(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】形状転写フィルム
(51)【国際特許分類】
H05K 3/28 20060101AFI20231226BHJP
B29C 33/42 20060101ALI20231226BHJP
B32B 3/30 20060101ALI20231226BHJP
C08J 7/04 20200101ALN20231226BHJP
【FI】
H05K3/28 F
B29C33/42
B32B3/30
C08J7/04 Z CER
C08J7/04 CEZ
(21)【出願番号】P 2021570095
(86)(22)【出願日】2021-01-08
(86)【国際出願番号】 JP2021000419
(87)【国際公開番号】W WO2021141098
(87)【国際公開日】2021-07-15
【審査請求日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】P 2020001942
(32)【優先日】2020-01-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000108742
【氏名又は名称】タツタ電線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002239
【氏名又は名称】弁理士法人G-chemical
(72)【発明者】
【氏名】梅村 滋和
【審査官】ゆずりは 広行
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-071107(JP,A)
【文献】国際公開第2020/009229(WO,A1)
【文献】特開2019-125618(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 3/28
B29C 33/42
B32B 3/30
C08J 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一方の面に、界面の展開面積比Sdrが1500~7000%である凹凸形状を有し、前記凹凸形状に由来する形状を転写対象物に転写するための形状転写フィルム
であり、
下記(i)および/または(ii)を満たす形状転写フィルム。
(i)基材層と、当該基材層の少なくとも一方の面に設けられた樹脂層とを備え、前記樹脂層を形成する樹脂は硬化型樹脂である
(ii)基材層を備え、前記基材層表面が前記凹凸形状を有する
【請求項2】
前記凹凸形状におけるコア部のレベル差Skが2.0~7.0μmである請求項1に記載の形状転写フィルム。
【請求項3】
少なくとも一方の面に、コア部のレベル差Skが2.0~7.0μmである凹凸形状を有し、前記凹凸形状に由来する形状を転写対象物に転写するための形状転写フィルム
であり、
下記(i)および/または(ii)を満たす形状転写フィルム。
(i)基材層と当該基材層の少なくとも一方の面に設けられた樹脂層とを備え、前記樹脂層を形成する樹脂は硬化型樹脂である
(ii)基材層を備え、前記基材層表面が前記凹凸形状を有する
【請求項4】
前記凹凸形状における算術平均高さSaが1.0~2.0μmである請求項1~3のいずれか1項に記載の形状転写フィルム。
【請求項5】
前記凹凸形状における二乗平均平方根高さSqが1.0~2.8μmである請求項1~4のいずれか1項に記載の形状転写フィルム。
【請求項6】
前記凹凸形状における二乗平均平方根傾斜Sdqが7~15である請求項1~5のいずれか1項に記載の形状転写フィルム。
【請求項7】
前記凹凸形状における、界面の展開面積比Sdrの二乗平均平方根傾斜Sdqに対する比[Sdr/Sdq]が200~500である請求項1~6のいずれか1項に記載の形状転写フィルム。
【請求項8】
基材層と、前記基材層の一方の面に設けられた樹脂層とを備え、
前記樹脂層側表面が前記凹凸形状を有する、請求項1~7のいずれか1項に記載の形状転写フィルム。
【請求項9】
前記形状転写フィルムはフィラーを含み、前記凹凸形状は前記フィラーがフィルム平坦面よりも外側に突出することで形成されている、請求項1~8のいずれか1項に記載の形状転写フィルム。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の形状転写フィルムと、前記形状転写フィルムと直接積層した回路パターン隠蔽層とを備えるプリント配線板用貼付フィルム。
【請求項11】
接着剤層、前記回路パターン隠蔽層、および前記形状転写フィルムがこの順に積層している請求項10に記載のプリント配線板用貼付フィルム。
【請求項12】
前記回路パターン隠蔽層の前記形状転写フィルム側の表面の85°光沢度が15以下である、請求項11に記載のプリント配線板用貼付フィルム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、形状転写フィルムに関する。より詳細には、本開示は、形状転写フィルムが有する凹凸形状に由来する形状を転写対象物に転写するための形状転写フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
プリント配線板は、携帯電話、ビデオカメラ、ノートパソコンなどの電子機器において、機構の中に回路を組み込むために多用されている。また、プリンタヘッドのような可動部と制御部との接続にも利用されている。これらの電子機器では、電磁波シールド対策が必須となっており、装置内で使用されるプリント配線板においても、電磁波シールド対策を施したシールドプリント配線板が用いられている。
【0003】
シールドプリント配線板には、電磁波シールドフィルムが使用される。例えば、プリント配線板に接着して使用される電磁波シールドフィルムは、導電性接着剤層と、上記導電性接着剤層や必要に応じて設けられた金属層などのシールド層を保護するための保護層とを有する。
【0004】
近年、シールドプリント配線板において、プリント配線板に積層された電磁波シールドフィルムの最表層となる保護層は、回路パターンの隠蔽性を目的として、表面の光沢性が低い外観を呈することが求められることがある。表面の光沢性が低い保護層としては、表面に凹凸形状を有する保護層が挙げられる。このような保護層は、例えば、表面に凹凸形状を有する転写フィルム(形状転写フィルム)の凹凸面に、保護層を形成する組成物を流延塗布しその後固化して保護層を形成することで、形状転写フィルムの凹凸形状に由来する形状を保護層表面に付与(転写)してつや消し加工することで作製することができる。
【0005】
このような形状転写フィルムとしては、例えば、特許文献1に開示のものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、保護層に隠蔽性を付与することを目的とした、凹凸形状が設けられた従来の形状転写フィルムは、保護層と積層した状態において上記凹凸形状に由来するアンカー効果がはたらくため、形状転写フィルムを保護層から剥がす際に剥がれにくい、あるいは、形状転写フィルムを剥がすことができた場合であっても保護層を伴って剥がれるという問題があった。一方、上記凹凸形状を浅くすると、アンカー効果を弱め、保護層に貼り合わせた状態から形状転写フィルムを容易に剥がすことができるが、保護層に形成される凹凸形状も浅くなるため、保護層に充分な隠蔽性を付与することができない。
【0008】
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、凹凸形状を有する形状転写フィルムであって、上記凹凸形状に由来する形状を転写対象物に転写することで転写対象物に充分な隠蔽性を付与することができ、且つ転写対象物から意図的に剥がす際には容易に剥がすことができる形状転写フィルムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、特定の凹凸形状を表面に有する形状転写フィルムによれば、上記凹凸形状に由来する形状を転写対象物に転写することで転写対象物に充分な隠蔽性を付与することができ、且つ転写対象物から意図的に剥がす際には容易に剥がすことができることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成させたものである。
【0010】
本開示は、少なくとも一方の面に、界面の展開面積比Sdrが1500~7000%である凹凸形状を有し、上記凹凸形状に由来する形状を転写対象物に転写するための形状転写フィルムを提供する。
【0011】
上記凹凸形状におけるコア部のレベル差Skは2.0~7.0μmであることが好ましい。
【0012】
また、本開示は、少なくとも一方の面に、コア部のレベル差Skが2.0~7.0μmである凹凸形状を有し、上記凹凸形状に由来する形状を転写対象物に転写するための形状転写フィルムを提供する。
【0013】
上記凹凸形状における算術平均高さSaは1.0~2.0μmであることが好ましい。
【0014】
上記凹凸形状における二乗平均平方根高さSqは1.0~2.8μmであることが好ましい。
【0015】
上記凹凸形状における二乗平均平方根傾斜Sdqは7~15であることが好ましい。
【0016】
上記凹凸形状における、界面の展開面積比Sdrの二乗平均平方根傾斜Sdqに対する比[Sdr/Sdq]が200~500であることが好ましい。
【0017】
上記形状転写フィルムは、基材層と、上記基材層の一方の面に設けられた樹脂層とを備え、上記樹脂層側表面が上記凹凸形状を有することが好ましい。
【0018】
上記形状転写フィルムはフィラーを含み、上記凹凸形状は上記フィラーがフィルム平坦面よりも外側に突出することで形成されていることが好ましい。
【0019】
さらに、本開示は、上記形状転写フィルムと、上記形状転写フィルムと直接積層した回路パターン隠蔽層とを備えるプリント配線板用貼付フィルムを提供する。
【0020】
上記プリント配線板用貼付フィルムは、接着剤層、上記回路パターン隠蔽層、および上記形状転写フィルムがこの順に積層していることが好ましい。
【0021】
上記回路パターン隠蔽層の上記形状転写フィルム側の表面の85°光沢度は15以下であることが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本開示の形状転写フィルムによれば、上述の特定の凹凸形状を表面に有することにより、上記凹凸形状に由来する形状を転写対象物に付与することで転写対象物に充分な隠蔽性を付与することができ、且つ転写対象物から意図的に剥がす際には容易に剥がすことができる。また、輸送中など、形状転写フィルムを転写対象物から意図的に剥がす際以外の状況では剥がれにくい。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本開示の形状転写フィルムの一実施形態を示す断面模式図である。
【
図2】本開示の形状転写フィルムの他の実施形態を示す断面模式図である。
【
図3】
図1に示す形状転写フィルムを用いたプリント配線板用貼付フィルムの一実施形態を示す断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[形状転写フィルム]
本開示の一実施形態に係る形状転写フィルムは、少なくとも一方の面に凹凸形状を有し、上記凹凸形状に由来する形状を転写対象物に付与(転写)するために使用される。上記形状転写フィルムは、特に、プリント配線板に貼り付けるためのフィルム(プリント配線板用貼付フィルム)における最表層(例えば後述の回路パターン隠蔽層など)に、上記凹凸形状に由来する形状を付与(転写)するためのものであることが好ましい。
【0025】
上記形状転写フィルムが有する上記凹凸形状において、界面の展開面積比Sdrが1500~7000%であることが好ましく、より好ましくは2000~6500%、さらに好ましくは2500~6000%である。上記界面の展開面積比Sdrは、ISO25178に準拠するものであり、定義領域の展開面積(表面積)が、上記定義領域の面積に対してどれだけ増大しているかを表す指標である。完全に平坦な面のSdrは0%となる。上記界面の展開面積比Sdrが1500%以上であると、上記凹凸形状に由来する形状が付与された転写対象物に充分な隠蔽性を付与することができる。上記界面の展開面積比Sdrが7000%以下であると、転写対象物から形状転写フィルムを意図的に剥離することが容易となる。
【0026】
上記凹凸形状において、コア部のレベル差Skが2.0~7.0μmであることが好ましく、より好ましくは2.3~6.0μm、さらに好ましくは2.5~5.0μmである。上記コア部のレベル差Skは、ISO25178に準拠するものであり、凹凸形状におけるコア部の最大高さから最小高さを引いた値である。コア部は等価直線の負荷面積率0%と100%の高さに挟まれる領域である。上記コア部のレベル差Skが2.0μm以上であると、コア部の高低差が大きく、上記凹凸形状に由来する形状が付与された転写対象物に充分な隠蔽性を付与することができる。上記コア部のレベル差Skが7.0μm以下であると、転写対象物から形状転写フィルムを意図的に剥離することが容易となる。
【0027】
上記凹凸形状において、算術平均高さSaが1.0~2.0μmであることが好ましく、より好ましくは1.0~1.8μm、さらに好ましくは1.0~1.6μmである。上記算術平均高さSaは、ISO25178に準拠するものであり、表面の平均面に対して、各点の高さの差の絶対値の平均を表す。上記算術平均高さSaが1.0μm以上であると、上記凹凸形状に由来する形状が付与された転写対象物に、よりいっそう充分な隠蔽性を付与することができる。上記算術平均高さSaが2.0μm以下であると、転写対象物から形状転写フィルムを意図的に剥離することがよりいっそう容易となる。
【0028】
上記凹凸形状において、二乗平均平方根高さSqが1.0~2.8μmであることが好ましく、より好ましくは1.1~2.5μm、さらに好ましくは1.3~2.0μmである。上記二乗平均平方根高さSqは、ISO25178に準拠するものであり、平均面からの距離の標準偏差に相当するパラメータである。上記二乗平均平方根高さSqが1.0μm以上であると、上記凹凸形状に由来する形状が付与された転写対象物に、よりいっそう充分な隠蔽性を付与することができる。上記二乗平均平方根高さSqが2.8μm以下であると、凹凸形状における高さのバラツキが少なく、転写対象物から形状転写フィルムを意図的に剥離することがよりいっそう容易となる。
【0029】
上記凹凸形状において、二乗平均平方根傾斜Sdqが7~15であることが好ましく、より好ましくは8~14、さらに好ましくは9~13.5である。上記二乗平均平方根傾斜Sdqは、ISO25178に準拠するものであり、定義領域のすべての点における傾斜の二乗平均平方根により算出されるパラメータである。完全に平坦な面のSdqは0となる。上記二乗平均平方根傾斜Sdqが7以上であると、上記凹凸形状に由来する形状が付与された転写対象物に、よりいっそう充分な隠蔽性を付与することができる。上記二乗平均平方根傾斜Sdqが15以下であると、凹凸形状における高さのバラツキが少なく、転写対象物から形状転写フィルムを意図的に剥離することがよりいっそう容易となる。
【0030】
上記凹凸形状において、界面の展開面積比Sdr[%]の二乗平均平方根傾斜Sdqに対する比[Sdr/Sdq]が200~500であることが好ましく、より好ましくは250~480、さらに好ましくは300~450である。上記比が200以上であると、表面積が大きくなり(すなわち凹凸の起伏が激しくなり)、上記凹凸形状に由来する形状が付与された転写対象物によりいっそう充分な隠蔽性を付与することができると推測される。上記比が500以下であると、凹凸の傾斜が抑えられるとともに表面積(すなわち凹凸の起伏の程度)も一定の範囲内に抑えられることにより、転写対象物から形状転写フィルムを意図的に剥離することがよりいっそう容易となる。
【0031】
上記凹凸形状における60°光沢度は、4.0以上であることが好ましく、より好ましくは4.5以上、さらに好ましくは5.0以上である。上記60°光沢度が4.0以上であると、上記凹凸形状が意図的な剥離により適した形状となるものと推測され、転写対象物から形状転写フィルムを意図的に剥離することがよりいっそう容易となる。上記凹凸形状における60°光沢度は、20以下であることが好ましく、より好ましくは15以下、さらに好ましくは10以下である。上記60°光沢度が20以下であると、上記凹凸形状が意図的な剥離により適した形状となるものと推測され、転写対象物に、よりいっそう充分な隠蔽性を付与することができる。上記60°光沢度は、JIS Z8741に準拠した方法により測定することができる。
【0032】
上記凹凸形状における85°光沢度は、2.5~15.0であることが好ましく、より好ましくは3.0~13.0である。上記85°光沢度が2.5以上であると、転写対象物から形状転写フィルムを意図的に剥離することがよりいっそう容易となる。上記85°光沢度が15.0以下であると、転写対象物に、よりいっそう充分な隠蔽性を付与することができる。上記85°光沢度は、JIS Z8741に準拠した方法により測定することができる。
【0033】
上記形状転写フィルムの一実施形態として、例えば、基材層と、当該基材層の少なくとも一方の面に設けられた樹脂層とを備え、上記樹脂層側表面が上記凹凸形状を有する形状転写フィルムが挙げられる。また、上記形状転写フィルムの他の実施形態として、基材層表面が上記凹凸形状を有する形状転写フィルムが挙げられる。上記他の実施形態に係る形状転写フィルムとしては、基材層に凹凸形状を有する鋳型を押し付ける方法により凹凸形状を付与した形状転写フィルムが挙げられる。
【0034】
上記形状転写フィルムにおいて、上記凹凸形状は、上述の各種特性を有するように公知乃至慣用の方法で形成することができる。上記凹凸形状を形成する方法としては、例えば、平坦面をサンドマット処理する方法、平坦面にドライアイス等を吹き付ける方法、凹凸形状を有する鋳型を押し付ける方法等により、平坦面を物理的に粗面化する方法、フィラーを配合して形状転写フィルム平坦面から外側に突出させる方法などが挙げられる。これらの方法は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0035】
フィラーを配合して凹凸形状が形成された上記形状転写フィルムの実施形態としては、例えば、
図1および
図2に示す形状転写フィルムが挙げられる。
図1に示す形状転写フィルム1は、基材層2と、基材層2の一方の面に設けられた樹脂層3とを備え、樹脂層3側表面が上記凹凸形状を有する。樹脂層3は、フィラー4を含有し、フィラー4はフィルム平坦面である樹脂層3の平坦面3aから外側に突出することで上記凹凸形状が形成されている。
【0036】
上記基材層は、例えば、プラスチック基材(特にプラスチックフィルム)、紙、布、不織布等の多孔質材料、ネット、発泡シート、金属箔などが挙げられる。上記基材層は、単層であってもよいし、同種または異種の基材の積層体であってもよい。また、上記基材層の表面には、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理等の物理的処理、下塗り処理等の化学的処理などの公知慣用の表面処理が適宜施されていてもよい。
【0037】
上記プラスチック基材を構成する樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、ランダム共重合ポリプロピレン、ブロック共重合ポリプロピレン、ホモポリプロレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、アイオノマー、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸エステル(ランダム、交互)共重合体、エチレン-ブテン共重合体、エチレン-ヘキセン共重合体等のポリオレフィン樹脂;ポリウレタン;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル;ポリカーボネート;ポリイミド;ポリエーテルエーテルケトン;ポリエーテルイミド;アラミド、全芳香族ポリアミド等のポリアミド;ポリフェニルスルフィド;フッ素樹脂;ポリ塩化ビニル;ポリ塩化ビニリデン;セルロース樹脂;シリコーン樹脂などが挙げられる。上記樹脂は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
【0038】
上記樹脂層を形成する樹脂としては、特に限定されず、熱可塑性樹脂や、熱硬化型樹脂、活性エネルギー線硬化型樹脂等の硬化型樹脂などが挙げられる。なお、本明細書において、「硬化型樹脂」とは、硬化して樹脂を形成し得る樹脂(硬化性樹脂)および硬化性樹脂を硬化して形成された樹脂の両方を含む概念である。上記樹脂としては、中でも、硬化後において後述の回路パターン隠蔽層からの剥離性に優れる観点から、硬化型樹脂であることが好ましく、プリント配線板用貼付フィルムをプリント配線板に熱圧着する際に硬化度が変動しにくい観点から、活性エネルギー線硬化型樹脂であることが特に好ましい。上記樹脂は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
【0039】
上記熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリスチレン系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂組成物等)、ポリイミド系樹脂、アクリル系樹脂などが挙げられる。
【0040】
上記熱硬化型樹脂としては、例えば、フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、メラミン系樹脂、アルキド系樹脂、シリコーン樹脂などが挙げられる。
【0041】
上記エポキシ系樹脂としては、例えば、ビスフェノール型エポキシ系樹脂、スピロ環型エポキシ系樹脂、ナフタレン型エポキシ系樹脂、ビフェニル型エポキシ系樹脂、テルペン型エポキシ系樹脂、グリシジルエーテル型エポキシ系樹脂、グリシジルアミン型エポキシ系樹脂、ノボラック型エポキシ系樹脂などが挙げられる。
【0042】
上記ビスフェノール型エポキシ系樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ系樹脂、ビスフェノールF型エポキシ系樹脂、ビスフェノールS型エポキシ系樹脂、テトラブロムビスフェノールA型エポキシ系樹脂などが挙げられる。上記グリシジルエーテル型エポキシ系樹脂としては、例えば、トリス(グリシジルオキシフェニル)メタン、テトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタンなどが挙げられる。上記グリシジルアミン型エポキシ系樹脂としては、例えばテトラグリシジルジアミノジフェニルメタンなどが挙げられる。上記ノボラック型エポキシ系樹脂としては、例えば、クレゾールノボラック型エポキシ系樹脂、フェノールノボラック型エポキシ系樹脂、α-ナフトールノボラック型エポキシ系樹脂、臭素化フェノールノボラック型エポキシ系樹脂などが挙げられる。
【0043】
上記活性エネルギー線硬化型樹脂としては、例えば、分子中に少なくとも2個のラジカル反応性基(例えば、(メタ)アクリロイル基)を有する重合性を有する樹脂などが挙げられる。上記活性エネルギー線としては、電子線、紫外線、α線、β線、γ線、X線などが挙げられる。
【0044】
上記フィラーとしては、例えば、有機粒子および無機粒子が挙げられる。上記有機粒子としては、例えば、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド、ポリイミドなどが挙げられる。上記無機粒子としては、例えば、炭酸カルシウム、珪酸カルシウム、クレー、カオリン、タルク、シリカ、ガラス、珪藻土、雲母粉、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどが挙げられる。上記粒子は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
【0045】
上記フィラーのメディアン径(D50)は、特に限定されないが、0.5~20μmであることが好ましく、より好ましくは1~10μmである。D50が上記範囲内であると、上記凹凸形状を容易に形成することができる。上記D50は、レーザー回折・散乱法により求めた粒度分布における積算値50%での粒径をいうものとする。
【0046】
上記樹脂層中の上記フィラーの含有量は、特に限定されないが、上記樹脂層を形成する樹脂100質量部に対して、20~70質量部が好ましく、より好ましくは30~60質量部である。上記含有量が上記範囲内であると、上記凹凸形状を容易に形成することができる。
【0047】
上記樹脂層の厚さ(両面の平坦面間の厚さ)は、特に限定されないが、0.5~9μmであることが好ましく、より好ましくは1~7μmである。上記厚さが上記範囲内であると、上記フィラーのD50との関係により、平坦面から突出するフィラーの形状を適当な範囲内とすることができ、上記凹凸形状を容易に形成することができる。
【0048】
図1に示す形状転写フィルム1は、公知乃至慣用の方法により、基材層2上に上記凹凸形状を有するように樹脂層3を形成することで作製することができる。具体的には、例えば、基材層の一方の面に、上記樹脂層を形成する樹脂あるいは化合物およびフィラーを含み、必要に応じて溶媒を含む組成物を流延塗布し、脱溶媒や硬化処理を行って固化することで製造することができる。
【0049】
図2に示す形状転写フィルム1は、基材層2表面が上記凹凸形状を有する。基材層2は、フィラー4を含有し、フィラー4はフィルム平坦面である基材層2の平坦面2aから外側に突出することで上記凹凸形状が形成されている。
【0050】
上記基材層の凹凸形状を有する表面には、離型処理層が設けられていてもよい。上記離型処理層としては、シリコーン系、長鎖アルキル系、フッ素系、硫化モリブデン等の剥離処理剤により表面処理されて形成された層が挙げられる。なお、離型処理層を有する場合、離型処理層の厚みや形状は、基材層表面の凹凸形状が消失しないように、すなわち形状転写フィルムが上記凹凸形状を有することとなるように適宜設定される。
【0051】
上記離型処理層を有する場合の基材層としては、上述の樹脂層を有する基材層として例示および説明されたものが挙げられる。上記離型処理層を有しない場合の基材層としては、フッ素ポリマーからなる低接着性基材や無極性ポリマーからなる低接着性基材などが挙げられる。上記フッ素ポリマーからなる低接着性基材におけるフッ素系ポリマーとしては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロフルオロエチレン-フッ化ビニリデン共重合体などが挙げられる。また、上記無極性ポリマーとしては、例えば、オレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等)などが挙げられる。上記基材層の表面には、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理等の物理的処理、下塗り処理等の化学的処理などの公知慣用の表面処理が適宜施されていてもよい。
【0052】
上記フィラーとしては、上述の樹脂層に含まれるものとして例示および説明されたものが挙げられる。
【0053】
上記フィラーのメディアン径(D50)は、特に限定されないが、0.5~20μmであることが好ましく、より好ましくは1~10μmである。D50が上記範囲内であると、上記凹凸形状を容易に形成することができる。上記D50は、レーザー回折・散乱法により求めた粒度分布における積算値50%での粒径をいうものとする。
【0054】
上記基材層中の上記フィラーの含有割合は、特に限定されないが、上記基材層の総量100体積%に対して、10~70体積%が好ましく、より好ましくは20~60体積%、さらに好ましくは30~50体積%である。上記含有割合が上記範囲内であると、上記凹凸形状を容易に形成することができる。
【0055】
図2に示す形状転写フィルム1は、公知乃至慣用の方法により、少なくとも一方の表面が上記凹凸形状を有するように基材層2を成形することで作製することができる。具体的には、例えば、基材層を形成する樹脂組成物中に上記フィラーを練り込み、成形することで製造することができる。その後、必要に応じて離型処理剤を塗布および固化して離型処理層を形成してもよい。
【0056】
上記凹凸形状を有する層(樹脂層や基材層)は、本発明の効果を損なわない範囲内において、上述の各成分以外のその他の成分を含んでいてもよい。上記その他の成分としては、例えば、着色剤、帯電防止剤、安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、蛍光増白剤などが挙げられる。上記その他の成分は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
【0057】
上記形状転写フィルムの厚さは、特に限定されないが、例えば10~200μmであり、好ましくは15~150μmである。上記厚さが10μm以上であると、転写対象物の保護性能により優れる。上記厚さが200μm以下であると、使用時により剥離しやすい。
【0058】
上記形状転写フィルムによれば、上述の特定の凹凸形状を表面に有することにより、上記凹凸形状に由来する形状を転写対象物に付与することで転写対象物に充分な隠蔽性を付与することができ、且つ転写対象物から意図的に剥がす際には容易に剥がすことができる。また、輸送中など、形状転写フィルムを回路パターン隠蔽層から意図的に剥がす際以外の状況では剥がれにくい。
【0059】
[プリント配線板用貼付フィルム]
本開示の一実施形態に係るプリント配線板用貼付フィルムは、上記形状転写フィルムと、上記形状転写フィルムと直接積層した回路パターン隠蔽層とを備える。上記形状転写フィルムの上記凹凸形状を有する面に直接積層された回路パターン隠蔽層表面には、上記凹凸形状に由来する形状が付与(転写)されている。これにより、上記形状転写フィルムを意図的に剥がす際は上記回路パターン隠蔽層から容易に剥がすことができ、剥がした後の上記回路パターン隠蔽層は充分な隠蔽性を有する。
【0060】
上記プリント配線板用貼付フィルムは、接着剤層、上記回路パターン隠蔽層、および上記形状転写フィルムがこの順に積層していることが好ましい。上記プリント配線板用貼付フィルムは、上記接着剤層、上記回路パターン隠蔽層、および上記形状転写フィルム以外の層を備えていてもよい。
【0061】
上記プリント配線板用貼付フィルムの一実施形態について、以下に説明する。
図3は、上記プリント配線板用貼付フィルムの一実施形態を示す断面模式図である。
【0062】
図3に示すプリント配線板用貼付フィルム5は、接着剤層7と、回路パターン隠蔽層6と、
図1に示す形状転写フィルム1とを備える。より具体的には、プリント配線板用貼付フィルム5は、接着剤層7の一方の面に、接着剤層7を保護するための保護層である回路パターン隠蔽層6が直接積層されている。なお、プリント配線板用貼付フィルム5は、接着剤層7として導電性接着剤層を用いる場合、導電性接着剤層が電磁波シールド層として機能し、電磁波シールド性能を発揮する。この場合、プリント配線板用貼付フィルム5は電磁波シールドフィルムとして使用することができる。また、接着剤層7がシールド性能を有しないあるいはより高いシールド性能が求められる場合には、回路パターン隠蔽層と接着剤層との間に金属層などの他の電磁波シールド層を別途備えていてもよい。この場合、回路パターン隠蔽層は、接着剤層に間接的に積層されている。
【0063】
回路パターン隠蔽層6の接着剤層7とは反対側の面には、回路パターン隠蔽層6と樹脂層3とが接触するように形状転写フィルム1が積層されている。回路パターン隠蔽層6表面は、形状転写フィルム1の上記凹凸形状を有する面に直接積層されているため、上記凹凸形状に由来する形状が付与(転写)されている。
【0064】
(回路パターン隠蔽層)
上記回路パターン隠蔽層は、プリント配線板用貼付フィルムをプリント配線板に貼り合わせた状態において、プリント配線板における回路パターンを視認しにくくして隠蔽するための層であり、意匠性を担うこともある。上記プリント配線板用貼付フィルムの接着剤層をプリント配線板に貼付した際に、上記接着剤層の、上記プリント配線板とは反対側に位置することとなる側に位置する。上記プリント配線板用貼付フィルムにおいて、上記回路パターン隠蔽層は単層、複層(複数の回路パターン隠蔽層の積層体)のいずれであってもよい。なお、回路パターン隠蔽層と接着剤層との間に他の電磁波シールド層を別途備えている場合には、回路パターン隠蔽層は当該他の電磁波シールド層と接着剤層とを保護することができる。
【0065】
上記回路パターン隠蔽層は、バインダー成分として、金属や樹脂を含んでいてもよい。上記樹脂としては、上述の樹脂層に含まれる樹脂として例示および説明されたものが挙げられる。上記金属としては、ニッケル、銅、銀、錫、金、パラジウム、アルミニウム、クロム、チタン、亜鉛、およびこれらの1以上を含む合金が挙げられる。上記バインダー成分は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
【0066】
上記バインダー成分としては、中でも、樹脂が好ましい。上記樹脂としては、硬化前後で上記形状転写フィルムに対する密着性を変動させることで剥がれやすさを調整することができる観点から、硬化型樹脂であることが好ましく、プリント配線板用貼付フィルムをプリント配線板に熱圧着する際に同時に硬化させて上記形状転写フィルムに対する密着性を容易に低下させることができる観点から、熱硬化型樹脂であることが特に好ましい。
【0067】
上記回路パターン隠蔽層における上記バインダー成分の含有割合は、特に限定されないが、上記回路パターン隠蔽層の総量100質量%に対して、10~70質量%が好ましく、より好ましくは20~60質量%、さらに好ましくは30~50質量%である。
【0068】
上記回路パターン隠蔽層は、隠蔽性に優れるものとすることができる観点から、黒色系着色剤を含むことが好ましい。上記黒色系着色剤として、黒色顔料や、複数の顔料を減色混合して黒色化した混合顔料などを用いることができる。上記黒色顔料は、例えば、カーボンブラック、ケッチェンブラック、ペリレンブラック、チタンブラック、鉄黒、アニリンブラックなどが挙げられる。黒色顔料の粒径は、回路パターン隠蔽層への分散性の観点から、平均一次粒子径が20nm以上であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましい。黒色顔料の平均一次粒子径は、透過型電子顕微鏡(TEM)により5万倍~100万倍程度に拡大した画像から観察できる20個程度の一次粒子の平均値から求めることができる。上記混合顔料としては、例えば、赤色、緑色、青色、黄色、紫色、シアン、マゼンタなどの顔料を混合して用いることができる。上記回路パターン隠蔽層における黒色系着色剤の含有量は、上記回路パターン隠蔽層の総量100質量%に対して、例えば0.5~50質量%、好ましくは1~40質量%である。
【0069】
上記回路パターン隠蔽層は、本発明の効果を損なわない範囲内において、上述の各成分以外のその他の成分を含有していてもよい。上記その他の成分としては、例えば、消泡剤、粘度調整剤、酸化防止剤、希釈剤、沈降防止剤、充填剤、着色剤、レベリング剤、カップリング剤、紫外線吸収剤、粘着付与樹脂、硬化促進剤、可塑剤、難燃剤、ブロッキング防止剤、硬化剤などが挙げられる。上記その他の成分は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
【0070】
上記回路パターン隠蔽層の上記形状転写フィルムが貼り合わせられた表面における60°光沢度は、0.3~5.0であることが好ましく、より好ましくは0.4~3.0、さらに好ましくは0.5~2.0である。上記60°光沢度が0.3以上であると、形状転写フィルムを意図的に剥離することがよりいっそう容易となる。上記60°光沢度が5.0以下であると、隠蔽性がより高くなる。上記60°光沢度は、JIS Z8741に準拠した方法により測定することができる。なお、上記60°光沢度は、上記プリント配線板用貼付フィルムから上記形状転写フィルムを剥がした状態で測定される。
【0071】
上記回路パターン隠蔽層の上記形状転写フィルムが貼り合わせられた表面における85°光沢度は、15以下であることが好ましく、より好ましくは15未満である。上記85°光沢度が15以下であると、隠蔽性がより高くなる。上記85°光沢度は、JIS Z8741に準拠した方法により測定することができる。なお、上記85°光沢度は、上記プリント配線板用貼付フィルムから上記形状転写フィルムを剥がした状態で測定される。
【0072】
上記回路パターン隠蔽層は、全光線透過率が20%以下であることが好ましく、より好ましくは10%以下、さらに好ましくは5%以下である。上記全光線透過率が20%以下であると、プリント配線板用貼付フィルムをプリント配線板に貼り合わせた際に、回路パターンをよりいっそう視認しにくい。
【0073】
上記回路パターン隠蔽層の厚さは、特に限定されず、必要に応じて適宜設定することができる。上記回路パターン隠蔽層の厚さは、隠蔽性の実現、形成の容易さ、およびフレキシブル性の確保等の観点から、1μm以上が好ましく、より好ましくは4μm以上である。また、上記回路パターン隠蔽層の厚さは、20μm以下が好ましく、より好ましくは10μm以下、さらに好ましくは5μm以下である。
【0074】
(接着剤層)
上記接着剤層は、上記プリント配線板用貼付フィルムをプリント配線板に接着するための接着性を有する。接着剤層は、単層、複層のいずれであってもよい。
【0075】
上記接着剤層は、接着剤層中において樹脂領域を構成するバインダー成分を含有することが好ましい。上記バインダー成分としては、上述の樹脂層に含まれる樹脂として例示および説明されたものが挙げられる。上記バインダー成分は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
【0076】
上記バインダー成分が熱硬化型樹脂を含む場合、上記バインダー成分を構成する成分として、熱硬化反応を促進するための硬化剤を含んでいてもよい。上記硬化剤は、上記熱硬化型樹脂の種類に応じて適宜選択することができる。上記硬化剤は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
【0077】
上記接着剤層は、導電性接着剤層であってもよい。導電性接着剤層である場合、上記接着剤層は、電磁波シールド性を発揮することが可能となる。上記接着剤層が導電性接着剤層である場合、さらに、導電性粒子を含有することが好ましい。
【0078】
上記導電性粒子としては、例えば、金属粒子、金属被覆樹脂粒子、金属繊維、カーボンフィラーなどが挙げられる。上記導電性粒子は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
【0079】
上記金属粒子、上記金属被覆樹脂粒子の被覆部を構成する金属、および上記金属繊維を構成する金属としては、例えば、金、銀、銅、ニッケル、亜鉛などが挙げられる。上記金属は一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
【0080】
上記金属粒子としては、具体的には、例えば、銅粒子、銀粒子、ニッケル粒子、銀被覆銅粒子、金被覆銅粒子、銀被覆ニッケル粒子、金被覆ニッケル粒子、銀被覆合金粒子などが挙げられる。上記銀被覆合金粒子としては、例えば、銅を含む合金粒子(例えば、銅とニッケルと亜鉛との合金からなる銅合金粒子)が銀により被覆された銀被覆銅合金粒子などが挙げられる。上記金属粒子は、電解法、アトマイズ法、還元法などにより作製することができる。
【0081】
上記金属粒子としては、中でも、銀粒子、銀被覆銅粒子、銀被覆銅合金粒子が好ましい。導電性に優れ、金属粒子の酸化および凝集を抑制し、且つ金属粒子のコストを下げることができる観点から、特に、銀被覆銅粒子、銀被覆銅合金粒子が好ましい。
【0082】
上記導電性粒子の形状としては、球状、フレーク状(鱗片状)、樹枝状、繊維状、不定形(多面体)などが挙げられる。
【0083】
上記導電性粒子のメディアン径(D50)は、1~50μmであることが好ましく、より好ましくは3~40μmである。上記メディアン径が1μm以上であると、導電性粒子の分散性が良好で凝集が抑制でき、また酸化されにくい。上記平均粒径が50μm以下であると、導電性が良好となる。上記D50は、レーザー回折・散乱法により求めた粒度分布における積算値50%での粒径をいうものとする。
【0084】
上記導電性接着剤層は、必要に応じて等方導電性または異方導電性を有する層とすることができる。
【0085】
上記接着剤層が導電性接着剤層である場合、上記接着剤層におけるバインダー成分の含有割合は、特に限定されないが、接着剤層の総量100質量%に対して、5~60質量%が好ましく、より好ましくは10~50質量%、さらに好ましくは20~40質量%である。上記含有割合が5質量%以上であると、電磁波シールド性能が良好となる。上記含有割合が60質量%以下であると、プリント配線板に対する密着性により優れる。
【0086】
上記接着剤層が導電性接着剤層である場合、上記接着剤層における導電性粒子の含有割合は、特に限定されないが、接着剤層の総量100質量%に対して、2~95質量%が好ましく、より好ましくは5~80質量%、さらに好ましくは10~70質量%である。上記含有割合が2質量%以上であると、導電性がより良好となる。上記含有割合が95質量%以下であると、バインダー成分を充分に含有させることができ、プリント配線板に対する密着性がより良好となる。
【0087】
上記接着剤層は、本発明の効果を損なわない範囲内において、上記の各成分以外のその他の成分を含有していてもよい。上記その他の成分としては、公知乃至慣用の接着剤層に含まれる成分が挙げられる。上記その他の成分としては、例えば、消泡剤、粘度調整剤、酸化防止剤、希釈剤、沈降防止剤、充填剤、着色剤、レベリング剤、カップリング剤、紫外線吸収剤、粘着付与樹脂、硬化促進剤、可塑剤、難燃剤、ブロッキング防止剤などが挙げられる。上記その他の成分は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
【0088】
上記接着剤層の厚さは、3~20μmであることが好ましく、より好ましくは5~15μmである。上記厚さが3μm以上であると、プリント配線板と密着性がより良好となる。
【0089】
上記プリント配線板用貼付フィルムは、上記形状転写フィルム、上記回路パターン隠蔽層、および上記接着剤層以外のその他の層を有していてもよい。上記その他の層としては、上記回路パターン隠蔽層と上記接着剤層の間に設けられる、金属層など、上記導電性接着剤層以外のその他の電磁波シールド層が挙げられる。また、上記その他の電磁波シールド層を有する場合、上記その他の層としては、上記回路パターン隠蔽層と上記その他の電磁波シールド層の間に設けられる、アンカーコート層が挙げられる。
【0090】
上記金属層を構成する金属としては、例えば、金、銀、銅、アルミニウム、ニッケル、スズ、パラジウム、クロム、チタン、亜鉛、またはこれらの合金などが挙げられる。上記金属層としては、金属板または金属箔であることが好ましい。すなわち、上記金属層としては、銅板(銅箔)、銀板(銀箔)が好ましい。
【0091】
上記アンカーコート層を形成する材料としては、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂をシェルとしアクリル系樹脂をコアとするコア・シェル型複合樹脂、エポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂、尿素ホルムアルデヒド系樹脂、ポリイソシアネートにフェノール等のブロック化剤を反応させて得られたブロックイソシアネート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。上記材料は、一種のみを使用してもよいし、二種以上を使用してもよい。
【0092】
上記プリント配線板用貼付フィルムにおける、回路パターン隠蔽層に対する形状転写フィルムの剥離力(第1剥離力)は、0.1N以上であることが好ましく、より好ましくは0.2N以上、さらに好ましくは0.3N以上である。第1剥離力が0.1N以上であると、輸送中などにおいて剥離しにくく、意図しない剥離を抑制することができる。なお、第1剥離力は、実施例に記載の方法で測定することができる。
【0093】
上記プリント配線板用貼付フィルムの接着剤層面をプリント配線板に貼り合わせ、加熱加圧による貼着を行った後の状態における、回路パターン隠蔽層に対する形状転写フィルムの剥離力(第2剥離力)は、3.0N以下であることが好ましく、より好ましくは2.0N以下、さらに好ましくは1.5以下である。第2剥離力が3.0N以下であると、使用時に意図的に形状転写フィルムを剥離する際において、形状転写フィルムを容易に剥離することができる。なお、第2剥離力は、実施例に記載の方法で測定することができる。
【0094】
第1剥離力に対する第2剥離力の比[第2剥離力/第1剥離力]は、0.5~1.5が好ましく、より好ましくは0.6~1.3、さらに好ましくは0.7~1.2である。上記比が上記範囲内であると、意図しない剥離をより抑制することができ、且つ使用時において意図的に剥離する際はより容易に剥離することができる。
【0095】
上記プリント配線板用貼付フィルムは、フレキシブルプリント配線板(FPC)用途であることが特に好ましい。上記プリント配線板用貼付フィルムは、フレキシブルプリント配線板用の貼付フィルムとして好ましく使用することができる。
【0096】
(プリント配線板用貼付フィルムの製造方法)
上記プリント配線板用貼付フィルムの製造方法について説明する。
図3に示すプリント配線板用貼付フィルム5の作製においては、まず、接着剤層7と回路パターン隠蔽層6とを個別に作製する。その後、個別に作製された接着剤層7と回路パターン隠蔽層6とを貼り合わせる(ラミネート法)。
【0097】
接着剤層7は、例えば、接着剤層7形成用の接着剤組成物を、セパレートフィルムなどの仮基材または基材上に塗布(塗工)し、必要に応じて、脱溶媒および/または一部硬化させて形成することができる。
【0098】
上記接着剤組成物は、例えば、上述の接着剤層に含まれる各成分に加え、溶剤(溶媒)を含む。溶剤としては、例えば、トルエン、アセトン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、プロパノール、ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。接着剤組成物の固形分濃度は、形成する接着剤層の厚みなどに応じて適宜設定される。
【0099】
上記接着剤組成物の塗布には、公知のコーティング法が用いられてもよい。例えば、グラビアロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、リップコーターディップロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、スプレーコーター、コンマコーター、ダイレクトコーター、スロットダイコーターなどのコーターが用いられてもよい。
【0100】
一方、回路パターン隠蔽層6は、バインダー成分として樹脂を用いたものである場合、例えば、回路パターン隠蔽層6形成用の樹脂組成物を、上記形状転写フィルムの上記凹凸形状が形成された面に塗布(塗工)し、必要に応じて、脱溶媒および/または一部硬化させて固化して形成することができる。これにより、回路パターン隠蔽層6表面に形状転写フィルム1の凹凸形状面に由来する形状を付与することができる。
【0101】
上記樹脂組成物は、例えば、上述の回路パターン隠蔽層に含まれる各成分に加え、溶剤(溶媒)を含む。溶剤としては、上述の接着剤組成物が含み得る溶剤として例示されたものが挙げられる。上記樹脂組成物の固形分濃度は、形成する回路パターン隠蔽層の厚さなどに応じて適宜設定される。
【0102】
上記樹脂組成物の塗布には、公知のコーティング法が用いられてもよい。例えば、上述の接着剤組成物の塗布に用いられるコーターとして例示されたものが挙げられる。
【0103】
次いで、それぞれ作製された接着剤層7の露出面と回路パターン隠蔽層6の露出面とを貼り合わせ、プリント配線板用貼付フィルム5が作製される。
【0104】
上記プリント配線板用貼付フィルムは、上記ラミネート法以外の他の態様として、各層を順次積層する方法で製造してもよい(ダイレクトコート法)。例えば、
図3に示すプリント配線板用貼付フィルム5は、接着剤層7の表面に、回路パターン隠蔽層6形成用の樹脂組成物を塗布(塗工)し、必要に応じて脱溶媒および/または一部硬化により固化させて回路パターン隠蔽層6を形成することで製造することができる。なお、この場合、完全に固化する前に形状転写フィルム1の凹凸形状面を上記樹脂組成物の層に積層し、その後完全に固化させることで、形成される回路パターン隠蔽層6表面に上記凹凸形状に由来する形状を付与することができる。あるいは、先に形状転写フィルム1の凹凸形状面に回路パターン隠蔽層6を形成し、回路パターン隠蔽層6の表面に接着剤層7形成用の接着剤組成物を塗布(塗工)し、必要に応じて脱溶媒および/または一部硬化させて接着剤層7を形成することで製造することができる。
【実施例】
【0105】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
【0106】
実施例1
(形状転写フィルムの作製)
シリカ粒子(D50:6.5μm)30質量部、メラミン系樹脂100質量部、およびトルエンからなる樹脂組成物を調製し、厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの表面にワイヤーバーを用いて上記樹脂組成物を塗布し、加熱により脱溶媒を行って、基材層表面に厚さ5μmの樹脂層を有する形状転写フィルムを作製した。
【0107】
(貼付フィルムの作製)
固形分量が20質量%となるように、トルエンにビスフェノールA型エポキシ系樹脂(商品名「jER1256」、三菱ケミカル株式会社製)を100質量部、硬化剤(商品名「ST14」、三菱ケミカル株式会社製)を0.1質量部、黒色系着色剤としてカーボン粒子(商品名「トーカブラック#8300/F」、東海カーボン株式会社製)を15質量部配合し、樹脂組成物を調製した。上記樹脂組成物を、上記形状転写フィルムの樹脂層表面にワイヤーバーを用いて塗布し、加熱による固化を行い、形状転写フィルムの表面に厚さ5μmの回路パターン隠蔽層を形成した。
【0108】
次に、固形分量が20質量%となるように、トルエンにビスフェノールA型エポキシ系樹脂(商品名「jER1256」、三菱ケミカル株式会社製)を100質量部、硬化剤(商品名「ST14」、三菱ケミカル株式会社製)を0.1質量部配合し、撹拌混合して接着剤層組成物を調製した。上記接着剤層組成物を、表面が離型処理されたPETフィルム(以下、支持フィルム)にワイヤーバーを用いて塗布し、加熱による固化を行い、支持フィルム表面に厚さ5μmの接着剤層を形成した。
【0109】
次に、形状転写フィルムの表面に形成された回路パターン隠蔽層と、支持フィルムの表面に形成された接着剤層とを貼り合わせ、100℃に加熱した一対の金属ロールを用いて、5MPaの圧力で加熱加圧して貼付フィルムを得た。得られた貼付フィルムの全光線透過率は、5%以下であった。
【0110】
(評価用基板の作製)
上記で得られた貼付フィルムをプリント配線板上に積層し、その後プレス機を用いて温度:170℃、圧力:2MPaの条件で60秒真空引きした後、さらに180秒間加熱加圧して接着し、評価用基板を作製した。なお、上記プリント配線板として、ポリイミドフィルムからなるベース層上に回路パターンが形成されたものを用いた。上記回路パターンは、線幅0.1mm、高さ12μmの銅箔により形成した。上記ベース層上には回路パターンを覆うように厚さ25μmの接着剤層と、厚さ12.5μmのポリイミドフィルムからなるカバーレイ(絶縁フィルム)を設けた。
【0111】
実施例2
基材層表面に厚さ7μmの樹脂層を形成したこと以外は実施例1と同様にして、形状転写フィルム、貼付フィルム、および評価用基板を作製した。
【0112】
実施例3
シリカ粒子としてD50が4.5μmのものを用いたこと以外は実施例1と同様にして、形状転写フィルム、貼付フィルム、および評価用基板を作製した。
【0113】
実施例4
シリカ粒子としてD50が3.8μmのものを用いたこと以外は実施例1と同様にして、形状転写フィルム、貼付フィルム、および評価用基板を作製した。
【0114】
比較例1
シリカ粒子としてD50が9μmのものを用いたこと以外は実施例1と同様にして、形状転写フィルム、貼付フィルム、および評価用基板を作製した。
【0115】
比較例2
シリカ粒子としてD50が10μmのものを用いたこと以外は実施例1と同様にして、形状転写フィルム、貼付フィルム、および評価用基板を作製した。
【0116】
比較例3
シリカ粒子としてD50が3.5μmのものを用い、基材層表面に厚さ3μmの樹脂層を形成したこと以外は実施例1と同様にして、形状転写フィルム、貼付フィルム、および評価用基板を作製した。
【0117】
比較例4
基材層表面に厚さ4μmの樹脂層を形成したこと以外は比較例3と同様にして、形状転写フィルム、貼付フィルム、および評価用基板を作製した。
【0118】
比較例5
表1に示す性能の凹凸形状を有するフィルムを形状転写フィルムとして用いた。そして、上記形状転写フィルムを用いたこと以外は実施例1と同様にして、貼付フィルムおよび評価用基板を作製した。
【0119】
比較例6
ポリエチレンテレフタレート樹脂にフィラーを練り込んで成形することで得られた、表1に示す性能の凹凸形状を有するフィルムを形状転写フィルムとして用いた。そして、上記形状転写フィルムを用いたこと以外は実施例1と同様にして、貼付フィルムおよび評価用基板を作製した。
【0120】
比較例7
ポリエチレンテレフタレート樹脂にフィラーを練り込んで成形することで得られた、表1に示す性能の凹凸形状を有するフィルムを形状転写フィルムとして用いた。そして、上記形状転写フィルムを用いたこと以外は実施例1と同様にして、貼付フィルムおよび評価用基板を作製した。
【0121】
比較例8
ポリエチレンテレフタレートフィルム表面をサンドマット処理することで得られた、表1に示す性能の凹凸形状を有するフィルムを形状転写フィルムとして用いた。そして、上記形状転写フィルムを用いたこと以外は実施例1と同様にして、貼付フィルムおよび評価用基板を作製した。
【0122】
(評価)
実施例および比較例で得られた各形状転写フィルム、貼付フィルム、および評価用基板について以下の通り評価した。評価結果は表に記載した。
【0123】
(1)表面形状
コンフォーカル顕微鏡(商品名「OPTELICS HYBRID」、Lasertec社製、対物レンズ100倍)を用い、ISO25178に準拠して、形状転写フィルムの樹脂層表面の任意の5か所に形成された凹凸形状について、界面の展開面積比Sdr、コア部のレベル差Sk、算術平均高さSa、二乗平均平方根高さSq、および二乗平均平方根傾斜Sdqの算術平均を測定した。なお、Sフィルタのカットオフ波長は0.0025mm、Lフィルタのカットオフ波長は0.8mmとした。
【0124】
(2)光沢度
ガードナー・マイクロ-グロス(携帯型光沢計、BYK社製)を用いて、形状転写フィルムの樹脂層表面に形成された凹凸形状おける60°光沢度および85°光沢度、並びに、評価用基板における回路パターン隠蔽層表面の上記凹凸形状が転写された領域における60°光沢度および85°光沢度を測定した。なお、回路パターン隠蔽層表面の光沢度の測定は、上記評価用基板から形状転写フィルムを剥離した後の表面について行った。
【0125】
(3)加熱加圧前の剥離力(第1剥離力)
上記実施例および比較例で作製した貼付フィルム(加熱加圧を行う前の状態)から形状転写フィルムを剥離する際の剥離力を、第1剥離力として測定した。具体的には、貼付フィルムを厚さ100μmのポリイミドフィルムに固定し、強度テスター(商品名「PFT50S」、株式会社パルメック製)を用いて、サンプル幅10mm、剥離角度170°、剥離速度1000mm/minの条件で、貼付フィルムから形状転写フィルムを剥離したときの剥離力(第1剥離力)を評価した。
【0126】
(4)加熱加圧後の剥離力(第2剥離力)
上記評価用基板の作製時において、加熱加圧を行った後の状態から形状転写フィルムを剥離する際の剥離力を、第2剥離力として測定した。具体的には、強度テスター(商品名「PFT50S」、株式会社パルメック製)を用いて、サンプル幅10mm、剥離角度170°、剥離速度1000mm/minの条件で、評価用基板から形状転写フィルムを剥離したときの剥離力(第2剥離力)を評価した。
【0127】
(5)隠蔽性
評価用基板を、平らなテーブル面上に置き、形状転写フィルムを剥離した後、シールド配線板の表面の照度が500ルクスの環境下で、評価用基板からの高さが30cmで、45°の角度において、回路パターン隠蔽層側から回路パターンが視認できるかどうか評価した。回路パターンを視認できない場合を隠蔽性が良好(○)とし、回路パターンを視認できる場合を隠蔽性が不良(×)として評価した。
【0128】
【0129】
実施例の形状転写フィルムは、形状転写フィルムを用いて形成された回路パターン隠蔽層は隠蔽性に優れ、加熱加圧後の剥離力(第2剥離力)は2.0N以下と低く、回路パターン隠蔽層からの剥離性にも優れていた。また、加熱加圧前の剥離力(第1剥離力)は0.1N以上であり、形状転写フィルムは意図しない状況においては剥がれにくいことが示されている。一方、形状転写フィルム表面の界面の展開面積比Sdrあるいはコア部のレベル差Skが大きい場合(比較例1および2)、第2剥離力は2.0Nを超えており、回路パターン隠蔽層からの剥離性に劣っていた。また、形状転写フィルム表面の界面の展開面積比Sdrあるいはコア部のレベル差Skが小さい場合(比較例3~8)、回路パターン隠蔽層の隠蔽性に劣っていた。また、比較例8においては、第2剥離力は2.0Nを超えており、回路パターン隠蔽層からの剥離性にも劣っていた。
【符号の説明】
【0130】
1 形状転写フィルム
2 基材層
3 樹脂層
4 フィラー
5 プリント配線板用貼付フィルム
6 回路パターン隠蔽層
7 接着剤層
2a,3a 形状転写フィルム平坦面