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特許7410132ドアまたは同様の閉鎖要素の回転可能な動きのためのヒンジ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】ドアまたは同様の閉鎖要素の回転可能な動きのためのヒンジ
(51)【国際特許分類】
   E05F 3/10 20060101AFI20231226BHJP
【FI】
E05F3/10 Z
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2021510436
(86)(22)【出願日】2019-07-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-19
(86)【国際出願番号】 IB2019056472
(87)【国際公開番号】W WO2020044143
(87)【国際公開日】2020-03-05
【審査請求日】2022-07-26
(31)【優先権主張番号】102018000008233
(32)【優先日】2018-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】519224155
【氏名又は名称】コルコム グループ エス.アール.エル.
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベネデッティ,ルカ
(72)【発明者】
【氏名】メサロス,ミハイ
【審査官】河本 明彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-521241(JP,A)
【文献】特表2013-509510(JP,A)
【文献】国際公開第2018/116275(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 1/00-13/04,17/00
E05D 1/00-9/00,11/00-13/00,
15/00-15/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
閉鎖要素(D)を少なくとも1つの閉位置と少なくとも1つの開位置との間で回転可能に移動させるための油圧式ヒンジであって、前記閉鎖要素は、静止支持構造体(S)にアンカー固定可能であり、前記ヒンジは、
-前記静止支持構造体にアンカー固定可能な固定要素(20)と、
-前記閉鎖要素にアンカー固定可能な可動要素(10)であって、前記可動要素(10)が前記固定要素(20)に対して第1の長手方向軸(X)の周りを回転するように、前記固定要素(20)および前記可動要素(10)は相互に結合される、可動要素(10)と、
を備え、
前記固定要素(20)および可動要素(10)の一方が、第2の長手方向軸(Y)を画定する少なくとも1つの作動チャンバ(11)を含み、前記少なくとも1つの作動チャンバ(11)が、少なくとも1つの部分(14、15)を含み、前記少なくとも1つの部分(14、15)が、
-前記第2の軸(Y)に沿って摺動可能なプランジャ要素(30)であって、前記可動要素(10)の回転が前記プランジャ要素(30)の摺動に対応するように、前記固定要素(20)および前記可動要素(10)の他方と動作可能に結合される、プランジャ要素(30)と、
-前記可動要素(10)の移動を油圧式に減衰させるための作用流体と、
を備え、
前記プランジャ要素(30)が、前記第2の軸(Y)を画定する脚部(131)と、
互いに流体連通している第1および第2の可変容積コンパートメント(18、19)内で、前記少なくとも1つの前記作動チャンバ(11)の前記少なくとも1つの部分(14、15)を仕切るために、前記少なくとも1つの作動チャンバ(11)内にシール式に挿入される頭部(135)と、
を備え、
前記頭部(135)が、
-前記脚部(131)に共に嵌め込まれている第1および第2のディスク形状要素(140、136)と、
-前記第1の可変容積コンパートメント(18)から前記第2の可変容積コンパートメント(19)へ、およびその逆に前記作用流体の貫流を可能にする油圧ダクト(60)と、
を備え、
前記少なくとも1つの閉位置と前記少なくとも1つの開位置との間で前記閉鎖要素(D)の回転速度を調整するために、前記第1および第2のディスク形状要素(140、136)の少なくとも一方が、相互距離が最小である近位位置と相互距離が最大である遠位位置との間で他方に対して摺動可能であって、
前記第1および第2のディスク形状要素(140、136)の一方が、前記第1および第2の可変容積コンパートメント(18、19)と流体的に連結された開口部(143)を含む第1の作用表面(141)を有し、
前記第1および第2のディスク形状要素(140、136)の他方は、第2の作用表面(138)を有し、前記第1および第2のディスク形状要素(140、136)が前記近位位置にある場合、前記第1の作用表面(141)と第2の作用表面(138)との間の空間が、前記作用流体のための通路(150)を画定し、前記油圧ダクト(60)が、前記通路(150)および前記開口部(143)を含むように、前記第1および第2の作用表面(141、138)は、互いに向き合い
前記通路(150)および前記開口部(143)を通って前記作用流体の貫流を強制するために、前記第1および第2のディスク形状要素(140、136)の前記一方が、前記作動チャンバ(11)の内面と当接する少なくとも1つの油圧シールエラストマー要素(38)を備える、油圧式ヒンジ。
【請求項2】
前記第1および第2のディスク形状要素(140、136)の前記一方の前記第1の作用表面(141)が、第1の作動区域(146)および第2の当接区域(145)を備え、前記第1および第2のディスク形状要素(140、136)が、前記近位位置にある場合、前記第2の当接区域(145)および前記第2の作用表面(138)が相互に接触し、前記第1の作動区域(146)および前記第2の作用表面(138)が、前記通路(150)を画定するように相互に離間されている、請求項1に記載のヒンジ。
【請求項3】
前記第1および第2のディスク形状要素(140、136)が前記近位位置にある場合、前記第1および第2のディスク要素(140、136)の前記他方の前記第2の作用表面(138)と前記第1の作動区域(146)との間の距離(d2)が、前記通路(150)の最小区分を画定する、請求項2に記載のヒンジ。
【請求項4】
前記第1のディスク形状要素(140)の前記第1の作用表面(141)が、前記第2の当接区域(145)を画定する環状リリーフ(144)を有し、前記開口部(143)は、前記第1の作動区域(146)と流体連通して配置される、請求項2または3に記載のヒンジ。
【請求項5】
前記脚部(131)が、前記第2のディスク形状要素(136)のための当接面(133)を有する段部(132)を有し、前記第2のディスク形状要素(136)が、前記段部(132)と前記第1のディスク形状要素(140)との間に摺動可能に挿入され、前記第1および第2のディスク形状要素(140、136)がそれぞれ前記遠位位置または近位位置にある場合、前記段部(132)または前記第1のディスク形状要素(140)と接触している、請求項1から4のいずれか一項に記載のヒンジ。
【請求項6】
前記第1のディスク形状要素(140)と第2のディスク形状要素(136)との間に挿入される弾性または粘弾性反作用手段(160)であって、前記第1のディスク形状要素(140)と第2のディスク形状要素(136)が前記遠位位置から近位位置移動している場合、前記第2のディスク形状要素(136)に作用する弾性または粘弾性反作用手段(160)を備える、請求項1から5のいずれか一項に記載のヒンジ。
【請求項7】
前記弾性または粘弾性反作用手段(160)が、前記第1および第2のディスク形状要素(140、136)の前記第1の作用表面(141)と第2の作用表面(138)との間に挿入されたエラストマーリングを備える、請求項6に記載のヒンジ。
【請求項8】
前記第1および第2のディスク形状要素(140、136)の前記第1および第2の作用表面(141、138)の少なくとも1つ、前記エラストマーリング用の環状シート(147)が配置されている、請求項7に記載のヒンジ。
【請求項9】
前記閉鎖要素の開放および閉鎖の両方の際に、前記作用流体が、前記第1の可変容積コンパートメント(18)と前記第2の可変容積コンパートメント(19)との間を、前記通路(150)および前記開口部(143)を通って流れる、請求項1からのいずれか一項に記載のヒンジ。
【請求項10】
前記第1および第2のディスク形状要素(140、136)の少なくとも一方が、弾性的に撓むことが可能な材料でできている、請求項1からのいずれか一項に記載のヒンジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、ヒンジを閉じるか、または制御する技術分野に関し、これは、詳細には、ドア、シャッタなどの回転可能な移動のためのヒンジに関する。
【背景技術】
【0002】
ドア、シャッタなどの閉鎖要素を開位置と閉位置との間で回転させることができるように相互に結合されたヒンジ本体およびピボットを備えるヒンジが、知られている。
【0003】
特に、作動チャンバを2つの可変容積コンパートメントに仕切るのに適した摺動可能なディスク形状の頭部を有するプランジャ要素を備える油圧式ヒンジが知られている。
【0004】
したがって、プランジャ要素の摺動を可能にするために、そのような可変容積コンパートメントを流体連通して配置するための1つまたは複数の油圧ダクトを提供する必要性が知られている。
【0005】
知られているように、そのような油圧ダクトの寸法、特に貫流開口部の寸法は、一方のコンパートメントから他方のコンパートメントに通過する液体の流れを決定し、したがって閉鎖要素の回転の制御を決定する。
【0006】
技術分野で知られているのは、流れを効率的に制御し、それによって閉鎖要素の変位を制御するのに十分小さい穴を得ることが困難なことである。
【0007】
他方では、そのような欠点を少なくとも部分的に解決するヒンジが知られている。そのようなヒンジAの例は、図1および図2に概略的に示されている。特に、そのような解決策は、2つの別個のダクトB1、B2、および作用流体が貫流する開口部を狭くするためにピンEが挿入された大きなサイズの穴Cを示す。
【0008】
したがって、そのようなヒンジは、特にヒンジの製造の簡易さおよびそのコストに関して、改善されやすい。
【発明の概要】
【0009】
本発明の目的は、高機能で安価なヒンジを提供することにより、前述の欠点を少なくとも部分的に克服することである。
本発明の別の目的は、製造が特に容易なヒンジを提供することである。
本発明の別の目的は、経時的に非常に高い耐久性を有するヒンジを提供することである。
【0010】
以下でより明らかになるこれらおよび他の目的は、本明細書に記載され、および/または特許請求され、および/または図示されるものによるヒンジによって達成される。
【0011】
本発明の有利な実施形態は、従属請求項に従って定義される。
【0012】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の図面を参照して非排他的な例として示される、本発明のいくつかの好ましいが非独占的な実施形態の詳細な説明に照らしてより明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】従来技術のヒンジAの分解図である。
図2】従来技術のヒンジAの断面図である。
図3】ヒンジ1の断面図である。
図4】ヒンジ1のいくつかの詳細の断面図である。
図5】2つの異なる実施形態によるヒンジ1のいくつかの詳細の側面図である。
図6】2つの異なる実施形態によるヒンジ1のいくつかの詳細の側面図である。
図7】異なる作用段部における図3のヒンジ1のいくつかの詳細の拡大断面図である。
図8図7をさらに拡大した図である。
図9】異なる作用段部における図3のヒンジ1のいくつかの詳細の拡大断面図である。
図10図9をさらに拡大した図である。
図11】弾性反作用手段を含むヒンジ1の異なる実施形態の側面図である。
図12】弾性反作用手段を含むヒンジ1の異なる実施形態の断面図である。
図13A】ヒンジ1のさらなる実施形態の頭部135の断面図であり、ディスク形状要素136および140が近位位置にあることを示す図である。
図13B】ヒンジ1のさらなる実施形態の頭部135の断面図であり、ディスク形状要素136および140が遠位位置にあることを示す図である。
図14図13Aのいくつかの詳細の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
前述の図を参照すると、参照符号1でその全体が示されている本発明によるヒンジは、例えば、陳列ウィンドウまたは陳列ケースのものなどのガラスドアまたはシャッタに有利に使用することができる。
【0015】
一般に、ヒンジ1は、静止支持構造体、例えばフレームSと、回転軸Xの周りに開位置と閉位置との間で回転可能に移動可能な閉鎖要素、例えばシャッタDとを回転可能に結合するのに適し得る。
【0016】
以下にフレームSおよびシャッタDを参照するが、ヒンジ1は、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、任意の静止支持構造体および任意の閉鎖要素に適用可能であることは明らかである。
【0017】
ヒンジ1は、実質的に箱状のヒンジ本体10と、回転軸Xを画定するピボット20とを適切に含むものとする。
【0018】
好ましいが非排他的な実施形態では、ヒンジ本体10は、シャッタDにアンカーで固定され、ピボット20は、例えば基部によって、フレームSにアンカー固定され得る。この場合、固定要素はピボット20を含み、可動要素はヒンジ本体10を含むことができる。
【0019】
逆もまた同様に、添付の図面に示されていない本発明の実施形態では、ヒンジ本体10は、添付の特許請求の範囲保護から逸脱することなく、フレームSにアンカー固定されることができ、一方、ピボット20は、シャッタDにアンカーで固定され得る。この場合、固定要素はヒンジ本体10を含み、一方、可動要素はピボット20を含むことができる。
【0020】
さらに、固定要素と可動要素との間に動作可能な結合が十分存在すると仮定すると、ヒンジ1は必ずしもピボット20を含む必要がないことは明らかである。
【0021】
有利には、ヒンジ本体10およびピボット20は、シャッタDの開位置と閉位置との間で軸Xの周りを回転するように相互に結合され得る。
【0022】
より具体的には、ピボット20は、軸Xと一致する軸を有する、ヒンジ本体10を通過する実質的に円筒形のシート13内に挿入され得る。
【0023】
好ましくは、ヒンジ本体10は、出願人に代わって、イタリア特許出願第102016000049176号明細書によって提供される開示に従って入手することができる。このような場合、ヒンジ本体10は、実質的に円筒形のシート13を得るために互いに結合可能な2つの部分として得られる。したがって、後者もまた2つの部分として得られる。
【0024】
好ましいが非排他的な実施形態では、ヒンジ本体10は、閉位置と、閉位置に対して反対側の少なくとも2つの開位置との間で軸Xの周りを回転するように構成され得る。換言すれば、ヒンジ1は両手利きであることができ、すなわち、それは、右に開くドアまたはシャッタ、および左に開くドアまたはシャッタに使用することができる。
【0025】
ピボット20は、軸Yに沿って摺動可能なプランジャ要素30を使用して、それに一体的に結合されたカム要素21を適切に含むことができる。
【0026】
プランジャ要素30の摺動軸Yは、軸Xに実質的に垂直であり得る。さらに、シャッタDの回転軸Xは、実質的に垂直であり得る。
【0027】
いずれの場合も、シャフト34によってシリンダ31と動作可能に結合され得るプランジャ要素30は、ヒンジ本体10内の作動チャンバ11内で、作動チャンバ11の底壁12に近位の後退エンドストローク位置と、これに対して遠位の延長エンドストローク位置との間で摺動することができる。
【0028】
そのような後退エンドストローク位置および延長エンドストローク位置は、適切に可変であることができ、必ずしもプランジャ要素30によってとられ得る最大の遠位位置および/または近位位置に対応しない。
【0029】
本発明の好ましいが非排他的な実施形態では、作動チャンバ11は、プランジャ要素30に作用する弾性反作用手段を含むことができる。
【0030】
好ましいが非排他的な実施形態では、弾性反作用手段は、それぞれ、所定の直径を有するらせんばね40からなることができる。
【0031】
構成に応じて、弾性反作用手段40は、推力手段または回復手段であり得る。
【0032】
推力弾性反作用手段の場合、その力は、プランジャ要素30が近位位置にある場合に到達する開位置または閉位置から、プランジャ要素30が遠位位置にある場合に到達する開位置または閉位置の他方に向かって、シャッタDを自動的に戻すようなものでなければならない。
【0033】
この場合、プランジャ要素30が近位位置にある場合にシャッタDが到達する位置が開いているか、または閉じているかに応じて、ヒンジ1は、開放ヒンジあるいは閉鎖ヒンジまたはドアクローザーヒンジとなる。
【0034】
回復弾性手段の場合、その力は、プランジャ要素30が近位位置にある場合に到達する開位置または閉位置から、プランジャ要素30が遠位位置にある場合に到達する開位置または閉位置の他方に向かって、シャッタDを押し出すことができないような力でなければならない。この場合、シャッタDは手動で、またはヒンジ1に対して外部アクチュエータ手段、例えばモータを使用して移動されなければならない。
【0035】
しかしながら、回復弾性手段の力は、プランジャ要素30を近位位置から遠位位置に戻すようなものでなければならない。
【0036】
そのような場合、シリンダ31が近位位置にある場合にシャッタDが到達する位置が開いているか閉じているかに応じて、ヒンジ1は、開放制御ヒンジまたは閉鎖制御ヒンジとなり得る。
【0037】
開放ヒンジまたは閉鎖ヒンジが開閉制御の目的にも使用されることは明らかであるが、しかしその反対は真実ではない。
【0038】
添付の図面が閉鎖ヒンジ1を示しているとしても、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、これが開放制御または閉鎖制御ヒンジであることができるように、ヒンジが閉鎖ヒンジまたは開放ヒンジであり得ることは明らかである。
【0039】
ピボット20のカム要素21は、シリンダ31のカム従動手段と適切に相互作用して、シリンダ31を遠位位置と近位位置との間で変位させることができる。
【0040】
カム要素21およびシリンダ31のカム従動手段は、必要に応じて異なる構成を有することができる。
【0041】
例えば、ピボット20のカム要素21は、実質的に平坦またはわずかに湾曲した形状であり得るか、またはそれは、互いに対して任意の角度を有するいくつかの作用表面を有することができる。他方では、異なる実施形態によれば、カム要素21は、作動面が互いに実質的に垂直である、実質的に平行六面体形状の作動壁として構成され得る。
【0042】
作動チャンバ11は、好ましくは、シャッタDの回転運動を油圧式に減衰させるための作用流体、例えば油を含むことができる。
【0043】
本発明の好ましいが非排他的な実施形態では、作用流体が半チャンバ15内にのみ位置するように、作動チャンバ11は、油圧シール要素35、例えば、相対的なOリングを含むリップシールによって、互いに分離された2つの半チャンバ14および15に仕切られことが可能である。
【0044】
より一般的には、油圧シール要素35は、作動チャンバ11の内径と実質的に等しいか、またはそれよりも大きい最大外径を有する実質的にディスク形状であり得る。油圧シール要素35は、作動チャンバ11の内壁と接触するように指定された、エラストマー環状周囲シール要素、例えば、Oリングを含むことができる。
【0045】
油圧シール要素35は、有利には、作動チャンバ11に摺動可能に挿入されることができ、ばね40は、油圧シール要素を作用流体に押し付けるように油圧シール要素上に作用する。
【0046】
このように、ヒンジは製造および組み立てが非常に容易である可能性がある。実際のところ、作動チャンバ11は、単一の直径を有することができ、これは、単に油圧シール要素35によって、2つの半チャンバ14および15に仕切られることが可能である。作動チャンバ11の内壁は、作用流体のヘッドに対してのみ作用することになる油圧シール要素35に当接するための要素を有さなくてもよい。
【0047】
プランジャ要素30とシリンダ31との間の結合のためのシャフト34は、油圧シール要素35を通過して、半チャンバ14および15の両方内に適切に配置され得る。
【0048】
このようにして、半チャンバ15は、油圧式半チャンバとなり得るが、一方、半チャンバ14は、油圧式減衰手段を有さない、機械的半チャンバとなり得る。ばね40は、半チャンバ14に収容され得る。より具体的には、ばね40は、油圧シール要素35とシリンダ31の当接壁31´との間に、両方と接触して挿入され得る。
【0049】
半チャンバ15は、プランジャ要素30を摺動可能に収容することができ、プランジャ要素30は、底壁12から、または底壁12まで、遠位位置と近位位置との間で摺動することができる。
【0050】
プランジャ要素30は、半チャンバ15を、互いに流体連通し、互いに隣接して配置された2つの可変容積コンパートメント(区画)18、19になるように仕切ることができる。より詳細には、作用流体は、シャッタDを開くとコンパートメント(区画)19からコンパートメント(区画)18に流れ、一方、作用流体は、シャッタDを閉じるとコンパートメント18からコンパートメント19に逆流する。
【0051】
本発明の特定の態様によれば、作用流体は、プランジャ要素30を通って流れることができる。特に、作用流体は、閉鎖要素を開く場合、および閉じる場合の両方でそれを通って流れることができる。
【0052】
好ましくは、閉鎖要素Dを開閉する際に一方から他方への流体の貫流を可能にするように、コンパートメント18、19を流体連通して配置することができる少なくとも1つの油圧ダクト60が提供され得る。
【0053】
特に、プランジャ要素30は、以下でよりよく説明されるように、油圧ダクト60を通って作用流体を流すように強制するために、例えば、Oリング38によって、作動チャンバ11にシール式に挿入され得る。
【0054】
さらに、閉位置と開位置との間のシャッタDの回転速度を調整するように、そのような油圧ダクト60に作用する調整手段62が有利に提供され得る。例えば、調整手段62は、油圧ダクト60内の流体の貫流エリアを変化させることができる。
【0055】
より具体的には、添付の図に示されるように、プランジャ要素30は、脚部131および頭部135を備えることができる。後者は、適切に、Oリング38を備えることができる。
【0056】
脚部131とシャフト34が一致し、単一の部品として得ることができるか、または前者の摺動が後者の摺動を促進するように、またはその逆になるように、それらが互いに一体的に接合され得ることは明らかである。
【0057】
頭部135は、脚部131に嵌合され、および/またはそれにねじ込まれ得る一対のディスク形状要素136、140を備えることができる。
【0058】
特に、ディスク形状要素136、140は、相互に遠位位置と相互に近位位置との間で相互に摺動可能であり得る。例えば、2つのディスクの一方は、他方に対して摺動するように移動可能であり得、またはディスク形状要素136、140の両方が、摺動可能であり得る。
【0059】
本発明の好ましいが非排他的な実施形態によれば、ディスク形状要素136は、ディスク形状要素140からの遠位位置とディスク形状要素に近位の位置との間で脚部131に沿って摺動可能であり得る。
【0060】
好ましくは、ディスク形状要素136は、脚部に摺動可能に挿入されることができ、一方、ディスク形状要素140は、脚部131と一体的に接合されて移動するように挿入され、ねじ込まれ得る。
【0061】
脚部131は、ディスク形状要素136用の当接面133を有する段部132を適切に備えることができる。したがって、後者は、段部132とディスク形状要素140との間に実質的に挿入された状態であることができる。換言すれば、ディスク形状要素136は、当接面133と最終的に当接する表面137と、ディスク形状要素140に面した状態であり得る反対側の作用表面138とを有することができる。
【0062】
したがって、ディスク形状要素140は、表面138に面する対応する作用表面141を有することができる。特に、ディスク形状要素140は、作用流体の貫流のための貫通穴142を備えることができる。そのような貫通穴142は、好ましくは、軸Yに実質的に平行であり得る。
【0063】
ディスク形状要素140はまた、貫通穴142を通って作用流体を流すように強制するために、Oリング38を備えることができる。より詳細には、Oリング38は、作動チャンバ11と協働して、貫通穴142を通って作用流体を流すように強制することができる。換言すれば、油圧ダクト60は、そのような貫通穴142を備えることができる。
【0064】
作用表面141は、ディスク形状要素136の作用表面138に実質的に面した状態であり得る貫通穴142と流体的に連通された開口部143を適切に備えることができる。
【0065】
したがって、ディスク形状要素136、140が近位位置にある場合、作用表面141と138との間の空間が作用流体のための較正された通路150を画定するように、作用表面141、138は、相互に向き合うことができる。
【0066】
したがって、特に、油圧ダクト60は、較正された通路150および貫通開口部143を備えることができる。
【0067】
図5および図6に概略的に示されるように、作用表面141は、異なる高さを有する当接エリア145および作動エリア146を備えることができ、その結果、作用表面141が少なくとも部分的に作用表面138と接触する場合、すなわち、ディスク形状要素136、140が近位位置にある場合、作用表面141と138との間に、較正された通路150を画定する成形された空間が形成される。
【0068】
表面138は実質的に平坦であり、同時に作用表面141は成形を画定するエリア145、146を有することができるが、作用表面138が成形され、同時に作用表面141が実質的に平坦であることができ、または作用表面138、141の両方が成形されることができることは明らかである。
【0069】
いずれの場合でも、ディスク形状要素136、140が近位位置にある場合、作動エリア146および作用表面138は相互に離間されることができ、一方、当接エリア145および作用表面138は相互に当接している。
【0070】
例えば図6に示される本発明の実施形態によれば、エリア145、146は、作用流体を所定の経路に沿うように強制するために成形され得る。このように、頭部損失は特に高くなる可能性がある。
【0071】
ディスク形状要素136、140が近位位置にある場合でさえ、流体の貫流を可能にするために、開口部143が作動エリア146と流体的に連結され得ることは明らかである。例えば、開口部143は、作動エリア146に少なくとも部分的に配置され得る。
【0072】
他方では、本発明の異なる好ましいが非排他的な実施形態によれば、作用表面141は、作用表面138と接触しやすい当接エリア145、およびディスク形状要素136、140が近位位置にある場合でさえ、作用表面138から離間された状態になりやすい作動エリア146を画定するために、環状リリーフ(凸部)144を備えることができる。
【0073】
換言すれば、作用表面141は、以下でよりよく説明されるように、したがって所定の高さを有することができるノッチを有し得る。
【0074】
プランジャ要素30が、後退エンドストローク位置から延長エンドストローク位置に通過する場合、ディスク形状要素136、140は遠位位置にあることができ、一方、プランジャ要素30が、延長エンドストローク位置から後退エンドストローク位置に通過する場合、ディスク形状要素136、140は近位位置にあることができる。
【0075】
より具体的には、プランジャ要素30が後退エンドストローク位置から延長エンドストローク位置に移動する場合、コンパートメント18は圧縮されることができ、そこに含まれる流体は、ディスク形状要素136が遠位位置から近位位置へ摺動することを促進する可能性がある。他方では、プランジャ要素30が延長エンドストローク位置から後退エンドストローク位置に移動する場合、コンパートメント19は圧縮されることができ、そこに含まれる流体はディスク形状要素136、140が近位位置から遠位位置へ摺動することを促進する可能性がある。
【0076】
いずれの場合でも、流体は、コンパートメント18と19との間を油圧ダクト60を通って流れることができる。穴142を備える1つだけの油圧ダクト60がおそらく提供され得る。
【0077】
添付の図に概略的に示されているように、開口部143は、その少なくとも一部が作動エリア146と流体連通して配置されるように、環状リリーフ(凸部)144に適切に配置され得る。
【0078】
このようにして、作用表面138が当接エリア145と接触している場合でさえ、作用表面138は、開口部143を通ってコンパートメント19からコンパートメント18に向かって流体の貫流を可能にするように、作動エリア146から離間され得る。
【0079】
換言すれば、作動エリア146は、閉鎖要素Dを開く場合および閉じる場合の両方で、作用流体の流れによって影響を受ける可能性がある。
【0080】
ディスク形状要素136、140が近位位置にある場合、油圧ダクト60は最小の貫流エリアを有することができ、一方、ディスク形状要素136、140が遠位位置にある場合、油圧ダクト60は最大の貫流エリアを有することができる。
【0081】
ディスク形状要素136のストロークの長さが、作用表面138と141との間の最大距離、したがって油圧ダクト60の最大貫流エリアを決定することができるが、上記のように、一旦作用表面138および141が、油圧ダクト60と接触すれば、それは最小の貫流エリアを有することができる。
【0082】
油圧ダクト60の「貫流エリア」という表現は、コンパートメント18と19との間の油圧ダクト60上で考慮される作用流体の最小値での貫流のためのエリアを示すために使用されることは明らかである。例えば、狭窄部の近くである。
【0083】
例えば、貫流エリアは、開口部143で決定されることができ、したがって、それは、それぞれのディスク形状要素136、140の作用表面138と作動エリア146との間の距離d1、d2によって与えられ得る。
【0084】
特に、貫流エリアは、ディスク形状要素136、140の遠位位置で最小であることができ、そしてそれは、較正された通路150に対応し得るその近位位置で最小であることができる。
【0085】
したがって、ディスク形状要素136、140は、油圧ダクト60の調整手段62として適切に作用することができ、その接近または離れる移動は、油圧ダクト60の貫流エリア、したがって較正された通路150の断面の変化を促進することができる。
【0086】
リリーフ144は、特に高い作用精度で、単純かつ迅速な方法で有利に得ることができる。
【0087】
より詳細には、ディスク形状要素136、140が遠位位置にある場合(図7および8)、作用表面138および作動エリア146は、最大貫流エリアを画定する距離d1だけ離間され得るが、ディスク形状要素136、140が近位位置にある場合(図9および10)、作用表面138および当接エリア145は接触することができ、一方、作用表面138および作動エリア146は、最小貫流エリア、したがって較正された通路150の最小区分を画定する距離d2によって離間され得る。
【0088】
例えば、当接エリア145と作動エリア146との間の距離、すなわち距離d2は、1mmより小さくすることができる。
【0089】
このようにして、ディスク形状要素136、140が近位位置にある場合の流体の貫流エリアは、閉鎖要素Dの回転運動の減衰が特に効果的であるように、特に小さくすることができる。したがって、この特性は、閉鎖要素Dの開閉を効果的に制御することを可能にし得る。
【0090】
漸進的に減衰する作用を有することを目的として、ディスク形状要素136と140との間に、後者に作用する弾性または粘弾性の反作用手段160が適切に提供され得る。例えば、そのような弾性または粘弾性手段160は、遠位位置から近位位置へのディスク形状要素136、140の通過に対抗することができる。換言すれば、ディスク形状要素136、140の摺動を減衰させるための作用があり得る。
【0091】
弾性または粘弾性手段160は、ディスク形状要素136、140が近位位置に到達することを可能にするように構成され得ることは明らかである。
【0092】
例えば、それぞれディスク形状要素136の作用表面138と、ディスク形状要素140の作用表面141との間に挿入されたエラストマーリング160が提供され得る。
【0093】
特定の実施形態によれば、作用表面141は、エラストマーリング160のための環状シート147を備えることができる。
【0094】
図1図12に示される実施形態では、ディスク形状要素136、140は、剛性材料、例えば金属材料で作製され得る。
【0095】
他方では、図13A図14に示される実施形態では、ディスク形状要素136、140の少なくとも1つは、弾性的に降伏可能な材料、例えばエラストマーでできていることが可能である。このようにして、そのような材料の弾性応答は、一般にヒンジ1の最適な挙動を保証することに加えて、作動チャンバ内で起こり得る圧力不足を補償することができる。
【0096】
上記に照らして、本発明によるヒンジが事前に設定された目的を達成することは明らかである。
【0097】
本発明によるヒンジは、添付の特許請求の範囲に概説されている本発明の新規な概念にすべて含まれる多数の修正形態および変形形態の影響を受けやすい。すべての詳細は、他の技術的に均等な要素で置き換えることができ、材料は、本発明の保護の範囲から逸脱することなく、技術的要求に応じて異なることができる。
【0098】
ヒンジは添付の図を参照して説明されているが、説明および特許請求の範囲で使用される参照番号は、本発明の了解度を改善することを意図しており、したがって、いかなる方法でも請求された保護の特許請求の範囲を制限しない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13A
図13B
図14