(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】電気モータ
(51)【国際特許分類】
H02K 7/102 20060101AFI20231226BHJP
F16D 55/28 20060101ALI20231226BHJP
F16D 65/16 20060101ALI20231226BHJP
F16D 121/22 20120101ALN20231226BHJP
【FI】
H02K7/102
F16D55/28 B
F16D65/16
F16D121:22
(21)【出願番号】P 2021557400
(86)(22)【出願日】2020-04-17
(86)【国際出願番号】 US2020028629
(87)【国際公開番号】W WO2020214884
(87)【国際公開日】2020-10-22
【審査請求日】2021-09-24
(32)【優先日】2019-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-04-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】513307933
【氏名又は名称】パーカー-ハネフィン コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】PARKER-HANNIFIN CORPORATION
【住所又は居所原語表記】6035 Parkland Blvd. Cleveland, OH 44124 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【氏名又は名称】山川 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】ウアード,スティーヴン・アール
(72)【発明者】
【氏名】アンダーソン,トラヴィス・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ヘンケ,ケヴィン・ビイ
(72)【発明者】
【氏名】ドブマイヤー,ジョセフ・エル
(72)【発明者】
【氏名】ブロムバーグ,ジョン・ピイ
(72)【発明者】
【氏名】バイヤーズ,ジャスティン・オー
【審査官】服部 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-328898(JP,A)
【文献】実開昭58-031444(JP,U)
【文献】特開2015-083440(JP,A)
【文献】特開2017-163628(JP,A)
【文献】特開昭51-108201(JP,A)
【文献】実開平03-078144(JP,U)
【文献】特開2019-018274(JP,A)
【文献】実開平06-062231(JP,U)
【文献】国際公開第2017/203570(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 7/102
F16D 55/28
F16D 65/16
F16D 121/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気モータであって、
ハウジングと、
前記ハウジングに固定されたステータと、
ハブ部、円筒部、および
前記ハブ部と前記円筒部とを連結するディスク部を有するロータであって、前記ハブ部は、円筒状を呈し、かつ第1の端部、第2の端部、およびハブ部を貫通し挿入されるシャフトを支持するように構成された貫通孔を有する、ロータと、
前記ハウジングに対して固定されており、前記ロータの前記ディスク部を前記ハウジングに選択的に結合するように構成されている、ブレーキアセンブリと、
前記ロータの前記ハブ部の前記第1の端部と前記ロータの前記ディスク部との間に取り付けられた第1の軸受と、
前記ロータの前記ハブ部の前記第2の端部と前記ロータの前記ディスク部との間に取り付けられた第2の軸受と、を備え、
前記ロータの前記円筒部は、磁性材料で作製され、
前記ロータの前記円筒部と前記ロータの前記ハブとを連結する前記ディスク部は、非磁性材料で作製され
ている、電気モータ。
【請求項2】
電気モータであって、
ハウジングと、
前記ハウジングに固定されたステータと、
ハブ部、円筒部、およびディスク部を有するロータであって、前記ハブ部は、円筒状を呈し、かつ第1の端部、第2の端部、およびハブ部を貫通し挿入されるシャフトを支持するように構成された貫通孔を有する、ロータと、
前記ハウジングに対して固定されており、前記ロータの前記ディスク部を前記ハウジングに選択的に結合するように構成されている、ブレーキアセンブリと、を備え、
前記ブレーキアセンブリは、ブレーキハウジング、基部およびブレーキ板を含み、前記ブレーキハウジングは、前記基部から軸方向に延在している第1の円筒部および前記基部から軸方向に延在している第2の円筒部を有し、前記ブレーキハウジングの前記第2の円筒部は、前記ブレーキハウジングの前記第1の円筒部内に同心円状に位置決めされており、
前記第1の円筒部の軸方向端部は、少なくとも一部が相対静止する前記ブレーキ板と対向し、かつ前記第2の円筒部の軸方向端部から軸方向に相対静止する前記ブレーキ板に向けてオフセットされており、さらに、前記第2の円筒部の軸方向端部に平行である、電気モータ。
【請求項3】
前記ロータの前記ハブ部の前記第1の端部と前記ロータの前記ディスク部との間に取り付けられた第1の軸受と、
前記ロータの前記ハブ部の前記第2の端部と前記ロータの前記ディスク部との間に取り付けられた第2の軸受と、を備える、請求項2に記載の電気モータ。
【請求項4】
前記ハブ部は、非磁性材料で作製されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の電気モータ。
【請求項5】
前記ロータの前記円筒部の周りに周方向に取り付けられた複数の磁石をさらに備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の電気モータ。
【請求項6】
前記ブレーキアセンブリは、ブレーキハウジングおよび基部を備え、前記基部は、前記電気モータの前記ハウジングに固定的に装着されており、前記ブレーキハウジングは、前記基部から軸方向に延在している第1の円筒部、および前記基部から軸方向に延在している第2の円筒部を有し、前記ブレーキハウジングの前記第2の円筒部は、前記ブレーキハウジングの第1の円筒部内に同心円状に位置決めされている、請求項1
ならびに請求項1を引用する請求項4および5のいずれか一項に記載の電気モータ。
【請求項7】
前記ブレーキアセンブリは、前記ブレーキハウジングの前記第1の円筒部の軸方向端部の少なくとも一部、および前記ブレーキハウジングの前記第2の円筒部の軸方向端部を覆うブレーキ板をさらに備える、請求項
2および6、ならびに請求項2を引用する請求項3から5のいずれか一項に記載の電気モータ。
【請求項8】
前記ブレーキ板は、前記第1の円筒部の凹部または前記第2の円筒部の凹部に位置決めされたばねによって、前記ロータの前記ディスク部に対して付勢されている、請求項7に記載の電気モータ。
【請求項9】
前記ブレーキアセンブリは、前記ブレーキハウジングの前記第1の円筒部と前記ブレーキハウジングの前記第2の円筒部との間で少なくとも部分的に位置決めされた電磁ブレーキ解放部をさらに備え、前記電磁ブレーキ解放部は、作動されたときに、前記ブレーキ板を前記ロータの前記ディスク部から離して動かすように構成されている、請求項8に記載の電気モータ。
【請求項10】
前記ロータの回転軸に平行な線分ABが、前記ロータの前記ディスク部、前記ブレーキアセンブリ、前記第1の軸受、前記ばね、および前記ブレーキ板を通過し、前記ばねは、前記第2の円筒部の前記凹部に位置決めされており、
前記ロータの回転軸に直交する線分CDが、前記ロータの前記ハブ部、前記ブレーキハウジング、前記電磁ブレーキ解放部、前記ロータの前記円筒部、および前記ステータを通過するように構成されている、請求項9に記載の電気モータ。
【請求項11】
前記ブレーキ板は、前記ロータの前記ディスク部の表面上のローレット模様に対して付勢されている、請求項7から10のいずれか一項に記載の電気モータ。
【請求項12】
前記第1の円筒部の軸方向端部は、前記第2の円筒部の軸方向端部から軸方向にオフセットされており、かつ、前記第2の円筒部の軸方向端部に平行である、請求項
1を引用する請求項6から11のいずれか一項に記載の電気モータ。
【請求項13】
前記第1の軸受および前記第2の軸受は、前記ブレーキハウジングの前記第2の円筒部の内径よりも大きい外径を各々有し、前記第1の軸受および前記第2の軸受は、前記ブレーキハウジングの前記第2の円筒部の前記内径よりも小さい内径を各々有する、請求
項3および6、ならびに請求項3または6を引用する請求項4から12のいずれか一項に記載の電気モータ。
【請求項14】
前記ブレーキアセンブリは、前記ブレーキアセンブリの前記基部を通過するブレーキワイヤ通路をさらに備え、これにより、前記ブレーキハウジングの前記第1の円筒部と前記ブレーキハウジングの前記第2の円筒部との間に形成されたスロットを前記基部の内側と接続する、請求項
2および6から13
、ならびに請求項2を引用する請求項3から5のいずれか一項に記載の電気モータ。
【請求項15】
前記第1の軸受および前記第2の軸受は、前記ロータの前記ハブ部の前記貫通孔の内径よりも大きい内径を各々有する、請求項1
および3、ならびに請求項1または3を引用する請求項4から14のいずれか一項に記載の電気モータ。
【請求項16】
ターゲットおよびリーダヘッドを有するフィードバックシステムをさらに備え、前記リーダヘッドは、前記ハウジングに取り付けられており、前記ターゲットは、前記ロータの前記ディスク部に対して非対称に取り付けられている留め具を用いて、前記ロータの前記ディスク部に取り付けられている、請求項1から15のいずれか一項に記載の電気モータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照
本出願の特許請求の範囲は、2019年4月18日に出願された米国特許出願第62/835,686号および2019年11月15日に出願された米国特許出願第62/935,879号に対して優先権を主張するものであり、これらの各々の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、一般に電気モータに関し、より詳細には一体型ブレーキ付きブラシレス電気モータに関する。
【背景技術】
【0003】
電気モータを利用する用途の多くは、ブレーキも利用する。したがって、これら2つの技術を組み合わせた発明が多数存在する。電気モータの設計者は、電気モータを設計するときに、パッケージ寸法の制限、トルクの要求、保持ならびに減速/停止の要求、およびその他の要求を考慮する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許出願公開第62/835,686号明細書
【文献】米国特許出願公開第62/935,879号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一例では、電気モータについて説明する。電気モータは、ハウジングと、ハウジングに対して固定されたステータと、ロータと、ブレーキアセンブリと、第1の軸受と、第2の軸受と、を含む。ロータは、ハブ部、円筒部、およびディスク部を有する。ロータのハブ部は、第1の端部、第2の端部、およびハブ部を貫通する貫通孔を有する。ブレーキアセンブリは、ハウジングに対して固定されており、ロータのディスク部をハウジングに選択的に結合するように構成されている。第1の軸受は、ロータのハブ部の第1の端部とロータのディスク部との間に取り付けられている。第2の軸受は、ロータのハブ部の第2の端部とロータのディスク部との間に取り付けられている。
【0006】
別の例では、電気モータについて説明する。電気モータは、ハウジングと、ハウジングに対して固定されたステータと、ロータと、ブレーキアセンブリと、第1の軸受と、第2の軸受と、を含む。ロータは、ハブ部、円筒部、およびディスク部を有する。ロータのハブ部は、第1の端部、第2の端部、およびハブ部を貫通する貫通孔を有する。ブレーキアセンブリは、ハウジングに対して固定されており、円筒部を有する。加えて、ブレーキアセンブリは、ロータのディスク部をハウジングに選択的に結合するように構成されている。第1の軸受は、ロータのハブ部の第2の端部とロータのディスク部との間に取り付けられている。第2の軸受は、ロータのハブ部の第2の端部とロータのディスク部との間に取り付けられている。第1の軸受および第2の軸受は、ブレーキアセンブリの円筒部の内径よりも大きい外径を各々有する。また、第1の軸受および第2の軸受は、ブレーキアセンブリの円筒部の内径よりも小さい内径を各々有する。
【0007】
別の例では、電気モータについて説明する。電気モータは、ハウジングと、ハウジングに対して固定されたステータと、ロータと、ブレーキアセンブリと、を含む。ロータは、ハブ部、円筒部、およびディスク部を有する。ロータのハブ部は、第1の端部、第2の端部、およびハブ部を貫通する貫通孔を有する。ブレーキアセンブリは、ハウジングに対して固定されており、ロータのディスク部をハウジングに選択的に結合するように構成されている。加えて、ブレーキアセンブリは、ブレーキハウジングを含む。ブレーキハウジングは、基部、基部から軸方向に延在する第1の円筒部、および基部から軸方向に延在する第2の円筒部を有する。ブレーキハウジングの第2の円筒部は、ブレーキハウジングの第1の円筒部内に同心円状に位置付けられている。第1の円筒部の軸方向端部は、第2の円筒部の軸方向端部から軸方向にオフセットされており、かつ、第2の円筒部の軸方向端部に平行である。
【0008】
これまで論じてきた特徴、機能、および利点は、様々な例で独立して実現することができるか、または以下の説明および図を参照して見ることができる、さらに他の例のさらなる詳細に組み込まれてもよい。
【課題を解決するための手段】
【0009】
例示的な実施例の特色と考えられる新規の特徴は、添付の請求項に記載されている。しかしながら、例示的な実施例、ならびに好ましい使用態様、さらなる目的およびその説明は、添付の図と併せて読むときに、本開示の例示的な実施例の以下の詳細な説明を参照することによって最もよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】例示的な一実施形態による、電気モータの正方斜視図である。
【
図6】
図4の電気モータをA-A線に沿って示した断面図である。
【
図7】例示的な一実施形態による、ステータの立面図である。
【
図8】
図7のステータをB-B線に沿って示した断面図である。
【
図10】例示的な一実施形態による、ロータの断面図である。
【
図13】
図4の電気モータをA-A線に沿って示した部分断面図である。
【
図15】例示的な一実施形態による、ブレーキアセンブリの斜視図である。
【
図17】
図4の電気モータをA-A線に沿って示した部分断面図である。
【
図19】例示的な一実施形態による、ロボットの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
開示された実施例は、開示された実施例のすべてではなく、それらのいくつかが示されている添付の図を参照して、以下でより完全に説明される。実際、いくつかの異なる実施例が提供されてもよく、本明細書に記載された実施例に限定して解釈されるものではない。むしろ、これらの実施例は、本開示が徹底的かつ完全なものとなり、当業者に本開示の範囲を十分に伝えることができるように提供されている。
【0012】
シャフトを駆動し、またブレーキアセンブリも含む電気モータを使用する従来のシステムでは、電気モータは、第1の位置で駆動シャフトに結合され、電気モータの外側にあるブレーキアセンブリは、第2の位置で駆動シャフトに結合されている。いくつかの例では、共通のハウジング内に一体型ブレーキを一緒に備えた電気モータを提供することが望ましい場合がある。
【0013】
したがって、本明細書では、一体型ブレーキを有する電気モータについて説明する。例示的な電気モータは、ハウジングと、ステータと、ロータと、ブレーキアセンブリと、を含む。ロータは、ハブ部、円筒部、およびディスク部を有する。ロータのハブ部は、第1の端部、第2の端部、およびハブ部を貫通する貫通孔を有する。ブレーキアセンブリは、ハウジングに対して固定されており、ロータのディスク部をハウジングに選択的に結合するように構成されている。
【0014】
有利なことに、ブレーキアセンブリは、ステータおよびロータとともに電気モータのハウジングの内部に設けられる。例えば、ブレーキアセンブリは、ロータの円筒部内に収まるブレーキ板および他の構成要素を含むことができる。このようにブレーキを電気モータのハウジングに一体化することで、電気モータによって駆動されるシャフトに別個のブレーキを結合する必要性を排除することができる。
【0015】
以下に、添付の図を参照しながら、電気モータの様々な特徴を説明する。
【0016】
ここで
図1~
図6を参照すると、ハウジング20、ステータ30、ロータ40、ブレーキアセンブリ50、軸受カバー60、フィードバックシステム70、第1の軸受82、および第2の軸受84を有する電気モータ10が提供される。ハウジング20は、概円筒部22、閉じた第1の端部24、および開いた第2の端部26を含む。円筒部22は、電気モータの組み立て中にハウジング20を固定具内に固着することを可能にする、突出リブ22aおよび溝22bを含む。ハウジング20はまた、ストレインリリーフプラグ28を含む。
【0017】
ステータ30は、円筒部22の内部に固定的に装着されている。ロータ40は、ステータ30内に同心円状に位置付けられ、隙間によってそれから分離されている。ロータ40は、ハブ部42、ディスク部44、および円筒部46を含む。ハブ部42は、第1の端部42a、第2の端部42b、およびハブ部を貫通する貫通孔42cを有する。貫通孔42cは、ロボットの車軸のようなシャフトを支持するために利用されてもよい。円筒部46は、磁性材料で作製されており、その周りに周方向に取り付けられた複数の磁石48を含む。ディスク部44は、ハブ部42と円筒部46との間で半径方向に延在している。ハブ部42およびディスク部44は、非磁性材料で作製されてもよい。
【0018】
ブレーキアセンブリ50は、ハウジング20の開いた第2の端部26に固定的に装着されており、基部51、ブレーキハウジング52、ブレーキ板53、および電磁ブレーキ解放部54を含む。基部51は、ハウジング20と組み合わせて、電気モータ10を収容する。ブレーキハウジング52は、ロータ40の円筒部46内に同心円状に位置決めされており、そこから隙間によって分離されている。ブレーキハウジング52は、第1の円筒部55、および第2の円筒部56を含む。第1の円筒部55は、軸方向に、基部51から軸方向端部55aに延在している。第2の円筒部56は、軸方向に、基部51から軸方向端部56aに延在している。第2の円筒部56は、第1の円筒部55内に同心円状に位置決めされており、そこからスロット57によって分離されている。基部51およびブレーキハウジング52は、組み合わせた部品として示されている。他の例では、基部51およびブレーキハウジング52は、互いに固定的に装着することができる別個の部品であってもよい。
【0019】
軸受カバー60は、留め具62を用いて、ブレーキアセンブリ50の基部51に装着される。軸受カバー60の使用により、第2の軸受84を電気モータ10の外側から設置することができる。
【0020】
フィードバックシステム70は、ターゲット72、およびリーダヘッド74を含む。 一例では、ターゲット72は、ロータ40に装着されているエンコーダディスクとすることができる。エンコーダディスクは、リーダヘッド74によって読み取られ、ターゲット72の角度位置、したがって、ロータ40が結合されているシャフトの角度位置を決定するために使用できる模様を有することができる。
【0021】
図7~
図9に示すように、ステータ30は、ステータワイヤ33を保持するように設計されたスロット32を有する積層スタック31を含むことができる。ステータワイヤ33は、モータコントローラによって通電することができる。積層スタック31は、鋼板のスタックを含むことができる。鋼板は、ステータワイヤ33に印加された電圧が積層された鋼板のスタックに短絡するのを防止するために使用される絶縁体でコーティングすることができる。
【0022】
さらに、ステータ30は、ステータ30をハウジング20と位置合わせするために使用できるノッチ34を含む。例えば、止めねじ90は、ハウジング20の円筒部22を介して位置決めし、ノッチ34の1つに係合することができる。
【0023】
図10に示すように、フィードバックシステム70のターゲット72は、複数の留め具76によってロータのディスク部44に取り付けることができる。さらに、
図11に示すように、複数の留め具76は、ターゲット72がロータの複数の磁石48に対して1つの向きのみで設置できるように、非対称模様で配置することができる。この特徴は、モータコントローラ(図示せず)による電気モータ10の適切な整流を保証することができ、ロータ40の貫通シャフトキー溝47を、ターゲット72上で提供される絶対位置情報と位置合わせる際に利用することができる。
【0024】
図11にさらに示すように、ロータ40の円筒部46は、円筒部46のN極磁石と位置合わせできる取り付け孔45を含む。この特徴は、モータコントローラによって通電されたときに、ロータ40のディスク部44が正しい方向に回転することを保証することができる。
【0025】
いくつかの例では、ブレーキアセンブリ50のブレーキライニングによって係合されるように構成された、ロータ40のディスク部44の表面の一部は、その表面の一部の静摩擦係数を高める表面仕上を含むことができる。これにより、電気モータ10は、ロータ40が動くことなく、より大きな力に耐えることができるとともに、ブレーキアセンブリ50の停止性能を最大化することができる。
【0026】
一例として、
図12は、ディスク部44の表面の一部が表面仕上49を含むことを示している。表面仕上49は、ディスク部44の表面に切り込まれたローレット模様として示されている。ローレット模様は、ディスク部44の表面に切り込まれた、重なり合う曲線を含む。例示的な実装形態では、曲線は、1000分の1インチ~1000分の5インチの間など、数千分の1インチの深さを有することができる。さらに、各曲線は、1インチ~2インチの間の半径を有する円の円弧など、円の円弧とすることができる。ローレット模様の縁部は、いくつかの整合性を有するブレーキパッド材料とともに使用される場合、わずかに高い把持力を有し得る。有利なことに、
図12に示すローレット模様は、(例えば、エンドミルを使用して)簡単に作製することができ、ブレーキに対して余分な摩擦を提供する。表面仕上49は、他の形態も可能である。
【0027】
図6に示すように、また、
図13および
図14により明確に示すように、ブレーキ板53は、第1の円筒部55および第2の円筒部56の軸方向端部55a、56aの少なくとも一部に位置決めされ、これを覆っている。ブレーキ板53は、第1の動作状態でロータ40の回転を防止するために、ばね59によってロータ40のディスク部44に対して付勢するブレーキライニング部58を含む。ばね59は、第1の円筒部55の凹部55bおよび/または第2の円筒部56の凹部56bに収容されてもよい。凹部55bおよび凹部56bは、
図15に示されている。
【0028】
さらに、
図6、
図13、および
図14に電磁コイルとして示されている電磁ブレーキ解放部54は、ブレーキライニング部58とロータ40のディスク部44との間に隙間が存在するようにブレーキ板53を後退させることができ、これにより、第2の動作状態でロータ40の回転を可能にする。例えば、モータコントローラは、電磁ブレーキ解放部54に電流を送り、これにより、ブレーキ板53を後退させてもよい。ピン91は、ブレーキハウジング52に対してブレーキ板53の回転を防止するために、ブレーキ板43および第2の円筒部56の凹部56bとともに利用されてもよい。凹部56bは、
図15に示されている。
【0029】
図14にさらに示すように、いくつかの例では、第1の円筒部55の軸方向端部55aは、軸方向端部55a、56aが互いに平行であるが同一面内にはないように、第2の円筒部56の軸方向端部56aから軸方向にオフセットされている。この構成では、ブレーキ板53は、軸方向端部55a、56aのうちの一方にのみ平らに載る。
図14に示すように、ブレーキ板53は、軸方向端部56aにのみ載っているので、安定性が向上する。他の例では、ブレーキ板53は、軸方向端部56aにのみ載ってもよい。
【0030】
平面から外れた軸方向端部55a、56aは、調整可能な電流レベルでブレーキ板53を解放することを可能にする。ブレーキ板53をブレーキ非係合位置に保持するのに必要な電流は、オフセットに正比例する。軸方向端部55a、56aの2つの平面がより大きな距離だけ離れているとき、ブレーキ板53をブレーキ非係合位置に保持するのに必要な電流は、2つの平面がより小さな距離だけ離れているときにブレーキ板53をブレーキ非係合位置に保持するのに必要な電流と比較して高くなる。これは、ブレーキ板53と軸方向端部55a、56aのうちの下側のものとの間の空隙が、磁束の流れに磁気抵抗を生じさせるためである。軸方向端部55a、56a間のオフセットが小さすぎる場合、ブレーキハウジング52のヒステリシスによって磁束が滞留し、したがって、電磁ブレーキ解放部に印加される電流がゼロに低減されてもブレーキ板53がブレーキ非係合位置に保持される可能性がある。
【0031】
再び
図6を参照すると、ハウジング20内でのロータ40の回転は、第1の軸受82および第2の軸受84によって可能になる。第1の軸受82は、ロータ40のハブ部42の第1の端部42aとロータ40のディスク部44との間に取り付けられている。第2の軸受84は、ロータ40のハブ部42の第2の端部42bとロータ40のディスク部44との間に取り付けられている。第1の軸受82の内径および第2の軸受84の内径は、ロータ40の貫通孔42cの内径よりも大きい。さらに、第1の軸受82の外径および第2の軸受84の外径は、ブレーキハウジング52の第2の円筒部56の内径よりも大きい。またさらに、第1の軸受82の内径および第2の軸受84の内径は、ブレーキハウジング52の第2の円筒部56の内径よりも小さい。ブレーキアセンブリ50の基部51は、電気モータ10の外側から第2の軸受84を設置することができるように構成されている。第2の軸受を設置した後、軸受カバー60を基部51に装着することで、ブレーキハウジング52および電磁ブレーキ解放部54のサイズを最大化することができる。そうでなければ、第2の円筒部56の内径は、組み立て中に第2の軸受84が通過できるように大きくする必要があり、それにより、ブレーキハウジング52のサイズが低減される。有利なことに、ブレーキハウジング52および電磁ブレーキ解放部54のサイズを増加すると、ブレーキ板53を後退させるために使用される磁界が最大化される。この最大化された磁界は、次に、より強いばね59の使用を可能にし、これにより、ブレーキアセンブリ50の停止力および保持力が増大する。
【0032】
図6に示すように、組み立てられたとき、電気モータ10は、ロータ40の回転軸Rに平行な線分ABが、ロータ40のディスク部44、ブレーキアセンブリ50、第1の軸受82、およびブレーキ板53を通過するように構成されている。いくつかの例では、線分ABは、第2の円筒部56の凹部56b内に収容されたばね59も通過することができる(
図6には示されていない)。加えて、組み立てられたとき、電気モータ10は、ロータ40の回転軸Rに直交する線分CDが、貫通孔42c、ブレーキハウジング52、電磁ブレーキ解放部54、円筒部46、およびステータ30を通過するように構成されている。
【0033】
いくつかの例では、ロータ40のディスク部44は、非磁性または緩磁性である。ディスク部44を非磁性材料で作製することは、ブレーキアセンブリ50とフィードバックシステム70との間の結合を排除することができ、また、ブレーキ板53を後退させるのに必要な電流を最小化することができる。磁性材料は一般的に遮蔽効果をもたらすので、これはモータ設計者にとって直感に反する場合がある。しかしながら、電気モータ10では、ハブ部42の貫通孔42c内を移動する漏れ磁束が、ブレーキアセンブリ50から、ディスク部44の反対側にあるターゲット72の一部である磁石ディスクに引き付けられる。電磁ブレーキ解放部54からの余分な磁界は、フィードバックシステム70がターゲット72からの磁界を検出することによって動作する場合は特に、フィードバックシステム70を妨害する可能性がある。
【0034】
いくつかの例では、電気モータに通電するワイヤと電磁ブレーキ解放部54を制御するワイヤの両方が、ハウジング20の同じ端部で電気モータ10から出ることが望ましい場合がある。例えば、これらのワイヤの両方が、ハウジング20の閉じた第1の端部24を経由して電気モータ10から出ることが望ましい場合がある。これは、電磁ブレーキ解放部54が電気モータ10の閉じた第1の端部24とは反対側にあるため、電磁ブレーキ解放部54を制御するワイヤに設計上の課題をもたらす可能性がある。外部環境からワイヤの保護を補助するために、ワイヤを電気モータ10の内部に配線することが望ましい場合がある。ステータ30とロータ40との間の隙間内で、このようなワイヤが電気モータ10を介して移動するための空間が制限されている場合がある。しかしながら、隙間内でワイヤがわずかに動くと、ワイヤは、ロータ40を擦り、ブレーキアセンブリ50の故障につながる可能性がある。
【0035】
したがって、
図15および
図16に示すように、電磁ブレーキ解放部54を制御するワイヤを、電気モータ10を介してハウジング20の閉じた第1の端部24に配線するために、ブレーキアセンブリ50は、スロット57を基部51の内側と接続するブレーキワイヤ通路92を含む。ブレーキワイヤ通路92は、第1の円筒部55と基部51との交点に設けられている。ブレーキワイヤ通路92は、電磁ブレーキ解放部54に装着されたワイヤ93が、回転ロータ40を含む電気モータの空洞を安全に横切ることを可能にし、したがって、ワイヤ93が回転ロータ40によって不注意に摩耗する故障モードを解消する。
【0036】
スロット57からブレーキワイヤ通路92を経由して基部51の内側に通過した後、ワイヤ93は、様々な方法でハウジング20の閉じた第1の端部24に配線することができる。一例として、ブレーキワイヤ通路92を出た後、ワイヤ93は、ハウジングの円筒部22の内面に切り込まれた溝94内を移動することができる。溝94は、
図17および
図18に示されている。この手法では、ワイヤ93は、ステータ30とハウジング20との間を移動することができる。別の例として、ブレーキワイヤ通路92を出た後、ワイヤ93は、ステータ30を介して移動することができる。例えば、ワイヤ93は、ステータワイヤ33を含むステータ30のスロット35を介して移動することができる。スロット35は、
図9に示されている。
【0037】
上述したように、電気モータ10は、ハウジング20の円筒部22を介して位置決めされ、ステータ30のノッチ34に係合するために使用される止めねじ90を含むことができる。これにより、ステータ30を1つの向きのみでハウジング20と位置合わせすることができる。いくつかの例では、
図18に示すように、ハウジング20の閉じた第1の端部24の内側には、フィードバックシステム70のリーダヘッド74をハウジング20に取り付けるために使用される取り付けパッド95を含むことができる。これにより、リーダヘッド74も、1つの向きのみでハウジング20と位置合わせすることになる。ステータ30とリーダヘッド74の両方が1つの向きのみでハウジング20に取り付けられるので、モータコントローラは、電子位置合わせ手順を実施することなく、ステータ30に適切に通電することができる。加えて、フィードバックシステム70は、位置合わせ手順を実施することなく動作することができる。したがって、ノッチ34および取り付けパッド95を使用することで、製造コストを低減し、信頼性を高めることができる。
【0038】
図19は、ロボット102の車軸100に結合された電気モータ10を示している。車軸100は、電気モータ10の中心を通り、タイヤ104に装着されている。電気モータ10の少なくとも1つの表面は、ロボット102の本体106に装着されている。例えば、電気モータのハウジング20の一部は、ロボット102の本体106に装着されている。動作中、電気モータ10は、車軸100を1つ以上の方向に回転させ、車軸100を所定の位置に保持し、および/または車軸100の回転を停止させ、それにより、ロボット102の動きを制御することができる。
【0039】
異なる有利な配置に関する記載は、例示および説明の目的で提示されたものであり、網羅的であるか、または開示された形態の例に限定されることを意図したものではない。前述の開示を検討して理解した後、多くの修正および変形が当業者には明らかになるであろう。さらに、異なる実施例は、他の実施例と比較して異なる利点を提供してもよい。選択された実施例または複数の実施例は、原理、実際の用途を最良に説明するために、また、当業者が企図された特定の使用に適した様々な変更を伴う様々な実施例について、本開示を理解できるようにするために選択され、記載されている。