(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】樹脂構造体
(51)【国際特許分類】
H02G 3/16 20060101AFI20231226BHJP
H02G 3/14 20060101ALI20231226BHJP
H05K 7/06 20060101ALI20231226BHJP
H05K 5/00 20060101ALI20231226BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
H02G3/16
H02G3/14
H05K7/06 C
H05K5/00 D
B60R16/02 610A
(21)【出願番号】P 2020176821
(22)【出願日】2020-10-21
【審査請求日】2022-01-18
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】中島 明紀
(72)【発明者】
【氏名】後藤 啓稀
(72)【発明者】
【氏名】青野 憲悟
【審査官】木村 励
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-231309(JP,A)
【文献】特開2002-238131(JP,A)
【文献】特開平1-212641(JP,A)
【文献】特開2014-217254(JP,A)
【文献】特開2003-95036(JP,A)
【文献】特開2018-67580(JP,A)
【文献】特開2003-32834(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/16
H02G 3/14
H02G 3/08
H05K 7/06
H05K 5/00
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品が搭載されることになる第1樹脂体と、前記第1樹脂体と組付けられる第2樹脂体と、を備えた樹脂構造体であって、
前記第1樹脂体は、
第1ブロックと、前記第1ブロックに収容される第2ブロックとを有し、
前記第1ブロックは、
該第1ブロックの内方に前記第2ブロックを収容する内壁で囲まれた収容部と、
前記第2ブロックが有する第2バスバと
ボルト及びナットによって締結される第1バスバと、を有し、
前記第1樹脂体は、前記第2樹脂体よりも剛性が高い樹脂材料から構成されており、
前記収容部を囲う前記内壁の全体を一部に有する前記第1ブロックは、単一の樹脂体で構成される、
樹脂構造体。
【請求項2】
請求項1に記載の樹脂構造体において、
前記第1ブロックは、
大きさが異なる複数の前記第2ブロックの中から、選択された一の前記第2ブロックを前記収容部に収容可能に構成され、
前記収容部は、
選択可能な前記第2ブロックの中で、最も大きい前記第2ブロックを収容可能である、
樹脂構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数の樹脂体を互いに組み付けて構成される電気接続箱が提案されている。一般に、電気接続箱は、ブロック本体と、フレームと、から構成されている。また、電気接続箱は、例えば、車両に搭載され、搭載される車両の車種やグレード等の違いによって回路構成が異なる。このため、ブロック本体の内方においては、何れの車両にも共通して使用されるベース領域と、一部の車両にのみ使用する一又は複数のオプション領域と、から構成されている(例えば、特許文献1-3を参照。)。
【0003】
上述した従来の電気接続箱は、ベース領域にはベース回路を有するベースブロックが収容されており、オプション領域には予め空洞が設けられている。空洞には、車両の車種やグレード等によってオプション回路を有するオプションブロックが搭載される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-125516号公報
【文献】特開2007-37381号公報
【文献】特開2018-7424号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般に、電気接続箱では、ベースブロック及びオプションブロックのそれぞれが有するバスバがねじ等によって互いに重ね合わせて締結される。これにより、ベースブロック及びオプションブロックは互いに電気的に接続されている。しかし、電気接続箱は、車両に搭載されるため、車両内の複雑な振動に起因して、複数のブロックが異なる方向に動く、又は、略同方向に動いても振動数が異なる等があった。このため、フレーム及びベースブロックと、フレーム及びオプションブロックとは異なる動き(いわゆる、別位相の動き)をすることがあった。これにより、バスバ同士の締結箇所には、大きな応力(具体的には、バスバ同士の張力や引力等)が掛かる。この結果、バスバの締結箇所周辺にも応力が生じてしまい、バスバが破損するおそれがあった。
【0006】
また、一般に、ブロック本体は、フレームよりも剛性が高い樹脂材料から成形されている。つまり、フレームは、ブロック本体に比べて、車両内の複雑な振動時に変形(例えば、歪み等)しやすい樹脂材料から成形されている。このため、ブロック本体とフレームとが別体で形成されている場合、車両内の振動が大きいと、フレームとベースブロックとの係合部、及び、フレームとオプションブロックとの係合部にそれぞれ変位が生じるおそれがあった。それぞれ変位が生じると、ベースブロック及びオプションブロックはそれぞれフレームに対してがたつきやすくなり、上述した別位相の動きが起こる可能性が高くなる。
【0007】
本発明は、上述した状況を鑑みてなされたものであり、その目的は、樹脂体を構成する複数のブロックが有するバスバ同士の締結箇所及び各バスバに掛かる外力を起因とする応力を抑制する樹脂構造体、の提供である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した目的を達成するために、本発明に係る樹脂構造体は、下記[1]~[2]を特徴としている。
[1]
電子部品が搭載されることになる第1樹脂体と、前記第1樹脂体と組付けられる第2樹脂体と、を備えた樹脂構造体であって、
前記第1樹脂体は、
第1ブロックと、前記第1ブロックに収容される第2ブロックとを有し、
前記第1ブロックは、
該第1ブロックの内方に前記第2ブロックを収容する内壁で囲まれた収容部と、
前記第2ブロックが有する第2バスバとボルト及びナットによって締結される第1バスバと、を有し、
前記第1樹脂体は、前記第2樹脂体よりも剛性が高い樹脂材料から構成されており、
前記収容部を囲う前記内壁の全体を一部に有する前記第1ブロックは、単一の樹脂体で構成される、
樹脂構造体であること。
[2]
上記[1]に記載の樹脂構造体において、
前記第1ブロックは、
大きさが異なる複数の前記第2ブロックの中から、選択された一の前記第2ブロックを前記収容部に収容可能に構成され、
前記収容部は、
選択可能な前記第2ブロックの中で、最も大きい前記第2ブロックを収容可能である、
樹脂構造体であること。
【0009】
上記[1]の構成の樹脂構造体によれば、第1樹脂体において、第1ブロックの第1バスバと第2ブロックの第2バスバとが締結されることで、第1ブロックと第2ブロックとが電気的に接続される。また、第1ブロックの内壁で囲まれた収容部に、第2ブロックが収容されることで、第2ブロックは第2樹脂体と接触しない。これにより、本構成の樹脂構造体は、従来の樹脂構造体(電気接続箱)のように、第1ブロックと第2ブロックとが車両内の複雑な振動に起因して、いわゆる別位相に動くことが抑制される。具体的には、第2ブロックが第1ブロックの内壁で囲まれた収容部に収容されているため、第2ブロックは第1ブロックといわゆる同位相に動く。つまり、本構成の樹脂構造体は、第1ブロックと第2ブロックとの別位相の動きが抑制される。
【0010】
更に、第2ブロックは、第1樹脂体及び第2樹脂体の樹脂材料が異なる場合でも影響を受け難い。具体的には、第2樹脂体が第1樹脂体よりも変形(例えば、歪み等)しやすい場合、第1樹脂体と第2樹脂体との間に変位が生じるおそれがあるものの、上記同様の理由により、第1樹脂体を構成する第1ブロックと第2ブロックとの間での相対的な変位は抑制される。特に、第1ブロック及び第2ブロックを構成する樹脂材料が同じである場合には、第1ブロックと第2ブロックとの間の変位が更に強力に抑制される。つまり、本構成の樹脂構造体は、第1樹脂体及び第2樹脂体の樹脂材料が異なることによる第1ブロックと第2ブロックとの別位相の動きが起こり難くなる。
【0011】
この結果、本構成の樹脂構造体は、第1樹脂体を構成する第1ブロックと第2ブロックとが有するバスバ同士(即ち、第1バスバ及び第2バスバ)の締結箇所及び各バスバに掛かる外力を起因とする応力を抑制できる。
【0012】
更に、上記[1]の構成の樹脂構造体によれば、第1樹脂体が第2樹脂体よりも剛性が高い樹脂から形成されていることで、第1樹脂体は第2樹脂体よりも変形し難い。これにより、第1樹脂体と第2樹脂体との間に変位が生じるおそれがあるものの、上記同様の理由により、第1樹脂体を構成する第1ブロックと第2ブロックとの間での相対的な変位は抑制される。特に、第1ブロック及び第2ブロックを構成する樹脂材料が同じである場合には、第1ブロックと第2ブロックとの間の変位が更に強力に抑制される。つまり、本構成の樹脂構造体は、第1樹脂体及び第2樹脂体の樹脂材料が異なることによる第1ブロックと第2ブロックとの別位相への動きが起こり難くなる。この結果、本構成の樹脂構造体は、第1樹脂体を構成する第1ブロックと第2ブロックとが有するバスバ同士(即ち、第1バスバ及び第2バスバ)の締結箇所及び各バスバに掛かる外力を起因とする応力をより適正に抑制できる。
【0014】
上記[2]の構成の樹脂構造体によれば、収容部が大きさの異なる複数の第2ブロックの中で、最も大きい第2ブロックを収容できることで、搭載される車両の車種やグレード等の違いによる回路構成の異なりに対応できる。この結果、本構成の樹脂構造体は、搭載される車両の車種やグレード等に合わせて第2ブロックを選択できる。
【発明の効果】
【0015】
このように、本発明によれば、樹脂構造体を構成する複数の樹脂体が有するバスバ同士の締結箇所及び各バスバに掛かる外力を起因とする応力を抑制する樹脂構造体、を提供できる。
【0016】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る樹脂構造体の分解斜視図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係る第1樹脂体を上方から見た正面図である。
【
図3】
図3は、
図2における第1樹脂体との分解斜視図である。
【
図4】
図4は、第1ブロックと第1バスバとの分解斜視図である。
【
図5】
図5は、第2ブロックと第2バスバとの分解斜視図である。
【
図6】
図6(a)は、第1バスバと第2バスバとの締結状態を示す斜視図であり、
図6(b)は、
図6(a)における側面図である。
【
図7】
図7は、
図2とは異なる第2ブロックが選択された第1樹脂体を上方から見た正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<実施形態>
以下、図面を参照しながら、
図1に示す本発明の実施形態に係る樹脂構造体1について説明する。樹脂構造体1は、典型的には、車両に搭載され、リレー等の電子部品を収容するリレーボックス(電気接続箱)である。
【0019】
図1に示すように、樹脂構造体1は、リレーとの電子部品(及び、その他の部品、図示省略)が収容されることになるブロック本体10と、ブロック本体10の外周を取り囲むように組み付けられるフレーム20と、を含んで構成される。ブロック本体10及びフレーム20の各々は、樹脂構造体1である。ブロック本体10は、本発明の「第1樹脂体」に対応し、フレーム20は、本発明の「第2樹脂体」に対応している。
【0020】
以下、説明の便宜上、
図1~
図6に示すように、「上下方向」、「周方向」、「内外方向」、「上」、「下」、「内」及び「外」を定義する。「上下方向」、「周方向」及び「内外方向」は、互いに直交している。樹脂構造体1において、「上下方向」は、ブロック本体10とフレーム20との組付方向に対応している。「周方向」は、ブロック本体10の後述する周壁11及びフレーム20の後述する周壁21における周方向に対応し、「内外方向」は、周壁11及び周壁21における厚み方向に対応している。
【0021】
樹脂構造体1では、
図1に示すように、周方向における複数個所(本例で、4箇所)にて、係合箇所(即ち、係合部12及び係合部22)が設けられている。係合箇所では、ブロック本体10とフレーム20との組付状態にて両者の上下方向への分離を防止するために両者を係合している。以下、樹脂構造体1を構成する各部材について順に説明をする。
【0022】
まず、ブロック本体10について説明する。ブロック本体10は、ポリフェニレンエーテル(PPE)等の樹脂材料から成形され、
図1に示すように、一部が窪むとともに、上下方向に延びる略矩形筒状の周壁11を有する。ブロック本体10の周壁11には、フレーム20の係合部22と係合される係合部12が設けられている。
【0023】
図2に示すように、ブロック本体10は、ベースブロック30と、オプションブロック40と、から構成されている。具体的には、後述するベースブロック30の収容部32に、上方からオプションブロック40が組み付けられることで、ブロック本体10が構成される(
図3参照)。
【0024】
図3~
図4に示すように、ベースブロック30は、周壁31、収容部32、内壁33及び、ベース側バスバ300を含んで構成される。周壁31は、周壁11をなしており、周壁11と同様に、一部が窪むとともに、上下方向に延びる略矩形筒状の形状を有する。つまり、ベースブロック30の外形は、ブロック本体10の外形をなしている。
【0025】
収容部32は、内壁33(例えば、周壁31の内方等を含む)に囲まれて、ベースブロック30の内方に設けられる。収容部32には、オプションブロック40が組み付けられる。収容部32の大きさは、後述するように、選択可能なオプションブロック40の中で最も大きいものを収容できる。
【0026】
内壁33には、第1係合部35(
図2及び
図7参照)が設けられ、オプションブロック40の第2係合部42と係合される。具体的には、収容部32を形成する内壁33には、周方向の短手側(
図2の左右方向)において互いに重ならないように第1係合部35が複数配置されている。第1係合部35がこのように配置されることで、後述するように、収容部32に収容されるオプションブロック40の大きさによらず、収容部32の内部にオプションブロック40を適正に保持することが可能となる。そして、第1係合部35と第2係合部42とが係合されることでベースブロック30にオプションブロック40が組み付けられる。
【0027】
ベース側バスバ300は、例えば、係合部(不図示)を有し、ベース側バスバ300の係合部とベースブロック30のバスバ用係合部(不図示)とが係合されている。なお、ベース側バスバ300は、ベースブロック30にインサート成形されていてもよい。
図4及び
図6に示すように、ベース側バスバ300は、オプション側バスバ400と締結される締結部301、電子部品(例えば、ベース回路)等と接続される本体部302、及び、締結部301と本体部302とを連結する連結部303から構成されている。
【0028】
締結部301には、ボルト2が挿通される挿通孔301aが設けられる。挿通孔301aは、オプション側バスバ400の挿通孔401aとともにボルト2及びナット3によって締結される。
図4に示すように、締結部301及び本体部302は、周方向及び上下方向に離間しており、連結部303によって連結される。
【0029】
図3及び
図5に示すように、オプションブロック40は、周壁41、第2係合部42、及び、オプション側バスバ400を含んで構成される。周壁41は、上下方向に延びる略矩形筒状の形状を有し、周壁41の外方には、第2係合部42が設けられる。周壁41の外形は、収容部32に沿う形状を有している。これにより、ベースブロック30(即ち、収容部32)に、オプションブロック40が収容可能となる。
【0030】
オプション側バスバ400は、例えば、係合部(不図示)を有し、オプション側バスバ400の係合部とオプションブロック40のバスバ用係合部(不図示)とが係合されている。なお、オプション側バスバ400は、オプションブロック40にインサート成形されていてもよい。
図5~
図6に示すように、オプション側バスバは、ベース側バスバ300と締結される締結部401、電子部品(例えば、オプション回路)等と接続される本体部402、及び、締結部401と本体部402とを連結する連結部403から構成されている。
【0031】
締結部401には、ボルト2が挿通される挿通孔401aが設けられる。挿通孔401aは、ベース側バスバ300の挿通孔301aとともにボルト2及びナット3によって締結される。
図5に示すように、締結部401及び本体部402は、周方向及び上下方向に離間しており、連結部403によって連結される。
【0032】
ベース側バスバ300とオプション側バスバ400とがボルト2及びナット3によって締結されることで、ベースブロックとオプションブロックとの間に通電される。つまり、ベースブロックとオプションブロックは、一体の回路となる。
【0033】
また、ベース側バスバ300とオプション側バスバ400とがボルト2及びナット3によって締結されることで、締結部301と締結部401とが重なり合う。つまり、2枚のバスバが重なり合うことで、バスバの板厚が2倍になるため、耐熱性が高い。
【0034】
次いで、フレーム20について説明する。フレーム20は、ポリプロピレン(PP)等の樹脂材料から成形され、
図1に示すように、一部が窪むとともに、上下方向に延びる略矩形筒状の周壁21を有する。周壁21の内方には、ブロック本体10の係合部12と係合される係合部22が設けられている。周壁21の外方且つ下方には、例えば、ロアカバー(不図示)と係合されることになる係合部23が設けられている。
【0035】
なお、係合部23は、周壁21の外方且つ上方に設けられ、アッパーカバー(不図示)と係合されてもよい。更に、係合部23は、周壁21の外方且つ上方、及び、周壁21の外方且つ下方に設けられて、アッパーカバー及びロアカバーに係合されてもよい。
【0036】
次いで、オプションブロック40の選択について説明する。一般に、樹脂構造体1は、搭載される車両の車種やグレード等の違いによって回路構成が異なる。つまり、オプションブロック40は、
図2及び
図7に示すように、車種やグレード等の違いによって、必要となる回路(即ち、オプション回路)の数等が異なるため、搭載される車両によって大きさが変わる。
【0037】
図2に示すように、選択されたオプションブロック40は、ベースブロック30の収容部32と同等の大きさである(即ち、収容部32は、選択可能なオプションブロック40の中で最も大きいものを収容可能な大きさに設計されている。)。例えば、車両のグレードの観点で見ると、
図2に示すブロック本体10(即ち、樹脂構造体1)は、収容部32に最も大きいオプションブロック40が収容されていることから、ハイグレードの車両に搭載される。
【0038】
図7に示すように、選択されたオプションブロック40は、ベースブロック30の収容部32の略半分の大きさである。
図2と同様に車両のグレードの観点で見ると、
図7に示すブロック本体10(即ち、樹脂構造体1)は、ミドルグレードの車両に搭載される。つまり、
図2に示す樹脂構造体1は、
図7に示す樹脂構造体1よりもグレードが高い。
【0039】
上述したように、オプションブロック40は、仕様によって大きさが異なる。例えば、最も大きいオプションブロック40が収容されると、第1係合部35と第2係合部42とが3箇所で係合される(
図2参照)。また、最も小さいオプションブロック40が収容されると、第1係合部35と第2係合部42とが1箇所で係合される(
図7参照)。このため、樹脂構造体1は、搭載される車両の仕様によってオプションブロック40を選択することが可能である。なお、本実施形態では、第1係合部35が3箇所であるが、これに限らない。
【0040】
<作用・効果>
本実施形態に係る樹脂構造体1によれば、ブロック本体10において、ベースブロック30のベース側バスバ300とオプションブロック40のオプション側バスバ400とが締結されることで、ベースブロック30とオプションブロック40とが電気的に接続される。また、ベースブロック30の内壁33で囲まれた収容部32に、オプションブロック40が収容されることで、オプションブロック40はフレーム20と接触しない。これにより、本実施形態に係る樹脂構造体1は、従来の樹脂構造体(電気接続箱)のように、ベースブロック30とオプションブロック40とが車両内の複雑な振動に起因して、いわゆる別位相に動くことが抑制される。具体的には、オプションブロック40がベースブロック30の内壁33で囲まれた収容部32に収容されているため、オプションブロック40はベースブロック30と同方向に、いわゆる同位相に動く。つまり、本実施形態に係る樹脂構造体1は、ベースブロック30とオプションブロック40との別位相の動きが抑制される。
【0041】
更に、オプションブロック40は、ブロック本体10及びフレーム20の樹脂材料が異なる場合でも影響を受け難い。具体的には、フレーム20がブロック本体10よりも変形(例えば、歪み等)しやすい場合、ブロック本体10とフレーム20との間に変位が生じるおそれがあるものの、上記同様の理由により、ブロック本体10を構成するベースブロック30とオプションブロック40との間での相対的な変位は抑制される。特に、ベースブロック30及びオプションブロック40を構成する樹脂材料が同じである場合には、ベースブロック30とオプションブロック40との間の変位が更に強力に抑制される。つまり、本実施形態に係る樹脂構造体1は、ブロック本体10及びフレーム20の樹脂材料が異なることによるベースブロック30とオプションブロック40との別位相の動きが起こり難くなる。
【0042】
この結果、本実施形態に係る樹脂構造体1は、ブロック本体10を構成するベースブロック30とオプションブロック40とが有するバスバ同士(即ち、ベース側バスバ300及びオプション側バスバ400)の締結箇所及び各バスバに掛かる外力を起因とする応力を抑制できる。
【0043】
更に、本実施形態に係る樹脂構造体1によれば、ブロック本体10がフレーム20よりも剛性が高い樹脂から形成されていることで、ブロック本体10はフレーム20よりも変形し難い。これにより、ブロック本体10とフレーム20との間に変位が生じるおそれがあるものの、上記同様の理由により、ブロック本体10を構成するベースブロック30とオプションブロック40との間での相対的な変位は抑制される。特に、ベースブロック30及びオプションブロック40を構成する樹脂材料が同じである場合には、ベースブロック30とオプションブロック40との間の変位が更に強力に抑制される。つまり、本実施形態に係る樹脂構造体1は、ブロック本体10及びフレーム20の樹脂材料が異なることによるベースブロック30とオプションブロック40との別位相の動きが起こり難くなる。この結果、本実施形態に係る樹脂構造体1は、ブロック本体10を構成するベースブロック30とオプションブロック40とが有するバスバ同士(即ち、ベース側バスバ300及びオプション側バスバ400)の締結箇所及び各バスバに掛かる外力を起因とする応力をより適正に抑制できる。
【0044】
更に、本実施形態に係る樹脂構造体1によれば、ベースブロック30及びオプションブロック40を構成する樹脂材料が同じであることで、ベースブロック30とオプションブロック40との間の変位が更に強力に抑制される。この結果、本実施形態に係る樹脂構造体1は、ブロック本体10を構成するベースブロック30とオプションブロック40とが有するバスバ同士(即ち、ベース側バスバ300及びオプション側バスバ400)の締結箇所及び各バスバに掛かる外力を起因とする応力をより適正に抑制できる。
【0045】
更に、本実施形態に係る樹脂構造体1によれば、収容部32が大きさの異なる複数のオプションブロック40の中で、最も大きいオプションブロック40を収容できることで、搭載される車両の車種やグレード等の違いによる回路構成の異なりに対応できる。この結果、本実施形態に係る樹脂構造体1は、搭載される車両の車種やグレード等に合わせてオプションブロック40を選択できる。
【0046】
<他の形態>
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0047】
ここで、上述した本発明に係る樹脂成形体の実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]~[4]に簡潔に纏めて列記する。
[1]
電子部品が搭載されることになる第1樹脂体(ブロック本体10)と、前記第1樹脂体と組付けられる第2樹脂体(フレーム20)と、を備えた樹脂構造体(1)であって、
前記第1樹脂体(ブロック本体10)は、
第1ブロック(ベースブロック30)と、前記第1ブロックに収容される第2ブロック(オプションブロック40)とを有し、
前記第1ブロック(ベースブロック30)は、
該第1ブロックの内方に前記第2ブロックを収容する内壁(33)で囲まれた収容部(32)と、
前記第2ブロックが有する第2バスバ(オプション側バスバ400)と締結される第1バスバ(ベース側バスバ300)と、を有する、
樹脂構造体(1)。
[2]
上記[1]に記載の樹脂構造体(1)において、
前記第1樹脂体(ブロック本体10)は、前記第2樹脂体(フレーム20)よりも剛性が高い樹脂材料から構成されている、
樹脂構造体(1)。
[3]
上記[1]又は上記[2]に記載の樹脂構造体(1)において、
前記第1ブロック(ベースブロック30)と前記第2ブロック(オプションブロック40)とが同じ樹脂材料から構成されている、
樹脂構造体(1)。
[4]
上記[1]から上記[3]の何れか一項に記載の樹脂構造体(1)において、
前記第1ブロック(ベースブロック30)は、
大きさが異なる複数の前記第2ブロック(オプションブロック40)の中から、選択された一の前記第2ブロック(オプションブロック40)を前記収容部に収容可能に構成され、
前記収容部(32)は、
選択可能な前記第2ブロック(オプションブロック40)の中で、最も大きい前記第2ブロック(オプションブロック40)を収容可能である、
樹脂構造体(1)。
【符号の説明】
【0048】
1 樹脂構造体
10 ブロック本体(第1樹脂体)
20 フレーム(第2樹脂体)
30 ベースブロック(第1ブロック)
32 収容部
33 内壁
40 オプションブロック(第2ブロック)
300 ベース側バスバ(第1バスバ)
400 オプション側バスバ(第2バスバ)
401 締結部
402 本体部
403 連結部