(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】イメージングプレートの品質を決定するための方法およびそのためのイメージングプレートスキャナ
(51)【国際特許分類】
G21K 4/00 20060101AFI20231226BHJP
G01T 1/00 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
G21K4/00 Z
G01T1/00 B
(21)【出願番号】P 2020537038
(86)(22)【出願日】2018-09-13
(86)【国際出願番号】 EP2018074830
(87)【国際公開番号】W WO2019053171
(87)【国際公開日】2019-03-21
【審査請求日】2021-05-11
(31)【優先権主張番号】102017121338.4
(32)【優先日】2017-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】520088720
【氏名又は名称】デュール デンタル ソシエタス ユーロピア
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(74)【代理人】
【識別番号】100196612
【氏名又は名称】鎌田 慎也
(72)【発明者】
【氏名】シュラム アクセル
(72)【発明者】
【氏名】ベック マティアス
(72)【発明者】
【氏名】フィリップス ベルント
(72)【発明者】
【氏名】ヴェーバー ミヒャエル
(72)【発明者】
【氏名】ヘンチュ ヘルベルト
(72)【発明者】
【氏名】ラディコス アレクサンダー
【審査官】牧 隆志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2010/0266187(US,A1)
【文献】米国特許第05420441(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0162178(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0121467(US,A1)
【文献】AIKATERINI-LAMPRO N SALVARA; ET AL,DIGITAL RADIOGRAPHIC SYSTEMS QUALITY CONTROL PROCEDURES,RECENT PATENTS ON MEDICAL IMAGINGE,BENTHAM SCIENCE PUBLISHERS LTD,2012年04月,VOL:2, NR:1,PAGE(S):51 - 64,http://dx.doi.org/10.2174/1877613211202010051
【文献】RAMPADO O; ET AL,QUANTITATIVE ASSESSMENT OF COMPUTED RADIOGRAPHY QUALITY CONTROL PARAMETERS,PHYSICS IN MEDICINE AND BIOLOGY,英国,INSTITUTE OF PHYSICS PUBLISHING,2006年03月21日,VOL:51, NR:6,PAGE(S):1577 - 1593(1-17),http://dx.doi.org/10.1088/0031-9155/51/6/015
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21K 4/00
G01T 1/00 - 1/161
G01T 1/20 - 1/24
G01T 7/00
G03B 42/02
G06T 7/00
A61B 6/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イメージングプレートの品質を決定するための方法であって、
a)前記イメージングプレートの露光を実施するステップ(S1)と;
b)画像を決定するために前記イメージングプレートのスキャンを実施するステップ(S2)と;
c)前記画像の信号対雑音比を決定するステップ(S4)
および前記画像におけるエッジ認識を実施するステップ(S5)と;
d)前記画像の前記信号対雑音比に基づいて
および前記エッジ認識に基づいて前記イメージングプレートの品質値を計算するステップ(S6、S7)と
を有
し、
前記画像の前記信号対雑音比に基づいておよび前記エッジ認識に基づいて前記イメージングプレートの品質値を計算するステップは、前記信号対雑音比を決定するステップにおいて得られた画像と前記エッジ認識を実施するステップにおいて得られた画像とを論理OR演算によって結合することに基づいて損傷の数を決定することを含む、
方法。
【請求項2】
前記露光を実施するステップが、前記プレートと記録デバイスの間の特定の間隔の調整を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記信号対雑音比を決定するステップが、マスクフィルタの適用を含む(S31)、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記信号対雑音比を決定するステップが、前記画像の1つまたは複数の部分に対する局所的な信号対雑音比の決定を含む(S41、S42)、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記エッジ認識を実施するステップが、キャニーアルゴリズムの使用を含む、請求項1~
4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記エッジ認識を実施するステップの後に、モルフォロジー膨張(形態的拡張)または/およびクロージング演算が実施される(S54)、請求項1~
5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記方法の
いずれか1つを実施する
ように構成されたイメージングプレートスキャナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イメージングプレートの品質を確定(決定)するための方法およびそのためのイメージングプレートに関する。
【背景技術】
【0002】
X線技術において、とりわけ歯科医療のX線技術において、今日では、X線画像を撮影するためのイメージングプレートが使用される。このイメージングプレートは、透明なマトリクス中に包埋された蛍光体材料を含んでいる。これによりいわゆる蓄積中心が生じ、この蓄積中心は、差し込んでくるX線光により、励起された準安定状態になり得る。このようなイメージングプレートをX線装置内で、例えば患者の咬翼撮影のために露光すると、イメージングプレートはX線潜像を、励起されたおよび励起されていない蓄積中心の形態で内包する。
【0003】
イメージングプレートを読み取るには、イメージングプレートをスキャン装置内で読み取り光によって逐次走査し、これにより、励起された蓄積中心の準安定状態が、蛍光を発しながら高速緩和する状態になる。この蛍光は検出ユニットによって捕捉でき、これにより相応の評価電子機器で、X線画像を見えるようにすることができる。読み取り工程には、例えば円筒面に沿ったイメージングプレートを読み取り間隙に通すドラムスキャナが用いられる。
【0004】
イメージングプレート技術の大きな利点は、イメージングプレートの再利用可能性にある。つまりイメージングプレートは、プレート内で蓄積された画像情報がどのみち消去される読み取り後に、一般的には多数回のさらなる撮影工程および蓄積工程に用いることができる。再利用可能性を制限する様々な老朽化プロセスがある。このような老朽化プロセスは、実質的には、時間が経つにつれて形成されるもう励起させられない、したがって蓄積像において暗いままの局所的な蓄積中心を形成する。実際の運用では機械的負荷も生じる可能性があり、したがって、例えば不適切な取扱いにより、イメージングプレートの表面に引っかき傷または点状の損傷が生じ得る。
【0005】
実際の運用では、イメージングプレートのその時々の蓄積品質を知ることが望ましい。これに関し従来的には、イメージングプレートを目視して、表面にある引っかき傷の、撮影工程および読み取り工程への影響について判断することができる。さらにイメージングプレートを使った撮影の回数を数えることができ、または製造日に基づいてイメージングプレートの寿命を決定することができる。しかしこれらすべての措置は、イメージングプレートの実際の蓄積能力についての信頼できるデータを示してはいない。
【発明の概要】
【0006】
本発明の課題は、上述の欠点を回避し、とりわけイメージングプレートの蓄積能力および蓄積品質についての正確なデータを示すことを可能にする、イメージングプレートの品質を確定(決定)するための方法を提示することである。
【0007】
この課題は、独立請求項に基づく方法によって解決される。本発明による方法は以下のステップを有する。
【0008】
イメージングプレートの露光の実施、画像を確定(決定)するためのイメージングプレートのスキャンの実施、画像の信号対雑音比の確定(決定)または/および画像におけるエッジ認識の実施、ならびに画像の信号対雑音比に基づくまたは/および認識されたエッジ構造に基づくイメージングプレートの品質値の計算。
【0009】
本発明による方法は、代替的にまたは組み合わせて用い得る2つの品質特徴を提供する。一方の特徴は、言及した信号対雑音比である。画像の信号対雑音比は、イメージングプレートの露光の実施後に、イメージングプレートが、機能を果たす能力のない蓄積中心の意味における欠陥を有するかどうかの示唆をもたらす。読み取り工程中のイメージングプレートの一様な露光にもかかわらず、蓄積中心が蛍光を発しなければ、信号対雑音比が悪化している。
【0010】
もう一方の特徴は、エッジ認識の実施である。画像におけるエッジ認識も、欠陥の可能性への示唆をもたらす。イメージングプレートを一様に露光した場合、生じる画像は一様の照度、つまり一様のグレー値になることが望ましい。これに対し、エッジ認識により構造が見つかる場合、これはイメージングプレートの欠陥の可能性を示唆している。
【0011】
イメージングプレートの露光は、特定の線量で実施することが好ましい。これは、信号対雑音比の決定またはエッジ認識の実施を容易にする。ただし未知の線量でも、露光およびその後の計算を実施することはできる。ただし使用する線量は、イメージングプレートが露光不足にならず、かつ露光過剰にならない線量範囲内であることが望ましい。線量は、例えば曝露時間、X線電圧、および陽極電圧を通して調整できる。
【0012】
本発明の有利な一形態では、露光を実施するステップが、プレートと記録デバイスの間の特定の間隔の調整を含んでいる。これは、画像の予測される絶対的グレー値の決定を、したがってイメージングプレートの品質値の計算の再現性を容易にし、しかしこの方法のスムーズな実施に必要な前提条件ではない。イメージングプレートが露光過剰にも露光不足にもならないことが保証されればよい。原則的には、線量および間隔からなる値のペアを相応に選択できる。例えばより大きな間隔はより大きな線量によって相殺できる。
【0013】
本発明の一実施形態では、イメージングプレートの露光が、通常の診察の枠内で行われる。これは、欠陥認識の方法が、例えば患者のところで露光された、したがって画像を含むイメージングプレートにおいても実施できることを意味する。評価方法、つまり信号対雑音比の確定(決定)または/およびエッジ認識の実施は、認識された欠陥を記録して、この欠陥をそのイメージングプレートに割り当てる。このイメージングプレートの使用を繰り返し、改めて欠陥認識を実施した後に再び発生している欠陥を、そのようなものとして登録して特徴づけることができる。発生し得るアーチファクト、例えばX線を通さず、撮影で反映される物体(例えば金属の詰め物)は、相応に認識し、評価し、かつそのようなものとして特徴づけることができる。
【0014】
本発明の一発展形態は、信号対雑音比の確定(決定)が、マスクフィルタの適用を含んでいる。このマスクフィルタは、例えばイメージングプレートの周縁、例えば1または2mmを、信号対雑音比の計算から排除できる。これに関しイメージングプレートの周縁は、固定的に設定でき、または操作をする者によって入力可能であり得る。その代わりにまたはそれに加えて、マスクフィルタは周縁だけでなくイメージングプレートのそのほかのマーキングも排除できる。これに関しマーキングは、モルフォロジー(形態的)演算によっても認識でき、かつマスクフィルタに付加できる。
【0015】
本発明の特に好ましい一実施形態では、信号対雑音比の確定(決定)が、画像の1つまたは複数の部分に対する局所的な信号対雑音比の確定(決定)を含んでいる。例えば、21×21ピクセルのサイズのエリアを、信号対雑音比の計算のための基礎として用いることができる。このような1つのエリアサイズに対して1つの局所的な信号対雑音比を、画像全体で計算できる。これにより、画像の各ピクセルに対して1つの帰属の信号対雑音比の値が生じる(21×21ピクセルに相応する周縁帯を除いて)。局所的な信号対雑音比が低い領域は、欠陥を有すると思われる領域に相当する。これに関し、例えば閾値を定めることができる。閾値は、例えば局所的に確定(決定)された信号対雑音比の最大値および最小値によって確定(決定)できる。このために例えば、最小値分を減らした信号対雑音の値と、最大値と最小値の差との比を確定(決定)できる。たった今説明した比が0.2以下である、つまり局所的な信号対雑音比が、有り得る値域の20%以下である場合に、ピクセルを例えば欠陥としてマーキングできる。
【0016】
その代わりにまたはそれに加えて一実施形態では、イメージングプレートの損傷を、認識されたエッジ構造に基づいて決定できる。エッジ認識により、欠損、つまり例えばもう機能を果たす能力のない蓄積中心を、そうでなければ一様に露光されるプレート内の構造として認識できる。
【0017】
好ましい一実施形態では、エッジ認識の実施がキャニー(Canny)アルゴリズムの使用を含んでいる。エッジ認識の実施前に、ぼかしまたはボケ(不鮮明さ)付加を実施できることが好ましい。これは、雑音割合の高いピクセルに基づくアーチファクトの生成を軽減する。さらにエッジ認識の実施後に、好ましくは二値画像を得るために、閾値演算を実施できる。
【0018】
本発明の一変形形態では、エッジ認識の実施後に、とりわけ閾値演算の実施後に、モルフォロジー膨張(形態的拡張)または/およびクロージング演算を実施できる。モルフォロジー膨張およびクロージング(閉じる)演算により原則的に高いグレー値をもつ値は大きくなり、かつ比較的低いグレー値をもつ値は小さくなるので、不規則さ/損傷を有する単一領域の可視性を改善できる。同時に、そのような領域間の小さな隙間を塞ぐことができる。
【0019】
本発明の好ましい一実施形態は、信号対雑音の演算から得られた画像と、エッジ認識から生じる画像とを、論理OR演算によって合わせる。このようにして判明するマーキングされたピクセルの総数に基づき、イメージングプレートの品質を決定できる。これに関しては例えば、このようにしてマーキングされたピクセルの数Nマーキングされたを、下式に基づいてイメージングプレートの品質を表す数値に換算できる。
【0020】
【0021】
式中、fマーキングされたはイメージングプレートの品質評価であり、Nマーキングされたはマーキングされた画像ピクセルの数を表し、N総数は考察される画像内のピクセルの総数を表し、Nマスクは除外マスクによってマスキングされるプレート周縁ピクセルおよびマーキングピクセルの数を表す。したがって、マーキングされたピクセルの数が非常に少ない画像を有するイメージングプレートは高い評価を獲得し、その一方で、その画像が多数のマーキングされた、つまり欠陥のあるピクセルを有するイメージングプレートは低い評価を獲得する。
【0022】
イメージングプレートのこうして得られた評価を、0~1の間の範囲内にスケーリングするため、および個々の確定
(決定)された/マーキングされた特徴の重み付けの適合を可能にするため、評価f
マーキングされたを以下のように変換できる。
【数2】
【0023】
これは、こうして得られた評価と、そのほかの評価基準、例えば視覚的鑑定およびその後のイメージングプレートの評価によるような評価基準との比較を可能にする。これに関しては例えば、パラメータw0およびw1は、トレーニングデータセットでの線形回帰により、生じる最終値がプレート品質の専門家の評価と可能な限り一致するように選択できる。
【0024】
以下に、本発明の例示的実施形態を図面に基づいてより詳しく解説する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明による方法の第1の実施形態のフロー図である。
【
図2】
図1の方法の第1の変形形態のフロー図である。
【
図3】
図1の方法の第2の実施形態のフロー図である。
【
図4】
図3の方法の第2の代替的または追加的な実施形態のフロー図である。
【
図5】本発明によるイメージングプレートスキャナの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、本発明による方法の1つの例示的実施形態を、簡略化した概略的なフロー図で示している。この方法は、イメージングプレートを露光するステップ(S1)を含んでいる。イメージングプレートを露光する際、イメージングプレートを特定の線量で露光する場合が有利である。イメージングプレートが、記録デバイスから予め規定された間隔内に位置決めされる場合が有利と分かった。実際には、CDの直径として調整され得る12cmが適していると分かった。X線機器のための調整としては、例えばモジュール式の歯(
)のための調整を使用できる。
【0027】
次のステップでは、イメージングプレートを読み取り、かつデジタル画像を生成する(S2)。読み取りの後または最中に、イメージングプレートが露光された線量を確定できる。線量が高く選択されすぎたかまたは低く選択されすぎたか、操作者への出力を行うことができる。信号対雑音比は線量によって変化し得るので、場合によっては、操作者はイメージングプレートを改めて露光しなければならない。
【0028】
次のステップでは、イメージングプレートの品質を決定するために画像を前処理する(S3)。前処理のステップ(S3)は以下で詳しく解説する。
【0029】
前処理(S3)の後、2つのプロセスブロックを同時に並行して、相次いで、または/および互いに対して代替的に実施することができる。
【0030】
前処理された画像を、信号対雑音比が特定の閾値より低いピクセルがマーキングされているマスクに変換できる(S4)。その代わりにまたはそれに加えて、前処理された画像においてエッジ認識を実施でき(S5)、このエッジ認識に基づいて、このようにして認識されたピクセルがマーキングされているマスクを生成できる。
【0031】
この両方のマスクにより、マーキングされたピクセルの総数を決定できる(S6)。このマーキングされたピクセルの数と、(除外マスクのピクセルの数だけ減らした)すべてのピクセルの総数とで比を出せば、この比に基づいて、イメージングプレートの品質を決定できる(S7)。
【0032】
以下では、読み取り工程から得られた画像の前処理(S3)をより詳しく論じる。
図2は、前処理(S3)の工程の可能な一実施形態を示している。読み取られた画像に対し、周縁マスクが提供される(S31)。この周縁マスクは、例えば画像の周縁を取り囲む間隔であることができ、この間隔の外側では、画像データが放棄されるかまたは処理のために考慮されない。イメージングプレートのための、例えば口腔のための一般的なサイズ(2×3cm~約6×8cm)の場合、1~2mmで十分であり、この1~2mmは、取り囲んでいる周縁として制約のないままであることが望ましい。この間隔は、固定的に調整されていてよく、または操作者によって自由に選択可能であってよい。
【0033】
その後のステップでは、有り得るマーキングが検出され、このマーキングは、イメージングプレートに付けられており、本来の画像内容には属さない(S32)。この検出は、例えばモルフォロジー演算によって行うことができ、例えば画像内容中の公知の構造を検索できる。認識されたマーキングまたは類似の構造は、これをもって除外マスクとなる周縁マスクに付加される(S33)。
【0034】
こうして作成された周縁マスクまたは除外マスクを、チェックまたは/および情報のために操作者に表示してもよい(S34)。
【0035】
こうして作成された除外マスクまたは周縁マスクが、読み取られた画像に適用され(S35)、これにより前処理された画像が生じる。この画像が次のステップ(S4、S5)のベースとなる。
【0036】
図3は、信号対雑音比の計算によるイメージングプレートのもう使用できないピクセルの数を確定
(決定)するための方法(S4)の一実施形態の幾つかの局面をフロー図で示している。方法(S4)は、まず第1に、局所的な信号対雑音比(「Signal to Noise Ratio」、SNR)の実施(S41)を含んでいる。その際、平均化エリアが定められ、この平均化エリア内では、そこに内包されるすべてのピクセルに対してSNRが1つの値として確定
(決定)される。こうして確定
(決定)された値が、そこに内包されるピクセルの1つに相応に割り当てられる。この計算ステップを、画像内の可能なすべての位置で実施する。平均化エリアを事実上ピクセルごとにさらにずらし、新たな場所でそれぞれ1つの局所的SNRを計算する。これにより、(平均化エリアの選択されたサイズに相応する周縁帯を除いて)画像内のほぼすべてのピクセルに対して1つのSNRが生じる。これらの値は、前処理された画像のSNR画像として理解でき、かつ示すことができる(S42)。実際には、上記のイメージングプレートサイズおよび相応の画像サイズの場合、21×21ピクセルの平均化エリアが好適と分かった。そのほかの平均化エリアサイズ、例えば半分だけの大きさまたは二倍の大きさも考えられる。
【0037】
その後のステップ(S43)では、追加的な大きさとしてSNR範囲を確定(決定)する(S43)。これに関し、SNR範囲の計算には局所的SNR値を考慮することができる。例えば最小値および最大値を確定(決定)できる。その代わりに、これらの局所的SNR値から、または前処理された画像のみに基づいて、大域的SNR値を算出できる。
【0038】
その後のステップ(S44)では、SNR閾値を決定する。SNR閾値は、SNR範囲を指針とすることができる。その代わりにまたはそれに加えて1つの局所的SNR値をSNR閾値の決定に加えることができる。SNR閾値は、例えば以下のように計算できる。
【0039】
【数3】
式中、SNR
局所(x,y)は局所的SNR値を表し、SNR
最小は最小SNR値を表し、SNR
最大は最大SNR値を表す。この値が20%以下であれば、対応するピクセルを欠陥があるとマーキングする。ただしそのほかのパーセント値、例えば10%または30%も考えられる。
【0040】
これで、こうして決定されたSNR閾値により、SNR画像内の、SNRがSNR閾値より低いピクセルを確定(決定)できる(S45)。
【0041】
こうしてマーキングされたピクセルが、その後のステップ(S46)で、SNRに基づいて確定(決定)された、イメージングプレートのもう使用できない領域をマーキングするマスクへとまとめられる。
【0042】
図4は、エッジ認識法に基づくイメージングプレートのもう機能を果たす能力のない領域を決定するための方法(S5)の代替的な一実施形態をフロー図で示している。この実施形態は、信号対雑音比を確定
(決定)する方法に対して同時にまたは代替的に用いることができる。
【0043】
第1のステップでは、前処理された画像にボケを付加する(S51)。ボケ付加は、個々の強く雑音を発するピクセルに、エッジ認識アルゴリズムが強く反応しすぎることを回避するのに役立つ。
【0044】
その後、(S52)こうして準備された画像においてエッジ認識を実施する。この場合、例えばキャニーアルゴリズムを用いることができる。ただしそのほかのエッジ認識アルゴリズムも考えられる。エッジ認識アルゴリズムの結果もまた、閾値演算(S53)により二値画像(画像値として0または1しか存在しない)に変換される画像である。閾値の選択は、例えば全体的な画像品質、雑音レベル、読み取り工程の質などに依存する。
【0045】
このようにして変換されたエッジ認識画像においては、検出された構造のより良好な可視性のため、エッジ内の小さな隙間または穴を埋めるためのモルフォロジー膨張およびクロージング演算を実施できる(S54)。こうして第2のマスクが生じ、この第2のマスクも、画像内、したがって間接的にイメージングプレート内のもう規定通りに機能しない領域をマーキングする。
【0046】
このように二種類のやり方で生成された画像マスクは、例えば論理OR演算により相互に結合させることができる。もううまく機能しないピクセルの形態での損傷の数の取得は、すでにずっと上で詳細に解説したように、下式に基づいて、イメージングプレートの評価に換算できる。
【0047】
【0048】
重み付け係数w0およびw1は、品質検査法をそれぞれのイメージングプレートの品質格付けの所望のスケーリングに適合するために使用でき、例えばトレーニングデータセットでの線形回帰により、生じる最終値がプレート品質の専門家の評価と可能な限り一致するように確定(決定)できる。
【0049】
上で示した方法と専門家(歯医者、技術者)の格付け結果とを用いて品質格付けを比較すると、両方の格付けの十分に高い相関が判明した。
【0050】
図5は、イメージングプレート12を読み取るためのスキャン装置10を示しており、イメージングプレート12は、X線放射によって励起された準安定の蓄積中心の形態で、X線潜像を有している。スキャン装置10は、イメージングプレート12用の支持装置14を有している。例えば、イメージングプレート12を支持装置14上で、負圧により、一般的に柔軟なイメージングプレート12が支持面14に平らに添うように固定することができる。スキャン装置10は、読み取り光源としてレーザ16をさらに含んでおり、レーザ16は、赤色の波長をもつ読み取り光線18を生成し、この読み取り光線18により、イメージングプレート12の準安定の蓄積中心を蛍光に励起できる。この蛍光20は、典型的には青色である。
【0051】
スキャン装置10のこの実施形態ではレーザ16は、読み取り光線18を、制御可能な偏向ユニットに向けるように配置されている。制御可能な偏向ユニットは、ここではミラー22として形成されている。そのほかの偏向ユニット、例えば光学系またはその類似物も考えられる。ミラー22は、マイクロミラーとして、とりわけMEMSコンポーネントとして実施でき、こうして、ミラー22と支持装置14の間の相対運動なしでまたは少しの相対運動だけで、イメージングプレート12の面を走査できる。その代わりに、ミラー22をドラムスキャナ用の回転するミラーとして設けてもよい。この場合には、支持装置14とミラー22の間の相対運動は、搬送装置(不図示)によって実現される。イメージングプレート12の読み取りのさらなる技術は、回転するペンタプリズムの使用を含んでいる。
【0052】
スキャン装置10は、図面では破線で示唆されたリフレクタ24をさらに含むことができ、このリフレクタ24は、イメージングプレート12の周りの測定空間全体を、光を通さないように包囲しており、これにより、イメージングプレート12から出ていく蛍光20が光検出器26へと反射される。散乱した読み取り光18が光検出器26に達するのを阻止するため、適切な措置、例えばダイクロイックフィルタ材料を用いることができる。読み取り工程を制御するため、スキャン装置10は制御ユニット28を含んでおり、制御ユニット28は、制御機能だけでなく、評価機能または修正機能も果たすことができる。ここで示した実施形態では、制御ユニット28は、イメージングプレートの品質を確定(決定)するための前述の方法の1つを実施するために適応されている。