(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】電気接続箱
(51)【国際特許分類】
H02G 3/16 20060101AFI20231226BHJP
H01R 13/684 20110101ALI20231226BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
H02G3/16
H01R13/684
B60R16/02 610A
(21)【出願番号】P 2021140355
(22)【出願日】2021-08-30
【審査請求日】2023-01-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】中島 明紀
(72)【発明者】
【氏名】後藤 啓稀
(72)【発明者】
【氏名】野垣 崇央
【審査官】岩井 一央
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-034284(JP,A)
【文献】特開2003-125516(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0299229(US,A1)
【文献】特開2018-010768(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/16
H01R 13/684
B60R 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のコネクタ部を有するケース本体と、前記ケース本体に収容された電源側回路板と、前記ケース本体の上部に設けられ
てコネクタを着脱自在とす
るコネクタ装着部と、を備え、
前
記コネクタは、
増設用の電子機器に電気的に接続される電線の端末に接続された機器側端子
を収容するコネクタハウジングと、前記コネクタハウジングに装着され且つ前記機器側端子と前記電源側回路板との間に電気的に接続されるヒューズ
と、を有
し、
前記コネクタから導出された前記電線は、前記コネクタハウジングを上下に貫通して上部へ導出されることを特徴とする電気接続箱。
【請求項2】
前
記コネクタ装着部では、前記電源側回路板における一部の端子接続部に、前
記コネクタにおける前記ヒューズの一方の電源側端子がそれぞれ電気的に接続可能とされることを特徴とする請求項1に記載の電気接続箱。
【請求項3】
前
記コネクタは、
前記コネクタハウジングに収容された
前記機器側端子に一端が接続されて前
記コネクタの下方へ延びる
前記電線を前
記コネクタの上方へ引き出した状態に保持する電線保持部を有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電気接続箱。
【請求項4】
前
記コネクタ装着部には、前記ケース本体の上方から解除可能なロック機構を介して前
記コネクタがそれぞれロック固定されることを特徴とする請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の電気接続箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気接続箱に関する。
【背景技術】
【0002】
車種やグレードの違いにより柔軟に対応することが出来、更なる開発工数および製造コストの低減を図ることの出来る、電気接続箱が提案されている(特許文献1参照)。
この電気接続箱は、車体に設けられた負荷と接続する電気回路を備えた電気接続箱において、複数の車種又はグレードに共通して用いられる共通回路を備えたベースユニットに対して、車種又はグレードに応じて選択的に用いられる付加回路を備えた複数種類のオプションユニットが用意されてきる。そして、ベースユニットに対してオプションユニットが選択的に組み合わされることで、ベースユニットの共通回路と選択されたオプションユニットの付加回路とで電気回路が構成されている。これらベースユニットおよび選択されたオプションユニットは、車種又はグレード毎に用意された合成樹脂からなるケースに取り付けられて車体に固定される。
【0003】
また、車種を跨いで使用することのできる電気接続箱が提案されている(特許文献2参照)。
この電気接続箱は、電気接続箱筐体(ケース本体)と、共通リレーブロックと、個別対応リレーブロックと、共通電源ブロックと、個別対応半導体モジュールとで構成される。電気接続箱筐体の収容室には、共通リレーブロックと個別対応リレーブロックと共通電源ブロックの1つ以上のブロックと、個別対応半導体モジュールとが収容され、収容されなかったブロックは収容されたブロックに形成された収容室に収容するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2014-193073号公報
【文献】特開2015-231309号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の電気接続箱は、電源を後から取るには、電気接続箱筐体からロアカバーを外して分解する必要があり、煩雑な作業が伴うこととなった。
【0006】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、その目的は、煩雑な作業が不要になり、容易に外部電源をとることができる電気接続箱を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る上記目的は、下記構成により達成される。
複数のコネクタ部を有するケース本体と、前記ケース本体に収容された電源側回路板と、前記ケース本体の上部に設けられてコネクタを着脱自在とするコネクタ装着部と、を備え、
前記コネクタは、増設用の電子機器に電気的に接続される電線の端末に接続された機器側端子を収容するコネクタハウジングと、前記コネクタハウジングに装着され且つ前記機器側端子と前記電源側回路板との間に電気的に接続されるヒューズと、を有し、
前記コネクタから導出された前記電線は、前記コネクタの前記コネクタハウジングを上下に貫通して上部へ導出されることを特徴とする電気接続箱。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る電気接続箱によれば、煩雑な作業が不要になり、容易に外部電源をとることができる。
【0009】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る電気接続箱の要部分解斜視図である。
【
図2】
図2は、電源側回路板と共に表したヒュージブルリンクソケットの分解斜視図である。
【
図3】
図3は、ヒュージブルリンクソケットを表す斜視図である。
【
図4】
図4は、コネクタハウジングの下方から引き出された電線が電線保持部により上方へ導出されたヒュージブルリンクソケットを説明する斜視図である。
【
図5】
図5は、電源側回路板と共に表したヒューズソケットの分解斜視図である。
【
図6】
図6は、ヒューズソケットを表す斜視図である。
【
図7】
図7は、コネクタハウジングの下方から引き出された電線が電線保持部により上方へ導出されたヒューズソケットを説明する斜視図である。
【
図8】
図8は、ヒュージブルリンクソケットとヒューズソケットとが予備コネクタ装着部に装着された状態を説明するケース本体の要部拡大斜視図である。
【
図9】
図9は、予備コネクタ接続ブロックを介してケース本体の予備コネクタ装着部に装着されるヒュージブルリンクソケットを説明する斜視図である。
【
図10】
図10は、予備コネクタ接続ブロックの分解斜視図である。
【
図11】
図11は、コネクタ装着部に変形防止保護構造を備えた予備コネクタ接続ブロックの斜視図である。
【
図12】
図12は、ヒュージブルリンクソケットを搭載した予備コネクタ接続ブロックが予備コネクタ装着部に装着された状態を説明するケース本体の要部拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る実施形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る電気接続箱11の要部分解斜視図である。
例えば車両の電力伝送ラインには、各種の電子機器の電気回路を保護するために、多数のヒューズを抜き差し可能に配設した「ヒューズブロック」が用いられる。ヒューズブロックは、リレーなどを有することもあることから、「リレーボックス」若しくは「ジャンクションブロック」とも呼ばれる。本明細書では、これらヒューズブロック、リレーボックス、ジャンクションブロックを総称して電気接続箱11と呼ぶ。
【0012】
本実施形態に係る電気接続箱11は、外殻を形成するケース本体13と、このケース本体13と一体に設けられる電源側回路板10と、ケース本体13の下方開口を覆うロアカバー21と、ケース本体13の上方開口を覆うアッパーカバー(不図示)とを備えている。ケース本体13の例えば上面には、ヒューズやヒュージブルリンク等の電気部品が装着されるコネクタ部が複数設けられている。更に、ケース本体13の上部には、予備コネクタであるヒュージブルリンクソケット23やヒューズソケット25を着脱自在とする予備コネクタ装着部が設けられている。
【0013】
本実施形態において、予備コネクタ装着部は、ケース本体13を複数の隔壁15で仕切ることにより、ケース本体13の上面に開口する箱状凹部となった予備コネクタ装着部17や、予備ブロック装着部19である。それぞれの予備コネクタ装着部17及び予備ブロック装着部19には、板状のバスバーを折り曲げたり、切り欠いたりして形成した電源側回路板10における端子部14(
図2参照)や端子連結部12(
図9参照)が配置されている。電源側回路板10の端子部14や端子連結部12は、装着されるブレードヒューズ51やヒュージブルリンク31の電源側端子に導通することになる。
【0014】
なお、アッパーカバーは、ケース本体13の上部に装着された電気部品を覆い、ロアカバー21は、ケース本体13の下部から電線を導出させる。
【0015】
本実施形態に係る電気接続箱11は、予備コネクタ装着部17に、予備コネクタが装着される。本実施形態において、予備コネクタは、ヒュージブルリンクソケット23及びヒューズソケット25である。また、予備コネクタは、後述する予備コネクタ接続ブロック27(
図9参照)を介して予備コネクタ装着部としての予備ブロック装着部19に装着されてもよい。
【0016】
図2は、電源側回路板10と共に表したヒュージブルリンクソケット23の分解斜視図である。
ヒュージブルリンクソケット23には、ヒュージブルリンク31が装着される。ヒュージブルリンク31は、電子機器に電気的に接続される電線33の端末に接続された機器側端子35と、電源側回路板10における一部の端子接続部である端子部14とを、電気的に接続する。
【0017】
ヒュージブルリンクソケット23は、絶縁性樹脂からなるヒュージブルリンクソケットハウジング45内に電源側接続端子37が装着されている。電源側接続端子37は、ヒュージブルリンクソケット23に装着されたヒュージブルリンク31の電源側端子(不図示)と導通する。電源側接続端子37は、一対のタブ端子である電気接触片41を有する。一対の電気接触片41のそれぞれは、音叉端子である端子部14の異なる一対の挟持片43の間に挿入れて導通される。また、ヒュージブルリンクソケット23には、機器側端子35が装着される。機器側端子35は、ヒュージブルリンク31の負荷側端子(不図示)に導通する。
【0018】
図3は、ヒュージブルリンクソケット23を表す斜視図である。
電気接続箱11は、ヒュージブルリンクソケット23におけるヒュージブルリンクソケットハウジング(コネクタハウジング)45が、電線保持部47を有する。電線保持部47は、平面視C字状に形成されており、電線挿入口49を挟む一端がヒュージブルリンクソケットハウジング45の側面に接続される。電線保持部47の他端は、自由端となる。
【0019】
電線保持部47は、電線挿入口49から電線33を、延在方向に垂直な方向で挿入することができる。電線保持部47は、ヒュージブルリンクソケットハウジング45に収容された機器側端子35に接続されてヒュージブルリンクソケットハウジング45の下方へ延びる電線33を、ヒュージブルリンクソケットハウジング45の上方へ引き出した状態に保持することができる。
【0020】
図4は、ヒュージブルリンクソケットハウジング45の下方から引き出された電線33が電線保持部47により上方へ導出されたヒュージブルリンクソケット23を説明する斜視図である。
ヒュージブルリンクソケット23は、一旦、ヒュージブルリンクソケットハウジング45の下方から引き出された電線33が、電線挿入口49に挿入されてヒュージブルリンクソケットハウジング45の上部へと導出される。従って、電線33は、ヒュージブルリンクソケットハウジング45の下部と電線保持部47との間が、180°屈曲された状態となって、上部へと方向転換されて導出される。
【0021】
図5は、電源側回路板10と共に表したヒューズソケット25の分解斜視図である。
予備コネクタ装着部17には、ヒューズソケット25も装着が可能である。ヒューズソケット25に装着されたそれぞれのブレードヒューズ51は、電源側端子39が直接、ケース本体13に収容されている電源側回路板10の端子部14の異なる一対の挟持片43の間に挿入れて導通される。
【0022】
また、ヒューズソケット25には、電線33の端末に取り付けられた機器側端子35が挿入される。ヒューズソケット25に挿入された機器側端子35は、ヒューズソケット25内におけるブレードヒューズ51の負荷側端子53に直接接続される。
【0023】
図6は、ヒューズソケット25を表すの斜視図である。
このヒューズソケット25の場合も、ヒュージブルリンクソケット23と同様に、ヒューズソケット25における絶縁性樹脂製のヒューズソケットハウジング(コネクタハウジング)55が、電線保持部47を有する。電線保持部47は、平面視C字状に形成されており、電線挿入口49から電線33を、延在方向に垂直な方向で挿入することができる。
【0024】
図7は、ヒューズソケットハウジング55の下方から引き出された電線33が電線保持部47により上方へ導出されたヒューズソケット25を説明する斜視図である。
ヒューズソケット25は、一旦、ヒューズソケットハウジング55の下方から引き出された電線33が、電線挿入口49に挿入されてヒューズソケットハウジング55の上部へと導出される。従って、電線33は、ヒューズソケットハウジング55の下部と電線保持部47との間が、180°屈曲された状態となって、上部へと導出される。
【0025】
図8は、ヒュージブルリンクソケット23とヒューズソケット25とが予備コネクタ装着部17に装着された状態を説明するケース本体13の要部拡大斜視図である。
本実施形態の電気接続箱11では、オプションやアフターパーツ等の増設時、電源の確保が必要となった場合、ケース本体13の予備コネクタ装着部17に、ヒュージブルリンクソケット23や、ヒューズソケット25を差し込む。これにより、ヒュージブルリンク31やブレードヒューズ51を介した電源を、後から容易に電気接続箱11から取り出すことが可能となっている。
【0026】
なお、ヒュージブルリンクソケット23及びヒューズソケット25からケース本体13の上部へ導出された電線33は、例えばケース本体13とアッパーカバーの間や、サイドカバーに設けた出口開口から電気接続箱11の外部へ導出される。
【0027】
図9は、予備コネクタ接続ブロック27を介してケース本体13の予備ブロック装着部19に装着されるヒュージブルリンクソケット23を説明する斜視図である。
電気接続箱11におけるケース本体13の上部に設けられる予備コネクタ装着部は、例えばそのうちの1つが
図1に示した予備ブロック装着部19であってもよい。この予備ブロック装着部19には、
図9に示す予備コネクタ接続ブロック27が装着される。
【0028】
そして、予備ブロック装着部19には、予備コネクタ接続ブロック27を介してヒュージブルリンクソケット23又はヒューズソケット25のいずれかが選択的に装着される。予備コネクタ接続ブロック27には、コネクタ装着部57が形成されている。このコネクタ装着部57には、ヒュージブルリンクソケット23またはヒューズソケット25のいずれかが選択的に装着可能となっている。
【0029】
図10は、予備コネクタ接続ブロック27の分解斜視図である。
予備コネクタ接続ブロック27は、絶縁樹脂により成形されるハウジング本体59が、平面視で矩形状に形成される。ハウジング本体59の長手方向一端には、平面視でほぼ正方形のバスバー接続ハウジング部60が一体に成形されている。このバスバー接続ハウジング部60には、ケース本体13の内部に収容された電源側回路板10の端子連結部12と接続される音叉端子29のバスバー接続部61(
図10参照)が収容される。
ハウジング本体59には、コネクタ装着部57の他に、例えばブレードヒューズ51等の装着が可能となる複数のヒューズ装着部58が設けられている。
【0030】
ハウジング本体59には、59には、電源側回路板10に接続される音叉端子29が装着される。即ち、電源側回路板10を収容したケース本体13に装着される予備コネクタ接続ブロック27は、バスバー接続部61を介して音叉端子29が、ケース本体13の電源側回路板10に接続される。
【0031】
電源側回路板10における一部の端子接続部である音叉端子29は、音叉状に起立した一対の挟持片43が、ハウジング本体59の長手方向に沿って複数対(本実施形態では8対)、形成されている。音叉端子29は、一対の挟持片43の間に挿入されたヒュージブルリンクソケット23の電源側接続端子37、又はブレードヒューズ51の電源側端子39と導通する。
【0032】
図11は、コネクタ装着部57に変形防止保護構造を備えた予備コネクタ接続ブロック27の斜視図である。
予備コネクタ接続ブロック27は、コネクタ装着部57に、変形防止保護構造を有する。変形防止保護構造は、コネクタ装着部57において、表出する音叉端子29を包囲する周壁部63を有する。周壁部63は、外力による音叉端子29の変形を防止する。周壁部63は、一対の挟持片43ごとに、一対の挟持片43を表出させる上部開口部65を有する。また、周壁部63は、一対の挟持片43の間に電源側接続端子37における電気接触片41や、ブレードヒューズ51の電源側端子39を挿入可能とするスリット67が、上部開口部65から下方へ切り込まれて形成されている。
【0033】
周壁部63は、上部開口部65の周縁が、開口部上端面69となる。この開口部上端面69は、ヒュージブルリンクソケット23やヒューズソケット25の上側段部71(
図6、
図11参照)と対向する。周壁部63の裾部には、開口部上端面69と平行な着座部73が周壁部63から延出して形成されている。この着座部73には、ヒュージブルリンクソケット23やヒューズソケット25の係合リブ75(
図6、
図11参照)の下端が当接、若しくは近接する。
【0034】
コネクタ装着部57の内壁面77には、開口部上端面69と平行な載置面を有する載置リブ79が突設されている。載置リブ79には、ヒュージブルリンクソケット23やヒューズソケット25の下側段部81(
図6、
図11参照)が載置される。載置リブ79は、周壁部63に向かって延在し、周壁部63に対して隙間を有して垂下することにより、L字状となって着座部73に接続される。この周壁部63と垂下した載置リブ79との隙間は、係合溝83となる。係合溝83には、係合リブ75が上方より挿入される。
【0035】
そして、予備コネクタ接続ブロック27のコネクタ装着部57に装着されたヒュージブルリンクソケット23又はヒューズソケット25は、少なくとも下側段部81が載置リブ79に載置され、係合リブ75が係合溝83に嵌入する。これにより、ヒュージブルリンクソケット23又はヒューズソケット25は、前後方向(内壁面77と平行かつ周壁部63に垂直な方向)と、左右方向(コネクタ装着部57の長手方向)と、下方向(コネクタ装着部57に対するヒュージブルリンクソケット23及びヒューズソケット25の装着方向)への移動が規制される。
【0036】
ケース本体13および予備コネクタ接続ブロック27には、ケース本体13の上方から解除可能なロック機構を介してヒュージブルリンクソケット23又はヒューズソケット25が、選択的にそれぞれロック固定される。ロック機構は、
図1及び
図10に示すロックアーム85と、係合凹部87と、により構成される。
【0037】
例えばヒュージブルリンクソケット23は、予備コネクタ装着部17、又は予備コネクタ接続ブロック27のコネクタ装着部57に装着されると、ロック爪89が押圧されて押し込まれる。ヒュージブルリンクソケット23が所定の位置まで挿入(装着)されると、係合凹部87に、弾性復元力により変位したロックアーム85のロック爪89が係止される。
【0038】
これにより、ヒュージブルリンクソケット23は、予備コネクタ装着部17、又はコネクタ装着部57からの離脱が規制される。一方、ロックアーム85は、治具等を用いて移動されると、係合凹部87との係止が解除され、ヒュージブルリンクソケット23を予備コネクタ装着部17、又はコネクタ装着部57から離脱可能となる。
【0039】
図12は、ヒュージブルリンクソケット23を搭載した予備コネクタ接続ブロック27が予備ブロック装着部19に装着された状態を示すケース本体13の要部拡大斜視図である。
図12に示した電気接続箱11では、オプションやアフターパーツ等の増設時、電源の確保が必要となった場合、ケース本体13の予備ブロック装着部19に装着された予備コネクタ接続ブロック27に、ヒュージブルリンクソケット23を差し込む。また、予備コネクタ接続ブロック27には、ヒューズソケット25を差し込んでもよい。
【0040】
これにより、電気接続箱11は、1つの予備コネクタ接続ブロック27に対して、ヒュージブルリンク31やブレードヒューズ51を直列接続した電源を、後から容易に電気接続箱11から取り出すことが可能となる。
【0041】
次に、上記した構成の作用を説明する。
本実施形態に係る電気接続箱11では、ケース本体13が、複数のコネクタ部と、予備コネクタ装着部17や予備ブロック装着部19とを有する。ケース本体13には、電源側回路板10が収容されている。電源側回路板10は、銅等の導電性の高い金属からなり、絶縁性樹脂からなるケース本体13の内部に例えば成形時に一体的に埋入されて収容される。
【0042】
ケース本体13の上部に設けられた予備コネクタ装着部17や予備ブロック装着部19には、予備コネクタが着脱自在に装着される。予備コネクタは、ヒュージブルリンクソケット23またはヒューズソケット25である。以下、予備コネクタが、ヒューズソケット25である場合を例に説明する。
【0043】
ブレードヒューズ51は、ケース本体13の予備コネクタ装着部17や予備ブロック装着部19に、ヒューズソケット25が装着されると、電子機器に電気的に接続される電線33の端末に接続された機器側端子35と、電源側回路板10との間に電気的に直列接続されることになる。
【0044】
ヒューズソケット25から導出された電線33は、ヒューズソケット25のヒューズソケットハウジング55を上下に貫通して上部へと導出される。これにより、本実施形態の電気接続箱11では、オプションやアフターパーツ等の増設時、電源の確保が必要となった場合であっても、ケース本体13の上部の予備コネクタ装着部17や予備ブロック装着部19に、ヒューズソケット25を差し込む(装着する)だけでよい。
【0045】
即ち、ブレードヒューズ51を介した電源を、後から容易に電気接続箱11から取り出すことが可能となる。その結果、ケース本体13からロアカバー21を外して電気接続箱11を分解する必要がなくなり、煩雑な作業を不要にして、容易に外部電源をとることができる。
【0046】
また、本実施形態の電気接続箱11では、予備コネクタ装着部17や予備ブロック装着部19において、電源側回路板10における一部の端子接続部である端子部14又は音叉端子29に、ヒューズソケット25に装着されたブレードヒューズ51の一方の電源側端子39が電気的に接続可能となる。ブレードヒューズ51は、この一方の電源側端子39と、他方の負荷側端子53と、を備えている。
【0047】
ヒューズソケット25に装着されたブレードヒューズ51は、ヒューズソケット25がケース本体13の予備コネクタ装着部17や予備ブロック装着部19に装着されると、電気接続箱11のケース本体13に収容されている電源側回路板10に、電源側端子39が導通接続される。
【0048】
ブレードヒューズ51は、電源側端子39が可溶部を介して負荷側端子53に接続されている。この負荷側端子53には、電線33の端末に接続された機器側端子35が導通接続される。即ち、端末に機器側端子35が取り付けられた電線33は、ヒューズソケット内でブレードヒューズ51の負荷側端子53と接続されて、ヒューズソケット25の外部へと導出される。
【0049】
これにより、電気接続箱11は、電源側回路板10との間にブレードヒューズ51を直列に接続した電線33を、ケース本体13の予備コネクタ装着部17や予備ブロック装着部19に装着したヒューズソケット25を介して容易に取り出すことができる。
【0050】
また、本実施形態の電気接続箱11では、ヒューズソケット25が、電線保持部47を有する。ブレードヒューズ51を装着したヒューズソケット25は、予備コネクタ装着部17や予備ブロック装着部19に装着されると、ブレードヒューズ51の電源側端子39が、ケース本体13の電源側回路板10に導通接続される。電源側端子39に電源側回路板10が接続されたブレードヒューズ51は、ヒューズソケット25の内部において、負荷側端子53に機器側端子35が導通接続される。ブレードヒューズ51の負荷側端子53に接続された機器側端子35は、電線33の端末に取り付けられている。
【0051】
この端末に機器側端子35が取り付けられた電線33は、機器側端子35がヒューズソケット25の下方より挿入されることから、ヒューズソケット25の下方へ延びて導出されることになる。ヒューズソケット25に形成された電線保持部47は、ヒューズソケット25の下方へ延びる電線33を例えば半円弧状に180°屈曲して保持することにより、下方から導出された電線33をヒューズソケット25の上方へ引き出した状態に保持できる。
【0052】
これにより、本実施形態の電気接続箱11では、ケース本体13の上部にヒューズソケット25を装着すれば、ケース本体13の上部から簡便に電線33を導出させることができる。
【0053】
更に、本実施形態の電気接続箱11では、予備コネクタ装着部17又は予備ブロック装着部19と、ヒューズソケット25との間には、ロック機構が設けられる。ロック機構は、例えばロックアーム85と、係合凹部87とにより構成される。ロック機構は、ロックアーム85がヒューズソケット25に設けられ、係合凹部87が予備コネクタ装着部17又は予備ブロック装着部19に設けられる。ヒューズソケット25は、ロックアーム85が係合凹部87に係合することにより、予備コネクタ装着部17又は予備ブロック装着部19から離脱が規制される。
【0054】
ロック機構は、ヒューズソケット25を予備コネクタ装着部17又は予備ブロック装着部19に装着することにより、ロックアーム85を弾性変形させて、所定の装着位置で係合凹部87に係止してロックする。係合凹部87に係止されたロックアーム85は、ケース本体13の上方から、係合凹部87から離反する方向への移動が可能となるように形成される。
【0055】
これにより、本実施形態の電気接続箱11は、ワンタッチでヒューズソケット25を予備コネクタ装着部17又は予備ブロック装着部19に固定できる。また、本実施形態の電気接続箱11は、ケース本体13の上方からロックアーム85を操作することにより、ケース本体13の上部でロックを解除してヒューズソケット25を簡単に脱着することができる。
【0056】
上述の説明では、予備コネクタがヒューズソケット25である場合を例に説明したが、予備コネクタは、ヒュージブルリンク31を搭載したヒュージブルリンクソケット23の場合であっても、上述と同様の作用を奏する。
従って、本実施形態に係る電気接続箱11によれば、煩雑な作業が不要になり、容易に外部電源をとることができる。
【0057】
ここで、上述した本発明の一実施形態に係る電気接続箱の特徴をそれぞれ以下に簡潔に纏めて列記する。
[1] 複数のコネクタ部を有するケース本体(13)と、前記ケース本体に収容された電源側回路板(10)と、前記ケース本体の上部に設けられて予備コネクタ(ヒュージブルリンクソケット23、ヒューズソケット25)を着脱自在とする予備コネクタ装着部(17、予備ブロック装着部19)と、を備え、前記予備コネクタは、電子機器に電気的に接続される電線(33)の端末に接続された機器側端子(35)と前記電源側回路板との間に電気的に接続されるヒューズ(ヒュージブルリンク31、ブレードヒューズ51)を有することを特徴とする電気接続箱(11)。
【0058】
上記[1]の構成の電気接続箱(11)によれば、ケース本体(13)が、複数のコネクタ部と、予備コネクタ装着部(17、予備ブロック装着部19)とを有する。ケース本体には、電源側回路板(10)が収容されている。電源側回路板は、例えば銅等の導電性の高い金属からなり、絶縁性樹脂からなるケース本体の内部に収容される。ケース本体の上部に設けられた予備コネクタ装着部には、予備コネクタ(ヒュージブルリンクソケット23、ヒューズソケット25)が着脱自在に装着される。
予備コネクタは、ヒューズ(ヒュージブルリンク31、ブレードヒューズ51)を有する。このヒューズは、ケース本体の予備コネクタ装着部に、予備コネクタが装着されると、電子機器に電気的に接続される電線(33)の端末に接続された機器側端子(35)と、電源側回路板との間に電気的に直列接続されることになる。
予備コネクタから導出された電線は、予備コネクタのコネクタハウジング(ヒュージブルリンクソケットハウジング45、ヒューズソケットハウジング55)を上下に貫通して上部へと導出される。これにより、本構成の電気接続箱によれば、オプションやアフターパーツ等の増設時、電源の確保が必要となった場合であっても、ケース本体の上部の予備コネクタ装着部に、予備コネクタを差し込む(装着する)だけでよい。即ち、ヒューズを介した電源を、後から容易に電気接続箱から取り出すことが可能となる。その結果、ケース本体からロアカバー(21)を外して電気接続箱を分解する必要がなくなり、煩雑な作業を不要にして、容易に外部電源をとることができる。
【0059】
[2] 前記予備コネクタ装着部(17、予備ブロック装着部19)では、前記電源側回路板(10)における一部の端子接続部(端子部14、音叉端子29)に、前記予備コネクタ(ヒュージブルリンクソケット23、ヒューズソケット25)における前記ヒューズ(ヒュージブルリンク31、ブレードヒューズ51)の一方の電源側端子(39)がそれぞれ電気的に接続可能とされることを特徴とする上記[1]に記載の電気接続箱(11)。
【0060】
上記[2]の構成の電気接続箱(10)によれば、予備コネクタ装着部(17、予備ブロック装着部19)において、電源側回路板(10)における一部の端子接続部(端子部14、音叉端子29)に、予備コネクタ(ヒュージブルリンクソケット23、ヒューズソケット25)に装着されたヒューズ(ヒュージブルリンク31、ブレードヒューズ51)の一方の電源側端子(39)が電気的に接続可能となる。ヒューズ(ヒュージブルリンク31、ブレードヒューズ51)は、この一方の電源側端子(39)と、他方の負荷側端子(53)と、を備えている。
予備コネクタ(ヒュージブルリンクソケット23、ヒューズソケット25)に装着されたヒューズ(ヒュージブルリンク31、ブレードヒューズ51)は、予備コネクタ(ヒュージブルリンクソケット23、ヒューズソケット25)がケース本体(13)の予備コネクタ装着部(17、予備ブロック装着部19)に装着されると、電気接続箱(11)のケース本体(13)に収容されている電源側回路板(10)に、電源側端子(39)が導通接続される。
ヒューズ(ヒュージブルリンク31、ブレードヒューズ51)は、電源側端子(39)が可溶部を介して負荷側端子(53)に接続されている。この負荷側端子(53)には、電線(33)の端末に接続された機器側端子(35)が導通接続される。即ち、端末に機器側端子(35)が取り付けられた電線(33)は、予備コネクタ(ヒュージブルリンクソケット23、ヒューズソケット25)内でヒューズ(ヒュージブルリンク31、ブレードヒューズ51)の負荷側端子(53)と接続されて、予備コネクタ(ヒュージブルリンクソケット23、ヒューズソケット25)の外部へと導出される。これにより、電気接続箱(11)は、電源側回路板(10)との間にヒューズ(ヒュージブルリンク31、ブレードヒューズ51)を直列に接続した電線(33)を、ケース本体(13)の予備コネクタ装着部(17、予備ブロック装着部19)に装着した予備コネクタ(ヒュージブルリンクソケット23、ヒューズソケット25)を介して容易に取り出すことができる。
【0061】
[3] 前記予備コネクタ(ヒュージブルリンクソケット23、ヒューズソケット25)は、コネクタハウジング(ヒュージブルリンクソケットハウジング45、ヒューズソケットハウジング55)に収容された機器側端子(35)に一端が接続されて前記予備コネクタの下方へ延びる電線(33)を前記予備コネクタの上方へ引き出した状態に保持する電線保持部(47)を有することを特徴とする上記[1]または[2]に記載の電気接続箱(11)。
【0062】
上記[3]の構成の電気接続箱(11)によれば、予備コネクタ(ヒュージブルリンクソケット23、ヒューズソケット25)が、電線保持部(47)を有する。ヒューズ(ヒュージブルリンク31、ブレードヒューズ51)を装着した予備コネクタ(ヒュージブルリンクソケット23、ヒューズソケット25)は、予備コネクタ装着部(17、予備ブロック装着部19)に装着されると、ヒューズ(ヒュージブルリンク31、ブレードヒューズ51)の電源側端子(39)が、ケース本体(13)の電源側回路板(10)に導通接続される。電源側端子(39)に電源側回路板(10)が接続されたヒューズ(ヒュージブルリンク31、ブレードヒューズ51)は、予備コネクタ(ヒュージブルリンクソケット23、ヒューズソケット25)の内部において、負荷側端子(53)に機器側端子(35)が導通接続される。ヒューズの負荷側端子に接続された機器側端子は、電線(33)の端末に取り付けられている。この端末に機器側端子が取り付けられた電線は、機器側端子が予備コネクタの下方より挿入されることから、予備コネクタの下方へ延びて導出されることになる。予備コネクタに形成された電線保持部は、予備コネクタの下方へ延びる電線を例えば半円弧状に180°屈曲して保持することにより、下方から導出された電線を予備コネクタの上方へ引き出した状態に保持できる。
これにより、本構成の電気接続箱によれば、ケース本体の上部に予備コネクタを装着すれば、ケース本体の上部から簡便に電線を導出させることができる。
【0063】
[4] 前記予備コネクタ装着部(17、予備ブロック装着部19)には、前記ケース本体(13)の上方から解除可能なロック機構(ロックアーム85及び係合凹部87)を介して前記予備コネクタ(ヒュージブルリンクソケット23、ヒューズソケット25)がそれぞれロック固定されることを特徴とする上記[1]~[3]のいずれか一つに記載の電気接続箱(11)。
【0064】
上記[4]の構成の電気接続箱(11)によれば、予備コネクタ装着部(17、予備ブロック装着部19)と予備コネクタ(ヒュージブルリンクソケット23、ヒューズソケット25)との間には、ロック機構(ロックアーム85及び係合凹部87)が設けられる。ロック機構は、例えばロックアーム(85)と、係合凹部(87)とにより構成される。ロック機構は、例えばロックアームが予備コネクタに設けられ、係合凹部が予備コネクタ装着部に設けられる。予備コネクタは、ロックアームが係合凹部に係合することにより、予備コネクタ装着部から離脱が規制される。
ロック機構は、予備コネクタを予備コネクタ装着部に装着することにより、ロックアームを弾性変形させて、所定の装着位置で係合凹部に係止してロックする。係合凹部に係止されたロックアームは、ケース本体の上方から、係合凹部から離反する方向への移動が可能となるように形成される。これにより、本構成の電気接続箱は、ワンタッチで予備コネクタを予備コネクタ装着部に固定できるとともに、ケース本体(13)の上方からロックアームを操作することにより、ケース本体の上部でロックを解除して予備コネクタを簡単に脱着することができる。
【0065】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【符号の説明】
【0066】
10…電源側回路板
11…電気接続箱
13…ケース本体
17…予備コネクタ装着部
19…予備ブロック装着部(予備コネクタ装着部)
23…ヒュージブルリンクソケット(予備コネクタ)
25…ヒューズソケット(予備コネクタ)
27…予備コネクタ接続ブロック
33…電線
31…ヒュージブルリンク(ヒューズ)
35…機器側端子
39…電源側端子
51…ブレードヒューズ(ヒューズ)
59…ハウジング本体