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特許7410136布地接着のためのノズル及びアプリケータシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】布地接着のためのノズル及びアプリケータシステム
(51)【国際特許分類】
   B05D 1/26 20060101AFI20231226BHJP
   B05C 5/00 20060101ALI20231226BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20231226BHJP
   B05D 3/00 20060101ALI20231226BHJP
   B05D 7/00 20060101ALI20231226BHJP
   B05D 7/24 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
B05D1/26 Z
B05C5/00 101
B05C11/10
B05D3/00 B
B05D7/00 G
B05D7/24 301P
【請求項の数】 26
(21)【出願番号】P 2021516635
(86)(22)【出願日】2019-09-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-12
(86)【国際出願番号】 US2019049420
(87)【国際公開番号】W WO2020068381
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2022-08-30
(31)【優先権主張番号】62/735,799
(32)【優先日】2018-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391019120
【氏名又は名称】ノードソン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】NORDSON CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100101498
【弁理士】
【氏名又は名称】越智 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100107401
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 誠一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100120064
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 孝夫
(74)【代理人】
【識別番号】100182257
【弁理士】
【氏名又は名称】川内 英主
(74)【代理人】
【識別番号】100202119
【弁理士】
【氏名又は名称】岩附 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】チォウ,ツォンクアン
【審査官】鏡 宣宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-167844(JP,A)
【文献】国際公開第2015/137271(WO,A1)
【文献】特開2002-126596(JP,A)
【文献】特表2013-517124(JP,A)
【文献】特開2014-058757(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0095825(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05D 1/00-7/26
B05C 1/00-21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
布地を接着剤で接着する方法であって、
ノズル組立体の本体の室の下端部で前記本体に配置された弁座と、前記弁座に向かって及び前記弁座から離れるように前記室内で摺動可能に移動するように構成された弁棒と、それぞれ前記弁座に隣接して前記ノズル組立体の前記本体に配設されて前記室から直接に前記接着剤の個別の一部を受け取るように構成された複数の出口流路と、を有する前記ノズル組立体の前記本体の前記室内へ、接着剤供給部から前記接着剤を受け取ることと、
前記弁棒を前記弁座に向かって移動させて前記複数の出口流路に隣接する前記弁座に前記弁棒を衝突させることによって、前記室と前記複数の出口流路の各々との間を流体密に封止し、前記接着剤の個別の一部の各々が前記室から前記複数の出口流路の各々に供給され、前記弁棒と前記弁座との間の衝突の運動量によって前記接着剤の別個の体積量が前記室から前記複数の出口流路を通して強制的に排出されるように、前記複数の出口流路から第1の布地上に前記接着剤を噴射することと、
第2の布地を前記第1の布地に当てて、前記第1の布地と前記第2の布地とを互いに接着させることと、
を含む方法。
【請求項2】
前記複数の出口流路の各々は、前記弁座に直に隣接して前記ノズル組立体の前記本体に配設されて前記室から直に前記接着剤の別個の一部を受け取るように構成されており、
前記接着剤を噴射することは、前記弁棒を前記弁座に向かって移動させることと、前記弁棒を前記複数の出口流路に直に隣接した前記弁座上に衝突させ、その結果、前記接着剤の別個の体積量が、前記弁棒と前記弁座との間の前記衝突の運動量により、前記室から直に前記複数の出口流路を通して強制的に排出されることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記複数の出口流路の各々は、前記ノズル組立体の前記本体の弧状端部に均一に配置され、前記ノズル組立体の前記本体の前記弧状端部の中心に向かう中心線を有する、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記複数の出口流路は、3つ又は4つ以上の出口流路を含んでいる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記接着剤を噴射することは、前記複数の出口流路の各々を通して実質的に等しい量の前記接着剤を噴射することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の布地及び前記第2の布地は、両方とも単一の一体の布地片の一部であり、前記第2の布地を前記第1の布地に当てることは、前記単一の一体の布地片を折り畳むことを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の布地は、前記第2の布地から分離している、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記接着剤を噴射することは、3つの出口流路を通して前記第1の布地上に前記接着剤を噴射することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記接着剤を噴射することは、2つの出口流路を通して前記第1の布地上に前記接着剤を噴射することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の布地上に噴射された前記接着剤が第1のパターンを形成するように、前記ノズル組立体を第1の構成で配向して前記接着剤を前記複数の出口流路から前記第1の布地上に噴射することと、
前記第1の布地上に噴射された前記接着剤が前記第1のパターンとは異なる第2のパターンを形成するように、前記ノズル組立体を前記第1の構成とは異なる第2の構成で配向して前記接着剤を前記複数の出口流路から前記第1の布地上に噴射することと、を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
布地を接着するために接着剤を噴射するためのノズル組立体であって、
入口と出口との間の内部に、前記入口を通して前記接着剤を受け取り、前記接着剤が前記出口を通って出ることを可能にするように構成されている室を画定する本体と、
前記出口に隣接して前記室の下端部で前記ノズル組立体の前記本体に配設された弁座と、
前記室内で、前記弁座に向かって及び前記弁座から離れるように摺動可能に移動し、かつ前記弁座に接触するように構成された弁棒と、
前記室の前記出口と流体連通している複数の出口流路であって、前記複数の出口流路の各々が、前記弁座に隣接して前記ノズル組立体の前記本体に配設されて前記室から直接に前記接着剤の別個の一部を受け取るように構成されている、複数の出口流路と、を備え、
前記弁棒は、前記複数の出口流路に隣接した前記弁座に衝突し、その結果、前記室と前記複数の出口流路の各々との間を流体密に封止し、前記接着剤の個別の一部の各々が前記室から前記複数の出口流路の各々に供給され、前記接着剤の別個の体積量が前記弁棒と前記弁座との間の前記衝突の運動量によって前記室から前記複数の出口流路を通して布地上へ強制的に排出されるように、構成されている、ノズル組立体。
【請求項12】
前記弁棒が前記弁座に向かって移動されるとき、前記室内の前記接着剤は、前記出口に向かい前記出口を通って移動される、請求項11に記載のノズル組立体。
【請求項13】
前記複数の出口流路の各々は、前記室から実質的に等しい量の前記接着剤を受け取るように構成されている、請求項11に記載のノズル組立体。
【請求項14】
前記弁棒が前記弁座と接触しているときに、前記接着剤が前記出口を通って前記室から出るのを防止するための、前記弁棒と前記弁座との間の流体密シールを更に備える、請求項11に記載のノズル組立体。
【請求項15】
前記複数の出口流路は、前記複数の出口流路のうちの少なくとも一部が異なる方向に面するように、互いに対して外広がりにされている、請求項11に記載のノズル組立体。
【請求項16】
前記複数の出口流路が、3つの出口流路を含む、請求項11に記載のノズル組立体。
【請求項17】
前記複数の出口流路が、2つの出口流路を含む、請求項11に記載のノズル組立体。
【請求項18】
前記複数の出口流路の各々は、前記弁座に直に隣接して前記ノズル組立体の前記本体に配設されて前記室から直に前記接着剤の個別の一部を受け取るように構成されており、
前記弁棒は、前記複数の出口流路に直に隣接した前記弁座に衝突し、その結果、前記接着剤の別個の体積量が前記弁棒と前記弁座との間の前記衝突の前記運動量によって前記室から直に前記複数の出口流路を通して前記布地上へ強制的に排出されるように、構成されている、請求項11に記載のノズル組立体。
【請求項19】
前記複数の出口流路の各々は、前記ノズル組立体の前記本体の弧状端部に均一に配置され、前記ノズル組立体の前記本体の前記弧状端部の中心に向かう中心線を有する、請求項18に記載のノズル組立体。
【請求項20】
前記複数の出口流路は、3つ又は4つ以上の出口流路を含んでいる、請求項19に記載のノズル組立体。
【請求項21】
布地上に接着剤を噴射するためのアプリケータシステムであって、
前記接着剤を収容するための材料供給部と、
前記材料供給部から前記接着剤を受け取り、前記布地上に前記接着剤を噴射するように構成されたノズル組立体であって、
入口と出口との間の内部に、前記入口を通して前記接着剤を受け取り、前記接着剤が前記出口を通って出ることを可能にするように構成されている室を画定する本体と、
前記出口に隣接して前記室の下端部で前記ノズル組立体の前記本体に配設された弁座と、
前記室内で、前記弁座に向かって及び前記弁座から離れるように摺動可能に移動し、かつ前記弁座に接触するように構成された弁棒と、
前記室の前記出口と流体連通している複数の出口流路であって、前記複数の出口流路の各々が、前記弁座に隣接して前記ノズル組立体の前記本体に配設されて前記室から直接に前記接着剤の個別の一部を受け取るように構成されている、複数の出口流路と、を備える、ノズル組立体と、を備え、
前記弁棒は、前記複数の出口流路に隣接した前記弁座に衝突し、その結果、前記室と前記複数の出口流路の各々との間を流体密に封止し、前記接着剤の個別の一部の各々が前記室から前記複数の出口流路の各々に直接に供給され、前記接着剤の別個の体積量が前記弁棒と前記弁座との間の前記衝突の運動量によって前記室から前記複数の出口流路を通して前記布地上へ強制的に排出されるように構成されている、アプリケータシステム。
【請求項22】
前記材料供給部は、前記材料供給部内の前記接着剤を加熱するように構成された加熱要素を更に含む、請求項21に記載のアプリケータシステム。
【請求項23】
前記ノズル組立体は、前記布地に対して6自由度で配向されるように構成されている、請求項21に記載のアプリケータシステム。
【請求項24】
前記複数の出口流路の各々は、前記弁座に直に隣接して前記ノズル組立体の前記本体に配設されて前記室から直に前記接着剤の個別の一部を受け取るように構成されており、
前記弁棒は、前記複数の出口流路に直に隣接した前記弁座に衝突し、その結果、前記接着剤の別個の体積量が前記弁棒と前記弁座との間の前記衝突の前記運動量によって前記室から直に前記複数の出口流路を通して前記布地上へ強制的に排出されるように、構成されている、請求項17に記載のアプリケータシステム。
【請求項25】
前記複数の出口流路の各々は、前記ノズル組立体の前記本体の弧状端部に均一に配置され、前記ノズル組立体の前記本体の前記弧状端部の中心に向かう中心線を有する、請求項24に記載のアプリケータシステム。
【請求項26】
前記複数の出口流路は、3つ又は4つ以上の出口流路を含んでいる、請求項25に記載のアプリケータシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2018年9月24日に出願された、米国特許仮出願第62/735,799号の利益を主張するものであり、その開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(発明の分野)
本開示は、概して、基材に材料を塗布するためのアプリケータシステムに関し、より具体的には、材料を布地に塗布するためのアプリケータシステムで使用するためのノズル組立体に関する。
【背景技術】
【0003】
衣料品製造分野では、アプリケータシステムは、布地片又は布片を互いに結合するために、ポリウレタン(PUR)グルーなどの材料を、布地又は布に塗布するために一般に使用されている。布地片を互いに接着するとき、高い精度及び精密さで少量の材料を噴霧する能力を有するアプリケータシステムが必要とされる。例えば、布地に塗布される材料の所望の細長い一片の幅は、幅が8mm未満及び高さが0.2mm未満の要件を有する場合がある。多くの既存のアプリケータシステムでは、材料は、低レベルの精度及び精密さで噴霧され、これは過剰な量の材料の噴霧をもたらし得る。
【0004】
加えて、アプリケータシステムは、分注される材料の所望のパターンを作り出すように調整することが困難である。しばしば、十分な接着を作り出すために十分な材料が布地に塗布されない。より多くの材料が所望される場合、別々の塗布プロセスが実行され、その結果、製造時間が長くなり、機械の摩耗が増加し、コストが増加する。
【0005】
したがって、過剰な塗布時間を必要とせずに、所望のパターン及び量で材料を正確に噴射するように調整することができるアプリケータシステムが必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
前述の必要性は、開示されるアプリケータシステム及びノズル組立体の様々な実施形態によって満たされる。一実施形態によれば、接着剤を用いて布地を接着する方法は、接着剤供給部からノズル組立体内に接着剤を受け取ることを含む。ノズル組立体は、弁座と、弁座に向かって及び弁座から離れるように摺動可能に移動するように構成された弁棒と、複数の出口流路と、を有する。本方法は、複数の出口流路から第1の布地上に接着剤を噴射することと、第2の布地を第1の布地に当てて、第1及び第2の布地を互いに接着させることと、を更に含む。
【0007】
別の実施形態によれば、布地を接着するために接着剤を噴射するためのノズル組立体は、入口と出口との間の内部に室を画定する本体を含む。室は、入口を通して接着剤を受け取り、接着剤が出口を通って出ることを可能にするように構成されている。ノズル組立体は、出口に隣接して配設された弁座と、弁座に向かって及び弁座から離れるように室内で摺動可能に移動し、かつ弁座に接触するように構成された弁棒と、室の出口と流体連通している複数の出口流路と、を更に含む。複数の出口流路の各々は、室から接着剤を受け取るように構成されている。弁棒は、弁座に衝突し、その結果、接着剤の別個の体積量が、弁棒と弁座との間の衝突の運動量により、複数の出口流路から布地上へと強制的に排出されるように構成されている。
【0008】
別の実施形態によれば、布地上に接着剤を噴射するためのアプリケータシステムは、接着剤を収容するための材料供給部と、材料供給部に流体接続されたポンプと、ポンプの動作を制御するための弁と、ポンプから接着剤を受け取り、布地上に接着剤を噴射するように構成されたノズル組立体と、を含む。ノズル組立体は、入口と出口との間の内部に室を画定する本体を含み、室は、入口を通して接着剤を受け取り、接着剤が出口を通って出ることを可能にするように構成されている。ノズル組立体は、出口に隣接して配設された弁座と、弁座に向かって及び弁座から離れるように室内で摺動可能に移動し、かつ弁座に接触するように構成された弁棒と、室の出口と流体連通している複数の出口流路と、を更に含む。複数の出口流路の各々は、室から接着剤を受け取るように構成されている。弁棒は、弁座に衝突し、その結果、接着剤の別個の体積量が、弁棒と弁座との間の衝突の運動量により、複数の出口流路から布地上へと強制的に排出されるように構成されている。
【0009】
前述の「発明の概要」及び本出願の例示的実施形態についての以下の「発明を実施するための形態」は、添付の図面と併せて読むと、よりよく理解されるであろう。本出願を例示するために、本開示の例示的実施形態が図面において示されている。しかしながら、本願は、図示されている正確な配置及び手段に制限されるものではないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の一実施形態による、アプリケータシステムの等角投影図である。
図2図1のアプリケータの断面図である。
図3図1及び図2のアプリケータシステムの別の断面図である。
図4】本開示の一実施形態による、アプリケータシステムの一部の断面図である。
図5】別の実施形態による、ノズルを有するアプリケータシステムの一部の等角投影図である。
図6図5のアプリケータシステムのノズルの拡大斜視図である。
図7】一実施形態による、ノズルの断面図である。
図8】一実施形態による、分注された材料を有する基材の上面斜視図である。
図9】別の実施形態による、ノズルの拡大斜視図である。
図10】更に別の実施形態による、ノズルの拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の態様は、特に指定しない限り、図面を参照して詳細に説明され、同様の参照番号は、特に指定されない限り、全体にわたって同様の要素を指す。
【0012】
本明細書に記載されているのは、基材上に材料を噴霧するためのアプリケータシステム10及び関連するノズル組立体100である。特定の用語は、以下の説明において便宜のためにのみアプリケータシステム10を記載するのに使用されており、限定を意図するものではない。「右」、「左」、「下方」、及び「上方」という用語は、参照される図面内での方向を示す。「内側」及び「外側」という語は、アプリケータシステム10及びその関連部分を記載する説明の幾何学的中心に向かう、及びそこから離れる方向をそれぞれ指す。「前方」及び「後方」という語は、アプリケータシステム10及びその関連部分に沿って、長手方向2の方向及び長手方向2の反対の方向を指す。用語は、上に挙げた語、その派生語、及び類似の意味の語を含む。
【0013】
本明細書において別途記載のない限り、「水平(の)」、「横(の)」及び「垂直(の)」という用語は、長手方向2、横方向4、及び垂直方向6によって指定されるように、アプリケータシステム10の様々な構成要素の直交方向成分を記述するために使用される。長手方向2及び横方向4は水平面に沿って延在するものとして図示され、垂直方向6は水平面に垂直な方向に延在するが、様々な方向を包含する平面は、使用中に異なる場合があることを理解されたい。
【0014】
図1図4を参照すると、アプリケータシステム10は、供給する材料を収容するための材料供給部12を含む。材料は、予めパッケージ化された注入器(図示せず)内の材料供給部12によって受容されてもよく、材料供給部12内に画定されたリザーバ内に直接充填されてもよく、又はアプリケータシステム10から離間された外部供給部(図示せず)から材料供給部12へ圧送されてもよい。いくつかの実施形態では、材料は、ポリウレタン(PUR)グルーなどのグルーであってもよいが、他の材料も想到される。材料供給部12は、材料供給部12内に留まる間、材料を昇温状態に溶融及び/又は維持するように構成することができる。いくつかの実施形態では、材料供給部12は、最大300立方センチメートル(cc)の材料を保持するように設計することができるが、材料供給部12は、必要に応じてより大きく又はより小さくすることができる。材料供給部12は、材料供給部12内で材料に熱を供給するように、又は代替的に、材料供給部12内で所望の温度を維持するように、加熱要素(図示せず)を含むことができる。これは、材料が分注されているときに冷却することを防止し、したがって所望の材料流動特性を保持する。いくつかの実施形態では、アプリケータシステム10は、上記の加熱要素とは異なる温度で材料(例えば接着剤)を維持するように構成された第2の加熱要素(図示せず)を含んでもよい。
【0015】
アプリケータシステム10は、また、材料供給部12に流体接続されたポンプ16を含む。ポンプ16は、上部構成要素32aと、上部構成要素32aに取り付けられ、かつ上部構成要素32aの下に位置付けられた中間構成要素32bと、を備える本体31を含むことができる。ポンプ16は、代替的に、一体になっている本体を画定するか、又は任意の他の数の構成要素を有することができることが理解されるであろう。
【0016】
ポンプ16の本体31は、上方室36及び下方室38が本体31内に画定されるように、実質的に中空の本体を画定する。シールパック40が、本体31内に位置付けされ、本体31の内部を上方室36と下方室38とに分割する。
【0017】
ノズル100は、本体31に取り外し可能に結合され、例えば、中間構成要素32bの下に位置付けられ得る。ノズル100は、各々異なるパターンを噴射するように構成された複数のノズル100から選択することができる。代替の実施形態では、ノズル100は、一体になっている本体31の一部であることができる。下方室38は、ノズル100内に配設され得る。弁座104は、下方室38の下端部に配設され、ノズル100によって画定される。複数の出口流路108は、弁座104に隣接して配設され、ノズル100を通って延在する。複数の出口流路108は、下方室38と流体連通している。
【0018】
ポンプ16は、また、本体31内に位置付けられた撃針48を含む。撃針48は、上端部48aと、上端部48aから垂直方向6に沿って延在する弁棒48bとを画定する。上端部48aは、上方室36内に位置付けられ、一方、弁棒48bは、上端部48aから上方室36を通って、シールパック40を通って、下方室38内へと延在する。
【0019】
動作中、撃針48は、後退位置と延在位置との間で本体31内で往復運動するように構成される。この往復運動は、第1及び第2の空気経路52a、52bを通って上方室36内に流入する加圧空気によって引き起こすことができる。第1及び第2の空気経路52a、52bの各々は、コネクタ24を通じてポンプ16に接続されている弁20から加圧空気を受け取ることができる。弁20は、空気圧弁、電子弁、又は必要に応じて任意の他の種類の弁であり得る。撃針48の上端部48aは、上方室36を第1の部分36aと第2の部分36bとに分割し、第1の部分36aは、第1の空気経路52aから加圧空気を受け取ることができ、第2の部分36bは、第2の空気経路52bから加圧空気を受け取ることができる。加圧空気が、第1の空気経路52aを通って上方室36の第1の部分36a内に流れるとき、撃針48は、垂直方向6に沿って延在位置へと下方に駆動される。対照的に、加圧空気が、第2の空気経路52bを通って上方室36の第2の部分36b内に流れるとき、撃針48は、垂直方向6に沿って後退位置へと上方に駆動される。
【0020】
引き続き図1図4を参照すると、ポンプ16は、ノズル100の外面と中間構成要素32bの内面との間に画定された円周室54を含む。円周室54は、材料供給部12に流体接続されており、そのため、円周室54は、材料供給部12から材料を受容し、材料が、円周室54を通って、ノズル100内に画定された径方向孔56に流れることを可能にするように構成される。次いで、材料は、径方向孔56を通って下方室38に流れることができる。いくつかの実施形態では、径方向孔56は、ノズル100の周りに等間隔で円周方向に離間された4つの径方向孔を備える。しかしながら、径方向孔56は、より多い又は少ない孔、並びに等間隔でない孔を備え得ることが企図される。
【0021】
撃針48が後退位置にあるとき、弁棒48bは、ノズル100によって画定される弁座104から離間している。この位置では、材料は、円周室54を通って、径方向孔56を通って、下方室38内に流れる。次いで、撃針48が延在位置に移行されるとき、撃針48の弁棒48bは、垂直方向6に沿って、下方室38を通って弁座104に向かって急速に下方に移動する。この移行中、撃針48は、下方室38内の材料のある量を出口流路108を通して流出させる。延在位置にあるとき、弁棒48bの下端部は、弁座104と接触して下方室38と出口流路108の各々との間を流体密に封止し得、又は弁座104のわずかに上に位置付けされ得る。
【0022】
撃針48が、後退位置から延在位置へ垂直方向6に沿って移行するとき、撃針48は、ストローク長さと称され得る距離を進む。必要とされるストローク長さは、分注動作、分注される材料の種類、経時的な内部部品の摩耗、その他によって変わり得る。結果として、ストローク長さは、本体31の上部構成要素32aを通って上方室36の第1の部分36a内へ延在する制限ロッド44を使用して調整することができる。撃針48が後退位置にあるとき、上端部48aは、制限ロッド44の下端部と接触することができ、それにより、制限ロッド44は、撃針48が後退位置でどれだけ上方に移動するかを制御する。制限ロッド44は、上部構成要素32aにねじ方式で係合することができ、それにより、上部構成要素32aに対する制限ロッド44の回転が、制限ロッド44を上方室36の更に中へ又は外へ移動させ、こうして、後退位置にある撃針48の最大上方位置、及び同様にストローク長さを変更する。
【0023】
図4図7を参照すると、ノズル100は、3つの出口流路108を含んでもよいが、ノズル100は、別の好適な数の出口流路108、例えば、1つ、2つ、4つ、5つ、又は6つの出口流路を含んでもよいことが理解されるであろう。例えば、図9及び図10に描かれる例示的な実施形態は、それぞれ、1つの出口流路108及び2つの出口流路108を有する好適なノズル100を示す。出口流路108の各々は、垂直方向6から0°~90°の角度で配設され得る。いくつかの実施形態では、出口流路108のいくつか又は全ては、他の出口流路108のうちの1つ以上に平行であってもよく、垂直方向6に沿って配設されてもよい。出口流路108の各々の特定の角度は、弁座104の寸法及び/又は形状、弁棒48bの寸法及び/又は形状、分注される材料に、出口流路108の各々から分注される液滴間の所望の距離に、又は他の製造要件及び/又は好みに依存し得る。
【0024】
撃針48が後退位置から延在位置へと移行し、次いで延在位置から後退位置に戻るとき、これをストロークと呼ぶことができる。各ストロークで、ノズル100の下方室38内の材料は、出口流路108を通って移動される。撃針48は、撃針48の弁棒48bと弁座104との間の衝突(衝撃)の運動量により、材料の別個の体積量がノズルから基材200に向かって強制的に排出(すなわち噴射)されるように、弁座104に衝突する(衝撃を与える)ように構成されている。噴射は、押出又は他の種類の材料分注とは対照的であり、液体材料は、一般に接着剤の「ビード」と呼ばれる連続的な細長いフィラメントとして分注される。液滴は、液体材料の押出中に弁を急速に開閉することによって、又は空気を使用して押出されたビードが分注されるときに崩壊させることによって形成され得るが、これらのプロセスは、撃針48が弁座104を打つときに別個の液体質量が高速でディスペンサから直接急速に排出される噴射プロセスとは明確に異なる。液体材料(例えば接着剤)は、低圧で下方室38内に受容され、より高い圧力で下方室38から噴射される。高圧は、弁棒48bが弁座104に向かって移動する際に発生する。弁棒48bが弁座104に衝突するとき、液体材料の一部(液滴又はドットの形態の)は、ノズル組立体100から離れることができる。そのようにして、いくつかの実施形態では、噴射された材料は、それが基材200に接触する前にノズル組立体100から分離され得る。
【0025】
複数の出口流路108を設けることによって、単一のストロークは、ノズル100から基材200上への複数の液滴の分注をもたらすことができる。ストローク長さ、下方室38内に存在する材料の量、及び出口流路108の数並びに寸法は、全て、所望の分注を達成するために修正することができるパラメータであることが理解されるであろう。
【0026】
図4図7の例示的な実施形態では、3つの出口流路108がノズル100内に描かれている。撃針48の各ストロークで、3つの別個の液滴がノズル100から基材200上に噴射される(図8を参照)。これにより、より多くの材料を同時に分注することが可能になり、製造時間及び関連コストの低減がもたらされる。出口流路108の数及び配置は、所望の使用に基づいて調整することができ、これにより、各分注デバイス及びノズル100に汎用性が付加される。
【0027】
基材200上に分注される隣接する液滴間の距離は、出口流路108間の距離及び垂直方向6に対する各出口流路108の角度によって制御することができる。代替的に、又は付加的に、分注される液滴間の距離は、ノズル100を基材200の近くに又は基材200から遠くに移動させることによって変えることができる。図7に描かれるようないくつかの実施形態では、第1の出口流路108aは、垂直方向6に沿って配設され、第2の出口流路108bは、負の水平方向4において垂直方向6から0°~90°の角度で配設され、第3の出口流路108cは、負の水平方向と反対の正の水平方向4において垂直方向6から0°~90°の角度で配設される。この図示の実施形態では、出口流路108a、108b及び108cから分注される3つの液滴の各々の間の基材200上の距離は、基材200からのノズル100の距離と正に相関する。
【0028】
ノズル100上の出口流路108の特定の配置もまた、基材200上の分注パターンを決定することができる。所望のパターンは、特定の基材、用途、分注される材料、及び他の製造パラメータに依存し、この明細書は、任意の特定の分注パターンに限定されないことが理解されるであろう。アプリケータシステム10は、アプリケータシステム10及び/又はノズル100を2、4、又は6度の動きで移動させるように構成された移動機構を含み得る。
【0029】
いくつかの実施形態では、アプリケータシステム10は、布地材料を接着するために使用することができる。例えば、アプリケータシステム10は、ポリウレタン(PUR)グルーなどの接着材料の複数の液滴を布地基材上に分注してもよく、布地基材は、次いで、それの異なる部分又は別個の布地材料を受けて接着するように構成される。複数の布地を接着することによって、縫い合わせの有無にかかわらず衣料品を組み立てることができる。
【0030】
様々な図の様々な実施形態に関連してシステム及び方法が説明されてきたが、当業者は、その広範な発明概念から逸脱することなく実施形態に変更を行うことができることが理解されるであろう。したがって、本開示は、開示された特定の実施形態に限定されず、特許請求の範囲によって定義される本開示の趣旨及び範囲内の修正を網羅することを意図していることが理解される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10