IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ダウ コーニング コーポレーションの特許一覧 ▶ ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシーの特許一覧

特許7410123ヒドロキシル末端ポリジオルガノシロキサンを縮合重合する方法
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】ヒドロキシル末端ポリジオルガノシロキサンを縮合重合する方法
(51)【国際特許分類】
   C08G 77/08 20060101AFI20231226BHJP
   C08G 77/16 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
C08G77/08
C08G77/16
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021505971
(86)(22)【出願日】2019-07-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-12-09
(86)【国際出願番号】 US2019040442
(87)【国際公開番号】W WO2020040886
(87)【国際公開日】2020-02-27
【審査請求日】2022-06-17
(31)【優先権主張番号】62/722,649
(32)【優先日】2018-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/760,080
(32)【優先日】2018-11-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590001418
【氏名又は名称】ダウ シリコーンズ コーポレーション
(73)【特許権者】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ロバーツ、ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ベロウィッシュ、マシュー
(72)【発明者】
【氏名】ピーターソン、トーマス
(72)【発明者】
【氏名】プシュカルフ、ブラディミール
(72)【発明者】
【氏名】オーユェン、イブリン
(72)【発明者】
【氏名】リッカード、マーク
【審査官】松元 洋
(56)【参考文献】
【文献】特開昭59-176323(JP,A)
【文献】特開昭60-053539(JP,A)
【文献】特開平03-179027(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 77/00 - 77/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリジオルガノシロキサンを重合する方法であって、
1)以下のものを含む出発物質を混合し、それにより反応混合物を調製することで用意された反応混合物を50℃~150℃の温度で加熱すること:
A)平均単位式[(HO)RSiO1/2(RSiO2/2のポリジオルガノシロキサン[式中、下付き文字nは、0~2000であり、各Rは、炭素原子1~18個の独立して選択された一価炭化水素基である]、および
B)出発物質A)の量を基準として0.001~0.01mol/Lの濃度の触媒であって、B2)の量は、B1)1molあたり1.5mol~10molである、以下のものを含む触媒:
B1)以下のものからなる群から選択される塩-アニオン複合体:
B1i)第4級アンモニウム-フッ素化カルボキシレート複合体、
B1ii)第4級アンモニウム-スルホネート複合体、
B1iii)第4級ホスホニウム-フッ素化カルボキシレート複合体、
B1iv)第4級ホスホニウム-スルホネート複合体、
B1v)イミダゾリウム-フッ素化カルボキシレート複合体、および
B1vi)イミダゾリウム-スルホネート複合体
B2)フッ素化カルボン酸およびスルホン酸からなる群から選択される酸、ならびに
2)前記反応混合物から、単位式[(HO)RSiO1/2(RSiO2/2[式中、mは、(n+100)~(n+1000)である]を有する生成物を回収すること、を含む、方法。
【請求項2】
各Rが、独立して、アルキル、アルケニルおよびアリールからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
下付き文字nが10~150である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
出発物質B1i)またはB1ii)中の前記第4級アンモニウムが、テトラ-n-ブチルアンモニウムであり、出発物質B1iii)またはB1iv)中の前記第4級ホスホニウムが、テトラ-n-ブチルホスホニウムであり、かつ出発物質B1v)またはB1vi)中の前記イミダゾリウムが、
【化1】
である、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記フッ素化カルボキシレートが、
【化2】
であり、かつ前記スルホネートが、
【化3】
である、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
出発物質B2)の前記フッ素化カルボン酸が、
【化4】
である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
出発物質B2)の前記スルホン酸が、
【化5】
である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
B)前記触媒が、
【化6-1】
【化6-2】
からなる群から選択され、式中、n-Buがn-ブチル基を表す、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
出発物質C)である溶媒が存在する、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記溶媒が、非プロトン性溶媒およびトリメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサンからなる群から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
ステップ1)が、90℃~130℃の温度で、30秒~2時間にわたり加熱することにより実施される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記方法が、ステップ1)の間および/またはその後に水を除去することをさらに含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記方法が、ステップ1)の前に出発物質A)を少なくとも100℃の温度に加熱し、それにより水を除去することをさらに含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
ステップ2)が、前記反応混合物を濾過、ストリッピングおよび/または蒸留することを含む方法により実施される、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
B1)がB1i)前記第4級アンモニウム-フッ素化カルボキシレート複合体である場合、B2)が前記スルホン酸である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
B1)が前記第4級アンモニウム-スルホネート複合体である場合、B2)が前記フッ素化カルボン酸である、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法第119条(e)に基づき、2018年11月13日に出願された米国仮特許出願第62/760080号および2018年8月24日に出願された米国仮特許出願第62/722349号の利益を主張する。米国仮特許出願第62/760080号および米国仮特許出願第62/722349号は、共に参照により本明細書に組み入れられる。
【0002】
本発明は、ヒドロキシル末端ポリジオルガノシロキサンを縮合重合する方法に関する。この方法では、環状ポリジオルガノシロキサン副生成物の生成を最小限に抑える触媒が用いられる。
【背景技術】
【0003】
ヒドロキシル官能性オルガノシロキサンオリゴマーおよび短鎖ポリマーは、適切な縮合反応触媒の存在下での重合により縮合反応を介して重合させて、高分子量の高い重合度のポリマーにすることができる。ヒドロキシル官能性オルガノシロキサンの縮合重合は、副生成物としての水を除去することで起こる。これまでの方法では、触媒として、ブレンステッド酸、ブレンステッド塩基またはホスホニトリルが用いられていた。これらの触媒は、(高いDPを有する生成物を生成するほどに)非常に高活性であり得るが、これらは、得られるヒドロキシル官能性ポリジオルガノシロキサン生成物中に、大量(1000ppm超)の環状副生成物オクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)を生成する傾向がある。
【0004】
解決すべき問題
先に記載のこれまでの方法により達成されるよりも低いD4含有量を有する高分子量の高い重合度のポリオルガノシロキサンを生成することが産業上必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
ポリジオルガノシロキサンを重合する方法は、
1)以下のものを含む出発物質を混合し、それにより反応混合物を調製することで用意された反応混合物を50℃~200℃の温度で加熱すること:
A)単位式[(HO)RSiO1/2(RSiO2/2のポリジオルガノシロキサン[式中、下付き文字nは、0~2000であり、各Rは、炭素原子1~18個の独立して選択された一価炭化水素基である]、および
B)出発物質A)の量を基準として0.001~0.01mol/Lの濃度の触媒であって、以下のものを含む触媒:
B1)以下のものからなる群から選択される塩-アニオン複合体:
B1i)第4級アンモニウム-フッ素化カルボキシレート複合体、
B1ii)第4級アンモニウム-スルホネート複合体、
B1iii)第4級ホスホニウム-フッ素化カルボキシレート複合体、
B1iv)第4級ホスホニウム-スルホネート複合体、
B1v)イミダゾリウム-フッ素化カルボキシレート複合体、および
B1vi)イミダゾリウム-スルホネート複合体
B2)フッ素化カルボン酸およびスルホン酸からなる群から選択される酸、ならびに
2)反応混合物から、単位式[(HO)RSiO1/2(RSiO2/2[式中、m>nである]を有する生成物を回収すること、を含む。
【発明を実施するための形態】
【0006】
先に記載の方法は、バッチ反応器または連続反応器、例えば気液反応器を使用して実施され得る。滞留時間は、選択される温度および反応器の種類を含む様々な要因に応じて異なる。しかしながら、ステップ1)は、50℃~200℃、あるいは50℃~150℃、あるいは90℃~130℃、あるいは110℃の温度で、少なくとも30秒、あるいは30秒~2時間にわたり加熱することにより実施され得る。この方法は、周囲圧力で実施されてもよく、不活性雰囲気を必要としない。しかしながら、副生成物である水を除去することが可能な条件により、生成物のDPを増加させることまたは選択率を改善すること(生成物中のD4を最小限に抑えること)、あるいはその両方が促進され得る。したがって、この方法は、ステップ1)の間および/またはその後に水を除去することをさらに含み得る。ステップ2)は、反応混合物を濾過、ストリッピングおよび/または蒸留することを含む方法により実施され得る。
【0007】
先に記載の方法は、出発物質A)のDPよりも高いDPと、比較的低いD4含有量(すなわち、ホスホニトリル触媒を使用して生成されるD4含有量よりも低いD4含有量)と、を有するヒドロキシル末端ポリジオルガノシロキサンを生成することができる。例えば、生成物中のD4含有量は、800ppm未満、あるいは500ppm未満、あるいは400ppm未満、あるいは350ppm未満、あるいは300ppm未満であり得る。D4の最小量は、0あるいは100ppmであり得る。また、出発物質A)が50未満のDPを有する場合、生成物のDPは、200超、あるいは400超、あるいは500超、あるいは700超、あるいは800超、あるいは1000超であり得る。あるいは、出発物質A)が50未満のDPを有する場合、生成物のDPは、100~1100、あるいは400~1100、あるいは500~1100であり得る。
【0008】
出発物質A)ポリジオルガノシロキサン
先に記載の方法では、出発物質A)は、単位式A-1):[(HO)RSiO1/2(RSiO2/2を含むポリジオルガノシロキサンである。
【0009】
単位式A-1)において、Rは、炭素原子1~18個の独立して選択された一価炭化水素基である。Rに適した一価炭化水素基は、アルキル、アルケニルおよびアリールからなる群から選択され得る。例示的なアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル(n-プロピルおよびイソプロピルを含む)、ブチル(n-ブチル、t-ブチル、イソブチルおよびsec-ブチルを含む)ならびにヘキシル基(それらの分岐異性体および線状異性体を含む)が挙げられる。例示的なアルケニル基としては、ビニル、アリルおよびヘキセニル(それらの分岐異性体および線状異性体を含む)が挙げられる。例示的なアリール基としては、フェニル、トリル、キシリル、ナフチルおよびベンジルが挙げられる。あるいは、各アルキルは、メチルであり得て、各アルケニルは、ビニル、アリルおよびヘキセニルからなる群から選択され得て、各アリールは、フェニルであり得る。あるいは、いずれの場合のRも、50%~100%、あるいは80%~100%、あるいは90%~100%が、メチルなどのアルキル基である。あるいは、出発物質A)におけるR基は、メチルおよびフェニルであり得る。あるいは、出発物質A)におけるR基は、メチルおよびビニルであり得る。
【0010】
単位式A-1)において、下付き文字nは、0~2000である。あるいは、下付き文字nは、5~2000、あるいは5~200、あるいは10~150、あるいは15~100、あるいは20~50、あるいは25~35であり得る。
【0011】
当業者であれば、出発物質A)が実質的に線形であり得るか、あるいは出発物質A)が線形であることを認識するであろう。さらに、出発物質A)は、出発物質A)が実質的に線状であるという条件で、式(HORSiO2/2)、(RSiO3/2)および/または(SiO4/2)のシロキサン単位などの少数のさらなるシロキサン単位を含み得る。出発物質A)の例としては、ビスヒドロキシル末端ポリジメチルシロキサンが挙げられる。出発物質(A)に適したポリジオルガノシロキサンは、当技術分野で既知の方法により、例えば、ジオルガノジクロロシランを水/溶媒混合物に添加して、低分子量ヒドロキシル末端ブロック化ポリジオルガノシロキサンと環状シロキサンとが溶媒に入った混合物を得ることにより調製され得る。この混合物を精製して、ヒドロキシル末端ブロック化ポリジオルガノシロキサンと環状ポリシロキサンとを分離することができる。
【0012】
出発物質B)触媒
出発物質B)は、先に記載の方法で使用される触媒である。出発物質B)は、B1)塩-アニオン複合体およびB2)酸を含む。塩-アニオン複合体は、B1i)第4級アンモニウム-フッ素化カルボキシレート複合体、B1ii)第4級アンモニウム-スルホネート複合体、B1iii)第4級ホスホニウム-フッ素化カルボキシレート複合体、B1iv)第4級ホスホニウム-スルホネート複合体、B1v)イミダゾリウム-フッ素化カルボキシレート複合体、およびB1vi)イミダゾリウム-スルホネート複合体からなる群から選択される。
【0013】
出発物質B1i)は、テトラアルキルアンモニウム-フルオロアルキルカルボキシレート複合体などの第4級アンモニウム-フッ素化カルボキシレート複合体である。この複合体中の第4級アンモニウムカチオンは、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラ-n-ブチルアンモニウムなどのテトラブチルアンモニウムであり得る。この複合体中のフッ素化カルボキシレートアニオンは、式
【化1】
を有し得て、式中、Rは、炭素原子1~10個、あるいは炭素原子1~6個、あるいは炭素原子1~4個、あるいは炭素原子1~2個のフルオロアルキル基である。Rのフルオロアルキル基の例としては、トリフルオロメチルまたは3,3,3-トリフルオロプロピル、あるいはトリフルオロメチルが挙げられる。第4級アンモニウム-フッ素化カルボキシレート複合体は、Sigma-Aldrichから市販されている。
【0014】
出発物質B1ii)は、テトラアルキルアンモニウム-アルキルスルホネート複合体などの第4級アンモニウム-スルホネート複合体である。この複合体中の第4級アンモニウムカチオンは、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラ-n-ブチルアンモニウムなどのテトラブチルアンモニウムであり得る。この複合体中のスルホネートアニオンは、式
【化2】
を有し得て、式中、R’’は、炭素原子1~10個、あるいは炭素原子1~6個、あるいは炭素原子1~4個のアルキル基である。R’’に適したアルキル基としては、メチル、エチルまたはプロピルが例であり、あるいはメチルである。第4級アンモニウム-スルホネート複合体は、Sigma-Aldrichから市販されている。
【0015】
出発物質B1iii)は、テトラアルキルホスホニウム-フルオロアルキルカルボキシレート複合体などの第4級ホスホニウム-フッ素化カルボキシレート複合体である。この複合体中の第4級ホスホニウムカチオンは、テトラメチルホスホニウム、テトラエチルホスホニウム、テトラ-n-ブチルホスホニウムなどのテトラブチルホスホニウムであり得る。この複合体中のフッ素化カルボキシレートアニオンは、式
【化3】
を有し得て、式中、Rは、炭素原子1~10個、あるいは炭素原子1~6個、あるいは炭素原子1~4個、あるいは炭素原子1~2個のフルオロアルキル基である。Rのフルオロアルキル基の例としては、トリフルオロメチルまたは3,3,3-トリフルオロプロピル、あるいはトリフルオロメチルが挙げられる。四級ホスホニウム-フッ素化カルボン酸塩錯体は、Rountree、E.S.;Dempsey,J.L.Inorg.Chem.2016,55,5079に開示されているものなど、当技術分野で知られている方法によって調製することができる。。
【0016】
出発物質B1iv)は、テトラアルキルホスホニウム-アルキルスルホネート複合体などの第4級ホスホニウム-スルホネート複合体である。この複合体中の第4級ホスホニウムカチオンは、テトラメチルホスホニウム、テトラエチルホスホニウム、テトラ-n-ブチルホスホニウムなどのテトラブチルホスホニウムであり得る。この複合体中のスルホネートアニオンは、式
【化4】
を有し得て、式中、R’’は、炭素原子1~10個、あるいは炭素原子1~6個、あるいは炭素原子1~4個のアルキル基である。R’’に適したアルキル基としては、メチル、エチルまたはプロピルが例であり、あるいはメチルである。第4級ホスホニウム-スルホネート複合体は、Sigma-Aldrichから市販されている。
【0017】
出発物質B1v)は、アルキルイミダゾリウム-フルオロアルキルカルボキシレート複合体などのイミダゾリウム-フッ素化カルボキシレート複合体である。この複合体中のイミダゾリウムアニオンは、式
【化5】
を有し得て、式中、各R’’’は、炭素原子1~10個、あるいは炭素原子1~6個、あるいは炭素原子1~4個、あるいは炭素原子1~2個の独立して選択されたアルキル基である。あるいは、各R’’’は、メチルまたはエチルであり得る。あるいは、R’’’のうちの一方がメチルであり得て、R’’’のうちの他方がエチルであり得る。この複合体中のフッ素化カルボキシレートアニオンは、式
【化6】
を有し得て、式中、Rは、炭素原子1~10個、あるいは炭素原子1~6個、あるいは炭素原子1~4個、あるいは炭素原子1~2個のフルオロアルキル基である。Rのフルオロアルキル基の例としては、トリフルオロメチルまたは3,3,3-トリフルオロプロピル、あるいはトリフルオロメチルが挙げられる。イミダゾリウム-フッ素化カルボキシレート複合体は、Sigma-Aldrichから市販されている。
【0018】
出発物質B1vi)は、イミダゾリウム-スルホネート複合体である。この複合体中のイミダゾリウムアニオンは、式
【化7】
を有し得て、式中、各R’’’は、炭素原子1~10個、あるいは炭素原子1~6個、あるいは炭素原子1~4個、あるいは炭素原子1~2個の独立して選択されたアルキル基である。あるいは、各R’’’は、メチルまたはエチルであり得る。あるいは、R’’’のうちの一方がメチルであり得て、R’’’のうちの他方がエチルであり得る。この複合体中のスルホネートアニオンは、式
【化8】
を有し得て、式中、R’’は、炭素原子1~10個、あるいは炭素原子1~6個、あるいは炭素原子1~4個のアルキル基である。R’’に適したアルキル基としては、メチル、エチルまたはプロピルが例であり、あるいはメチルである。イミダゾリウム-スルホネート複合体は、Sigma-Aldrichから市販されている。
【0019】
出発物質B1)は、出発物質A)の縮合重合を触媒するのに有効な量で使用される。正確な量は、出発物質B1)に選択される種類および出発物質B2)の選択を含む様々な要因に応じて異なるが、出発物質B1)は、出発物質A)の量を基準として0.005mol/L~0.1mol/Lの量で使用され得る。理論に縛られることを望むものではないが、出発物質B1)の量が少なすぎる場合(例えば、バッチ反応器内での滞留時間が2時間以下の場合で0.0001mol/L以下)、触媒活性が不十分になると考えられる。
【0020】
出発物質B2)である酸は、B2i)フッ素化カルボン酸およびB2ii)スルホン酸からなる群から選択される。適切なフッ素化カルボン酸としては、トリフルオロ酢酸などのフルオロアルキル酢酸、3,3,3-トリフルオロプロピオン酸、3,3,3-トリフルオロ-2,2-ジメチルプロピオン酸、3,3,3-トリフルオロ-2-(トリフルオロメチル)プロピオン酸、4,4,4-トリフルオロ酪酸および2-メチル、4,4,4-トリフルオロ酪酸が例である。あるいは、フッ素化カルボン酸はトリフルオロ酢酸であり得る。フッ素化カルボン酸は、例えばSigma Aldrichから市販されている。
【0021】
あるいは、出発物質B2)は、アルキルスルホン酸、例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1-プロパンスルホン酸およびt-ブチルスルホン酸などのスルホン酸を含み得る。あるいは、B2)のスルホン酸はメタンスルホン酸を含み得る。スルホン酸は、例えばSigma Aldrichから市販されている。
出発物質B2)の量は、出発物質B1)の選択および量を含む様々な要因に応じて異なるが、出発物質B2)の量は、出発物質B1)1molあたり1.5mol~10mol、あるいは1.5mol~2molであり得る。
【表1-1】
【表1-2】
【0022】
出発物質C)溶媒
出発物質C)である溶媒は、本明細書に記載の方法において任意選択的に使用され得る。溶媒を使用して、1つ以上の他の出発物質を送達してもよい。例えば、出発物質B1)、出発物質B2)またはその両方が、出発物質A)と組み合わせる前に溶媒に溶解されてもよい。溶媒は、テトラヒドロフラン、トルエンまたはジクロロメタンなどの非プロトン性溶媒であり得る。あるいは、溶媒は、低分子量トリメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン、例えば、米国ミシガン州ミッドランドのDow Silicones Corporationから市販されているOS Fluidであり得る。溶媒を使用して1つ以上の出発物質を送達しても(すなわち、ステップ1の前に1つ以上の出発物質を溶媒に溶解させても)、反応を溶媒中で進行させても、またはその両方であってもよい。溶媒の量は、選択される出発物質A)およびB)の種類および量と、1つ以上の出発物質が溶媒中で送達されるかどうか、または反応が溶媒中で進行するかどうかとを含む様々な要因に応じて異なる。例えば、その量は、存在する場合、0.1M~0.5Mの出発物質A)の濃度を有する反応混合物を形成するのに十分であり得る。
【0023】
生成物
本明細書に記載の方法の生成物は、単位式[(HO)RSiO1/2(RSiO2/2のビスヒドロキシル末端ポリジオルガノシロキサンであり、式中、Rは、出発物質A)について先に記載した通りであり、下付き文字mは、出発物質A)の下付き文字nよりも大きい値を有する。例えば、先に記載の生成物では、下付き文字mは、(n+100)~(n+600)、あるいは(n+100)~(n+800)、あるいは(n+100)~(n+900)、あるいは(n+100)~(n+1000)、あるいは(n+200)~(n+1100)の範囲の値を有し得る。
【実施例
【0024】
これらの実施例は、本発明のいくつかの実施形態を例示するためのものであり、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲を限定するものとして解釈すべきではない。試験する化合物は、以下で表2に示される。
【表2-1】
【表2-2】
【0025】
参照例1-一般的な手順
サンプルを以下の通りに調製した。40mLのガラスバイアルに、平均DP35のビスヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサン5gを充填し、撹拌棒を取り付けた。ビスヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサンは、米国ミシガン州ミッドランドのDow Silicones Corporationから得た。バイアルを110℃の加熱ブロックに置き、充填する化合物(表1中の選択および量)をビスヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサンに添加して重合を開始した。化合物を添加した後に、バイアルに蓋をし、110℃の加熱ブロック上で2時間にわたり撹拌を続けた。2時間後に、バイアルを加熱ブロックから取り外し、GPCサンプルを調製した。得られる粗反応混合物をGPCにより分析して、最終的な重合度を示し、その一方で、ヘッドスペースGCにより残留オクタメチルシクロテトラシロキサンを測定した。試験した化合物、化合物の充填量、この方法で調製したビスヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサンのMn、MwおよびDP、ならびにこの方法で調製したビスヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサンの残留D4は、以下の表3に示される。
【化9】
【表3】
【0026】
比較例10は、従来の塩化ホスホニトリル触媒が、試験条件下での重合の副生成物として、高水準のD4を生成することを示した。比較例7、9、13および14、ならびに実施例2、5および6は、第4級アンモニウム、イミダゾリウムまたは第4級ホスホニウム-フッ素化カルボキシレート複合体とフッ素化カルボン酸とを触媒として使用すると、試験条件下で第4級アンモニウム-(フッ素化されていない)カルボキシレート複合体を含む触媒と比較して、(DPおよび%変換率の増加により示されるように)重合の劇的な改善が達成された。実施例6は、第4級ホスホニウム-フッ素化カルボキシレート複合体を使用して良好な変換率、高いDPおよび低いD4が達成され、かつフッ素化カルボン酸が、試験条件下で良好な変換率、高いDPおよび低いD4をもたらすことを示した。実施例5は、試験条件下で低いD4含有量を伴ってDPが増加したことにより示されるように、イミダゾリウム-フッ素化カルボキシレート複合体およびフッ素化カルボン酸が重合を触媒することを示した。実施例11および12は、それを示した。
【0027】
参照例2-分子分布
出発物質の分子分布を、トリプル検出器アレイ(屈折率、直角光散乱、および粘度計)を備えたGPCで分析した。サンプルの0.5%をGPC分析に使用した。ポリスチレン標準のMwは580~100,000の範囲であり、分子量決定には3次較正曲線を使用した。サンプルおよび標準の両方をHPLCグレードの酢酸エチルで希釈した。
【0028】
参照例3-D4濃度
D4濃度の測定を、以下の機器、手順および定量方法を使用して行った。
【0029】
GC-HP6890
勾配:50℃(1分)-220℃@10℃/分(保持なし);注入口:スプリット1:20、9.68psi、150℃;流量:2mL/分
FID:水素40mL/分、空気450mL/分、補給45mL/分、温度260℃;カラム:RTX-1、30m/320μm/0.25μm
【0030】
ヘッドスペースユニット-Perkin-Elmer TurboMatrix 40
インキュベーション:120℃で10分にわたり振とう;シリンジ:125℃;トランスファーライン:130℃;加圧:3分;抜き取り:0.5分;カラム圧力:20psi;注入:0.15分/0.3mL;GCサイクル:25分
【0031】
サンプルの調製
内部標準を、Fisher Brand 19流体真空オイル(fluid vacuum oil)中でドデカン0.01重量%になるように調製した。1mLの内部標準溶液を20mLのヘッドスペースバイアル(Eppendorfのリピーターピペット付き)に添加した。100mgのD4標準(通常は100ppmの標準を使用)または100mgの実験サンプルをヘッドスペースバイアルに添加した。
【0032】
定量:
D4含有量の定量は、シングルポイント内部標準法(single point internal standard method)によるものであった。ドデカンに対するD4の相対応答係数(RRF)を確立し、内部標準溶液の新しいバッチを調製するたびに更新した。サンプル中のD4の量は、以下の式と同じ種類の等式に従って、Thermo Atlasデータシステム内で決定した。
【数1】
【0033】
実施例4
触媒としてスルホン酸と一緒に第4級ホスホニウム-スルホネート複合体(表1に12として示されている)を触媒として使用することを除いて、先に参照例1で記載されている一般的な手順を繰り返す。
【0034】
仮想例5
フッ素化カルボン酸と一緒に第4級ホスホニウム-スルホネート複合体(表1にP1として示されている)を触媒として使用することを除いて、先に参照例1で記載されている一般的な手順を繰り返す。
【0035】
実施例6
スルホン酸と一緒にイミダゾリウム-スルホネート複合体(表1に11として示されている)を触媒として使用することを除いて、先に参照例1で記載されている一般的な手順を繰り返す。
【0036】
仮想例7
フッ素化カルボン酸と一緒にイミダゾリウム-スルホネート複合体(表1にP4として示されている)を触媒として使用することを除いて、先に参照例1で記載されている一般的な手順を繰り返す。
【0037】
産業上の利用可能性
Dow Silicones Corporationにより製造されたビスヒドロキシ末端シリコーンポリマーは、副生成物として約1000ppmのD4を含有する可能性がある。発明者等は、驚くべきことに、塩-アニオン複合体と酸とのいくつかの組み合わせが、ヒドロキシル末端ポリジオルガノシロキサンの縮合を触媒し、同じ条件下での他の触媒よりも著しく少ないオクタメチルシクロテトラシロキサンを生成することを見出した。これらの利点は、(空気からの)酸素の存在下で大気圧のもと実施される方法において達成可能であり、溶媒を必要としなかった。
【0038】
用語の定義および用法
特に指定がない限り、全ての量、比および割合は、重量を基準とする。発明の概要および要約は、参照により本明細書に組み込まれる。特に明細書の文脈による指定がない限り、冠詞「a」、「an」および「the」は各々1つ以上を指す。範囲の開示には、範囲自体、およびその中に包含されるもの、ならびに終点も含まれる。例えば、0~2000の範囲の開示は、0~2000の範囲のみならず、1、2、5、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、90、100、200、300、400、500、600、800、1000、1250、1500、1750および2000を個別に含み、この範囲に包含される任意の他の数値も同様に含む。さらに、例えば0~2000の範囲の開示は、例えば、10~1500、16~750、20~450、5~50および10~40のサブセットを含み、この範囲に包含される任意の他のサブセットも同様に含む。以下の表5は、この出願全体で使用される略語を定義している。
【表4】
【0039】
発明の実施形態
第1の実施形態では、ポリジオルガノシロキサンを重合する方法は、
1)以下のものを含む出発物質を混合し、それにより反応混合物を調製することで用意された反応混合物を50℃~150℃の温度で加熱すること:
A)平均単位式[(HO)RSiO1/2(RSiO2/2のポリジオルガノシロキサン[式中、下付き文字nは、0~2000であり、各Rは、炭素原子1~18個の独立して選択された一価炭化水素基である]、および
B)出発物質A)の量を基準として0.001~0.01mol/Lの濃度の触媒であって、以下のものを含む触媒:
B1)以下のものからなる群から選択される塩-アニオン複合体:
B1i)第4級アンモニウム-フッ素化カルボキシレート複合体、および
B1ii)第4級アンモニウム-スルホネート複合体、および
B2)フッ素化カルボン酸およびスルホン酸からなる群から選択される酸、ならびに
2)反応混合物から、単位式[(HO)RSiO1/2(RSiO2/2[式中、m>nである]を有する生成物を回収すること、を含む。
【0040】
第2の実施形態では、第1の実施形態の方法において、出発物質B1i)またはB1ii)中の第4級アンモニウムは、テトラ-n-ブチルアンモニウムである。
【0041】
第3の実施形態では、第1~第3の実施形態のうちのいずれか1つの方法において、B1i)中のフッ素化カルボキシレートアニオンは、
【化10】
であり、B1ii)中のスルホネートアニオンは、
【化11】
である。
【0042】
第4の実施形態では、第1~第3の実施形態のうちのいずれか1つの方法において、出発物質B2)のフッ素化カルボン酸は、
【化12】
であり、出発物質B2)のスルホン酸は、
【化13】
である。
【0043】
第5の実施形態では、第1~第3の実施形態のうちのいずれか1つの方法において、B)触媒は、
【化14】
からなる群から選択され、式中、n-Buはn-ブチル基を表し、Meはメチル基を表し、Etはエチル基を表す。
【0044】
第6の実施形態では、第1~第5の実施形態のうちのいずれか1つの方法において、B1)がB1i)第4級アンモニウム-フッ素化カルボキシレート複合体である場合、B2)はスルホン酸である。
【0045】
第7の実施形態では、第1~第3の実施形態または第5の実施形態のうちのいずれか1つの方法において、B1)が第4級アンモニウム-スルホネート複合体である場合、B2)はフッ素化カルボン酸である。
【0046】
第8の実施形態では、ポリジオルガノシロキサンを重合する方法は、
1)以下のものを含む出発物質を混合し、それにより反応混合物を調製することで用意された反応混合物を50℃~150℃の温度で加熱すること:
A)平均単位式[(HO)RSiO1/2(RSiO2/2のポリジオルガノシロキサン[式中、下付き文字nは、0~2000であり、各Rは、炭素原子1~18個の独立して選択された一価炭化水素基である]、および
B)出発物質A)の量を基準として0.001~0.01mol/Lの濃度の触媒であって、以下のものを含む触媒:
B1)以下のものからなる群から選択される塩-アニオン複合体:
B1iii)第4級ホスホニウム-フッ素化カルボキシレート複合体、および
B1iv)第4級ホスホニウム-スルホネート複合体、および
B2)フッ素化カルボン酸およびスルホン酸からなる群から選択される酸、ならびに
2)反応混合物から、単位式[(HO)RSiO1/2(RSiO2/2[式中、m>nである]を有する生成物を回収すること、を含む。
【0047】
第9の実施形態では、第8の実施形態の方法において、出発物質B1iii)またはB1iv)中の第4級ホスホニウムは、テトラ-n-ブチルホスホニウムである。
【0048】
第10の実施形態では、第8または第9の実施形態の方法において、B1iii)中のフッ素化カルボキシレートアニオンは、式
【化15】
を有し、B1iv)中のスルホネートアニオンは、
【化16】
である。
【0049】
第11の実施形態では、第8~第10の実施形態のうちのいずれか1つの方法において、出発物質B2)のフッ素化カルボン酸は、
【化17】
であり、出発物質B2)のスルホン酸は、
【化18】
である。
【0050】
第12の実施形態では、第8~第11の実施形態のうちのいずれか1つの方法において、B)触媒は、
【化19】
であり、
式中、n-Buはn-ブチル基を表し、Meはメチル基を表し、Etはエチル基を表す。
【0051】
第13の実施形態では、ポリジオルガノシロキサンを重合する方法は、
1)以下のものを含む出発物質を混合し、それにより反応混合物を調製することで用意された反応混合物を50℃~150℃の温度で加熱すること:
A)平均単位式[(HO)RSiO1/2(RSiO2/2のポリジオルガノシロキサン[式中、下付き文字nは、0~2000であり、各Rは、炭素原子1~18個の独立して選択された一価炭化水素基である]、および
B)出発物質A)の量を基準として0.001~0.01mol/Lの濃度の触媒であって、以下のものを含む触媒:
B1v)イミダゾリウム-フッ素化カルボキシレート複合体、
B2)フッ素化カルボン酸およびスルホン酸からなる群から選択される酸、ならびに
2)反応混合物から、単位式[(HO)RSiO1/2(RSiO2/2[式中、m>nである]を有する生成物を回収すること、を含む。
【0052】
第14の実施形態では、第13の実施形態の方法において、出発物質B1v)中のイミダゾリウムは、
【化20】
である。
【0053】
第15の実施形態では、第13または第14の実施形態の方法において、B1v)中のフッ素化カルボキシレートアニオンは、
【化21】
である。
【0054】
第16の実施形態では、第13~第15の実施形態のうちのいずれか1つの方法において、出発物質B2)のフッ素化カルボン酸は、
【化22】
である。
【0055】
第17の実施形態では、第13~第16の実施形態のうちのいずれか1つの方法において、触媒は、
【化23】
であり、
式中、n-Buはn-ブチル基を表し、Meはメチル基を表し、Etはエチル基を表す。
【0056】
第18の実施形態では、先の実施形態のうちのいずれか1つの方法において、出発物質C)である溶媒が存在する。
【0057】
第19の実施形態では、第18の実施形態の方法において、溶媒は、非プロトン性溶媒およびトリメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサンからなる群から選択される。
【0058】
第20の実施形態では、第19の実施形態の方法において、溶媒は、テトラヒドロフラン、トルエンおよびジクロロメタンからなる群から選択される。
【0059】
第21の実施形態では、先の実施形態のうちのいずれか1つの方法において、ステップ1)は、80℃~105℃の温度で30秒~2時間にわたり加熱することにより実施される。
【0060】
第22の実施形態では、先の実施形態のうちのいずれか1つの方法において、この方法は、ステップ1)の間および/またはその後に水を除去することをさらに含む。
【0061】
第23の実施形態では、先の実施形態のうちのいずれか1つにおいて、この方法は、ステップ1)の前に出発物質A)を少なくとも100℃の温度に加熱し、それにより水を除去することをさらに含む。
【0062】
第24の実施形態では、先の実施形態のうちのいずれか1つの方法において、先の実施形態のうちのいずれか1つ、ステップ2)は、反応混合物を濾過、ストリッピングおよび/または蒸留することを含む方法により実施される。
【0063】
第25の実施形態では、ポリジオルガノシロキサンを重合する方法は、
1)以下のものを含む出発物質を混合し、それにより反応混合物を調製することで用意された反応混合物を50℃~150℃の温度で加熱すること:
A)平均単位式[(HO)RSiO1/2(RSiO2/2のポリジオルガノシロキサン[式中、下付き文字nは、0~2000であり、各Rは、炭素原子1~18個の独立して選択された一価炭化水素基である]、および
B)出発物質A)の量を基準として0.001~0.01mol/Lの濃度の触媒であって、以下のものを含む触媒:
B1)以下のものからなる群から選択される塩-アニオン複合体:
B1v)イミダゾリウム-フッ素化カルボキシレート複合体、および
B1vi)イミダゾリウム-スルホネート複合体、および
B2)フッ素化カルボン酸およびスルホン酸からなる群から選択される酸、ならびに
2)反応混合物から、単位式[(HO)RSiO1/2(RSiO2/2[式中、m>nである]を有する生成物を回収すること、を含む。
【0064】
第26の実施形態では、第25の実施形態の方法において、出発物質B1v)およびB1vi)中のイミダゾリウムカチオンは、
【化24】
である。
第27の実施形態では、第25または第26の実施形態の方法において、B1v中のフッ素化カルボキシレートアニオンは、
【化25】
であり、B1vi)中のスルホネートアニオンは、
【化26】
である。
【0065】
第28の実施形態では、第25~第27の実施形態のうちのいずれか1つの方法において、出発物質B2)のフッ素化カルボン酸は、
【化27】
であり、出発物質B2)のスルホン酸は、
【化28】
である。
【0066】
第29の実施形態では、第25~28の実施形態のうちのいずれか1つの方法において、触媒は、以下のものからなる群から選択される。
【化29】