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特許7410140向上させられたヘッドフォーム衝撃性能を示す強化ガラス物品および同強化ガラス物品を組み込んだ自動車内装システム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】向上させられたヘッドフォーム衝撃性能を示す強化ガラス物品および同強化ガラス物品を組み込んだ自動車内装システム
(51)【国際特許分類】
   C03C 21/00 20060101AFI20231226BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20231226BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20231226BHJP
   B60K 35/00 20240101ALI20231226BHJP
【FI】
C03C21/00 101
G09F9/00 366A
G09F9/30 308A
G09F9/00 302
G09F9/00 313
B60K35/00 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2021521042
(86)(22)【出願日】2019-10-18
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-01
(86)【国際出願番号】 US2019056933
(87)【国際公開番号】W WO2020081932
(87)【国際公開日】2020-04-23
【審査請求日】2021-07-02
(31)【優先権主張番号】62/747,361
(32)【優先日】2018-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/788,327
(32)【優先日】2019-01-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100123652
【弁理士】
【氏名又は名称】坂野 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】ブラック,マシュー リー
(72)【発明者】
【氏名】グロス,ティモシー マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ラヨーニ,カレド
【審査官】山本 吾一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/021930(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0105461(US,A1)
【文献】特表2017-515779(JP,A)
【文献】国際公開第2018/186402(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/010050(WO,A1)
【文献】特開2015-178454(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C
G09F
G09F
B60K
B60J
B32B
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス物品であって、
第1の主面、前記第1の主面と反対側の第2の主面、厚さ(t)(mm)を規定する前記第1の主面と前記第2の主面とを接続する副面を備え、
前記第1の主面が凹形状を有し前記第2の主面が凸形状を有するよう、前記ガラス物品が湾曲に構成されており、前記ガラス物品が第の応力分布を有しており、
前記第の応力分布が、
前記第1の主面から圧縮応力の第1の深さ(DOC)まで延びるとともに、800MPa超の第1の最大CSの大きさ(CSmax1)を有する、第のCS領域と、
前記第2の主面から圧縮応力の第2の深さ(DOC)まで延びるとともに、第2の最大CSの大きさ(CSmax2)を有する、第のCS領域と、
前記第のCS領域と前記第のCS領域との間に配置されていて、最大CTの大きさ(CT curved-max )を有する中央張力(CT領域と、
を備え、
前記CSmax2が前記CSmax1より小さく、
前記第のCS領域と前記第のCS領域の内の一方、又は両方が、5μmの深さにおいて750MPa以上のCSの大きさを有する、
ガラス物品。
【請求項2】
前記第1または第2の主面に配置されたフレーム、ディスプレイまたはタッチパネルをさらに含む、請求項記載のガラス物品。
【請求項3】
前記tは、0.05mm~2mmの範囲にある、請求項記載のガラス物品。
【請求項4】
前記第1の主面および前記第2の主面の一方または両方は、表面処理を含む、請求項記載のガラス物品。
【請求項5】
前記DOC 1 は、前記DOC 2 よりも大きい、請求項1記載の湾曲したガラス物品。
【請求項6】
前記第1の主面は、500mm~2500mmの範囲の曲率半径を有し、前記CT curved-max は、150MPa以下である、請求項1記載の湾曲したガラス物品。
【請求項7】
前記曲率半径は、600mm~2500mmの範囲にあり、前記CT curved-max は、90MPa以下である、請求項6記載の湾曲したガラス物品。
【請求項8】
前記曲率半径は、1000mm~2500mmの範囲にあり、前記CT curved-max は、60MPa以下である、請求項6記載の湾曲したガラス物品。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
この出願は、米国特許法第119条のもと、2019年1月4日に出願された米国仮特許出願第62/788,327号および2018年10月18日に出願された米国仮特許出願第62/747,361号の優先権の利益を主張し、その内容が依拠され、その内容全体を参照により本明細書に援用するものとする。
【技術分野】
【0002】
本開示は、向上させられたヘッドフォーム衝撃性能を示す強化ガラス物品およびこのような物品を組み込んだ自動車内装システム、より詳細には、自動車内装システムに使用されたときに向上させられたヘッドフォーム衝撃性能を結果的に生じさせる応力分布を有する強化ガラス物品に関する。
【背景技術】
【0003】
自動車内装システムは、ディスプレイおよび/またはタッチパネルを組み込んだ曲面を含むことができる。このような曲面用のカバーガラスを形成するために使用される材料は、通常、ポリマーに限定されており、ポリマーは、ガラスの耐久性および光学性能を示さない。したがって、特にディスプレイおよび/またはタッチパネル用のカバーとして使用される場合には、湾曲したガラス物品が望ましい。さらに、自動車内装システムは、通常、厳格なヘッドフォーム衝撃試験要件を必要とする。幾つかの例では、自動車内装システムに使用される湾曲したガラス物品は、ヘッドフォーム衝撃試験において衝撃を受けた後に破損すべきではない。したがって、向上させられたヘッドフォーム衝撃性能を示す自動車内装システムを結果的に生じさせる特性を有するガラス物品と、このようなガラス物品を組み込んだ自動車内装システムと、このようなガラス物品を形成するための方法とが必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
本開示の第1の態様は、ガラス物品であって、第1の主面、第1の主面と反対側の第2の主面、厚さ(t)(mm)を規定する第1の主面と第2の主面とを接続する副面と、第1の主面から圧縮深さ(DOC)まで延びる圧縮応力(CS)領域であって、約900MPa以上の最大CSの大きさ(CSmax)および約5μmの深さにおける750MPa以上のCSの大きさを有する圧縮応力(CS)領域と、中央張力(CT)領域であって、第1の主面から約0.25t~約0.75tの範囲の深さに配置された最大CTの大きさ(CTmax)を有する中央張力(CT)領域と、を備え、CS領域およびCT領域は、厚さに沿った応力分布を規定している、ガラス物品に関する。1つ以上の実施形態では、CTmaxの大きさは、約80MPa以下である。
【0005】
本開示の第2の態様は、湾曲したガラス物品であって、凹状の第1の主面、凹状の第1の主面と反対側の凸状の第2の主面、厚さ(t)(mm)を規定する凹状の第1の主面と凸状の第2の主面とを接続する副面を備え、凹状の第1の主面は、約20mm以上または約100mm以上の最大曲率半径と、凹状の第1の主面から第1の圧縮応力深さ(DOC1)まで延びる第1の圧縮応力(CS)領域とを含み、第1のCS領域は、約800MPaよりも大きい第1の最大CS値(CSmax1)を有し、凸状の第2の主面は、凸状の第2の主面から第2の圧縮応力深さ(DOC2)まで延びる第2のCS領域を含み、第2のCS領域は、第2の最大CS値(CSmax2)を有し、第1のCS領域と第2のCS領域との間に配置されていて、最大CT値(CTcurved-max)を有する中央張力(CT)領域を備え、CS領域およびCT領域は、厚さに沿った応力分布を規定しており、CSmax2は、CSmax1よりも小さい、湾曲したガラス物品に関する。1つ以上の実施形態では、DOC1は、DOC2と異なる。
【0006】
本開示の第3の態様は、自動車内装システムであって、ベースと、ベース上に配置された、第1の態様または第2の態様の1つ以上の実施形態によるガラス物品と、を備え、6.8kgの質量を有するインパクタが、5.35m/s~6.69m/sの衝撃速度で第1の主面に衝突したとき、インパクタの減速度は、120g(重力)以下である、自動車内装システムに関する。1つ以上の実施形態では、インパクタの減速度は、衝撃時間にわたるどの3ms区間においても80gよりも大きくない。1つ以上の実施形態では、インパクタがガラス物品を破壊すると、ガラス物品は、ガラス物品に対して10mm以下で、1mm以下の最大寸法を有する粒子を放出する。
【0007】
本開示の第4の態様は、自動車内装システムであって、ベースと、ベース上に配置された、第1の態様の1つ以上の実施形態によるガラス物品と、を備え、6.8kgの質量を有するインパクタが、5.35m/s~6.69m/sの衝撃速度で第1の主面に衝突すると、ガラス物品は弾性変形させられる、自動車内装システムに関する。
【0008】
本開示の第5の態様は、自動車内装システムであって、フレームと、フレーム上に配置された、第2の態様の1つ以上の実施形態によるガラス物品と、を備え、6.8kgの質量を有するインパクタが、5.35m/s~6.69m/sの衝撃速度で第1の主面に衝突すると、ガラス物品は弾性変形させられる、自動車内装システムに関する。
【0009】
本開示の第6の態様は、ガラス物品を形成するための方法であって、第1の態様の1つ以上の実施形態による第1の強化ガラス物品を提供するために、第1の主面、第2の主面および厚さ(t)を規定する第1の主面と第2の主面とを接続する副面を有するガラスシートを強化することを含む、方法に関する。
【0010】
追加的な特徴および利点は、以下の詳細な説明に記載され、部分的には、その説明から当業者に容易に明らかになるまたは以下の詳細な説明、特許請求の範囲および添付の図面を含む、本明細書に記載の実施形態を実施することによって認識されるであろう。
【0011】
前述の一般的な説明および以下の詳細な説明の両方は、単なる例示であり、特許請求の範囲の性質および特徴を理解するための概要または枠組みを提供することが意図されていることを理解されたい。添付の図面は、更なる理解を提供するために含まれており、本明細書に組み込まれかつ本明細書の一部を構成する。図面は、1つ以上の実施形態を示し、説明とともに、様々な実施形態の原理および動作を説明するのに役立つ。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】1つ以上の実施形態によるガラス物品の側面図である。
図2図1に示したガラス物品の典型的な応力分布である。
図3図1に示したガラス物品の典型的な応力分布である。
図4】1つ以上の実施形態による湾曲したガラス物品の側面図である。
図5】1つ以上の実施形態による自動車内装システムの斜視図である。
図6A】様々な曲率半径に冷間曲げされた後の、実施例1の強化ガラス物品の測定された最大圧縮応力および層の深さの値を示す棒グラフである。
図6B】様々な曲率半径に冷間曲げされた後の、実施例1の強化ガラス物品の測定された最大圧縮応力および層の深さの値を示す棒グラフである。
図6C図6Aおよび図6Bの強化ガラス物品の測定された最大中央張力を示す棒グラフである。
図7】実施例2のガラス物品の応力分布を示すグラフである。
図8】350mmの曲率半径に曲げられたときの、実施例2のガラス物品の曲げ誘発応力を示すグラフである。
図9図7の応力分布と図8のグラフを重ね合わせたものである。
図10】比較例3のガラス物品の応力分布を示すグラフである。
図11図10の応力分布と図8のグラフを重ね合わせたものである。
図12】実施例2のCTcurved-max値と、様々な曲率半径における比較例3とを比較したグラフである。
図13】実施例4のガラス物品の応力分布を示すグラフである。
図14】250mmの曲率半径に曲げられたときの、実施例4のガラス物品の曲げ誘発応力を示すグラフである。
図15図13の応力分布と図14のグラフを重ね合わせたものである。
図16】比較例5のガラス物品の応力分布を示すグラフである。
図17図16の応力分布と図14のグラフを重ね合わせたものである。
図18】様々なCTcurved-max/CTuncurved-max比を示す、ガラス物品の粒子投影の最長距離を比較したグラフである。
図19】実施例6の応力分布を示すグラフである。
図20】実施例7の応力分布を示すグラフである。
図21】実施例8の応力分布を示すグラフである。
図22】実施例7と実施例8の重ね合わせた応力分布である。
図23】実施例9および比較例10~11の自動車内装システムの側面図である。
図24A】アルミニウムインパクタによる衝撃前の実施例9の自動車内装の画像である。
図24B】アルミニウムインパクタによる衝撃中の実施例9の自動車内装の画像である。
図24C】アルミニウムインパクタによる衝撃後の実施例9の自動車内装の画像である。
図25A】アルミニウムインパクタによる衝撃前の比較例10の自動車内装の画像である。
図25B】アルミニウムインパクタによる衝撃中の比較例10の自動車内装の画像である。
図25C】アルミニウムインパクタによる衝撃後の比較例10の自動車内装の画像である。
図26A】アルミニウムインパクタによる衝撃前の比較例11の自動車内装の画像である。
図26B】アルミニウムインパクタによる衝撃中の比較例11の自動車内装の画像である。
図26C】アルミニウムインパクタによる衝撃後の比較例11の自動車内装の画像である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、様々な実施形態を詳細に参照し、その実施例は添付の図面に示されている。
【0014】
本明細書で使用される場合、「ガラス物品」という用語は、その最も広い意味において、全体的または部分的にガラスから形成されたあらゆる物体を含むように使用される。ガラス物品は、ガラスおよび非ガラス材料のラミネート、ガラスおよび結晶性材料のラミネートおよびガラス-セラミック(非晶相および結晶相を含む)を含む。別段の定めがない限り、全てのガラス組成は、酸化物ベースのモル%(mol%)で表される。
【0015】
「応力分布」は、ガラス物品の位置に関する応力のプロットである。ガラス物品が圧縮応力下にある圧縮応力(CS)領域は、第1の表面から物品の圧縮深さ(DOC)まで延びている。中央張力領域は、DOCからガラス物品の中央部分まで延びており、ガラス物品が引張応力下にある領域を含む。
【0016】
本明細書で使用される場合、圧縮深さ(DOC)は、ガラス物品内の応力が圧縮応力から引張応力に変化する深さを指す。DOCでは、応力は正(圧縮)応力から負(引張)応力に遷移するため、ゼロの応力値を示す。機械技術において通常使用される慣例によれば、圧縮は負(<0)の応力として表され、張力は正(>0)の応力として表される。しかしながら、この説明全体を通じて、圧縮応力(CS)および中央張力(CT)は、正または絶対値として表される。つまり、ここで説明されているように、CS=|CS|およびCT=|CT|である。最大中央張力(最大CTまたはCTmax)は、中央張力領域における最大引張応力を指す。最大圧縮応力(最大CSまたはCSmax)は、CS領域における最大CS応力を指す。
【0017】
応力分布の「ニー」は、応力分布の傾きが急勾配から緩勾配に遷移するガラス物品の深さである。ニーは、傾斜が変化している深さのスパンにわたる遷移領域を指す場合がある。
【0018】
本明細書で使用される場合、「交換の深さ」、「層の深さ」(DOL)、「層の化学的深さ」および「化学層の深さ」という用語は交換可能に使用されてもよく、一般に、イオン交換プロセス(IOX)により促進されたイオン交換が特定のイオンに対して生じる深さを意味する。DOLは、金属酸化物またはアルカリ金属酸化物のイオン(例えば、金属イオンまたはアルカリ金属イオン)が、イオンの濃度がグロー放電発光分光法(GD-OES)によって決定された場合の最小値に達するガラス物品に拡散する、ガラス物品内の深さ(すなわち、ガラス物品の表面~その内部領域までの距離)を指す。幾つかの実施形態では、DOLは、イオン交換(IOX)プロセスによって導入される最も遅い拡散または最大イオンの交換の深さとして与えられる。
【0019】
別段の定めがない限り、CTおよびCSは本明細書ではメガパスカル(MPa)で表され、厚さはmmで表され、DOCおよびDOLはμm(マイクロメートル)で表される。
【0020】
表面におけるCSは、折原製作所(日本)製のFSM-6000などの市販の機器を使用して表面応力計(FSM)によって測定される。表面応力測定は、ガラスの複屈折に関連する応力光学係数(SOC)の正確な測定に依存する。SOC自体は、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる「Standard Test Method for Measurement of Glass Stress-Optical Coefficient」と題するASTM規格C770-16に記載された手順C(ガラスディスク法)に従って測定される。
【0021】
最大CT値は、当技術分野で知られている散乱光偏光器(SCALP)技術を使用して測定される。
【0022】
DOCは、イオン交換処理に応じてFSMまたはSCALPによって測定されてもよい。ガラス物品内へカリウムイオンを交換することによってガラス物品における応力が発生する場合、FSMを使用してDOCを測定する。ナトリウムイオンをガラス物品内へ交換することによって応力が発生する場合、SCALPを使用してDOCを測定する。カリウムイオンおよびナトリウムイオンの両方をガラス内へ交換することによってガラス物品における応力が発生する場合、DOCはSCALPによって測定される。なぜならば、ナトリウムの交換深さはDOCを示し、カリウムイオンの交換深さは、圧縮応力の大きさの変化(ただし、圧縮から引張への応力の変化ではない)を示すと考えられるからである。このようなガラス物品におけるカリウムイオンの交換深さ(またはDOL)は、FSMによって測定される。
【0023】
応力分布の属性を測定するために、屈折近接場(RNF)法が使用されてもよい。RNF法を利用する場合、SCALPによって提供される最大CT値が利用される。特に、RNF法によって測定された応力分布は、力のバランスが取れており、SCALP測定によって提供された最大CT値に較正されている。RNF法は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる「Systems and methods for measuring a profile characteristic of a glass sample」と題する米国特許第8854623号明細書に記載されている。特に、RNF法は、基準ブロックに隣接してガラス物品を配置し、1Hz~50Hzの間の速度で、直交する偏光間で切り替えられる偏光切り替え光ビームを生成し、偏光切り替え光ビームにおけるパワーの量を測定し、偏光切り替え基準信号を生成することを含み、直交する各偏光における測定されたパワー量は互いの50%以内である。この方法はさらに、偏光切り替え光ビームを、ガラス試料内への異なる深さのためにガラス試料および基準ブロックに透過させ、次に、透過された偏光切り替え光ビームを、リレー光学系を使用して信号光検出器にリレーすることを含み、信号光検出器は偏光切り替え検出器信号を生成する。この方法は、検出器信号を基準信号によって割り、正規化された検出器信号を形成し、正規化された検出器信号からガラス試料の分布特性を決定することも含む。
【0024】
「実質的に」および「約」という用語は、あらゆる定量的比較、値、測定またはその他の表現に起因する場合がある不確実性の固有の程度を表すために本明細書において使用される場合があることに留意されたい。これらの用語は、問題となっている対象の基本的な機能における変化を生じることなく、定量的表現が、記載された基準から変化する場合がある程度を表すためにも本明細書において利用される。
【0025】
本開示の態様は、自動車内装システムにおけるカバーガラスとしての使用に適したガラス物品に関する。「自動車内装」という語句は、列車、自動車(例えば、車、トラック、バスなど)、船舶(ボート、船、潜水艦など)および航空機(例えば、ドローン、飛行機、ジェット、ヘリコプターなど)を含む。1つ以上の実施形態では、ガラス物品は、湾曲した構成で使用されてもよい。
【0026】
ガラス物品は、技術分野において知られている熱間成形方法を使用して湾曲した形状または構成に湾曲させられてもよいかまたは冷間曲げされてもよい。本明細書で使用される場合、「冷間曲げされた」または「冷間曲げする」という用語は、ガラスの軟化点よりも低い冷間曲げ温度においてガラス物品を湾曲させることを指す。多くの場合、冷間曲げ温度は室温である。「冷間曲げ可能」という用語は、ガラス物品が冷間曲げされる能力を指す。冷間曲げされたガラス物品の特徴は、第1の主面210と第2の主面220との間の非対称の表面圧縮応力である(図4に示されている)。1つ以上の実施形態では、冷間曲げプロセスまたは冷間曲げされる前に、ガラス物品の第1の主面210および第2の主面220におけるそれぞれの圧縮応力は実質的に等しい。ガラス物品が強化されていない1つ以上の実施形態では、第1の主面210および第2の主面220は、冷間曲げの前に、相当の圧縮応力を示さない。(本明細書に記載されているように)ガラス物品が強化される1つ以上の実施形態では、第1の主面210および第2の主面220は、冷間曲げの前に、互いに実質的に等しい圧縮応力を示す。1つ以上の実施形態では、冷間曲げ後、冷間曲げ後の凹面形状を有する表面(例えば、第1の主面210)上のCSは増大するのに対し、冷間曲げ後の凸面形状を有する表面(例えば、第2の主面220)上のCSは減少する。換言すれば、凹面(例えば、第1の主面210)上の圧縮応力は、冷間曲げ前よりも冷間曲げ後の方が大きい。理論によって拘束されることなく、冷間曲げプロセスは、冷間曲げ中に加えられる引張応力を打ち消すために、成形されるガラス物品の圧縮応力を増大させる。1つ以上の実施形態では、冷間曲げプロセスにより、凹面(第1の主面210)に圧縮応力が発生するのに対し、冷間曲げの後に凸面形状を形成する表面(すなわち、図4の第2の主面220)には引張応力が発生する。冷間曲げ後に凸面(すなわち、第2の主面220)が受ける引張応力は、表面圧縮応力の正味の減少をもたらし、これにより、冷間曲げ後の強化ガラス物品の凸面(すなわち、第2の主面220)における圧縮応力は、ガラス物品が平らであるときの同じ表面(すなわち、第2の主面220)における圧縮応力よりも小さい。
【0027】
本明細書において使用される場合、本明細書において使用される厚さ(t)は、ガラス物品の最大厚さを指す。
【0028】
公知のガラス物品では、応力分布は、化学的強化プロセスによって生成されてもよく、誤差関数プロファイル形状を有することができる。そのような公知のガラス物品では、CT領域は、最大中央張力の大きさを有し、これにより、ガラス物品が湾曲させられたときに、自動車の内装システムが不十分なヘッドフォーム衝撃性能を示す。さらに、このような公知のガラス物品は、ヘッドフォーム衝撃試験において破損する傾向がある。
【0029】
幾つかの実施例では、公知のガラス物品は、湾曲した形状を有するように冷間曲げされ、このような冷間曲げにより、強化によって生じたCTが冷間曲げにより誘発された応力に重ね合わされたとき、最大CTの大きさは許容できないほど高い値に増加する。
【0030】
本開示の態様は、冷間曲げされたときに、典型的な相補誤差関数応力分布を有する公知のガラス物品よりも著しく低い最大中央張力の大きさをもたらす応力分布を有する強化ガラス物品に関する。
【0031】
最大曲げ誘発応力は、式(1)で与えられる:
式(1):σmax=(E/l-v)*(t/2)*(l/R)
式中、Eはヤング率、vはポアソン比、tは厚さ、Rは曲げ半径である。
【0032】
ガラス物品の厚さを通じた応力は、式(2)で与えられる:
式(2):σ=σmax-(σmax/(t/2))
この式は、引張応力が表面で最大であり、ガラスの中央に向かって直線的に減少することを示している。強化ガラス物品を冷間曲げする場合、この曲げによって誘発される応力は、強化によって与えられる応力分布と重ね合わされる(例えば、イオン交換などの化学的強化プロセスによって)。強化による最大CTの大きさが主面に近いまたはより近い場合(相補誤差関数プロファイルの場合のように)、冷間曲げ後の結果として生じる最大CTの大きさは極めて高くなる。なぜならば、曲げ誘発張力も、主面の近くで最大であるからである。
【0033】
本明細書に記載のガラス物品の様々な実施形態に関して説明するように、強化による最大CTの大きさがガラス物品の中央に向かって配置される場合、冷間曲げ後の結果として生じる最大CTの大きさは実質的に低くなる。このような湾曲したガラス物品は、優れたヘッドフォーム衝撃性能を示す。特に、そのような湾曲したガラス物品の最大CTの大きさをより低い値に維持することは、故障時のガラス物品の断片化挙動を低減または防止し、その結果、向上させられたヘッドフォーム衝撃性能をもたらす。
【0034】
本開示の第1の態様は、図1に示されるように、第1の主面102、第1の主面と反対側の第2の主面104および厚さ(t)(mm)を規定する第1の主面と第2の主面とを接続する副面106を含むガラス物品100に関する。1つ以上の実施形態では、ガラス物品は、実質的にフラットな構成(例えば、約5000mm以上の曲率半径を有する)または永続的に湾曲した構成である。1つ以上の実施形態では、ガラス物品100は、湾曲した構成に冷間曲げされてもよい。
【0035】
図2に示されるように、ガラス物品は、第1の主面102から第1の圧縮深さ(DOC1)114まで延びるCS領域110を有する。CS領域は、最大CSの大きさ(CSmax)116を含む。ガラス物品は、中央領域に配置されたCT領域112を有する。示された実施形態では、CT領域は、DOCから、反対側のCS領域110まで延びている。CT領域は、最大CTの大きさ(CTmax)118を規定している。CS領域およびCT領域は、ガラス物品の厚さに沿って延びる応力分布を規定している。
【0036】
1つ以上の実施形態では、ガラス物品は、物品の部分間の熱膨張係数の不一致を利用して、圧縮応力領域および引張応力を示す中央領域を形成することによって、機械的に強化されてもよい。幾つかの実施形態では、ガラス物品は、ガラスをガラス転移点より高い温度に加熱し、次に急速に急冷することによって、熱的に強化されてもよい。
【0037】
1つ以上の実施形態では、ガラス物品は、イオン交換によって化学的に強化されてもよい。イオン交換プロセスでは、ガラス物品の表面におけるまたは表面の近くのイオンが、同じ原子価または酸化状態を有する、より大きなイオンに置き換えられるまたは交換される。ガラス物品がアルカリアルミノケイ酸塩ガラスを含むこれらの実施形態では、物品の表面層のイオンおよびより大きなイオンは、Li、Na、K、RbおよびCsなどの一価アルカリ金属カチオンである。代替的に、表面層における一価のカチオンは、Agなどの、アルカリ金属カチオン以外の一価のカチオンで置き換えられてもよい。このような実施形態では、ガラス物品に交換された一価のイオン(またはカチオン)が応力を生じる。
【0038】
イオン交換プロセスは、通常、ガラス物品内のより小さなイオンと交換されるより大きなイオンを含んだ1つ以上の溶融塩浴にガラス物品を浸漬させることによって行われる。水性塩浴が利用されてもよいことに留意すべきである。さらに、浴の組成は、2つ以上のタイプのより大きなイオン(例えば、NaおよびK)または単一のより大きなイオンを含んでもよい。浴の組成および温度、浸漬時間、塩浴(または複数の浴)へのガラス物品の浸漬の回数、複数の塩浴の使用、アニーリング、洗浄などの追加のステップを含むがこれらに限定されないイオン交換プロセスのためのパラメータが、一般に、ガラス物品の組成(物品の構造および存在するあらゆる結晶相を含む)および強化の結果として生じるガラス物品の所望のCS、DOCおよびCT値によって決定されることが、当業者によって認識されるであろう。例示的な溶融浴組成物は、より大きなアルカリ金属イオンの硝酸塩、硫酸塩および塩化物を含んでもよい。典型的な硝酸塩は、KNO3、NaNO3、LiNO3、NaSO4およびそれらの組合せを含む。溶融塩浴の温度は、通常、約380℃~約450℃の範囲にあるが、浸漬時間は、ガラス物品の厚さ、浴温度およびガラス(または一価イオン)の拡散率に応じて約15分~約100時間の範囲にある。しかしながら、上記のものとは異なる温度および浸漬時間が使用されてもよい。
【0039】
1つ以上の実施形態では、ガラス物品は、約370℃~約480℃の温度を有する、100%NaNO3、100%KNO3またはNaNO3およびKNO3の組合せの溶融塩浴に浸漬させられてもよい。幾つかの実施形態では、ガラス物品は、約1%~約99%のKNO3および約1%~約99%のNaNO3を含む溶融混合塩浴に浸漬させられてもよい。1つ以上の実施形態では、ガラス物品は、第1の浴に浸漬させた後、第2の浴に浸漬させられてもよい。第1および第2の浴は、互いに異なる組成および/または温度を有してもよい。第1の浴および第2の浴における浸漬時間は、異なってもよい。例えば、第1の浴における浸漬は、第2の浴における浸漬よりも長くてもよい。
【0040】
1つ以上の実施形態では、ガラス物品は、約420°C未満(例えば、約400°Cまたは約380°C)の温度を有するNaNO3およびKNO3(例えば、49%/51%、50%/50%、51%/49%)を含む溶融した混合塩浴に約5時間未満またはさらには約4時間以下だけ浸漬させられてもよい。1つ以上の実施形態では、ガラス物品は、430℃の温度を有する第1の混合された溶融塩浴(例えば、75%KNO3/25%NaNO3)に8時間浸漬させられ、次いで、第1の混合された溶融塩浴より低い温度を有するKNO3の第2の純粋な溶融塩浴に、より短い時間(例えば、約4時間)だけ浸漬させられる。
【0041】
イオン交換条件は、「スパイク」を提供するようにまたは結果として得られるガラス物品の表面またはその近くで応力分布の傾きを増大させるように調整することができる。スパイクは、より大きな表面CS値を生じる場合がある。このスパイクは、単一の浴または複数の浴によって達成することができ、浴は、本明細書に記載のガラス物品において使用されるガラス組成物の独特の特性に応じて、単一の組成物または混合された組成物を有する。
【0042】
2つ以上の一価のイオンがガラス物品内に交換される1つ以上の実施形態では、異なる一価のイオンは、ガラス物品内の異なる深さに交換されてもよい(また、異なる深さにおいてガラス物品内に異なる大きさの応力を生じる)。結果として生じる応力生成イオンの相対的な深さを決定することができ、応力分布の様々な特性を生じることができる。
【0043】
1つ以上の実施形態では、ガラス物品は、約900MPa以上、約920MPa以上、約940MPa以上、約950MPa以上、約960MPa以上、約980MPa以上、約1000MPa以上、約1020MPa以上、約1040MPa以上、約1050MPa以上、約1060MPa以上、約1080MPa以上、約1100MPa以上、約1120MPa以上、約1140MPa以上、約1150MPa以上、約1160MPa以上、約1180MPa以上、約1200MPa以上、約1220MPa以上、約1240MPa以上、約1250MPa以上、約1260MPa以上、約1280MPa以上または約1300MPa以上のCSmaxを有する。1つ以上の実施形態では、CSmaxは、約900MPa~約1500MPa、約920MPa~約1500MPa、約940MPa~約1500MPa、約950MPa~約1500MPa、約960MPa~約1500MPa、約980MPa~約1500MPa、約1000MPa~約1500MPa、約1020MPa~約1500MPa、約1040MPa~約1500MPa、約1050MPa~約1500MPa、約1060MPa~約1500MPa、約1080MPa~約1500MPa、約1100MPa~約1500MPa、約1120MPa~約1500MPa、約1140MPa~約1500MPa、約1150MPa~約1500MPa、約1160MPa~約1500MPa、約1180MPa~約1500MPa、約1200MPa~約1500MPa、約1220MPa~約1500MPa、約1240MPa~約1500MPa、約1250MPa~約1500MPa、約1260MPa~約1500MPa、約1280MPa~約1500MPa、約1300MPa~約1500MPa、約900MPa~約1480MPa、約900MPa~約1460MPa、約900MPa~約1450MPa、約900MPa~約1440MPa、約900MPa~約1420MPa、約900MPa~約1400MPa、約900MPa~約1380MPa、約900MPa~約1360MPa、約900MPa~約1350MPa、約900MPa~約1340MPa、約900MPa~約1320MPa、約900MPa~約1300MPa、約900MPa~約1280MPa、約900MPa~約1260MPa、約900MPa~約1250MPa、約900MPa~約1240MPa、約900MPa~約1220MPa、約900MPa~約1210MPa、約900MPa~約1200MPa、約900MPa~約1180MPa、約900MPa~約1160MPa、約900MPa~約1150MPa、約900MPa~約1140MPa、約900MPa~約1120MPa、約900MPa~約1100MPa、約900MPa~約1080MPa、約900MPa~約1060MPa、約900MPa~約1050MPa、約950MPa~約1050MPaまたは約1000MPa~約1050MPaの範囲にある。CSmaxは、主面において測定されてもよいまたはCS領域内の主面から所定の深さにおいて見出されてもよい。
【0044】
1つ以上の実施形態では、ガラス物品は、第1の主面102から約5μmのガラス物品内の深さ(CS5)において700MPa以上または約750MPa以上のCSの大きさの応力分布を有する。1つ以上の実施形態では、CS5は、約760MPa以上、約770MPa以上、約775MPa以上、約780MPa以上、約790MPa以上、約800MPa以上、約810MPa以上、約820MPa以上、約825MPa以上または約830MPa以上である。1つ以上の実施形態では、CS5は、約700MPa~約900MPa、約725MPa~約900MPa、約750MPa~約900MPa、約775MPa~約900MPa、約800MPa~約900MPa、約825MPa~約900MPa、約850MPa~約900MPa、約700MPa~約875MPa、約700MPa~約850MPa、約700MPa~約825MPa、約700MPa~約800MPa、約700MPa~約775MPa、約750~約800MPa、約750MPa~約850MPaまたは約700MPa~約750MPaの範囲にある。
【0045】
1つ以上の実施形態では、ガラス物品は、第1の主面102から約10μmのガラス物品内の深さ(CS10)において800MPa以上のCSの大きさの応力分布を有する。1つ以上の実施形態では、CS10は、約810MPa以上、約820MPa以上、約830MPa以上、約840MPa以上、約850MPa以上、約860MPa以上、約870MPa以上、約880MPa以上、約890MPa以上または約900MPa以上である。1つ以上の実施形態では、CS10は、約800MPa~約1000MPa、約825MPa~約1000MPa、約850MPa~約1000MPa、約875MPa~約1000MPa、約900MPa~約1000MPa、約925MPa~約1000MPa、約950MPa~約1000MPa、約800MPa~約975MPa、約800MPa~約950MPa、約800MPa~約925MPa、約800MPa~約900MPa、約800MPa~約875MPaまたは約800MPa~約850MPaの範囲にある。
【0046】
1つ以上の実施形態では、ガラス物品は、第1の主面から約0.25t~約0.75tの範囲のガラス物品内の深さに存在するまたは配置されたCTmaxの応力分布を有する。1つ以上の実施形態において、CTmaxは、約0.25t~約0.74t、約0.25t~約0.72t、約0.25t~約0.70t、約0.25t~約0.68t、約0.25t~約0.66t、約0.25t~約0.65t、約0.25t~約0.62t、約0.25t~約0.60t、約0.25t~約0.58t、約0.25t~約0.56t、約0.25t~約0.55t、約0.25t~約0.54t、約0.25t~約0.52t、約0.25t~約0.50t、約0.26t~約0.75t、約0.28t~約0.75t、約0.30t~約0.75t、約0.32t~約0.75t、約0.34t~約0.75t、約0.35t~約0.75t、約0.36t~約0.75t、約0.38t~約0.75t、約0.40t~約0.75t、約0.42t~約0.75t、約0.44t~約0.75t、約0.45t~約0.75t、約0.46t~約0.75t、約0.48t~約0.50t、約0.30t~約0.70t、約0.35t~約0.65t、約0.4t~約0.6tまたは約0.45t~約0.55tの範囲の深さに存在するまたは配置されている。1つ以上の実施形態では、CTmaxの位置に関する前述の範囲は、ガラス物品が実質的にフラットな構成(例えば、ガラス物品が約5000mmを超えるまたは約10000mmを超える曲率半径を有する)にある場合に存在する。
【0047】
1つ以上の実施形態では、CTmaxの大きさは、約80MPa以下、約78MPa以下、約76MPa以下、約75MPa以下、約74MPa以下、約72MPa以下、約70MPa以下、約68MPa以下、約66MPa以下、約65MPa以下、約64MPa以下、約62MPa以下、約60MPa以下、約58MPa以下、約56MPa以下、約55MPa以下、約54MPa以下、約52MPa以下または約50MPa以下である。1つ以上の実施形態では、CTmaxの大きさは、約40MPa~約80MPa、約45MPa~約80MPa、約50MPa~約80MPa、約55MPa~約80MPa、約60MPa~約80MPa、約65MPa~約80MPa、約70MPa~約80MPa、約40MPa~約75MPa、約40MPa~約70MPa、約40MPa~約65MPa、約40MPa~約60MPa、約40MPa~約55MPaまたは約40MPa~約50MPaの範囲にある。1つ以上の実施形態では、CTmaxの前述の範囲は、ガラス物品が実質的にフラットな構成(例えば、ガラス物品が約5000mmを超えるまたは約10000mmを超える曲率半径を有する)にあるときに存在する。
【0048】
1つ以上の実施形態では、応力分布の一部は放物線状の形状を有する。幾つかの実施形態では、応力分布は、フラットな応力(すなわち、圧縮または引張)の部分または実質的に一定の応力(すなわち、圧縮または引張)を示す部分を有さない。幾つかの実施形態では、CT領域は、フラットな応力を実質的に有さないまたは実質的に一定の応力を有さない応力分布を示す。1つ以上の実施形態では、応力分布は、深さ方向においてまたはガラス物品の厚さtの少なくとも一部に沿って延びる線形セグメントを実質的に有さない。言い換えると、応力分布は、厚さtに沿って実質的に連続的に増大または減少している。幾つかの実施形態では、応力分布は、約10μm以上、約50μm以上、約100μm以上または約200μm以上の長さを有する深さ方向のいかなる線形セグメントも実質的に有さない。本明細書で使用される場合、「線形」という用語は、線形セグメントに沿って約5MPa/μm未満または約2MPa/μm未満の大きさを有する傾斜を指す。幾つかの実施形態では、深さ方向において線形セグメントを実質的に有さない応力分布の1つ以上の部分は、第1の表面または第2の表面の一方または両方から約5μm以上(例えば、10μm以上または15μm以上)のガラス物品内の深さに存在する。例えば、第1の表面から約0μm~約5μm未満の深さに沿って、応力分布は線形セグメントを含んでもよいが、第1の表面から約5μm以上の深さからは、応力分布は線形セグメントを実質的に有さない。
【0049】
1つ以上の実施形態では、CTmaxの深さから0.1t、0.15t、0.2tまたは0.25t内のCT領域の全ての点は、非ゼロ傾きを有する接線を含む。1つ以上の実施形態では、このような全ての点は、大きさが約0.5MPa/μmよりも大きい、大きさが約0.75MPa/μmよりも大きい、大きさが約1MPa/μmよりも大きい、約大きさが約1.5MPa/μmよりも大きい、大きさが約2MPa/μmよりも大きい、または大きさが約0.5MPa/μmよりも大きい傾きを有する接線を含む。
【0050】
1つ以上の実施形態では、約0.12t以上(例えば、約0.12t~約0.24t、約0.14t~約0.24t、約0.15t~約0.24t、約0.16t~約0.24t、約0.18t~約0.24t、約0.12t~約0.22t、約0.12t~約0.2t、約0.12t~約0.18t、約0.12t~約0.16t、約0.12t~約0.15t、約0.12t~約0.14t、または約0.15t~約0.2t)の深さにおける応力分布の全ての点は、非ゼロ傾きを有する接線を含む。
【0051】
1つ以上の実施形態では、ガラス物品は、CT領域の少なくとも一部(図2の112)に沿った応力分布の形状に関して説明されてもよい。例えば、幾つかの実施形態では、CT領域の実質的な部分または全体に沿った応力分布は、方程式によって近似されてもよい。幾つかの実施形態では、CT領域に沿った応力分布は、式(3)によって近似されてもよい:
応力(x)=CTmax-(((CTmax・(n+l))/0.5n)・|(x/t)-0.5|n) (3)
式(1)では、応力(x)は位置xにおける応力値である。ここでは、応力は正(張力)である。CTmaxは、MPa単位での正の値としての最大中央張力である。値xは、μmでの厚さ(t)に沿った位置であり、範囲は0~tである。x=0は一方の表面(102、図2)であり、x=0.5tはガラス物品の中央であり、応力(x)=CTmaxであり、x=tは反対側の表面(104、図2)である。式(1)で使用されるCTmaxは、約40MPa~約80MPaの範囲であってもよく、nは1.5~5(例えば、2~4、2~3または1.8~2.2)のフィッティングパラメータであり、この場合、n=2は、放物線状応力分布を提供することができ、n=2から逸脱する指数は、放物線状応力分布に近い応力分布を提供する。
【0052】
1つ以上の実施形態では、ガラス物品のDOCは約0.2t以下である。例えば、DOCは、約0.18t以下、約0.18t以下、約0.16t以下、約0.15t以下、約0.14t以下、約0.12t以下、約0.1t以下、約0.08t以下、約0.06t以下、約0.05t以下、約0.04t以下または約0.03t以下であってもよい。1つ以上の実施形態では、DOCは、約0.02t~約0.2t、約0.04t~約0.2t、約0.05t~約0.2t、約0.06t~約0.2t、約0.08t~約0.2t、約0.1t~約0.2t、約0.12t~約0.2t、約0.14t~約0.2t、約0.15t~約0.2t、約0.16t~約0.2t、約0.02t~約0.18t、約0.02t~約0.16t、約0.02t~約0.l5t、約0.02t~約0.14t、約0.02t~約0.12t、約0.02t~約0.1t、約0.02t~約0.08t、約0.02t~約0.06t、約0.02t~約0.05t、約0.1t~約0.8t、約0.12t~約0.16tまたは約0.14t~約0.17tの範囲にある。
【0053】
1つ以上の実施形態では、ガラス物品は、約10μm~約50μm、約12μm~約50μm、約14μm~約50μm、約15μm~50μm、約16μm~約50μm、約18μm~約50μm、約20μm~約50μm、約22μm~約50μm、約24μm~約50μm、約25μm~約50μm、約26μm~約50μm、約28μm~約50μm、約30μm~約50μm、約10μm~約48μm、約10μm~約46μm、約10μm~約45μm、約10μm~約44μm、約10μm~約42μm、約10μm~約40μm、約10μm~約38μm、約10μm~約36μm、約10μm~約35μm、約10μm~約34μm、約10μm~約32μm、約10μm~約30μm、約10μm~約28μm、約10μm~約26μm、約10μm~約25μm、約20μm~約40μm、約25μm~約40μm、約20μm~約35μmまたは約25μm~約35μmの範囲のDOLを有する。1つ以上の実施形態では、応力分布の少なくとも一部は、図3に示すように、第1の主面から延びるスパイク領域120、テール領域124およびスパイク領域とテール領域との間のニー領域122を含む。スパイク領域120は、応力分布のCS領域内にある。1つ以上の実施形態では、スパイク領域内の応力分布の全ての点が、約15MPa/μm~約200MPa/μm、約20MPa/μm~約200MPa/μm、約25MPa/μm~約200MPa/μm、約30MPa/μm~約200MPa/μm、約35MPa/μm~約200MPa/μm、約40MPa/μm~約200MPa/μm、約45MPa/μm~約200MPa/μm、約100MPa/μm~約200MPa/μm、約150MPa/μm~約200MPa/μm、約15MPa/μm~約190MPa/μm、約15MPa/μm~約180MPa/μm、約15MPa/μm~約170MPa/μm、約15MPa/μm~約160MPa/μm、約15MPa/μm~約150MPa/μm、約15MPa/μm~約140MPa/μm、約15MPa/μm~約130MPa/μm、約15MPa/μm~約120MPa/μm、約15MPa/μm~約100MPa/μm、約15MPa/μm~約750MPa/μm、約15MPa/μm~約50MPa/μm、約50MPa/μm~約150MPa/μmまたは約75MPa/μm~約125MPa/μmの範囲の大きさの傾きを有する接線を含む。
【0054】
1つ以上の実施形態では、テール領域内の全ての点は、約0.01MPa/μm~約3MPa/μm、約0.05MPa/μm~約3MPa/μm、約0.1MPa/μm~約3MPa/μm、約0.25MPa/μm~約3MPa/μm、約0.5MPa/μm~約3MPa/μm、約0.75MPa/μm~約3MPa/μm、約1MPa/μm~約3MPa/μm、約1.25MPa/μm~約3MPa/μm、約1.5MPa/μm~約3MPa/μm、約1.75MPa/μm~約3MPa/μm、約2MPa/μm~約3MPa/μm、約0.01MPa/μm~約2.9MPa/μm、約0.01MPa/μm~約2.8MPa/μm、約0.01MPa/μm~約2.75MPa/μm、約0.01MPa/μm~約2.7MPa/μm、約0.01MPa/μm~約2.6MPa/μm、約0.01MPa/μm~約2.5MPa/μm、約0.01MPa/μm~約2.4MPa/μm、約0.01MPa/μm~約2.2MPa/μm、約0.01MPa/μm~約2.1MPa/μm、約0.01MPa/μm~約2MPa/μm、約0.01MPa/μm~約1.75MPa/μm、約0.01MPa/μm~約1.5MPa/μm、約0.01MPa/μm~約1.25MPa/μm、約0.01MPa/μm~約1MPa/μm、約0.01MPa/μm~約0.75MPa/μm、約0.01MPa/μm~約0.5MPa/μm、約0.01MPa/μm~約0.25MPa/μm、約0.1MPa/μm~約2MPa/μm、約0.5MPa/μm~約2MPa/μmまたは約1MPa/μm~約3MPa/μmの範囲の大きさの傾きを有する接線を含む。
【0055】
1つ以上の実施形態では、スパイク領域内のCSの大きさは、約200MPa超~約1500MPaの範囲にある。例えば、スパイク領域におけるCSの大きさは、約250MPa~約1500MPa、約300MPa~約1500MPa、約350MPa~約1500MPa、約400MPa~約1500MPa、約450MPa~約1500MPa、約500MPa~約1500MPa、約550MPa~約1500MPa、約600MPa~約1500MPa、約750MPa~約1500MPa、約800MPa~約1500MPa、約850MPa~約1500MPa、約900MPa~約1500MPa、約950MPa~約1500MPa、約1000MPa~約1500MPa、約1050MPa~約1500MPa、約1100MPa~約1500MPa、約1200MPa~約1500MPa、約250MPa~約1450MPa、約250MPa~約1400MPa、約250MPa~約1350MPa、約250MPa~約1300MPa、約250MPa~約1250MPa、約250MPa~約1200MPa、約250MPa~約1150MPa、約250MPa~約1100MPa、約250MPa~約1050MPa、約250MPa~約1000MPa、約250MPa~約950MPa、約250MPa~約90MPa、約250MPa~約850MPa、約250MPa~約800MPa、約250MPa~約750MPa、約250MPa~約700MPa、約250MPa~約650MPa、約250MPa~約600MPa、約250MPa~約550MPa、約250MPa~約500MPa、約800MPa~約1400MPa、約900MPa~約1300MPa、約900MPa~約1200MPa、約900MPa~約1100MPaまたは約900MPa~約1050MPaの範囲であってもよい。
【0056】
1つ以上の実施形態では、ニー領域のCSの大きさは、約5MPa~約200MPa、約10MPa~約200MPa、約15MPa~約200MPa、約20MPa~約20MPa、約25MPa~約200MPa、約30MPa~約200MPa、約35MPa~約200MPa、約40MPa~約200MPa、約45MPa~約200MPa、約50MPa~約200MPa、約55MPa~約200MPa、約60MPa~約200MPa、約65MPa~約200MPa、約75MPa~約200MPa、約80MPa~約200MPa、約90MPa~約200MPa、約100MPa~約200MPa、約125MPa~約200MPa、約150MPa~約200MPa、約5MPa~約190MPa、約5MPa~約180MPa、約5MPa~約175MPa、約5MPa~約170MPa、約5MPa~約160MPa、約5MPa~約150MPa、約5MPa~約140MPa、約5MPa~約130MPa、約5MPa~約125MPa、約5MPa~約120MPa、約5MPa~約110MPa、約5MPa~約100MPa、約5MPa~約75MPa、約5MPa~約50MPa、約5MPa~約25MPaまたは約10MPa~約100MPaの範囲にある。
【0057】
1つ以上の実施形態では、応力分布のニー領域は、第1の主面から約10μm~約50μmまで延びている。例えば、応力分布のニー領域は、第1の主面から、約12μm~約50μm、約14μm~約50μm、約15μm~約50μm、約16μm~約50μm、約18μm~約50μm、約20μm~約50μm、約22μm~約50μm、約24μm~約50μm、約25μm~約50μm、約26μm~約50μm、約28μm~約50μm、約30μm~約50μm、約32μm~約50μm、約34μm~約50μm、約35μm~約50μm、約36μm~約50μm、約38μm~約50μm、約40μm~約50μm、約10μm~約48μm、約10μm~約46μm、約10μm~約45μm、約10μm~約44μm、約10μm~約42μm、約10μm~約40μm、約10μm~約38μm、約10μm~約36μm、約10μm~約35μm、約10μm~約34μm、約10μm~約32μm、約10μm~約30μm、約10μm~約28μm、約10μm~約26μm、約10μm~約25μm、約10μm~約24μm、約10μm~約22μmまたは約10μm~約20μmまで延びている。
【0058】
1つ以上の実施形態では、テール領域は、ほぼニー領域からCTmaxの深さまで延びている。1つ以上の実施形態では、テール領域は、圧縮応力テール領域および引張応力テール領域の一方または両方を含む。
【0059】
1つ以上の実施形態では、ガラス物品は、第1または第2の主面に配置されたフレーム、ディスプレイまたはタッチパネルのうちの1つ以上を含む。1つ以上の実施形態では、ディスプレイは、液晶ディスプレイ、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ、透過型ディスプレイまたはその他のディスプレイであってもよい。1つ以上の実施形態では、ガラス物品は、第1または第2の主面とフレーム、ディスプレイまたはタッチパネルとの間に配置された接着剤または接着剤層を含む。
【0060】
1つ以上の実施形態では、ディスプレイモジュールはタッチ機能を含み、このような機能は、ガラス物品100を通してアクセス可能である。1つ以上の実施形態では、ディスプレイモジュールによって示される表示画像またはコンテンツは、ガラス物品を通して見ることができる。
【0061】
1つ以上の実施形態では、ガラス物品の厚さは、約0.05mm~約2mmの範囲にある。例えば、厚さは、約0.06mm~約2mm、約0.08mm~約2mm、約0.1mm~約2mm、約0.12mm~約2mm、約0.05mm~約2mm、約0.14mm~約2mm、約0.15mm~約2mm、約0.16mm~約2mm、約0.18mm~約2mm、約0.2mm~約2mm、約0.25mm~約2mm、約0.3mm~約2mm、約0.4mm~約2mm、約0.5mm~約2mm、約0.55mm~約2mm、約0.6mm~約2mm、約0.05mm~約2mm、約0.6mm~約2mm、約0.7mm~約2mm、約0.8mm~約2mm、約0.9mm~約2mm、約1mm~約2mm、約1.1mm~約2mm、約1.2mm~約2mm、約1.5mm~約2mm、約0.05mm~約1.8mm、約0.05mm~約1.6mm、約0.05mm~約1.5mm、約0.05mm~約1.4mm、約0.05mm~約1.2mm、約0.05mm~約1.1mm、約0.05mm~約1mm、約0.05mm~約0.9mm、約0.05mm~約0.8mm、約0.05mm~約0.7mm、約0.05mm~約0.6mm、約0.05mm~約0.55mm、約0.05mm~約0.5mm、約0.05mm~約0.4mm、約0.05mm~約0.3mmまたは約0.7mm~約1.5mmの範囲であってもよい。
【0062】
1つ以上の実施形態では、ガラス基板は、約5cm~約250cm、約10cm~約250cm、約15cm~約250cm、約20cm~約250cm、約25cm~約250cm、約30cm~約250cm、約35cm~約250cm、約40cm~約250cm、約45cm~約250cm、約50cm~約250cm、約55cm~約250cm、約60cm~約250cm、約65cm~約250cm、約70cm~約250cm、約75cm~約250cm、約80cm~約250cm、約85cm~約250cm、約90cm~約250cm、約95cm~約250cm、約100cm~約250cm、約110cm~約250cm、約120cm~約250cm、約130cm~約250cm、約140cm~約250cm、約150cm~約250cm、約5cm~約240cm、約5cm~約230cm、約5cm~約220cm、約5cm~約210cm、約5cm~約200cm、約5cm~約190cm、約5cm~約180cm、約5cm~約170cm、約5cm~約160cm、約5cm~約150cm、約5cm~約140cm、約5cm~約130cm、約5cm~約120cm、約5cm~約110cm、約5cm~約110cm、約5cm~約100cm、約5cm~約90cm、約5cm~約80cmまたは約5cm~約75cmの範囲の幅(W)を有する。
【0063】
1つ以上の実施形態では、ガラス基板は、約5cm~約250cm、約10cm~約250cm、約15cm~約250cm、約20cm~約250cm、約25cm~約250cm、約30cm~約250cm、約35cm~約250cm、約40cm~約250cm、約45cm~約250cm、約50cm~約250cm、約55cm~約250cm、約60cm~約250cm、約65cm~約250cm、約70cm~約250cm、約75cm~約250cm、約80cm~約250cm、約85cm~約250cm、約90cm~約250cm、約95cm~約250cm、約100cm~約250cm、約110cm~約250cm、約120cm~約250cm、約130cm~約250cm、約140cm~約250cm、約150cm~約250cm、約5cm~約240cm、約5cm~約230cm、約5cm~約220cm、約5cm~約210cm、約5cm~約200cm、約5cm~約190cm、約5cm~約180cm、約5cm~約170cm、約5cm~約160cm、約5cm~約150cm、約5cm~約140cm、約5cm~約130cm、約5cm~約120cm、約5cm~約110cm、約5cm~約110cm、約5cm~約100cm、約5cm~約90cm、約5cm~約80cmまたは約5cm~約75cmの範囲の長さ(L)を有する。
【0064】
第1の主面102および第2の主面104の一方または両方は表面処理を含む、前述した請求項のうちのいずれか1項記載のガラス物品。表面処理は、第1の主面102および/または第2の主面104の少なくとも一部に広がっていてもよい。例示的な表面処理は、清掃容易表面、アンチグレア表面、反射防止表面、触覚表面および装飾表面を含む。1つ以上の実施形態では、第1の主面102および/または第2の主面104の少なくとも一部は、アンチグレア表面、反射防止表面、触覚表面および装飾表面のいずれか1つ、いずれか2つまたは3つ全てを含んでもよい。例えば、第1の主面102はアンチグレア表面を含んでもよく、第2の主面104は反射防止表面を含んでもよい。別の例では、第1の主面102は反射防止表面を含み、第2の主面104はアンチグレア表面を含む。さらに別の例では、第1の主面102はアンチグレア面および反射防止表面の一方または両方を含み、第2の主面104は装飾表面を含む。
【0065】
反射防止表面は、エッチングプロセスを使用して形成されてもよく、20%以下(例えば、約15%以下、または約10%以下)の透過ヘイズおよび約80以下の写像性(DOI)を示してもよい。本明細書で使用される場合、「透過ヘイズ」および「ヘイズ」という用語は、ASTM手順D1003に従って、約±2.5°の角円錐の外側で散乱された透過光のパーセンテージを指す。光学的に滑らかな表面の場合、透過ヘイズは一般にほぼゼロである。本明細書で使用される場合、「写像性」という用語は、その内容が参照により本明細書に組み込まれる「Standard Test Methods for Instrumental Measurements of Distinctness-of-Image Gloss of Coating Surfaces」と題するASTM手順D5767(ASTM5767)の方法Aによって定義される。ASTM5767の方法Aに従って、鏡面反射角および鏡面反射角から僅かに外れた角度でアンチグレア表面において基板反射係数測定が行われる。これらの測定から得られた値を組み合わせて、DOI値を提供する。特に、DOIは式
DOI=[1-Ros/Rs]×100,(1)
に従って計算され、式中、Rosは、鏡面反射方向から0.2°~0.4°離れた相対反射強度平均であり、Rsは、鏡面反射方向(鏡面反射方向を中央とした+0.05°~-0.05°)における相対反射強度平均である。入力光源角度が試料表面法線から+20°であり(本開示全体を通してそうである)、試料に対して垂直な表面が0°と見なされる場合、鏡面反射光Rsの測定値は、約-19.95°~-20.05°の範囲で平均として取られ、Rosは約-20.2°~-20.4°の範囲(または-19.6°~-19.8°、またはこれらの2つの範囲の両方の平均)の平均反射強度と見なされる。本明細書で使用される場合、DOI値は、本明細書で定義されるRos/Rsの目標比を指定するものとして直接解釈されるべきである。幾つかの実施形態では、アンチグレア表面は、反射された光出力の>95%が+/-10°の円錐内に含まれるような反射された散乱プロファイルを有し、円錐は、あらゆる入力角度に対して鏡面反射方向に中央合わせされる。
【0066】
結果として生じるアンチグレア表面は、表面から外向きに面する開口を有する複数の凹状の特徴を備えたテクスチャ付き表面を含んでもよい。開口は、約30μm以下の平均断面寸法を有してもよい。1つ以上の実施形態では、アンチグレア表面は、約6%以下のPPDrなどの(低いピクセルパワー偏差基準またはPPDrに関して)低い輝度を示し、本明細書で使用される場合、「ピクセルパワー偏差基準」または「PPDr」という用語は、ディスプレイの輝度の量的測定を指す。別段の定めがない限り、PPDrは、60μm×180μmのネイティブサブピクセルピッチおよび約44μm×約142μmのサブピクセル開口ウィンドウサイズを有する、エッジ照明液晶ディスプレイスクリーン(ツイステッドネマチック液晶ディスプレイ)を含むディスプレイ配列を使用して測定される。液晶ディスプレイスクリーンの前面は、光沢のある、反射防止タイプの直線偏光子フィルムを有していた。ディスプレイシステムまたはディスプレイシステムの一部を形成するアンチグレア表面のPPDrを決定するために、スクリーンが、人間の観察者の目のパラメータを近似する「アイシミュレータ」カメラの焦点領域に配置される。このように、カメラシステムは、開口部(または「瞳孔開口部」)を含み、開口部は、光路に挿入されることにより光の収集角度を調整し、これにより、人間の目の瞳孔の開口部に近似する。本明細書に記載のPPDr測定では、虹彩絞りは、18ミリラジアンの角度を成す。
【0067】
反射防止表面は、高屈折率材料と低屈折率材料との交互の層から形成された多層コーティングスタックによって形成されてもよい。このようなコーティングスタックは、6層以上を含んでもよい。1つ以上の実施形態では、反射防止表面は、約400nm~約800nmの範囲の光波長レジームにわたって約2%以下(例えば、約1.5%以下、約1%以下、約0.75%以下、約0.5%以下または約0.25%以下)の片面平均光反射率を示してもよい。平均反射率は、約0度よりも大きく約10度未満の入射照明角度で測定される。
【0068】
装飾表面は、顔料(例えば、インク、塗料など)から形成されたあらゆる美的デザインを含んでもよく、木目調デザイン、ブラッシュドメタルデザイン、グラフィックデザイン、ポートレートまたはロゴを含むことができる。1つ以上の実施形態では、装飾表面は、デッドフロント効果を示し、デッドフロント効果では、装飾表面は、ディスプレイがオフにされたとき、下側にあるディスプレイを見る人から隠すまたは覆うが、ディスプレイがオンにされたときはディスプレイを見ることを可能にする。装飾表面は、ガラス物品に印刷されてもよい。1つ以上の実施形態では、アンチグレア表面は、エッチングされた表面を含む。1つ以上の実施形態では、反射防止表面は、多層コーティングを含む。1つ以上の実施形態では、清掃容易表面は、指紋防止特性を付与する疎油性コーティングを含む。1つ以上の実施形態では、触覚表面は、触れたときにユーザに触覚フィードバックを提供するために、表面上にポリマーまたはガラス材料を堆積させることによって形成された隆起または凹面を含む。
【0069】
1つ以上の実施形態では、第1の主面および第2の主面の一方または両方は、内側部分を取り囲む外周部を含む。1つ以上の実施形態では、外周部は表面処理を含むのに対し、内側部分は、表面処理を実質的に有さないかまたは外周部とは異なる表面処理を含む。1つ以上の実施形態では、装飾表面は、外周部の少なくとも一部に配置され、内側部分は、装飾表面を実質的に有さない。装飾表面は、黒のボーダー、木目調のデザイン、ブラッシュドメタルデザイン、グラフィックデザイン、ポートレートおよびロゴのいずれかを含んでもよい。
【0070】
1つ以上の実施形態では、ガラス物品は、飛散防止層(フィルムまたはコーティングであってもよい)を実質的に有さない。このような実施形態では、第1または第2の主面の一方は、飛散防止層を実質的に有さない。
【0071】
1つ以上の実施形態では、ガラス物品が、第1の主面が約250mmの曲率半径を有する凹状形状を含むように実質的にフラットな構成から湾曲した構成に湾曲させられると、CSmaxは、約8%よりも多く、約10%よりも多く、約12%よりも多く、約14%よりも多く、約15%よりも多く、約16%よりも多く、約18%よりも多くまたは約20%よりも多く増大する。
【0072】
複数の実施形態において、ガラス物品が、第1の主面が約500mmの曲率半径を有する凹状形状を含むように実質的にフラットな構成から湾曲した構成に湾曲させられると、DOCは、約200%以上または約300%以上増大し、第2の主面から測定された第2の圧縮深さ(DOC2)は、15%よりも少なく減少する。1つ以上の実施形態では、DOCは、約210%以上、約220%以上、約230%以上、240%以上、250%以上、260%以上、270%以上、280%または以上、約290%以上、約300%以上、約310%以上、約320%以上、約325%以上、約330%以上、約340%以上、約350%以上、約360%以上、約370%以上、約380%以上、約310%以上、約390%以上または約400%増大する。例えば、DOCは、約200%~約500%、約225%~約500%、約250%~約500%、約275%~約500%、約300%~約500%、約325%~約500%、約350%~約500%、約375%~約500%、約400%~約500%、約425%~約500%、約450%~約500%、約200%~約475%、約200%~約450%、約200%~約425%、約200%~約400%、約200%~約375%、約200%~約350%、約200%~約325%、約200%~約300%、約200%~約275%、約200%~約250%または約200%~約225%の範囲の量だけ増大する。1つ以上のこのような実施形態では、ガラス物品が、第1の主面が約500mmの曲率半径を有する凹状形状を含むように実質的にフラットな構成から湾曲した構成に湾曲させられると、CTmaxは、250%以下(例えば、225%以下、200%以下、175%以下、150%以下、125%以下、100%以下、75%以下、50%以下または25%以下)だけ増大する。
【0073】
1つ以上の実施形態では、ガラス物品が、第1の主面が約250mmの曲率半径を有する凹状形状を含むように実質的にフラットな構成から湾曲した構成に湾曲させられると、DOCは、約600%よりも多く増大し、第2の主面から測定された第2の圧縮深さ(DOC2)は、約25%よりも少なく減少する。例えば、DOCは、約625%以上、約650%以上または約700%以上増大してもよい。DOC2は、約20%以下、約15%以下または約10%以下だけ減少してもよい。1つ以上のこのような実施形態では、ガラス物品が、第1の主面が約250mmの曲率半径を有する凹状形状を含むように実質的にフラットな構成から湾曲した構成に湾曲させられると、CTmaxは、400%以下(例えば、375%以下、350%以下、325%以下、300%以下、275%以下、250%以下、225%以下、200%以下、175%以下、150%以下、125%以下、100%以下、75%以下、50%以下または25%以下)だけ増大する。
【0074】
本開示の第2の態様は、図4に示すように、湾曲したガラス物品200に関する。1つ以上の実施形態では、湾曲したガラス物品は、凹状の第1の主面210と、凹状の第1の主面と反対側の凸状の第2の主面220と、厚さ(t)(mm)を規定する凹状の第1の主面と凸状の第2の主面とを接続する副面230とを含む。1つ以上の実施形態では、湾曲したガラス物品は、凹状の第1の主面から第1の圧縮応力深さ(DOC1)まで延びる第1のCS領域を含む。第1のCS領域は、第1の最大CS値(CSmax1)を有する。1つ以上の実施形態では、凸状の第2の主面は、凸状の第2の主面から第2の圧縮応力深さ(DOC2)まで延びる第2のCS領域を含み、第2のCS領域は、第2の最大CS値(CSmax2)を有する。湾曲したガラス物品は、第1のCS領域と、最大CT値(CTcurved-max)を有する第2のCS領域との間に配置された中央張力(CT)領域を含む。CS領域およびCT領域は、厚さに沿った応力分布を規定する。
【0075】
1つ以上の実施形態では、湾曲したガラス物品の厚さは、約0.05mm~約2mmの範囲にある。例えば、厚さは、約0.06mm~約2mm、約0.08mm~約2mm、約0.1mm~約2mm、約0.12mm~約2mm、約0.05mm~約2mm、約0.14mm~約2mm、約0.15mm~約2mm、約0.16mm~約2mm、約0.18mm~約2mm、約0.2mm~約2mm、約0.25mm~約2mm、約0.3mm~約2mm、約0.4mm~約2mm、約0.5mm~約2mm、約0.55mm~約2mm、約0.6mm~約2mm、約0.05mm~約2mm、約0.6mm~約2mm、約0.7mm~約2mm、約0.8mm~約2mm、約0.9mm~約2mm、約1mm~約2mm、約1.1mm~約2mm、約1.2mm~約2mm、約1.5mm~約2mm、約0.05mm~約1.8mm、約0.05mm~約1.6mm、約0.05mm~約1.5mm、約0.05mm~約1.4mm、約0.05mm~約1.2mm、約0.05mm~約1.1mm、約0.05mm~約1mm、約0.05mm~約0.9mm、約0.05mm~約0.8mm、約0.05mm~約0.7mm、約0.05mm~約0.6mm、約0.05mm~約0.55mm、約0.05mm~約0.5mm、約0.05mm~約0.4mm、約0.05mm~約0.3mmまたは約0.7mm~約1.5mmの範囲であってもよい。
【0076】
1つ以上の実施形態では、湾曲したガラス基板は、約5cm~約250cm、約10cm~約250cm、約15cm~約250cm、約20cm~約250cm、約25cm~約250cm、約30cm~約250cm、約35cm~約250cm、約40cm~約250cm、約45cm~約250cm、約50cm~約250cm、約55cm~約250cm、約60cm~約250cm、約65cm~約250cm、約70cm~約250cm、約75cm~約250cm、約80cm~約250cm、約85cm~約250cm、約90cm~約250cm、約95cm~約250cm、約100cm~約250cm、約110cm~約250cm、約120cm~約250cm、約130cm~約250cm、約140cm~約250cm、約150cm~約250cm、約5cm~約240cm、約5cm~約230cm、約5cm~約220cm、約5cm~約210cm、約5cm~約200cm、約5cm~約190cm、約5cm~約180cm、約5cm~約170cm、約5cm~約160cm、約5cm~約150cm、約5cm~約140cm、約5cm~約130cm、約5cm~約120cm、約5cm~約110cm、約5cm~約110cm、約5cm~約100cm、約5cm~約90cm、約5cm~約80cmまたは約5cm~約75cmの範囲の幅(W)を有する。
【0077】
1つ以上の実施形態では、湾曲したガラス基板は、約5cm~約250cm、約10cm~約250cm、約15cm~約250cm、約20cm~約250cm、約25cm~約250cm、約30cm~約250cm、約35cm~約250cm、約40cm~約250cm、約45cm~約250cm、約50cm~約250cm、約55cm~約250cm、約60cm~約250cm、約65cm~約250cm、約70cm~約250cm、約75cm~約250cm、約80cm~約250cm、約85cm~約250cm、約90cm~約250cm、約95cm~約250cm、約100cm~約250cm、約110cm~約250cm、約120cm~約250cm、約130cm~約250cm、約140cm~約250cm、約150cm~約250cm、約5cm~約240cm、約5cm~約230cm、約5cm~約220cm、約5cm~約210cm、約5cm~約200cm、約5cm~約190cm、約5cm~約180cm、約5cm~約170cm、約5cm~約160cm、約5cm~約150cm、約5cm~約140cm、約5cm~約130cm、約5cm~約120cm、約5cm~約110cm、約5cm~約110cm、約5cm~約100cm、約5cm~約90cm、約5cm~約80cmまたは約5cm~約75cmの範囲の長さ(L)を有する。
【0078】
1つ以上の実施形態では、凹状の第1の主面210は、約20mm以上、約50mm以上または約100mm以上(例えば、約125mm以上、150mm以上、175mm以上、200mm以上、250mm以上、300mm以上、350mm以上、400mm以上、500mm以上、600mm以上、750mm以上、1000mm以上、1250mm以上、1500mm以上、1750mm以上、2000mm以上、2250mm以上、2500mm以上)の最大曲率半径を有する。
【0079】
1つ以上の実施形態では、CSmax2はCSmax1よりも小さい。1つ以上の実施形態では、CSmax1は約800MPaよりも大きい。1つ以上の実施形態では、CSmax1は、約800MPa以上、約820MPa以上、約840MPa以上、約850MPa以上、約860MPa以上、約880MPa以上、900MPa以上、約920MPa以上、約940MPa以上、約950MPa以上、約960MPa以上、約980MPa以上、約1000MPa以上、約1020MPa以上、約1040MPa以上、約1050MPa以上、約1060MPa以上、約1080MPa以上、約1100MPa以上、約1120MPa以上、約1140MPa以上、約1150MPa以上、約1160MPa以上、約1180MPa以上、約1200MPa以上、約1220MPa以上、約1240MPa以上、約1250MPa以上、約1260MPa以上、約1280MPa以上または約1300MPa以上である。1つ以上の実施形態では、CSmax1は、約800MPa~約1500MPa、約820MPa~約1500MPa、約840MPa~約1500MPa、約850MPa~約1500MPa、約860MPa~約1500MPa、約880MPa~約1500MPa、約900MPa~約1500MPa、約920MPa~約1500MPa、約940MPa~約1500MPa、約950MPa~約1500MPa、約960MPa~約1500MPa、約980MPa~約1500MPa、約1000MPa~約1500MPa、約1020MPa~約1500MPa、約1040MPa~約1500MPa、約1050MPa~約1500MPa、約1060MPa~約1500MPa、約1080MPa~約1500MPa、約1100MPa~約1500MPa、約1120MPa~約1500MPa、約1140MPa~約1500MPa、約1150MPa~約1500MPa、約1160MPa~約1500MPa、約1180MPa~約1500MPa、約1200MPa~約1500MPa、約1220MPa~約1500MPa、約1240MPa~約1500MPa、約1250MPa~約1500MPa、約1260MPa~約1500MPa、約1280MPa~約1500MPa、約1300MPa~約1500MPa、約800MPa~約1480MPa、約800MPa~約1460MPa、約800MPa~約1450MPa、約800MPa~約1440MPa、約800MPa~約1420MPa、約800MPa~約1400MPa、約800MPa~約1380MPa、約800MPa~約1360MPa、約800MPa~約1350MPa、約800MPa~約1340MPa、約800MPa~約1320MPa、約800MPa~約1300MPa、約800MPa~約1280MPa、約800MPa~約1260MPa、約800MPa~約1250MPa、約800MPa~約1240MPa、約800MPa~約1220MPa、約800MPa~約1210MPa、約800MPa~約1200MPa、約800MPa~約1180MPa、約800MPa~約1160MPa、約800MPa~約1150MPa、約800MPa~約1140MPa、約800MPa~約1120MPa、約800MPa~約1100MPa、約800MPa~約1080MPa、約800MPa~約1060MPa、約800MPa~約1050MPa、約950MPa~約1050MPaまたは約1000MPa~約1050MPaの範囲にある。
【0080】
1つ以上の実施形態では、CSmax2は、約600MPa以上、620MPa以上、640MPa以上、650MPa以上、660MPa以上、680MPa以上、700MPa以上、720MPa以上、740MPa以上、750MPa以上、760MPa以上、780MPa以上、800MPa以上、約820MPa以上、約840MPa以上、約850MPa以上、約860MPa以上、約880MPa以上、900MPa以上、約920MPa以上、約940MPa以上、約950MPa以上、約960MPa以上、約980MPa以上、約1000MPa以上、約1020MPa以上、約1040MPa以上、約1050MPa以上、約1060MPa以上、約1080MPa以上、約1100MPa以上、約1120MPa以上、約1140MPa以上、約1150MPa以上、約1160MPa以上、約1180MPa以上、約1200MPa以上、約1220MPa以上、約1240MPa以上、約1250MPa以上、約1260MPa以上、約1280MPa以上または約1300MPa以上である。1つ以上の実施形態では、CSmax1は、約800MPa~約1500MPa、約820MPa~約1500MPa、約840MPa~約1500MPa、約850MPa~約1500MPa、約860MPa~約1500MPa、約880MPa~約1500MPa、約900MPa~約1500MPa、約920MPa~約1500MPa、約940MPa~約1500MPa、約950MPa~約1500MPa、約960MPa~約1500MPa、約980MPa~約1500MPa、約1000MPa~約1500MPa、約1020MPa~約1500MPa、約1040MPa~約1500MPa、約1050MPa~約1500MPa、約1060MPa~約1500MPa、約1080MPa~約1500MPa、約1100MPa~約1500MPa、約1120MPa~約1500MPa、約1140MPa~約1500MPa、約1150MPa~約1500MPa、約1160MPa~約1500MPa、約1180MPa~約1500MPa、約1200MPa~約1500MPa、約1220MPa~約1500MPa、約1240MPa~約1500MPa、約1250MPa~約1500MPa、約1260MPa~約1500MPa、約1280MPa~約1500MPa、約1300MPa~約1500MPa、約800MPa~約1480MPa、約800MPa~約1460MPa、約800MPa~約1450MPa、約800MPa~約1440MPa、約800MPa~約1420MPa、約800MPa~約1400MPa、約800MPa~約1380MPa、約800MPa~約1360MPa、約800MPa~約1350MPa、約800MPa~約1340MPa、約800MPa~約1320MPa、約800MPa~約1300MPa、約800MPa~約1280MPa、約800MPa~約1260MPa、約800MPa~約1250MPa、約800MPa~約1240MPa、約800MPa~約1220MPa、約800MPa~約1210MPa、約800MPa~約1200MPa、約800MPa~約1180MPa、約800MPa~約1160MPa、約800MPa~約1150MPa、約800MPa~約1140MPa、約800MPa~約1120MPa、約800MPa~約1100MPa、約800MPa~約1080MPa、約800MPa~約1060MPa、約800MPa~約1050MPa、約950MPa~約1050MPaまたは約1000MPa~約1050MPaの範囲にある。
【0081】
湾曲したガラス物品の1つ以上の実施形態では、DOC1はDOC2と異なる。1つ以上の実施形態では、DOC1はDOC2よりも大きい。1つ以上の実施形態では、湾曲したガラス物品のDOC1およびDOC2の両方の値のうちの一方は、約0.2t以下である。例えば、DOC1および/またはDOC2は、約0.18t以下、約0.18t以下、約0.16t以下、約0.15t以下、約0.14t以下、約0.12t以下、約0.1t以下、約0.08t以下、約0.06t以下、約0.05t以下、約0.04t以下または約0.03t以下であってもよい。1つ以上の実施形態では、DOC1および/またはDOC2は、約0.02t~約0.2t、約0.04t~約0.2t、約0.05t~約0.2t、約0.06t~約0.2t、約0.08t~約0.2t、約0.1t~約0.2t、約0.12t~約0.2t、約0.14t~約0.2t、約0.15t~約0.2t、約0.16t~約0.2t、約0.02t~約0.18t、約0.02t~約0.16t、約0.02t~約0.15t、約0.02t~約0.14t、約0.02t~約0.12t、約0.02t~約0.1t、約0.02t~約0.08、約0.02t~約0.06t、約0.02t~約0.05t、約0.1t~約0.8t、約0.12t~約0.16tまたは約0.14t~約0.17tの範囲にある。
【0082】
1つ以上の実施形態では、湾曲したガラス物品が湾曲していない構成にある場合、ガラス物品は、第1の主面から約0.25t~約0.75tの範囲の深さに配置された最大CT値(CTuncurved-max)を含む。1つ以上のこのような実施形態では、CTuncurved-maxは、約0.25t~約0.74t、約0.25t~約0.72t、約0.25t~約0.70t、約0.25t~約0.68t、約0.25t~約0.66t、約0.25t~約0.65t、約0.25t~約0.62t、約0.25t~約0.60t、約0.25t~約0.58t、約0.25t~約0.56t、約0.25t~約0.55t、約0.25t~約0.54t、約0.25t~約0.52t、約0.25t~約0.50t、約0.26t~約0.75t、約0.28t~約0.75t、約0.30t~約0.75t、約0.32t~約0.75t、約0.34t~約0.75t、約0.35t~約0.75t、約0.36t~約0.75t、約0.38t~約0.75t、約0.40t~約0.75t、約0.42t~約0.75t、約0.44t~約0.75t、約0.45t~約0.75t、約0.46t~約0.75t、約0.48t~約0.50t、約0.30t~約0.70t、約0.35t~約0.65t、約0.4t~約0.6tまたは約0.45t~約0.55tの範囲の深さに配置されている。1つ以上の実施形態では、CTuncurved-maxの位置に関する前述の範囲は、湾曲していないガラス物品が約5000mmよりも大きいまたは約10000mmよりも大きい曲率半径を有する場合に存在する。
【0083】
1つ以上の実施形態では、CTuncurved-maxは、約400MPa未満(例えば、約390MPa以下、380MPa以下、375MPa以下、370MPa以下、360MPa以下、350MPa以下、340MPa以下、330MPa以下、325MPa以下、320MPa以下、310MPa以下、300MPa以下、275MPa以下、250MPa以下、225MPa以下、200MPa以下、175MPa以下、150MPa以下、125MPa以下、100MPa以下、90MPa以下、80MPa以下、75MPa以下、70MPa以下、65MPa以下、60MPa以下、55MPa以下または約50MPa以下)の大きさを有する。前述のCTuncurved-maxの大きさの値は、CSmax1が約800MPaよりも大きい場合に存在する。1つ以上の実施形態では、ガラス物品は、CTcurved-max/CTuncurved-max≧1.4(例えば、1.5以上、1.6以上、1.7以上、1.8以上、1.9以上または約2以上)の関係を示す。
【0084】
1つ以上の実施形態では、CTcurved-maxは、約400MPa未満(例えば、約390MPa以下、380MPa以下、375MPa以下、370MPa以下、360MPa以下、350MPa以下、340MPa以下、330MPa以下、325MPa以下、320MPa以下、310MPa以下、300MPa以下、275MPa以下、250MPa以下、225MPa以下、200MPa以下、175MPa以下、150MPa以下、125MPa以下、100MPa以下、90MPa以下、80MPa以下、75MPa以下、70MPa以下、65MPa以下、60MPa以下、55MPa以下または約50MPa以下)の大きさを有する。1つ以上の実施形態では、CTcurved-maxは、約30MPa~約80MPa、約35MPa~約80MPa、約40MPa~約80MPa、約45MPa~約80MPa、約50MPa~約80MPa、約55MPa~約80MPa、約60MPa~約80MPa、約65MPa~約80MPa、約70MPa~約80MPa、約30MPa~約75MPa、約30MPa~約70MPa、約30MPa~約65MPa、約30MPa~約60MPa、約30MPa~約55MPa、約30MPa~約50MPa、約30MPa~約45MPa、約30MPa~約40MPa、約40MPa~約70MPa、約50MPa~約70MPaまたは約60MPa~約80MPaの範囲にある。CTcurved-maxのこのような範囲は、湾曲したガラス物品が約250mm~約2500mm、約300mm~約2500mm、約350mm~約2500mm、約400mm~約2500mm、約450mm~約2500mm、約500mm~約2500mm、約550mm~約2500mm、約600mm~約2500mm、約650mm~約2500mm、約700mm~約2500mm、約750mm~約2500mm、約800mm~約2500mm、約900mm~約2500mm、約1000mm~約2500mm、約250mm~約2000mm、約250mm~約1500mm、約250mm~約1000mm、約500mm~約1000mm、約600mm~約1000mm、約700mm~約1000mmの範囲および前述の全ての範囲および部分範囲の曲率半径を有するときに存在する。
【0085】
1つ以上の実施形態では、CTcurved-maxは、凸状の第2の主面から約0.12t以下の深さに配置されている。例えば、CTcurved-maxの深さは、約0.11t以下、0.1t以下、0.09t以下、0.08t以下、0.075t以下、0.07t以下、0.06t以下、0.05t以下、0.04t以下、0.03t以下または約0.025t以下であってもよい。
【0086】
1つ以上の実施形態では、湾曲したガラス物品のCSmax1は、約900MPa以上、約920MPa以上、約940MPa以上、約950MPa以上、約960MPa以上、約980MPa以上、1000MPa以上、約1020MPa以上、約1040MPa以上、約1050MPa以上、約1060MPa以上、約1080MPa以上、約1100MPa以上、約1120MPa以上、約1140MPa以上、約1150MPa以上、約1160MPa以上、約1180MPa以上、約1200MPa以上、約1220MPa以上、約1240MPa以上、約1250MPa以上、約1260MPa以上、約1280MPa以上または約1300MPa以上である。1つ以上の実施形態では、CSmaxは、約900MPa~約1500MPa、約920MPa~約1500MPa、約940MPa~約1500MPa、約950MPa~約1500MPa、約960MPa~約1500MPa、約980MPa~約1500MPa、約1000MPa~約1500MPa、約1020MPa~約1500MPa、約1040MPa~約1500MPa、約1050MPa~約1500MPa、約1060MPa~約1500MPa、約1080MPa~約1500MPa、約1100MPa~約1500MPa、約1120MPa~約1500MPa、約1140MPa~約1500MPa、約1150MPa~約1500MPa、約1160MPa~約1500MPa、約1180MPa~約1500MPa、約1200MPa~約1500MPa、約1220MPa~約1500MPa、約1240MPa~約1500MPa、約1250MPa~約1500MPa、約1260MPa~約1500MPa、約1280MPa~約1500MPa、約1300MPa~約1500MPa、約900MPa~約1480MPa、約900MPa~約1460MPa、約900MPa~約1450MPa、約900MPa~約1440MPa、約900MPa~約1420MPa、約900MPa~約1400MPa、約900MPa~約1380MPa、約900MPa~約1360MPa、約900MPa~約1350MPa、約900MPa~約1340MPa、約900MPa~約1320MPa、約900MPa~約1300MPa、約900MPa~約1280MPa、約900MPa~約1260MPa、約900MPa~約1250MPa、約900MPa~約1240MPa、約900MPa~約1220MPa、約900MPa~約1210MPa、約900MPa~約1200MPa、約900MPa~約1180MPa、約900MPa~約1160MPa、約900MPa~約1150MPa、約900MPa~約1140MPa、約900MPa~約1120MPa、約900MPa~約1100MPa、約900MPa~約1080MPa、約900MPa~約1060MPa、約900MPa~約1050MPa、約950MPa~約1050MPaまたは約1000MPa~約1050MPaの範囲にある。CSmax1は、主面において測定されてもよくまたはCS領域内の主面から所定の深さにおいて見出されてもよい。
【0087】
1つ以上の実施形態では、湾曲したガラス物品のCSmax2は、CSmax1の値よりも小さい値を有する。1つ以上の実施形態では、湾曲したガラス物品のCSmax2は、約700MPa以上、約750MPa以上、約800MPa以上、約850MPa以上、約900MPa以上、約920MPa以上、約940MPa以上、約950MPa以上、約960MPa以上、約980MPa以上、約1000MPa以上、約1020MPa以上、約1040MPa以上、約1050MPa以上、約1060MPa以上、約1080MPa以上、約1100MPa以上、約1120MPa以上、約1140MPa以上、約1150MPa以上、約1160MPa以上、約1180MPa以上、約1200MPa以上、約1220MPa以上、約1240MPa以上、約1250MPa以上、約1260MPa以上、約1280MPa以上または約1300MPa以上である。1つ以上の実施形態では、CSmaxは、約900MPa~約1500MPa、約920MPa~約1500MPa、約940MPa~約1500MPa、約950MPa~約1500MPa、約960MPa~約1500MPa、約980MPa~約1500MPa、約1000MPa~約1500MPa、約1020MPa~約1500MPa、約1040MPa~約1500MPa、約1050MPa~約1500MPa、約1060MPa~約1500MPa、約1080MPa~約1500MPa、約1100MPa~約1500MPa、約1120MPa~約1500MPa、約1140MPa~約1500MPa、約1150MPa~約1500MPa、約1160MPa~約1500MPa、約1180MPa~約1500MPa、約1200MPa~約1500MPa、約1220MPa~約1500MPa、約1240MPa~約1500MPa、約1250MPa~約1500MPa、約1260MPa~約1500MPa、約1280MPa~約1500MPa、約1300MPa~約1500MPa、約900MPa~約1480MPa、約900MPa~約1460MPa、約900MPa~約1450MPa、約900MPa~約1440MPa、約900MPa~約1420MPa、約900MPa~約1400MPa、約900MPa~約1380MPa、約900MPa~約1360MPa、約900MPa~約1350MPa、約900MPa~約1340MPa、約900MPa~約1320MPa、約900MPa~約1300MPa、約900MPa~約1280MPa、約900MPa~約1260MPa、約900MPa~約1250MPa、約900MPa~約1240MPa、約900MPa~約1220MPa、約900MPa~約1210MPa、約900MPa~約1200MPa、約900MPa~約1180MPa、約900MPa~約1160MPa、約900MPa~約1150MPa、約900MPa~約1140MPa、約900MPa~約1120MPa、約900MPa~約1100MPa、約900MPa~約1080MPa、約900MPa~約1060MPa、約900MPa~約1050MPa、約950MPa~約1050MPaまたは約1000MPa~約1050MPaの範囲にある。CSmax2は、主面において測定されてもよくまたはCS領域内の主面から所定の深さにおいて見出されてもよい。
【0088】
1つ以上の実施形態では、CSmax1およびCSmax2の一方または両方は、約10μmの深さにおいて700MPa以上または約800MPa以上の大きさを有する。このような深さでは、CSmax1およびCSmax2の一方または両方は、850MPa以上、900MPa以上、950MPa以上、1000MPa以上、1050MPa以上、1100MPa以上、1150MPa以上または約1200MPa以上の大きさを有する。
【0089】
1つ以上の実施形態では、CTcurved-maxは、凸状の第2の主面から約0.12t以下の深さに配置されている。例えば、CTcurved-maxの深さは、約0.11t以下、0.1t以下、0.09t以下、0.08t以下、0.075t以下、0.07t以下、0.06t以下、0.05t、0.04t以下、0.03t以下または約0.025t以下であってもよい。
【0090】
1つ以上の実施形態では、湾曲したガラス物品は、円錐面、円筒面または可展面を含む。
【0091】
1つ以上の実施形態では、第1の主面および第2の主面の一方または両方が、本開示の第1の態様に関して説明したように、表面処理を含む。1つ以上の実施形態では、表面処理は、第1の主面および第2の主面の少なくとも一部に広がっている。
【0092】
1つ以上の実施形態では、湾曲したガラス物品は、飛散防止層(フィルムまたはコーティングであってもよい)を実質的に有さない。
【0093】
1つ以上の実施形態では、湾曲したガラス物品は、約0.05mm~約2mmの範囲の厚さ、約250mm~約2500mm(例えば、約500mm~約2500mm、約600mm~約2500mm、約700mm~約2500mm、約800mm~約2500mm、約900mm~約2500mmまたは約1000mm~約2500mm)の範囲の曲率半径および約250MPa以下(例えば、約225MPa以下、200MPa以下、175MPa以下、150MPa以下、125MPa以下、100MPa以下、90MPa以下、80MPa以下、75MPa以下、70MPa以下、65MPa以下、60MPa以下、55MPa以下または約50MPa以下)のCTcurved-maxの大きさを有する。
【0094】
1つ以上の実施形態の湾曲したガラス物品は、第1または第2の主面に配置されたフレーム、ディスプレイまたはタッチパネルをさらに含む。1つ以上の特定の実施形態では、湾曲したガラス物品は、第1または第2の主面と、フレーム、ディスプレイまたはタッチパネルとの間に配置された接着剤を含む。1つ以上の実施形態では、ディスプレイは、液晶ディスプレイ、OLEDディスプレイなどであってもよい。
【0095】
本開示の第3の態様は、自動車の内装システムに関する。図5に示されるように、1つ以上の実施形態の自動車内装システム300は、ベース310と、ベース上に配置されたガラス物品320または湾曲したガラス物品330とを含む。自動車内装システムは、第1の態様によるガラス物品の1つ以上の実施形態によるガラス物品または第2の態様による湾曲したガラス物品を含んでもよい。1つ以上の実施形態では、自動車内装システムは、優れたヘッドフォーム衝撃性能を示す。例えば、6.8kgの質量のインパクタが5.35m/s~6.69m/sの衝撃速度でガラス物品の第1の主面に衝突した場合、インパクタの減速度は、120g(重力)以下である。ベース310は、ダッシュボード、アームレスト、ピラー、背もたれ、フロアボード、ヘッドレスト、ドアパネルまたは自動車内装のあらゆる部分を含んでもよい。1つ以上の実施形態では、インパクタの減速度は、衝撃時間にわたるどの3ms区間においても80gよりも大きくない。自動車内装システムの1つ以上の実施形態では、インパクタがガラス物品を破壊したとき、ガラス物品は、ガラス物品から10mm以下または約5mm以下の距離で、1mm以下の最大寸法を有する粒子を放出する。
【0096】
湾曲したガラス物品を含む自動車内装システムの1つ以上の実施形態では、ベースは湾曲していてもよく、湾曲したガラス物品の最大曲率半径の10%以内の曲率半径を有してもよい。1つ以上の実施形態では、ベースは実質的にフラットであってもよい。
【0097】
自動車内装システムは、ガラス物品とベースとの間に配置されたフレーム、タッチパネルおよび/またはディスプレイを含んでもよい。選択的に、システムは、ガラス物品の第2の主面および副面を少なくとも部分的に取り囲むハウジングを含んでもよい。1つ以上の実施形態では、ハウジングは、フレームを部分的に取り囲んでもよい。フレームおよび/またはハウジングは、使用される場合、硬いプラスチック材料または金属(例えば、鋼、鋼合金、マグネシウム、マグネシウム合金、アルミニウム、アルミニウム合金または自動車工業において使用されるあらゆるその他の公知の金属またはその合金)から形成されてもよい。1つ以上の実施形態では、フレームおよび/またはハウジング材料は、フレームおよび/またはハウジングに増大した剛性を提供するために、リブまたはその他の構造を含むことによって補強されてもよい。1つ以上の実施形態では、自動車内装システムは、ガラス物品とフレームとの間に接着剤またはその他の締結具を含む。自動車内装システムは、ガラス物品と、ディスプレイおよび/またはタッチパネルとの間に接着剤を含んでもよい。
【0098】
1つ以上の実施形態では、自動車内装システムは、ベースと、第2の主面がベースに隣接するようにベース上に配置されたガラス物品310とを含み、6.8kgの質量を有するインパクタが5.35m/s~6.69m/sの衝撃速度で第1の主面に衝突するとき、ガラス物品は弾性変形する。本明細書で使用される場合、「弾性変形」という語句は、ガラス物品が、衝撃力が除去された後に自己反転する一時的な形状変化を受け、これにより、ガラス物品が元の形状に戻ることを意味する。1つ以上の実施形態では、インパクタの減速度は、衝撃時間にわたるどの3ms区間においても120g(重力)以下であるかまたは80gよりも大きくない。
【0099】
1つ以上の実施形態では、自動車内装システムは、ガラス物品とベースとの間に配置されたフレームを含み、インパクタが第1の主面に衝突すると、フレームの一部が塑性変形させられる。1つ以上の実施形態では、自動車内装システムは、第2の主面および副面を少なくとも部分的に取り囲む、ガラス物品とベースとの間に配置されたハウジングを含み、インパクタが第1の主面に衝突すると、ハウジングの一部は塑性変形させられる。
【0100】
本明細書において使用される場合、「塑性変形」という語句は、応力または衝撃による材料の永久変形を意味する。ガラス材料の例では、このような材料は十分に脆いため、塑性変形は破砕または破壊につながる。したがって、1つ以上の実施形態では、ガラス物品は、弾性変形のみを生じ、塑性変形は生じない。1つ以上の実施形態では、フレームおよび/またはハウジングの塑性変形は、ガラス物品を局所的にかつ弾性的に変形させる。1つ以上の実施形態では、このような弾性変形は、フレームとガラス物品との間の接着剤によって永続的に保持されてもよい(ただし、ガラス物品自体は塑性変形を生じない)。このような挙動は、フレームからガラス物品を取り外し、塑性変形したフレームによって生じたガラス物品に対する形状変化の一時的な性質を観察することによって観察されてもよい。このような挙動は、ガラス物品の第1の主面および第2の主面の応力を測定することによって観察されてもよく、これらの主面は異なる圧縮応力値を有するべきである。このような評価では、ガラス物品はフレームの塑性変形によって冷間曲げされていると説明されてもよい。1つ以上の実施形態では、フレームまたはハウジングの塑性変形した部分に隣接するガラス物品の部分は、衝撃前のガラス物品の曲率半径よりも小さい曲率半径を有する。1つ以上の実施形態では、ガラス物品の第1または第2の主面は、(このような主面に沿って測定された場合)複数の曲率半径を有する。1つ以上の実施形態では、複数の曲率半径は、(本明細書に記載されているように)約20mm以上である。1つ以上の実施形態では、ガラス物品は、副縁部に隣接する外周部と、中央部とを含み、外周部は、中央部における曲率半径よりも小さい曲率半径を有する。
【0101】
1つ以上の実施形態では、ガラス物品の第1または第2の主面は、凸状に湾曲した部分に隣接する凹状に湾曲した部分を含む。凹状に湾曲した部分および凸状に湾曲した部分は、(本明細書に記載されているように)約20mm以上の曲率半径を有する。1つ以上の実施形態では、ガラス物品は、副縁部に隣接する外周部と、中央部とを含み、外周部は、凸状に湾曲した部分および凹状に湾曲した部分の一方を含み、中央部は、凸状に湾曲した部分および凹状に湾曲した部分の他方を含む。
【0102】
1つ以上の実施形態では、自動車内装システムは、フレームと、第2の主面がフレームに隣接するようにフレーム上に配置された湾曲したガラス物品320とを含み、6.8kgの質量を有するインパクタが5.35m/s~6.69m/sの衝撃速度で第1の主面に衝突すると、ガラス物品は弾性変形させられる。1つ以上の実施形態では、インパクタの減速度は、衝撃時間にわたるどの3ms区間においても120g(重力)以下であるかまたは80gよりも大きくない。1つ以上の実施形態では、インパクタが第1の主面に衝突すると、フレームの一部が塑性変形させられる。1つ以上の実施形態では、自動車内装システムは、ハウジングを含み、フレームが、ガラス物品とハウジングとの間に配置されており、ハウジングは、フレーム、第2の主面および副面を少なくとも部分的に取り囲んでおり、インパクタが第1の主面に衝突すると、ハウジングの一部が塑性変形させられる。
【0103】
1つ以上の実施形態では、フレームまたはハウジングの塑性変形させられた部分は、ガラス物品320を局所的に弾性変形させる。1つ以上の実施形態では、フレームまたはハウジングの塑性変形させられた部分に隣接するガラス物品の少なくとも一部は、衝撃前のガラス物品の曲率半径よりも小さい曲率半径を有する。1つ以上の実施形態では、第1または第2の主面は、複数の曲率半径(本明細書に記載されているように、約20mm以上であってもよい)を含む。1つ以上の実施形態では、ガラス物品320は、副縁部に隣接する外周部と、中央部とを含み、外周部は、中央部における曲率半径よりも小さい曲率半径を有する。
【0104】
1つ以上の実施形態では、第1または第2の主面は、凸状に湾曲した部分に隣接する凹状に湾曲した部分を含む。1つ以上の実施形態では、凹状に湾曲した部分および凸状に湾曲した部分は、約20mm以上の曲率半径を有する。1つ以上の実施形態では、ガラス物品320は、副縁部に隣接する外周部と、中央部とを含み、外周部は、凸状に湾曲した部分および凹状に湾曲した部分の一方を含み、中央部は、凸状に湾曲した部分および凹状に湾曲した部分の他方を含む。1つ以上の実施形態では、フレームは湾曲しており、最大曲率半径の10%以内の曲率半径を有する。
【0105】
本開示の第4の態様は、ガラス物品を形成する方法に関する。1つ以上の実施形態では、この方法は、1つ以上の実施形態による本明細書に記載された第1の強化ガラス物品を提供するために、第1の主面、第2の主面および厚さ(t)を規定する第1の主面と第2の主面とを接続する副面を有するガラスシートを強化することを含む。1つ以上の実施形態では、ガラスシートを強化することは、ガラスシートを化学的に強化することを含む。ガラスシートを化学的に強化することは、ガラスシートを、約310℃~約450℃の範囲の温度を有するKNO3、NaNO3またはKNO3とNaNO3との組合せの溶融塩浴に、約2時間~約40時間の期間浸漬させ、強化ガラス物品を提供することを含んでもよい。幾つかの実施形態では、ガラスシートを化学的に強化することは、強化ガラス物品を、(第1の溶融塩浴に浸漬させた後)約310℃~約450℃の範囲の温度を有する、KNO3、NaNO3またはKNO3とNaNO3との組合せの第2の溶融塩浴に、約2時間~約40時間の期間浸漬させることを含む。理論によって拘束されることなく、2つの連続する溶融塩浴においてガラスシートをイオン交換することは、単一の溶融塩浴においてイオン交換されるガラスシートと比較した場合、ほぼ一定のDOL値を維持しながら、より大きなCSmaxを有する応力分布を提供すると考えられる。
【0106】
1つ以上の実施形態では、溶融塩浴の一方または両方は、K2CO3、Na2CO3、K3PO4、Na3PO4、K2SO4、Na2SO4、K3BO3、Na3BO3、KCl、NaCl、KFおよびNaFのうちの1つ以上であってもよい付加的な塩を含む。付加的な塩は、イオン交換プロセスが実行され、IOX効率を高めることができるように、溶解した液体溶質として従来の溶融塩浴(例えば、KNO3および/またはNaNO3などの硝酸塩)に添加される。付加的な塩の選択およびそれらをどのように使用するかは、同じ金属イオンであるが異なる陰イオンの付加的な塩を有する金属イオンの溶融硝酸塩の熱化学的計算によって導かれてもよい。この熱化学計算から2つのファクタを得ることができる。1つのファクタは、溶融硝酸塩における塩の溶解度であり、これは、溶融硝酸塩溶液中の付加的な塩の上限を決定する。第2のファクタは、酸化物活量の比(aK2O/aNa2O)であり、ここで、aK2OおよびaNa2Oは、それぞれK2OおよびNa2Oの活量である。酸化物活量の比(aK2O/aNa2O)は、塩溶液のK←→Naイオン交換のIOX効率を測定するためのメリットパラメータとして使用することができる。
【0107】
1つ以上の実施形態では、この方法は、強化ガラス物品を、湾曲した構成を有するように湾曲させることを含む。1つ以上の実施形態では、湾曲した構成は永続的である。
【0108】
1つ以上の実施形態では、この方法は、モジュールを提供するために、本明細書に記載されたガラス物品または湾曲したガラス物品にフレーム、ディスプレイまたはタッチパネルを取り付け、モジュールを自動車内装システムのベースに取り付けることを含む。1つ以上の実施形態では、フレーム、ディスプレイまたはタッチパネルをガラス物品に取り付けることは、ディスプレイまたはタッチパネルを湾曲したガラス物品に取り付ける前にガラス物品を湾曲させることを含む。1つ以上の実施形態では、フレーム、ディスプレイまたはタッチパネルをガラス物品に取り付けることは、ディスプレイまたはタッチパネルを湾曲したガラス物品に取り付けると同時にガラス物品を湾曲させることを含む。1つ以上の実施形態では、湾曲したガラス物品の第1の主面の一部は凹面を含み、第2の主面の反対側の部分は凸面を含む。
【0109】
1つ以上の実施形態では、この方法は、フレーム、ディスプレイまたはタッチパネルを第1の主面に取り付け、選択的に、フレーム、ディスプレイまたはタッチパネルを第2の主面に取り付けることを含む。1つ以上の実施形態では、この方法は、湾曲したガラス物品とフレーム、ディスプレイまたはタッチパネルとの間に接着剤層を配置することを含む。
【実施例
【0110】
様々な実施形態は、以下の実施例によってさらに明らかになる。
【0111】
実施例1
単一の溶融塩浴に浸漬させることによって、約1000MPaのCSmaxおよび約30μmのDOLを示すように、0.7mmの厚さのガラス物品が化学的に強化された。次に、強化ガラス物品が、様々な曲率半径を示すように冷間曲げされた。最大CSが、曲率半径ごとに凹状の第1の主面および凸状の第2の主面において測定された。さらに、DOLは、凹状の第1の主面および凸状の第2の主面から測定された。曲率半径ごとに測定されたCSおよびDOL値は、図6Aおよび図6Bの表に示されている。ガラス物品が冷間曲げされた場合、凹状の第1の主面の曲率半径が小さくなるに従い、DOLが大幅に増大する。しかしながら、凸状の第2の主面におけるDOLは、同じ曲率半径において大幅に減少することはない。特に、ガラス物品が500mmの曲率半径から250mmの曲率半径に冷間曲げされた場合、凹状の第1の主面におけるDOLは2倍よりも大きくなる。ガラス物品が500mmの曲率半径から250mmの曲率半径に冷間曲げされた場合、凸状の第2の主面におけるDOLは10%より僅かに多くしか減少しない。
【0112】
CTmaxも、様々な曲率半径において測定された。図6Cに示したように、曲率半径の減少に従いCTmaxが増加する。600mm以上の曲率半径では、CTmaxは約70MPa未満に維持され、これは、理論によって拘束されることなく、優れたヘッドフォーム衝撃性能をもたらすと考えられる。
【0113】
実施例2
1.1mmの厚さを有しかつ約63.6モル%のSiO2、15.7モル%のAl23、10.8モル%のNa2O、6.24モル%のLi2O、1.16モル%のZnO、2.5モル%のP25および0.04モル%のSnO2のガラス組成を有するガラス物品が、2段階イオン交換プロセスにおいて化学的に強化された。ガラス物品は、まず75%のKNO3および25%のNaNO3の組成ならびに430℃の温度を有する第1の溶融塩浴に8時間浸漬させられ、次いで、100%のKNO3の組成および390℃の温度を有する第2の溶融塩浴に4時間浸漬させられた。結果的に得られた強化ガラス物品は、約1030MPaのCSmaxおよび約37μmのDOL、165μmのDOCおよび約55MPaのCTmaxを示した。ガラス物品の応力分布が図7に示されている。図7に示したように、CTmax(またはCTuncurved-max)は約0.5tの深さに配置されている。本明細書に記載されているように、CT領域は、放物線状の形状を含む。
【0114】
次いで、ガラス物品は、350mmの曲率半径を示すように冷間曲げされた。このような曲率半径の場合の曲げ誘発応力が図8にプロットされている。凹状の主面における最大引張応力は125MPaである。曲げ誘発応力は次のように与えられる:
σ=σmax-(σmax/(t/2))、ここで、σmax=(E/1-v2)*(t/2)*(1/R)である。この例では、E=76.3GPa、ポアソン比=0.211、t=1.1mm、R=350mmである。
【0115】
図9では、図7のガラス物品の応力分布が、図8の曲げ誘発応力プロットに重ね合わされている。図9に示したように、CTcurved-maxは99MPaである。凹面におけるCSmax1は1155MPaであり、凸面におけるCSmax2は905MPaである。凹面におけるDOC1は377μmである、凸面におけるDOC2は27μmである。
【0116】
比較例3
1.1mmの厚さおよび実施例2と同じガラス組成を有するガラス物品が化学的に強化され、図10に示した典型的な誤差関数プロファイルを示した。図10に示したように、CSmaxは1030MPaであり、DOCは37μmであり、CTmaxは37MPaであり、62μmの深さに配置されており、この深さは、実施例2よりも第1の主面に大幅に近い位置にある。
【0117】
比較例3のガラス物品は、350mmの曲率半径に冷間曲げされた。図11では、図10の応力分布と、図8の曲げ誘発応力プロットとが重ね合わされている。図11に示したように、化学的な強化によるCTmaxは僅か37MPa(図10を参照)であるが、冷間曲げ後の結果的にもたらされるCTcurved-maxは149MPaである。この結果的にもたらされるCTcurved-max値は、実施例2(図9)よりも大幅に高い。図11にも示したように、凹状の第1の主面のCSmax1は1155MPaであり、凹状の第1の主面のDOC1は388μmであった。凸状の第2の主面のCSmax2およびDOC2は、それぞれ905MPaおよび26μmであった。
【0118】
表1は、実施例2および比較例3のその他の曲率半径のCTcurved-maxを示している。
【0119】
【表1】
【0120】
図12は、表1の曲率半径ごとに実施例2および比較例3のCTcurved-max値を比較した棒グラフである。
【0121】
図12に示したように、実施例2の強化ガラス物品は、ガラス物品が冷間曲げされた後、CTcurved-max値をより低いレベルに維持する応力分布を示す。これにより、ガラス物品は、ヘッドフォーム衝撃性能を維持しながら、より小さな曲率半径を有する湾曲した形状に成形することができる。
【0122】
実施例4
0.7mmの厚さを有しかつ実施例2と同じガラス組成を有するガラス物品は、実施例2と同じ2段階イオン交換プロセスにおいて化学的に強化された。結果的に得られた強化ガラス物品は、約970MPaのCSmax、約39μmのDOCおよび53MPaのCTmax(またはCTuncurved-max)を示した。応力分布が図13に示されている。図13に示したように、応力分布は、中央張力領域内へ延びるテールを含む。しかしながら、応力分布の放物線状の形状は、CTmaxが約0.5tに近い深さに配置されるように維持される。
【0123】
次いで、ガラス物品は、250mmの曲率半径を示すように冷間曲げされた。このような曲率半径における曲げ誘発応力が図14にプロットされている。凹状の主面における最大引張応力は112MPaである。曲げ誘発応力は次のように与えられる:
σ=σmax-(σmax/(t/2))、ここで、σmax=(E/1-v2)*(t/2)*(1/R)である。この例では、E=76.3GPa、ポアソン比=0.211、t=1.1mm、R=250mmである。
【0124】
図15では、図13のガラス物品の応力分布が、図14の曲げ誘発応力プロットに重ね合わされている。図15に示したように、CTcurved-maxは112MPaである。凹面におけるCSmax1は1082MPaであり、凸面におけるCSmax2は858MPaである。凹面におけるDOC1は216μmであり、凸面におけるDOC2は26μmである。
【0125】
比較例5
0.7mmの厚さおよび実施例2と同じガラス組成を有するガラス物品が化学的に強化され、図16に示したような典型的な誤差関数プロファイルを示した。図16に示したように、CSmaxは970MPaであり、DOCは39μmであり、CTmaxは60MPaであり、80μmの深さに配置されていた。この深さは、実施例4よりも第1の主面に大幅に近い位置である。
【0126】
比較例5のガラス物品は、250mmの曲率半径に冷間曲げされた。図17では、図16の応力分布と、図14の曲げ誘発応力プロットとが重ね合わされている。図17に示したように、化学強化によるCTmaxは僅か60MPa(図16参照)であるが、冷間曲げ後の結果的にもたらされるCTcurved-maxは149MPaである。この結果としてもたらされるCTcurved-max値は、実施例4(図15)より大幅に高い。図17にも示したように、凹状の第1の主面のCSmax1は1082MPaであり、凹状の第1の主面のDOC1は162μmであった。凸状の第2の主面のCSmax2およびDOC2は、それぞれ858MPaおよび29μmであった。
【0127】
表2は、実施例4および比較例5のその他の曲率半径についてのCTcurved-maxを示している。
【0128】
【表2】
【0129】
表2に示したように、実施例4の強化ガラス物品は、ガラス物品が冷間曲げされた後、CTcurved-max値をより低いレベルに維持する応力分布を示している。これにより、ガラス物品は、ヘッドフォームの衝撃性能を維持しながら、より小さな曲率半径を有する湾曲した形状に成形することができる。
【0130】
図18は、様々なCTcurved-max/CTuncurved-max比を示すガラス物品の粒子飛出しの最長距離を比較したグラフである。図18は、本明細書に記載の実施形態による応力分布が、向上させられたヘッドフォームの衝撃性能を有することを示している。粒子飛出しの最長距離は、ヘッドフォーム衝撃試験のためのプロキシである。より長く粒子が放出されるほど、CTcurved-maxは高くなる。より高いCTcurved-max値は、低いヘッドフォームの衝撃性能を示す。より高いCTcurved-max値は、ガラス物品がヘッドフォーム衝撃試験において衝撃を受けたときにガラスが破壊され、これにより試験に失敗することを示す。図18に示したように、全ての白点は、本明細書に記載された実施形態による応力分布を有し、公知の誤差関数応力分布を示す対応する黒点より短い粒子飛出し距離を示している。
【0131】
実施例6
1.1mmの厚さおよび実施例2と同じガラス組成を有するガラス物品が、75%のKNO3および25%のNaNO3の組成ならびに430℃の浴温度を有する第1の浴に8時間浸漬させた後、100%のKNO3の組成および390℃の浴温度を有する第2の浴に4時間浸漬させることによって化学的に強化された。化学的に強化されたガラス物品は、(フラットな構成または冷間曲げされていない構成の場合)図19に示した応力分布を示したが、これは、RNF、FSMおよびSCALPを使用して様々な応力分布属性を測定した後に計算された。図19に示したように、CSmaxは1030MPaであり、DOCは165μmであり、CTmaxは55MPaであった。ニー領域は、約37μmのDOLを有し、ニー領域におけるCSは約25MPaである。破線によって示したように、5μmの深さにおけるCSは約750MPa以上である。
【0132】
実施例7
0.7mmの厚さおよび実施例2と同じガラス組成を有するガラス物品が、実施例6と同じ方法で化学的に強化された。化学的に強化されたガラス物品は、(フラットな構成または冷間曲げされていない構成の場合)図20に示した応力分布を示しが、これは、RNF、FSMおよびSCALPを使用して様々な応力分布属性を測定した後に計算された。図20に示したように、CSmaxは970MPaであり、DOCは39μmであり、CTmaxは53MPaであった。破線によって示したように、5μmの深さにおけるCSは約750MPa以上である。
【0133】
実施例8
0.7mmの厚さおよび実施例2と同じガラス組成を有するガラス物品が、75%のKNO3および25%のNaNO3の組成および430℃の浴温度を有する第1の浴に8時間浸漬させた後、100%のKNO3の組成および390℃の浴温度を有する第2の浴に2.5時間浸漬させることによって化学的に強化された。化学的に強化されたガラス物品は、(フラットな構成または冷間曲げされていない構成の場合)図21に示した応力分布を示したが、これは、RNF、FSMおよびSCALPを使用して様々な応力分布属性を測定した後に計算された。図21に示したように、CSmaxは1011MPaであり、DOCは97μmであり、CTmaxは62MPaであった。ニー領域は、約39μmのDOLを有し、ニー領域におけるCSは約25MPaである。破線によって示したように、5μmの深さにおけるCSは約750MPa以上である。
【0134】
実施例7および実施例8の応力分布の比較が図22に示されている。図22に示したように、変更された第2の浸漬は、実施例8の応力分布を示している。実施例8は、より高いCSmax値を維持し、応力分布のテール部分は、圧縮および引張部分にある。
【0135】
実施例9および比較例10-11
実施例9および比較例10-11のそれぞれは、自動車内装システムを含んでいた。図24に示したように、自動車内装システムは、ガラス物品410を含み、ガラス物品410において第2の主面411はフレーム420に取り付けられており、それらの間に接着剤(図示せず)が介在しており、自動車内装システムはまた、第2の主面およびフレームを部分的に取り囲むハウジング(430)を含む。実施例9は、本開示の1つ以上の実施形態によるガラス物品412を含んでいた。比較例10は、公知の応力分布を有する強化ソーダ石灰ケイ酸塩ガラス物品414を含んでいた。比較例11は、公知の応力分布を有する強化アルミノケイ酸塩ガラス物品416を含んでいた。フレームおよびハウジングは両方とも同じ金属材料から形成されていた。
【0136】
実施例9および比較例10-11のそれぞれには、6.8kgの質量および約165mmの直径を有するアルミニウムインパクタ500によって6.69m/s秒の速度で衝撃が与えられた。衝撃のエネルギーは152ジュールである。
【0137】
図25Aは、衝撃前の実施例9を示している。図25Bは、衝撃時の実施例9を示している。図25Cは、衝撃後の実施例9を示している。図25Cに示したように、ガラス物品412は、衝撃後に弾性変形する(かつ破壊されない)。ガラス物品412の測定された変位は32mmであった。実施例9では、ハウジングは塑性変形するが、ガラス物品は塑性変形しない。
【0138】
図26Aは、衝撃前の比較例10を示している。図26Bは、衝撃時の比較例10を示している。図26Cは、衝撃後の比較例10を示している。図26Cに示したように、ガラス物品414は、衝撃後に塑性変形し、破壊される。比較例10では、ハウジングは塑性変形する。
【0139】
図27Aは、衝撃前の比較例11を示している。図27Bは、衝撃時の比較例11を示している。図27Cは、衝撃後の比較例11を示している。図27Cに示したように、ガラス物品416は、衝撃後に塑性変形し、破壊される。比較例11では、ハウジングは塑性変形する。
【0140】
態様(1)は、ガラス物品であって、第1の主面、第1の主面と反対側の第2の主面、厚さ(t)(mm)を規定する第1の主面と第2の主面とを接続する副面と、第1の主面から圧縮深さ(DOC)まで延びる圧縮応力(CS)領域であって、約900MPa以上の最大CSの大きさ(CSmax)および約5μmの深さにおける750MPa以上のCSの大きさを有する圧縮応力(CS)領域と、中央張力(CT)領域であって、第1の主面から約0.25t~約0.75tの範囲の深さに配置された最大CTの大きさ(CTmax)を有する中央張力(CT)領域と、を備え、CS領域およびCT領域は、厚さに沿った応力分布を規定している、ガラス物品に関する。
【0141】
態様(2)は、CTmaxの大きさは、約80MPa以下である、態様(1)記載のガラス物品に関する。
【0142】
態様(3)は、CTmaxの深さから0.1t以内のCT領域の全ての点は、ゼロではない傾きを有する接線を含む、態様(1)または(2)記載のガラス物品に関する。
【0143】
態様(4)は、DOCは、約0.2t以下である、態様(1)から(3)までのいずれか1つ記載のガラス物品に関する。
【0144】
態様(5)は、DOCは、約0.1t以下である、態様(4)記載のガラス物品に関する。
【0145】
態様(6)は、CTmaxは、第1の主面から約0.4t~約0.6tの範囲の深さに配置されている、態様(1)から(5)までのいずれか1つ記載のガラス物品に関する。
【0146】
態様(7)は、応力分布の少なくとも一部は、第1の主面から延びるスパイク領域と、テール領域と、スパイク領域とテール領域との間のニー領域とを含み、スパイク領域における応力分布の全ての点は、約15MPa/μm~約200MPa/μmの範囲にある大きさの傾きを有する接線を含み、テール領域における全ての点は、約0.01MPa/μm~約3MPa/μmの範囲にある大きさの傾きを有する接線を含む、態様(1)から(6)までのいずれか1つ記載のガラス物品に関する。
【0147】
態様(8)は、スパイク領域におけるCSの大きさは、200MPa超~約1500MPaの範囲にある、態様(7)記載のガラス物品に関する。
【0148】
態様(9)は、ニー領域は、約5MPa~約200MPaの範囲のCS値を含む、態様(7)または(8)記載のガラス物品に関する。
【0149】
態様(10)は、ニー領域は、第1の主面から約10μm~約50μm延びている、態様(7)から(9)までのいずれか1つ記載のガラス物品に関する。
【0150】
態様(11)は、テール領域は、ほぼニー領域からCTmaxの深さまで延びている、態様(7)から(10)までのいずれか1つ記載のガラス物品に関する。
【0151】
態様(12)は、テール領域は、圧縮応力テール領域および引張応力テール領域の一方または両方を含む、態様(7)から(11)までのいずれか1つ記載のガラス物品に関する。
【0152】
態様(13)は、ガラス物品は、実質的にフラットに構成されているかまたは永続的に湾曲させられて構成されている、態様(1)から(12)までのいずれか1つ記載のガラス物品に関する。
【0153】
態様(14)は、第1または第2の主面に配置されたフレーム、ディスプレイまたはタッチパネルをさらに含む、態様(1)から(13)までのいずれか1つ記載のガラス物品に関する。
【0154】
態様(15)は、第1または第2の主面と、フレーム、ディスプレイまたはタッチパネルとの間に配置された接着剤をさらに含む、態様(14)記載のガラス物品に関する。
【0155】
態様(16)は、tは、約0.05mm~約2mmの範囲にある、態様(1)から(15)までのいずれか1つ記載のガラス物品に関する。
【0156】
態様(17)は、第1の主面および第2の主面の一方または両方は、表面処理を含む、態様(1)から(16)までのいずれか1つ記載のガラス物品に関する。
【0157】
態様(18)は、表面処理は、第1の主面および第2の主面の少なくとも一部に広がっている、態様(17)記載のガラス物品に関する。
【0158】
態様(19)は、表面処理は、清掃容易表面、アンチグレア表面、反射防止表面、触覚表面および装飾表面のいずれか1つを含む、態様(17)または(18)記載のガラス物品に関する。
【0159】
態様(20)は、表面処理は、清掃容易表面、アンチグレア表面、反射防止表面、触覚表面および装飾表面のいずれか1つのうち少なくとも2つを含む、態様(19)記載のガラス物品に関する。
【0160】
態様(21)は、第1の主面および第2の主面の一方は、アンチグレア表面を含み、第1の主面および第2の主面の他方は、反射防止表面を含む、態様(20)記載のガラス物品に関する。
【0161】
態様(22)は、第1の主面は、アンチグレア表面および反射防止表面の一方または両方を含み、第2の主面は、装飾表面を含む、態様(20)記載のガラス物品に関する。
【0162】
態様(23)は、第1の主面は、反射防止表面を含み、第2の主面は、アンチグレア表面および装飾表面の一方または両方を含む、態様(20)記載のガラス物品に関する。
【0163】
態様(24)は、装飾表面は、外周部の少なくとも一部に配置されており、内側部分は、実質的に装飾表面を有していない、態様(20)記載のガラス物品に関する。
【0164】
態様(25)は、装飾表面は、木目調のデザイン、ブラッシュドメタルデザイン、グラフィックデザイン、ポートレートおよびロゴのいずれか1つを含む、態様(20)から(24)までのいずれか1つ記載のガラス物品に関する。
【0165】
態様(26)は、アンチグレア表面は、エッチングされた表面を含み、反射防止表面は、多層コーティングを含む、態様(20)から(25)までのいずれか1つ記載のガラス物品に関する。
【0166】
態様(27)は、ガラス物品は、実質的に飛散防止フィルムを有していない、態様(1)から(26)までのいずれか1つ記載のガラス物品に関する。
【0167】
態様(28)は、第1の主面が、約250mmの曲率半径を有する凹状形状を含むように、ガラス物品が、実質的にフラットな構成から湾曲させられた構成に湾曲させられると、CSmaxは、約8%よりも多く増大する、態様(1)から(27)までのいずれか1つ記載のガラス物品に関する。
【0168】
態様(29)は、第1の主面が、約500mmの曲率半径を有する凹状形状を含むように、ガラス物品が、実質的にフラットな構成から湾曲させられた構成に湾曲させられると、DOC1は、約300%よりも多く増大し、第2の主面から測定された第2の圧縮深さ(DOC2)は、15%よりも少なく減少する、態様(1)から(28)までのいずれか1つ記載のガラス物品に関する。
【0169】
態様(30)は、第1の主面が、約250mmの曲率半径を有する凹状形状を含むように、ガラス物品が、実質的にフラットな構成から湾曲させられた構成に湾曲させられると、DOC1は、約600%よりも多く増大し、第2の主面から測定された第2の圧縮深さ(DOC2)は、約25%よりも少なく減少する、態様(1)から(29)までのいずれか1つ記載のガラス物品に関する。
【0170】
態様(31)は、CTmaxは、250%以下だけ増大する、態様(29)記載のガラス物品に関する。
【0171】
態様(32)は、CTmaxは、400%以下だけ増大する、態様(29)記載のガラス物品に関する。
【0172】
態様(33)は、湾曲したガラス物品であって、凹状の第1の主面、凹状の第1の主面と反対側の凸状の第2の主面、厚さ(t)(mm)を規定する凹状の第1の主面と凸状の第2の主面とを接続する副面を備え、凹状の第1の主面は、約20mm以上の最大曲率半径と、凹状の第1の主面から第1の圧縮応力深さ(DOC1)まで延びる第1の圧縮応力(CS)領域とを含み、第1のCS領域は、約800MPaよりも大きい第1の最大CS値(CSmax1)を有し、凸状の第2の主面は、凸状の第2の主面から第2の圧縮応力深さ(DOC2)まで延びる第2のCS領域を含み、第2のCS領域は、第2の最大CS値(CSmax2)を有し、第1のCS領域と第2のCS領域との間に配置されていて、最大CT値(CTcurved-max)を有する中央張力(CT)領域を備え、CS領域およびCT領域は、厚さに沿った応力分布を規定しており、CSmax2は、CSmax1よりも小さい、湾曲したガラス物品に関する。
【0173】
態様(34)は、DOC1は、DOC2と異なる、態様(33)記載の湾曲したガラス物品に関する。
【0174】
態様(35)は、ガラス物品が、湾曲させられずに構成されていると、ガラス物品は、第1の主面から約0.25t~約0.75tの範囲の深さに配置された最大CT値(CTuncurved-max)を含む、態様(33)または(34)記載の湾曲したガラス物品に関する。
【0175】
態様(36)は、CTcurved-maxは、約400MPa未満である、態様(33)から(35)までのいずれか1つ記載の湾曲したガラス物品に関する。
【0176】
態様(37)は、CTuncurved-maxは、約80MPa以下であり、CTcurved-max/CTuncurved-maxは、約1超~約2の範囲にある、態様(36)記載の湾曲したガラス物品に関する。
【0177】
態様(38)は、CSmax1およびCSmax2の一方または両方は、約5μmの深さにおける750MPa以上の大きさを有する、態様(33)から(37)までのいずれか1つ記載の湾曲したガラス物品に関する。
【0178】
態様(39)は、ガラス物品は、円錐面、円筒面または可展面を含む、態様(33)から(38)までのいずれか1つ記載の湾曲したガラス物品に関する。
【0179】
態様(40)は、tは、約0.1mm~約2mmの範囲にある、態様(33)から(39)までのいずれか1つ記載の湾曲したガラス物品に関する。
【0180】
態様(41)は、第1の主面および第2の主面の一方または両方は、表面処理を含む、態様(33)から(40)までのいずれか1つ記載の湾曲したガラス物品に関する。
【0181】
態様(42)は、表面処理は、第1の主面および第2の主面の少なくとも一部に広がっている、態様(41)記載の湾曲したガラス物品に関する。
【0182】
態様(43)は、表面処理は、清掃容易表面、アンチグレア表面、反射防止表面、触覚表面および装飾表面のいずれか1つを含む、態様(41)または(42)記載の湾曲したガラス物品に関する。
【0183】
態様(44)は、湾曲したガラス物品は、実質的に飛散防止フィルムを有していない、態様(33)から(43)までのいずれか1つ記載の湾曲したガラス物品に関する。
【0184】
態様(45)は、厚さは、約0.05mm~約2mmの範囲にあり、曲率半径は、約250mm~約2500mmの範囲にあり、CTcurved-maxは、約250MPa以下である、態様(33)から(44)までのいずれか1つ記載の湾曲したガラス物品に関する。
【0185】
態様(46)は、曲率半径は、約500mm~約2500mmの範囲にあり、CTcurved-maxは、約150MPa以下である、態様(45)記載の湾曲したガラス物品に関する。
【0186】
態様(47)は、曲率半径は、約600mm~約2500mmの範囲にあり、CTcurved-maxは、約90MPa以下である、態様(45)または(46)記載の湾曲したガラス物品に関する。
【0187】
態様(48)は、曲率半径は、約700mm~約2500mmの範囲にあり、CTcurved-maxは、約70MPa以下である、態様(44)から(47)までのいずれか1つ記載の湾曲したガラス物品に関する。
【0188】
態様(49)は、曲率半径は、約800mm~約2500mmの範囲にある、態様(48)記載の湾曲したガラス物品に関する。
【0189】
態様(50)は、曲率半径は、約900mm~約2500mmの範囲にある、態様(48)記載の湾曲したガラス物品に関する。
【0190】
態様(51)は、曲率半径は、約1000mm~約2500mmの範囲にあり、CTcurved-maxは、約60MPa以下である、態様(48)記載の湾曲したガラス物品に関する。
【0191】
態様(52)は、CTcurved-maxは、凸状の第2の主面から約0.12t以下の深さに配置されている、態様(33)から(51)までのいずれか1つ記載の湾曲したガラス物品に関する。
【0192】
態様(53)は、DOC1は、DOC2よりも大きい、態様(33)から(52)までのいずれか1つ記載の湾曲したガラス物品に関する。
【0193】
態様(54)は、第1または第2の主面に配置されたフレーム、ディスプレイまたはタッチパネルをさらに含む、態様(33)から(53)までのいずれか1つ記載の湾曲したガラス物品に関する。
【0194】
態様(55)は、第1または第2の主面と、フレーム、ディスプレイまたはタッチパネルとの間に配置された接着剤をさらに含む、態様(54)記載の湾曲したガラス物品に関する。
【0195】
態様(56)は、自動車内装システムであって、ベースと、ベース上に配置された、態様(1)から(32)までのいずれか1つ記載のガラス物品と、を備え、6.8kgの質量を有するインパクタが、5.35m/s~6.69m/sの衝撃速度で第1の主面に衝突したとき、インパクタの減速度は、120g(重力)以下である、自動車内装システムに関する。
【0196】
態様(57)は、インパクタの減速度は、衝撃時間にわたるどの3ミリ秒(ms)区間においても80gよりも大きくない、態様(56)記載の自動車内装システムに関する。
【0197】
態様(58)は、インパクタがガラス物品を破壊すると、ガラス物品は、ガラス物品に対して10mm以下の距離で、1mm以下の最大寸法を有する粒子を放出する、態様(56)または(57)記載の自動車内装システムに関する。
【0198】
態様(59)は、自動車内装システムであって、ベースと、ベース上に配置された、態様(33)から(54)までのいずれか1つ記載のガラス物品と、を備え、6.8kgの質量を有するインパクタが、5.35m/s~6.69m/sの衝撃速度で第1の主面に衝突したとき、インパクタの減速度は、120g(重力)以下である、自動車内装システムに関する。
【0199】
態様(60)は、インパクタの減速度は、衝撃時間にわたるどの3ミリ秒区間においても80gよりも大きくない、態様(59)記載の自動車内装システムに関する。
【0200】
態様(61)は、インパクタがガラス物品を破壊すると、ガラス物品は、ガラス物品に対して10mm以下の距離で、1mm以下の最大寸法を有する粒子を放出する、態様(59)または(60)記載の自動車内装システムに関する。
【0201】
態様(62)は、ベースは湾曲していて、最大曲率半径の10%以内である曲率半径を有する、態様(59)から(61)までのいずれか1つ記載の自動車内装システムに関する。
【0202】
態様(63)は、ベースはフラットである、態様(59)から(62)までのいずれか1つ記載の自動車内装システムに関する。
【0203】
態様(64)は、ガラス物品を形成するための方法であって、態様(1)から(32)までのいずれか1つ記載の第1の強化ガラス物品を提供するために、第1の主面、第2の主面および厚さ(t)を規定する第1の主面と第2の主面とを接続する副面を有するガラスシートを強化するステップを含む、方法に関する。
【0204】
態様(65)は、強化ガラス物品を、湾曲した構成を有するように湾曲させるステップをさらに含む、態様(64)記載の方法に関する。
【0205】
態様(66)は、湾曲した構成は永続的である、態様(65)記載の方法に関する。
【0206】
態様(67)は、ガラスシートを強化するステップは、ガラスシートを化学的に強化するステップを含む、態様(64)から(66)までのいずれか1つ記載の方法に関する。
【0207】
態様(68)は、ガラスシートを化学的に強化するステップは、ガラスシートを、約310℃~約450℃の範囲の温度を有する、KNO3、NaNO3またはKNO3とNaNO3との組合せの溶融塩浴に、約2時間~約40時間にわたって浸漬させるステップを含む、態様(67)記載の方法に関する。
【0208】
態様(69)は、ガラスシートを化学的に強化するステップは、ガラスシートを、約310℃~約450℃の範囲の温度を有する、KNO3、NaNO3またはKNO3とNaNO3との組合せの第2の溶融塩浴に、約2時間~約40時間にわたって浸漬させるステップを含む、態様(68)記載の方法に関する。
【0209】
態様(70)は、自動車内装システムを形成するための方法であって、モジュールを提供するために、態様(1)から(13)および態様(16)から(53)までのいずれか1つ記載のガラス物品にフレーム、ディスプレイまたはタッチパネルを取り付けるステップと、モジュールを自動車内装システムのベースに取り付けるステップと、を含む、方法に関する。
【0210】
態様(71)は、ガラス物品にフレーム、ディスプレイまたはタッチパネルを取り付けるステップは、湾曲させられるガラス物品にディスプレイまたはタッチパネルを取り付ける前に、ガラス物品を湾曲させるステップを含む、態様(70)記載の方法に関する。
【0211】
態様(72)は、ガラス物品にフレーム、ディスプレイまたはタッチパネルを取り付けるステップは、湾曲させられるガラス物品にディスプレイまたはタッチパネルを取り付けると同時にガラス物品を湾曲させるステップを含む、態様(70)記載の方法に関する。
【0212】
態様(73)は、湾曲させられたガラス物品の第1の主面の一部は、凹面を含み、反対側の第2の主面の部分は、凸面を含む、態様(70)から(72)までのいずれか1つ記載の方法に関する。
【0213】
態様(74)は、第1の主面にフレーム、ディスプレイまたはタッチパネルを取り付けるステップをさらに含む、態様(73)記載の方法に関する。
【0214】
態様(75)は、第2の主面にフレーム、ディスプレイまたはタッチパネルを取り付けるステップをさらに含む、態様(73)記載の方法に関する。
【0215】
態様(76)は、湾曲させられるガラス物品と、フレーム、ディスプレイまたはタッチパネルとの間に接着剤層を配置するステップをさらに含む、態様(70)から(75)までのいずれか1つ記載の方法に関する。
【0216】
態様(77)は、自動車内装システムであって、ベースと、ベースに第2の主面が隣接するようにベース上に配置された、態様(1)から(32)までのいずれか1つ記載のガラス物品と、を備え、6.8kgの質量を有するインパクタが、5.35m/s~6.69m/sの衝撃速度で第1の主面に衝突すると、ガラス物品は弾性変形させられる、自動車内装システムに関する。
【0217】
態様(78)は、インパクタの減速度は、120g(重力)以下である、態様(77)記載の自動車内装システムに関する。
【0218】
態様(79)は、インパクタの減速度は、衝撃時間にわたるどの3ミリ秒(ms)区間においても80gよりも大きくない、態様(78)記載の自動車内装システムに関する。
【0219】
態様(80)は、ガラス物品とベースとの間に配置されたフレームをさらに含み、インパクタが第1の主面に衝突すると、フレームの一部は塑性変形させられる、態様(77)から(79)までのいずれか1つ記載の自動車内装システムに関する。
【0220】
態様(81)は、第2の主面および副面を少なくとも部分的に取り囲む、ガラス物品とベースとの間に配置されたハウジングをさらに含み、インパクタが第1の主面に衝突すると、ハウジングの一部は塑性変形させられる、態様(77)から(80)までのいずれか1つ記載の自動車内装システムに関する。
【0221】
態様(82)は、フレームまたはハウジングの塑性変形した部分は、ガラス物品を局所的に弾性変形させる、態様(80)または(81)記載の自動車内装システムに関する。
【0222】
態様(83)は、フレームまたはハウジングの塑性変形した部分に隣接するガラス物品の少なくとも一部は、衝撃前のガラス物品の曲率半径よりも小さい曲率半径を有する、態様(80)または(81)記載の自動車内装システムに関する。
【0223】
態様(84)は、第2の主面は、複数の曲率半径を有する、態様(77)から(83)までのいずれか1つ記載の自動車内装システムに関する。
【0224】
態様(85)は、複数の曲率半径は、約20mm以上である、態様(84)記載の自動車内装システムに関する。
【0225】
態様(86)は、ガラス物品は、副縁部に隣接する外周部と、中央部とを含み、外周部は、中央部における曲率半径よりも小さい曲率半径を有する、態様(84)または(85)記載の自動車内装システムに関する。
【0226】
態様(87)は、第2の主面は、凸状に湾曲した部分に隣接する凹状に湾曲した部分を含む、態様(77)から(83)までのいずれか1つ記載の自動車内装システムに関する。
【0227】
態様(88)は、凹状に湾曲した部分および凸状に湾曲した部分は、約20mm以上の曲率半径を有する、態様(87)記載の自動車内装システムに関する。
【0228】
態様(89)は、ガラス物品は、副縁部に隣接する外周部と、中央部とを含み、外周部は、凸状に湾曲した部分および凹状に湾曲した部分の一方を含み、中央部は、凸状に湾曲した部分および凹状に湾曲した部分の他方を含む、態様(87)または(88)記載の自動車内装システムに関する。
【0229】
態様(90)は、自動車内装システムであって、フレームと、フレーム上に配置された、態様(33)から(54)までのいずれか1つ記載のガラス物品と、を備え、6.8kgの質量を有するインパクタが、5.35m/s~6.69m/sの衝撃速度で第1の主面に衝突すると、ガラス物品は弾性変形させられる、自動車内装システムに関する。
【0230】
態様(91)は、インパクタの減速度は、120g(重力)以下である、態様(90)記載の自動車内装システムに関する。
【0231】
態様(92)は、インパクタの減速度は、衝撃時間にわたるどの3ミリ秒(ms)区間においても80gよりも大きくない、態様(91)記載の自動車内装システムに関する。
【0232】
態様(93)は、インパクタが第1の主面に衝突すると、フレームの一部は塑性変形させられる、態様(90)から(92)までのいずれか1つ記載の自動車内装システムに関する。
【0233】
態様(94)は、ハウジングをさらに備え、フレームは、ガラス物品とハウジングとの間に配置されており、ハウジングは、フレーム、第2の主面および副面を少なくとも部分的に取り囲んでおり、インパクタが第1の主面に衝突すると、ハウジングの一部は塑性変形させられる、態様(90)から(92)までのいずれか1つ記載の自動車内装システムに関する。
【0234】
態様(95)は、フレームまたはハウジングの塑性変形した部分は、ガラス物品を局所的に弾性変形させる、態様(93)または(94)記載の自動車内装システムに関する。
【0235】
態様(96)は、フレームまたはハウジングの塑性変形した部分に隣接するガラス物品の少なくとも一部は、衝撃前のガラス物品の曲率半径よりも小さい曲率半径を有する、態様(93)または(94)記載の自動車内装システムに関する。
【0236】
態様(97)は、第2の主面は、複数の曲率半径を有する、態様(90)から(96)までのいずれか1つ記載の自動車内装システムに関する。
【0237】
態様(98)は、複数の曲率半径は、約20mm以上である、態様(97)記載の自動車内装システムに関する。
【0238】
態様(99)は、ガラス物品は、副縁部に隣接する外周部と、中央部とを含み、外周部は、中央部における曲率半径よりも小さい曲率半径を有する、態様(97)または(98)記載の自動車内装システムに関する。
【0239】
態様(100)は、第2の主面は、凸状に湾曲した部分に隣接する凹状に湾曲した部分を含む、態様(90)から(96)までのいずれか1つ記載の自動車内装システムに関する。
【0240】
態様(101)は、凹状に湾曲した部分および凸状に湾曲した部分は、約20mm以上の曲率半径を有する、態様(100)記載の自動車内装システムに関する。
【0241】
態様(102)は、ガラス物品は、副縁部に隣接する外周部と、中央部とを含み、外周部は、凸状に湾曲した部分および凹状に湾曲した部分の一方を含み、中央部は、凸状に湾曲した部分および凹状に湾曲した部分の他方を含む、態様(100)または(101)記載の自動車内装システムに関する。
【0242】
態様(103)は、フレームは湾曲していて、最大曲率半径の10%以内の曲率半径を有する、態様(90)から(102)までのいずれか1つ記載の自動車内装システムに関する。
【0243】
本発明の思想または範囲から逸脱することなく様々な変更および変化を加えることができることが当業者に明らかになるであろう。
【0244】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0245】
実施形態1
ガラス物品であって、
第1の主面、前記第1の主面と反対側の第2の主面、厚さ(t)(mm)を規定する前記第1の主面と前記第2の主面とを接続する副面と、
前記第1の主面から圧縮深さ(DOC)まで延びる圧縮応力(CS)領域であって、約900MPa以上の最大CSの大きさ(CSmax)および約5μmの深さにおける750MPa以上のCSの大きさを有する圧縮応力(CS)領域と、
中央張力(CT)領域であって、前記第1の主面から約0.25t~約0.75tの範囲の深さに配置された最大CTの大きさ(CTmax)を有する中央張力(CT)領域と、
を備え、
前記CS領域および前記CT領域は、前記厚さに沿った応力分布を規定している、
ガラス物品。
【0246】
実施形態2
前記CTmaxの大きさは、約80MPa以下である、実施形態1記載のガラス物品。
【0247】
実施形態3
前記CTmaxの深さから0.1t以内の前記CT領域の全ての点は、ゼロではない傾きを有する接線を含む、実施形態1または2記載のガラス物品。
【0248】
実施形態4
前記DOCは、約0.2t以下である、実施形態1から3までのいずれか1つ記載のガラス物品。
【0249】
実施形態5
前記DOCは、約0.1t以下である、実施形態4記載のガラス物品。
【0250】
実施形態6
前記CTmaxは、前記第1の主面から約0.4t~約0.6tの範囲の深さに配置されている、実施形態1から5までのいずれか1つ記載のガラス物品。
【0251】
実施形態7
前記応力分布の少なくとも一部は、前記第1の主面から延びるスパイク領域と、テール領域と、前記スパイク領域と前記テール領域との間のニー領域とを含み、前記スパイク領域における前記応力分布の全ての点は、約15MPa/μm~約200MPa/μmの範囲にある大きさの傾きを有する接線を含み、前記テール領域における全ての点は、約0.01MPa/μm~約3MPa/μmの範囲にある大きさの傾きを有する接線を含む、実施形態1から6までのいずれか1つ記載のガラス物品。
【0252】
実施形態8
前記スパイク領域における前記CSの大きさは、200MPa超~約1500MPaの範囲にある、実施形態7記載のガラス物品。
【0253】
実施形態9
前記ニー領域は、約5MPa~約200MPaの範囲のCS値を含む、実施形態7または8記載のガラス物品。
【0254】
実施形態10
前記ニー領域は、前記第1の主面から約10μm~約50μm延びている、実施形態7から9までのいずれか1つ記載のガラス物品。
【0255】
実施形態11
前記テール領域は、ほぼ前記ニー領域から前記CTmaxの深さまで延びている、実施形態7から10までのいずれか1つ記載のガラス物品。
【0256】
実施形態12
前記テール領域は、圧縮応力テール領域および引張応力テール領域の一方または両方を含む、実施形態7から11までのいずれか1つ記載のガラス物品。
【0257】
実施形態13
前記ガラス物品は、実質的にフラットに構成されているかまたは永続的に湾曲させられて構成されている、実施形態1から12までのいずれか1つ記載のガラス物品。
【0258】
実施形態14
前記第1または第2の主面に配置されたフレーム、ディスプレイまたはタッチパネルをさらに含む、実施形態1から13までのいずれか1つ記載のガラス物品。
【0259】
実施形態15
前記第1または第2の主面と、前記フレーム、前記ディスプレイまたは前記タッチパネルとの間に配置された接着剤をさらに含む、実施形態14記載のガラス物品。
【0260】
実施形態16
前記tは、約0.05mm~約2mmの範囲にある、実施形態1から15までのいずれか1つ記載のガラス物品。
【0261】
実施形態17
前記第1の主面および前記第2の主面の一方または両方は、表面処理を含む、実施形態1から16までのいずれか1つ記載のガラス物品。
【0262】
実施形態18
前記表面処理は、前記第1の主面および前記第2の主面の少なくとも一部に広がっている、実施形態17記載のガラス物品。
【0263】
実施形態19
前記表面処理は、清掃容易表面、アンチグレア表面、反射防止表面、触覚表面および装飾表面のいずれか1つを含む、実施形態17または18記載のガラス物品。
【0264】
実施形態20
前記表面処理は、前記清掃容易表面、前記アンチグレア表面、前記反射防止表面、前記触覚表面および前記装飾表面のいずれか1つのうち少なくとも2つを含む、実施形態19記載のガラス物品。
【0265】
実施形態21
前記第1の主面および前記第2の主面の一方は、前記アンチグレア表面を含み、前記第1の主面および前記第2の主面の他方は、前記反射防止表面を含む、実施形態20記載のガラス物品。
【0266】
実施形態22
前記第1の主面は、前記アンチグレア表面および前記反射防止表面の一方または両方を含み、前記第2の主面は、前記装飾表面を含む、実施形態20記載のガラス物品。
【0267】
実施形態23
前記第1の主面は、前記反射防止表面を含み、前記第2の主面は、前記アンチグレア表面および前記装飾表面の一方または両方を含む、実施形態20記載のガラス物品。
【0268】
実施形態24
前記装飾表面は、外周部の少なくとも一部に配置されており、内側部分は、実質的に前記装飾表面を有していない、実施形態20記載のガラス物品。
【0269】
実施形態25
前記装飾表面は、木目調のデザイン、ブラッシュドメタルデザイン、グラフィックデザイン、ポートレートおよびロゴのいずれか1つを含む、実施形態20から24までのいずれか1つ記載のガラス物品。
【0270】
実施形態26
前記アンチグレア表面は、エッチングされた表面を含み、前記反射防止表面は、多層コーティングを含む、実施形態20から25までのいずれか1つ記載のガラス物品。
【0271】
実施形態27
前記ガラス物品は、実質的に飛散防止フィルムを有していない、実施形態1から26までのいずれか1つ記載のガラス物品。
【0272】
実施形態28
前記第1の主面が、約250mmの曲率半径を有する凹状形状を含むように、前記ガラス物品が、実質的にフラットな構成から湾曲させられた構成に湾曲させられると、前記CSmaxは、約8%よりも多く増大する、実施形態1から27までのいずれか1つ記載のガラス物品。
【0273】
実施形態29
前記第1の主面が、約500mmの曲率半径を有する凹状形状を含むように、前記ガラス物品が、実質的にフラットな構成から湾曲させられた構成に湾曲させられると、DOC1は、約300%よりも多く増大し、前記第2の主面から測定された第2の圧縮深さ(DOC2)は、15%よりも少なく減少する、実施形態1から28までのいずれか1つ記載のガラス物品。
【0274】
実施形態30
前記第1の主面が、約250mmの曲率半径を有する凹状形状を含むように、前記ガラス物品が、実質的にフラットな構成から湾曲させられた構成に湾曲させられると、前記DOC1は、約600%よりも多く増大し、前記第2の主面から測定された前記第2の圧縮深さ(DOC2)は、約25%よりも少なく減少する、実施形態1から29までのいずれか1つ記載のガラス物品。
【0275】
実施形態31
前記CTmaxは、250%以下だけ増大する、実施形態29記載のガラス物品。
【0276】
実施形態32
前記CTmaxは、400%以下だけ増大する、実施形態30記載のガラス物品。
【0277】
実施形態33
湾曲したガラス物品であって、
凹状の第1の主面、前記凹状の第1の主面と反対側の凸状の第2の主面、厚さ(t)(mm)を規定する前記凹状の第1の主面と前記凸状の第2の主面とを接続する副面を備え、
前記凹状の第1の主面は、約20mm以上の最大曲率半径と、前記凹状の第1の主面から第1の圧縮応力深さ(DOC1)まで延びる第1の圧縮応力(CS)領域とを含み、前記第1のCS領域は、約800MPaよりも大きい第1の最大CS値(CSmax1)を有し、
前記凸状の第2の主面は、前記凸状の第2の主面から第2の圧縮応力深さ(DOC2)まで延びる第2のCS領域を含み、前記第2のCS領域は、第2の最大CS値(CSmax2)を有し、
前記第1のCS領域と前記第2のCS領域との間に配置されていて、最大CT値(CTcurved-max)を有する中央張力(CT)領域を備え、
前記CS領域および前記CT領域は、前記厚さに沿った応力分布を規定しており、
前記CSmax2は、CSmax1よりも小さい、
湾曲したガラス物品。
【0278】
実施形態34
前記DOC1は、前記DOC2と異なる、実施形態33記載の湾曲したガラス物品。
【0279】
実施形態35
前記ガラス物品が、湾曲させられずに構成されていると、前記ガラス物品は、前記第1の主面から約0.25t~約0.75tの範囲の深さに配置された最大CT値(CTuncurved-max)を含む、実施形態33または34記載の湾曲したガラス物品。
【0280】
実施形態36
前記CTcurved-maxは、約400MPa未満である、実施形態33から35までのいずれか1つ記載の湾曲したガラス物品。
【0281】
実施形態37
前記CTuncurved-maxは、約80MPa以下であり、前記CTcurved-max/前記CTuncurved-maxは、約1超~約2の範囲にある、実施形態36記載の湾曲したガラス物品。
【0282】
実施形態38
前記CSmax1および前記CSmax2の一方または両方は、約5μmの深さにおける750MPa以上の大きさを有する、実施形態33から37までのいずれか1つ記載の湾曲したガラス物品。
【0283】
実施形態39
前記ガラス物品は、円錐面、円筒面または可展面を含む、実施形態33から38までのいずれか1つ記載の湾曲したガラス物品。
【0284】
実施形態40
前記tは、約0.1mm~約2mmの範囲にある、実施形態33から39までのいずれか1つ記載の湾曲したガラス物品。
【0285】
実施形態41
前記第1の主面および前記第2の主面の一方または両方は、表面処理を含む、実施形態33から40までのいずれか1つ記載の湾曲したガラス物品。
【0286】
実施形態42
前記表面処理は、前記第1の主面および前記第2の主面の少なくとも一部に広がっている、実施形態41記載の湾曲したガラス物品。
【0287】
実施形態43
前記表面処理は、清掃容易表面、アンチグレア表面、反射防止表面、触覚表面および装飾表面のいずれか1つを含む、実施形態41または42記載の湾曲したガラス物品。
【0288】
実施形態44
前記湾曲したガラス物品は、実質的に飛散防止フィルムを有していない、実施形態33から43までのいずれか1つ記載の湾曲したガラス物品。
【0289】
実施形態45
前記厚さは、約0.05mm~約2mmの範囲にあり、前記曲率半径は、約250mm~約2500mmの範囲にあり、前記CTcurved-maxは、約250MPa以下である、実施形態33から44までのいずれか1つ記載の湾曲したガラス物品。
【0290】
実施形態46
前記曲率半径は、約500mm~約2500mmの範囲にあり、前記CTcurved-maxは、約150MPa以下である、実施形態45記載の湾曲したガラス物品。
【0291】
実施形態47
前記曲率半径は、約600mm~約2500mmの範囲にあり、前記CTcurved-maxは、約90MPa以下である、実施形態45または46記載の湾曲したガラス物品。
【0292】
実施形態48
前記曲率半径は、約700mm~約2500mmの範囲にあり、前記CTcurved-maxは、約70MPa以下である、実施形態44から47までのいずれか1つ記載の湾曲したガラス物品。
【0293】
実施形態49
前記曲率半径は、約800mm~約2500mmの範囲にある、実施形態48記載の湾曲したガラス物品。
【0294】
実施形態50
前記曲率半径は、約900mm~約2500mmの範囲にある、実施形態48記載の湾曲したガラス物品。
【0295】
実施形態51
前記曲率半径は、約1000mm~約2500mmの範囲にあり、前記CTcurved-maxは、約60MPa以下である、実施形態44から50までのいずれか1つ記載の湾曲したガラス物品。
【0296】
実施形態52
前記CTcurved-maxは、前記凸状の第2の主面から約0.12t以下の深さに配置されている、実施形態33から51までのいずれか1つ記載の湾曲したガラス物品。
【0297】
実施形態53
前記DOC1は、前記DOC2よりも大きい、実施形態33から52までのいずれか1つ記載の湾曲したガラス物品。
【0298】
実施形態54
前記第1または第2の主面に配置されたフレーム、ディスプレイまたはタッチパネルをさらに含む、実施形態33から53までのいずれか1つ記載の湾曲したガラス物品。
【0299】
実施形態55
前記第1または第2の主面と、前記フレーム、前記ディスプレイまたは前記タッチパネルとの間に配置された接着剤をさらに含む、実施形態54記載の湾曲したガラス物品。
【0300】
実施形態56
自動車内装システムであって、
ベースと、
前記ベース上に配置された、実施形態1から32までのいずれか1つ記載のガラス物品と、
を備え、
6.8kgの質量を有するインパクタが、5.35m/s~6.69m/sの衝撃速度で第1の主面に衝突したとき、前記インパクタの減速度は、120g(重力)以下である、
自動車内装システム。
【0301】
実施形態57
前記インパクタの減速度は、衝撃時間にわたるどの3ミリ秒(ms)区間においても80gよりも大きくない、実施形態56記載の自動車内装システム。
【0302】
実施形態58
前記インパクタが前記ガラス物品を破壊すると、前記ガラス物品は、前記ガラス物品に対して10mm以下の距離で、1mm以下の最大寸法を有する粒子を放出する、実施形態56または57記載の自動車内装システム。
【0303】
実施形態59
自動車内装システムであって、
ベースと、
前記ベース上に配置された、実施形態33から54までのいずれか1つ記載のガラス物品と、
を備え、
6.8kgの質量を有するインパクタが、5.35m/s~6.69m/sの衝撃速度で第1の主面に衝突したとき、前記インパクタの減速度は、120g(重力)以下である、
自動車内装システム。
【0304】
実施形態60
前記インパクタの減速度は、衝撃時間にわたるどの3ミリ秒(ms)区間においても80gよりも大きくない、実施形態59記載の自動車内装システム。
【0305】
実施形態61
前記インパクタが前記ガラス物品を破壊すると、前記ガラス物品は、前記ガラス物品に対して10mm以下の距離で、1mm以下の最大寸法を有する粒子を放出する、実施形態59または60記載の自動車内装システム。
【0306】
実施形態62
前記ベースは湾曲していて、最大曲率半径の10%以内である曲率半径を有する、実施形態59から61までのいずれか1つ記載の自動車内装システム。
【0307】
実施形態63
前記ベースはフラットである、実施形態59から62までのいずれか1つ記載の自動車内装システム。
【0308】
実施形態64
ガラス物品を形成するための方法であって、
実施形態1から32までのいずれか1つ記載の第1の強化ガラス物品を提供するために、第1の主面、第2の主面および厚さ(t)を規定する前記第1の主面と前記第2の主面とを接続する副面を有するガラスシートを強化するステップ
を含む、方法。
【0309】
実施形態65
前記強化ガラス物品を、湾曲した構成を有するように湾曲させるステップをさらに含む、実施形態64記載の方法。
【0310】
実施形態66
前記湾曲した構成は永続的である、実施形態65記載の方法。
【0311】
実施形態67
前記ガラスシートを強化するステップは、前記ガラスシートを化学的に強化するステップを含む、実施形態64から66までのいずれか1つ記載の方法。
【0312】
実施形態68
前記ガラスシートを化学的に強化するステップは、前記ガラスシートを、約310℃~約450℃の範囲の温度を有する、KNO3、NaNO3またはKNO3とNaNO3との組合せの溶融塩浴に、約2時間~約40時間にわたって浸漬させるステップを含む、実施形態67記載の方法。
【0313】
実施形態69
前記ガラスシートを化学的に強化するステップは、前記ガラスシートを、約310℃~約450℃の範囲の温度を有する、KNO3、NaNO3またはKNO3とNaNO3との組合せの第2の溶融塩浴に、約2時間~約40時間にわたって浸漬させるステップを含む、実施形態68記載の方法。
【0314】
実施形態70
自動車内装システムを形成するための方法であって、
モジュールを提供するために、実施形態1から13および実施形態16から53までのいずれか1つ記載のガラス物品にフレーム、ディスプレイまたはタッチパネルを取り付けるステップと、
前記モジュールを自動車内装システムのベースに取り付けるステップと、
を含む、方法。
【0315】
実施形態71
前記ガラス物品に前記フレーム、前記ディスプレイまたは前記タッチパネルを取り付けるステップは、湾曲させられる前記ガラス物品に前記ディスプレイまたは前記タッチパネルを取り付ける前に、前記ガラス物品を湾曲させるステップを含む、実施形態70記載の方法。
【0316】
実施形態72
前記ガラス物品に前記フレーム、前記ディスプレイまたは前記タッチパネルを取り付けるステップは、湾曲させられる前記ガラス物品に前記ディスプレイまたは前記タッチパネルを取り付けると同時に前記ガラス物品を湾曲させるステップを含む、実施形態70記載の方法。
【0317】
実施形態73
湾曲させられた前記ガラス物品の第1の主面の一部は、凹面を含み、反対側の第2の主面の部分は、凸面を含む、実施形態70から72までのいずれか1つ記載の方法。
【0318】
実施形態74
前記第1の主面に前記フレーム、前記ディスプレイまたは前記タッチパネルを取り付けるステップをさらに含む、実施形態73記載の方法。
【0319】
実施形態75
前記第2の主面に前記フレーム、前記ディスプレイまたは前記タッチパネルを取り付けるステップをさらに含む、実施形態73記載の方法。
【0320】
実施形態76
湾曲させられる前記ガラス物品と、前記フレーム、前記ディスプレイまたは前記タッチパネルとの間に接着剤層を配置するステップをさらに含む、実施形態70から75までのいずれか1つ記載の方法。
【0321】
実施形態77
自動車内装システムであって、
ベースと、
前記ベースに第2の主面が隣接するように前記ベース上に配置された、実施形態1から32までのいずれか1つ記載のガラス物品と、
を備え、
6.8kgの質量を有するインパクタが、5.35m/s~6.69m/sの衝撃速度で第1の主面に衝突すると、前記ガラス物品は弾性変形させられる、
自動車内装システム。
【0322】
実施形態78
前記インパクタの減速度は、120g(重力)以下である、実施形態77記載の自動車内装システム。
【0323】
実施形態79
前記インパクタの減速度は、衝撃時間にわたるどの3ms区間においても80gよりも大きくない、実施形態78記載の自動車内装システム。
【0324】
実施形態80
前記ガラス物品と前記ベースとの間に配置されたフレームをさらに含み、前記インパクタが前記第1の主面に衝突すると、前記フレームの一部は塑性変形させられる、実施形態77から79までのいずれか1つ記載の自動車内装システム。
【0325】
実施形態81
前記第2の主面および副面を少なくとも部分的に取り囲む、前記ガラス物品と前記ベースとの間に配置されたハウジングをさらに含み、前記インパクタが前記第1の主面に衝突すると、前記ハウジングの一部は塑性変形させられる、実施形態77から80までのいずれか1つ記載の自動車内装システム。
【0326】
実施形態82
前記フレームまたは前記ハウジングの塑性変形した部分は、前記ガラス物品を局所的に弾性変形させる、実施形態80または81記載の自動車内装システム。
【0327】
実施形態83
前記フレームまたは前記ハウジングの塑性変形した部分に隣接する前記ガラス物品の少なくとも一部は、衝撃前の前記ガラス物品の曲率半径よりも小さい曲率半径を有する、実施形態80または81記載の自動車内装システム。
【0328】
実施形態84
前記第2の主面は、複数の曲率半径を有する、実施形態77から83までのいずれか1つ記載の自動車内装システム。
【0329】
実施形態85
前記複数の曲率半径は、約20mm以上である、実施形態84記載の自動車内装システム。
【0330】
実施形態86
前記ガラス物品は、副縁部に隣接する外周部と、中央部とを含み、前記外周部は、前記中央部における曲率半径よりも小さい曲率半径を有する、実施形態84または85記載の自動車内装システム。
【0331】
実施形態87
前記第2の主面は、凸状に湾曲した部分に隣接する凹状に湾曲した部分を含む、実施形態77から83までのいずれか1つ記載の自動車内装システム。
【0332】
実施形態88
前記凹状に湾曲した部分および前記凸状に湾曲した部分は、約20mm以上の曲率半径を有する、実施形態87記載の自動車内装システム。
【0333】
実施形態89
前記ガラス物品は、副縁部に隣接する外周部と、中央部とを含み、前記外周部は、前記凸状に湾曲した部分および前記凹状に湾曲した部分の一方を含み、前記中央部は、前記凸状に湾曲した部分および前記凹状に湾曲した部分の他方を含む、実施形態87または88記載の自動車内装システム。
【0334】
実施形態90
自動車内装システムであって、
フレームと、
前記フレーム上に配置された、実施形態33から54までのいずれか1つ記載のガラス物品と、
を備え、
6.8kgの質量を有するインパクタが、5.35m/s~6.69m/sの衝撃速度で第1の主面に衝突すると、前記ガラス物品は弾性変形させられる、
自動車内装システム。
【0335】
実施形態91
前記インパクタの減速度は、120g(重力)以下である、実施形態90記載の自動車内装システム。
【0336】
実施形態92
前記インパクタの減速度は、衝撃時間にわたるどの3ms区間においても80gよりも大きくない、実施形態91記載の自動車内装システム。
【0337】
実施形態93
前記インパクタが前記第1の主面に衝突すると、前記フレームの一部は塑性変形させられる、実施形態90から92までのいずれか1つ記載の自動車内装システム。
【0338】
実施形態94
ハウジングをさらに備え、前記フレームは、前記ガラス物品と前記ハウジングとの間に配置されており、前記ハウジングは、前記フレーム、第2の主面および副面を少なくとも部分的に取り囲んでおり、前記インパクタが前記第1の主面に衝突すると、前記ハウジングの一部は塑性変形させられる、実施形態90から92までのいずれか1つ記載の自動車内装システム。
【0339】
実施形態95
前記フレームまたは前記ハウジングの塑性変形した部分は、前記ガラス物品を局所的に弾性変形させる、実施形態93または94記載の自動車内装システム。
【0340】
実施形態96
前記フレームまたは前記ハウジングの塑性変形した部分に隣接する前記ガラス物品の少なくとも一部は、衝撃前の前記ガラス物品の曲率半径よりも小さい曲率半径を有する、実施形態93または94記載の自動車内装システム。
【0341】
実施形態97
前記第2の主面は、複数の曲率半径を有する、実施形態90から96までのいずれか1つ記載の自動車内装システム。
【0342】
実施形態98
前記複数の曲率半径は、約20mm以上である、実施形態97記載の自動車内装システム。
【0343】
実施形態99
前記ガラス物品は、副縁部に隣接する外周部と、中央部とを含み、前記外周部は、前記中央部における曲率半径よりも小さい曲率半径を有する、実施形態97または98記載の自動車内装システム。
【0344】
実施形態100
前記第2の主面は、凸状に湾曲した部分に隣接する凹状に湾曲した部分を含む、実施形態90から96までのいずれか1つ記載の自動車内装システム。
【0345】
実施形態101
前記凹状に湾曲した部分および前記凸状に湾曲した部分は、約20mm以上の曲率半径を有する、実施形態100記載の自動車内装システム。
【0346】
実施形態102
前記ガラス物品は、副縁部に隣接する外周部と、中央部とを含み、前記外周部は、前記凸状に湾曲した部分および前記凹状に湾曲した部分の一方を含み、前記中央部は、前記凸状に湾曲した部分および前記凹状に湾曲した部分の他方を含む、実施形態100または101記載の自動車内装システム。
【0347】
実施形態103
前記フレームは湾曲していて、最大曲率半径の10%以内の曲率半径を有する、実施形態90から102までのいずれか1つ記載の自動車内装システム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24A
図24B
図24C
図25A
図25B
図25C
図26A
図26B
図26C