(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】飲料用の水の除菌システム及び除菌方法
(51)【国際特許分類】
C02F 1/44 20230101AFI20231226BHJP
C02F 1/02 20230101ALI20231226BHJP
A23L 2/00 20060101ALI20231226BHJP
A23L 2/38 20210101ALN20231226BHJP
【FI】
C02F1/44 J
C02F1/02 C
A23L2/00 V
A23L2/38 B
(21)【出願番号】P 2020113487
(22)【出願日】2020-06-30
【審査請求日】2022-09-08
(73)【特許権者】
【識別番号】309007911
【氏名又は名称】サントリーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【氏名又は名称】武居 良太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100174942
【氏名又は名称】平方 伸治
(72)【発明者】
【氏名】溝口 耕太郎
(72)【発明者】
【氏名】井戸 芳博
(72)【発明者】
【氏名】植田 悦子
(72)【発明者】
【氏名】結城 克哉
(72)【発明者】
【氏名】阪本 純基
(72)【発明者】
【氏名】高橋 時夫
(72)【発明者】
【氏名】奥村 覚二
(72)【発明者】
【氏名】木田 亘
【審査官】石岡 隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-047409(JP,A)
【文献】特開平04-234967(JP,A)
【文献】特開2012-126646(JP,A)
【文献】特開2015-116815(JP,A)
【文献】国際公開第2015/189894(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F1/02、1/44
A23L2/00-2/84
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無菌充填システムにおいて飲料用の水を除菌するためのシステムであって、
水を60℃以上80℃以下の所定の温度に加熱するための加熱装置と、
前記加熱装置によって加熱された前記水を除菌するためのフィルタと、
前記フィルタによって除菌された前記水を、60秒以内の時間で保温するための保持手段と、
を備える、除菌システム。
【請求項2】
無菌充填システムにおいて飲料用の水を除菌するための方法であって、
水を60℃以上80℃以下の所定の温度に加熱することと、
加熱された前記水をフィルタに通して、前記水を除菌することと、
前記フィルタによって除菌された前記水を、60秒以内の時間で保温することと、
を含む、除菌方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、飲料用の水の除菌システム及び除菌方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水等の液体を除菌又は殺菌するための様々な方法が提案されている。例えば、特許文献1は、製品液(例えば、飲料)を殺菌して、製品液をプラスチック容器に充填するためのシステムを開示している。このシステムは、製品液を殺菌するための殺菌装置と、殺菌装置を通った製品液を一時的に蓄えるためのアセプティックタンクと、製品液をプラスチック容器に充填するための充填機と、を備えている。殺菌装置では、UHT(Ultra High Temperature)殺菌によって製品液が殺菌される。一般的に、UHT殺菌では、例えば120℃以上の超高温が使用される。飲料用以外の水の製造に関する文献としては、特許文献2が、医薬品等に使用される精製水の製造方法及び製造装置を開示している。この製造装置は、逆浸透膜(RO膜)及び電気再生式イオン交換装置(EDI装置)を有する脱イオン装置を使用する。RO膜の前には、RO膜の目詰まりを防ぐ保安フィルタとして精密ろ過膜(MF膜)が配置される。MF膜、RO膜及びEDI装置を通される水は、熱交換器によって50℃以上に加熱される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-214134号公報
【文献】特許第5336926号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
飲料用の水の殺菌にあたり、特許文献1のUHT殺菌では、液体を超高温で加熱するためにより多くのエネルギーを使用する必要があり、多くの二酸化炭素の放出に繋がり得る。また、特許文献2は、精製水の製造に関するが、飲料用の水の製造には適さない又は過剰であるかもしれない。
【0005】
本発明は、上記のような課題を考慮して、二酸化炭素の排出量を低減することができる、飲料用の水の除菌システム及び除菌方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、無菌充填システムにおいて飲料用の水を除菌するためのシステムであって、水を55℃以上100℃未満の所定の温度に加熱するための加熱装置と、加熱装置によって加熱された水を除菌するためのフィルタと、を備える、除菌システムである。
【0007】
本開示の一態様に係る除菌システムでは、水の除菌にフィルタが使用される。しかしながら、例えば、フィルタが長期に使用される場合、フィルタにバイオフィルムが発生して、フィルタ自体が汚染源となり、下流に菌が流れてしまったり、目詰まりが発生するなどといった不具合が考えられ得る。本発明者は、研究の結果、55℃以上100℃未満の所定の温度以上に加熱された水をフィルタに通すことによって、長期にわたってフィルタにおけるバイオフィルムの発生を抑制することができ、水を一定の期間除菌し続けることができることを見出した。この場合、水は100℃未満に加熱されるので、UHT殺菌に比して、二酸化炭素の排出量を低減することができる。
【0008】
除菌システムは、フィルタによって除菌された水を、所定の時間保温するための保持手段を更に備えてもよい。この場合、フィルタの下流において水がしばらくの間、高温(55℃以上100℃未満)に維持されるので、フィルタの下流にある水を更に殺菌することができる。
【0009】
本開示の他の態様は、無菌充填システムにおいて飲料用の水を除菌するための方法であって、水を55℃以上100℃未満の所定の温度に加熱することと、加熱された水をフィルタに通して、水を除菌することと、を含む、除菌方法である。この除菌方法によれば、上記と同様な理由によって、二酸化炭素の排出量を低減することができる。
【0010】
除菌方法は、フィルタによって除菌された水を、所定の時間保温することを更に含んでもよい。この場合、上記と同様な理由によって、フィルタの下流にある水を更に殺菌することができる。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、二酸化炭素の排出量を低減することができる、飲料用の水の除菌システム及び除菌方法を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】一実施形態に係る飲料用の水の除菌システムを示す概略図である。
【
図3】一実施形態に係る飲料用の水の除菌方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、実施形態に係る水の除菌システム及び除菌方法を説明する。
【0014】
図1は、一実施形態に係る飲料用の水の除菌システム50を示す概略図である。本実施形態では、除菌システム50が、プラスチックボトル(例えば、ペットボトル)に充填される水(例えば、天然水)の無菌充填システム100に適用されている。なお、本開示の除菌システムは、天然水以外の様々な飲料用の水の除菌に適用されることができる(例えば、清涼飲料用の希釈水等)。また、プラスチックボトルとは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)及びポリエチレン(PE)のようなプラスチックから構成されるボトルを意味し得、ペットボトルに限定されないことに留意されたい。また、水が充填される容器は、プラスチックボトルに限定されず、缶又は瓶等の他の容器であってもよい。無菌充填システム100では、水源1(例えば、井戸)から得られた水が、除菌等の1つ又は複数の工程を通過して、充填機12においてペットボトルに充填される。このような無菌充填システム100は、水源1と、原水タンク2と、プレフィルタ3と、活性炭フィルタ4と、除菌システム50と、充填機12と、制御装置13と、を備えている。無菌充填システム100は、他の構成要素を更に備えていてもよい。
【0015】
水源1から得られた水(原水)は、原水タンク2に蓄えられる。原水タンク2からの水は、プレフィルタ3を通る。プレフィルタ3は、例えば、水から不純物を取り除く。なお、無菌充填システム100は、1つ又は複数のプレフィルタを他の箇所に更に備えてもよい。水は、活性炭フィルタ4を更に通る。活性炭フィルタ4は、例えば、水からプレフィルタ3では除去されなかった不純物(例えば、有機物)を除去する、及び/又は、水を脱臭する。水は、除菌システム50を通り除菌される(詳しくは後述)。除菌された水は、続いて、充填機12において、プラスチックボトルに充填される。
【0016】
制御装置13は、無菌充填システム100のいくつかの構成要素と通信可能に接続されており、これらのいくつかを制御するように構成されている。制御装置13は、例えば、PC、ノートPC、タブレット型PC等の様々なコンピュータであることができる。制御装置13は、例えば、プロセッサ、記憶装置、表示装置、入力装置、インターフェース等の構成要素を含むことができる。なお、制御装置13は、除菌システム50の一部として、除菌システム50に組み込まれていてもよい。
【0017】
続いて、除菌システム50について説明する。
【0018】
本発明者は、水の殺菌又は除菌によって排出される二酸化炭素の排出量を低減するために、フィルタを使用することを着想した。しかしながら、例えば、フィルタが長期に使用される場合、フィルタにバイオフィルム(菌の塊)が発生して、フィルタの下流に菌が流れてしまうことが考えられ得る。本発明者は、研究の結果、UHT殺菌よりも低いある程度の温度まで加熱された水をフィルタに通すことによって、長期にわたってフィルタにおけるバイオフィルムの発生を抑制することができ、水を一定の期間除菌し続けることができることを見出した。
【0019】
図2は、菌の培養試験の結果を示す。本発明者は、フィルタにおけるバイオフィルムの形成を抑制するために、どの程度の温度まで水が加熱される必要があるかを調べるために実験を行った。具体的には、
図2に示される菌株A~Dが、試験管中の培地及び水に加えられて、
図2に示される温度にて1週間~3週間、静置培養された。菌株A~Dは、比較的高温下でも増殖可能であることが知られている。なお、水は除菌システム50を通過して除菌システム50に滞留しないが、特定の位置にある「フィルタ」でのバイオフィルムの形成に着目するので、試験管中の培地及び水を用いて評価を行うことができる。培地は、酵母エキス2g、可溶性デンプン10g、及び、イオン交換水1000mlを混合し、1N HCL又は1N NaOHを用いて混合物のpHを7.3-7.5に調整し、さらに、混合物を高圧蒸気滅菌(121℃で20分)することによって準備された。水には、日本のサントリー食品インターナショナル株式会社から入手可能な南アルプスの天然水(登録商標)が使用された。各菌株について、菌数を評価した。菌株Aは寒天培地での生育が不能であることから、菌株Aについては外観(濁り)にて菌の増殖が判定された(+は増殖を示し、-は増殖が無いことを示す)。
【0020】
菌株A~Dの培地及び水での70℃及び80℃の結果を参照すると、培地及び水の双方において増殖は確認されなかった。上記のように、菌株A~Dは比較的高温下でも増殖可能であることが知られているため、70℃まで水を加熱すれば、水中で増殖可能な菌のほぼ全てを死滅させることができ、バイオフィルムの形成を確実に抑制することができると考えられる。
【0021】
また、菌株Aについて55℃の結果を参照すると、菌の増殖が促進される培地では増殖が確認された一方で、水では増殖が確認されなかった。したがって、菌株Aは、水においては55℃まで加熱されれば増殖を抑制することができることがわかる。したがって、55℃まで水を加熱すれば、菌株Aの増殖を抑制することができ、バイオフィルムの形成も抑制することができることがわかる。
【0022】
同様に、菌株Bについて55℃の結果を参照すると、菌の増殖が促進される培地では増殖が確認された一方で、水では菌数維持又は死滅が確認された。なお、少なくとも菌が「増殖」しなければ(すなわち、菌数維持されれば)、バイオフィルムの形成を抑制することができ、これらの菌はフィルムで確実に除去することができる。したがって、菌株Bは、水においては55℃まで加熱されれば増殖を抑制することができることがわかる。また、菌株Bについて水での55℃の結果を参照すると、2週間は菌数が維持されている一方で、3週間では死滅が確認された。このことからも、菌株Bは、水においては55℃付近が増殖を抑制することができる温度であることがわかる。したがって、55℃まで水を加熱すれば、菌株Bの増殖を抑制することができ、バイオフィルムの形成も抑制することができることがわかる。
【0023】
菌株C,Dについては、
図2に示されるように、菌株C,Dの生育至適温度は菌株A,Bの生育至適温度よりも低いことから、菌株C,Dについては、高めの温度に設定すれば一層増殖を抑制可能であると考えられる。したがって、菌株C,Dも、55℃まで水を加熱すれば、増殖を充分抑制することができると考えられる。以上のことから、55℃まで水を加熱すれば、水中で増殖可能な菌のほぼ全てについて増殖を抑制することができ、バイオフィルムの形成を抑制することができると考えられる。この場合、飲料用の水を除菌する目的としては、逆浸透膜(RO膜)及びEDI(Electro DeIonization)装置等の過剰な装置を用いることなく、水の加熱及び菌を除去することができる程度の孔径を有するフィルタを用いることによって、水を充分に除菌し得る。
【0024】
加熱温度の上限に関して、上記のように、70℃及び80℃では、菌株A~Dの全てについて培地及び水の双方において増殖は確認されなかった。また、以下に示されるように、加熱装置7としては、例えばボイラが使用される。水の加熱温度を100℃以上にすると、そのためにより高圧の蒸気を生成するために、より多くの燃料が必要とされる。したがって、水の加熱温度は、100℃未満であることが好ましい。
【0025】
図1を参照して、上記のような知見に基づく本開示の除菌システム50は、バランスタンク5と、ポンプ6と、加熱装置7と、フィルタ8と、ホールディングチューブユニット(HTU、保持手段)9と、冷却装置10と、アセプティックタンク(ACT)11と、を有している。除菌システム50は、他の構成要素を更に備えていてもよい(例えば、所定の位置(例えば、加熱装置7、フィルタ8、HTU9及び/又はこれらの間)に配置された温度センサ等)。
【0026】
バランスタンク5は、活性炭フィルタ4を通った水を蓄える。ポンプ6は、バランスタンク5から所望の量の水を加熱装置7へと送る。ポンプ6は、制御装置13によって制御されてもよい。なお、無菌充填システム100は、1つ又は複数のポンプを他の箇所に更に備えてもよい。
【0027】
加熱装置7は、水を55℃以上100℃未満の所定の温度(例えば、60℃以上80℃以下、好ましくは70℃以上80℃以下)に、所定の時間加熱する。加熱装置7における加熱温度は、例えば、加熱装置7における加熱時間に応じて決定されてもよい(又は、加熱装置7における加熱時間が、加熱装置7における加熱温度に応じて決定されてもよい)。加熱装置7における加熱時間が長い場合、加熱温度は低くてもよく、加熱時間が短い場合、加熱温度は高い必要がある。加熱装置7における加熱温度は、例えば、HTU9における保温時間に応じて決定されてもよい(又は、HTU9における保温時間が、加熱装置7における加熱温度に応じて決定されてもよい)。HTU9における保温時間が長い場合、加熱装置7における加熱温度は低くてもよく、HTU9における保温時間が短い場合又はHTU9が無い場合、加熱装置7における加熱温度は高い必要がある。加熱装置7における加熱時間は、例えば、数十ミリ秒、数百ミリ秒、数秒、十数秒、数十秒、又は、数分であることができる。加熱装置7は、例えば、ボイラ(例えば、ガス炊きボイラ)であることができる。加熱装置7は、他のタイプの加熱装置であってもよい(例えば、電熱ヒータ、ヒートポンプ等)。例えば、加熱装置7における水の温度は、制御装置13によって閉ループ制御されてもよい。
【0028】
フィルタ8は、水から菌を除去する。フィルタ8は、例えば、メンブレンフィルタであってもよい。菌を除去するためには、フィルタ8の孔径(ろ過精度)は、0.45μm以下(例えば、0.1μm以上0.45μm以下)である必要がある。
【0029】
HTU9は、フィルタ8によって除菌された水を所定の温度に所定の時間保持する。HTU9は、例えば、蛇行する配管と、この配管を加熱するための熱交換器と、を含むことができる。フィルタ8の孔径よりも小さい菌がある場合には、これらの菌はHTU9において殺菌され得る。例えば、HTU9における加熱温度は、加熱装置7における加熱温度と同じであってもよく、又は、異なってもよい(例えば、55℃以上100℃未満の所定の温度(例えば、60℃以上80℃以下、好ましくは70℃以上80℃以下)。HTU9における保温時間は、例えば、数十ミリ秒、数百ミリ秒、数秒、十数秒、数十秒、又は、数分であることができる(例えば、2分以内、好ましくは90秒以内、さらに好ましくは60秒以内)。例えば、HTU9における水の温度は、制御装置13によって閉ループ制御されてもよい。
【0030】
所望の量の水が冷却装置10を通過し、アセプティックタンク11へ送られる。水は、冷却装置10において例えば常温まで冷却される。冷却装置10は、例えば、熱交換器であることができ、配管を通る液体(例えば、冷水又は常温水)によって、アセプティックタンク11に送られる水を冷却することができる。
【0031】
続いて、除菌システム50の動作(除菌方法)について説明する。
【0032】
図3は、一実施形態に係る飲料用の水の除菌方法を示すフローチャートである。
図3の動作に先立って、原水タンク2~活性炭フィルタ4を通った水が、バランスタンク5に蓄えられる。バランスタンク5内の水をポンプ6によって加熱装置7に送り、加熱装置7によって水を55℃以上100℃未満の所定の温度に所定の時間加熱する(ステップS100)。続いて、加熱された水をフィルタ8に通す(ステップS102)。これによって、水が除菌される。続いて、HTU9において、除菌された水を所定の温度に所定の時間保温する(ステップS104)。これによって、水が更に殺菌され、一連の動作は終了する。その後、水は、冷却装置10において冷却された後に、ACT11に一時的に蓄えられ、充填機12によってプラスチックボトルに充填される。充填機12によってプラスチックボトルに充填される水は、原水に含まれフィルタ8によって除去されない成分(例えば、ミネラル成分等)を含むことができる。
【0033】
以上のような実施形態に係る除菌システム50及び除菌方法では、水の除菌にフィルタ8が使用される。この際に、加熱装置7において55℃以上100℃未満の所定の温度以上に加熱された水をフィルタ8に通すことによって、長期にわたってフィルタ8におけるバイオフィルムの発生を抑制することができ、水を一定の期間除菌し続けることができる。この際に、水は100℃未満に加熱されるので、UHT殺菌に比して、二酸化炭素の排出量を低減することができる。
【0034】
また、上記の実施形態では、除菌システム50は、フィルタ8によって除菌された水を、所定の時間保温するためのHTUを更に備えている。したがって、フィルタ8の下流において水がしばらくの間、高温(55℃以上100℃未満)に維持されるので、フィルタ8の下流にある水を更に殺菌することができる。
【0035】
水の除菌システム及び除菌方法の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されない。当業者であれば、上記の実施形態の様々な変形が可能であることを理解するだろう。
【0036】
例えば、上記の実施形態では、除菌システム50は、HTU9を備えている。しかしながら、他の実施形態では、加熱装置7及びフィルタ8によって水を充分に除菌できる場合には、除菌システム50は、HTU9を備えていなくてもよい。
【符号の説明】
【0037】
7 加熱装置
8 フィルタ
9 ホールディングチューブユニット(保持手段)
50 除菌システム