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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】無結節閉鎖縫合糸及び組織固定の方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/04 20060101AFI20231226BHJP
【FI】
A61B17/04
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2021502847
(86)(22)【出願日】2019-07-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-11
(86)【国際出願番号】 US2019042375
(87)【国際公開番号】W WO2020018773
(87)【国際公開日】2020-01-23
【審査請求日】2022-05-16
(31)【優先権主張番号】16/038,900
(32)【優先日】2018-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514290052
【氏名又は名称】アースレックス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ARTHREX, INC.
【住所又は居所原語表記】1370 Creekside Blvd, Naples, FL 34108, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【弁理士】
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】クルック、ローレン・ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ドレイファス、ピーター・ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】エルマラジー、アムル・ダブリュ.
【審査官】木村 立人
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-90960(JP,A)
【文献】特表2014-516605(JP,A)
【文献】特開2015-112492(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0281338(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0071548(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2011-0088999(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0243892(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0257379(US,A1)
【文献】国際公開第2017/015087(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/04 ― 17/062
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
縫合構造であって、
第1の端部と、テーパ状の端部部分の形態における第2の端部とを有する芯なし縫合糸と、
複数の拡大部を有する内側フィラメントと、前記内側フィラメント及び前記複数の拡大部は前記芯なし縫合糸によって完全に覆われ、
前記第1の端部に前記芯なし縫合糸を係止する係止機構と、
を備え
前記芯なし縫合糸は、前記第1の端部に閉じたループが設けられている、縫合構造。
【請求項2】
前記複数の拡大部は、前記芯なし縫合糸の外側表面を貫通しない、請求項1に記載の縫合構造。
【請求項3】
前記複数の拡大部は、棘、結節、ビーズ、突起部、又はこれらの組合せである、請求項1に記載の縫合構造。
【請求項4】
前記複数の拡大部は、前記縫合構造の係止を可能にする、請求項1に記載の縫合構造。
【請求項5】
前記複数の拡大部の各々は、前記内側フィラメントの外径よりも大きい外径を有する、請求項1に記載の縫合構造。
【請求項6】
前記複数の拡大部の各々は、前記芯なし縫合糸の外径よりも大きい外径を有する、請求項1に記載の縫合構造。
【請求項7】
前記芯なし縫合糸は、編み合わされた超高分子量ポリエチレンの撚糸で形成された芯なし編組又はシースである、請求項1に記載の縫合構造。
【請求項8】
前記芯なし縫合糸は、ポリエステル糸で形成された芯なし編組又はシースである、請求項1に記載の縫合構造。
【請求項9】
前記閉じたループは、接合部及び前記閉じたループを形成するために、前記第1の端部を前記芯なし縫合糸に通して接合することによって形成される、請求項に記載の縫合構造。
【請求項10】
前記閉じたループは、ラッキングヒッチループである、請求項に記載の縫合構造。
【請求項11】
前記閉じたループに取り付けられたシャトリングデバイスを更に備える、請求項に記載の縫合構造。
【請求項12】
前記シャトリングデバイスは、ニチノールループである、請求項11に記載の縫合構造。
【請求項13】
前記テーパ状の端部部分は、3つの異なる幅を有する、請求項1に記載の縫合構造。
【請求項14】
前記芯なし縫合糸上に設けられたコーティングを更に備える、請求項1に記載の縫合構造。
【請求項15】
前記コーティングは、シリコンコーティング又はコラーゲンコーティングである、請求項14に記載の縫合構造。
【請求項16】
前記芯なし縫合糸は、無結節固定デバイスの少なくとも1つのアイレットを通る、請求項1に記載の縫合構造。
【請求項17】
前記無結節固定デバイスは、スイベルアンカー又はプッシュロックアンカーである、請求項16に記載の縫合構造。
【請求項18】
前記無結節固定デバイスは、アンカー本体と、前記アンカー本体に回転可能に取り付けられたアンカー先端部とを備え、前記アンカー本体は、前記固定デバイスを骨内に留めるために、前記アンカー先端部上に挿入されるように構成されている、請求項16に記載の縫合構造。
【請求項19】
前記アンカー本体は、カニューレ状干渉螺子である、請求項18に記載の縫合構造。
【請求項20】
前記芯なし縫合糸は、アンカー本体に結合される、請求項1に記載の縫合構造。
【請求項21】
前記アンカー本体は、軟質である、請求項20に記載の縫合構造。
【請求項22】
前記アンカー本体は、硬質である、請求項20に記載の縫合構造。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[0001]本開示は、手術の分野に関し、より詳細には、改善された縫合糸及び組織固定の方法に関する。
【発明の概要】
【0002】
[0002]組織の無結節固定のための縫合構造(suturing constructs)及び方法が開示される。
【0003】
[0003]縫合構造は、凹凸のある縫合糸を含み得る。縫合構造は、遠位端に1つ以上の小ループを含み得る。縫合構造は、近位端におけるテーパ状の部分/領域に終端する接合部(splice)を含み得る。縫合構造の凹凸のある縫合糸は、組織の周りに無結節の閉じた自己係止ループを形成し得る。
【0004】
[0004]組織の固定は、組織(例えば、骨又は軟組織)の周り又はその中に通される少なくとも1つの縫合構造を使用することによって達成される。縫合構造は、組織の周りでの閉じた無結節の自己係止ループの形成と、デバイスの係止とを可能にする、凹凸のある縫合糸を含み得る。縫合構造は、追加の固定デバイス(1つ以上の縫合糸アンカー等)を用いて骨内に留められ(secured)得る。縫合構造は、軟質アンカー又は硬質アンカーと共に用いられ得る。この構造は、無結節又は有結節の固定デバイスと共に用いられ得る。組織固定は、全体的に低減されたステップ及び結節を結ぶ最小限の必要性で達成される。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】[0005]図1は、例示的な縫合構造を示す。
図2】[0006]図2は、別の例示的な縫合構造を示す。
図3】[0007]図3は、別の例示的な縫合構造を示す。
図4】[0008]図4は、図1の例示的な縫合構造の内側ストランドを示す。
図5】[0009]図5は、図1の例示的な縫合構造の別の図を示す。
図6】[0010]図6は、図5の縫合構造を用いた無結節修復の例示的な方法の後続ステップを示す。
図7図7は、図5の縫合構造を用いた無結節修復の例示的な方法の後続ステップを示す。
図8】[0011]図8は、例示的な縫合構造を用いて無結節ループを形成する概略ステップを示す。
図9】[0012]図9は、縫合構造を用いて無結節の閉じた自己係止ループを形成する例示的な方法の後続ステップを示す。
図10図10は、縫合構造を用いて無結節の閉じた自己係止ループを形成する例示的な方法の後続ステップを示す。
図11図11は、縫合構造を用いて無結節の閉じた自己係止ループを形成する例示的な方法の後続ステップを示す。
図12】[0013]図12は、縫合構造を用いた無結節修復の例示的な方法の後続ステップを示す。
図13図13は、縫合構造を用いた無結節修復の例示的な方法の後続ステップを示す。
図14図14は、縫合構造を用いた無結節修復の例示的な方法の後続ステップを示す。
図15図15は、縫合構造を用いた無結節修復の例示的な方法の後続ステップを示す。
図16】[0014]図16は、別の例示的な縫合構造を示す。
図17】[0015]図17は、図16の例示的な縫合構造のセクションAの拡大図を示す。
図18】[0016]図18は、シャトリングデバイスを有する図1の例示的な縫合構造の別の図を示す。
図19】[0017]図19は、縫合構造を用いた肩修復を示す。
図20図20は、様々な例示的な縫合糸アンカーアセンブリのうちの1つを示す。
図21図21は、様々な例示的な縫合糸アンカーアセンブリのうちの1つを示す。
図22図22は、様々な例示的な縫合糸アンカーアセンブリのうちの1つを示す。
図23図23は、様々な例示的な縫合糸アンカーアセンブリのうちの1つを示す。
図24図24は、様々な例示的な縫合糸アンカーアセンブリのうちの1つを示す。
図25】[0019]図25は、第1の組織を第2の組織に留める図20の縫合糸アンカーアセンブリを示す。
図26】[0020]図26は、第1の組織を第2の組織に留める図23の縫合糸アンカーアセンブリを示す。
図27】[0021]図27は、例示的な軟質の縫合糸アンカーアセンブリを示す。
図28】[0022]図28は、別の例示的な縫合糸アンカーアセンブリを示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
[0023]本開示は、組織の固定、例えば、軟組織の骨への固定のための方法及び縫合構造を提供する。
【0007】
[0024]軟組織の固定のための縫合構造、縫合糸アンカーアセンブリ、及び方法が開示される。縫合構造は、縫合糸と修復部とを係止する凹凸のある縫合糸を含み得る。縫合構造は、遠位端に1つ以上の小ループ又は開口を含み得る。縫合構造は、近位端におけるテーパ状の部分/領域に終端する接合部を含み得る。縫合構造は、軟質の縫合糸アンカー又は硬質本体のアンカー(hard-body anchor)(固定デバイス)に予め装填され得る。
【0008】
[0025]凹凸のある縫合糸は、芯なし縫合糸に芯として追加される一連の隆起部(bumps)、棘(barbs)、結節、ビーズ、突起部(protuberances)、突出部、突条部(ridges)、又は同様の構造(又はこれらの組合せ)であり得る複数の拡大部を含み得る。拡大部は、内側フィラメントに沿って、一連の隆起部(チェーン)として設けられ得るか、及び/又は結節され得る。縫合糸は、浴室排水チェーンと同様の、定義された間隔で固定された結節、ビーズ、及び/又はラチェットを有する芯縫合糸(内側フィラメント)の中心ストランドから成り得る。ラチェットは、対称又は非対称であり得、シンチ(cinch)に向かってテーパ状の端部を有する。拡大部を有する内側フィラメントは、凹凸のある芯を有する縫合糸を形成するために、芯なし縫合糸内に設けられ得る(例えば、芯なし縫合糸内に挿入される)。隆起部は、少なくとも1つのラチェット点を設けるための、結節された隆起部であり得る。拡大部は、芯なし縫合糸(外側シース)によって覆われた内側ストランド又はフィラメントの一部であり得る。
【0009】
[0026]凹凸のある縫合糸の一方の端部にループが設けられ得る。凹凸のある縫合糸は、組織の周りにラッキングヒッチ(シンチ結節)を形成するために用いられ得る。凹凸のある縫合糸は、組織の周りに無結節の閉じた自己係止ループを形成するために用いられ得る。縫合構造の拡大部は、一旦閉じたループが形成されると、縫合構造が摺動して戻る(逆戻りする(backing up))のを防止する。接合部分には、縫合糸の遠位端におけるループ付近の一方の側に複数の拡大部が設けられ得る。
【0010】
[0027]軟組織の固定は、ニチノールワイヤループ又は同様のデバイスを必要とせずに、組織の周り又はその中に通される少なくとも1つの縫合構造を使用することによって達成される。構造のテーパ状の部分/領域は、縫合糸構造が組織に通された後に取り出されること(to be retrieved)を可能にする。ラッキングヒッチ又はシンチステッチの形成、及び/又は、ループ付近の拡大部分との係止の後、縫合糸構造は、追加の固定デバイス(例えば、1つ以上の縫合糸アンカー等)を用いて骨内に留められ得る。この構造は、無結節又は有結節の固定デバイスと共に用いられ得る。組織固定は、全体的に低減されたステップ及び結節を結ぶ最小限の必要性で達成される。
【0011】
[0028]一実施形態によれば、縫合構造は、芯なし縫合糸に芯として追加される一連の隆起部、棘、結節、ビーズ、突起部、又は同様の構造(又はこれらの任意の組合せ)の形態での拡大部を有する縫合糸を含み得る。拡大部は、内側フィラメントに沿って、一連の隆起部(チェーン)として設けられ得るか、及び/又は結節され得る。
【0012】
[0029]縫合構造は、浴室排水チェーンと同様の拡大部(即ち、定義された間隔で固定された結節、ビーズ、棘、及び/又はラチェット)を有する芯縫合糸の中心ストランドから成り得る。ラチェットは、対称又は非対称であり得、シンチに向かってテーパ状の端部を有する。拡大部を有する内側フィラメントは、凹凸のある芯を有する縫合糸を形成するために、芯なし縫合糸内に挿入され得る。拡大部は、少なくとも1つのラチェット点を設けるための、結節された隆起部であり得る。拡大部は、芯なし縫合糸(外側シース)によって完全に覆われた内側ストランドの一部である。拡大部は、芯なし縫合糸より厚みがあり、即ち、拡大部は、芯なし縫合糸のものよりも大きい外径を有する。
【0013】
[0030]一実施形態によれば、接合部分には、縫合糸の遠位端におけるループ付近の一方の側に複数の拡大部が設けられ得る。縫合糸尾部を軟組織に通した後、それをループに戻して通して、装填するために、装填器具がループに予め通される。一旦縫合糸が軟組織に通されると、尾部は、テーパ状の端部を折り返し、それをシャトリングしてループに通すことによって、装填器具を使用してループに通される。次いで、縫合糸は、それが最後まで(all the way down)引き締められるまで引っ張られる(pulled through)。縫合糸が引き締められるにつれて、芯なし縫合糸より厚みのある拡大部がループ内へと引き込まれ、縫合糸が逆戻りするのを防止する。
【0014】
[0031]別の実施形態によれば、縫合構造は、その遠位端において1つ以上の小ループ又は開口を有する可撓性ストランドと、テーパ状の近位端(テーパ状の尾部)と、小ループとテーパ状の近位端との間に設けられた接合領域とを含み得る。接合領域には、縫合糸の遠位端において、芯なし縫合糸内の複数の拡大部(芯なし縫合糸によって完全に覆われている)が設けられている。拡大部は、任意の結節、ビーズ、隆起部、突出部、突起部、若しくは同様の要素、又はこれらの組合せであり得る。拡大部は、当技術分野で知られている任意の方法、例えば、結節すること、編組すること(braiding)、製織すること(weaving)、又は接着すること、一連のビーズを糸上に設けること、一連のビーズ又は同様の要素を糸に取り付けること等によって形成され得る。
【0015】
[0032]一実施形態では、縫合構造は、芯なし縫合糸に芯(凹凸のある芯)として加えられる一連の拡大部を含む。拡大部は、内側フィラメントに沿って、結節されるか、又は一連の隆起部(チェーン)として設けられるか、又は一連の一方向性の棘若しくは同様の構造として設けられ得る。拡大部及び/又は内側フィラメントは、様々な材料、例えば、特に、金属若しくはプラスチック、又は縫合糸材料で形成され得る。拡大部を有する内側フィラメントは、凹凸のある芯を有する縫合糸を形成するために、芯なし縫合糸内に設けられる(例えば、芯なし縫合糸内に挿入される)。
【0016】
[0033]拡大部は、例えば、当技術分野で知られている多くの他の形状の中でも特に、円形、三角形、楕円形(oval)、又は円筒形の断面の、様々な設計及び/又は構成を有し得る。拡大部は、内側フィラメントの全長に沿って様々な位置に設けられ得る。拡大部は、内側フィラメントの全長に沿って様々な方向に設けられ得、例えば、2方向拡大部又は多方向拡大部である。拡大部は、一方向性の棘として設けられ得る。
【0017】
[0034]更に別の実施形態では、縫合構造は、浴室排水チェーンと同様の、定義された間隔で固定された「ラチェット」を有する芯縫合糸の中心ストランドから成り得る。ラチェットは、(以下に詳述されるように)シンチに向かってテーパ状の端部を有して非対称であり得る。適切に定義されたワーキングディスタンス長(working distance length)の後、縫合糸は、有芯#2 FibreWire(登録商標)と同じになり、次いで、シンチ機構における装填と、接合部及び接合部形成機構を有する無結節の縫合糸構造の形成とを容易にするために、より細い(smaller)2.0 FiberWire(登録商標)までテーパ状にされる。一旦縫合糸が軟組織に通されると、尾部(テーパ状の端部)は、それをシャトリングして小さい穴/開口部に通すことによって、遠位端における小さい穴/開口部に通される。次いで、縫合糸は、それが最後まで引き締められるまで引っ張られる。縫合糸が引き締められるにつれて、より厚みのある隆起部/ラチェットが小さい穴/開口部に係合し、張力がかかった状態で縫合糸を係止し、縫合糸が逆戻りしたり緩んだりするのを防止する。
【0018】
[0035]テーパ状の縫合糸尾部を軟組織に通した後、それをループに戻して通して、装填するために、シャトリングデバイスがループに予め装填され得る。可撓性芯なしストランドは、縫合糸、テープ、ワイヤ、又は当技術分野で知られている任意の可撓性材料であり得る。シャトリングデバイスは、縫合糸通し器具、縫合糸パッサー(suture passer)、シャトル/引張りデバイス、装填器具、シャトリングワイヤ、又はFiberLink(商標)若しくはニチノールループ等の任意の通し器具であり得る。中心の芯は、縫合糸、テープ、ワイヤ、又は当技術分野で知られている任意の可撓性材料であり得る。中心の芯は、可撓性又は剛性であり得る。
【0019】
[0036]一旦可撓性ストランドが軟組織に通されると、テーパ状の尾部は、テーパ状の端部を折り返し、それをシャトリングしてループに通すことによって、シャトリングデバイスのループに通される。次いで、可撓性ストランドは、それが最後まで引き締められるまで引っ張られる。可撓性ストランドが引き締められるにつれて、より厚みのある接合部分からの拡大部がループ内に引き込まれ、可撓性ストランドが逆戻りするのを防止する。
【0020】
[0037]可撓性ストランドは、標準的な編組芯なし縫合糸であり得、テーパ状であり得、その全長にわたって3つの例示的な変化する幅を含み得、突条部又は隆起部を作るために、縫合糸の部分のうちの1つにおいて、1つ以上の拡大部/突起部を有する。縫合糸には、例えば、拡大部(突条部/隆起部/突起部/結節)が係合するまで、縫合糸が通って引っ張られることを可能にし、張力がかかった状態で縫合糸を係止するための、1つ以上の小ループ、アイレット(eyelets)、開口部、スリット等の係止機構が設けられ得る。
【0021】
[0038]ループは、テーパ状の端部及び接合領域の一部が、軟組織の周りにシンチステッチを作るために、それを通り抜け、次いで、ループに係止することを可能にするのに十分な大きさである。可撓性ストランドは、拡大部を有する内側フィラメントの挿入を可能にするために芯なしであり得、又は、ある特定の用途では、芯なしストランドの一部が芯を有し得る。ループは、接合(splicing)によって、又は当技術分野で知られている他の方法、例えば、編組、製織、又は接着によって形成され得る。
【0022】
[0039]別の実施形態では、縫合糸ジップタイが、内側の芯を収容する(完全に覆う)芯なし縫合糸又は編組ジャケットを含み、内側の芯は、拡大部(結節/ビーズ/棘等)を有するより小さい縫合糸である。縫合糸は、少なくとも1つのラッキングヒッチの形成を可能にするために、ループで終端し得る。拡大部は、ラッキングヒッチがスリップしないようにするためのラチェット点を提供する。
【0023】
[0040]次に、同様の要素が同様の参照番号によって示される図面を参照すると、図1図19は、本開示の例示的な縫合構造100、200、300、400(縫合糸100、200、300、400;縫合糸構造100、200、300、400;側々無結節縫合糸(side-to-side knotless suture)100、200、300、400;無結節閉鎖縫合糸100、200、300、400)を示す。図20図28は、第1の組織の第2の組織への固定のために用いられる縫合糸アンカーアセンブリ111、112、113、114、115、116、117の一部としての縫合構造100、200、300、400を示す。
【0024】
[0041]以下に詳述されるように、縫合構造100、200、300、400の各々は、芯縫合糸の中心ストランド50(第1のストランド又はフィラメント;内側ストランド)と、中心ストランドを覆う縫合糸の外側ストランド10(第2のストランド又はフィラメント;外側ストランド;芯なし縫合糸)とを含む。中心ストランド50は、複数の拡大部55、155、255、355を含む。一実施形態では、外側ストランド10は、少なくとも2つの方向、即ち、縦方向及び横方向において、中心ストランド50と拡大部55、155、255、355とを完全に覆っている。
【0025】
[0042]拡大部55、155、255、355は、隆起部、結節、ビーズ、棘、突出部、若しくは突起部、又はこれらの任意の組合せを含み得る。拡大部55、155、255、355は、例えば、当技術分野で知られている多くの他の形状の中でも特に、円形、楕円形、又は円筒形の、様々な設計及び/又は構成を有し得る。拡大部は、1本の(a length of)内側フィラメント50(中心ストランド50)に沿って様々な位置に設けられ得る。拡大部は、内側フィラメント50の所定の長さに沿って(即ち、中心ストランド50の全長の一部のみに沿って)様々な位置に設けられ得る。拡大部は、内側フィラメントの全長に沿って様々な方向に設けられ得、例えば、2方向拡大部であって、第1の複数の拡大部がストランド50の縦軸を基準に(relative to)第1の方向に方向付けられ、第2の複数の拡大部がストランド50の縦軸を基準に第2の方向に方向付けられ、第1の方向が第2の方向とは異なっている、2方向拡大部である。拡大部は、中心ストランドの表面に対して任意の角度で、例えば、中心ストランドの外側表面の接線に対して45度の角度で形成され得る。拡大部は、全てが同様であるか又は異なり得、即ち、同様の又は異なる形状、形態、及び構成を有し得る。拡大部は全て、同様の又は異なる材料で形成され得る。
【0026】
[0043]図1は、本開示の単に例示的な実施形態を示し、ここで、縫合構造100は、一般的な台形状を有し且つ略一定の間隔で、1本の中心ストランド50に沿って延在する拡大部55を有する中心ストランド50を含む。拡大部55は、内側ストランド50の全長に沿って、又は内側ストランド50の全長の一部のみに沿って延在し得る。外側縫合糸10は、中心ストランド50と拡大部55とを覆う芯なし縫合糸(芯なしストランド)である。外側縫合糸10は、拡大部55を有する中心ストランド50を、少なくとも横方向において完全に覆う芯なし縫合糸(芯なしストランド)であり、即ち、各拡大部55の外側表面は、外側縫合糸10によって完全に覆われている。好ましくは、外側縫合糸10は、2つの方向、即ち、縦方向と横方向の両方向において、拡大部55を有する中心ストランド50を覆う。拡大部55を有する中心ストランド50は、(例えば、芯なし縫合糸10内に挿入されることによって)芯なし縫合糸10の内部空間/容積内に設けられ、(芯なし縫合糸10が、挿入ステップ後は芯なしでなくなった状態で)縫合構造100を形成し得る。一旦拡大部55を有する内側ストランド50が、外側ストランド10内に設けられると、外側ストランド10は「凹凸のある」手触りを得ることになり、これは、拡大部が、外側ストランド10の外側表面を貫通することなく、外側ストランド10の内側表面に沿って圧力を加えることになるからである。
【0027】
[0044]図2及び図3は、拡大部155、255を有する縫合構造200、300を示し、これら拡大部は、それらもまた1本の縫合糸50に沿って離間されており、且つ、外側シース10によって完全に覆われているという点で、図1の拡大部55と同様であるが、拡大部の形状が異なっている。例えば、拡大部155は、ビーズ又は球状構造の形態であり、一方、拡大部255は、涙滴状構造の形態である。拡大部255は、浴室排水チェーンと同様の、内側ストランド50に沿って定義された間隔で固定された「ラチェット」である。ラチェットは、(以下に詳述されるように)シンチに向かってテーパ状の端部を有して非対称であり得る。適切に定義されたワーキングディスタンス長の後、縫合糸は、有芯#2 FibreWire(登録商標)と同じになり、次いで、シンチ機構における装填と、接合部及び接合部形成機構を有する無結節の縫合糸構造の形成とを容易にするために、より細い2.0 FiberWire(登録商標)までテーパ状にされる。一旦縫合糸が軟組織に通されると、尾部(テーパ状の端部)は、それをシャトリングして小さい穴/開口部に通すことによって、遠位端における小さい穴/開口部に通される。次いで、縫合糸は、それが最後まで引き締められるまで引っ張られる。縫合糸が引き締められるにつれて、より厚みのある隆起部は、小さい穴/開口部に係合し、張力がかかった状態で縫合糸を係止し、縫合糸が如何なる方向に動くことも防止する。
【0028】
[0045]図4図7は、中心ストランド50(図4)に沿って延在する結節55の形態での拡大部55を有する縫合構造400を示す。図4に示される内側の芯50は、結節55が設けられたより小さい(smaller)縫合糸である。芯なし縫合糸又は編組ジャケット10(外側ストランド10)は、内側の芯50を覆う。外側ストランド10は、図5に示される縫合構造100を形成するために、結節55を有する内側中心ストランド50を完全に覆う。
【0029】
[0046]拡大部の固定/干渉(interference)は、様々な方法で及び様々な係止構造を用いて達成され得る。例えば、図5図7に示されるように、例示的な縫合構造100には、ラッキングヒッチ166を作るためのループ11が設けられている。結節55(結節隆起部55)は、ラッキングヒッチがスリップするのを防止するためのラチェット点を提供する。図7は、ラッキングヒッチ166によって所定の位置に係止された、即ち、第2の組織80(例えば、骨80)に取り付けられた第1の組織90(例えば、軟組織90)の周りに形成されたループからスリップする又は抜け出すことができない拡大部55を有する縫合構造100を用いた最終的な修復の概略図を示す。
【0030】
[0047]ループ11は、縫合構造と一体的に形成されるか、又は縫合構造とは別個に形成され得る。ループ11は、外側ストランド10の一部であるか、代替として、内側ストランド50の一部であり得る。更に別の実施形態では、ループ11は、両方のストランド10、50の一部であり得る。追加の実施形態では、ループ11は、当技術分野で知られている任意の方法によって縫合構造に(例えば、外側ストランド及び内側ストランドの一方又は両方に)取り付けられ得る。例えば、図28は、例示的な構造100に取り付けられ、更に、無結節固定デバイスの硬質本体にしっかりと取り付けられた例示的なループ11aを示す。更に別の実施形態では、外側ストランド10は、小ループ11(又は二重ループ)及び接合部を形成するために、それ自体に接合される。小ループ11は、縫合糸ストランド10と一体であり得る。
【0031】
[0048]拡大部の固定/干渉は、他の方法、例えば、予め結ばれた結節、又はスリット、又は拡大部との間に緊密な干渉をもたらすであろう任意の「アイレット」等の、拡大部55、155、255、355が係止され得る任意の方法で達成され得る。
【0032】
[0049]図8は、例えば、外側ストランド10の一部等の、構造100の一部であり得る、構造Aの予め結ばれた結節166に通される例示的な縫合構造100を示す。予め結ばれた結節166は、拡大部(隆起部、ビーズ等)が「引っ掛かる(catch on)」ための干渉点である。構造Aは、ラッキングヒッチ結節である。構造B及びCは、(それらもまた、それを通る任意の拡大部/隆起部/ビーズが「引っ掛かる」という点で)構造Aの予め結ばれた結節と同様であるが、異なる構成、即ち、スリット103(構造B)又は小さいアイレット104(構造C)を有する、更なる干渉点を提供する。
【0033】
[0050]図9図11は、本開示の構造で形成された、閉じた自己係止ループ99の形成を示す。図9は、ラッキングヒッチ結節の形成を可能にする図5のループ11の拡大図である。このヒッチは、縫合糸の端部に予め作られたループ11から開始することによって、又は単一のストランドを2つに折り重ねること(doubling over)によって作られる。図10において、(1つ又は複数の)尾部は、予め結ばれた結節166となり且つループ99aを形成する「荷札」型のシンチ結節を作るために、ループ11に通される。
【0034】
[0051]次に、図11を参照すると、尾部は、予め結ばれたラッキング/シンチ結節166に通される。閉じた自己シンチング及び自己係止ループ99が形成される。以下に詳述されるように、ループは、骨又は軟組織の周りに形成され得る。大ループがよりきつく組織に引き寄せられるほど、ラッキング/シンチ結節は、それを通る(1つ又は複数の)縫合糸の周縁部の周りをよりきつく締め付けることになる。これは、凹凸のある縫合糸が通る場所であるが、拡大部/隆起部が、(ジップタイのように)縫合糸が摺動して戻るのを防止することになる。拡大部/隆起部は、構造が「自己係止」状態になることを可能にし、縫合構造が如何なる方向に動くことも防止する。
【0035】
[0052]図12図15は、本開示の構造を用いた組織固定の方法の後続ステップを示す。縫合構造100は、第2の組織80に取り付けられるべき第1の組織90(例えば、骨80に取り付けられるべき軟組織90)に通される。図13は、第1の組織90に隣接するラッキング/シンチ結節を示す。尾部25は、組織80に取り付けられるべき組織90の周りに、閉じた調節可能な自己係止の自己シンチングの無結節可撓性ループ99を形成するために、ラッキング/シンチ結節に通される。
【0036】
[0053]図16及び図17は、一方の端部13(例えば、遠位端)に少なくとも1つの閉じた小ループ15(例えば、2つの例示的な閉じた小ループ15)が設けられ、他方の端部12(例えば、近位端)にテーパ状の細長い部分/領域25が設けられた可撓性ストランド10の形態での構造400の別の例示的な実施形態を示す。拡大部355が、前述の実施形態に関して上述されたように、構造400の拡大部分(シンチセクション)165において設けられている。図17は、図16のセクション165の概略拡大図を示し、特定の構成、即ち、細長い涙滴形状を有する拡大部355を示す。拡大部355は、芯なし縫合糸ストランド10によって完全に覆われており、その結果、拡大部355の各々の外側表面は、ストランド10の内側表面によって完全に覆われている。
【0037】
[0054]本開示の縫合構造100、200、300、400にはまた、シャトリングデバイス60が設けられ得、これは、縫合構造の外側ストランド10に取り付けられた閉じたループ又はアイレット61を有する、縫合糸通し器具、装填器具、シャトリングワイヤ、又はFiberLink(商標)60若しくはニチノールループ60等の通し器具であり得る。
【0038】
[0055]図18に示されるように、シャトリングデバイス60は、例示的な縫合構造100の閉じたループ11に予め装填される(閉じたループ11に通される)。特定の単に例示的な実施形態では、シャトリングデバイス60は、縫合糸通しデバイス60である。シャトリングデバイス60は、調節可能な長さ及び外周を有する無結節の閉じた調節可能なループ99を形成するために、外側ストランド10のテーパ状の部分25が、シャトリングデバイス60のアイレット又はループ61を通り抜け、小ループ11を通り抜けることを可能にするように構成される。ループ99は、自己係止式及び自己シンチング式である。
【0039】
[0056]縫合構造100は、外側ストランド10の遠位端13におけるループ11付近の一方の側に、即ち、部分65(シンチセクション65;接合部セクション65)に又はその周りに位置し得る一連の拡大部55を含む。拡大部(隆起部及び/又は棘及び/又は突条部及び/又は突起部)は、無結節係止のために外側ストランド10(縫合糸10)をでこぼこにする。一旦外側ストランド10が軟組織に通されると、尾部25は、テーパ状の端部25を折り返し、それをシャトリングしてループ11に通すことによって、装填器具60を使用してループ61に通される。次いで、可撓性ストランド10は、それが最後まで引き締められるまで引っ張られる。可撓性ストランドが引き締められるにつれて、拡大部を有する、より厚みのある拡大部によりでこぼこにされた部分(the thicker enlargement roughened portion)65が、ループ11内に引き込まれ、可撓性ストランド10が逆戻りするのを防止する。このようにして、可撓性の閉じた調節可能なループ99は、拡大部55とループ11の内側表面との係合によって係止される。
【0040】
[0057]例示的な実施形態では、ループ11は、尾部25がこのループを通り抜け、閉じた無結節の調節可能なループ99を形成することを可能にするために、非常に短い長さ及び/又は外周を有する。ループ11は、約10mmの長さを有し得る。テーパ状の部分/領域25は、約2~3インチの長さを有する。縫合糸構造の全長は、約3~10インチ、好ましくは約5インチ(関節唇の関節窩への取り付けを伴う例示的な回旋腱板修復の場合)であり得る。ループ部分は、(好ましい実施形態では)接合によって形成されるが、それはまた、当技術分野で知られている他の方法によって、例えば、編組、製織、又は接着によって形成され得る。ループ15は、可撓性、収縮可能(collapsible)であり得、約10mmの固定周囲を有し得る。
【0041】
[0058]上述されたように、ループ11はまた、ラッキングヒッチループであり得る。尾部25は、例えば、図10に示されるように、可撓性ストランド10の小ループ11に通される/装填される。尾部は、小さい開口部が残るまで引っ張られる。尾部を組織に通した後、それをラッキングヒッチに通して引っ張るために、縫合糸装填器具60が追加される。
【0042】
[0059]例示的な実施形態では、縫合構造100、200、300、400の可撓性ストランド10は、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)を用いた芯なし編組であるFiberWire(登録商標)CL編組等の編組で本質的に形成された縫合糸である。別の例示的な実施形態では、外側ストランド10は、ポリエステル又は同様の材料で本質的に形成された縫合糸である。例えば、外側ストランド10は、芯なし編組若しくはシースの形態でのポリエステル糸(ポリエステルの撚糸)又はポリエステル縫合糸で形成され得、これは、マルチフィラメント、編組、編成、又は製織されたポリエステル構造であり得、ここで、ポリエステルは、単独で、又はその他任意の既知の縫合糸材料と組み合わせて提供される。単に例示的な実施形態では、外側ストランド10は、ポリエステル約100%の編組芯なし縫合糸である。
【0043】
[0060]例示的な縫合構造100、200、300、400の縫合糸セクションの少なくとも1つ又は全てが、例えば、最終的な縫合糸構造の潤滑性、結節の安定性(security)、柔軟性、取り扱い性(handleability)、又は耐摩耗性を改善するために、ワックス(蜜蝋、石油蝋、ポリエチレンワックス、又はその他)、シリコーン(Dow Corningシリコーン流体202A又はその他)、シリコーンゴム(結合触媒を伴うNusil Med 2245、Nusil Med 2174、又はその他)、PTFE(テフロン(登録商標)、Hostaflon、又はその他)、PBA(ポリブチレート酸(polybutylate acid))、エチルセルロース(Filodel)、又は他のコーティングで(部分的に又は全体的に)コーティングされ得る。
【0044】
[0061]本開示の外科用構造の細長いテーパ状の領域25は、可撓性ストランド/縫合糸を、(例えば、Lasso器具等の)小さい及び非常に小さい直径のチューブ及び挿管に押し通しながらも、固定デバイス(例えば、PushLock(登録商標)アンカーのような無結節縫合糸アンカー等)を用いてしっかりと固定することを可能にする。
【0045】
[0062]外科用縫合構造100、200、300、400は、特に、円形、楕円形、長方形、若しくは平面(flat)、又はこのような形状及び幾何学形状の組合せを含む、様々な形状及び幾何学形状の断面を有し得る。構造100、200、300、400の直径は、一定であるか又は変化し得る。テーパ状の領域25は、複数の隣接するテーパ状の領域を含み得、領域の各々は、隣接する領域のものとは異なる直径を有する。単に例示的な実施形態では、領域25は、3つの隣接する領域を備え得、各々が、隣接する領域とは異なるテーパ形状を有する。
【0046】
[0063]縫合構造100、200、300、400の繊維の少なくとも一部は、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第6,716,234号に開示されているArthrex FiberWire(登録商標)縫合糸等の、高強度縫合材料のストランドを含み得、外科医が様々な縫合糸長(various suture lengths)を区別することを支援するためのオプションの着色ストランドを有する。
【0047】
[0064]外科用縫合構造100、200、300、400は、回旋腱板修復、アキレス腱修復、膝蓋腱修復、ACL/PCL再建、股関節及び肩の再建術等の外科的処置において用いられ得る縫合糸用途、並びに、縫合糸アンカー内で又は縫合糸アンカーと共に使用される縫合糸用の用途に(それら自体だけで又は任意の組合せにおいて)適用性を有する。単に例示的な実施形態では、縫合構造100、200、300、400は、例えば、数ある中でも特に、縫合糸アンカー(PushLock(登録商標)及び/又はSwiveLock(登録商標)縫合糸アンカー等)と使用するために、又は無結節関節鏡視下縫合修復(無結節の単一列回旋腱板修復、又は結節なしで縫合糸を通すステップのみを使用するSpeedBridge(商標)修復等)のために、結節を結ぶことを伴わない縫合糸用途に用いられ得るが、ニチノールワイヤ又は同様の構造を必要としないので、簡略化されたステップを有する。
【0048】
[0065]単に例示的な実施形態では、1つ以上の構造100、200、300、400が、側々閉鎖修復において、第1の組織部分(例えば、第1の軟組織)を第2の組織部分(例えば、第2の軟組織)に接合する(bring together)ために用いられる。構造は、最初に第1の組織部分に通される。尾部(テーパ状の領域25)は、第2の組織部分の中又はその周りに通され、次いで、テーパ状の端部25を折り返し、それをシャトリングして係止構造に通すことによって、シャトリングデバイス(装填器具)を使用して係止構造/機構/デバイス(例えば、ループ、アイレット、スリット、又はこれらの組合せ)に通される。次いで、可撓性ストランド10(縫合糸10)は、それが引き締められて、閉じた調節可能なループ99上で所望の張力を達成するまで引っ張られる。可撓性ストランド10が引き締められるにつれて、(より厚みのある)構造100、200、300、400の拡大部分65、165は、係止機構(ループ11、15、166、103、104)内に引き込まれ、外側ストランド10が逆戻りするのを防止するために、拡大部55、155、255、355を、ループ11、15、166、103、104の内側表面に(可撓性ストランド10に)係止する。例示的な実施形態では、拡大部は、張力がかかった状態で縫合糸10を係合及び係止する複数の突条部/隆起部/棘/突起部である。外側ストランドは、テーパ状であり且つその全長にわたって3つの変化する幅を有する標準的な編組縫合糸であり得る。外側ストランドは、可撓性であり得る。外側ストランド10は、拡大部55、155、255、355を有する内側の芯50が外側ストランド10内に設けられる前後で、可撓性であり得る。内側ストランド50は、剛性又は可撓性であり得る。
【0049】
[0066]図19は、本開示の方法による軟組織の骨への(又は、軟組織の軟組織への)固定の方法が行われている手術部位の概略図を示す。単に例示的な実施形態では、手術部位は肩であり、組織は、例示的な外科用構造100を用いて関節窩80に取り付けられるべき関節唇90である。簡潔さのために、以下の実施形態は、例示的な構造100を参照して説明されるが、本開示は、外科用構造100、200、300、400の任意のもの(単独又は任意の数で、それら自体だけで用いられ、また、これらの外科用構造の任意の組合せでも用いられる)への適用性を有する。
【0050】
[0067]関節唇の関節窩への固定等の、軟組織の骨への固定は、典型的に、手術部位にアクセスするための切開部の形成と、次いで、軟組織の再取り付けとを伴う。軟組織が骨に取り付けられるとき、外科医は、骨にドリルで穴を開け、骨アンカー等の固定デバイスを挿入する。典型的に、骨アンカーは、金属、複合材、プラスチック、又は生体吸収性材料で形成され、螺子山又は棘によって所定の位置に保持される。アンカーが用いられる場合、アンカーは、典型的に、その場合に構造100が通される/渡される(threaded/passed)アイレットを含む。
【0051】
[0068]シンチステッチの形成(図19)及びループ11の内側表面エリアを貫通する拡大部55、155、255、355を有する構造の係止後、縫合構造100は、テーパ状の端部領域25をアンカーのアイレット(図示せず)に通し、次いで、縫合構造100を有する無結節固定デバイス70を骨内に留めることによって、1つ以上の固定デバイス(図19のアンカー70のような1つ以上の縫合糸アンカー等)を用いて骨80内に留められ、最終的な修復600(図19)を得ることができる。
【0052】
[0069]可撓性ストランドはまた、無結節又はそうでないかにかかわらず、任意の数の固定デバイス、例えば、1つの固定デバイスの代わりに、2つのアイレットを有する2つの無結節固定デバイス70等の2つの固定デバイスを用いることによって留められ得る。この技法は、骨における異なる位置で複数回繰り返され得る(即ち、関節唇の周りの異なる位置における複数のシンチステッチ)。
【0053】
[0070]縫合構造100、200、300、400を用いた、第1の組織の第2の組織への固定の方法が、とりわけ、(i)縫合構造100、200、300、400を第1の組織の中又はその周りに通すステップと、縫合構造は、複数の拡大部55、155、255、355を有する内側ストランド50を収容する外側ストランド10を備え、(ii)組織の周りにループ状になったシンチを形成することと、少なくとも1つの拡大部55、155、255、355を係止構造11、15、166、103、104の内側表面に係止することとによって、縫合構造を係止するステップと、を備える。方法は、(iii)縫合構造100、200、300、400を無結節固定デバイス70に取り付けるステップと、(iv)取り付けられた縫合構造100、200、300、400を有する無結節固定デバイス70を第2の組織内に配置するステップと、を更に備え得る。方法は、(v)縫合構造100、200、300、400のテーパ状の端部25を、無結節固定デバイスのアイレットに通すステップを更に備え得る。アイレットは、閉じていても(閉じた開口部)、開いていてもよい(即ち、フォーク状の開口部)。
【0054】
[0071]縫合構造100、200、300、400を用いた、第1の組織の第2の組織への固定の方法が、とりわけ、(i)縫合構造100、200、300、400を第1の組織の中又はその周りに通すステップと、縫合構造は、第1の端部と第2の端部とを有する、1本の外側ストランド10から成り、係止構造11、15、166、103、104が、第1の端部に形成され、テーパ状の領域25が、第2の端部に形成され、接合部/拡大部領域65、165が、第1の端部及び係止構造11、15、166、103、104に隣接して位置し、ここで、拡大部領域(又は係止構造11、15、166、103、104に隣接する領域)は、外側ストランド10が逆戻りするのを防止する複数の拡大部を含み、シャトリングループ61付きのシャトリングデバイス60が、外側ストランド10に取り付けられており、(ii)可撓性ストランドのテーパ状の端部25をシャトリングループ61に通すステップと、(iii)可撓性ストランドが組織80、90の周りにシンチングループ99を形成し、拡大部55、155、255、355を係止構造11、15、166、103、104の内側表面に係止することを可能にするために、シャトリングデバイスを引っ張るステップと、を備える。方法は、(iv)縫合構造100、200、300、400のテーパ状の端部25を、無結節固定デバイスのアイレットに通すことによって、縫合構造100、200、300、400を無結節固定デバイス70に取り付けるステップと、(v)取り付けられた縫合構造100、200、300、400を有する無結節固定デバイス70を第2の組織内に配置するステップと、を更に備え得る。
【0055】
[0072]縫合構造100、200、300、400は、数ある中でも特に、回旋腱板修復、アキレス腱修復、及び膝蓋腱修復等の外科的処置において用いられ得る。本発明は、特定の用途(即ち、肩修復における関節唇の関節窩への固定)を参照して説明されてきたが、本発明の縫合糸構造は、任意のタイプの修復(肩修復に加えて任意の修復)への適用性を有し、従って、本発明は、この単に例示的な実施形態によって限定されないことが理解されなければならない。
【0056】
[0073]単に例示的な実施形態では、固定デバイス70は、米国特許第7,329,272号に開示されているツーピースArthrex PushLock(登録商標)アンカー、又は2011年9月6日に発行された米国特許第8,012,174号、2015年4月14日に発行された米国特許第9,005,246号、及び2013年11月7日に公開された米国特許出願公開第2013/0296936号に開示されているArthrex SwiveLock(登録商標)アンカー等の、無結節縫合糸アンカーであり、これらの開示全てが、その全内容の参照により本明細書に完全に組み込まれている。
【0057】
[0074]縫合構造100、200、300、400はまた、有結節固定デバイス、例えば、有結節アンカーと共に用いられ得る。従って、本開示は、固定デバイス70等の無結節固定デバイスと共に縫合構造100、200、300、400を使用することに限定されず、本開示は、無結節又は有結節の、任意のタイプの固定デバイス、又は、無結節固定デバイスと有結節固定デバイスの組合せと共に、縫合構造100、200、300、400を使用することを企図する。本開示の例示的な構造は、SpeedBridge(商標)及びSpeedFix(商標)修復技法を用いた無結節回旋腱板修復等の様々な組織修復、又は関節鏡視下回旋腱板修復における単一列、二列、若しくは多列構造の形成のために無結節固定デバイスを用いる、軟組織の骨への同様の再取り付け技法、又はAC関節再建及び組織貫通(tissue pull-through)が懸念され得る他のエリアのような高度な要件が求められる用途(high demand applications)において用いられ得る。
【0058】
[0075]ストランド10、50は、マルチフィラメント、編組、編成、製織された縫合糸等、又は、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)若しくはFiberWire(登録商標)縫合糸(米国特許第6,716,234号に開示されており、その開示全体が、参照により本明細書に組み込まれている)の繊維を含む、任意の既知の縫合糸構造で作製され得る。FiberWire(登録商標)縫合糸は、複数本の(lengths of)縫合糸材料を形成するために、天然又は合成の少なくとも1つの他の繊維と編組された、高度な高強度繊維材料、即ち、Spectra(Honeywell)及びDyneema(DSM)という商品名で販売されている、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)で形成されている。好ましいFiberWire(登録商標)縫合糸は、中空編組構造内に芯を含み、芯は、UHMWPEの撚糸である。ストランド10、50はまた、縫合糸テープ、例えば、Arthrex FiberTape(登録商標)で形成され得、これは、編組され、断面が矩形状であり、且つ、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第7,892,256号に開示されているような、高強度縫合糸テープである。外科用構造100、200、300、400は、当技術分野で知られている任意のタイプの可撓性材料又は縫合糸と共に使用され得る。
【0059】
[0076]ストランドはまた、意図される用途に応じて、剛性材料、又は、剛性材料と可撓性材料の組合せで形成され得る。ストランドはまた、コーティングされ、及び/又は異なる色で提供され得る。ストランドにはまた、色付きのトレーシングストランドが設けられ、又はその他の方法で、構造の残りの要素と視覚的に対照をなし得、これは、例えば、無地、単色であり得るか、又は異なるトレーシングパターンを示し得る。外科用構造100、200、300、400の様々な構造要素は、視覚的にコード化され得、縫合糸の脚部(legs)の識別及び取り扱いをより単純にする。その場での(in situ)縫合糸の容易な識別は、外科的処置において、特に、内視鏡検査法及び腹腔鏡検査法等の、関節鏡視下手術中に有利である。
【0060】
[0077]外科用構造100、200、300、400は、例えば、縫合糸若しくはテープの潤滑性、結節の安定性、柔軟性、取り扱い性、又は耐摩耗性を改善するために、ワックス(蜜蝋、石油蝋、ポリエチレンワックス、又はその他)、シリコーン(Dow Corningシリコーン流体202A又はその他)、シリコーンゴム(結合触媒を伴うNusil Med 2245、Nusil Med 2174、又はその他)、PTFE(テフロン、Hostaflon、又はその他)、PBA(ポリブチレート酸(polybutylate acid))、エチルセルロース(Filodel)、又は他のコーティングで(部分的に又は全体的に)コーティングされ得る外科用縫合糸又は同様の材料を含み得る。
【0061】
[0078]好ましくは、細長いテーパ状の端部25は、例えば、プラスチック等の材料でコーティング、含浸、又は補強された(stiffened)非常に細い端部を有し得る。
【0062】
[0079]開示される縫合構造は、浴室排水チェーンと同様の、定義された間隔で固定された「ラチェット」を有する芯縫合糸の中心ストランドを有する。好ましくは、ラチェット/拡大部は、シンチに向かってテーパ状の端部を有して非対称であり得る。適切に定義されたワーキングディスタンス長の後、縫合糸は、有芯#2 FibreWire(登録商標)と同じになり、次いで、シンチ機構における装填を容易にするために、より細い2.0 FiberWire(登録商標)までテーパ状にされる。
【0063】
[0080]上述された本開示の縫合構造100、200、300、400は、上述されたように、それら自体だけで用いられ、そしてまた、以下に詳述される縫合糸アンカーアセンブリ111、112、113、114、115、116、117を形成するために、様々な軟質及び/又は硬質のアンカーデバイスと共に用いられ得る。
【0064】
[0081]例えば、図20は、固定デバイス又はアンカー71と、係止ループ100aによってアンカー本体に結合された例示的な縫合糸構造100とを有する、縫合糸アンカーアセンブリ111を示す。係止ループ100aは、アンカー71の上部に位置するが、例えば、据え付けの結節(static knot)72によって、アンカー本体に固定されている。
【0065】
[0082]図21は、固定デバイス又はアンカー71と、アンカー本体に結合された例示的な縫合糸構造100とを含む、縫合糸アンカーアセンブリ112を示す。縫合糸構造100は、アンカー71の本体内に、且つ、アンカー本体の遠位端に位置するポスト73又は同様の構造の周りに延在する。凹凸のある縫合糸100が(矢印「A1」(図21)の方向等の引き締め方向に引っ張ることによって)引き込まれると、凹凸のある縫合糸は、アンカー本体に/アンカー本体内部に係止される。アンカー71は、骨穴又は開口部内に予め配置され得る。
【0066】
[0083]図22は、ボタン75の形態での固定デバイス75と、ボタン75に結合された例示的な縫合糸構造100とを含む、縫合糸アンカーアセンブリ113を示す。ボタン75は、構造100の拡大部55と共に、縫合構造100をしっかりと係止し得る2つの貫通開口部又は開口75aを有して示されているが、本開示は、任意の形状/構成(即ち、楕円形、円形、長円形(elliptical)、S字形のボタン等)を有し、且つ、例示的な構造100の少なくとも一部を収容し得る任意の数の開口部/穴を有する、任意のデバイス/ボタンを企図する。
【0067】
[0084]図23は、例示的な縫合糸アンカーアセンブリ114を形成するために、無結節アンカーに結合された例示的な縫合糸構造100を示す。凹凸のある縫合糸(縫合糸構造)100は、無結節アンカーの一部として、無結節アンカーの本体内に捕捉されている。縫合糸構造100は、据え付けの結節72によってアンカー本体に固定的に留められており、アンカーの本体内にループ290a及び接合部65を形成する。接合部は、シャトリングデバイス(上述されたループ61付きのシャトリングデバイス60等)を用いることによって形成され得る。ループ290aは、調節可能な周囲を有し、アンカー71の本体内に部分的に位置する、閉じた可撓性の無結節の調節可能なループであり得る。接合部65は、完全にアンカー71の本体内に位置し得る。縫合糸構造100は、無結節アンカー本体の遠位端に位置するポスト73(又は同様の構造)の周りにループ状にされ得る。
【0068】
[0085]縫合糸アンカーアセンブリ115(図24)は、向上した組織固定を提供するために、アンカー本体71と骨との間に位置する、即ち、アンカーの外側表面上に位置する、例示的な縫合糸構造100を含む。
【0069】
[0086]図25及び図26は、第1の組織90を第2の組織80に取り付ける、例えば、軟組織90を骨80に取り付けるために用いられる、例示的な縫合糸アンカーアセンブリ111及び114をそれぞれ示す。本開示の縫合糸アンカーアセンブリ111、112、113、114、115は、第1の組織の第2の組織への確実な固定(positive fixation)を保証しながら、単純化された組織修復を提供する。
【0070】
[0087]縫合糸構造100(凹凸のある縫合糸100)が予め装填されたアンカー71で形成された例示的な縫合糸アンカーアセンブリ111が、骨80内に形成された予めドリルで開けられた穴/ソケット/開口部82内に設置される。アンカー71の骨内への挿入は、好ましくは、その中に縫合糸構造100をしっかりと固定するために、密な嵌合(tight fit)を形成する。一旦縫合糸アンカーアセンブリ111が骨穴82内に設置されると、縫合糸構造100の組織固定端部100bは、骨穴82の外側に残る。組織固定端部100bは、軟組織90及びループ100aに通され、次いで、引き締め方向A1(図25)において、骨80から引き離され、拡大部55、155、255、355が、デバイスを所定の位置に係止し、縫合構造100のストランド10/50が反対方向(即ち、緩み方向)に動くことを防止し、最終的な修復190を形成することを可能にする。
【0071】
[0088]図26は、最終的な修復290を示し、ここで、縫合糸アンカーアセンブリ114は、縫合糸構造100の組織固定端部100bが骨穴82の外側に残っており、組織90の周りに、閉じた無結節の可撓性の調節可能なループ290aを形成している状態で、骨穴82内に設置される。閉じた無結節の調節可能なループ290aは、縫合糸端部がA1の反対方向、即ち、引き締め方向A1とは反対の方向に動くことを防止する拡大部55、155、255、355によって所定の位置に係止される。
【0072】
[0089]上述された本開示の縫合構造100、200、300、400は、それら自体だけで、及び/又は上述されたような硬質本体を有するアンカーと共に、そしてまた、図27を参照して以下に詳述される例示的な軟質アンカーアセンブリ116を形成するために、軟質アンカーと共に用いられ得る。
【0073】
[0090]図27は、縫合糸構造100が予め装填された軟質の縫合糸アンカー40を示す。軟質の縫合糸アンカー40は、その開示全体が参照により本明細書に完全に組み込まれている、Dreyfuss他の米国特許第9,463,011号に開示されているような管状シースを含み得る軟質アンカーである。管状シース40は、縫合糸又はポリエステル又は同様のもの等の可撓性材料で形成され得、製織、編組、又は編成された構造であり得、及び/又は、糸、繊維、フィラメント、縫合糸、編組、若しくは同様の材料、又はこれらの組合せで形成され得る。管状シース40は、縫合糸構造100が出る2つの対向する開口端を有する。縫合糸構造100の一方又は両方の端部が、これら端部を軟組織の中及び/又はその周りに通すことと、軟組織を骨に留めることとを可能にするために、シャトリングデバイス、別の固定デバイス、ループ等のような様々な構造に結合され得る。
【0074】
[0091]Dreyfuss他の米国特許第9,463,011号に詳述されているように、縫合糸構造100が予め装填された管状シースは、例えば、管状シースが骨穴内に詰め込まれ(bunches up)、従って、骨穴内の所定の位置にしっかりと固定されるように、骨内に形成された予めドリルで開けられた穴/ソケット/開口部内に挿入及び留められていることによって、骨内に挿入及び留められる。管状シース40の骨内への挿入及び設置を容易にするために、フォーク状の先端部付きの挿入器具及び/又はマレット器具が用いられ得る。
【0075】
[0092]一旦管状シース40が骨穴に挿入されると、縫合糸構造100の少なくとも一方の端部が軟組織の中/周りに通されて、軟組織90の周りでの閉じた無結節の可撓性のある調節可能なループの形成、並びにデバイスを所定の位置に係止し、構造100のストランド10/50が反対方向(即ち、緩み方向)に動くことを防止するための、拡大部55、155、255、355の係合を可能にする。拡大部55、155、255、355はまた、最終的な修復を所定の位置に係止するために、管状シース40と係合して、軟組織の骨への取り付けを確実にし得る。ストランド10/50に対する拡大部55、155、255、355の拡大された寸法が、最終的な修復が緩むのを防止する。
【0076】
[0093]図28は、本開示の更に別の例示的な縫合糸アンカーアセンブリ117を示す。前述の実施形態と同様に、また簡潔さのために、縫合糸アンカーアセンブリ117は、例示的な構造100を参照して説明されるが、本開示は、任意の組合せでの、及び/又はそれら自体だけでの、及び/又は他の追加の固定デバイスを有する、構造100、200、300、400のうちの任意のものへの適用性を有する。以下に詳述されるように、例示的なアンカーアセンブリ117は、予め配置されたアンカー内に装填され、次いで、内部で張力をかけられ、スプラインインサート(splined insert)で固定される、1つ以上の凹凸のある縫合糸を含む。
【0077】
[0094]図28の縫合糸アンカーアセンブリ117は、固定デバイス又はアンカー71aと、ループ11aによってアンカー本体に結合された例示的な縫合糸構造100とを含む。ループ11aは、アンカー71aの本体内で、アンカー71aの本体の遠位端に位置する。ループ11aは、アンカー本体内にインサート成形され得、及び/又は、例えば、据え付けの結節72aによって、アンカー本体に固定され得る。
【0078】
[0095]例示的な縫合糸構造100は、デバイス71aのアンカー本体に結合される。縫合糸構造100は、アンカー71aの本体内で、アンカー本体の遠位端に位置するループ11aを通って延在する。図28に示されるように、凹凸のある縫合糸100は、ループ11aに通され、アンカー本体内に位置し且つ互いに連通している第1及び第2の縦通路74、74aに沿って延在する。第1の通路74の直径D1は、第2の通路74aの直径D2よりも大きい。第1及び第2の通路74、74aは、アンカー71のアンカー本体の縦軸に沿って延在し得、オプションで、互いに対して同心円状に位置し得る。
【0079】
[0096]アセンブリ117の縫合糸構造100は、オプション及び追加として、係止要素、例えば、螺子山付き本体73bから延在している複数のアーム/脚部/プロング73aが設けられたインサート73で、留められ得る。インサート73の本体73bは、ドライバ76の最遠位螺子山付き端部と嵌合して係合するように設計される。インサート73は、アンカー71のアンカー本体内で展開可能(deployable)であり得る。例えば、インサート73には、展開可能又は拡張可能なアーム/脚部/プロング73aが設けられ得、これは、第1のポジションでは、第1の未展開又は閉じた状態にあり、第2のポジションでは、第2の展開又は開いた状態にある。
【0080】
[0097]単に例示的な実施形態では、インサート73には、アーム/脚部/プロング73aが設けられ、これは、第1のポジションにあり且つ第2の通路74aを通じて挿入されるとき、第1の(未展開又は閉じた)状態にあり、また、第2のポジションにあり且つ第1の通路74内に挿入されたとき、第2の(展開又は開いた)状態にある。展開ポジションにあるとき、アーム/脚部/プロング73aは、第1の通路74内に完全に位置し、第1の通路74の縦方向の内壁に、そしてまた、第1の通路74内に位置する凹凸のある縫合糸100の部分にも、側圧を加える。インサート73の本体73bは、第2の通路74aの直径D2にほぼ等しい外径を有する。展開状態にあるとき、アーム/脚部/プロング73aの最も外側の直径は、第1の通路74の直径D1にほぼ等しい。このようにして、インサート73は、縫合糸構造100を所定の位置に内部で固定及び係止し、即ち、凹凸のある縫合糸は、アンカー本体に/アンカー本体内部に係止される。拡大部55、155、255、355は、インサート73によって所定の位置に係止され(即ち、第1の通路74の内壁と、インサート73のアーム/脚部/プロング73aとの間に係止され)、最終的な修復が緩むのを防止する。アンカー71は、骨穴又は開口部内に予め配置され得る。この例示的な実施形態では、縫合糸構造100はループ11aとインサート73との両方によって、アンカー71に固定される及び留められる/係止される。
【0081】
[0098]「高強度縫合糸」という用語は、任意の細長い可撓性部材として定義され、材料及びサイズの選択は、特定の用途に依存する。限定ではなく例示を目的として、本明細書で使用される「縫合糸」という用語は、ケーブル、フィラメント、縫い糸、ワイヤ、織物、又は体内での組織固定に好適なその他任意の可撓性部材であり得る。

以下に本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] 縫合構造であって、
第1の端部と、テーパ状の端部部分の形態における第2の端部とを有する芯なし縫合糸と、
複数の拡大部を有する内側フィラメントと、前記内側フィラメント及び前記複数の拡大部は前記芯なし縫合糸によって完全に覆われている、
を備える、縫合構造。
[2] 前記複数の拡大部は、前記芯なし縫合糸の外側表面を貫通しない、[1]に記載の縫合構造。
[3] 前記複数の拡大部は、棘、結節、ビーズ、突起部、又はこれらの組合せである、[1]に記載の縫合構造。
[4] 前記複数の拡大部は、前記縫合構造の係止を可能にする、[1]に記載の縫合構造。
[5] 前記複数の拡大部の各々は、前記内側フィラメントの外径よりも大きい外径を有する、[1]に記載の縫合構造。
[6] 前記複数の拡大部の各々は、前記芯なし縫合糸の外径よりも大きい外径を有する、[1]に記載の縫合構造。
[7] 前記芯なし縫合糸は、編み合わされた超高分子量ポリエチレンの撚糸で形成された芯なし編組又はシースである、[1]に記載の縫合構造。
[8] 前記芯なし縫合糸は、ポリエステル糸で形成された芯なし編組又はシースである、[1]に記載の縫合構造。
[9] 前記第1の端部に係止機構を更に備える、[1]に記載の縫合構造。
[10] 前記芯なし縫合糸は、前記第1の端部に閉じたループが設けられている、[1]に記載の縫合構造。
[11] 前記閉じたループは、接合部及び前記閉じたループを形成するために、前記第1の端部を前記芯なし縫合糸に通して接合することによって形成される、[10]に記載の縫合構造。
[12] 前記閉じたループは、ラッキングヒッチループである、[10]に記載の縫合構造。
[13] 前記閉じたループに取り付けられたシャトリングデバイスを更に備える、[10]に記載の縫合構造。
[14] 前記シャトリングデバイスは、ニチノールループである、[13]に記載の縫合構造。
[15] 前記テーパ状の端部部分は、3つの異なる幅を有する、[1]に記載の縫合構造。
[16] 前記芯なし縫合糸上に設けられたコーティングを更に備える、[1]に記載の縫合構造。
[17] 前記コーティングは、シリコンコーティング又はコラーゲンコーティングである、[16]に記載の縫合構造。
[18] 前記芯なし縫合糸は、無結節固定デバイスの少なくとも1つのアイレットを通る、[1]に記載の縫合構造。
[19] 前記無結節固定デバイスは、スイベルアンカー又はプッシュロックアンカーである、[18]に記載の縫合構造。
[20] 前記無結節固定デバイスは、アンカー本体と、前記アンカー本体に回転可能に取り付けられたアンカー先端部とを備え、前記アンカー本体は、前記固定デバイスを骨内に留めるために、前記アンカー先端部上に挿入されるように構成されている、[18]に記載の縫合構造。
[21] 前記アンカー本体は、カニューレ状干渉螺子である、[20]に記載の縫合構造。
[22] 前記芯なし縫合糸は、アンカー本体に結合される、[1]に記載の縫合構造。
[23] 前記アンカー本体は、軟質である、[22]に記載の縫合構造。
[24] 前記アンカー本体は、硬質である、[22]に記載の縫合構造。
[25] 軟組織の固定の方法であって、
外科用構造のテーパ状の端部を、軟組織に通し、前記外科用構造の前記テーパ状の端部とは反対側の端部におけるループに通すことと、前記外科用構造は、前記ループを形成する外側ストランドと、完全に前記外側ストランド内に位置する内側ストランドとを備え、ここにおいて、前記内側ストランドには、前記内側ストランドの外径よりも大きい外径を有する複数の拡大部が設けられており、
前記組織の周りに無結節の調節可能なループを形成し、前記複数の拡大部のうちの少なくとも1つを前記ループ内に係止するために、前記テーパ状の端部を引っ張ることと、
を備える方法。
[26] 前記テーパ状の端部を無結節固定デバイスに取り付けることと、前記無結節固定デバイスと前記テーパ状の端部を固定することと、を更に備える、[25]に記載の方法。
[27] 前記外側ストランドは、芯なし縫合糸である、[25]に記載の方法。
[28] 前記テーパ状の端部を、前記ループに取り付けられたシャトリングデバイスのアイレットに通すことと、前記テーパ状の端部が前記ループを通ることを可能にするために、前記シャトリングデバイスを引っ張ることと、を更に備える、[25]に記載の方法。
[29] 前記軟組織は、回旋腱板である、[25]に記載の方法。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
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図26
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図28