(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】プレフィルドコンテナのための薬物貯蔵およびディスペンシングシステム
(51)【国際特許分類】
A61M 5/20 20060101AFI20231226BHJP
A61M 5/28 20060101ALI20231226BHJP
A61M 5/315 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
A61M5/20
A61M5/28
A61M5/315 510
(21)【出願番号】P 2020185882
(22)【出願日】2020-11-06
(62)【分割の表示】P 2017537950の分割
【原出願日】2016-01-15
【審査請求日】2020-11-18
【審判番号】
【審判請求日】2022-06-28
(32)【優先日】2015-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】310021434
【氏名又は名称】ベクトン ディキンソン フランス
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アマンダ ブラック
(72)【発明者】
【氏名】ジャスティン ライト
(72)【発明者】
【氏名】エルヴェ モンショワ
(72)【発明者】
【氏名】ダミアン マレシャル
(72)【発明者】
【氏名】エリック シュナイダー
(72)【発明者】
【氏名】チェット ラロー
【合議体】
【審判長】内藤 真徳
【審判官】井上 哲男
【審判官】安井 寿儀
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-531269(JP,A)
【文献】特開2004-236734(JP,A)
【文献】特開2005-287944(JP,A)
【文献】特開2004-121467(JP,A)
【文献】国際公開第2011/108225(WO,A1)
【文献】国際公開第2011/148643(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/20
A61M 5/315
A61M 5/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の薬剤を有する第1のプレフィルドコンテナ、および、第2の薬剤を有する第2のプレフィルドコンテナのための注射デバイスであって、複数のシリンジグリップ部材を含み、前記第1のプレフィルドコンテナおよび前記第2のプレフィルドコンテナのいずれか一方に除去可能にかつ選択的に係合可能となるように適合されている係合アセンブリを含み、前記注射デバイスは、前記注射デバイスの中に移動可能に配設されているプランジャロッドを有しており、
前記注射デバイスが前記第1のプレフィルドコンテナに係合されている状態では、前記注射デバイスは、前記注射デバイスの中に存在する機械的なアクチュエータまたは電気機械的なアクチュエータのいずれかによって前記プランジャロッド
を作動させ、前記第1のプレフィルドコンテナから前記第1の薬剤を放出するように構成されており、
前記注射デバイスが前記第2のプレフィルドコンテナに係合されている状態では、前記注射デバイスは、前記注射デバイスの中に存在する機械的なアクチュエータまたは電気機械的なアクチュエータのいずれかによって前記プランジャロッド
を作動させ、前記第2のプレフィルドコンテナから前記第2の薬剤を放出するように適合され、
プレフィルドコンテナを前記注射デバイスの中へ後退させるように適合されている後退アセンブリをさらに含み、
前記後退アセンブリは、第1の位置と第2の位置との間で移行可能であり、前記第1の位置では、前記複数のシリンジグリップ部材が、前記プレフィルドコンテナに係合するように前記注射デバイスの外側にあり、前記第2の位置では、前記プレフィルドコンテナが、前記注射デバイスの中に含まれていることを特徴とする注射デバイス。
【請求項2】
前記複数のシリンジグリップ部材は、弾性的に変形可能であることを特徴とする請求項1に記載の注射デバイス。
【請求項3】
前記後退アセンブリは、レールと、前記レールに移動可能に取り付けられているキャリッジとを含むことを特徴とする請求項1に記載の注射デバイス。
【請求項4】
前記後退アセンブリが前記第2の位置にあり、前記プレフィルドコンテナが前記注射デバイスの中にある状態で、前記注射デバイスは、前記複数のシリンジグリップ部材を前記プレフィルドコンテナにロックするように適合されているロッキングアセンブリをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の注射デバイス。
【請求項5】
前記プレフィルドコンテナは、読み取り可能な情報部分を含み、前記注射デバイスは、スキャンアセンブリをさらに含み、前記スキャンアセンブリは、前記プレフィルドコンテナが前記第2の位置にある状態で、前記読み取り可能な情報部分をスキャンするように適合されていることを特徴とする請求項1に記載の注射デバイス。
【請求項6】
前記プレフィルドコンテナが前記第2の位置にある状態で、前記プレフィルドコンテナを回転させるための回転アセンブリをさらに含むことを特徴とする請求項5に記載の注射デバイス。
【請求項7】
前記読み取り可能な情報部分は、バーコード、QRコード、データマトリックス、およびRFIDタグのうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項5に記載の注射デバイス。
【請求項8】
アクチュエータアセンブリをさらに含み、
前記注射デバイスが前記第1のプレフィルドコンテナに係合されている状態で、前記アクチュエータアセンブリは、前記注射デバイスの中に存在する機械的なアクチュエータまたは電気機械的なアクチュエータのいずれかによって前記プランジャロッド
を作動させ、前記第1のプレフィルドコンテナから前記第1の薬剤を放出し、
前記注射デバイスが前記第2のプレフィルドコンテナに係合されている状態で、前記アクチュエータアセンブリは、前記注射デバイスの中に存在する機械的なアクチュエータまたは電気機械的なアクチュエータのいずれかによって前記プランジャロッド
を作動させ、前記第2のプレフィルドコンテナから前記第2の薬剤を放出することを特徴とする請求項1に記載の注射デバイス。
【請求項9】
前記注射デバイスにおいて、前記プレフィルドコンテナが第1の位置へ移動して戻された後、前記プレフィルドコンテナを外側に押し出すことにより前記注射デバイスからプレフィルドコンテナを
プランジャロッドによりイジェクトさせるように適合されているイジェクションアセンブリをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の注射デバイス。
【請求項10】
請求項1に記載の注射デバイスを含む注射システムであって、前記第1のプレフィルドコンテナおよび前記第2のプレフィルドコンテナは情報を含む読み取り可能な情報部分を含み、
前記注射デバイスは、前記プレフィルドコンテナが前記注射デバイスの中に含まれている状態で前記読み取り可能な情報部分をスキャンするように適合されているスキャンアセンブリ、および、前記情報を送信するための送信器を含み、
前記注射デバイスから送信される前記情報を受け入れる電子データベースであって、前記情報を検証するように適合されており、また、前記注射デバイスを使用する注射に関するポジティブフィードバックを提供する信号を前記注射デバイスに送信するように適合されている、電子データベースと
を含むことを特徴とする注射システム。
【請求項11】
前記読み取り可能な情報部分は、バーコード、QRコード、データマトリックス、およびRFIDタグのうちの少なくとも1つであることを特徴とする請求項10に記載の注射システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2015年1月16日に出願された米国仮出願第62/104,130号の優先権を主張しており、それは、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
本開示は、概して、薬物貯蔵およびディスペンシングシステム(drug storage and dispensing system)に関する。より具体的には、本開示は、プレフィルドコンテナ(充填済み容器)のための薬物貯蔵およびディスペンシングシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
従来のシリンジは、医療分野においてよく知られており、薬剤のバイアル(vial)に関連して使用されることになり、患者への流体の注射および送達の直前に、ユーザは、流体をシリンジの中へ収集し、または引き込む。一般に、皮下注射シリンジは、「プレフィルド」デバイスとしてパッケージ化され得、パッケージ化される前に、および、患者に送達される前に、シリンジは、薬剤で事前充填される。このように、ユーザが注射の前にデバイスを充填する必要がなく、それによって、時間を節約し、送達のための一貫した体積を維持する。
【0004】
しかし、そのようなプレフィルドシリンジのパッケージングは、かさ張る傾向があり、出荷および貯蔵するのに困難となる傾向がある。プレフィルドシリンジは、典型的に、バレルの前方端部における開口部がその上にキャップを含む状態でパッケージ化されており、また、プランジャロッドがシリンジバレルの後方端部から後退され、流体がシリンジバレルの中に事前充填された状態でパッケージ化されている。そのようなパッケージングは、細長いパッケージを生成し、細長いパッケージは、出荷および貯蔵に関して扱いにくい可能性がある。
【0005】
プレフィルドシリンジおよびプレフィルド定量投与シリンジは、生産設備において、薬剤などのような流体で充填され、パッケージ化され、次いで、医療施設に出荷されることが多い。施設に出荷されると、これらのシリンジは、制御された貯蔵庫および/または鍵の掛かったキャビネットの中に設置されることが多く、シリンジ自体の盗難、および/または、これらのシリンジの内容物の盗難を低減させる。これらの制御された貯蔵場所の中のスペースは、限られていることが多く、したがって、コールドチェーン(低温流通体系)の中でそのようなコンテナによって占有されるスペースを最小化する、プレフィルド薬物コンテナのための貯蔵フォーマットが求められている。コールドチェーンスペースは、特に発展途上の領域において、プレフィルドコンテナへの転換を抑制するもののうちの1つである。
【0006】
さらに、薬物コンテナは、医療専門家が薬物コンテナの内容物を識別することを助けるための情報を含む必要がある。薬剤が薬物コンテナに移された時点から、その投与の瞬間まで、薬物コンテナの内容物が積極的に識別されることができない場合には、間違っている薬剤または間違っている投与量を与えるというようなエラーが容易に生じる可能性がある。
【0007】
誤ったかつ意図されたものではない薬剤の結果は、患者への悪影響、および、医療産業へのかなりのコストを含む。これらのエラーに関する潜在的な原因には、ラベルが付されていない薬物コンテナまたは不十分なラベルが付された薬物コンテナに起因して、薬物コンテナの内容物が不明確であることが含まれ、また、どの薬物が投与されたか、ならびに、投与された薬物の濃度および量の不十分な記録管理が含まれる。
【0008】
薬物コンテナの内容物をその内容物の外観に基づいて識別することは、信頼性がない。薬剤のうちのいくつかは、外観が同一またはほぼ同一であるので、薬剤の視覚的な識別は非常に困難である。
【0009】
そのうえ、使用されるシリンジのニードル先端部の保護は、偶発的な針刺し負傷を招くリスクを低減させるために重要である。病気の感染および伝染についての懸念によって、使用される針を囲むための方法およびデバイスは、非常に重要であり、大きな需要がある。
【発明の概要】
【0010】
本開示は、ニードルシールドを有し、薬剤を含むプレフィルドコンテナのためのパッケージングユニットおよび注射デバイスを有する薬物貯蔵およびディスペンシングシステムを提供する。本開示の薬物貯蔵およびディスペンシングシステムは、コールドチェーンの中でそのようなコンテナによって占有されるスペースを最小化しながら、薬物投与を提供する。薬物貯蔵およびディスペンシングシステムのパッケージングユニットは、コンテナ保持部分を含み、コンテナ保持部分は、プレフィルドコンテナをパッケージングユニットから除去するときに、プレフィルドコンテナのニードルシールドを自動的に除去するように適合(adapted)されている。このように、薬物貯蔵およびディスペンシングシステムは、医療従事者がニードルシールドを手動で除去する必要がないので、針刺し損傷のリスクを最小化する。薬物貯蔵およびディスペンシングシステムの注射デバイスは、コンテナが実際に使用されるまで、プランジャロッドがコンテナに係合されていないときに、シリンジなどのようなコンテナを自動的に無効化する新規な方式を提供する。薬物貯蔵およびディスペンシングシステムは、注射を実施するために必要とされるステップの数の低減を提供し、したがって、集団予防接種運動における生産性および効率の向上を提供する。薬物貯蔵およびディスペンシングシステムは、それぞれの注射に関する情報を記録し、記憶し、かつ送信するための、自動化された安全な方式を提供する。また、薬物貯蔵およびディスペンシングシステムは、患者ID、ワクチンコンテナID、ワクチン接種場所および時間、ならびに、上記の情報をリアルタイムで中央レポジトリに送信する能力のリアルタイムの照合を提供する。本開示の薬物貯蔵およびディスペンシングシステムは、大規模な集団に対する予防接種の進行状況の適時に頻繁な報告が必要とされるパンデミックの状況において、特に有用である。
【0011】
本発明の実施形態によれば、ニードルシールドをそれぞれ有する複数のプレフィルドコンテナのためのパッケージングユニットは、複数のプレフィルドコンテナをその中に受け入れるようにサイズ決めおよび適合されている受け入れキャビティを画定するタブ部材と、タブ部材の中に固定可能なネスト部材であって、それぞれのプレフィルドコンテナをその中に受け入れるように適合されている複数のコンテナ保持部分を有しており、コンテナ保持部分のそれぞれは、係合部材を有しており、係合部材は、パッケージングユニットのコンテナ保持部分からそれぞれのプレフィルドコンテナを除去するときに、それぞれのプレフィルドコンテナのニードルシールドを自動的に除去するように適合されている、ネスト部材とを含む。
【0012】
1つの構成では、パッケージングユニットは、タブ部材に除去可能に固定可能な封止部材をさらに含む。別の構成では、封止部材は、カバーである。さらに別の構成では、プレフィルドコンテナのそれぞれは、その中に配設されている薬剤を含む。1つの構成では、係合部材は、複数の弾性的に変形可能なフィンを含む。
【0013】
本発明の別の実施形態によれば、それぞれニードルシールドを有しており、薬剤を含む、複数のプレフィルドコンテナのための薬物貯蔵およびディスペンシングシステムは、複数のプレフィルドコンテナをその中に受け入れるようにサイズ決めおよび適合されている受け入れキャビティを画定するタブ部材、および、タブ部材の中に固定可能なネスト部材であって、それぞれのプレフィルドコンテナをその中に受け入れるように適合されている複数のコンテナ保持部分を有しており、コンテナ保持部分のそれぞれは、係合部材を有しており、係合部材は、パッケージングユニットのコンテナ保持部分からそれぞれのプレフィルドコンテナを除去するときに、それぞれのプレフィルドコンテナのニードルシールドを自動的に除去するように適合されている、ネスト部材を含む、パッケージングユニットと、それぞれのプレフィルドコンテナから薬剤を自動的に注射するための注射デバイスとを含み、注射デバイスは、それぞれのプレフィルドコンテナのそれぞれに除去可能に係合可能となるように適合されている係合部分を有しており、注射デバイスは、注射デバイスの中に移動可能に配設されているプランジャロッドを有し、注射デバイスがそれぞれのプレフィルドコンテナ係合されている状態で、注射デバイスは、プランジャロッドを自動的に作動させ、それぞれのプレフィルドコンテナから薬剤を放出(expel)するように適合されている。
【0014】
1つの構成では、プレフィルドコンテナのそれぞれは、読み取り可能な情報部分を含む。別の構成では、読み取り可能な情報部分の少なくとも一部は、バーコードである。1つの構成では、読み取り可能な情報部分の少なくとも一部は、無線周波数識別タグである。さらに別の構成では、注射デバイスは、それぞれのプレフィルドコンテナの読み取り可能な情報部分を読み取るように適合されているスキャナ部分を含む。1つの構成では、プレフィルドコンテナのそれぞれは、安全シールドを含み、安全シールドは、注射が完了した後に、それぞれのプレフィルドコンテナのニードル先端部を自動的にシールドするように適合されている。別の構成では、注射デバイスの係合部分は、ねじ山付きの部分を含む。
【0015】
本発明の別の実施形態によれば、第1のニードルシールドを有しており、第1の薬剤を含む、第1のプレフィルドコンテナ、および、第2のニードルシールドを有しており、第2の薬剤を含む、第2のプレフィルドコンテナのための薬物貯蔵およびディスペンシングシステムは、第1のプレフィルドコンテナおよび第2のプレフィルドコンテナをその中に受け入れるようにサイズ決めおよび適合されている受け入れキャビティを画定するタブ部材、ならびに、タブ部材の中に固定可能なネスト部材であって、第1のプレフィルドコンテナをその中に受け入れるように適合されている第1のコンテナ保持部分、および、第2のプレフィルドコンテナをその中に受け入れるように適合されている第2のコンテナ保持部分を有しており、第1のコンテナ保持部分は、第1の係合部材を有しており、第1の係合部材は、パッケージングユニットの第1のコンテナ保持部分から第1のプレフィルドコンテナを除去するときに、第1のプレフィルドコンテナの第1のニードルシールドを自動的に除去するように適合されており、第2のコンテナ保持部分は、第2の係合部材を有しており、第2の係合部材は、パッケージングユニットの第2のコンテナ保持部分から第2のプレフィルドコンテナを除去するときに、第2のプレフィルドコンテナの第2のニードルシールドを自動的に除去するように適合されている、ネスト部材を含む、パッケージングユニットと、第1のプレフィルドコンテナから第1の薬剤を自動的に注射するための、および、第2のプレフィルドコンテナから第2の薬剤を自動的に注射するための注射デバイスとを含み、注射デバイスは、第1のプレフィルドコンテナおよび第2のプレフィルドコンテナに除去可能に係合可能となるように適合されている係合部分を有しており、注射デバイスは、注射デバイスの中に移動可能に配設されているプランジャロッドを有し、注射デバイスが第1のプレフィルドコンテナに係合されている状態で、注射デバイスは、プランジャロッドを自動的に作動させ、第1のプレフィルドコンテナから第1の薬剤を放出するように適合されており、注射デバイスが第2のプレフィルドコンテナに係合されている状態で、注射デバイスは、プランジャロッドを自動的に作動させ、第2のプレフィルドコンテナから第2の薬剤を放出するように適合されている。
【0016】
1つの構成では、第1のプレフィルドコンテナおよび第2のプレフィルドコンテナは、読み取り可能な情報部分をそれぞれ含む。別の構成では、読み取り可能な情報部分の少なくとも一部は、バーコードである。さらに別の構成では、注射デバイスは、第1のプレフィルドコンテナおよび第2のプレフィルドコンテナの読み取り可能な情報部分を読み取るように適合されているスキャナ部分を含む。1つの構成では、第1のプレフィルドコンテナおよび第2のプレフィルドコンテナは、安全シールドをそれぞれ含み、安全シールドは、注射が完了した後に、第1のプレフィルドコンテナおよび第2のプレフィルドコンテナのそれぞれのニードル先端部を自動的にシールドするように適合されている。別の構成では、注射デバイスの係合部分は、ねじ山付きの部分を含む。さらに別の構成では、読み取り可能な情報部分の少なくとも一部は、無線周波数識別タグである。
【0017】
本発明の別の実施形態によれば、第1の薬剤を有する第1のプレフィルドコンテナ、および、第2の薬剤を有する第2のプレフィルドコンテナのための注射デバイスであって、第1のプレフィルドコンテナおよび第2のプレフィルドコンテナに除去可能に係合可能となるように適合されている係合アセンブリを含み、注射デバイスは、注射デバイスの中に移動可能に配設されているプランジャロッドを有しており、注射デバイスが第1のプレフィルドコンテナに係合されている状態で、注射デバイスは、プランジャロッドを自動的に作動させ、第1のプレフィルドコンテナから第1の薬剤を放出するように構成されており、注射デバイスが第2のプレフィルドコンテナに係合されている状態で、注射デバイスは、プランジャロッドを自動的に作動させ、第2のプレフィルドコンテナから第2の薬剤を放出するように適合されている。
【0018】
1つの構成では、係合アセンブリは、複数のシリンジグリップ部材を含む。別の構成では、複数のシリンジグリップ部材は、弾性的に変形可能である。さらに別の構成では、注射デバイスは、プレフィルドコンテナを注射デバイスの中へ後退させるように適合されている後退アセンブリを含む。1つの構成では、後退アセンブリは、第1の位置と第2の位置との間で移行可能であり、第1の位置では、複数のシリンジグリップ部材が、プレフィルドコンテナに係合するように注射デバイスの外側にあり、第2の位置では、プレフィルドコンテナが、注射デバイスの中に含まれている。別の構成では、後退アセンブリは、レールと、レールに移動可能に取り付けられているキャリッジとを含む。さらに別の構成では、後退アセンブリが第2の位置にあり、プレフィルドコンテナが注射デバイスの中にある状態で、注射デバイスは、複数のシリンジグリップ部材をプレフィルドコンテナにロックするように適合されているロッキングアセンブリをさらに含む。1つの構成では、プレフィルドコンテナは、バーコードを含み、注射器デバイスは、スキャンアセンブリをさらに含み、スキャンアセンブリは、プレフィルドコンテナが第2の位置にある状態で、バーコードをスキャンするように適合されている。別の構成では、注射デバイスは、プレフィルドコンテナが第2の位置にある状態で、プレフィルドコンテナを回転させるための回転アセンブリを含む。さらに別の構成では、注射デバイスは、アクチュエータアセンブリをさらに含み、注射デバイスが第1のプレフィルドコンテナに係合されている状態で、アクチュエータアセンブリは、プランジャロッドを自動的に作動させ、第1のプレフィルドコンテナから第1の薬剤を放出し、注射デバイスが第2のプレフィルドコンテナに係合されている状態で、アクチュエータアセンブリは、プランジャロッドを自動的に作動させ、第2のプレフィルドコンテナから第2の薬剤を放出する。1つの構成では、注射デバイスは、注射デバイスからプレフィルドコンテナを自動的にイジェクトさせるように適合されているイジェクションアセンブリを含む。
【0019】
本発明の別の実施形態によれば、システムは、薬剤、および、情報を含むバーコードを有するプレフィルドコンテナのための注射デバイスであって、プレフィルドコンテナに除去可能に係合可能となるように適合されている係合アセンブリ、プレフィルドコンテナが注射デバイスの中に含まれている状態でバーコードをスキャンするように適合されているスキャンアセンブリ、および、情報を送信するための送信器を含む、注射デバイスと、注射デバイスから送信される情報を受け入れる電子データベースであって、情報を検証するように適合されており、また、注射デバイスを使用する注射に関するポジティブフィードバックを提供する信号を注射デバイスに送信するように適合されている、電子データベースとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0020】
本開示の上述の特徴および利点ならびに他の特徴および利点、ならびに、それらを得る様式は、より明らかになり、また、本開示自体は、添付の図面とともに見て、本開示の実施形態の以下の説明を参照することによって、より良好に理解されよう。
【
図1】本発明の実施形態による、複数のプレフィルドコンテナのための薬物貯蔵およびディスペンシングシステムのパッケージングユニットの分解斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態による、複数のプレフィルドコンテナのための薬物貯蔵およびディスペンシングシステムのパッケージングユニットの組立斜視図である。
【
図3】本発明の実施形態による、封止部材がパッケージングユニットに固定されている、複数のプレフィルドコンテナのための薬物貯蔵およびディスペンシングシステムのパッケージングユニットの組立斜視図である。
【
図4】本発明の実施形態による、複数のプレフィルドコンテナのための薬物貯蔵およびディスペンシングシステムのパッケージングユニットおよび注射デバイスの斜視図である。
【
図5A】本発明の実施形態による、プレフィルドコンテナの側部立面図である。
【
図5B】本発明の別の実施形態による、プレフィルドコンテナの断面図である。
【
図6】本発明の実施形態による、プレフィルドコンテナに係合されている薬物貯蔵およびディスペンシングシステムの注射デバイスの断面図である。
【
図7A】本発明の実施形態による、薬物貯蔵およびディスペンシングシステムのパッケージングユニットのコンテナ保持部分の側部立面図である。
【
図7B】本発明の実施形態による、プレフィルドコンテナのニードルシールドに係合されている薬物貯蔵およびディスペンシングシステムのパッケージングユニットのコンテナ保持部分の断面図である。
【
図8】本発明の実施形態による、注射の前にプレフィルドコンテナのニードル先端部を保護するように取り囲む安全シールドを有するプレフィルドコンテナに係合されている、薬物貯蔵およびディスペンシングシステムの注射デバイスの断面図である。
【
図9】本発明の実施形態による、注射の間の安全シールドを有するプレフィルドコンテナに係合されている、薬物貯蔵およびディスペンシングシステムの注射デバイスの断面図である。
【
図10】本発明の実施形態による、注射が完了した後にプレフィルドコンテナのニードル先端部を保護するように取り囲む安全シールドを有するプレフィルドコンテナに係合されている、薬物貯蔵およびディスペンシングシステムの注射デバイスの断面図である。
【
図11】本発明の実施形態による、注射デバイスの斜視図である。
【
図12】本発明の実施形態による、注射デバイスの立面図である。
【
図13】本発明の実施形態による、注射デバイスの立面図である。
【
図14】本発明の実施形態による、注射デバイスの立面図である。
【
図15】本発明の実施形態による、注射デバイスの立面図である。
【
図16】本発明の実施形態による、注射デバイスの立面図である。
【
図17】本発明の実施形態による、注射デバイスの立面図である。
【
図18】本発明の実施形態による、ハウジングの一部分が除去されている状態の注射デバイスの斜視図である。
【
図19】本発明の実施形態による、本開示の注射デバイスを使用する第1のステップの斜視図である。
【
図20】本発明の実施形態による、本開示の注射デバイスを使用する第2のステップの斜視図である。
【
図21】本発明の実施形態による、本開示の注射デバイスを使用する第3のステップの斜視図である。
【
図22】本発明の実施形態による、本開示の注射デバイスを使用する第4のステップの斜視図である。
【
図23】本発明の実施形態による、本開示の注射デバイスを使用する第1のステップの斜視図である。
【
図24】本発明の実施形態による、本開示の注射デバイスを使用する第2のステップの斜視図である。
【
図25】本発明の実施形態による、注射デバイスの斜視図である。
【
図26】本発明の実施形態による、注射デバイスの立面図である。
【
図27】本発明の実施形態による、注射デバイスの係合アセンブリの一部分の部分断面図である。
【
図28】本発明の実施形態による、注射デバイスの係合アセンブリの斜視図である。
【
図29】本発明の実施形態による、注射デバイスの係合アセンブリの斜視図である。
【
図30】本発明の実施形態による、パッケージングユニットの中のコンテナに係合している注射デバイスの係合アセンブリの斜視図である。
【
図31】本発明の実施形態による、後退アセンブリを図示するためにハウジングが隠されている状態の、第1の位置にある注射デバイスの斜視図である。
【
図32】本発明の実施形態による、後退アセンブリを図示するためにハウジングが隠されている状態の、第2の位置にある注射デバイスの斜視図である。
【
図33】本発明の実施形態による、後退アセンブリを図示するためにハウジングが隠されている状態の、第1の位置にある注射デバイスの斜視図である。
【
図34】本発明の実施形態による、後退アセンブリを図示するためにハウジングが隠されている状態の、第2の位置にある注射デバイスの斜視図である。
【
図35】本発明の実施形態による、ロッキングアセンブリを図示するためにハウジングが隠されている状態の、第1の位置にある注射デバイスの部分的な斜視断面図である。
【
図36】本発明の実施形態による、ロッキングアセンブリを図示するためにハウジングが隠されている状態の、第2の位置にある注射デバイスの部分的な斜視断面図である。
【
図37】本発明の実施形態による、ロッキングアセンブリを図示するためにハウジングが隠されている状態の、第3の位置にある注射デバイスの部分的な斜視断面図である。
【
図38】本発明の実施形態による、注射デバイスのスキャンアセンブリの断面図である。
【
図39】本発明の実施形態による、注射デバイスの回転アセンブリの斜視図である。
【
図40】本発明の実施形態による、注射デバイスの回転アセンブリの斜視図である。
【
図41】本発明の実施形態による、注射デバイスの回転アセンブリの側面部分断面図である。
【
図42】本発明の実施形態による、注射デバイスの回転アセンブリの分解斜視図である。
【
図43】本発明の実施形態による、注射デバイスのアクチュエータアセンブリの斜視図である。
【
図44】本発明の実施形態による、注射デバイスのプランジャロッドの部分断面図である。
【
図45】本発明の実施形態による、注射デバイスのアクチュエータアセンブリの断面図である。
【
図46】本発明の実施形態による、注射デバイスのアクチュエータアセンブリの断面図である。
【
図47】本発明の実施形態による、注射デバイスのイジェクションアセンブリの部分斜視図である。
【
図48】本発明の実施形態による、システムの斜視図である。
【
図49A】本発明の実施形態による、注射デバイスのための第1のコンテナの側面図である。
【
図49B】本発明の実施形態による、注射デバイスのための第2のコンテナの側面図である。
【
図50A】本発明の実施形態による、注射デバイスのための第1のコンテナの斜視図である。
【
図50B】本発明の実施形態による、注射デバイスのための第2のコンテナの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
対応する参照文字は、いくつかの図を通して、対応するパーツを示している。本明細書で述べられている例証は、本開示の例示的な実施形態を図示しており、そのような例証は、いかなる様式にも、本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
【0022】
以下の説明は、本発明を実施するために企図された説明されている実施形態を、当業者が作製および使用することを可能にするために提供される。しかし、さまざまな修正例、均等物、変形例、および代替例が、依然として、当業者に容易に明らかになろう。任意のおよびすべてのそのような修正例、変形例、均等物、および代替例は、本発明の要旨および範囲の中に入ることが意図されている。
【0023】
以降での説明の目的のために、「上側」、「下側」、「右」、「左」、「垂直方向」、「水平方向」、「上部」、「底部」、「横方向」、「長手方向」という用語、および、その派生語は、それが図面の中で配向されているときに、本発明に関連することになる。しかし、本発明は、反対のことが明示的に特定されている場合を除いて、さまざまな代替的な変形例をとることが可能であることを理解されたい。また、添付の図面に図示されており、以下の明細書において説明されている特定のデバイスは、単に、本発明の例示的な実施形態であることを理解されたい。したがって、本明細書で開示されている実施形態に関連する特定の寸法および他の物理的な特性は、限定としてみなされるべきではない。
【0024】
図1~
図10は、本開示の例示的な実施形態を図示している。
図1~
図10を参照すると、複数のプレフィルドコンテナ12のための薬物貯蔵およびディスペンシングシステム10は、より詳細に下記に説明されるように、パッケージングユニット14および注射デバイス16を含む。本開示の薬物貯蔵およびディスペンシングシステム10は、コールドチェーンの中でそのようなコンテナによって占有されるスペースを最小化しながら、薬物貯蔵および投与を提供する。薬物貯蔵およびディスペンシングシステム10のパッケージングユニット14は、コンテナ保持部分を含み、コンテナ保持部分は、プレフィルドコンテナ12をパッケージングユニット14から除去するときに、プレフィルドコンテナ12のニードルシールドを自動的に除去するように適合されている。このように、薬物貯蔵およびディスペンシングシステム10は、医療従事者がニードルシールドを手動で除去する必要がないので、針刺し損傷のリスクを最小化する。薬物貯蔵およびディスペンシングシステム10の注射デバイス16は、コンテナ12が実際に使用されるまで、プランジャロッドがコンテナ12に係合されていないときに、シリンジ100などのようなコンテナ12を自動的に無効化する新規な方式を提供する。薬物貯蔵およびディスペンシングシステム10は、注射を実施するために必要とされるステップの数の低減を提供し、したがって、集団予防接種運動における生産性および効率の向上を提供する。
【0025】
薬物貯蔵およびディスペンシングシステム10は、それぞれの注射に関する情報を記録し、記憶し、かつ送信するための、自動化された安全な方式を提供する。また、薬物貯蔵およびディスペンシングシステム10は、患者ID、ワクチンコンテナID、ワクチン接種場所および時間、ならびに、上記の情報をリアルタイムで中央レポジトリ(repository)に送信する能力のリアルタイムの照合を提供する。本開示の薬物貯蔵およびディスペンシングシステム10は、大規模な集団に対する予防接種の進行状況の適時に頻繁な報告が必要とされるパンデミックの状況において、特に有用である。
【0026】
本開示の薬物貯蔵およびディスペンシングシステム10は、複数の異なるプレフィルドコンテナと相性が良い。1つの実施形態では、薬物貯蔵およびディスペンシングシステム10は、シリンジ100と相性が良い。たとえば、薬物貯蔵およびディスペンシングシステム10は、Becton,Dickinson and Companyから、従来から入手可能なシリンジと相性が良い。いくつかの実施形態では、薬物貯蔵およびディスペンシングシステム10は、Becton,Dickinson and Companyから市販されているステーキドニードルシリンジ(staked needle syringe)および/またはルアーロックシリンジと相性が良い可能性がある。他の実施形態では、薬物貯蔵およびディスペンシングシステム10は、他の形態のプレフィルドコンテナと相性が良い。
【0027】
本開示の薬物貯蔵およびディスペンシングシステム10は、たとえば、皮下注射、筋肉内注射、もしくは皮内注射に関して使用され得、また、アキュスプレー(Accuspray)を装備したシリンジのケースでは、経鼻投与に関して使用され得、または、他のタイプの注射に関して使用され得る。
【0028】
上記に議論されているように、1つの実施形態では、プレフィルドコンテナ12は、シリンジ100である。1つの実施形態では、複数のシリンジ100は、ニードルシールド102をそれぞれ含み、その中に配設されている薬剤104を含む。
図5Aおよび
図7Bを参照すると、1つの実施形態では、ニードルシールド102は、より詳細に下記に説明されるように、パッケージングユニット14の一部分に係合するための開口部106を含む。
【0029】
図5Aおよび
図5Bを参照すると、1つの実施形態では、シリンジ100は、シリンジバレル124、ニードルハブ126、鋭い先端部129を有するカニューレ128、開口部106を有するニードルシールド102、および安全シールド108を含む。安全シールド108は、注射が完了した後に、それぞれのプレフィルドコンテナのニードル先端部を自動的にシールドするように適合されている。シリンジ100は、流体のディスペンシングおよび送達のために適合されている。たとえば、シリンジ100は、薬剤などのような流体を患者の中へ注射または注入するために使用され得る。
【0030】
図5Aおよび
図5Bを参照すると、シリンジバレル124は、一般的に、第1の端部または遠位端部132と第2の端部または近位端部134との間に延在する側壁部130を含む。側壁部130は、シリンジバレル124の細長い開口または内部チャンバ136を画定する。1つの実施形態では、内部チャンバ136は、シリンジバレル124の範囲に広がっていることが可能であり、シリンジバレル124が、その全長に沿ってカニューレを挿入されるようになっている。1つの実施形態では、シリンジバレル124は、当技術分野で知られているような細長い円筒形状のバレルの一般的な形態になっていることが可能であり、皮下注射シリンジの一般的な形状になっていることが可能である。代替的実施形態では、シリンジバレル124は、送達するための流体を含むための他の形態になっており、たとえば、細長い長方形バレルの一般的な形態などになっていることが可能である。シリンジバレル124は、ガラスから形成され得、または、当業者に知られている技法にしたがって、ポリプロピレンおよびポリエチレンなどのような熱可塑性の材料から射出成形され得るが、シリンジバレル124は、他の適用可能な技法にしたがって、他の適切な材料から作製され得ることが認識されるべきである。特定の構成では、シリンジバレル124は、近位端部134の少なくとも一部分の周りに、外向きに延在するフランジ140を含むことが可能である。
【0031】
シリンジバレル124の遠位端部132は、出口開口部138を含み、出口開口部138は、チャンバ136に流体連通している。出口開口部138は、カニューレ128に係合するようにサイズ決めおよび適合され得る。1つの実施形態では、カニューレ128は、シリンジバレル124の遠位端部132との係合のためのニードルハブ126を含む。
【0032】
シリンジバレル124の近位端部134は、一般的に開口端になっているが、本明細書で議論されているように、外部環境に対して閉鎖および封止されることが意図されている。また、シリンジバレル124は、シリンジバレル124の内部チャンバ136の中に含まれている流体のレベルまたは量に関する指示を提供するためのマーキング、たとえば、側壁部130の上に位置付けされている目盛りなどを含むことが可能である。そのようなマーキングは、側壁部130の外部表面の上に提供されるか、側壁部130の内部表面の上に提供されるか、または、一体的に形成されるか、または、そうでなければ、シリンジバレル124の側壁部130の中に提供され得る。他の実施形態では、あるいは、または、それに加えて、マーキングは、シリンジの内容物の説明、または、当技術分野で公知であり得るような他の識別情報、たとえば、最大充填ラインおよび/または最小充填ラインなどを提供することも可能である。
【0033】
本開示のシリンジ100は、プレフィルドシリンジであることが可能であり、したがって、製造業者によって事前充填された、シリンジバレル124の内部チャンバ136の中に含まれている、薬剤または薬物などのような流体を伴う最終用途のために提供され得る。このように、シリンジ100は、製造され、薬剤を事前充填され、殺菌され、ならびに、送達、貯蔵、および、エンドユーザによる使用のためにパッケージングユニット14の中にパッケージ化され得る。そのような実施形態では、シリンジ100は、封止部材を含むことが可能であり、封止部材は、シリンジバレル124の近位端部134に配設され、シリンジバレル124の内部チャンバ136の中の薬剤などのような流体を封止する。
【0034】
いくつかの実施形態では、シリンジバレル124は、ストッパを含むことが可能であり、ストッパは、内部チャンバ136の中に移動可能にまたはスライド可能に配設されており、シリンジバレル124の側壁部130の内部表面に密封接触している。ストッパは、シリンジバレル124に対してサイズ決めされ、シリンジバレル124の側壁部130の内部表面との密封係合を提供することが可能である。追加的に、ストッパは、ストッパの周囲部に延在する1または複数の環状のリブを含むことが可能であり、ストッパとシリンジバレル124の側壁部130の内部表面との間の密封係合を増加させる。代替的実施形態では、単数のOリングまたは複数のOリングが、ストッパの周りに円周方向に配設され、側壁部130の内部表面との密封係合を増加させることが可能である。
【0035】
他の実施形態では、ストッパは、注射デバイス16の中に移動可能に配設されているプランジャロッド64に係合され得る。
【0036】
図5Aおよび
図5Bを参照すると、シリンジ100は、ニードルシールド102を含み、ニードルシールド102は、カニューレ128の鋭い先端部129を保護するように取り囲んでカバーする。このように、カニューレ128のどの部分も露出されず、それによって、偶発的な針刺し損傷のリスクを著しく低減させる。ニードルシールド102は、パッケージングユニット14の一部分に係合可能であり、より詳細に下記に説明されているように、それぞれのプレフィルドコンテナ12をパッケージングユニット14から除去すると、それぞれのプレフィルドコンテナ12のニードルシールド102の自動的な除去を可能にする。
【0037】
また、シリンジ100は、安全機構を含み、安全機構は、注射が完了すると自動的にトリガされ、カニューレ128の鋭い先端部129がアクセスされることができないようになっており、したがって、針に関連する損傷を防止する。1つの実施形態では、安全機構は、シリンジ100の一部である。たとえば、
図5Bおよび
図8~
図10を参照すると、シリンジ100は、安全シールド108を含み、安全シールド108は、シリンジ100に連結されており、また、注射が完了した後に、それぞれのプレフィルドコンテナのカニューレ128の鋭い先端部129を自動的にシールドするように適合されている。安全シールド108は、カニューレ128の鋭い先端部129を保護するように取り囲んでカバーする。このように、カニューレ128のどの部分も露出されず、それによって、偶発的な針刺し損傷のリスクを著しく低減させる。1つの実施形態では、安全シールド108は、スプリング110に係合されている。このように、カニューレ128の鋭い先端部129が患者の皮膚表面Sから除去されるときに、スプリング110は、安全シールド108に付勢力を働かせ、
図8~
図10に示されているように、カニューレ128が患者の皮膚表面Sから出ていくのと同時に、カニューレ128の鋭い先端部129を保護するように取り囲んでカバーするように、安全シールド108を移動させる。
【0038】
別の実施形態では、安全機構は、注射デバイス16の一部であることが可能である。
【0039】
1つの実施形態では、プレフィルドコンテナ12のそれぞれが、読み取り可能な情報部分を含む。1つの実施形態では、読み取り可能な情報部分の少なくとも一部は、バーコードである。他の実施形態では、読み取り可能な情報部分は、任意の固有の識別子を含むことが可能であり、たとえば、それに限定されないが、バーコード、QRコード(登録商標)、データマトリックス、無線周波数識別(RFID)タグ、または他の識別子などを含むことが可能である。たとえば、1つの実施形態では、読み取り可能な情報部分の少なくとも一部は、RFIDタグである。RFIDタグは、集積回路チップを含むことが可能であり、集積回路チップは、コンテナ識別番号、温度情報、衝撃もしくは乱用(abuse)の検出、または、同様の情報などのような、情報を提供することが可能である。いくつかの実施形態では、読み取り可能な情報部分は、パッケージングユニット14の一部分の上に設置され得る。
【0040】
注射デバイス16は、スキャナ部分を含むことが可能であり、スキャナ部分は、それぞれのプレフィルドコンテナ12の読み取り可能な情報部分を読み取るように適合されている。このように、注射デバイス16は、その中に含まれている情報、たとえば、薬物のタイプ、ロット番号、有効期限、または、プレフィルドコンテナ12の他の識別情報を読み取ることが可能であり、そのオンボード不揮発性メモリの中にそれを記憶するか、または、近くのスマートフォンに、もしくは、遠く離れたデータ管理システムに、それを送信するかのいずれかである。同様に、プレフィルドコンテナ12は、温度/湿度センサまたは衝撃/乱用センサなどのような、センサを装備していることが可能である。それらのセンサからの信号は、拾い上げると、注射デバイス16によって読み取られ得る。異常条件が検出される場合には、注射デバイス16の上に存在するインジケータが、ユーザに警報を出すことになり、任意選択のインターロックが、注射を進めることを防止することが可能である。シリンジ100が拾い上げられ(ピックアップされ)、異常なコンテナ条件が検出されないと、医療従事者は注射を進める。
【0041】
また、薬物貯蔵およびディスペンシングシステム10は、データ管理プラットフォームを含むことが可能であり、データ管理プラットフォームは、注射デバイスから送信されるデータを記憶および処理する。
【0042】
薬物貯蔵およびディスペンシングシステム10のパッケージングユニット14は、コールドチェーンの中でそのようなコンテナによって占有されるスペースを最小化しながら、薬物貯蔵および投与を提供し、また、プレフィルドコンテナ12をパッケージングユニット14から除去するときに、医療従事者がニードルシールド102を手動で除去する必要がないので、針刺し損傷のリスクを最小化する。このように、パッケージングユニット14は、集団予防接種運動における生産性および効率の向上を提供する。
【0043】
図1~
図3を参照すると、パッケージングユニット14は、タブ(tub)部材20、ネスト(nest)部材22、および封止部材24を含む。タブ部材20は、受け入れキャビティ26を画定しており、受け入れキャビティ26は、複数のプレフィルドコンテナ12をその中に受け入れるようにサイズ決めおよび適合されている。タブ部材20は、一般的に、第1の端部または上部端部28、第2の端部または底部端部30、および、上部端部28と底部端部30との間に延在する側壁部32を含む。側壁部32は、タブ部材20の受け入れキャビティ26を画定する。
【0044】
図1を参照すると、タブ部材20は、上部端部28において、ロッキングリップ34を含む。上側トレイ部分36が、ロッキングリップ34の下方に配設されており、上側トレイ部分36は、上側トレイ部分36の下方に配設されている断面(すなわち、受け入れキャビティ部分38)よりも面積の大きい断面を有しており、ショルダー部40がその間に画定されるようになっている。上側トレイ部分36は、より詳細に下記に説明されるように、ネスト部材22を受け入れて支持する。
【0045】
ネスト部材22は、一般的に、上面44および下面46を有するネストプレート42、ならびに、それぞれのプレフィルドコンテナ12をその中に受け入れるように適合されている複数のコンテナ保持部分48を含む。ネスト部材22は、タブ部材20の中に固定可能であり、
図2に示されているように、ネストプレート42がタブ部材20の上側トレイ部分36に当接するようになっている。コンテナ保持部分48のそれぞれは、係合部材50(
図7Aおよび
図7B)を含み、係合部材50は、パッケージングユニット14のコンテナ保持部分48からそれぞれのプレフィルドコンテナ12を除去するときに、それぞれのプレフィルドコンテナ12のニードルシールド102を自動的に除去するように適合されている。
【0046】
図7Aおよび
図7Bを参照すると、1つの実施形態では、係合部材50は、複数の弾性的に変形可能なフィン52を含む。変形可能なフィン52は、パッケージングユニット14のコンテナ保持部分48からそれぞれのプレフィルドコンテナ12を除去するときに、それぞれのプレフィルドコンテナ12のニードルシールド102の自動的な除去を可能にする。それぞれのプレフィルドコンテナ12がパッケージングユニット14のそれぞれのコンテナ保持部分48の中に設置されている状態で、変形可能なフィン52が、
図7Bに示されているように、プレフィルドコンテナ12のニードルシールド102の開口部106の中に係合している。このように、プレフィルドコンテナ12は、パッケージングユニット14のコンテナ保持部分48の中に固定されている。また、ニードルシールド102の開口部106の中に変形可能なフィン52が係合することは、プレフィルドコンテナ12がパッケージングユニット14のそれぞれのコンテナ保持部分48から除去されるときに、ニードルシールド102の自動的な除去を可能にする。プレフィルドコンテナ12がパッケージングユニット14から除去されるときに、ニードルシールド102は、変形可能なフィン52を介してプレフィルドコンテナ12から自動的に除去され、コンテナ保持部分48の中に保持される。このように、パッケージングユニット14は、プレフィルドコンテナ12をパッケージングユニット14から除去するときに、医療従事者がニードルシールド102を手動で除去する必要がないので、針刺し損傷のリスクを最小化する。
【0047】
封止部材24は、タブ部材20に除去可能に固定可能であり、パッケージングユニット14のタブ部材20の中に複数のプレフィルドコンテナ12を確実に封止および保護するための機構を提供する。1つの実施形態では、封止部材24は、カバー54(
図3)を含む。
【0048】
パッケージングユニット14は、温度制御ユニットを含むことが可能である。1つの実施形態では、パッケージングユニット14は、具体的には、単一のタブ部材20にフィットするように設計されている温度制御ユニットを有することが可能である。このタイプの温度制御ユニットは、タブと一緒に使用され、タブ部材20の内側のプレフィルド薬物コンテナ12に関する温度逸脱を(受動的または能動的のいずれかで)制限することが可能である。薬物貯蔵およびディスペンシングシステム10が伝統的な医療現場の外側で使用されるときに、このタイプの温度制御ユニットが最良に使用され得る。
【0049】
別の実施形態では、パッケージングユニット14は、具体的には、複数のタブ部材20にフィットするように設計されている温度制御ユニットを有することが可能である。このタイプの温度制御ユニットは、温度制御された環境において、複数のタブ部材20を貯蔵するために使用される。薬物貯蔵およびディスペンシングシステム10が伝統的な医療現場において使用されるときに、この温度制御ユニットが最良に使用され得る。
【0050】
本開示の薬物貯蔵およびディスペンシングシステム10は、伝統的な医療現場において、または、伝統的な医療現場の外側のいずれかにおいて使用され、安全で迅速な様式で、オンデマンドで薬物を送達することが可能である。また、薬物貯蔵およびディスペンシングシステム10は、慢性的な疾患を患う患者によって使用され得、患者は、彼らの注射可能な薬剤を自己投与する。
【0051】
薬物貯蔵およびディスペンシングシステム10の注射デバイス16は、プレフィルド薬物コンテナ12と一緒に薬物投与を実施するために使用されるスマート(smart)注射支援デバイスを提供する。注射デバイス16は、それぞれのプレフィルドコンテナ12からの薬剤の自動的な注射を可能にし、また、それぞれのプレフィルドコンテナ12のそれぞれに除去可能に係合可能となるように適合されている係合部分58(
図6および
図8~
図10)を含む。注射デバイス16がそれぞれのプレフィルドコンテナ12に係合されている状態で、注射デバイス16は、プランジャロッド64を自動的に作動させ、それぞれのプレフィルドコンテナ12から薬剤を放出するように適合されている。そのような自動的な作動は、注射デバイス16の中に存在する機械的なアクチュエータまたは電気機械的なアクチュエータのいずれかによって達成され得る。たとえば、電気モータ68(
図6および
図8~
図10)が使用され得る。
【0052】
図6および
図8~
図10を参照すると、注射デバイス16は、第1の端部62および第2の端部63を有するハウジング60と、注射デバイス16のハウジング60の中に移動可能に配設されているプランジャロッド64と、親(lead)ねじ66と、電気モータ68と、リジッドの軸線方向のカプラー70と、それぞれのプレフィルドコンテナ12のそれぞれに除去可能に係合可能となるように適合されている係合部分58とを含む。1つの実施形態では、係合部分58は、プレフィルドコンテナ12の一部分を注射デバイス16に固定するロッキング部材72を含む。別の実施形態では、係合部分58は、プレフィルドコンテナ12の一部分を注射デバイス16に固定するねじ山付きの部分を含む。1つの実施形態では、プランジャロッド64は、ねじ山付きの部分74を含むことが可能である。1つの実施形態では、注射デバイス16は、スキャナ部分を含むことが可能であり、スキャナ部分は、上記に説明されているように、それぞれのプレフィルドコンテナ12の読み取り可能な情報部分を読み取るように適合されている。
【0053】
プランジャロッド64は、注射デバイス16に取り付けられ、注射デバイス16の中に移動可能に配設され得る。プランジャロッド64は、注射デバイス16に恒久的に取り付けられ得、または、それぞれのシリンジを拾い上げる前に、医療従事者によって注射デバイス16の中に挿入され得る。使用時に、医療従事者は、選択されたシリンジ100の上に注射デバイス16を固定またはスナップ嵌めすることが可能であり、また、作動ボタンを押すことによって、注射デバイス16を活性化させることが可能であり、作動ボタンは、プランジャロッド64を展開し、シリンジ100の一部分にそれを固定またはねじ込む。いくつかの実施形態では、プランジャロッド64は、再使用可能なパーツであることが可能である。他の実施形態では、プランジャロッド64は、使い捨てのパーツであることが可能である。
【0054】
注射デバイス16は、スマートデバイスであり、また、その使用法についての情報を獲得し、記憶し、かつ送信することが可能である。注射デバイス16は、不揮発性メモリを含むオンボードの電子モジュールを装備しており、不揮発性メモリは、コンテナ固有の識別情報、および、プレフィルドコンテナ12の使用法に関するタイムスタンピング情報を記録および記憶することができる。また、注射デバイス電子モジュールは、全地球測位システム(GPS)受信機を装備しており、全地球測位システム(GPS)受信機は、使用場所の緯度および経度の座標を記録および記憶することが可能である。屋内で使用されるときに、注射デバイス電子モジュールは、ワイヤレス信号受信機から三角測量を使用する既存の屋内位置決めシステムと相性が良い。
【0055】
また、注射デバイス電子モジュールは、以下の方法、すなわち、近距離無線通信(NFC)、Bluetooth low energy(BLE)、Wi-Fi、ZigBee、および/またはGSM(登録商標)の1つもしくはいくつかによって、距離を置いた通信を確立することができるワイヤレス通信モジュールを装備している。注射デバイス電子モジュールは、収集された情報をその送信の前に暗号化することができるソフトウェアの埋め込まれたピースを含む。したがって、注射デバイスによって収集された情報は、上記の手段のいずれかによって、遠く離れた受信者に確実に送信され得る。受信者の例は、スマートフォン、タブレット、および/またはデータ管理プラットフォームである。送信されるデータを可視化するために、アプリケーションソフトウェアが、上記のハードウェアプラットフォームのすべてに関して開発されている。情報が遠く離れたデータ管理プラットフォームに送られるケースでは、可視化は、インターネットに接続されているコンピュータからもアクセスされ得るスマートフォン、タブレット、またはウェブポータルのいずれかの上で起こることが可能である。
【0056】
1つの実施形態では、注射デバイスは、電動式のダーティング(darting)機構を組み込むことが可能であり、電動式のダーティング機構は、選択されたシリンジ100を患者の皮膚表面の中へ正しいプリセット深さに挿入する。挿入のプリセット深さは、シリンジに関連付けられる注射のタイプに関する情報を持つシリンジ識別子を読み取ることから導出される。
【0057】
図1~
図10を参照すると、薬物貯蔵およびディスペンシングシステム10の使用が、ここで説明される。
【0058】
図1~
図3を参照すると、治療を行う準備ができた医療従事者は、最初に、パッケージングユニット14の封止部材24を剥がし、プレフィルド薬物コンテナ12を露出させることが可能である。次いで、注射デバイス16は、個々のプレフィルドコンテナ12、たとえば、プレフィルドシリンジ100を拾い上げ除去するために使用され得る。パッケージングユニット14のコンテナ保持部分48からプレフィルドコンテナ12を除去する間に、パッケージングユニット14のネスト部材22の変形可能なフィン52が、それぞれのプレフィルドコンテナ12のニードルシールド102の自動的な除去を可能にする。このように、プレフィルドコンテナ12、たとえば、シリンジ100を拾い上げるときに、パッケージングユニット14は、ニードルシールド102が自動的に除去され、ネスト部材22の内側に残ったままであることを可能にする。
【0059】
上記に議論されているように、プランジャロッド64は、注射デバイス16に取り付けられている。使用時に、医療従事者は、選択されたシリンジ100の上に注射デバイス16を固定またはスナップ嵌めすることが可能であり、また、作動ボタンを押すことによって、注射デバイス16を活性化させることが可能であり、作動ボタンは、プランジャロッド64を展開し、シリンジ100の一部分にそれを固定またはねじ込む。次いで、医療従事者は、選択されたシリンジ100をパッケージングユニット14のタブ部材20から除去し、注射を進めることが可能である。先に議論されているように、ニードルシールド102は、選択されたシリンジ100をパッケージングユニット14から除去するときに、自動的に除去され、ネスト部材22の内側に残ったままである。
【0060】
上記に議論されているように、シリンジは、固有の識別子を含むことが可能であり、その結果、注射デバイス16は、その中に含まれている情報を読み取ることが可能であり、そのオンボード不揮発性メモリの中にそれを記憶するか、または、近くのスマートフォンに、もしくは、遠く離れたデータ管理システムに、それを送信するかのいずれかである。同様に、プレフィルドコンテナは、温度/湿度センサまたは衝撃/乱用センサなどのような、センサを装備していることが可能である。それらのセンサからの信号は、拾い上げると、注射デバイス16によって読み取られ得る。異常条件が検出される場合には、注射デバイス16の上に存在するインジケータが、ユーザに警報を出すことになり、任意選択のインターロックが、注射を進めることを防止することが可能である。シリンジが拾い上げられ、異常なコンテナ条件が検出されないと、医療従事者は、注射デバイス16を使用して注射を進める。
【0061】
上記に説明されているように、注射デバイス16は、選択されたプレフィルドコンテナ12からの薬剤の自動的な注射を可能にする。注射デバイス16がそれぞれのプレフィルドコンテナ12に係合されている状態で、注射デバイス16は、プランジャロッド64を自動的に作動させ、それぞれのプレフィルドコンテナ12から薬剤を放出するように適合されている。
【0062】
注射の完了は、任意選択で、注射デバイス16によって感知され得、また、対応するイベントが、そのオンボード不揮発性メモリの中に記憶されるか、または、近くのスマートフォンに、もしくは、遠く離れたデータ管理システムに、送信されるかのいずれかであることが可能である。
【0063】
注射が完了すると、安全機構がトリガされ、カニューレ128の鋭い先端部129がアクセスされることができないようになっており、したがって、針に関連する損傷を防止する。たとえば、
図8~
図10を参照すると、安全シールド108は、注射が完了した後に、それぞれのプレフィルドコンテナ12のニードル先端部、たとえば、カニューレ128の鋭い先端部129を自動的にシールドするように適合されている。
【0064】
本開示の薬物貯蔵およびディスペンシングシステム10は、伝統的な医療現場において、または、伝統的な医療現場の外側のいずれかにおいて使用され、安全で迅速な様式で、オンデマンドで薬物を送達することが可能である。また、薬物貯蔵およびディスペンシングシステム10は、慢性的な疾患を患う患者によって使用され得、患者は、彼らの注射可能な薬剤を自己投与する。
【0065】
本開示の薬物貯蔵およびディスペンシングシステム10は、ワクチン接種を実施するために使用されるときに、特に有用である。ワクチン接種運動は、伝統的な医療現場、たとえば、医院、病院、診療所、ミニット(分科)クリニック、薬局、ワクチン接種センター、もしくは、同様の現場において実施され、または、非伝統的な現場、たとえば、スーパーマーケットなどのような小売店、学校、もしくはオフィスにおいて実施され得、または発展途上国においてよくあるように、不特定の現場において、目標の人口に直接関連して実施され得る。
【0066】
パンデミックの状況は、医師が非常に短い時間で多数の人々にワクチン接種をすることができることを必要とする。すべての非伝統的なワクチン接種現場において、本開示の薬物貯蔵およびディスペンシングシステム10は、以下の理由のために、特に有用である。(1)薬物貯蔵およびディスペンシングシステム10は、単位時間あたりにより多くの人々にワクチン接種をする、より速くて安全な方式を提供する、(2)薬物貯蔵およびディスペンシングシステム10は、プレフィルドコンテナに関する他のパッケージングシステムと比較して、より密度の高いパッケージングを提供することによって、コールドチェーンスペースを最適化する手段を提供する、ならびに(3)薬物貯蔵およびディスペンシングシステム10は、ワクチン接種データの自動化された獲得およびリアルタイム送信を提供し、したがって、集団レベルにおけるワクチン接種率の精密なトラッキングを可能にし、または、個人レベルにおける個々のワクチン接種ログもしくは電子的な医療記録の中の正確な情報を可能にする。
【0067】
薬物貯蔵およびディスペンシングシステム10は、オンデマンドのモバイルワクチン接種システムの新規なサービスの一部であることが想定される。ワクチン接種を受けることを望む人々は、彼らの現在の健康状態に関する短い質問に答えた後に、オンラインで彼らの申し込みをすることが可能である。次いで、近くの薬局の中に収容されている可能性のある発送ユニットが、それらの担当地域から来る注文を準備および分類することになる。次いで、注文は、ワクチン送達を行う医療従事者によって運転されるバンまたはトラックの上に積載され得る。送達計画およびスケジュールは、特定のソフトウェアによって最適化され得、また、顧客による任意の直前の変更要求を考慮するように急いで更新され得る。
【0068】
図11~
図50Bは、本開示の注射デバイス200の別の例示的な実施形態を図示している。注射デバイス200は、コンテナ12が実際に使用されるまで、プランジャロッドがコンテナ12に係合されていないときに、シリンジ100などのようなコンテナ12を自動的に無効化する新規な方式を提供する。
【0069】
薬物貯蔵およびディスペンシングシステム10の注射デバイス200は、プレフィルド薬物コンテナ12と一緒に薬物投与を実施するために使用されるスマート注射支援デバイスを提供する。注射デバイス200は、それぞれのプレフィルドコンテナ12からの薬剤の自動的な注射を可能にし、また、それぞれのプレフィルドコンテナ12のそれぞれに除去可能に係合可能となるように適合されている係合アセンブリ210を含む。注射デバイス200がそれぞれのプレフィルドコンテナ12に係合されている状態で、注射デバイス200は、プランジャロッド264を自動的に作動させ、それぞれのプレフィルドコンテナ12から薬剤を放出するように適合されている。そのような自動的な作動は、注射デバイス200の中に存在する機械的なアクチュエータまたは電気機械的なアクチュエータのいずれかによって達成され得る。たとえば、電気モータ268(
図42)が使用され得る。
【0070】
図11~
図50Bを参照すると、注射デバイス200は、係合アセンブリ210と、後退アセンブリ212、ロッキングアセンブリ214と、スキャンアセンブリ216、回転アセンブリ218と、アクチュエータアセンブリ220と、イジェクションアセンブリ222とを含む。
【0071】
図11~
図26を参照すると、注射デバイス200は、第1の端部262および第2の端部263を有するハウジング260と、注射デバイス200のハウジング260の中に移動可能に配設されているプランジャロッド264と、上部のボタンまたは第1のボタン270と、側部のボタンまたは第2のボタン272と、バッテリーコンパートメント274(
図38)と、透明なウィンドウ276と、インジケータ部分278と、グリッピング部分280、角度付きの部分282と、底部カウンター284とを含む。
【0072】
1つの実施形態では、ハウジング260は、上部ハウジング部分266および底部ハウジング部分268を含むことが可能である。上部ハウジング部分266は、底部ハウジング部分268に除去可能に固定可能であり得る。
【0073】
1つの実施形態では、上部のボタンまたは第1のボタン270は、注射デバイス200の後方端部、たとえば、第2の端部263の上にある、コンテナ後退および/またはイジェクトボタンである。このように、第1のボタン270の場所は、第1のボタン270の意図しない作動を防止するために理想的である。1つの実施形態では、側部のボタンまたは第2のボタン272は、注射ボタンである。
【0074】
図25および
図26を参照すると、透明なウィンドウ276は、注射の前の注射デバイス200の中のコンテナ12を見るための覗き窓をユーザに提供する。1つの実施形態では、インジケータ部分278は、注射器の状態をユーザに示すためのLEDを含む。1つの実施形態では、注射デバイス200は、グリッピング部分280を含み、グリッピング部分280は、注射デバイス200のユーザにとって把持しやすい表面および構成を提供する。たとえば、1つの実施形態では、グリッピング部分280は、注射デバイス200のユーザのためのグリップの強化のために、オーバーモールドされたゴムまたは柔らかい感触の底部を含む。1つの実施形態では、注射デバイス200は、前方端部、たとえば、第1の端部262に、角度付きの部分282を含み、注射の間の注射部位のより良好な視界、および/または、障害物の少ない視界を可能にする。1つの実施形態では、注射デバイス200は、注射の間に注射デバイス200を把持するユーザの手の形状にマッチするように設計されている底部カウンター284を含む。
【0075】
図38を参照すると、1つの実施形態では、バッテリーコンパートメント274が、注射デバイス200の底部部分に位置付けされ得る。他の実施形態では、バッテリーコンパートメント274は、後方端部、たとえば、第2の端部263に位置付けされ得、注射デバイス200のスキャンアセンブリ216のバーコードスキャナ350に関して、障害物の少ない見通し線を可能にする。
【0076】
図27~
図30を参照すると、注射デバイス200は、それぞれのプレフィルドコンテナ12のそれぞれに除去可能に係合可能となるように適合されている係合アセンブリ210を含む。注射デバイス200がそれぞれのプレフィルドコンテナ12に係合されている状態で、注射デバイス200は、プランジャロッド264を自動的に作動させ、それぞれのプレフィルドコンテナ12から薬剤を放出するように適合されている。
【0077】
図27~
図30を参照すると、1つの実施形態では、係合アセンブリ210は、接続エレメント300を含み、接続エレメント300は、それを通してキャビティ303を画定する本体部分302と、ロッキングフック突出部308および角度付きの壁部310をそれぞれ有する複数のシリンジグリップ部材306を含む接続リング304とを含む。
【0078】
図27~
図30を参照すると、1つの実施形態では、複数のシリンジグリップ部材306は、ロッキングフック突出部308および角度付きの壁部310をそれぞれ有する。1つの実施形態では、シリンジグリップ部材306は、弾性的に変形可能である。たとえば、シリンジグリップ部材306は、コンテナ12のフランジ140の周りにスナップ嵌めし、それぞれのコンテナ12に確実に把持および/または係合することが可能である。シリンジグリップ部材306は、コンテナ12に取り付け可能であり、接続エレメント300を介してコンテナ12を注射デバイス200に固定する。それぞれのシリンジグリップ部材306は、ロッキングフック突出部308を含み、ロッキングフック突出部308は、
図28および
図30に示されているように、コンテナ12の上の対応するフランジ140(
図5Aおよび
図5B)に係合するように配置されている。
【0079】
注射デバイス200の係合アセンブリ210の接続エレメント300は、任意のサイズおよび体積のコンテナに取り付けられるように寸法決めされ得る。他の実施形態では、注射デバイス200の係合アセンブリ210の接続エレメント300は、ねじ山付きの部分、スナップフィット機構、ロッキングタブ、または、他の同様の機構などのような、コンテナ12を注射デバイス200に固定するための他の接続機構を含むことが可能である。
【0080】
図27を参照すると、それぞれのシリンジグリップ部材306は、角度付きの壁部310を含み、角度付きの壁部310は、注射デバイスへのコンテナ12の初期係合の間に、コンテナ12の上で接続エレメント300を心合わせし位置合わせするための第1の引き込み表面312と、注射が完了した後に、コンテナ12のイジェクションのための第2の引き込み表面314とを提供するように配置されている。
【0081】
図29および
図30を参照すると、1つの実施形態では、シリンジグリップ部材306の数は、パッケージングユニット14の中のそれぞれのコンテナ12の間のギャップ316の中へフィットするように設計されている(
図4)。また、シリンジグリップ部材306の数は、丸くカットされたフランジによって、コンテナを把持するように設計されている。注射デバイス200の係合アセンブリ210の接続エレメント300は、コンテナ12がパッケージングユニット14の中に含まれている間に、注射デバイス200がコンテナ12に固定されることを可能にする(
図4)。追加的に、コンテナ12は、注射デバイス200を使用して、パッケージングユニット14から容易に除去され得る。
【0082】
図31~
図34を参照すると、注射デバイス200は、後退アセンブリ212を含む。注射デバイス200の係合アセンブリ210へのコンテナ12の固定係合を介して、注射デバイス200を使用して、コンテナ12がパッケージングユニット14から除去された後に、後退アセンブリ212は、プレフィルドコンテナ12を注射デバイス200の中へ後退させるように適合されている。
【0083】
1つの実施形態では、後退アセンブリ212は、第1の位置(
図31および
図33)と第2の位置(
図32および
図34)との間で移行可能であり、第1の位置では、複数のシリンジグリップ部材306が、プレフィルドコンテナ12に係合するように注射デバイス200の外側にあり、第2の位置では、プレフィルドコンテナ12が、注射デバイス200の中に含まれている。1つの実施形態では、第1の位置と第2の位置との間の後退アセンブリ212の作動は、ユーザが上部のボタンまたは第1のボタン270(
図20)を押すことによって活性化させる。
【0084】
図31~
図34を参照すると、1つの実施形態では、後退アセンブリ212は、レール320、キャリッジ322、接続エレメント324、キャリッジ親ねじ326、アダプタ328、モータ330、およびリミットスイッチ332を含む。
【0085】
1つの実施形態では、レール320は、上部ハウジング部分266と底部ハウジング部分268との間に位置決めされている。1つの実施形態では、レール320は、直線状になっており、また、後退アセンブリ212のコンポーネントのための誘導を提供し、後退アセンブリ212のコンポーネントは、注射デバイス200の中にコンテナ12を後退させるように移動可能である。
【0086】
キャリッジ322は、レール320に移動可能に取り付けられている。たとえば、1つの実施形態では、キャリッジ322は、レール320の上をスライド可能な接続エレメント324を介して、レール320に移動可能に取り付けられている。1つの実施形態では、レール320に沿うキャリッジ322に関する運動は、キャリッジ親ねじ326によって提供される。1つの実施形態では、アダプタ328は、キャリッジ親ねじ326およびモータ330と連通している。このように、モータ330は、キャリッジ親ねじ326を回すことが可能であり、キャリッジ親ねじ326は、第1の位置と第2の位置との間でキャリッジ322を移動させる。1つの実施形態では、リミットスイッチ332は、キャリッジ322が注射デバイス200の中をどれくらいの距離まで移動(トラベル)することができるかを制御するために提供されている。
【0087】
1つの実施形態では、係合アセンブリ210の一部分は、後退アセンブリ212の一部分に接続されている。このように、第1の位置(
図31および
図33)から第2の位置(
図32および
図34)へのキャリッジ322の後退は、注射デバイス200の中の係合アセンブリ210に固定されているコンテナ12を後退させる。
【0088】
図35~
図37を参照すると、注射デバイス200は、ロッキングアセンブリ214を含む。注射デバイス200の係合アセンブリ210へのコンテナ12の固定係合を介して、注射デバイス200を使用して、コンテナ12がパッケージングユニット14から除去され、後退アセンブリ212がプレフィルドコンテナ12を注射デバイス200の中へ後退させるために使用された後に、ロッキングアセンブリ214は、複数のシリンジグリップ部材306をコンテナ12にロックするように適合されている。
【0089】
ロッキングアセンブリ214は、第2の位置(
図32および
図34)において、たとえば、コンテナ12が注射デバイス200の中にある状態で、後退アセンブリ212によって、複数のシリンジグリップ部材306をコンテナ12にロックするように適合されている。
【0090】
図35~
図37を参照すると、1つの実施形態では、ロッキングアセンブリ214は、ロッキングリング340、ボス342、および圧縮スプリング344を含む。
図35を参照すると、1つの実施形態では、注射デバイス200の中に位置付けされているボス342は、ロッキングリング340を停止させ、および/または、ロッキングリング340に当接する。
図35を参照すると、後退アセンブリ212が第1の位置(
図31および
図33)にある状態で(たとえば、第1の位置では、複数のシリンジグリップ部材306が、プレフィルドコンテナ12に係合するように注射デバイス200の外側にある)、ロッキングリング340は、ボス342に対抗して停止されている。このように、シリンジグリップ部材306は、注射デバイス200の外側にあり、また、プレフィルドコンテナ12に係合するように自由に撓むことができる。
【0091】
図36および
図37を参照すると、後退アセンブリ212が第2の位置に移動されている状態で、圧縮スプリング344は、係合アセンブリ210のシリンジグリップ部材306の上にロッキングリング340を移動させる。このように、ロッキングリング340がシリンジグリップ部材306に係合されている状態で、シリンジグリップ部材306は、外向きに撓むことを防止され、それによって、複数のシリンジグリップ部材306をコンテナ12にロックする。これは、ユーザによってコンテナ12が注射デバイス200から不注意に引き抜かれないように維持し、または、注射の間にプランジャロッド264に印加される力に起因して、コンテナ12が注射デバイス200から押し出されないように維持する。
【0092】
図38~
図42を参照すると、注射デバイス200は、スキャンアセンブリ216および回転アセンブリ218を含む。
図38~
図42および
図49A~
図49Bを参照すると、1つの実施形態では、コンテナ12は、情報を含むバーコード290を含み、注射器デバイス200は、コンテナ12が第2の位置にある状態で、バーコード290をスキャンするように適合されているスキャンアセンブリ216を含む。また、注射デバイス220は、コンテナ12が第2の位置にある状態で、コンテナ12を回転させるための回転アセンブリ218を含む。回転アセンブリ218は、コンテナ12の初期位置が注射デバイス200の中に確実に受け入れられているかどうかを問わず、スキャンアセンブリ216がコンテナ12のバーコード290を適正にスキャンすることができるまで、回転アセンブリ218がコンテナ12を回転させるように適合されていることを確実にする。コンテナ12のバーコード290は、コンテナ12の周囲部の周りの任意の位置にあることが可能であるので、回転アセンブリ218は、バーコードスキャニングプロセスの間に、少なくとも1回転だけコンテナ12を回転させることが可能であり、バーコード290がスキャンアセンブリ216によって見られることができることを確実にする。
【0093】
図39および
図40を参照すると、1つの実施形態では、回転アセンブリ218は、モータ362と連通する回転ギヤ360を含む。また、回転ギヤ360は、係合アセンブリ210と連通している。このように、モータ362が作動されたとき、回転ギヤ360が回転され、それによって、係合アセンブリ210およびコンテナ12を回転させる。
図41および
図42を参照すると、1つの実施形態では、回転アセンブリ218は、係合アセンブリ210が確実に保持されている間に回転可能であり、コンテナ12が安定したままになり、ガタガタ揺れないようにまたは振動しないようになっている。
【0094】
コンテナ12が注射デバイス200の中にロックされた後に、スキャンアセンブリ216は、コンテナ12のバーコード290をスキャンすることが可能である。1つの実施形態では、スキャンアセンブリ216は、バーコードスキャナ350と、ミラー352と、スキャナ光学経路354と、バーコード290からスキャンされた情報を送信するための送信器356とを含む。このように、スキャンアセンブリ216のバーコードスキャナ350がコンテナ12のバーコード290をスキャンした後に、スキャンアセンブリ216の送信器356は、バーコード290からの情報を、コンピュータ500(
図48)などのような、リモートシステムまたは電子データベースに送信することが可能である。電子データベースおよび/またはコンピュータ500は、注射デバイス200のスキャンアセンブリ216の送信器356から送信される情報を受け入れる。次に、電子データベースおよび/またはコンピュータ500は、バーコード290の上に含まれている情報を検証するように適合されており、また、注射デバイス200を使用する注射に関するポジティブフィードバックを提供する信号を注射デバイス200に送信するように適合されている。1つの実施形態では、ポジティブフィードバックが電子データベースおよび/またはコンピュータ500から受け入れられるまで、注射デバイス200は、コンテナ12の中に含まれている薬剤を注射することができない。これは、本開示の重要な安全特徴を提供する。電子データベースおよび/またはコンピュータ500は、薬剤が間違っているかまたは有効期限が切れているかどうかを決定することが可能であり、そのような場合では、電子データベースおよび/またはコンピュータ500は、注射デバイス200にポジティブフィードバックを送らないことになり、それによって、望まれない薬剤が患者の中へ注射されることを防止する。
【0095】
注射デバイス200のスキャンアセンブリ216は、注射デバイス200がスマートデバイスとなることを可能にし、スマートデバイスは、その使用法についての情報を獲得し、記憶し、かつ送信することが可能である。1つの実施形態では、注射デバイス200は、不揮発性メモリを含むオンボードの電子モジュールを装備しており、不揮発性メモリは、コンテナ固有の識別情報、および、プレフィルドコンテナ12の使用法に関するタイムスタンピング情報を記録および記憶することができる。また、注射デバイス電子モジュールは、全地球測位システム(GPS)受信機を装備しており、全地球測位システム(GPS)受信機は、使用場所の緯度および経度の座標を記録および記憶することが可能である。屋内で使用されるときに、注射デバイス電子モジュールは、ワイヤレス信号受信機から三角測量を使用する既存の屋内位置決めシステムと相性が良い。
【0096】
また、1つの実施形態では、注射デバイス電子モジュールは、以下の方法、すなわち、近距離無線通信(NFC)、Bluetooth low energy(BLE)、Wi-Fi、ZigBee、および/またはGSMの1つもしくはいくつかによって、距離を置いた通信を確立することができるワイヤレス通信モジュールを装備している。注射デバイス電子モジュールは、収集された情報をその送信の前に暗号化することができるソフトウェアの埋め込まれたピースを含む。したがって、注射デバイスによって収集された情報は、上記の手段のいずれかによって、遠く離れた受信者に確実に送信され得る。受信者の例は、スマートフォン、タブレット、および/またはデータ管理プラットフォームである。送信されるデータを可視化するために、アプリケーションソフトウェアが、上記のハードウェアプラットフォームのすべてに関して開発されている。情報が遠く離れたデータ管理プラットフォームに送られるケースでは、可視化は、インターネットに接続されているコンピュータからもアクセスされ得るスマートフォン、タブレット、またはウェブポータルのいずれかの上で起こることが可能である。
【0097】
上記に議論されているように、コンテナ12は、固有の識別子、たとえば、バーコード290を含むことが可能であり、その結果、注射デバイス200は、その中に含まれている情報を読み取ることが可能であり、そのオンボード不揮発性メモリの中にそれを記憶するか、または、近くのスマートフォンに、もしくは、遠く離れたデータ管理システム、たとえば、コンピュータ500に、それを送信するかのいずれかである。同様に、プレフィルドコンテナは、温度/湿度センサまたは衝撃/乱用センサなどのような、センサを装備していることが可能である。それらのセンサからの信号は、拾い上げると、注射デバイス200によって読み取られ得る。異常条件が検出される場合には、注射デバイス200の上に存在するインジケータが、ユーザに警報を出すことになり、任意選択のインターロックが、注射を進めることを防止することが可能である。コンテナが拾い上げられ、異常なコンテナ条件が検出されないと、医療従事者は、注射デバイス200を使用して注射を進める。
【0098】
図43~
図46を参照すると、注射デバイス200は、アクチュエータアセンブリ220を含む。コンテナ12の内容物に関するポジティブフィードバックが注射デバイス200によって受け入れられると、アクチュエータアセンブリ220は、注射デバイス200のプランジャロッド264を自動的に作動させ、プレフィルドコンテナ12から薬剤を放出する。
【0099】
図43~
図46を参照すると、1つの実施形態では、アクチュエータアセンブリ220は、プランジャロッド264、プランジャ親ねじ370、プランジャ親ねじナット372、プランジャ親ねじギヤ374、およびモータ376を含む。プランジャ親ねじ370は、プランジャロッド264に連通している。
図43を参照すると、1つの実施形態では、プランジャ親ねじ370は、プランジャロッド264の一部分に固定されている。たとえば、プランジャ親ねじ370は、プランジャロッド264の一部分に接着され得る。
【0100】
1つの実施形態では、モータ376は、ギヤ374を駆動し、ギヤ374は、ナット372を回す。
図45および
図46を参照すると、ナット372が回るとき、ナット372は、プランジャ親ねじ370を直線状に移動させ、プランジャロッド264を作動させ、コンテナ12から薬剤を放出する。
図45および
図46を参照すると、プランジャロッド264は、係合アセンブリ210の中心を通って直線状に移動(トラベル)する。
【0101】
図49A~
図49Bおよび
図50A~
図50Bを参照すると、第1のプレフィルドコンテナ400は、第1の薬剤402および第1のバーコード404を含み、第2のプレフィルドコンテナ410は、第2の薬剤412および第2のバーコード414を含む。
図49A~
図49Bおよび
図50A~
図50Bは、一般的なコンテナを図示しているが、任意のコンテナが、注射処置に関して、本開示の注射デバイスとともに使用され得る。たとえば、
図1、
図4、
図5A、
図5Bに示されているようなコンテナおよび/もしくはシリンジ、または、同様のコンテナもしくはシリンジが、本開示の注射デバイスとともに使用され得る。
【0102】
注射デバイス200の係合アセンブリ210は、第1のプレフィルドコンテナ400および第2のプレフィルドコンテナ410に除去可能に係合可能となるように適合されている。
【0103】
注射デバイス200が第1のプレフィルドコンテナ400に係合されている状態で、注射デバイス200は、プランジャロッド264を自動的に作動させ、第1のプレフィルドコンテナ400から第1の薬剤402を放出するように構成されている。
【0104】
注射デバイス200が第2のプレフィルドコンテナ410に係合されている状態で、注射デバイス200は、プランジャロッド264を自動的に作動させ、第2のプレフィルドコンテナ410から第2の薬剤412を放出するように適合されている。
【0105】
第1のコンテナ400が注射デバイス200の中に含まれている状態で、スキャンアセンブリ216は、第1のバーコード404をスキャンするように適合されている。
【0106】
第2のコンテナ410が注射デバイス200の中に含まれている状態で、スキャンアセンブリ216は、第2のバーコード414をスキャンするように適合されている。
【0107】
図47を参照すると、注射デバイス200は、イジェクションアセンブリ222を含み、イジェクションアセンブリ222は、注射デバイス200からコンテナ12を自動的にイジェクトさせるように適合されている。注射が完了した後に、注射デバイス200は、それが第1の位置へ移動して戻された後に、コンテナ12を自動的にイジェクトさせる能力を有する。このように、ユーザは、コンテナ12を手動で除去するために、コンテナ12の任意の部分を掴む必要はない。1つの実施形態では、
図47に示されているように、コンテナ12が注射器デバイス200の外側に位置決めされると、プランジャロッド264は、シリンジグリップ部材306との係合からコンテナ12を少し遠くへ押すように拡張され、それによって、注射デバイス200からコンテナ12を自動的にイジェクトさせる。
【0108】
図19~
図24を参照すると、注射デバイス200の使用が、ここで説明される。
【0109】
図4および
図19を参照すると、治療を行う準備ができたユーザまたは医療従事者は、最初に、注射デバイス200を使用して注射するために、パッケージングユニット14の中に含まれているプレフィルド薬物コンテナ12を選択することが可能である。下向き垂直方向の運動が、注射デバイス200にコンテナを装着させるために使用される。上記に説明されているように、係合アセンブリ210が、コンテナ12を注射デバイス200に確実に係合させるために使用される。コンテナ12が注射デバイス200に確実に係合されたとき、注射デバイス200は、パッケージングユニット14からコンテナ12を拾い上げ除去するために使用される。
【0110】
1つの実施形態では、上記に説明されているように、パッケージングユニット14のコンテナ保持部分48からプレフィルドコンテナ12を除去する間に、パッケージングユニット14のネスト部材22の変形可能なフィン52が、それぞれのプレフィルドコンテナ12のニードルシールド102の自動的な除去を可能にする。このように、プレフィルドコンテナ12、たとえば、シリンジ100を拾い上げるときに、パッケージングユニット14は、ニードルシールド102が自動的に除去され、ネスト部材22の内側に残ったままであることを可能にする。
【0111】
次に、
図20を参照すると、ユーザは、第1のボタンまたは上部のボタン270を押し、後退アセンブリ212(
図31~
図34)を活性化させ、上記に説明されているように、コンテナ12を注射デバイス200の中へ自動的に後退させることが可能である。その後に、後退アセンブリ212が第2の位置(
図32および
図34)にあり、プレフィルドコンテナ12が注射デバイス200の中にある状態で、ロッキングアセンブリ214(
図35~
図37)は、複数のシリンジグリップ部材306をプレフィルドコンテナ12にロックする。
【0112】
次に、スキャンアセンブリ216(
図38~
図42)および回転アセンブリ218(
図38~
図42)は、上記に説明されているように、コンテナ12のバーコードを自動的にスキャンする。このように、スキャンアセンブリ216のバーコードスキャナ350がコンテナ12のバーコード290をスキャンした後に、スキャンアセンブリ216の送信器356は、バーコード290からの情報を、コンピュータ500(
図48)などのような、リモートシステムまたは電子データベースに送信することが可能である。電子データベースおよび/またはコンピュータ500は、注射デバイス200のスキャンアセンブリ216の送信器356から送信される情報を受け入れる。次に、電子データベースおよび/またはコンピュータ500は、バーコード290の上に含まれている情報を検証するように適合されており、また、注射デバイス200を使用する注射に関するポジティブフィードバックを提供する信号を注射デバイス200に送信するように適合されている。1つの実施形態では、ポジティブフィードバックが電子データベースおよび/またはコンピュータ500から受け入れられるまで、注射デバイス200は、コンテナ12の中に含まれている薬剤を注射することができない。これは、本開示の重要な安全特徴を提供する。たとえば、
図21を参照すると、1つの実施形態では、ポジティブフィードバックが注射デバイス200によって受け入れられた後に、インジケータライトなどのようなインジケータ部分278が活性化され、正しいバーコードスキャンおよび注射器の状態をユーザに知らせる。電子データベースおよび/またはコンピュータ500は、薬剤が間違っているかまたは有効期限が切れているかどうかを決定することが可能であり、そのような場合では、電子データベースおよび/またはコンピュータ500は、注射デバイス200にポジティブフィードバックを送らないことになり、それによって、望まれない薬剤が患者の中へ注射されることを防止する。
【0113】
注射デバイス200のスキャンアセンブリ216は、注射デバイス200がスマートデバイスとなることを可能にし、スマートデバイスは、その使用法についての情報を獲得し、記憶し、かつ送信することが可能である。1つの実施形態では、注射デバイス200は、不揮発性メモリを含むオンボードの電子モジュールを装備しており、不揮発性メモリは、コンテナ固有の識別情報、および、プレフィルドコンテナ12の使用法に関するタイムスタンピング情報を記録および記憶することができる。また、注射デバイス電子モジュールは、全地球測位システム(GPS)受信機を装備しており、全地球測位システム(GPS)受信機は、使用場所の緯度および経度の座標を記録および記憶することが可能である。屋内で使用されるときに、注射デバイス電子モジュールは、ワイヤレス信号受信機から三角測量を使用する既存の屋内位置決めシステムと相性が良い。
【0114】
図21を参照すると、ポジティブフィードバックが注射デバイス200によって受け入れられた後に、透明なウィンドウ276は、注射の前に見るために、コンテナ12を備えた注射デバイス200を、ユーザが患者に提示することを可能にする。
【0115】
次に、
図22を参照すると、1つの実施形態では、コンテナ12のバーコード290の読み取りに成功した後に、コンテナは、ニードル取り付け/注射位置へ並進され得る。次いで、ユーザは、安全キャップを除去し、シリンジなどのようなコンテナに針を取り付けることが可能である。このように、注射の間に注射デバイス200から延在する、シリンジなどのようなコンテナを有することは、跳ね返り汚染のリスクを低減させる。
【0116】
図23を参照すると、注射の間の注射デバイス200に対するユーザの手の構成が示されている。この位置において、注射デバイス200は、確実に保持され得、側部のボタンまたは第2のボタン272が押され得、薬剤またはワクチンの注射のために、アクチュエータアセンブリ220(
図43~
図46)を活性化させる。
【0117】
図24を参照すると、注射が完了した後に、上部のボタンまたは第1のボタン270が、イジェクションアセンブリ222(
図47)を活性化させるために押され、注射デバイス200からコンテナをイジェクトさせることが可能である。
【0118】
1つの実施形態では、注射デバイス200は、電動式のダーティング機構を組み込むことが可能であり、電動式のダーティング機構は、選択されたシリンジを患者の皮膚表面の中へ正しいプリセット深さに挿入する。挿入のプリセット深さは、シリンジに関連付けられる注射のタイプに関する情報を持つシリンジ識別子を読み取ることから導出される。
【0119】
1つの実施形態では、上記に議論されているように、シリンジまたはコンテナは、固有の識別子を含むことが可能であり、その結果、注射デバイス200は、その中に含まれている情報を読み取ることが可能であり、そのオンボード不揮発性メモリの中にそれを記憶するか、または、近くのスマートフォンに、もしくは、遠く離れたデータ管理システムに、それを送信するかのいずれかである。同様に、プレフィルドコンテナは、温度/湿度センサまたは衝撃/乱用センサなどのような、センサを装備していることが可能である。それらのセンサからの信号は、拾い上げると、注射デバイス200によって読み取られ得る。異常条件が検出される場合には、注射デバイス200の上に存在するインジケータが、ユーザに警報を出すことになり、任意選択のインターロックが、注射を進めることを防止することが可能である。シリンジが拾い上げられ、異常なコンテナ条件が検出されないと、医療従事者は、注射デバイス200を使用して注射を進める。
【0120】
注射の完了は、任意選択で、注射デバイス200によって感知され得、また、対応するイベントが、そのオンボード不揮発性メモリの中に記憶されるか、または、近くのスマートフォンに、もしくは、遠く離れたデータ管理システムに、送信されるかのいずれかであることが可能である。
【0121】
本開示の薬物貯蔵およびディスペンシングシステム10は、伝統的な医療現場において、または、伝統的な医療現場の外側のいずれかにおいて使用され、安全で迅速な様式で、オンデマンドで薬物を送達することが可能である。また、薬物貯蔵およびディスペンシングシステム10は、慢性的な疾患を患う患者によって使用され得、患者は、彼らの注射可能な薬剤を自己投与する。
【0122】
本開示の薬物貯蔵およびディスペンシングシステム10は、ワクチン接種を実施するために使用されるときに、特に有用である。ワクチン接種運動は、伝統的な医療現場、たとえば、医院、病院、診療所、ミニットクリニック、薬局、ワクチン接種センター、もしくは、同様の現場において実施され、または、非伝統的な現場、たとえば、スーパーマーケットなどのような小売店、学校、もしくはオフィスにおいて実施され得、または発展途上国においてよくあるように、不特定の現場において、目標の人口に直接関連して実施され得る。
【0123】
上記に説明されているように、注射デバイス200は、選択されたプレフィルドコンテナ12からの薬剤の自動的な注射を可能にする。注射デバイス200がそれぞれのプレフィルドコンテナ12に係合されている状態で、注射デバイス200は、プランジャロッド264を自動的に作動させ、それぞれのプレフィルドコンテナ12から薬剤を放出するように適合されている。
【0124】
1つの実施形態では、注射の完了は、任意選択で、注射デバイス200によって感知され得、また、対応するイベントが、そのオンボード不揮発性メモリの中に記憶されるか、または、近くのスマートフォンに、もしくは、遠く離れたデータ管理システムに、送信されるかのいずれかであることが可能である。
【0125】
注射が完了すると、安全機構がトリガされ、カニューレ128の鋭い先端部129がアクセスされることができないようになっており、したがって、針に関連する損傷を防止する。たとえば、
図8~
図10を参照すると、安全シールド108は、注射が完了した後に、それぞれのプレフィルドコンテナ12のニードル先端部、たとえば、カニューレ128の鋭い先端部129を自動的にシールドするように適合されている。
【0126】
本開示の薬物貯蔵およびディスペンシングシステム10は、伝統的な医療現場において、または、伝統的な医療現場の外側のいずれかにおいて使用され、安全で迅速な様式で、オンデマンドで薬物を送達することが可能である。また、薬物貯蔵およびディスペンシングシステム10は、慢性的な疾患を患う患者によって使用され得、患者は、彼らの注射可能な薬剤を自己投与する。
【0127】
本開示の薬物貯蔵およびディスペンシングシステム10は、ワクチン接種を実施するために使用されるときに、特に有用である。ワクチン接種運動は、伝統的な医療現場、たとえば、医院、病院、診療所、ミニットクリニック、薬局、ワクチン接種センター、もしくは、同様の現場において実施され、または、非伝統的な現場、たとえば、スーパーマーケットなどのような小売店、学校、もしくはオフィスにおいて実施され得、または発展途上国においてよくあるように、不特定の現場において、目標の人口に直接関連して実施され得る。
【0128】
パンデミックの状況は、医師が非常に短い時間で多数の人々にワクチン接種をすることができることを必要とする。すべての非伝統的なワクチン接種現場において、本開示の薬物貯蔵およびディスペンシングシステム10は、以下の理由のために、特に有用である。(1)薬物貯蔵およびディスペンシングシステム10は、単位時間あたりにより多くの人々にワクチン接種をする、より速くて安全な方式を提供する、(2)薬物貯蔵およびディスペンシングシステム10は、プレフィルドコンテナに関する他のパッケージングシステムと比較して、より密度の高いパッケージングを提供することによって、コールドチェーンスペースを最適化する手段を提供する、ならびに(3)薬物貯蔵およびディスペンシングシステム10は、ワクチン接種データの自動化された獲得およびリアルタイム送信を提供し、したがって、集団レベルにおけるワクチン接種率の精密なトラッキングを可能にし、または、個人レベルにおける個々のワクチン接種ログもしくは電子的な医療記録の中の正確な情報を可能にする。
【0129】
薬物貯蔵およびディスペンシングシステム10は、オンデマンドのモバイルワクチン接種システムの新規なサービスの一部であることが想定される。ワクチン接種を受けることを望む人々は、彼らの現在の健康状態に関する短い質問に答えた後に、オンラインで彼らの申し込みをすることが可能である。次いで、近くの薬局の中に収容されている可能性のある発送ユニットが、それらの担当地域から来る注文を準備および分類することになる。次いで、注文は、ワクチン送達を行う医療従事者によって運転されるバンまたはトラックの上に積載され得る。送達計画およびスケジュールは、特定のソフトウェアによって最適化され得、また、顧客による任意の直前の変更要求を考慮するように急いで更新され得る。
【0130】
本開示は、例示的な設計を有するように説明されてきたが、本開示は、本開示の要旨および範囲の中でさらに修正され得る。したがって、本出願は、その一般的な原理を使用する開示の任意の変形例、使用例、または適合例をカバーすることが意図されている。さらに、本出願は、本開示が関係する技術分野における公知例または慣例の中に入るものとして、および添付の特許請求の範囲の限定の中に入るものとして、本開示からのそのような逸脱をカバーするように意図されている。