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特許7410160装飾レドーム、およびそれを製造する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】装飾レドーム、およびそれを製造する方法
(51)【国際特許分類】
   H01Q 1/42 20060101AFI20231226BHJP
   B60R 13/00 20060101ALI20231226BHJP
   G01S 7/03 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
H01Q1/42
B60R13/00
G01S7/03 246
【請求項の数】 95
(21)【出願番号】P 2021545326
(86)(22)【出願日】2019-10-14
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-19
(86)【国際出願番号】 EP2019077800
(87)【国際公開番号】W WO2020078916
(87)【国際公開日】2020-04-23
【審査請求日】2021-12-13
(31)【優先権主張番号】2018903894
(32)【優先日】2018-10-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(31)【優先権主張番号】102019100669.4
(32)【優先日】2019-01-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102019101033.0
(32)【優先日】2019-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】2019902697
(32)【優先日】2019-07-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】519331224
【氏名又は名称】マザーソン・イノベーションズ・カンパニー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100117640
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 達己
(72)【発明者】
【氏名】ベルチャー,サイモン
(72)【発明者】
【氏名】カルソ,ディーン
(72)【発明者】
【氏名】エドワーズ,スコット
(72)【発明者】
【氏名】サイモンズ,ティム
(72)【発明者】
【氏名】フィメリ,ギャリー・ゴードン・レスリー
(72)【発明者】
【氏名】ストアー,バスティアン
【審査官】岸田 伸太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-066706(JP,A)
【文献】特開2011-093378(JP,A)
【文献】特開2017-090384(JP,A)
【文献】国際公開第2018/010762(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/42
B60R 13/00
G01S 7/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
- 第1の面および第2の面を有する基板を用意するステップと、
- 前記基板の前記第2の面の少なくとも一部に金属、または金属およびメタロイドを含む合金の層を含む装飾層を施すステップと、
- オーバーモールド層を与えるように少なくとも前記装飾層を電波透過性ポリマーでオーバーモールドするステップと
を含み、
前記基板および前記装飾層は、オーバーモールドする前に加熱される、装飾レドームを製造する方法。
【請求項2】
前記基板はセットされると、前記オーバーモールド層は前記装飾レドームの少なくとも一部にわたって前記基板の前記第1の面にほぼ平行である第3の面を与え、前記一部は信号経路を定める、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記基板は電波透過性および/または透明である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記基板および前記装飾層は、オーバーモールドする前に少なくとも摂氏70度または少なくとも摂氏80度まで加熱される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記装飾層は、視覚的特徴を形成するように、前記基板の一部だけに施される、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記基板は、前記基板の前記第2の面上に除去部分または隆起部分を含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記装飾層は、前記除去部分または前記隆起部分に施される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記除去部分は、前記第1の面の方への凹部によって与えられ、または前記隆起部分は、前記第1の面から離れるように延びる突出部によって与えられる、請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
前記基板は、前記装飾層を施すエリアを前記基板の前記第2の面の一部だけに制限するようにマスクされる、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記基板は、射出成形によって形成される、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記基板または前記オーバーモールド層の1つは、可視光をほぼ通す、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記基板または前記オーバーモールド層の1つは、可視光をほぼ通さない、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記基板は、可視光をほぼ通す、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記基板は、ポリカーボネートで形成される、請求項1から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記基板は、電波透過性である、請求項2,4乃至6,および9乃至14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記オーバーモールドは、摂氏300度未満のバレルノズル温度で実行される、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記オーバーモールド層および/または前記基板は、アクリロニトリルエチレンスチレン(AES)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)、ポリカーボネート(PC)、ハイフローAESまたはアクリロニトリル(エチレン・プロピレン・ジエン)スチレン(AEPDS)、熱可塑性材料のブレンド、あるいはPC-ABSブレンドの熱可塑性材料のうちの少なくとも1つで形成されるおよび/または少なくとも一部構成される、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記装飾層は、反射層である、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記反射層は、少なくとも35%の反射、または少なくとも45%の反射、または少なくとも50%の反射、または少なくとも55%の反射である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記反射層は、明所視反射である、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記装飾層は、物理蒸着によって施される、請求項1から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記物理蒸着は、真空蒸着またはマグネトロンスパッタリングである、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記装飾層は、インジウム、スズ、あるいは金属ならびにゲルマニウムおよび/またはシリコンを含む合金を含む、請求項1から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記装飾層は、アルミニウムならびにゲルマニウムおよび/またはシリコンの合金を含む、請求項1から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記合金は、ゲルマニウムを含み、ゲルマニウムの濃度は、少なくとも25重量%のゲルマニウム、または少なくとも40重量%のゲルマニウム、または少なくとも45重量%のゲルマニウム、または少なくとも50重量%のゲルマニウム、または少なくとも55重量%のゲルマニウムである、請求項23または24に記載の方法。
【請求項26】
ゲルマニウムの前記合金は、シリコンを含む、請求項23から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記装飾層の平均厚さは、20から190nmの厚さ、または40から170nmの厚さ、または60から150nmの厚さである、請求項1から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記装飾層は、周波数選択性表面バンドパスフィルタとして少なくとも一部働き、および/または少なくとも1つの繰り返しパターンを含む、請求項1から27のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
前記パターンは、十字形、円形、正方形、星形、長方形、線、六角形、楕円形、多角形、環状、半円、扇形、トリケトラ、弓形、アルベロス、螺旋形、レムニスケート、および/または長円形の形態を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記周波数選択性表面バンドパスフィルタは、それを施した後に、前記装飾層を構築することによって製造される、請求項28または29に記載の方法。
【請求項31】
前記周波数選択性表面バンドパスフィルタは、レーザエッチングによって製造される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記基板の前記第2の面の少なくとも一部、および/または前記装飾層の少なくとも一部に少なくとも1つの中間層を施すステップをさらに含む、請求項1から31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記中間層は、前記装飾レドームに少なくとも1つの機能性を与える、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記装飾レドームに、視覚的特徴、装飾的特徴、前記装飾層および/または前記視覚的特徴に加えた装飾的特徴、少なくとも1つのライティングおよび/または照明機能性、少なくとも1つの加熱機能性、ならびに/あるいは少なくとも1つのクリーニング機能性を与える、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
少なくとも2つのサブ層が施さる、請求項32から34に記載の方法。
【請求項36】
前記サブ層の各々は、少なくとも部分的に、機能性、様々な機能性のうちの少なくとも1つが与えられる、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記中間層は、前記装飾層を施す前にまたは施した後に施される、請求項32から36の一項に記載の方法。
【請求項38】
前記中間層は、前記基板および/または前記装飾層に施される、請求項32から37の一項に記載の方法。
【請求項39】
前記サブ層のうちの少なくとも1つは、前記中間層および/または前記サブ層によって与えられる機能性に応じて施される、請求項35または36に記載の方法。
【請求項40】
前記中間層は、少なくとも1つの光ファイバ装置を備える、請求項32または33に記載の方法。
【請求項41】
前記中間層、および/または前記サブ層のうちの少なくとも1つは、少なくとも1つの光ファイバ装置、および/または、前記装飾レドームを通しておよび/または前記装飾レドームの中に光を向けるおよび/または発するおよび/または前記装飾層、視覚的特徴、および/または装飾的特徴の少なくとも一部エリア内で発する光ファイバ装置を備える、請求項35に記載の方法。
【請求項42】
前記サブ層は、膜によって少なくとも部分的に形成され、および/または前記膜は、前記膜、前記中間層、および/または前記サブ層の少なくとも1つの表面上に少なくとも1つの接着促進剤を備える、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記膜は、前記膜の両表面上に少なくとも1つの接着促進剤を備える、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記光ファイバ装置を少なくとも一部備える、前記中間層、前記サブ層、および/または前記膜は、凹部内に、隆起部分上に、および/または前記装飾層上へ少なくとも一部設置され、前記設置は、前記中間層、前記サブ層、および/または前記膜の熱成形および/または真空成形を含む、請求項42に記載の方法。
【請求項45】
前記装飾層は、15%未満、または10%未満の透過率を有する、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
少なくとも1つの接続要素を介して少なくとも1つのライトエンジンと前記光ファイバ装置とを光学的に接続するステップを含み、前記接続要素は、前記中間層、前記サブ層、前記膜、および/または前記オーバーモールド層内に少なくとも一部位置するおよび/またはそれらに接続される、ならびに/あるいは前記基板を前記ライトエンジンと光学的に接続するものである、請求項42に記載の方法。
【請求項47】
少なくとも1つの接続要素を介して少なくとも1つのLEDライトエンジンと前記光ファイバ装置とを光学的に接続するステップを含み、光導波路および/または光ファイバストリングを含む前記接続要素は、前記中間層、前記サブ層、前記膜、および/または前記オーバーモールド層内に少なくとも一部位置するおよび/またはそれらに接続される、ならびに/あるいは前記第1の面を前記LEDライトエンジンと光学的に接続するものである、請求項42に記載の方法。
【請求項48】
前記光ファイバ装置および/または前記接続要素は、少なくとも1つの誘電材料、および/または、ガラスおよび/またはポリマーの形態の誘電材料で少なくとも一部作製される、請求項46または47に記載の方法。
【請求項49】
前記中間層内に少なくとも1つの加熱パッドおよび/または少なくとも1つの加熱用電線を埋め込むステップと、前記サブ層および/または前記膜のうちの少なくとも1つ内に少なくとも1つの加熱パッドおよび/または少なくとも1つの加熱用電線を埋め込むステップとを含む、請求項42に記載の方法。
【請求項50】
前記埋め込むステップは、積層、超音波埋込み、および/または熱的埋込みを含む、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記加熱用電線を前記埋め込むステップは、前記中間層、前記サブ層、および/または前記膜を少なくとも一部溶融するステップ、および/または、超音波溶融、熱溶融、サーモソニック溶融、および/または機械的溶融で、圧縮を用いて前記中間層、前記サブ層、および/または前記膜を少なくとも一部溶融するステップを含む、請求項49に記載の方法。
【請求項52】
前記中間層は、印刷される、および/またはパッド印刷される、請求項32から51の一項に記載の方法。
【請求項53】
前記中間層は、色付けされる、および/または前記基板上に前記装飾層の施しをマスクする、請求項32から52の一項に記載の方法。
【請求項54】
記中間層を施す前に、少なくとも1つのクラッド層を前記第2の面に施すステップをさらに含む、請求項32から53の一項に記載の方法。
【請求項55】
前記中間層を施す前に、少なくとも1つのクラッド層を前記第2の面に施すステップをさらに含み、前記クラッド層は、少なくとも1つの前記サブ層であり、および/またはさらに前記装飾層の施しをマスクする、請求項35に記載の方法。
【請求項56】
前記基板の前記第2の面にハードコートを施すステップをさらに含む、請求項1から55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記基板の前記第1の面にハードコートを施すステップ、および/または前記オーバーモールド層、前記中間層、前記サブ層、および/または前記膜にハードコートを施すステップをさらに含む、請求項42に記載の方法。
【請求項58】
前記基板の前記第1の面にハードコートを施すステップ、および/または前記第3の面、前記中間層、前記サブ層、および/または前記膜にハードコートを施すステップをさらに含む、請求項42に記載の方法。
【請求項59】
前記ハードコートは、少なくとも厚さ6μmであり、および/または厚さ28μmの最大厚さを有する、請求項56から58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記ハードコートは、有機シリコン、アクリル、ウレタン、メラミン、およびアモルファスのSiOxCyHzからなる群から選択される材料を含む1つまたは複数の耐摩耗層を含む、請求項56から59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
- ポリマーを含み、外側に前面を有する第1の層と、
- ポリマーを含み、内側に後面を有する第2の層と、
- 金属、または金属およびメタロイドを含む合金の層を含む、前記第1および第2の層の少なくとも一部の間の装飾層と
を備える装飾レドームであって、
前記第2の層は、前記装飾層に直接または間接的に当接し、前記第1の層に直接接着結合されるまたは間接的に接続され、前記第1および第2の層の少なくとも1つはポリマーで構成され、
前記装飾レドームが水中に浸漬されるときに、前記第1の層と前記第2の層との間に水の侵入がない、装飾レドーム。
【請求項62】
前記第1の層および/または前記第2の層は、電波透過性ポリマーを含む、請求項61に記載の装飾レドーム。
【請求項63】
前記第1の層と前記第2の層の少なくとも一部の間に中間層をさらに含む、請求項61または62に記載の装飾レドーム。
【請求項64】
前記中間層はインクである、請求項63に記載の装飾レドーム。
【請求項65】
前記中間層は、少なくとも2つのサブ層を備える、請求項63または64に記載の装飾レドーム。
【請求項66】
前記中間層または前記サブ層のうちの少なくとも1つは、前記第1の層と前記装飾層の間に、または前記装飾層と前記第2の層の間に位置する、請求項65に記載の装飾レドーム。
【請求項67】
前記中間層または前記サブ層のうちの少なくとも1つは、前記装飾層上に位置する、請求項65または66の一項に記載の装飾レドーム。
【請求項68】
前記中間層または前記サブ層のうちの少なくとも1つは、少なくとも1つの光ファイバ装置を備える、請求項65から67の一項に記載の装飾レドーム。
【請求項69】
前記光ファイバ装置は、膜の形態の少なくとも1つの光ファイバストリングを備える、請求項68に記載の装飾レドーム。
【請求項70】
前記サブ層は、前記膜を少なくとも一部備え、および/または少なくとも1つの接着促進剤は、前記膜、前記中間層、および/または前記サブ層の少なくとも1つの表面の少なくとも一部に設置される、請求項69に記載の装飾レドーム。
【請求項71】
前記中間層、前記サブ層、および/または前記膜は、少なくとも部分的に前記光ファイバ装置を備え、および/または除去部分内、隆起部分上、および/または前記装飾層上に少なくとも部分的に位置する、請求項69または70に記載の装飾レドーム。
【請求項72】
少なくとも1つの接続要素を介して前記光ファイバ装置に任意選択で接続された少なくとも1つのライトエンジンを備え、前記接続要素は、少なくとも部分的に前記中間層、前記サブ層、前記膜、前記第1の層、および/または前記第2の層内に位置しおよび/またはこれに接続され、ならびに/あるいは前記第1の層に任意選択で接続される、請求項69から71の一項に記載の装飾レドーム。
【請求項73】
前記光ファイバ装置および/または前記接続要素は、少なくとも1つの誘電材料を備える、請求項72に記載の装飾レドーム。
【請求項74】
前記中間層は、少なくとも1つの加熱用電線、および/または少なくとも1つの加熱パッドを備え、前記加熱用電線は、前記中間層を部分的に溶融することによって、前記中間層に埋め込まれる、請求項63から73の一項に記載の装飾レドーム。
【請求項75】
前記加熱用電線は、パターンに埋め込まれる、請求項74に記載の装飾レドーム。
【請求項76】
前記中間層は、超音波および/または音の発生を可能にする少なくとも1つのピエゾ素子を備える、請求項63から75の一項に記載の装飾レドーム。
【請求項77】
前記中間層、および/または前記膜は、色付けされ、および/または前記装飾層で実質的に被されない、請求項69から73の一項に記載の装飾レドーム。
【請求項78】
少なくとも1つのクラッド層をさらに備える、請求項63から77のいずれか一項に記載の装飾レドーム。
【請求項79】
ハードコート層をさらに備える、請求項61から78のいずれか一項に記載の装飾レドーム。
【請求項80】
前記ハードコート層は、前記第1の層の前記前面の少なくとも一部を覆い、前記第1の層と前記装飾層の少なくとも一部の間にあり、および/または前記第2の層の前記後面の少なくとも一部を覆う、請求項79に記載の装飾レドーム。
【請求項81】
前記装飾レドームの前記前面および前記後面は、電波経路を定める前記装飾レドームの少なくとも一部にわたってほぼ平行である、請求項61から80のいずれか一項に記載の装飾レドーム。
【請求項82】
前記装飾層は、反射層である、請求項61から81のいずれか一項に記載の装飾レドーム。
【請求項83】
前記反射層は、少なくとも35%の反射、または少なくとも45%の反射、または少なくとも50%の反射、または少なくとも55%の反射である、請求項82に記載の装飾レドーム。
【請求項84】
前記装飾層は、インジウム、スズ、あるいは金属ならびにゲルマニウムおよび/またはシリコンを含む合金を含む、請求項61から83のいずれか一項に記載の装飾レドーム。
【請求項85】
前記装飾層は、アルミニウムならびに/あるいはゲルマニウムおよび/またはシリコンの合金を含む、請求項61から84のいずれか一項に記載の装飾レドーム。
【請求項86】
前記合金は、ゲルマニウムを含み、ゲルマニウムの濃度は、少なくとも25重量%のゲルマニウム、または少なくとも40重量%のゲルマニウム、または少なくとも45重量%のゲルマニウム、または少なくとも50重量%のゲルマニウム、または少なくとも55重量%のゲルマニウムである、請求項84または85に記載の装飾レドーム。
【請求項87】
前記装飾層は、20から190nmの厚さ、または40から170nmの厚さ、または60から150nmの厚さである、請求項84から86のいずれか一項に記載の装飾レドーム。
【請求項88】
前記ハードコートは、少なくとも厚さ6μmを有し、および/または厚さ28μmの最大厚さを有する、請求項79または80に記載の装飾レドーム。
【請求項89】
前記ハードコート層は、有機シリコン、アクリル、ウレタン、メラミン、およびSiOxCyHzの群から選択される材料を含む1つまたは複数の耐摩耗層を備える、請求項79、80、および88の一項に記載の装飾レドーム。
【請求項90】
前記第1のおよび/または第2の層の一方または両方は、アクリロニトリルエチレンスチレン(AES)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)、ポリカーボネート(PC)、ハイフローAESまたはアクリロニトリル(エチレン・プロピレン・ジエン)スチレン(AEPDS)、熱可塑性材料のブレンド、あるいはPC-ABSブレンドの熱可塑性材料で形成される、請求項61から89のいずれか一項に記載の装飾レドーム。
【請求項91】
前記第1のおよび/または第2の層の一方または両方は、ポリカーボネートで形成される、請求項61から90のいずれか一項に記載の装飾レドーム。
【請求項92】
10MHz~3000GHzの電磁周波数を実質的に減衰させない、請求項1から60のいずれか一項に記載の方法により製造された装飾レドーム、または請求項61から91のいずれか一項に記載の装飾レドーム。
【請求項93】
信号経路にわたって2dB未満(一方向)でまたは信号経路にわたって1dB未満(一方向)で電波信号減衰を有する、請求項1から60のいずれか一項に記載の方法により製造された装飾レドーム、または請求項61から92のいずれか一項に記載の装飾レドーム。
【請求項94】
前記装飾層は、10オーム/スクエア(Ω/□)よりも大きいシート抵抗を有する、請求項1から60のいずれか一項に記載の方法により製造された装飾レドーム、または請求項61から93のいずれか一項に記載の装飾レドーム。
【請求項95】
前記装飾レドームが240時間にわたって60℃で水中に浸漬されるときに、前記第1の層と前記第2の層の間に水の侵入がない、請求項1から60のいずれか一項に記載の方法により製造された装飾レドーム、または請求項61から94のいずれか一項に記載の装飾レドーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本発明は、レドームとして知られるレーダシステムのための保護カバーに関する。詳細には、本発明は、装飾用の視覚的特徴を含む多層式レドームに関する。そのようなレドームは、自動車産業に特に役立つ。
【背景技術】
【0002】
[0002]レーダ(RADAR:Radio Detection and Ranging)システムは、送信機から発せられた照明用電波(レーダ信号)が固体物体によって反射または散乱されることに基づいて働く。次いで、これらの反射されたレーダ波は、一般的に送信機の近位にある受信機により検出され、レーダシステムが物体を検出することを可能にする。
【0003】
[0003]典型的には、電波は、異なる電気伝導率を有する媒体間を進むときに反射される。したがって、レーダシステムは、金属などの導電性材料を検出するのに特に有効である。
【0004】
[0004]レーダシステムは、20世紀の初めにおけるその発展以降、進化し、小型化されており、そのため今では日常の装置の範囲に組み込まれている。レーダのよくある日常的な使用の1つは、車両における運転者支援システムにある。レーダは、車両における様々な警告システム、準自律システム、および自律システムに使用される。そのようなシステムは、駐車支援、アダプティブ・クルーズ・コントロール、衝突回避、およびブラインドスポット検出に使用され得る近接検出を含む。さらに、レーダは、ライダー(LIDAR:Light Illuminating Detection And Ranging)システムと組み合わせて、自律車両のために開発されている検知システムを提供する。
【0005】
[0005]典型的には、レーダシステムが最適に機能するために、レーダ送信機および受信機は、車両で使用されるレーダシステムが視線を必要とするときに、所望の検出ゾーンの中心に、および十分な検出レンジを与えるのに十分かつ/または適切な高さに配置されるべきである。車両において、典型的には、これは、(前部における)車両フロントグリルの上部または上方における車両の前部および後部にある、あるいは車両の後部の(垂直と水平の両方で)中心点にある。問題としては、典型的には、これらのエリアは、車両のメタリック仕上げを伴う構成要素、例えば、金属製のグリル、バンパ、またはバッジを含む。
【0006】
[0006]レーダシステムが外部から見えることが望ましくないので、およびシステムが環境損傷から保護される必要があるので、典型的には、レーダシステムは、レドームの背後に位置する。レドームは、実質的に電波透過性であり、したがって無線信号を減衰させない保護カバーである。レドームを用意するのに適した材料は、電気絶縁であるプラスチックを含む。しかしながら、そのようなプラスチックレドームの組み込みは、メタリック仕上げが望まれるとき、実現するのが難しかった。そのようなプラスチック上のクロム膜である典型的なメタリック仕上げは、無線信号を減衰させ、したがってレドームにおける使用に適していない。例えば、2012年1月24日に出願したオーストラリア特許出願第2012900267号の優先権の利益を主張する2013年1月24日に出願した国際特許出願第PCT/AU2013/000047号の国際段階移行である2014年7月24日に出願した米国特許出願第14/374,376号(現在、米国特許第9,181,616号)の一部継続である2015年11月5日に出願した米国特許出願第14/936,024号(現在、米国特許第9,656,601号)の一部継続である2017年2月22日に出願した米国特許出願第15/439,188号の一部継続である米国特許出願第16/001,423号は、その全部が全ての目的のために全体として参照により本明細書に組み込まれるものであり、反射コーティング、および車両の状態を表示する後方確認アセンブリ装置を開示する。反射コーティングはクロムベースの反射コーティングであることが提案されている。
【0007】
[0007]したがって、メタリックの外観を有するプラスチックレドームを提供する技法が開発されている。そのような技法の1つは、米国特許第6,328,358号に開示されており、これは、複数のプラスチック層を含む少なくとも4つの層を含むレドームセクションを備えるグリルを開示する。プラスチック層のいくつかは、インジウムの薄膜が塗布された凹部を備える。インジウムは、レドームの特定の部分を覆うように蒸着され、一方、他の部分は、インジウムの島状の蒸着を可能にするように覆われなかった。しかしながら、この技法は、インジウムが薄膜として蒸着されることを必要とすることによる制限を受け、さもなければ、それは伝導性となる。インジウムは、低融点を有する軟金属であり、したがって容易に損傷を受ける。したがって、プライマー(またはワニス)を含む複雑な保護コーティングは、薄膜を覆うように塗布される必要があり、さもなければ、それは、風化、損傷、および酸化に曝される。
【0008】
[0008]さらなる一例には、30層までの干渉膜スタックを利用する米国特許出願US2017/0057424(A1)が含まれる。そのような複合膜スタックは、製造コストおよび時間がかなり大きいという結果になり得るとともに、いくつかの品質管理問題および破損点をもたらす。他のレドームは、膜、塗料、蒸着金属、および複雑なヒートマスキングの複雑な組合せを利用し、やはり製造時間およびコストが高いという結果になる。
【0009】
[0009]EP1560288は、視覚的にメタリックのレドーム、および/または金属製構成部品を提供する代替手段を説明する。この文献は、透明基板上にあるスズおよび/またはスズ合金の薄膜(10nmから50nm)の蒸着を開示する。次いで、基板は、さらなる不透明なバッキングプレートが被せられ、これは、実際には前層に接着される。しかしながら、接着剤の使用により、製造の複雑さおよびコストは増大し、構成要素が第1の層と第2の層の間の層間剥離を受けやすいという結果になり得る。これは、電波の減衰およびレーダシステムにおける不正確さをもたらす。
【0010】
[0010]市場に存在するレドームは、高い故障率、およびレドームを形成する複数の層の層間剥離に対して低抵抗を示している。したがって、装飾仕上げ(特に、金属をまねる反射仕上げ)を自身に組み込むことができるレドームであって、明るく、電波透過性である、すなわち、レーダレンジ内、好ましくは10MHzから130GHz、好ましくは20GHzから100GH、より好適には20GHzから30GHz、70GHzから80GHz、および/または90GHzから100GHz、最も好ましくは24GHz、77GHz、または93GHzの電磁放射に対して好ましくは透明であり、環境損傷および摩耗に対して頑健であり、耐性のある、レドームを作り出すことが望ましい。
【0011】
[0011]レドームの装飾仕上げは、ロゴまたはエンブレムを与えるためにしばしば使用される。そのようなエンブレムは、車両のスタイリングおよびブランディングを伝えるために伝統的に用いられる。ブランド差別化を強化するために、ロゴまたはエンブレムを強調することが望まれる。しかしながら、そうしたレドームとそうしたエンブレムを組み合わせるとき、反対の望みが存在する。
【0012】
[0012]一方では、レーダ放射のためのレドームの透明性は負の影響を受けないものとすべきであるのに対して、例えば、照明によってエンブレムを強調することも望まれる。照明は、エンブレムまたはロゴ自体、レドームまたは自動車バッジの全体のエンブレムのまわりのリングであり得る。さらに、エンブレムは、例えば土埃、氷などの堆積を防ぐまたはこれを除去することによって強調することができる。
【0013】
[0013]これらの強調のために、レドーム内には追加の要素が設置されることになり、したがって、レーダ放射のためのレドームの透明性に潜在的に負の影響をもたらす。さらなる部品、特に光を送信、拡散、反射、およびパイプで導くための部品は、最適なレーダ性能に必要とされるものとは反対になる。好ましくは、レドームは、材料の誘電特性に従って調節される最適な厚さの均一な断面を必要とする。
【0014】
[0014]透明性に影響を及ぼすことなくレーダアンテナを覆うためのコア機能に負の影響を及ぼすことなく、レドーム内にそうしたさらなる機能性を実装することが望まれる。
[0015]この点について、2015年7月10日に出願したオーストラリア特許出願第2015902723号の優先権の利益を主張する2016年7月8日に出願した国際特許出願PCT/EP2016/066355の国際段階移行である2016年7月8日に出願し、米国特許出願公開第2018/0202626(A1)号として公開された米国特許出願第15/743,556号(現在、米国特許第10,323,817号)の一部継続である2019年6月17日に出願した米国特許出願第16/443,188号は、その全部が全ての目的のために全体として参照により本明細書に組み込まれるものであり、光アセンブリ、およびそのような光アセンブリを含む車両設計要素を開示する。好ましくはレドームとして形成される設計要素が、光をレドームの中に径方向に向ける光導波路によって囲まれることが提案される。さらに、光アセンブリは、設計要素の背後に位置するブリッジライト部材を備え、それにより設計要素の薄層状照明を行うことが提案されている。この構成は、それ自体実証されている。しかしながら、特にブリッジ部材により、好ましくは異なる色を用いて設計要素の一部を選択的照明すること、および/または照明エリア間の変化を許容することは、実現するのがそう簡単ではないことが分かった。したがって、最新式で知られる照明装置のこれらの不足を克服するさらに発展した照明機能を提供する必要性がやはりある。
【0015】
[0016]上述した背景の説明は、本発明の内容を説明するために含まれている。参照された資料のいずれかが、請求項のいずれか一項の優先日において、公表されていた、知られていた、またはありふれた一般常識の一部であったということについて認めたものとしてとらえられるべきではない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
[0017]本発明は、第1の面および第2の面を有する電波透過性基板を用意するステップと、好ましくは電波透過性基板の第2の面の少なくとも一部に、金属、または金属およびメタロイドを含む合金の層を含む装飾層を施すステップと、オーバーモールド層を与えるように少なくとも装飾層を電波透過性ポリマーでオーバーモールドするステップとを含む装飾レドームを製造する方法を提供する。
【0017】
[0018]多くの薄いコーティング層は、室温で引き伸ばすことができ、これによりプラスチック基板に適用される際、高温に曝されるときに視覚的に歪む(例えば、亀裂が入る)。このことは、熱膨張係数(CTE)の違いによるように思われ、典型的には、これは、薄膜および/またはコーティング層をプラスチック基板と比較した場合、3倍から6倍程度低い。
【0018】
[0019]溶解したプラスチック樹脂が300℃以上までのノズル温度でオーバーモールドプロセスの第2のショット中に施されるときに、オーバーモールドのプロセスは、薄いコーティングを本質的に高い温度に曝す。したがって、(反射層などの)薄いコーティングを有する基板のオーバーモールドにより、コーティング、好ましくは薄いコーティング、および基板の熱膨張が引き起こされる可能性があり、これにより薄いコーティングの視覚的な歪みが引き起こされ、コーティングの外観に損傷を与えることが予期される。しかしながら、本発明は、装飾層を覆うサーマルマスクの必要なしで基板上に蒸着された、好ましくは蒸着した装飾層を直接オーバーモールドすることによって統一された多層状物品の製造を可能にする。さらに、オーバーモールドプロセスは、装飾層が間で取り囲まれる第1および第2の層を接着剤が接着する必要を取り除く。
【0019】
[0020]蒸着された薄いコーティングの上へ直接オーバーモールドすることは、そのような装飾レドームを与える現在の方法を上回る多くの利点をもたらす。物理蒸着(PVD)などの蒸着技法による薄いコーティングの蒸着は、無線信号の歪みまたは減衰の可能性を減少させる装飾層を備えた単純に高いスループットの基板の製造を可能にする。さらに、PVDによる薄いコーティングの蒸着は、蒸着された層の厚さがほぼ均一となることを可能にする。これは、レーダ信号の屈折を減少させる利点を有する。さらに、装飾層の直接オーバーモールドは、層を包み、それによってそれを電気的に絶縁する要素から装飾層を保護し、基板とオーバーモールド層の間に水が侵入する可能性、接着剤によって結合された多層レドームが出くわす問題を減少させる。
【0020】
[0021]オーバーモールドする前に装飾層の視覚的な歪みの可能性を減少させるのを助けるために、上記方法のいくつかの実施形態では、基板および装飾層は、オーバーモールドする前に加熱される。好ましくは、基板および装飾層は、オーバーモールドする前に少なくとも摂氏60度まで、または少なくとも摂氏70度まで、または少なくとも摂氏75度まで、または少なくとも摂氏80度まで加熱される。これにより、オーバーモールドプロセスの第2のショット中に装飾層の温度変化率を減少させ、それによってオーバーモールド中に熱膨張の程度を減少させ、装飾層の視覚的な歪みの可能性を減少させるのを助ける。
【0021】
[0022]さらに、オーバーモールドプロセスのノズル温度を下げることによって、したがって特定のノズル温度で流れ得る適当なポリマーを用いることによって、装飾層の視覚的な歪みの可能性を減少させる。いくつかの実施形態では、オーバーモールド層は、オーバーモールドプロセス中に、摂氏300度以下、または摂氏280度以下、または摂氏250度以下、または摂氏245度以下のバレルノズル温度で形成される。
【0022】
[0023]本発明の方法の特に望ましい使用は、車両の前部用のバッジを提供することである。典型的には、そのようなバッジは、伝統的にクロムめっきであるまたはメタリックの外観を有する三次元シンボルからなる。したがって、そのようなバッジをレドームとして使用するのに適しているやり方で複製するように試みることが望ましい。
【0023】
[0024]したがって、少なくともいくつかの実施形態では、装飾層は、視覚的特徴を形成するように基板の一部だけに施される。この視覚的特徴は、ロゴ、好ましくは自動車のロゴなどのシンボル、または任意の他の望ましいシンボルであり得る。3次元の視覚的特徴を再現するために、いくつかの実施形態では、基板は、視覚的特徴(の少なくとも一部)を定める好ましくは電波透過性基板の第2の面上に除去部分および/または隆起部分を含むことができる。いくつかの実施形態では、除去部分は、基板の第1の面の方への凹部によって与えられ、および/または隆起部分は、第2の面から延びる突出部によって与えられる。いくつかの実施形態では、装飾層は、三次元装飾層を与えるように、除去部分および/または隆起部分に施されてもよい。
【0024】
[0025]多くの車両のバッジのメタリック仕上げを複製するために、装飾層が反射層であることが望ましい。したがって、いくつかの実施形態では、装飾層は、特に明所視反射率に関して、少なくとも35%の反射、または少なくとも45%の反射、または少なくとも50%の反射、または少なくとも55%の反射である反射層である。レドームがポリマーの2層内で装飾層を取り囲むように設計されているので、第2の面(すなわち、透明層の外面)から見られるときに反射率を測定するのが望ましい。
【0025】
[0026]装飾層は、薄いコーティング層として与えられる。いくつかの実施形態では、装飾層の平均厚さは、厚さ20~190nm、または厚さ40から170nm、または厚さ60から150nmである。そのような薄いコーティングは、当業界における複数の方法によって実現され得る。しかしながら、いくつかの実施形態では、装飾層は、物理蒸着(PVD)によって蒸着されるおよび/または施される。いくつかの実施形態では、PVD法は、マグネトロンスパッタリング、または蒸着であり、これは、抵抗サーマル蒸着または電子ビーム蒸着であり得る。いくつかの実施形態では、装飾層は、マグネトロンスパッタリングによって蒸着される。PVD法は、均一な厚さで薄膜の蒸着を可能にし、これは、蒸着された層の残留応力特性を制御するのを助け、それによって使用者および/または製造者が特徴層を調節することを可能にする。これは、装飾層の熱膨張係数の調整を助け、それによってオーバーモールド中の視覚的な歪みの可能性を減少させる。
【0026】
[0027]本発明の方法に使用するのに適した金属は、インジウムおよびスズを含む。本発明の方法に使用するのに適したメタロイドは、ゲルマニウムおよびシリコンを含む。メタロイドで合金を形成するのに適した金属は、アルミニウムを含む。いくつかの実施形態では、装飾層は、インジウム、またはスズ、あるいはゲルマニウムの合金を含む。いくつかの実施形態では、ゲルマニウムの合金は、ゲルマニウムとアルミニウム、またはゲルマニウムとシリコン、またはゲルマニウムとアルミニウムとシリコンである。いくつかの代替の実施形態では、合金は、アルミニウムとシリコン、または銀とゲルマニウム、またはインジウムとゲルマニウムである。
【0027】
[0028]装飾的コーティングがゲルマニウムの合金を含む実施形態では、合金は、少なくとも25重量%のゲルマニウム、または少なくとも40重量%のゲルマニウム、または少なくとも45重量%のゲルマニウム、または少なくとも50重量%のゲルマニウム、または少なくとも55重量%のゲルマニウムを含むことができる。
【0028】
[0029]好ましくは装飾層は、周波数選択性表面バンドパスフィルタとして働き、および/または少なくとも1つの繰り返しパターンを含み、好ましくは周波数選択性表面バンドパスフィルタは、好ましくはレーザエッチングによって、それを施した後に、装飾層を構築することによって製造される。
【0029】
[0030]そのような選択性表面バンドパスフィルタ、すなわち、場の異なる周波数に基づいて電磁場を反射、伝達、または吸収するように設計された薄い繰り返し表面であるフィルタを設けることによって、クロムのように可視光をとてもよく反射するさらなる材料を装飾層のために使用することが可能になる。したがって、レドーム、好ましくは視覚的特徴の美的な外観は、装飾層がレーダ放射に透明であり、したがってレーダ放射の送信に負の影響を与えないので、レドームによって覆われたレーダユニットの機能性に負の影響を与えることなく、他の材料からなる閉じた表面と比較してより高い反射性があるため、向上し得る。
【0030】
[0031]レーダ放射のための透明性と同時に、求められる視覚的効果を示すことを可能にする閉じた反射面の印象を観察者に与える高反射エリアを与えることがさらに可能である。他方で、パターンは、パターンが27または77GHzなどの電磁放射のためのパスフィルタとして機能するように設計され、レーダユニットが何ら負の影響なしで機能することを可能にする。
【0031】
[0032]周波数選択性表面は、周期的に繰り返される要素を用いてパターンによって形成することができる。典型的には、これらの要素は、それらが観察者によって簡単に見ることができないことを確実にするために、50μm未満のサイズを有する。さらに、完全に周期的なパターンから三次元表面に幾何学的効果を与えるために成形およびサイジングに対する補正、ならびにところどころの装飾的要素が設けられているエリアへパターンを変更することが可能である。
【0032】
[0033]レドームを横断する電波信号の過度の屈折および歪みを防ぐために、形成されたレドームの前面および後面が、レドームの少なくとも一部について、均一な厚さの信号経路を与えるように、平行またはほぼ平行であることが好ましい。したがって、いくつかの実施形態では、(セットされると)オーバーモールド層は、レドームの少なくとも一部にわたって好ましくは透明な電波透過性基板の第1の面に平行またはほぼ平行である第3の面を与え、一部は信号経路を定める。
【0033】
[0034]基板は任意の望ましいやり方で準備することができ、いくつかの実施形態では、基板は、射出成形によって形成される。さらに、基板、およびオーバーモールド層は、1種類または複数種類のポリマーがほぼ電波透過性である限り、任意の適切な1種類または複数種類のポリマーで形成することができる。いくつかの実施形態では、基板および/またはオーバーモールド層は、アクリロニトリルエチレンスチレン(AES)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)、ポリカーボネート(PC)、ハイフローAESまたはアクリロニトリル(エチレン・プロピレン・ジエン)スチレン(AEPDS)、熱可塑性材料のブレンド、あるいはPC-ABSブレンドの熱可塑性材料で形成される。
【0034】
[0035]装飾層を見ることを可能にするために、いくつかの実施形態では、基板またはオーバーモールド層の少なくとも1つは、可視光をほぼ通す。好ましくは、好ましくは電波透過性基板は、可視光をほぼ通す層である。特に適したポリマーの1つは、ポリカーボネートである。さらに、装飾層のコントラストを改善し、色および反射率を調節し、下にあるエレクトロニクスの視界を覆い隠すために、透明層の反対の層は、ほぼ不透明である。したがって、いくつかの実施形態では、基板またはオーバーモールド層は、可視光をほぼ通さない。
【0035】
[0036]本発明の方法は、好ましくは電波透過性基板の第2の面および/または装飾層の少なくとも一部に中間層を施すステップをさらに含んでもよい。中間層は、装飾層に加えてまたは装飾層と組み合わせて、装飾的な役割を果たすことができる。例えば、中間層は、色付けされてもよく、したがって装飾レドームに色を加えることができる。したがって、少なくともいくつかの実施形態では、中間層が色付けされる。
【0036】
[0037]中間層は、代替としてまたは並行してさらなる機能を実現し得る。例えば、中間層は、レドーム、好ましくは視覚的特徴、装飾的要素、および/またはロゴのライティングおよび/または照明を行うことができる。代替としてまたは加えて、中間層は、好ましくはレドームの表面から霧、水、氷などを取り除くために、加熱機能および/またはクリーニング機能を与え得る。クリーニング機能は、例えば圧電効果による超音波振動および/または音の発生を含み得る。
【0037】
[0038]中間層は、複数のサブ層を備えてもよい。サブ層のうちの少なくとも2つは、異なる機能、好ましくは前述した機能のうちの1つを与えることができる。また。サブ層の組合せは、少なくとも1つの機能、またはそのような機能の組合せを与えることができる。
【0038】
[0039]機能性に応じて、中間層は、基板に面する装飾層の側面、または基板から離れるように向いている装飾層の側面上に位置する。例えば、中間層が装飾層を照明するために、中間層が基板から離れるように向いている装飾層の側面上に位置することが好ましい。
【0039】
[0040]ライティングおよび/または照明機能を与えるために、中間層、好ましくはサブ層のうちの少なくとも1つは、少なくとも1つの光ファイバの装置を備える。光ファイバの装置は、レドームを通しておよび/またはレドームの中に光を向けるおよび/または発することを可能にする。好ましくは、光は、装飾層に向けられる。装飾層の部分的透明性により、光は、装飾層を通して発することができる、したがってそれを照明する。装飾層が視覚的特徴の形態である場合には、例えば、エンブレムおよび/またはロゴを設けるために、したがって、エンブレムは照明される。
【0040】
[0041]この目標に到達するために、好ましくは、光ファイバは、特にトラックに配置された少なくとも1つの光ファイバストリング、好ましくは複数の光ファイバストリングを備える。これにより光ファイバの装置の形状をエンブレムおよび/またはロゴの形状に整合させることを可能にする。このようにして、光は、照明することなく、少なくともそれほどではないが周囲のエリアを照明することなく、エンブレム/ロゴのエリア内で選択的に発せされる。好ましくは膜は、装飾層の背後に位置し得る、すなわち、レーダアンテナに面する装飾層の面に位置し得る。
【0041】
[0042]光ファイバの装置、好ましくは光ファイバストリングは、好ましくは少なくとも1つの膜、好ましくはポリマー膜の形態で、少なくとも中間層および/またはサブ層上に、層状に重ねられてもよいおよび/または埋め込まれてもよい。そのような膜の使用は、複数の利点をもたらし、好ましくはロゴ/エンブレムのエリア内で光ファイバの装置を選択的に設置することが可能である。好ましくはポリマー膜は、オーバーモールド層でオーバーモールドされる。
【0042】
[0043]さらに、膜の使用は、レドームの均一な断面を維持し、空の空間を防ぐことを可能にする。好ましくはオーバーモールドプロセス中に一様でない表面上へ生じる、一様でない断面および空の空間は、レーダ伝達性能が負の影響を受ける作用をもたらし得る。
【0043】
[0044]さらに、また、照明構造のサイズは、レーダ性能の負の影響をもたらさない。光ファイバの装置は、125μmの範囲内の直径を有する照明構造を実現することを可能にする。そのような装置、好ましくは光ファイバストリングを膜に埋め込むとき、膜は、350μmの範囲内のようにかなり薄く製造することができる。膜および/または光ファイバの装置を備える構造がガラスまたはポリマーなどの誘電材料で作製できるので、構造のサイズが通常使用されるミリメートルレーダの波長未満の大きさの程度である場合、レーダ信号に関する干渉は無視できる。
【0044】
[0045]光ファイバの装置および/または膜を、特に基板、オーバーモールドおよび/または装飾層に接続を容易にするために、上記は、少なくとも1つの表面、好ましくは両面上に少なくとも1つの接着促進剤を備えることができる。
【0045】
[0046]さらに、光ファイバの装置の使用は、光源および/またはライトエンジンをレーダユニットの視野から離れるように設置することを可能にする。このように、レーダがファイルされた場合、乱れを防ぐことができる。
【0046】
[0047]光ファイバ装置は、少なくとも1つの接続要素を介して少なくとも1つのライトエンジン、好ましくはLEDライトエンジンと接続されており、接続要素は、中間層、サブ層、膜、および/またはオーバーモールド層内に少なくとも部分的に位置し、および/または中間層、サブ層、膜、および/またはオーバーモールド層に接続される。
【0047】
[0048]また、異なる色の光を用意し、および/または光ファイバの装置の異なる部分、好ましくは異なる光ファイバストリングに光、好ましくは異なる色の光を送り届ける複数の光源またはライトエンジンが使用されてもよい。このようにして、光ファイバの装置は、異なる色を送り届けることができ、および/またはそれは、好ましくは異なる色で、レドームを、好ましくはロゴおよび/またはエンブレムを均一にまたは選択的に照らすためにトラック形成時にしまい込まれてもよい。
【0048】
[0049]中間層、好ましくはサブ層のうちの少なくとも1つは、加熱機能を与えることができる。加熱機能によって、任意の氷、水、または土埃は、レドームの表面から取り除くことができる。
【0049】
[0050]一代替例では、加熱機能は、中間層、好ましくはサブ層内に少なくとも1つの加熱パッドを設けることによって与えられてよい。そのような加熱デバイスを用いるとき、減衰および信号損失が防がれることを確実にすることが重要である。
【0050】
[0051]したがって、できる限り薄い加熱パッドを用意することが重要であり、例えば、パッドは、膜内に薄いトラックを導電性印刷することによって設けることができる。
[0052]そのような加熱パッドを使用するとき、送受信能力に負の影響を及ぼすのを避けるために、アンテナに対するパッドの正確な位置が実現されることが確実にされなければならない。他方で、加熱パッドの厚さの減少は、他方で、加熱パッドが、製造プロセスを「生き抜く」のに十分な剛性および抵抗を与えるとともに、十分な熱エネルギーを与えるのに十分な厚さでなければならないとして制限される。
【0051】
[0053]加熱パッドと比較において、減衰および信号損失をさらに減少させるために、加熱用電線が中間層中に埋め込まれることが、加熱用電線が中間層中に埋め込まれる他の代替において提案されている。
【0052】
[0054]好ましくは自立している中間層にそれを直接埋め込むことにより、中間層に加熱用電線の形態で加熱要素を含めることによって、製造は、あまり複雑にならず、したがってあまり高価にならないとともに、故障が発生しにくい。また、何らかの減衰または損失が防がれるように、少なくともかなり減少させられるように、アンテナに対して加熱要素をより正確に設置することが可能になる。そのような加熱用電線の使用は、中間層、好ましくはサブ層、基板層、および/またはオーバーモールド層のまわりに電線を導くことをさらに可能にし、それにより加熱要素とエネルギー源を接続する端子は、アンテナの反対側にある側から見ることができない、かつアンテナの視野の外側にあるレドームの側に位置することができ、したがって放射を発したり受信したりすることに影響しない。加えて、それは、周波数選択性表面バンドパスフィルタとしての、および/または放射の伝達もしくは加熱要素に負の影響を与えないような小さい直径を有する電線を有する、加熱要素を形成することを可能にする。
【0053】
[0055]さらに、少なくともいくつかの実施形態では、中間層、サブ層のうちの少なくとも1つ、および/または装飾層は、電波透過性基板上の装飾層の施しをマスクするように働いても働かなくてもよい。方法のそのような実施形態では、中間層、少なくとも1つのサブ層、および/または装飾層は、中間層および/またはサブ層が装飾層によって実質的に被されない、または被されないように蒸着される。そのようなマスキングは、装飾層の蒸着中のシャドウマスキングが難しいときに、または適切な細部がシャドウマスキングによって実現できないときに利用することができる。少なくともいくつかの実施形態では、中間層および/またはサブ層は、本発明の方法におけるシャドウマスクと併せて使用され、これにより装飾層を電波透過性基板に選択的に施すことを可能にする。
【0054】
[0056]中間層は、任意の適切な層であってよく、好適な実施形態では、装飾的な役割を果たすために好ましくは、中間層は、インク、染料、油、または他の適した液体である、および/またはそれらを含む。インクは、適した印刷方法によって堆積され得る。これらは、染料拡散熱転写、ワックス熱転写、間接染料拡散熱転写、スクリーン印刷、インクジェット印刷、またはグラビア印刷プロセス、例えば、パッド印刷を含み得る。いくつかの実施形態では、中間層は、印刷によって堆積される。いくつかの実施形態では、中間層は、パッド印刷によって堆積される。
【0055】
[0057]本発明の方法は、装飾層、中間層、および/またはサブ層を施す前に、基板の少なくとも一部にハードコート層を施すステップをさらに含むことができる。具体的には、ハードコート層は、(装飾層が施される表面である)基板の第2の面に施すことができ、装飾層の一部が施されることになる基板の少なくとも一部を覆うべきである。それによって、ハードコート層は、基板、装飾層の少なくとも一部、中間層、および/またはサブ層の間に界面を与える。この界面は、装飾層、中間層、および/またはサブ層を基板に結合するのを助けることができ、または装飾層の残留応力、および/または装飾層または基板の熱膨張率を制御するのを助けることができる。代替として、ハードコート層は、装飾層を施す前に、基板の第2の面の大部分またはほぼ全体を覆うことができる。
【0056】
[0058]上記に鑑みて、(別段明示されない限り)電波透過性基板の第2の面に装飾層、または中間層および/もしくはサブ層を蒸着させることの言及は、電波透過性基板の第2の面上へ前もって蒸着されたコーティング、層、または膜、例えば、ハードコーティングの上への蒸着を包含することを理解されたい。
【0057】
[0059]さらに、本発明の方法は、基板の第1の面にハードコートを施すステップを含むことができる。そのようなハードコートは、物理的および化学的な損傷を減少させる外部環境と基板の間の保護層として働く。
【0058】
[0060]いくつかの実施形態では、(基板の第2の面へおよび/または基板の第1の面上へ施される)ハードコートは、少なくとも厚さ6μmであり、および/または厚さ28μmの最大厚さを有する。いくつかの実施形態では、ハードコートは、有機シリコン、アクリル、ウレタン、メラミン、およびアモルファスのSiOxCyHzからなる群から選択される材料を含む1つまたは複数の耐摩耗層を施すことによることを含む。
【0059】
[0061]本発明は、電波透過性ポリマーを含み、前面を有する第1の層と、電波透過性ポリマーを含み、後面を有する第2の層と、金属、または金属およびメタロイドを含む合金の層を含む、第1および第2の層間の装飾層とを備える装飾レドームであって、第2の層は、装飾層に直接当接し、第2の層は、第1の層に直接接着結合され、第1および第2の層の少なくとも1つは、摂氏300度以下のバレルノズル温度でオーバーモールドすることができるポリマーで構成される、装飾レドームをさらに提供する。
【0060】
[0062]オーバーモールド中にバレル温度がより高くなることにより、第2のショットのポリマーの温度が上昇することになる。したがって、(オーバーモールドされている)電波透過性基板および任意の蒸着された装飾層の変化がより大きい。これは、電波透過性基板および蒸着された装飾層のより大きい熱膨張およびより急速な熱膨張をもたらし、これは、装飾層に損傷をもたらし得る。したがって、低いバレルノズル温度が有利であり、望ましい。
【0061】
[0063]本発明の装飾レドームは、上述した方法または別の適した方法を用いて製造することができ、これにより必要な特徴をもたらす。さらに、装飾レドームの実施形態は、それらが(レドームの第1および第2の層である)少なくとも基板およびオーバーモールド層、および装飾層の組成および物理的特性に関連するとき、上述した制限を含むものとして解釈されるべきである。例えば、金属およびメタロイド/金属合金の望ましい組成、所望の反射特性、および/または望ましい厚さの上記説明は、本発明の装飾レドームの可能性のある実施形態を表すものとみなされるべきである。
【0062】
[0064]さらに、装飾レドームは、上述したように、さらなる層を備えることができる。明確にするために、いくつかの実施形態では、装飾レドームは、第1の層の前面上にハードコート層を備える。さらに、いくつかの実施形態では、装飾レドームは、第1の層と装飾層の少なくとも一部の間にハードコート層を備える。
【0063】
[0065]さらに、装飾レドームは、第1の層と第2の層の間に配置される中間層を備えることができる。中間層は、装飾的な役割を果たすことができ、装飾レドームに色を与える。したがって、いくつかの実施形態では、中間層は、色付けされる。中間層は、代替としてまたは並行して、さらなる機能を実現し得る。例えば、中間層は、レドームの、好ましくは視覚的特徴、装飾的要素、ならびに/あるいはロゴのライティングおよび/または照明をもたらし得る。代替としてまたは加えて、中間層は、レドームの表面から霧、水、氷などを取り除くために、加熱機能を与え得る。
【0064】
[0066]中間層は、複数のサブ層を備えてもよい。各サブ層は、異なる機能、好ましくは前述した機能のうちの1つを与えることができる。また。サブ層の組合せは、少なくとも1つの機能、またはそのような機能の組合せを与えることができる。さらに、少なくともいくつかの実施形態では、中間層またはサブ層は、装飾層で実質的に被されない、または被されない。そのようなマスキングは、装飾層の蒸着中のシャドウマスキングが難しいときに、または適切な細部がシャドウマスキングによって実現できないときに利用することができる。中間層および/またはサブ層は、任意の適切な層であってよく、好適な実施形態では、中間層は、インク、染料、油、ワックス、潤滑油、または他の適した液体である。好適な実施形態では、中間層は、インクである。
【0065】
[0067]好適な実施形態では、基板層は、バッジを照明するための光導波路またはライトパイプとして使用される。この機能を実現するために、レーダユニットは、第1の面または前面の側に位置する。これにより、レーダユニットからおよびレーダユニットへのレドームを通しての放射の伝達が負の影響を受けないように、レーダユニットの視野の外側に光源またはライトエンジンを設置することが可能となる。
【0066】
[0068]さらに、バッジおよびエンブレムとして使用されるレドームに照明とレーダ機能性を組み合わせることの難しさは、基板をライトパイプとして使用することによって克服される。このように、レドーム内のさらなる追加の要素は必要でない。したがって、レーダユニットの視野内のレドームの均一な断面に到達することがより容易である。そのような均一な断面は、レドームの誘電性の特性に従って調節された最適な厚さを与えるのに好適である。さらに、レーダユニットの放射と干渉する可能性のある境界をもたらし得る異種の材料を有する要素が使用されなければならないことが回避される。
【0067】
[0069]同時に、レドーム、好ましくは装飾層および/または視覚的特徴の照明が可能である。
[0070]装飾層を選択的に照明するために、好ましくは、前に説明した実施形態では、基板の表面上の装飾層の外側のエリアは、中間層またはサブ層によって特に与えられる少なくとも1つのマスキング層を備えることが好適である。マスキング層は、目に見える範囲内の放射に対して不透明であり得、例えば、黒いポリカーボネートであり、ライトパイプとして働く基板の中に供給される光は、装飾層に対するコントラストを増大させるためにマスク層を通して伝達されるようになっていない。好ましくは、基板を直接結合し、第3の面または後面から見たときに末端使用者に美的に快い仕上げをもたらし、ライトパイプから取り出されたいずれかの光を防ぐためにマスクとして働くのは、マスキング層の目的である。このマスキング層は、不透明であり、光の透過を防ぐのに十分な厚さを有することが好適である。ポリカーボネートを基板と同じ材料として使用することにより、基板とマスキング層の間の良好な結合を確実にする。それは、特性がとても似ているので、熱のイベントに曝されるときに、その場で優れた性能をやはりもたらす。
【0068】
[0071]基板にマスキング層を施す前に、少なくとも1つのクラッド層が、好ましくは装飾層の外側のエリアにおいて、第1の層または基板に施されることが好適である。クラッド層は、マスキング層を介して光が透過されないことをさらに確実にするために、低屈折率の材料または反射材を含むことが好ましい。任意選択のクラッド層の目的は、マスキング層によって吸収されることによる光の損失を防ぐことである。これをするために、クラッド層は、入射光の大部分を反射する色の付いた樹脂のように反射性の白い特性を有する材料を含むことができ、または基板よりも低い屈折率を有する樹脂のような透明な材料を含むことができる。後者の場合には、それは、光ファイバ上のクラッドのように振る舞い、同じ光学的なルール/制約に従う。
【0069】
[0072]この層は、オーバーモールドプロセス中にマスキング層への頑健な結合を確実にするために、白い反射性のポリカーボネートを含むことが特に好適である。ポリカーボネートを用いることにより、熱イベントに対する良好な場の性能を確実にする。
【0070】
[0073]本実施形態では、基板、装飾層、および/または第2の層もしくはオーバーモールド層によって形成されたマスク層にカバーが施される前に、装飾層が、基板の隆起部分、好ましくは突出部に施されることがさらに好適である。
【0071】
[0074]基板がレーダユニットに面しているこの特定の実施形態では、外部の影響からこの面を保護するために、ハードコートがオーバーモールドの後面または第2の層に施されることが好適である。
【0072】
[0075]さらに、上述したように、レドームが、均一な厚さである電波経路を定める部分を有することが望ましい。したがって、いくつかの実施形態では、装飾レドームの前面および後面は、電波経路を定める少なくとも一部にわたって平行またはほぼ平行である。
【0073】
[0076]第1の層と第2の層の間の直接接着結合は、接着剤または溶剤を用いた層の結合を除外するとみなされるべきである。そのような直接接着結合の言及は、ポリマーおよび/または複数のポリマーがオーバーモールドされ、オーバーモールドプロセス中に結び付くときに形成される結合を含む。いくつかの実施形態では、第1の層と第2の層の間の界面の部分は、例えば、第2の層を形成する前に第1の基板に施された中間層、サブ層、および/またはハードコートを含み得る。そのような実施形態では、中間層、サブ層、および/またはハードコート層は、それ自体が本質的に接着剤および/または接着をもたらすものではなく、第1と第2の層の両方との境界であり得る。
【0074】
[0077]有利には、第1の層と第2の層の間の結合は、複数の部品が接着剤で一緒に保持される多部品のレドームと比較して、レドームの耐久性を改善する。理解されるように、第1の層と第2の層の間の水などの不純物の侵入は、レドームを横断する電波の減衰をもたらし、レドームの層間剥離というさらなる結果になり得る。したがって、いくつかの実施形態では、240時間にわたって60℃で水中に浸漬されるときに、レドームの第1の層と第2の層の間に水の侵入がない。
【0075】
[0078]レドームの所望の特性は、使用者によって決定されるが、いくつかの実施形態では、(本明細書に開示された方法により製造されるレドームを含む)レドームは、10MHzから3000GHzの電磁周波数を実質的に減衰させない。いくつかの実施形態では、レドームは、信号経路にわたって電波信号減衰2dB未満(一方向)、または信号経路にわたって1dB未満(一方向)を有する。この減衰は、任意の望ましい無線周波数で決定されてもよいが、いくつかの実施形態では、信号は、24GHzから79GHzの間であり、または24GHz、または77GHz、または79GHzである。
【0076】
[0079]いくつかの実施形態では、装飾層は、第1の層でin situのとき、電気伝導性に耐性がある。したがって、いくつかの実施形態では、装飾層は、10オーム/スクエア(Ω/□)よりも大きいシート抵抗を有する。
【0077】
[0080]本発明は、本発明のレドームを備える車両、または本発明の方法により製造されるレドームも提供する。車両は、無線信号を送信および/または受信するアンテナをさらに備えることができる。
【0078】
[0081]また、本発明の全体的な説明に戻る前に、分かりやすくするため、本明細書全体にわたって「第1の面」またはレドームの「前部」または層の言及は、in situのときに見られる側に最も近いレドームの表面/層を指すことを理解されたい。逆に、「第2の面」またはレドームの「後部」/層は、第1の面の反対側の面を指す。
【0079】
[0082]本発明の態様および利点をさらに理解するために、添付の詳細な説明と併せて以下の図面の参照がなされるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0080】
図1】[0083]本発明によるレドームを製作する方法の一例の流れ図である。
図2】[0084]本発明によるレドームの一例の断面図である。
図3】[0085]好ましくは装飾的な役割を果たす、中間層を含む本発明によるレドームの一例の断面図である。
図4】[0086]好ましくはライティングおよび/または照明機能を与える、代替の中間層を含む本発明によるレドームの一例の断面図である。
図5】[0087]好ましくはライティングおよび/または照明機能を与える、さらなる代替の中間層を含む本発明によるレドームの一例の断面図である。
図6】[0088]図5中の細部Aの断面図である。
図7】[0089]図5のレドームの上への図である。
図8】[0090]基板および第1の層がレドームを照明するためのライトパイプとして使用される本発明によるレドームのさらなる一例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0081】
[0091]典型的には、車両のレーダシステムは、マイクロ波を使用して物体の視線検出を行う。現在使用されている3つの周波数は、24GHz、77GHz、および79GHzである。主に、77GHzおよび79GHzが車両に使用されるが、これは、それらが、24GHzの周波数と比較してレンジおよび分解能の改善をもたらすからである。周波数が増加するにつれて、電波の減衰が増大し、したがって、自動車レーダシステムに使用されるマイクロ波は、設計によって、減衰を受けやすい。しかしながら、レドームは送受信された無線信号の最小の減衰で均一な表面を形成する必要があるので、それにより、レドームにとって問題をもたらす。本質的に、レドームは、マイクロ波の電磁放射に透明である必要があり、視覚的に不透明および魅力的であることが理想的であるが、最小の屈折ももたらす。
【0082】
[0092]本発明は、装飾層(24)を含む車両に使用できるが自動車の目的のために典型的に使用される電波周波数、特に77GHzおよび79GHzの周波数の最小の減衰を有する装飾レドームを製造する方法、および装飾レドーム自体を提供する。さらに、レドームが装飾的な自動車のバッジとして使用するための視覚的要求および耐久性要求を満たすことが望ましい。
【0083】
[0093]具体的には、装飾レドームを製造する方法は、図1に示され、(電波透過性の)基板を用意するステップ(1)を含む。電波透過性基板は、第1の面(22)および第2の面(23(図2参照))を有する。上記方法は、基板(21)の第2の面(23)の一部、好ましくは除去部分(25)を含む一部に装飾層(24)を施すこと(5)をさらに含み、装飾層(24)は、金属、または金属およびメタロイドを含む合金を含む。続いて、上記方法は、オーバーモールド層(26)を与えるように少なくとも装飾層(24)を電波透過性ポリマーでオーバーモールドすること(7)をさらに含む。
【0084】
[0094]用語「第2の面」は、本発明の文脈で使用されるとき、装飾層(24)を施すことができるとともにオーバーモールドされ得る面に関する。用語「第1の面」は、第2の面の反対に使用される。一形態では、電波透過性基板(21)は、形成時にほぼ透明であり、使用時にレドームの前部最表面を与える。この文脈では、用語「第1の面」は、見たときの基板(21)の前方最表面に関する。したがって、自動車のバッジの文脈では、第1の面(22)は、自動車の前方から見たときにバッジの電波透過性基板(21)の前面となる。
【0085】
[0095]1-基板の用意/準備
[0096]電波透過性基板(21)は、任意の望ましい方法によって用意することができる。いくつかの実施形態では、基板(21)は、所望の形状を形成するように射出成形される。いくつかの実施形態では、基板(21)は、すでに形成された状態で受け入れられ得る。好ましくは、基板(21)は、基板(21)の第2の面(23)上に3次元の視覚的特徴を定める除去部分(25)を備える。除去部分(25)は、基板(21)の第1の(22)面の方への凹部によって用意することができる。
【0086】
[0097]基板(21)およびオーバーモールド層(26)は、任意の適した材料で形成することができるが、好ましくはプラスチックである。当業界で理解されるように、典型的には、電波透過性基板は、電気伝導性に耐性がある(すなわち、絶縁または誘電性である)。基板(21)またはオーバーモールド層(26)に適したプラスチックおよび/またはポリマーは、アクリロニトリルエチレンスチレン(AES)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)、ポリカーボネート(PC)、ハイフローAES、アクリロニトリル(エチレン・プロピレン・ジエン)スチレン(AEPDS)、熱可塑性材料のブレンド、またはPC-ABSブレンドの熱可塑性材料を含む。いくつかの実施形態では、基板(21)は、ポリカーボネートで形成される。
【0087】
[0098]重要なことに、基板(21)、またはオーバーモールド層(26)のどちらか一方は、ほぼ透明である。これは、透明層を通して装飾層(24)を見ることを可能にする。好ましくは、他方の層は、可視光をほぼ通さない。不透明な層は、レドームの背後に配置された装備を隠し、装飾層(24)の視覚的側面を改良または改善することができる。例えば、装飾層(24)を通した光の伝達を最小にすることによって、装飾層(24)の色または反射率を改善する。使用時、例えば、本発明によるレドーム(例えば、本発明の方法によって製造されるレドーム)が自動車にあるバッジとして嵌められるとき、透明層は、最外(前方)層を形成する。好適な実施形態では、電波透過性基板(21)は透明であり、オーバーモールド層(26)は不透明である。
【0088】
[0099]2-中間層の施し
[0100]いくつかの実施形態では、方法は、電波透過性基板(21)の第2の面の少なくとも一部に中間層(29)および/または中間層の複数のサブ層を設けるステップを含む。いくつかの実施形態では、中間層(29)および/またはサブ層は、装飾層(24)を施す前に施され、(一方が施される実施形態では)第2の表面コーティング(28)の蒸着の前にまたはこれから続いて施され得る。
【0089】
[0101]中間層(29)および/またはサブ層は、本発明の方法によって製造される装飾レドームの外観に影響を与えるために使用されてもよく、または図4から図8の助けを借りて以下に説明されるようなさらなる機能を与えてもよい。中間層(29)は、一実施形態では、装飾レドームに視覚的な色を付与する色の付いた層であり得る。中間層(29)は、電波透過性基板(21)の不要な部分に装飾層(24)を施すのを防ぐのを助ける(オーバーモールドする前には取り外し可能であり得、または透き通っているとともに製造されると装飾レドーム内のままとなり得る)マスキング層とすることもできる。そのような実施形態では、中間層(29)および/またはサブ層は、レドームが完成したときに装飾層(24)で実質的に被されない、または被されない。そのようなマスキングは、装飾層(24)を施している最中のシャドウマスキングが難しいときに、または適切な細部がシャドウマスキングによって実現できないときに、利用され得る。いくつかの実施形態では、中間層(29)は、油、液体、またはインクマスク、例えば、Fomblin(商標)、Krytox(商標)、SpeedMask(商標)であり得る。
【0090】
[0102]好適な実施形態では、中間層(29)は、印刷によって施される。いくつかの実施形態では、中間層は、最低でも5秒、10秒、20秒、30秒、40秒、もしくは50秒、または1分、1.5分、または2分にわたって、150℃、175℃、200℃、220℃、250℃、275℃、または300℃以上の温度に耐えることができる。
【0091】
[0103]中間層(29)は、任意の適切な層とすることができ、好適な実施形態では、中間層(29)は、インク、染料、油、ワックス、潤滑油、または他の適した液体、あるいは色の付いた膜である。いくつかの実施形態では、中間層は、インクである。インクは、任意の適した方法によって蒸着させることができる。いくつかの実施形態では、中間層(29)は、印刷される。印刷方法は、染料拡散熱転写、ワックス熱転写、間接的染料拡散熱転写、スクリーン印刷、インクジェット印刷、またはグラビア印刷プロセス、例えば、パッド印刷を含み得る。いくつかの実施形態では、中間層(29)は、パッド印刷によって施される。
【0092】
[0104]電波透過性基板(21)を印刷するのに適した方法は、当業界で知られている。例えば、Procell,Inc.によって作製されるNorilit(商標)Uなどの耐熱インクは、電波透過性基板(21)などの三次元基板上へパッド印刷することができるとともに、2分を超える間に220℃まで温度を許容することができる。他の適したインクおよび印刷方法は、当業界で知られており、本明細書に開示した本発明に使用することができる。
【0093】
[0105]3-第2の表面コーティングの施し(任意選択)
[0106]いくつかの実施形態では、方法は、ハードコート(28)を備えた電波透過性基板(21)の第2の面(23)の少なくとも一部を用意するさらなるステップを含む。そのような実施形態では、電波透過性基板(21)の第2の面(23)の少なくとも一部にハードコートを施すことは、有利な機能を与えることができ、(限定するものではないが)装飾層(24)および/または中間層(29)の間で電波透過性基板(21)との接合を向上させるまたは影響を及ぼすステップと、装飾層(24)の残留応力および/または熱膨張を制御するステップと、装飾層(24)および/または中間層(29)の色、反射率、または他の視覚的外観を調節するステップと、および/または電波透過性基板(21)の一部とオーバーモールドされた第2の層(26)との間にインタフェースを設けるステップを含み、それによって(接着剤層なしで)2つの間の接着接合に影響を及ぼす。
【0094】
[0107]適したハードコート層(28)は、項目7「表面コーティングの塗布」において後述される。
[0108]4-シャドウマスキングの用意
[0109]典型的には、物理蒸着(PVD)などの装飾層(24)を施す方法は、装飾層(24)を形成する材料の蒸着が、電波透過性基板(21)に選択的に施されることを確実にするためにマスキングを必要とする。したがって、本発明の方法は、シャドウマスクを用意するステップ(4)を含むことができる。シャドウマスクは、電波透過性基板(21)上の装飾層(24)の選択的な施しを助ける。使用されるシャドウマスクのタイプは、装飾層(24)を施すために使用される技法に依存する。いくつかの実施形態では、シャドウマスクは、PVD、特にスパッタリングおよび蒸着に適合する。いくつかの実施形態では、シャドウマスクは、ステンレス鋼である。
【0095】
[0110]シャドウマスクは、装飾層(24)を施す前に各電波透過性基板(21)に取り付けることができ、またはPVD機械のターゲット側など、蒸着機械内に配置することができる。
【0096】
[0111]5-装飾層の施し
[0112]装飾層(24)は、電波透過性基板(21)上に視覚的特徴を与えるように基板(21)の第2の面(23)の一部にだけ施される。電波透過性基板(21)に除去部分(25)を有するいくつかの実施形態では、装飾層(24)は、除去部分(25)に施される。
【0097】
[0113]基板(21)の一部だけに装飾層(24)を施すことによって、これは、装飾層(24)を備えていない部分における第1の(電波透過性基板)層(21)と(第2の)オーバーモールド層(26)の間の直接接着結合を可能にする。基板(21)とオーバーモールド層(26)間に直接接着結合がない場合、層は、分離し得る。
【0098】
[0114]好ましくは、装飾層(24)は、反射層であり、所望の反射率を与えるまたは電波透過性であるが装飾的外観を与える任意の適切な金属、メタロイド、または金属/メタロイド合金を含む。いくつかの実施形態では、装飾層(24)を形成する金属は、遷移金属を含む。いくつかの実施形態では、装飾層(24)を形成する金属は、インジウムまたはスズである。
【0099】
[0115]いくつかの実施形態では、反射層は、追加の層によって当接される。一実施形態では、反射層は、蒸着されたシリコンの2つの層の間にある。これらの多層スタックは、その色および残留応力を含む層の調節を可能にする。いくつかの実施形態では、シリコンの層と、それに続くアルミニウム/シリコンの層と、次いでシリコンのさらなる層とを含む複数の層が、オーバーモールドする前に装飾層(24)を形成するように基板(21)に蒸着される。
【0100】
[0116]残留応力の重要性、残留応力を制御する際の界面層の使用、および残留応力パラメータの決定は、「PLASTIC AUTOMOTIVE MIRRORS」とそれぞれ題されたWO2011/075796、および米国特許第9,176,256(B2)号に記載されており、それらの各々は、全ての目的のために全体として参照により本明細書に組み込まれる。
【0101】
[0117]いくつかの好適な実施形態では、装飾層(24)は、メタロイドを含む。メタロイドは、シリコン、ホウ素、ゲルマニウム、ヒ素、アンチモン、および/またはテルルを含む。特に好適な実施形態では、メタロイドは、シリコン、またはゲルマニウムである。最も好適な実施形態では、メタロイドは、ゲルマニウムである。適したメタロイド/金属合金は、ゲルマニウムおよびアルミニウム、および任意選択でシリコン;またはゲルマニウムおよびシリコン;またはゲルマニウムおよび銀、ならびに任意選択でシリコン;またはゲルマニウムおよびインジウム、および任意選択でシリコン;あるいはアルミニウムおよびシリコンを含む。いくつかの実施形態では、ゲルマニウムの合金は、ゲルマニウムおよびアルミニウム、またはゲルマニウムおよびシリコン、またはゲルマニウムおよびアルミニウムおよびシリコンである。いくつかの実施形態では、合金は、シリコンおよびアルミニウムである。
【0102】
[0118]メタロイド/金属合金がゲルマニウムを含むとき、合金は、少なくとも25重量%のゲルマニウム、または少なくとも40重量%のゲルマニウム、または少なくとも45重量%のゲルマニウム、または少なくとも50重量%のゲルマニウム、または少なくとも55重量%のゲルマニウムである。
【0103】
[0119]装飾層(24)は、薄いコーティング層として与えられる。いくつかの実施形態では、装飾層(24)の平均厚さは、厚さ20から190nm、または厚さ40から170nm、または厚さ60から150nmである。そのような薄いコーティングは、当業界における複数の方法によって設けることができる。しかしながら、好ましくは装飾層(24)、好ましくは装飾層(24)を形成する薄いコーティングは、物理蒸着(PVD)によって蒸着される。適したPVD法は、マグネトロンスパッタリング、および蒸着を含み、これは、抵抗サーマル蒸着または電子ビーム蒸着であり得る。いくつかの実施形態では、装飾層(24)は、マグネトロンスパッタリングによって蒸着される。
【0104】
[0120]理想的には、(電波透過性基板が成形される実施形態における)電波透過性基板(21)の成形、任意の中間層(29)の施し、および装飾層(24)の施しは、同じ機械で行われる。代替として、各ステップは、連続的に動作するように配置された別個の機械によって行うことができる。
【0105】
[0121]6-基板および装飾層の加熱
[0122]オーバーモールド層(26)に第2のショットを与える前に、基板(21)および装飾層(24)を加熱することが有利であり得る。そのような加熱(6)は、オーバーモールドプロセス(7)中に発生するものよりも遅い割合における熱膨張の程度を許可し、したがって、オーバーモールド中に装飾層(24)、および基板(21)の温度の変化率を制限する。これは、オーバーモールドステップ(7)中のクレージングなどの視覚的な欠陥を減少させる。したがって、本発明の方法のいくつかの実施形態では、基板(21)および装飾層(24)は、オーバーモールドする前に加熱される。いくつかの実施形態では、オーバーモールドステップ(7)前に、基板(21)および装飾層(24)は、少なくとも70℃まで、または少なくとも80℃まで加熱される。
【0106】
[0123]7-オーバーモールド層
[0124]オーバーモールド層(26)は、セットされると、レドームの少なくとも一部にわたって電波透過性基板(21)の第1の面(22)に平行またはほぼ平行である第3の(後)面(27)を与える。平行またはほぼ平行な部分は、電波が横断できる電波経路を定める。重要なことに、第1および第3の面の平行またはほぼ平行な性質は、電波がレドームの電波経路の様々な部分を横断するときに電波の屈折の差を最小にする。
【0107】
[0125]異なる熱可塑性材料/サーモポリマーは、異なる流れ温度を有し、したがって射出成形のために異なるバレルノズルを必要とする。典型的には、より高い温度は、オーバーモールドされるときの装飾層(24)中の損傷および視覚的欠陥の可能性を増大させる。したがって、比較的低いノズル温度、または装飾層(24)のクレージング点よりも低いノズル温度を有する熱可塑性材料/サーモポリマーを使用することが好ましい。
【0108】
[0126]一般的な熱可塑性材料の範囲についての溶解温度およびモールド温度は、以下、表1に与えられる。
【0109】
【表1】
【0110】
[0127]熱可塑性材料についてのさらなる仕様は、国際標準化機構により与えられ、特に標準カタログ83.080.20に記載されている。
[0128]いくつかの実施形態では、オーバーモールド層(26)は、300℃以下のバレルノズル温度で形成される。いくつかの実施形態では、バレルノズルは、オーバーモールドプロセス(7)中に280℃以下である。いくつかの実施形態では、バレルノズルは、オーバーモールドプロセス(7)中に250℃以下である。いくつかの実施形態では、バレルノズルは、オーバーモールドプロセス(7)中に230℃以下である。これらのバレルノズル温度で射出成形できる適切なポリマーは、当業界で知られており、それらの溶解温度によって決定される。
【0111】
[0129]8-表面コーティングの施し
[0130]さらに、本発明の方法いくつかの実施形態は、電波透過性基板(21)の第1の面(22)にハードコート(28)を与えることを含む。レドームの本質的な機能は、レーダ装備に環境からの保護を与えることである。したがって、レドームは、劣化、摩耗、および損傷を受けやすい。この露出は、比較的高速、研磨剤、飛来物、ならびにクリーニングに使用される化学薬品に日常的に曝されるレドームが車両の正面に配置されるときにさらに高まる。この点において、「ハードコーティング」であると言われるコーティング(28)は、電波透過性基板(21)よりも硬いコーティングであり、それによりそれは、その電波透過性基板(21)の耐摩耗性を増大させる。
【0112】
[0131]そのような耐摩耗ハードコーティング(28)は、衝突およびひっかきによる損傷を減少させるものである。耐摩耗性は、ASTM F735「振動砂法を用いた透明プラスチックおよびコーティングの耐摩耗性のための標準試験(Standard Test Method for Abrasion Resistance of Transparent Plastics and Coatings Using the Oscillating Sand Method)」、ASTM D4060「有機コーティングの耐摩耗性のための標準試験法(Standard Test Method for Abrasion Resistance of Organic Coatings)」、テーバー磨耗試験機、またはよく知られているスチールウール試験になどの標準試験によって測定することができる。
【0113】
[0132]さらに、一部のプラスチックは、ある種の溶剤によって損傷を受ける可能性があり、例えば、ポリカーボネートは、アセトンによって損傷を受ける。それは、レドームなどの多くの外装自動車部品にとって必要なものであり、それらは、「耐薬品性」であり、これは、ディーゼル燃料、石油、バッテリー酸、ブレーキフルード、不凍液、アセトン、アルコール、自動変速機用油、油圧オイル、アンモニアベースのウィンドウクリーナなどの通常の溶剤への露出に耐える能力を指すものである。この点において、ハードコーティングは、レドームの少なくとも第1の面にそのような耐化学薬品性を与えるのが理想的であることを理解されよう。
【0114】
[0133]レドームおよび/または電波透過性基板の第1の面(22)および/または第2の面(23)上のハードコーティング(28)は、好ましくは1つまたは複数の耐摩耗層から形成され、基板(21)によく接合するとともに、続く耐摩耗層のための好ましい材料および/または面を形成するプライマー層を含むことができる。プライマー層は、任意の適した材料によって設けることができ、例えば、ベンゾトリアゾール基またはベンゾフェノン基を有するアクリルポリマー、アクリルモノマーおよびメタクリロキシシランのコポリマー、またはメタクリルモノマーおよびアクリルモノマーのコポリマーなどの有機樹脂とすることもできる。これらの有機樹脂は、単独でまたは2つ以上の組合せで使用することができる。
【0115】
[0134]ハードコート層(28)は、有機シリコン、アクリル、ウレタン、メラミン、またはアモルファスのSiOからなる群から選択される1つまたは複数の材料から形成されるのが好ましい。
【0116】
[0135]市販のハードコーティングは、Momentive社のPHC-587Bと、(UV硬化される)momentive社のUVHC 5000と、PR6600(SDC Technologies)のプライマーを含み、続いてMP101 (SDC Technologies)でコーティングされる2パート製品とを含む。
【0117】
[0136]最も好ましくは、ハードコート層(28)は、その優れた耐摩耗性、および物理気相成長された膜との適合性により有機シリコン層である。例えば、有機シリコンポリマーを含むハードコーティング層は、トリアルコキシシランまたはトリアシルオキシシラン、例えば、
メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシエトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトレーストキシシラン、ビニルトリメトキシエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、ガンマ・クロロプロピルトリメトキシシラン、ガンマ・クロロプロピルトリエトキシシラン、ガンマ・クロロプロピルトリプロポキシシラン、3,3,3-トリフルオロプロピルトリメトキシシラン ガンマ・グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ガンマ・グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、ガンマ・(ベータ・グリシドキシエトキシ)プロピルトリメトキシシラン、ベータ・(26,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ベータ・(26,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、ガンマ・メタクリロキシプロピルトリメチオキシシラン、ガンマ・アミノプロピルトリメトキシシラン、ガンマ・アミノプロピルトリエトキシシラン、ガンマ・メラプトプロピルトリメトキシシラン、ガンマ・メルカプト・プロピルトリエトキシシラン、N-ベータ(アミノエチル)・ガンマ・アミノプロピルトリメトキシシラン、ベータ・シアノエチルトリエトキシシランなど;ならびにジアルコキシシラン、またはジアシルオキシシラン、例えば、ジメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、ガンマ・グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、ガンマ・グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、ガンマ・グリシドキシプロピルフェニルジメトキシシラン、ガンマ・グリシドキシプロピルフェニルジエトキシシラン、ガンマ・クロロプロピルメチルジメトキシシラン、ガンマ・クロロプロピルメチルジエトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、ガンマ・メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、ガンマ・メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、ガンマ・メルカプト・プロピルメチルジメトキシシラン、ガンマ・メルカプト・プロピルメチルジエトキシシラン、ガンマ・アミノプロピルメチルジメトキシシラン、ガンマ・アミノプロピルメチルジエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシランなどの化合物から選択される化合物で形成することができる。
【0118】
[0137]ハードコート層(28)は、液体中のディップコーティングと、それに続く溶剤蒸発によって、または適したモノマーを介したプラズマ励起化学気相堆積(PECVD)、フローコーティング、またはスプレーコーティングによって基板(例えば、電波透過性基板(21))上へコーティングされてもよい。ハードコーティング(28)の耐摩耗性を改善するために、ハードコーティングの次のコーティングは、経時変化およびより早いコーティングの汚染を防ぐように好ましくは48時間以内に加えられてよい。これらの追加のコーティングは、基板(21)の第1の面(22)または第2の面(23)に加えられてよい。
【0119】
[0138]好ましくは、ハードコート層(28)の厚さは、十分な耐摩耗性を与えるのを助けるように選択される。適切な耐摩耗性は、必要な用途および使用者の要求によって決定される。いくつかの用途では、十分な耐摩耗性は、コーティングされていないプラスチック基板(21-例えば、ポリカーボネート)に関してベイヤー摩耗率が5であるとみなされてもよく、または代替として、500g負荷およびCS10Fホイールを用いて500サイクルで試験した後にデルタヘイズ(delta haze)15%未満でのテーバー摩耗試験による(%ヘイズは、ASTM D1003に従って測定されている)。これらの要求が満たされる場合、有機シリコンがハードコート層(28)として使用されるとき、好ましくは、ハードコーティング(28)の厚さは、平均で少なくとも厚さ6μmの最小であり、および/または厚さ28μmの最大厚さを有する。
【0120】
[0139]上述したものへのさらなるコーティングは、基板の表面特性を改良するために、上述したものに加えて、電波透過性基板の第1の面に施すことができる。例えば、キャップ層は、疎水性、親水性、撥油性、親油性、および疎油性、またはそれらの組合せを含む特性を有する材料によって与えることもできる。
【0121】
[0140]装飾レドーム
[0141]本発明は、電波透過性ポリマーを含み、前面(22)を有する第1の層(21)と、電波透過性ポリマーを含み、後面(27)を有する第2の層(26)と、金属、または金属およびメタロイドを含む合金を含む第1の(21)と第2の(26)層の間の装飾層(24)とを備える装飾レドームであって、第2の層(26)は装飾層(24)に直接当接し、第1の層(21)は第2の層(26)に直接接着結合され、第1の層(21)または第2の(26)層少なくとも1つは、摂氏300度未満のバレルノズル温度でオーバーモールドできるポリマー(サーモポリマー)で構成される装飾レドームをさらに提供する。
【0122】
[0142]さらに、本発明の装飾レドームは、レドームの第1の面(22)へ設けられるハードコート(28)を備える。
[0143]用語「直接接着結合」は、第2の層(26)とこれに接触している第1の層(21)の間に及ぶ分子引力から生じる物理化学現象の言及であり、接着剤によって単独で形成される係合を除外するように明示的に考えられることを理解されたい。
【0123】
[0144]本発明の装飾レドームは、10MHzから3000GHzの電磁周波数を実質的に減衰させない。具体的には、いくつかの実施形態では、レドームは、信号経路にわたって一方向で2dB(二方向で4dB)、または好ましくは信号経路にわたって一方向で1dB(二方向で2dB)未満のレーダ減衰を有する。さらに、金属、または金属およびメタロイドの合金を含む装飾層(24)は、10オーム/スクエア(Ω/□)よりも大きいシート抵抗を有する。
【0124】
[0145]有利には、第1の層(21)と第2の層(26)の間に形成される直接接着結合は、接着剤によって結合された層で形成されるレドームと比較して耐候性を改善する。したがって、いくつかの実施形態では、240時間にわたって60℃で水中に浸漬されるとき、第1の層(21)と第2の層(24)の間には水の侵入がない。
【0125】
[0146]装飾レドームは、上で開示した方法により製造することができる。代替として、装飾レドームは、権利主張した必要な特徴および機能の全てを与える任意の適した方法によって製造されてもよい。重要なことは、本発明の装飾レドームは、上記方法に関連して上で開示した構造的特徴および機能的特徴を任意選択で含むように検討されるべきである。
【0126】
[0147]本発明のまたは本発明の方法で製造された装飾レドームは、任意の適切な内容に使用され得る。一実施形態では、レドームは、自動車のバッジである。いくつかの形態では、自動車のバッジは、追加の特徴、機能、および美観を含むことができる。いくつかの実施形態では、「A LIGHT ASSEMBLY AND A VEHICLE DESIGN ELEMENT INCLUDING SUCH A LIGHT ASSEMBLY」とそれぞれ題名の付いたWO2017/009260および米国特許出願公開第2018/0202626(A1)号に記載されたもののように、レドームは、光アセンブリと組み合わせて使用することができ、または追加の特徴を含むことができ、上記の各々は、全ての目的のために全体として参照により本明細書に組み込まれる。
【0127】
[0148]図4には、好ましくはライティングおよび/または照明機能を与える代替の中間層を備えた本発明によるレドーム(120)の一例の断面が示されている。レドーム(120)は、図1の助けを借りて前述したような方法によって好ましくは形成され得る。レドーム(120)は、基板(121)を備える。図2および図3に示されたレドームと同様に、基板(121)は、基板(121)の第2の面(123)上に3次元の追加の特徴を定める除去部分(125)を備える。除去部分(125)内には、前述の装飾層(24)に類似した装飾層(124)が施されている。
【0128】
[0149]装飾層(24)に加えて、およびレドーム(120)内の図2および図3に示されたレドームとは対照的に、中間層(129)が設置される。中間層(129)は、光ファイバストリングの形態で光ファイバ装置を備えるファーム部によって形成される。中間層(129)は、好ましくはLED装置を備えるライトエンジン(133)へ、接続要素を介して、光導波路(131)の形態で接続される。光導波路(133)は、オーバーモールド層(126)を通って到達している。
【0129】
[0150]光導波路(131)、およびライトエンジン(133)は、レーダユニット(137)の視界(135)の外側に位置する。したがって、レーダユニット(137)によって発せられる放射、またはレーダユニット(137)へ送信される放射は、光導波路(131)またはライトエンジン(133)によって負の影響を受けない。
【0130】
[0151]基板(121)の前面(122)の第1のものには、保護ハードコート(130)が施される。
[0152]図5には、レドーム(220)のわずかに異なる構成が示されている。レドーム(120)の要素に対応するレドーム(220)の要素は、同じ参照符号を有するが、100だけ増加している。レドーム(120)とレドーム(220)の間の主な差は、ライトエンジン(233)および光導波路(231)の位置および向きである。図5に見られ得るように、ライトエンジン(233)は、レドーム(220)の側面に位置することもできる。このように、光導波路(231)およびライトエンジン(233)からレーダユニット(237)の距離、好ましくはレーダユニット(237)の視野(235)は、さらに増加させられ得る。
【0131】
[0153]図6には、図5の細部Aの断面が示される。図6から分かるように、基板(121)の除去部分(125)内に、装飾層(124)が位置する。オーバーモールド層(126)に面する装飾層(124)の側に、中間層(129)が位置する。中間層(129)は、ファイバストリングの形態で光ファイバ装置を含み、したがって光ファイバパネルを形成するサブ層(138)を含む、光ファイバパネル(138)の両側には、接着剤層(139)の形態のサブ層が位置する。光導波路(131)は、光ファイバパネルの全部に延びる光ファイバストリングによって形成され、および/または光ファイバパネル(138)に接続される。光ファイバパネル(139)は、オーバーモールド層(126)に向いている側でさらなる反射層によってカバーされてもよく、それにより光が矢印の方向(141)にのみ発せられ、図6に示された表面(122)の方向に基板(121)の中に入る。したがって、ライトエンジン(133)によって生成される光は、光導波路(133)を通って光ファイバパネル(129)へ運ばれ、そこから装飾層(124)を通って発せられ、このようにして装飾層(124)のエリアを照明する。
【0132】
[0154]図7では、図5のレドーム(220)上への図が示される。図7から得られ得るように、装飾層(224)は、文字「I」の形態で視覚的特徴を形成する。装飾層(224)の反射率により、文字Iは、レーダユニット(237)の反対側のレドームの側からよく見ることができるように反射する。ライトエンジン(233)が作動されるとき、さらに、装飾層(224)およびしたがって視覚的特徴が照明される。除去部分(225)のエリアの外側で、マスキングの形態の中間層は、光導波路(231)およびライトエンジン(233)が外側から見ることができないように設けられることが好適である。
【0133】
[0155]好適な実施形態では、光導波路および光パネルは、視覚的特徴を、選択的に、またはライトエンジン(233)によって光導波路(231)に送り込まれる色に応じて異なる色で照明することを可能にする。
【0134】
[0156]図8は、レドーム(320)のさらなる一例の断面図である。レドーム(120)の要素に対応するレドーム(320)の要素は、同じ参照番号を有するが、200だけ増加する。図2から図7に示されたレドームと比較して、レドーム(320)は、図1に示された方法とは異なる発明の方法によって製造される。
【0135】
[0157]基板(321)は、第1のステップで製造される。図8から見ることができるように、基板(321)は、除去部分を含まないが、突出部(343)を含む。装飾層(324)が突出部(343)へ施される前に、マスキング層(345)は、突出部(343)のエリアの外側で基板に施される。
【0136】
[0158]図8では、マスキング層(345)を施すさらに前に、任意選択のクラッド層(347)は、基板(321)に施されている。マスキング層(345)を施した後に、装飾層(324)は、突出部(343)に施される。
【0137】
[0159]次のステップでは、オーバーモールドされたまたは第2の層(326)は、基板(321)、マスキング層(345)、および装飾層(324)に施される。最後に、任意選択のハードコート(330)が、オーバーモールド層(326)に施される。
【0138】
[0160]図4から図7に示されたレドーム(120、220)およびレドーム(320)の比較から分かり得るように、レーダユニット(337)は、基板(321)が位置するレドーム(320)の側に位置する。これは、装飾層(324)を証明するためのライトパイプとして基板(321)を使用することを可能にする。
【0139】
[0161]ライトパイプの目的は、ライトエンジン(333)からの光を、特許請求の範囲の意味で後面または第3の面を表す面(349)から見られることになる装飾層(324)を通って外へ伝達することである(図8には、特に異なる色の光を生成する2つのライトエンジンが示されているが、たった1つのライトエンジン(333)が使用され得る)。基板(321)によって形成されたライトパイプは、それに隣接して位置するライトエンジン(333)で生成した光の入り口点を有する。
【0140】
[0162]ライトエンジン(333)は、基板(321)に任意選択で接続される。基板(321)の中に結合される光は、マスキング層(345)により装飾層(324)のエリアの外側のオーバーモールド層(326)へ発することができない。したがって、オーバーモールド層(326)の側から見たとき、装飾層(324)だけが照明される。マスキング層(347)および/またはクラッド層(345)は、これらの面を通して光を発するのを防ぐためにレドームのダイ表面もカバーすることが好ましい。このために、マスキング層(347)および/またはクラッド層(345)は、レーダユニット(337)およびライトエンジン(333)を越えて延びることもでき、またはそれらを封じ込めることができる。
【0141】
[0163]様々な実施例を参照して本発明の様々な好適な実施形態のより詳細な説明を与える前に、本明細書全体にわたって使用される専門用語の一部、装飾レドームを製造するプロセスのステップ、ならびに本発明によるレドームの環境試験およびコンプライアンスのための方法およびパラメータに関するいくらかの説明を与えることが役立つであろう。
【0142】
[0164]用語「反射」は、典型的にはナノメートルの波長および400から800THzの周波数範囲における可視光の反射を指す。反射率の割合は、当技術分野で知られている技法を用いて、または以下に説明するように、測定することができる。
【0143】
[0165]本明細書全体にわたって電波の参照は、典型的には、10MHzから3000GHzの周波数を指す。好適な実施形態では、および自動車車両に関して、周波数は、典型的には1000MHzから100GHzである。いくつかの特定の実施形態では、車両用のレドームに関して、周波数は、24GHzから79GHz、または77GHzから79GHz、24GHz、77GHz、または79GHzである。
【0144】
[0166]用語「透明」および「不透明」は、修飾語句(例えば、「電波」または「レーダ」)なしで使用されるとき、視覚的に透明または不透明を指し、したがって、上述したように可視光の透過または吸収を参照する。
レドームの技術的特徴
[0167]レーダ信号の屈折を最小にするために、レーダ信号がレドームを通過するときに、前面および後面は、平行またはほぼ平行であるべきである。さらに、レドームの内部は、空隙、気泡、または水の侵入のような材料密度の大きな変化があってはならず、装飾層は、均一な厚さとすべきである。
【0145】
[0168]装飾層の表面抵抗率は、JIS K7194に従って4点プローブを使用して4点の方法を用いて決定することができる。表面抵抗率は、低い電気伝導性を示す(すなわち、反射層は、in situで電気的に絶縁している)10Ω/□(オーム/スクエア)を上回るべきである。
【0146】
[0169]電波の減衰および反射率は、使用者の要求、用途、使用される周波数、使用されている装備によって決定される。しかしながら、好ましくはセンサ動作周波数、典型的には24GHz、77GHz、または79GHzにおける最小10dBの反射、最大1dBの一方向(2dB、二方向)の伝送損失がある。
環境性能および試験
[0170]製品は、耐UV性、耐摩耗性、レドームを形成する層のクレージングまたは層間剥離を含み得る温度サイクルへの耐性、および横断する無線信号のかなり大きな拡散、減衰、および屈折をもたらす流体の侵入に対する強さなどの自動車外装性能要求を満たさなければならない。
【0147】
[0171]許容可能な基準は、レドームの用途および製造要求に応じて設定される。例えば、自動車の目的のための最低基準および試験プロトコルは、車両製造者により決定される。
【0148】
[0172]以下のものは、自動車製造者によって必要とされる試験プロトコルの非限定の例を与える。
[0173]環境試験
[0174]温度試験 - 90℃で1時間 - 評価: 部品は、RTでの試験後2時間、顕著な変形をなんら示してはいけない。部品および接触面に目に見える表面の変化があってはならない(例えば、変色または亀裂がない)。
【0149】
[0175]長期的な経時変化 - 80℃で試験サイクル42日 - 評価: 温度試験については上述の通り。
[0176]温度サイクル試験 - 10サイクル:-30℃で2時間 - 評価: 温度試験については上述の通り。
【0150】
[0177]冷却試験 - 40℃で2時間 - 評価: 温度試験については上述の通り。
[0178]バケット試験 - グリーンE1容器が(界面活性剤を含有する)水で満たされ、水位15cm、水温20℃±5℃ - 界面活性剤を含有する水中にレドームを約10分間浸漬する。レドームを取り出して乾燥させる。 - 評価: 減衰値が超過してはならない。±0.3dBは、第1の測定値からの逸脱である。
【0151】
[0179]加熱サイクル試験 - 空気を以下の温度で循環させる:+5℃で1時間、-5℃まで1時間冷却、-5℃で1時間、+5℃まで1時間加熱:気流30km/h - 試験期間:700時間 - 評価:表面/光学部品の変化なし、個々の層の電線のストリッピングまたは隆起なし。レーダ減衰値および電気抵抗は、仕様の範囲内である。
【0152】
[0180]機械試験
[0181]落錘試験 - 1)室温および-25℃で、質量250gの円柱状ピンが、レドーム上のリブ、トリム、または同様の突出する特徴上に、室温では高さ≧0.8mから、および-25℃では≧0.6mから落下される。ボルトの直径は、衝突面15mmである。 - 評価: ボルトが作用した表面上に破損は認められなかった。
【0153】
[0182]エンジンフードの耐久走行 - 実施: エンジンフードウィング点の500mm背後で測定された0.6~0.7m/sの下降速度で5000回ボンネットを操作した。- 評価: レドームの構造強度が、保証されなければならず、それは、いずれの部品も喪失または破損してはならない。部品および締付具の接触面は、周囲の部品に何らの損傷(腐食の危険)も引き起こしてはならない。
【0154】
[0183]取外し/再取付け - 車両からのレドームの取外し/再取付けが室温で3回行わなければならない。 - 評価: 個々の部品の適合、および車両上のレドームの取付けは、変形、ヒケ、およびクリップマーク(clip mark)なしで均一な空隙形成が室温で補償されなければならない。事故および怪我のリスクが評価されなければならない。組立中に部品の取り扱いが簡単であることが保証されなければならない。クリップ(スナップフック)は、部品の取り外し中に抜けることはできない。搭載された部品のクリッピングの保持力は、運転中および洗車中の荷重に耐えなければならない。部品の接触面は、周囲の部品に損傷または変色を引き起こしてはならない。
【0155】
[0184]高圧洗浄試験 - 試験は、2つの異なる洗浄システムで実行されなければならない。距離: 約50~100mm。試験期間: 30秒 - 評価: 構成部品および表面に損傷があってはならない。減衰値の変化はあってはならない。
視覚的特徴
[0185]視覚的特徴および許容できるパラメータは、レドームの用途および使用者の要求に依存する。
【0156】
[0186]レドームが自動車用途のために開発されるとき、以下の考慮事項が適用されるべきである。反射面と非反射面の間の境界は、視覚的に滑らかですっきりしていなければならない。反射率は、レドームのすぐ近くで金属仕上げ、特に関連したメタリック仕上げのものに合っているべきである。
【0157】
[0187]反射率は、最小で35%、またはより好ましくは45%超とすべきである。色空間は、使用者によって決定され、好ましくは、-1<a<1、-1<b<1のL a bの色空間上に色座標を有する(第1の面&第2の面の眺め)。反射率は、第1の面の眺め(すなわち、試験装置または「観察者」の近位にある適用表面に関する眺め)に基づいて評価することができる。代替として、反射率は、第2の面の眺め(すなわち、試験装置または「観察者」の遠位にある装飾層の適用表面に関する材料を通した眺め)に基づいて評価することができる、用語「第1の面の眺め」および「第2の面の眺め」は、本発明によるレドームを製造する方法、またはレドームそれ自体に関して本明細書中で使用および定義されるので、「第1の面」または「第2の面」へのコーティングの用途を参照してと混同すべきてはない。
【0158】
[0188]反射率は、CIELAB色スケール、照明A、2度における観察者を用いるなど当業界で知られている技法を用いて測定することができる。
[0189]本発明によるレドームを製造する方法は、以下の実施例により説明される。
【実施例1】
【0159】
ゲルマニウム/アルミニウム反射層
基板の用意
[0190]射出成形によって形成されたポリカーボネート基板は、市販の超音波洗浄システムを用いて洗剤がある中で洗浄された。洗浄された基板は、清浄(土埃のない)環境中において蒸留水ですすがれ、実質的に汚染のない基板を与えた。
【0160】
[0191]基板は、視覚的特徴を与えるよう、第2の面上に除去部分を与えるように成形され、続いてこれは、以下に説明されるようにコーティングされ得る。
第1の面ハードコーティング
[0192]清浄な基板は、溶液中のMomentiveのPHC-587Bを用いて第1の面上にスプレーコーティングされた。第1の表面コーティング付き基板は、表面がほぼ不粘着となるまで、溶剤の蒸発を可能にするように10分間残された。続いて、第1の表面コーティング付き基板は、硬化炉内で、130℃で45分間硬化されて、ハードコートされた基板を実現した。
【0161】
[0193]基板の経時変化および/または汚染を防ぐために、コーティングされた物品は、48時間以内で以下に詳述されるようにさらに処理された。
第2の表面反射層
[0194]反射層は、以下のプロセスを用いて基板の第2の面に施された。
【0162】
[0195]ハードコートされた基板は、イオン空気が拭き下ろされ、選択的なシャドウマスクが、続くコーティングの蒸着のエリアを制限するように施され、次いで、マスクされた基板は、バッチタイプの真空チャンバのコーティング試料チャンバの中に搭載された。
【0163】
[0196]試料チャンバは1.5x10-5mbarまで排気され、基板の第2の面が以下に詳述されるように反射コーティングでコーティングされた。
[0197]以下のものが、蒸着条件であった。
【0164】
・ 反射層 - ターゲット: アルミニウム/ゲルマニウム(50重量%)
・ アルゴン: 400sccm
・ 圧力: 2.2e-3mbar
・ 電力: 30kW
・ ターゲットから基板の距離=110mm
・ 蒸着時間: 2分
・ 層厚さ: 70nm
基板のオーバーモールド
[0198]反射層を設けた基板の第2の面は、以下に詳述したプロトコルを用いてオーバーモールド層を実現するために、第2の電波透過性ポリマーでオーバーモールドされた。
【0165】
[0199]コーティングされた基板は、基板と設けられた層の両方の温度を増加させるために、最小5分間75℃で維持される保持用オーブンの中に搭載された。
[0200]次いで、加熱された基板は、第2のショット射出金型の中に搭載された。オーバーモールド層は、225℃のバレル温度で不透明なアクリロニトリルエチレンスチレン(AES)の第2のショットの射出によって基板の第2の面上へ設けられた。このオーバーモールド層は、基板上の反射層、および基板のコーティングされていない第2の面を覆い、それによってコーティングを封じ込め、装飾レドームを与えた。
レドームの評価
[0201]レドームの環境および視覚的性能は、以下の技法を用いて評価された。
【0166】
・ 湿度経時変化:
1000時間にわたって40℃および相対湿度95%でレドームを環境チャンバの中に置く。
【0167】
・ 熱衝撃:
レドームを、<30sの変更期間で、1時間/サイクルの割合で、-40℃から+85℃の200サイクルにかけた。
【0168】
・ 熱サイクル:
レドームを、4時間にわたって75°±2℃で10サイクルに、38°±2℃、16時間にわたって相対湿度95%±5%に、4時間にわたって-30°±2℃にかけた。
【0169】
・ 低温 経時変化:
240時間の期間にわたってレドームを-40℃の冷凍庫の中に置く。
・ 高温 経時変化:
レドームを、1000時間にわたって、経年変化条件:80±2°で、オーブンの中に置く。
【0170】
[0202]この結果は、以下表2に与えられる。
【0171】
【表2】
【実施例2】
【0172】
アルミニウム/シリコン反射層
基板用意およびハードコーティング
[0203]実施例1で上述したように、射出成形されるポリカーボネート基板が準備され、第1の面のハードコートを備え、ただし、基板は、マスクを用いて第1の面および第2の面の一部の上に選択的にディップコーティングされ、それによって反射層の蒸着のために指定された第2の面の一部がハードコートを備えた。
第2の表面反射層
[0204]ハードコートされた基板が、実施例1に説明されたように、反射層でコーティングするために用意された。反射層は、以下の条件を用いて蒸着された。
【0173】
・ 反射層 - ターゲット:アルミニウム/シリコン(60:40重量%)
・ アルゴン@20sccm
・ 圧力=4 e-3mbar
・ 出力@700W
・ ターゲットから基板の距離=110mm
・ 蒸着時間=13分
・ 厚さ=50nm
基板のオーバーモールド
[0205]反射層を設けた基板の第2の面は、以下に詳述したプロトコルを用いてオーバーモールド層を実現するために、第2の電波透過性ポリマーでオーバーモールドされた。
【0174】
[0206]コーティングされた基板は、基板と設けられた層の両方の温度を増加させるために、最小5分間80℃で維持される保持用オーブンの中に搭載された。
[0207]次いで、加熱された基板は、第2のショット射出金型の中に搭載された。オーバーモールド層は、245℃のバレル温度で不透明なアクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(ABS)基板の第2のショットの射出によって第2の面上へ設けられた。このオーバーモールド層は、基板上の反射層、および基板のコーティングされていない第2の面を覆い、それによってコーティングを封じ込め、装飾レドームを与えた。
レドームの評価
[0208]レドームの環境および視覚的性能は、上述の技法を用いて評価された。以下は結果である。
【0175】
【表3】
【実施例3】
【0176】
複数の層を備える装飾層
基板用意およびハードコーティング
[0209]射出成形されるポリカーボネート基板は、実施例1について上述されたように準備された。ハードコートは、PR6600(SDC Technologies)を用いたスプレーコーティングにより、第1のプライミングによって第1の面で与えられた。蒸着の10分後、プライミングされた第1の面は、ハードコートを形成するために、続いてMP101(SDC Technologies)を用いてスプレーコーティングされた。
【0177】
[0210]次いで、ハードコートされた基板は、130℃で60分間、硬化炉へ移された。
[0211]続いて、コーティングが、部品表面の経年変化/汚染を防ぐように48時間以内で行われる。
【0178】
[0212]基板は、脱イオン空気が吹き下ろされ、次いで、単一のコーティングチャンバからなるバッチタイプの真空チャンバの中に搭載され、サンプルが配置され、排気され、PCの上へ直接第2の面上にコーティングされた。第2の面上のエリアは、コーティングが施されないのを確実にするために選択的にマスクされる。
第2の表面反射層
[0213]ハードコートされた基板が、実施例1に記載されたように反射層でコーティングするために用意された。反射層を含む装飾層は、以下の条件を用いて蒸着された。
【0179】
[0214]第1のPVD層
・ デュアル回転式ターゲット: シリコン(99.9重量%)
・ アルゴン@160sccm
・ 酸素@302sccm
・ 圧力=2e-3mbar
・ 出力@35kW@27kHz
・ ターゲットから基板の距離=110mm
・ 蒸着時間=4分
・ 厚さ=250nm
[0215]第2のPVD層
・ 第2のPVD層-反射-ターゲット: アルミニウム/ゲルマニウム(50重量%)
・ アルゴン@400sccm
・ 圧力=2.2e-3mbar
・ 出力@30kW
・ ターゲットから基板の距離=110mm
・ 蒸着時間=10分
・ 厚さ=70nm
[0216]第3のPVD層
・ デュアル回転式ターゲット: シリコン(99.9重量%)
・ アルゴン@96sccm
・ 酸素@202sccm
・ 圧力=2e-3mbar
・ 出力@21kW
・ ターゲットから基板の距離=110mm
・ 蒸着時間=1分
・ 厚さ=20nm
基板のオーバーモールド
[0217]反射層を設けた基板の第2の面は、実施例1に詳述したプロトコルおよび炉温度75℃を用いて、オーバーモールド層を与えるために、第2の電波透過性ポリマーでオーバーモールドされるための準備がされた。
【0180】
[0218]次いで、加熱された基板は、第2のショット射出金型の中に搭載された。オーバーモールド層は、220℃のバレル温度で不透明なアクリロニトリル(エチレン・プロピレン・ジエン)スチレン(AEPDS)の第2のショットの射出によって基板の第2の面上へ与えられた。このオーバーモールド層は、基板上の反射層、および基板のコーティングされていない第2の面を覆い、それによってコーティングを封じ込め、装飾レドームを与えた。
レドームの評価
[0219]レドームの環境および視覚的性能は、上述の技法を用いて評価された。以下が結果である。
【0181】
【表4】
【実施例4】
【0182】
インジウムの反射コーティング(第2の面のハードコーティングなし)
基板用意およびハードコーティング
[0220]射出成形されるポリカーボネート基板は、実施例1で上述したように準備され、第1の面のハードコートを備えた。
第2の表面反射層
[0221]ハードコートされた基板が、上述したように反射層でコーティングするために用意された。反射層は、以下の条件を用いて蒸着された。
【0183】
・ 反射層 - ターゲット: インジウム(99.9重量%)
・ アルゴン@20sccm
・ 圧力=3.6e-3mbar
・ 出力@400W
・ ターゲットから基板の距離=110mm
・ 蒸着時間=3.5分
・ 厚さ=54nm
基板のオーバーモールド
[0222]反射層が設けられた基板は、上記実施例1に詳述したプロトコルを用いて、オーバーモールド層を与えるために、第2の電波透過性ポリマーでオーバーモールドされるための準備がされた。
【0184】
[0223]次いで、加熱された基板は、第2のショット射出金型の中に搭載された。
オーバーモールド層は、225℃のバレル温度で不透明なアクリロニトリルエチレンスチレン(AES)の第2のショットの射出によって基板の第2の面上へ与えられた。このオーバーモールド層は、基板上の反射層、および基板のコーティングされていない第2の面を覆い、それによってコーティングを封じ込め、装飾レドームを与えた。
レドームの評価
[0224]レドームの環境および視覚的性能は、上述の技法を用いて評価された。以下が結果である。
【0185】
【表5】
【実施例5】
【0186】
第2の面の全体にわたっての反射コーティング
基板用意およびハードコーティング
[0225]ポリカーボネート基板が、実施例1で上述したように準備され、洗浄され、ハードコートが施された。
第2の表面反射層
[0226]反射層は、実施例1で上述したように第2の面に与えられたが、ただし、第2の面はマスクされず、反射層は基板の第2の面の全体に施された。
基板のオーバーモールド
[0227]基板の第2の面を覆う反射層は、実施例1に記載されたやり方でオーバーモールドされた。
レドームの評価
[0228]オーバーモールド層は反射コーティングされた基板に接着することができなかったので、レドームは、環境性能および視覚的性能について評価されなかった。
【0187】
[0229]この失敗は、基板とオーバーモールド層との間の接着結合の必要性を示す。したがって、本発明のレドームは、第2の層に基板を結合するための接着剤を用意する必要がない。
【実施例6】
【0188】
第2の表面コーティング上のアルミニウム/ゲルマニウム反射層
基板用意およびハードコーティング
[0230]ポリカーボネート基板が、実施例2で上述したように準備され、洗浄され、ハードコートが施された。したがって、基板の第1の面はハードコートを備え、基板の第2の面のマスクされていない部分はハードコートを備えた。これらのマスクされていない部分は、反射層の蒸着のために設計されたエリアを含む。
第2の表面反射層
[0231]反射層は、実施例1で上述したように第2の面に用意された。
基板のオーバーモールド
[0232]反射層を設けた基板の第2の面は、上記実施例2に詳述したプロトコルを用いて、オーバーモールド層を用意するために、第2の電波透過性ポリマーでオーバーモールドされた。
レドームの評価
[0233]レドームの環境および視覚的性能は、上述の技法を用いて評価された。以下が結果である。
【0189】
【表6】
【実施例7】
【0190】
第2の表面コーティング上のインジウム反射層
[0234]ポリカーボネート基板が、実施例2で上述したように準備され、洗浄され、ハードコートが施された。したがって、基板の第1の面はハードコートを備え、基板の第2の面のマスクされていない部分はハードコートを備えた。これらのマスクされていない部分は、反射層の蒸着のために設計されたエリアを含む。
第2の表面反射層
[0235]ハードコートされた基板は、インジウム反射層でコーティングするために、実施例4に上述したように準備された。
基板のオーバーモールド
[0236]反射層を設けた基板の第2の面は、上記実施例2に詳述されたプロトコルを用いてオーバーモールド層を与えるために、第2の電波透過性ポリマーでオーバーモールドされた。
レドームの評価
[0237]レドームの環境および視覚的性能は、上述の技法を用いて評価された。以下が結果である。
【0191】
【表7】
【0192】
[0238]特に、実施例4と比較した本実施例の結果は、第2の面の反射コーティングが施されたインジウムコーティングの真下の基板の一部に設けられた場合に、インジウムが反射層として使用され得ることを示す。
【実施例8】
【0193】
第2の表面コーティング上のスズ反射層
[0239]ポリカーボネート基板が、実施例2で上述したように準備され、洗浄され、ハードコートが施された。したがって、基板の第1の面はハードコートを備え、基板の第2の面のマスクされていない部分はハードコートを備えた。これらのマスクされていない部分は、反射層の蒸着のために設計されたエリアを含む。
第2の表面反射層
[0240]ハードコートされた基板は、実施例1に上述されたような反射層を伴うコーティングのために用意された。スズの反射層は、以下の条件を用いて蒸着された。
【0194】
・ 反射層 - ターゲット: スズ(99.9重量%)
・ アルゴン@20sccm
・ 圧力=3.5e-3mbar
・ 出力@400W
・ ターゲットから基板の距離=110mm
・ 蒸着時間=3.5分
・ 厚さ=65nm
基板のオーバーモールド
[0241]反射層を設けた基板の第2の面は、上記実施例2で詳述したプロトコルを用いて、オーバーモールド層を与えるために、第2の電波透過性ポリマーでオーバーモールドされた。
レドームの評価
[0242]レドームの環境および視覚的性能は、上述の技法を用いて評価された。以下が結果である。
【0195】
【表8】
【0196】
[0243]実施例6から8は、基板上に第2の面のハードコートが存在することにより、ゲルマニウムを含むメタロイド合金に加えて、インジウムおよびスズなどのポスト遷移金属で形成された反射層を含む多層オーバーモールド・レドームが形成できることを示す。これは、第2のショットがオーバーモールドされたときに亀裂が入った(界面ハードコートなしで)インジウムが基板の第2の面に直接施される実施例4と比較される。
【0197】
[0244]理論によって結合されることを望まない場合、第2の面のハードコートは、基板へのスズおよびインジウム層の結合をおそらく改善し、第2のショットのオーバーモールドによって引き起こされる熱膨張中に蒸着された反射層の残留応力を制御するのを助ける。したがって、基板および反射層がオーバーモールド中に加熱されるときに、これは、反射層のクレージングを防止する。
【0198】
[0245]本明細書に記載された全ての方法は、本明細書中で特段示されない限り、または文脈によって明確に否定されない限り、任意の適切な順序で実行することができる。本明細書に与えられる任意および全部の例、または例示的な言い回し(例えば、「など(such as)」)の使用は、例示的な実施形態をよりよく示すものにすぎないと意図されており、特許請求される発明の範囲に本質的に限定を課すものではない。しかしながら、そのような実施形態は、権利主張された限定の主題である場合があり、またはそれが請求項に含まれる場合には追加の特徴とみなされてもよい。本明細書中のいかなる記載も、特許請求の範囲に記載されていない要素を不可欠なものとして示すと解釈されるべきではない。
【0199】
[0246]本明細書で行われる説明は、共通の特性および特徴を共有し得るいくつかの実施形態に関連している。一実施形態の1つまたは複数の特徴は、他の実施形態の1つまたは複数の特徴と組み合わせ可能であり得ることを理解されたい。加えて、実施形態の単一の特徴または特徴の組合せは、さらなる実施形態を構成し得る。
【0200】
[0247]本明細書中で使用される見出しは、読者の参照を容易にするために含まれるものにすぎず、本開示または特許請求の範囲の全体にわたって見られる主題を限定するために使用されるべきではない。見出しは、特許請求の範囲または特許請求の範囲の限定を解釈するために使用されるべきではない。
【0201】
[0248]本明細書に記載されている本発明は、具体的に説明したもの以外に変形および修正する余地があることを当業者は理解するであろう。本発明は、そのような変形および修正の全てを含むことを理解されたい。本発明は、本明細書に個々にまたはまとめて言及されまたは示されるステップ、特徴、および/または機能の全ても含むとともに、任意の2つ以上のステップまたは特徴の任意のおよび全ての組合せも含む。
【0202】
[0249]本明細書全体を通じて、文脈上特段要求しない限り、「備える、含む(comprise)」という語、または「含む(comprises)」もしくは「含んでいる(comprising)」などの変形は、記載した要素または整数、あるいは要素または整数のグループを含むことを示唆するが、任意の他の要素または整数、あるいは要素または整数のグループを除外しないと理解されよう。
【0203】
[0250]また、本明細書で使用されるとき、文脈上特段すでに示していない限り、単数形「a」、「an」、および「the」は、複数の態様を含むことに留意されたい。
[0251]将来の特許出願が、本出願の優先権に基づいて、または本出願の優先権を主張して、将来の特許出願がオーストラリアまたは海外において提出される可能性がある。以下の仮の特許請求の範囲は、例として与えられているものにすぎず、そのような将来の出願において権利主張され得るものの範囲を限定することは意図されていないことを理解されたい。また、特徴は、後日、1つまたは複数の発明をさらなる定義または再定義をするように、仮の特許請求の範囲から追加されても省略されてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8