(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】修理ネットワーク、サーバ及び修理ネットワーク用のプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20231226BHJP
【FI】
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2021078014
(22)【出願日】2021-04-30
【審査請求日】2022-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】向後 宏亮
【審査官】塩田 徳彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-067499(JP,A)
【文献】特開2003-058653(JP,A)
【文献】特開2015-161977(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0226853(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の修理を依頼する顧客が所有する顧客端末と、前記車両を修理できる工員が
修理時に携帯する工員端末と、前記顧客端末及び前記工員端末と通信可能なサーバと、を備えた修理ネットワークであって、
前記サーバは、
車両故障情報を前記顧客端末から受信する第1受信部と、
前記車両故障情報を受信した後、前記工員のリストを送信する第1送信部と、
前記顧客が前記リストの中から選択した前記工員への修理依頼を示す修理依頼情報を前記顧客端末から受信する第2受信部と、
前記修理依頼情報を受信した後、前記顧客端末、及び、前記顧客が修理依頼した前記工員が
修理時に携帯する前記工員端末、で互いの位置情報を共有
して、前記顧客端末及び前記工員端末に、前記顧客及び前記工員の位置情報が示された位置共有画面が表示されるように、前記顧客端末及び前記工員端末を制御する第1情報共有部と、を有し、
前記顧客端末は、
前記車両故障情報を前記サーバに送信する第2送信部と、
前記サーバから前記工員のリストを受信する第3受信部と、
前記工員のリストの中から選択した前記工員を入力する第1入力部と、
前記第1入力部により入力された前記工員への修理依頼を示す前記修理依頼情報を前記サーバに送信する第3送信部と、を有する、
修理ネットワーク。
【請求項2】
請求項1に記載の修理ネットワークにおいて、
前記顧客の家族又は知人が所有する端末として登録された家族・知人端末をさらに備え、
前記サーバは、前記車両故障情報を受信した後、前記顧客端末及び前記家族・知人端末で互いの位置情報を共有できるように前記顧客端末及び前記家族・知人端末を制御する第2情報共有部を有する、
修理ネットワーク。
【請求項3】
請求項2に記載の修理ネットワークにおいて、
前記サーバは、前記修理依頼情報を受信した後、前記家族・知人端末に前記工員端末の位置情報を提供する第1情報提供部を有する、
修理ネットワーク。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1項に記載の修理ネットワークにおいて、
前記工員を管理する管理者が所有する端末として登録された管理者端末をさらに備え、
前記サーバは、前記修理依頼情報を受信した後、前記管理者端末に前記顧客端末及び前記工員端末の位置情報を提供する第2情報提供部を有する、
修理ネットワーク。
【請求項5】
請求項1~4の何れか1項に記載の修理ネットワークにおいて、
前記顧客端末は、前記工員のリストの中から選択した工員を入力する第2入力部と、
前記第2入力部により入力された前記工員への相談依頼を示す相談依頼情報を前記サーバに送信する第4送信部と、を有し、
前記サーバは、前記相談依頼情報を受信すると、前記顧客端末及び前記工員端末を用いて前記顧客が前記工員に相談できるように前記顧客端末及び前記工員端末を制御する相談制御部を有する、
修理ネットワーク。
【請求項6】
車両の修理を依頼する顧客が所有する顧客端末と、前記車両を修理できる工員が
修理時に携帯する工員端末と、通信可能なサーバであって、
車両故障情報を前記顧客端末から受信する第1受信部と、
前記車両故障情報を受信した後、前記工員のリストを送信する第1送信部と、
前記顧客が前記リストの中から選択した前記工員への修理依頼を示す修理依頼情報を前記顧客端末から受信する第2受信部と、
前記修理依頼情報を受信した後、前記顧客端末、及び、前記顧客が修理依頼した前記工員が
修理時に携帯する前記工員端末、で互いの位置情報を共有
して、前記顧客端末及び前記工員端末に、前記顧客及び前記工員の位置情報が示された位置共有画面が表示されるように、前記顧客端末及び前記工員端末を制御する第1情報共有部と、を有する、
を備えた、
サーバ。
【請求項7】
コンピュータに、
車両の修理を依頼する顧客が所有する顧客端末から車両故障情報を受信する第1受信部と、
前記車両故障情報を受信した後、前記車両を修理できる工員のリストを送信する第1送信部と、
前記顧客が前記リストの中から選択した前記工員への修理依頼を示す修理依頼情報を前記顧客端末から受信する第2受信部と、
前記修理依頼情報を受信した後、前記顧客端末、及び、前記顧客が修理依頼した前記工員が
修理時に携帯する工員端末、で互いの位置情報を共有
して、前記顧客端末及び前記工員端末に、前記顧客及び前記工員の位置情報が示された位置共有画面が表示されるように、前記顧客端末及び前記工員端末を制御する第1情報共有部として機能させる、
修理ネットワーク用のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、修理ネットワーク、サーバ及び修理ネットワーク用のプログラム、に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両が故障したときに、車両周辺の修理工場を案内するシステムが提案されている(特許文献1~3)。しかしながら、タイヤのパンクなど故障の種類によっては自走できない場合もあり、修理工場まで車両を移動することができないこともある。自走できない場合、顧客は、ロードサービス会社に電話して、工員に現地まで来てもらう必要がある。
【0003】
現地まで来てもらう工員は、ロードサービス会社が適宜決めている。しかしながら、例えば人通りが少ない山間部などで故障した場合、車両が故障して身動きが取れない顧客としては、素性のよく分からない工員に現地まで来てもらうのは非常に不安である。特に女性の場合、その不安は大きい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-288767号公報
【文献】特開2002-109690号公報
【文献】特開2005-45501号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、顧客の不安を払拭して迅速に車両を修理することができる修理ネットワーク、サーバ及び修理ネットワーク用のプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述した目的を達成するために、本発明に係る修理ネットワーク、サーバ及び修理ネットワーク用のプログラムは、下記[1]~[7]を特徴としている。
[1]
車両の修理を依頼する顧客が所有する顧客端末と、前記車両を修理できる工員が修理時に携帯する工員端末と、前記顧客端末及び前記工員端末と通信可能なサーバと、を備えた修理ネットワークであって、
前記サーバは、
車両故障情報を前記顧客端末から受信する第1受信部と、
前記車両故障情報を受信した後、前記工員のリストを送信する第1送信部と、
前記顧客が前記リストの中から選択した前記工員への修理依頼を示す修理依頼情報を前記顧客端末から受信する第2受信部と、
前記修理依頼情報を受信した後、前記顧客端末、及び、前記顧客が修理依頼した前記工員が修理時に携帯する前記工員端末、で互いの位置情報を共有して、前記顧客端末及び前記工員端末に、前記顧客及び前記工員の位置情報が示された位置共有画面が表示されるように、前記顧客端末及び前記工員端末を制御する第1情報共有部と、を有し、
前記顧客端末は、
前記車両故障情報を前記サーバに送信する第2送信部と、
前記サーバから前記工員のリストを受信する第3受信部と、
前記工員のリストの中から選択した前記工員を入力する第1入力部と、
前記第1入力部により入力された前記工員への修理依頼を示す前記修理依頼情報を前記サーバに送信する第3送信部と、を有する、
修理ネットワークであること。
[2]
[1]に記載の修理ネットワークにおいて、
前記顧客の家族又は知人が所有する端末として登録された家族・知人端末をさらに備え、
前記サーバは、前記車両故障情報を受信した後、前記顧客端末及び前記家族・知人端末で互いの位置情報を共有できるように前記顧客端末及び前記家族・知人端末を制御する第2情報共有部を有する、
修理ネットワークであること。
[3]
[2]に記載の修理ネットワークにおいて、
前記サーバは、前記修理依頼情報を受信した後、前記家族・知人端末に前記工員端末の位置情報を提供する第1情報提供部を有する、
修理ネットワークであること。
[4]
[1]~[3]の何れか1項に記載の修理ネットワークにおいて、
前記工員を管理する管理者が所有する端末として登録された管理者端末をさらに備え、
前記サーバは、前記修理依頼情報を受信した後、前記管理者端末に前記顧客端末及び前記工員端末の位置情報を提供する第2情報提供部を有する、
修理ネットワークであること。
[5]
[1]~[4]の何れか1項に記載の修理ネットワークにおいて、
前記顧客端末は、前記工員のリストの中から選択した工員を入力する第2入力部と、
前記第2入力部により入力された前記工員への相談依頼を示す相談依頼情報を前記サーバに送信する第4送信部と、を有し、
前記サーバは、前記相談依頼情報を受信すると、前記顧客端末及び前記工員端末を用いて前記顧客が前記工員に相談できるように前記顧客端末及び前記工員端末を制御する相談制御部を有する、
修理ネットワークであること。
[6]
車両の修理を依頼する顧客が所有する顧客端末と、前記車両を修理できる工員が修理時に携帯する工員端末と、通信可能なサーバであって、
車両故障情報を前記顧客端末から受信する第1受信部と、
前記車両故障情報を受信した後、前記工員のリストを送信する第1送信部と、
前記顧客が前記リストの中から選択した前記工員への修理依頼を示す修理依頼情報を前記顧客端末から受信する第2受信部と、
前記修理依頼情報を受信した後、前記顧客端末、及び、前記顧客が修理依頼した前記工員が修理時に携帯する前記工員端末、で互いの位置情報を共有して、前記顧客端末及び前記工員端末に、前記顧客及び前記工員の位置情報が示された位置共有画面が表示されるように、前記顧客端末及び前記工員端末を制御する第1情報共有部と、を有する、
を備えた、
サーバであること。
[7]
コンピュータに、
車両の修理を依頼する顧客が所有する顧客端末から車両故障情報を受信する第1受信部と、
前記車両故障情報を受信した後、前記車両を修理できる工員のリストを送信する第1送信部と、
前記顧客が前記リストの中から選択した前記工員への修理依頼を示す修理依頼情報を前記顧客端末から受信する第2受信部と、
前記修理依頼情報を受信した後、前記顧客端末、及び、前記顧客が修理依頼した前記工員が修理時に携帯する工員端末、で互いの位置情報を共有して、前記顧客端末及び前記工員端末に、前記顧客及び前記工員の位置情報が示された位置共有画面が表示されるように、前記顧客端末及び前記工員端末を制御する第1情報共有部として機能させる、
修理ネットワーク用のプログラムであること。
【0007】
上記[1]、[6]及び[7]の構成の修理ネットワーク、サーバ及び修理ネットワーク用のプログラムによれば、サーバが送信したリストの中から顧客が工員を選べる。また、修理依頼が行われた後、顧客端末及び工員端末で互いの位置情報を共有する。このため、修理依頼していない工員に顧客の位置が伝わることがなく、顧客の不安を払拭して迅速に車両を修理することができる。
上記[2]の構成の修理ネットワークによれば、故障発生後、顧客端末及び家族・知人端末で互いの位置情報を共有する。このため、顧客としては近くに家族又は知人がいるかを知ることができ、顧客の不安をより一層払拭できる。しかも、故障発生後、顧客が家族・知人と自動的に連絡を取っているため、工員が顧客に対して悪さをする抑止力となる。
上記[3]の構成の修理ネットワークによれば、家族又は知人にも工員の位置情報が提供されるため、工員が現地に向かわずに放置するなど工員の不適切な行動の抑止力となる。また、工員が現地に向かわない場合、家族又は知人が顧客を助けに行く判断もできるようになる。
上記[4]の構成の修理ネットワークによれば、管理者に顧客及び工員の位置情報を提供しているため、工員が現地に向かわない場合、管理者が工員に向かうように指導することもでき、より一層、工員の不適切な行動の抑止力となる。
上記[5]の構成の修理ネットワークによれば、顧客は、工員に修理を依頼する前に相談できるため、顧客の不安をより一層払拭できる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、顧客の不安を払拭して迅速に車両を修理することができる修理ネットワーク、サーバ及び修理ネットワーク用のプログラムを提供することができる。
【0009】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の修理ネットワークの一例を示す構成図である。
【
図4】
図4は、
図1に示す修理ネットワークのシーケンス図である。
【
図5】
図5は、
図1に示す修理ネットワークのシーケンス図である。
【
図6】
図6は、
図1に示す顧客端末に表示される工員のリストの一例を示す図である。
【
図7】
図7は、
図1に示す顧客端末、家族・知人端末に表示される位置共有画面の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、
図1に示す顧客端末、家族・知人端末に表示される位置共有画面の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、
図1に示す工員端末、管理者端末に表示される位置共有画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
【0012】
図1に示す修理ネットワーク1は、例えば、二輪自動車(車両)のパンクなど自走できないような故障が発生したときに、工員13に現地まで来てもらって修理してもらうためのネットワークである。修理ネットワーク1は、二輪自動車を利用する顧客12が所有する顧客端末21と、二輪自動車の修理ができる工員13が所有する工員端末22と、顧客12の家族又は知人14が所有する端末として登録された家族・知人端末23と、工員13を管理する管理者15が所有する端末として登録された管理者端末24と、これら端末21~24とインターネット通信網10を介して通信可能に設けられたサーバ3と、を備えている。
【0013】
端末21~24は、例えばスマートフォンやタブレットなどから構成されている。顧客12は、二輪自動車に自走できないような故障が発生したときに、顧客端末21を用いて、工員13に修理に来てもらうように依頼することができる。工員13は、工員端末22を用いて、顧客12からの修理の依頼を受けることができる。家族又は知人14は、家族・知人端末23を用いて、故障発生後の顧客12の位置情報、修理を依頼した工員13の位置情報などを知ることができる。管理者15は、例えば工員13が所属するガソリンスタンド、修理工場などの責任者であり、管理者端末24を用いて工員13の行動を管理する。
【0014】
端末21~24は、
図2に示すように、通信部201と、操作部202と、表示部203と、GPS受信部204と、マイク205と、スピーカ206と、μCOM(microcomputer)207と、を備えている。通信部201は、インターネット通信網10に接続するための通信部である。操作部202は、顧客12、工員13、家族又は知人14、管理者15によって各種操作が行われる。表示部203は、各種情報が表示される。GPS受信部204は、周知のように複数のGPS(Global Positioning System)衛星から発信される電波を受信して、位置情報を検出して後述するμCOM207に入力する。マイク205、スピーカ206は、他の端末との通話などに用いられる。μCOM207は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などのメモリと、メモリに格納されたプログラムに従って動作を行うCPU(Central Processing Unit)と、を有し、端末21~24全体の制御を司る。
【0015】
本実施形態では、上記操作部202及び表示部203として、これら一体に形成したタッチパネルから構成されている例について説明する。上記顧客端末21には、顧客用アプリケーションがダウンロードされ、記憶されている。工員端末22には、工員用アプリケーションがダウンロードされ、記憶されている。家族・知人端末23には、家族又は知人用アプリケーションがダウンロードされ、記憶されている。管理者端末24には、管理者用アプリケーションがダウンロードされ、記憶されている。
【0016】
サーバ3は、
図3に示すように、通信部31と、DB32と、μCOM33と、を備えている。通信部31は、インターネット通信網10に接続するための通信部である。DB32には、顧客12の登録情報や工員13の登録情報などが記憶されている。顧客12の登録情報としては、顧客12の名前、顧客端末21のアドレス、メールアドレス、位置情報を共有することの承諾、二輪自動車情報(二輪自動車の種類、年式、修理履歴など)、家族・知人情報(家族又は知人14の名前、家族・知人端末23のアドレス、メールアドレス)が含まれる。工員13の登録情報としては、工員13の名前、居所、修理技術情報(対応できる故障の種類)、所属する組織名、工員13の管理者情報(管理者端末24のアドレス、メールアドレス)が含まれる。μCOM33は、サーバ3全体の制御を司る。
【0017】
次に、上述した構成の修理ネットワーク1の動作について
図4及び
図5を参照して説明する。まず、顧客12は、顧客端末21を操作して、顧客用アプリケーションを立ち上げて、顧客12の登録情報を入力する(S1)。その後、二輪自動車の故障が発生すると、顧客12は、顧客端末21を操作し、顧客用アプリケーションを立ち上げて、車両故障情報を入力する(S2)。車両故障情報は、車両が故障した旨を示す情報であり、本実施形態では故障の種類(パンクかガス欠か)も含まれる。車両故障情報が入力されると、顧客端末21のμCOM207(以下、顧客端末21と略記)は、登録情報として入力した家族又は知人14のメールアドレスに故障が発生した旨を自動送信する(S3)。
【0018】
また、顧客端末21は、第2送信部として機能し、入力された車両故障情報をサーバ3に送信する(S4)。サーバ3は、第1受信部として機能し、車両故障情報を受信すると、第2情報共有部として機能し、顧客端末21及び家族・知人端末23で互いの位置情報を共有できるように顧客端末21及び家族・知人端末23を制御する(S5)。これにより、顧客12が、顧客端末21を用いて、顧客用アプリケーションを立ち上げて、位置共有画面の要求をサーバ3に送信すると、顧客端末21には
図7に示す位置共有画面が表示される。また、家族又は知人14が、家族・知人端末23を用いて家族・知人用アプリケーションを立ち上げて、位置共有画面の要求をサーバ3に送信すると、家族・知人端末23には
図7に示す位置共有画面が表示される。同図に示すように、位置共有画面には、地図上に顧客12と、家族又は知人14と、の位置が表示される。
【0019】
また、サーバ3は、顧客端末21の位置情報の周辺に居所があり、かつ、車両故障情報に含まれた故障の種類に対応できる工員13を検索する(S6)。その後、サーバ3は、第1送信部として機能し、検索した工員13のリストを顧客端末21に送信する(S7)。顧客端末21は、第3受信部として機能し、工員13のリストを受信すると、
図6に示すように受信した工員13のリストを示す工員リスト画面を表示する(S8)。
【0020】
本実施形態では、工員13のリストには、各工員13の写真、所属組織名、名前、管理者名が含まれ、これらが工員リスト画面に表示される。また、工員13のリストには、各工員13の顧客12までの距離、顧客12の現在位置に到着するまでの所要時間、経験修理回数、サービスメニュー(対応できる故障の種類)、評価値が含まれ、これらが工員リスト画面に表示される。また、工員リスト画面には、工員13ごとに、第2入力部としての相談ボタンB1、第1入力部としての修理依頼ボタンB2が表示される。
【0021】
顧客12が、工員リスト画面に表示された工員13のリストの中から選択した工員13に対応する相談ボタンB1を押すと、相談したい工員13が顧客端末21に入力される(S9)。顧客端末21は、相談したい工員13が入力されると、第4送信部として機能し、相談ボタンB1により入力された工員13への相談依頼を示す相談依頼情報をサーバ3に送信する(S10)。相談依頼情報には、顧客12が選択した相談したい工員13の情報が含まれる。サーバ3は、相談依頼情報を受信すると、相談制御部として機能し、顧客12が相談依頼した工員13の工員端末22と、顧客端末21と、で通話できるように制御する(S11)。本実施形態では、サーバ3は、通話により顧客12が工員13に相談できる例について説明するが、これに限ったものではない。サーバ3は、メールにより顧客12が工員13に相談できるようにしてもよい。
【0022】
顧客12は、工員13との通話により、値段の交渉を行うことができると共に、工員13の人柄なども把握することができる。また、サーバ3は、顧客12の家族又は知人14のメールアドレス、顧客12が相談依頼した工員13の管理者15のメールアドレスに相談が開始された旨のメールを自動送信する(S12)。
【0023】
工員13との相談後、顧客12が工員リスト画面に表示された工員13のリストの中から選択した工員13に対応する依頼ボタンB2を押すと、修理依頼したい工員13が顧客端末21に入力される(S13)。顧客端末21は、修理依頼したい工員13が入力されると、第3送信部として機能し、修理依頼情報をサーバ3に送信する(S14)。修理依頼情報には、顧客12が選択した修理依頼したい工員13の情報が含まれる。サーバ3は、第2受信部として機能し、修理依頼情報を受信すると、顧客12が選択した修理依頼したい工員13のメールアドレスに修理が依頼された旨のメールを自動送信する(S15)。また、サーバ3は、修理依頼された工員13の管理者15のメールアドレス、家族又は知人14のメールアドレスに修理依頼が行われた旨のメールを自動転送する(S16)。
【0024】
修理依頼のメールを受け取った工員13は、工員端末22を操作して、工員用アプリケーションを立ち上げ、承諾の旨を入力操作すると(
図5のS17)、承諾情報がサーバ3に送信される(S18)。サーバ3は、承諾情報を受信すると、工員13が承諾した旨を顧客12のメールアドレスに送信する(S19)。また、サーバ3は、工員13が承諾した旨を家族又は知人14、管理者15のメールアドレスに送信する(S20)。その後、サーバ3は、第1情報共有部として機能し、顧客端末21及び工員端末22で互いの位置情報が共有できるように顧客端末21及び工員端末22を制御する(S21)。
【0025】
また、サーバ3は、第1情報提供部として機能し、工員端末22の位置情報を家族・知人端末23に送信して提供する(S22)。これにより、顧客端末21及び家族・知人端末23には、
図8に示すように、顧客12、家族又は知人14、工員13の位置、工員13の居所(
図8に示す実施形態では工員13が所属するガソリンスタンド16の位置)が示された位置共有画面が表示される。この位置共有画面を顧客12、家族又は知人14が見ることにより、工員13が顧客12のもとに向かっているかを知ることができる。
【0026】
また、サーバ3は、顧客端末21及び工員端末22の位置情報を管理者端末24に送信して提供する(S23)。これにより、工員端末22及び管理者端末24には、
図9に示すように、顧客12、工員13、工員13が所属するガソリンスタンド16の位置が示された位置共有画面が表示される。工員端末22及び管理者端末24には、家族又は知人14の位置は表示されない。この位置共有画面を管理者15が見ることにより、工員13が顧客12のもとに向かっているかを知ることができる。これにより、管理者15は、工員13が顧客12のもとに向かっていないようであれば、工員13に向かうように指導することができる。
【0027】
その後、工員13が顧客12の現在位置に到着して修理が完了すると、工員13は工員端末22を操作して修理情報を入力する(S24)。修理情報としては、修理前、修理後の二輪自動車の写真、交換前、交換後の部品の種類、修理費用などが含まれる。工員端末22は、修理情報が入力されると、修理情報をサーバ3に送信する(S25)。顧客12は、修理が終了し、工員13によって修理費が提示され、修理を承諾すると、顧客端末21に修理承諾情報を入力する(S26)。顧客端末21は、修理承諾情報をサーバ3に送信する(S27)。サーバ3は、修理承諾情報を受信すると、修理が終了した旨を、家族又は知人14、管理者15のメールアドレスに送信する(S28)。
【0028】
上述した実施形態によれば、サーバ3が、車両故障情報を顧客端末21から受信すると、顧客端末21へ工員13のリストを送信する。顧客端末21は、顧客がリストの中から選択した工員への修理依頼を示す修理依頼情報をサーバに送信する。サーバは、修理依頼情報受信後、顧客端末21及び工員端末22で位置情報を共有できるようにする。これにより、サーバ3が送信したリストの中から顧客12が工員13を選べる。また、修理依頼が行われた後、顧客端末21及び工員端末22で互いの位置情報を共有する。このため、修理依頼していない工員13に顧客12の位置が伝わることがなく、顧客12の不安を払拭して迅速に二輪自動車を修理することができる。
【0029】
上述した実施形態によれば、故障発生後、顧客端末21及び家族・知人端末23で互いの位置情報を共有する。このため、顧客12としては近くに家族又は知人14がいるのかをしることができ、顧客12の不安をより一層払拭できる。しかも、故障発生後、顧客12が家族又は知人14と自動的に連絡を取っているため、工員13が顧客12に対して悪さをする抑止力となる。
【0030】
上述した実施形態によれば、サーバ3は、修理依頼情報を受信した後、家族・知人端末23に工員端末22の位置情報を提供する。これにより、家族又は知人14にも工員13の位置情報が提供されるため、工員13が現地に向かわずに放置するなど工員13の不適切な行動の抑止力となる。また、工員13が現地に向かわない場合、家族又は知人14が顧客12を助けに行く判断もできるようになる。
【0031】
上述した実施形態によれば、サーバ3は、修理依頼を受信した後、サーバ3が、管理者15に顧客12及び工員13の位置情報を提供しているため、工員13が現地に向かわない場合、管理者15が工員13に向かうように指導することもでき、より一層、工員13の不適切な行動の抑止力となる。
【0032】
上述した実施形態によれば、顧客端末21は、選択した工員13への相談依頼を示す相談依頼情報をサーバ3に送信し、サーバ3は、相談依頼情報を受信すると、顧客端末21及び工員端末22が通話で相談できるように顧客端末21及び工員端末22を制御する。これにより、顧客12は、工員13に修理を依頼する前に相談できるため、顧客12の不安をより一層払拭できる。
【0033】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0034】
上述した実施形態によれば、二輪自動車の修理ネットワーク1を一例に説明していたが、これに限ったものではない。四輪の自動車の修理ネットワーク1に適用してもよい。
【0035】
上述した実施形態によれば、車両故障情報に故障の種類を含めていたが、これに限ったものではない。車両故障情報は、車両が故障した旨を示す情報であり、故障の種類は含めなくてもよい。この場合、下記の変形例1、変形例2に示す順に、各端末21~24、サーバ3が動作するようにしてもよい。
【0036】
(変形例1)顧客端末21で車両故障情報(故障の種類含めず)を入力(S2)→家族又は知人14へメール送信(S3)→工員13のリスト表示(S8)→相談したい工員13を入力(S9)→顧客端末21を用いて故障の種類情報を入力→故障の種類情報を含む相談依頼情報をサーバ3経由で工員端末22へ送信→工員に相談(S11)。
【0037】
即ち、変形例1では、顧客12が、工員13に相談する直前に故障の種類を顧客端末21に入力している。
【0038】
(変形例2)顧客端末21で車両故障情報(故障の種類含めず)を入力(S2)→家族又は知人14へメール送信(S3)→工員13のリスト表示(S8)→相談したい工員13を入力(S9)→工員に相談(S11)。
【0039】
即ち、変形例2では、顧客12は、顧客端末21に故障の種類を入力しない。この場合、顧客12は、故障の状況が分からないため、通話で工員13に状況を相談している。
【0040】
また、上述した実施形態によれば、顧客12が、修理依頼したい工員13を入力した後(S13)、すぐにサーバ3経由で修理依頼情報を工員13に送信し(S15)、その後、顧客端末21と工員端末22とで位置情報の共有を開始していたが(S21)、これに限ったものではない。下記の変形例3、変形例4に示すように、顧客12が、修理の見積もりをもらってから顧客端末21からサーバ3に修理依頼情報を送信し、その後、位置情報を共有するようにしてもよい。
【0041】
(変形例3)修理依頼したい工員13を入力(S13)→顧客端末21から見積依頼情報をサーバ3に送信→サーバ3が見積依頼情報を依頼したい工員13にメールで自動転送→工員13が見積もりの作成を承諾して工員端末22に見積もりを入力→見積をサーバ3経由で顧客端末21に送信→顧客端末21に表示された見積もりを顧客12が確認→顧客12が承諾を入力→顧客端末21から修理依頼情報を入力→顧客端末21と工員端末22とで位置情報の共有を開始。
【0042】
変形例3によれば、顧客12は、工員13が作成した見積もりを確認してから修理依頼をすることができる。
【0043】
(変形例4)修理依頼したい工員13を入力(S13)→顧客端末21から見積依頼情報をサーバ3に送信→サーバ3が見積依頼情報を工員13の管理者15にメールで自動転送→管理者15が見積もりの作成を承諾し管理者端末24に見積もりを入力→見積をサーバ3経由で顧客端末21に送信→顧客端末21に表示された見積もりを顧客12が確認→顧客12が承諾を入力→顧客端末21から修理依頼情報を入力→顧客端末21と工員端末22とで位置情報の共有を開始。
【0044】
変形例4によれば、顧客12は、依頼したい工員13の管理者15が作成した見積もりを確認してから修理依頼をすることができる。
【0045】
また、顧客12が、顧客端末21を用いて登録情報を入力した後、登録された家族又は知人14のメールアドレスにその旨を自動送信するようにしてもよい。
【0046】
ここで、上述した本発明に係る修理ネットワーク、サーバ及び修理ネットワーク用のプログラムの実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]~[7]に簡潔に纏めて列記する。
[1]
車両(11)の修理を依頼する顧客(12)が所有する顧客端末(21)と、前記車両(11)を修理できる工員(13)が所有する工員端末(22)と、前記顧客端末(21)及び前記工員端末(22)と通信可能なサーバ(3)と、を備えた修理ネットワーク(1)であって、
前記サーバ(3)は、
車両故障情報を前記顧客端末(21)から受信する第1受信部(33)と、
前記車両故障情報を受信した後、前記工員(13)のリストを送信する第1送信部(33)と、
前記顧客(12)が前記リストの中から選択した前記工員(13)への修理依頼を示す修理依頼情報を前記顧客端末(21)から受信する第2受信部(33)と、
前記修理依頼情報を受信した後、前記顧客端末(21)、及び、前記顧客(12)が修理依頼した前記工員(13)が所有する前記工員端末(22)、で互いの位置情報を共有できるように、前記顧客端末(21)及び前記工員端末(22)を制御する第1情報共有部(33)と、を有し、
前記顧客端末(21)は、
前記車両故障情報を前記サーバ(3)に送信する第2送信部(207)と、
前記サーバ(3)から前記工員(13)のリストを受信する第3受信部(207)と、
前記工員(13)のリストの中から選択した前記工員(13)を入力する第1入力部(B2)と、
前記第1入力部(B2)により入力された前記工員(13)への修理依頼を示す前記修理依頼情報を前記サーバ(3)に送信する第3送信部(207)と、を有する、
修理ネットワーク(1)。
[2]
[1]に記載の修理ネットワーク(1)において、
前記顧客(12)の家族又は知人(14)が所有する端末として登録された家族・知人端末(23)をさらに備え、
前記サーバ(3)は、前記車両故障情報を受信した後、前記顧客端末(21)及び前記家族・知人端末(23)で互いの位置情報を共有できるように前記顧客端末(21)及び前記家族・知人端末(23)を制御する第2情報共有部(33)を有する、
修理ネットワーク(1)。
[3]
[2]に記載の修理ネットワーク(1)において、
前記サーバ(3)は、前記修理依頼情報を受信した後、前記家族・知人端末(23)に前記工員端末(22)の位置情報を提供する第1情報提供部(33)を有する、
修理ネットワーク(1)。
[4]
[1]~[3]の何れか1項に記載の修理ネットワーク(1)において、
前記工員(13)を管理する管理者(15)が所有する端末として登録された管理者端末(24)をさらに備え、
前記サーバ(3)は、前記修理依頼情報を受信した後、前記管理者端末(24)に前記顧客端末(21)及び前記工員端末(22)の位置情報を提供する第2情報提供部(33)を有する、
修理ネットワーク(1)。
[5]
[1]~[4]の何れか1項に記載の修理ネットワーク(1)において、
前記顧客端末(21)は、前記工員(13)のリストの中から選択した工員(13)を入力する第2入力部(B1)と、
前記第2入力部(B1)により入力された前記工員(13)への相談依頼を示す相談依頼情報を前記サーバ(3)に送信する第4送信部(207)と、を有し、
前記サーバ(3)は、前記相談依頼情報を受信すると、前記顧客端末(21)及び前記工員端末(22)を用いて前記顧客(12)が前記工員(13)に相談できるように前記顧客端末(21)及び前記工員端末(22)を制御する相談制御部(33)を有する、
修理ネットワーク(1)。
[6]
車両(11)の修理を依頼する顧客(12)が所有する顧客端末(21)と、前記車両(11)を修理できる工員(13)が所有する工員端末(22)と、通信可能なサーバ(3)であって、
車両故障情報を前記顧客端末(21)から受信する第1受信部(33)と、
前記車両故障情報を受信した後、前記工員(13)のリストを送信する第1送信部(33)と、
前記顧客(12)が前記リストの中から選択した前記工員(13)への修理依頼を示す修理依頼情報を前記顧客端末(21)から受信する第2受信部(33)と、
前記修理依頼情報を受信した後、前記顧客端末(21)、及び、前記顧客(12)が修理依頼した前記工員(13)が所有する前記工員端末(22)、で互いの位置情報を共有できるように、前記顧客端末(21)及び前記工員端末(22)を制御する第1情報共有部(33)と、を有する、
を備えた、
サーバ(3)。
[7]
コンピュータに、
車両(11)の修理を依頼する顧客(12)が所有する顧客端末(21)から車両故障情報を受信する第1受信部(33)と、
前記車両故障情報を受信した後、前記車両(11)を修理できる工員(13)のリストを送信する第1送信部(33)と、
前記顧客(12)が前記リストの中から選択した前記工員(13)への修理依頼を示す修理依頼情報を前記顧客端末(21)から受信する第2受信部(33)と、
前記修理依頼情報を受信した後、前記顧客端末(21)、及び、前記顧客(12)が修理依頼した前記工員(13)が所有する工員端末(22)、で互いの位置情報を共有できるように、前記顧客端末(21)及び前記工員端末(22)を制御する第1情報共有部(33)として機能させる、
修理ネットワーク用のプログラム。
【符号の説明】
【0047】
1 修理ネットワーク
3 サーバ
12 顧客
13 工員
14 家族又は知人
15 管理者
21 顧客端末
22 工員端末
23 家族・知人端末
24 管理者端末
207 顧客端末のμCOM(第2送信部、第3受信部、第3送信部、第4送信部)
33 μCOM(第1受信部、第1送信部、第2受信部、第1情報共有部、第2情報共有部、第1情報提供部、第2情報提供部、相談制御部)
B1 相談ボタン(第2入力部)
B2 修理依頼ボタン(第1入力部)