(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
F24C 15/14 20060101AFI20231226BHJP
F24C 15/02 20060101ALI20231226BHJP
F24C 7/02 20060101ALN20231226BHJP
【FI】
F24C15/14 B
F24C15/02 F
F24C7/02 501G
F24C7/02 521A
(21)【出願番号】P 2020163945
(22)【出願日】2020-09-29
【審査請求日】2023-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】丸尾 和広
【審査官】宮部 菜苗
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-093091(JP,A)
【文献】国際公開第2018/029873(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0300477(US,A1)
【文献】中国実用新案第211269979(CN,U)
【文献】中国実用新案第210035605(CN,U)
【文献】特開2003-151756(JP,A)
【文献】実開昭52-115466(JP,U)
【文献】特開2011-163724(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24C 7/00、15/00
A47J 27/00、37/06
H05B 3/00、6/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に加熱室を有する調理器本体部と、
前記調理器本体部の前面側に設けられる前扉であって、前記加熱室の開口部を当該前扉の下端部側を軸として開閉可能に塞ぐ前扉と、
前記調理器本体部の下方に設けられた水受部材と、を備え、
前記前扉は、
前記調理器本体部と対向する内側の下部に、前記前扉の内面の結露水を前記水受部材へ導く第1水ガイド部が設けられ、
前記調理器本体部と対向する内側の左右両側の少なくとも一方に、前記第1水ガイド部に前記結露水を導く第2水ガイド部が設けられており、
前記第2水ガイド部は、前記前扉の側方端側から前記第1水ガイド部側に延設された突起部を含み、
前記突起部は、前記第1水ガイド部側に向けて下方に傾斜しており、
前記突起部は、
前記第2水ガイド部の各々において複数個形成されている
ことを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
内部に加熱室を有する調理器本体部と、
前記調理器本体部の前面側に設けられる前扉であって、前記加熱室の開口部を当該前扉の下端部側を軸として開閉可能に塞ぐ前扉と、
前記調理器本体部の下方に設けられた水受部材と、を備え、
前記前扉は、
前記調理器本体部と対向する内側の下部に、前記前扉の内面の結露水を前記水受部材へ導く第1水ガイド部が設けられ、
前記調理器本体部と対向する内側の左右両側の少なくとも一方に、前記第1水ガイド部に前記結露水を導く第2水ガイド部が設けられており、
前記第2水ガイド部は、前記前扉の側方端側から前記第1水ガイド部側に延設された突起部を含み、
前記突起部は、前記第1水ガイド部側に向けて下方に傾斜しており、
前記突起部は、複数個形成されており、
前記複数の突起部は、それぞれ所定の間隔で平行に配置されていることを特徴とす
る加熱調理器。
【請求項3】
内部に加熱室を有する調理器本体部と、
前記調理器本体部の前面側に設けられる前扉であって、前記加熱室の開口部を当該前扉の下端部側を軸として開閉可能に塞ぐ前扉と、
前記調理器本体部の下方に設けられた水受部材と、を備え、
前記前扉は、
前記調理器本体部と対向する内側の下部に、前記前扉の内面の結露水を前記水受部材へ導く第1水ガイド部が設けられ、
前記調理器本体部と対向する内側の左右両側の少なくとも一方に、前記第1水ガイド部に前記結露水を導く第2水ガイド部が設けられており、
前記第2水ガイド部は、前記前扉の側方端側から前記第1水ガイド部側に延設された突起部を含み、
前記突起部は、前記第1水ガイド部側に向けて下方に傾斜しており、
前記突起部は、複数個形成されており、
前記複数の突起部は、前記前扉の上側のもの程、傾斜角度が急になるように配置されていることを特徴とす
る加熱調理器。
【請求項4】
前記調理器本体部は、前記前扉を回転させる回転機構を有し、
前記前扉の閉状態にて、前記第2水ガイド部は、前記回転機構の上方に位置する請求項1から
3のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【請求項5】
前記前扉は、ドアフレームと、前記ドアフレームより前記加熱室側に配置されているドアパネルとを有し、
前記第1水ガイド部および前記第2水ガイド部は、前記ドアフレームの内面に形成されている請求項1から
4のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品を加熱調理する加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
加熱調理器では、水分を含む食品を加熱調理した場合に食品から水蒸気が発生する。発生した水蒸気は加熱室内において結露する。加熱室内での結露の量は、水蒸気を使用する加熱調理器おいて特に顕著となる。このため、加熱調理器では、調理終了後等に、結露により生じた水滴(結露水)が調理器本体部の前面に位置する前板部や前扉の内面を伝って加熱調理器の下方へ落下する。そこで、加熱調理器では、特許文献1に開示されているように、前扉および前板部の下方に水受容器を配置し、落下する水滴を水受容器によって受けるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のような従来技術では、前扉および前板部の下方に配置された水受容器に、当該前扉および前板部に付着した結露水が全て回収できずに、一部が加熱調理器を設置している設置台に漏れる場合がある。
【0005】
本発明の一態様は、結露水を装置の設置面に漏らさない加熱調理器を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る加熱調理器は、内部に加熱室を有する調理器本体部と、前記調理器本体部の前面側に設けられる前扉であって、前記加熱室の開口部を当該前扉の下端部側を軸として開閉可能に塞ぐ前扉と、前記調理器本体部の下方に設けられた水受部材と、を備え、前記前扉は、前記調理器本体部と対向する内側の下部に、前記前扉の内面の結露水を前記水受部材へ導く第1水ガイド部が設けられ、前記調理器本体部と対向する内側の左右両側の少なくとも一方に、前記第1水ガイド部に前記結露水を導く第2水ガイド部が設けられており、前記第2水ガイド部は、前記前扉の側方端側から前記第1水ガイド部側に延設された突起部を含み、前記突起部は、前記第1水ガイド部側に向けて下方に傾斜しており、前記突起部は、前記第水2ガイド部の各々において複数個形成されていることを特徴とする。
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る加熱調理器は、内部に加熱室を有する調理器本体部と、前記調理器本体部の前面側に設けられる前扉であって、前記加熱室の開口部を当該前扉の下端部側を軸として開閉可能に塞ぐ前扉と、前記調理器本体部の下方に設けられた水受部材と、を備え、前記前扉は、前記調理器本体部と対向する内側の下部に、前記前扉の内面の結露水を前記水受部材へ導く第1水ガイド部が設けられ、前記調理器本体部と対向する内側の左右両側の少なくとも一方に、前記第1水ガイド部に前記結露水を導く第2水ガイド部が設けられており、前記第2水ガイド部は、前記前扉の側方端側から前記第1水ガイド部側に延設された突起部を含み、前記突起部は、前記第1水ガイド部側に向けて下方に傾斜しており、前記突起部は、複数個形成されており、前記複数の突起部は、それぞれ所定の間隔で平行に配置されていることを特徴とする。
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る加熱調理器は、内部に加熱室を有する調理器本体部と、前記調理器本体部の前面側に設けられる前扉であって、前記加熱室の開口部を当該前扉の下端部側を軸として開閉可能に塞ぐ前扉と、前記調理器本体部の下方に設けられた水受部材と、を備え、前記前扉は、前記調理器本体部と対向する内側の下部に、前記前扉の内面の結露水を前記水受部材へ導く第1水ガイド部が設けられ、前記調理器本体部と対向する内側の左右両側の少なくとも一方に、前記第1水ガイド部に前記結露水を導く第2水ガイド部が設けられており、前記第2水ガイド部は、前記前扉の側方端側から前記第1水ガイド部側に延設された突起部を含み、前記突起部は、前記第1水ガイド部側に向けて下方に傾斜しており、前記突起部は、複数個形成されており、前記複数の突起部は、前記前扉の上側のもの程、傾斜角度が急になるように配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、結露水を装置の設置面に漏らさない加熱調理器を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態の加熱調理器における、前扉が閉状態である場合の正面図である。
【
図2】
図1に示す切断線Aにおける矢視断面図である。
【
図3】本発明の一実施形態の加熱調理器における、前扉が開状態である場合の正面図である。
【
図4】
図3に示す切断線Bにおける矢視断面図である。
【
図5】
図2に示すX部分を拡大した拡大断面図である。
【
図6】
図1に示す加熱調理器が備える前扉を構成するドアフレームの斜視図である。
【
図7】
図6に示すドアフレームに結露水回収のためのガイド部を設けていない例を示す正面図である。
【
図8】
図6に示すドアフレームに結露水回収のためのガイド部を設けた例を示す正面図である。
【
図9】
図8に示す一方のガイド部を拡大した拡大図である。
【
図10】
図9に示すガイド部をさらに拡大した拡大図である。
【
図11】
図8に示す他方のガイド部を拡大した拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔実施形態1〕
図1は、本実施形態の加熱調理器1における、前扉14が閉状態である場合の正面図である。
図2は、
図1に示す切断線Aにおける矢視断面図である。
図3は、本実施形態の加熱調理器1における、前扉14が開状態である場合の正面図である。
図4は、
図3に示す切断線Bにおける矢視断面図である。
図5は、
図2に示すX部分を拡大した拡大断面図である。
【0010】
(加熱調理器1の概要)
本実施形態では、本発明の加熱調理器をオーブントースタに適用した例について説明する。
図1から
図5に示すように、加熱調理器1は、加熱調理器1の調理器本体部10を構成する外壁11の内側に内壁12を有し、内壁12の内部が加熱室13となっている。内壁12は、左右の側壁21、後壁22、底壁23および天壁25を有する。以下においては、加熱調理器1において後壁22が位置する側を後方、その反対側を前方、前方に向かって左側を左方、右側を右方として説明する。
【0011】
加熱室13の前面部分には、前面枠部24が設けられている。前面枠部24の内面には、左右の側壁21、後壁22、底壁23、天壁25および外壁11の前端縁部が当接している。前面枠部24には、加熱室13に対する食品の出し入れを可能とする開口部24aが形成されている。
【0012】
前面枠部24には、開口部24aを開閉する前扉14が開閉自在に設けられている。前扉14は、下端部側を中心として上下に回転するように、前面枠部24の下部に取り付けられている。前扉14は、閉状態において、前面枠部24における開口部24aおよび開口部24aの周囲部分を覆い、開口部24aを閉塞するようになっている。前扉14の中央部には、覗窓14aが耐熱ガラスによって形成されている。前扉14の後方側の左右両側の位置には、フック状の一対の係合部14bが設けられている。
【0013】
加熱室13の内部には、調理する食品が配置される食品載置部(焼き網16および/または調理用トレイ17)が設けられている。焼き網16は、左右の側壁21において前後方向に水平に延びるように設けられた案内部15によって案内される。調理用トレイ17は、例えば焼き網16の上に配置され得る。
【0014】
焼き網16の前縁部における左右両側の位置には、一対の被係合部16aが設けられている。焼き網16が加熱室13の内部に配置されるとき、一対の被係合部16aは、それぞれ前扉14の一対の係合部14bに係合される。これにより、焼き網16は、前扉14の開閉に連動して加熱室13内で前後に移動する。
【0015】
調理器本体部10の下方には、トレイ形状の排出物受部材(水受部材)31が設けられている。排出物受部材31は、結露水およびパンくず等の排出物を受け取る。調理器本体部10の下面には、排出物受部材保持部32が設けられている。
【0016】
排出物受部材保持部32は、排出物受部材31を調理器本体部10の下方に配置した状態に保持する。具体的には、排出物受部材保持部32は、調理器本体部10の前後方向に延びる板状部材にて形成されている。排出物受部材保持部32の上面と調理器本体部10の底面との間の空間は、排出物受部材31の配置部すなわち収納位置となっている。
【0017】
前扉14は、ドアフレーム(前扉14の筐体)41と、ドアパネル121と、透明板122とを有する。ドアフレーム41は、後面41d(ドアフレームの内面)が開放された前後方向に薄い箱形状の筐体である。ドアフレーム41は、射出成型金型に樹脂材料を流し込むことで作製される樹脂成形品より構成されている。
【0018】
ドアフレーム41の後面41dには、アルミニウム等の金属からなるドアパネル121(
図5参照)が取り付けられている。前扉14の閉状態において、このドアパネル121が前面枠部24と当接する。また、ドアフレーム41の前面には、透明板122が前面全体を覆うように取り付けられている。
【0019】
加熱室13内の上部には、左右方向へ延びる2本の上部ヒータ51が加熱室13の前後の位置に平行に設けられている。同様に加熱室13内の下部には、左右方向へ延びる2本の下部ヒータ52が加熱室13の前後の位置に平行に設けられている。上部ヒータ51および下部ヒータ52は、食品載置部に配置された食品を加熱調理する。
【0020】
後壁22と外壁11との間には、過熱水蒸気発生装置(過熱水蒸気発生部)61が設けられている。過熱水蒸気発生装置61は、過熱水蒸気を発生し、発生した過熱水蒸気を水蒸気吹出口62から加熱室13内へ吹き出すようになっている。このために、後壁22には、水蒸気吹出口62の位置に対応した位置に開口部が形成されている。
【0021】
(前扉14のドアフレーム41の概要)
図6は、
図1に示す加熱調理器1が備える前扉14を構成するドアフレーム41の斜視図である。
図6に示すように、ドアフレーム41は、調理器本体部10と対向する内側の下端に、ドアフレーム41と一体に成型された第1水ガイド部41aを備える。また、ドアフレーム41には、覗窓14aに対応する位置に開口41bが設けられている。
【0022】
第1水ガイド部41aは、前扉14の開状態にて、前扉14の内面の結露水を受け取って貯水する。第1水ガイド部41aは、前扉14の閉状態にて、貯留した結露水を排出物受部材31内へ導く。第1水ガイド部41aは、結露水を受け取って貯留するために樋形状と、結露水を排出物受部材31内へ導く傾斜とを有する。
【0023】
また、結露水は、加熱室13の開口幅(加熱室13の左右方向の寸法)にわたって発生
する。そのため、第1水ガイド部41aは、左右方向に、加熱室13の開口幅に対応する長さを有していることが好ましい。
【0024】
図6に示すように、第1水ガイド部41aは、箱形状のドアフレーム41における、下壁41-1と後面41dの下部とで結露水を貯留する樋形状を構成している。そして、下壁41-1の上面に結露水を排出物受部材31内へ導く傾斜41-2が設けられている。また、ドアフレーム41には、第1水ガイド部41aを仕切る複数の仕切り板が設けられている。
【0025】
さらに、第1水ガイド部41aの先端(下壁41-1の先端)は、排出物受部材31内の前端よりも後方に位置している(
図5参照)。これにより、第1水ガイド部41aに受け取られ、傾斜41-2を伝って第1水ガイド部41aより排出物受部材31内へ導かれて滴り落ちる水滴は、排出物受部材31内に落下する。
【0026】
ドアフレーム41は、調理器本体部10と対向する内側の左右両端部に、ドアヒンジ410を備える。ドアヒンジ410は、ドアフレーム41の上下方向中央部より下方に、前面枠部24に設けられるドア継手(図示せず)と結合するヒンジ部410aを有する。また、ドアヒンジ410は、その下端部において、調理器本体部10に設けられる回転機構(図示せず)を軸止する回転軸410bを有する。ヒンジ部410aがドア継手に結合し、回転軸410bが回転機構を軸止することにより、前扉14は、調理器本体部10に回転自在に取り付けられる。すなわち、前扉14は、下端部側を軸として開閉する。
【0027】
(第2水ガイド部42および43の詳細)
図7は、ドアフレーム41に結露水回収のためのガイド部を設けていない例を示す正面図である。
図8は、ドアフレーム41に結露水回収のためのガイド部を設けた例を示す正面図である。
図7および
図8に示すように、ドアフレーム41は、下壁41-1の左右両側において、回転機構および回転軸410bを設置するためのフレーム開口部41cを有する。フレーム開口部41cは、下壁41-1の左右両側を切り欠くように形成される。すなわち、第1水ガイド部41aは、一対の回転軸410bの間(すなわち一対の回転機構の間)に設けられることとなる。これにより、開状態の前扉14における下壁41-1が前面枠部24の下部と接触することなく、前扉14の開閉動作を円滑に行うことができる。
【0028】
図7に示す一例においては、ドアフレーム41の左右両側において結露水回収のためのガイド部(後述する第2水ガイド部42および43)が設けられていない。そのため、前扉14の開状態にて前扉14の内面を伝って流れ落ちる結露水のうち、ドアフレーム41の左右両側から流れ落ちる結露水を第1水ガイド部41aが受け取ることができない。従って、ドアフレーム41の左右両側から流れ落ちる結露水は、フレーム開口部41cを介して加熱調理器1の設置面に漏れることになる。
【0029】
図8に示す一例においては、ドアフレーム41は、調理器本体部10と対向する内側(後面41d)の左右両側に、結露水を第1水ガイド部41aに導く第2水ガイド部42および43(左側第2水ガイド部42および右側第2水ガイド部43)を備える。これにより、第2水ガイド部42および43は、ドアフレーム41の左右両側から流れ落ちる結露水を受け取り、第1水ガイド部41aに導くことができる。これにより、ドアフレーム41の左右両側から流れ落ちる結露水が加熱調理器1の設置面に漏れることはない。
【0030】
また、第2水ガイド部42および43は、前扉14の閉状態にて、前扉14を回転させる回転機構(および回転軸410b)の上方に位置する。これにより、回転機構を設置するためにドアフレーム41に形成されるフレーム開口部41cを介して、結露水が加熱調理器1の設置面に漏れるのを防ぐことができる。
【0031】
第2水ガイド部42および43は、後面41dから調理器本体部10の前面方向に突出した、それぞれ1つ以上の突起部42aおよび43aを含んでいる。突起部42aおよび43aは、ドアフレーム41の左右壁41fの内面から、複数の仕切り板のうち左右両側に位置する仕切り板41eの左右壁41fに対向する面にかけて設けられる。すなわち、突起部42aおよび43aは、ドアフレーム41の左右端側から第1水ガイド部41a側に延設される。また、第2水ガイド部42および43は、第1水ガイド部41a側に向けて下方に傾斜している。突起部42aおよび43aの形成面である後面41dからの高さは、一例として、約1mmである。また、突起部42aおよび43aの材質は、好ましくは樹脂である。
【0032】
突起部42aおよび43aは、前扉14の内面を伝って流れ落ちる結露水を受け取る。そして、突起部42aおよび43aは、結露水の重力および表面張力により結露水を第1水ガイド部41a側に向けて導く。
【0033】
これにより、第2水ガイド部42および43は、ドアフレーム41の左右両側から流れ落ちる結露水を突起部という簡単な構成で第1水ガイド部41aに導くことができる。つまり、第2水ガイド部42および43は、ドアフレーム41の結露水が付着する面(後面41d)に突起部を設けるという簡単な構成で実現できる。従って、結露水を排出物受部材31に導くために複雑な構造のガイドを前扉14に設けずに済むので、複雑な構造のガイドを設けることによる前扉14が厚肉になるのを防止することができる。
【0034】
また、第2水ガイド部42および43は、複数の突起部42aおよび43aを含んでいることが好ましい。複数の突起部42aおよび43aが形成されていることで、一つの突起部で導きれなかった結露水を次の突起部によって導くことができる。すなわち、最も上部に設けられた突起部から漏れた結露水は、当該突起部の下方に設けられた突起部により、第1水ガイド部41aに導かれる。このように、複数の突起部42aおよび43aを設けることにより、第2水ガイド部42および43によって結露水を確実に第1水ガイド部41aに導くことができる。従って、突起部42aおよび43aの個数は多ければ、より確実に結露水を第1水ガイド部41aに導くことができる。ドアフレーム41の左右両側の下部のスペースに応じて、適切な個数の突起部42aおよび43aが設けられる。
【0035】
なお、複数の突起部42aおよび43aの後面41dからの高さは、略均一であってもよいし、下方に設けられた突起部ほど高く設けられてもよい。
【0036】
図9は、第2水ガイド部42および43のうち一方のガイド部(
図8における左側第2水ガイド部42)を拡大した拡大図である。
図10は、左側第2水ガイド部42をさらに拡大した拡大図である。
図9および
図10に示すように、複数の突起部42aは、それぞれ所定の間隔で平行に配置されている。このような構成により、複数の突起部42aの間を流れる結露水を、水の毛細管現象を利用し、効率的に第1水ガイド部41aに導くことができる。
【0037】
図11は、第2水ガイド部42および43のうち他方のガイド部(
図8における右側第2水ガイド部43)を拡大した拡大図である。
図11に示すように、複数の突起部43aは、ドアフレーム41の上側のもの程、傾斜角度が急になるように配置されている。このような構成により、結露水を効率的に第1水ガイド部41a側に向けて導くことができる。
【0038】
〔変形例〕
図8に示す例では、第2水ガイド部として2種類のものを同時に設けた例について説明したが、これに限定されるものではなく、一方の種類の第2水ガイド部のみを設けてもよい。すなわち、
図8に示す例では、ドアフレーム41の左側に、複数の突起部42aがそれぞれ所定の間隔で平行に配置された左側第2水ガイド部42を設け、ドアフレーム41の右側に、複数の突起部43aがドアフレーム41の上側のもの程、傾斜角度が急になるように配置された右側第2水ガイド部43を設けた例について説明した。しかしながら、この例に限定されるものでなく、ドアフレーム41の左右側に、複数の突起部42aがそれぞれ所定の間隔で平行に配置された左側第2水ガイド部42と同じ構成の第2水ガイド部をそれぞれ設けてもよいし、ドアフレーム41の左右側に、複数の突起部43aがドアフレーム41の上側のもの程、傾斜角度が急になるように配置された右側第2水ガイド部43と同じ構成の第2水ガイド部をそれぞれ設けてもよい。
【0039】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る加熱調理器は、内部に加熱室を有する調理器本体部と、前記調理器本体部の前面側に設けられる前扉であって、前記加熱室の開口部を当該前扉の下端部側を軸として開閉可能に塞ぐ前扉と、前記調理器本体部の下方に設けられた水受部材と、を備え、前記前扉は、前記調理器本体部と対向する内側の下部に、前記前扉の開状態にて前記前扉の内面の結露水を受け取って、前記前扉の閉状態にて前記結露水を前記水受部材へ導く第1水ガイド部が設けられ、前記調理器本体部と対向する内側の左右両側の少なくとも一方に、前記第1水ガイド部に前記結露水を導く第2水ガイド部が設けられていることを特徴とする。
【0040】
一般に、前扉の下端部側を中心として開閉する場合、前扉の開閉動作を円滑に行うために、前扉の下部に設けられた第1水ガイド部の横幅は、前扉の横幅と同じか少し短くする必要がある。このため、前扉の開状態にて前記前扉の内面を伝って流れ落ちる結露水のうち、前扉の左右両側から流れ落ちる結露水を第1水ガイド部が受け取ることができずに、結露水が加熱調理器の設置面に漏れることになる。
【0041】
従って、上記構成のように、前記調理器本体部と対向する内側の左右両側の少なくとも一方の下方に、前記第1水ガイド部に前記結露水を導く第2水ガイド部が設けることで、前扉の左右両側から流れ落ちる結露水を第2水ガイド部が受け取ることができるので、結露水が加熱調理器の設置面に漏れることはない。
【0042】
本発明の態様2に係る加熱調理器は、上記態様1において、前記第2水ガイド部は、前記前扉の側方端側から前記第1水ガイド部側に延設された突起部を含み、前記突起部は、前記第1水ガイド部側に向けて下方に傾斜していてもよい。
【0043】
上記の構成によれば、第2水ガイド部に含まれる、前扉に設けられた突起部は、前扉の左右端側から第1水ガイド部側に延設され、第1水ガイド部側に向けて下方に傾斜されているので、突起部という簡単な構成で結露水を第1水ガイド部に導くことができる。つまり、第2水ガイド部は、前扉の結露水が付着する面に突起部を含むという簡単な構成で実現できる。従って、結露水を水受部材に導くために複雑な構造のガイドを前扉に設けずに済むので、複雑な構造のガイドを設けることによる前扉が厚肉になるのを防止することができる。
【0044】
本発明の態様3に係る加熱調理器の突起部は、上記態様2において、複数個形成されていてもよい。上記構成によれば、突起部が複数個形成されていることで、一つの突起部で導きれなかった結露水を次の突起部によって導くことができる。このように、突起部を複数個設けることにより、第2水ガイド部によって結露水を確実に第1水ガイド部に導くことができる。従って、突起部の個数は多ければ、より確実に結露水を第1水ガイド部に導くことができる。
【0045】
本発明の態様4に係る加熱調理器の複数の突起部は、上記態様3において、それぞれ所定の間隔で平行に配置されていてもよい。上記構成によれば、複数の突起部の間を流れる結露水を、水の毛細管現象を利用し、効率的に第1水ガイド部に導くことができる。
【0046】
本発明の態様5に係る加熱調理器の複数の突起部は、上記態様3において、前記前扉の上側のもの程、傾斜角度が急になるように配置されていてもよい。上記構成によれば、結露水を効率的に第1水ガイド部側に向けて導くことができる。
【0047】
本発明の態様6に係る加熱調理器は、上記態様1から5において、前記調理器本体部は、前記前扉を回転させる回転機構を有し、前記前扉の閉状態にて、前記第2水ガイド部は、前記回転機構の上方に位置してもよい。上記構成によれば、回転機構を設置するために前扉に形成される開口部を介して、結露水が加熱調理器の設置面に漏れるのを防ぐことができる。
【0048】
本発明の態様7に係る加熱調理器は、上記態様1から6において、前記前扉は、ドアフレームと、前記ドアフレームより前記加熱室側に配置されているドアパネルとを有し、前記第1水ガイド部および前記第2水ガイド部は、前記ドアフレームの内面に形成されていてもよい。上記構成によれば、ドアフレームの内面に付着した結露水を第2水ガイド部が受け取ることができる。
【0049】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0050】
1 加熱調理器
10 調理器本体部
14 前扉
31 排出物受部材(水受部材)
41 ドアフレーム(前扉の筐体)
41a 第1水ガイド部
41d 後面
41f 左右壁
42、43 第2水ガイド部
42a、43a 突起部
121 ドアパネル
410a ヒンジ部
410b 回転軸