設定された目標膜厚値に達したか否かを判定する制御部と
を備え、
前記制御部は、前記液供給部により前記エッチング液が供給されている際に、前記膜厚測定器によって測定される前記膜厚が前記目標膜厚値に達したと判定すると、所定の処理継続時間が経過するまで前記液供給部による前記エッチング液の供給を継続させ、前記処理継続時間が経過すると前記液供給部による前記エッチング液の供給を停止させて、前記処理対象膜の膜厚を、前記膜厚測定器の測定限界を超える膜厚値まで減少させる、基板処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記目標膜厚値を補正する目標膜厚補正値と、エッチングレートと、待機時エッチング量とに基づいて、前記処理継続時間を設定し、
前記目標膜厚補正値によって補正された前記目標膜厚値は、前記膜厚測定器の測定限界を超える膜厚値を示し、
前記待機時エッチング量は、待機時間中に前記処理対象膜の膜厚が前記エッチング液によって減少する量を示し、
前記待機時間は、前記液供給部による前記エッチング液の供給を停止させた後に前記基板上に残存する前記エッチング液によって前記処理対象膜がエッチングされる時間を示す、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、基板の回転数と、エッチングレートと、前記目標膜厚値を補正する目標膜厚補正値とに基づいて、前記処理継続時間を設定し、
前記目標膜厚補正値によって補正された前記目標膜厚値は、前記膜厚測定器の測定限界を超える膜厚値を示す、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記膜厚測定器によって測定される前記膜厚に基づいて、前記膜厚が減少する加速度を示す膜厚変位加速度を算出し、前記膜厚変位加速度に基づいて、前記処理継続時間と、前記基板の回転数との少なくとも一方を補正する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、
現在処理の対象となっている前記基板である処理対象基板に対する処理中に、前記膜厚測定器によって測定される前記膜厚を取得し、
前記膜厚測定器によって測定された前記膜厚に基づいて、前記膜厚が減少する加速度を示す膜厚変位加速度を算出し、
次の前記基板を処理する前に、前記膜厚変位加速度に基づいて、前記処理継続時間と、前記基板の回転数との少なくとも一方を補正する、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記液供給部を水平方向に沿って複数の停止位置に順次移動させる移動部を更に備え、
前記液供給部は、前記複数の停止位置のそれぞれの位置において、移動を停止して前記エッチング液を供給し、
前記複数の停止位置は、前記液供給部の移動の最終停止位置を含み、
前記制御部は、前記複数の停止位置のうち、前記最終停止位置以外の停止位置において前記液供給部が前記エッチング液を供給している際に、前記膜厚測定器によって測定される前記膜厚が前記目標膜厚値に達すると、前記液供給部による前記エッチング液の供給を停止させる、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項7】
基板保持部に基板を水平に保持させる工程と、
上下方向に延びる中心軸を中心として前記基板と前記基板保持部とを一体に回転させる工程と、
前記基板保持部と一体に回転する前記基板に向けてエッチング液を供給する工程と、
前記エッチング液が供給されている際に、前記基板に含まれる処理対象膜の膜厚を膜厚測定器によって測定する工程と、
前記エッチング液が供給されている際に、前記膜厚測定器によって測定される前記膜厚が、前記膜厚測定器の測定精度に応じて設定された目標膜厚値に達したか否かを判定する工程と、
前記エッチング液が供給されている際に、前記膜厚測定器によって測定される前記膜厚が前記目標膜厚値に達したと判定されると、所定の処理継続時間が経過するまで前記エッチング液の供給を継続させる工程と、
前記処理継続時間が経過すると前記エッチング液の供給を停止させて、前記処理対象膜の膜厚を、前記膜厚測定器の測定限界を超える膜厚値まで減少させる工程と
を含む、基板処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板処理装置、及び基板処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造過程では、基板処理装置を用いて半導体ウエハに対し様々な処理が行われる。例えば、基板処理装置として、半導体ウエハに含まれる処理対象膜の膜厚を目標膜厚にするエッチング装置が知られている。例えば、エッチング装置は、半導体ウエハにエッチング液を供給して、半導体ウエハをエッチングする。
【0003】
エッチング装置は、膜厚測定器を備えることがある。膜厚測定器は、処理対象膜の膜厚を測定する。膜厚測定器を備えるエッチング装置は、膜厚測定器によって測定される膜厚が目標膜厚に達したことを検出すると、エッチング処理を終了させる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-85174号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、膜厚測定器には測定限界がある。そのため、目標膜厚が、膜厚測定器の測定限界を超える膜厚である場合、処理対象膜の膜厚を精度よく目標膜厚にすることができない。
【0006】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、処理対象膜の膜厚を、より精度よく、膜厚測定器の測定限界を超える膜厚にすることができる基板処理装置、及び基板処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る基板処理装置は、基板保持部と、基板回転部と、液供給部と、膜厚測定器と、制御部とを備える。前記基板保持部は、基板を水平に保持する。前記基板回転部は、上下方向に延びる中心軸を中心として前記基板と前記基板保持部とを一体に回転させる。前記液供給部は、前記基板保持部と一体に回転する前記基板に向けてエッチング液を供給する。前記膜厚測定器は、前記基板に含まれる処理対象膜の膜厚を測定する。前記制御部は、前記液供給部により前記エッチング液が供給されている際に、前記膜厚測定器によって測定される前記膜厚が、前記膜厚測定器の測定精度に応じて設定された目標膜厚値に達したか否かを判定する。前記制御部は、前記液供給部により前記エッチング液が供給されている際に、前記膜厚測定器によって測定される前記膜厚が前記目標膜厚値に達したと判定すると、所定の処理継続時間が経過するまで前記液供給部による前記エッチング液の供給を継続させ、前記処理継続時間が経過すると前記液供給部による前記エッチング液の供給を停止させて、前記処理対象膜の膜厚を、前記膜厚測定器の測定限界を超える膜厚値まで減少させる。
【0008】
ある実施形態において、前記制御部は、前記目標膜厚値を補正する目標膜厚補正値と、エッチングレートと、待機時エッチング量とに基づいて、前記処理継続時間を設定する。前記目標膜厚補正値によって補正された前記目標膜厚値は、前記膜厚測定器の測定限界を超える膜厚値を示す。前記待機時エッチング量は、待機時間中に前記処理対象膜の膜厚が前記エッチング液によって減少する量を示す。前記待機時間は、前記液供給部による前記エッチング液の供給を停止させた後に前記基板上に残存する前記エッチング液によって前記処理対象膜がエッチングされる時間を示す。
【0009】
ある実施形態において、前記制御部は、基板の回転数と、エッチングレートと、前記目標膜厚値を補正する目標膜厚補正値とに基づいて、前記処理継続時間を設定する。前記目標膜厚補正値によって補正された前記目標膜厚値は、前記膜厚測定器の測定限界を超える膜厚値を示す。
【0010】
ある実施形態において、前記制御部は、前記膜厚測定器によって測定される前記膜厚に基づいて、前記膜厚が減少する加速度を示す膜厚変位加速度を算出する。前記制御部は、前記膜厚変位加速度に基づいて、前記処理継続時間と、前記基板の回転数との少なくとも一方を補正する。
【0011】
ある実施形態において、前記制御部は、現在処理の対象となっている前記基板である処理対象基板に対する処理中に、前記膜厚測定器によって測定される前記膜厚を取得する。前記制御部は、前記膜厚測定器によって測定された前記膜厚に基づいて、前記膜厚が減少する加速度を示す膜厚変位加速度を算出する。前記制御部は、次の前記基板を処理する前に、前記膜厚変位加速度に基づいて、前記処理継続時間と、前記基板の回転数との少なくとも一方を補正する。
【0012】
ある実施形態において、上記基板処理装置は、前記液供給部を水平方向に沿って複数の停止位置に順次移動させる移動部を更に備える。前記液供給部は、前記複数の停止位置のそれぞれの位置において、移動を停止して前記エッチング液を供給する。前記複数の停止位置は、前記液供給部の移動の最終停止位置を含む。前記制御部は、前記複数の停止位置のうち、前記最終停止位置以外の停止位置において前記液供給部が前記エッチング液を供給している際に、前記膜厚測定器によって測定される前記膜厚が前記目標膜厚値に達すると、前記液供給部による前記エッチング液の供給を停止させる。
【0013】
本発明に係る基板処理方法は、基板保持部に基板を水平に保持させる工程と、上下方向に延びる中心軸を中心として前記基板と前記基板保持部とを一体に回転させる工程と、前記基板保持部と一体に回転する前記基板に向けてエッチング液を供給する工程と、前記エッチング液が供給されている際に、前記基板に含まれる処理対象膜の膜厚を膜厚測定器によって測定する工程と、前記エッチング液が供給されている際に、前記膜厚測定器によって測定される前記膜厚が、前記膜厚測定器の測定精度に応じて設定された目標膜厚値に達したか否かを判定する工程と、前記エッチング液が供給されている際に、前記膜厚測定器によって測定される前記膜厚が前記目標膜厚値に達したと判定されると、所定の処理継続時間が経過するまで前記エッチング液の供給を継続させる工程と、前記処理継続時間が経過すると前記エッチング液の供給を停止させて、前記処理対象膜の膜厚を、前記膜厚測定器の測定限界を超える膜厚値まで減少させる工程とを含む。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る基板処理装置、及び基板処理方法よれば、処理対象膜の膜厚を、より精度よく、膜厚測定器の測定限界を超える膜厚にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態1に係る基板処理装置の模式図である。
図2】本発明の実施形態1に係る基板処理装置が備える処理ユニットの模式図である。
図3】(a)は、プローブ移動処理を示す平面図である。(b)は、膜厚測定処理を示す平面図である。
図4】(a)は、制御装置の構成を示すブロック図である。(b)は、入力画面の一例を示す図である。
図5】(a)は、基板の一例を示す断面図である。(b)は、基板の他例を示す断面図である。
図6】本発明の実施形態1に係る基板処理装置が備える制御部による処理を示すフローチャートである。
図7】エッチング処理を示すフローチャートである。
図8】処理対象膜の膜厚の変化を示す図である。
図9】待機時間の一例を示す図である。
図10】本発明の実施形態2に係る基板処理装置が備える制御部による処理を示すフローチャートである。
図11】エッチング液供給部の模式図である。
図12】本発明の実施形態3に係る基板処理装置が備える処理ユニットの模式図である。
図13】エッチング液供給処理を示す平面図である。
図14】(a)は、第1テーブル情報を示す図である。(b)は、第2テーブル情報を示す図である。
図15】処理対象膜の膜厚の変化の一例を示す図である。
図16】処理対象膜の膜厚の変化の他例を示す図である。
図17】エッチング処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面(図1図17)を参照して本発明の実施形態を説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されない。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合がある。また、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0017】
本発明に係る基板処理装置及び基板処理方法が処理の対象とする「基板」には、半導体ウエハ、フォトマスク用ガラス基板、液晶表示用ガラス基板、プラズマ表示用ガラス基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、及び光磁気ディスク用基板などの各種基板を適用可能である。以下では主として、円盤状の半導体ウエハを処理の対象とする基板処理装置及び基板処理方法を例に本実施形態を説明するが、本発明に係る基板処理装置及び基板処理方法は、上記した半導体ウエハ以外の各種基板に対しても同様に適用可能である。また、基板の形状についても、円盤状に限定されず、本発明に係る基板処理装置及び基板処理方法は、各種形状の基板に対して適用可能である。
【0018】
[実施形態1]
以下、図1図9を参照して本発明の実施形態1を説明する。まず、図1を参照して本実施形態の基板処理装置100を説明する。図1は、本実施形態の基板処理装置100の模式図である。詳しくは、図1は、基板処理装置100の模式的な平面図である。基板処理装置100は、基板Wを処理する。より具体的には、基板処理装置100は、基板Wを一枚ずつ処理する枚葉式の装置である。
【0019】
図1に示すように、基板処理装置100は、複数の処理ユニット1と、流体キャビネット100Aと、複数の流体ボックス100Bと、複数のロードポートLPと、インデクサーロボットIRと、センターロボットCRと、制御装置101とを備える。
【0020】
ロードポートLPの各々は、複数枚の基板Wを積層して収容する。インデクサーロボットIRは、ロードポートLPとセンターロボットCRとの間で基板Wを搬送する。センターロボットCRは、インデクサーロボットIRと処理ユニット1との間で基板Wを搬送する。なお、インデクサーロボットIRとセンターロボットCRとの間に、基板Wを一時的に載置する載置台(パス)を設けて、インデクサーロボットIRとセンターロボットCRとの間で載置台を介して間接的に基板Wを受け渡しする装置構成としてもよい。
【0021】
複数の処理ユニット1は、平面視においてセンターロボットCRを取り囲むように配置される複数のタワーTW(図1では4つのタワーTW)を形成している。各タワーTWは、上下に積層された複数の処理ユニット1(図1では3つの処理ユニット1)を含む。処理ユニット1の各々は、処理液を基板Wに供給して、基板Wを処理する。
【0022】
流体キャビネット100Aは、処理液を収容する。流体ボックス100Bはそれぞれ、複数のタワーTWのうちの1つに対応している。流体キャビネット100A内の処理液は、いずれかの流体ボックス100Bを介して、流体ボックス100Bに対応するタワーTWに含まれる全ての処理ユニット1に供給される。
【0023】
本実施形態において、処理液は、エッチング液と、リンス液とを含む。エッチング液は、基板Wをエッチングする。エッチング液は、例えば、フッ硝酸(フッ酸(HF)と硝酸(HNO3)との混合液)、フッ酸、バファードフッ酸(BHF)、フッ化アンモニウム、HFEG(フッ酸とエチレングリコールとの混合液)、又は、燐酸(H3PO4)である。リンス液は、基板Wをリンスする。具体的には、リンス液は、基板W上に残存するエッチング液を洗い流すために使用される。リンス液は、例えば、脱イオン水、炭酸水、電解イオン水、水素水、オゾン水、又は、希釈濃度(例えば、10ppm~100ppm程度)の塩酸水である。
【0024】
続いて、制御装置101について説明する。制御装置101は、基板処理装置100の各部の動作を制御する。例えば、制御装置101は、ロードポートLP、インデクサーロボットIR、及びセンターロボットCRを制御する。制御装置101は、制御部102と、記憶部103とを含む。
【0025】
制御部102は、プロセッサーを有する。制御部102は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、又は、MPU(Micro Processing Unit)を有する。あるいは、制御部102は、汎用演算機を有してもよい。
【0026】
記憶部103は、データ及びコンピュータプログラムを記憶する。データは、レシピデータを含む。レシピデータは、複数のレシピを示す情報を含む。複数のレシピの各々は、基板Wの処理内容及び処理手順を規定する。
【0027】
記憶部103は、主記憶装置を有する。主記憶装置は、例えば、半導体メモリである。記憶部103は、補助記憶装置を更に有してもよい。補助記憶装置は、例えば、半導体メモリ及びハードディスクドライブの少なくも一方を含む。記憶部103はリムーバブルメディアを含んでいてもよい。制御部102は、記憶部103に記憶されているコンピュータプログラム及びデータに基づいて、基板処理装置100の各部の動作を制御する。
【0028】
続いて図1及び図2を参照して、本実施形態の基板処理装置100について更に説明する。図2は、本実施形態の基板処理装置100が備える処理ユニット1の模式図である。詳しくは、図2は、処理ユニット1の模式的な断面図である。
【0029】
図2に示すように、処理ユニット1は、チャンバー2と、スピンチャック3と、スピンモータ部5と、膜厚測定部8と、プローブ移動機構9と、複数のガード10(図2では2つのガード10)と、第1ノズル41と、第2ノズル71とを備える。また、基板処理装置100は、エッチング液供給部4と、リンス液供給部7とを備える。エッチング液供給部4は、第1供給配管42を有し、リンス液供給部7は、第2供給配管72を有する。制御装置101(制御部102)は、スピンチャック3、スピンモータ部5、膜厚測定部8、及びプローブ移動機構9を制御する。
【0030】
チャンバー2は略箱形状を有する。チャンバー2は、基板W、スピンチャック3、スピンモータ部5、複数のガード10、膜厚測定部8、プローブ移動機構9、第1ノズル41、第2ノズル71、第1供給配管42の一部、及び、第2供給配管72の一部を収容する。
【0031】
スピンチャック3は、基板Wを水平に保持する。スピンチャック3は、基板保持部の一例である。具体的には、スピンチャック3は、複数のチャック部材32と、スピンベース33とを有する。複数のチャック部材32は、基板Wの周縁に沿ってスピンベース33に設けられる。複数のチャック部材32は基板Wを水平な姿勢で保持する。スピンベース33は、略円板状であり、水平な姿勢で複数のチャック部材32を支持する。
【0032】
スピンモータ部5は、第1回転軸線AX1を中心として基板Wとスピンチャック3とを一体に回転させる。第1回転軸線AX1は、上下方向に延びる。本実施形態では、第1回転軸線AX1は、略鉛直方向に延びる。第1回転軸線AX1は中心軸の一例であり、スピンモータ部5は基板回転部の一例である。詳しくは、スピンモータ部5は、第1回転軸線AX1を中心としてスピンベース33を回転させる。したがって、スピンベース33は、第1回転軸線AX1を中心として回転する。その結果、スピンチャック3に保持された基板Wが、第1回転軸線AX1を中心として回転する。
【0033】
具体的には、スピンモータ部5は、モータ本体51と、シャフト53と、エンコーダ55とを有する。シャフト53はスピンベース33に結合される。モータ本体51は、シャフト53を回転させる。その結果、スピンベース33が回転する。
【0034】
エンコーダ55は、基板Wの回転位置を検出して、基板Wの回転位置を示す信号を制御装置101(制御部102)に出力する。以下、基板Wの回転位置を示す信号を、「回転位置信号」と記載する。制御部102は、回転位置信号に基づいて、基板Wの回転速度又は基板Wの回転数[rpm]を検出する。
【0035】
第1ノズル41は、基板Wの上方から、基板Wにエッチング液を供給する。詳しくは、第1ノズル41は、回転中の基板Wに向けてエッチング液を吐出する。第1ノズル41は、液供給部の一例である。第1ノズル41は、静止した状態でエッチング液を吐出する。第1ノズル41は、固定ノズルと称されることがある。なお、第1ノズル41はスキャンノズルであってもよい。
【0036】
エッチング液供給部4は、第1ノズル41にエッチング液を供給する。詳しくは、エッチング液は、第1供給配管42を介して第1ノズル41に供給される。第1供給配管42は、エッチング液が流通する管状部材である。
【0037】
第2ノズル71は、基板Wの上方から、基板Wにリンス液を供給する。詳しくは、第2ノズル71は、回転中の基板Wに向けてリンス液を吐出する。第2ノズル71は、静止した状態でリンス液を吐出する。換言すると、第2ノズル71は、固定ノズルである。なお、第2ノズル71はスキャンノズルであってもよい。
【0038】
リンス液供給部7は、第2ノズル71にリンス液を供給する。詳しくは、リンス液は、第2供給配管72を介して第2ノズル71に供給される。第2供給配管72は、リンス液が流通する管状部材である。
【0039】
ガード10の各々は、略筒形状を有する。複数のガード10は、基板Wから排出されたエッチング液及びリンス液を受け止める。
【0040】
膜厚測定部8は、基板Wに含まれる処理対象膜TGの膜厚を測定して、測定結果を示す測定信号を生成する。測定信号(測定結果)は、処理対象膜TGの膜厚値を示す。膜厚値とは、膜の厚さの値である。膜厚測定部8は、処理対象膜TGの膜厚を非接触方式で測定する。測定信号は、制御装置101(制御部102)に入力される。
【0041】
処理対象膜TGは、例えば、基板本体(例えば、シリコンからなる基板本体)、又は、基板本体の表面に形成された膜である。基板本体の表面に形成された膜は、例えば、基板本体と同じ材料の膜(例えば、シリコンからなる層)、又は、基板本体と異なる材料からなる膜(例えば、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、又はレジスト)である。
【0042】
膜厚測定部8は、例えば、分光干渉法によって処理対象膜TGの膜厚を測定する。具体的には、膜厚測定部8は、光学プローブ81と、信号線83と、膜厚測定器85とを含む。
【0043】
光学プローブ81は、レンズを有する。信号線83は、光学プローブ81と膜厚測定器85とを光学的に接続する。信号線83は、例えば光ファイバーを含む。膜厚測定器85は、光源と受光素子とを有する。膜厚測定器85の光源が出射した光は、信号線83及び光学プローブ81を介して、基板Wに出射される。基板Wによって反射された光は、光学プローブ81及び信号線83を介して、膜厚測定器85の受光素子で受光される。
【0044】
膜厚測定器85は、受光素子が受光した光を解析して、処理対象膜TGの膜厚値を算出する。膜厚測定器85は、算出した膜厚値を示す測定信号を生成する。測定信号は、制御装置101(制御部102)に出力される。なお、膜厚測定器85には測定限界がある。したがって、膜厚測定器85は、測定限界を超える膜厚を測定できない。例えば、膜厚測定器85の測定限界は、1μmである。膜厚測定器85の測定限界が1μmである場合、膜厚測定器85は、1μm未満の膜厚を測定できない。
【0045】
プローブ移動機構9は、略水平方向に光学プローブ81を移動させる。詳しくは、プローブ移動機構9は、略鉛直方向に沿った第2回転軸線AX2を中心とする周方向に沿って光学プローブ81を移動させる。
【0046】
具体的には、プローブ移動機構9は、プローブアーム91と、第1回転軸93と、第1駆動部95とを有する。プローブアーム91は略水平方向に沿って延びる。プローブアーム91の先端部に光学プローブ81が配置される。プローブアーム91は第1回転軸93に結合される。第1回転軸93は、略鉛直方向に沿って延びる。
【0047】
第1駆動部95は、第2回転軸線AX2を中心として第1回転軸93を回転させて、第1回転軸93を中心にプローブアーム91を略水平面に沿って旋回させる。その結果、光学プローブ81が略水平面に沿って移動する。詳しくは、光学プローブ81は、第2回転軸線AX2を中心とする周方向に沿って、第1回転軸93の周りを移動する。第1駆動部95は、例えば、ステッピングモータを含む。あるいは、第1駆動部95は、モータと、減速機とを含んでもよい。
【0048】
続いて図3(a)、及び図3(b)を参照して、プローブ移動処理と、膜厚測定処理とを説明する。プローブ移動処理は、光学プローブ81を測定位置Pへ移動させる処理を示す。測定位置Pは、処理対象膜TGの膜厚を測定する位置を示す。図3(a)は、プローブ移動処理を示す平面図である。図3(b)は、膜厚測定処理を示す平面図である。
【0049】
まず、図3(a)を参照してプローブ移動処理を説明する。図1を参照して説明した制御部102は、エッチング処理の実行前に、プローブ移動機構9を制御して、光学プローブ81を測定位置Pへ移動させる。本実施形態では、プローブ移動処理は、基板Wの回転中に実行される。但し、プローブ移動処理は、エッチング処理の前に実行されればよい。例えば、プローブ移動処理は、基板Wの回転開始前に実行されてもよい。
【0050】
図3(a)に示すように、プローブ移動機構9は、平面視において円弧状の軌跡TJ1に沿って光学プローブ81を移動させることができる。軌跡TJ1は、基板Wのエッジ部EGと基板Wの中心部CTとを通る。エッジ部EGは、基板Wの周縁部を示す。プローブ移動機構9は、所定の測定位置Pまで、軌跡TJ1に沿って光学プローブ81を移動させる。測定位置Pは、図1を参照して説明した記憶部103に予め記憶されている。
【0051】
続いて、図3(b)を参照して膜厚測定処理を説明する。膜厚測定処理は、エッチング処理時に実行される。図3(b)に示すように、光学プローブ81は、膜厚測定処理の実行中に、測定位置Pに配置される。換言すると、膜厚測定処理の実行中に、光学プローブ81の位置は測定位置Pに固定される。
【0052】
膜厚測定部8は、エッチング処理中に、測定位置P(一定の位置)で処理対象膜TGの膜厚値を測定する。基板Wは、エッチング処理中に回転する。したがって、膜厚測定部8は、基板Wの周方向CDに沿った処理対象膜TGの膜厚値を測定する。その結果、測定信号は、基板Wの周方向CDにおける処理対象膜TGの膜厚値の分布(プロファイル)を示す。
【0053】
続いて図4(a)を参照して、制御装置101を説明する。図4(a)は、制御装置101の構成を示すブロック図である。図4(a)に示すように、制御装置101は、入力部104と、表示部105を更に含む。
【0054】
入力部104は、作業者による入力操作を受け付けて、入力内容を示す情報を制御部102に出力する。入力部104は、例えば、タッチパネル及びポインティングデバイスを含む。タッチパネルは、例えば、表示部105の表示面に配置される。入力部104と表示部105とは、例えば、グラフィカルユーザーインターフェースを構成する。本実施形態において、入力部104は、図4(b)を参照して説明する目標膜厚値Th1、目標膜厚補正値Thc、及び処理継続時間T1を入力する入力操作を受け付ける。
【0055】
表示部105は各種情報を表示する。本実施形態において、表示部105は、作業者による入力操作を受け付ける入力画面G(図4(b)参照)を表示する。表示部105は、例えば、液晶ディスプレイ又は有機EL(electroluminescence)ディスプレイを有する。
【0056】
続いて、図4(b)、及び図5(a)を参照して、表示部105が表示する入力画面Gを説明する。図4(b)は、入力画面Gの一例を示す図である。図5(a)は、基板Wの一例を示す断面図である。図5(a)に示す例において、処理対象膜TGは、基板本体である。
【0057】
入力画面Gは、目標膜厚値Th1(図5(a)参照)、目標膜厚補正値Thc(図5(a)参照)、及び処理継続時間T1を入力する入力操作に用いられる。図4(b)に示すように、入力画面Gは、第1入力ボックス701、第2入力ボックス702、第3入力ボックス703、及びOKボタン704を表示する。
【0058】
OKボタン704は、入力画面Gに入力された情報を登録するためのボタンであり、作業者が入力部104を操作してOKボタン704を押下する指示を入力すると、入力画面Gに入力された情報が登録される。具体的には、第1入力ボックス701~第3入力ボックス703の各々に表示(入力)されている情報が登録される。
【0059】
第1入力ボックス701は、処理対象膜TGの目標膜厚値Th1の入力を受け付ける。より詳しくは、第1入力ボックス701は、図2を参照して説明した膜厚測定器85の測定精度に応じた数値の入力を受け付ける。例えば、膜厚測定器85の測定限界が1μmである場合、第1入力ボックス701は、1μm以上の値を、0.01μm刻みで受け付ける。
【0060】
第2入力ボックス702は、目標膜厚補正値Thcの入力を受け付ける。例えば、第2入力ボックス702は、0.01μm刻みで目標膜厚補正値Thcを受け付ける。目標膜厚補正値Thcは、目標膜厚値Th1を、膜厚測定器85の測定限界を超える膜厚値に補正するために入力される。制御部102は、目標膜厚補正値Thcに基づいて、目標膜厚値Th1を補正する。以下、目標膜厚値Th1(膜厚測定器85の測定精度に応じて設定される目標膜厚値)を、「第1目標膜厚値Th1」と記載する場合がある。また、補正後の目標膜厚値Th1を、「第2目標膜厚値Th2」と記載する場合がある。
【0061】
第2目標膜厚値Th2(図5(a)参照)は、基板処理装置100のユーザーが望む真の膜厚値である。制御部102は、第1目標膜厚値Th1から目標膜厚補正値Thcを引くことにより、第2目標膜厚値Th2を算出することができる。例えば、第1目標膜厚値Th1が1μmであり、目標膜厚補正値Thcが0.5μmである場合、第2目標膜厚値Th2は0.5μmとなる。膜厚測定器85の測定限界が1μmである場合、膜厚0.5μmは、膜厚測定器85では測定できない膜厚値である。
【0062】
第3入力ボックス703は、処理継続時間T1の入力を受け付ける。処理継続時間T1は、処理対象膜TGの膜厚が第1目標膜厚値Th1に達した後にエッチング液の供給を継続させる時間を示す。処理対象膜TGの膜厚が第1目標膜厚値Th1(例えば、1μm)に達した後に、処理継続時間T1が経過するまでエッチング液の供給を継続させることにより、処理対象膜TGの膜厚を、より精度よく、第2目標膜厚値Th2(膜厚測定器85の測定限界を超える膜厚値)にすることができる。
【0063】
より詳しくは、制御部102は、第2入力ボックス702に目標膜厚補正値Thcが入力されると、処理継続時間T1を算出して、第3入力ボックス703に、算出した処理継続時間T1を表示させる。また、制御部102は、第3入力ボックス703に処理継続時間T1が入力されると、目標膜厚補正値Thcを算出して、第2入力ボックス702に、算出した目標膜厚補正値Thcを表示させる。
【0064】
ここで、処理継続時間T1を算出する第1算出処理の一例について説明する。第2入力ボックス702に目標膜厚補正値Thcが入力されると、制御部102は、目標膜厚補正値Thcと、処理対象膜TGに対するエッチングレートと、待機時エッチング量とに基づいて、処理継続時間T1を算出する。待機時エッチング量は、待機時間T2中に処理対象膜TGの膜厚が減少する量(エッチング量)、すなわち膜厚が薄くなる量を示す。以下、処理対象膜TGに対するエッチングレートを、「エッチングレート」と記載する場合がある。
【0065】
具体的には、エッチング液の供給が停止した後も、処理対象膜TGは、基板W上に残存するエッチング液によってエッチングされる。基板W上に残存するエッチング液には、基板Wの回転によって遠心力が付与されるため、エッチング液の液膜は、エッチング液の供給が停止した後に、時間の経過と共に薄くなる。待機時間T2は、エッチング液の供給が停止してから、基板W上に残存しているエッチング液の液膜が、基板Wをエッチングできない膜厚まで薄くなるのに要する時間を示す。待機時エッチング量は、エッチング液の供給が停止した後に基板W上に残存しているエッチング液によって処理対象膜TGがエッチングされる量(エッチング量)を示す。
【0066】
制御部102は、第2入力ボックス702に目標膜厚補正値Thcが入力されると、目標膜厚補正値Thcと、待機時エッチング量とに基づいて、処理継続時間T1中に処理対象膜TGがエッチングされる量(以下、「継続エッチング量」と記載する。)を算出する。例えば、制御部102は、目標膜厚補正値Thcから待機時エッチング量を引くことにより、継続エッチング量を算出する。そして、制御部102は、継続エッチング量と、エッチングレートとに基づいて、処理継続時間T1を算出する。
【0067】
なお、エッチングレートと、待機時エッチング量とは、記憶部103に予め記憶されている。記憶部103は、処理対象膜TGの種類ごとにエッチングレートを記憶してもよい。
【0068】
続いて、目標膜厚補正値Thcを算出する第2算出処理の一例について説明する。制御部102は、第3入力ボックス703に処理継続時間T1が入力されると、処理継続時間T1と、エッチングレートとに基づいて、継続エッチング量を算出する。そして、継続エッチング量と、待機時エッチング量とに基づいて、目標膜厚補正値Thcを算出する。
【0069】
続いて図2図4(a)、及び図5(a)を参照してエッチング処理を説明する。エッチング処理が開始すると、膜厚測定部8は、基板W(処理対象膜TG)の膜厚Thを測定する。また、エッチング処理が開始すると、第1ノズル41が基板Wの上面Wsに向けてエッチング液を吐出する。
【0070】
制御部102は、膜厚測定部8から入力される測定信号に基づいて、基板Wの膜厚Thが第1目標膜厚値Th1に達したことを検出すると、基板Wの膜厚Thが第2目標膜厚値Th2となるように、第1ノズル41によるエッチング液の吐出を継続させる。換言すると、基板Wの膜厚Thが目標膜厚補正値Thcだけ更に減少するように、第1ノズル41によるエッチング液の吐出を継続させる。
【0071】
具体的には、制御部102は、基板Wの膜厚Thが第1目標膜厚値Th1に達したことを検出すると、図4(b)を参照して説明した処理継続時間T1が経過するまで、第1ノズル41によるエッチング液の吐出を継続させる。制御部102は、処理継続時間T1が経過すると、待機時間T2が経過するまで、処理を待機させる。この結果、待機時間T2が経過する間に、基板Wの上面Wsに残存するエッチング液によって基板Wの膜厚Thが更に減少して、基板Wの膜厚Thが第2目標膜厚値Th2になる。
【0072】
続いて図5(b)を参照して基板Wの他例を説明する。図5(b)は、基板Wの他例を示す断面図である。図5(b)に示すように、基板Wは、処理対象膜TGと、非処理対象膜Mxとを含み得る。非処理対象膜Mxは、例えば、シリコン窒化膜、又はシリコン酸化膜である。
【0073】
基板Wが非処理対象膜Mxを含む場合、図1を参照して説明したスピンチャック3は、処理対象膜TGが非処理対象膜Mxの上層となるように基板Wを保持する。基板Wが非処理対象膜Mxを含む場合、エッチング処理は、処理対象膜TGを全て除去する処理であってもよい。つまり、第2目標膜厚値Th2は0μmであってもよい。0μmは、膜厚測定器85では測定できない膜厚値である。具体的には、処理対象膜TGを全て除去する場合、目標膜厚補正値Thcは、第1目標膜厚値Th1と同じ値に設定される。本実施形態によれば、処理対象膜TGの膜厚を精度よく0μmにすることができる。換言すると、処理対象膜TGの全部を精度よく除去することができる。
【0074】
続いて図6図8を参照して、本実施形態の基板処理方法を説明する。本実施形態の基板処理方法は、図1図4を参照して説明した基板処理装置100によって実行される。図6は、本実施形態の基板処理装置100が備える制御部102による処理を示すフローチャートである。
【0075】
図6に示す処理は、作業者が入力部104を操作して基板Wのエッチング処理の開始を指示することにより開始する。作業者が入力部104を操作して基板Wのエッチング処理の開始を指示すると、表示部105が、図4(b)を参照して説明した入力画面Gを表示する。作業者は、入力画面Gを介して各種条件を設定する(ステップS1)。具体的には、図4(b)を参照して説明したように、作業者は、入力画面Gを介して、第1目標膜厚値Th1、目標膜厚補正値Thc、及び処理継続時間T1を設定する。
【0076】
入力画面Gを介して各種条件が設定されると、制御部102は、インデクサーロボットIR及びセンターロボットCRを制御して、処理ユニット1のチャンバー2内へ基板Wを搬入させる(ステップS2)。搬入された基板Wは、スピンチャック3によって保持される。
【0077】
スピンチャック3が基板Wを保持すると、制御部102は、スピンモータ部5を制御して、スピンチャック3と一体に基板Wを回転させる(ステップS3)。
【0078】
制御部102は、回転位置信号に基づいて、基板Wの回転数[rpm]が所定値で安定しているか否かを判定する。基板Wの回転数[rpm]が所定値で安定すると、制御部102は、図3(a)を参照して説明したように、プローブ移動機構9を制御して、光学プローブ81を測定位置Pへ移動させる(ステップS4)。
【0079】
制御部102は、光学プローブ81の位置を測定位置Pに固定させた後、エッチング処理を開始する(ステップS5)。
【0080】
制御部102は、エッチング処理が終了すると、リンス液供給部7を制御して、第2ノズル71から基板Wの上面Wsへ向けてリンス液を供給させる(ステップS6)。具体的には、制御部102は、第2供給配管72に設けられたバルブを開く。基板Wの上面Wsにリンス液が供給されることにより、基板Wの上面Wsから、薄く残っているエッチング液が除去される。具体的には、エッチング液はリンス液によって基板Wの外方に押し流され、基板Wの周囲に排出される。この結果、基板W上のエッチング液の薄い液膜が、基板Wの上面全域を覆うリンス液の液膜に置換される。
【0081】
基板W上のエッチング液をリンス液に置換した後、制御部102は、スピンモータ部5の回転速度を増加させて、基板Wを乾燥させる(ステップS7)。具体的には、基板Wの回転速度を、エッチング処理時及びリンス処理時の回転速度よりも増大させる。この結果、基板W上のリンス液に大きな遠心力が付与され、基板Wに付着しているリンス液が基板Wの周囲に振り切られる。このようにして、基板Wからリンス液を除去し、基板Wを乾燥させる。
【0082】
制御部102は、基板Wの高速回転を開始してから所定時間が経過した後、スピンモータ部5の動作を停止させることにより、基板Wの回転を停止させる(ステップS8)。この結果、乾燥処理が終了する。乾燥処理が終了すると、スピンチャック3による基板Wの保持が解除され、センターロボットCRがチャンバー2の外へ基板Wを搬出する。
【0083】
制御部102は、乾燥処理が終了すると、予定枚数の基板Wの処理が終わったか否かを判定する(ステップS9)。予定枚数の基板Wの処理が終わったと制御部102が判定した場合(ステップS9のYes)、図6に示す処理が終了する。一方、予定枚数の基板Wの処理が終わっていないと制御部102が判定した場合(ステップS9のNo)、ステップS2以降の処理が再度実行される。
【0084】
続いて図7及び図8を参照して、エッチング処理(ステップS5)を説明する。図7は、エッチング処理(ステップS5)を示すフローチャートである。図8は、処理対象膜TGの膜厚の変化を示す図(グラフ)である。図8において、横軸は時間を示す。縦軸は、処理対象膜TGの膜厚を示す。
【0085】
図7及び図8に示すように、エッチング処理が開始すると、制御部102は、エッチング液供給部4を制御して、第1ノズル41から基板Wの上面Wsへ向けてエッチング液を供給させる(ステップS51)。具体的には、制御部102は、第1供給配管42に設けられたバルブを開く。
【0086】
エッチング液の供給を開始すると、図8に示すように、処理対象膜TGの膜厚が時間の経過と共に減少する。制御部102は、膜厚測定部8からの測定信号に基づいて、処理対象膜TGの膜厚が第1目標膜厚値Th1に達したか否かを判定する(ステップS52)。
【0087】
制御部102は、処理対象膜TGの膜厚が第1目標膜厚値Th1に到達したと判定すると(ステップS52のYes)、図8に示すように、処理継続時間T1が経過するまで、第1ノズル41によるエッチング液の供給を継続させる(ステップS53)。
【0088】
処理対象膜TGの膜厚が第1目標膜厚値Th1に到達してから処理継続時間T1が経過すると、制御部102は、エッチング液供給部4を制御して、第1ノズル41から基板Wの上面Wsへのエッチング液の供給を停止させる(ステップS54)。具体的には、制御部102は、第1供給配管42に設けられたバルブを閉じる。
【0089】
制御部102は、エッチング液の供給を停止させた後、待機時間T2が経過するまで、エッチング処理からリンス処理への移行を待機させる(ステップS55)。この結果、図8に示すように、エッチング液の供給が停止してから待機時間T2が経過するまでの間に、基板Wの上面Wsに残存するエッチング液の液膜によって処理対象膜TGの膜厚が更に減少して、第2目標膜厚値Th2に達する。制御部102は、待機時間T2が経過すると、リンス処理を開始する(図6のステップS6)。
【0090】
以上、本発明の実施形態1について説明した。本実施形態によれば、処理対象膜TGの膜厚が第1目標膜厚値Th1(膜厚測定器85の測定限界)に達した後に、所定の処理継続時間T1が経過するまで、エッチング液の供給が継続される。したがって、処理対象膜TGの膜厚を、より精度よく、膜厚測定器85の測定限界を超える膜厚値(第2目標膜厚値Th2)にすることができる。また、本実施形態によれば、待機時間T2において処理対象膜TGがエッチングされる量を加味して、処理継続時間T1が設定される。したがって、処理継続時間T1が経過した後に基板Wの回転数[rpm]を増加させる処理等によって、基板W上に残存するエッチング液の影響を回避させる必要がない。
【0091】
なお、本実施形態では、基板本体をエッチングする処理について説明したが、基板Wは複数の処理対象膜TGを有してもよい。この場合、記憶部103は、処理対象膜TGのそれぞれに対するエッチングレートを記憶する。また、表示部105は、処理対象膜TGに関する情報を入力する入力画面を表示して、作業者に、処理対象膜TGに関する情報を入力させてもよい。処理対象膜TGに関する情報は、例えば、複数の処理対象膜TGのそれぞれの種類を示す情報、複数の処理対象膜TGのそれぞれの膜厚を示す情報、及び、複数の処理対象膜TGからなる多層の構成を示す情報を含み得る。
【0092】
また、本実施形態では、処理継続時間T1は入力されるか、制御部102によって算出されたが、処理継続時間T1は規定値であってもよい。
【0093】
また、本実施形態では、目標膜厚補正値Thcが入力されたが、目標膜厚補正値Thcに代えて、第2目標膜厚値Th2が入力されてもよい。
【0094】
また、本実施形態では、待機時エッチング量は規定値であったが、制御部102が待機時エッチング量を算出してもよい。具体的には、制御部102は、基板Wの回転数[rpm]と、エッチングレートとに基づいて、待機時エッチング量を算出することができる。
【0095】
図9は、待機時間T2の一例を示す図(グラフ)である。詳しくは、図9は、基板Wの回転数[rpm]と、待機時間T2と、エッチング液の液膜の膜厚dとの関係を示す。以下、エッチング液の液膜の膜厚dを、「液膜厚d」と記載する場合がある。図9において、横軸は時間を示し、縦軸は液膜厚dを示す。図9に示すように、液膜厚dは、時間の経過と共に徐々に小さくなる。一方、液膜厚dの減少割合は、基板Wの回転数[rpm]に応じて異なる。具体的には、基板Wの回転数[rpm]が大きいほど、液膜厚dの減少割合が大きくなる。したがって、基板Wの回転数[rpm]が大きいほど、待機時間T2は短くなる。
【0096】
制御部102は、基板Wの回転数[rpm]に基づいて待機時間T2を取得することができる。例えば、制御部102は、基板Wの回転数[rpm]と待機時間T2との関係を示すテーブル又は表を参照して待機時間T2を取得してもよいし、基板Wの回転数[rpm]と待機時間T2との関係を示す式に基づいて待機時間T2を取得してもよい。基板Wの回転数[rpm]と待機時間T2との関係を示すテーブル、表、又は式は、記憶部103に予め記憶される。制御部102は、取得した待機時間T2とエッチングレートとに基づいて、待機時エッチング量を算出することができる。
【0097】
[実施形態2]
続いて図10及び図11を参照して本発明の実施形態2について説明する。但し、実施形態1と異なる事項を説明し、実施形態1と同じ事項についての説明は割愛する。実施形態2は、エッチング処理(ステップS5)が実施形態1と異なる。
【0098】
図10は、本実施形態の基板処理装置100が備える制御部102による処理を示すフローチャートである。詳しくは、図10は、エッチング処理(ステップS5)を示す。図10に示すように、エッチング液の供給を開始すると(ステップS51)、制御部102は、膜厚測定部8によって測定される膜厚に基づいて、膜厚変位加速度を算出する(ステップS501)。膜厚変位加速度は、処理対象膜TGの膜厚が減少する加速度を示す。換言すると、膜厚変位加速度は、エッチング処理中に時々刻々と変化するエッチングレートを示す。
【0099】
制御部102は、膜厚変位加速度に基づいて、処理継続時間T1と、基板Wの回転数[rpm]との少なくとも一方を補正する。図10に示す例では、制御部102は、まず、膜厚変位加速度が所定範囲内に含まれるか否かを判定する(ステップS502)。所定範囲を示す値は、記憶部103に予め記憶されている。所定範囲は、例えば、予め想定しているエッチングレートに対する許容誤差を示す。
【0100】
制御部102は、膜厚変位加速度が所定範囲内に含まれると判定した場合(ステップS502のYes)、図7を参照して説明したステップS52以降の処理を実行する。
【0101】
一方、制御部102は、膜厚変位加速度が所定範囲内に含まれないと判定した場合(ステップS502のNo)、補正処理を実行した後(ステップS503)、図7を参照して説明したステップS52以降の処理を実行する。補正処理は、処理継続時間T1と、基板Wの回転数[rpm]との少なくとも一方を補正する処理である。
【0102】
具体的には、膜厚変位加速度が所定範囲の最小値よりも小さい場合、エッチングの進行が想定よりも遅くなっている。すなわち、エッチングレートが想定よりも小さくなっている。この場合、制御部102は、例えば、所定範囲の最小値と膜厚変位加速度との差に基づいて、処理継続時間T1を延ばす補正処理を実行する。詳しくは、所定範囲の最小値と膜厚変位加速度との差が大きいほど、処理継続時間T1をより長くする。この補正処理により、継続エッチング量が、想定しているエッチング量から大きく外れることを抑制することができる。あるいは、制御部102は、所定範囲の最小値と膜厚変位加速度との差に基づいて、基板Wの回転数[rpm]を小さくしてもよい。詳しくは、所定範囲の最小値と膜厚変位加速度との差が大きいほど、基板Wの回転数[rpm]をより小さくする。基板Wの回転数[rpm]を小さくすることにより、待機時間T2が延びる。したがって、待機時エッチング量が、想定しているエッチング量から大きく外れることを抑制することができる。
【0103】
また、膜厚変位加速度が所定範囲の最大値よりも大きい場合、エッチングの進行が想定よりも速くなっている。すなわち、エッチングレートが想定よりも大きくなっている。したがって、制御部102は、例えば、所定範囲の最大値と膜厚変位加速度との差に基づいて、処理継続時間T1を短くする補正処理を実行する。詳しくは、所定範囲の最大値と膜厚変位加速度との差が大きいほど、処理継続時間T1をより短くする。この補正処理により、継続エッチング量が、想定しているエッチング量から大きく外れることを抑制することができる。あるいは、制御部102は、所定範囲の最大値と膜厚変位加速度との差に基づいて、基板Wの回転数[rpm]を大きくしてもよい。詳しくは、所定範囲の最大値と膜厚変位加速度との差が大きいほど、基板Wの回転数[rpm]をより大きくする。基板Wの回転数[rpm]を大きくすることにより、待機時間T2が短くなる。したがって、待機時エッチング量が、想定しているエッチング量から大きく外れることを抑制することができる。
【0104】
以上、図10を参照して本発明の実施形態2について説明した。本実施形態によれば、処理対象膜TGの膜厚が第1目標膜厚値Th1に達する前に、膜厚変位加速度に基づいて、処理継続時間T1と、基板Wの回転数[rpm]との少なくとも一方が補正される。したがって、現在の処理対象の基板Wに含まれる処理対象膜TGの膜厚を、より精度よく、膜厚測定器85の測定限界を超える膜厚値(第2目標膜厚値Th2)にすることができる。
【0105】
なお、本実施形態では、制御部102は、膜厚変位加速度を所定範囲と比較したが、制御部102は、膜厚変位加速度を所定値と比較してもよい。
【0106】
また、本実施形態では、制御部102は、現在の処理対象の基板Wに対して補正処理を実行したが、制御部102は、次の処理対象の基板Wに対する補正処理を行ってもよい。具体的には、制御部102は、前回の処理対象の基板Wに対するエッチング処理中に取得した膜厚変位加速度に基づいて、次の処理対象の基板Wに対する処理継続時間T1と、基板Wの回転数[rpm]との少なくとも一方を補正してもよい。
【0107】
また、本実施形態では、制御部102は、処理継続時間T1と、基板Wの回転数[rpm]との少なくとも一方を補正したが、制御部102は、膜厚変位加速度に基づいて、エッチング液の温度、エッチング液の流量、及びエッチング液の濃度のうちの少なくとも1つを補正してもよい。エッチング液の温度、エッチング液の流量、及びエッチング液の濃度は、エッチングの進行(エッチングレート)に影響するパラメータである。
【0108】
具体的には、制御部102は、膜厚変位加速度が所定範囲の最小値よりも小さい場合、エッチング液の温度を高くしてもよいし、エッチング液の流量を大きくしてもよい。また、制御部102は、膜厚変位加速度が所定範囲の最大値よりも大きい場合、エッチング液の温度を低くしてもよいし、エッチング液の流量を小さくしてもよいし、エッチング液の濃度を低くしてもよい。
【0109】
図11は、エッチング液供給部4の模式図である。図11に示すように、エッチング液供給部4は、バルブ421と、ミキシングバルブ422と、加熱ヒータ423とを更に有する。
【0110】
バルブ421は、第1供給配管42に配置される。バルブ421は、第1ノズル41へのエッチング液の供給及び供給停止を切り替える。詳しくは、バルブ421が開くと、第1ノズル41から基板Wに向けてエッチング液が吐出される。一方、バルブ421が閉じると、エッチング液の吐出が停止する。また、バルブ421は、第1供給配管42においてバルブ421よりも下流へ流れるエッチング液の流量を制御する。詳しくは、バルブ421の開度に応じて、バルブ421よりも下流へ流れるエッチング液の流量が調整される。したがって、バルブ421の開度に応じて、エッチング液の吐出流量が調整される。バルブ421は、例えば、モータバルブである。
【0111】
ミキシングバルブ422は、第1供給配管42に配置される。ミキシングバルブ422が開くと、第1供給配管42に純水が流入して、エッチング液の濃度が希釈される。加熱ヒータ423は、第1供給配管42を流れるエッチング液を加熱する。
【0112】
制御部102は、バルブ421の開度を制御して、エッチング液の流量を補正することができる。また、ミキシングバルブ422を開いて、エッチング液の濃度を希釈(補正)することができる。また、加熱ヒータ423の温度を制御して、エッチング液の温度を補正することができる。
【0113】
なお、エッチング液の温度は、処理対象膜TGの膜厚が第1目標膜厚値Th1に達する前に補正されてもよいし、処理対象膜TGの膜厚が第1目標膜厚値Th1に達した後に補正されてもよい。エッチング液の流量、及びエッチング液の濃度も同様に、処理対象膜TGの膜厚が第1目標膜厚値Th1に達した後に補正されてもよい。処理対象膜TGの膜厚が第1目標膜厚値Th1に達する前に補正されてもよい。エッチング液の温度、エッチング液の流量、及びエッチング液の濃度のうちの少なくとも1つが補正されることにより、処理対象膜TGの膜厚が第1目標膜厚値Th1に達する前の膜厚変位加速度を所定範囲内に収めることができる。換言すると、処理対象膜TGの膜厚が第1目標膜厚値Th1に達する前のエッチングレートを、想定しているエッチングレートに調整することができる。
【0114】
[実施形態3]
続いて図12図17を参照して本発明の実施形態3について説明する。但し、実施形態1、2と異なる事項を説明し、実施形態1、2と同じ事項についての説明は割愛する。実施形態3は、第1ノズル41が移動する点で実施形態1、2と異なる。
【0115】
まず図12を参照して、本実施形態における処理ユニット1について説明する。図12は、本実施形態の基板処理装置100が備える処理ユニット1の模式図である。詳しくは、図12は、処理ユニット1の模式的な断面図である。
【0116】
図12に示すように、処理ユニット1は、ノズル移動機構6を更に備える。ノズル移動機構6は、第1ノズル41を水平方向に沿って複数の停止位置に順次移動させる。ノズル移動機構6は、移動部の一例である。詳しくは、ノズル移動機構6は、略鉛直方向に沿った第3回転軸線AX3を中心とする周方向に沿って第1ノズル41を移動させる。第1ノズル41は、複数の停止位置のそれぞれの位置において、移動を停止してエッチング液を供給する。
【0117】
具体的には、ノズル移動機構6は、ノズルアーム61と、第2回転軸63と、第2駆動部65とを有する。ノズルアーム61は略水平方向に沿って延びる。ノズルアーム61の先端部に第1ノズル41が配置される。ノズルアーム61は第2回転軸63に結合される。第2回転軸63は、略鉛直方向に沿って延びる。
【0118】
第2駆動部65は、第3回転軸線AX3を中心として第2回転軸63を回転させて、第2回転軸63を中心にノズルアーム61を略水平面に沿って旋回させる。その結果、第1ノズル41が略水平面に沿って移動する。詳しくは、第1ノズル41は、第3回転軸線AX3を中心とする周方向に沿って、第2回転軸63の周りを移動する。第2駆動部65は、例えば、ステッピングモータを含む。あるいは、第2駆動部65は、モータと、減速機とを含んでもよい。
【0119】
続いて図13を参照してエッチング液供給処理を説明する。図13は、エッチング液供給処理を示す平面図である。図13に示すように、ノズル移動機構6は、平面視において円弧状の軌跡TJ2に沿って第1ノズル41を移動させることができる。軌跡TJ2は、基板Wのエッジ部EGと基板Wの中心部CTとを通る。
【0120】
本実施形態では、ノズル移動機構6は、第1ノズル41を、軌跡TJ2に沿って、第1停止位置X1から第4停止位置X4までの各停止位置に順次移動させる。第1ノズル41は、第1停止位置X1から第4停止位置X4までの各停止位置において、回転中の基板Wに向けてエッチング液を吐出する。本実施形態において、第4停止位置X4は、第1ノズル41の移動の最終停止位置を示す。
【0121】
続いて図14(a)を参照して停止位置情報について説明し、図14(b)を参照して移動速度情報について説明する。停止位置情報は、第1ノズル41の停止位置を示す。移動速度情報は、第1ノズル41の移動速度を示す。制御部102は、停止位置情報及び移動速度情報に基づいてノズル移動機構6を制御して、第1ノズル41を、第1停止位置X1から第4停止位置X4までの各停止位置に順次移動させる。
【0122】
図14(a)は、第1テーブル情報TB1を示す図である。第1テーブル情報TB1は、停止位置情報を示す。第1テーブル情報TB1において、上の欄は、第1ノズル41の各停止位置(第1停止位置X1~第4停止位置X4)を示し、下の欄は、各停止位置において第1ノズル41が停止する時間(第1停止時間Tx1~第4停止時間Tx4)を示す。第1テーブル情報TB1は、記憶部103に記憶されている。
【0123】
制御部102は、第1テーブル情報TB1を参照してノズル移動機構6を制御することにより、第1ノズル41を、第1停止位置X1から第4停止位置X4までの各停止位置に順次移動させる。
【0124】
図14(b)は、第2テーブル情報TB2を示す図である。第2テーブル情報TB2は、移動速度情報を示す。第2テーブル情報TB2において、上の欄は、第1ノズル41の各移動区間を示す。詳しくは、第1ノズル41の移動区間は、第1区間~第3区間を含む。第1区間は、第1停止位置X1から第2停止位置X2までの移動区間を示す。第2区間は、第2停止位置X2から第3停止位置X3までの移動区間を示す。第3区間は、第3停止位置X3から第4停止位置X4までの移動区間を示す。第2テーブル情報TB2において、下の欄は、各移動区間における第1ノズル41の移動速度(第1移動速度Y1~第3移動速度Y3)を示す。第2テーブル情報TB2は、記憶部103に記憶されている。
【0125】
制御部102は、第2テーブル情報TB2を参照してノズル移動機構6を制御することにより、例えば、第1停止位置X1から第2停止位置X2まで第1ノズル41を移動させる際に、第1移動速度Y1で第1ノズル41を移動させる。
【0126】
続いて図15を参照して、本実施形態におけるエッチング処理を説明する。図15は、処理対象膜TGの膜厚の変化の一例を示す図(グラフ)である。図15において、横軸は時間を示し、縦軸は処理対象膜TGの膜厚を示す。
【0127】
図15に示すように、第1ノズル41が、第1停止位置X1から第4停止位置X4までの各停止位置においてエッチング液を基板Wに供給することにより、処理対象膜TGの膜厚が第2目標膜厚値Th2になる。
【0128】
詳しくは、エッチング処理が開始すると、第1ノズル41が、第1停止位置X1に移動する。第1ノズル41は、第1停止位置X1に停止している間(第1停止時間Tx1中)に、エッチング液を吐出する。
【0129】
第1停止時間Tx1が経過すると、第1ノズル41は、第2停止位置X2に移動する。第1停止位置X1から第2停止位置X2まで移動する間、第1ノズル41によるエッチング液の吐出は停止している。第1ノズル41は、第2停止位置X2に停止している間(第2停止時間Tx2中)に、エッチング液を吐出する。
【0130】
以降、同様にして、第1ノズル41は、第3停止位置X3に停止している間にエッチング液を吐出し、第4停止位置X4に停止している間にエッチング液を吐出する。
【0131】
第1ノズル41が第1停止位置X1から第4停止位置X4までの各停止位置においてエッチング液を基板Wに供給することにより、処理対象膜TGの膜厚が減少し、第1ノズル41が第4停止位置X4(最終停止位置)においてエッチング液を吐出している間に、処理対象膜TGの膜厚が第1目標膜厚値Th1に達する。
【0132】
制御部102は、処理対象膜TGの膜厚が第1目標膜厚値Th1に達したことを検出すると、処理継続時間T1が経過するまで第1ノズル41によるエッチング液の吐出を継続させる。このとき、第1ノズル41は、第4停止位置X4(最終停止位置)においてエッチング液を吐出する。制御部102は、処理継続時間T1が経過したことを検出すると、第1ノズル41によるエッチング液の吐出を停止させる。
【0133】
制御部102は、第1ノズル41によるエッチング液の吐出を停止させてから待機時間T2が経過するまで、処理を待機させる。待機時間T2中に、基板Wに残存しているエッチング液によって処理対象膜TGがエッチングされて、処理対象膜TGの膜厚が第2目標膜厚値Th2になる。
【0134】
続いて図16を参照して本実施形態におけるエラー処理を説明する。エラー処理は、第1ノズル41によるエッチング液の供給を緊急停止させる処理である。エラー処理は、エッチングの進行が想定よりも速くなっている場合に実行される。すなわち、エラー処理は、エッチングレートが想定よりも大きくなっている場合に実行される。図16は、処理対象膜TGの膜厚の変化の他例を示す図(グラフ)である。図16において、横軸は時間を示し、縦軸は処理対象膜TGの膜厚を示す。
【0135】
図16に示す例では、エッチングの進行が想定よりも速くなっており、第1ノズル41が、第4停止位置X4(最終停止位置)以外の停止位置においてエッチング液を吐出している間に、処理対象膜TGの膜厚が第1目標膜厚値Th1に達している。具体的には、第1ノズル41が第3停止位置X3においてエッチング液を吐出している間に、処理対象膜TGの膜厚が第1目標膜厚値Th1に達している。
【0136】
制御部102は、第1ノズル41が、第4停止位置X4(最終停止位置)以外の停止位置においてエッチング液を吐出している間に、処理対象膜TGの膜厚が第1目標膜厚値Th1に達したことを検出すると、エラー処理を実行する。
【0137】
具体的には、制御部102は、第1ノズル41によるエッチング液の供給を停止させて、現在の処理対象の基板Wに対するエッチング処理を終了させる。本実施形態では、制御部102は更に、表示部105にエラーメッセージを表示させる。エラーメッセージは、エッチング処理中にエラーが発生した旨を示す。
【0138】
続いて図17を参照して、本実施形態におけるエッチング処理(ステップS5)について説明する。図17は、エッチング処理(ステップS5)を示すフローチャートである。
【0139】
図17に示すように、制御部102は、膜厚測定器85(膜厚測定部8)から入力された測定信号に基づいて、処理対象膜TGの膜厚が第1目標膜厚値Th1に達したと判定すると(ステップS52のYes)、第1ノズル41の停止位置が最終停止位置(本実施形態では、第4停止位置X4)であるか否かを判定する(ステップS510)。
【0140】
制御部102は、第1ノズル41の停止位置が最終停止位置(第4停止位置X4)であると判定すると(ステップS510のYes)、図7を参照して説明したステップS53以降の処理を実行する。
【0141】
一方、制御部102は、第1ノズル41の停止位置が最終停止位置(第4停止位置X4)でないと判定すると(ステップS510のNo)、エラー処理を実行する(ステップS511)。具体的には、図16を参照して説明したように、制御部102は、第1ノズル41によるエッチング液の供給を停止させる。本実施形態では、制御部102は更に、表示部105にエラーメッセージを表示させる。制御部102は、エラー処理の実行後、現在の処理対象の基板Wに対するエッチング処理を終了させる。
【0142】
以上、図12図17を参照して本発明の実施形態3について説明した。本実施形態によれば、互いに異なる複数の位置から基板Wに向けてエッチング液を供給することができる。
【0143】
なお、エラー処理は省略されてもよい。すなわち、第1ノズル41が最終停止位置以外の停止位置においてエッチング液を吐出している間に、処理対象膜TGの膜厚が第1目標膜厚値Th1に達した場合でも、処理継続時間T1が経過するまでエッチング液の供給を継続し、処理継続時間T1の経過後は、待機時間T2の間、基板Wに残存するエッチング液によるエッチングを実行してもよい。
【0144】
また、制御部102は、実施形態2において説明した膜厚変位加速度を算出してもよい。この場合、制御部102は、例えば、膜厚変位加速度に基づいて、第1ノズル41の停止位置の数を増減させてもよい。あるいは、制御部102は、膜厚変位加速度に基づいて、第1ノズル41の移動速度を増減させてもよい。あるいは、停止位置を増減させつつ、移動速度を増減させてもよい。
【0145】
具体的には、制御部102は、膜厚変位加速度が所定範囲の最小値よりも小さい場合、第1ノズル41の停止位置の数を増加させてもよい。第1ノズル41の停止位置の数が増加することにより、基板W上のエッチング液の液膜が薄くなり難くなる。よって、エッチングレートを、想定しているエッチングレートに調整することができる。あるいは、制御部102は、第1ノズル41の移動速度を増加させてもよい。第1ノズル41の移動速度を増加させることにより、ある停止位置から次の停止位置までの第1ノズル41の移動時間が短くなるため、第1ノズル41から基板Wへのエッチング液の供給が停止する時間が短くなる。したがって、基板W上のエッチング液の液膜が薄くなり難くなり、エッチングレートを、想定しているエッチングレートに調整することができる。
【0146】
また、制御部102は、膜厚変位加速度が所定範囲の最大値よりも大きい場合、第1ノズル41の停止位置の数を減少させてもよい。第1ノズル41の停止位置の数が減少することにより、基板W上のエッチング液の液膜が厚くなり難くなる。よって、エッチングレートを、想定しているエッチングレートに調整することができる。あるいは、制御部102は、第1ノズル41の移動速度を減少させてもよい。第1ノズル41の移動速度を減少させることにより、ある停止位置から次の停止位置までの第1ノズル41の移動時間が長くなるため、第1ノズル41から基板Wへのエッチング液の供給が停止する時間が長くなる。したがって、基板W上のエッチング液の液膜が厚くなり難くなり、エッチングレートを、想定しているエッチングレートに調整することができる。
【0147】
以上、図面(図1図17)を参照して本発明の実施形態について説明した。ただし、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施できる。また、上記の実施形態に開示される複数の構成要素は適宜改変可能である。例えば、ある実施形態に示される全構成要素のうちのある構成要素を別の実施形態の構成要素に追加してもよく、又は、ある実施形態に示される全構成要素のうちのいくつかの構成要素を実施形態から削除してもよい。
【0148】
図面は、発明の理解を容易にするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚さ、長さ、個数、間隔等は、図面作成の都合上から実際とは異なる場合もある。また、上記の実施形態で示す各構成要素の構成は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能であることは言うまでもない。
【0149】
例えば、図2を参照して説明したスピンチャック3は、複数のチャック部材32を基板Wの周端面に接触させる挟持式のチャックであったが、基板Wを保持する方式は、基板Wを水平に保持できる限り、特に限定されない。例えば、スピンチャック3は、バキューム式のチャックであってもよいし、ベルヌーイ式のチャックであってもよい。
【0150】
また、図4(b)及び図10を参照して説明した入力画面Gは、作業者に数値を入力させたが、プルダウンメニューによって数値を選択させてもよい。
【0151】
また、図1図17を参照した実施形態では、待機時間T2において処理対象膜TGがエッチングされたが、待機時間T2におけるエッチング処理は省略されてもよい。例えば、処理継続時間T1が経過した後に基板Wの回転数[rpm]を増加させる等することにより、待機時間T2におけるエッチング処理を省略することができる。
【産業上の利用可能性】
【0152】
本発明は、基板を処理する分野に有用である。
【符号の説明】
【0153】
1 :処理ユニット
3 :スピンチャック
5 :スピンモータ部
6 :ノズル移動機構
8 :膜厚測定部
9 :プローブ移動機構
41 :第1ノズル
81 :光学プローブ
85 :膜厚測定器
100 :基板処理装置
101 :制御装置
102 :制御部
103 :記憶部
104 :入力部
105 :表示部
G :入力画面
Mx :非処理対象膜
P :測定位置
T1 :処理継続時間
T2 :待機時間
TG :処理対象膜
Th1 :目標膜厚値(第1目標膜厚値)
Th2 :第2目標膜厚値
Thc :目標膜厚補正値
W :基板
X1 :第1停止位置
X2 :第2停止位置
X3 :第3停止位置
X4 :第4停止位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17