(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】音響装置
(51)【国際特許分類】
H04R 1/02 20060101AFI20231226BHJP
H04R 1/32 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
H04R1/02 107
H04R1/32 310Z
H04R1/02 101F
(21)【出願番号】P 2021103099
(22)【出願日】2021-06-22
【審査請求日】2023-01-30
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000103138
【氏名又は名称】エムケー精工株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000129437
【氏名又は名称】株式会社キングジム
(72)【発明者】
【氏名】中島 照正
(72)【発明者】
【氏名】依田 旭
【審査官】中村 天真
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2018-0013142(KR,A)
【文献】登録実用新案第3216709(JP,U)
【文献】中国実用新案第207603886(CN,U)
【文献】韓国登録特許第10-1877439(KR,B1)
【文献】韓国登録実用新案第20-0382291(KR,Y1)
【文献】特開2022-104032(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/00-1/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、マイク部と、スピーカ部とを備える音響装置であって、
前記マイク部が、前記筐体の上側に設けられ、
前記スピーカ部が、前記筐体の下側に設けられ、
前記スピーカ部が、第1スピーカと、第2スピーカとを有し、
前記第1スピーカが、前記筐体の底面から装置下方に向けて音声出力されるよう前記筐体の底部に設けられ、
前記第2スピーカが、前記筐体の側面から装置側方に向けて音声出力されるよう前記筐体の側部に設けられ、
前記スピーカ部は、前記第1スピーカの裏に第1空間が形成された第1ボックスと、前記第2スピーカの裏に第2空間が形成された第2ボックスとを有し、
前記第2ボックスに前記第1ボックスが収まり、前記第1空間と前記第2空間とが区画される
ことを特徴とする音響装置。
【請求項2】
筐体と、マイク部と、スピーカ部とを備える音響装置であって、
前記マイク部が、前記筐体の上側に設けられ、
前記スピーカ部が、前記筐体の下側に設けられ、
前記スピーカ部が、第1スピーカと、第2スピーカとを有し、
前記第1スピーカが、前記筐体の底面から装置下方に向けて音声出力されるよう前記筐体の底部に設けられ、
前記第2スピーカが、前記筐体の側面から装置側方に向けて音声出力されるよう前記筐体の側部に設けられ、
前記スピーカ部はボックスを有し、前記ボックス内で区画された第1および第2空間のそれぞれに前記第1および第2スピーカが設けられている
ことを特徴とする音響装置。
【請求項3】
前記筐体には、前記スピーカ部の上部が嵌め込まれる型が形成され、
前記スピーカ部の上部の端面から側面にかけて貼り付けられ、前記筐体の型と前記スピーカ部の上部との間で挟まれるシート状の緩衝部材を備える
請求項1
または2記載の音響装置。
【請求項4】
前記第2スピーカの出力口の周囲に設けられ、前記筐体と前記スピーカ部との間で挟まれる囲い部材を備える
請求項1~
3のいずれか一項に記載の音響装置。
【請求項5】
前記筐体が、中心軸を有して構成され、
前記スピーカ部が、第3スピーカを有し、
前記第3スピーカが、前記筐体の側面から装置側方に向けて音声出力されるよう前記筐体の側部に設けられ、
前記中心軸は、前記第1スピーカの中心を通り、
前記中心軸に対して前記第2スピーカと前記第3スピーカとが非対称に設けられ、
前記中心軸からの前記第2スピーカの距離と、前記中心軸からの前記第3スピーカの距離とが異なる
請求項1~
4のいずれか一項に記載の音響装置。
【請求項6】
前記中心軸方向において、前記第3スピーカの出口中心と前記第1スピーカの出口中心との距離が、前記第2スピーカの出口中心と前記第1スピーカの出口中心との距離よりも長い
請求項
5記載の音響装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音響装置に関する。
【背景技術】
【0002】
実用新案登録第3216709号(以下「特許文献1」という。)には、メインサウンドチャンバと、これに接続されたマイクアセンブリと、を含むマイクサウンドボックス一体型装置が記載されている。この装置では、メインサウンドチャンバの外側壁にコネクティングロッドが固定されている。このコネクティングロッドは、ユーザが簡単にキャッチすることができるハンドルとして使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実用新案登録第3216709号([0027]、[0035])
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のような音響装置によれば、マイク部とスピーカ部を一体にして携帯することができる。このため、音響設備が整った施設でなくとも、例えば自宅において家族とカラオケ(特許文献1の[0004]参照)などを行い得ることができる。しかしながら、より広い場所で多人数に対して音声を拡散させたい場合もある。
【0005】
本発明の一目的は、音声を拡散させることのできる音響装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一解決手段に係る音響装置は、筐体と、マイク部と、スピーカ部とを備える。前記マイク部が、前記筐体の上側に設けられることが好ましい。前記スピーカ部が、前記筐体の下側に設けられることが好ましい。前記スピーカ部が、第1スピーカと、第2スピーカとを有することが好ましい。前記第1スピーカが、装置下方に向けて音声出力されるよう前記筐体に設けられることが好ましい。前記第2スピーカが、装置側方に向けて音声出力されるよう前記筐体に設けられることが好ましい。
前記第1スピーカの裏には、第1空間が形成されることが好ましい。前記第2スピーカの裏には、第2空間が形成されることが好ましい。前記第2空間が前記第1空間を囲むよう、前記第1空間と前記第2空間とが区画されることが好ましい。
前記筐体が、中心軸を有して構成されることが好ましい。前記スピーカ部が、第3スピーカを有することが好ましい。前記第3スピーカが、装置側方に向けて音声出力されるよう前記筐体に設けられることが好ましい。前記中心軸に対して前記第2スピーカと前記第3スピーカとが非対称に設けられることが好ましい。前記中心軸からの前記第2スピーカの距離と、前記中心軸からの前記第3スピーカの距離とが異なることが好ましい。
前記スピーカ部が、円錐台形状のボックスを有することが好ましい。前記ボックスが、第1開口部および第2開口部を有することが好ましい。前記第1開口部が、前記ボックスの下面に形成されることが好ましい。前記第2開口部が、前記ボックスの側面に形成されることが好ましい。前記第1および第2スピーカが、それぞれ前記第1および第2開口部から露出するよう前記ボックスに設けられることが好ましい。
前記音響装置が、緩衝部材を備えることが好ましい。前記筐体が、第1部屋と、第2部屋と、前記第1部屋と前記第2部屋との間の第3部屋とを有することが好ましい。前記第1部屋には、前記マイク部が取り付けられることが好ましい。前記第2部屋には、前記スピーカ部が取り付けられることが好ましい。前記第2部屋には、前記第3部屋側に型が形成されることが好ましい。前記緩衝部材が、前記スピーカ部の前記マイク部側を覆うことが好ましい。前記スピーカ部が、前記緩衝部材を介して前記型に嵌め込まれることが好ましい。
前記音響装置が、第1囲い部材と、第2囲い部材とを備えることが好ましい。前記第1囲い部材が、前記第1スピーカを囲むように設けられることが好ましい。前記第2囲い部材が、前記第2スピーカを囲むように設けられることが好ましい。
前記音響装置が、ホルダ部材を備えることが好ましい。前記ホルダ部材が、前記マイク部の前記スピーカ部側を覆うことが好ましい。前記ホルダ部材と前記筐体との間に間隙が形成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一解決手段に係る音響装置によれば、音声を拡散させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態に係る音響装置の斜視図である。
【
図2】
図1に示す音響装置を分解した斜視図である。
【
図3】
図2に示すスピーカ部を分解した斜視図である。
【
図5】
図3に示すスピーカ部の一要部を分解した斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下の本発明に係る実施形態では、全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、構成要素の数(個数、数値、量、範囲などを含む)については、特に明示した場合や原理的に明らかに特定の数に限定される場合などを除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。また、構成要素などの形状に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうではないと考えられる場合などを除き、実質的にその形状などに近似または類似するものなどを含むものとする。
【0010】
本発明に係る実施形態では、音響装置の一例として、マイク部40およびスピーカ部50が一体化されるよう筐体11に取り付けられたモバイルタイプの装置10について、
図1~
図5を参照して説明する。本実施形態では、各部の位置関係の説明の便宜上、装置10がxyz空間座標系に配置された場合、x軸方向およびy軸方向を水平方向、z軸方向を鉛直方向(上下方向)とする。また、「平行な方向」には略平行な方向も含み、「直交する方向」には略直交する方向も含むものとする。なお、装置10は、説明における鉛直方向、水平方向に関係なく使用することができることはいうまでもない。
【0011】
装置10は、筐体11を備えている。筐体11は、例えば、棒状に構成され、上端12(一端)および下端13(他端)を有し、上端12から下端13へ延在している。なお、図中では、筐体11の延在する第1方向をz軸方向と平行し、第1方向と直交する第2方向をx軸方向またはy軸方向としている。
【0012】
筐体11は、上端12側の第1部屋21と、下端13側の第2部屋22と、第1部屋21と第2部屋22との間の第3部屋23を有している。筐体11の上端12には第1部屋21を開口する開口部が形成されている。そして、マイク部40が上端12の開口部から第1部屋21に入り込むよう取り付けられている。また、筐体11の下端13には第2部屋22を開口する開口部が形成されている。そして、スピーカ部50が下端13の開口部から第2部屋22に入り込むよう取り付けられている。
【0013】
このように、装置10は、マイク部40を備えている。マイク部40は、筐体11の上側(上端12側)に設けられる。より具体的には、第1部屋21には、マイク部40が取り付けられる。マイク部40としては、例えば、単一指向性のダイナミック型やコンデンサ型マイクロフォンを用いることができる。
【0014】
また、装置10は、マイクカバー40Aを備えている。マイクカバー40Aは、マイク部40を保護すると共に、ユーザの声がマイク部40に伝わるよう一部が網状(
図1等では網目を省略している。)に形成されている。マイクカバー40Aは、マイク部40を囲い込んで筐体11の上端12に取り付けられる。なお、マイクカバー40Aの内側に、風圧による影響を抑制するため、例えば、弾性を有する部材、スポンジ、フェルト、不織布、スポンジ、樹脂などを設けることが好ましい。
【0015】
また、装置10は、スピーカ部50を備えている。スピーカ部50は、筐体11の下側(下端13側)に設けられる。より具体的には、第2部屋22にはスピーカ部50が取り付けられる。スピーカ部50としては、例えば、コーン型スピーカを用いることができる。
【0016】
また、装置10は、スピーカカバー50Aを備えている。スピーカカバー50Aは、スピーカ部50の下部(ボックス54の下端56)を囲い込んで筐体11の下端13に取り付けられ、スピーカ部50(後述する第1スピーカ51)を外部からの衝撃から保護している。スピーカカバー50Aは、椀状に構成されている。スピーカカバー50Aは、
図1に示すように、底部において、中心から放射状に形成された複数の孔70と、その周囲に形成された複数の開口部71とを有している。これにより、スピーカ部50から音声を拡散させることができる。また、1つの開口部71の大きさは、1つの孔70よりも大きい。スピーカカバー50Aは、筐体11の下端13(開口部)を覆うように設けられるが、開口部71により筐体11内外の気圧調整(ハウリング防止)を行うことができる。
【0017】
また、装置10は、スピーカカバー50Bを備えている。スピーカカバー50Bは、スピーカ部50(後述する第2スピーカ52、第3スピーカ53)を保護すると共に、スピーカ部50から音声が拡散されるよう網状(
図1等では網目を省略している。)に形成されている。筐体11の開口部28、29からはスピーカ部50Bの側部(第2スピーカ52、第3スピーカ53)が露出する。スピーカカバー50Bは、筐体11の側面に形成された開口部28、29(
図2参照)を覆うよう取り付けられる。
【0018】
また、装置10は、
図4(xz面にある中心軸11aを通る断面図)に示すように、制御部24や電源25を備えている。第3部屋23には制御部24や電源25などが取り付けられる。制御部24(制御基板)は、マイク部40、スピーカ部50、電源25と電気的に接続されている(配線等は不図示)。電源25は、例えば、リチウムイオンバッテリであり、ACアダプタを介して充電可能に構成されている。制御部24は、電源を制御したり、マイク部40を通じて入力された音声信号を増幅してスピーカ部50へ伝達したりすることができる。
【0019】
また、装置10は、オン/オフ切り替えの電源ボタン30と、スピーカ部50の出力ボリュームつまみ31と、ブザーボタン32と、ホイッスルボタン33とを備えている。これらは筐体11から露出しており、ユーザによって操作等される。また、装置10は、ストラップリング35を備えている。例えば、ストラップリング35にストラップを通して、ユーザが装置10を首にかけることができる。
【0020】
筐体11は、下端13より上端12に近い箇所14(くびれ14)がくびれるよう縮径されており、そのくびれ14から下端13に向かって末広がりるよう拡径されている。これにより、手の大きさが違うユーザであっても筐体11を把持しやすくなっている。また、下端13に向かって末広がる箇所にスピーカ部50を取り付けることで、音声をより拡散させることができる。
【0021】
このような装置10によれば、使用時においてユーザは、筐体11を把持することができる。そして、ユーザが声を発することで、音声(マイクカバー40Aを通過したもの)をマイク部40が拾い、音声信号を増幅してスピーカ部50から音声(スピーカカバー50A、50Bを通過したもの)を拡散、すなわち広く音声を轟かせることができる。
【0022】
また、装置10では、マイク部40およびスピーカ部50とが筐体11に取り付けられて一体化されているが、第3部屋23を設けてマイク部40とスピーカ部50とを隔離している。これにより、スピーカ部50から出力された音の一部がマイク部40に入力されることで発生してしまうハウリング(フィードバック)の発生を抑制することができる。
【0023】
スピーカ部50は、
図4に示すように、第1スピーカ51を有している。第1スピーカ51は、装置10から下方に向けて音声出力されるよう筐体11に設けられている。より具体的には、第1スピーカ51は、音声出力の出口51a側を表とし、これを筐体11の下方(z軸方向マイナス向き、鉛直方向の下向き)に向けて筐体11の下端13(底部)に設けられている。すなわち、第1スピーカ51の表が筐体11の底面において露出するよう設けられている。これによれば、ユーザの使用時において、装置10(筐体11)の底部(中心軸11aおよびその周囲)から下方へと音声を拡散させることができる。
【0024】
また、スピーカ部50は、
図4に示すように、第2スピーカ52を有している。第2スピーカ52は、装置10から側方に向けて音声出力されるよう筐体11に設けられている。より具体的には、第2スピーカ52は、音声出力の出口52a側を表とし、これを筐体11の側方(x軸方向マイナス向き、水平方向左向き)に向けて筐体11の側部に設けられている。すなわち、第2スピーカ52の表が筐体11の側面において露出するよう設けられている。これによれば、ユーザの使用時において、装置10(筐体11)の側部から側方へと音声を拡散させることができる。したがって、第1スピーカ51および第2スピーカ52を有するスピーカ部50によれば、筐体11の下方および側方へと広く音声を拡散させることができる。
【0025】
ここで、
図4に示すように、第1スピーカ51の裏には、第1空間61が形成され、第2スピーカ52の裏には、第2空間62が形成されている。スピーカ部50では、第2空間62が第1空間61を囲むよう、第1空間61と第2空間62とが区画されている。なお、これら第1空間61と第2空間62は、筐体11の第2部屋22に形成されている。
【0026】
ここで、スピーカ部50は、第1スピーカ51の裏を密閉空間とするボックス63(エンクロージャ)を有している。ボックス63は、
図5に示すように、リング部材64と、カップ部材65とを有して、組み合わさって構成されている。ボックス63によれば、第1スピーカ51の表(出口51a)がリング部材64の開口から露出し、第1スピーカ51の裏がカップ部材65で囲まれる。
【0027】
このボックス63を囲む(収める)ように第2空間62が形成されている。すなわち、ボックス63によって第1空間61と第2空間62とが区画されている。これにより、第1スピーカ51からの出力と第2スピーカ52からの出力とが干渉しあうことを抑制することができるので、それぞれによって筐体11の下方、側方へと広く音声を拡散させることができる。なお、ボックス63の代わりに、第2部屋22内に壁を設けることで、第1空間61と第2空間62を区画することもできる。
【0028】
また、スピーカ部50は、
図4に示すように、第3スピーカ53を有している。第3スピーカ53は、装置10から側方に向けて音声出力されるよう筐体11に設けられている。より具体的には、第3スピーカ53は、音声出力の出口53a側を表とし、これを筐体11の側方(x軸方向プラス向き、水平方向右向き)に向けて筐体11の側部に設けられている。すなわち、第3スピーカ53の表が筐体11の側面において露出するよう設けられている。これによれば、ユーザの使用時において、装置10(筐体11)の延在する方向(z軸方向、鉛直方向)に沿って広く側方へ音声を拡散させることができる。
【0029】
なお、第3スピーカ53の裏には、第2スピーカ52と共有される第2空間62が形成されている。第2空間62は第2部屋22に形成されるが、第2スピーカ52および第3スピーカ53のそれぞれの裏を囲んで密閉空間とするボックス(エンクロージャ)を設けることもできる。
【0030】
第1スピーカ51は、例えば、出口51a(出力側開口)が底面視円形のコーン(振動板)と、ボイスコイルを含む振動源とを有しており、このボイスコイルに電流を流してコーンを振動させて音声を出力するもの(例えば5ワット出力)である。また、第2スピーカ52は、例えば、出口52aが側面視楕円形のコーンと、ボイスコイルを含む振動源とを有しており、このボイスコイルに電流を流してコーンを振動させて音声を出力するもの(例えば5ワット出力)である。第2スピーカ52は、出口52aの長手一方が上側、長手他方が下側となるように設けられている。
【0031】
また、第3スピーカ53は、例えば、出口53aが側面視楕円形のコーンと、ボイスコイルを含む振動源とを有しており、このボイスコイルに電流を流してコーンを振動させて音声を出力するもの(例えば5ワット出力)である。第3スピーカ53は、出口53aの長手一方が上側、長手他方が下側となるように設けられている。この第3スピーカ53としては、第2スピーカ52と同じ形状、出力のものを用いることができる。第2スピーカ52と第3スピーカ53とは互いに逆を向いて設けられている。
図4では、第2スピーカ52の出口52aがx軸方向マイナス向き、第3スピーカ53の出口53aがx軸方向プラス向きとなっている。
【0032】
ところで、筐体11は、中心軸11a(
図4では、中心軸11aの延在方向を含めて示す。)を有し、例えば棒状に構成されている。この中心軸11aは、第1スピーカ51(
図4では、出口51a中心)を通る。また、中心軸11aに対して、第2スピーカ52(
図4では、出口52a中心)と第3スピーカ53(
図4では、出口53a中心)とは非対称となっている。
【0033】
第3スピーカ53は、中心軸11aに対して第2スピーカ52と非対称となるよう筐体11の下端13側の基準(例えば、第1スピーカ51の出口51a)からの距離が異なっている。より具体的には、中心軸11a方向(筐体11の延在方向)において、第3スピーカ53の出口53a中心と第1スピーカ51の出口51a中心との距離z1が、第2スピーカ52の出口52a中心と第1スピーカ51の出口51a中心との距離z2よりも長い。これによれば、筐体11が棒状であっても延在方向に沿って複数のスピーカ(第2スピーカ52および第3スピーカ53)を設けることができ、例えばユーザの使用時において、筐体側方へ広く音声を拡散させることができる。
【0034】
また、第3スピーカ53は、中心軸11aに対して第2スピーカ52と非対称となるよう第2スピーカ52に対して中心軸11aからの距離が異なっている。より具体的には、第3スピーカ53の出口53a中心と中心軸11aとの距離x1が、第2スピーカ52の出口52a中心と中心軸11aとの距離x2よりも短い。これによれば、例えばユーザの使用時において、筐体側方へ広く音声を拡散させることができる。
【0035】
距離z1と距離z2とを等しく、かつ距離x1と距離x2とを等しくし、第2スピーカ52と第3スピーカ53とを中心軸11aに対して対称とすることも考えられる。ここで、装置10では、筐体11下方へ音声出力する第1スピーカ51も設けている。そこで、装置10では、中心軸11a方向において、第1スピーカ51に対して近く(距離z2)の第2スピーカ52を中心軸11aから遠ざけ(距離x2)、遠く(距離z1)の第3スピーカ53を中心軸11aに近づけ(距離x1)、第2スピーカ52と第3スピーカ53とを中心軸11aに対して非対称としている。
【0036】
また、スピーカ部50は、ボックス54(エンクロージャ)を有している。このボックス54が筐体11に固定して収容される、すなわちスピーカ部50が筐体11に設けられる。ボックス54は、上端55および下端56を有している。より具体的には、ボックス54は、上端55から下端56へ向かって拡径するよう、円錐台形状に構成されている。また、ボックス54は、中空に構成され、上端55では内部が閉塞され、下端56では内部が開放されている。
【0037】
ボックス54は、第1開口部57を有している。第1開口部57は、ボックス54の下端56の面に形成されている。この第1開口部57からは第1スピーカ51の表(出口51a)が露出している。本実施形態では、第1スピーカ51の裏を空間を形成して囲い込むボックス63に第1スピーカ51が設けられている。第1開口部57は、第1スピーカ51の表を露出させてボックス63によって塞がれている。
【0038】
また、ボックス54は、第2開口部58を有している。第2開口部58は、ボックス54の側面に形成されている。この第2開口部58からは第2スピーカ52の表(出口52a)が露出している。第2開口部58は、第2スピーカ52の表を露出させて第2スピーカ52によって塞がれている。
【0039】
また、ボックス54は、第3開口部59を有している。第3開口部59は、ボックス54の側面に形成されている。この第3開口部59からは第3スピーカ53の表(出口53a)が露出している。第3開口部59は、第3スピーカ53の表を露出させて第3スピーカ53によって塞がれている。
【0040】
このように、装置10では、マイク部40側を上端55とした円錐台形状のボックス54を有するスピーカ部50が設けられている。ボックス54には、上端55側から下端56側に向かうに従い、第3スピーカ53、第2スピーカ52、および第1スピーカ51の順でこれらを設けられている。このような円錐台形状のボックス54を有するスピーカ部50によれば、ボックス54の高さ方向に沿って音声を拡散させることができる。
【0041】
また、装置10は、第1囲い部材15を備えている。第1囲い部材15は、第1スピーカ51を囲むように設けられている。より具体的には、第1スピーカ51の出口51aがボックス54の第1開口部57から露出されているので、第1開口部57の周りのボックス54の側面にリング状の第1囲い部材15を接触(接着)させる。第1囲い部材15としては、例えば、弾性を有する部材、フェルト、不織布、スポンジ、樹脂などを用いることができる。
【0042】
そして、第1囲い部材15が筐体11の内側と接触するよう、筐体11とボックス54との間で第1囲い部材15を挟むことで(
図4参照)、筐体11とボックス54との間の振動伝搬を抑制することができる。不要な振動の発生を抑制することで、ハウリングの発生を抑制して音声を拡散させることができる。
【0043】
また、装置10は、第2囲い部材16を備えている。第2囲い部材16は、第2スピーカ52や第3スピーカ53を囲むように設けられている。より具体的には、第2スピーカ52の出口52aがボックス54の第2開口部58から露出されているので、第2開口部58の周りのボックス54の側面にシート状の第2囲い部材16、16を接触させる。また、第3スピーカ53の出口53aがボックス54の第3開口部59から露出されているので、第3開口部59の周りのボックス54の側面にシート状の第2囲い部材16、16を接触(接着)させる。第2囲い部材16としては、例えば、弾性を有する部材、フェルト、不織布、スポンジ、樹脂などを用いることができる。なお、第2開口部58や第3開口部59を囲むものとして、第2囲い部材16、16は共有されている。
【0044】
そして、第2囲い部材16が筐体11の内側と接触するよう、筐体11とボックス54との間で第2囲い部材16を挟むことで、筐体11とボックス54との間の振動伝搬を防止することができる。不要な振動の発生を抑制することで、ハウリングの発生を抑制して音声を拡散させることができる。
【0045】
また、装置10は、緩衝部材17を備えている。緩衝部材17は、スピーカ部50のマイク部40側を覆うよう設けられている。より具体的には、スピーカ部50のボックス54の上端55の面および上端55の周りのボックス54の側面にかけて緩衝部材17を接触(接着)させる。緩衝部材17としては、例えば、弾性を有する部材、フェルト、不織布、スポンジ、樹脂などを用いることができる。円形シート状の緩衝部材17であれば、半径方向外側に切り込みを入れることで上端55の面から側面にかけて緩衝部材17を貼り付けやすくすることができる。
【0046】
ここで、
図4に示すように、筐体11の第2部屋22には、第3部屋23側に型26が形成されている。より具体的には、型26は、スピーカ部50のマイク部40側の上部(上端55部分)が嵌め込まれるよう形成されている。スピーカ部50の上部を覆うように緩衝部材17が設けられているので、スピーカ部50が緩衝部材17を介して型26に嵌め込まれ易くなっている。緩衝部材17が筐体11の内側と接触するよう、筐体11とボックス54との間で緩衝部材17を挟むことで、筐体11とボックス54との間の振動伝搬を抑制することができる。不要な振動の発生を抑制することで、ハウリングの発生を抑制して音声を拡散させることができる。
【0047】
また、装置10は、ホルダ部材18、19を備えている。
図4に示すように、ホルダ部材18、19は、マイク部40のスピーカ部50側を覆うよう設けられている。ホルダ部材18、19は、例えば、弾性を有する部材、スポンジ、フェルト、不織布、樹脂などを用いることができる。
【0048】
ホルダ部材18は、例えば筒状であり、マイク部40の上端41側を露出させてマイク部40が差し込まれるようにして、マイク部40の側面と接触(接着)している。また、ホルダ部材19は、例えば円柱状であり、マイク部40のスピーカ部50側(下端42)を覆うようにして、マイク部40の下端42の面と接触(接着)している。
【0049】
ここで、マイク部40を筐体11に取り付けるにあたり、ホルダ部材19と筐体11との間に間隙20を形成している。より具体的には、マイク部40が筐体11の第1部屋21に取り付けられるが、第1部屋21と第3部屋23とを区画する仕切り27からホルダ部材19が離れている。これにより、筐体11とマイク部40との間の振動伝搬を抑制することができる。不要な振動の発生を抑制することで、ハウリングの発生を抑制して音声を拡散させることができる。
【0050】
以上、本発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0051】
前記実施形態では、筐体の側面に2個のスピーカを設ける場合について説明した。これに限らず、変形例として、筐体の側面に1個または3個以上のスピーカを設ける場合もある。これによれば、ユーザの使用時において、筐体の下方の他に、側方へと広く音声を拡散させることができる。
【0052】
前記実施形態では、ユーザが声を発することで、マイク部が音声を拾い、その音声を増幅してスピーカ部から拡散させる場合について説明した。これに限らず、変形例として、制御基板と共に無線送信ユニット(例えば800MHz)を筐体内に設け、受信ユニットを外部スピーカに設けた音響システムを構築する場合もある。これによれば、スピーカ部または外部スピーカの少なくともいずれか一方から音声を拡散させることもできる。
【0053】
前記実施形態では、装置側方に向けて音声出力されるスピーカ(第2スピーカ、第3スピーカ)が円錐台形状のボックスに設けられる場合について説明した。これに限らず、変形例として、円柱状、多角柱状などのボックスに装置側方に向けてスピーカを設ける場合もある。
【符号の説明】
【0054】
10:音響装置、 11:筐体、 40:マイク部、 50:スピーカ部、 51:第1スピーカ、 52:第2スピーカ。