IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 矢崎総業株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-通信システム及び上位制御装置 図1
  • 特許-通信システム及び上位制御装置 図2
  • 特許-通信システム及び上位制御装置 図3
  • 特許-通信システム及び上位制御装置 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】通信システム及び上位制御装置
(51)【国際特許分類】
   H04L 43/103 20220101AFI20231226BHJP
   H04L 12/40 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
H04L43/103
H04L12/40 Z
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021098245
(22)【出願日】2021-06-11
(65)【公開番号】P2022189586
(43)【公開日】2022-12-22
【審査請求日】2022-10-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】奥田 定治
【審査官】小林 義晴
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-205573(JP,A)
【文献】特開2011-216085(JP,A)
【文献】特開2021-086232(JP,A)
【文献】特開2011-142505(JP,A)
【文献】特開2013-143748(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/00-12/66
41/00-101/695
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上位制御装置と、
第1バスを介して前記上位制御装置と通信可能な第1下位制御装置と、
第2バスを介して前記上位制御装置と通信可能な第2下位制御装置と、を備えた
通信システムであって、
前記上位制御装置は、
送信する毎にカウントアップされるカウント値を含むカウント信号を定期的に前記第1バス及び前記第2バスに送信する第1送信部と、
開始カウント値、制御内容を含む制御信号を前記第1バス及び前記第2バスに送信する第2送信部と、を有し、
前記カウント信号の送信優先度を前記制御信号の送信優先度よりも高くし、
前記第1下位制御装置及び前記第2下位制御装置は、
前記カウント信号を受信する第1受信部と、
前記制御信号を受信する第2受信部と、を有し、
前記制御信号を受信すると、その後、受信した前記カウント信号に含まれるカウント値が、前記制御信号に含まれる前記開始カウント値と等しくなったときに、前記制御信号に含まれる制御内容に応じた動作を開始
前記上位制御装置は、前記制御信号の送信優先度が高いほど、直前に送信した前記カウント信号に含まれる前記カウント値との差が短くなるような前記開始カウント値を前記制御信号に含めて送信する、
通信システム。
【請求項2】
請求項1に記載の通信システムにおいて、
前記上位制御装置は、前記カウント信号を最優先で前記第1バス及び前記第2バスに送信させる、
通信システム。
【請求項3】
第1バスを介して第1下位制御装置に通信可能であると共に、第2バスを介して第2下位制御装置に通信可能な上位制御装置であって、
送信する毎にカウントアップされるカウント値を含むカウント信号を定期的に前記第1バス及び前記第2バスに対して送信する第1送信部と、
開始カウント値、制御内容を含む制御信号を前記第1バス及び前記第2バスに対して送信する第2送信部と、を有し、
前記カウント信号の送信優先度を前記制御信号の送信優先度よりも高く
前記制御信号の送信優先度が高いほど、直前に送信した前記カウント信号に含まれる前記カウント値との差が短くなるような前記開始カウント値を前記制御信号に含めて送信する、
上位制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システム、上位制御装置及び下位制御装置、に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、セントラルECU(上位制御装置)と、車両の各エリアに配置されたゾーンECU(下位制御装置)と、の通信によって、ゾーンECUがセントラルECUの指示に従ってエリア内の電装機器を制御することが検討されている。
【0003】
また、従来、車両に搭載されたECU同士の通信方式としては、中継器(ゲートウェイなど)を使わないパッシブ通信方式のCANやCAN-FDが用いられている(特許文献1、2)。上述したパッシブ通信方式のCANやCAN-FDでは、正常な通信伝送路を確保するために、バスに接続する機器数や、伝送路長に制限がある。そのため、セントラルECUと、車両の各エリアに点在する複数のゾーンECUと、の通信に上述したCANやCAN-FDを採用した場合、一つのバスにセントラルECUと、全てのゾーンECUと、を接続することが難しい。
【0004】
そこで、例えば、車両の左側に配置される左側バスと、右側に配置される右側バスと、を設け、左側バスにセントラルECUと、車両の左側に配置されたゾーンECUと、を接続し、右側バスにセントラルECUと、車両の右側に配置されたゾーンECUと、を接続することが考えられている。また、車両の前側に配置される前側バスと、車両の後側に配置される後側バスと、を設け、前側バスにセントラルECUと、車両の前側に配置されたゾーンECUと、を接続し、後側バスにセントラルECUと、車両の後側に配置されたゾーンECUと、を接続することが考えられている。
【0005】
ゾーンECUは、セントラルECUからバスを介して送信される制御信号に従い動作を行うが、制御信号はバスが高負荷状態では滞留が発生し送信遅延が起きてしまう。そのため、前後、左右にバスを設けると、異なるバスのゾーンECU間では制御信号の送信タイミングズレにより動作タイミングがずれてしまう、という問題があった。このため、前後、左右のターンランプの点灯がばらついたり、前後のブレーキアクチュエータの制御タイミングがずれたりする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2002-261780号公報
【文献】特開2002-254996号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、接続されるバスが異なる下位制御装置間での動作開始タイミングのバラツキを抑制できる通信システム及び上位制御装置提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前述した目的を達成するために、本発明に係る通信システム及び上位制御装置、下記[1]~[]を特徴としている。
[1]
上位制御装置と、
第1バスを介して前記上位制御装置と通信可能な第1下位制御装置と、
第2バスを介して前記上位制御装置と通信可能な第2下位制御装置と、を備えた
通信システムであって、
前記上位制御装置は、
送信する毎にカウントアップされるカウント値を含むカウント信号を定期的に前記第1バス及び前記第2バスに送信する第1送信部と、
開始カウント値、制御内容を含む制御信号を前記第1バス及び前記第2バスに送信する第2送信部と、を有し、
前記カウント信号の送信優先度を前記制御信号の送信優先度よりも高くし、
前記第1下位制御装置及び前記第2下位制御装置は、
前記カウント信号を受信する第1受信部と、
前記制御信号を受信する第2受信部と、を有し、
前記制御信号を受信すると、その後、受信した前記カウント信号に含まれるカウント値が、前記制御信号に含まれる前記開始カウント値と等しくなったときに、前記制御信号に含まれる制御内容に応じた動作を開始
前記上位制御装置は、前記制御信号の送信優先度が高いほど、直前に送信した前記カウント信号に含まれる前記カウント値との差が短くなるような前記開始カウント値を前記制御信号に含めて送信する、
通信システムであること。
[2]
[1に記載の通信システムにおいて、
前記上位制御装置は、前記カウント信号を最優先で前記第1バス及び前記第2バスに送信させる、
通信システムであること。

第1バスを介して第1下位制御装置に通信可能であると共に、第2バスを介して第2下位制御装置に通信可能な上位制御装置であって、
送信する毎にカウントアップされるカウント値を含むカウント信号を定期的に前記第1バス及び前記第2バスに対して送信する第1送信部と、
開始カウント値、制御内容を含む制御信号を前記第1バス及び前記第2バスに対して送信する第2送信部と、を有し、
前記カウント信号の送信優先度を前記制御信号の送信優先度よりも高く
前記制御信号の送信優先度が高いほど、直前に送信した前記カウント信号に含まれる前記カウント値との差が短くなるような前記開始カウント値を前記制御信号に含めて送信する、
上位制御装置であること
【0009】
上記[1]の構成の通信システムによれば、第1、第2下位制御装置は、送信優先度の高いカウント信号のカウント値が制御信号に含まれる開始カウントになったときに下位制御装置が制御信号に含まれる制御内容に従った動作を開始する。これにより、第1、第2下位制御装置間での動作開始タイミングのバラツキを抑制できる。
更に、上記[1]の構成の通信システムによれば、送信優先度の制御信号に含まれる制御内容については迅速に実行することができる。
上記[2]の構成の通信システムによれば、上位制御装置は、カウント信号を最優先で第1バス及び前記第2バスに送信させる。これにより、より一層、第1、第2下位制御装置間での動作開始タイミングのバラツキを抑制できる。
上記[]の構成の上位制御装置によれば、送信する毎にカウントアップされるカウント値を含むカウント信号を定期的に第1、第2バスに送信すると共に、開始カウント値、制御内容を含む制御信号を第1、第2バスを送信する。これにより、第1、第2バスに接続された下位制御装置は、カウント信号のカウント値が制御信号に含まれる開始カウントになったときに下位制御装置が制御信号に含まれる制御内容に従った動作を開始することができる。これにより、第1、第2下位制御装置間での動作開始タイミングのバラツキを抑制できる
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、接続されるバスが異なる下位制御装置間での動作開始タイミングのバラツキを抑制できる通信システム及び上位制御装置提供することができる。
【0011】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の通信システムの一実施形態を示すブロック図である。
図2図2(A)はカウント信号のフレーム構成を示す図であり、図2(B)は制御信号のフレーム構成を示す図である。
図3図3は、図1に示すセントラルECUが送信する信号と、信号に付与されるIDと、を示す表である。
図4図4は、図4に示す通信システムの動作を説明するためのタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
【0014】
図1は、本発明の通信システム1の一実施形態を示すブロック図である。本実施形態の通信システム1は、車両100に搭載されている。通信システム1は、複数の通信バスB1(第1バス)、通信バスB2(第2バス)と、セントラルECU2(上位制御装置)と、複数のゾーンECU31~34(第1下位制御装置)、ECU41~44(第2下位制御装置)と、を備えている。
【0015】
複数の通信バスB1、B2は、例えば車両100のインストルメントパネルに配置されたセントラルECU2と、車両100の各エリアに配置されたゾーンECU31~34、41~44と、の間に接続される。本実施形態では、通信バスB1は、セントラルECU2と、車両100の左エリアに配置される複数のゾーンECU31~34と、の間に接続される。通信バスB2は、セントラルECU2と、車両100の右エリアに配置される複数のゾーンECU41~42と、の間に接続される。
【0016】
なお、本実施形態では通信バスB1、B2は、左右エリアに対応して設けられる例について説明するが、これに限ったものではない。通信バスB1、B2は、車両100の各エリアに対応して設けられていればよい。例えば、車両100を前エリアと、後エリアと、に分け、前エリアに対応した通信バスB1によりセントラルECU2と、前エリアに配置されたゾーンECU31~34と、を接続し、後エリアに対応した通信バスB2によりセントラルECU2と、後エリアに配置されたゾーンECU41~44と、を接続するようにしてもよい。
【0017】
セントラルECU2は、CPUを有するマイクロコンピュータから構成され、通信システム1全体を制御する。
【0018】
複数のゾーンECU31~34は、車両100の左エリアに配置されている。複数のゾーンECU41~44は、車両100の右エリアに配置されている。本実施形態において、ゾーンECU31、41は車両100の前方に配置され、ゾーンECU32、34、42、44は車両100の運転席側のドア付近に配置され、ゾーンECU33、43は車両100の後方に配置されている。
【0019】
ゾーンECU31~34、41~44は、セントラルECU2と通信を行い、セントラルECU2から送信される制御信号に従って各エリア内に配置されたランプ51~53、61~63を制御する。ランプ51~53は、車両100の左エリアに配置されている。ランプ61~63は、車両100の右エリアに配置されている。ランプ51、61は、車両100の前方に左右に並べて配置され、同時に点灯、消灯する。ランプ52、62は、左右のサイドミラーにそれぞれ配置され、同時に点灯、消灯する。ランプ53、63は、車両100の後方に左右に並べて配置され、同時に点灯、消灯する。
【0020】
ランプ51~53は、ゾーンECU31~33にそれぞれ接続され、制御される。ランプ61~63は、ゾーンECU41~43にそれぞれ接続され、制御される。なお、図1に示す例では、ゾーンECU31~33、41~43には、上述したランプ51~53、61~63以外にパワトレ系の電装機器やシャシ系の電装機器も接続されている。
【0021】
本実施形態の通信システム1は、セントラルECU2、ゾーンECU31~34、41~44に平等なバスアクセスが可能なマルチマスター方式を採用している。マルチマスター方式において、セントラルECU2、ゾーンECU31~34、41~44は、通信バスB1、B2の電圧レベルに基づいて他のECUが通信バスB1、B2に信号を送信しているか否かを判定し、送信中でなければ信号を送信し、送信中であればその信号の送信が終わるまで待って信号を送信する。
【0022】
また、本実施形態の通信システム1は、複数のECU2、31~34、41~44が、同時に信号を通信バスB1、B2に送信して、信号同士が衝突することを防止するために、CSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance)を採用している。CSMA/CAにおいて、ECU2、31~34、41~44は、送信する信号に送信優先度を示すIDを付与する。ECU2、31~34、41~44は、通信バスB1、B2の電圧レベルに基づいて、自身より送信優先度の高いIDの信号が同時送信されていれば、信号の送信を停止する。これにより、送信優先度の高いIDが付与された信号が、優先的に通信バスB1、B2に送信される。
【0023】
より詳しく説明すると、ECU2、31~34、41~44は、「0:ドミナント(優性)」と、「1:リセッシブ(劣性)」と、から構成される信号を送信する。通信バスB1、B2では、「0」と「1」の信号が同時に送信されると、信号レベルは「0」に対応するものとなる。よって、図3に示すように、全ビット「0」のIDが最優先のIDとなり、全ビット「1」のIDが送信優先度の最も低いIDとなる。例えば、全ビット「1」のIDと、全ビット「0」のIDと、が同時に送信されると、通信バスB1、B2では全ビット「0」のIDが優先的に送信される。ECU2、31~34、41~44は、ID送信中に送信した信号と、通信バスB1、B2の信号レベルと、が一致しなければ、自身より送信優先度の高いIDの信号が同時送信されていると判断し、信号の送信を停止する。
【0024】
次いで、セントラルECU2が送信する信号について説明する。セントラルECU2は、第1送信部として機能し、通信バスB1、B2に定期的にカウント信号を送信する。このカウント信号のフレーム構成について図2(A)を参照して説明する。同図に示すように、カウント信号は、ヘッダ、データ領域、フッタから構成され、データ領域に時間カウント値が含まれる。セントラルECU2は、カウント信号を送信する毎に時間カウント値をカウントアップする。また、カウント信号のヘッダには、送信優先度を示すIDが含まれる。本実施形態では、図3に示すように、カウント信号のIDには、全ビット「0」の最優先のIDが付与される。
【0025】
また、セントラルECU2は、第2送信部として機能し、ゾーンECU31~34、41~44を制御するための制御信号を送信する。制御信号のうち互いに異なる通信バスB1、B2に接続され、同時に動作する必要があるゾーンECU31~34、41~44に出力される例えばランプ制御信号は、ヘッダ、データ領域、フッタから構成され、データ領域に制御内容(ランプ点灯)と、開始カウント値が含まれる。また、ランプ制御信号のヘッダには、送信優先度を示すIDが含まれる。本実施形態では、図3に示すように、ランプ制御信号のIDは、パワトレ系の電装機器を制御するパワトレ関連制御信号や、シャシ系の電装機器を制御するシャシ系関連制御信号よりも送信優先度の低いIDが付与される。セントラルECU2は、通信バスB1、B2の双方にランプ制御信号を送信する。
【0026】
なお、セントラルECU2は、制御信号に含まれるIDの送信優先度が高いものほど、直前に送信したカウント信号に含まれる時間カウント値との差が短い開始カウント値を含めるようにする。具体的に説明すると、直前に送信した時間カウント値が100である場合、送信優先度の高いパワトレ関連制御信号には、105を開始カウント値として含め、送信優先度の低いランプ制御信号には、110を開始カウント値として含める。これにより、送信優先度の高いIDが含まれる制御信号に含まれる制御内容については迅速に実行することができる。
【0027】
一方、ランプ51~53、61~63に接続されたゾーンECU31~33、41~43は、第1受信部、第2受信部として機能し、これらカウント信号、ランプ制御信号を受信する。ゾーンECU31~33、41~43は、ランプ制御信号を受信すると、その後、受信したカウント信号に含まれるカウント値が、制御信号に含まれる開始カウント値と等しくなったときに、ランプ制御信号に含まれる制御内容に従ってランプ51~53、61~63を点灯する。
【0028】
次に、上述した通信システム1の動作について図4のタイムチャートを参照して説明する。同図に示すように、セントラルECU2は、通信バスB1、B2に定期的にカウント信号を送信する。カウント信号は、最優先のIDであるため、最優先で通信バスB1、B2から送信することができる。このため、図4に示すように、カウント信号は、通信バスB1、B2の間で送信ずれがほぼ発生しない。
【0029】
また、セントラルECU2は、運転手によってハザード点灯指示が行われたと判定すると、通信バスB1、B2にランプ制御信号を送信する。図4に示す例では、通信バスB1は使用されていないので、セントラルECU2はすぐに通信バスB1にランプ制御信号を送信できる。一方、通信バスB2は他の制御信号が送信中であるので、セントラルECU2は、他の制御信号の送信が終わるのを待って、ランプ制御信号を送信する。その後、図4に示す例では、セントラルECU2は、自身より送信優先度の高いIDの制御信号が同時送信されているため、さらにその制御信号の送信が終わるのを待ってランプ制御信号を送信できる。このため、ランプ制御信号は、通信バスB1、B2の間で大きな送信ずれが発生してしまう。
【0030】
しかしながら、ランプ制御信号には、開始カウント値として110が書き込まれている。このため、ゾーンECU31~33、41~43は、「110」がカウント値として書き込まれたカウント信号を受信した後、ランプ制御信号に含まれる制御内容に従ってランプ51~53、61~63を点灯する。上述したようにカウント信号は通信バスB1、B2間での送信ずれがほぼ発生しない。このため、左に配置されたランプ51~53と、右に配置されたランプ61~63と、で点灯開始タイミングのバラツキを抑制することができる。
【0031】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0032】
上述した実施形態では、カウント信号のIDは、最優先のIDに設定されていたが、これに限ったものではない。カウント信号のIDは、ランプ制御信号のIDよりも送信優先度が高いものであればよい。IDの送信優先度が高いほど、通信バスB1、B2への送信ずれが小さくなる。このため、上述した実施形態のようにカウント信号のIDを最優先にした場合が、最もランプ51~53、61~63の点灯タイミングのバラツキを抑制できる。しかしながら、IDを最優先にしなくても、ランプ制御信号のIDよりも送信優先度が高いものであれば、ランプ51~53、61~63の点灯タイミングのバラツキを抑制することができる。
【0033】
また、上述した実施形態では、通信システム1は、2つの通信バスB1、B2を備えていたが、これに限ったものではない。3つ以上の通信バスB1、B2を備えていてもよい。
【0034】
また、上述した実施形態では、ゾーンECU31~33、41~43は、ランプ51~53、61~63を制御していたが、これに限ったものではない。ゾーンECU31~33、41~43に接続される電装機器としては、前後のブレーキアクチュエータなどであってもよい。
【0035】
ここで、上述した本発明に係る通信システム、上位制御装置及び下位制御装置の実施形態の特徴をそれぞれ以下[1]~[5]に簡潔に纏めて列記する。
[1]
上位制御装置(2)と、
第1バス(B1)を介して前記上位制御装置(2)と通信可能な第1下位制御装置(31~34)と、
第2バス(B2)を介して前記上位制御装置(2)と通信可能な第2下位制御装置(41~44)と、を備えた
通信システム(1)であって、
前記上位制御装置(2)は、
送信する毎にカウントアップされるカウント値を含むカウント信号を定期的に前記第1バス(B1)及び前記第2バス(B2)に送信する第1送信部(2)と、
開始カウント値、制御内容を含む制御信号を前記第1バス(B1)及び前記第2バス(B2)に送信する第2送信部(2)と、を有し、
前記カウント信号の送信優先度を前記制御信号の送信優先度よりも高くし、
前記第1下位制御装置(31~34)及び前記第2下位制御装置(41~44)は、
前記カウント信号を受信する第1受信部(31~34、41~44)と、
前記制御信号を受信する第2受信部(31~34、41~44)と、を有し、
前記制御信号を受信すると、その後、受信した前記カウント信号に含まれるカウント値が、前記制御信号に含まれる前記開始カウント値と等しくなったときに、前記制御信号に含まれる制御内容に応じた動作を開始する、
通信システム(1)。
[2]
[1]に記載の通信システム(1)において、
前記上位制御装置(2)は、前記カウント信号を最優先で前記第1バス(B1)及び前記第2バス(B2)に送信させる、
通信システム(1)。
[3]
[1]又は[2]に記載の通信システム(1)において、
前記上位制御装置(2)は、前記制御信号の送信優先度が高いほど、直前に送信した前記カウント信号に含まれる前記カウント値との差が短くなるような前記開始カウント値を前記制御信号に含めて送信する、
通信システム(1)。
[4]
第1バス(B1)を介して第1下位制御装置(31~34)に通信可能であると共に、第2バス(B2)を介して第2下位制御装置(41~44)に通信可能な上位制御装置(2)であって、
送信する毎にカウントアップされるカウント値を含むカウント信号を定期的に前記第1バス(B1)及び前記第2バス(B2)に対して送信する第1送信部(2)と、
開始カウント値、制御内容を含む制御信号を前記第1バス(B1)及び前記第2バス(B2)に対して送信する第2送信部(2)と、を有し、
前記カウント信号の送信優先度を前記制御信号の送信優先度よりも高くする、
上位制御装置(2)。
[5]
上位制御装置(2)と通信可能な下位制御装置(31~34、41~44)であって、
前記上位制御装置(2)から送信される毎にカウントアップされるカウント値が含まれるカウント信号を受信する第1受信部(31~34、41~44)と、
前記上位制御装置(2)から送信された開始カウント値、制御内容を含む制御信号を受信する第2受信部(31~34、41~44)と、を有し、
前記制御信号を受信すると、その後、受信した前記カウント信号に含まれるカウント値が、前記制御信号に含まれる前記開始カウント値と等しくなったときに、前記制御信号に含まれる制御内容に応じた動作を開始する、
下位制御装置(31~34、41~44)。
【符号の説明】
【0036】
1 通信システム
2 セントラルECU(上位制御装置、第1送信部、第2送信部)
31~34 ゾーンECU(第1下位制御装置、第1受信部、第2受信部)
41~44 ゾーンECU(第2下位制御装置、第1受信部、第2受信部)
B1 通信バス(第1バス)
B2 通信バス(第2バス)
図1
図2
図3
図4