(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】エポキシ樹脂接着剤組成物
(51)【国際特許分類】
C09J 163/00 20060101AFI20231226BHJP
C09J 11/04 20060101ALI20231226BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20231226BHJP
C09J 11/08 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
C09J163/00
C09J11/04
C09J11/06
C09J11/08
(21)【出願番号】P 2020536939
(86)(22)【出願日】2018-12-07
(86)【国際出願番号】 US2018064455
(87)【国際公開番号】W WO2019135857
(87)【国際公開日】2019-07-11
【審査請求日】2021-12-02
(32)【優先日】2018-01-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519415100
【氏名又は名称】ディディピー スペシャルティ エレクトロニック マテリアルズ ユーエス,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】コッホ、フェリックス
(72)【発明者】
【氏名】ルッツ、アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】シュタイナー、ベーダ
(72)【発明者】
【氏名】グロスニッケル、キャシー
(72)【発明者】
【氏名】フルッキガー、ジャニーヌ
【審査官】川嶋 宏毅
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-227984(JP,A)
【文献】特表2012-514660(JP,A)
【文献】国際公開第2017/044401(WO,A1)
【文献】特表2012-514661(JP,A)
【文献】国際公開第2013/073563(WO,A1)
【文献】特表2011-516675(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00-201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一液型エポキシ樹脂接着剤組成物であって、
(a)
前記接着剤組成物の総重量基準で少なくとも20重量%の、1種以上の非ゴム変性エポキシ樹脂;
(b)
前記接着剤組成物を硬化させるのに十分な量の、ジシアンアミドと1種以上の尿素化合物とを含む1種以上の潜在性エポキシ硬化剤であって、前記1種以上の尿素化合物が1つ以上の尿素基を有し1つの尿素基当たり最大250の分子量を有する、1種以上の潜在性エポキシ硬化剤;
(c)
前記接着剤組成物の総重量基準で10~40重量%の、1種以上の
ポリウレタン含有強化剤;及び
(d)
前記接着剤組成物の総重量基準で0.1~5重量%の、酸化亜鉛ナノ粒子;
を含有する、一液型エポキシ樹脂接着剤組成物。
【請求項2】
前記1種以上の非ゴム変性エポキシ樹脂が1種以上の液体非ゴム変性エポキシ樹脂を含む、請求項1に記載の一液型エポキシ樹脂接着剤組成物。
【請求項3】
前記1種以上の液体非ゴム変性エポキシ樹脂が、150~299g/molのエポキシ当量を有する、請求項2に記載の一液型エポキシ樹脂接着剤組成物。
【請求項4】
前記1種以上の非ゴム変性エポキシ樹脂が、150~299g/molのエポキシ当量を有する多価フェノールの液体ジグリシジルエーテルを少なくとも60%含む、請求項1に記載の一液型エポキシ樹脂接着剤組成物。
【請求項5】
前記1種以上の尿素化合物が、イソホロンビス(ジメチル尿素)、2,4’-及び/又は4,4’-メチレンビス(フェニルジメチル尿素)、並びに2,4-及び2,6-トルエンビス(ジメチル尿素)を含む、請求項1に記載の一液型エポキシ樹脂接着剤組成物。
【請求項6】
前記1種以上の
ポリウレタン含有強化剤がキャッピングされたイソシアネート基を有する反応性エラストマー系強化剤を含み、前記反応性エラストマー系強化剤が、(i)1000~10,000の数平均分子量のイソシアネート末端ポリエーテルと、(ii)1000~10,000の数平均分子量のイソシアネート末端ジエンポリマーとの、鎖延長されてからイソシアネートがキャッピングされた混合物を含む、請求項1に記載の一液型エポキシ樹脂接着剤組成物。
【請求項7】
前記酸化亜鉛ナノ粒子が250ナノメートル(nm)未満の平均粒子サイズを有する、請求項1に記載の一液型エポキシ樹脂接着剤組成物。
【請求項8】
前記酸化亜鉛ナノ粒子が10nm~100nmの平均粒子サイズを有する、請求項1に記載の一液型エポキシ樹脂接着剤組成物。
【請求項9】
コアシェルゴムを更に含有する、請求項1に記載の一液型エポキシ樹脂接着剤組成物。
【請求項10】
方法であって
(a)
一液型エポキシ樹脂接着剤組成物であって、
(i)
前記接着剤組成物の総重量基準で少なくとも20重量%の、1種以上の非ゴム変性エポキシ樹脂と、
(ii)
前記接着剤組成物を硬化させるのに十分な量の、ジシアンアミドと1種以上の尿素化合物とを含む1種以上の潜在性エポキシ硬化剤であって、前記1種以上の尿素化合物が1つ以上の尿素基を有し1つの尿素基当たり最大250の分子量を有する、1種以上の潜在性エポキシ硬化剤と、
(iii)
前記接着剤組成物の総重量基準で10~40重量%の、1種以上の
ポリウレタン含有強化剤と、
(iv)
前記接着剤組成物の総重量基準で0.1~5重量%の、酸化亜鉛ナノ粒子と、
を含有する一液型エポキシ樹脂接着剤組成物
、
を一つの基材の少なくとも一部に塗布すること;
(b)第2の基材を前記第1の基材と接触させること;及び
(c)前記一液型エポキシ樹脂接着剤組成物を硬化させて、前記第1の基材と第2の基材との間に接着剤結合を形成すること、
を含む方法。
【請求項11】
前記1種以上の非ゴム変性エポキシ樹脂が、1種以上の液体非ゴム変性エポキシ樹脂を含む、請求項
10に記載の方法。
【請求項12】
前記1種以上の液体非ゴム変性エポキシ樹脂が、150~299g/molのエポキシ当量を有する、請求項
11に記載の方法。
【請求項13】
前記1種以上の
ポリウレタン強化剤がキャッピングされたイソシアネート基を有する反応性エラストマー系強化剤を含み、前記反応性エラストマー系強化剤が、(i)1000~10,000の数平均分子量のイソシアネート末端ポリエーテルと、(ii)1000~10,000の数平均分子量のイソシアネート末端ジエンポリマーとの、鎖延長されてからイソシアネートがキャッピングされた混合物を含む、請求項
10に記載の方法。
【請求項14】
前記酸化亜鉛ナノ粒子が250ナノメートル(nm)未満の平均粒子サイズを有する、請求項
10に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の基材が金属基材であり、前記第2の基材がその上に亜鉛含有層を有する金属基材である、請求項
10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化亜鉛ナノ粒子を含有するエポキシ樹脂接着剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
構造用接着剤は、2つ以上の基材材料を一体に結合するために様々な用途で利用されている。例えば、構造用接着剤は、自動車又は産業用の構成要素を一体に結合するために使用することができる。
【0003】
構造用接着剤の1つの例は、エポキシ接着剤組成物である。これらの組成物は、エポキシ樹脂と硬化剤を含有し、通常は潜在性促進剤も含有する反応接着剤組成物である。加熱すると、エポキシ樹脂のエポキシ基は、重付加反応によってエポキシ樹脂化合物を連結する硬化剤と反応し、硬化した生成物が得られる。
【0004】
エポキシに基づく熱硬化性接着剤は、それらの物理的及び機械的特性、優れた耐薬品性、及び高いガラス転移温度のため、好ましい構造用接着剤である。純粋なエポキシ接着剤は脆いものの、強化剤を添加すると、接着剤をそれぞれ耐破壊性又は半耐破壊性にすることができ、その結果大きい衝撃に対して耐久性を持たせることができる。
【0005】
エポキシに基づく熱硬化性接着剤の前述した利点に加えて、これらは金属に対する非常に優れた接着性も有している。この接着性は、腐食性条件下での接合部の長期安定性に特に重要であり、これは、サイクル腐食試験によって評価される。接着剤で結合された接合部に対する自動車産業の腐食に関する要件は、ますます厳しくなってきている。典型的には、通常3~6か月のサイクル気候保管後に40%未満の重ねせん断強度の低下が必要とされる(サイクル腐食試験PV1210による)。
【0006】
現在、加速劣化後の接着剤で結合された接合部の重ねせん断強度の低下を低減するための課題が存在する。エポキシを主体とする熱硬化性接着剤の金属表面への接着力の低下の他にも、加速劣化後に重ねせん断強度が失われる別の形式が存在する。具体的には、これは、人工的な風化の間に金属表面が腐食されてから溶解することに起因する接着力の低下である。この腐食及び溶解は、基材への接着剤の接着力の低下ももたらす。
【0007】
自動車産業で現在使用されている鋼材は、典型的には保護亜鉛層を有している。亜鉛は鉄よりも容易に酸化されるものの、これは、依然としてその表面の緻密な薄い酸化物層により腐食から保護し、バルク材料を不動態化するのに役立つ。しかしながら、薄い酸化亜鉛層は、塩基性条件下で溶解してバルク亜鉛を環境条件に曝したままにし、それによって腐食が生じる可能性がある。
【0008】
そのため、亜鉛で被覆されている金属基材を別の基材に結合させる際に、腐食から保護しながらも十分な重ねせん断強度を有するエポキシ樹脂接着剤組成物を提供することが望まれる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
例示的な一実施形態では、以下を含む一液型エポキシ樹脂接着剤組成物が提供される:
(a)1種以上の非ゴム変性エポキシ樹脂;
(b)1種以上の潜在性エポキシ硬化剤;
(c)1種以上の強化剤;及び
(d)酸化亜鉛ナノ粒子。
【0010】
例示的な一実施形態では、
(a)
(i)1種以上の非ゴム変性エポキシ樹脂と、
(ii)1種以上の潜在性エポキシ硬化剤と、
(iii)1種以上の強化剤と、
(iv)酸化亜鉛ナノ粒子と、
を含有する一液型エポキシ樹脂接着剤組成物を第1の基材の少なくとも一部に塗布すること;
(b)第2の基材を第1の基材と接触させること;及び
(c)一液型エポキシ樹脂接着剤組成物を硬化させて、第1の基材と第2の基材との間に接着剤結合を形成すること、
を含む、2つの基材の結合方法が提供される。
【0011】
例示的な一実施形態では、上に亜鉛含有層を有する金属基材を腐食から保護する方法が提供され、これは、上に亜鉛含有層を有する第1の金属基材と、第2の金属基材との間のボンドラインで一液型エポキシ樹脂接着剤組成物の層を形成することと、ボンドラインで層を硬化させることで基材を互いに対して結合させて硬化した接着剤を形成することを含む。
【0012】
本発明の一液型エポキシ樹脂接着剤組成物は、有利には、酸化亜鉛ナノ粒子の添加により、その重ねせん断強度によって測定される接着剤の改善された靭性だけでなく、改善された環境安定性、すなわち腐食からの保護も示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(a)1種以上の非ゴム変性エポキシ樹脂;(b)1種以上の潜在性エポキシ硬化剤;(c)1種以上の強化剤;及び(d)酸化亜鉛ナノ粒子を含有する一液型エポキシ樹脂接着剤組成物が開示される。
【0014】
本発明による一液型エポキシ樹脂接着剤組成物の成分(a)は、1種以上の非ゴム変性エポキシ樹脂を含む。通常、非ゴム変性エポキシ樹脂としては、幅広いエポキシ樹脂を使用することができる。一実施形態では、非ゴム変性エポキシ樹脂は、平均1分子当たり少なくとも1.5個のエポキシド基、又は1分子当たり少なくとも1.8個のエポキシド基を有することができる。エポキシ樹脂はゴムで変性されていない。すなわち、エポキシ樹脂は、接着剤の硬化の前にゴムに化学的に結合されていない。
【0015】
適切な非ゴム変性エポキシ樹脂としては、例えば、米国特許第4,734,332号明細書(これは参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)の第2欄第66行目から第4欄第23行目に記載されているものが挙げられる。例えば、適切な非ゴム変性エポキシ樹脂としては、酸素、窒素、又は硫黄の原子に直接結合している次の式の少なくとも2つの基を含むものが挙げられる:
【化1】
(式中、R
1は水素原子又はメチル基を表す)。
【0016】
そのような非ゴム変性エポキシ樹脂の代表的な例としては、アルカリの存在下、1分子当たり2つ以上のカルボン酸基を含む化合物と、エピクロロヒドリン、グリセロールジクロロヒドリン、又はベータ-メチルエピクロロヒドリンとの反応によって得られるポリグリシジル及びポリ(ベータ-メチルグリシジル)エステルが挙げられる。そのようなポリグリシジルエステルは、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、及び二量化若しくは三量化リノール酸などの脂肪族カルボン酸;又はテトラヒドロフタル酸、4-メチルテトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、及び4-メチルヘキサヒドロフタル酸などの脂環式ポリカルボン酸;又はフタル酸、イソフタル酸、及びテレフタル酸などの芳香族ポリカルボン酸から誘導され得る。
【0017】
そのような非ゴム変性エポキシ樹脂の更なる代表的な例としては、1分子当たり少なくとも2つの遊離アルコール性ヒドロキシル基及び/又はフェノール性ヒドロキシル基を含む化合物と適切なエピクロロヒドリンとの、アルカリ性条件下での反応により得られる、或いは酸性触媒存在下での反応及びそれに続くアルカリ処理により得られるポリグリシジル及びポリ(ベータ-メチルグリシジル)エーテルが挙げられる。これらのエーテルは、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、及びより高級なポリ(オキシエチレン)グリコール、プロパン-1,2-ジオール及びポリ(オキシプロピレン)グリコール、プロパン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール、ペンタン-1,5-ジオール、ヘキサン-1,6-ジオール、ヘキサン-2,4,6-トリオール、グリセロール、1,1,1-トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、及びポリエピクロロヒドリンなどの脂肪族アルコールから;又はレゾルシトール、キニトール、ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)メタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、及び1,1-ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサ-3-エンなどの脂環式アルコールから;並びにN,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)アニリン及びp,p’-ビス(2-ヒドロキシエチルアミノ)ジフェニルメタンなどの芳香核を有するアルコールから製造することができる。
【0018】
これらのエーテルは、例えば、レゾルシノール及びヒドロキノンなどの単核フェノール、又はビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、4,4’-ジヒドロキシジフェニル、ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、1,1,2,2-テトラキス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-プロパン、2,2-ビス(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)プロパンなどの多核フェノール、並びにホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、クロラール、フルフラルデヒドなどのアルデヒドと、フェノール自体及び塩素原子又はそれぞれ最大9個までの炭素原子を含むアルキル基により環内で置換されたフェノール(例えば4-クロロフェノール、2-メチルフェノール、及び4-tertブチルフェノール)などのフェノールと、から形成されたノボラックから製造することもできる。
【0019】
ポリ(N-グリシジル)化合物としては、例えば、エピクロロヒドリンと、少なくとも2つのアミノ水素原子を含むアミン(アニリン、n-ブチルアミン、ビス(4-アミノフェニル)メタン、m-キシリレンジアミン、及びビス(4-メチルアミノフェニル)メタン等)との反応生成物の脱塩化水素によって得られるもの;トリグリシジルイソシアヌレート;環状アルキレン尿素(エチレン尿素及び1,3-プロピレン尿素等)と5,5-ジメチルヒダントイン等のヒダントインとのN、N’-ジグリシジル誘導体が挙げられる。ポリ(S-グリシジル)化合物としては、例えば、エタン-1,2-ジチオール及びビス(4-メルカプトメチルフェニル)エーテルなどのジチオールのジ-S-グリシジル誘導体が挙げられる。
【0020】
異なる種類のヘテロ原子に結合している1,2-エポキシド基を有する適切な非ゴム変性エポキシ樹脂、例えば4-アミノフェノールのN,N,O-トリグリシジル誘導体、サリチル酸のグリシジルエーテル-グリシジルエステル、N-グリシジル-N’-(2-グリシジルオキシプロピル)-5,5-ジメチルヒダントイン、及び2-グリシジルオキシ-1,3-ビス(5,5-ジメチル-1-グリシジルヒダントイン-3-イル)プロパンが使用されてもよい。
【0021】
一実施形態では、1種以上の非ゴム変性エポキシ樹脂は、例えば、ポリグリシジルエーテル、ポリグリシジルエステル、N,N’-ジグリシジルヒダントイン、及び芳香族アミンのポリ(N-グリシジル)誘導体などの液体エポキシ樹脂である。一実施形態では、1種以上の非ゴム変性エポキシ樹脂は、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンの、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタンの、又はホルムアルデヒドと、フェノール若しくは1つの塩素原子若しくは1~9個の炭素原子を含む1つのアルキル炭化水素基により環内で置換されているフェノールとから形成される1キログラム当たり少なくとも0.5当量の1,2-エポキシド含有量を有するノボラックのポリグリシジルエーテル、ビス(4-ジグリシジルアミノ)フェニル)メタン、及びp-(ジグリシジルアミノ)フェニルグリシジルエーテルである。
【0022】
一実施形態では、好適な1種以上の非ゴム変性エポキシ樹脂としては、例えば、レゾルシノール、カテコール、ヒドロキノン、ビフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールAP(1,1-ビス(4-ヒドロキシルフェニル)-1-フェニルエタン)、ビスフェノールF、ビスフェノールK及びテトラメチルビフェノールなどの多価フェノール化合物のジグリシジルエーテル;C2~C24アルキレングリコールのジグリシジルエーテルなどの脂肪族グリコールのジグリシジルエーテル;フェノール-ホルムアルデヒドノボラック樹脂(エポキシノボラック樹脂)、アルキル置換フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、フェノール-ヒドロキシベンズアルデヒド樹脂、クレゾール-ヒドロキシベンズアルデヒド樹脂、ジシクロペンタジエン-フェノール樹脂及びジシクロペンタジエン-置換フェノール樹脂のポリグリシジルエーテル;脂環式エポキシ樹脂;並びにそれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0023】
一実施形態では、適切な1種以上の非ゴム変性エポキシ樹脂としては、例えば市販のビスフェノールA樹脂のジグリシジルエーテル、特にはD.E.R.(登録商標)330、D.E.R.(登録商標)331、D.E.R.(登録商標)332、D.E.R.(登録商標)383、D.E.R.(登録商標)661、D.E.R.(登録商標)662、及びD.E.R.(登録商標)671の名称でOlinから販売されているもの、並びにAraldite GY260の商標名でHuntsmanから販売されているものが挙げられる。
【0024】
一実施形態では、適切な1種以上の非ゴム変性エポキシ樹脂としては、例えば、D.E.R.(登録商標)732及びD.E.R.(登録商標)736の名称でOlinから市販及び販売されているポリグリコールのジグリシジルエーテルが挙げられる。
【0025】
一実施形態では、適切な1種以上のエポキシノボラック樹脂としては、例えば、D.E.N.(登録商標)354、D.E.N.(登録商標)431、D.E.N.(登録商標)438、及びD.E.N.(登録商標)439の名称でOlinから市販及び販売されているものが挙げられる。
【0026】
一実施形態では、適切な1種以上の非ゴム変性エポキシ樹脂としては、例えば、米国特許第3,686,359号明細書(これはその全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載のものなどの脂環式エポキシ樹脂が挙げられる。適切な脂環式エポキシ樹脂としては、例えば、(3,4-エポキシシクロヘキシル-メチル)-3,4-エポキシ-シクロヘキサンカルボキシレート、ビス-(3,4-エポキシシクロヘキシル)アジペート、ビニルシクロヘキセンモノオキシド、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0027】
一実施形態では、適切な1種以上の非ゴム変性エポキシ樹脂としては、例えば、米国特許第5,112,932号明細書に記載のものなどのオキサゾリドン含有化合物が挙げられる。更に、OlinからD.E.R.592及びD.E.R.6508の名称で市販及び販売されているものなどの改良型エポキシ-イソシアネートコポリマーを使用することができる。
【0028】
別の実施形態では、1種以上の非ゴム変性エポキシ樹脂は、1種以上のビスフェノールタイプのエポキシ樹脂、又は最大10重量パーセントまでの別のタイプのエポキシ樹脂とのそれらの混合物である。好ましい一実施形態では、1種以上の非ゴム変性エポキシ樹脂としては、ビスフェノールAに基づくエポキシ樹脂及びビスフェノールFに基づくエポキシ樹脂が挙げられる。好ましい一実施形態では、1種以上の非ゴム変性エポキシ樹脂としては、液体のビスフェノールAに基づくエポキシ樹脂及びビスフェノールFに基づくエポキシ樹脂が挙げられる。
【0029】
一実施形態では、1種以上の非ゴム変性エポキシ樹脂は、150~600g/mol以上、又は150~400g/mol、又は150~250g/molのエポキシ当量を有する。一実施形態では、1種以上の非ゴム変性エポキシ樹脂は、150~299g/mol、又は150~250g/molのエポキシ当量を有する多価フェノール(例えばビスフェノール-A又はビスフェノール-F)のジグリシジルエーテルなどの液体非ゴム変性エポキシ樹脂を、1種以上の非ゴム変性エポキシ樹脂の総重量を基準として少なくとも10重量パーセント含む。
【0030】
一実施形態では、1種以上の非ゴム変性エポキシ樹脂は、150~299g/mol、又は150~250g/molのエポキシ当量を有する多価フェノール(例えばビスフェノール-A又はビスフェノール-F)の液体ジグリシジルエーテルを、少なくとも60重量パーセント含む。一実施形態では、1種以上の非ゴム変性エポキシ樹脂は、150~299g/mol、又は150~250g/molのエポキシ当量を有する多価フェノール(例えばビスフェノール-A又はビスフェノール-F)の液体ジグリシジルエーテルを、少なくとも70重量パーセント含む。一実施形態では、1種以上の非ゴム変性エポキシ樹脂は、150~299g/mol、又は150~250g/molのエポキシ当量を有する多価フェノール(例えばビスフェノール-A又はビスフェノール-F)の少なくとも1種の液体ジグリシジルエーテルと、150~299g/mol、又は150~250g/molのエポキシ当量を有する多価フェノール(例えばビスフェノール-A又はビスフェノール-F)の少なくとも1種の半固体ジグリシジルエーテルとの混合物である。混合物は、最大20%、又は最大10%の1種以上の他のエポキシ樹脂も任意選択的に含有していてもよい。
【0031】
通常、1種以上の非ゴム変性エポキシ樹脂は、一液型エポキシ樹脂接着剤組成物の総重量の少なくとも20重量パーセント、又は少なくとも30重量パーセント、又は少なくとも約40重量パーセントを構成する。別の実施形態では、1種以上のエポキシ樹脂は、一液型エポキシ樹脂接着剤組成物の総重量の最大80重量パーセント又は最大70重量パーセント又は最大60重量パーセントを構成し得る。一実施形態では、一液型エポキシ樹脂接着剤組成物は、一液型エポキシ樹脂接着剤組成物の総重量の20~80、又は30~60重量パーセントを構成する。
【0032】
一実施形態では、一液型エポキシ樹脂接着剤組成物は、一液型エポキシ樹脂接着剤組成物の総重量の20~80、又は30~60重量パーセントの、多価フェノール(例えばビスフェノール-A)の少なくとも1種の液体ジグリシジルエーテルを構成する。別の実施形態では、一液型エポキシ樹脂接着剤組成物は、一液型エポキシ樹脂接着剤組成物の総重量の0~40、又は2~15重量パーセントの、多価フェノール(例えばビスフェノール-A)の少なくとも1種の固体ジグリシジルエーテルを構成する。
【0033】
一液型エポキシ樹脂接着剤組成物は、1種以上の潜在性エポキシ硬化剤(b)を更に含有する。硬化剤は、本明細書に記載の全ての成分を含む接着剤が少なくとも60℃、又は少なくとも80℃、又は少なくとも100℃、又は少なくとも140℃の硬化温度を示す場合に、本発明の目的のためには「潜在的」であるとみなされる。一実施形態では、本明細書に記載の全ての成分を含む接着剤は、例えば180℃もの高い硬化温度を示す。「硬化温度」とは、構造用接着剤が2時間以内の完全硬化で少なくとも30%の重ねせん断強度(DIN ISO1465)を達成する最も低い温度を指す。「完全硬化」での重ねせん断強度は、180℃で30分間硬化したサンプルで測定され、この条件は「完全硬化」条件を表す。
【0034】
本明細書では、一液型エポキシ樹脂接着剤組成物に適した任意の潜在性エポキシ硬化剤を使用することができる。一実施形態では、適切な潜在性エポキシ硬化剤としては、例えば、尿素、三塩化ホウ素/アミン及び三フッ化ホウ素/アミン錯体、メラミン、ジアリルメラミン、グアナミン(ジシアンジアミド、メチルグアニジン、ジメチルグアニジン、トリメチルグアニジン、テトラメチルグアニジン、メチルイソビグアニジン、ジメチルイソビグアニジン、テトラメチルイソビグアニジン、ヘプタメチルイソビグアニジン、ヘキサメチルイソビグアニジン、アセトグアナミン、及びベンゾグアナミン等)、アミノトリアゾール(3-アミノ-1,2,4-トリアゾール等)、ヒドラジド(アジピン酸ジヒドラジド、ステアリン酸ジヒドラジド、及びイソフタル酸ジイソヒドラジド等)、セミカルバジド、シアノアセトアミド、及び芳香族ポリアミン(ジアミノジフェニルスルホン等)のうちの1種以上が挙げられる。一実施形態では、1種以上の潜在性エポキシ硬化剤はジシアンジアミドである。
【0035】
一実施形態では、1種以上の潜在性エポキシ硬化剤は、1つ以上の尿素基を有し1つの尿素基当たり最大250の分子量を有する少なくとも1種の尿素化合物である。通常、尿素化合物は、構造:
【化2】
のものであってもよく、式中、nは1以上であり、Rは置換又は無置換のアルキル、シクロアルキル、及び/又は芳香族ラジカルであり、R
2は、水素、無置換アルキル、置換アルキル、フェニル、又は置換フェニルであり、各R
3は、独立に、アルキル、置換アルキル、フェニル、又は置換フェニルである。Rは、モノ又はポリイソシアネート化合物からイソシアネート基を除去した後の残基であってもよい。Rは、例えば最大20個の炭素原子、又は最大15個の炭素原子を含み得る。一実施形態では、R、各R
3、及びR
2(水素ではない場合)は、脂肪族炭化原子を介して隣接する窒素原子に結合しており、nは1~4、又は1、2若しくは3、又は2である。
【0036】
芳香族尿素の代表的な例としては、3-フェニル-1,1-ジメチル尿素、3-(p-クロロフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(3,4-ジクロロフェニル)-1、及び1-ジメチル尿素が挙げられる。他の芳香族尿素の代表的な例としては、芳香族ポリイソシアネートとジアルキルアミンとの反応生成物に対応するもの、例えば2,4’-及び/又は4,4’-メチレンビス(フェニルジメチル尿素)及び2,4-及び/又は2,6-トルエンビス(ジメチル尿素)が挙げられる。市販の芳香族置換尿素製品は、Emerald Performance Materialsから入手可能なOmicure(商標)U-52である。
【0037】
脂肪族尿素の代表的な例としては、テトラメチル尿素及びテトラエチル尿素などの、アルキル基がそれぞれ独立して1~12個又は1~2個の炭素原子を有するテトラアルキル尿素化合物が挙げられる。一実施形態では、脂肪族尿素は、脂肪族(環状脂肪族を含む)イソシアネートとジアルキルアミンとの反応生成物、例えばイソホロンビス(ジメチル尿素)、シクロヘキサンビス(ジメチル尿素)、ヘキサン-1,6-ビス(ジメチル尿素)、及び4,4’-メチレンビス(シクロヘキサンジメチル尿素)に対応する。市販の環状脂肪族置換尿素製品は、Emerald Performance Materialsから入手可能なOmicure(商標)U-35である。
【0038】
尿素化合物は、硬化促進剤、すなわち触媒としても機能すると考えられている。したがって、本発明の接着剤組成物に別個の硬化促進剤又は触媒を含める必要はない。しかしながら、追加の硬化促進剤が望まれる場合、それは、上で説明したもの又は当該技術分野で公知のもののいずれかであってもよい。
【0039】
一実施形態では、1種以上の潜在性エポキシ硬化剤は、上で説明した少なくとも1種の尿素化合物、及び1種以上の追加の潜在性エポキシ硬化剤である。例えば、1種以上の追加の潜在性エポキシ硬化剤は、上で説明したもののいずれかであってもよい。
【0040】
通常、1種以上の潜在性エポキシ硬化剤は、接着剤組成物を硬化させるのに十分な量で使用される。典型的には、組成物中に存在するエポキシド基の少なくとも80%を消費するのに十分な量の硬化剤が供給される。エポキシド基の全てを消費するのに必要な量を超える大過剰は通常必要ない。したがって、一実施形態では、1種以上の潜在性エポキシ硬化剤は、一液型エポキシ樹脂接着剤組成物の総重量の少なくとも1.5重量パーセント、又は少なくとも1.75重量パーセント、又は少なくとも2.0重量パーセントを構成し得る。別の実施形態では、1種以上の潜在性エポキシ硬化剤は、一液型エポキシ樹脂接着剤組成物の総重量の最大15重量パーセント、又は最大10重量パーセント、又は最大8重量パーセントを構成する。
【0041】
一液型エポキシ樹脂接着剤組成物は、1種以上の強化剤(c)を更に含有する。通常、一液型エポキシ樹脂接着剤組成物に適した任意の強化剤を本明細書で使用することができる。一実施形態では、適切な1種以上の強化剤としては、例えば1種以上のポリウレタン含有強化剤が挙げられる。ポリウレタン含有強化剤は、末端がキャッピングされたイソシアネート基を有するエラストマー材料であり、イソシアネート末端化合物の混合物を鎖延長し、その後鎖延長された材料の残りのイソシアネート基をキャッピングする工程を含むプロセスで製造される。
【0042】
イソシアネート末端化合物は、(i)1000~10,000の数平均分子量の少なくとも1種のイソシアネート末端ポリエーテル、及び(ii)1000~10,000の数平均分子量の少なくとも1種のイソシアネート末端ジエンポリマーを含み得る。イソシアネート末端ポリエーテルのポリエーテル部分は、テトラヒドロフラン(テトラメチレンオキシド)、1,2-ブチレンオキシド、2,3-ブチレンオキシド、1,2-プロピレンオキシド及びエチレンオキシドのうちの1つ以上のポリマーであってもよく、ポリマー又はコポリマーの総重量に基づいて少なくとも70重量%のテトラヒドロフラン、1,2-ブチレンオキシド、2,3-ブチレンオキシド及び1,2-プロピレンオキシドであるポリマー又はコポリマーが好ましい。一実施形態では、ポリマー又はコポリマーの総重量に基づいて、少なくとも80重量パーセントのテトラヒドロフランのポリマーが使用される。
【0043】
イソシアネート末端ポリエーテルは、出発ポリエーテル上のアミン-及び/又はヒドロキシル基1当量当たり少なくとも1.5当量、又は1.8~2.5当量又は1.9~2.2当量の比で、アミン-末端又はヒドロキシル-末端ポリエーテルをポリイソシアネートと反応させることにより調製される。出発ポリエーテルは、1分子当たり2~3個のアミン及び又はヒドロキシル基を有し得る。ポリイソシアネートは、1分子当たり2個のイソシアネート基を有し得る。イソシアネート末端ポリエーテルは、1分子当たり2~3個のイソシアネート基を有し得る。出発ポリエーテルは、900~8000、又は1500~6000又は1500~4000の数平均分子量を有し得る。一実施形態では、ポリイソシアネートは、最大300の分子量を有する。
【0044】
イソシアネート末端ジエンポリマーは、出発ジエンポリマー上のアミン-及び/又はヒドロキシル基1当量当たり少なくとも1.5当量、又は1.8~2.5当量又は1.9~2.2当量の比で、アミン-末端又はヒドロキシル-末端ジエンポリマーをポリイソシアネートと反応させることにより調製される。
【0045】
出発ジエンポリマーは、好ましくは、ポリイソシアネートとの反応前に-20℃以下、好ましくは-40℃以下のガラス転移温度を有する。ジエンポリマーは、共役ジエンの液体ホモポリマー又はコポリマー、特にジエン/ニトリルコポリマーである。共役ジエンは、ブタジエン又はイソプレンであってもよい。一実施形態では、共役ジエンはブタジエンであり、好ましいニトリルモノマーはアクリロニトリルである。ゴムは、全体として、30重量%以下の重合した不飽和ニトリルモノマー、及び約26重量%以下の重合したニトリルモノマーを含み得る。
【0046】
出発ジエンポリマーは、1分子当たり2~3個のアミン及び/又はヒドロキシル基を有し得る。ポリイソシアネートは、1分子当たり2個のイソシアネート基を有し得る。イソシアネート末端ジエンポリマーは、1分子当たり2~3個のイソシアネート基を有し得る。出発ジエンポリマーは、900~8000、又は1500~6000、又は2000~3000の数平均分子量を有し得る。一実施形態では、ポリイソシアネートは、最大300の分子量を有し得る。
【0047】
イソシアネート末端ポリエーテル及びイソシアネート末端ジエンポリマーは芳香族イソシアネート基を有し得るが、イソシアネート基は通常脂肪族である。イソシアネート末端ポリマーが上述したプロセスで製造される場合、ポリイソシアネートは芳香族ポリイソシアネートであってもよいものの、通常はイソホロンジイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、水素化トルエンジイソシアネート、及び水素化メチレンジフェニルイソシアネート(H12MDI)などの脂肪族ポリイソシアネートである。
【0048】
イソシアネート末端ポリエーテル及びイソシアネート末端ジエンポリマーは、別々に製造されてからブレンドされてもよい。或いは、アミン-又はヒドロキシル-末端ポリエーテルとアミン-又はヒドロキシル-末端ジエンポリマーをそれぞれ上述した通りにブレンドし、ブレンドされた材料をポリイソシアネートと反応させて、イソシアネート末端種の混合物を直接形成することにより、それらは同時に製造される。
【0049】
イソシアネート末端ポリエーテル及びイソシアネート末端ジエンポリマーの重量比は、例えば、5:95~95:5又は50:50~95:5又は70:30~90:10であってもよい。
【0050】
イソシアネート末端ポリマーを形成するための反応は、任意選択的にはイソシアネート基をポリエーテル又はジエンポリマーのイソシアネート反応性基と反応させるための触媒の存在下において、材料を記述した比で混合して60~120℃まで加熱することにより行うことができる。イソシアネート含有量が一定値に若しくは目標値に減少するまで、又は出発ポリエーテル若しくはジエンポリマーのアミン基及び/若しくはヒドロキシル基が消費されるまで反応は続行される。
【0051】
必要に応じて、イソシアネート末端ポリエーテル及び/又はイソシアネート末端ジエンポリマーに分岐を導入することができる。それらが上述したようなプロセスで製造される場合、これは、ポリマー状の出発物質とポリイソシアネートとの間の反応に分岐剤を添加することによって行うことができる。分岐剤は、599まで、又は50~500の分子量を有し、1分子当たり少なくとも3つのヒドロキシル、第1級アミノ及び/又は第2級アミノ基を有するポリオール又はポリアミン化合物であってもよい。使用する場合、分岐剤は、通常、分岐剤と出発ポリマー(すなわちアミン-又はヒドロキシル-末端ポリエーテル又はジエンポリマー)の合計重量の10%以下、又は5%以下、又は2%以下を構成する。
【0052】
好適な分岐剤としては、例えば、トリメチロールプロパン、グリセリン、トリメチロールエタン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、スクロース、ソルビトール、ペンタエリスリトール、トリエタノールアミン、及びジエタノールアミンなどのポリオール、並びに最大599又は最大500の数平均分子量を有するそれらのアルコキシレートが挙げられる。
【0053】
イソシアネート末端ポリエーテルとイソシアネート末端ジエンポリマーとの混合物は、鎖延長されたイソシアネート末端プレポリマーを生成するために鎖延長される。適切な鎖延長剤としては、例えば、最大749、又は50~500の分子量を有し、1分子当たり2つのヒドロキシル、第1級アミノ及び/又は第2級アミノ基を有するポリオール又はポリアミン化合物が挙げられる。適切な鎖延長剤の代表例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、メチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、及びシクロヘキサンジメタノールなど脂肪族ジオール;エチレンジアミン、ピペラジン、アミノエチルピペラジン、フェニレンジアミン、及びジエチルトルエンジアミンなどの脂肪族又は芳香族ジアミン;並びにレゾルシノール、カテコール、ヒドロキノン、ビスフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールAP(1,1-ビス(4-ヒドロキシルフェニル)-1-フェニルエタン)、ビスフェノールF、ビスフェノールK、ビスフェノールM、テトラメチルビフェノール、及びo,o’-ジアリル-ビスフェノールAなどの2つのフェノール性ヒドロキシル基を有する化合物が挙げられる。
【0054】
鎖延長反応は、プレポリマー形成反応と同じ一般的な方法で行われる。通常、十分な量のプレポリマーを鎖延長剤と混合することで、鎖延長剤が寄与するイソシアネート反応性基の1当量当たり少なくとも2当量のイソシアネート基が得られる。鎖延長反応中に鎖延長剤が寄与するイソシアネート反応性基の1当量当たり、1.5から4以上、又は1.75~3又は1.8~2.5当量のイソシアネート基を得ることができる。
【0055】
鎖延長反応は、イソシアネート末端ポリエーテルとイソシアネート末端ジエンポリマーとの混合物を鎖延長剤と混合し、鎖延長剤のイソシアネート反応性基がイソシアネート末端材料のイソシアネート基と反応して鎖延長されたプレポリマーを形成する条件下に混合物をおくことにより行われる。
【0056】
鎖延長されたプレポリマーは、材料の混合物になる。これは主に、鎖延長剤の残基によって一体に結合された2つ以上の出発イソシアネート末端ポリマーに対応するイソシアネート末端ポリマーからなる。プレポリマー分子の一部は、イソシアネート末端ポリエーテルのポリエーテル鎖に対応する2つ以上のポリエーテル鎖を有する。プレポリマー分子の一部は、イソシアネート末端ポリエーテルのポリエーテル鎖に対応する1種以上のポリエーテル鎖、及びイソシアネート末端ジエンポリマーのジエンポリマー鎖に対応する1種以上のジエンポリマー鎖を有する。イソシアネート末端ジエンポリマーのジエンポリマー鎖に対応する、もう2個のジエンポリマー鎖を有するプレポリマー分子が存在していてもよい。鎖延長されたプレポリマーは、少量の未反応の出発物質、及び/又は1分子の鎖延長剤と1分子のみのイソシアネート末端ポリエーテル若しくはイソシアネート末端ジエンポリマーとの少量の反応生成物を含み得る。
【0057】
鎖延長反応の条件は、通常、アミン-又はヒドロキシル-末端ポリマーとポリイソシアネートとの反応に関して説明した通りである。
【0058】
鎖延長されたプレポリマーのイソシアネート基は、その後キャッピング基との反応によってキャッピングされる。例えば、米国特許第5,202,390号明細書、同第5,278,257号明細書、及び同第7,615,595号明細書、米国公開特許出願第2005-0070634号明細書、同第2005-0209401号明細書、同第2006-0276601号明細書、及び同第2010-0019539号明細書、国際公開第2006/128722号パンフレット、国際公開第2005/118734号パンフレット、及び国際公開第2005/0070634号パンフレット(これらは全て、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているものなどの、様々なタイプのキャッピング基が適している。
【0059】
一実施形態では、適切なキャッピング剤としては、例えば、1つの第1級若しくは第2級アミノ基を有する脂肪族、芳香族、脂環式、芳香脂肪族及び/又はヘテロ芳香族のモノアミンが挙げられる。そのようなキャッピング化合物の例としては、メチルアミン、エチルアミン、イソプロピルアミン、sec-ブチルアミン、t-ブチルアミンなどのモノアルキルアミン;ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ-sec-ブチルアミン、ジヘキシルアミン、及びジオクチルアミンなどのジアルキルアミン;シクロヘキシル基が1種以上のアルキル基で任意選択的に置換されていてもよいシクロヘキシルアミン又はジシクロヘキシルアミン;フェニル基が1種以上のアルキル基で任意選択的に置換されていてもよいベンジルアミン及びジフェニルアミン;モルホリン;アミン水素原子を有するN-アルキルピペラジン及びイミダゾールが挙げられる。
【0060】
一実施形態では、適切なキャッピング剤としては、例えば、モノフェノール、ポリフェノール、及びアミノフェノールを含むフェノール化合物が挙げられる。モノフェノールの例としては、フェノール、それぞれ1~30個の炭素原子を含み得る1つ以上のアルキル基を含むアルキルフェノール、ナフトール、ハロゲン化フェノール、カルダノール、又はナフトールが挙げられる。好適なポリフェノールは、1分子当たり2個以上のフェノール性ヒドロキシル基を含み、それらとしては、レゾルシノール、カテコール、ヒドロキノン、ビスフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールAP(1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン)、ビスフェノールF、ビスフェノールK、ビスフェノールM、テトラメチルビスフェノール及びo,o’-ジアリル-ビスフェノールA、並びにそれらのハロゲン化誘導体が挙げられる。好適なアミノフェノールは、少なくとも1個の第一級若しくは第二級アミノ基と、1個のフェノール性ヒドロキシル基とを含む化合物である。アミノ基は、芳香環の炭素原子に結合していてもよい。好適なアミノフェノールの例としては、2-アミノフェノール、4-アミノフェノール、様々なアミノナフトール等が挙げられる。一実施形態では、フェノール性化合物としては、モノフェノール及びアミノフェノールが挙げられる。
【0061】
一実施形態では、適切なキャッピング剤としては、例えば、芳香環上で1つ以上のアルキル基で置換されていてもよいベンジルアルコールが挙げられる。
【0062】
一実施形態では、適切なキャッピング剤としては、例えば、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、2-ヒドロキシ-ブチルアクリレート、2-アミノプロピルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、4-ヒドロキシブチルメタクリレート、及び2-ヒドロキシブチルメタクリレートなどのヒドロキシ-官能性アクリレート又はメタクリレート化合物が挙げられる。
【0063】
一実施形態では、適切なキャッピング剤としては、例えば、ドデカンチオールなどの、アルキル基中に2~30個又は6~16個の炭素原子を有するアルキルチオールなどのチオール化合物が挙げられる。
【0064】
一実施形態では、適切なキャッピング剤としては、例えば、アセトアミド及びN-アルキルアセトアミドなどの少なくとも1つのアミン水素を有するアルキルアミド化合物が挙げられる。
【0065】
一実施形態では、適切なキャッピング剤としては、例えばケトオキシムが挙げられる。
【0066】
いくつかの実施形態では、プレポリマーのイソシアネート基の少なくとも90%、又は少なくとも95%、又は少なくとも98%、又は最大100%が、1種以上のモノフェノール及びアミノフェノールのキャッピング剤でキャッピングされる。そのような実施形態では、残りの任意のキャッピングされていないイソシアネート基は、別のタイプのキャッピング剤でキャッピングされていてもよい。
【0067】
キャッピング反応は、任意選択的に、イソシアネート基をキャッピング剤のイソシアネート反応性基と反応させるための触媒の存在下において、すでに記載された一般的な条件下、即ち記載の比で材料を合わせて、それらを室温又は60~120℃などの高温で反応させることにより実施することができる。反応は、イソシアネート含有量が、0.1重量%未満の一定値に減少するまで続行される。更に、イソシアネート基の3%未満、又は1%未満は、キャッピングされていないままであってもよい。
【0068】
得られる強化剤は、1000以上の分子量を表すピークのみ考慮してゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定される、少なくとも3000、又は少なくとも4000~35,000、又は最大20,000、又は最大約15,000の数平均分子量を有し得る。
【0069】
強化剤の多分散度(数平均分子量に対する重量平均分子量の比)は、適切には1~4、又は1.5~2.5である。強化剤は、適切には、1分子当たり平均で1.5、又は2.0~6、又は最大4、又は最大3、又は最大2.5の、キャッピングされたイソシアネート基を含む。一実施形態では、プレポリマーは、1分子当たり平均1.9~2.2のキャッピングされたイソシアネート基を含む。
【0070】
通常、1種以上の強化剤は、一液型エポキシ樹脂接着剤組成物の総重量の少なくとも0.5重量パーセント、又は少なくとも8重量パーセント、又は少なくとも10重量パーセントを構成する。一実施形態では、1種以上の強化剤は、一液型エポキシ樹脂接着剤組成物の総重量の最大40重量パーセント、又は最大30重量パーセント、又は最大25重量パーセントを構成する。
【0071】
一液型エポキシ樹脂接着剤組成物は、酸化亜鉛ナノ粒子(d)を更に含有する。通常、本明細書で使用するための酸化亜鉛ナノ粒子は、250ナノメートル(nm)未満又は200nm未満又は150nm未満又は100nm未満又は50nm未満の平均粒子サイズを有し得る。一実施形態では、本明細書で使用するための酸化亜鉛ナノ粒子は、少なくとも10nm又は少なくとも20nm又は少なくとも25nm又は少なくとも30nm又は少なくとも35nmの平均粒子サイズを有し得る。酸化亜鉛ナノ粒子は、サイズだけでなく形状も様々であり、また結晶性もアモルファスだけでなく様々である。例えば、酸化亜鉛ナノ粒子は、例えば、球形、円錐形、楕円形、円筒形、立方体、単斜晶系、平行六面体、及び不規則な形状の構造などの、任意の都合のよい形状であってもよい。酸化亜鉛ナノ粒子は、乾燥形態であってもよく、或いは溶液中に分散されていてもよい。本明細書で使用するための酸化亜鉛ナノ粒子は、例えば、商品名Grillo NANO Tec(登録商標)としてGrillo Zinkoxid GmbHから、及び商品名Nanox 200としてElementisから市販されている。
【0072】
通常、酸化亜鉛ナノ粒子は、一液型エポキシ樹脂接着剤組成物の総重量を基準として、0.1~5重量パーセント、又は0.2~4重量パーセント、又は0.3~2.5重量パーセントの量で一液型エポキシ樹脂接着剤組成物中に存在する。
【0073】
必要に応じて、一液型エポキシ樹脂接着剤組成物は、上述したものに加えて、様々な他の任意成分を含んでいてもよい。
【0074】
一液型エポキシ樹脂接着剤組成物は、上述した1種以上の強化剤に加えて、1種以上のゴム成分を更に含有していてもよい。一実施形態では、ゴム成分としては、例えば、アミノ基又はカルボキシル基のような2つ以上のエポキシド反応性基を有するものなどの液体ゴムが挙げられる。必要に応じて、液体ゴムの少なくとも一部は、示差走査熱量測定により測定される-40℃以下、又は-50℃以下のガラス転移温度(Tg)を有する。そのような液体ゴム成分は、エポキシ樹脂と完全に又は部分的に反応して、エポキシ基を有するゴム変性エポキシ樹脂を形成してもよい。
【0075】
更に、そのような液体ゴムは、共役ジエンのホモポリマー又はコポリマー、とりわけジエン/ニトリルコポリマーであってもよい。例えば、共役ジエンゴムはブタジエン又はイソプレンであってもよい。一実施形態では、共役ジエンゴムはブタジエンであり、ニトリルモノマーはアクリロニトリルであり、そのためブタジエン-アクリロニトリルコポリマーを形成する。ゴムは、全体として、30重量%以下の重合した不飽和ニトリルモノマー、又は約26重量%以下の重合したニトリルモノマーを含み得る。液体ゴムは、平均で1分子当たり1.5、又は1.8、又は最大2.5、又は最大2.2のエポキシド反応性末端基を含み得る。一実施形態では、ゴム成分はカルボキシル末端ゴムである。ゴムの分子量(Mn)は、適切には2000~6000、又は3000~5000である。適切なカルボキシル官能性ブタジエン及びブタジエン/アクリロニトリルゴムは、商品名Hycar(登録商標)2000X162カルボキシル末端ブタジエンホモポリマー、Hycar(登録商標)1300X31、Hycar(登録商標)1300X8、Hycar(登録商標)1300X13、Hycar(登録商標)1300X9、及びHycar(登録商標)1300X18カルボキシル末端ブタジエン/アクリロニトリルコポリマーとしてNoveonから市販されている。適切なアミン末端ブタジエン/アクリロニトリルコポリマーは、Hycar(登録商標)1300X21の商品名で販売されている。
【0076】
他の適切なゴム状材料としては、アミン末端ポリエーテル、脂肪酸(二量化又はオリゴマー化されていてもよい)、及びエラストマーポリエステルが挙げられる。
【0077】
一実施形態では、ゴム成分としては、例えばコア-シェルゴムが挙げられる。液体ゴムとコア-シェルゴムの成分の代表的な例は、米国特許第7,642,316号明細書及び同第7,625,977号明細書に開示されており、それらの全体は参照により本明細書に組み込まれる。一般的に、コア-シェルゴムは、ゴム状のコアを有する粒子状物質である。一実施形態では、ゴム状コアは、-20℃未満、又は-50℃未満、又は-70℃未満のTgを有し得る。一実施形態では、ゴム状コアのTgは-100℃未満であってもよい。また、コア-シェルゴムは、少なくとも50℃のTgを有する少なくとも1つのシェル部分も有する。コア-シェルゴムのコアは、ブタジエンなどの共役ジエンのポリマー若しくはコポリマー、又はη-ブチル-、エチル-、イソブチル-、又は2-エチルヘキシルアクリレートなどの低級アルキルアクリレートであってもよく、又はシリコーンゴムであってもよい。ゴムコアに任意選択的に化学的にグラフト又は架橋されていてもよいシェルポリマーは、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート又はt-ブチルメタクリレートなどの少なくとも1種の低級アルキルメタクリレートから重合することができる。そのようなメタクリレートモノマーのホモポリマーを使用することができる。更に、最大40重量%のシェルポリマーは、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート等などの他のモノビニリデンモノマーから形成することができる。グラフトされたシェルポリマーの分子量は、一般に、20,000~500,000である。有用なコア-シェルゴムの例としては、欧州特許出願公開第1632533A1号明細書に記載されているもの、及びKaneka Kane Ace(例えばKaneka Kane Ace MX 156及びKaneka Kane Ace MX 120コア-シェルゴム分散体を含む)の名称でKaneka Corporationにより販売されているものが挙げられる。
【0078】
本発明による一液型エポキシ樹脂接着剤組成物の総ゴム含有量は、一液性エポキシ樹脂接着剤組成物の総重量を基準として、わずか0重量パーセントから20重量パーセントもの高さまで、又は最大15重量パーセント、又は最大5重量パーセントまでの範囲であってもよい。上述した強化剤のいずれも、総ゴム含有量の計算では考慮されない。
【0079】
一液型エポキシ樹脂接着剤組成物は、1種以上のシリコーン強化剤を更に含有していてもよい。
【0080】
一液型エポキシ樹脂接着剤組成物は、1種以上の補強剤を更に含有していてもよい。適切な1種以上の補強剤としては、例えば、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、タルク、カーボンブラック、テキスタイル繊維、ガラス粒子又は繊維、アラミドパルプ、ホウ素繊維、炭素繊維、無機ケイ酸塩、マイカ、粉末石英、水和酸化アルミニウム、ベントナイト、様々なアルミナケイ酸塩(ウォラストナイトやカオリンなどの粘土を含む)、ヒュームドシリカ、シリカエアロゲル、ポリ尿素化合物、ポリアミド化合物、及び金属粉末(アルミニウム粉末や鉄粉など)が挙げられる。一実施形態では、補強剤は、最大200ミクロンの平均粒子サイズ及び最大0.2g/ccの密度を有するマイクロバルーンである。マイクロバルーンの粒子サイズは25~150ミクロンであってもよく、密度は0.05~0.15g/ccであってもよい。密度を下げるのに適した熱膨張性マイクロバルーンとしては、Dualite CorporationからDualite(商標)の商標名で市販されているもの、及びAkzo NobelからExpancel(商標)の商標名で市販されているものが挙げられる。
【0081】
補強剤の全て又は一部は、1~50μmの直径(D50、顕微鏡により測定)及び6~20のアスペクト比を有する繊維の形態であってもよい。繊維の直径は、2~20μm又は2~10μmであってもよく、アスペクト比は、8~20又は8~16であってもよい。繊維の直径は、繊維と同じ断面積を有する円の直径とみなされる。繊維のアスペクト比は、6~25、6~20、8~20又は8~15などの6以上であってもよい。
【0082】
或いは、補強剤の全て又は一部は、5以下のアスペクト比と、100μmまで、又は25μmまでの最長寸法とを有する低アスペクト比の粒子の形態であってもよい。
【0083】
通常、1種以上の補強剤は、一液型エポキシ樹脂接着剤組成物の総重量を基準として1~40重量パーセントの量で一液型エポキシ樹脂接着剤組成物中に存在することができる。一実施形態では、1種以上の補強剤は、一液型エポキシ樹脂接着剤組成物の総重量を基準として少なくとも5重量パーセント又は少なくとも7.5重量パーセントの量で一液型エポキシ樹脂接着剤組成物中に存在することができる。一実施形態では、1種以上の補強剤は、一液型エポキシ樹脂接着剤組成物の総重量を基準として最大25重量パーセント又は最大20重量パーセントの量で一液型エポキシ樹脂接着剤組成物中に存在することができる。
【0084】
一液型エポキシ樹脂接着剤組成物は、1種以上のエポキシ希釈剤を更に含有していてもよい。適切な1種以上のエポキシ希釈剤としては、例えば、メチルエチルケトン(MEK)、ジメチルホルムアミド(DMF)、エチルアルコール(EtOH)、プロピレングリコールメチルエーテル(PM)、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(DOWANOL(商標)PMA)、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、スチレン、低分子量ポリスチレン、スチレンオキシド、アリルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、ビニルシクロヘキセンオキシド、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ブタンジオールジグリシジルエーテル、ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリ(プロピレングリコール)ジグリシジルエーテル、チオジグリコールジグリシジルエーテル、無水マレイン酸、イプシロン-カプロラクタム、ブチロラクトン、アクリロニトリル、及びこれらの任意の組み合わせが挙げられる。
【0085】
通常、1種以上のエポキシ希釈剤は、一液型エポキシ樹脂接着剤組成物の総重量を基準として0~10重量パーセントの量で一液型エポキシ樹脂接着剤組成物中に存在することができる。
【0086】
本発明による一液型エポキシ樹脂接着剤組成物は、二量体化脂肪酸、希釈剤、可塑剤、増量剤、顔料及び染料、難燃剤、チキソトロープ剤、発泡剤、流動制御剤、接着促進剤、並びに酸化防止剤などの他の添加剤を更に含んでいてもよい。好適な発泡剤としては、物理的タイプと化学的タイプの試剤の両方が挙げられる。一液型エポキシ樹脂接着剤組成物はまた、国際公開第2005/118734号パンフレットに記載されているような、ポリビニルブチラール又はポリエステルポリオールなどの熱可塑性粉末も含有していてもよい。
【0087】
本発明による一液型エポキシ樹脂接着剤組成物は、2つの基材間のボンドラインで層に形成されてアセンブリを形成し、次いで接着剤層がボンドラインで硬化されて2つの基材間に接着結合を形成する。接着剤は、任意の好都合な技術により基材に塗布することができる。例えば、これは冷たい状態で塗布されてもよく、或いは必要に応じて温かい状態で塗布されてもよい。更に、これは、例えばコーキングガン、他の押出装置、又はジェットスプレー法を用いて、手動で及び/又はロボット制御で塗布することができる。接着剤組成物が基材の少なくとも1つの表面に塗布されると、基材は、接着剤が基材間のボンドラインに位置するように接触する。
【0088】
塗布後、接着剤組成物は、硬化温度以上に加熱することにより硬化される。通常、この温度は少なくとも60℃、又は80℃以上、又は140℃以上である。一実施形態では、温度は180℃以下である。
【0089】
本発明による一液型エポキシ樹脂接着剤組成物は、木材、金属、コーティングされた金属、アルミニウム、様々なプラスチック及び充填プラスチック基材、並びにガラス繊維を含む様々な基材を一体に結合するために使用することができる。好ましい一実施形態では、接着剤は、自動車の部品を一体に結合するために、又は自動車部品を自動車上へ結合するために使用される。このような部品は、鋼鉄、コーティングした鋼鉄、亜鉛めっき鋼、アルミニウム、コーティングしたアルミニウム、プラスチック及び充填したプラスチック基材であってもよい。一実施形態では、基材は、その上に亜鉛含有層を有する金属基材である。一実施形態では、基材は、その上に亜鉛含有層を有する鋼基材である。
【0090】
一実施形態では、本発明による一液型エポキシ樹脂接着剤組成物は、その上に亜鉛含有層を有する金属基材を第2の基材に結合するために使用される。第2の基材は、木材、金属、コーティングされた金属、アルミニウム、様々なプラスチック及び充填プラスチック基材、並びにガラス繊維を含む任意の基材であってもよい。一実施形態では、第2の基材は、その上に亜鉛層を有さない金属基材である。
【0091】
更なる取り扱いには、例えば、下流作業ステーションへのアセンブリの輸送と、1つ以上の他の成分へのアセンブリの接合、様々な造形及び/又は機械加工工程、コーティングの適用などを含み得る更なる製造工程とが含まれ得る。硬化の完了は、このような更なる取り扱い工程中に及び/又は工程後に行うことができる。
【0092】
本明細書に記載される分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPCとも呼ばれる)によって決定され得る数平均分子量である。
【実施例】
【0093】
以下の実施例は、開示された組成物を例示するために提供されるが、その範囲を限定することを意図しない。特に明記しない限り、全ての部及びパーセントは重量によるものである。
【0094】
以下の例では、下記の名称、記号、用語、及び略語が使用される。
【0095】
Araldite(登録商標)GY 260は、Huntsmanから入手可能な約190g/molのエポキシ当量を有するビスフェノールAに基づく液体エポキシ樹脂である。
【0096】
D.E.R.671は、Olin Corporationから入手可能な約240g/molのエポキシ当量を有するビスフェノールAに基づく半固体エポキシ樹脂である。
【0097】
Araldite(登録商標)DY-Pは、Huntsmanから入手可能なp-tertブチルフェノールのモノグリシジルエーテルである。
【0098】
強化剤Aは、ブロックされたイソシアネート基を含むエラストマー系強化剤である。これは、分子量2000のポリテトラヒドロフラン57.58部と分子量2800のヒドロキシル末端ポリブタジエンポリマー14.39部とを120℃で混合し、混合物を60℃まで冷却し、ヘキサメチレンジイソシアネート11.54部とスズウレタン触媒を添加し、得られた反応混合物を窒素下で45分間85℃に加熱することにより調製される。その後、5.74部のo,o’-ジアリルビスフェノールAを添加し、混合物を真空下、100℃の浴の中で120分間撹拌する。10.58部のカルダノールを添加し、混合物を真空下、105℃の浴の中で240分間撹拌する。
【0099】
Omicure U-52Mは、Emerald Performance Productsから入手可能な4,4’-メチレンビス(フェニルジメチル尿素)である。
【0100】
Omicure U-35は、Emerald Performance Productsから入手可能なイソホロンビス(ジメチル尿素)である。
【0101】
Amicure CG 120 Gは、Air Productsから入手可能なジシアンジアミド硬化剤である。
【0102】
Araldite DW0133は、Huntsmanから入手可能な赤色着色剤である。
【0103】
3M Glass Bubbles K25は、3Mから入手可能な中空ガラス球である。
【0104】
Chaux viveは、Lhoistから入手可能な酸化カルシウムである。
【0105】
AEROSIL R208は、Evonik Industriesから入手可能な疎水性ヒュームドシリカである。
【0106】
RAM 1087は、Huntsmanから入手可能なトリス(ジエチレングリコールメチルエーテル)シリルプロピレングリシジルエーテルである。
【0107】
Grillo NANO Tec(登録商標)は、Grillo Zinkoxid GmbHから入手可能な酸化亜鉛ナノ粒子である。
【0108】
Nanopox A410は、Evonik Industriesから入手可能なSiO2ナノ粒子である。
【0109】
Dynasilan GLYEOは、Evonik Industriesから入手可能な3-グリシジルオキシプロピルトリエトキシシランである。
【0110】
比較例1~4及び実施例1~3
比較例1~4及び実施例1~3の接着剤組成物は、以下の表1に示される成分をブレンドすることによって調製される。
【0111】
【0112】
サンプルの作製
所定の鋼種HC420LAD+Z100(すなわち上に亜鉛含有層を有する鋼基材)の金属ストリップを、超音波浴中でヘプタンで洗浄し、ヘプタン/Anticorit PL 3802-39S(9/1)の溶液中でディップコーティングすることによって再度グリース塗布した。
【0113】
重ねせん断試験の試験片:接着剤組成物をストリップに塗布した。ガラスビーズ(0.3mm)を接着剤層の上に撒いてから、テストストリップを好ましくは10mmの重なりで重ねた。金属クリップを使用して、2つのストリップを150℃で45分間のプリベークサイクル中に一体に保持した。試験片を、標準の電着プロセスに従って電着する。全てのクーポン/接着剤アセンブリは、180℃のオーブンで30分間の電着プロセスの後に硬化して完了した。
【0114】
衝撃剥離試験片:接着剤組成物をストリップに塗布した。接着剤層を0.2mmに調整するために、厚さ0.2mmのPTFE箔と金属ワイヤー(厚さ0.2mm)を両方のストリップ間のスペーサーとして使用した。衝撃剥離試験用の試験片は、ISO 11343試験の形状(30mmの重なり、幅20mm)を有する。焼成サイクル中に2つのストリップを一体に保持するために、金属クリップを使用した。全てのクーポン/接着剤アセンブリを、180℃のオーブンで30分間硬化した。衝撃剥離試験では、試験片に2m/sの落下重量速度で90Jの衝撃荷重を加えた。衝撃剥離強度は、Zwick-Roell衝撃試験機を使用して、プラトーでの平均衝撃荷重で測定した。
【0115】
試験
引張強度、伸び、及び弾性率の測定のための試験サンプルは、各サンプルの一部を180℃で30分間硬化させることにより製造する。硬化したサンプルから試験片を切り取り、DIN EN ISO 527-1に従って評価する。
【0116】
衝撃剥離試験は、各接着剤サンプルについて行う。衝撃剥離試験のための試験クーポンは、90mm×20mmであり、結合面積は30×20mmである。その後、接着剤のサンプルを、0.8mmの厚さのDX56D+Z100MBの溶融亜鉛めっき鋼クーポンの接着領域に塗布する。厚さ0.8mmのDC04A+ZE75/75電解亜鉛コーティングされたクーポンを接着剤と接触させ、アセンブリを約2kgの重量で押しつぶして各試験片を作製し、スペーサーを存在させて接着剤層の厚さを0.2mmに維持する。組み立てた試験片をクランプで所定の位置に固定し、次いで180℃で30分間硬化する。衝撃剥離試験は、ISO11343くさび衝撃法に従って実施する。試験は、2m/秒の作動速度で、23℃の温度のサンプルで行う。
【0117】
重ねせん断試験片は、厚さ1.2mmのHC420LAD+Z100溶融亜鉛めっき鋼クーポンのクーポンを使用して製造する。いずれの場合も結合面積は25×10mmであり、接着層の厚さは0.3mmである。試験片を150℃で45分間予備硬化し、次いで180℃で30分間完全に硬化し、DIN ISO 1465に従って重ねせん断強度について評価する。試験は、23℃及び10mm/分の試験速度で実施する。重ねせん断試験後の破壊モードは、以下に説明するように、凝集破壊(CF)、接着破壊(AF)、及びサイクル腐食試験後の金属表面の腐食(C)によって分析及び分類される。凝集破壊の場合、CFは、破損した試験片の両側でみられる接着剤の割合である。接着破壊の場合、AFは破損した試験片の片側でみられる接着剤の割合である。
【0118】
サイクル腐食試験は、HC420LAD+Z100、厚さ1.2mmの5つの重ねせん断試験片を使用して、90サイクルのPV1210としてVolkswagen(VW)によって規定された試験サイクルに従って行った。試験片を作製し、最初及び90サイクルのPV1210の後に上述した通りに分析する。
【0119】
粘度及び降伏応力は、Bohlin CS-50レオメーター、C/P20、上昇/下降0.1~20s-1で測定し、データをCassonモデルに従って評価する。
【0120】
結果を下の表2に示す。
【0121】
【0122】
データは、本発明による一液型エポキシ樹脂接着剤組成物に酸化亜鉛ナノ粒子を添加すると、結合された接合部の劣化性能が大幅に改善されることを示している。例えば、90サイクル後の重ねせん断強度が37%低下した0.5%酸化亜鉛ナノ粒子を含む実施例1の接着剤組成物に対し、亜鉛ナノ粒子を含まない比較例1の接着剤組成物は、90サイクル後に加速劣化で重ねせん断強度が60%低下した。1.0%及び2.0%の酸化亜鉛ナノ粒子をそれぞれ含む実施例2及び3の接着剤組成物では、実施例1の接着剤組成物と同様に重ねせん断強度が低下した、すなわちそれぞれ40%及び38%であった。
【0123】
更に、二酸化ケイ素ナノ粒子を含有する比較例2~4の接着剤組成物では、重ねせん断強度は少なくとも51%低下した。したがって、接着剤組成物に酸化亜鉛ナノ粒子を添加すると、比較例1~4の接着剤組成物と比較して重ねせん断強度の低下が大幅に改善された。同様に、実施例1~3の接着剤組成物は、90サイクル後に比較例1~4の接着剤組成物よりも大幅に大きい残留重ねせん断強度及び破壊モードを示した。
本出願は例えば以下の発明を提供する。
[1] (a)1種以上の非ゴム変性エポキシ樹脂;
(b)1種以上の潜在性エポキシ硬化剤;
(c)1種以上の強化剤;及び
(d)酸化亜鉛ナノ粒子;
を含有する一液型エポキシ樹脂接着剤組成物。
[2] 前記1種以上の非ゴム変性エポキシ樹脂が1種以上の液体非ゴム変性エポキシ樹脂を含む、上記[1]に記載の一液型エポキシ樹脂接着剤組成物。
[3] 前記1種以上の液体非ゴム変性エポキシ樹脂が、150~299g/molのエポキシ当量を有する、上記[2]に記載の一液型エポキシ樹脂接着剤組成物。
[4] 前記1種以上の非ゴム変性エポキシ樹脂が、150~299g/molのエポキシ当量を有する多価フェノールの液体ジグリシジルエーテルを少なくとも60%含む、上記[1]に記載の一液型エポキシ樹脂接着剤組成物。
[5] 前記1種以上の潜在性エポキシ硬化剤がジシアンアミドを含む、上記[1]に記載の一液型エポキシ樹脂接着剤組成物。
[6] 前記1種以上の潜在性エポキシ硬化剤が、1つ以上の尿素基を有し1つの尿素基当たり最大250の分子量を有する1種以上の尿素化合物を更に含む、上記[5]に記載の一液型エポキシ樹脂接着剤組成物。
[7] 前記1種以上の尿素化合物が、イソホロンビス(ジメチル尿素)、2,4’-及び/又は4,4’-メチレンビス(フェニルジメチル尿素)、並びに2,4-及び2,6-トルエンビス(ジメチル尿素)を含む、上記[6]に記載の一液型エポキシ樹脂接着剤組成物。
[8] 前記1種以上の強化剤がキャッピングされたイソシアネート基を有する反応性エラストマー系強化剤を含み、前記反応性エラストマー系強化剤が、(i)1000~10,000の数平均分子量のイソシアネート末端ポリエーテルと、(ii)1000~10,000の数平均分子量のイソシアネート末端ジエンポリマーとの、鎖延長されてからイソシアネートがキャッピングされた混合物を含む、上記[1]に記載の一液型エポキシ樹脂接着剤組成物。
[9] 前記酸化亜鉛ナノ粒子が250ナノメートル(nm)未満の平均粒子サイズを有する、上記[1]に記載の一液型エポキシ樹脂接着剤組成物。
[10] 前記酸化亜鉛ナノ粒子が10nm~100nmの平均粒子サイズを有する、上記[1]に記載の一液型エポキシ樹脂接着剤組成物。
[11] (a)前記接着剤組成物の総重量基準で少なくとも20重量パーセントの、前記1種以上の非ゴム変性エポキシ樹脂;
(b)前記接着剤組成物を硬化させるのに十分な量の1種以上の潜在性エポキシ硬化剤;
(c)前記接着剤組成物の総重量基準で0.5~40重量パーセントの、前記1種以上の強化剤;及び
(d)前記接着剤組成物の総重量基準で0.1~5重量パーセントの、前記酸化亜鉛ナノ粒子;
を含有する[1]に記載の一液型エポキシ樹脂接着剤組成物。
[12] コアシェルゴムを更に含有する、上記[1]に記載の一液型エポキシ樹脂接着剤組成物。
[13] 方法であって
(a)
(i)1種以上の非ゴム変性エポキシ樹脂と、
(ii)1種以上の潜在性エポキシ硬化剤と、
(iii)1種以上の強化剤と、
(iv)酸化亜鉛ナノ粒子と、
を含有する一液型エポキシ樹脂接着剤組成物を一つの基材の少なくとも一部に塗布すること;
(b)第2の基材を前記第1の基材と接触させること;及び
(c)前記一液型エポキシ樹脂接着剤組成物を硬化させて、前記第1の基材と第2の基材との間に接着剤結合を形成すること、
を含む方法。
[14] 前記1種以上の非ゴム変性エポキシ樹脂が、1種以上の液体非ゴム変性エポキシ樹脂を含む、上記[13]に記載の方法。
[15] 前記1種以上の液体非ゴム変性エポキシ樹脂が、150~299g/molのエポキシ当量を有する、上記[14]に記載の方法。
[16] 前記1種以上の潜在性エポキシ硬化剤がジシアンアミドを含む、上記[13]に記載の方法。
[17] 前記1種以上の強化剤がキャッピングされたイソシアネート基を有する反応性エラストマー系強化剤を含み、前記反応性エラストマー系強化剤が、(i)1000~10,000の数平均分子量のイソシアネート末端ポリエーテルと、(ii)1000~10,000の数平均分子量のイソシアネート末端ジエンポリマーとの、鎖延長されてからイソシアネートがキャッピングされた混合物を含む、上記[13]に記載の方法。
[18] 前記酸化亜鉛ナノ粒子が250ナノメートル(nm)未満の平均粒子サイズを有する、上記[13]に記載の方法。
[19] 前記一液型エポキシ樹脂接着剤組成物が、
(a)前記接着剤組成物の総重量基準で少なくとも20重量パーセントの、前記1種以上の非ゴム変性エポキシ樹脂;
(b)前記接着剤組成物を硬化させるのに十分な量の1種以上の潜在性エポキシ硬化剤;
(c)前記接着剤組成物の総重量基準で0.5~40重量パーセントの、前記1種以上の強化剤;及び
(d)前記接着剤組成物の総重量基準で0.1~5重量パーセントの、前記酸化亜鉛ナノ粒子;
を含有する、上記[13]に記載の方法。
[20] 前記第1の基材が金属基材であり、前記第2の基材がその上に亜鉛含有層を有する金属基材である、上記[13]に記載の方法。