(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】注入装置及び注入装置訓練器具のためのロック部材
(51)【国際特許分類】
G09B 19/24 20060101AFI20231226BHJP
A61M 5/20 20060101ALI20231226BHJP
G09B 19/00 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
G09B19/24 Z
A61M5/20
G09B19/00 Z
(21)【出願番号】P 2021542295
(86)(22)【出願日】2019-09-27
(86)【国際出願番号】 IB2019058249
(87)【国際公開番号】W WO2020070606
(87)【国際公開日】2020-04-09
【審査請求日】2022-09-13
(32)【優先日】2018-10-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】514010601
【氏名又は名称】ヤンセン ファーマシューティカルズ,インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100093676
【氏名又は名称】小林 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100141025
【氏名又は名称】阿久津 勝久
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】マッハ,フン
【審査官】井上 香緒梨
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-505459(JP,A)
【文献】特表2014-519922(JP,A)
【文献】特表2013-508032(JP,A)
【文献】欧州特許第2968768(EP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B1/00-9/56
G09B17/00-19/26
G09B23/00-29/14
A61M5/00-5/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
注入装置を使用するユーザーを訓練するための注入装置訓練器具であって、
本体部と、
前記本体部の近位端に向かって位置付けられたアクチュエータであって、近位位置から遠位位置へと移動可能である、アクチュエータと、
前記本体部の遠位端に向かって位置付けられたシールドであって、初期位置と、前記初期位置よりも前記本体部に対してより近位にある後退位置と、前記初期位置よりも前記本体部に対してより遠位にある延出位置と、の間で移動可能である、シールドと、
ロック部材であって、前記近位位置から前記遠位位置への前記アクチュエータの移動に前記ロック部材が抵抗する第1の向きと、前記近位位置から前記遠位位置への前記アクチュエータの移動を前記ロック部材が可能にする第2の向きとの間で回転可能であるように適合された、ロック部材と、を備え、
前記ロック部材の前記第1の向きは、前記シールドが前記初期位置から前記延出位置へと移動することを防止するように前記シールドを前記初期位置に保持するように構成されており、かつ、前記初期位置から前記後退位置への前記シールドの移動を可能にし、
前記シールドは、前記ロック部材を前記第1の向きから前記第2の向きに移動させるために、前記初期位置から前記後退位置へと移動するときに前記ロック部材と接触するように構成されており、
前記アクチュエータの前記遠位位置に向かう第1の距離の移動は、前記シールドが前記延出位置に向かって移動することができるように前記シールドを前記ロック部材からロック解除するように構成されている、
注入装置訓練器具。
【請求項2】
前記ロック部材は少なくとも1つのアクチュエータ抵抗面を備え、前記アクチュエータは少なくとも1つの当接面を備え、
前記少なくとも1つのアクチュエータ抵抗面は、前記ロック部材が前記第1の向きにあるときに、前記近位位置から前記遠位位置への前記アクチュエータの移動に抵抗するように、前記少なくとも1つの当接面と当接するように配置されている、請求項1に記載の注入装置訓練器具。
【請求項3】
前記ロック部材は一対のアクチュエータ抵抗面を備え、前記アクチュエータは一対の当接面を備え、
前記一対のアクチュエータ抵抗面の各アクチュエータ抵抗面は、前記ロック部材が前記第1の向きにあるときに、前記近位位置から前記遠位位置への前記アクチュエータの移動に抵抗するように、前記一対の当接面のうちの対応する当接面に当接するように配置されている、請求項1に記載の注入装置訓練器具。
【請求項4】
前記一対のアクチュエータ抵抗面は、前記ロック部材の互いに対して反対側に位置している、請求項3に記載の注入装置訓練器具。
【請求項5】
前記ロック部材は円筒形ハウジングを備え、前記一対のアクチュエータ抵抗面の各アクチュエータ抵抗面は、前記円筒形ハウジングの表面から突出する突出部を備える、請求項3に記載の注入装置訓練器具。
【請求項6】
前記一対の当接面は、前記アクチュエータの互いに対して反対側に位置している、請求項5に記載の注入装置訓練器具。
【請求項7】
前記ロック部材は傾斜面を備え、前記シールドは傾斜した接触面を備え、前記傾斜した接触面は、前記ロック部材が前記初期位置から前記後退位置へと移動するときに前記傾斜面と相互作用することによって、前記ロック部材を前記第1の向きから前記第2の向きに回転させるように構成されている、請求項1に記載の注入装置訓練器具。
【請求項8】
前記ロック部材は、前記シールドが前記初期位置から前記延出位置へと移動することが可能な第3の向きを含む、請求項1に記載の注入装置訓練器具。
【請求項9】
前記アクチュエータは、前記ロック部材を前記第3の向きに移動させるために、第1の距離だけ移動するように構成されている、請求項8に記載の注入装置訓練器具。
【請求項10】
前記ロック部材は偏向部を備え、前記アクチュエータは、前記偏向部と連動して、前記ロック部材を前記第2の向きから前記第3の向きに移動させるように配置されている、請求項8に記載の注入装置訓練器具。
【請求項11】
前記ロック部材は、前記シールド内の凹部内に位置することによって前記シールドを前記初期位置に保持するように配置された停止部を備える、請求項1に記載の注入装置訓練器具。
【請求項12】
前記シールドが前記延出位置に移動することを可能にするために、前記停止部は、前記シールド内のスロットに沿って移動するように配置されている、請求項11に記載の注入装置訓練器具。
【請求項13】
前記停止部は、前記ロック部材が前記第1の向きにあるときに、前記凹部内の前記スロットの外側に位置することによって、前記シールドを前記初期位置に保持するように配置されている、請求項12に記載の注入装置訓練器具。
【請求項14】
前記ロック部材は、前記シールドが前記初期位置から前記延出位置へと移動することを可能にする第3の向きを含み、前記第2の向きから前記第3の向きへの前記ロック部材の移動は、前記停止部を前記スロット内に押し込んで、前記シールドが前記初期位置から前記延出位置へと移動することを可能にする、請求項12に記載の注入装置訓練器具。
【請求項15】
前記停止部は、弾性部材に連結されており、前記弾性部材は、前記停止部を静止状態から前記訓練器具の長手方向軸に向かって撓曲状態へと内側に移動させるために屈曲するように構成されている、請求項11に記載の注入装置訓練器具。
【請求項16】
前記静止状態の停止部は、前記シールドを前記初期位置に保持する、請求項15に記載の注入装置訓練器具。
【請求項17】
前記撓曲状態の前記停止部は、前記停止部が前記
シールド内のスロット内に移動することを可能にする、請求項15に記載の注入装置訓練器具。
【請求項18】
前記シールドを付勢して遠位に移動させるように配置された付勢要素を更に備える、請求項1に記載の注入装置訓練器具。
【請求項19】
前記ロック部材は、前記シールドが前記延出位置から前記初期位置へと移動するのに前記ロック部材が抵抗する第4の向きを有する、請求項1に記載の注入装置訓練器具。
【請求項20】
前記アクチュエータが前記遠位位置に向かってある距離移動し、前記シールドが前記延出位置になると、前記ロック部材が前記第4の向きに移動するように、前記ロック部材を前記第4の向きに向かって付勢するように配置された付勢要素を更に備える、請求項19に記載の注入装置訓練器具。
【請求項21】
前記付勢要素がねじりばねを備える、請求項20に記載の注入装置訓練器具。
【請求項22】
前記アクチュエータが、前記遠位位置から前記近位位置へと移動するときに前記ロック部材と連動して、前記ロック部材を前記第4の向きから前記第1の向きに向かって移動させることによって、前記シールドが前記延出位置から前記初期位置へと移動するのを可能にするように構成されている、請求項19に記載の注入装置訓練器具。
【請求項23】
前記ロック部材は、前記ロック部材が前記第4の向きにあり、前記シールドが前記延出位置にあるときに、前記シールドの近位移動に抵抗するように配置されたシールド抵抗面を備える、請求項19に記載の注入装置訓練器具。
【請求項24】
前記シールドは、前記ロック部材が前記第4の向きにあり、前記シールドが前記延出位置にあるときに、前記シールド抵抗面に当接するように配置された当接面を備える、請求項23に記載の注入装置訓練器具。
【請求項25】
前記アクチュエータの前記近位位置は、注入装置のプランジャの非作動位置をシミュレートする、請求項1に記載の注入装置訓練器具。
【請求項26】
前記アクチュエータの前記遠位位置は、注入装置のプランジャの作動位置をシミュレートする、請求項1に記載の注入装置訓練器具。
【請求項27】
前記シールドの前記初期位置は、注入装置の針を覆うことをシミュレートする、請求項1に記載の注入装置訓練器具。
【請求項28】
前記シールドの前記後退位置は、注入装置の針を露出させることをシミュレートする、請求項1に記載の注入装置訓練器具。
【請求項29】
前記シールドの前記延出位置は、前記シールドが針を露出させることを防止する注入装置のロックアウト状態をシミュレートする、請求項1に記載の注入装置訓練器具。
【請求項30】
前記アクチュエータは、前記近位位置から前記遠位位置への前記アクチュエータの移動が回転子を回転させるように、前記回転子と連結されており、
前記注入装置訓練器具は、前記回転子の前記回転を減衰させるために、前記回転子に連結される又は連結可能な減衰要素を更に備える、
請求項1に記載の注入装置訓練器具。
【請求項31】
注入装置であって、
流体を格納するためのチャンバと連結された針と、
本体部と、
前記本体部の近位端に向かって位置付けられたアクチュエータであって、前記チャンバ内に格納された流体を前記針から分注するために、近位位置から遠位位置へと移動可能である、アクチュエータと、
前記本体部の遠位端に向かって位置付けられたシールドであって、前記シールドが前記針を覆う初期位置と、前記シールドが前記針を露出させる後退位置であって、前記初期位置よりも前記本体部に対してより近位にある、後退位置と、前記シールドが前記針を覆う延出位置であって、前記初期位置よりも前記本体部に対してより遠位にある、延出位置と、の間で移動可能である、シールドと、
ロック部材であって、前記近位位置から前記遠位位置への前記アクチュエータの移動に前記ロック部材が抵抗する第1の向きと、前記近位位置から前記遠位位置への前記アクチュエータの移動を前記ロック部材が可能にする第2の向きとの間で回転可能である、ロック部材と、を備え、
前記ロック部材の前記第1の向きは、前記シールドが前記初期位置から前記延出位置へと移動することを防止するように前記シールドを前記初期位置に保持するように構成されており、かつ、前記初期位置から前記後退位置への前記シールドの移動を可能にし、
前記シールドは、前記ロック部材を前記第1の向きから前記第2の向きに移動させるために、前記初期位置から前記後退位置へと移動するときに前記ロック部材と接触するように構成されており、
前記アクチュエータの前記遠位位置に向かう第1の距離の移動は、前記シールドが前記延出位置に向かって移動することができるように前記シールドを前記ロック部材からロック解除する、
注入装置。
【請求項32】
前記アクチュエータは、前記近位位置から前記遠位位置への前記アクチュエータの移動が回転子を回転させるように、前記回転子と連結されており、
注入装置は、前記回転子の前記回転を減衰させるために、前記回転子に連結される又は連結可能な減衰要素を更に備える、
請求項31に記載の注入装置。
【請求項33】
請求項1に記載の注入装置訓練器具又は請求項31に記載の注入装置へと組み立てられるように構成された部品のキット。
【請求項34】
注入装置を使用するユーザーを訓練するための方法であって、前記方法は、注入装置訓練器具を提供することを含み、前記注入装置訓練器具は、
本体部と、
前記本体部の近位端に向かって位置付けられたアクチュエータであって、近位位置から遠位位置へと移動可能である、アクチュエータと、
前記本体部の遠位端に向かって位置付けられたシールドであって、初期位置と、前記初期位置よりも前記本体部に対してより近位にある後退位置と、前記初期位置よりも前記本体部に対してより遠位にある延出位置と、の間で移動可能である、シールドと、
ロック部材であって、前記近位位置から前記遠位位置への前記アクチュエータの移動に前記ロック部材が抵抗する第1の向きと、前記近位位置から前記遠位位置への前記アクチュエータの移動を前記ロック部材が可能にする第2の向きとの間で回転可能である、ロック部材と、を備え、
前記ロック部材の前記第1の向きは、前記シールドが前記初期位置から前記延出位置へと移動することを防止するように前記シールドを前記初期位置に保持するように構成されており、かつ、前記初期位置から前記後退位置への前記シールドの移動を可能にし、
前記方法は、
前記ロック部材を前記第1の向きから前記第2の向きに移動させるために、前記シールドが前記ロック部材と接触するように前記シールドを前記初期位置から前記後退位置へと移動させることと、
前記シールドが前記延出位置に向かって移動するように、前記アクチュエータを前記遠位位置に向かって第1の距離だけ移動させて前記シールドを前記ロック部材からロック解除することと、
を更に含む、注入装置を使用するユーザーを訓練するための方法。
【請求項35】
前記アクチュエータは、前記近位位置から前記遠位位置への前記アクチュエータの移動が回転子を回転させるように、前記回転子と連結されており、
前記注入装置訓練器具は、前記回転子の前記回転を減衰させるために、前記回転子に連結可能な減衰要素を更に備え、
前記方法は、前記アクチュエータを前記近位位置から前記遠位位置に移動させ、その間に前記減衰要素が、前記回転子の前記回転を減衰させることによって、前記アクチュエータの前記遠位位置に向かう移動を減衰させることを更に含む、
請求項34に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、注射を処理するための注入装置、及び注入装置を使用するユーザーを訓練するための注入装置訓練器具に関する。
【背景技術】
【0002】
患者を治療する際に、注射を簡単かつ安全に処理することができることが望ましい。注射を処理するための従来のシリンジは、薬剤を保持するための注射筒と、注射筒内に嵌合するプランジャと、プランジャが注射筒の内部に押し込まれたときに薬剤がそこを通って放出される針とを含む。典型的には、シリンジは、シリンジが注射を処理するために使用されていないときに針を遮蔽するためのキャップを有し、キャップは、針を露出させるために取り外されることができる。
【0003】
従来のシリンジに関連する特定の問題は、注射を処理する前に患者が自分自身を、又は他の誰かを、偶発的に針で刺す可能性があることである。別の特定の問題は、針を標的部位と正しく位置合わせすることが困難なことがあり、したがって注射が誤った場所に処理される可能性があることである。したがって、従来のシリンジは、特にあまり器用でない患者にとって、複雑であり、使用するのに潜在的に安全でない場合がある。
【0004】
従来のシリンジを用いてこれらの問題を克服するように設計された注入装置が存在する。1つのそのような装置は、針から患者の体内に薬剤を押し込むために作動させることができる針シールド及びプランジャを含む。針シールドは、標的部位に押し付けられると、針を露出させるために後退し、プランジャが同時に押し付けられて注射を処理することができる。これにより、装置のプランジャを標的部位の上に押し下げることによって、注射を単一の動作で処理することが可能になる。これにより、患者は、安全かつ単純に注射を自分自身に処理すること可能になる。多くの場合、これらの装置は、例えば、注射が完了した時点で、針を覆う位置に針シールドをロックすることによって、1回しか使用できないように設計されている。これは、患者が針を2回以上使用することを防止し、衛生及び健康上の利益を有する。
【0005】
既知の注入装置に関する問題は、注射を実際に処理することなく、これらの装置の使用に関して患者を訓練することが困難であり得ることである。したがって、適切な訓練は、注射が必要な回数に限定され得る。あるいは、訓練時の注入物質として非活性成分を使用するということもあり得る。しかしながら、健康及び衛生上の理由から、不必要に人に注射するのは避けるべきである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記に鑑みて、注入装置を使用する患者を単純かつ安全に訓練するために使用することができる装置が必要とされている。加えて、同じ装置を使用して複数の訓練課程を行うことができるように、そのような装置を複数回使用することが望ましい。また、単純な構造を有し、かつ確実に動作する注入装置が必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様では、注入装置を使用するユーザーを訓練するための注入装置訓練器具であって、本体部と、本体部の近位端に向かって位置付けられたアクチュエータであって、近位位置から遠位位置へと移動可能である、アクチュエータと、本体部の遠位端に向かって位置付けられたシールドであって、初期位置と、初期位置よりも本体部に対してより近位にある後退位置と、初期位置よりも本体部に対してより遠位にある延出位置と、の間で移動可能である、シールドと、ロック部材であって、近位位置から遠位位置へのアクチュエータの移動にロック部材が抵抗する第1の向きと、近位位置から遠位位置へのアクチュエータの移動をロック部材が可能にする第2の向きとの間で回転可能である、ロック部材と、を備える、注入装置訓練器具が存在する。ロック部材の第1の向きは、シールドが初期位置から延出位置へと移動することを防止するようにシールドを初期位置に保持するように構成されており、かつ、初期位置から後退位置へのシールドの移動を可能にする。シールドは、ロック部材を第1の向きから第2の向きに移動させるために、初期位置から後退位置へと移動するときにロック部材と接触するように構成されている。アクチュエータの遠位位置に向かう第1の距離の移動は、シールドが延出位置に向かって移動することが可能になるようにシールドをロック部材からロック解除する。
【0008】
したがって、注入装置訓練器具は、注入装置の使用を正確にシミュレートし、これにより訓練プロセスを改善する。加えて、ユーザーは、実際の注射が必要とされる場合にのみ訓練が可能である状況と比較して、注射の処理をより多くの回数練習することができる。ロック部材は、注入装置の使用をシミュレートするための機構を提供する。
【0009】
本発明の別の態様では、注入装置であって、流体を格納するためのチャンバと連結された針と、本体部と、本体部の近位端に向かって位置付けられたアクチュエータであって、チャンバ内に格納された流体を針から分注するために、近位位置から遠位位置へと移動可能である、アクチュエータと、本体部の遠位端に向かって位置付けられたシールドであって、シールドが針を覆う初期位置と、シールドが針を露出させる後退位置であって、初期位置よりも本体部に対してより近位にある、後退位置と、シールドが針を覆う延出位置であって、初期位置よりも本体部に対してより遠位にある、延出位置と、の間で移動可能である、シールドと、ロック部材であって、近位位置から遠位位置へのアクチュエータの移動にロック部材が抵抗する第1の向きと、近位位置から遠位位置へのアクチュエータの移動をロック部材が可能にする第2の向きとの間で回転可能である、ロック部材と、を備える、注入装置が存在する。ロック部材の第1の向きは、シールドが初期位置から延出位置へと移動することを防止するようにシールドを初期位置に保持するように構成されており、かつ、初期位置から後退位置へのシールドの移動を可能にする。シールドは、ロック部材を第1の向きから第2の向きに移動させるために、初期位置から後退位置へと移動するときにロック部材と接触するように構成されている。アクチュエータの遠位位置に向かう第1の距離の移動は、シールドが延出位置に向かって移動することが可能になるようにシールドをロック部材からロック解除する。
【0010】
これにより、信頼性及び製造の容易さを支援する注入装置の構造が提供される。
【0011】
本発明の別の態様では、注入装置を使用するユーザーを訓練するための方法が存在し、本方法は、注入装置訓練器具を提供することを含み、注入装置訓練器具は、本体部と、本体部の近位端に向かって位置付けられたアクチュエータであって、近位位置から遠位位置へと移動可能である、アクチュエータと、本体部の遠位端に向かって位置付けられたシールドであって、初期位置と、初期位置よりも本体部に対してより近位にある後退位置と、初期位置よりも本体部に対してより遠位にある延出位置と、の間で移動可能である、シールドと、ロック部材であって、近位位置から遠位位置へのアクチュエータの移動にロック部材が抵抗する第1の向きと、近位位置から遠位位置へのアクチュエータの移動をロック部材が可能にする第2の向きとの間で回転可能である、ロック部材と、を備える。ロック部材の第1の向きは、シールドが初期位置から延出位置へと移動することを防止するようにシールドを初期位置に保持するように構成されており、かつ、初期位置から後退位置へのシールドの移動を可能にする。本方法は、ロック部材を第1の向きから第2の向きに移動させるために、シールドがロック部材と接触するようにシールドを初期位置から後退位置へと移動させることと、シールドが延出位置に向かって移動するように、アクチュエータを遠位位置に向かって第1の距離だけ移動させてシールドをロック部材からロック解除することと、を更に含む。
【0012】
本発明の別の態様では、注射を処理する方法が存在し、本方法は、注入装置を提供することを含み、注入装置は、流体を格納するためのチャンバと連結された針と、本体部と、本体部の近位端に向かって位置付けられたアクチュエータであって、チャンバ内に格納された流体を針から分注するために、近位位置から遠位位置へと移動可能である、アクチュエータと、本体部の遠位端に向かって位置付けられたシールドであって、シールドが針を覆う初期位置と、シールドが針を露出させる後退位置であって、初期位置よりも本体部に対してより近位にある、後退位置と、シールドが針を覆う延出位置であって、初期位置よりも本体部に対してより遠位にある、延出位置と、の間で移動可能である、シールドと、ロック部材であって、近位位置から遠位位置へのアクチュエータの移動にロック部材が抵抗する第1の向きと、近位位置から遠位位置へのアクチュエータの移動をロック部材が可能にする第2の向きとの間で回転可能である、ロック部材と、を備える。ロック部材の第1の向きは、シールドが初期位置から延出位置へと移動することを防止するようにシールドを初期位置に保持するように構成されており、かつ、初期位置から後退位置へのシールドの移動を可能にする。本方法は、ロック部材を第1の向きから第2の向きに移動させるために、シールドがロック部材と接触するようにシールドを初期位置から後退位置へと移動させることと、シールドが延出位置に向かって移動するように、アクチュエータを遠位位置に向かって第1の距離だけ移動させてシールドをロック部材からロック解除することと、を更に含む。
【0013】
本発明の別の態様では、注入装置を使用するユーザーを訓練するための注入装置訓練器具であって、本体部と、本体部の近位端に向かって位置付けられたアクチュエータであって、近位位置から遠位位置へと移動可能である、アクチュエータと、を備える、注入装置訓練器具が存在する。本体部は、本体突出部を備え、アクチュエータは、アクチュエータが遠位位置にあるときに本体突出部と連結することによって、アクチュエータを遠位位置に保持するように配置されたラッチを備える。
【0014】
このようにして、ラッチと本体突出部との連結は、アクチュエータが遠位位置に到達していることを示し、これは、注入装置によって処理されている注射の完了をシミュレートする。したがって、ユーザーは、注射が適切に処理されたことを判定するように訓練されることができる。
【0015】
本発明の別の態様では、注入装置であって、流体を格納するためのチャンバと連結された針と、本体部と、本体部の近位端に向かって位置付けられたアクチュエータであって、チャンバ内に格納された流体を針から分注するために、近位位置から遠位位置へと移動可能である、アクチュエータと、を備える、注入装置が存在する。本体部は、本体突出部を備え、アクチュエータは、アクチュエータが遠位位置にあるときに本体突出部と連結することによって、アクチュエータを遠位位置に保持するように配置されたラッチを備える。
【0016】
このようにして、ラッチと本体突出部との連結は、アクチュエータが遠位位置に到達していることを示し、これは、注入装置によって処理されている注射の完了を示す。したがって、ユーザーは、注射が適切に処理されたことをより正確に判定することができる。
【0017】
本発明の別の態様では、注入装置を使用するユーザーを訓練するための注入装置訓練器具であって、本体部と、本体部の近位端に向かって位置付けられたアクチュエータであって、近位位置から遠位位置へと移動可能である、アクチュエータと、を備える、注入装置訓練器具が提供される。本体部は、本体突出部を備え、アクチュエータは、アクチュエータが遠位位置にあるときに本体突出部と接触し、可聴音を発するように配置されたラッチを備える。
【0018】
このようにして、可聴音は、アクチュエータが遠位位置に到達していることを示し、これは、注入装置によって処理されている注射の完了をシミュレートする。したがって、ユーザーは、注射が適切に処理されたことを判定するように訓練されることができる。可聴音は、ユーザーが装置から1m離れて音を聞くことができるようにする、又は装置から少なくとも腕の長さの位置で聞くことができるようにする強度を有し得る。ラッチは、装置から特定の距離(例えば、30cm)において所定の閾値強度を上回る可聴音を発するように構成されてもよい。例えば、所定の閾値強度は、発せられた音の強度が静かな部屋の通常な音の強度を上回るように、40dBとすることができる。これにより、ユーザーは、通常の作業環境において音を聞くことができる。所定の閾値強度は、ユーザーが様々な異なる環境で音を聞くことができることを確実にするために、50dB、60dB、又は更には70dBであってもよい。音は、短い音(例えば、秒の長さ未満)である「クリック音」の形態であってもよい。音は、ラッチと本体突出部との間の機械的相互作用に起因して発せられ、電子装置によって発せられるものではない。
【0019】
本発明の別の態様では、注入装置であって、流体を格納するためのチャンバと連結された針と、本体部と、本体部の近位端に向かって位置付けられたアクチュエータであって、チャンバ内に格納された流体を針から分注するために、近位位置から遠位位置へと移動可能である、アクチュエータと、を備える、注入装置が提供される。本体部は、本体突出部を備え、アクチュエータは、アクチュエータが遠位位置にあるときに本体突出部と接触し、可聴音を発するように配置されたラッチを備える。
【0020】
このようにして、可聴音は、アクチュエータが遠位位置に到達していることを示し、これは、注入装置によって処理されている注射の完了を示す。したがって、ユーザーは、注射が適切に処理されたことをより正確に判定することができる。
【0021】
本発明の別の態様では、注入装置を使用するユーザーを訓練するための方法が存在し、本方法は、注入装置訓練器具を提供することを含み、注入装置訓練器具は、本体部と、本体部の近位端に向かって位置付けられたアクチュエータであって、近位位置から遠位位置へと移動可能である、アクチュエータと、を備える。本体部は、本体突出部を備え、アクチュエータはラッチを備える。本方法は、アクチュエータが遠位位置にあるときにラッチが本体突出部と連結することによって、アクチュエータを遠位位置に保持するように、アクチュエータを近位位置から遠位位置に移動させることを更に含む。
【0022】
本発明の別の態様では、注射を処理する方法が存在し、本方法は、注入装置を提供することを含み、注入装置は、流体を格納するためのチャンバと連結された針と、本体部と、本体部の近位端に向かって位置付けられたアクチュエータであって、チャンバ内に格納された流体を針から分注するために、近位位置から遠位位置へと移動可能である、アクチュエータと、を備える。本体部は、本体突出部を備え、アクチュエータはラッチを備える。本方法は、アクチュエータが遠位位置にあるときにラッチが本体突出部と連結することによって、アクチュエータを遠位位置に保持するように、アクチュエータを近位位置から遠位位置に移動させることを更に含む。
【0023】
本発明の別の態様では、注入装置を使用するユーザーを訓練するための方法が存在し、本方法は、注入装置訓練器具を提供することを含み、注入装置訓練器具は、本体部と、本体部の近位端に向かって位置付けられたアクチュエータであって、近位位置から遠位位置へと移動可能である、アクチュエータと、を備える。本体部は、本体突出部を備え、アクチュエータはラッチを備える。本方法は、ラッチが、アクチュエータが遠位位置にあるときに本体突出部と接触し、可聴音を発するように、アクチュエータを近位位置から遠位位置に移動させることを更に含む。
【0024】
本発明の別の態様では、注射を処理する方法が存在し、本方法は、注入装置を提供することを含み、注入装置は、流体を格納するためのチャンバと連結された針と、本体部と、本体部の近位端に向かって位置付けられたアクチュエータであって、チャンバ内に格納された流体を針から分注するために、近位位置から遠位位置へと移動可能である、アクチュエータと、を備える。本体部は、本体突出部を備え、アクチュエータはラッチを備える。本方法は、ラッチが、アクチュエータが遠位位置にあるときに本体突出部と接触し、可聴音を発するように、アクチュエータを近位位置から遠位位置に移動させることを更に含む。
【0025】
本発明の別の態様では、注入装置を使用するユーザーを訓練するための注入装置訓練器具であって、本体部と、本体部の近位端に向かって位置付けられたアクチュエータであって、近位位置から遠位位置へと移動可能である、アクチュエータと、本体部の遠位端に向かって位置付けられたシールドであって、初期位置と、初期位置よりも本体部に対してより遠位にある延出位置と、の間で移動可能である、シールドと、遠位位置から近位位置に向かうアクチュエータの移動がシールドを延出位置から初期位置に引っ張るように、アクチュエータをシールドに接続するコネクタと、を備える、注入装置訓練器具、が存在する。
【0026】
このようにして、訓練器具を再び使用することができるように、注入装置訓練器具をリセットして初期位置に戻すことが可能である。コネクタは、この機能を達成するための機構を提供する。
【0027】
本発明の別の態様では、注入装置であって、流体を格納するためのチャンバと連結された針と、本体部と、本体部の近位端に向かって位置付けられたアクチュエータであって、チャンバ内に格納された流体を針から分注するために、近位位置から遠位位置へと移動可能である、アクチュエータと、本体部の遠位端に向かって位置付けられたシールドであって、シールドが針を覆う初期位置と、シールドが針を露出させる後退位置であって、初期位置よりも本体部に対してより近位にある、後退位置と、シールドが針を覆う延出位置であって、初期位置よりも本体部に対してより遠位にある、延出位置と、の間で移動可能である、シールドと、遠位位置から近位位置に向かうアクチュエータの移動がシールドを延出位置から初期位置に引っ張るように、アクチュエータをシールドに接続するコネクタと、を備える、注入装置が存在する。
【0028】
このようにして、訓練器具を2回以上使用することができるように、注入装置をリセットして初期位置に戻すことが可能である。コネクタは、この機能を達成するための機構を提供する。
【0029】
本発明の別の態様では、注入装置を使用するユーザーを訓練するための方法が存在し、本方法は、注入装置訓練器具を提供することであって、注入装置訓練器具は、本体部と、本体部の近位端に向かって位置付けられたアクチュエータであって、近位位置から遠位位置へと移動可能である、アクチュエータと、本体部の遠位端に向かって位置付けられたシールドであって、初期位置と、初期位置よりも本体部に対してより遠位にある延出位置と、の間で移動可能である、シールドと、アクチュエータをシールドに接続するコネクタと、を備える。本方法は、コネクタを使用してシールドを延出位置から初期位置に引っ張るために、アクチュエータを遠位位置から近位位置に向かって移動させることを更に含む。
【0030】
本発明の別の態様では、注射を処理する方法が存在し、本方法は、注入装置を提供することを含み、注入装置は、流体を格納するためのチャンバと連結された針と、本体部と、本体部の近位端に向かって位置付けられたアクチュエータであって、チャンバ内に格納された流体を針から分注するために、近位位置から遠位位置へと移動可能である、アクチュエータと、本体部の遠位端に向かって位置付けられたシールドであって、シールドが針を覆う初期位置と、シールドが針を露出させる後退位置であって、初期位置よりも本体部に対してより近位にある、後退位置と、シールドが針を覆う延出位置であって、初期位置よりも本体部に対してより遠位にある、延出位置と、の間で移動可能である、シールドと、アクチュエータをシールドに接続するコネクタと、を備える。本方法は、コネクタを使用してシールドを延出位置から初期位置に引っ張るために、アクチュエータを遠位位置から近位位置に向かって移動させることを更に含む。
【0031】
本発明の別の態様では、注入装置を使用するユーザーを訓練するための注入装置訓練器具であって、本体部と、本体部の近位端に向かって位置付けられたアクチュエータアセンブリであって、アクチュエータアセンブリは、近位位置から遠位位置へと移動可能であり、アクチュエータアセンブリは、近位位置から遠位位置へのアクチュエータの移動が回転子を回転させるように、回転子と連結されている、アクチュエータアセンブリと、回転子の回転を減衰させるために、回転子に連結される又は連結可能な減衰要素と、を備える、注入装置訓練器具が存在する。
【0032】
このようにして、注入装置訓練器具は、アクチュエータが押下されたときに注入装置内の薬剤によって提供される抵抗をシミュレートすることが可能である。
【0033】
本発明の別の態様では、注入装置であって、流体を格納するためのチャンバと連結された針と、本体部と、本体部の近位端に向かって位置付けられたアクチュエータアセンブリであって、アクチュエータは、チャンバ内に格納された流体を針から分注するために近位位置から遠位位置へと移動可能であり、アクチュエータアセンブリは、近位位置から遠位位置へのアクチュエータの移動が回転子を回転させるように、回転子と連結されている、アクチュエータアセンブリと、回転子の回転を減衰させるために、回転子に連結される又は連結可能な減衰要素と、を備える注入装置が存在する。
【0034】
このようにして、注入装置は、遠位位置に向かうアクチュエータの進行を減衰させることが可能であり、これにより、流体が針から急激に分注されないことを確実にする。
【0035】
本発明の別の態様では、注入装置を使用するユーザーを訓練するための方法であって、本方法は、注入装置訓練器具を提供することを含み、注入装置訓練器具は、本体部と、本体部の近位端に向かって位置付けられたアクチュエータアセンブリであって、アクチュエータは、近位位置から遠位位置へと移動可能であり、アクチュエータアセンブリは、近位位置から遠位位置へのアクチュエータの移動が回転子を回転させるように、回転子と連結されている、アクチュエータアセンブリと、回転子の回転を減衰させるために、回転子に連結される又は連結可能な減衰要素と、を備える、注入装置を使用するユーザーを訓練するための方法が存在する。本方法は、アクチュエータを近位位置から遠位位置に移動させ、その間に減衰要素が、回転子の回転を減衰させることによって、アクチュエータの遠位位置に向かう移動を減衰させることを更に含む。
【0036】
本発明の別の態様では、注射を処理する方法であって、本方法は、注入装置を提供することを含み、注入装置は、流体を格納するためのチャンバと連結された針と、本体部と、本体部の近位端に向かって位置付けられたアクチュエータアセンブリであって、アクチュエータは、チャンバ内に格納された流体を針から分注するために近位位置から遠位位置へと移動可能であり、アクチュエータアセンブリは、近位位置から遠位位置へのアクチュエータの移動が回転子を回転させるように、回転子と連結されている、アクチュエータアセンブリと、回転子の回転を減衰させるために、回転子に連結される又は連結可能な減衰要素と、を備える、注射を処理する方法が存在する。本方法は、アクチュエータを近位位置から遠位位置に移動させ、その間に減衰要素が、回転子の回転を減衰させることによって、アクチュエータの遠位位置に向かう移動を減衰させることを更に含む。
【0037】
ロック部材は、ロック部材が第1の向きにあるときに、近位位置から遠位位置へのアクチュエータの移動に抵抗するように配置されたアクチュエータ抵抗面を備えてもよい。アクチュエータ抵抗面は、ロック部材から延びる突出部を備えてもよい。アクチュエータは、アクチュエータが近位位置にあり、ロック部材が第1の向きにあるときに、アクチュエータ抵抗面に当接するように配置された当接面を備えてもよい。当接面は、アクチュエータから延びる突出部を備えてもよい。ロック部材は、少なくとも2つの(又は一対の)アクチュエータ抵抗面を備えてもよい。一対のアクチュエータ抵抗面は、ロック部材の互いに対して反対側に位置してもよい。アクチュエータは、少なくとも2つ(又は一対の)当接面を備えてもよい。一対の当接面は、アクチュエータの互いに対して反対側に位置してもよい。この単純かつ信頼性の高い機構により、アクチュエータがロック部材に及ぼす力が、ロック部材の直径にわたって広がることが可能になる。
【0038】
ロック部材は、円筒形ハウジングを備えてもよく、アクチュエータ抵抗面は、円筒形ハウジングの表面から突出する突出部を備えてもよい。突出部は、円筒形ハウジングの周囲の一部のみに及んでもよい。ロック部材は傾斜面を備えてもよい。シールドは、傾斜した接触面を備えてもよい。シールドの傾斜した接触面は、ロック部材を第1の向きから第2の向きに回転させるために、初期位置から後退位置へと移動するときにロック部材の傾斜面と相互作用するように配置されてもよい。これにより、ロック部材を第2の向きに回転させるための単純かつ信頼性の高い機構が提供される。
【0039】
ロック部材は、シールドが初期位置から延出位置へと移動することが可能な第3の向きを備えてもよい。アクチュエータは、ロック部材を第3の向きに移動させるために、第1の距離だけ移動するように構成されてもよい。このようにして、アクチュエータが少なくとも部分的に押下されるまで、シールドが延出位置に移動することが防止される。延出位置は、注入装置のロックアウト状態をシミュレートし、注射が完了したことを示す。したがって、訓練器具は、アクチュエータがユーザーによって作動されるまで、注射手順の完了をシミュレートすることができない。
【0040】
ロック部材は、シールド内の凹部内に位置することによってシールドを初期位置に保持するように配置された停止部を備えてもよい。これにより、シールドを初期位置に維持するための単純かつ信頼性の高い機構が提供される。
【0041】
シールドが延出位置に移動することを可能にするために、停止部は、シールド内のスロットに沿って移動するように配置されてもよい。停止部は、ロック部材が第1の向きにあるときに、凹部内のスロットの外側に位置することによって、シールドを初期位置に保持するように配置されてもよい。このようにして、停止部を凹部からスロット内に移動させることにより、停止部を使用して、シールドが初期位置から延出位置へと移動することを可能にすることができる。
【0042】
一実施形態では、アクチュエータがロック部材を第2の向きから第3の向きへ移動させることによって、停止部がスロットに押し込まれ、これによってシールドが初期位置から延出位置へと移動することが可能になる。したがって、アクチュエータを押下することによって、シールドを延出位置へと移動させることが可能になる。
【0043】
停止部は、弾性部材に連結されてもよく、当該弾性部材は、停止部を静止状態から訓練器具の長手方向軸に向かって撓曲状態へと内側に移動させるために屈曲するように構成されている。静止状態の停止部は、シールドを初期位置に保持する。撓曲状態の停止部は、停止部がスロット内に移動することを可能にする。これにより、シールドが初期位置から延出位置へと移動することを可能にするための信頼性の高い機構が提供される。
【0044】
訓練器具は、シールドを付勢して遠位に移動させる付勢要素を備えてもよい。したがって、シールドは、ロック部材の向きに応じて、後退位置から初期位置又は延出位置のいずれかに自動的に移動することができる。
【0045】
ロック部材のアクチュエータ抵抗面は、偏向部を備えてもよい。アクチュエータは、偏向部と連動して、ロック部材を第2の向きから第3の向きに移動させるように配置されてもよい。したがって、アクチュエータは偏向部を押し下げて、シールドが延出位置に移動することを可能にする向きにロック部材を移動させる。
【0046】
訓練器具は、ロック部材を第1の回転方向に付勢するように配置された付勢要素を備えてもよい。付勢要素は、ねじりばねを備えてもよい。付勢要素は、ロック部材が第2の向き又は第3の向きから離れる第1の向きに向かって回転するように付勢することができる。したがって、訓練器具を自動的にリセットすることができる。
【0047】
付勢要素は、アクチュエータが遠位位置に向かってある距離移動し、シールドが延出位置になると、ロック部材が第4の向きに移動するように、ロック部材を第4の向きに向かって付勢することができる。第4の向きにあるロック部材は、シールドが延出位置から初期位置へと移動することを防止することができる。したがって、アクチュエータが押下されると、シールドは自動的にロックアウト状態に位置付けられ得る。
【0048】
アクチュエータは、遠位位置から近位位置へと移動するときにロック部材と連動して、ロック部材を第1の向きに向かって移動させることによって、シールドが延出位置から初期位置へと移動するのを可能にするように構成されてもよい。これにより、ユーザーは、アクチュエータを遠位位置から近位位置に戻すことによって、訓練器具をリセットすることが可能になる。
【0049】
ロック部材は、ロック部材が第4の向きにあり、シールドが延出位置にあるときに、シールドの近位移動に抵抗するように配置されたシールド抵抗面を備えてもよい。シールドは、ロック部材が第4の向きにあり、シールドが延出位置にあるときに、シールド抵抗面に当接するように配置された当接面を備えてもよい。これは、シールドをロックアウト状態に維持することを支援する。
【0050】
一実施形態では、アクチュエータの近位位置は、注入装置のプランジャの非作動位置をシミュレートする。一実施形態では、アクチュエータの遠位位置は、注入装置のプランジャの作動位置をシミュレートする。一実施形態では、シールドの初期位置は、注入装置の針を覆うことをシミュレートする。一実施形態では、シールドの後退位置は、注入装置の針を露出させることをシミュレートする。一実施形態では、シールドの延出位置は、シールドが針を露出させることを防止する注入装置のロックアウト状態をシミュレートする。したがって、訓練器具は、注入装置の動作を正確にシミュレートすることができる。
【0051】
ラッチは、ラッチが本体突出部と連結すると可聴音を発することによって、アクチュエータが遠位位置にあることを示すように構成されてもよい。可聴音は、アクチュエータが遠位位置に到達したことを示し、これは、注入装置によって処理されている注射の完了をシミュレートし、これにより、注入装置を使用するときに注射が適切に処理されたことをユーザーがより正確に判定することができる。
【0052】
ラッチは、ラッチが本体突出部と連結されているときにアクチュエータを遠位位置に保持するように構成されてもよい。ラッチと本体突出部との連結は、アクチュエータが遠位位置に到達したことを示し、これは、注入装置によって処理されている注射の完了をシミュレートし、これにより、注入装置を使用するときに注射が適切に処理されたことをユーザーがより正確に判定することができる。
【0053】
ラッチは、弾性部材を備えてもよい。ラッチは、ラッチが本体突出部と連結されていない非連結状態と、ラッチが本体突出部と連結されている連結状態との間で移動可能であり得る。したがって、ラッチを単に屈曲させて本体部と連結させることができる。
【0054】
弾性部材は、アクチュエータを遠位位置から近位位置に移動させる際に閾値を超える力がアクチュエータに印加されると、連結状態から非連結状態へと移動するように構成されてもよい。したがって、ラッチは、アクチュエータを遠位位置にしっかりと保持することができる一方で、ユーザーが閾値を上回る力をアクチュエータに意図的に印加すると、訓練器具がその初期構成に戻ることができるようにする。
【0055】
ラッチは、ラッチを非連結状態から連結状態に移動させるために本体突出部と連動するように配置されたラッチ偏向部を備えてもよい。ラッチは、連結状態で本体部を把持する把持要素を備えてもよい。このようにして、偏向部は、ラッチを移動させて本体と連結させることを支援し、把持要素は、ラッチと本体とを互いに接続して維持することを支援する。
【0056】
弾性部材は、偏向部及び/又は把持要素を備えてもよい。偏向部及び把持要素は、ラッチの対向する側に設けられてもよい。これにより、信頼性の高いラッチ構造が提供される。
【0057】
コネクタは、アクチュエータが近位位置にあるときに、シールドが初期位置から離れて遠位に移動することに抵抗し得る。このようにして、コネクタは、シールドを初期位置に維持することを支援する。
【0058】
コネクタは、アクチュエータが近位位置にあるとき、シールドが後退位置に向かって移動することを可能にし得る。このようにして、コネクタは、後退位置へのシールドの後退を妨げない。
【0059】
コネクタは、アクチュエータが遠位位置に向かって移動するときに、シールドが延出位置に向かって遠位に移動することを可能にし得る。したがって、コネクタはシールドを解放するように作用することができる。
【0060】
コネクタは、アクチュエータが近位位置にあるときにシールドが初期位置から離れて遠位に移動することに抵抗するために、アクチュエータの一部分に当接するアクチュエータインターフェースを有してもよい。アクチュエータインターフェースとアクチュエータとの当接は、シールドを初期位置に保持するための機構を提供する。
【0061】
アクチュエータインターフェースは、近位方向に面するアクチュエータの表面に当接してもよい。したがって、アクチュエータが近位に移動するとき、コネクタはアクチュエータによって移動され得るが、アクチュエータは、遠位に移動するときにコネクタを移動させない。
【0062】
コネクタは、アクチュエータが近位位置にあるときにシールドが初期位置から離れて遠位に移動することに抵抗するために、シールドの一部分に当接するシールドインターフェースを有してもよい。これにより、シールドを初期位置に保持するための機構が提供される。
【0063】
シールドインターフェースは、遠位方向に面するシールドの表面に当接してもよい。したがって、コネクタは、アクチュエータが近位に移動するときにシールドを移動させることができるが、コネクタは、遠位に移動するときにシールドを移動させない。
【0064】
本発明の別の態様では、本明細書に記載される注入装置訓練器具又は注入装置へと組み立てられるように構成された部品のキットが存在する。
【図面の簡単な説明】
【0065】
本発明の実施形態について、単に一例として、以下の図面を参照して説明する。
【
図1】注入装置を使用するユーザーを訓練するための注入装置訓練器具を示す。
【
図2A】注入装置訓練器具の遠位端に取り付けられたキャップを示す。
【
図2B】アクチュエータが近位位置にあり、シールドが初期位置にある状態の注入装置訓練器具を示す。
【
図2C】近位位置にあるアクチュエータ、及び後退位置にあるシールドを示す。
【
図2D】近位位置から遠位に移動しアクチュエータ、及び後退位置にあるシールドを示す。
【
図2E】遠位位置にあるアクチュエータ、及び後退位置にあるシールドを示す。
【
図3A】遠位位置にあるアクチュエータ、及び延出位置にあるシールドを示す。
【
図3B】遠位位置に向かって近位に移動する際のアクチュエータ、及び延出位置にあるシールドを示す。
【
図3C】遠位位置にあるアクチュエータ、及び初期位置にあるシールドを示す。
【
図5A】アクチュエータが近位位置にあり、シールドが初期位置にある状態の、注入装置訓練器具の内部構成要素の側面図である。
【
図5B】アクチュエータが近位位置にあり、シールドが初期位置にある状態の、注入装置訓練器具の内部構成要素の斜視図である。
【
図6】内側シールド部及びロック部材の分解図である。
【
図7A】アクチュエータが近位位置にあり、シールドが後退位置にある状態の、注入装置訓練器具の内部構成要素の側面図である。
【
図7B】アクチュエータが近位位置にあり、シールドが後退位置にある状態の、注入装置訓練器具の内部構成要素の斜視図である。
【
図8】アクチュエータが遠位位置にあり、シールドが延出位置にある状態の、注入装置訓練器具の内部構成要素の斜視図である。
【
図9】コネクタを有する注入装置訓練器具の分解図である。
【
図10】ラッチを有する注入装置訓練器具の分解図である。
【
図11A】注入装置訓練器具の内部構成要素及び減衰要素の側面図である。
【
図11B】注入装置訓練器具の内部構成要素及び減衰要素の斜視図である。
【
図12B】角度の付いた歯を見ることができる、回転子の上面図である。
【
図13B】断面A-Aに沿って取られた切欠き図である。
【
図14B】断面B-Bに沿って取られた切欠き図である。
【
図15】完全に係合されたときの回転子及び減衰要素の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0066】
図1を参照すると、注入装置を使用するユーザーを訓練するための注入装置訓練器具1が存在する。訓練器具1は、近位端5及び遠位端7を有する本体部3を備える。
【0067】
使用時には、本体部3の遠位端7は、ユーザーが注射を通常処理する標的部位であり得る、ユーザーの身体の表面に向かって位置付けられる。使用には、本体部3の近位端5は、訓練器具1を作動させるために使用されるユーザーの手に向かって位置付けられる。本体部3はまた、装置内に収容された薬剤を見るために使用される注入装置内の窓をシミュレートした窓12を、本体部3の両側に有する。
【0068】
用語「近位」及び「遠位」は、本明細書では装置を説明するために使用されるが、これらの用語は、文脈を与えるために使用され、訓練器具1が任意の特定の向きで使用されることを要求するものではない。用語「第1の端部」及び「第2の端部」は、意図される意味を変更することなく、用語「遠位端」及び「近位端」の代わりに使用され得る。
【0069】
注入装置訓練器具1はまた、アクチュエータ9及びシールド11を備える。アクチュエータ9は、針から薬剤を分注するために使用される注入装置内のプランジャをシミュレートしている。シールド11は、針を覆うため及び露出させるために使用される注入装置内の針シールドをシミュレートしている。
【0070】
訓練器具1は、シールド11の偶発的な後退を防止するためにシールド11の上に位置付けられることができる取り外し可能なキャップ13を有する。キャップ13は、その内面に一対の窪み15を備える。これらの窪み15は、本体部3の遠位端7の外面上の一対の隆起部17の上に位置付けられるように配置される。こうすることで、キャップ13を定位置に保持する。本体部3の遠位端7はまた、各窪み15の反対側に、シールド11の表面と当接する一対のノード19を備えており、これにより、窪み15が隆起部17と連動すると、シールド11が近位端5に向かって更に進むことが防止される。
【0071】
本明細書に記載される注入装置訓練器具1の特徴部は、ユーザーを訓練するための注入装置と同一であっても、又は実質的に同一であってもよい。しかしながら、注入装置訓練器具1は、訓練手順中にユーザーが注射されないように針を備えていない。注入装置訓練器具1はまた、内部に収容された薬剤などの任意の流体を含まないが、訓練器具1は、注入装置の薬剤を収容するための容器をシミュレートした容器を備えてもよい。
【0072】
図2A~
図2Eを参照すると、注入装置訓練器具1を使用して注射を処理することに関してユーザーを訓練するためのシーケンスが存在する。見て分かるように、
図2Aは、
図1を参照して説明した訓練器具1を表す。
図2Bは、キャップ13が取り外され、シールド11を露出させた状態の訓練器具1を示す。
図2Bに示すように、シールド11は初期位置にあり、これは、針が覆われている場合の注入装置の針シールドの位置をシミュレートしている。
【0073】
図2Cを参照すると、ユーザーは、アクチュエータ9によって訓練器具1を把持して、シールド11を標的部位の上に位置付けることができる。次いで、ユーザーは、アクチュエータ9を本体部3の遠位端7に向かって押すことができる。この動作により、シールド11は、近位端5の方向に、シールド11の後退位置へと移動する。シールド11が初期位置にあるとき、アクチュエータ9は、本体部3に対して遠位端7に向かって移動することが防止される。したがって、アクチュエータ9は近位位置に保持され、前方に前進することができない。しかしながら、シールド11が後退位置になると、アクチュエータ9は、訓練器具1の長手方向軸に沿って遠位方向に移動することが可能となる。
【0074】
図2Cは、初期位置よりも本体部3に対してより近位の位置である後退位置にあるシールド11を示す。シールド11は、後退位置にあるとき、本体部3の内側に部分的に後退されている。この位置は、注射を処理するために針が露出された場合の、注入装置の針シールドの位置をシミュレートする。
【0075】
図2D及び
図2Eを参照すると、シールド11が後退位置になると、アクチュエータ9は遠位に移動することが可能となる。
図2Dは、遠位端7に向かって進んでいるアクチュエータ9を示す。
図2Eは、遠位位置にあるアクチュエータ9を示し、これは、注射が処理された後の注入装置内のプランジャの位置をシミュレートしている。
【0076】
図3A~
図3Cを参照すると、注射のシミュレーションが完了した後の注入装置訓練器具1をリセットするためのシーケンスが存在する。
図3Aを参照すると、ユーザーは、標的部位から訓練器具1を取り外すことができ、これにより、シールド11は、初期位置及び後退位置よりも本体部3に対してより遠位である延出位置へと遠位に移動することが可能になる。シールド11の延出位置は、注入装置の針シールドが針を露出させることを防止する、注入装置のロックアウト状態をシミュレートする。
【0077】
図3B~
図3Cを参照すると、ユーザーは、訓練器具1をリセットするために、アクチュエータ9を近位端5に向かって引っ張ることができ、これにより、
図2A~
図2Eを参照して説明したシーケンスを繰り返すことができるようになる。
図3Bは、近位位置に向かって進んでいるアクチュエータ9を示し、
図3Cは、近位位置に到達した後のアクチュエータ9を示す。アクチュエータ9が近位位置に引っ張られると、シールド11は、訓練器具1が別の訓練課程に使用されることができるように、初期位置に戻る。
【0078】
図4は、注入装置訓練器具1の分解図を示す。本体部3は、主部23と接続するベース部21を備え、主部23は、第1の外側部25及び第2の外側部27によって包囲される。この実施例では、本体部3の構成部品は、本体アセンブリを形成するために一緒に嵌合される。しかしながら、本体部3は、単一の部品から形成されてもよい。
【0079】
訓練器具1のシールド11は、外側シールド部29及び内側シールド部31を含む。外側シールド部29はベース部21から延び、内側シールド部31は本体部3の中に位置する。また、シールド11を遠位方向に押し進めるための付勢要素として機能するばね33が存在する。
【0080】
訓練器具1のアクチュエータ9は、アクチュエータ本体35及びエンドキャップ37を備える。これらの構成要素は、アクチュエータ9を移動させるためにユーザーが相互作用することができる外側表面を形成する。アクチュエータ本体35及びエンドキャップ37内に位置するアクチュエータ9の内側部品39が存在する。内側部品39は、プランジャ41の近位端においてねじ付きプランジャ41と接続し、一方、プランジャ41の遠位端は、プランジャ41を訓練器具1の長手方向軸と位置合わせして維持する先端部43と接続する。この実施例では、アクチュエータアセンブリを形成するために、アクチュエータ9の構成部品は一緒に嵌合される。しかしながら、アクチュエータ9は、単一の部品から形成されてもよい。
【0081】
プランジャ41は、プランジャ41の回転を減衰させるために使用され、ひいてはアクチュエータ9の遠位位置に向かう移動を減衰させる減衰要素45と連結される。
【0082】
訓練器具1は、第1のロック部51及び第2のロック部53を含むロック部材47を更に備える。この実施例では、第1のロック部51及び第2のロック部53は、一緒に接続してロック部材47を形成する別個の構成要素である。しかしながら、別の実施例では、ロック部材47は、単一の部品から形成される。
【0083】
ロック部材47は、ロック部材47が異なる回転の向きに配置され得るように、訓練器具1の長手方向軸を中心に回転可能である。ロック部材47は、回転することができるが、本体部3に対して近位又は遠位に移動することはできない。ロック部材47は、(
図2A~
図2Bに示すような)近位位置から(
図2Eに示すような)遠位位置へのアクチュエータ9の移動にロック部材47が抵抗する第1の向きを有する。したがって、ロック部材47の第1の向きは、アクチュエータ9を
図2A~
図2Bを参照して説明した構成に保持するように構成されている。また、ロック部材47の第1の向きは、シールド11の初期位置から(
図3A~
図3Bに示すような)延出位置への移動を防止し、シールド11の初期位置から(
図2Cに示すような)後退位置への移動を可能にするように、シールド11を(
図2Bに示すような)初期位置に保持するように構成されている。
【0084】
ロック部材47はまた、近位位置から遠位位置へのアクチュエータ9の移動をロック部材47が可能にする第2の向きを有する。したがって、ロック部材47の第2の向きは、
図2Eに示される位置へとアクチュエータ9が移動することを可能にするように構成されている。
【0085】
訓練器具1はまた、この実施例ではねじりばねである付勢要素55を備える。付勢要素55は、ロック部材47を第1の回転方向57に付勢する。第1の回転方向57は、訓練器具1の向きに応じて時計回りであっても、反時計回りであってもよい。
【0086】
訓練器具1は、注入装置のシリンジをシミュレートする内側ハウジング59と、内側ハウジングを定位置に保持するグリップ61とを更に備える。
【0087】
図5A~
図5Bは、アクチュエータ9が近位位置にあり、シールド11が初期位置にある状態の、
図2A~
図2Bを参照して説明したものと同じ構成の訓練器具1を示す。この構成では、ロック部材47は、アクチュエータ9が遠位方向に移動することを防止する第1の向きにある。
【0088】
図5A~
図5B及び
図6を参照すると、ロック部材47は、ロック部材47の円筒形ハウジングの外側表面の一部から突出する突出部を備えるアクチュエータ抵抗面63を備える。アクチュエータ抵抗面63は、ロック部材47から、訓練器具1の長手方向軸から離れる方向に突出する。アクチュエータ9は、アクチュエータ9の内側表面の一部から突出する突出部を備える当接面65を備える。当接面65は、アクチュエータ9から、訓練器具1の長手方向軸に向かう方向に突出する。当接面65は、アクチュエータ抵抗面63に当接するように配置される。したがって、アクチュエータ抵抗面63は、ロック部材47が第1の向きにあるときに、近位位置から遠位位置へのアクチュエータ9の移動に抵抗するように構成されている。
【0089】
訓練器具1では、2つのアクチュエータ抵抗面63が存在する。この実施例では、アクチュエータ抵抗面63は、ロック部材47の互いに反対側に位置付けられる。これにより、アクチュエータ9を押し下げる力がロック部材47を全体に広がることが可能になる。2つの対応する当接面65も存在し、この実施例では、アクチュエータ9の互いに反対側に位置付けられている。
【0090】
ロック部材47は、シールド11の内側シールド部31内の凹部69内に位置するように配置された停止部67を備える。停止部67は、シールド11が初期位置から延出位置まで遠位に移動することを防止するが、シールド11が後退位置に向かって近位に移動することを可能にする。この実施例では、ロック部材47は、ロック部材47の互いに反対側に位置付けられた一対の停止部67を備える。内側シールド部31は、内側シールド部31の互いに反対側に、一対の対応する凹部69を有している。凹部69は、
図1を参照して説明した窓12と同様の寸法又は同じ寸法を有する開口を画定する。
【0091】
図7A~
図7Bは、アクチュエータ9が近位位置にあり、シールド11が後退位置にある状態の、
図2Cを参照して説明したものと同じ構成の訓練器具1を示す。この構成では、以下でより詳細に説明するように、ロック部材47は、アクチュエータ9が遠位方向に移動することを可能にする第2の向きに回転されている。
【0092】
図5A及び
図6を参照すると、ロック部材47は、この実施例では、第2のロック部53の外側表面から延出する角度付き表面である傾斜面71を備える。内側シールド部31は、この実施例では、内側シールド部31内の凹部内の角度付き表面である傾斜した接触面73を備える。傾斜面71及び傾斜した接触面73は、シールド11が初期位置から後退位置へと移動するときに傾斜した接触面73がロック部材47を回転させるように成形されかつ位置付けられる。この実施例では、傾斜面71及び傾斜した接触面73は、ロック部材47を、ロック部材47が付勢される第1の回転方向57に対して反対の回転方向である第2の回転方向75に回転させる。
【0093】
好ましくは、ロック部材47は一対の傾斜面71を備え、シールド11は2つの傾斜した接触面73を備える。各傾斜面71は、もう一方に対してロック部材47の反対側にあってもよい。各傾斜した接触面73は、もう一方に対してシールド11の反対側にあってもよい。これは、ロック部材47及びシールド11に対する摩擦力を低減することを支援する。
【0094】
シールド11が後退位置に移動すると、ロック部材47は第2の向きに回転する。これを
図7A~
図7Bに示す。ここで、傾斜面71によって形成された突出部は、シールド11を後退位置に保持するために、傾斜した接触面73によって形成された凹部内に嵌合することが分かる。ロック部材47が第2の向きにあるとき、アクチュエータ抵抗面63の端部に形成された間隙77は、当接面65が間隙77を通過できるように、当接面65と少なくとも部分的に回転可能に位置合わせされる。したがって、当接面65は、アクチュエータ抵抗面63を越えて移動することができ、アクチュエータ9は近位位置から遠位位置に向かって移動し始めることができる。当接面65の幅は、間隙65の幅と同じであるか、又はそれよりも小さい未満である。2つの当接面65及び2つのアクチュエータ抵抗面63が存在する実施例では、上記と同じプロセスが、訓練器具1の反対側に生じる。
【0095】
図6を参照すると、ロック部材47のアクチュエータ抵抗面63は、アクチュエータが遠位に移動するときにアクチュエータの当接面65と連動するように構成された偏向部79を備える。当接面65が偏向部79と連動すると、ロック部材47は、第2の向きから第3の向きへと第2の回転方向75に更に移動する。アクチュエータ9が遠位方向に第1の距離を移動すると、当接面65は、ロック部材47の間隙77の内部に位置するように移動する。したがって、アクチュエータ9の力は、ロック部材47を第3の向きに移動させ、これによって停止部67を内側シールド部31の内面のスロット81内に移動させる。当接面65が間隙77内に位置しているとき、この状態は、ロック部材47を第3の向きに保持する。当接面65は、アクチュエータ9の頂部まで延びない。したがって、当接面65が間隙77を越えて移動し、シールド11が移動してロック部材47との係合から外れると、付勢要素55によって加えられる力により、ロック部材47が回転して第1の回転方向に戻ることが可能になる。
【0096】
内側シールド部31内のスロット81は、停止部67がその中を摺動することができる軌道を形成する。スロット81は、内側シールド部31の近位端に開口部83を有する。スロット81は、シールド11が後退位置から延出位置に向かって遠位方向に移動することを可能にし、停止部67が開口部83に到達すると、内側シールド部31はロック部材47との接触から解放される。
【0097】
停止部67がスロット81の開口部83から出ると、シールド11は延出位置へと移動することが可能になる。これにより、シールド11は、ロック部材47を越えて、ロック部材47の位置よりも遠位であり、初期位置よりも遠位である延出位置へと移動することが可能となる。シールド11が延出位置にあるときのロック部材47に対するシールド11の位置は、
図3Aを参照して説明した構成である
図8に示されている。
【0098】
図6を参照すると、停止部67は、内側シールド部31によって内側に撓曲されるように構成された弾性部材85を備える。したがって、弾性部材85及び停止部67は、訓練器具1の長手方向軸に向かって内側に移動することができる。停止部67は、アクチュエータ9がロック部材47を第2の向きから第3の向きに回転させるときに、凹部69の縁部に押し付けられる。これにより、停止部67及び弾性部材85が内側に押され、その結果、停止部67は内側シールド部31内のスロット81に入ることができる。図示されるように、停止部67は、弾性部材85を内側に撓曲させることを支援する角度付き表面を有する。
【0099】
訓練器具1が
図3A及び
図8に示される状態にあるとき、アクチュエータ9はもはや、ロック部材47を第3の向きに保持せず、傾斜面71はもはや、傾斜した接触面73に触れることができない。したがって、ロック部材47は、第1の回転方向57に自由に回転し、付勢要素55によってこの方向に押し進められる。
【0100】
ロック部材47は、第1の向きを越えて回転して、アクチュエータ9の一部分がロック部材47上のリセット偏向部87に当接する第4の向きになる。これにより、ロック部材47が第4の向きに保持され、これにより、シールド11が延出位置から初期位置に向かって近位に移動することを防止する。したがって、シールド11は、注入装置のロックアウト状態をシミュレートする。
【0101】
ロック機構47が第4の向きにあるとき、シールド抵抗面89は、内側シールド部31の近位端の表面に当接する。この実施例では、シールド抵抗面89は、傾斜面71から延びる突出部である。シールド抵抗面89は、シールド11が延出位置から近位に移動することができないようにシールド11の経路を遮断する。
【0102】
図3A~
図3Cを参照して上述したように、ユーザーは、アクチュエータ9を引っ張って遠位位置から近位位置に戻すことによって、訓練器具1をリセットすることができる。アクチュエータ9が近位方向に移動すると、当接面65は、ロック機構47を第4の向きから第1の向きに回転させるために、リセット偏向部87の角度付き表面と連動する。
【0103】
ロック部材47が第2の回転方向75に第1の向きに向かって第1の角度距離だけ回転すると、シールド抵抗面89はもはや、訓練器具1の長手方向軸の方向において、内側シールド部31の近位端の真上ではなくなる。その代わりに、シールド抵抗面89は、訓練器具1の長手方向軸の方向において、内側シールド部31内の凹部の直上となる。したがって、シールド11は、延出位置から初期位置に向かって移動することができる。
【0104】
シールド11が延出位置から移動して初期位置に向かって戻るとき、シールド11の傾斜した接触面73は、ロック部材47の傾斜面71に力を及ぼす。これにより、ロック部材47が第2の回転方向75に第1の向きに向かって移動する。内側シールド部31が近位に移動すると、停止部67が内側シールド部31の近位端の下を通過するように、停止部67及び弾性部材85が内側に撓曲する。内側シールド部31が更に移動すると、停止部67は凹部69内に移動し、凹部69は、上記のようにシールド11を初期位置に保持する。加えて、シールド11が初期位置に到達したとき、ロック部材47は、上記のように第1の向きに回転し終わっている。したがって、訓練器具1をリセットして、
図2Bを参照して説明した構成に戻すことができる。
【0105】
装置をリセットするために、シールド11を延出位置から初期位置の方向へと手で移動させることが可能である。しかしながら、これは、ユーザーが、装置をリセットするために、シールド11を初期位置に移動させるのと同時にアクチュエータ9を近位位置に移動させることを必要とし、両手を使用することが必要となり、これは望ましくない。
図9を参照すると、アクチュエータ9が遠位位置から近位位置へと引っ張られるときに、シールド11を延出位置から初期位置へと自動的に引っ張るリセットコネクタ91が提供される。
【0106】
リセットコネクタ91は、その近位端に第1のフック93などのアクチュエータインターフェースを備える固定長のロッドである。第1のフック93は、アクチュエータ9の内側部品39上の棚部95など、アクチュエータ9の一部分と連動するように配置される。棚部95は近位方向に面するので、アクチュエータの近位方向への移動は、棚部95が第1のフック93と接触するときに、リセットコネクタ91を近位方向に移動させる。しかしながら、遠位方向へのアクチュエータ9の移動は、アクチュエータ9がこの方向の力を第1のフック93に加えることができないため、リセットコネクタ91をこの方向に移動させることはない。
【0107】
休止コネクタ91はまた、その遠位端に第2のフック97などのシールドインターフェースを備える。第2のフック97は、例えばシールド11の開口92によって受容されることによって、シールド11の一部分と当接するように配置される。アクチュエータが近位位置に向かって移動することによってリセットコネクタ91が近位方向に移動すると、開口92の近位端92aは第2のフック97に接触する。これにより、リセットコネクタ91は、訓練器具1をリセットするために、シールド11を初期位置に向かって引っ張ることが可能になる。
【0108】
開口92は、
図9に示されるように、内側シールド部31に沿って遠位に延びる細長い開口として構成されてもよい。第2のフック97は、訓練器具1の動作中に常に開口内に位置付けられてもよい。これらの実施形態では、訓練器具1をリセットするために、リセットコネクタ91がシールド11を初期位置に向かって引っ張ることが可能になるように、上記のように、第2のフック97が開口の近位端92aに接触するまで、第2のフック97は、アクチュエータ9が
図2Bに示される近位位置から
図2Eに示される遠位位置まで遠位に移動され、かつ遠位位置から近位位置に向かって近位に移動される際に、開口92に沿って軌道をたどる。
【0109】
開口92は、シールド11の任意の好適な部分に形成されてもよい。例えば、開口は、外側シールド部29内に形成されてもよく、上記と実質的に同様に機能してもよい。開口92は、訓練器具1の長手方向軸に垂直な方向に、開口92が形成されるシールドの部分を貫通して延びてもよい。あるいは、開口は、シールド11の表面にエッチングされた部分、又は窪みであってもよい。
【0110】
図9に示されるものを含むいくつかの実施形態では、開口92は、閉鎖遠位端を有してもよい。あるいは、開口は、第2のフック97が当接する閉鎖された近位端92aと、開放遠位端とを有する、内側及び/又は外側シールド部の遠位端のスロットとして形成されてもよい。
【0111】
いくつかの実施形態では、開口は、第2のフック97が訓練器具1の動作中に常に開口内に位置付けられるほど遠位に、シールド11に沿って延びなくてもよい。例えば、開口92は、シールド11内のほぼ円形の開口として構成されてもよい。リセットロッド91は、アクチュエータがその近位位置に向かって移動する際に第2のフック97が開口内に弾性的に付勢されて、第2のフック97と開口の近位端92aとの間の接触を可能にし、その結果、訓練器具1をリセットするためにシールド11を初期位置に向かって引っ張ることができるように構成されてもよい。第2のフック97のその遠位端は、開口の閉鎖遠位端に対してカム係合する形状となっていてもよい。アクチュエータが遠位位置に向かって移動することによってリセットロッド91が遠位方向に移動すると、第2のフック97と開口の遠位端との間のカム係合は弾性付勢を克服し、アクチュエータが遠位方向に移動するにつれて第2のフック97が開口92を係合解除することが可能になる。
【0112】
図10を参照すると、注入装置訓練器具1は、アクチュエータ9の内側部品39に取り付けられるように構成されたラッチ99を備える。この実施例では、ラッチ99は、内側部品39上の円形突出部103の周囲に置かれるように配置された、ループ101に形成された1つの弾性ワイヤを含む。ラッチ99は弾性であるため、ループ101の直径は、円形突出部の周囲に配置するために拡張され得る。次いで、ラッチが円形突出部103を保持するようにループ101の直径が収縮した時点で、ループは解放され得る。ラッチ99はまた、ラッチ99を定位置に保持する一対のホルダ107の間に位置するように構成された第1の延長部105を備える。
【0113】
ラッチ99は、この実施例では第1の延長部105よりも長い第2の延長部109を更に備える。第2の延長部109は、遠位方向に延びる第1の部分111と、第1の部分111に対して角度を付けられた第2の部分113とを備える。第2の部分113は、その遠位側に偏向部を形成し、その近位側に把持要素を形成する。アクチュエータ9が近位位置から遠位位置まで特定の距離を移動した後、第2の部分113は、本体部3の主部23上の本体突出部115と接触する。
【0114】
アクチュエータ9が遠位に移動すると、弾性のラッチ99は、訓練器具1の長手方向軸から離れる方向に、かつ本体突出部115の上に外向きに曲がる。アクチュエータ9が遠位位置に移動し終わると、弾性ラッチ99はその静止位置に戻る。この状態では、把持要素を表すラッチ99の角度付き表面は、ラッチ99を本体突出部115に連結する。これは、アクチュエータ9を本体部3に対して遠位位置に保持する。
【0115】
アクチュエータ9が遠位位置から近位位置に移動されると、本体突出部115はラッチ99に力を及ぼす。この力が閾値を超えると、第2の部分113の把持要素は、訓練器具1の長手方向軸から離れる方向に延びる方向に垂直な方向に屈曲する。したがって、把持要素は本体突出部115を通り過ぎ、これにより、アクチュエータ9は遠位位置から解放されることができる。ラッチを屈曲させるのに必要な閾値力は、アクチュエータ9が遠位位置にしっかりと保持されることを確実にする。しかしながら、閾値力はまた、把持要素が本体突出部を解放すると、アクチュエータ9が近位位置にはじき戻ることを可能にする。
【0116】
図11A~
図11Bを参照して、
図4を参照して簡潔に説明した減衰要素45について以下により詳細に記載する。
【0117】
訓練器具1では、アクチュエータ9のプランジャ41は、回転子117と連結されるねじ山を有する。回転子117は、プランジャ41と回転子117との連結を容易にするためにプランジャ41のねじ山と係合するように構成された雌ねじ118を備えていてもよい。プランジャ41は、プランジャがアクチュエータ9に対して回転しないように、アクチュエータ9の内側部品39に固定される。回転子117はねじ山と連動し、したがってプランジャ41は、プランジャ41がアクチュエータ9と共に遠位に移動する際に、回転子117を第2の回転方向75に回転させる。回転子117は減衰要素45と連結され、この減衰要素45は、この実施例では、コイル巻き状態に向かって付勢されるねじりばね119である。回転子117が回転すると、回転子117はねじりばね119を伸ばし、これにより回転子117の回転を減衰させ、したがってアクチュエータ9の遠位位置に向かう進行を減衰させる。ばね119の特性は、所望の抵抗に従って選択されてもよい。例えば、高抵抗が所望される場合、高いばね定数を有するばね119が選択され得る。
【0118】
減衰要素45はまた、回転子117の角度の付いた歯130と連動する複数の角度の付いた歯を備えるラチェット121を備える。アクチュエータ9が遠位位置に向かってある距離だけ移動されると、回転子117の角度の付いた歯が移動して、ラチェット121の角度付き歯と係合する。回転子117とラチェット121とは、回転防止機構を形成し、この回転防止機構は、回転子117が第2の回転方向75に回転することを可能にするが、回転子の第1の回転方向57への移動に抵抗する。このようにして、回転子117がばね119を伸ばすと、ねじりばね119はそのコイル巻き状態に戻ることが防止されるため、ねじりばね119の張力が維持される。
【0119】
回転子117の角度の付いた歯130はそれぞれ、角度の付いた縁部132(例えば、訓練器具の長手方向軸に対して角度が付いている)及び直線縁部131(例えば、訓練器具の長手方向軸に対して実質的に平行である)を含んでもよい。回転子117は、各歯の角度の付いた縁部が第2の回転方向75に面するように構成されてもよい。換言すれば、各角度の付いた歯の角度の付いた縁部は、プランジャ41がアクチュエータ9と共に遠位に移動するにつれて回転子117が回転するときに先頭を行く。ラチェット121の角度の付いた歯は、回転子117の角度の付いた歯と形状がほぼぴったり合う。換言すれば、ラチェット121の各歯の直線縁部は、回転子117の歯の直線縁部がラチェット121の歯の対応の直線縁部に当接して、第1の回転方向57への回転子の移動に抵抗するように、第2の回転方向75に面している。ラチェット121は、アクチュエータ9に対して回転可能に固定されてもよい。
【0120】
減衰要素45及び回転子117は、アクチュエータの押下中に、回転子117とラチェット121との係合、したがって回転防止機構の形成が望まれる点に応じて構成されてもよい。例えば、高いばね定数のばね119が使用される実施形態では、ユーザーがばね119の付勢に抵抗してそのコイル巻き状態に戻ることを支援するために、アクチュエータ9の押下の早い時期に回転防止機構が係合することが望ましい場合がある。回転防止機構の初期の早い時期での係合は、例えば、訓練器具1の長手方向軸に沿ってより高い高さを有するラチェット121の角度の付いた歯を提供することによって達成されてもよい。
【0121】
アクチュエータ9が押されるのではなく引っ張られると、又は換言すれば、アクチュエータ9が近位に移動されると、プランジャ41は、回転子117の角度の付いた歯を、ラチェット121の角度の付いた歯との係合から外す。これにより、プランジャ41が近位に移動し、これによりばねを移動させてコイル巻き状態に戻すと、回転子が第1の回転方向57に移動することが可能になる。分離距離、すなわち、回転子117の角度の付いた歯をラチェット121の角度の付いた歯との係合から外すためにアクチュエータ9、プランジャ41、及び回転子117が近位に移動される距離は、ラチェットの角度の付いた歯の、訓練器具1の長手方向軸に沿った高さよりも大きい距離である。いくつかの実施形態では、分離距離は約2mmであり得る。
【0122】
減衰要素は、大容量の処理及び/又は高粘度の処理をシミュレートするために、訓練器具1内に実装されてもよい。減衰要素はまた、物質の注入が急速過ぎることによる、過剰な皮下出血、痛み、患者内の注入された物質の滞留などの有害な副作用を軽減するために、大量処理又は低粘度の物質(それ自体は押下に対する抵抗がほとんどない)を送達する際にアクチュエータ9をゆっくりと押すようにユーザーを強いるために、注入装置において利用されてもよい。
【0123】
減衰要素の代替的実施形態では、ねじりばねは、ラチェットに連結されてもよい。前述の実施形態と同様に、回転子はプランジャのねじ山と連動し、したがってプランジャは、プランジャがアクチュエータと共に遠位に移動するにつれて、回転子を第2の回転方向に回転させる。この実施形態では、回転子は、各歯の直線縁部が第2の回転方向に面するように構成されている。換言すれば、各角度の付いた歯の直線縁部は、プランジャがアクチュエータと共に遠位に移動するにつれて回転子が回転するときに先頭を行く。この実施形態における回転子の初期回転は、ねじりばねの伸びを生じさせない。したがって、アクチュエータの遠位位置に向かう初期の進行は、抵抗をほとんど又は全く受けない。
【0124】
代替的減衰要素は、コイル巻き状態に向かって付勢されるねじりばねと連結されたラチェットを備える。ラチェットは、回転子上の角度の付いた歯と連動する複数の角度の付いた歯を備える。アクチュエータが遠位位置に向かってある距離だけ移動されると、回転子の角度の付いた歯が移動してラチェットの傾斜した歯と係合し、その結果、回転子の歯の直線縁部が回転して、ラチェットの歯の対応の直線縁部と当接する。この実施形態では、回転子とラチェットとが互いに係合するように移動すると、回転子の継続的な回転によってラチェットが回転する。ラチェットの回転は、ねじりばねを伸ばし、これはラチェット及び回転子の回転を減衰させ、したがってアクチュエータの遠位位置に向かう更なる進行を減衰させる。ここでも同様に、減衰要素及び回転子の構成、例えば、バネ特性及び歯の高さは、所望の抵抗特性に応じて選択されてもよい。
【0125】
いくつかの実施形態では、回転子117及び/又は減衰要素45は、訓練器具又は注入装置の交換可能な部品であってもよい。例えば、装置は、ねじりばね119が、より高い又はより低いばね定数の別のばねで置き換えられることができるように構成されてもよい。これにより、例えば、単一の訓練器具装置を使用して、様々な異なる粘度の物質を送達することに関してユーザーを訓練することが容易になる。
【0126】
本出願の文脈における注入装置は、自動注入装置(自動注射器)であってもよい。このような注入装置では、アクチュエータ9は、駆動ばねなどの自動アクチュエータ、圧縮ガスキャニスタによって操作される空気圧ピストン、又は電動の自動注入装置におけるソレノイドによって操作されるか、又はこれによって置き換えられる。
【0127】
そのような自動注入装置では、注入される物質を収容する容器、及び/又は送達機構、例えばシリンジなどの薬剤容器のプランジャにアクチュエータが加える力を減衰、減速させる、又は制御するために、減衰要素45を使用することができる。減衰要素は、自動アクチュエータの変更を必要とせずに自動注射器による注入速度を調整するのに有用であり得る。
【0128】
減衰要素は、作動シーケンスの任意の部分の間に動作するように構成されてもよい。例えば、減衰要素は、進行の持続時間全体にわたって、又は選択部分のみにわたって遠位位置に向かうアクチュエータの進行が減衰されるように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、例えば自動注射器による注入物質の完全な送達を確実にするために、注入装置は、薬剤容器上の針が完全に伸長した時点でアクチュエータの進行の減衰が始まるように構成されてもよい。
【0129】
別途記載のない限り、本明細書に記載される各実施形態は、本明細書に記載される別の実施形態と組み合わされてもよい。
【0130】
上記の利益及び利点は、一実施形態に関連してもよく、又はいくつかの実施形態に関連連してもよいことが理解されるであろう。実施形態は、記載された問題のいずれか又は全てを解決するもの、又は記載された利益及び利点のいずれか又は全てを有するものに限定されない。
【0131】
「ある(an)」アイテムへの言及は、1つ又は複数のそれらのアイテムを指す。
【0132】
本明細書における「要素」への言及は、当該要素が本明細書に記載される特定の機能を実行する「手段」に追加的に対応し得る。
【0133】
好ましい実施形態の上記の説明は、単なる例として与えられたものであり、当業者によって様々な修正がなされてもよいことが理解されるであろう。様々な実施形態を、ある程度の特殊性をもって、又は1つ以上の個々の実施形態を参照して上述してきたが、当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく、開示された実施形態に多くの変更を加えることができる。
【0134】
詳細な説明の一部をなす本発明の態様:
1.注入装置を使用するユーザーを訓練するための注入装置訓練器具であって、
本体部と、
本体部の近位端に向かって位置付けられたアクチュエータであって、近位位置から遠位位置へと移動可能である、アクチュエータと、
本体部の遠位端に向かって位置付けられたシールドであって、初期位置と、初期位置よりも本体部に対してより近位にある後退位置と、初期位置よりも本体部に対してより遠位にある延出位置と、の間で移動可能である、シールドと、
ロック部材であって、近位位置から遠位位置へのアクチュエータの移動にロック部材が抵抗する第1の向きと、近位位置から遠位位置へのアクチュエータの移動をロック部材が可能にする第2の向きとの間で回転可能であるように適合された、ロック部材と、を備え、
ロック部材の第1の向きは、シールドが初期位置から延出位置へと移動することを防止するようにシールドを初期位置に保持するように構成されており、かつ、初期位置から後退位置へのシールドの移動を可能にし、
シールドは、ロック部材を第1の向きから第2の向きに移動させるために、初期位置から後退位置へと移動するときにロック部材と接触するように構成されており、
アクチュエータの遠位位置に向かう第1の距離の移動は、シールドが延出位置に向かって移動することができるようにシールドをロック部材からロック解除するように構成されている、
注入装置訓練器具。
2.ロック部材は少なくとも1つのアクチュエータ抵抗面を備え、アクチュエータは少なくとも1つの当接面を備え、
少なくとも1つのアクチュエータ抵抗面は、ロック部材が第1の向きにあるときに、近位位置から遠位位置へのアクチュエータの移動に抵抗するように、少なくとも1つの当接面と当接するように配置されている、態様1に記載の注入装置訓練器具。
3.ロック部材は一対のアクチュエータ抵抗面を備え、アクチュエータは一対の当接面を備え、
一対のアクチュエータ抵抗面の各アクチュエータ抵抗面は、ロック部材が第1の向きにあるときに、近位位置から遠位位置へのアクチュエータの移動に抵抗するように、一対の当接面のうちの対応する当接面に当接するように配置されている、態様1又は態様2に記載の注入装置訓練器具。
4.一対のアクチュエータ抵抗面は、ロック部材の互いに対して反対側に位置している、態様3に記載の注入装置訓練器具。
5.ロック部材は円筒形ハウジングを備え、一対のアクチュエータ抵抗面の各アクチュエータ抵抗面は、円筒形ハウジングの表面から突出する突出部を備える、態様3又は態様4に記載の注入装置訓練器具。
6.一対の当接面は、アクチュエータの互いに対して反対側に位置している、態様5に記載の注入装置訓練器具。
7.ロック部材は傾斜面を備え、シールドは傾斜した接触面を備え、傾斜した接触面は、ロック部材が初期位置から後退位置へと移動するときに傾斜面と相互作用することによって、ロック部材を第1の向きから第2の向きに回転させるように構成されている、態様1~6のいずれか一つに記載の注入装置訓練器具。
8.ロック部材は、シールドが初期位置から延出位置へと移動することが可能な第3の向きを含む、態様1~7のいずれか一つに記載の注入装置訓練器具。
9.アクチュエータは、ロック部材を第3の向きに移動させるために、第1の距離だけ移動するように構成されている、態様8に記載の注入装置訓練器具。
10.ロック部材は偏向部を備え、アクチュエータは、偏向部と連動して、ロック部材を第2の向きから第3の向きに移動させるように配置されている、態様8又は態様9に記載の注入装置訓練器具。
11.ロック部材は、シールド内の凹部内に位置することによってシールドを初期位置に保持するように配置された停止部を備える、態様1~10のいずれか一つに記載の注入装置訓練器具。
12.シールドが延出位置に移動することを可能にするために、停止部は、シールド内のスロットに沿って移動するように配置されている、態様11に記載の注入装置訓練器具。
13.停止部は、ロック部材が第1の向きにあるときに、凹部内のスロットの外側に位置することによって、シールドを初期位置に保持するように配置されている、態様12に記載の注入装置訓練器具。
14.ロック部材は、シールドが初期位置から延出位置へと移動することを可能にする第3の向きを含み、第2の向きから第3の向きへのロック部材の移動は、停止部をスロット内に押し込んで、シールドが初期位置から延出位置へと移動することを可能にする、態様12又は態様13に記載の注入装置訓練器具。
15.停止部は、弾性部材に連結されており、弾性部材は、停止部を静止状態から訓練器具の長手方向軸に向かって撓曲状態へと内側に移動させるために屈曲するように構成されている、態様11~14のいずれか一つに記載の注入装置訓練器具。
16.静止状態の停止部は、シールドを初期位置に保持する、態様15に記載の注入装置訓練器具。
17.撓曲状態の停止部は、停止部がスロット内に移動することを可能にする、態様15又は態様16に記載の注入装置訓練器具。
18.シールドを付勢して遠位に移動させるように配置された付勢要素を更に備える、態様1~17のいずれか一つに記載の注入装置訓練器具。
19.ロック部材は、シールドが延出位置から初期位置へと移動するのにロック部材が抵抗する第4の向きを有する、態様1~18のいずれか一つに記載の注入装置訓練器具。
20.アクチュエータが遠位位置に向かってある距離移動し、シールドが延出位置になると、ロック部材が第4の向きに移動するように、ロック部材を第4の向きに向かって付勢するように配置された付勢要素を更に備える、態様19に記載の注入装置訓練器具。
21.付勢要素がねじりばねを備える、態様20に記載の注入装置訓練器具。
22.アクチュエータが、遠位位置から近位位置へと移動するときにロック部材と連動して、ロック部材を第4の向きから第1の向きに向かって移動させることによって、シールドが延出位置から初期位置へと移動するのを可能にするように構成されている、態様19~21のいずれか一つに記載の注入装置訓練器具。
23.ロック部材は、ロック部材が第4の向きにあり、シールドが延出位置にあるときに、シールドの近位移動に抵抗するように配置されたシールド抵抗面を備える、態様19~22のいずれか一つに記載の注入装置訓練器具。
24.シールドは、ロック部材が第4の向きにあり、シールドが延出位置にあるときに、シールド抵抗面に当接するように配置された当接面を備える、態様23に記載の注入装置訓練器具。
25.アクチュエータの近位位置は、注入装置のプランジャの非作動位置をシミュレートする、態様1~24のいずれか一つに記載の注入装置。
26.アクチュエータの遠位位置は、注入装置のプランジャの作動位置をシミュレートする、態様1~25のいずれか一つに記載の注入装置。
27.シールドの初期位置は、注入装置の針を覆うことをシミュレートする、態様1~26のいずれか一つに記載の注入装置。
28.シールドの後退位置は、注入装置の針を露出させることをシミュレートする、態様1~27のいずれか一つに記載の注入装置。
29.シールドの延出位置は、シールドが針を露出させることを防止する注入装置のロックアウト状態をシミュレートする、態様1~28のいずれか一つに記載の注入装置。
30.
アクチュエータは、近位位置から遠位位置へのアクチュエータの移動が回転子を回転させるように、回転子と連結されており、
注入装置訓練器具は、回転子の回転を減衰させるために、回転子に連結される又は連結可能な減衰要素を更に備える、
態様1~29のいずれか一つに記載の注入装置訓練器具。
31.注入装置であって、
流体を格納するためのチャンバと連結された針と、
本体部と、
本体部の近位端に向かって位置付けられたアクチュエータであって、チャンバ内に格納された流体を針から分注するために、近位位置から遠位位置へと移動可能である、アクチュエータと、
本体部の遠位端に向かって位置付けられたシールドであって、シールドが針を覆う初期位置と、シールドが針を露出させる後退位置であって、初期位置よりも本体部に対してより近位にある、後退位置と、シールドが針を覆う延出位置であって、初期位置よりも本体部に対してより遠位にある、延出位置と、の間で移動可能である、シールドと、
ロック部材であって、近位位置から遠位位置へのアクチュエータの移動にロック部材が抵抗する第1の向きと、近位位置から遠位位置へのアクチュエータの移動をロック部材が可能にする第2の向きとの間で回転可能である、ロック部材と、を備え、
ロック部材の第1の向きは、シールドが初期位置から延出位置へと移動することを防止するようにシールドを初期位置に保持するように構成されており、かつ、初期位置から後退位置へのシールドの移動を可能にし、
シールドは、ロック部材を第1の向きから第2の向きに移動させるために、初期位置から後退位置へと移動するときにロック部材と接触するように構成されており、
アクチュエータの遠位位置に向かう第1の距離の移動は、シールドが延出位置に向かって移動することができるようにシールドをロック部材からロック解除する、
注入装置。
32.
アクチュエータは、近位位置から遠位位置へのアクチュエータの移動が回転子を回転させるように、回転子と連結されており、
注入装置は、回転子の回転を減衰させるために、回転子に連結される又は連結可能な減衰要素を更に備える、
請求項31に記載の注入装置。
33.態様1~30のいずれか一つに記載の注入装置訓練器具あるいは態様31又は32に記載の注入装置へと組み立てられるように構成された部品のキット。
34.注入装置を使用するユーザーを訓練するための方法であって、本方法は、注入装置訓練器具を提供することを含み、注入装置訓練器具は、
本体部と、
本体部の近位端に向かって位置付けられたアクチュエータであって、近位位置から遠位位置へと移動可能である、アクチュエータと、
本体部の遠位端に向かって位置付けられたシールドであって、初期位置と、初期位置よりも本体部に対してより近位にある後退位置と、初期位置よりも本体部に対してより遠位にある延出位置と、の間で移動可能である、シールドと、
ロック部材であって、近位位置から遠位位置へのアクチュエータの移動にロック部材が抵抗する第1の向きと、近位位置から遠位位置へのアクチュエータの移動をロック部材が可能にする第2の向きとの間で回転可能である、ロック部材と、備え、
ロック部材の第1の向きは、シールドが初期位置から延出位置へと移動することを防止するようにシールドを初期位置に保持するように構成されており、かつ、初期位置から後退位置へのシールドの移動を可能にし、
本方法は、
ロック部材を第1の向きから第2の向きに移動させるために、シールドがロック部材と接触するようにシールドを初期位置から後退位置へと移動させることと、
シールドが延出位置に向かって移動するように、アクチュエータを遠位位置に向かって第1の距離だけ移動させてシールドをロック部材からロック解除することと、
を更に含む、注入装置を使用するユーザーを訓練するための方法。
35.
アクチュエータは、近位位置から遠位位置へのアクチュエータの移動が回転子を回転させるように、回転子と連結されており、
注入装置訓練器具は、回転子の回転を減衰させるために、回転子に連結可能な減衰要素を更に備え、
本方法は、アクチュエータを近位位置から遠位位置に移動させ、その間に減衰要素が、回転子の回転を減衰させることによって、アクチュエータの遠位位置に向かう移動を減衰させることを更に含む、
態様34に記載の方法。
36.注射を処理する方法であって、本方法は、注入装置を提供することを含み、注入装置は、
流体を格納するためのチャンバと連結された針と、
本体部と、
本体部の近位端に向かって位置付けられたアクチュエータであって、チャンバ内に格納された流体を針から分注するために、近位位置から遠位位置へと移動可能である、アクチュエータと、
本体部の遠位端に向かって位置付けられたシールドであって、シールドが針を覆う初期位置と、シールドが針を露出させる後退位置であって、初期位置よりも本体部に対してより近位にある、後退位置と、シールドが針を覆う延出位置であって、初期位置よりも本体部に対してより遠位にある、延出位置と、の間で移動可能である、シールドと、
ロック部材であって、近位位置から遠位位置へのアクチュエータの移動にロック部材が抵抗する第1の向きと、近位位置から遠位位置へのアクチュエータの移動をロック部材が可能にする第2の向きとの間で回転可能である、ロック部材と、を備え、
ロック部材の第1の向きは、シールドが初期位置から延出位置へと移動することを防止するようにシールドを初期位置に保持するように構成されており、かつ、初期位置から後退位置へのシールドの移動を可能にし、
本方法は、
ロック部材を第1の向きから第2の向きに移動させるために、シールドがロック部材と接触するように、シールドを初期位置から後退位置へと移動させることと、
シールドが延出位置に向かって移動するように、アクチュエータを遠位位置に向かって第1の距離だけ移動させてシールドをロック部材からロック解除することと、
を更に含む、注射を投与する方法。
37.
アクチュエータは、近位位置から遠位位置へのアクチュエータの移動が回転子を回転させるように、回転子と連結されており、
注入装置は、回転子の回転を減衰させるために、回転子に連結可能な減衰要素を更に備え、
本方法は、アクチュエータを近位位置から遠位位置に移動させ、その間に減衰要素が回転子の回転を減衰させることによって、アクチュエータの遠位位置に向かう移動を減衰させることを更に含む、
態様36に記載の方法。
出願当初の請求項に対応する態様例は次の通りである。
(態様例1)
注入装置を使用するユーザーを訓練するための注入装置訓練器具であって、
本体部と、
前記本体部の近位端に向かって位置付けられたアクチュエータであって、近位位置から遠位位置へと移動可能である、アクチュエータと、
前記本体部の遠位端に向かって位置付けられたシールドであって、初期位置と、前記初期位置よりも前記本体部に対してより近位にある後退位置と、前記初期位置よりも前記本体部に対してより遠位にある延出位置と、の間で移動可能である、シールドと、
ロック部材であって、前記近位位置から前記遠位位置への前記アクチュエータの移動に前記ロック部材が抵抗する第1の向きと、前記近位位置から前記遠位位置への前記アクチュエータの移動を前記ロック部材が可能にする第2の向きとの間で回転可能であるように適合された、ロック部材と、を備え、
前記ロック部材の前記第1の向きは、前記シールドが前記初期位置から前記延出位置へと移動することを防止するように前記シールドを前記初期位置に保持するように構成されており、かつ、前記初期位置から前記後退位置への前記シールドの移動を可能にし、
前記シールドは、前記ロック部材を前記第1の向きから前記第2の向きに移動させるために、前記初期位置から前記後退位置へと移動するときに前記ロック部材と接触するように構成されており、
前記アクチュエータの前記遠位位置に向かう第1の距離の移動は、前記シールドが前記延出位置に向かって移動することができるように前記シールドを前記ロック部材からロック解除するように構成されている、
注入装置訓練器具。
(態様例2)
前記ロック部材は少なくとも1つのアクチュエータ抵抗面を備え、前記アクチュエータは少なくとも1つの当接面を備え、
前記少なくとも1つのアクチュエータ抵抗面は、前記ロック部材が前記第1の向きにあるときに、前記近位位置から前記遠位位置への前記アクチュエータの移動に抵抗するように、前記少なくとも1つの当接面と当接するように配置されている、態様例1に記載の注入装置訓練器具。
(態様例3)
前記ロック部材は一対のアクチュエータ抵抗面を備え、前記アクチュエータは一対の当接面を備え、
前記一対のアクチュエータ抵抗面の各アクチュエータ抵抗面は、前記ロック部材が前記第1の向きにあるときに、前記近位位置から前記遠位位置への前記アクチュエータの移動に抵抗するように、前記一対の当接面のうちの対応する当接面に当接するように配置されている、態様例1に記載の注入装置訓練器具。
(態様例4)
前記一対のアクチュエータ抵抗面は、前記ロック部材の互いに対して反対側に位置している、態様例3に記載の注入装置訓練器具。
(態様例5)
前記ロック部材は円筒形ハウジングを備え、前記一対のアクチュエータ抵抗面の各アクチュエータ抵抗面は、前記円筒形ハウジングの表面から突出する突出部を備える、態様例3に記載の注入装置訓練器具。
(態様例6)
前記一対の当接面は、前記アクチュエータの互いに対して反対側に位置している、態様例5に記載の注入装置訓練器具。
(態様例7)
前記ロック部材は傾斜面を備え、前記シールドは傾斜した接触面を備え、前記傾斜した接触面は、前記ロック部材が前記初期位置から前記後退位置へと移動するときに前記傾斜面と相互作用することによって、前記ロック部材を前記第1の向きから前記第2の向きに回転させるように構成されている、態様例1に記載の注入装置訓練器具。
(態様例8)
前記ロック部材は、前記シールドが前記初期位置から前記延出位置へと移動することが可能な第3の向きを含む、態様例1に記載の注入装置訓練器具。
(態様例9)
前記アクチュエータは、前記ロック部材を前記第3の向きに移動させるために、第1の距離だけ移動するように構成されている、態様例8に記載の注入装置訓練器具。
(態様例10)
前記ロック部材は偏向部を備え、前記アクチュエータは、前記偏向部と連動して、前記ロック部材を前記第2の向きから前記第3の向きに移動させるように配置されている、態様例8に記載の注入装置訓練器具。
(態様例11)
前記ロック部材は、前記シールド内の凹部内に位置することによって前記シールドを前記初期位置に保持するように配置された停止部を備える、態様例1に記載の注入装置訓練器具。
(態様例12)
前記シールドが前記延出位置に移動することを可能にするために、前記停止部は、前記シールド内のスロットに沿って移動するように配置されている、態様例11に記載の注入装置訓練器具。
(態様例13)
前記停止部は、前記ロック部材が前記第1の向きにあるときに、前記凹部内の前記スロットの外側に位置することによって、前記シールドを前記初期位置に保持するように配置されている、態様例12に記載の注入装置訓練器具。
(態様例14)
前記ロック部材は、前記シールドが前記初期位置から前記延出位置へと移動することを可能にする第3の向きを含み、前記第2の向きから前記第3の向きへの前記ロック部材の移動は、前記停止部を前記スロット内に押し込んで、前記シールドが前記初期位置から前記延出位置へと移動することを可能にする、態様例12に記載の注入装置訓練器具。
(態様例15)
前記停止部は、弾性部材に連結されており、前記弾性部材は、前記停止部を静止状態から前記訓練器具の長手方向軸に向かって撓曲状態へと内側に移動させるために屈曲するように構成されている、態様例11に記載の注入装置訓練器具。
(態様例16)
前記静止状態の停止部は、前記シールドを前記初期位置に保持する、態様例15に記載の注入装置訓練器具。
(態様例17)
前記撓曲状態の前記停止部は、前記停止部が前記スロット内に移動することを可能にする、態様例15に記載の注入装置訓練器具。
(態様例18)
前記シールドを付勢して遠位に移動させるように配置された付勢要素を更に備える、態様例1に記載の注入装置訓練器具。
(態様例19)
前記ロック部材は、前記シールドが前記延出位置から前記初期位置へと移動するのに前記ロック部材が抵抗する第4の向きを有する、態様例1に記載の注入装置訓練器具。
(態様例20)
前記アクチュエータが前記遠位位置に向かってある距離移動し、前記シールドが前記延出位置になると、前記ロック部材が前記第4の向きに移動するように、前記ロック部材を前記第4の向きに向かって付勢するように配置された付勢要素を更に備える、態様例19に記載の注入装置訓練器具。
(態様例21)
前記付勢要素がねじりばねを備える、態様例20に記載の注入装置訓練器具。
(態様例22)
前記アクチュエータが、前記遠位位置から前記近位位置へと移動するときに前記ロック部材と連動して、前記ロック部材を前記第4の向きから前記第1の向きに向かって移動させることによって、前記シールドが前記延出位置から前記初期位置へと移動するのを可能にするように構成されている、態様例19に記載の注入装置訓練器具。
(態様例23)
前記ロック部材は、前記ロック部材が前記第4の向きにあり、前記シールドが前記延出位置にあるときに、前記シールドの近位移動に抵抗するように配置されたシールド抵抗面を備える、態様例19に記載の注入装置訓練器具。
(態様例24)
前記シールドは、前記ロック部材が前記第4の向きにあり、前記シールドが前記延出位置にあるときに、前記シールド抵抗面に当接するように配置された当接面を備える、態様例23に記載の注入装置訓練器具。
(態様例25)
前記アクチュエータの前記近位位置は、注入装置のプランジャの非作動位置をシミュレートする、態様例1に記載の注入装置訓練器具。
(態様例26)
前記アクチュエータの前記遠位位置は、注入装置のプランジャの作動位置をシミュレートする、態様例1に記載の注入装置訓練器具。
(態様例27)
前記シールドの前記初期位置は、注入装置の針を覆うことをシミュレートする、態様例1に記載の注入装置訓練器具。
(態様例28)
前記シールドの前記後退位置は、注入装置の針を露出させることをシミュレートする、態様例1に記載の注入装置訓練器具。
(態様例29)
前記シールドの前記延出位置は、前記シールドが針を露出させることを防止する注入装置のロックアウト状態をシミュレートする、態様例1に記載の注入装置訓練器具。
(態様例30)
前記アクチュエータは、前記近位位置から前記遠位位置への前記アクチュエータの移動が回転子を回転させるように、前記回転子と連結されており、
前記注入装置訓練器具は、前記回転子の前記回転を減衰させるために、前記回転子に連結される又は連結可能な減衰要素を更に備える、
態様例1に記載の注入装置訓練器具。
(態様例31)
注入装置であって、
流体を格納するためのチャンバと連結された針と、
本体部と、
前記本体部の近位端に向かって位置付けられたアクチュエータであって、前記チャンバ内に格納された流体を前記針から分注するために、近位位置から遠位位置へと移動可能である、アクチュエータと、
前記本体部の遠位端に向かって位置付けられたシールドであって、前記シールドが前記針を覆う初期位置と、前記シールドが前記針を露出させる後退位置であって、前記初期位置よりも前記本体部に対してより近位にある、後退位置と、前記シールドが前記針を覆う延出位置であって、前記初期位置よりも前記本体部に対してより遠位にある、延出位置と、の間で移動可能である、シールドと、
ロック部材であって、前記近位位置から前記遠位位置への前記アクチュエータの移動に前記ロック部材が抵抗する第1の向きと、前記近位位置から前記遠位位置への前記アクチュエータの移動を前記ロック部材が可能にする第2の向きとの間で回転可能である、ロック部材と、を備え、
前記ロック部材の前記第1の向きは、前記シールドが前記初期位置から前記延出位置へと移動することを防止するように前記シールドを前記初期位置に保持するように構成されており、かつ、前記初期位置から前記後退位置への前記シールドの移動を可能にし、
前記シールドは、前記ロック部材を前記第1の向きから前記第2の向きに移動させるために、前記初期位置から前記後退位置へと移動するときに前記ロック部材と接触するように構成されており、
前記アクチュエータの前記遠位位置に向かう第1の距離の移動は、前記シールドが前記延出位置に向かって移動することができるように前記シールドを前記ロック部材からロック解除する、
注入装置。
(態様例32)
前記アクチュエータは、前記近位位置から前記遠位位置への前記アクチュエータの移動が回転子を回転させるように、前記回転子と連結されており、
注入装置は、前記回転子の前記回転を減衰させるために、前記回転子に連結される又は連結可能な減衰要素を更に備える、
態様例31に記載の注入装置。
(態様例33)
態様例1に記載の注入装置訓練器具又は態様例31に記載の注入装置へと組み立てられるように構成された部品のキット。
(態様例34)
注入装置を使用するユーザーを訓練するための方法であって、前記方法は、注入装置訓練器具を提供することを含み、前記注入装置訓練器具は、
本体部と、
前記本体部の近位端に向かって位置付けられたアクチュエータであって、近位位置から遠位位置へと移動可能である、アクチュエータと、
前記本体部の遠位端に向かって位置付けられたシールドであって、初期位置と、前記初期位置よりも前記本体部に対してより近位にある後退位置と、前記初期位置よりも前記本体部に対してより遠位にある延出位置と、の間で移動可能である、シールドと、
ロック部材であって、前記近位位置から前記遠位位置への前記アクチュエータの移動に前記ロック部材が抵抗する第1の向きと、前記近位位置から前記遠位位置への前記アクチュエータの移動を前記ロック部材が可能にする第2の向きとの間で回転可能である、ロック部材と、を備え、
前記ロック部材の前記第1の向きは、前記シールドが前記初期位置から前記延出位置へと移動することを防止するように前記シールドを前記初期位置に保持するように構成されており、かつ、前記初期位置から前記後退位置への前記シールドの移動を可能にし、
前記方法は、
前記ロック部材を前記第1の向きから前記第2の向きに移動させるために、前記シールドが前記ロック部材と接触するように前記シールドを前記初期位置から前記後退位置へと移動させることと、
前記シールドが前記延出位置に向かって移動するように、前記アクチュエータを前記遠位位置に向かって第1の距離だけ移動させて前記シールドを前記ロック部材からロック解除することと、
を更に含む、注入装置を使用するユーザーを訓練するための方法。
(態様例35)
前記アクチュエータは、前記近位位置から前記遠位位置への前記アクチュエータの移動が回転子を回転させるように、前記回転子と連結されており、
前記注入装置訓練器具は、前記回転子の前記回転を減衰させるために、前記回転子に連結可能な減衰要素を更に備え、
前記方法は、前記アクチュエータを前記近位位置から前記遠位位置に移動させ、その間に前記減衰要素が、前記回転子の前記回転を減衰させることによって、前記アクチュエータの前記遠位位置に向かう移動を減衰させることを更に含む、
態様例34に記載の方法。
(態様例36)
注射を処理する方法であって、前記方法は、注入装置を提供することを含み、注入装置は、
流体を格納するためのチャンバと連結された針と、
本体部と、
前記本体部の近位端に向かって位置付けられたアクチュエータであって、前記チャンバ内に格納された流体を前記針から分注するために、近位位置から遠位位置へと移動可能である、アクチュエータと、
前記本体部の遠位端に向かって位置付けられたシールドであって、前記シールドが前記針を覆う初期位置と、前記シールドが前記針を露出させる後退位置であって、前記初期位置よりも前記本体部に対してより近位にある、後退位置と、前記シールドが前記針を覆う延出位置であって、前記初期位置よりも前記本体部に対してより遠位にある、延出位置と、の間で移動可能である、シールドと、
ロック部材であって、前記近位位置から前記遠位位置への前記アクチュエータの移動に前記ロック部材が抵抗する第1の向きと、前記近位位置から前記遠位位置への前記アクチュエータの移動を前記ロック部材が可能にする第2の向きとの間で回転可能である、ロック部材と、を備え、
前記ロック部材の前記第1の向きは、前記シールドが前記初期位置から前記延出位置へと移動することを防止するように前記シールドを前記初期位置に保持するように構成されており、かつ、前記初期位置から前記後退位置への前記シールドの移動を可能にし、
前記方法は、
前記ロック部材を前記第1の向きから前記第2の向きに移動させるために、前記シールドが前記ロック部材と接触するように、前記シールドを前記初期位置から前記後退位置へと移動させることと、前記シールドが前記延出位置に向かって移動するように、前記アクチュエータを前記遠位位置に向かって第1の距離だけ移動させて前記シールドを前記ロック部材からロック解除することと、
を更に含む、注射を投与する方法。
(態様例37)
前記アクチュエータは、前記近位位置から前記遠位位置への前記アクチュエータの移動が回転子を回転させるように、前記回転子と連結されており、
前記注入装置は、前記回転子の前記回転を減衰させるために、前記回転子に連結可能な減衰要素を更に備え、前記方法は、前記アクチュエータを前記近位位置から前記遠位位置に移動させ、その間に前記減衰要素が、前記回転子の前記回転を減衰させることによって、前記アクチュエータの前記遠位位置に向かう移動を減衰させることを更に含む、
態様例36に記載の方法。
(態様例38)
注入装置を使用するユーザーを訓練するための注入装置訓練器具であって、
本体部と、
前記本体部の近位端に向かって位置付けられたアクチュエータアセンブリであって、前記アクチュエータは、近位位置から遠位位置へと移動可能であり、前記アクチュエータアセンブリは、前記近位位置から前記遠位位置へのアクチュエータの移動が回転子を回転させるように、前記回転子と連結されている、アクチュエータアセンブリと、
前記回転子の前記回転を減衰させるために、前記回転子に連結可能な減衰要素と、
を備える、注入装置訓練器具。
(態様例39)
注入装置であって、
流体を格納するためのチャンバと連結された針と、
本体部と、
前記本体部の近位端に向かって位置付けられたアクチュエータアセンブリであって、前記アクチュエータは、前記チャンバ内に格納された前記流体を前記針から分注するために近位位置から遠位位置へと移動可能であり、前記アクチュエータアセンブリは、前記近位位置から前記遠位位置への前記アクチュエータの移動が回転子を回転させるように、前記回転子と連結されている、アクチュエータアセンブリと、
前記回転子の前記回転を減衰させるために、前記回転子に連結可能な減衰要素と、
を備える、注入装置。
(態様例40)
注入装置を使用するユーザーを訓練するための方法であって、前記方法は、注入装置訓練器具を提供することを含み、前記注入装置訓練器具は、
本体部と、
前記本体部の近位端に向かって位置付けられたアクチュエータアセンブリであって、前記アクチュエータは、近位位置から遠位位置へと移動可能であり、前記アクチュエータアセンブリは、前記近位位置から前記遠位位置へのアクチュエータの移動が回転子を回転させるように、前記回転子と連結されている、アクチュエータアセンブリと、
前記回転子の前記回転を減衰させるために、前記回転子に連結可能な減衰要素と、
を備え、
前記方法は、前記アクチュエータを前記近位位置から前記遠位位置に移動させ、その間に前記減衰要素が、前記回転子の回転を減衰させることによって、前記アクチュエータの前記遠位位置に向かう移動を減衰させることを更に含む、
注入装置を使用するユーザーを訓練するための方法。
(態様例41)
注射を処理する方法であって、前記方法は、注入装置を提供することを含み、前記注入装置は、
流体を格納するためのチャンバと連結された針と、
本体部と、
前記本体部の近位端に向かって位置付けられたアクチュエータアセンブリであって、前記アクチュエータは、前記チャンバ内に格納された前記流体を前記針から分注するために近位位置から遠位位置へと移動可能であり、前記アクチュエータアセンブリは、前記近位位置から前記遠位位置への前記アクチュエータの移動が回転子を回転させるように、前記回転子と連結されている、アクチュエータアセンブリと、
前記回転子の回転を減衰させるために、前記回転子に連結可能な減衰要素と、
を備え、
前記方法は、前記アクチュエータを前記近位位置から前記遠位位置に移動させ、その間に前記減衰要素が、前記回転子の回転を減衰させることによって、前記アクチュエータの前記遠位位置に向かう移動を減衰させることを更に含む、
注射を処理する方法。