(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】基材処理
(51)【国際特許分類】
D06M 10/00 20060101AFI20231226BHJP
B01D 39/16 20060101ALN20231226BHJP
【FI】
D06M10/00 K
B01D39/16 A
(21)【出願番号】P 2020543514
(86)(22)【出願日】2019-02-14
(86)【国際出願番号】 US2019018082
(87)【国際公開番号】W WO2019161110
(87)【国際公開日】2019-08-22
【審査請求日】2022-02-07
(32)【優先日】2018-02-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】591163214
【氏名又は名称】ドナルドソン カンパニー,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100076428
【氏名又は名称】大塚 康徳
(74)【代理人】
【識別番号】100115071
【氏名又は名称】大塚 康弘
(74)【代理人】
【識別番号】100112508
【氏名又は名称】高柳 司郎
(74)【代理人】
【識別番号】100116894
【氏名又は名称】木村 秀二
(72)【発明者】
【氏名】ラーマチュラー, アフラル
(72)【発明者】
【氏名】ダラス, アンドリュー, ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ソンタグ, スティーブン, ケー.
(72)【発明者】
【氏名】ハウザー, ブラッドリー, ジー.
(72)【発明者】
【氏名】モラヴェック, デイヴィス, ビー.
(72)【発明者】
【氏名】カプール, ビジェイ, ケー.
(72)【発明者】
【氏名】ゲルツ, マシュー, ピー.
(72)【発明者】
【氏名】ツマ, ダニエル, エル.
(72)【発明者】
【氏名】ダマン, ウォーレン, イー.
(72)【発明者】
【氏名】クローニン, マイケル, ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】マドセン, マイク, ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ラジュガリア, ストゥーティ, エス.
(72)【発明者】
【氏名】クリスト, チャールズ, エス.
(72)【発明者】
【氏名】ブロック, ジョセフ, エム.
【審査官】斎藤 克也
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-177129(JP,A)
【文献】特開昭62-049923(JP,A)
【文献】特開平08-120559(JP,A)
【文献】国際公開第2016/081541(WO,A1)
【文献】米国特許第05137633(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0252848(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2013/0180920(US,A1)
【文献】特表2019-526432(JP,A)
【文献】特公平07-023032(JP,B2)
【文献】特開平04-146262(JP,A)
【文献】特開平07-018566(JP,A)
【文献】特開平09-105094(JP,A)
【文献】特開2006-152450(JP,A)
【文献】特許第7053569(JP,B2)
【文献】特許第7356992(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 39/00 - 39/20
B29C 71/04
C08J 7/00 - 7/02
C08J 7/12 - 7/18
D06M 10/00 - 11/84
D06M 16/00
D06M 19/00 - 23/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材を処理する方法であって、
開口部パターンを画定するマスクを通して紫外線(UV)放射をフィルターすることと;
前記基材の表面を、前記フィルターされたUV放射に曝露して、前記表面の一部を処理することと
を含
み、
前記表面がトルエンに浸漬される場合、前記表面の処理された一部は50μLの水滴について50度~90度の範囲のロールオフ角及び90度~180度の範囲の接触角を有する、方法。
【請求項2】
繊維の表面を処理する方法であって、
開口部パターンを画定するマスクを通してUV放射をフィルターすることと;
前記繊維の表面を、前記フィルターされたUV放射に曝露して、前記繊維の前記表面の一部を処理することと;
前記繊維から基材を形成することであって、前記基材は、表面を有する、形成することと
を含
み、
前記表面がトルエンに浸漬される場合、前記繊維の処理された一部は50μLの水滴について50度~90度の範囲のロールオフ角及び90度~180度の範囲の接触角を有する、方法。
【請求項3】
基材であって、UV放射によって処理された表面領域及びUV放射によって処理されていない表面領域を画定する前記基材の第1の表面を含み、前記UV放射によって処理された表面領域は、パターンを画定
し、
前記第1の表面がトルエンに浸漬される場合、前記UV放射によって処理された表面領域は50μLの水滴について50度~90度の範囲のロールオフ角及び90度~180度の範囲の接触角を画定する、基材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
継続出願データ
本出願は、参照によって本明細書に組み込まれる2018年2月15日出願の米国仮特許出願第62/631,386号明細書の利益を主張する。
【0002】
本明細書に開示される技術は、処理された基材に関する。特に、本明細書に開示される技術は、基材処理に関する。
【背景技術】
【0003】
内部燃焼エンジンでの使用のためのディーゼル燃料を含む炭化水素流体の濾過は、適切なエンジン性能のために多くの場合に必須である。好ましいエンジン性能を提供し、且つエンジン部品を損傷から保護するために、水分及び粒子除去が必要となる可能性がある。炭化水素流体中に別の相として存在する遊離水(すなわち非溶解状態の水)が除去されない場合、空洞化、腐食又は微生物成長の促進によるエンジン部品への損傷を含む問題を引き起こす可能性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される技術は、基材を処理する方法に関する。紫外線(UV)放射は、開口部パターンを画定するマスクを通してフィルターされ、及び基材の表面は、フィルターされたUV放射に曝露されて、表面の一部を処理する。
【0005】
いくつかのそのような実施形態において、基材の表面は、平面である。さらに又は代わりに、表面の処理された部分は、表面がトルエンに浸漬される場合、50μLの水滴について50度~90度の範囲のロールオフ角及び90度~180度の範囲の接触角を有する。さらに又は代わりに、表面の一部を処理することは、表面の未処理部分を生じさせ、且つ表面の未処理部分は、表面がトルエンに浸漬される場合、50μLの水滴について0度~50度のロールオフ角を有する。さらに又は代わりに、基材の表面は、非平面である。さらに又は代わりに、表面の処理された部分は、基材表面にわたってパターンを画定する。さらに又は代わりに、基材の表面は、芳香族成分及び不飽和成分の少なくとも1つを有する。さらに又は代わりに、基材は、フィルター媒体を有する。
【0006】
さらに又は代わりに、処理された表面は、50度~90度の範囲、60度~90度の範囲、70度~90度の範囲又は80度~90度の範囲のロールオフ角を有する。さらに又は代わりに、UV放射は、180nm~210nmの範囲の第1の波長及び210nm~280nmの範囲の第2の波長を有する。さらに又は代わりに、UV放射は、185nmの波長を有する。さらに又は代わりに、UV放射は、254nmの波長を有する。さらに又は代わりに、UV放射は、350nm~370nmの範囲の波長を有する。さらに又は代わりに、UV放射は、300μW/cm2~200mW/cm2の範囲である。さらに又は代わりに、表面を、フィルターされたUV放射に曝露しながら、表面がH2O2に曝露される。さらに又は代わりに、表面を、フィルターされたUV放射に曝露しながら、表面がオゾンに曝露される。さらに又は代わりに、表面を、フィルターされたUV放射に曝露しながら、表面が酸素に曝露される。さらに又は代わりに、表面は、2秒~20分の範囲の期間にわたってUV放射に曝露される。
【0007】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される技術は、繊維の表面を処理する方法に関する。UV放射は、開口部パターンを画定するマスクを通してフィルターされ、且つ繊維の表面は、フィルターされたUV放射に曝露されて、繊維の表面の一部を処理する。基材が繊維から形成され、基材は、表面を有する。
【0008】
いくつかのそのような実施形態において、基材の表面は、基材表面がトルエンに浸漬される場合、50μLの水滴について、未処理の繊維から形成される基材と比較して増加したロールオフ角を有する。さらに又は代わりに、基材の表面は、表面がトルエンに浸漬される場合、50μLの水滴について50度~90度の範囲のロールオフ角及び90度~180度の範囲の接触角を有する。さらに又は代わりに、繊維表面の処理された部分は、繊維表面にわたってパターンを画定する。さらに又は代わりに、繊維の表面は、芳香族成分及び不飽和成分の少なくとも1つを含む。
【0009】
さらに又は代わりに、繊維の処理された表面は、安定している。さらに又は代わりに、繊維は、フェノール樹脂を有する。さらに又は代わりに、繊維は、芳香族成分及び不飽和成分の少なくとも1つを有する。さらに又は代わりに、繊維表面は、表面をUV放射に2秒~20分の範囲の時間にわたって曝露することによって処理される。さらに又は代わりに、繊維表面は、表面を、350nm~370nmの範囲の波長を含む紫外線(UV)放射に曝露することによって処理される。さらに又は代わりに、UV放射は、254nmの波長を有する。
【0010】
いくつかの実施形態において、本技術は、基材に関する。基材の第1の表面は、UV放射によって処理された表面領域及びUV放射によって処理されていない表面領域を画定し、UV放射によって処理された表面領域は、パターンを画定する。
【0011】
いくつかのそのような実施形態において、UV放射によって処理された表面領域は、第1の表面がトルエンに浸漬される場合、50μLの水滴について50度~90度の範囲のロールオフ角及び90度~180度の範囲の接触角を画定する。さらに又は代わりに、UV放射によって処理されていない表面領域は、第1の表面がトルエンに浸漬される場合、50μLの水滴について0度~50度のロールオフ角を画定する。さらに又は代わりに、UV放射によって処理された表面領域は、芳香族成分及び不飽和成分の少なくとも1つを含み、且つUV放射によって処理されていない表面領域は、芳香族成分及び不飽和成分を含まない。
【0012】
さらに又は代わりに、基材は、フィルター媒体を有する。さらに又は代わりに、繊維ウェブは、第1の表面を形成する。さらに又は代わりに、膜は、第1の表面を形成する。さらに又は代わりに、不織繊維ウェブは、第1の表面を形成する。さらに又は代わりに、UV放射によって処理された表面は、60度~90度の範囲、70度~90度の範囲又は80度~90度の範囲のロールオフ角を有する。さらに又は代わりに、UV放射によって処理された表面は、セルロース、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、ガラス又はそれらの組合せを有する。さらに又は代わりに、基材は、セルロース、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、ガラス又はそれらの組合せを有する。さらに又は代わりに、基材は、芳香族成分及び不飽和成分の少なくとも1つを有する。
【0013】
いくつかの実施形態において、本技術は、1つ以上の処理された表面領域と、1つ以上の未処理の表面領域とを画定する第1の表面を有する基材に関する。1つ以上の処理された表面領域は、第1の表面がトルエンに浸漬される場合、50μLの水滴について、未処理の表面領域よりも高いロールオフ角を有する。1つ以上の処理された表面領域は、第1の表面上にパターンを画定する。
【0014】
いくつかのそのような実施形態において、1つ以上の処理された表面領域は、複数の分離した領域を含む。さらに又は代わりに、基材は、フィルター媒体を有する。さらに又は代わりに、繊維ウェブは、第1の表面を形成する。さらに又は代わりに、膜は、第1の表面を形成する。さらに又は代わりに、不織繊維ウェブは、第1の表面を形成する。さらに又は代わりに、1つ以上の未処理の表面領域は、第1の表面がトルエンに浸漬される場合、50μLの水滴について0度~50度のロールオフ角を画定する。さらに又は代わりに、1つ以上の処理された表面領域は、芳香族成分及び不飽和成分の少なくとも1つを含み、且つ1つ以上の未処理の表面領域は、芳香族成分及び不飽和成分を含まない。さらに又は代わりに、1つ以上の未処理の表面領域は、第1の表面がトルエンに浸漬される場合、50μLの水滴について50度~90度の範囲のロールオフ角及び90度~180度の範囲の接触角を有する。さらに又は代わりに、第1の表面は、安定している。さらに又は代わりに、基材は、最大で2mmの平均直径を有する細孔を画定する。さらに又は代わりに、基材は、フェノール樹脂を有する。さらに又は代わりに、基材は、芳香族成分及び不飽和成分の少なくとも1つを有する。
【0015】
本明細書に開示される技術のいくつかの実施形態は、プリーツ状フィルター媒体を処理する方法に関する。フィルター媒体にプリーツを形成して、プリーツ折り目の第1のセットと、プリーツ折り目の第2のセットと、プリーツ折り目の第1のセットとプリーツ折り目の第2のセットとの間に延在する複数のプリーツとを有する媒体パックを形成する。プリーツ折り目の第1のセットをUV放射に曝露して、プリーツ折り目がトルエンに浸漬される場合の50μLの水滴についてのロールオフ角を増加させる。
【0016】
いくつかのそのような実施形態において、プリーツ折り目の第1のセット中のそれぞれのプリーツは、プリーツ折り目がトルエンに浸漬される場合、50μLの水滴について50度~90度の範囲のロールオフ角及び90度~180度の範囲の接触角を有する。さらに又は代わりに、プリーツ折り目の第1のセットを曝露する間、プリーツ状フィルター媒体を圧縮し、それによりUV放射へのプリーツの曝露を制限する。さらに又は代わりに、プリーツ折り目の第1のセットを曝露する間、プリーツ状フィルター媒体のプリーツを分離し、それによりプリーツ状フィルター媒体のプリーツをUV放射に曝露する。さらに又は代わりに、プリーツ状フィルター媒体をUV放射に通過させることにより、プリーツ折り目の第1のセットを曝露する。さらに又は代わりに、フィルター媒体は、芳香族成分及び不飽和成分の少なくとも1つを有する。さらに又は代わりに、プリーツ折り目の第1のセットをUV放射に曝露しながら、プリーツ折り目の第1のセットが酸素に曝露される。さらに又は代わりに、UV放射は、180nm~210nmの範囲の第1の波長及び210nm~280nmの範囲の第2の波長を含む。さらに又は代わりに、UV放射は、254nmの波長を含む。さらに又は代わりに、UV放射は、300μW/cm2~200mW/cm2の範囲である。
【0017】
本明細書に開示される技術のいくつかの実施形態は、フィルター媒体パックに関する。基材は、プリーツ折り目の第1のセットとプリーツ折り目の第2のセットとの間に延在する複数のプリーツを画定する。プリーツ折り目の第1のセット中のプリーツ折り目のそれぞれは、プリーツ折り目の第1のセットがトルエンに浸漬される場合、50μLの水滴について50度~90度の範囲のロールオフ角及び90度~180度の範囲の接触角を有する。プリーツのそれぞれの表面領域の少なくとも一部は、表面領域がトルエンに浸漬される場合、50μLの水滴について0度~50度のロールオフ角を有する。
【0018】
いくつかのそのような実施形態において、プリーツがトルエンに浸漬される場合の50μLの水滴についてのプリーツのそれぞれの表面領域の一部にわたるロールオフ角において段階的変化がある。さらに又は代わりに、基材は、フィルター媒体を有する。さらに又は代わりに、基材は、芳香族成分及び不飽和成分の少なくとも1つを有する。さらに又は代わりに、表面は、フィルター媒体パックの下流側面を画定する。さらに又は代わりに、基材は、セルロース、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、ガラス又はそれらの組合せを有する。さらに又は代わりに、プリーツ折り目の第1のセットのプリーツのそれぞれは、60度~90度の範囲、70度~90度の範囲又は80度~90度の範囲のロールオフ角を有する。さらに又は代わりに、基材は、最大で2mmの平均直径を有する細孔を画定する。
【0019】
本明細書に開示される技術のいくつかの実施形態は、平面基材表面をUV放射源の処理範囲内に配置する方法に関する。いくつかのそのような実施形態において、基材表面は、UV放射源に対して0~90度に基材表面を角度付けることによって配置される。さらに又は代わりに、UV放射は、UV放射源から放出されて、基材表面を処理し、それにより基材表面にわたってUV処理における勾配を生じさせる。さらに又は代わりに、基材表面を角度付けることは、基材の長さ方向におけるものである。さらに又は代わりに、基材表面を角度付けることは、基材の幅方向におけるものである。
【0020】
さらに又は代わりに、UV放射源は、UV放射が放出される平面を画定し、且つ基材表面と平面との間の角度は、0~90度である。さらに又は代わりに、基材は、フィルター媒体である。さらに又は代わりに、基材表面の少なくとも一部は、表面がトルエンに浸漬される場合、50μLの水滴について50度~90度の範囲のロールオフ角及び90度~180度の範囲の接触角を有する。さらに又は代わりに、基材は、芳香族成分及び不飽和成分の少なくとも1つを有する。さらに又は代わりに、UV放射は、180nm~210nmの範囲の第1の波長及び210nm~280nmの範囲の第2の波長を有する。さらに又は代わりに、UV放射は、254nmの波長を含む。
【0021】
いくつかの実施形態において、本明細書に開示される技術は、基材表面の少なくとも一部がUV放射源の処理範囲内に配置される方法に関する。UV放射は、UV放射源から基材表面上に放出される。放出されたUV放射の強度は、基材表面上で変更され、それにより基材表面にわたってUV処理の様々な強度を生じさせる。
【0022】
いくつかのそのような実施形態において、UV放射源は、UV放射が放出される平面を画定し、且つ放出されたUV放射の強度を基材表面上で変更することは、平面と基材表面との間の距離を変更することの結果である。さらに又は代わりに、平面と基材表面との間の距離は、基材表面を非平面構造に構成することによって変更される。さらに又は代わりに、放出されたUV放射の強度は、UV放射源と基材表面との間にレンズを挿入することにより、放出されたUV放射を屈折させることによって基材表面上で変更される。さらに又は代わりに、放出されたUV放射の強度は、UV放射源に対して基材表面を角度付けることによって基材表面上で変更される。さらに又は代わりに、放出されたUV放射の強度は、様々な速度で基材表面をUV放射源に通過させることによって基材表面上で変更される。さらに又は代わりに、放出されたUV放射の強度は、UV放射源から放出されたUV放射を基材上の反射器から反射することによって基材表面上で変更される。さらに又は代わりに、基材表面は、実質的に平面である。さらに又は代わりに、基材は、フィルター媒体を有する。さらに又は代わりに、処理された表面の少なくとも一部は、基材表面がトルエンに浸漬される場合、50μLの水滴について50度~90度の範囲のロールオフ角及び90度~180度の範囲の接触角を有する。さらに又は代わりに、基材は、芳香族成分及び不飽和成分の少なくとも1つを有する。さらに又は代わりに、UV放射は、300μW/cm2~200mW/cm2の範囲である。
【0023】
本明細書に開示される技術のいくつかの実施形態は、基材がUV放射源の処理範囲内に配置される方法に関する。レンズは、UV放射源と基材表面との間に挿入される。UV放射は、UV放射源から且つレンズを通して放出され、それにより、放出されたUV放射を屈折させる。基材表面は、レンズからの屈折されたUV放射に曝露されて、基材表面を変性する。
【0024】
いくつかのそのような実施形態において、基材表面を曝露することは、UV放射への曝露の強度における勾配を反映する基材表面における変性をもたらす。さらに又は代わりに、基材は、フィルター媒体を含む。さらに又は代わりに、基材表面の少なくとも一部は、表面がトルエンに浸漬される場合、50μLの水滴について50度~90度の範囲のロールオフ角及び90度~180度の範囲の接触角を有する。さらに又は代わりに、基材表面は、芳香族成分及び不飽和成分の少なくとも1つを有する。さらに又は代わりに、UV放射は、350nm~370nmの範囲の波長を有する。さらに又は代わりに、基材表面は、安定している。さらに又は代わりに、表面を、フィルターされたUV放射に曝露しながら、表面が酸素に曝露される。さらに又は代わりに、表面は、2秒~20分の範囲の期間にわたってUV放射に曝露される。さらに又は代わりに、UV放射は、180nm~210nmの範囲の第1の波長及び210nm~280nmの範囲の第2の波長を有する。
【0025】
本明細書に開示される技術のいくつかの実施形態は、1つ以上の導波管がUV放射源から処理位置まで延在する方法に関する。基材表面は、処理位置のUV処理範囲内に配置される。UV放射は、UV放射源から且つ1つ以上の導波管を通して放出される。基材表面は、1つ以上の導波管からのUV放射に曝露されて、基材表面の部分を変性する。
【0026】
いくつかのそのような実施形態において、基材は、フィルター媒体を有する。さらに又は代わりに、基材表面の変性された部分は、表面がトルエンに浸漬される場合、50μLの水滴について50度~90度の範囲のロールオフ角及び90度~180度の範囲の接触角を有する。さらに又は代わりに、基材表面は、芳香族成分及び不飽和成分の少なくとも1つを有する。さらに又は代わりに、UV放射は、185nmの波長を有する。さらに又は代わりに、UV放射は、350nm~370nmの範囲の波長を有する。さらに又は代わりに、UV放射は、300μW/cm2~200mW/cm2の範囲である。さらに又は代わりに、表面をUV放射に曝露しながら、表面がH2O2に曝露される。さらに又は代わりに、表面をUV放射に曝露しながら、表面が酸素に曝露される。さらに又は代わりに、表面は、2秒~20分の範囲の期間にわたってUV放射に曝露される。
【0027】
本明細書に開示される技術のいくつかの実施形態は、基材表面が処理位置に配置される方法に関する。UV放射は、UV放射源から放出される。反射器は、放出されたUV放射を受け取り、且つ受け取られたUV放射を基材表面に反射させるように配置される。基材表面は、反射器からの反射されたUV放射に曝露されて、基材表面を変性する。
【0028】
いくつかのそのような実施形態において、基材は、フィルター媒体を有する。さらに又は代わりに、変性された基材表面は、表面がトルエンに浸漬される場合、50μLの水滴について50度~90度の範囲のロールオフ角及び90度~180度の範囲の接触角を有する。さらに又は代わりに、基材表面は、芳香族成分及び不飽和成分の少なくとも1つを有する。さらに又は代わりに、UV放射は、300μW/cm2~200mW/cm2の範囲である。さらに又は代わりに、UV放射は、180nm~210nmの範囲の第1の波長及び210nm~280nmの範囲の第2の波長を有する。さらに又は代わりに、表面をH2O2に曝露することによって表面を処理する。さらに又は代わりに、表面を、350nm~370nmの範囲の波長を含む紫外線(UV)放射に曝露することによって表面を処理する。さらに又は代わりに、表面をUV放射に2秒~20分の範囲の時間にわたって曝露することによって表面を処理する。
【0029】
本明細書に開示される技術のいくつかの実施形態は、基材表面にコーティングが適用されて、第1のパターンを画定するコーティングされた表面及び第2のパターンを画定する未コーティングの表面を画定する、基材を処理する方法に関する。コーティングされた表面及び未コーティングの表面の一方は、表面がトルエンに浸漬される場合、50μLの水滴について、コーティングされた表面及び未コーティングの表面の他方と比較して増加したロールオフ角を有する。
【0030】
いくつかのそのような実施形態において、コーティングを適用した後、基材表面は、UV放射に曝露され、コーティングされた表面及び未コーティングの表面の一方の処理をもたらす。さらに又は代わりに、基材表面をUV放射に曝露することは、コーティングされた表面の変性をもたらす。さらに又は代わりに、基材表面をUV放射に曝露することは、未コーティングの表面を変性する。さらに又は代わりに、基材は、フィルター媒体を有する。さらに又は代わりに、コーティングは、繊維層を有する。さらに又は代わりに、コーティングは、ナノ繊維を有する。さらに又は代わりに、コーティングされた表面及び未コーティングの表面の少なくとも1つのロールオフ角は、表面がトルエンに浸漬される場合、50μLの水滴について50度~90度の範囲であり、且つコーティングされた表面及び未コーティングの表面の他方のロールオフ角は、0度~50度である。さらに又は代わりに、基材表面は、基材をUV放射源に通過させることによってUV放射に曝露される。さらに又は代わりに、コーティングは、親水基含有ポリマーを有し、且つ未コーティングの表面は、親水基含有ポリマーを含まない。さらに又は代わりに、未コーティングの表面は、親水基含有ポリマーを有し、且つコーティングされた表面は、親水基含有ポリマーを含まない。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1A】基材を含むフィルター媒体の層の代表的配置を示す。
【
図1B】基材を含むフィルター媒体の層の代表的配置を示す。
【
図1C】基材を含むフィルター媒体の層の代表的配置を示す。
【
図1D】基材を含むフィルター媒体の層の代表的配置を示す。
【
図2】0度(0°)回転(左)及び90°回転(右)におけるトルエン中に浸漬されたUV-酸素処理基材1上の50μLの水滴の代表的イメージである。
【
図3】液滴サイジング試験のために使用される2ループシステムの概略図を示す。
【
図4】水分除去効率によって測定された未処理基材1(対照)及びUV-酸素処理基材1の性能を示す。
【
図5】浸漬なし又は30日間ポンプ燃料に浸漬させた後の未処理基材1及びUV-酸素処理基材1の接触角及びロールオフ角を示す。接触角及びロールオフ角は、トルエン中50μLの水滴を使用して測定され、且つ報告値は、媒体の異なる領域で測定された独立した測定値の平均である。
【
図6】50μLの水滴を使用して測定された、トルエン中に浸漬されたUV/H
2O
2処理基材1の処理側面及び未処理側面の接触角(CA)及びロールオフ角(RO)を示す。
【
図7】0°回転(左)及び60°回転(右)におけるトルエン中に浸漬されたPHPM処理基材1上の20μLの水滴の代表的イメージを示す。
【
図8】未処理(対照)及びPEI-10Kコーティング基材1の水分除去効率によって測定された性能を示す。
【
図9】未コーティング基材1及び2%(w/v)PHEM、4%(w/v)PHEM、6%(w/v)PHEM又は8%(w/v)PHEMによってコーティングされた基材1の通気性を示す。
【
図10】未コーティング基材1(対照)、PHPMコーティング基材1、1%(w/v)N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシランを使用して架橋(CL)されたPHPMコーティング基材1及び1%(w/v)N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシランを使用して架橋(CL)され、且つ浸漬なし又は明示された期間にわたってポンプ燃料中に浸漬後、焼鈍しされたPHPMコーティング基材1上の50μLの水滴の接触角及びロールオフ角を示す。
【
図11】未コーティング基材1(対照)、PEI-10Kコーティング基材1、1%(w/v)(3-グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシランを使用して架橋(CL)されたPEI-10Kコーティング基材1及び1%(w/v)(3-グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシランを使用して架橋(CL)され、且つ浸漬なし又は明示された期間にわたってポンプ燃料中に浸漬後、焼鈍しされたPEI-10Kコーティング基材1上の50μLの水滴の接触角及びロールオフ角を示す。
【
図12】架橋剤DAMO-Tを用いた又は用いない、代表的PHEMナノ繊維コーティング基材6上の50μLの水滴の接触角及びロールオフ角を示す。
【
図13】架橋剤を用いないか、又は(3-グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシラン(架橋剤1)若しくはポリ(エチレングリコール)ジアクリレート(架橋剤2)を用いて架橋された代表的PEIナノ繊維コーティング基材6上の50μLの水滴の接触角及びロールオフ角を示す。
【
図14】電界紡糸によるコーティングの形成の1日後、6日後及び32日後の代表的PHEMナノ繊維コーティングDAMO-T架橋基材6上の50μLの水滴の接触角及びロールオフ角を示す。
【
図15】電界紡糸によるコーティングの形成の1日後、6日後及び32日後の代表的PEI-10Kナノ繊維コーティング架橋基材6上の50μLの水滴の接触角及びロールオフ角を示す。PEIは、(3-グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシラン(架橋剤1)又はポリ(エチレングリコール)ジアクリレート(PEGDA)(架橋剤2)のいずれかを使用して架橋された。
【
図16A】倍率1000倍で示される、未コーティング基材6の代表的な走査型電子顕微鏡法(SEM)イメージを示す。
【
図16B】倍率1000倍で示される、架橋剤なしでPHEMによる電界紡糸によってコーティングされた基材6の代表的な走査型電子顕微鏡法(SEM)イメージを示す。
【
図16C】倍率1000倍で示される、架橋剤DAMO-Tを用いて、PHEMによる電界紡糸によってコーティングされた基材6の代表的な走査型電子顕微鏡法(SEM)イメージを示す。
【
図17A】倍率50倍で示される、架橋剤なしでPEI-10Kによる電界紡糸によってコーティングされた基材6の代表的なSEMイメージを示す。
【
図17B】倍率50倍で示される、架橋剤(3-グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシランを用いて、PEI-10Kによる電界紡糸によってコーティングされた基材6の代表的なSEMイメージを示す。
【
図17C】倍率50倍で示される、架橋剤ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート(PEGDA)を用いて、PEI-10Kによる電界紡糸によってコーティングされた基材6の代表的なSEMイメージを示す。
【
図18A】倍率200倍で示される、未コーティング基材6の代表的なSEMイメージを示す。
【
図18B】倍率200倍で示される、架橋剤なしでPEI-10Kによる電界紡糸によってコーティングされた基材6の代表的なSEMイメージを示す。
【
図18C】倍率200倍で示される、PEI-10K及び架橋剤1((3-グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシラン)による電界紡糸によってコーティングされた基材6の代表的なSEMイメージを示す。
【
図18D】倍率200倍で示される、PEI-10K及び架橋剤2(ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート(PEGDA))による電界紡糸によってコーティングされた基材6の代表的なSEMイメージを示す。
【
図19】本技術のいくつかの実施形態による方法の実施例である。
【
図20】本技術のいくつかの実施形態による方法の別の実施例である。
【
図21】いくつかの実施例と一致する基材実施例の概略図である。
【
図22】いくつかの実施例と一致する基材実施例の別の概略図である。
【
図23】いくつかの実施形態と一致する別の基材実施例の概略図である。
【
図24】いくつかの実施形態と一致する基材繊維実施例の概略図である。
【
図25】いくつかの実施形態と一致する処理システム実施例の概略図である。
【
図26】いくつかの実施形態と一致する別の処理システム実施例の概略図である。
【
図27】いくつかの実施形態と一致する別の処理システム実施例の概略図である。
【
図28】本技術のいくつかの実施形態と一致するフィルター媒体パック実施例400である。
【
図29】いくつかの実施形態と一致する別の処理システム実施例の概略図である。
【
図30】本明細書に開示される技術のいくつかの実施形態と一致する別の方法実施例80である。
【
図31】いくつかの実施形態と一致する別の処理システム実施例の概略図である。
【
図32】いくつかの実施形態と一致する別の処理システム実施例の概略図である。
【
図33】いくつかの実施形態と一致する別の処理システム実施例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
炭化水素流体-水分離フィルターは、粒子を除去するための少なくとも1層及び/又は炭化水素流体流からの水を合体するための少なくとも1層を含むフィルター媒体を含み得;層又は複数の層が基材であり得るか、又は基材によって支持され得る。いくつかの実施形態において、粒子除去層及び水合体層は、同一の層であり得、且つ層は、基材であり得るか、又は基材によって支持され得る。本開示は、炭化水素流体-水分離フィルターでの使用のための基材を含むフィルター媒体、基材の識別方法、基材の製造方法、基材の使用方法及び基材のロールオフ角の改善方法を記載する。フィルター媒体又は例えば炭化水素流体-水分離フィルター素子を含むフィルター素子中に基材を含むことにより、より効率的なフィルター製造及び/又は例えば改善された水分分離効率を含むフィルター媒体若しくはフィルター素子の改善された性能特徴を提供することが可能となる。
【0033】
パターンが含まれることにより、基材が水分離フィルターとして使用される場合、形成される水滴サイズに関する制御を提供することができる。
【0034】
炭化水素流体としては、例えば、ディーゼル燃料、ガソリン、油圧流体、コンプレッサー油などを含むことができる。いくつかの実施形態において、炭化水素流体は、好ましくは、ディーゼル燃料を含む。
【0035】
本明細書で使用される場合、「化学的に別」という用語は、2種の化合物が異なる化学組成を有することを意味する。
【0036】
本明細書で使用される場合、「親水性」という用語は、分子又は他の分子の実体の水に溶解する能力を意味し、且つ「親水性物質」という用語は、親水性であり、且つ/又は水に引き付けられ、且つ水と混和性となる傾向があるか若しくは水中に可溶性である分子又は他の分子の実体を意味する。いくつかの実施形態において、「親水性」は、飽和に達する範囲まで、少なくとも90%の分子又は他の分子の実体、好ましくは少なくとも95%の分子又は他の分子の実体、より好ましくは少なくとも97%の分子又は他の分子の実体、最も好ましくは少なくとも99%の分子又は他の分子の実体が25摂氏度(℃)において水中に溶解することを意味する。いくつかの実施形態において、「親水性物質」は、飽和に達する範囲まで、少なくとも90%の分子又は他の分子の実体、好ましくは少なくとも95%の分子又は他の分子の実体、より好ましくは少なくとも97%の分子又は他の分子の実体、最も好ましくは少なくとも99%の分子又は他の分子の実体が25摂氏度(℃)において水と混和性であるか又は水中に溶解することを意味する。
【0037】
「親水性表面」は、表面上で水滴が90度未満の接触角を有する表面を示す。いくつかの実施形態において、表面は、好ましくは、トルエン中に浸漬される。
【0038】
「疎水性表面」は、表面上で水滴が少なくとも90度の接触角を有する表面を示す。いくつかの実施形態において、表面は、好ましくは、トルエン中に浸漬される。
【0039】
「安定している」又は「安定性」を有する基材又は表面は、少なくとも50℃の温度で少なくとも1時間、少なくとも12時間又は少なくとも24時間且つ最大10日間、最大30日間又は最大90日間、炭化水素流体中に浸漬された後、初期ロールオフ角の少なくとも80パーセント(%)、好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%又はなお好ましくは少なくとも95%のロールオフ角を維持する能力を有する基材又は表面を意味する。いくつかの実施形態において、表面又は基材の「初期ロールオフ角」は、1時間未満又はより好ましくは20分間未満、炭化水素流体中に浸漬された表面基材のロールオフ角である。
【0040】
「極性官能基」は、陰性原子(例えば、窒素、酸素、塩素、フッ素など)の存在の結果として、正味の双極子を有する官能基を意味する。
【0041】
「好ましい」及び「好ましくは」という用語は、特定の状況下で特定の利益を付与し得る実施形態を意味する。しかしながら、他の実施形態も同一又は他の状況下で好ましくなり得る。さらに、1つ以上の好ましい実施形態の記述は、他の実施形態が有用でないことを意味せず、且つ本技術の範囲から他の実施形態を除外するように意図されない。
【0042】
「含む」という用語及びその変形は、これらの用語が本記載及び特許請求の範囲に出現する場合、限定的意味を有さない。
【0043】
「からなる」という用語は、「からなる」の句の後に続くものを全て含み、且つそれに限定されることを意味する。すなわち、「からなる」は、リストされた要素が必要であるか又は義務的であり、且つ他の要素が存在し得ないことを示す。
【0044】
「から本質的になる」という用語は、句の後にリストされたいずれの要素も含まれ、且つリストされたもの以外の他の要素が、それらの要素が、リストされた要素に関して本開示に明示された活性又は作用を妨害しないか又はそれに寄与しないという条件で含まれ得ることを示す。
【0045】
他に指定されない限り、「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」及び「少なくとも1つ」は、互換的に使用され、且つ1つ又は2つ以上を意味する。
【0046】
また、本明細書では、終点による数値範囲の記載は、その範囲内に包含される全ての数を含む(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5などを含む)。
【0047】
別々のステップを含む本明細書に開示されるいずれの方法に関しても、ステップは、いずれかの実行可能な順番で実行され得る。また、適切な場合、2つ以上のステップのいずれの組合せも同時に実行可能であり得る。
【0048】
本技術の上記の要約は、それぞれの開示された実施形態又は全ての実施を記載するように意図されない。以下の記載は、例示的な実施形態をより特に説明する。本出願を通していくつかの位置において実施例のリストによってガイダンスが提供され、これらの実施例は、種々の組合せで使用可能である。それぞれの例において、列挙されたリストは、単なる代表群として機能し、且つ排他的リストとして解釈されるべきではない。
【0049】
炭化水素流体-水分離に適切な材料を識別する方法
一態様において、本開示は、例えば、特定の特性を有するフィルター媒体を含む材料を識別する方法を記載する。材料は、好ましくは、炭化水素流体-水分離に適切である。
【0050】
いくつかの実施形態において、この方法は、材料が、炭化水素を含む流体に浸漬されている間の材料の表面上の液滴のロールオフ角及び任意選択的に接触角を決定することを含む。いくつかの実施形態において、この方法は、下記のロールオフ角及び/又は接触角を含む炭化水素流体-水分離に適切な基材の特性を有する材料を識別することを含む。
【0051】
いくつかの実施形態において、液滴は、親水性物質を含む。いくつかの実施形態において、液滴は、好ましくは、水を含む。いくつかの実施形態において、液滴は、水から本質的になる。いくつかの実施形態において、液滴は、水からなる。いくつかの実施形態において、液滴は、少なくとも5μL、少なくとも10μL、少なくとも15μL、少なくとも20μL、少なくとも25μL、少なくとも30μL、少なくとも35μL、少なくとも40μL、少なくとも45μL又は少なくとも50μLである。いくつかの実施形態において、液滴は、最大で10μL、最大で15μL、最大で20μL、最大で25μL、最大で30μL、最大で35μL、最大で40μL、最大で45μL、最大で50μL、最大で60μL、最大で70μL又は最大で100μLである。いくつかの実施形態において、液滴は、好ましくは、20μLの液滴又は50μLの液滴である。
【0052】
いくつかの実施形態において、炭化水素を含む流体は、トルエンを含む。いくつかの実施形態において、炭化水素を含む流体は、トルエンから本質的になる。いくつかの実施形態において、炭化水素を含む流体は、トルエンからなる。理論によって拘束されることを望まないが、水とのその表面張力のため、トルエンは、例えば、ディーゼル燃料を含む他の炭化水素流体の代理として作用すると考えられる。
【0053】
炭化水素流体-水分離における使用のために適切な材料を識別するための従来法とは対照的に、本明細書に記載される方法は、平面(例えば、非多孔性である表面)の特性に依存しない。むしろ、本明細書に記載される方法は、多孔性材料(例えば、多孔性基材を含む)又は多孔性表面を有する材料の特性を試験するための方法を提供する。さらに、本明細書に記載される方法は、空気中での材料の特性に依存しない。むしろ、材料は、例えば、トルエンを含む炭化水素を含む流体中での材料の特性によって識別される。
【0054】
例えば、国際公開第2015/175877号パンフレットでは、流体分離効率を強化するよう設計されたフィルター媒体は、分離される流体を湿潤するように変性された表面を有する1つ以上の層及び分離される流体をはじくように変性された表面を有する1つ以上の層を含み得ることが記載されている。また、国際公開第2015/175877号パンフレットでは、「親水性表面」は、90度未満の水接触角を有する表面を意味し得、且つ「疎水性表面」は、90度より高い水接触角を有する表面を意味し得ることが記載されている。しかしながら、国際公開第2015/175877号パンフレットでは、接触角は、空気中ではなく流体中で算出されるべきであることが記載されていない。また、実際に、空気中の表面の疎水性は、炭化水素流体中の表面の疎水性を予測しない。
【0055】
さらに、国際公開第2015/175877号パンフレットでは、表面のロールオフ角が重要であることが記載されておらず、またロールオフ角を変更する材料を選択する方法も記載されていない。むしろ、国際公開第2015/175877号パンフレットでは、特定の流体に対する層の湿潤性を変性するために粗度又はコーティングを使用し得ること、「湿潤」及び「湿潤する」という用語は、表面に対する流体の接触角が90度未満であるように流体が表面と相互作用する能力を意味することが記載されている。
【0056】
しかしながら、表面単独の湿潤性又は接触角は、空気中で測定するか又は炭化水素流体中で測定しても、炭化水素流体中の表面の炭化水素-水分離能力を予測しない。それとは対照的に且つ以下にさらに記載されるように、炭化水素流体中の表面上の水滴の接着又はロールオフ角は、任意選択的に炭化水素流体中の表面上の水滴の接触角と組み合わせて、炭化水素流体から水を除去する基材の能力を予測するために使用することができる。
【0057】
基材表面の特性
一態様において、本開示は、炭化水素流体-水分離のために適切な基材を含むフィルター媒体を記載する。基材は、表面を含む。いくつかの実施形態において、基材又は基材の表面は、好ましくは、安定している。
【0058】
いくつかの実施形態において、表面は、表面がトルエン中に浸漬される場合、20μLの水滴について少なくとも30度、少なくとも35度、少なくとも40度、少なくとも45度、少なくとも50度、少なくとも55度、少なくとも60度、少なくとも65度、少なくとも70度、少なくとも75度又は少なくとも80度のロールオフ角を有する。いくつかの実施形態において、表面は、表面がトルエン中に浸漬される場合、50μLの水滴について少なくとも30度、少なくとも35度、少なくとも40度、少なくとも45度、少なくとも50度、少なくとも55度、少なくとも60度、少なくとも65度、少なくとも70度又は少なくとも80度のロールオフ角を有する。
【0059】
いくつかの実施形態において、表面は、表面がトルエン中に浸漬される場合、20μLの水滴について最大で60度、最大で65度、最大で70度、最大で75度、最大で80度、最大で85度又は最大で90度のロールオフ角を有する。いくつかの実施形態において、表面は、表面がトルエン中に浸漬される場合、50μLの水滴について最大で60度、最大で65度、最大で70度、最大で75度、最大で80度、最大で85度又は最大で90度のロールオフ角を有する。
【0060】
いくつかの実施形態において、表面は、表面がトルエン中に浸漬される場合、20μLの水滴について50度~90度の範囲のロールオフ角を有する。いくつかの実施形態において、表面は、表面がトルエン中に浸漬される場合、50μLの水滴について40度~90度の範囲のロールオフ角を有する。
【0061】
いくつかの実施形態において、表面は、好ましくは、疎水性であり、すなわち、表面は、少なくとも90度の接触角を有する。いくつかの実施形態において、表面は、表面がトルエン中に浸漬される場合、20μLの水滴について少なくとも90度、少なくとも100度、少なくとも110度、少なくとも120度、少なくとも130度又は少なくとも140度の接触角を有する。いくつかの実施形態において、表面は、表面がトルエン中に浸漬される場合、50μLの水滴について少なくとも90度、少なくとも100度、少なくとも110度、少なくとも120度、少なくとも130度又は少なくとも140度の接触角を有する。
【0062】
いくつかの実施形態において、表面は、表面がトルエン中に浸漬される場合、20μLの水滴について最大で150度、最大で160度、最大で170度又は最大で180度の接触角を有する。いくつかの実施形態において、表面は、表面がトルエン中に浸漬される場合、50μLの水滴について最大で150度、最大で160度、最大で170度又は最大で180度の接触角を有する。
【0063】
いくつかの実施形態において、表面は、表面がトルエン中に浸漬される場合、20μLの水滴について90度~150度の範囲又は90度~180度の範囲の接触角を有する。
【0064】
いくつかの実施形態において、表面は、表面がトルエン中に浸漬される場合、50μLの水滴について90度~150度の範囲又は90度~180度の範囲の接触角を有する。
【0065】
さらに以下に記載されるように、炭化水素流体中の基材の疎水性表面(すなわち少なくとも90度の接触角を有する表面)上の水滴のロールオフ角(すなわち接着)は、炭化水素流体中の基材の表面上で合体又は成長可能である水滴のサイズと関連する。合体又は成長可能である水滴のサイズは、炭化水素流体から水を除去する基材の能力と関連する。したがって、炭化水素流体から水を除去する基材の能力は、炭化水素流体中の基材の表面上の液滴のロールオフ角及び接触角を決定することによって正確に予測され得る。
【0066】
本明細書に記載される方法によって製造され、且つ/又は識別された基材は、高い接触角及び高いロールオフ角を有する。高い接触角は、水滴上の低い見掛けの抵抗力を示す一方、高いロールオフ角は、基材表面に維持される液滴の能力を示す。理論によって拘束されることを望まないが、特徴のこの組合せにより、合体を通してより大きい液滴が形成され得、それにより液滴がより容易に炭化水素流体流から分離され、且つ炭化水素流体流からの水分離の全効率が改善されると考えられる。
【0067】
高い接触角及び高いロールオフ角のバランスは、例えば、それらのロールオフ角を増加させるように基材表面を変性することを含む、本明細書に開示される方法論を使用して達成され得る。典型的に、これらの方法は、接触角にほとんど悪影響を与えない。いくつかの実施形態において、高い接触角を有するフィルター基材は、したがって、接触角及びロールオフ角の主張された組合せを有する基材を提供するために変性され得る。
【0068】
基材物質及び特性
基材は、フィルター媒体での使用に適切ないずれの基材でもあり得る。いくつかの実施形態において、基材は、好ましくは、例えば燃料フィルターを含む炭化水素流体フィルター素子での使用に適切な基材である。いくつかの実施形態において、基材は、例えば、セルロース、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、ガラス又はその組合せ(例えば、そのブレンド、混合物又はコポリマー)を含むことができる。基材は、例えば、不織ウェブ、織物ウェブ、多孔性シート、焼結プラスチック、高密度スクリーン、高密度メッシュ又はその組合せを含むことができる。いくつかの実施形態において、基材は、合成繊維、天然由来繊維又はその組合せ(例えば、そのブレンド又は混合物)を含むことができる。基材は、典型的に多孔性であり、且つ細孔径、フレーザー(Frazier)通気性及び/又は別の適切な計量などの特定の定義可能な性能特徴のものである。
【0069】
いくつかの実施形態において、基材は、熱可塑性又は熱硬化性ポリマー繊維を含み得る。繊維のポリマーは、単一ポリマー材料系、二成分繊維又はその組合せに存在し得る。二成分繊維は、例えば、熱可塑性ポリマーを含み得る。いくつかの実施形態において、二成分繊維は、同心性又は非同心性構造を含むコア-シース構造を有し得る。いくつかの実施形態において、加熱時、コアが構造完全性を保持しながらも、シースが層中で他の繊維に結合するように、二成分繊維のシースは、コアの溶融温度よりも低い溶融温度を有し得る。二成分繊維の代表的な実施形態は、サイド-バイ-サイド繊維又はアイランド-イン-ザ-シー繊維を含む。
【0070】
いくつかの実施形態において、基材は、例えば、(マーセル化サザンパイン(mercerized southern pine)などの)軟材繊維、(ユーカリ(Eucalyptus)繊維などの)硬材繊維、再生セルロース繊維、機械パルプ繊維又はその組合せ(例えば、その混合物又はブレンド)を含むセルロース繊維を含み得る。
【0071】
いくつかの実施形態において、基材は、例えば、極小ガラス、チョップトガラス繊維又はその組合せ(例えば、その混合物又はブレンド)を含むガラス繊維を含み得る。
【0072】
いくつかの実施形態において、基材は、少なくとも0.3ミクロン、少なくとも1ミクロン、少なくとも10ミクロン、少なくとも15ミクロン、少なくとも20ミクロン又は少なくとも25ミクロンの平均直径を有する繊維を含む。いくつかの実施形態において、基材は、最大で50ミクロン、最大で60ミクロン、最大で70ミクロン、最大で75ミクロン、最大で80ミクロン又は最大で100ミクロンの平均直径を有する繊維を含む。当業者は、繊維の直径が、繊維材料及び繊維を製造するために使用された方法次第で変動し得ることを認識するであろう。これらの繊維の長さも、数ミリメートルの長さから連続繊維構造になるまで変動し得る。繊維の横断面形状は、使用される材料又は製造法によって同じく変動し得る。
【0073】
基材は、いくつかの実施形態において、1つ以上の結合材料を含み得る。いくつかの実施形態において、結合材料は、基材に追加的な剛性及び/又は硬度を提供する変性樹脂を含む。例えば、いくつかの実施形態において、基材は、変性樹脂で飽和され得る。変性樹脂は、本明細書に記載されるUV反応性樹脂又は非UV反応性樹脂を含み得る。変性樹脂は、いくつかの実施形態において、フェノール樹脂及び/又はアクリル樹脂を含み得る。非UV反応性樹脂は、いくつかの実施形態において、芳香族成分及び/又は不飽和成分を含まないアクリル樹脂を含み得る。
【0074】
例えば、基材がUV処理を受けることによって調製されるいくつかの実施形態において、基材は、好ましくは、芳香族成分及び/又は不飽和成分を含む。芳香族成分及び/又は不飽和成分は、基材に含まれる材料中に存在し得るか、又は例えば樹脂を含む別の材料を使用して基材に添加され得る。芳香族成分及び/又は不飽和成分を含む樹脂は、本明細書では、UV反応性樹脂と記載される。UV反応性樹脂は、例えば、フェノール樹脂を含み得る。いくつかの実施形態において、不飽和成分は、好ましくは、二重結合を含む。
【0075】
いくつかの実施形態において、基材は、最大で10ミクロン(μm)、最大で20μm、最大で30μm、最大で40μm、最大で45μm、最大で50μm、最大で60μm、最大で70μm、最大で80μm、最大で90μm、最大で100μm、最大で200μm、最大で300μm、最大で400μm、最大で500μm、最大で600μm、最大で700μm、最大で800μm、最大で900μm、最大で1ミリメートル(mm)、最大で1.5mm、最大で2mm、最大で2.5mm又は最大で3mmの平均径を有する細孔を含む。いくつかの実施形態において、基材は、少なくとも2μm、少なくとも5μm、少なくとも10がm、少なくとも20μm、少なくとも30μm、少なくとも40μm、少なくとも50μm、少なくとも60μm、少なくとも70μm、少なくとも80μm、少なくとも90μm、少なくとも100μm、少なくとも200μm、少なくとも300μm、少なくとも400μm、少なくとも500μm、少なくとも600μm、少なくとも700μm、少なくとも800μm、少なくとも900μm又は少なくとも1mmの平均径を有する細孔を含む。いくつかの実施形態において、基材は、5μm~100μmの範囲の平均径を有する細孔を含む。いくつかの実施形態において、基材は、40μm~50μmの範囲の平均径を有する細孔を含む。いくつかの実施形態において、細孔径は、毛管流孔度計を使用して測定され得る。いくつかの実施形態において、米国特許出願公開第2011/0198280号明細書に記載の通り、細孔径は、好ましくは、液体押出孔度計によって測定される。
【0076】
いくつかの実施形態において、基材は、少なくとも15%多孔性、少なくとも20%多孔性、少なくとも25%多孔性、少なくとも30%多孔性、少なくとも35%多孔性、少なくとも40%多孔性、少なくとも45%多孔性、少なくとも50%多孔性、少なくとも55%多孔性、少なくとも55%多孔性、少なくとも60%多孔性、少なくとも65%多孔性、少なくとも70%多孔性、少なくとも75%多孔性又は少なくとも80%多孔性である。いくつかの実施形態において、基材は、最大で75%多孔性、最大で80%多孔性、最大で85%多孔性、最大で90%多孔性、最大で95%多孔性、最大で96%多孔性、最大で97%多孔性、最大で98%多孔性又は最大で99%多孔性である。例えば、基材は、少なくとも15%多孔性であり、且つ最大で99%多孔性であるか、少なくとも50%多孔性であり、且つ最大で99%多孔性であるか、又は少なくとも80%多孔性であり、且つ最大で95%多孔性であり得る。
【0077】
いくつかの実施形態において、フィルター媒体は、フィルター媒体の使用中に「上流」から「下流」まで通過する流れのために設計され得る。いくつかの実施形態において、例えばフィルター媒体が上流層の下流に位置する基材を含む場合を含めて、基材は、上流層の細孔の平均径より大きい平均径を有する細孔を含み得る。さらに又は代わりに、基材は、上流層の下流側面において形成する液滴の平均径よりも大きい平均径を有する細孔を含み得る。例えば、フィルター媒体が、平均径を有する細孔を含む合体層である上流層を含む場合、基材は、合体層の細孔の平均径より大きい平均径を有する細孔を含み得る。
【0078】
典型的に、(例えば、基材を含む)材料の表面は、いずれの表面変性又は処理前に、表面がトルエン中に浸漬される場合、20μLの水滴について50度未満、40度未満又は30度未満のロールオフ角を有する。典型的に、(例えば、基材を含む)材料の表面は、いずれの表面変性又は処理前に、表面がトルエン中に浸漬される場合、50μLの水滴について30度未満、20度未満、15度未満又は12度未満のロールオフ角を有する。
【0079】
例えば、いずれの表面変性又は処理前の表面のロールオフ角は、表面がトルエン中に浸漬される場合、20μLの水滴について0度~50度の範囲であり得る。
【0080】
いくつかの実施形態において、いずれの表面変性又は処理前の表面のロールオフ角は、表面がトルエン中に浸漬される場合、20μLの水滴について好ましくは0度~40度の範囲であり得る。
【0081】
例えば、いずれの表面変性又は処理前の表面のロールオフ角は、表面がトルエン中に浸漬される場合、50μLの水滴について0度~20度の範囲であり得る。
【0082】
適切なロールオフ角を有する表面を有する(例えば、基材を含む)材料を提供することは、当業者の権限の範囲内である。
【0083】
典型的に、いずれの表面変性又は処理前の(例えば、基材を含む)材料の表面は、表面がトルエン中に浸漬される場合、20μLの水滴について少なくとも90度、少なくとも100度又は少なくとも110度の接触角を有する。典型的に、いずれの表面変性又は処理前の(例えば、基材を含む)材料の表面は、表面がトルエン中に浸漬される場合、50μLの水滴について少なくとも90度、少なくとも100度又は少なくとも110度の接触角を有する。
【0084】
例えば、いずれの表面変性又は処理前の表面の接触角は、表面がトルエン中に浸漬される場合、20μLの水滴について90度~180度の範囲であり得る。
【0085】
いくつかの実施形態において、いずれの表面変性又は処理前の表面の接触角は、表面がトルエン中に浸漬される場合、20μLの水滴について100度~150度の範囲であり得る。
【0086】
例えば、いずれの表面変性又は処理前の表面の接触角は、表面がトルエン中に浸漬される場合、50μLの水滴について90度~180度の範囲であり得る。
【0087】
いくつかの実施形態において、いずれの表面変性又は処理前の表面の接触角は、表面がトルエン中に浸漬される場合、50μLの水滴について100度~150度の範囲であり得る。
【0088】
いくつかの実施形態において、いずれの表面変性又は処理前の表面は、0度の接触角を有し得、すなわち、液滴は、完全に表面上に広がるであろう。いくつかの実施形態において、いずれの表面変性又は処理前の表面は、0度の接触角を有し、いずれの表面変性又は処理前のロールオフ角も不確定であろう。
【0089】
適切な接触角を有する表面を有する(例えば、基材を含む)材料を提供することは、当業者の権限の範囲内である。典型的に、一般に疎水性である材料を含むことは、通常、より高い接触角をもたらすであろう。
【0090】
表面の接触角に影響を与える他の要素としては、細孔径及び空隙率が含まれ得る。例えば、特定の径の細孔は、疎水性の炭化水素流体のフィルター中での補足を促進し得る。さらに、水の高い表面張力は、それが特定の径より小さい細孔に貫入することを効果的に阻止する。
【0091】
基材を含むフィルター媒体
いくつかの実施形態において、基材を含むフィルター媒体は、好ましくは、炭化水素-水分離又はより好ましくは燃料-水分離、最も好ましくはディーゼル燃料-水分離のために使用される。いくつかの実施形態において、フィルター媒体を他の種類の流体濾過用に使用することができる。
【0092】
フィルター媒体は、1層、2層又は複数の層を含み得る。いくつかの実施形態において、フィルター媒体の層の1つ以上の層が基材によって支持され得るか、又は基材を含み得るか、又は基材であり得る。
【0093】
いくつかの実施形態において且つ例えば
図1A~Dに示されるように、フィルター媒体は、炭化水素液体流から粒子を除去するための層20及び/又は炭化水素液体流からの水を合体するための層(合体層としても記載される)30を含み得る。いくつかの実施形態において、化水素液体流から粒子を除去するための層及び/又は合体層は、
図1A及び
図1Bの説明的な実施形態に示されるように、基材10によって支持され得る。いくつかの実施形態において、例えば、フィルター媒体が、フィルター媒体の使用中に「上流」から「下流」に通過する流れを受け入れるように設計される場合を含めて、炭化水素液体流から粒子を除去するための層及び/又は合体層が基材の上流に位置し得る。いくつかの実施形態において、炭化水素液体流から粒子を除去する層及び基材は、
図1Cの一実施形態に示されるように、同一の層40である。いくつかの実施形態において、合体層及び基材は、
図1Dの一実施形態に示されるように、同一の層50である。基材及び炭化水素液体流から粒子を除去する層が同一の層である場合又は基材及び炭化水素液体流からの水を合体するための層が同一の層である場合、フィルター媒体製造は、フィルター媒体が、減少した数の全体層を含み得るため、より効率的であり得る。
【0094】
いくつかの実施形態において、基材の表面は、好ましくは、基材の下流側面を形成する。いくつかの実施形態において、基材の表面は、下流側面、又はフィルター媒体の層、又はフィルター媒体の下流側面を形成することができる。
【0095】
いくつかの実施形態において、例えば、基材の表面が下流側面、又はフィルター媒体の層、又はフィルター媒体の下流側面を形成する場合を含めて、基材は、好ましくは、水滴形成及び/又は水滴ロールオフが可能になるように十分な空間によって別の層から分離され得る。いくつかの実施形態において、基材は、少なくとも10μm、少なくとも20μm、少なくとも30μm、少なくとも40μm、少なくとも50μm、少なくとも100μm、少なくとも200μm、少なくとも500μm又は少なくとも1mmだけ別の層から分離され得る。いくつかの実施形態において、基材は、最大で40μm、最大で50μm、最大で100μm、最大で200μm、最大で500μm、最大で1mm、最大で2mm、最大で3mm、最大で4mm又は最大で5mmだけ別の層から分離され得る。
【0096】
いくつかの実施形態において、
図1Aの一実施形態に示されるように、微粒汚染物質を除去するように構成された層20は、合体層30の上流に位置し、合体層は、基材10の上流に位置する。いくつかの実施形態において、合体層は、基材の下流に位置する。いくつかの実施形態において、フィルター媒体は、少なくとも2つの合体層を含み得、合体層の1つは、基材の下流に位置する。
【0097】
いくつかの実施形態において、基材は、例えば、参照によって媒体構造のその記載に関して本明細書に組み込まれる08/10/2017出願の「Fluid Filtration Apparatuses,Systems,and Methods」という名称の同時係属の米国特許出願第62/543,456号明細書に記載される構造を含むフローバイ構造に含まれ得る。
【0098】
いくつかの実施形態において、フィルター媒体は、フィルター素子に含まれ得る。フィルター媒体は、いずれかの適切な構造を有することができる。いくつかの実施形態において、フィルター素子は、スクリーンを含むことができる。いくつかの実施形態において、スクリーンは、基材の下流に位置し得る。
【0099】
フィルター媒体は、いずれかの適切な構造を有し得る。例えば、フィルター媒体は、管状構造を有することができる。いくつかの実施形態において、フィルター媒体は、プリーツを含むことができる。
【0100】
製造方法
本開示は、材料の製造方法をさらに記載する。いくつかの実施形態において、材料は、基材を含むフィルター媒体を含み得る。材料、フィルター媒体、基材及び/又はその表面は、所望のロールオフ角及び/又は所望の接触角を達成するためのいずれかの適切な方法によって処理され得る。いくつかの実施形態において、材料、フィルター媒体、基材及び/又はその表面を処理することは、材料、フィルター媒体、基材及び/又はその表面の一部のみを処理することを含む。
【0101】
いくつかの実施形態において、所望のロールオフ角及び所望の接触角を達成するための処理は、基材の構造を変化させない。例えば、いくつかの実施形態において、処理は、基材の細孔の平均径及び基材の通気性の少なくとも1つを変化させない。いくつかの実施形態において、処理は、500倍拡大において観察する場合、媒体の外観を変えない。
【0102】
硬化
いくつかの実施形態において、基材は、樹脂(例えば、変性樹脂)を含む。樹脂は、周知であり、且つ典型的にフィルター基材の内部結合を改善するために使用される。
【0103】
例えば、UV反応性樹脂又は非UV反応性樹脂を含むいずれの適切な樹脂も使用され得る。樹脂は、例えば、部分的硬化樹脂(例えば、部分的硬化フェノール樹脂)を含み得、且つ樹脂の硬化は、基材の剛性を増加させるため、且つ/又は使用中の基材の崩壊を防ぐために実行され得る。硬化は、所望のロールオフ角及び所望の接触角を達成するための処理を実行する前又は所望のロールオフ角及び所望の接触角を達成するための処理を実行した後に実行され得る。例えば、基材が、樹脂とは別の層に存在する親水基含有ポリマーを含む場合、樹脂の硬化は、親水基含有ポリマーを含む層の形成前又は親水基含有ポリマーを含む層の形成後に実行され得る。いくつかの実施形態において、樹脂は、好ましくは、基材中に含浸される。
【0104】
樹脂は、重合性モノマー、重合性オリゴマー、重合性ポリマー又はその組合せ(例えば、そのブレンド、混合物又はコポリマー)を含むことができる。本明細書で使用される場合、硬化とは、樹脂の固化を意味し、樹脂成分の架橋及び/又は重合を含むことができる。いくつかの実施形態において、樹脂は、ポリマーを含み、硬化中、ポリマーの分子量は、ポリマーの架橋のため増加する。
【0105】
硬化は、例えば、基材の加熱を含むいずれかの適切な手段によって実行され得る。いくつかの実施形態において、硬化は、好ましくは、(例えば、フェノール樹脂を含む)樹脂を硬化するために十分な温度及び時間で基材を加熱することによって実行される。いくつかの実施形態において、基材は、少なくとも50℃、少なくとも75℃、少なくとも100℃又は少なくとも125℃の温度で加熱され得る。いくつかの実施形態において、基材は、最大で125℃、最大で150℃、最大で175℃又は最大で200℃の温度で加熱され得る。いくつかの実施形態において、基材は、50℃~200℃の範囲を有する温度まで加熱され得る。いくつかの実施形態において、基材は、少なくとも1分、少なくとも2分、少なくとも5分、少なくとも7分、少なくとも10分又は少なくとも15分間加熱され得る。いくつかの実施形態において、基材は、最大で8分、最大で10分、最大で12分、最大で15分、最大で20分又は最大で25分間加熱され得る。いくつかの実施形態において、基材を10分間、150℃で加熱することが好ましくなり得る。
【0106】
ロールオフ角を改善するか又は増加させるための基材の処理方法
いくつかの実施形態において、本開示は、表面のロールオフ角を改善するか又は増加させるための基材の処理方法に関する。理論によって拘束されることを望まないが、開示された種々の方法は、水滴に対する表面の全体的な疎水性を維持しながら、表面の微細構造をより親水性にさせるように基材の表面特徴を変性することによってロールオフ角を改善するか又は増加させると考えられる。
【0107】
種々の異なる方法には、以下に開示されたものが含まれる。
【0108】
UV
いくつかの実施形態において、基材は、UV処理表面、すなわちUV放射によって処理された表面を含む。そのような実施形態において、基材は、好ましくは、芳香族及び/又は不飽和成分を含む。
【0109】
例えば、基材は、芳香族及び/又は不飽和成分を有する繊維性材料を含み得る。いくつかの実施形態において、基材は、UV反応性樹脂、すなわち芳香族及び/又は不飽和成分を有する樹脂を含み得る。そのようなUV反応性樹脂は、芳香族及び/若しくは不飽和成分を有する繊維性材料に加えて存在し得るか、又は芳香族及び/若しくは不飽和成分を有さない繊維性材料と組み合わせて使用され得る。
【0110】
いくつかの実施形態において、基材は、好ましくは、例えばフェノール樹脂を含む芳香族樹脂(すなわち芳香族基を含有する樹脂)を含む。
【0111】
いくつかの実施形態において、UV放射は、少なくとも0.25センチ(cm)、少なくとも0.5cm、少なくとも0.75cm、少なくとも1cm、少なくとも1.25cm、少なくとも2cm又は少なくとも5cmの供給源からの距離において基材に適用される。いくつかの実施形態において、UV放射は、最大で0.5cm、最大で1cm、最大で2cm、最大で3cm、最大で5cm又は最大で10cmの供給源からの距離において基材に適用される。
【0112】
いくつかの実施形態において、基材は、少なくとも250マイクロワットパー平方センチメートル(μW/cm2)、少なくとも300μW/cm2、少なくとも500μW/cm2、少なくとも1ミリワットパー平方センチメートル(mW/cm2)、少なくとも5mW/cm2、少なくとも10mW/cm2、少なくとも15mW/cm2、少なくとも20mW/cm2、少なくとも21mW/cm2又は少なくとも25mW/cm2のUV放射に曝露される。いくつかの実施形態において、基材は、最大で20mW/cm2、最大で21mW/cm2、最大で22mW/cm2、最大で25mW/cm2、最大で30mW/cm2、最大で40mW/cm2、最大で50mW/cm2、最大で60mW/cm2、最大で70mW/cm2、最大で80mW/cm2、最大で90mW/cm2、最大で100mW/cm2、最大で150mW/cm2又は最大で200mW/cm2のUV放射に曝露される。
【0113】
いくつかの実施形態において、例えば、基材は、300μW/cm2~100mW/cm2の範囲のUV放射に曝露される。
【0114】
いくつかの実施形態において、例えば、基材は、300μW/cm2~200mW/cm2の範囲のUV放射に曝露される。
【0115】
いくつかの実施形態において、基材は、少なくとも1秒、少なくとも2秒、少なくとも3秒、少なくとも5秒、少なくとも10秒、少なくとも30秒、少なくとも1分、少なくとも2分、少なくとも3分、少なくとも4分、少なくとも5分、少なくとも7分、少なくとも9分、少なくとも10分、少なくとも11分、少なくとも13分、少なくとも15分、少なくとも17分又は少なくとも20分間UV放射に曝露(すなわち処理)される。いくつかの実施形態において、基材は、最大で5秒、最大で10秒、最大で30秒、最大で1分、最大で2分、最大で4分、最大で5分、最大で6分、最大で8分、最大で10分、最大で12分、最大で14分、最大で15分、最大で16分、最大で18分、最大で20分、最大で22分、最大で24分、最大で25分、最大で26分、最大で28分又は最大で30分間UV放射に曝露される。
【0116】
いくつかの実施形態において、UV放射は、2秒~20分の範囲の時間にわたって適用される。
【0117】
いくつかの実施形態において、異なる波長のUV放射が連続的に適用され得る。いくつかの実施形態において、異なる波長のUV放射を同時に適用することが望ましいことがあり得る。
【0118】
理論によって拘束されることを望まないが、UV放射は、芳香族及び/又は不飽和成分を反応させ、化学的に変性させると考えられる。この反応は、接触角特性を十分に維持しながら、表面のロールオフ角を増加させる。
【0119】
以下に開示されるものなどの追加の試薬は、基材中及び/又は上に存在する芳香族及び/又は不飽和成分の化学反応を促進し得ることが見出された。これらの追加の試薬は、UVによる基材の処理中、個々に、連続的に且つ/又は同時に使用され得る。
【0120】
UV+酸素
いくつかの実施形態において、基材は、好ましくは、UV-酸素処理表面、すなわち酸素の存在下でUV放射によって処理された表面を含む。酸素の存在下での処理は、例えば、酸素を含む大気空気中の処理、酸素含有環境中の処理、酸素豊富環境中の処理又は基材の中若しくは上に酸素を含む基材の処理を含むことができる。
【0121】
いくつかの実施形態において、基材は、好ましくは、オゾン及び酸素ラジカルを発生させるために十分な条件下及びUV放射の波長によって処理される。いくつかの実施形態において、UV放射供給源は、好ましくは、低圧水銀ランプである。UV放射は、距離、強度及び時間を含むUV放射による処理に関する上記パラメーターのいずれかの組合せを使用して適用され得、且つ複数の波長が連続又は同時適用を使用して適用され得る。
【0122】
いくつかの実施形態において、UV放射は、O2から2つの酸素ラジカル(O・)を形成し得る波長を含む。酸素ラジカルは、O2と反応して、オゾン(O3)を形成することができる。いくつかの実施形態において、UV放射は、少なくとも165ナノメートル(nm)、少なくとも170nm、少なくとも175nm、少なくとも180nm又は少なくとも185nmの波長を含む。いくつかの実施形態において、UV放射は、最大で190nm、最大で195nm、最大で200nm、最大で205nm、最大で210nm、最大で215nm、最大で220nm、最大で230nm又は最大で240nmの波長を含む。いくつかの実施形態において、UV放射は、180nm~210nmの範囲の波長を含む。いくつかの実施形態において、UV放射は、185nmの波長を含む。
【0123】
いくつかの実施形態において、UV放射は、オゾン(O3)を分離して、O2及び酸素ラジカル(O・)を形成することができる波長を含む。いくつかの実施形態において、UV放射は、少なくとも200nm、少なくとも205nm、少なくとも210nm、少なくとも215nm、少なくとも220nm、少なくとも225nm、少なくとも230nm、少なくとも235nm、少なくとも240nm、少なくとも245nm又は少なくとも250nmの波長を含む。いくつかの実施形態において、UV放射は、最大で260nm、最大で265nm、最大で270nm、最大で275nm、最大で280nm、最大で285nm、最大で290nm、最大で295nm、最大で300nm、最大で310nm又は最大で320nmの波長を含む。いくつかの実施形態において、UV放射は、210nm~280nmの範囲の波長を含む。いくつかの実施形態において、UV放射は、254nmの波長を含む。
【0124】
UV+オゾン
いくつかの実施形態において、基材は、UVオゾン処理表面、すなわちオゾン(O3)の存在下でUV放射によって処理された表面を含む。UV放射は、距離、強度及び時間を含むUV放射による処理に関する上記パラメーターのいずれかの組合せを使用して適用され得、且つ複数の波長が連続又は同時適用を使用して適用され得る。
【0125】
オゾンの存在下での処理は、例えば、オゾン含有環境での処理又は環境内でのオゾン発生間の処理(例えば、コロナ放電による)を含むことができる。いくつかの実施形態において、オゾン含有環境は、O2を含む。他の実施形態において、オゾン含有環境は、10体積パーセント(体積%)未満のO2、5体積%未満のO2、2体積%未満のO2又は1体積%未満のO2を含む。いくつかの実施形態において、オゾン含有環境は、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性気体又はその混合物を含む。
【0126】
いくつかの実施形態において、オゾン含有環境は、少なくとも0.005体積%のO3、少なくとも0.01体積%のO3、少なくとも0.05体積%のO3、少なくとも0.1体積%のO3、少なくとも0.5体積%のO3、少なくとも1体積%のO3、少なくとも2体積%のO3、少なくとも5体積%のO3、少なくとも10体積%のO3又は少なくとも15体積%のO3を含む。いくつかの実施形態において、オゾン含有環境は、基材の表面においてより高いオゾン濃度を含む。このような濃度は、例えば、基材表面においてオゾンを導入することによって(例えば、媒体の後方側面からオゾンが拡散することを可能にすることによって)達成され得る。いくつかの実施形態において、基材の表面における又はその付近におけるオゾン濃度は、好ましくは、UV放射の存在下におけるオゾンの存在から酸素ラジカルを発生させるために十分である。
【0127】
いくつかの実施形態において、UV放射は、オゾン(O3)を分離して、O2及び酸素ラジカル(O・)を形成することができる波長を含む。いくつかの実施形態において、例えばオゾン含有環境が10体積%未満のO2、5体積%未満のO2、2体積%未満のO2又は1体積%以下O2を含む場合を含めて、UV放射は、少なくとも165nm、少なくとも170nm、少なくとも175nm、少なくとも180nm又は少なくとも185nm及び最大で260nm、最大で265nm、最大で270nm、最大で275nm、最大で280nm、最大で285nm又は最大で290nmの波長を含むことができる。いくつかの実施形態において、UV放射は、180nm~280nmの範囲の波長を含む。
【0128】
いくつかの実施形態において、オゾン含有環境が、180nm~210nmの範囲のUV放射を吸収するであろうO2を含む場合、UV放射は、好ましくは、少なくとも210nm、少なくとも215nm、少なくとも220nm、少なくとも225nm、少なくとも230nm、少なくとも235nm、少なくとも240nm、少なくとも245nm又は少なくとも250nmの波長を含む。いくつかの実施形態において、UV放射は、最大で260nm、最大で265nm、最大で270nm、最大で275nm、最大で280nm、最大で285nm、最大で290nm、最大で295nm、最大で300nm、最大で310nm又は最大で320nmの波長を含む。いくつかの実施形態において、UV放射は、210nm~280nmの範囲の波長を含む。いくつかの実施形態において、UV放射は、254nmの波長を含む。
【0129】
UV+H2O2
いくつかの実施形態において、基材は、UV-H2O2処理表面、すなわちUV放射及びH2O2によって処理された表面を含む。いくつかの実施形態において、基材の表面及び/又は基材全体は、H2O2を含む溶液と接触して(例えば、それによってコーティングされ、且つ/又はその中に含浸されて)配置され得る。いくつかの実施形態において、溶液は、少なくとも20重量パーセント(重量%)のH2O2、少なくとも25重量%のH2O2、少なくとも30重量%のH2O2、少なくとも40重量%のH2O2、少なくとも50重量%のH2O2、少なくとも60重量%のH2O2、少なくとも70重量%のH2O2、少なくとも80重量%のH2O2又は少なくとも90重量%のH2O2を含むことができる。いくつかの実施形態において、溶液は、最大で30重量%のH2O2、最大で40重量%のH2O2、最大で50重量%のH2O2、最大で60重量%のH2O2、最大で70重量%のH2O2、最大で80重量%のH2O2、最大で90重量%のH2O2又は最大で100重量%のH2O2を有することができる。
【0130】
いくつかの実施形態において、基材は、少なくとも10秒、少なくとも30秒、少なくとも45秒、少なくとも1分、少なくとも2分、少なくとも4分、少なくとも6分又は少なくとも8分間、H2O2を含む溶液と接触して配置され得る。いくつかの実施形態において、基材は、最大で30秒、最大で45秒、最大で1分、最大で2分、最大で4分、最大で6分、最大で8分、最大で10分又は最大で30分間、H2O2を含む溶液と接触し得る。
【0131】
いくつかの実施形態において、基材は、H2O2を含む溶液と接触している間にUV放射によって処理され得る。いくつかの実施形態において、基材は、H2O2を含む溶液と接触した後、UV放射によって処理され得る。UV放射は、距離、強度及び時間を含むUV放射による処理に関する上記パラメーターのいずれかの組合せを使用して適用され得、且つ複数の波長が連続又は同時適用を使用して適用され得る。
【0132】
基材は、ヒドロキシルラジカル(・OH)を発生させるために十分なUV放射によって処理され得る。基材は、表面をH2O2と接触させながら、表面がH2O2と接触した後又はH2O2との接触中及び接触後の両方にUV放射によって処理され得る。
【0133】
いくつかの実施形態において、UV放射は、O2から2つの酸素ラジカル(O・)を形成し得る波長を含む。酸素ラジカルは、O2と反応して、オゾン(O3)を形成することができる。いくつかの実施形態において、UV放射は、少なくとも165nm、少なくとも170nm、少なくとも175nm、少なくとも180nm又は少なくとも185nmの波長を含む。いくつかの実施形態において、UV放射は、最大で190nm、最大で195nm、最大で200nm、最大で205nm、最大で210nm、最大で215nm、最大で220nm、最大で230nm又は最大で240nmの波長を含む。いくつかの実施形態において、UV放射は、180nm~210nmの範囲の波長を含む。いくつかの実施形態において、UV放射は、185nmの波長を含む。
【0134】
いくつかの実施形態において、UV放射は、オゾン(O3)を分離して、O2及び酸素ラジカル(O・)を形成することができる波長を含む。いくつかの実施形態において、UV放射は、少なくとも200nm、少なくとも205nm、少なくとも210nm、少なくとも215nm、少なくとも220nm、少なくとも225nm、少なくとも230nm、少なくとも235nm、少なくとも240nm、少なくとも245nm又は少なくとも250nmの波長を含む。いくつかの実施形態において、UV放射は、最大で260nm、最大で265nm、最大で270nm、最大で275nm、最大で280nm、最大で285nm、最大で290nm、最大で295nm、最大で300nm、最大で310nm又は最大で320nmの波長を含む。いくつかの実施形態において、UV放射は、210nm~280nmの範囲の波長を含む。いくつかの実施形態において、UV放射は、254nmの波長を含む。
【0135】
いくつかの実施形態において、UV放射は、少なくとも200nm、少なくとも250nm、少なくとも300nm、少なくとも330nm、少なくとも340nm、少なくとも350nm、少なくとも355nm、少なくとも360nm又は少なくとも370nmの波長を含む。いくつかの実施形態において、UV放射は、最大で350nm、最大で360nm、最大で370nm、最大で375nm、最大で380nm、最大で385nm、最大で390nm、最大で395nm、最大で400nm、最大で410nm又は最大で420nmの波長を含む。いくつかの実施形態において、UV放射は、350nm~370nmの範囲の波長を含む。いくつかの実施形態において、UV放射は、360nmの波長を含む。
【0136】
いくつかの実施形態において、H2O2を含む溶液と接触して配置された後及びUVによって処理される前に基材を乾燥させ得る。いくつかの実施形態において、H2O2を含む溶液と接触して配置された後及びUVによって処理された後に基材を乾燥させ得る。いくつかの実施形態において、基材をオーブン乾燥させ得る。
【0137】
UV処理は(UV単独又は酸素、オゾン及び/若しくは過酸化水素と組み合わせたUVのいずれも)、基材が芳香族及び/又は不飽和成分を含む場合、例えば、基材が、例えばフェノール樹脂を含む、例えば芳香族樹脂(例えば、芳香族基を含有する樹脂)を含むUV反応性樹脂を含む場合を含めてより効果的である。
【0138】
親水基含有ポリマーを含む基材
選択肢として又はUV処理に加えて、基材の表面特性は、性基材中及び/又は上の親水基含有ポリマーの包含によって変更され得る。いくつかの実施形態において、UV処理及び親水基含有ポリマーの包含の両方が使用される場合、基材中に親水基含有ポリマーを含むこと又はUV処理前に親水基含有ポリマーを含むように基材を変性させることが好ましくなり得る。
【0139】
いくつかの実施形態において、基材は、親水基含有ポリマーを含む。親水基含有ポリマーの親水基は、親水性のペンダント基若しくはポリマー主鎖中で繰り返される親水基又は両方を含むことができる。本明細書で使用される場合、「ペンダント基」は、ポリマー主鎖に共有結合しているが、ポリマー主鎖の一部を形成しない。いくつかの実施形態において、親水基は、ヒドロキシ、アミド、アルコール、アクリル酸、ピロリドン、メチルエーテル、エチレングリコール、プロピレングリコール、ドーパミン及びエチレンイミンの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態において、親水性ペンダント基は、ヒドロキシ、アミド、アルコール、アクリル酸、ピロリドン、メチルエーテル及びドーパミンの少なくとも1つを含む。いくつかの実施形態において、ポリマー主鎖中で繰り返される親水基は、エチレングリコール、プロピレングリコール、ドーパミン及びエチレンイミンの少なくとも1つを含む。
【0140】
いくつかの実施形態において、親水基含有ポリマーを含む基材は、その上に配置された親水基含有ポリマーを有する表面を含み得る。いくつかの実施形態において、基材は、好ましくは、親水基含有ポリマーを含む層を含む。いくつかの実施形態において、その上に配置された親水基含有ポリマーを有する表面を形成するか、又はいくつかの実施形態において、親水基含有ポリマー含有層は、好ましくは、本明細書に記載される(ロールオフ角及び接触角を含む)所望の特性を有する基材の表面を形成する。
【0141】
層は、いずれかの適切な方法を使用して形成され得る。例えば、層は、例えば、予備重合させたポリマーを含むポリマーを適用することによって形成され得る。さらに又は代わりに、層は、モノマー、オリゴマー、ポリマー又はその組合せ(例えば、そのブレンド、混合物又はコポリマー)を適用し、次いでモノマー、オリゴマー、ポリマー又はその組合せを重合させて、ポリマー、コポリマー又はその組合せを形成することによって形成され得る。いくつかの実施形態において、ポリマーは、酸化又は還元重合を使用して溶液から析出させ得る。
【0142】
いくつかの実施形態において、層は、例えば、プラズマ析出コーティング、ロール-ツー-ロールコーティング、ディップコーティング及び/又はスプレーコーティングを含む、いずれかの適切なコーティング法を使用して形成され得る。スプレーコーティングとしては、例えば、空気圧スプレー、静電スプレーなどが含まれ得る。いくつかの実施形態において、表面は、ラミネートされ得る。いくつかの実施形態において、層は、基材上にポリマーを紡糸することによって形成され得る。基材上へのポリマーの紡糸としては、例えば、基材上へのポリマーの電界紡糸又は湿式紡糸、乾式紡糸、溶融紡糸、ゲル紡糸、ジェット紡糸、マグネトスピニングなどによって基材上にポリマーを析出させることが含まれ得る。基材上へのポリマーの紡糸により、いくつかの実施形態において、ポリマーナノ繊維が形成され得る。さらに又は代わりに、基材上へのポリマーの紡糸は、基材ですでに存在する繊維をコーティングし得る。いくつかの実施形態において、ポリマーが基材上にポリマー溶液を乾式紡糸することによって析出される場合を含めて、空気、電界、遠心力、磁界などを含む1つ以上の推進力が個々に又は組合せで使用され得る。
【0143】
いくつかの実施形態において、親水基含有ポリマーは、極性官能基を含む。
【0144】
いくつかの実施形態において、親水基含有ポリマーは、親水性ポリマーである。
【0145】
いくつかの実施形態において、親水基含有ポリマーは、水中に溶解することが不可能である(例えば、それは親水性ポリマーではない)が、むしろ水中に溶解され得るペンダント基(例えば、親水性ペンダント基)又は水中に溶解され得るポリマー主鎖内で繰り返される基(例えば、ポリマー主鎖内で繰り返される親水基)の少なくとも1つを含む。
【0146】
いくつかの実施形態において、親水基含有ポリマーは、ヒドロキシル化メタクリレートポリマーを含む。いくつかの実施形態において、親水基含有ポリマーは、フッ素基を含まない。
【0147】
いくつかの実施形態において、親水基含有ポリマーは、フルオロポリマーを含まない。本明細書で使用される場合、フルオロポリマーは、少なくとも5%のフッ素、少なくとも10%のフッ素、少なくとも15%のフッ素又は少なくとも20%のフッ素を含むポリマーを意味する。
【0148】
いくつかの実施形態において、親水性器含有ポリマーとしては、例えば、ポリ(2-ヒドロキシプロピルメタクリレート)、ポリ(3-ヒドロキシプロピルメタクリレート)若しくはその混合物を含むポリ(ヒドロキシプロピルメタクリレート)(PHPM);ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)(PHEM);ポリ(2-エチル-2-オキサゾリン)(P2E2O);ポリエチレンイミン(PEI);四級化ポリエチレンイミン;又はポリ(ドーパミン);或いはその組合せ(例えば、そのブレンド、混合物又はコポリマー)を含むことができる。
【0149】
いくつかの実施形態において、親水基含有ポリマーは、層形成中、黄梅中に分散及び/又は溶解され得る。いくつかの実施形態において、溶媒は、好ましくは、親水基含有ポリマーを溶解するが、基材又は基材のいずれかの成分を溶解しない。いくつかの実施形態において、溶媒は、好ましくは、無毒性である。いくつかの実施形態において、親水基含有ポリマーは、好ましくは、炭化水素流体中に不溶解性である。いくつかの実施形態において、親水基含有ポリマーは、好ましくは、トルエン中に不溶解性である。
【0150】
いくつかの実施形態において、溶媒は、高い誘電率を有する溶媒である。溶媒は、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、(同じくイソプロプルアルコール(IPA)とも呼ばれる)イソプロパノール、ブタノール(その異性体構造のそれぞれを含む)、ブタノン(その異性体構造のそれぞれを含む)、アセトン、エチレングリコール、ジメチルホルムアミド、酢酸エチル、水などを含むことができる。
【0151】
溶媒中の親水基含有ポリマーの濃度は、ポリマーの分子量に基づいて選択することができる。いくつかの実施形態において、親水基含有ポリマーは、少なくとも0.25パーセント(%)重量/体積(w/v)、少なくとも0.5%(w/v)、少なくとも0.75%(w/v)、少なくとも1.0%(w/v)、少なくとも1.25%(w/v)、少なくとも1.5%(w/v)、少なくとも1.75%(w/v)、少なくとも2.0%(w/v)、少なくとも3%(w/v)、少なくとも5%(w/v)、少なくとも10%(w/v)、少なくとも20%(w/v)、少なくとも30%(w/v)、少なくとも40%(w/v)又は少なくとも50%(w/v)の濃度で溶媒中に存在し得る。いくつかの実施形態において、親水基含有ポリマーは、最大で0.5%(w/v)、最大で0.75%(w/v)、最大で1.0%(w/v)、最大で1.25%(w/v)、最大で1.5%(w/v)、最大で1.75%(w/v)、最大で2.0%(w/v)、最大で3%(w/v)、最大で4%(w/v)、最大で5%(w/v)、最大で10%(w/v)、最大で15%(w/v)、最大で20%(w/v)、最大で30%(w/v)、最大で40%(w/v)、最大で50%(w/v)又は最大で60%(w/v)の濃度で溶媒中に存在し得る。
【0152】
いくつかの実施形態において、例えばディップコーティングによる親水基含有ポリマーの析出を含めて、ポリマーは、0.5%(w/v)~4%(w/v)の範囲の濃度で溶媒中に存在し得る。
【0153】
いくつかの実施形態において、例えばディップコーティングによる親水基含有ポリマーの析出を含めて、ポリマーは、0.5%(w/v)~1%(w/v)の範囲の濃度で溶媒中に存在し得る。
【0154】
いくつかの実施形態において、例えば電界紡糸による親水基含有ポリマーの析出を含めて、ポリマーは、5%(w/v)~30%(w/v)の範囲の濃度で溶媒中に存在し得る。
【0155】
いくつかの実施形態において、層は、ディップコーティングを使用して形成され得る。ディップコーティングは、例えば、Chemat DipMaster 50 ディップコーターを使用することによって達成され得る。いくつかの実施形態において、層は、1、2、3回又はそれを超えて基材をディップコーティングすることによって形成され得る。いくつかの実施形態において、基材は、ディップコーティングされ、180度回転され、再びディップコーティングされ得る。いくつかの実施形態において、基材は、親水基含有ポリマーを含む分散体中に含浸され、毎分50ミリメートル(mm/分)の速度で引き上げられ得る。いくつかの実施形態において、分散体は、好ましくは、溶液である。
【0156】
いくつかの実施形態において、層は、電界紡糸を使用して形成され得る。例えば、米国特許第20160047062A1号明細書に記載されるように電界紡糸が達成され得る。
【0157】
いくつかの実施形態において、例えば親水基含有ポリマーがポリ(ドーパミン)を含む場合を含めて、親水基含有ポリマーは、酸化又は還元重合を使用して溶液から析出され得る。例えば、ポリ(ドーパミン)を含む層は、ドーパミンの酸化重合から調製され得る。
【0158】
いくつかの実施形態において、親水基含有ポリマーを含む層は、少なくとも0.5オングストローム(Å)、少なくとも1Å、少なくとも5Å、少なくとも8Å、少なくとも10Å、少なくとも12Å、少なくとも14Å、少なくとも16Å、少なくとも18Å、少なくとも20Å、少なくとも25Å、少なくとも30Å又は少なくとも50Åの厚さを有する。
【0159】
いくつかの実施形態において、溶媒は、例えば、ディップコーティング手順後を含めて、層形成後に除去され得る。溶媒は、例えば、オーブンを使用しての乾燥を含むエバポレーションによって除去され得る。
【0160】
いくつかの実施形態において、帯電コーティングは、(例えば、四級化、電気化学的酸化又は還元によって)形成され得、且つ/又はコーティングは、帯電ポリマーを含み得る。いくつかの実施形態において、親水基含有ポリマーを含む層は、層の形成後に変化され得る。例えば、親水基含有ポリマーは、四級化され得る。いくつかの実施形態において、親水基含有ポリマーは、ポリマー層を酸によって処理することによって四級化することができる。いくつかの実施形態において、親水基含有ポリマーは、酸を含む溶液中に親水基含有ポリマー層を含む基材を浸漬することによって四級化することができる。いくつかの実施形態において、酸は、HClであり得る。
【0161】
いくつかの実施形態において、親水基含有ポリマー及び/又はコーティングは、無水マレイン酸によって処理され得る。
【0162】
いくつかの実施形態において、基材は、その中に配置された親水基含有ポリマーを含み得る。基材が変性樹脂を含む場合、ポリマーは、変性樹脂とは化学的に別である。いくつかの実施形態において、親水基含有ポリマーは、変性樹脂と同時に適用され得る。例えば、親水基含有ポリマーは、変性樹脂が基材に適用される前に、-変性樹脂と混合され得る。
【0163】
いくつかの実施形態において、親水基含有ポリマーは、架橋され得る。いくつかの実施形態において、例えば親水基含有ポリマーが基材上に層を形成する場合、ポリマーは、コーティング又は電界紡糸のために使用されるポリマー分散体中に架橋剤を含むことによって架橋され得る。いくつかの実施形態において、例えばポリマーが基材中に分散される場合を含めて、親水基含有ポリマーは、親水基含有ポリマーを導入するために使用される分散体中に架橋剤を含むことによって架橋され得る。いくつかの実施形態において、分散体は、好ましくは、溶液である。
【0164】
親水基含有ポリマーと一緒に使用するために適切ないずれかの架橋剤が選択され得る。例えば、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン(DAMO-T)は、PHEMのための架橋剤として使用され得る。例えば、(3-グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシラン又はポリ(エチレングリコール)ジアクリレート(PEGDA)は、ポリエチレンイミン(PEI)のための架橋剤として使用され得る。一級又は二級アミン基を含む親水基含有ポリマーは、例えば、カルボン酸(アジピン酸)、アルデヒド(例えば、グルテルアルデヒド)、ケトン、メラミン-ホルムアルデヒド樹脂、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂などを含む化合物によって架橋可能である。別の例において、一級又は二級アルコール気を含有する親水基含有ポリマーは、例えば、カルボン酸(アジピン酸)、イソシアネート(トルエンジイソシアナート)、有機シラン(テトラメトキシシラン)、チタン(IV)錯体(テトラブチルチタネート)、フェノール-ホルムアルデヒド樹脂、メラミン-ホルムアルデヒド樹脂などを含む化合物によって架橋可能である。
【0165】
いくつかの実施形態において、親水基含有ポリマーの架橋は、親水基含有ポリマー及び架橋剤を熱に曝露することによって促進され得る。熱は、例えば、オーブン中で基材を加熱すること、赤外線ランプに基材を曝露すること、基材を蒸気に曝露すること又は加熱されたローラーで基材を処理することを含むいずれかの適切な方法によって適用され得る。親水基含有ポリマー、架橋剤及び基材との使用のために適切な時間及び温度のいずれの組合せも使用され得る。いくつかの実施形態において、親水基含有ポリマー及び架橋剤は、少なくとも80℃、少なくとも90℃、少なくとも100℃、少なくとも110℃、少なくとも120℃、少なくとも130℃、少なくとも140℃、少なくとも150℃、少なくとも160℃、少なくとも170℃、少なくとも180℃又は少なくとも190℃の温度に曝露され得る。いくつかの実施形態において、親水基含有ポリマー及び架橋剤は、最大で140℃、最大で150℃、最大で160℃、最大で170℃、最大で180℃、最大で190℃、最大で200℃、最大で210℃、最大で220℃、最大で230℃、最大で240℃、最大で260℃、最大で280℃又は最大で300℃の温度に曝露され得る。いくつかの実施形態において、親水基含有ポリマー及び架橋剤は、少なくとも15秒、少なくとも30秒、少なくとも60秒、少なくとも120秒、少なくとも2分、少なくとも5分、少なくとも10分又は少なくとも1時間、熱処理に曝露され得る。いくつかの実施形態において、媒体は、最大で2分、最大で3分、最大で5分、最大で10分、最大で15分、最大で20分、最大で1時間、最大で2時間、最大で24時間又は最大で2日間、熱に曝露され得る。例えば、いくつかの実施形態において、親水基含有ポリマーは、親水基含有ポリマー及び架橋剤を少なくとも100℃及び最大で150℃の温度で15秒間~15分間加熱することによって架橋され得る。別の例において、いくつかの実施形態において、親水基含有ポリマーは、親水基含有ポリマー及び架橋剤を少なくとも80℃及び最大で200℃の温度で15秒間~15分間加熱することによって架橋され得る。
【0166】
いくつかの実施形態において、親水基含有ポリマーは、焼鈍しされ得る。本明細書で使用される場合、「焼鈍し」には、親水基含有ポリマーを、親水基含有ポリマー中の官能基を再配向する目的及び/又は親水基含有ポリマーの結晶化度を増加させる目的の環境に曝露することが含まれる。親水基含有ポリマーの架橋が親水基含有ポリマー及び架橋剤を熱に曝露することによって促進される場合、親水基含有ポリマーは、架橋前、架橋中又は架橋後に焼鈍しされ得る。いくつかの実施形態において、親水基含有の架橋が親水基含有ポリマー及び架橋剤を熱に曝露することによって促進される場合、親水基含有ポリマーは、好ましくは、架橋中又は架橋後に焼鈍しされ得る。いくつかの実施形態において、親水基含有ポリマーは、好ましくは、架橋後に焼鈍しされ得る。
【0167】
いくつかの実施形態において、焼鈍しは、極性溶媒の存在下において、親水性含有ポリマーを含む基材を加熱することを含む。例えば、焼鈍しは、極性溶媒の存在下において、親水基含有ポリマーを含有し、且つ/又は親水基含有ポリマーによってコーティングされた基材を含浸させることを含み得る。さらに又は代わりに、焼鈍しは、親水基含有ポリマーを含有し、且つ/又は親水基含有ポリマーによってコーティングされた基材を蒸気の形態の極性溶媒に曝露することを含み得る。いくつかの実施形態において、例えば、親水基含有ポリマー層がポリマー溶液中に基材をディップコーティングすることによって適用される場合を含めて、ポリマー溶液は、極性溶媒を含み得、且つ加熱及びその後の基材からの極性溶媒のエバポレーションによってポリマー層が焼鈍しされ得る。
【0168】
焼鈍しに適切な極性溶媒としては、例えば、水又はアルコールが含まれ得る。アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、t-ブタノールなどが含まれ得る。他の適切な極性溶媒としては、例えば、アセトン、酢酸エチル、メチルエチルケトン(MEK)、ジメチルホルムアミド(DMF)などが含まれ得る。
【0169】
いくつかの実施形態において、焼鈍しは、親水基含有ポリマーの少なくともガラス転移温度(Tg)の温度に基材を曝露することを含む。いくつかの実施形態において、焼鈍しは、親水基含有ポリマーの少なくともTgの温度を有する溶媒に基材を曝露することを含む。
【0170】
いくつかの実施形態において、例えば、焼鈍しが、極性溶媒中で親水基含有ポリマーコーティング基材を含浸させることを含む場合を含めて、極性溶媒は、少なくとも50℃、少なくとも55℃、少なくとも60℃、少なくとも65℃、少なくとも70℃、少なくとも75℃、少なくとも80℃、少なくとも85℃、少なくとも90℃、少なくとも95℃、少なくとも100℃、少なくとも110℃、少なくとも120℃、少なくとも130℃、少なくとも140℃又は少なくとも150℃である。いくつかの実施形態において、極性溶媒は、最大で90℃、最大で95℃、最大で100℃、最大で105℃、最大で110℃、最大で115℃、最大で120℃、最大で130℃、最大で140℃、最大で150℃又は最大で200℃である。いくつかの実施形態において、媒体は、少なくとも10秒、少なくとも30秒、少なくとも60秒、少なくとも90秒、少なくとも120秒、少なくとも150秒又は少なくとも180秒間、極性溶媒中に含浸される。いくつかの実施形態において、媒体は、最大で60秒、最大で120秒、最大で150秒、最大で180秒、最大で3分又は最大で5分間、極性溶媒中に含浸される。いくつかの実施形態において、極性溶媒は、好ましくは、水であり得る。例えば、いくつかの実施形態において、焼鈍しは、90℃の水中で少なくとも10秒間及び最大で5分間、親水基含有ポリマーコーティング媒体を含浸させることを含む。
【0171】
理論によって拘束されることを望まないが、その上に配置された親水基含有ポリマーを有するか、又はその中に配置された親水基含有ポリマーを含む基材の表面は、基材表面上の中断のため、上記される(ロールオフ角及び接触角を含む)所望の特性を有し得ると考えられる。したがって、いくつかの実施形態において、基材は、繊維の混合物を含み得る。いくつかの実施形態において、基材は、非ポリマー及びポリマー繊維の両方並びに/又は2種の異なる種類のポリマー繊維を含み得る。例えば、基材は、ナイロンで不連続に包囲されたポリエステル繊維及び/又はポリエステルで不連続に包囲されたナイロン繊維を含み得る。さらに又は代わりに、基材は、全表面を形成する場合に親水性表面を形成するであろう繊維を含み得、且つ全表面を形成する場合に疎水性表面を形成するであろう繊維を含み得る。
【0172】
いくつかの実施形態において、親水基含有ポリマーコーティングを含む基材又はその上に配置された親水基含有ポリマーを含む基材を含む、親水基含有ポリマーを含む基材は、好ましくは、安定している。いくつかの実施形態において、親水基含有ポリマーを含む基材の安定性は、無水マレイン酸によって処理すること、親水基含有ポリマーを焼鈍しすること及び/又は親水基含有ポリマーを架橋することによって増加し得る。理論によって拘束されることを望まないが、いくつかの実施形態において、親水基含有ポリマーを含む基材の安定性は、例えば、架橋を含めて、親水基含有ポリマーの溶解性を減少させることによって増加すると考えられる。再び、理論によって拘束されることを望まないが、いくつかの実施形態において、基材の安定性は、例えば、焼鈍しを含めて、基材の表面上のポリマーの親水性ペンダント基(例えば、ヒドロキシル基)の接近性を増加させることによって増加すると考えられる。
【0173】
処理された基材及び使用
いくつかの実施形態において、本開示は、基材の表面をUV放射に曝露することを含む方法によって入手可能な基材を含むフィルター媒体に関する。基材は、芳香族成分及び不飽和成分の少なくとも1つを含む。
【0174】
いくつかの実施形態において、基材の表面は、好ましくは、処理前に、本明細書にさらに記載されるように少なくとも90度の接触角を有する。
【0175】
いくつかの実施形態において、UV放射に基材の表面を曝露することは、本明細書にさらに記載されるように、酸素の存在下でUV放射に表面を曝露することを含む。いくつかの実施形態において、UV放射に基材の表面を曝露することは、本明細書にさらに記載されるように、H2O2及びオゾンの少なくとも1つの存在下でUV放射に表面を曝露することを含む。いくつかの実施形態において、基材は、UV反応性樹脂、すなわち芳香族成分及び不飽和成分の少なくとも1つを含む樹脂を含む。いくつかの実施形態において、UV反応性樹脂は、フェノール樹脂を含む。
【0176】
いくつかの実施形態において、本開示は、基材の表面上で親水基含有ポリマーを配置することを含む方法によって入手可能な基材を含むフィルター媒体に関する。
【0177】
いくつかの実施形態において、基材の表面は、好ましくは、処理前に、本明細書にさらに記載されるように少なくとも90度の接触角を有する。
【0178】
いくつかの実施形態において、本開示は、芳香族成分及び不飽和成分の少なくとも1つを含む基材の表面のロールオフ角を改善するか又は増加させるためのUV放射の使用に関する。
【0179】
いくつかの実施形態において、使用は、芳香族樹脂を含む基材によって特徴付けられる。
【0180】
いくつかの実施形態において、使用は、フェノール樹脂を含む基材によって特徴付けられる。
【0181】
いくつかの実施形態において、使用は、酸素、オゾン及びH2O2の少なくとも1つの存在下でのUV放射の使用によって特徴付けられる。
【0182】
いくつかの実施形態において、本開示は、基材のロールオフ角を改善するか又は増加させるためのUV放射への芳香族成分及び不飽和成分の少なくとも1つの曝露によって入手可能な基材の使用に関する。
【0183】
いくつかの実施形態において、使用は、基材のロールオフ角を改善するか又は増加させるためのUV放射へのUV反応性樹脂の曝露によって入手可能な基材の使用に関する。
【0184】
いくつかの実施形態において、使用は、基材のロールオフ角を改善するか又は増加させるためのUV放射への芳香族樹脂の曝露によって入手可能な基材の使用に関する。
【0185】
いくつかの実施形態において、使用は、基材のロールオフ角を改善するか又は増加させるためのUV放射へのフェノール樹脂の曝露によって入手可能な基材の使用に関する。
【0186】
いくつかの実施形態において、使用は、酸素、オゾン及びH2O2の少なくとも1つの存在下でのUV放射への曝露によって特徴付けられる。
【0187】
本開示は、基材のロールオフ角を改善するか又は増加させるための親水基含有ポリマーの使用に関する。
【0188】
本開示は、基材のロールオフ角を改善するか又は増加させるための親水性ポリマーの使用にさらに関する。
【0189】
これらの使用のいくつかの実施形態において、基材は、好ましくは、本明細書にさらに記載されるように、表面がトルエン中に浸漬される場合、20μLの水滴について90度~180度の範囲の接触角を有するフィルター基材を含むフィルター基材である。
【0190】
これらの使用のいくつかの実施形態において、基材は、好ましくは、本明細書にさらに記載されるように、表面がトルエン中に浸漬される場合、50μLの水滴について90度~180度の範囲の接触角を有するフィルター基材を含むフィルター基材である。
【0191】
代表的なフィルター媒体の実施形態
実施形態1.基材を含むフィルター媒体であって、基材は、
表面がトルエン中に浸漬される場合、20μLの水滴について50度~90度の範囲のロールオフ角及び90度~180度の範囲の接触角を有する表面を含む、フィルター媒体。
【0192】
実施形態2.表面は、60度~90度の範囲、70度~90度の範囲又は80度~90度の範囲のロールオフ角を有する、実施形態1のフィルター媒体。
【0193】
実施形態3.基材を含むフィルター媒体であって、基材は、
表面がトルエン中に浸漬される場合、50μLの水滴について40度~90度の範囲のロールオフ角及び90度~180度の範囲の接触角を有する表面を含む、フィルター媒体。
【0194】
実施形態4.表面は、50度~90度の範囲、60度~90度の範囲、70度~90度の範囲又は80度~90度の範囲のロールオフ角を有する、実施形態3のフィルター媒体。
【0195】
実施形態5.表面は、UV処理表面を含む、実施形態1~4のいずれか1つのフィルター媒体。
【0196】
実施形態6.表面は、UV-酸素処理表面を含む、実施形態1~5のいずれか1つのフィルター媒体。
【0197】
実施形態7.表面は、UV-オゾン処理表面を含む、実施形態1~6のいずれか1つのフィルター媒体。
【0198】
実施形態8.表面は、UV-H2O2処理表面を含む、実施形態1~7のいずれか1つのフィルター媒体。
【0199】
実施形態9.基材は、親水基含有ポリマーを含む、実施形態1~8のいずれか1つのフィルター媒体。
【0200】
実施形態10.表面は、その上に配置された親水基含有ポリマーを含む、実施形態1~9のいずれか1つのフィルター媒体。
【0201】
実施形態11.親水基含有ポリマーは、親水性ペンダント基を含む、実施形態9又は10のいずれかのフィルター媒体。
【0202】
実施形態12.親水基含有ポリマーは、ポリ(ヒドロキシプロピルメタクリレート)(PHPM)、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)(PHEM)、ポリ(2-エチル-2-オキサゾリン)(P2E2O)、ポリエチレンイミン(PEI)、四級化ポリエチレンイミン、ポリ(ドーパミン)又はその組合せを含む、実施形態9~11のいずれか1つのフィルター媒体。
【0203】
実施形態13.親水基含有ポリマーは、親水性ポリマーを含む、実施形態9~12のいずれか1つのフィルター媒体。
【0204】
実施形態14.親水基含有ポリマーは、帯電ポリマーを含む、実施形態9~13のいずれか1つのフィルター媒体。
【0205】
実施形態15.親水基含有ポリマーは、ヒドロキシル化メタクリレートポリマーを含む、実施形態9~14のいずれか1つのフィルター媒体。
【0206】
実施形態16.親水基含有ポリマーは、フルオロポリマーを含まない、実施形態9~15のいずれか1つのフィルター媒体。
【0207】
実施形態17.基材を含むフィルター媒体であって、
基材は、表面がトルエン中に浸漬される場合、20μLの水滴について50度~90度の範囲のロールオフ角及び90度~180度の範囲の接触角を有する表面を含み、且つ
表面は、ポリ(ヒドロキシプロピルメタクリレート)(PHPM)、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)(PHEM)、ポリ(2-エチル-2-オキサゾリン)(P2E2O)、ポリエチレンイミン(PEI)、四級化ポリエチレンイミン、ポリ(ドーパミン)又はその組合せを含む、フィルター媒体。
【0208】
実施形態18.表面は、60度~90度の範囲、70度~90度の範囲又は80度~90度の範囲のロールオフ角を有する、実施形態17のフィルター媒体。
【0209】
実施形態19.基材を含むフィルター媒体であって、
基材は、表面がトルエン中に浸漬される場合、50μLの水滴について40度~90度の範囲のロールオフ角及び90度~180度の範囲の接触角を有する表面を含み、且つ
表面は、ポリ(ヒドロキシプロピルメタクリレート)(PHPM)、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)(PHEM)、ポリ(2-エチル-2-オキサゾリン)(P2E2O)、ポリエチレンイミン(PEI)、四級化ポリエチレンイミン、ポリ(ドーパミン)又はその組合せを含む、フィルター媒体。
【0210】
実施形態20.表面は、50度~90度の範囲、60度~90度の範囲、70度~90度の範囲又は80度~90度の範囲のロールオフ角を有する、実施形態19のフィルター媒体。
【0211】
実施形態21.基材は、セルロース、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、ガラス又はその組合せを含む、実施形態1~20のいずれか1つのフィルター媒体。
【0212】
実施形態22.基材は、芳香族成分及び不飽和成分の少なくとも1つを含む、実施形態1~21のいずれか1つのフィルター媒体。
【0213】
実施形態23.基材は、変性樹脂を含む、実施形態1~22のいずれか1つのフィルター媒体。
【0214】
実施形態24.基材は、UV反応性樹脂を含む、実施形態1~23のいずれか1つのフィルター媒体。
【0215】
実施形態25.基材は、フェノール樹脂を含む、実施形態1~24のいずれか1つのフィルター媒体。
【0216】
実施形態26.基材は、最大で2mmの平均径を有する細孔を含む、実施形態1~25のいずれか1つのフィルター媒体。
【0217】
実施形態27.基材は、最大で40μmの平均径を有する細孔を含む、実施形態1~26のいずれか1つのフィルター媒体。
【0218】
実施形態28.基材は、少なくとも15%の多孔性であり、且つ最大で99%の多孔性である、実施形態1~27のいずれか1つのフィルター媒体。
【0219】
実施形態29.フィルター媒体は、基材の上流に位置する合体層をさらに含む、実施形態1~28のいずれか1つのフィルター媒体。
【0220】
実施形態30.合体層は、平均径を有する細孔を含み、且つ基材は、平均径を有する細孔を含み、且つ基材の細孔の平均径は、合体層の細孔の平均径より大きい、実施形態29のフィルター媒体。
【0221】
実施形態31.基材は、平均径を有する細孔を含み、且つ平均径を有する液滴は、合体層の上流側面で形成し、且つさらに基材の細孔の平均径は、液滴の平均径より大きい、実施形態29又は30のいずれかのフィルター媒体。
【0222】
実施形態32.基材は、安定している、実施形態1~31のいずれか1つのフィルター媒体。
【0223】
代表的な処理方法の実施形態
実施形態1.表面を含む材料の処理方法であって、
表面を処理して、処理表面を形成すること
を含み、処理表面は、表面がトルエン中に浸漬される場合、20μLの水滴について50度~90度の範囲のロールオフ角及び90度~180度の範囲の接触角を有する、方法。
【0224】
実施形態2.処理表面は、60度~90度の範囲、70度~90度の範囲又は80度~90度の範囲のロールオフ角を有する、実施形態1の方法。
【0225】
実施形態3.表面を含む材料の処理方法であって、
表面を処理して、処理表面を形成すること
を含み、処理表面は、表面がトルエン中に浸漬される場合、50μLの水滴について40度~90度の範囲のロールオフ角及び90度~180度の範囲の接触角を有する、方法。
【0226】
実施形態4.処理表面は、50度~90度の範囲、60度~90度の範囲、70度~90度の範囲又は80度~90度の範囲のロールオフ角を有する、実施形態3の方法。
【0227】
実施形態5.表面の処理は、紫外線(UV)放射に表面を曝露することを含む、実施形態1~4のいずれか1つの方法。
【0228】
実施形態6.表面の処理は、酸素の存在下で紫外線(UV)放射に表面を曝露することを含み、且つUV放射は、180nm~210nmの範囲の第1の波長及び210nm~280nmの範囲の第2の波長を含む、実施形態5の方法。
【0229】
実施形態7.UV放射は、185nmの波長を含む、実施形態1~6のいずれか1つの方法。
【0230】
実施形態8.UV放射は、254nmの波長を含む、実施形態1~7のいずれか1つの方法。
【0231】
実施形態9.表面の処理は、H2O2に表面を曝露することを含む、実施形態1~8のいずれか1つの方法。
【0232】
実施形態10.表面の処理は、350nm~370nmの範囲の波長を含む紫外線(UV)放射に表面を曝露することを含む、実施形態1~9のいずれか1つの方法。
【0233】
実施形態11.表面の処理は、オゾンの存在下で紫外線(UV)放射に表面を曝露することを含む、実施形態1~10のいずれか1つの方法。
【0234】
実施形態12.表面の処理は、300μW/cm2~200mW/cm2の範囲でUV放射に表面を曝露することを含む、実施形態1~11のいずれか1つの方法。
【0235】
実施形態13.表面の処理は、2秒~20分間の範囲の時間にわたってUV放射に表面を曝露することを含む、実施形態1~12のいずれか1つの方法。
【0236】
実施形態14.表面の処理は、表面上に親水基含有ポリマーを含む層を形成することを含む、実施形態1~13のいずれか1つの方法。
【0237】
実施形態15.親水基含有ポリマーは、ポリ(ヒドロキシプロピルメタクリレート)(PHPM)、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)(PHEM)、ポリ(2-エチル-2-オキサゾリン)(P2E2O)、ポリエチレンイミン(PEI)、四級化ポリエチレンイミン、ポリ(ドーパミン)又はその組合せを含む、実施形態14の方法。
【0238】
実施形態16.親水基含有ポリマーは、親水性ポリマーを含む、実施形態14又は15のいずれかの方法。
【0239】
実施形態17.親水基含有ポリマーは、親水性ペンダント基を含む、実施形態14~16のいずれか1つの方法。
【0240】
実施形態18.親水基含有ポリマーは、ヒドロキシル化メタクリレートポリマーを含む、実施形態14~17のいずれか1つの方法。
【0241】
実施形態19.親水基含有ポリマーは、フルオロポリマーを含まない、実施形態14~18のいずれか1つの方法。
【0242】
実施形態20.層は、帯電層を含む、実施形態14~19のいずれか1つの方法。
【0243】
実施形態21.親水基含有ポリマーを含む層の形成は、親水基含有ポリマーを含む溶液中での材料のディップコーティングを含む、実施形態14~20のいずれか1つの方法。
【0244】
実施形態22.親水基含有ポリマーを含む溶液は、架橋剤をさらに含む、実施形態21の方法。
【0245】
実施形態23.架橋剤は、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン(DAMO-T)、3-グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシラン及びポリ(エチレングリコール)ジアクリレート(PEGDA)の少なくとも1つを含む、実施形態22の方法。
【0246】
実施形態24.表面上での親水基含有ポリマーを含む層の形成は、表面上への親水基含有ポリマーを含む溶液の電界紡糸を含む、実施形態14~20のいずれか1つの方法。
【0247】
実施形態25.表面上での親水基含有ポリマーを含むナノ繊維の形成をさらに含む、実施形態24の方法。
【0248】
実施形態26.親水基含有ポリマーを含む溶液は、架橋剤をさらに含む、実施形態24又は25のいずれかの方法。
【0249】
実施形態27.架橋剤は、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン(DAMO-T)、3-グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシラン及びポリ(エチレングリコール)ジアクリレート(PEGDA)の少なくとも1つを含む、実施形態26の方法。
【0250】
実施形態28.親水基含有ポリマーを架橋することをさらに含む、実施形態14~27のいずれか1つの方法。
【0251】
実施形態29.親水基含有ポリマーの架橋は、親水基含有ポリマーがコーティングされた材料を80℃~200℃の範囲の温度で30秒~15分間加熱することを含む、実施形態28の方法。
【0252】
実施形態30.親水基含有ポリマーを焼鈍しすることをさらに含む、実施形態14~29のいずれか1つの方法。
【0253】
実施形態31.親水基含有ポリマーの焼鈍しは、少なくとも10秒間、溶媒中に親水基含有ポリマーがコーティングされた材料を含浸させることを含み、溶媒の温度は、少なくとも親水基含有ポリマーのガラス転移温度である、実施形態30の方法。
【0254】
実施形態32.材料は、フィルター媒体を含む、実施形態1~31のいずれか1つの方法。
【0255】
実施形態33.フィルター媒体は、基材を含む、実施形態32の方法。
【0256】
実施形態34.材料は、セルロース、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、ガラス又はその組合せを含む、実施形態1~33のいずれか1つの方法。
【0257】
実施形態35.材料は、芳香族成分及び不飽和成分の少なくとも1つを含む、実施形態1~34のいずれか1つの方法。
【0258】
実施形態36.材料は、変性樹脂を含む、実施形態1~35のいずれか1つの方法。
【0259】
実施形態37.材料は、UV反応性樹脂を含む、実施形態1~36のいずれか1つの方法。
【0260】
実施形態38.材料は、フェノール樹脂を含む、実施形態1~37のいずれか1つの方法。
【0261】
実施形態39.材料は、最大で2mmの平均径を有する細孔を含む、実施形態1~38のいずれか1つの方法。
【0262】
実施形態40.材料は、40μm~50μmの範囲の平均径を有する細孔を含む、実施形態1~39のいずれか1つの方法。
【0263】
実施形態41.材料は、少なくとも15%の多孔性であり、且つ最大で99%の多孔性である、実施形態1~40のいずれか1つの方法。
【0264】
実施形態42.処理表面は、安定している、実施形態1~41のいずれか1つの方法。
【0265】
実施形態43.材料の表面は、処理前に、表面がトルエン中に浸漬される場合、20μLの水滴について90度~180度の範囲の接触角を有する、実施形態1~42のいずれか1つの方法。
【0266】
実施形態44.材料の表面は、処理前に、表面がトルエン中に浸漬される場合、20μLの水滴について100度~150度の範囲の接触角を有する、実施形態1~43のいずれか1つの方法。
【0267】
実施形態45.材料の表面は、処理前に、表面がトルエン中に浸漬される場合、20μLの水滴について0度~50度の範囲のロールオフ角を有する、実施形態1~44のいずれか1つの方法。
【0268】
実施形態46.材料の表面は、処理前に、表面がトルエン中に浸漬される場合、50μLの水滴について90度~180度の範囲の接触角を有する、実施形態1~42のいずれか1つの方法。
【0269】
実施形態47.材料の表面は、処理前に、表面がトルエン中に浸漬される場合、50μLの水滴について100度~150度の範囲の接触角を有する、実施形態1~42又は46のいずれか1つの方法。
【0270】
実施形態48.材料の表面は、処理前に、表面がトルエン中に浸漬される場合、50μLの水滴について0度~40度の範囲のロールオフ角を有する、実施形態1~42、46又は47のいずれか1つの方法。
【0271】
代表的なフィルター素子の実施形態
実施形態1.表面がトルエン中に浸漬される場合、20μLの水滴について50度~90度の範囲のロールオフ角及び90度~180度の範囲の接触角を有する表面を含む基材を含むフィルター媒体を含むフィルター素子。
【0272】
実施形態2.表面は、60度~90度の範囲、70度~90度の範囲又は80度~90度の範囲のロールオフ角を有する、実施形態1のフィルター素子。
【0273】
実施形態3.表面はトルエン中に浸漬される場合、50μLの水滴について40度~90度の範囲のロールオフ角及び90度~180度の範囲の接触角を有する表面を含む基材を含むフィルター媒体
を含むフィルター素子。
【0274】
実施形態4.表面は、50度~90度の範囲、60度~90度の範囲、70度~90度の範囲又は80度~90度の範囲のロールオフ角を有する、実施形態3のフィルター素子。
【0275】
実施形態5.表面は、フィルター媒体の下流側面を画定する、実施形態1~4のいずれか1つのフィルター素子。
【0276】
実施形態6.フィルター媒体は、微粒汚染物質を除去するように構成された層を含む、実施形態1~5のいずれか1つのフィルター素子。
【0277】
実施形態7.微粒汚染物質を除去するように構成された層は、基材の上流である、実施形態6のフィルター素子。
【0278】
実施形態8.フィルター媒体は、合体層を含む、実施形態1~7のいずれか1つのフィルター素子。
【0279】
実施形態9.合体層は、基材の上流である、実施形態8のフィルター素子。
【0280】
実施形態10.フィルター媒体は、微粒汚染物質を除去するように構成された層及び合体層を含み、且つ微粒汚染物質を除去するように構成された層は、合体層の上流であり、且つ合体層は、基材の上流である、実施形態1~9のいずれか1つのフィルター素子。
【0281】
実施形態11.フィルター素子は、スクリーンをさらに含む、実施形態1~10のいずれか1つのフィルター素子。
【0282】
実施形態12.スクリーンは、基材の下流である、実施形態11のフィルター素子。
【0283】
実施形態13.フィルター素子は、基材の下流に第2の合体層をさらに含む、実施形態1~12のいずれか1つのフィルター素子。
【0284】
実施形態14.フィルター媒体は、管状構造を有する、実施形態1~13のいずれか1つのフィルター素子。
【0285】
実施形態15.フィルター媒体は、プリーツを含む、実施形態1~14のいずれか1つのフィルター素子。
【0286】
実施形態16.フィルター素子は、炭化水素流体から水を除去するように構成される、実施形態1~15のいずれか1つのフィルター素子。
【0287】
実施形態17.炭化水素流体は、ディーゼル燃料を含む、実施形態16のフィルター素子。
【0288】
実施形態18.表面は、安定している、実施形態1~17のいずれか1つのフィルター素子。
【0289】
代表的な炭化水素流体-水分離のために適切な材料の識別方法
実施形態1.炭化水素を含む流体中に浸漬された材料の表面上の液滴の、40度~90度の範囲のロールオフ角を決定することを含む、炭化水素流体-水分離のために適切な材料の識別方法。
【0290】
実施形態2.液滴は、親水性物質を含む、実施形態1の方法。
【0291】
実施形態3.液滴は、水を含む、実施形態1又は2の方法。
【0292】
実施形態4.炭化水素を含む流体は、トルエンを含む、実施形態1~3のいずれか1つの方法。
【0293】
実施形態5.液滴は、20μLの液滴である、実施形態1~4のいずれか1つの方法。
【0294】
実施形態6.液滴は、50μLの液滴である、実施形態1~4のいずれか1つの方法。
【0295】
実施形態7.材料の表面上の液滴の接触角を決定することをさらに含む、実施形態1~6のいずれか1つの方法。
【0296】
実施形態8.接触角は、90度~180度の範囲である、実施形態7の方法。
【0297】
実施形態9.材料は、その上に配置された親水基含有ポリマーを含む、実施形態1~8のいずれか1つの方法。
【0298】
実施形態10.親水基含有ポリマーは、親水性ポリマーを含む、実施形態10の方法。
【0299】
実施形態11.材料の表面は、安定している、実施形態1~10のいずれか1つの方法。
【0300】
実施形態12.材料は、最大で2mmの平均径を有する細孔を含む、実施形態1~11のいずれか1つの方法。
【0301】
実施形態13.材料は、40μm~50μmの範囲の平均径を有する細孔を含む、実施形態1~12のいずれか1つの方法。
【0302】
実施形態14.材料は、少なくとも15%の多孔性であり、且つ最大で99%の多孔性である、実施形態1~13のいずれか1つの方法。
【0303】
代表的なUV放射処理基材の実施形態
実施形態1.芳香族成分及び不飽和成分の少なくとも1つを含む基材の表面を紫外線(UV)放射に曝露することを含む方法によって入手可能な基材を含むフィルター媒体。
【0304】
実施形態2.材料の表面は、処理前に、表面がトルエン中に浸漬される場合、20μLの水滴について90度~180度の範囲の接触角を有する、実施形態1のフィルター媒体。
【0305】
実施形態3.材料の表面は、処理前に、表面がトルエン中に浸漬される場合、20μLの水滴について100度~150度の範囲の接触角を有する、実施形態1又は2のいずれかのフィルター媒体。
【0306】
実施形態4.材料の表面は、処理前に、表面がトルエン中に浸漬される場合、50μLの水滴について90度~180度の範囲の接触角を有する、実施形態1のフィルター媒体。
【0307】
実施形態5.材料の表面は、処理前に、表面がトルエン中に浸漬される場合、50μLの水滴について100度~150度の範囲の接触角を有する、実施形態1~4のいずれか1つのフィルター媒体。
【0308】
実施形態6.芳香族成分及び不飽和成分の少なくとも1つを含む基材であって、表面がトルエン中に浸漬される場合、20μLの水滴について90度~180度の範囲の接触角を有する表面を有する基材を提供すること及び基材の表面を紫外線(UV)放射に曝露することを含む方法によって入手可能な基材を含むフィルター媒体。
【0309】
実施形態7.材料の表面は、処理前に、表面がトルエン中に浸漬される場合、20μLの水滴について100度~150度の範囲の接触角を有する、実施形態6のフィルター媒体。
【0310】
実施形態8.芳香族成分及び不飽和成分の少なくとも1つを含む基材であって、処理前に、表面がトルエン中に浸漬される場合、50μLの水滴について90度~180度の範囲の接触角を有する表面を有する基材を提供すること及び基材の表面を紫外線(UV)放射に曝露することを含む方法によって入手可能な基材を含むフィルター媒体。
【0311】
実施形態9.材料の表面は、処理前に、表面がトルエン中に浸漬される場合、50μLの水滴について100度~150度の範囲の接触角を有する、実施形態8のフィルター媒体。
【0312】
実施形態10.基材の表面をUV放射に曝露することは、酸素の存在下でUV放射に表面を曝露することを含み、且つUV放射は、180nm~210nmの範囲の第1の波長及び210nm~280nmの範囲の第2の波長を含む、実施形態1~9のいずれか1つのフィルター媒体。
【0313】
実施形態11.UV放射は、185nmの波長を含む、実施形態1~10のいずれか1つのフィルター媒体。
【0314】
実施形態12.UV放射は、254nmの波長を含む、実施形態1~11のいずれか1つのフィルター媒体。
【0315】
実施形態13.表面の曝露は、H2O2に表面を曝露することを含む、実施形態1~12のいずれか1つのフィルター媒体。
【0316】
実施形態14.表面の曝露は、350nm~370nmの範囲の波長を含むUV放射に表面を曝露することを含む、実施形態1~13のいずれか1つのフィルター媒体。
【0317】
実施形態15.表面の曝露は、オゾンの存在下でUV放射に表面を曝露することを含む、実施形態1~14のいずれか1つのフィルター媒体。
【0318】
実施形態16.表面の曝露は、300μW/cm2~200mW/cm2の範囲でUV放射に表面を曝露することを含む、実施形態1~15のいずれか1つのフィルター媒体。
【0319】
実施形態17.表面の曝露は、2秒~20分間の範囲の時間にわたってUV放射に表面を曝露することを含む、実施形態1~16のいずれか1つのフィルター媒体。
【0320】
実施形態18.基材は、芳香族成分及び不飽和成分を含む、実施形態1~17のいずれか1つのフィルター媒体。
【0321】
実施形態19.基材は、UV反応性樹脂を含む、実施形態18のフィルター媒体。
【0322】
実施形態20.UV反応性樹脂は、フェノール樹脂を含む、実施形態18又は19のいずれかのフィルター媒体。
【0323】
実施形態21.基材は、最大で2mmの平均径を有する細孔を含む、実施形態1~20のいずれか1つのフィルター媒体。
【0324】
実施形態22.基材は、40μm~50μmの範囲の平均径を有する細孔を含む、実施形態1~21のいずれか1つのフィルター媒体。
【0325】
実施形態23.基材は、少なくとも15%の多孔性であり、且つ最大で99%の多孔性である、実施形態1~22のいずれか1つのフィルター媒体。
【0326】
実施形態24.基材は、処理前に、表面がトルエン中に浸漬される場合、20μLの水滴について0度~50度の範囲のロールオフ角を有する、実施形態1~22のいずれか1つのフィルター媒体。
【0327】
実施形態25.基材は、処理前に、表面がトルエン中に浸漬される場合、50μLの水滴について0度~40度の範囲のロールオフ角を有する、実施形態1~22のいずれか1つのフィルター媒体。
【0328】
代表的な親水基含有ポリマー処理基材の実施形態
実施形態1.基材の表面上に親水基含有ポリマーを配置することを含む方法によって入手可能な基材を含むフィルター媒体。
【0329】
実施形態2.基材の表面は、処理前に、表面がトルエン中に浸漬される場合、20μLの水滴について90度~180度の範囲の接触角を有する、実施形態1のフィルター媒体。
【0330】
実施形態3.基材の表面は、処理前に、表面がトルエン中に浸漬される場合、20μLの水滴について100度~150度の範囲の接触角を有する、実施形態1又は2のフィルター媒体。
【0331】
実施形態4.基材の表面は、処理前に、表面がトルエン中に浸漬される場合、50μLの水滴について90度~180度の範囲の接触角を有する、実施形態1のフィルター媒体。
【0332】
実施形態5.基材の表面は、処理前に、表面がトルエン中に浸漬される場合、50μLの水滴について100度~150度の範囲の接触角を有する、実施形態1又は4のフィルター媒体。
【0333】
実施形態6.親水基含有ポリマーは、ポリ(ヒドロキシプロピルメタクリレート)(PHPM)、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)(PHEM)、ポリ(2-エチル-2-オキサゾリン)(P2E2O)、ポリエチレンイミン(PEI)、四級化ポリエチレンイミン、ポリ(ドーパミン)又はその組合せを含む、実施形態1~5のいずれか1つのフィルター媒体。
【0334】
実施形態7.親水基含有ポリマーは、親水性ポリマーを含む、実施形態1~6のいずれか1つのフィルター媒体。
【0335】
実施形態8.親水基含有ポリマーは、親水性ペンダント基を含む、実施形態1~7のいずれか1つのフィルター媒体。
【0336】
実施形態9.親水基含有ポリマーは、ヒドロキシル化メタクリレートポリマーを含む、実施形態1~8のいずれか1つのフィルター媒体。
【0337】
実施形態10.親水基含有ポリマーは、フルオロポリマーを含まない、実施形態1~9のいずれか1つのフィルター媒体。
【0338】
実施形態11.基材の表面上に親水基含有ポリマーを配置することは、表面上に親水基含有ポリマーを含む層を形成することを含む、実施形態1~10のいずれか1つのフィルター媒体。
【0339】
実施形態12.層は、帯電層を含む、実施形態11のフィルター媒体。
【0340】
実施形態13.基材の表面上に親水基含有ポリマーを配置することは、親水基含有ポリマーを含む溶液中で基材をディップコーティングすることを含む、実施形態1~12のいずれか1つのフィルター媒体。
【0341】
実施形態14.親水基含有ポリマーを含む溶液は、架橋剤をさらに含む、実施形態13のフィルター媒体。
【0342】
実施形態15.架橋剤は、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン(DAMO-T)、3-グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシラン及びポリ(エチレングリコール)ジアクリレート(PEGDA)の少なくとも1つを含む、実施形態14のフィルター媒体。
【0343】
実施形態16.基材の表面上に親水基含有ポリマーを配置することは、表面上への親水基含有ポリマーを含む溶液の電界紡糸を含む、実施形態1~12のいずれか1つのフィルター媒体。
【0344】
実施形態17.表面上への親水基含有ポリマーを含む溶液の電界紡糸は、表面上での親水基含有ポリマーを含むナノ繊維の形成を含む、実施形態16のフィルター媒体。
【0345】
実施形態18.親水基含有ポリマーを含む溶液は、架橋剤をさらに含む、実施形態16又は17のいずれかのフィルター媒体。
【0346】
実施形態19.架橋剤は、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン(DAMO-T)、3-グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシラン及びポリ(エチレングリコール)ジアクリレート(PEGDA)の少なくとも1つを含む、実施形態18のフィルター媒体。
【0347】
実施形態20.方法は、親水基含有ポリマーを架橋することをさらに含む、実施形態1~20のいずれか1つのフィルター媒体。
【0348】
実施形態21.親水基含有ポリマーの架橋は、親水基含有ポリマーがコーティングされた材料を、80℃~200℃の範囲の温度で30秒~15分間加熱することを含む、実施形態20のフィルター媒体。
【0349】
実施形態22.方法は、親水基含有ポリマーを焼鈍しすることをさらに含む、実施形態1~21のいずれか1つのフィルター媒体。
【0350】
実施形態23.親水基含有ポリマーの焼鈍しは、少なくとも10秒間、溶媒中に親水基含有ポリマーがコーティングされた材料を含浸させることを含み、溶媒の温度は、少なくとも親水基含有ポリマーのガラス転移温度である、実施形態22のフィルター媒体。
【0351】
実施形態24.基材は、最大で2mmの平均径を有する細孔を含む、実施形態1~23のいずれか1つのフィルター媒体。
【0352】
実施形態25.基材は、40μm~50μmの範囲の平均径を有する細孔を含む、実施形態1~24のいずれか1つのフィルター媒体。
【0353】
実施形態26.基材は、少なくとも15%の多孔性であり、且つ最大で99%の多孔性である、実施形態1~25のいずれか1つのフィルター媒体。
【0354】
実施形態27.基材は、処理前に、表面がトルエン中に浸漬される場合、20μLの水滴について0度~50度の範囲のロールオフ角を有する、実施形態1~26のいずれか1つのフィルター媒体。
【0355】
実施形態28.基材は、処理前に、表面がトルエン中に浸漬される場合、50μLの水滴について0度~40度の範囲のロールオフ角を有する、実施形態1~26のいずれか1つのフィルター媒体。
【0356】
代表的な使用の実施形態
実施形態1.芳香族成分及び不飽和成分の少なくとも1つを含む基材の表面のロールオフ角を改善するか又は増加させるための紫外線(UV)放射の使用。
【0357】
実施形態2.芳香族樹脂を含む基材を特徴とする、実施形態1の使用。
【0358】
実施形態3.フェノール樹脂を含む基材を特徴とする、実施形態1又は2のいずれかの使用。
【0359】
実施形態4.ロールオフ角を改善するか又は増加させるための酸素の存在下でのUV放射の使用を特徴とする、実施形態1~3のいずれか1つの使用。
【0360】
実施形態5.ロールオフ角を改善するか又は増加させるためのオゾンの存在下でのUV放射の使用を特徴とする、実施形態1~4のいずれか1つの使用。
【0361】
実施形態6.ロールオフ角を改善するか又は増加させるためのH2O2の存在下でのUV放射の使用を特徴とする、実施形態1~5のいずれか1つの使用。
【0362】
実施形態7.基材のロールオフ角を改善するか又は増加させるためのUV放射への芳香族成分及び不飽和成分の少なくとも1つの曝露によって入手可能な物質の使用。
【0363】
実施形態8.基材のロールオフ角を改善するか又は増加させるためのUV放射へのUV反応性樹脂の曝露によって入手可能な物質の使用に関連する、実施形態7の使用。
【0364】
実施形態9.基材のロールオフ角を改善するか又は増加させるためのUV放射へのフェノール樹脂の曝露によって入手可能な物質の使用に関連する、実施形態7又は8のいずれかの使用。
【0365】
実施形態10.酸素の存在下でのUV放射への芳香族成分及び不飽和成分の少なくとも1つの曝露を特徴とする、実施形態7~9のいずれか1つの使用。
【0366】
実施形態11.オゾンの存在下でのUV放射への芳香族成分及び不飽和成分の少なくとも1つの曝露を特徴とする、実施形態7~9のいずれか1つの使用。
【0367】
実施形態12.H2O2の存在下でのUV放射への芳香族成分及び不飽和成分の少なくとも1つの曝露を特徴とする、実施形態7~9のいずれか1つの使用。
【0368】
実施形態13.基材のロールオフ角を改善するか又は増加させるための親水基含有ポリマーの使用。
【0369】
実施形態14.基材のロールオフ角を改善するか又は増加させるための親水性ポリマーの使用。
【0370】
実施形態15.基材は、フィルター基材である、実施形態1~14のいずれかの1つの使用。
【0371】
実施形態16.フィルター基材は、表面がトルエン中に浸漬される場合、20μLの水滴について90度~180度の範囲の接触角を有する、実施形態15の使用。
【0372】
実施形態17.フィルター基材は、表面がトルエン中に浸漬される場合、50μLの水滴について90度~180度の範囲の接触角を有する、実施形態15の使用。
【0373】
本技術は、以下の実施例によって例証される。特定の例、材料、量及び手順は、本明細書に明示されるような技術の範囲及び趣旨に従って概括的に解釈されることが理解される。
【実施例】
【0374】
材料
購入した材料は、全て受け取った状態のまま(すなわちさらなる精製をせずに)使用した。他に指定されない限り、材料は、Sigma Aldrich(St.Louis,MO)から購入した。
・CHROMASOLVイソプロプルアルコール(IPA) - 99.9%
・CHROMASOLVトルエン - 99.9%
・CHROMASOLV酢酸エチル - 99.9%
・メチルアルコール - ACS Reagent - 99.8%
・エチルアルコール(EtOH)
・無水マレイン酸 - 99%
・H2O2 - 30%又は50%
・NH4OH - ACS Reagent - 50%
・N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン(DYNASYLAN DAMO-T又はDAMO-Tとも記載される) - Evonik Industries AG(Essen,Germany)
・DYNASYLAN SIVO 203 - Evonik Industries AG(Essen,Germany)
・Tyzor 131(Tyzor)
・イソプロプルアルコール中HCl(IPA) - 0.05M
・ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)(PHEM) - Scientific Polymer Products(Ontario,NY) - Mw=20,000
・ポリ(2-エチル-2-オキサゾリン)(P2E2O) - Mw=50,000
・ポリエチレンイミン、分岐(PEI-10K又はPEI 10000) - Mw=25,000 - Mn=10,000
・ポリエチレンイミン、分岐(PEI-600) - Mw=600
・ポリ(ヒドロキシプロピルメタクリレート)(PHPM) - Scientific Polymer Products(Ontario,NY) - Granular
・ポリ(エチレンオキシド)ジアミン末端(PEO-NH2) - Scientific Polymer Products(Ontario,NY) - Mw=2000
・ポリスチレン-コ-アリルアルコール(PS-co-AA) - 40モル%
・ポリ(アクリル酸)(PAA)
・Acrodur 950L - BASF Corporation(Florham Park,NJ)
・3-グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシラン
・ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート(PEGDA)
・超純水は、Millipore Elix 10UV及びMillipore Milli-Q A10モジュールによって水道水を処理することによって生成され、18.2MΩ*cmの抵抗を有した。
・ディーゼル燃料又はポンプ燃料=ASTM-D975を満たす超低硫黄ディーゼル(Ultra-Low Sulfur Diesel)(ULSD)。「ポンプ燃料」は、供給源ULSDが燃料ポンプから受け取られた状態のままで使用されたことを示す。
・バイオディーゼル=ASTM-D6751を満たす大豆ベースのバイオディーゼル(Renewable Energy Group(REG),Inc.,Mason City,IA)。
【0375】
試験手順
接触角及びロールオフ角
基材の接触角及びロールオフ角は、チルトステージを備えたDropMaster DM-701接触角メーター(協和界面科学株式会社;日本、新座市)を使用して測定された。測定は、ワイドカメラレンズ設定を使用して実行され、FAMASソフトウェアパッケージ(協和界面科学株式会社;日本、新座市)による6ミリメートル(mm)校正標準を使用して校正された。測定は、液滴が表面上で均衡に達した直後に実行された(すなわち、接触角及び曝露液滴体積は、1分間一定であった)。測定は、基材のみと接触した液滴で実行され、すなわち、液滴は、基材を支持する表面に接触していなかった。
【0376】
トルエン中の水接触角は、トルエン中に含浸された基材試料上に配置された超純水の20μL液滴又は50μL液滴を使用して測定された。接触角は、接線適合を使用して測定され、基材の異なる領域で実行された5回の独立した測定の平均から算出された。
【0377】
トルエン中の水ロールオフ角は、トルエン中に含浸された基材試料上に配置された超純水の20μL液滴又は50μL液滴を使用して測定された。このステージは、2度毎秒(°/秒)の回転速度で90°まで回転するように設定された。水滴が自由に回転して離れた点又は後部接触線が媒体表面に対して少なくとも0.4ミリメートル(mm)移動した点で回転を停止した。回転が停止された角度及び時間を測定し;この角度は、ロールオフ角と定義される。液滴が90度(°)の前にロールオフしなかった場合、値は、90°として報告される。液滴が析出プロセス中に回転して離れて行った場合、値は、1°で報告される。トルエン中に浸漬された基材試料上の水滴の代表的なイメージを
図2に示す。報告された値は、媒体の異なる領域で実行された5回の独立した測定の平均から算出された。基材における意図的な凹部(例えば、ポイント接着凹部)は、回避された。基材が指向性マクロ構造(例えば、荒れ)を有する場合、ロールオフ角は、マクロ構造の影響を最小化する方向で測られた。
【0378】
液滴サイジング試験
液滴サイジングを決定するためにISO 16332の修正版が使用された。
図3に示されるように、マルチパスにおいて2つのループシステムを供給する10リットル(L)タンクが使用された。メインループは、大多数の流れを処理し、且つ試験ループは、媒体ホルダーを含めて、メインループから離れるスリップストリームを提供した。手動の背圧バルブを使用して、試験期間中、試験媒体を通して0.07フィート毎分(フィート/分)の面速度まで流れを調節した。この面速度は、現場応用のための特有値である。
【0379】
それぞれの層の2インチ×2インチ平方試料を切断し、次いでローディング層、効率層及び基材試料を含む多層媒体複合体に充填した。試験される基材試料を効率層の下流に配置し、効率層をローディング層の下流に配置した。ローディング層及び効率層は、20%~80%の5μm~50μmの繊維直径及び0.1cm~15cmの繊維長さを有する2成分結合剤繊維、0.1ミクロン~30ミクロンの繊維直径及び10~10,000のアスペクト比を有するガラス繊維を含み、且つ0.5μm~100μmの細孔径を有する熱的に結合されたシートであった。
【0380】
多層媒体複合体に充填されたら、媒体層は、注文製の透明アクリルホルダーに保持された。National Pipe Thread Taper(NPT)装備品を付属するステンレス鋼1/4インチ外径径(OD)管を使用して、試験ループの内外に燃料を送達した。ホルダーは、6インチ×4インチであり、1インチ×1インチの試料窓及び1インチ×4インチ×3/4インチのチャネルを媒体の下流側面に有し、合体した液滴が燃料流体から出ることを可能にする。液滴が燃料流を出ると、それらは、ゾーンを通過し、そこで電荷結合素子(CCD)カメラが液滴のイメージを写した。画像解析ソフトウェア(imagej.nih.govにおいてワールドワイドウェブで入手可能なImage J 1.47T)を使用して、撮影したイメージを分析し、液滴の径を決定した。統計的分析のために、測定された液滴のサイズを使用した。報告された平均液滴径は、加重体積であった。D10は、液滴の10%がD10未満の全水体積を含み、且つ液滴の90%がD10より高い全水体積を含むことを表す。D50は、液滴の50%がD50未満の全水体積を含み、且つ液滴の50%がD50より高い全水体積を含むことを表す。D90は、液滴の90%がD90未満の全水体積を含み、且つ液滴の10%がD90より高い全水体積を含むことを表す。
【0381】
Chevron Phillips Chemical(The Woodlands,TX)からの超低硫黄ディーゼルをベース燃料として使用した。5%(体積%)の大豆バイオディーゼル(Renewable Energy Group(REG),Inc.,Mason City,IA)をベース燃料に添加し、燃料混合物を形成した。燃料混合物の表面張力は、ペンダントドロップ法によって決定したところ、21±2ダイン毎センチメートルであった。全試験に関して、燃料混合物の同一のバッチを使用した。
【0382】
試験するために、多層媒体複合体をホルダーに配置し、ホルダーに燃料混合物を充填した。水を導入する前に0.07フィート/分の面速度が設定され、10分間手作業で維持された。
【0383】
水をメイン燃料ループに注入し、オリフィスプレートを通してそれを強制することにより、燃料中水乳濁液が生じた。所望の平均20μmの乳濁液を得るために1.8mmのプレートが使用された。主ループの流速は、5.0ポンド毎平方インチ(psi)(約1.2リットル毎分(Lpm))のオリフィスプレート全体の差圧力を達成するために調節された。2500百万分率(ppm)の水の初期ターゲットチャレンジで0.3ミリリットル毎分(mL/分)の速度において水を注入した。試験ループに運ばれなかった燃料は、それが再びオリフィスを通過することが可能となる主タンクに戻るように方向付けられる前に、クリーンアップフィルターを通して送られた。システムは、20分の試験期間に多層媒体複合体に一貫した乳濁液チャレンジを提供する。
【0384】
燃料-水分離効率試験
燃料-水分離効率試験は、本明細書に記載されるように修正されたISO/TS 16332実験室試験法を使用して実行された。
【0385】
媒体のフラットシートを試験するために、フィルター媒体の7インチ×7インチシート(有効径6インチ×6インチ)のシートを保持するアルミニウムホルダーが使用された。フィルター媒体の下流側面において、100μmポリエステルスクリーン(有効径6インチ×6インチ)を配置し、直径が100μmよりも大きい合体した水滴が燃料流とともに下流に運ばれないことを確実にした。
【0386】
燃料中の上流水濃度は、5000ppmに設定され、試験の期間を通して一定であると考えられる。このような水の濃度は、水注入ポンプ及び燃料流速の両方の周知の流速を測定することによって決定された。下流水濃度は、あらかじめ決定された間隔で記録された。水の濃度は、市販のMetrohm AG(Herisau,Switzerland)841 Titrando滴定装置を使用して、カール-フィッシャーの体積測定滴定法を使用して測定された。
【0387】
上流遊離水の液滴径分布は、フローセルが付属する市販のMalvern Instruments(Malvern,United Kingdom)Insitec SX液滴径分析器を使用して決定された。乳化水試験に関して、液滴径分布は、典型的に、10μm±1μmのD50と、3μm及び25μmのD10及びD90とをそれぞれ有する。
【0388】
他に指定されない限り、全ての試験において媒体を通した面速度は、0.05フィート毎分(fpm又はフィート/分)で固定された。他に指定されない限り、全試験時間は、15分であった。
【0389】
試験中の媒体のパーセント分離効率は、上流水濃縮に対する下流水濃度の比率として算出された。
【0390】
通気性試験
少なくとも38cm2の試料を媒体から切断し、試験した。試料をTEXTEST(登録商標)FX3310(Textest AG,Schwerzenbach,Switzerlandから入手された)上に配置した。媒体を通した通気性は、空気を使用して測定され、水の0.5インチ(1.27cm)の圧力低下における、1分あたりの媒体の1平方フィートあたりの空気の1立方フィート(フィート3空気/フィート2媒体/分)又は1分あたりの媒体の1平方メートルあたりの空気の1立方メートル(m3空気/m2媒体/分)を測定した。
【0391】
調製方法
実施例1 - UV処理
UV処理媒体層は、基材の下流(ワイヤー側面)表面をUV放射に曝露することによって製造した。UV供給源は、低圧水銀ランプ(4インチ×4インチのStandard Mercury Grid Lamp,BHK,Inc.,Ontario,Canada)であった。低圧水銀ランプは、以下の別々の波長のUV光を生じる:185nm、254nm、297nm、302nm、313nm、365nm及び366nm。4インチ×4インチ試料を1~20分間にわたってランプに曝露した。
図2に示す試料を20分間ランプに曝露し;水滴サイジング実験のために使用される試料は、8分間処理された。試料は、処理中、ランプの約1cm下に配置された。
【0392】
表1にリストされたそれぞれの基材の試料を空中酸素の存在下において低圧水銀ランプでUV処理した。燃料の同一バッチを使用して、処理前及び後のそれぞれの基材のD10、D50及びD90を測定した。結果を表2に示す。処理前及び後の(トルエン中の)それぞれの基材の接触角及びロールオフ角(20μL液滴及び50μL液滴に関する)を表3に示す。
【0393】
低圧水銀ランプによるUV-酸素処理により、未処理の基材と比較して増加したロールオフ角を示す基材が得られた。表2に示すように、基材6を除いて、少なくとも2倍のD50平均液滴径の強化も観察された。トルエン中に含浸された基材試料上に配置された水滴を使用して測定されたより高いロールオフ角(表3)は、ディーゼル燃料中の基材によるより大きい液滴の合体(D50強化)(表2及び3)と関連する。ロールオフ角が基材の表面上で合体する液滴の径と関連するため、ロールオフ角は、燃料流を出ることができるより大きい液滴を合体する能力を有する基材を識別するために使用され得る。
【0394】
理論によって拘束されることを望まないが、基材6のアクリルベースの樹脂系は、UV照射への曝露中に表面の必要な変性を考慮に入れないと考えられる。100%ポリエステル及びフェノール樹脂含有媒体(それぞれ基材7及び基材1~5)における接着及び液滴の成長を強化するUV-酸素処理の能力を考慮すると、芳香族成分又は炭素-炭素結合不飽和の別の形態は、基材のUV-酸素処理の効果を強化することができると考えられる。
【0395】
それとは対照的に、低圧水銀ランプが、約220nm未満及び約400nmより高い波長をブロックする、いずれかのUV帯域フィルター(FSQ-UG5,Newport Corp.,Irving,CA)を備えた場合、処理基材1は、未処理媒体と比較してロールオフ角又は平均液滴径における変化をほとんど示さなかったか又は全く示さなかった。
【0396】
同様に、基材1及び7が、360nmより高い波長でUVを放出するランプ(Model F300S,Heraeus Noblelight Fusion UV Inc.,Gaithersburg,MD)によって処理された場合、処理基材は、未処理媒体と比較して平均液滴径における変化をほとんど示さなかったか又は全く示さず、且つロールオフ角のわずかな増加を示した。
【0397】
【0398】
【0399】
【0400】
燃料から水を除去する(未処理及びUV-酸素処理)基材1試料の能力(すなわち媒体の性能)は、15分後に下流水含有量を測定することによって決定された。結果を
図4に示す。
図4からわかるように、未処理基材1と比較して、UV-酸素処理基材1は、燃料から水を除去するための且つ低い下流水含有量を維持するための有意に改善された能力を示した。これは、未処理基材と比較して、観察された増加したロールオフ角及びD50強化と整合性がある。
【0401】
(未処理及びUV-酸素処理)基材1試料を55℃で30日間、200ミリリットル(mL)のポンプ燃料中に浸漬した。試験前に対照(浸漬されていない)及び処理試料をヘキサンで洗浄し、次いで80℃のオーブン中で5分間加熱し、ヘキサンを蒸発させた。トルエン中の接触角及びトルエン中のロールオフ角は、トルエン中に含浸された基材試料上に配置された50μLの超純水を使用して測定した。測定は、上記のように実行した。結果を
図5及び表4に示す。平均ロールオフ角及び接触角並びに対応する燃料から水を除去する能力は、いくつかの現場応用において見られ、且つ基材の老化を促進することが可能である条件の55℃において30日間、燃料中に含浸された後でもUV-酸素処理基材において維持された。
【0402】
【0403】
実施例2 - UV/H2O2処理
基材1は、10分間150℃において媒体中で加熱することによって硬化された。次いで、基材を、浅いペトリ皿(深さ1cm)中に含まれる50%H2O2溶液に含浸させ、0分、2分、4分、6分又は8分間、低圧水銀ランプ(4インチ×4インチのStandard Mercury Grid Lamp,BHK,Inc.,Ontario,Canada)によってUV処理した。次いで、基材を5分間にわたって80℃でオーブン乾燥させた。
【0404】
それぞれの基材の処理側面及び未処理側面のトルエン中の接触角(CA)及びロールオフ角(RO)は、トルエン中の超純水の50μL液滴を使用して測定した。結果を表4及び
図6に示す。
【0405】
実施例3 - 比較例
Cummins MO-608燃料-水分離フィルターのトルエン中の接触角及びロールオフ角は、20μLの水滴を使用して試験した。フィルター媒体の上流側面は、143°の接触角及び19°のロールオフ角を有した。フィルター媒体の下流側面は、146°の接触角及び24°のロールオフ角を有した。
【0406】
ACDelco TP3018燃料-水分離フィルターのトルエン中の接触角及びロールオフ角は、20μLの水滴を使用して試験した。フィルター媒体の上流側面は、146°の接触角及び28°のロールオフ角を有した。フィルター媒体の下流側面は、1°の報告されたロールオフ角を有した(すなわち、析出プロセス中、液滴は、回転して離れた)。
【0407】
Ford F150 FD4615燃料-水分離フィルターのトルエン中の接触角及びロールオフ角は、20μLの水滴を使用して試験した。フィルター媒体の上流側面は、149°の接触角及び10°のロールオフ角を有した。フィルター媒体の下流側面は、137°の接触角及び9°のロールオフ角を有した。
【0408】
Donaldson P551063燃料-水分離フィルターのトルエン中の接触角及びロールオフ角は、20μLの水滴を使用して試験した。フィルター媒体の上流側面は、157°の接触角及び22°のロールオフ角を有した。フィルター媒体の下流側面は、125°の接触角及び11°のロールオフ角を有した。
【0409】
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)膜のトルエン中の接触角及びロールオフ角は、50μLの水滴を使用して試験した。膜は、1°の報告されたロールオフ角を有し(すなわち、析出プロセス中、液滴は、回転して離れた)、接触角を測定するために液滴を安定化させることが不可能であった。接触角は、少なくとも165°であると概算された。
【0410】
Komatsu 600-319-5611燃料フィルターのトルエン中の接触角及びロールオフ角は、20μLの水滴を使用して試験した。フィルター媒体の上流側面は、150°の接触角及び3°のロールオフ角を有した。フィルター媒体の下流側面は、145°の接触角及び32°のロールオフ角を有した。
【0411】
実施例4 - ディップコーティングによるポリマーコーティング
表5に示されるポリマー、濃度及び溶媒を使用して、基材1(20%ポリエステル/80%セルロース媒体、部分的に硬化されたフェノール樹脂成分を有する)をポリマーでコーティングした。Chemat DipMaster50ディップコーター(Chemat Technology,Inc.,Northridge,CA)を使用して、試料をディップコーティングした。ポリマーを含む溶液中に媒体を完全に含浸させ、50mm/分の速度で引き上げた。コーティング均一性を保証するために、媒体をディップコーティングし、180度回転させ、再びディップコーティングさせた(合計2回のディップコート)。5分間80℃でのオーブン乾燥によって非水系溶媒を除去し、5分間100℃でのオーブン乾燥によって水を除去した。
【0412】
PEI-600の(四級化による)帯電コーティングを作成するために(表5(PEI-600 HCl)を参照されたい)、PEI-600であらかじめコーティングされた基材1を、上記のディップコーティング手順を使用して、HCl(IPA中0.05M)中でディップコーティングした。PEI-10K+無水マレイン酸コーティングを作成するために(表5を参照されたい)、PEI-10Kであらかじめコーティングされた基材1を、上記のディップコーティング手順を使用して、無水マレイン酸でディップコーティングした。
【0413】
ディップコーティング手順が完了した後、媒体の剛性を増加させ、部分的に硬化されたフェノール樹脂を硬化するために、5分間80℃での乾燥後、10分間150℃で硬化処理を適用した。
【0414】
結果を表5及び
図8に示す。
図2に、0度(0°)回転(左)及び60°回転(右)におけるトルエン中に浸漬されたPHPM処理基材(表5を参照されたい)上の20μLの水滴の代表的イメージを示す。
【0415】
表4に示されるように、トルエン中に含浸された基材試料上に析出された水滴を使用して測定されたより高いロールオフ角は、ディーゼル燃料中の基材によるより大きい液滴の合体(D50強化)と関連する。ロールオフ角は、基材の表面で合体する液滴の径と関連するため、ロールオフ角は、燃料流を出ることができるより大きい液滴を合体する能力を有する基材を識別するために使用され得る。
図8に示されるように、増加した燃料-水分離効率は、未処理基材と比較して、PEI-10Kコーティング基材に見られ、これは、観察された増加したロールオフ角及びD50強化と整合性がある。
【0416】
【0417】
【0418】
実施例5 - 通気性に対するポリマーコーティングの効果
Chemat DipMaster50ディップコーター(Chemat Technology,Inc.,Northridge,CA)を使用して、メタノール中2%(w/v)PHEM、4%(w/v)PHEM、6%(w/v)PHEM又は8%(w/v)PHEMを用いて基材1(20%ポリエステル/80%セルロース媒体、部分的に硬化されたフェノール樹脂成分を有する)をディップコーティングした。ポリマーを含む溶液中に媒体を完全に含浸させ、50mm/分の速度で引き上げた。コーティング均一性を保証するために、媒体をディップコーティングし、180度回転させ、再びディップコーティングさせた(合計2回のディップコート)。5分間80℃でのオーブン乾燥によって非水系溶媒を除去し、5分間100℃でのオーブン乾燥によって水を除去した。
【0419】
ディップコーティング手順が完了した後及び5分間80℃での乾燥後、10分間150℃で硬化処理を適用した。
【0420】
【0421】
実施例6 - ディップコーティング、架橋及び焼鈍しによるポリマーコーティング
表6及び7に示されるポリマー、濃度及び溶媒を使用して、基材1(20%ポリエステル/80%セルロース媒体、部分的に硬化されたフェノール樹脂成分を有する、表1を参照されたい)をポリマーでコーティングした。Chemat DipMaster50ディップコーター(Chemat Technology,Inc.,Northridge,CA)を使用して、試料をディップコーティングした。ポリマーを含む溶液中に媒体を完全に含浸させ、50mm/分の速度で引き上げた。コーティング均一性を保証するために、媒体をディップコーティングし、180度回転させ、再びディップコーティングさせた(合計2回のディップコート)。5分間80℃でのオーブン乾燥によって非水系溶媒を除去し、5分間100℃でのオーブン乾燥によって水を除去した。
【0422】
ディップコーティング後及び/又は焼鈍し前に、実施される場合、媒体を5分間80℃でオーブン乾燥させ、次いで5分間150℃に曝露した。加熱することにより、媒体の剛性が増加し、部分的を硬化されたフェノール樹脂が硬化され、存在する場合、架橋剤の架橋を促進すると考えられる。
【0423】
ポリマーコーティングが焼鈍しされる場合、ディップコーティング手順及び加熱の完了後、媒体を1~2分間、熱(90℃)水中に含浸させた。焼鈍し後、媒体を5分間100℃でオーブン乾燥させた。
【0424】
(未処理及びポリマーコーティング)基材1試料を55℃で(
図10又は
図11に示されるように)13日、30日又は39日間、200ミリリットル(mL)のポンプ燃料中に浸漬した。試験前に対照(浸漬されていない)及び処理試料をヘキサンで洗浄し、次いで80℃のオーブン中で5分間加熱し、ヘキサンを蒸発させた。トルエン中の接触角及びトルエン中のロールオフ角は、トルエン中に含浸された基材試料上に配置された50μLの超純水を使用して測定した。測定は、上記のように実行した。
【0425】
結果を
図10及び
図11に示す。平均ロールオフ角及び接触角並びに対応する燃料から水を除去する能力は、いくつかの現場応用において見られ、且つ基材の老化を促進することが可能である条件の55℃において39日間、燃料中に含浸された後でも架橋ポリマーコーティング基材並びに架橋及び焼鈍しポリマーコーティング基材において維持された。
【0426】
【0427】
【0428】
実施例7 - 電界紡糸によるポリマーコーティング
表8に示す条件を使用して、10%ポリマー(w/v)溶液による電界紡糸により、コーティングを基材6(表1を参照されたい)上に形成した。ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)(PHEM)に対してメタノール溶液を使用し、PEI-10Kに対してイソプロプルアルコール(IPA)溶液を使用した。コーティングは、紡糸溶液中に架橋剤を存在させて及び存在させずに形成された。0.5%(w/v)N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン(本明細書ではDAMO-Tとも記載される)をPHEMのために架橋剤として使用し;0.5%(w/v)(3-グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシラン(本明細書では架橋剤1とも記載される)又は0.5%(w/v)ポリ(エチレングリコール)ジアクリレート(PEGDA)(本明細書では架橋剤2とも記載される)をPEI-10Kのために架橋剤として使用した。
【0429】
結果を
図12~
図15に示す。架橋剤あり且つ架橋剤なしのPHEMコーティング基材上の50μL水滴の接触角及びロールオフ角を電界紡糸の直後に測定した。これを
図12に示す。架橋剤あり且つ架橋剤なしのPEIコーティング基材上の50μL水滴の接触角及びロールオフ角を電界紡糸の直後に測定した。これを
図13に示す。
【0430】
図14は、電界紡糸によるコーティングの形成から1日、6日及び32日後の代表的なPHEMナノ繊維コーティングDAMO-T架橋基材6における50μL水滴の接触角及びロールオフ角を示す。電界紡糸によるコーティングの形成から52日後の接触角及びロールオフ角は、電界紡糸によるコーティングの形成から32日後に観察されたものと類似していた。
【0431】
図15は、電界紡糸によるコーティングの形成から1日、6日及び32日後の代表的なPEI-10Kナノ繊維コーティング架橋基材6における50μL水滴の接触角及びロールオフ角を示す。PEIは、(3-グリシジルオキシプロピル)トリメトキシシラン(架橋剤1)又はポリ(エチレングリコール)ジアクリレート(PEGDA)(架橋剤2)を使用して架橋された。電界紡糸によるコーティングの形成から52日後の接触角及びロールオフ角は、電界紡糸によるコーティングの形成から32日後に観察されたものと類似していた。
【0432】
電界紡糸によってポリマーがコーティングされた基材6の走査型電子顕微鏡検査法(SEM)イメージを
図16、
図17及び
図18に示す。
図16に示されるように、PHEMの電界紡糸により、セルロース基材をコーティングするPHEMナノ繊維を形成する。それとは対照的に、
図17及び
図18に示されるように、PEI-10Kは、基材上にナノ繊維を形成しないが、むしろ基材上に存在するセルロース繊維を直接コーティングした。これらの結果は、電界紡糸技術を使用して作成されたポリマーコーティングがナノ繊維の形態で存在し得るか、又はそれが基材上に固体ポリマーコートとして存在し得ることを示す。
【0433】
【0434】
ここで、基材の処理と関連する特定の方法を記載する。
図19は、本技術のいくつかの実施形態による方法の一実施例60であり、上記で開示された基材と一致する基材がUV放射への曝露によって処理されて、詳細が上記で開示される、基材表面がトルエンに浸漬される場合の50μLの水滴についての基材表面のロールオフ角が変性される。UV放射は、放出62され、放出されたUVの放射は、変性64され、且つ表面は、変性されたUV放射66に曝露される。
【0435】
UV放射は、上記で詳細に記載されたUV放射源から放出62され得る。放出されたUV放射は、様々なアプローチを通して変性64され得る。一例として、UV放射は、放出されたUV放射を、開口部パターンを画定するマスクに通過させることによって変性64される。別の例として、UV放射は、放出されたUV放射をレンズに通過させることによって変性64される。別の例として、UV放射は、放出されたUV放射を導波管に通過させることによって変性64される。さらに別の例として、UV放射は、放出されたUV放射を反射器から反射させることによって変性64される。これらのアプローチのそれぞれについては、以下により詳細に記載される。処理は、本明細書で上記において、特に上記の製造方法及び処理実施形態の代表的な方法の項目の議論において議論された処理と一致して適用され得る。
【0436】
変性されたUV放射66に曝露される表面は、基材の表面又はいくつかの実施形態では基材を形成するであろう繊維の表面であり得る。表面を変性されたUV放射66に曝露することにより、表面のそれらの部分がトルエンに浸漬される場合の50μLの水滴についてのロールオフ角を増加させるような表面の少なくとも一部における変性がもたらされる。表面の処理された部分は、処理された領域のパターンを形成することができる。基材表面の処理された部分は、処理された領域のパターン化された勾配を形成することができる。表面を変性されたUV放射66に曝露することによって形成されるパターンは、いずれの大きさでもあり得、且ついくつかの例において、パターンは、微視的スケール又は巨視的スケールであろう。
【0437】
図20は、本技術のいくつかの実施形態による方法の別の実施例70である。基材の表面は、パターンコーティング72されており、且ついくつかの実施形態において、方法は、終了74する。代わりに、基材の表面は、パターンコーティング72されており、且つパターンコーティングされた表面は、放射76に曝露される。この議論は、上記の開示、特に上記の製造方法、処理実施形態の代表的な方法、代表的なUV放射処理基材の実施形態、代表的な親水基含有ポリマー処理基材の実施形態の項目と一般に一致するが、それらに付け加えられる。
【0438】
基材の表面は、その多くが上記で議論された様々な手段によってパターンコーティング72され得る。基材上のパターンコーティング72は、基材表面上にパターンを与える。基材上のパターンコーティング72は、基材表面上に非連続的コーティングをもたらす。一例において、基材は、基材上にコーティングパターンを刻印するために構成されるローラーでパターンコーティング72される。別の実施形態において、基材は、マスクで基材表面を被覆し、次いでマスクを通してディップコーティング又はスプレーコーティングすることによってパターンコーティング72される。コーティングは、一般に、樹脂、繊維、溶媒などを含めて、本明細書で上記において議論されたコーティングであり得る。
【0439】
基材のコーティング後72にプロセスが終了74するいくつかの実施形態において、基材のコーティングされた表面は、基材の未コーティングの表面と比較して、(トルエンに浸漬される場合の50μLの水滴についての)増加したロールオフ角を有する。そのような実施形態において、コーティングされた表面は、親水基含有ポリマーを有し得、且つ未コーティングの表面は、親水基含有ポリマーを含まないことができる。基材のコーティング72後にプロセスが終了する別の実施形態において、基材の未コーティングの表面は、基材のコーティングされた表面と比較して、(トルエンに浸漬される場合の50μLの水滴についての)増加したロールオフ角を有する。そのような実施形態において、未コーティングの表面は、親水基含有ポリマーを有し得、且つコーティングされた表面は、親水基含有ポリマーを含まないことができる。
【0440】
基材表面がUV放射76に曝露されるいくつかの実施形態において、コーティングは、UV反応性であり得、且つ基材の表面は、非UV反応性であり得る。基材表面がUV放射76に曝露されるいくつかの別の実施形態において、基材の未コーティングの表面は、UV反応性であり、且つ基材のコーティングされた表面は、非UV反応性である。しかしながら、いくつかの実施形態において、基材の未コーティングの表面及び基材のコーティングされた表面の両方がUV反応性であるが、UV放射に対して異なる感応性を有する。(コーティングの有無にかかわらず)UV反応性表面は、本明細書で上記において開示されたUV反応性表面と一致し得る。
【0441】
コーティングされた基材の表面は、UV放射76に曝露されて、基材の表面上にパターン化された処理を形成することができる。UV反応性である基材表面の部分 - 基材表面の未コーティングの部分及び/又はコーティングされた部分は、第1の表面がトルエンに浸漬される場合、50μLの水滴についての増加したロールオフ角を得る。
【0442】
図21は、いくつかの実施例と一致する基材の実施例の概略図である。基材150は、処理された表面領域156及び未処理の表面領域158を有する第1の表面152を有する。この議論は、上記の開示、特に上記の製造方法、代表的なフィルター媒体の実施形態、代表的なフィルター要素の実施形態、代表的な放射処理基材の実施形態及び代表的な親水基含有ポリマー処理基材の実施形態の項目と一般に一致するが、それらに付け加えられる。
【0443】
処理された表面領域156は、一般に、表面がトルエンに浸漬される場合、50μLの水滴について、未処理の表面領域158と比較して増加したロールオフ角を有する。処理された表面領域は、第1の表面がトルエンに浸漬される場合、50μLの水滴について50度~90度の範囲のロールオフ角及び90度~180度の範囲の接触角を画定することができる。未処理の表面領域158は、第1の表面がトルエンに浸漬される場合、50μLの水滴について0度~50度のロールオフ角を有することができる。
【0444】
本実施例において、処理された表面領域156は、基材150の第1の表面152上にパターンを画定する。本明細書では、処理された表面領域156は、基材150の第1の表面152にわたって円形領域を分離することができる。処理された表面領域156と未処理の表面領域158との間は、未処理の表面領域158に向かって処理の強度における減少を反映する処理勾配領域154である。処理勾配領域154のロールオフ角は、一般に、処理された表面領域156のロールオフ角未満であり、且つ未処理の表面領域158のロールオフ角より大きいであろう。
【0445】
基材150は、上記で詳細に記載された通り、様々な材料及び材料の組合せであり得る。いくつかの実施形態において、基材150は、フィルター媒体である。いくつかの実施形態において、繊維ウェブは、基材150の第1の表面152を形成する。いくつかの実施形態において、不織繊維ウェブは、基材150の第1の表面152を形成する。いくつかの実施形態において、膜は、基材150の第1の表面152を形成する。いくつかの実施形態において、樹脂コーティングは、基材150の第1の表面152を形成する。いくつかの実施形態において、処理された表面領域156は、芳香族成分及び/又は不飽和成分を有し、且つ未処理の表面領域158は、芳香族成分分及び/又は不飽和成分を有さない。
【0446】
処理された表面領域は、一般に、UV放射に曝露された表面領域であり、且つUV放射への曝露に基づいてき変性された(表面がトルエンに浸漬される場合の50μLの水滴についての)ロールオフ角を有する。未処理の表面領域は、一般に、UV放射への曝露から保護されたか、又はUV放射に曝露された表面領域であるが、(表面がトルエンに浸漬される場合の50μLの水滴についての)表面領域のロールオフ角は、そのような曝露の結果として変性されていない。
【0447】
図22は、いくつかの実施形態と一致する基材の別の概略図である。基材190は、処理された表面領域196及び未処理の表面領域194を有する第1の表面192を有する。この議論は、上記の開示、特に上記の製造方法、代表的なフィルター媒体の実施形態、代表的なフィルター要素の実施形態、代表的な放射処理基材の実施形態及び代表的な親水基含有ポリマー処理基材の実施形態の項目と一般に一致するが、それらに付け加えられる。
【0448】
本実施例において、処理された表面領域196は、基材190の第1の表面192にパターンを画定する。本明細書では、処理された表面領域196は、基材190の第1の幅にわたって分離したバンドである。本実施例の実施形態において、処理された表面領域196と未処理の表面領域194との間の処理勾配領域がないが、いくつかの関連する実施形態は、上記の図面の議論において開示されたものと同様の処理勾配領域を有し得る。
【0449】
基材の処理された表面領域196及び未処理の表面領域は、上記、特に
図21の議論において定義及び記載された。同様に、基材190及び第1の表面192は、上記、特に
図21の議論において詳細に記載された通り、様々な材料及び材料の組合せであり得る。
【0450】
図23は、いくつかの実施形態と一致する基材の別の実施例の概略図である。基材180は、処理された表面領域184及び未処理の表面領域186を有する第1の表面182を有する。この議論は、上記の開示、特に上記の製造方法、代表的なフィルター媒体の実施形態、代表的なフィルター要素の実施形態、代表的な放射処理基材の実施形態及び代表的な親水基含有ポリマー処理基材の実施形態の項目と一般に一致するが、それらに付け加えられる。
【0451】
本実施例において、処理された表面領域184は、基材180の第1の表面182にパターンを画定する。本明細書では、処理された表面領域184は、基材180の第1の表面182の幅及び長さにわたる複数の交差したバンドである。本実施例の実施形態において、処理された表面領域184と未処理の表面領域186との間の処理勾配領域がないが、いくつかの関連する実施形態は、
図21の議論において開示されたものと同様の処理勾配領域を有し得る。
【0452】
基材の処理された表面領域184及び未処理の表面領域186は、上記、特に
図21の議論において定義及び記載された。同様に、基材180及び第1の表面182は、上記、特に
図21の議論において詳細に記載された通り、様々な材料及び材料の組合せであり得る。
【0453】
図24は、いくつかの実施形態と一致する基材繊維の別の実施例の概略図である。基材繊維140は、処理された表面領域196及び未処理の表面領域194を有する第1の表面192を有する。この議論は、上記の開示、特に上記の製造方法、代表的なフィルター媒体の実施形態、代表的なフィルター要素の実施形態、代表的な放射処理基材の実施形態及び代表的な親水基含有ポリマー処理基材の実施形態の項目と一般に一致するが、それらに付け加えられる。
【0454】
本実施例において、処理された表面領域144は、基材繊維140の第1の表面142にパターンを画定する。本明細書では、処理された表面領域144は、基材繊維140の表面142の幅及び長さにわたってパターンを形成する。本実施例の実施形態において、処理された表面領域144と未処理の表面領域146との間の処理勾配領域がないが、いくつかの関連する実施形態は、基材繊維の表面に沿っていることを除き、
図21の議論において開示されたものと同様の処理勾配領域を有し得る。
【0455】
繊維140は、本明細書に開示される基材と一致する基材を形成するために使用され得る。基材が繊維140から形成される実施形態において、基材表面上での処理のパターン化は、特に小さいことができ、且つそれらの領域において(基材表面がトルエンに浸漬される場合の50μLの水滴についての)それぞれのロールオフ角を決定するために、処理された領域と未処理の領域との間で区別することが困難となり得る。しかしながら、全基材表面は、UV放射によって処理されていない同一繊維から形成された基材と比較して、(基材表面がトルエンに浸漬される場合の50μLの水滴についての)増加したロールオフ角を示すことができる。いくつかの実施形態において、基材の表面は、表面がトルエンに浸漬される場合、50μLの水滴について50度~90度の範囲のロールオフ角及び90度~180度の範囲の接触角を有することができる。繊維の処理された表面領域144及び未処理の表面領域146は、一般に、特に
図21の議論における基材と関連して上記されている。同様に、基材繊維140及び繊維表面142は、議論されてきた基材材料と一致して、様々な材料及び材料の組合せであり得る。
【0456】
図25は、いくつかの実施形態と一致する処理システムの実施例の概略図である。システム100は、UV放射112を放出するように構成されたUV放射源110、開口部パターン122を画定するマスク120及び表面132を有する基材130を有する。この議論は、上記の開示、特に製造方法、代表的な処理方法の実施形態、代表的なUV放射処理基材の実施形態及び代表的な親水基含有ポリマー処理基材の実施形態の項目と一般に一致するが、それらに付け加えられる。
【0457】
他で詳細に記載される通り、UV放射源110は、UV放射112を放出するように構成される。マスク120は、放出されたUV放射112の通過を可能にする開口部パターン122を画定する。マスク120は、放出されたUV放射112をフィルターするように構成される。基材130の表面132は、フィルターされたUV放射124に曝露されて、表面の一部を処理する。
【0458】
図21~24に関して議論されたように、表面132の処理された部分は、基材表面にわたってパターンを形成し得る。処理された表面132の部分は、基材130の表面132の未処理の部分と比較して、(表面がトルエンに浸漬される場合の50μLの水滴についての)増加したロールオフ角を有し得る。処理された部分及び未処理の部分の特性及び構成は、上記、特に
図21の議論において記載された処理された表面領域及び未処理の表面領域と一致する。同様に、基材130及びその表面132は、上記、特に
図21において詳細に記載されたように、様々な材料及び材料の組合せであり得る。
【0459】
示されたものを含む様々な実施形態において、基材130の表面132は、平面である。いくつかの他の実施形態において、基材の表面は、非平面である。例えば、基材は、プリーツ状、波状、縦溝形成されたものなどであり得る。
【0460】
マスク120と基材表面132との間の距離Dにより、表面の処理された部分132と表面の未処理の部分132との間に処理勾配領域が存在するかどうかが決まる。Dがゼロに等しくなるようにマスク120が基材表面132に配置される場合、(例えば、
図22におけるように)処理勾配領域が存在し得ないか、又は非常に小さい処理勾配領域であり得る。さらにマスク120が基材表面132から離れて配置される場合、処理勾配領域は、より大きくなる。上記で議論されるように、処理勾配領域は、一般に、処理された領域から未処理の領域まで延在する処理勾配を示す。
【0461】
以下のものも含めて、本明細書に開示される処理方法の多くに関して、基材が繊維であり得、基材表面が繊維表面であり得ることが留意されるべきである。そのような実施形態において、繊維は、本明細書に開示される技術と一致する基材を作成するために使用され得る。
図25と関連する本実施例において、基材130は、1つ以上の繊維であり得、且つ基材表面132は、繊維の表面であり得る。
【0462】
図26は、いくつかの実施形態と一致する処理システムの別の実施形態の概略図である。システム200は、UV放射212を放出するように構成されたUV放射源210及び第1の表面222を有する基材220を有する。この議論は、上記の開示、特に製造方法、代表的な処理方法の実施形態、代表的なUV放射処理基材の実施形態及び代表的な親水基含有ポリマー処理基材の実施形態の項目と一般に一致するが、それらに付け加えられる。
【0463】
本実施形態において、基材220は、プリーツ折り目の第1のセット224と、プリーツ折り目の第2のセット226と、プリーツ折り目の第1のセット224とプリーツ折り目の第2のセット226との間に延在する複数のプリーツ228とを有する媒体パックを形成するようにプリーツが形成されたフィルター媒体である。プリーツ形成機の使用を含む様々な手段により、基材220にプリーツを形成し得る。
【0464】
基材220は、UV放射源210からのUV放射212に曝露されて、プリーツ折り目の第1のセット224を処理する。上記で記載されるが、処理により、プリーツ折り目の第1のセット224中のそれぞれのプリーツの(プリーツ折り目がトルエンに浸漬される場合の50μLの水滴についての)ロールオフ角が増加する。
【0465】
図21~24に関して議論されたように、表面222の一部である処理されたプリーツ折り目224は、基材表面222にわたってパターンを形成する。処理された表面222の部分は、基材222の未処理の部分及び/又はUV放射に曝露前の表面222と比較して、(表面がトルエンに浸漬される場合の50μLの水滴についての)増加したロールオフ角を有し得る。処理された部分及び未処理の部分の特性及び構成は、上記、特に
図21の議論において記載された処理された表面領域及び未処理の表面領域と一致する。同様に、基材220及びその表面222は、上記、特に
図21において詳細に記載されたように、様々な材料及び材料の組合せであり得る。
【0466】
プリーツ折り目の第1のセット224においてUV放射源210と基材220の表面222との間が最小であり、且つプリーツ折り目の第2のセット226において最大であるため、表面222は、プリーツ折り目の第1のセット224とプリーツ折り目の第2のセット226との間に処理勾配を示す。いくつかの実施形態において、プリーツ折り目の第2のセット226における基材の表面222は、未処理であり、且つプリーツ折り目の第1のセット222における基材220の表面222は、処理されており、且つプリーツ折り目の第1のセット224とプリーツ折り目の第2のセットとの間の基材220の表面222は、(プリーツ折り目がトルエンに浸漬される場合の50μLの水滴についての)ロールオフ角における段階的変化を示す。他のいくつかの実施形態において、UV放射への曝露後、プリーツ折り目の第2のセット226における基材の表面222は、(プリーツ折り目がトルエンに浸漬される場合の50μLの水滴についての)特定のロールオフ角を示し、且つプリーツ折り目の第1のセット224における基材220の表面222は、比較的大きいロールオフ角を示し、且つプリーツに沿った基材220の表面222は、プリーツ折り目の第1のセット224とプリーツ折り目の第2のセット226との間で(プリーツがトルエンに浸漬される場合の50μLの水滴についての)ロールオフ角における段階的変化を示す。
【0467】
いくつかの実施形態において、本実施例と一致する基材220は、UV放射への基材220の曝露中に圧縮される。そのような実施例において、UV放射へのプリーツ228の曝露は、制限される。同様に、プリーツ折り目の第2のセット226における表面222の表面のUV放射曝露も制限される。いくつかの他の実施形態において、UV放射への表面222の曝露中、基材220のプリーツを分離するために、本実施例と一致する基材220は、膨張している。そのような実施形態において、プリーツ228における基材の表面222は、UV放射に曝露される。
【0468】
いくつかの製造環境において、放出されたUV放射212への曝露のために、UV放射源210に基材220を通過させることが望ましくなる可能性がある。基材220は、いくつかの実施例において、コンベヤベルト上でUV放射源210を通過し得る。いくつかの実施例において、基材は、プリーツ形成機から放出されて、次にUV放射源210を通過することができる。UV放射源の通過は、特定の処理(UV放射曝露)時間後又は一定速度で生じる一連の分離した通過であり得る。
【0469】
図27は、いくつかの実施形態と一致する処理システムの別の実施例の概略図である。システム230は、UV放射242を放出するように構成されたUV放射源240及び第1の表面252と、プリーツ折り目の第1のセット254と、プリーツ折り目の第2のセット256と、プリーツ折り目の第1のセット254とプリーツ折り目の第2のセット256との間に延在する複数のプリーツ258とを有する基材250を有する。プリーツ258が、放出されたUV放射242へのプリーツ258の曝露を制限する、圧縮された構造で示されていることを除いて、本実施例は、
図26の例に類似している。
【0470】
図28は、本明細書に開示される技術のいくつかの実施形態と一致するフィルター媒体パック400の実施例の側面図である。基材410は、プリーツ折り目の第1のセット414とプリーツ折り目の第2のセット416との間に延在する複数のプリーツ412を画定する。基材410は、表面領域を有する。プリーツ折り目の第1のセット414中のプリーツ折り目のそれぞれは、プリーツ折り目の第1のセットがトルエンに浸漬される場合、50μLの水滴について50度~90度の範囲のロールオフ角及び90度~180度の範囲の接触角を有する。プリーツ412のそれぞれの表面領域418の少なくとも一部は、表面領域がトルエンに浸漬される場合、50μLの水滴について0度~50度のロールオフ角を有する。
【0471】
図27の議論において上記で議論されるように、
図28の媒体パックは、プリーツ412の表面領域の部分にわたって(基材がトルエンに浸漬される場合の50μLの水滴についての)ロールオフ角における段階的変化を示す。基材410は、本明細書で議論される基材と一致し得る。
【0472】
図29は、いくつかの実施形態と一致する処理システムの別の実施例の概略図である。この議論は、上記の開示、特に製造方法、代表的な処理方法の実施形態、代表的なUV放射処理基材の実施形態及び代表的な親水基含有ポリマー処理基材の実施形態の項目と一般に一致するが、それらに付け加えられる。システム260は、UV放射272を放出するように構成されたUV放射源270及び表面282を有する基材280を有する。基材表面282は、一般に平面であり、且つ基材表面282は、UV放射源270に対する角度で配置される。角度は、一般に、UV放射272が放出されるUV放射源270の平面274に対して0~90度である。
【0473】
放出されたUV放射272は、UV放射源270と基材280の表面との間の距離に基づき、基材280の表面282にわたって処理勾配を生じる。処理284された表面282の部分は、基材280の未処理の表面286と比較して、(表面がトルエンに浸漬される場合の50μLの水滴についての)増加したロールオフ角を有し得る。いくつかの実施形態において、基材表面の少なくとも一部は、表面がトルエンに浸漬される場合、50μLの水滴について50度~90度の範囲のロールオフ角及び90度~180度の範囲の接触角を有する。処理された部分284及び未処理の部分286の特性及び構成は、上記、特に
図21の議論において記載された処理された表面領域及び未処理の表面領域と一致する。同様に、基材280及びその表面282は、上記、特に
図21において詳細に記載されたように、様々な材料及び材料の組合せであり得る。
【0474】
上記で議論されるように、いくつかの実施形態において、基材280をUV放射源270に通過させる。そのような実施形態において、基材280を基材材料の供給ロールからほどき、増加又は一定速度でUV放射源270をコンベヤ通過させることができる。移動方向は、一般に、それが供給ロールなどの供給源から由来する基材の連続方向を意味する長さ方向にある。そのような実施形態において、基材280は、長さ方向においてUV放射源270に対する角度で配置され得る。代わりに、基材280は、長さ方向を横切る方向でUV放射源270に対する角度で配置され得る。
【0475】
示されたものを含む様々な実施形態において、基材280の表面282は、平面である。いくつかの他の実施形態において、基材の表面は、非平面である。例えば、基材は、プリーツ状、波状、縦溝形成されたものなどであり得る。基材280は、1つ以上の繊維でもあり得る。
【0476】
図30は、本明細書に開示される技術のいくつかの実施形態と一致する別の方法実施例80である。この議論は、上記の開示、特に製造方法、代表的な処理方法の実施形態、代表的なUV放射処理基材の実施形態及び代表的な親水基含有ポリマー処理基材の実施形態の項目と一般に一致するが、それらに付け加えられる。基材は、処理82のために配置され、UV放射は、放出84され、放出された放射の強度は、様々86であり、基材表面における差異が生じる88。
【0477】
処理82のために基材を配置することは、一般に基材の表面の少なくとも一部をUV放射源の処理範囲内に配置することを含む。基材は、本明細書に記載される他の基材と一致し得、UV放射源は、本明細書に記載されるUV放射源と一致し得る。「処理範囲」は、UV放射がUV放射源から放出される場合、それが基材の表面を変性するであろうことを意味するように意図される。変性により、表面の(表面がトルエンに浸漬される場合の50μLの水滴についての)ロールオフ角を増加させることができる。
【0478】
上記において本明細書で議論されたように、UV放射は、UV放射源から放出84される。一般に、UV放射は、基材表面を変性するために基材表面上に放出84される。基材表面上の放出されたUV放射の強度は、
図26~29の議論において上記で議論された通り、基材表面と、UV放射が放出されるUV放射源によって画定される平面との間の距離を変動することを含む様々なアプローチによって変動86させ得る。距離における変動は、(
図26~28に議論されるようにプリーツ状にされるなどの)非平面基材構造の結果であり得るか、又はUV放射が放出されるUV放射源によって画定される平面に対する基材を角度付けることによるものであり得る。代わりに、
図25に従い、基材表面から一定の距離で配置される開口部パターンを画定するマスクにより、基材表面にわたってUV処理の強度の変動を引き起こすことができる。
【0479】
以下にさらに詳細に記載される別の実施例として、放出されたUV放射は、放出されたUV放射を屈折させて、基材表面上のUV放射の強度を変動させる86ために構成されるレンズを通過することができる。さらに別の実施例として、UV放射への曝露時間の長さにおける勾配を生じるために様々な速度で基材をUV放射源に通過させ、それにより基材表面上のUV放射の強度を変動させることができる。さらに別の実施例として、放出されたUV放射は、基材表面上のUV放射の強度を変動させる86ために反射器によって反射され得る。基材表面上のUV放射の強度を変動させる86ための他のアプローチも存在し得る。
【0480】
基材表面上の放出されたUV放射の強度の変動86は、特に(基材表面がトルエンに浸漬される場合の50μLの水滴についての)ロールオフ角に関して、基材表面88における変動を生じる。
【0481】
図31は、いくつかの実施形態と一致する処理システム300の実施例の概略図である。この議論は、上記の開示、特に製造方法、代表的な処理方法の実施形態、代表的なUV放射処理基材の実施形態及び代表的な親水基含有ポリマー処理基材の実施形態の項目と一般に一致するが、それらに付け加えられる。システム300は、UV放射312を放出するように構成されたUV放射源310、放出されたUV放射を屈折するように構成されるレンズ320及び屈折されたUV放射322に曝露される表面332を有する基材330を有する。
【0482】
一般に、基材表面332は、UV放射源310の処理範囲内に配置される。レンズ320は、挿入されて、UV放射源310と基材表面332との間に配置される。放出されたUV放射312は、レンズ320によって屈折されるように構成される。基材表面332は、屈折されたUV放射322に曝露される。屈折されたUV放射322への基材表面332の曝露により、基材表面332が変性される。基材表面332への変性は、放出されたUV放射312への曝露の強度における勾配を反映する。特に、基材表面332の少なくとも一部の(表面がトルエンに浸漬される場合の50μLの水滴についての)ロールオフ角が増加する。いくつかの実施形態において、基材表面の少なくとも一部は、表面がトルエンに浸漬される場合、50μLの水滴について50度~90度の範囲のロールオフ角及び90度~180度の範囲の接触角を有する。
【0483】
図32は、いくつかの実施形態と一致する処理システムの別の実施例の概略図である。この議論は、上記の開示、特に製造方法、代表的な処理方法の実施形態、代表的なUV放射処理基材の実施形態及び代表的な親水基含有ポリマー処理基材の実施形態の項目と一般に一致するが、それらに付け加えられる。システム340は、UV放射を放出するように構成されたUV放射源350、表面362を有する基材360及びUV放射源350から基材表面362の処理位置まで延在する複数の導波管352を有する。
【0484】
一般に、基材表面332の処理位置は、複数の導波管352からの処理範囲内である。UV放射源350は、導波管352からのUV照射に基材表面362を曝露して、基材表面362の部分を変性するために、導波管352を通してUV放射を放出するように構成される。基材表面362への変性は、処理された領域及び未処理の領域のパターンを反映し、処理された領域は、一般に、(表面がトルエンに浸漬される場合の50μLの水滴についての)ロールオフ角における増加を示す。いくつかの実施形態において、基材表面の少なくとも一部は、表面がトルエンに浸漬される場合、50μLの水滴について50度~90度の範囲のロールオフ角及び90度~180度の範囲の接触角を有する。
【0485】
図25の議論に類似して、導波管352の遠位の終端354と基材表面362との間の距離より、処理された表面領域と未処理の表面領域との間に処理勾配領域が存在するかどうかが決まる。さらに、導波管の遠位の終端354が基材表面132から離れて配置される場合、処理勾配を示す表面領域がより大きくなる。
【0486】
図33は、いくつかの実施形態と一致する処理システムの別の実施例の概略図である。この議論は、上記の開示、特に製造方法、代表的な処理方法の実施形態、代表的なUV放射処理基材の実施形態及び代表的な親水基含有ポリマー処理基材の実施形態の項目と一般に一致するが、それらに付け加えられる。システム164は、UV放射162を放出するように構成されたUV放射源160、放出されたUV放射162を反射するように構成された反射器170及び反射されたUV放射172に曝露される表面168を有する基材166を有する。
【0487】
一般に、基材表面168は、UV放射源160及び反射器170の処理範囲内に配置される。反射器170は、放出されたUV放射162を受け取り、且つ受け取られたUV放射を基材表面168に反射させるように配置される。基材表面168は、反射されたUV放射172に曝露される。反射されたUV放射172への基材表面168の曝露により、基材表面168が変性される。基材表面168への変性は、基材表面168と反射器170との間の距離に基づき、反射されたUV放射162への曝露の強度における勾配を反映する。反射されたUV放射162への曝露の強度における勾配は、UV放射源160と基材表面168との間の距離にも基づき得る。特に、基材表面168の少なくとも一部の(表面がトルエンに浸漬される場合の50μLの水滴についての)ロールオフ角が増加する。いくつかの実施形態において、基材表面の少なくとも一部は、表面がトルエンに浸漬される場合、50μLの水滴について50度~90度の範囲のロールオフ角及び90度~166度の範囲の接触角を有する。
【0488】
いくつかの実施形態において、反射器170は、鏡であるが、他の実施形態において、反射器170は、(拡散反射ではなく)UV放射の鏡面反射のために構成される別の構成要素である。反射器170は、いくつかの実施形態において、放出されたUV放射162を屈折させることもできる。
【0489】
表9は、異なるレベルの処理を有する4つの基材の燃料-水分離試験の結果を示す。それぞれの基材は、上記の基材7を含んだ。1つの基材は、ベースラインを示すために未処理であり、第2の基材は、20分間、マスクを通してUV放射によって処理し、処理された領域のパターンを形成した。マスクは、基材上に配置され、直径約3mmのパターンで円形開口部を画定した。マスク中の開口部により、基材表面の約半分がUV放射に曝露される。第3の基材は、20分間、同一のマスクを通してUV放射及びオゾンによって処理し、この時点でマスクを除去し、基材の全表面をさらに10分間、UV放射及びオゾンに曝露した。第4の基材表面の全部を20分間(いずれの処理のパターン化もない状態で)UV放射及びオゾンに曝露した。基材が多層媒体にパックされなかったことを除き、上記の液滴サイジング試験の項目と一致して液滴径試験を実行した。結果を以下に報告する。ここで、パターンで処理された基材の液滴サイジング結果は、完全に処理された基材を使用して形成された液滴よりも小さいことが見られる。しかしながら、パターンで処理された基材は、未処理の基材よりも大きい液滴を生じる。
【0490】
【0491】
追加的な実施形態
実施形態1.基材を処理する方法であって、
開口部パターンを画定するマスクを通して紫外線(UV)放射をフィルターすることと;
基材の表面を、フィルターされたUV放射に曝露して、表面の一部を処理することと
を含む方法。
【0492】
実施形態2.基材の表面は、平面である、実施形態1及び3~18のいずれか1つの方法。
【0493】
実施形態3.表面の処理された部分は、表面がトルエンに浸漬される場合、50μLの水滴について50度~90度の範囲のロールオフ角及び90度~180度の範囲の接触角を有する、実施形態1~2及び4~18のいずれか1つの方法。
【0494】
実施形態4.表面の一部を処理することは、表面の未処理部分を生じさせ、且つ表面の未処理部分は、表面がトルエンに浸漬される場合、50μLの水滴について0度~50度のロールオフ角を有する、実施形態1~3及び5~18のいずれか1つの方法。
【0495】
実施形態5.基材の表面は、非平面である、実施形態1~4及び6~18のいずれか1つの方法。
【0496】
実施形態6.表面の処理された部分は、基材表面にわたってパターンを画定する、実施形態1~5及び7~18のいずれか1つの方法。
【0497】
実施形態7.基材の表面は、芳香族成分及び不飽和成分の少なくとも1つを含む、実施形態1~6及び8~18のいずれか1つの方法。
【0498】
実施形態8.基材は、フィルター媒体を含む、実施形態1~7及び9~18のいずれか1つの方法。
【0499】
実施形態9.処理された表面は、50度~90度の範囲、60度~90度の範囲、70度~90度の範囲又は80度~90度の範囲のロールオフ角を有する、実施形態1~8及び10~18のいずれか1つの方法。
【0500】
実施形態10.UV放射は、180nm~210nmの範囲の第1の波長及び210nm~280nmの範囲の第2の波長を含む、実施形態1~9及び11~18のいずれか1つの方法。
【0501】
実施形態11.UV放射は、185nmの波長を含む、実施形態1~10及び12~18のいずれか1つの方法。
【0502】
実施形態12.UV放射は、254nmの波長を含む、実施形態1~11及び13~18のいずれか1つの方法。
【0503】
実施形態13.UV放射は、350nm~370nmの範囲の波長を含む、実施形態1~12及び14~18のいずれか1つの方法。
【0504】
実施形態14.UV放射は、300μW/cm2~200mW/cm2の範囲である、実施形態1~13及び15~18のいずれか1つの方法。
【0505】
実施形態15.表面を、フィルターされたUV放射に曝露しながら、表面をH2O2に曝露することをさらに含む、実施形態1~14及び16~18のいずれか1つの方法。
【0506】
実施形態16.表面を、フィルターされたUV放射に曝露しながら、表面をオゾンに曝露することをさらに含む、実施形態1~15及び17~18のいずれか1つの方法。
【0507】
実施形態17.表面を、フィルターされたUV放射に曝露しながら、表面を酸素に曝露することをさらに含む、実施形態1~16及び18のいずれか1つの方法。
【0508】
実施形態18.表面をUV放射に曝露することは、2秒~20分の範囲の期間にわたるものである、実施形態1~17のいずれか1つの方法。
【0509】
実施形態19.繊維の表面を処理する方法であって、
開口部パターンを画定するマスクを通してUV放射をフィルターすることと;
繊維の表面を、フィルターされたUV放射に曝露して、繊維の表面の一部を処理することと;
繊維から基材を形成することであって、基材は、表面を有する、形成することと
を含む方法。
【0510】
実施形態20.基材の表面は、基材表面がトルエンに浸漬される場合、50μLの水滴について、未処理の繊維から形成される基材と比較して増加したロールオフ角を有する、実施形態19及び21~29のいずれか1つの方法。
【0511】
実施形態21.基材の表面は、表面がトルエンに浸漬される場合、50μLの水滴について50度~90度の範囲のロールオフ角及び90度~180度の範囲の接触角を有する、実施形態19~20及び22~29のいずれか1つの方法。
【0512】
実施形態22.繊維表面の処理された部分は、繊維表面にわたってパターンを画定する、実施形態19~21及び23~29のいずれか1つの方法。
【0513】
実施形態23.繊維の表面は、芳香族成分及び不飽和成分の少なくとも1つを含む、実施形態19~22及び24~29のいずれか1つの方法。
【0514】
実施形態24.繊維の処理された表面は、安定している、実施形態19~23及び25~29のいずれか1つの方法。
【0515】
実施形態25.繊維は、フェノール樹脂を含む、実施形態19~24及び26~29のいずれか1つの方法。
【0516】
実施形態26.繊維は、芳香族成分及び不飽和成分の少なくとも1つを含む、実施形態19~25及び27~29のいずれか1つの方法。
【0517】
実施形態27.繊維表面を処理することは、表面をUV放射に2秒~20分の範囲の時間にわたって曝露することを含む、実施形態19~26及び28~29のいずれか1つの方法。
【0518】
実施形態28.繊維表面を処理することは、表面を、350nm~370nmの範囲の波長を含む紫外線(UV)放射に曝露することを含む、実施形態19~27及び29のいずれか1つの方法。
【0519】
実施形態29.UV放射は、254nmの波長を含む、実施形態19~28のいずれか1つの方法。
【0520】
実施形態30.基材であって、UV放射によって処理された表面領域及びUV放射によって処理されていない表面領域を画定する基材の第1の表面を含み、UV放射によって処理された表面領域は、パターンを画定する、基材。
【0521】
実施形態31.UV放射によって処理された表面領域は、第1の表面がトルエンに浸漬される場合、50μLの水滴について50度~90度の範囲のロールオフ角及び90度~180度の範囲の接触角を画定する、実施形態30及び32~41のいずれか1つの基材。
【0522】
実施形態32.UV放射によって処理されていない表面領域は、第1の表面がトルエンに浸漬される場合、50μLの水滴について0度~50度のロールオフ角を画定する、実施形態30~31及び33~41のいずれか1つの基材。
【0523】
実施形態33.UV放射によって処理された表面領域は、芳香族成分及び不飽和成分の少なくとも1つを含み、且つUV放射によって処理されていない表面領域は、芳香族成分及び不飽和成分を含まない、実施形態30~32及び34~41のいずれか1つの基材。
【0524】
実施形態34.フィルター媒体を含む、実施形態30~33及び35~41のいずれか1つの基材。
【0525】
実施形態35.第1の表面を形成する繊維ウェブを含む、実施形態30~34及び36~41のいずれか1つの基材。
【0526】
実施形態36.第1の表面を形成する膜を含む、実施形態30~35及び37~41のいずれか1つの基材。
【0527】
実施形態37.第1の表面を形成する不織繊維ウェブを含む、実施形態30~36及び38~41のいずれか1つの基材。
【0528】
実施形態38.UV放射によって処理された表面は、60度~90度の範囲、70度~90度の範囲又は80度~90度の範囲のロールオフ角を有する、実施形態30~37及び39~41のいずれか1つの基材。
【0529】
実施形態39.UV放射によって処理された表面は、セルロース、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、ガラス又はそれらの組合せを含む、実施形態30~38及び40~41のいずれか1つの基材。
【0530】
実施形態40.セルロース、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、ガラス又はそれらの組合せを含む、実施形態30~39及び41のいずれか1つの基材。
【0531】
実施形態41.芳香族成分及び不飽和成分の少なくとも1つを含む、実施形態30~40のいずれか1つの基材。
【0532】
実施形態42.1つ以上の処理された表面領域と、1つ以上の未処理の表面領域とを画定する第1の表面を含む基材であって、1つ以上の処理された表面領域は、第1の表面がトルエンに浸漬される場合、50μLの水滴について、未処理の表面領域よりも高いロールオフ角を有し、1つ以上の処理された表面領域は、第1の表面上にパターンを画定する、基材。
【0533】
実施形態43.1つ以上の処理された表面領域は、複数の分離した領域を含む、実施形態42及び44~54のいずれか1つの基材。
【0534】
実施形態44.フィルター媒体を含む、実施形態42~43及び45~54のいずれか1つの基材。
【0535】
実施形態45.第1の表面を形成する繊維ウェブを含む、実施形態42~44及び46~54のいずれか1つの基材。
【0536】
実施形態46.第1の表面を形成する膜を含む、実施形態42~45及び47~54のいずれか1つの基材。
【0537】
実施形態47.第1の表面を形成する不織繊維ウェブを含む、実施形態42~46及び48~54のいずれか1つの基材。
【0538】
実施形態48.1つ以上の未処理の表面領域は、第1の表面がトルエンに浸漬される場合、50μLの水滴について0度~50度のロールオフ角を画定する、実施形態42~47及び49~54のいずれか1つの基材。
【0539】
実施形態49.1つ以上の処理された表面領域は、芳香族成分及び不飽和成分の少なくとも1つを含み、且つ1つ以上の未処理の表面領域は、芳香族成分及び不飽和成分を含まない、実施形態42~48及び50~54のいずれか1つの基材。
【0540】
実施形態50.1つ以上の未処理の表面領域は、第1の表面がトルエンに浸漬される場合、50μLの水滴について50度~90度の範囲のロールオフ角及び90度~180度の範囲の接触角を有する、実施形態42~49及び51~54のいずれか1つの基材。
【0541】
実施形態51.第1の表面は、安定している、実施形態42~50及び52~54のいずれか1つの基材。
【0542】
実施形態52.最大で2mmの平均直径を有する細孔を画定する、実施形態42~51及び53~54のいずれか1つの基材。
【0543】
実施形態53.フェノール樹脂をさらに含む、実施形態42~52及び54のいずれか1つの基材。
【0544】
実施形態54.芳香族成分及び不飽和成分の少なくとも1つをさらに含む、実施形態42~53のいずれか1つの基材。
【0545】
実施形態55.プリーツ状フィルター媒体を処理する方法であって、
フィルター媒体にプリーツを形成して、プリーツ折り目の第1のセットと、プリーツ折り目の第2のセットと、プリーツ折り目の第1のセットとプリーツ折り目の第2のセットとの間に延在する複数のプリーツとを有する媒体パックを形成することと;
プリーツ折り目の第1のセットをUV放射に曝露して、プリーツ折り目がトルエンに浸漬される場合の50μLの水滴についてのロールオフ角を増加させることと
を含む方法。
【0546】
実施形態56.プリーツ折り目の第1のセット中のそれぞれのプリーツは、プリーツ折り目がトルエンに浸漬される場合、50μLの水滴について50度~90度の範囲のロールオフ角及び90度~180度の範囲の接触角を有する、実施形態55及び57~64のいずれか1つの方法。
【0547】
実施形態57.プリーツ折り目の第1のセットを曝露する間、プリーツ状フィルター媒体を圧縮し、それによりUV放射へのプリーツの曝露を制限することをさらに含む、実施形態55~56及び58~64のいずれか1つの方法。
【0548】
実施形態58.プリーツ折り目の第1のセットを曝露する間、プリーツ状フィルター媒体のプリーツを分離し、それによりプリーツ状フィルター媒体のプリーツをUV放射に曝露することをさらに含む、実施形態55~57及び59~64のいずれか1つの方法。
【0549】
実施形態59.プリーツ折り目の第1のセットを曝露することは、プリーツ状フィルター媒体をUV放射に通過させることを含む、実施形態55~58及び60~64のいずれか1つの方法。
【0550】
実施形態60.フィルター媒体は、芳香族成分及び不飽和成分の少なくとも1つを含む、実施形態55~59及び61~64のいずれか1つの方法。
【0551】
実施形態61.プリーツ折り目の第1のセットをUV放射に曝露しながら、プリーツ折り目の第1のセットを酸素に曝露することをさらに含む、実施形態55~60及び62~64のいずれか1つの方法。
【0552】
実施形態62.UV放射は、180nm~210nmの範囲の第1の波長及び210nm~280nmの範囲の第2の波長を含む、実施形態55~61及び63~64のいずれか1つの方法。
【0553】
実施形態63.UV放射は、254nmの波長を含む、実施形態55~62及び64のいずれか1つの方法。
【0554】
実施形態64.UV放射は、300μW/cm2~200mW/cm2の範囲である、実施形態55~63のいずれか1つの方法。
【0555】
実施形態65.プリーツ折り目の第1のセットとプリーツ折り目の第2のセットとの間に延在する複数のプリーツを画定する基材を含むフィルター媒体パックであって、プリーツ折り目の第1のセット中のプリーツ折り目のそれぞれは、プリーツ折り目の第1のセットがトルエンに浸漬される場合、50μLの水滴について50度~90度の範囲のロールオフ角及び90度~180度の範囲の接触角を有し、プリーツのそれぞれの表面領域の少なくとも一部は、表面領域がトルエンに浸漬される場合、50μLの水滴について0度~50度のロールオフ角を有する、フィルター媒体パック。
【0556】
実施形態66.プリーツがトルエンに浸漬される場合の50μLの水滴についてのプリーツのそれぞれの表面領域の一部にわたるロールオフ角において段階的変化がある、実施形態65及び67~72のいずれか1つの媒体パック。
【0557】
実施形態67.基材は、フィルター媒体を含む、実施形態65~66及び68~72のいずれか1つの媒体パック。
【0558】
実施形態68.基材は、芳香族成分及び不飽和成分の少なくとも1つを含む、実施形態65~67及び69~72のいずれか1つの媒体パック。
【0559】
実施形態69.表面は、フィルター媒体パックの下流側面を画定する、実施形態65~68及び70~72のいずれか1つの媒体パック。
【0560】
実施形態70.基材は、セルロース、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、ガラス又はそれらの組合せを含む、実施形態65~69及び71~72のいずれか1つの媒体パック。
【0561】
実施形態71.プリーツ折り目の第1のセットのプリーツのそれぞれは、60度~90度の範囲、70度~90度の範囲又は80度~90度の範囲のロールオフ角を有する、実施形態65~70及び72のいずれか1つの媒体パック。
【0562】
実施形態72.最大で2mmの平均直径を有する細孔を画定する、実施形態65~71のいずれか1つの媒体パック。
【0563】
実施形態73.基材表面をUV放射源の処理範囲内に配置することであって、基材表面は、平面であり、基材表面を配置することは、UV放射源に対して0~90度に基材表面を角度付けることを含む、配置することと;
UV放射源からUV放射を放出して、基材表面を処理し、それにより基材表面にわたってUV処理における勾配を生じさせることと
を含む方法。
【0564】
実施形態74.基材表面を角度付けることは、基材の長さ方向におけるものである、実施形態73及び75~81のいずれか1つの方法。
【0565】
実施形態75.基材表面を角度付けることは、基材の幅方向におけるものである、実施形態73~74及び76~81のいずれか1つの方法。
【0566】
実施形態76.UV放射源は、UV放射が放出される平面を画定し、且つ基材表面と平面との間の角度は、0~90度である、実施形態73~75及び77~81のいずれか1つの方法。
【0567】
実施形態77.基材は、フィルター媒体を含む、実施形態73~76及び78~81のいずれか1つの方法。
【0568】
実施形態78.基材表面の少なくとも一部は、表面がトルエンに浸漬される場合、50μLの水滴について50度~90度の範囲のロールオフ角及び90度~180度の範囲の接触角を有する、実施形態73~77及び79~81のいずれか1つの方法。
【0569】
実施形態79.基材は、芳香族成分及び不飽和成分の少なくとも1つを含む、実施形態73~78及び80~81のいずれか1つの方法。
【0570】
実施形態80.UV放射は、180nm~210nmの範囲の第1の波長及び210nm~280nmの範囲の第2の波長を含む、実施形態73~79及び81のいずれか1つの方法。
【0571】
実施形態81.UV放射は、254nmの波長を含む、実施形態73~80のいずれか1つの方法。
【0572】
実施形態82.基材表面の少なくとも一部をUV放射源の処理範囲内に配置することと;
基材表面上にUV放射源からUV放射を放出することと;
放出されたUV放射の強度を基材表面上で変更し、それにより基材表面にわたってUV処理の様々な強度を生じさせることと
を含む方法。
【0573】
実施形態83.UV放射源は、UV放射が放出される平面を画定し、且つ放出されたUV放射の強度を基材表面上で変更することは、平面と基材表面との間の距離を変更することの結果である、実施形態82及び84~93のいずれか1つの方法。
【0574】
実施形態84.平面と基材表面との間の距離を変更することは、基材表面を非平面構造に構成することの結果である、実施形態82~83及び85~93のいずれか1つの方法。
【0575】
実施形態85.放出されたUV放射の強度を基材表面上で変更することは、UV放射源と基材表面との間にレンズを挿入することにより、放出されたUV放射を屈折させることを含む、実施形態82~84及び86~93のいずれか1つの方法。
【0576】
実施形態86.放出されたUV放射の強度を基材表面上で変更することは、UV放射源に対して基材表面を角度付けることを含む、実施形態82~86及び87~93のいずれか1つの方法。
【0577】
実施形態87.放出されたUV放射の強度を基材表面上で変更することは、様々な速度で基材表面をUV放射源に通過させることを含む、実施形態82~86及び88~93のいずれか1つの方法。
【0578】
実施形態88.放出されたUV放射の強度を基材表面上で変更することは、UV放射源からの放出されたUV放射を基材上の反射器から反射することを含む、実施形態82~87及び89~93のいずれか1つの方法。
【0579】
実施形態89.基材表面は、実質的に平面である、実施形態82~88及び90~93のいずれか1つの方法。
【0580】
実施形態90.基材は、フィルター媒体を含む、実施形態82~89及び91~93のいずれか1つの方法。
【0581】
実施形態 処理された表面の少なくとも一部は、基材表面がトルエンに浸漬される場合、50μLの水滴について50度~90度の範囲のロールオフ角及び90度~180度の範囲の接触角を有する、実施形態82~90及び92~93のいずれか1つの方法。
【0582】
実施形態92.基材は、芳香族成分及び不飽和成分の少なくとも1つを含む、実施形態82~91及び93のいずれか1つの方法。
【0583】
実施形態93.UV放射は、300μW/cm2~200mW/cm2の範囲である、実施形態82~92のいずれか1つの方法。
【0584】
実施形態94.基材表面をUV放射源の処理範囲内に配置することと;
UV放射源と基材表面との間にレンズを挿入することと;
UV放射源から且つレンズを通してUV放射を放出し、それにより、放出されたUV放射を屈折させることと;
基材表面を、レンズからの屈折されたUV放射に曝露して、基材表面を変性することと
を含む方法。
【0585】
実施形態95.基材表面を曝露することは、UV放射への曝露の強度における勾配を反映する基材表面における変性をもたらす、実施形態94及び96~103のいずれか1つの方法。
【0586】
実施形態96.基材は、フィルター媒体を含む、実施形態94~及び~103のいずれか1つの方法。
【0587】
実施形態97.基材表面の少なくとも一部は、表面がトルエンに浸漬される場合、50μLの水滴について50度~90度の範囲のロールオフ角及び90度~180度の範囲の接触角を有する、実施形態94~96及び98~103のいずれか1つの方法。
【0588】
実施形態98.基材表面は、芳香族成分及び不飽和成分の少なくとも1つを含む、実施形態94~97及び99~103のいずれか1つの方法。
【0589】
実施形態99.UV放射は、350nm~370nmの範囲の波長を含む、実施形態94~98及び100~103のいずれか1つの方法。
【0590】
実施形態100.基材表面は、安定している、実施形態94~99及び101~103のいずれか1つの方法。
【0591】
実施形態101.表面を、フィルターされたUV放射に曝露しながら、表面を酸素に曝露することをさらに含む、実施形態94~100及び102~103のいずれか1つの方法。
【0592】
実施形態102.表面をUV放射に曝露することは、2秒~20分の範囲の期間にわたるものである、実施形態94~101及び103のいずれか1つの方法。
【0593】
実施形態103.UV放射は、180nm~210nmの範囲の第1の波長及び210nm~280nmの範囲の第2の波長を含む、実施形態94~102のいずれか1つの方法。
【0594】
実施形態104.1つ以上の導波管をUV放射源から処理位置まで延在させることと;
基材表面を処理位置のUV処理範囲内に配置することと;
UV放射源から且つ1つ以上の導波管を通してUV放射を放出することと;
基材表面を1つ以上の導波管からのUV放射に曝露して、基材表面の部分を変性することと
を含む方法。
【0595】
実施形態105.基材は、フィルター媒体を含む、実施形態104及び106~113のいずれか1つの方法。
【0596】
実施形態106.基材表面の変性された部分は、表面がトルエンに浸漬される場合、50μLの水滴について50度~90度の範囲のロールオフ角及び90度~180度の範囲の接触角を有する、実施形態104~105及び107~113のいずれか1つの方法。
【0597】
実施形態107.基材表面は、芳香族成分及び不飽和成分の少なくとも1つを含む、実施形態104~106及び108~113のいずれか1つの方法。
【0598】
実施形態108.UV放射は、185nmの波長を含む、実施形態104~107及び109~113のいずれか1つの方法。
【0599】
実施形態109.UV放射は、350nm~370nmの範囲の波長を含む、実施形態104~108及び110~113のいずれか1つの方法。
【0600】
実施形態110.UV放射は、300μW/cm2~200mW/cm2の範囲である、実施形態104~109及び111~113のいずれか1つの方法。
【0601】
実施形態111.表面をUV放射に曝露しながら、表面をH2O2に曝露することをさらに含む、実施形態104~110及び112~113のいずれか1つの方法。
【0602】
実施形態112.表面をUV放射に曝露しながら、表面を酸素に曝露することをさらに含む、実施形態104~111及び113のいずれか1つの方法。
【0603】
実施形態113.表面をUV放射に曝露することは、2秒~20分の範囲の期間にわたるものである、実施形態104~112のいずれか1つの方法。
【0604】
実施形態114.基材表面を処理位置に配置することと;
UV放射源からUV放射を放出することと;
放出されたUV放射を受け取り、且つ受け取られたUV放射を基材表面に反射するように反射器を配置することと;
基材表面を、反射器からの反射されたUV放射に曝露して、基材表面を変性することと
を含む方法。
【0605】
実施形態115.基材は、フィルター媒体を含む、実施形態114及び116~122のいずれか1つの方法。
【0606】
実施形態116.変性された基材表面は、表面がトルエンに浸漬される場合、50μLの水滴について50度~90度の範囲のロールオフ角及び90度~180度の範囲の接触角を有する、実施形態114~115及び117~122のいずれか1つの方法。
【0607】
実施形態117.基材表面は、芳香族成分及び不飽和成分の少なくとも1つを含む、実施形態114~116及び118~122のいずれか1つの方法。
【0608】
実施形態118.UV放射は、300μW/cm2~200mW/cm2の範囲である、実施形態114~117及び119~122のいずれか1つの方法。
【0609】
実施形態119.UV放射は、180nm~210nmの範囲の第1の波長及び210nm~280nmの範囲の第2の波長を含む、実施形態114~118及び120~122のいずれか1つの方法。
【0610】
実施形態120.表面を処理することは、表面をH2O2に曝露することをさらに含む、実施形態114~119及び121~122のいずれか1つの方法。
【0611】
実施形態121.表面を処理することは、表面を、350nm~370nmの範囲の波長を含む紫外線(UV)放射に曝露することを含む、実施形態114~120及び122のいずれか1つの方法。
【0612】
実施形態122.表面を処理することは、表面をUV放射に2秒~20分の範囲の時間にわたって曝露することを含む、実施形態114~121のいずれか1つの方法。
【0613】
実施形態123.基材を処理する方法であって、基材表面にコーティングを適用して、第1のパターンを画定するコーティングされた表面及び第2のパターンを画定する未コーティングの表面を画定することを含み、コーティングされた表面及び未コーティングの表面の一方は、表面がトルエンに浸漬される場合、50μLの水滴について、コーティングされた表面及び未コーティングの表面の他方と比較して増加したロールオフ角を有する、方法。
【0614】
実施形態124.コーティングを適用した後、基材表面をUV放射に曝露し、コーティングされた表面及び未コーティングの表面の一方の処理をもたらすことをさらに含む、実施形態123及び125~133のいずれか1つの方法。
【0615】
実施形態125.基材表面をUV放射に曝露することは、コーティングされた表面の変性をもたらす、実施形態123~124及び126~133のいずれか1つの方法。
【0616】
実施形態126.基材表面をUV放射に曝露することは、未コーティングの表面の変性をもたらす、実施形態123~125及び127~133のいずれか1つの方法。
【0617】
実施形態127.基材は、フィルター媒体を含む、実施形態123~126及び128~133のいずれか1つの方法。
【0618】
実施形態128.コーティングは、繊維層を含む、実施形態123~127及び129~133のいずれか1つの方法。
【0619】
実施形態129.コーティングは、ナノ繊維を含む、実施形態123~128及び130~133のいずれか1つの方法。
【0620】
実施形態130.コーティングされた表面及び未コーティングの表面の少なくとも1つのロールオフ角は、表面がトルエンに浸漬される場合、50μLの水滴について50度~90度の範囲であり、且つコーティングされた表面及び未コーティングの表面の他方のロールオフ角は、0度~50度である、実施形態123~129及び131~133のいずれか1つの方法。
【0621】
実施形態131.基材表面をUV放射に曝露することは、基材をUV放射源に通過させることを含む、実施形態123~130及び132~133のいずれか1つの方法。
【0622】
実施形態132.コーティングは、親水基含有ポリマーを含み、且つ未コーティングの表面は、親水基含有ポリマーを含まない、実施形態123~131及び133のいずれか1つの方法。
【0623】
実施形態133.未コーティングの表面は、親水基含有ポリマーを含み、且つコーティングされた表面は、親水基含有ポリマーを含まない、実施形態123~132のいずれか1つの方法。
【0624】
本明細書に引用される全ての特許、特許出願及び刊行物並びに電子的に入手可能な資料の全開示は、参照によって組み込まれる。いずれかの不整合性が、本出願の開示と、参照によって本明細書に組み込まれるいずれの文献の開示との間に存在する場合、本出願の開示が優先されるべきである。上記の詳細な説明及び実施例は、理解の明澄性のためにのみ与えられた。それらから不要な限定が理解されることはない。本技術は、示され且つ記載された正確な詳細に限定されることなく、当業者にとって明らかな変形形態は、請求項の範囲内に含まれるであろう。
【0625】
他に明記されない限り、本明細書及び請求項において使用される成分の量、分子量などを表す全ての数値は、全ての例において、「約」という用語によって修飾されているものとして理解されるべきである。したがって、他に明記されない限り、本明細書及び請求項において明示された数値パラメーターは、本技術によって得られることが求められる所望の特性次第で変動し得る近似である。少なくとも且つ均等物の教義を請求項の範囲に限定する試みとしてではなく、それぞれの数値パラメーターは、少なくとも報告された有効である桁の数値の見地において且つ通常の切上げ機能技術を適用することによって解釈されるべきである。
【0626】
本技術の広い範囲を明示する数値範囲及びパラメーターが近似であるにもかかわらず、特定の実施例において明示された数値は、可能な限り正確に報告される。しかしながら、全ての数値は、それらのそれぞれの試験測定に見られる標準偏差から必ず得られる範囲を本質的に含む。
【0627】
全ての表題は、読者の便宜のためのものであり、そのように指定されない限り、表題後に続く本文の意味を限定するために使用されるべきではない。