(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】ローラーヘッド押出機におけるサイドガイドユニット
(51)【国際特許分類】
B29C 48/35 20190101AFI20231226BHJP
【FI】
B29C48/35
(21)【出願番号】P 2020176143
(22)【出願日】2020-10-20
【審査請求日】2022-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100214961
【氏名又は名称】中村 洋三
(72)【発明者】
【氏名】濱田 光
(72)【発明者】
【氏名】山田 則文
【審査官】関口 貴夫
(56)【参考文献】
【文献】実開昭54-089377(JP,U)
【文献】実開平04-011616(JP,U)
【文献】特開平07-178792(JP,A)
【文献】特開平08-001697(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 39/00 - 39/44
43/00 - 43/58
48/00 - 48/96
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スクリューと、当該スクリューを収容し、材料の出口が形成された出口側端部を有するケーシングと、前記出口に対向するように前記出口側端部の前方にそれぞれ配置され、互いに平行な回転軸の回りに回転可能な上ローラー及び下ローラーと、を備えるローラーヘッド押出機に設けられるサイドガイドユニットであって、
前記ケーシングの前記出口側端部と前記上ローラー及び前記下ローラーとの間において前記回転軸に平行な幅方向に互いに間隔をおいて対向するように配置され、前記出口から押し出された材料を前記上ローラーと前記下ローラーとの間の隙間に案内するように前記出口側端部から前方にそれぞれ延びる一対のサイドガイドを備え、
前記一対のサイドガイドのそれぞれは、前記ケーシングの前記出口側端部に接する基端面と、前記上ローラーの外周面に対向して当該外周面に沿って湾曲する上湾曲面と、前記下ローラーの外周面に対向して当該外周面に沿って湾曲する下湾曲面と、前記幅方向の内側に位置する内側面であって前記上湾曲面と前記下湾曲面とをつなぐ内側面と、前記上湾曲面と前記内側面との境界である上稜線と、前記下湾曲面と前記内側面との境界である下稜線と、前記基端面と前記内側面との境界である基端稜線と、を有し、
前記上稜線及び前記下稜線のそれぞれは、前記基端面に最も近い基端と、最も前側に位置する先端と、前記基端と前記先端との間に位置するとともに前記先端よりも前記幅方向の内側に位置する中間部位と、を有し、前記基端から前記中間部位までの部分である上流側稜線部と、前記中間部位から前記先端までの部分である下流側稜線部と、を含み、
前記上稜線及び前記下稜線のそれぞれの前記先端が前記上稜線及び前記下稜線において前記幅方向の最も外側に位置するように前記上稜線及び前記下稜線のそれぞれの前記下流側稜線部は前記中間部位から前記先端に向かうにつれて前記幅方向の外側に位置するような形状を有し、
前記一対のサイドガイドのそれぞれは、前記内側面に形成され、前記幅方向の外側に凹む溝を有し、前記溝は、前記上稜線及び前記下稜線のそれぞれの前記中間部位よりも後方に位置する溝後端と、前記上稜線及び前記下稜線のそれぞれの前記中間部位よりも前方で前記幅方向の外側に位置する溝前端と、前記溝後端から前記溝前端まで連続する溝底と、を有し、前記溝は、前記出口から押し出された材料の一部が前記上稜線の前記中間部位及び前記下稜線の前記中間部位をバイパスしてこれらの中間部位よりも前記幅方向の外側の領域を通って、前記上稜線の前記先端と前記下稜線の前記先端との間の部分である前記内側面の最も前側の最前部に供給されることを許容するように構成される、サイドガイドユニット。
【請求項2】
請求項1に記載のサイドガイドユニットであって、
前記基端稜線は、前記幅方向の最も外側に位置する部位である基端最外部位を有し、
前記上稜線の前記上流側稜線部は、前記基端最外部位と前記上稜線の前記中間部位とを結ぶ直線よりも前記幅方向の内側に位置し、
前記下稜線の前記上流側稜線部は、前記基端最外部位と前記下稜線の前記中間部位とを結ぶ直線よりも前記幅方向の内側に位置する、サイドガイドユニット。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のサイドガイドユニットであって、
前記溝の前記溝後端は、前記基端稜線上に位置する、サイドガイドユニット。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1項に記載のサイドガイドユニットであって、
前記溝の前記溝前端は、前記上稜線及び前記下稜線のそれぞれの前記上流側稜線部よりも前記幅方向の外側に位置する、サイドガイドユニット。
【請求項5】
請求項1~4の何れか1項に記載のサイドガイドユニットであって、
前記上稜線の前記下流側稜線部は、前記上稜線の前後方向の中央よりも前方に位置し、
前記下稜線の前記下流側稜線部は、前記下稜線の前後方向の中央よりも前方に位置する、サイドガイドユニット。
【請求項6】
請求項1~5の何れか1項に記載のサイドガイドユニットであって、
前記上稜線の前記上流側稜線部は、前記基端と前記中間部位との間において前記幅方向の最も外側に位置する部位である上側最外部位を有し、前記基端から前記上側最外部位に向かうにつれて前記幅方向の外側に位置し、前記上側最外部位から前記中間部位に向かうにつれて前記幅方向の内側に位置するような形状を有し、前記上稜線の前記先端は、前記上側最外部位よりも前記幅方向の外側に位置し、
前記下稜線の前記上流側稜線部は、前記基端と前記中間部位との間において前記幅方向の最も外側に位置する部位である下側最外部位を有し、前記基端から前記下側最外部位に向かうにつれて前記幅方向の外側に位置し、前記下側最外部位から前記中間部位に向かうにつれて前記幅方向の内側に位置するような形状を有し、前記下稜線の前記先端は、前記下側最外部位よりも前記幅方向の外側に位置する、サイドガイドユニット。
【請求項7】
請求項1~5の何れか1項に記載のサイドガイドユニットであって、
前記上稜線の前記上流側稜線部は、前記基端と前記中間部位との間において前記幅方向の最も内側に位置する部位である上側最内部位を有し、前記上側最内部位から前記中間部位に向かうにつれて前記幅方向の外側に位置するような形状を有し、
前記下稜線の前記上流側稜線部は、前記基端と前記中間部位との間において前記幅方向の最も内側に位置する部位である下側最内部位を有し、前記下側最内部位から前記中間部位に向かうにつれて前記幅方向の外側に位置するような形状を有する、サイドガイドユニット。
【請求項8】
請求項1~7の何れか1項に記載のサイドガイドユニットであって、
前記溝の前記溝底は、前記上稜線及び前記下稜線のそれぞれの前記上流側稜線部よりも前記幅方向の外側に位置する、サイドガイドユニット。
【請求項9】
請求項1~8の何れか1項に記載のサイドガイドユニットであって、
前記一対のサイドガイドの前記基端稜線は、前記ケーシングの前記出口の両サイドの形状に沿って前記幅方向の外側に凹むように湾曲する湾曲稜線部を有する、サイドガイドユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、材料からシートを成形するローラーヘッド押出機におけるサイドガイドユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばゴムなどの材料からシートを成形するローラーヘッド押出機が知られている(例えば特許文献1,2)。このローラーヘッド押出機は、スクリューと、当該スクリューを収容し、材料の出口が形成された出口側端部を有するケーシングと、出口に対向するようにそれぞれ配置され、互いに平行な回転軸の回りに回転可能な上ローラー及び下ローラーと、一対のサイドガイドと、を備える。一対のサイドガイドは、ケーシングの出口側端部と上ローラー及び下ローラーとの間において前記回転軸に平行な幅方向に互いに間隔をおいて対向するように配置される。一対のサイドガイドは、出口から押し出された材料を上ローラーと下ローラーとの間の隙間に案内するように出口側端部から前方にそれぞれ延びる。
【0003】
前記ローラーヘッド押出機では、ケーシングの出口から押し出された材料の大半は、一対のサイドガイドによって上ローラーと下ローラーとの間の隙間に案内されるが、ケーシングの出口から押し出された材料の一部は、例えば特許文献1の
図8に示されているように、サイドガイドと上ローラー又は下ローラーとの間の隙間(サイド隙間)に入り込む。前記サイド隙間に入り込んだ材料は、回転する上ローラー又は下ローラーによって撚られ、その結果、例えば特許文献1の
図8及び
図9に示されているように、成形後のシートにおける幅方向の両サイドには複数のこより状の突起がシートの長手方向に間隔をおいて形成される。
【0004】
特許文献1の左右のサイドガイド板は、シートの両サイドにおける複数の突起の発生を防止するために次のような特徴を有する。すなわち、当該左右のサイドガイド板の間隔は、上流側では所望するシート成形物の幅よりもやや小さく、カレンダーロールに被成形材料が送り込まれる直前で所望するシート成形物の幅と略同じになるように拡大する。特許文献1は、左右のサイドガイド板の間隔が小さい部分と上ロールとの間においてこより状の突起が形成されること、サイドガイド板の先端部まで左右のサイドガイド板の間隔が拡大する部分に沿って被成形材料が広がること、その結果、突起が当該被成形材料によって覆い被されて吸収されること、を開示している。
【0005】
特許文献2の可塑物シートの幅決めガイド装置では、左右のガイド板の間隔は、当該左右のガイド板が押出機先端と接する箇所では押出機先端の開口幅とほぼ同じであり、前記押出機先端を離れるにしたがい徐々に小さくなり、カレンダーロール入口部における前記間隔よりも小さくなった後、徐々に広がり、カレンダーロール入口部では押出機先端の開口幅と同一又はそれ以下となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】実開平4-11616号公報
【文献】特開平8-1697号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示の技術では、左右のサイドガイド板の間隔が小さい部分よりも下流側において前記間隔が拡大するので、拡大部分に流れ込む材料の流量が十分に確保できず、間隔が拡大する部分に沿って幅方向の外側に材料が十分に広がらない場合がある。この場合、成形途中のシートにおける幅方向の両サイドに形成される複数の突起が成形後のシートに残存することを抑制する効果は十分に得られない。このことは、特許文献2の技術においても同様である。
【0008】
本開示は、上記のような問題を踏まえてなされたものであり、成形途中のシートにおける幅方向の両サイドに形成される複数の突起が成形後のシートに残存することを効果的に抑制することができるサイドガイドユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示に係るサイドガイドユニットは、スクリューと、当該スクリューを収容し、材料の出口が形成された出口側端部を有するケーシングと、前記出口に対向するように前記出口側端部の前方にそれぞれ配置され、互いに平行な回転軸の回りに回転可能な上ローラー及び下ローラーと、を備えるローラーヘッド押出機に設けられる。このサイドガイドユニットは、前記ケーシングの前記出口側端部と前記上ローラー及び前記下ローラーとの間において前記回転軸に平行な幅方向に互いに間隔をおいて対向するように配置され、前記出口から押し出された材料を前記上ローラーと前記下ローラーとの間の隙間に案内するように前記出口側端部から前方にそれぞれ延びる一対のサイドガイドを備え、前記一対のサイドガイドのそれぞれは、前記ケーシングの前記出口側端部に接する基端面と、前記上ローラーの外周面に対向して当該外周面に沿って湾曲する上湾曲面と、前記下ローラーの外周面に対向して当該外周面に沿って湾曲する下湾曲面と、前記幅方向の内側に位置する内側面であって前記上湾曲面と前記下湾曲面とをつなぐ内側面と、前記上湾曲面と前記内側面との境界である上稜線と、前記下湾曲面と前記内側面との境界である下稜線と、前記基端面と前記内側面との境界である基端稜線と、を有し、前記上稜線及び前記下稜線のそれぞれは、前記基端面に最も近い基端と、最も前側に位置する先端と、前記基端と前記先端との間に位置するとともに前記先端よりも前記幅方向の内側に位置する中間部位と、を有し、前記基端から前記中間部位までの部分である上流側稜線部と、前記中間部位から前記先端までの部分である下流側稜線部と、を含み、前記上稜線及び前記下稜線のそれぞれの前記先端が前記上稜線及び前記下稜線において前記幅方向の最も外側に位置するように前記上稜線及び前記下稜線のそれぞれの前記下流側稜線部は前記中間部位から前記先端に向かうにつれて前記幅方向の外側に位置するような形状を有し、前記一対のサイドガイドのそれぞれは、前記内側面に形成され、前記幅方向の外側に凹む溝を有し、前記溝は、前記上稜線及び前記下稜線のそれぞれの前記中間部位よりも後方に位置する溝後端と、前記上稜線及び前記下稜線のそれぞれの前記中間部位よりも前方で前記幅方向の外側に位置する溝前端と、前記溝後端から前記溝前端まで連続する溝底と、を有し、前記溝は、前記出口から押し出された材料の一部が前記上稜線の前記中間部位及び前記下稜線の前記中間部位をバイパスしてこれらの中間部位よりも前記幅方向の外側の領域を通って、前記上稜線の前記先端と前記下稜線の前記先端との間の部分である前記内側面の最も前側の最前部に供給されることを許容するように構成される。
【0010】
このサイドガイドユニットでは、ケーシングの出口から押し出された材料の一部が、上稜線及び下稜線のそれぞれの中間部位よりも幅方向の内側の領域を通過し、下流側稜線部近傍の内側面に沿うように幅方向の外側に移動しながら内側面の最前部に供給されるだけでなく、材料の他の一部が溝内を通過することにより上稜線及び下稜線のそれぞれの中間部位をバイパスしてこれらの中間部位よりも幅方向の外側の領域を通って内側面の最前部に供給される。このことは、シートの成形過程において、成形途中のシートの両サイドに形成される複数の突起を埋没させるための材料を当該両サイドに効率よく供給することを可能にする。しかも、上稜線及び下稜線のそれぞれの先端は、上稜線及び下稜線において幅方向の最も外側に位置するので、これらの先端の間の部分である内側面の最前部に供給される材料は、成形途中のシートの両サイドに形成された複数の突起を効果的に取り込むことができる。これにより、成形途中のシートの両サイドに形成される複数の突起が成形後のシートに残存することを効果的に抑制することができる。
【0011】
前記サイドガイドユニットにおいて、前記基端稜線は、前記幅方向の最も外側に位置する部位である基端最外部位を有し、前記上稜線の前記上流側稜線部は、前記基端最外部位と前記上稜線の前記中間部位とを結ぶ直線よりも前記幅方向の内側に位置し、前記下稜線の前記上流側稜線部は、前記基端最外部位と前記下稜線の前記中間部位とを結ぶ直線よりも前記幅方向の内側に位置することが好ましい。
【0012】
この構成では、上稜線及び下稜線のそれぞれの上流側稜線部が前記直線よりも幅方向の内側に位置するので、上流側稜線部と上ローラー又は下ローラーとの間の隙間の位置を前記直線よりも幅方向の内側に位置させることができる。このことは、成形途中のシートにおいて複数の突起が形成される位置を幅方向の内側に寄せることを可能にする。これにより、成形途中のシートの両サイドに形成される複数の突起が成形後のシートに残存することをより効果的に抑制することができる。
【0013】
前記サイドガイドユニットにおいて、前記溝の前記溝後端は、前記基端稜線上に位置することが好ましい。
【0014】
この構成では、ケーシングの出口から押し出された直後の材料の一部は、基端稜線上に位置する溝後端から溝内に入ることができるので、溝底に沿って溝前端まで溝内を移動する円滑な材料の流れが形成されやすくなる。
【0015】
前記サイドガイドユニットにおいて、前記溝の前記溝前端は、前記上稜線及び前記下稜線のそれぞれの前記上流側稜線部よりも前記幅方向の外側に位置することが好ましい。
【0016】
この構成では、溝内を移動する材料が溝の外に出る部位である溝前端が、複数の突起が形成される起点となる上稜線の上流側稜線部及び下稜線の上流側稜線部よりも幅方向の外側に位置するので、溝前端から溝の外に出た材料は、成形途中のシートの両サイドに形成された複数の突起を埋没させることが可能な幅方向の外側の領域に行き渡りやすくなる。
【0017】
前記サイドガイドユニットにおいて、前記上稜線の前記下流側稜線部は、前記上稜線の前後方向の中央よりも前方に位置し、前記下稜線の前記下流側稜線部は、前記下稜線の前後方向の中央よりも前方に位置することが好ましい。
【0018】
前記サイドガイドユニットにおいて、前記上稜線の前記上流側稜線部は、前記基端と前記中間部位との間において前記幅方向の最も外側に位置する部位である上側最外部位を有し、前記基端から前記上側最外部位に向かうにつれて前記幅方向の外側に位置し、前記上側最外部位から前記中間部位に向かうにつれて前記幅方向の内側に位置するような形状を有し、前記上稜線の前記先端は、前記上側最外部位よりも前記幅方向の外側に位置し、前記下稜線の前記上流側稜線部は、前記基端と前記中間部位との間において前記幅方向の最も外側に位置する部位である下側最外部位を有し、前記基端から前記下側最外部位に向かうにつれて前記幅方向の外側に位置し、前記下側最外部位から前記中間部位に向かうにつれて前記幅方向の内側に位置するような形状を有し、前記下稜線の前記先端は、前記下側最外部位よりも前記幅方向の外側に位置することが好ましい。
【0019】
前記サイドガイドユニットにおいて、前記上稜線の前記上流側稜線部は、前記基端と前記中間部位との間において前記幅方向の最も内側に位置する部位である上側最内部位を有し、前記上側最内部位から前記中間部位に向かうにつれて前記幅方向の外側に位置するような形状を有し、前記下稜線の前記上流側稜線部は、前記基端と前記中間部位との間において前記幅方向の最も内側に位置する部位である下側最内部位を有し、前記下側最内部位から前記中間部位に向かうにつれて前記幅方向の外側に位置するような形状を有していてもよい。
【0020】
前記サイドガイドユニットにおいて、前記溝の前記溝底は、前記上稜線及び前記下稜線のそれぞれの前記上流側稜線部よりも前記幅方向の外側に位置することが好ましい。
【0021】
前記サイドガイドユニットにおいて、前記一対のサイドガイドの前記基端稜線は、前記ケーシングの前記出口の両サイドの形状に沿って前記幅方向の外側に凹むように湾曲する湾曲稜線部を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本開示によれば、成形途中のシートにおける幅方向の両サイドに形成される複数の突起が成形後のシートに残存することを効果的に抑制することができるサイドガイドユニットが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本開示の実施形態に係るサイドガイドユニットと押出機本体と一対のローラーとを備えるローラーヘッド押出機を示す部分断面図である。
【
図2】前記ローラーヘッド押出機を
図1におけるII-II線で示す位置において切断した断面図である。
【
図3】本開示の第1実施形態に係るサイドガイドユニットと前記ケーシングの出口側端部とを前から見た図である。
【
図4】第1実施形態に係るサイドガイドユニットと前記ケーシングの前記出口側端部とを上から見た図である。
【
図5】第1実施形態に係るサイドガイドユニットのサイドガイドと前記ケーシングの前記出口側端部とを示す斜視図である。
【
図6】第1実施形態に係るサイドガイドユニットのサイドガイドを示す斜視図である。
【
図7】第1実施形態に係るサイドガイドユニットのサイドガイドを上から見た図である。
【
図8】第1実施形態に係るサイドガイドユニットのサイドガイドを示す側面図である。
【
図9】第1実施形態に係るサイドガイドユニットのサイドガイドを後から見た図である。
【
図10】第2実施形態に係るサイドガイドユニットと押出機本体のケーシングの出口側端部とを前から見た図である。
【
図11】第2実施形態に係るサイドガイドユニットのサイドガイドと前記ケーシングの前記出口側端部とを示す斜視図である。
【
図12】第2実施形態に係るサイドガイドユニットのサイドガイドを上から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して、本開示の実施形態に係るサイドガイドユニット及びこれを備えたローラーヘッド押出機について説明する。本実施形態に係るローラーヘッド押出機は、成形対象の材料(例えばゴムなどの高分子材料)をシート状に成形するための機械である。
【0025】
[ローラーヘッド押出機]
図1は、ローラーヘッド押出機1を示す部分断面図であり、
図2は、ローラーヘッド押出機1を
図1におけるII-II線で示す位置において切断した断面図である。ローラーヘッド押出機1は、押出機本体と、上ローラー5及び下ローラー6と、サイドガイドユニット10と、を備える。サイドガイドユニット10は、一対のサイドガイド20,20を備える。
【0026】
前記押出機本体は、左右一対のスクリュー2,3と、スクリュー2,3を収容するケーシング4と、を備える。
図1では、スクリュー2,3は、平面図として描かれ、ケーシング4は、断面図として描かれている。
【0027】
スクリュー2,3のそれぞれは、軸部7と、軸部7の外周面に設けられた螺旋状のフライト8とを有する。スクリュー2とスクリュー3とは、フライト8の捩れる向きが互いに逆であることを除いて、同様の構造を有する。スクリュー2及びスクリュー3は、図略の駆動装置により駆動されて同じ回転数で互いに逆方向に回転する。
【0028】
ケーシング4は、スクリュー2,3に沿って先細りするような形状を有する。ケーシング4は、その上流側の上部に形成された供給口9を有する。供給口9の上方には、例えば図略の混練装置が配置されている。この混練装置において予め混練された材料(混練物)は、供給口9に投入される。ケーシング4は、その下流側の端部を構成する出口側端部4Eを有し、当該出口側端部4Eには材料の出口4Aが形成されている。
【0029】
ケーシング4の出口側端部4Eと上ローラー5及び下ローラー6との間には、出口4Aから押し出された材料が一時的に溜まるバンク部が設けられている。このバンク部は、幅方向Wの両サイドが一対のサイドガイド20,20により画定され、下部が下壁82により画定される空間である。下壁82は、ケーシング4の出口側端部4Eと下ローラー6との間にまたがるように配置される部材である。スクリュー2,3が回転すると、ケーシング4内の材料は、ケーシング4の出口4Aからバンク部に押し出される。一対のサイドガイド20,20は、ケーシング4の出口4Aから押し出された材料を上ローラー5と下ローラー6の隙間に案内する。
【0030】
上ローラー5及び下ローラー6は、ケーシング4の出口4Aから押し出された材料を圧延してシート50を成形するためのものである。上ローラー5及び下ローラー6は、ケーシング4の出口4Aの前方にそれぞれ配置されている。上ローラー5及び下ローラー6は、当該出口4Aに対向するようにそれぞれ配置され、互いに平行な回転軸A1,A2の回りにそれぞれ回転可能なように前記押出機本体に支持されている。上ローラー5及び下ローラー6は、図略の駆動装置により駆動されて同じ回転数で互いに逆方向に回転する。本実施形態では、回転軸A1,A2のそれぞれは、水平方向に平行であるが、水平方向に対して多少傾斜していてもよい。
【0031】
本実施形態では、回転軸A1に平行な方向を幅方向Wと称する。また、上ローラー5と下ローラー6との間の隙間が最も小さくなる領域を最小隙間領域Rm(
図2参照)と称する。最小隙間領域Rmにおける上ローラー5と下ローラー6との間の隙間は、成形後のシート50の目標厚みに応じて調節される。
【0032】
[第1の実施形態]
図3は、本開示の第1実施形態に係るサイドガイドユニット10とケーシング4の出口側端部4Eとを前から見た図であり、
図4は、これらを上から見た図である。
図5は、サイドガイドユニット10の一方のサイドガイド20とケーシング4の出口側端部4Eとを示す斜視図である。
【0033】
一対のサイドガイド20,20は、出口側端部4Eの出口4Aから押し出された材料を上ローラー5と下ローラー6の間の最小隙間領域Rmに案内するとともに、この最小隙間領域Rmを通過することにより成形されるシート50の幅方向Wの寸法であるシート幅WSを決めるためにローラーヘッド押出機1に設けられている。
【0034】
図1~
図5に示すように、一対のサイドガイド20,20は、ケーシング4の出口側端部4Eと上ローラー5及び下ローラー6との間において幅方向Wに互いに間隔をおいて対向するように配置されている。
図3に示すように、一対のサイドガイド20,20は、出口4Aの両サイドに配置されている。
図2に示すように、一対のサイドガイド20,20のそれぞれは、上ローラー5と下ローラー6との間の隙間(具体的には、最小隙間領域Rm)に向かってケーシング4の出口側端部4Eからそれぞれ延びている。
図2及び
図5に示すように、各サイドガイド20は、出口側端部4Eから最小隙間領域Rmに向かって先細りする形状を有する。
【0035】
一対のサイドガイド20,20は、幅方向Wに直交する平面に関してほぼ面対称となるような構造を備えている。従って、以下では、一対のサイドガイド20,20のうちの一方のサイドガイド20(
図1における下側のサイドガイド20)について主に説明する。
【0036】
図6は、第1実施形態に係るサイドガイドユニット10のサイドガイド20を示す斜視図であり、
図7は、これらを上から見た図であり、
図8は、これらの側面図であり、
図9は、これらを後から見た図である。
【0037】
図6~
図9に示すように、サイドガイド20は、基端面21と、先端面22と、上湾曲面23と、下湾曲面24と、内側面25と、外側面28と、を有する。
【0038】
基端面21は、ケーシング4の出口側端部4Eの前面4Sに接する面である。基端面21は、ケーシング4の出口側端部4Eの前面4Sのうち基端面21が接する部分に沿った形状を有する。従って、サイドガイド20の基端面21と出口側端部4Eの前面4Sとの間の隙間を小さくすることができ、当該隙間に材料が入り込むことが抑制される。本実施形態では、ケーシング4の出口側端部4Eの前面4Sのうち一対のサイドガイド20,20の基端面21,21が接する部分は平面により構成され、各基端面21は、
図8及び
図9に示すように、平面により構成されている。ただし、各基端面21は、出口側端部4Eの前面4Sのうち基端面21が接する部分に沿った形状であればよく、曲面を含む面、凹凸を含む面などであってもよい。
【0039】
先端面22は、サイドガイド20における最も前側の面であり、最小隙間領域Rmに最も近い面である。本実施形態では、先端面22は、上ローラー5の回転軸A1及び下ローラー6の回転軸A2にほぼ平行な面であるが、必ずしも回転軸A1,A2に平行でなくてもよい。
【0040】
上湾曲面23は、上ローラー5の外周面5Sに対向して当該外周面5Sに沿って湾曲する面である。
図8に示す側面図に示されているように、上湾曲面23は、側面視において円弧形状を有する。上湾曲面23は、上ローラー5の回転の邪魔にならないように上ローラー5の外周面5Sに対して当該上ローラー5の径方向外側にわずかに離れた位置に設けられている。すなわち、上湾曲面23と上ローラー5の外周面5Sとの間には隙間(上サイド隙間G1)が形成されている。
【0041】
下湾曲面24は、下ローラー6の外周面6Sに対向して当該外周面6Sに沿って湾曲する面である。
図8に示す側面図に示されているように、下湾曲面24は、側面視において円弧形状を有する。下湾曲面24は、下ローラー6の回転の邪魔にならないように下ローラー6の外周面6Sに対して当該下ローラー6の径方向外側にわずかに離れた位置に設けられている。すなわち、下湾曲面24と下ローラー6の外周面6Sとの間には隙間(下サイド隙間G2)が形成されている。
【0042】
内側面25は、サイドガイド20において幅方向Wの内側に位置する面であり、上湾曲面23と下湾曲面24とを上下につなぐとともに基端面21と先端面22とを前後につなぐ面である。一方のサイドガイド20の内側面25と他方のサイドガイド20の内側面25とは、幅方向Wに互いに対向している。これらの内側面25は、前記バンク部の両サイドを画定する面である。これらの内側面25は、ケーシング4の出口4Aから押し出された材料を上ローラー5と下ローラー6との間の隙間(具体的には最小隙間領域Rm)に案内する機能と、成形後のシート50のシート幅WSを決める機能とを有する。
【0043】
外側面28は、サイドガイド20において幅方向Wの外側に位置する面である。
図4に示すように、一対のサイドガイド20,20のそれぞれは、取付部材90を介してケーシング4の出口側端部4Eに固定されている。具体的には、取付部材90は、例えば溶接によってサイドガイド20の外側面28に固定されるとともに、例えばボルトなどの固定部材を用いてケーシング4の出口側端部4Eに固定されている。なお、取付部材90をサイドガイド20の外側面28に固定する固定方法及び取付部材90をケーシング4の出口側端部4Eに固定する固定方法は、上述のような溶接及びボルト締結に限られない。
【0044】
サイドガイド20は、上湾曲面23と内側面25との境界である上稜線26と、下湾曲面24と内側面25との境界である下稜線27と、基端面21と内側面25との境界である基端稜線29と、を有する。
【0045】
上稜線26及び下稜線27のそれぞれは、基端面21に最も近い基端P1と、先端面22に最も近い先端P2と、基端P1と先端P2との間に位置するとともに先端P2よりも幅方向Wの内側に位置する中間部位P3と、を有する。上稜線26は、基端P1から中間部位P3までの部分である上流側稜線部261と、中間部位P3から先端P2までの部分である下流側稜線部262と、を含む。同様に、下稜線27は、基端P1から中間部位P3までの部分である上流側稜線部271と、中間部位P3から先端P2までの部分である下流側稜線部272と、を含む。
【0046】
図4及び
図7に示すように、本実施形態では、上稜線26の下流側稜線部262は、上稜線26の前後方向の中央よりも前方に位置し、下稜線27の下流側稜線部272は、下稜線27の前後方向の中央よりも前方に位置する。
【0047】
上稜線26の先端P2が上稜線26において幅方向Wの最も外側に位置するように、下流側稜線部262は、中間部位P3から先端P2に向かうにつれて幅方向Wの外側に位置するような形状である拡大形状を有する。同様に、下稜線27の先端P2が下稜線27において幅方向Wの最も外側に位置するように、下流側稜線部262は、中間部位P3から先端P2に向かうにつれて幅方向Wの外側に位置するような形状である拡大形状を有する。
【0048】
図4、
図6及び
図7に示すように、上稜線26の上流側稜線部261は、基端P1と中間部位P3との間において幅方向Wの最も外側に位置する部位である上側最外部位P4を有する。この上流側稜線部261は、基端P1から上側最外部位P4に向かうにつれて幅方向Wの外側に位置し、上側最外部位P4から中間部位P3に向かうにつれて幅方向Wの内側に位置するような形状を有する。上稜線26の先端P2は、上稜線26の上側最外部位P4よりも幅方向Wの外側に位置する。
【0049】
図4に示すように、下稜線27の上流側稜線部271は、基端P1と中間部位P3との間において幅方向Wの最も外側に位置する部位である下側最外部位P4を有する。この上流側稜線部271は、基端P1から下側最外部位P4に向かうにつれて幅方向Wの外側に位置し、下側最外部位P4から中間部位P3に向かうにつれて幅方向Wの内側に位置するような形状を有する。下稜線27の先端P2は、下稜線27の下側最外部位P4よりも幅方向Wの外側に位置する。
【0050】
基端稜線29は、
図6に示すように、ケーシング4の出口4Aの一方のサイドの形状に沿って幅方向Wの外側に凹むように湾曲する湾曲稜線部291と、湾曲稜線部291の上端から上方に延びて出口側端部4Eの前面4Sに対向する稜線部292と、湾曲稜線部291の下端から下方に延びて出口側端部4Eの前面4Sに対向する稜線部293と、を有する。本実施形態では、ケーシング4の出口4Aの両サイドの形状はそれぞれ円弧形状を有するので、湾曲稜線部291も円弧形状を有する。ただし、基端稜線29の形状は、
図6に示すような形状に限られず、例えば上下に直線状に延びるような形状であってもよい。
【0051】
基端稜線29は、幅方向Wの最も外側に位置する部位である基端最外部位P11を有する。本実施形態では、基端最外部位P11は、基端稜線29の湾曲稜線部291上にある。具体的には、基端最外部位P11は、基端稜線29の湾曲稜線部291の中央に位置する。
【0052】
図7に示すように、上稜線26の上流側稜線部261は、基端稜線29の基端最外部位P11と上稜線26の中間部位P3とを結ぶ直線L1よりも幅方向Wの内側に位置する。同様に、下稜線27の上流側稜線部271は、基端稜線29の基端最外部位P11と下稜線27の中間部位P3とを結ぶ直線(図示省略)よりも幅方向Wの内側に位置する。
【0053】
一対のサイドガイド20,20のそれぞれは、内側面25に形成された溝30を有する。溝30は、内側面25のうち溝30の周囲の部分から幅方向Wの外側に凹む。溝30は、上稜線26及び下稜線27のそれぞれの中間部位P3よりも後方に位置する溝後端31と、上稜線26及び下稜線27のそれぞれの中間部位P3よりも前方に位置する溝前端32と、溝後端31から溝前端32まで連続する溝底33と、を有する。
【0054】
本実施形態では、溝後端31は、基端稜線29上に位置する。具体的には、溝後端31は、基端稜線29の基端最外部位P11とほぼ同じ位置にある。
【0055】
溝前端32は、上稜線26と下稜線27との間において、上稜線26及び下稜線27のそれぞれの中間部位P3よりも前方でかつ上稜線26及び下稜線27のそれぞれの先端P2よりも後方に位置する。本実施形態では、溝前端32は、中間部位P3よりも先端P2に近い位置にある。
【0056】
また、溝前端32は、上稜線26及び下稜線27のそれぞれの中間部位P3よりも幅方向Wの外側に位置する。本実施形態では、溝前端32は、上稜線26の上流側稜線部261及び下稜線27の上流側稜線部271よりも幅方向Wの外側に位置する。
【0057】
溝底33は、当該溝底33のうち、少なくとも上稜線26及び下稜線27のそれぞれの中間部位P3よりも前側の部分が、当該中間部位P3よりも幅方向Wの外側を通るように溝後端31から溝前端32まで連続している。本実施形態では、溝底33の全体が上稜線26の上流側稜線部261及び下稜線27の上流側稜線部271よりも幅方向Wの外側を通っている。また、溝底33は、溝後端31から溝前端32まで直線状に延びているが、例えば湾曲していてもよい。
【0058】
溝30は、ケーシング4の出口4Aから押し出された材料の一部が上稜線26の中間部位P3及び下稜線27の中間部位P3をバイパスしてこれらの中間部位P3,P3よりも幅方向Wの外側の領域を通って、上稜線26の先端P2と下稜線27の先端P2との間の部分である内側面25の最前部25Fに供給されることを許容するように構成される。最前部25Fは、内側面25の最も前側の部分である。
【0059】
図6に示すように、サイドガイド20の内側面25は、4つの部分251,252,253,254を含む。第1部分251は、上稜線26の上流側稜線部261と、基端稜線29の上部と、溝30と、により囲まれる部分である。第2部分252は、下稜線27の上流側稜線部271と、基端稜線29の下部と、溝30と、により囲まれる部分である。第3部分253は、上稜線26の下流側稜線部262と、溝30との間の部分であり、第4部分254は、下稜線27の下流側稜線部272と、溝30との間の部分である。
【0060】
本実施形態では、ケーシング4の出口4Aから押し出された材料の一部は、上稜線26及び下稜線27のそれぞれの中間部位P3よりも幅方向Wの内側の領域を通過し、下流側稜線部262,272の近傍の内側面25、例えば上述の第3部分253及び第4部分254に沿うように幅方向Wの外側に移動しながら内側面25の最前部25Fに供給される。また、このサイドガイドユニット10では、ケーシング4の出口4Aから押し出された材料の他の一部は、溝30内を通過することにより上稜線26の中間部位P3及び下稜線27の中間部位P3をバイパスしてこれらの中間部位P3,P3よりも幅方向Wの外側の領域を通って内側面25の最前部25Fに供給される。このことは、シートの成形過程において、成形途中のシートの両サイドに形成される複数の突起を埋没させるための材料を当該両サイドに効率よく供給することを可能にする。しかも、上稜線26及び下稜線27のそれぞれの先端P2は、上稜線26及び下稜線27において幅方向Wの最も外側に位置するので、これらの先端P2,P2の間の部分である内側面25の最前部25Fに供給される材料は、成形途中のシートの両サイドに形成された複数の突起を効果的に取り込むことができる。これにより、成形途中のシートの両サイドに形成される複数の突起が成形後のシート50に残存することを効果的に抑制することができる。
【0061】
本実施形態では、上稜線26の上流側稜線部261は、基端最外部位P11と上稜線26の中間部位P3とを結ぶ直線L1よりも幅方向Wの内側に位置し、下稜線27の上流側稜線部271は、基端最外部位P11と下稜線27の中間部位P3とを結ぶ直線よりも幅方向Wの内側に位置する。従って、上流側稜線部261と上ローラー5との間の隙間の位置、及び上流側稜線部271と下ローラー6との間の隙間の位置を、前記直線L1よりも幅方向Wの内側に位置させることができる。このことは、成形途中のシートにおいて複数の突起が形成される位置を幅方向Wの内側に寄せることを可能にする。これにより、成形途中のシートの両サイドに形成される複数の突起が成形後のシートに残存することをより効果的に抑制することができる。
【0062】
本実施形態では、溝30の溝後端31は、基端稜線29上に位置する。従って、ケーシング4の出口4Aから押し出された直後の材料の一部は、基端稜線29上に位置する溝後端31から溝内に入ることができるので、溝底33に沿って溝前端32まで溝30内を移動する円滑な材料の流れが形成されやすくなる。
【0063】
本実施形態では、溝30の溝前端32は、上稜線26及び下稜線27の上流側稜線部261,271よりも幅方向Wの外側に位置する。この場合、溝30内を移動する材料が溝30の外に出る部位である溝前端32が、複数の突起が形成される起点となる上稜線26の上流側稜線部261及び下稜線27の上流側稜線部271よりも幅方向Wの外側に位置するので、溝前端32から溝30の外に出た材料は、成形途中のシートの両サイドに形成された複数の突起を埋没させることが可能な幅方向Wの外側の領域に行き渡りやすくなる。
【0064】
[第2の実施形態]
図10は、第2実施形態に係るサイドガイドユニット10とケーシング4の出口側端部4Eと前から見た図であり、
図11は、これらの斜視図である。
図12は、第2実施形態に係るサイドガイドユニット10のサイドガイド20を上から見た図である。
【0065】
第2実施形態に係るローラーヘッド押出機1は、押出機本体と、上ローラー5及び下ローラー6と、サイドガイドユニット10と、を備える。第2実施形態に係る押出機本体と上ローラー5及び下ローラー6の構造は、第1実施形態に係る前記押出機本体と上ローラー5及び下ローラー6の構造と同様である。
【0066】
第2実施形態に係るサイドガイドユニット10では、基本的な構造は第1実施形態に係るサイドガイドユニット10の構造と同様である。従って、以下では、第2実施形態に係るサイドガイドユニット10が第1実施形態に係るサイドガイドユニット10と異なる点について主に説明する。
【0067】
図10に示すように、一対のサイドガイド20,20は、ケーシング4の出口側端部4Eと上ローラー5及び下ローラー6との間において幅方向Wに互いに間隔をおいて対向するように配置されている。各サイドガイド20は、出口側端部4Eから最小隙間領域Rm(
図2参照)に向かって先細りする形状を有する。
【0068】
第2実施形態においても、一対のサイドガイド20,20は、幅方向Wに直交する平面に関してほぼ面対称となるような構造を備えている。従って、以下では、一対のサイドガイド20,20のうちの一方のサイドガイド20(
図10における右側のサイドガイド20)について主に説明する。
【0069】
図10~
図12に示すように、サイドガイド20は、基端面21と、先端面22と、上湾曲面23と、下湾曲面24と、内側面25と、外側面28と、を有する。
【0070】
基端面21は、ケーシング4の出口側端部4Eの前面4Sに接する面である。先端面22は、サイドガイド20における最も前側の面であり、最小隙間領域Rmに最も近い面である。上湾曲面23は、上ローラー5の外周面5Sに対向して当該外周面5Sに沿って湾曲する面である。下湾曲面24は、下ローラー6の外周面6Sに対向して当該外周面6Sに沿って湾曲する面である。内側面25は、サイドガイド20において幅方向Wの内側に位置する面であり、上湾曲面23と下湾曲面24とを上下につなぐとともに基端面21と先端面22とを前後につなぐ面である。一方のサイドガイド20の内側面25と他方のサイドガイド20の内側面25とは、幅方向Wに互いに対向している。外側面28は、サイドガイド20において幅方向Wの外側に位置する面である。
【0071】
サイドガイド20は、上湾曲面23と内側面25との境界である上稜線26と、下湾曲面24と内側面25との境界である下稜線27と、基端面21と内側面25との境界である基端稜線29と、を有する。
【0072】
上稜線26及び下稜線27のそれぞれは、基端面21に最も近い基端P1と、先端面22に最も近い先端P2と、基端P1と先端P2との間に位置するとともに先端P2よりも幅方向Wの内側に位置する中間部位P3と、を有する。上稜線26は、基端P1から中間部位P3までの部分である上流側稜線部261と、中間部位P3から先端P2までの部分である下流側稜線部262と、を含む。同様に、下稜線27は、基端P1から中間部位P3までの部分である上流側稜線部271と、中間部位P3から先端P2までの部分である下流側稜線部272と、を含む。
【0073】
第2実施形態においても、上稜線26の下流側稜線部262は、上稜線26の前後方向の中央よりも前方に位置し、下稜線27の下流側稜線部272は、下稜線27の前後方向の中央よりも前方に位置する。
【0074】
上稜線26の先端P2が上稜線26において幅方向Wの最も外側に位置するように、下流側稜線部262は、中間部位P3から先端P2に向かうにつれて幅方向Wの外側に位置するような形状である拡大形状を有する。同様に、下稜線27の先端P2が下稜線27において幅方向Wの最も外側に位置するように、下流側稜線部262は、中間部位P3から先端P2に向かうにつれて幅方向Wの外側に位置するような形状である拡大形状を有する。
【0075】
第2実施形態では、上稜線26の上流側稜線部261は、基端P1と中間部位P3との間において幅方向Wの最も外側に位置する部位である上側最外部位を有し、この上側最外部位は、中間部位P3である。同様に、下稜線27の上流側稜線部271は、基端P1と中間部位P3との間において幅方向Wの最も外側に位置する部位である下側最外部位を有し、この下側最外部位は、中間部位P3である。
【0076】
また、第2実施形態では、上稜線26の上流側稜線部261は、基端P1と中間部位P3との間において幅方向Wの最も内側に位置する部位である上側最内部位P5を有する。上流側稜線部261における上側最内部位P5と中間部位P3との間の部分は、上側最内部位P5から中間部位P3に向かうにつれて幅方向Wの外側に位置するような形状を有する。
【0077】
同様に、下稜線27の上流側稜線部271は、基端P1と中間部位P3との間において幅方向Wの最も内側に位置する部位である下側最内部位P5を有する。上流側稜線部271における下側最内部位P5と中間部位P3との間の部分は、下側最内部位P5から中間部位P3に向かうにつれて幅方向Wの外側に位置するような形状を有する。
【0078】
基端稜線29は、ケーシング4の出口4Aの一方のサイドの形状に沿って幅方向Wの外側に凹むように湾曲する湾曲稜線部291と、湾曲稜線部291の上端から上方に延びて出口側端部4Eの前面4Sに対向する稜線部292と、湾曲稜線部291の下端から下方に延びて出口側端部4Eの前面4Sに対向する稜線部293と、を有する。基端稜線29は、幅方向Wの最も外側に位置する部位である基端最外部位P11を有する。本実施形態では、基端最外部位P11は、基端稜線29の湾曲稜線部291の中央に位置する。
【0079】
図12に示すように、上稜線26の上流側稜線部261は、基端稜線29の基端最外部位P11と上稜線26の中間部位P3とを結ぶ直線L1よりも幅方向Wの内側に位置する。同様に、下稜線27の上流側稜線部271は、基端稜線29の基端最外部位P11と下稜線27の中間部位P3とを結ぶ直線(図示省略)よりも幅方向Wの内側に位置する。
【0080】
一対のサイドガイド20,20のそれぞれは、内側面25に形成された溝30を有する。溝30は、内側面25のうち溝30の周囲の部分から幅方向Wの外側に凹む。溝30は、上稜線26及び下稜線27のそれぞれの中間部位P3よりも後方に位置する溝後端31と、上稜線26及び下稜線27のそれぞれの中間部位P3よりも前方に位置する溝前端32と、溝後端31から溝前端32まで連続する溝底33と、を有する。
【0081】
図11及び
図12に示すように、本実施形態では、溝後端31は、基端稜線29よりも前に位置する。溝後端31は、基端稜線29と中間部位P3との間に位置している。具体的には、溝後端31は、基端稜線29と中間部位P3との間であって、中間部位P3よりも基端稜線29に近い位置にある。溝前端32は、上稜線26と下稜線27との間において、上稜線26及び下稜線27のそれぞれの中間部位P3よりも前方でかつ上稜線26及び下稜線27のそれぞれの先端P2よりも後方に位置する。本実施形態では、溝前端32は、中間部位P3よりも先端P2に近い位置にある。また、溝前端32は、上稜線26及び下稜線27のそれぞれの中間部位P3よりも幅方向Wの外側に位置する。本実施形態では、溝前端32は、上稜線26の上流側稜線部261及び下稜線27の上流側稜線部271よりも幅方向Wの外側に位置する。
【0082】
溝底33は、当該溝底33のうち、少なくとも上稜線26及び下稜線27のそれぞれの中間部位P3よりも前側の部分が、当該中間部位P3よりも幅方向Wの外側を通るように溝後端31から溝前端32まで連続している。本実施形態では、溝底33の全体が上稜線26の上流側稜線部261及び下稜線27の上流側稜線部271よりも幅方向Wの外側を通っている。
【0083】
第2実施形態においても、溝30は、ケーシング4の出口4Aから押し出された材料の一部が上稜線26の中間部位P3及び下稜線27の中間部位P3をバイパスしてこれらの中間部位P3,P3よりも幅方向Wの外側の領域を通って、上稜線26の先端P2と下稜線27の先端P2との間の部分である内側面25の最前部25Fに供給されることを許容するように構成される。最前部25Fは、内側面25の最も前側の部分である。
【0084】
[変形例]
以上、本開示の実施形態に係る押出機のサイドガイドユニットについて説明したが、本開示はこれらの形態に限定されるものではなく、例えば以下のような変形例であってもよい。
【0085】
(A)前記実施形態では、上稜線26の上流側稜線部261は、基端最外部位P11と上稜線26の中間部位P3とを結ぶ直線L1よりも幅方向Wの内側に位置し、下稜線27の上流側稜線部271は、基端最外部位P11と下稜線27の中間部位P3とを結ぶ直線よりも幅方向Wの内側に位置するが、このような構成に限られない。上流側稜線部261の一部は、前記直線L1よりも幅方向Wの外側に位置していてもよく、上流側稜線部271の一部は、前記直線よりも幅方向Wの外側に位置していてもよい。
【0086】
(B)前記第1実施形態では、溝30の溝後端31は、基端稜線29上に位置するが、このような構成に限られない。溝後端31は、例えば前記第2実施形態のように、基端稜線29よりも前方でかつ上稜線26及び下稜線27のそれぞれの中間部位P3よりも後方の位置であってもよい。また、前記第2実施形態では、溝30の溝後端31は、基端稜線29上に位置していてもよい。
【0087】
(C)前記実施形態では、溝30の溝前端32は、中間部位P3よりも先端P2に近い位置にあるが、このような構成に限られない。溝前端32は、例えば、先端P2よりも中間部位P3に近い位置にあってもよい。また、本実施形態では、溝30の溝前端32は、上稜線26及び下稜線27のそれぞれの上流側稜線部261よりも幅方向Wの外側に位置するが、このような構成に限られない。溝前端32は、上稜線26及び下稜線27のそれぞれの上流側稜線部261の一部よりも幅方向Wの内側に位置していてもよい。
【0088】
(D)ローラーヘッド押出機1により成形される材料(成形対象の材料)は、ゴムに限られず、ゴム以外の材料であってもよい。
【符号の説明】
【0089】
1 :ローラーヘッド押出機
2,3 :スクリュー
4 :ケーシング
4A :出口
4E :出口側端部
5 :上ローラー
5S :上ローラーの外周面
6 :下ローラー
6S :下ローラーの外周面
10 :サイドガイドユニット
20 :サイドガイド
21 :基端面
22 :先端面
23 :上湾曲面
24 :下湾曲面
25 :内側面
25F :内側面の最前部
26 :上稜線
261 :上流側稜線部
262 :下流側稜線部
27 :下稜線
271 :上流側稜線部
272 :下流側稜線部
29 :基端稜線
291 :湾曲稜線部
30 :溝
31 :溝後端
32 :溝前端
33 :溝底
50 :シート
A1,A2 :回転軸
P1 :基端
P2 :先端
P3 :中間部位
P4 :上側最外部位、下側最外部位
P5 :上側最内部位、下側最内部位
P11 :基端最外部位
W :幅方向