(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】包装箱
(51)【国際特許分類】
B65D 21/032 20060101AFI20231226BHJP
B65D 5/32 20060101ALI20231226BHJP
B65D 5/54 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
B65D21/032
B65D5/32 B
B65D5/54 D
(21)【出願番号】P 2020129112
(22)【出願日】2020-07-30
【審査請求日】2023-05-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000115980
【氏名又は名称】レンゴー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100177644
【氏名又は名称】児玉 和樹
(72)【発明者】
【氏名】松浦 積弥
(72)【発明者】
【氏名】西川 洋一
(72)【発明者】
【氏名】大谷 昌義
(72)【発明者】
【氏名】橋本 章
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3217753(JP,U)
【文献】特開2011-143966(JP,A)
【文献】特開2015-89833(JP,A)
【文献】登録実用新案第3143507(JP,U)
【文献】実開平7-8213(JP,U)
【文献】特開平9-226747(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 21/032
B65D 5/32
B65D 5/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の壁面によって被包装物を収容する空間が形成される包装箱(1,2)であって、
第1壁(21,45)と、
前記第1壁に対向する第2壁(22,46)と、
前記第1壁と前記第2壁とを連結する第3壁(23,40)と、
前記第1壁の少なくとも一部の内面に重なるように配置される内壁(14,44)と、
前記第1壁の一部を切り欠くことで形成され、前記内壁が露出する凹部(24)と、
前記第2壁および前記第3壁に形成され、前記第2壁の一部を除いた範囲を切断することで前記第2壁から前記第3壁に亘って開口部(26)を開口させる開口切断線(25)と、を備え、
前記開口部を開口させた開封状態で、前記第2壁の一部は凸部(27)として残存し、
上下方向に前記包装箱を積み重ねる場合に、下方に配置された前記包装箱の前記凸部は、上方に配置された前記包装箱の前記凹部に嵌合することを特徴とする包装箱。
【請求項2】
前記第1壁と前記第2壁との先端に突き合わされる位置に設けられ、少なくとも前記凹部または前記凸部と並ぶ部分が前記第1壁と前記第2壁との厚みよりも薄く形成されている一対の片壁(13,47)を更に備えていることを特徴とする請求項1に記載の包装箱。
【請求項3】
複数の壁面によって被包装物を収容する空間が形成される包装箱(3)であって、
第1壁(54)と、
前記第1壁に対向する第2壁(52)と、
前記第1壁と前記第2壁とを連結する第3壁(53)と、
前記第1壁の少なくとも一部の内面に重なるように固定される内壁(50)と、
前記第2壁および前記第3壁に形成され、前記第2壁および前記第3壁を切断することで前記第2壁から前記第3壁に亘って開口部(26)を開口させる開口切断線(57)と、を備え、
前記第1壁は、前記内壁の外面から突出した凸部(27)を構成し、
前記第2壁に開口した前記開口部の一部が凹部(24)を構成し、
上下方向に前記包装箱を積み重ねる場合に、上方に配置された前記包装箱の前記凸部は、下方に配置された前記包装箱の前記凹部に嵌合することを特徴とする包装箱。
【請求項4】
前記開口部が開口していない封緘状態では、前記第1壁と前記第2壁とが起立した側面を構成し、前記第3壁が天面を構成し、
開封状態では、前記包装箱が90度回転され、前記第1壁が底面を構成し、前記第3壁が側面を構成することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の包装箱。
【請求項5】
複数の壁体(11~15)によって連続する3面を開放したトレイ状に形成される箱本体(10)と、
前記第1壁、前記第2壁および前記第3壁を備え、前記箱本体の開放された3面を覆うように配置され、前記箱本体に固定される蓋体(20)と、を備え、
前記第1壁、前記第2壁および前記第3壁は、前記箱本体の前記壁体の厚みよりも厚く形成されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
段ボールシートで作られた、多面体区画を有する箱が知られている(特許文献1)。箱の上部壁には、側壁との境界である第一折り線を跨ぐセンタリングタブが設けられている。タブは折り曲げられて上部壁の上面から突出する。箱の底部には、タブの突出部分の形状に合致する凹所が穿孔されている。箱がパレット上に相互に積み重ねられると、タブが凹所に合致し、箱同士のセンタリングがなされ、積層された箱間の横方向の滑りが防止されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記した箱では、封緘した状態で、タブが突出すると共に凹所が開口するため、箱の外観に凹凸が目立ち、箱の見た目が悪化するという問題があった。また、タブの隙間や凹所から異物が混入する虞もあった。さらに、上記した箱は、封緘状態において、タブを凹所に合致させてセンタリングした状態にしなければ積み重ねることができなかった。すなわち、上記した箱は、棒積みすることしかできず、交互列積み等、棒積み以外の積み方には対応できなかった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するために、封緘状態における外観の凹凸を少なくし、開封後には安定した積み上げを可能にする包装箱を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、複数の壁面によって被包装物を収容する空間が形成される包装箱であって、第1壁と、前記第1壁に対向する第2壁と、前記第1壁と前記第2壁とを連結する第3壁と、前記第1壁の少なくとも一部の内面に重なるように配置される内壁と、前記第1壁の一部を切り欠くことで形成され、前記内壁が露出する凹部と、前記第2壁および前記第3壁に形成され、前記第2壁の一部を除いた範囲を切断することで前記第2壁から前記第3壁に亘って開口部を開口させる開口切断線と、を備え、前記開口部を開口させた開封状態で、前記第2壁の一部は凸部として残存し、上下方向に前記包装箱を積み重ねる場合に、下方に配置された前記包装箱の前記凸部は、上方に配置された前記包装箱の前記凹部に嵌合する。
【0007】
この場合、前記第1壁と前記第2壁との先端に突き合わされる位置に設けられ、少なくとも前記凹部または前記凸部と並ぶ部分が前記第1壁と前記第2壁との厚みよりも薄く形成されている一対の片壁を更に備えてもよい。
【0008】
本発明は、複数の壁面によって被包装物を収容する空間が形成される包装箱であって、第1壁と、前記第1壁に対向する第2壁と、前記第1壁と前記第2壁とを連結する第3壁と、前記第1壁の少なくとも一部の内面に重なるように固定される内壁と、前記第2壁および前記第3壁に形成され、前記第2壁および前記第3壁を切断することで前記第2壁から前記第3壁に亘って開口部を開口させる開口切断線と、を備え、前記第1壁は、前記内壁の外面から突出した凸部を構成し、前記第2壁に開口した前記開口部の一部が凹部を構成し、上下方向に前記包装箱を積み重ねる場合に、上方に配置された前記包装箱の前記凸部は、下方に配置された前記包装箱の前記凹部に嵌合する。
【0009】
この場合、前記開口部が開口していない封緘状態では、前記第1壁と前記第2壁とが起立した側面を構成し、前記第3壁が天面を構成し、開封状態では、前記包装箱が90度回転され、前記第1壁が底面を構成し、前記第3壁が側面を構成してもよい。
【0010】
この場合、複数の壁体によって連続する3面を開放したトレイ状に形成される箱本体と、前記第1壁、前記第2壁および前記第3壁を備え、前記箱本体の開放された3面を覆うように配置され、前記箱本体に固定される蓋体と、を備え、前記第1壁、前記第2壁および前記第3壁は、前記箱本体の前記壁体の厚みよりも厚く形成されてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、封緘状態における包装箱の外観の凹凸を少なくし、開封後の包装箱を安定して積み上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る包装箱を示す斜視図である。
【
図2】本発明の第1実施形態に係る包装箱を示す分解斜視図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係る包装箱の箱本体のブランクを示す平面図である。
【
図4】本発明の第1実施形態に係る包装箱の蓋体のブランクを示す平面図である。
【
図5】本発明の第1実施形態に係る包装箱を開封した状態を示す斜視図である。
【
図6】本発明の第1実施形態に係る包装箱を展示姿勢とした状態を示す斜視図である。
【
図7】本発明の第1実施形態に係る包装箱を積み重ねた状態を示す断面図である。
【
図8】本発明の第2実施形態に係る包装箱を示す斜視図である。
【
図9】本発明の第2実施形態に係る包装箱のブランクを示す平面図である。
【
図10】本発明の第2実施形態に係る包装箱を展示姿勢とした状態を示す斜視図である。
【
図11】本発明の第3実施形態に係る包装箱を示す斜視図である。
【
図12】本発明の第3実施形態に係る包装箱のブランクを示す平面図である。
【
図13】本発明の第3実施形態に係る包装箱を展示姿勢とした状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付の図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。なお、図面に示すFr、Rr、L、R、U、Dは、前、後、左、右、上、下を示している。前後方向、左右方向および上下方向は互いに直交している。本明細書では方向や位置を示す用語を用いるが、それらの用語は説明の便宜のために用いるものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。また、方向や位置を示す用語は、包装箱を組み立てた状態での方向や位置を基準にしている。
【0014】
[第1実施形態]
図1および
図2を参照して、第1実施形態に係る包装箱1について説明する。
図1は包装箱1を示す斜視図である。
図2は包装箱1を示す分解斜視図である。
図3は箱本体10のブランク10Aを示す平面図である。
図4は蓋体20のブランク20Aを示す平面図である。
【0015】
図1に示すように、包装箱1は略直方体状に形成され、複数の壁面によって被包装物(図示せず)を収容する空間が形成されている。
図2に示すように、包装箱1は、箱本体10と蓋体20とを備えたツーピース構造の段ボール箱である。箱本体10は、複数の壁体(11~15)によって連続する3面(前面、後面、上面)を開放したトレイ状に形成されている。蓋体20は、箱本体10の開放された3面を覆うように配置され、箱本体10に固定されている。
【0016】
箱本体10は、
図3に示すブランク10Aを組み立てることで形成されている。蓋体20は、
図4に示すブランク20Aを組み立てることで形成される。ブランク10A,20Aは、例えば、波状の中しん9Aの表裏に表ライナ9Bと裏ライナ9C(
図2参照)とを貼り付けた紙製の両面段ボールシートから形成されている。ブランク10A,20Aは、一枚の紙製の段ボールシートを抜型等で打ち抜いて形成されている。2つのブランク10A,20Aは、同じ厚みの段ボールシートで形成されている。なお、
図3および
図4は表ライナ9B側(外面側)を示している。本明細書では、中しん9Aと平行な方向を「段方向」と呼び、段方向に直交する方向を「流れ方向」と呼ぶこととする。図面に示す「X」は「段方向」を示し、「Y」は「流れ方向」を示している。
【0017】
[箱本体のブランク]
図3に示すように、箱本体10のブランク10Aは、底壁11と、一対の側壁12と、一対の底片壁13と、二対の第1内壁14と、一対の第2内壁15と、を備えている。なお、一対の側壁12および一対の第2内壁15は
図3において上下対称に形成され、一対の底片壁13および二対の第1内壁14は
図3において左右対称に形成されているため、以下の説明では、一対(または二対)であることを明記した場合を除いて、1つの部位に着目して説明する。
【0018】
<底壁、側壁>
底壁11は、段方向に長い略長方形状に形成されている。一対の側壁12は、第1折曲線L1を介して底壁11の段方向の両端に連設されている。側壁12は、底壁11よりも段方向に短い略長方形状に形成されている。
【0019】
<底片壁>
一対の底片壁13は、第2折曲線L2を介して底壁11の流れ方向の両端に連設されている。底片壁13は略長方形状に形成され、その流れ方向の寸法(延出寸法(高さ))は底壁11の流れ方向の約1/4に設定されている。また、底片壁13の段方向の両側には、中しん9Aを厚さ方向に押し潰した一対の段潰し部16が設けられている。つまり、底片壁13の段潰し部16は、他の部分の厚みよりも薄く形成されている。なお、段潰し部16では、中しん9Aを、表ライナ9B側から押し潰してもよいし、裏ライナ9C側から押し潰してもよいし、表裏両側から押し潰してもよい。
【0020】
<第1内壁、第2内壁15>
二対の第1内壁14は、第2折曲線L2を介して一対の側壁12の流れ方向の両端に連設されている。第1内壁14は略長方形状に形成され、その延出寸法は底片壁13の延出寸法と略同一である。一対の第2内壁15は、第1折曲線L1を介して一対の側壁12の段方向の先端に連設されている。第2内壁15は略長方形状に形成され、その段方向の寸法(延出寸法)は第2内壁15の延出寸法よりも短く設定されている。
【0021】
なお、第1~第2折曲線L1,L2は、段ボールシートを裏ライナ9Cの側から厚み方向に潰した汎用罫線である。汎用罫線は、主に、裏ライナ9Cを内側に向けるように段ボールシートを折り曲げる(正折りする)機能を有している。第1~第2折曲線L1,L2は、汎用罫線に限らず、複数の切目を所定間隔に形成したミシン目線、汎用罫線上にミシン目線を形成したリード罫等、段ボールシートを折り曲げるための線であれば如何なるものでもよい。
【0022】
[蓋体のブランク]
図4に示すように、蓋体20のブランク20Aは、第1壁21と、第2壁22と、第3壁23と、を備えている。第1壁21と第2壁22とは、第3壁23を中心にして段方向に一列に並設されている。第3壁23は、第1壁21と第2壁22とを連結している。
【0023】
<第1壁、第2壁>
第1壁21および第2壁22は、第3折曲線L3を介して第3壁23の段方向の両端に連設されている。第1壁21および第2壁22は、略同じ大きさとなる略長方形状に形成されている。第1壁21と第2壁22との段方向の寸法(高さ)は、箱本体10の側壁12の段方向の寸法(高さ)から底片壁13の高さを引いた長さに略一致する。
【0024】
第1壁21には、第3壁23に隣接する位置に一対の凹部24が形成されている。一対の凹部24は、第1壁21の流れ方向の両端から互いに接近するように凹設されている。すなわち、凹部24は、第1壁21の一部を切り欠くことで略五角形状に形成されている。
【0025】
<第3壁>
第3壁23は、第1壁21等よりも大きな略長方形状に形成されている。第3壁23は、箱本体10の底壁11と略同じ大きさに形成されている。
【0026】
<開口切断線>
第2壁22および第3壁23には、開口切断線25が形成されている。開口切断線25は、第2壁22の一部および第3壁23の一部を除いた範囲を切断することで第2壁22から第3壁23に亘って開口部26(
図5参照)を開口させるために設けられている。開口切断線25は、第3壁23の第1壁21側に略U字状に形成された押込線25Aと、押込線25Aから流れ方向の両外側に向かって延びた一対の横切断線25Bと、一対の横切断線25Bの先端から第2壁22との境界(第3折曲線L3)まで延びた一対の縦切断線25Cと、一対の縦切断線25Cの先端から第2壁22に形成された一対の凸切断線25Dと、を含んでいる。
【0027】
(押込線)
押込線25Aは、複数の切目を並べてミシン目状に形成されている。押込線25AのU字の両端間には押込折線L11が形成され、押込線25Aと押込折線L11とで囲まれた内側領域には押込面部25Eが形成されている。
【0028】
(横切断線、縦切断線)
一対の横切断線25Bは、第3折曲線L3と略平行に形成され、第3壁23の流れ方向の両端から内側に入った位置まで延設されている。一対の横切断線25Bは、複数の略Y字状の切目を並べたジッパーであり、第3壁23の流れ方向の中央から両外側に向かって切断する機能を有している。一対の縦切断線25Cは、第3壁23の流れ方向の両縁に沿って(概ね平行)に延設されている。一対の縦切断線25Cは、複数の略L字状の切目を並べたジッパーであり、第3壁23を横切断線25Bから凸切断線25Dに向かって切断する機能を有している。
【0029】
(凸切断線)
一対の凸切断線25Dは、第2壁22において第3壁23に隣接する位置に形成されている。一対の凸切断線25Dは、一対の縦切断線25Cから第2壁22の先端に向かって略「く」の字状に延びた後、屈曲して第2壁22の流れ方向の両端まで延びている。凸切断線25Dは、複数の切目を並べてミシン目状に形成されている。凸切断線25Dは、第1壁21に切り欠かれた凹部24と略同一形状となる略五角形状の輪郭を有している。つまり、凸切断線25Dと凹部24とは互いに相補的な形状を成している。
【0030】
なお、第3折曲線L3および押込折線L11は、汎用罫線であるが、これに限らず、ミシン目線やリード罫等、段ボールシートを折り曲げるための線であれば如何なるものでもよい。
【0031】
[包装箱の組立]
次に、
図1ないし
図4を参照して、包装箱1の組立手順の一例について説明する。なお、包装箱1は、作業者によって手作業で組み立てられてもよいし、製函機(図示せず)によって全自動または半自動で組み立てられてもよい。ここでは、一例として、手作業で包装箱1を組み立てる場合について説明する。
【0032】
包装箱1は、ブランク10Aから箱本体10を形成し、ブランク20Aから蓋体20を形成し、蓋体20を箱本体10に接着(固定)することで包装箱1が完成する。箱本体10のブランク10Aには、箱本体10を組み立てる際に接着剤を付着させる位置が設定されている。具体的には、
図3に示すように、底片壁13の一対の段潰し部16には第4接着部34が設定されている。また、蓋体20のブランク20Aの裏ライナ9Cには、蓋体20を箱本体10に接着する位置(接着剤を付着させる位置)が設定されている。具体的には、
図4に示すように、第1壁21の先端側の角部付近において、一対の凹部24と段方向に並ぶ位置には、一対の第1接着部31が設定されている。第2壁22の流れ方向の両側において、第3折曲線L3と一対の凸切断線25Dに囲まれる範囲には、一対の第2接着部32が設定されている。第3壁23において、一対の縦切断線25Cよりも流れ方向の両外側には、二対の第3接着部33が設定されている。
【0033】
なお、第1~第4接着部31~34に付着させる接着剤は、例えば、ホットメルト接着剤や水性エマルジョン系接着剤等を用いてもよいし、両面テープを用いてもよい。
【0034】
<箱本体の組立>
図2に示すように、作業者は、一対の側壁12を第1折曲線L1に沿って上方に折り曲げ、二対の第1内壁14を第2折曲線L2に沿って内側に折り曲げる。また、作業者は、一対の底片壁13を第2折曲線L2に沿って上方に折り曲げ、一対の底片壁13を第4接着部34で二対の第1内壁14の外面(表ライナ9B)に接着する。続いて、作業者は、一対の第2内壁15を第1折曲線L1に沿って内側に折り曲げる。
【0035】
以上によって、一対の側壁12および一対の底片壁13は底壁11に対して立設され、トレイ状の箱本体10が完成する。箱本体10の前面、後面および上面は開放されている。なお、被包装物は、組立作業を開始する前にブランク10Aの底壁11上に配置してもよいし、箱本体10の組立途中で底壁11上に配置してもよいし、完成した箱本体10に収容してもよい。
【0036】
<箱本体に蓋体を固定する工程>
作業者は、ブランク20Aを箱本体10の上方に配置し、第3壁23を二対の第3接着部33で一対の第2内壁15の外面に接着する(
図1参照)。続いて、作業者は、第1壁21を第3折曲線L3に沿って下方に折り曲げ(
図2参照)、第1壁21を一対の第1接着部31で後方の一対の第1内壁14の外面に接着する(
図1参照)。また、作業者は、第2壁22を第3折曲線L3に沿って下方に折り曲げ(
図2参照)、第2壁22を一対の第2接着部32で前方の一対の第1内壁14の外面に接着する(
図1参照)。
【0037】
以上によって、
図1に示すように、蓋体20が、箱本体10の開放された3面を覆うように配置され、箱本体10に固定される。これにより、包装箱1が完成する(封緘される)。このような封緘状態において、第2壁22は第1壁21に対向し、第1~第2壁21~22の先端(下端)は底片壁13の先端(上端)に突き合わされている。また、二対の第1内壁14は、第1~第2壁21~22の左右両側(一部)の内面に重なるように配置されている。したがって、第1壁21に切り込まれた凹部24の範囲内には、第1内壁14が露出している。つまり、凹部24は有底の窪みとなる。また、凹部24と底片壁13(段潰し部16)との間には、第2壁22の左右両側の一部であって凹部24よりも突出した相対凸部24Aが形成される。なお、一対の第2内壁15は、第3壁23の左右両側の内面に重なるように配置されている。
【0038】
なお、上記した包装箱1の組立手順は一例であり、当該組立手順は矛盾のない範囲で変更されてもよい。
【0039】
図1に示すように、封緘された包装箱1は、箱本体10の底壁11を底面とし、第1~第2壁21~22(および一対の底片壁13)とを起立させた側面とし、第3壁23を天面とした姿勢(以下、「包装姿勢」ともいう。)でパレット(図示せず)上に積み上げられる。包装箱1はパレット上に積層された状態で保管されたり運搬されたりする。
【0040】
[包装箱の開封]
次に、
図5ないし
図7を参照して、包装箱1の開封手順の一例について説明する。
図5は包装箱1を開封した状態を示す斜視図である。
図6は包装箱1を展示姿勢とした状態を示す斜視図である。
図7は包装箱1を積み重ねた状態を示す断面図である。
【0041】
作業者は、包装箱1を包装姿勢とし、包装箱1の天面(第3壁23)に形成された押込面部25E(
図1参照)を押し込んで押込線25Aに沿って切断し、押込面部25Eを押し込んだ手で第3壁23の前側を把持し、第3壁23を前方に引っ張る。
図5に示すように、第3壁23は、一対の横切断線25Bに沿って切断された後、一対の縦切断線25Cに沿って切断される。また、第3壁23の切断に続いて、第2壁22は一対の凸切断線25Dに沿って切断される。開口切断線25で囲まれた範囲が第2壁22および第3壁23から除去(分離)され、第2壁22から第3壁23にかけて開口部26が開口する。
【0042】
以上によって、包装箱1が開封される。開口部26を開口させた開封状態で、第2壁22の一部は一対の凸部27として残存し、第3壁23の一部は枠部28として残存する。各々の凸部27は、凸切断線25Dと第3折曲線L3とで囲まれた範囲であって、第2接着部32で第1内壁14に接着されている(
図1参照)。凸部27は、第1壁21に切り欠かれた凹部24と略同一形状となる略五角形状に形成されている。また、凸部27と底片壁13(段潰し部16)との間には、第2壁22が除去されることで第1内壁14が露出し、凸部27等よりも凹んだ相対凹部27Aが形成される。枠部28は、一対の横切断線25Bと一対の縦切断線25Cとの外側の範囲に略U字状に形成され、二対の第3接着部33で一対の第2内壁15に接着されている(
図1参照)。
【0043】
図6に示すように、開封された包装箱1は、側面を構成していた第1壁21(および底片壁13)が底面を構成し、天面を構成していた第3壁23が正面(側面)を構成するように90度回転された姿勢(以下、「展示姿勢」ともいう。)で店頭等に展示(陳列)される。展示姿勢となった包装箱1では、正面から上面にかけて開口部26が開口するため、顧客は開口部26から被包装物を取り出すことができる。
【0044】
また、
図7に示すように、展示姿勢となった包装箱1は、上下方向に複数積層した状態で展示することができる。上下方向に包装箱1を積み重ねる場合に、下方に配置された包装箱1の凸部27(
図6も参照)は、上方に配置された包装箱1の凹部24に嵌合する。また、上方の包装箱1の相対凸部24Aは下方の包装箱1の相対凹部27Aに配置され、相対凸部24Aの前端が凸部27の後端に当接する。さらに、上方の包装箱1の底面を成す底片壁13は、下方の包装箱1の天面を成す底片壁13に重なる。そのため、上方の包装箱1は僅かに前傾姿勢となる。なお、
図7では、2つの包装箱1を積み重ねた状態を示したが、3つ以上の包装箱1を積み重ねてもよい。
【0045】
以上説明した第1実施形態に係る包装箱1では、封緘状態で第2壁22と一体化していた凸部27が、第2壁22を開口切断線25で切断する(開封する)ことで顕在化する構成とした。この構成によれば、封緘状態では凸部27が表れないため、包装箱1の外観の凹凸を少なくすることができる(
図1参照)。これにより、包装箱1の見た目を良くすることができる。また、凹部24は貫通した穴ではなく有底の窪みであるため、凹部24から包装箱1内への異物の混入を防止することができる。さらに、開封した包装箱1を積み重ねる際、下方の包装箱1の凸部27を上方の包装箱1の凹部24に嵌合させることで、包装箱1を安定して積み上げることができる(
図7参照)。
【0046】
また、開封した包装箱1を積み重ねた状態において、前方(第3壁23の側)では下方の凸部27が上方の凹部24に嵌り込むのに対し、後方では上下の底片壁13同士が重なるため、1枚の底片壁13の厚さ分だけ持ち上がることになる。したがって、上方の包装箱1は後方から前方に向かって下方に傾斜した姿勢になる(
図7参照)。この点、第1実施形態に係る包装箱1では、一対の底片壁13が第1壁21と第2壁22の先端に突き合わされる位置に設けられ、凹部24または凸部27と並ぶ部分(段潰し部16)が第1壁21と第2壁22との厚みよりも薄く形成されていた。この構成によれば、上下の底片壁13同士を重ねたときの持ち上がりを少なくすることができるため、上方の包装箱1の傾斜を緩やかにすることができる。これにより、複数の包装箱1を略水平に積み重ねることができ、安定した積み上げが可能になる。
【0047】
また、第1実施形態に係る包装箱1において、開口部26が開口していない封緘状態では、第1壁21と第2壁22とが起立した側面を構成し、第3壁23は天面を構成していた(
図1参照)。この構成によれば、封緘状態では底壁11および第3壁23に大きな凹凸(段差)がないため、包装姿勢とした包装箱1を積み上げる際、凹凸のない面同士を接触させることができる。これにより、包装箱1が傾斜した姿勢でパレット上に積み上げられることがなく、安定した積み上げが可能になる。また、封緘された包装箱1は、パレット上に、棒積みすることもできるし、交互列積みすることもできる。つまり、封緘された包装箱1の積み方を柔軟に変更することができる。
【0048】
[変形例]
なお、第1実施形態に係る包装箱1では、箱本体10のブランク10Aと蓋体20のブランク20Aが同じ厚みの段ボールシートで形成されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、蓋体20のブランク20Aが、箱本体10のブランク10Aよりも厚い段ボールシートで形成されていてもよい。すなわち、第1壁21、第2壁22および第3壁23が、箱本体10の壁体(11~15)の厚みよりも厚く形成されてもよい。この変形例に係る包装箱1によれば、凹部24の深さと凸部27の高さとを大きく確保することができる。これにより、開封した包装箱1を積み重ねる際、凸部27を凹部24に確りと嵌合させることができる。
【0049】
[第2実施形態]
次に、
図8ないし
図10を参照して、第2実施形態に係る包装箱2について説明する。
図8は包装箱2を示す斜視図である。
図9は包装箱2のブランク2Aを示す平面図である。
図10は包装箱2を展示姿勢とした状態を示す斜視図である。なお、以下の説明では、第1実施形態に係る包装箱1と同様または対応する構成については同一の符号を付し、同様または対応する説明は省略する。
【0050】
第1実施形態に係る包装箱1はツーピース構造であったが、第2実施形態に係る包装箱2は内グルータイプのラップアラウンドケースである(
図8参照)。
【0051】
図9に示すように、包装箱2のブランク2Aは、天壁40と、底壁41と、一対の側壁42と、継代片43と、二対の内フラップ44と、第1外フラップ45と、第2外フラップ46と、一対の第3外フラップ47と、を備えている。なお、以下の説明では、一対または二対ある部位については、一対または二対であることを明記した場合を除いて、1つの部位に着目して説明する。
【0052】
天壁40、一方の側壁42、底壁41、他方の側壁42および継代片43は、段方向に一列に並べられ、第1折曲線L1を介して連設されている。内壁の一例としての二対の内フラップ44は、第2折曲線L2を介して一対の側壁42の流れ方向の両端に連設されている。第1外フラップ45および第2外フラップ46は、第2折曲線L2を介して天壁40の流れ方向の両端に連設されている。一対の第3外フラップ47は、第2折曲線L2を介して底壁41の流れ方向の両端に連設されている。第1~第3外フラップ45~47は略同じ大きさの略長方形状に形成され、それらの流れ方向の寸法(延出寸法)は側壁42の段方向の寸法の略半分に設定されている。二対の内フラップ44は第3外フラップ47等よりも小さな略長方形状に形成され、それらの延出寸法は第3外フラップ47等の延出寸法の略半分に設定されている。
【0053】
第1壁の一例としての第1外フラップ45には、一対の凹部24(一対の相対凸部24A)が形成されている。第2壁の一例としての第2外フラップ46および第3壁の一例としての天壁40には、第2外フラップ46から天壁40に亘って開口部26(
図10参照)を開口させるための開口切断線25が形成されている。開口部26を開口させた開封状態で、第2外フラップ46の一部は一対の凸部27として残存し、天壁40の一部は枠部28として残存する(
図10参照)。片壁の一例としての第3外フラップ47の流れ方向の両側には、一対の段潰し部16が設けられている。
【0054】
[包装箱の組立]
次に、包装箱2の組立手順の一例について説明する。
【0055】
包装箱2のブランク2Aには、包装箱2を組み立てる際に接着剤を付着させる位置が設定されている。具体的には、
図9に示すように、第1外フラップ45(一対の相対凸部24A)には一対の第1接着部31が設定され、第2外フラップ46(一対の凸部27)には一対の第2接着部32が設定され、天壁40の段方向の端部には継代片43を接着するための第3接着部33が設定されている。また、第3外フラップ47の段潰し部16には第4接着部34が設定されている。
【0056】
作業者は、底壁41上に配置された被包装物を包み込むように、一対の側壁42と天壁40と継代片43とを第1折曲線L1で折り曲げ、第3接着部33を介して継代片43を天壁40の内面に接着する(
図8および
図9参照)。続いて、作業者は、二対の内フラップ44を第2折曲線L2に沿って内側に折り曲げた後、第1~第3外フラップ45~47を第2折曲線L2に沿って内側に折り曲げる(
図8および
図9参照)。
図8に示すように、第1~第3外フラップ45~47は、第1,第2,第4接着部31,32,34を介して内フラップ44の外面に接着される。第1~第2外フラップ45~46と一対の第3外フラップ47とは、互いに先端を突き合わせた状態で内フラップ44に固定されている。第1外フラップ45に切り込まれた凹部24の範囲内には、内フラップ44が露出している。
【0057】
以上によって、包装箱2が完成する。封緘された包装箱2は、底壁41を底面とし、第1~第3外フラップ45~47を起立させた側面とし、天壁40を天面とした包装姿勢でパレット上に積み上げられる。なお、上記した包装箱2の組立手順は一例であり、当該組立手順は矛盾のない範囲で変更されてもよい。
【0058】
[包装箱の開封]
封緘された包装箱2は、第1実施形態に係る包装箱1の開封手順と同様の手順で開封される。開封状態で、第2外フラップ46に一対の凸部27が顕在化し、天壁40に枠部28が顕在化する(
図10参照)。
図10に示すように、開封された包装箱2は、第1外フラップ45が底面を構成し、天壁40が正面(側面)を構成するように90度回転された展示姿勢で店頭等に展示(陳列)される。なお、第1実施形態に係る包装箱1と同様に、展示姿勢となった包装箱2を上下方向に積層することができる。
【0059】
以上説明した第2実施形態に係る包装箱2によれば、封緘状態における包装箱2の外観の凹凸を少なくし、開封後には安定した積み上げを可能にする等、第1実施形態に係る包装箱1と同様の作用、効果を得ることができる。
【0060】
[第3実施形態]
次に、
図11ないし
図13を参照して、第3実施形態に係る包装箱3について説明する。
図11は包装箱3を示す斜視図である。
図12は包装箱3のブランク3Aを示す平面図である。
図13は包装箱3を展示姿勢とした状態を示す斜視図である。なお、以下の説明では、第1または第2実施形態に係る包装箱1,2と同様または対応する構成については同一の符号を付し、同様または対応する説明は省略する。
【0061】
第2実施形態に係る包装箱2は内グルータイプのラップアラウンドケースであったが、第3実施形態に係る包装箱3は外グルータイプのラップアラウンドケースである(
図11参照)。
【0062】
図12に示すように、包装箱3のブランク3Aは、第1側壁50と、底壁51と、第2側壁52と、天壁53と、継代片54と、二対の内フラップ55と、二対の外フラップ56と、を備えている。なお、以下の説明では、一対または二対ある部位については、一対または二対であることを明記した場合を除いて、1つの部位に着目して説明する。
【0063】
第1側壁50、底壁51、第2側壁52、天壁53および継代片54は、段方向に一列に並べられ、第1折曲線L1を介して連設されている。二対の内フラップ55は、第2折曲線L2を介して一対の第1~第2側壁50,52の流れ方向の両端に連設されている。二対の外フラップ56は、第2折曲線L2を介して底壁51と天壁53との流れ方向の両端に連設されている。内フラップ55および外フラップ56は略長方形状に形成され、それらの延出寸法は第1側壁50等の段方向の寸法の略半分に設定されている。
【0064】
第1壁の一例としての継代片54は、流れ方向に細長い略長方形状に形成されている。継代片54は、内壁の一例としての第1側壁50の端部外面に接着され、第1側壁50の外面から突出した凸部27を構成する。第2壁の一例としての第2側壁52および第3壁の一例としての天壁53には、第2側壁52から天壁53に亘って開口部26を開口させるための開口切断線57が形成されている。開口切断線57は、押込線25A(押込折線L11、押込面部25E)と、一対の横切断線25Bと、一対の縦切断線25Cと、凹切断線57Dと、を有している。一対の縦切断線25Cは、第2側壁52の近傍で流れ方向の外側に屈曲し、天壁53と第2側壁52との境界の両端まで延びている。凹切断線57Dは、一対の縦切断線25Cの両端を結ぶように略U字状(略V字状)に形成されている。凹切断線57Dは、ジッパーとミシン目とを組み合わせて構成されている。開口部26を開口させた開封状態で、第2側壁52に開口した開口部26の一部が凹部24を構成し、天壁53の一部は枠部28として残存する(
図13参照)。
【0065】
[包装箱の組立]
次に、包装箱3の組立手順の一例について説明する。
【0066】
包装箱3のブランク3Aには、包装箱3を組み立てる際に接着剤を付着させる位置が設定されている。具体的には、
図12に示すように、継代片54には一対の第1接着部31が設定され、各々の外フラップ56には第4接着部34が設定されている。
【0067】
作業者は、底壁51上に配置された被包装物を包み込むように、第1~第2側壁50,52と天壁40と継代片54とを第1折曲線L1で折り曲げ、第1接着部31を介して継代片54を第1側壁50の外面に接着する(
図11および
図12参照)。続いて、作業者は、二対の内フラップ55を第2折曲線L2に沿って内側に折り曲げた後、二対の外フラップ56を第2折曲線L2に沿って内側に折り曲げ、第4接着部34を介して外フラップ56を内フラップ55の外面に接着する(
図11および
図12参照)。上下に配置された一対の外フラップ56は、互いに先端を突き合わせた状態で内フラップ55に固定されている(
図11参照)。
【0068】
以上によって、包装箱3が完成する。封緘された包装箱3は、底壁51を底面とし、第1~第2側壁50,52を起立させた側面とし、天壁53を天面とした包装姿勢でパレット上に積み上げられる。なお、上記した包装箱3の組立手順は一例であり、当該組立手順は矛盾のない範囲で変更されてもよい。
【0069】
[包装箱の開封]
封緘された包装箱3は、第1実施形態に係る包装箱1の開封手順と同様の手順で開封される。つまり、包装箱3は、第2側壁52と天壁53とを開口切断線57に沿って切断し、開口部26を開口させることで開封される(
図13参照)。開封状態で、第2側壁52に凹部24が顕在化し、天壁53に枠部28が顕在化する。凹部24は、開口部26の一部であって、包装箱3の内部に連通する穴である。凹部24は、第2側壁52の左右方向の全域に亘って開口している。凹部24は、長方形と三角形とを組み合わせたような形状を成している。
図13に示すように、開封された包装箱3は、第1側壁50および継代片54(凸部27)が底面を構成し、天壁53が正面(側面)を構成するように90度回転された展示姿勢で店頭等に展示(陳列)される。上下方向に包装箱3を積み重ねる場合、上方に配置された包装箱3の凸部27は、下方に配置された包装箱3の凹部24に嵌合する。
【0070】
以上説明した第3実施形態に係る包装箱3によれば、封緘状態における包装箱3の外観の凹凸を少なくし、開封後には安定した積み上げを可能にする等、第1実施形態に係る包装箱1と同様の作用、効果を得ることができる。
【0071】
なお、第3実施形態に係る包装箱3の特徴が、第1~第2実施形態(変形例を含む。以下同じ。)に係る包装箱1~2に適用されてもよい(図示せず)。
【0072】
なお、第1~第2実施形態に係る包装箱1~2では、第1内壁14や内フラップ44が、第1壁21の一部や第1外フラップ45の一部の内面に重なるように配置されていたが、本発明はこれに限定されない。例えば、第1内壁14等は第1壁21等の全部の内面に重なるように形成されてもよい(図示せず)。また、第3実施形態に係る包装箱3では、第1側壁50が、継代片54の全部の内面に重なるように配置されていたが、これに限らず、第1側壁50が継代片54の一部の内面に重なるように形成されてもよい(図示せず)。つまり、第1内壁14等は、第1壁21等の少なくとも一部の内面に重なるように配置されていればよい。
【0073】
また、第1~第2実施形態に係る包装箱1~2では、凹部24および凸部27が略五角形状に形成されていたが、これに限らず、三角形状、四角形状、円形状(半円形状)等に形成されてもよい(図示せず)。これと同様に、第3実施形態に係る包装箱3においても、凹部24および凸部27は自由に変更してもよい。また、凹部24と凸部27とは必ずしも相補的な形状(同一形状)である必要はなく、凸部27が凹部24に嵌合可能な形状であればよい。
【0074】
また、第1~第2実施形態に係る包装箱1~2では、凹部24および凸部27が2つずつ設けられ、第3実施形態に係る包装箱3では、凹部24および凸部27が1つずつ設けられていたが、本発明はこれに限定されない。凹部24および凸部27は、少なくとも1つ設けられていればよい。
【0075】
また、第1~3実施形態に係る包装箱1~3では、封緘状態では包装姿勢とされ、開封した後に90度回転されて展示姿勢とされていたが、本発明はこれに限定されない。凸部27(または凹部24)を包装箱1~3の天面に配置し、凹部24(または凸部27)を包装箱1~3の底面に配置し、包装姿勢と展示姿勢とを同じ姿勢としてもよい(図示せず)。
【0076】
また、第1~3実施形態に係る包装箱1~3では、開口切断線25,57がミシン目とジッパーとで構成されていたが、これに限らず、例えば、半切線等、段ボールシートを切断するための線であれば如何なるものでもよい(図示せず)。また、第1~3実施形態に係る包装箱1~3では、開口切断線25,57が第3壁23や天壁40,53の一部を除いた範囲を切断していたが、第3壁23等を全部切断するように形成されてもよい(図示せず)。
【0077】
また、第1~2実施形態に係る包装箱1~2では、段潰し部16が凹部24または凸部27と並ぶ位置に形成されていたが、本発明はこれに限定されない。底片壁13や第3外フラップ47は、少なくとも凸部27等と並ぶ部分が第1壁21や第1外フラップ45等の厚みよりも薄く形成されていればよく、例えば、底片壁13等が全部段潰しされていてもよい(図示せず)。
【0078】
また、第1~第3実施形態に係る包装箱1~3は、紙製の両面段ボールシートで形成されていたが、これに限らず、片面段ボールシートや複両面段ボールシート、または厚紙、若しくは樹脂製の板(シート)等で形成されていてもよい。また、包装箱1~3は、略直方体状に形成されていたが、これに限らず、直方体の角稜線部に隅切面を設けてもよい(図示せず)。つまり、包装箱1~3は、平面または側面から見て六角形や八角形等の多角形に形成されてもよい。また、包装箱1~3の各部の寸法(幅、奥行き、高さ)や形状、段ボールシートの厚みや中しん9Aが延びる方向等は自由に変更してもよい。さらに、包装箱1~3の形式は、ツーピース構造やラップアラウンドに限らず、例えばA式等、他の形式の箱であってもよい。
【0079】
なお、上記実施形態の説明は、本発明に係る包装箱における一態様を示すものであって、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明は技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよく、特許請求の範囲は技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様を含んでいる。
【符号の説明】
【0080】
1,2,3 包装箱
10 箱本体
13 底片壁(片壁)
14 第1内壁(内壁)
20 蓋体
21 第1壁
22 第2壁
23 第3壁
24 凹部
25,57 開口切断線
26 開口部
27 凸部
40 天壁(第3壁)
44 内フラップ(内壁)
45 第1外フラップ(第1壁)
46 第2外フラップ(第2壁)
47 第3外フラップ(片壁)
50 第1側壁(内壁)
52 第2側壁(第2壁)
53 天壁(第3壁)
54 継代片(第1壁)