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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】付加製造のためのポリプロピレン系粒子
(51)【国際特許分類】
   C08L 23/14 20060101AFI20231226BHJP
   C08L 23/16 20060101ALI20231226BHJP
   C08J 3/12 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
C08L23/14
C08L23/16
C08J3/12 A CES
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021572403
(86)(22)【出願日】2020-06-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-29
(86)【国際出願番号】 US2020037366
(87)【国際公開番号】W WO2020252224
(87)【国際公開日】2020-12-17
【審査請求日】2022-01-24
(31)【優先権主張番号】62/861,856
(32)【優先日】2019-06-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】597013711
【氏名又は名称】スリーディー システムズ インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100139723
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 洋
(72)【発明者】
【氏名】シル,メイサム
(72)【発明者】
【氏名】ムサ,カリル
【審査官】常見 優
(56)【参考文献】
【文献】特表平11-504679(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103980401(CN,A)
【文献】特開2008-162857(JP,A)
【文献】特開昭58-191721(JP,A)
【文献】特開2002-187996(JP,A)
【文献】特開2006-321711(JP,A)
【文献】特開2006-248156(JP,A)
【文献】特開2008-174732(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00-101/16
C08K 3/00- 13/08
C08F 6/00-246/00
B29C 64/00- 64/40
67/00- 69/02
73/00- 73/34
B29D 1/00- 29/10
33/00
99/00
B33Y 10/00- 99/00
C08J 3/00- 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉末組成物であって、
球状、回転楕円体形状、または球状と回転楕円体形状の混合物を有するコポリマーまたはターポリマーの粒子
を含み、
前記コポリマーまたはターポリマーは、3~9モルパーセントの量の1つまたは複数のアルケンモノマー種、および残りのポリプロピレンを含み、
前記コポリマーまたはターポリマーが、90~95℃の結晶化温度を有し、
前記コポリマーまたはターポリマーが、ランダムコポリマーまたはランダムターポリマーであり、
前記アルケンモノマー種が、エチレン、ブテンおよび1-オクテンからなる群より選択され、
前記粒子が、20~40μmのD10、40~80μmのD50、および150μm未満のD90を有する
ことを特徴とする、粉末組成物。
【請求項2】
前記粒子が、0.7~1のアスペクト比を有することを特徴とする、請求項1に記載の粉末組成物。
【請求項3】
前記コポリマーまたはターポリマーの溶融温度と結晶化温度との差が、45℃未満であることを特徴とする、請求項1に記載の粉末組成物。
【請求項4】
前記コポリマーまたはターポリマーが、実質的に分岐していないことを特徴とする、請求項1に記載の粉末組成物。
【請求項5】
前記コポリマーまたはターポリマーが、等方性ランダム構造を有することを特徴とする、請求項1に記載の粉末組成物。
【請求項6】
前記コポリマーまたはターポリマーが、1.2~5のMw/Mn比を有することを特徴とする、請求項1に記載の粉末組成物。
【請求項7】
前記粒子の粒径分布D10が、.6×D50以上であることを特徴とする、請求項1に記載の粉末組成物。
【請求項8】
0.4g/cm超の見掛け密度を有することを特徴とする、請求項1に記載の粉末組成物。
【請求項9】
0.4~0.6g/cmの見掛け密度を有することを特徴とする、請求項1に記載の粉末組成物。
【請求項10】
0.5g/cm超のタップ密度を有することを特徴とする、請求項1に記載の粉末組成物。
【請求項11】
1.1~1.4のハウスナー比を有することを特徴とする、請求項1に記載の粉末組成物。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、ここに参照することによってその全体が援用される、2019年6月14日出願の米国仮特許出願第62/861,856号に対する特許協力条約第8条に従った優先権を主張する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、ポリマー粉末に関し、特に、1つまたは複数の付加製造技術で使用するためのポリプロピレン系粉末に関する。
【背景技術】
【0003】
付加製造は、概して、デジタル3次元(3D)設計データを使用して、材料堆積および処理によって物品または構成要素を層状に作製するプロセスを包含する。付加製造の傘下に入る様々な技術が開発されている。付加製造は、成形プロセスに基づく従来の物品製造技術の効率的かつ費用効果の高い代替案を提供する。付加製造によって、金型および/またはダイの構築および他の工作機械器具設備の多くの時間および費用を未然に防ぐことができる。さらに、付加製造技術は、プロセスにおけるリサイクルを可能にし、金型潤滑剤および冷却剤の必要性を排除することによって、材料を効率的に利用する。最も重要なことには、付加製造は、物品設計において顕著な自由度を可能にする。非常に複雑な形状を有する物品を、多くの費用をかけずに製造することができ、最終的な設計選択の前に一連の物品設計の開発および評価を可能にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ポリプロピレン系粉末は、1つまたは複数の付加製造技術による様々な物品の製造に使用するために本明細書に記載されている。ポリプロピレン系粉末は、向上した機械的特性を有する物品の製造に有利な粒子形態、粒径分布、および/または組成パラメータを示すことができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様では、粉末組成物は、球状、回転楕円体形状、または球状と回転楕円体形状の混合物を有するコポリマーまたはターポリマーの粒子を含み、コポリマーまたはターポリマーは、1つまたは複数のアルケンモノマー種および残りのポリプロピレンを含む。いくつかの実施形態では、アルケンモノマー種は、3~9モルパーセントの量でコポリマーまたはターポリマー中に存在する。いくつかの実施形態では、粒子は0.5~1のアスペクト比を有する。さらに、粒子のコポリマーまたはターポリマーは、等方性ランダム構造を含むランダム構造を有することができ、ブロックコポリマーまたはブロックターポリマーの形成を含まない。
【0006】
別の態様では、付加製造技術によって製造される物品が記載される。付加製造技術によって製造される物品は、1つまたは複数のアルケンモノマー種および残りのポリプロピレンを含むコポリマーまたはターポリマーの溶融粒子を含み、物品は、18~23MPaの引張強度を有する。いくつかの実施形態では、物品は70パーセント超の破断点伸びを有する。
【0007】
さらなる態様において、物品を形成する方法が記載される。物品を形成する方法は、球状、回転楕円体形状、または球状と回転楕円体形状の混合物を有するコポリマーまたはターポリマーの粒子を含む粉末組成物を提供する工程を含み、コポリマーまたはターポリマーは、1つまたは複数のアルケンモノマー種および残りのポリプロピレンを含む。粉末は、付加製造技術によって物品に形成される。いくつかの実施形態では、付加製造技術は粉末床溶融結合技術である。物品は、いくつかの実施形態では、18~23MPaの引張強度および/または70パーセント超の破断点伸びを示すことができる。
【0008】
これらおよび他の実施形態は、以下の詳細な説明においてさらに説明される。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書に記載される実施形態は、以下の詳細な説明および実施例並びにそれらの前述および後述の説明を参照することによって、より容易に理解することができる。しかしながら、本明細書に説明される要素、装置、および方法は、詳細な説明および実施例に提示される特定の実施形態に限定されない。これらの実施形態は、本発明の原理の単なる例示であることを認識されたい。本発明の精神および範囲から逸脱することなく、多くの修正および適合が当業者には容易に明らかであろう。
【0010】
一態様では、粉末組成物は、球状、回転楕円体形状、または球状と回転楕円体形状の混合物を有するコポリマーまたはターポリマーの粒子を含み、コポリマーまたはターポリマーは、1つまたは複数のアルケンモノマー種および残りのポリプロピレンを含む。いくつかの実施形態では、例えば、粒子は0.5~1のアスペクト比を有する。球状および/または回転楕円体形状の粒子はまた、いくつかの実施形態では、0.6~1、0.7~1、または0.8~1のアスペクト比を有してもよい。
【0011】
いくつかの実施形態では、粒子を形成するコポリマーまたはターポリマーの1つまたは複数のアルケンモノマー種は、焼結を含む付加製造技法において粒子合体を促進するように、粒子の表面エネルギーおよび/またはポリマー鎖構造を変化させることを含むがそれに限定されない、様々の検討事項に従って選択することができる。付加製造によって製造される物品の1つまたは複数の特性を向上させる目的に合致する任意のアルケンモノマー種を使用することができる。いくつかの実施形態では、例えば、プロピレンモノマーとの共重合のためのアルケンモノマー種は、エチレン、ブテンおよび1-オクテンからなる群から選択される。粒子形成のためのアルケンモノマー種とプロピレンモノマーとの任意の組合せが企図される。いくつかの実施形態では、粒子のコポリマーまたはターポリマーは、等方(isostatic)ランダム構造を有し、ブロックコポリマーまたはブロックターポリマーの形成を含まない。さらに、コポリマーまたはターポリマーは、線状または実質的に線状であり得る。実質的に線状である場合、コポリマーまたはターポリマーは、1パーセント未満の分岐を有する。
【0012】
コポリマーおよびターポリマーは、本明細書に記載の目的に合致する任意の量のアルケンモノマーを含むことができる。いくつかの実施形態では、アルケンモノマー種は、コポリマーまたはターポリマー中に1~20モルパーセントの量で存在する。あるいは、アルケンモノマー種は、コポリマーまたはターポリマー中に、表1から選択される量で存在してもよい。
【表1】
【0013】
アルケンモノマーの具体的な量は、いくつかの検討事項に従って選択することができ、これらは、アルケンモノマー種の同一性、所望のコポリマーまたはターポリマー構造、および/または粒子表面エネルギーを含むがこれらに限定されない。さらに、コポリマーまたはターポリマーは、いくつかの実施形態では、1.2~5のMw/Mn比を有することができる。
【0014】
本明細書に記載のコポリマーまたはターポリマーを含む粒子は、様々な熱特性および/または相転移特性を示すことができ、粉末床溶融結合技術を含む付加製造技術による有利な機械的特性を有する物品の形成を容易にする。いくつかの実施形態において、粒子を形成するアルキレンモノマーおよびプロピレンのコポリマーまたはターポリマーは、100℃未満の結晶化温度を有する。コポリマーまたはターポリマーの結晶化温度は、例えば、90~95℃の範囲であり得る。さらに、いくつかの実施形態では、粒子のコポリマーまたはターポリマーは、45℃未満または40℃未満の溶融温度と結晶化温度との差(Tm-Tc)を示しうる。いくつかの実施形態では、Tm-Tcは、30~45℃の範囲である。コポリマーおよびターポリマーの溶融および結晶化温度は、示差走査熱量測定(DSC)に従って特定することができる。
【0015】
コポリマーまたはターポリマーの組成および構造に加えて、粉末の球状および/または回転楕円体の粒子はまた、向上された機械的特性を有する付加製造された物品を生じる粒径分布を示し得る。粒子は、例えば、20~40μmのD10を有することができる。いくつかの実施形態では、粒子は、少なくとも(0.6)D50または少なくとも(0.7)D50のD10を有する。D50は、いくつかの実施形態では、40~80μmの範囲であり得る。前述のD10値と併せて、粒子は、150μm未満または120μm未満のD90を有することができる。いくつかの実施形態では、粒子の1パーセント未満が10μm未満のサイズを有する。
【0016】
いくつかの実施形態では、粉末組成物は、少なくとも0.4g/cmの見掛け密度を有する。粉末組成物の見掛け密度は0.4~0.6g/cmであり得る。粉末組成物はまた、少なくとも0.5g/cmのタップ密度を示すことができる。いくつかの実施形態では、粉末組成物は、0.45~0.65g/cmのタップ密度を有する。さらに、いくつかの実施形態では、粉末組成物の見かけ密度に対するタップ密度の比(ハウスナー比)は、1.1~1.4である。ハウスナー比は、1.25未満、例えば1.1~1.2などとすることができる。本明細書に記載の粉末組成物の見掛け密度およびタップ密度は、ASTM D1895-17に従って特定することができる。
【0017】
前述の組成および/または特性を有する粉末組成物は、溶媒沈殿、噴霧形成、および/または粉砕、ミリングおよび成形を含むがこれらに限定されない様々な技術に従って製造することができる。
【0018】
本明細書に記載されるように、粉末組成物の前述の特性は、付加製造技術を介して向上した機械的特性を有する物品の製造に有利であり得る。付加製造技術によって製造される物品は、例えば、1つまたは複数のアルケンモノマー種および残りのポリプロピレンを含むコポリマーまたはターポリマーの溶融粒子を含む。いくつかの実施形態では、付加製造された物品は、17~25MPaまたは18~23MPaの引張強度を有する。さらに、物品は、少なくとも700MPaの引張弾性率を示すことができる。物品は、例えば、700~1100MPaの引張弾性率を示すことができる。物品はまた、ASTM D638に従って50パーセント超または70パーセント超の破断点伸びを示すことができる。いくつかの実施形態では、物品は、少なくとも90パーセントの破断点伸びを示す。物品の破断点伸びはまた、いくつかの実施形態では、95~110パーセントの範囲であり得る。さらに、物品は、30~90℃の熱変形温度を有し得る。
【0019】
さらに、物品は、いくつかの実施形態では、ASTM D256に従って35J/m超のノッチ付き衝撃強さを有することができる。例えば、物品は、40~70J/mのノッチ付き衝撃強さを有することができる。物品はまた、いくつかの実施形態では、5未満の空隙率(vol.% porosity)または3未満の空隙率を示すことができる。
【0020】
本明細書に記載のコポリマーまたはターポリマーの組成および特性によって提供される付加製造プロセスにおける粒子合体の向上は、物品の前述の機械的特性の1つまたは複数を生成するのを補助し得る。物品は、任意の所望の付加製造技術によって製造することができる。いくつかの実施形態では、物品は、選択的レーザ焼結(SLS)または選択的レーザ溶融(SLM)などの粉末床技術によって製造される。表2は、いくつかの実施形態による、付加製造技術を介して本明細書に記載される粉末組成物から形成される際に物品が示すことができる前述の特性の概要を提供する。
【表2】
【0021】
さらなる態様において、物品を形成する方法が記載される。物品を形成する方法は、コポリマーまたはターポリマーの粒子を含む粉末組成物を提供する工程を含み、コポリマーまたはターポリマーは、1つまたは複数のアルケンモノマー種および残りのポリプロピレンを含む。粉末は、付加製造技術によって物品に形成される。粉末組成物および本明細書に記載の方法により得られる物品は、表1および2の組成および特性を含む、上記の任意の組成、構造および/または特性を有することができる。いくつかの実施形態では、コポリマーまたはターポリマーの粒子は、球状、回転楕円体形状、または球状と回転楕円体形状の混合物を有する。あるいは、本明細書に記載されるコポリマーまたはターポリマーの粒子は、非球状または不規則な形状であるが、上記で開示されるかさ密度および/またはタップ密度値を示す。さらに、付加製造技術は、選択的レーザ焼結(SLS)または選択的レーザ溶融(SLM)などの粉末床技術であり得る。
【0022】
これらおよび他の実施形態は、以下の実施例においてさらに説明される。
【実施例
【0023】
実施例1-粉末組成物
約5モルパーセントのエチレンおよび残りのアイソタクチック(isotactic)ポリプロピレンを含む本明細書に記載のランダムコポリマーを合成し、溶媒粉砕によって粉末組成物に形成した。ランダムコポリマーは分岐を示さなかった。粉末組成物は表3の特性を示した。
【表3】
【0024】
表3の特性を示す個々のコポリマー粒子は、球状および/または回転楕円体状の形態を有していた。
【0025】
実施例2-粉末組成物
約3モルパーセントのエチレン、3モルパーセントのブテン、および残りのアイソタクチックポリプロピレンを含む本明細書に記載されるランダムターポリマーを合成し、溶媒粉砕によって粉末組成物に形成した。ターポリマーは分岐を示さなかった。粉末組成物は表4の特性を示した。
【表4】
【0026】
表4の特性を示す個々のターポリマー粒子は、球状および/または回転楕円体状の形態を有していた。
【0027】
実施例3-AM物品
サウスカロライナ州ロックヒルの3D Systemsから市販されているsPro60 HD-HS SLS機上で、実施例1および2の粉末組成物から、引張試験バーおよび衝撃サンプル(ノッチ付きおよびノッチなし)をプリントした。sPro60 HD-HS SLS機上で、比較粉末組成物3~5からも、引張試験バーおよび衝撃サンプルをプリントした。比較粉末組成物の組成パラメータは以下の通りであった:
比較粉末3-溶媒粉砕されたアイソタクチックポリプロピレン
比較粉末4-6~10モルパーセントのエチレンおよび残りのポリプロピレンを含む溶媒粉砕されたブロックコポリマー
比較粉末5-2モルパーセント未満のエチレンおよび残りのポリプロピレンを含む溶媒粉砕されたコポリマー。
【0028】
比較粉末3~5の追加のパラメータが、表5に提供される。
【表5】
【0029】
比較粉末3~5は、球状および/または回転楕円体状の形態を示した。
【0030】
sPro60 HD-HS SLS機のプリント温度およびレーザパラメータを、実施例1~2および比較粉末3~5の各粉末組成物について最適化した。各プリント物品について最高の機械的特性を達成するために最適化を行った。全ての物品は、XY平面において、関連するASTMに記載される仕様に従ってプリントされた。各粉末組成物を用いてプリントされた物品の機械的試験の結果が表6に提供される。
【表6】
【0031】
表6に示すように、実施例1および2で具体化した本明細書に記載の粉末組成物から作製された物品は、同等の引張弾性率値を維持しながら、優れた破断点伸び、並びに衝撃強さおよび引張強度を示した。
【0032】
本発明の様々な目的の達成において、本発明の様々な実施形態を説明してきた。これらの実施形態は、本発明の原理の単なる例示であることを認識されたい。本発明の精神および範囲から逸脱することなく、その多くの修正および適合が当業者には容易に明らかであろう。
他の実施形態
1. 粉末組成物であって、
球状、回転楕円体形状、または球状と回転楕円体形状の混合物を有するコポリマーまたはターポリマーの粒子
を含み、
前記コポリマーまたはターポリマーは、3~9モルパーセントの量の1つまたは複数のアルケンモノマー種、および残りのポリプロピレンを含む、
粉末組成物。
2. 前記粒子が、0.7~1のアスペクト比を有することを特徴とする、実施形態1に記載の粉末組成物。
3. 前記コポリマーまたはターポリマーが、100℃未満の結晶化温度を有することを特徴とする、実施形態1に記載の粉末組成物。
4. 前記コポリマーまたはターポリマーの溶融温度と結晶化温度との差が、45℃未満であることを特徴とする、実施形態1に記載の粉末組成物。
5. 前記コポリマーまたはターポリマーが、実質的に分岐していないことを特徴とする、実施形態1に記載の粉末組成物。
6. 前記アルケンモノマー種が、エチレン、ブテンおよび1-オクテンからなる群より選択されることを特徴とする、実施形態1に記載の粉末組成物。
7. 前記コポリマーまたはターポリマーが、等方性ランダム構造を有することを特徴とする、実施形態1に記載の粉末組成物。
8. 前記コポリマーまたはターポリマーが、1.2~5のMw/Mn比を有することを特徴とする、実施形態1に記載の粉末組成物。
9. 前記粒子が、少なくとも(0.6)D50のD10を有することを特徴とする、実施形態1に記載の粉末組成物。
10. 前記粒子が、150μm未満のD90を有することを特徴とする、実施形態9に記載の粉末組成物。
11. 0.4g/cm 超の見掛け密度を有することを特徴とする、実施形態1に記載の粉末組成物。
12. 0.4~0.6g/cm の見掛け密度を有することを特徴とする、実施形態1に記載の粉末組成物。
13. 0.5g/cm 超のタップ密度を有することを特徴とする、実施形態1に記載の粉末組成物。
14. 1.1~1.4のハウスナー比を有することを特徴とする、実施形態1に記載の粉末組成物。
15. 付加製造技術により製造される物品であって、
1つまたは複数のアルケンモノマー種および残りのポリプロピレンを含むコポリマーまたはターポリマーの溶融粒子
を含み、
前記粒子が、18~23MPaの引張強度を有する、
物品。
16. 前記アルケンモノマー種が、1~20モルパーセントの量で前記コポリマーまたはターポリマー中に存在することを特徴とする、実施形態15に記載の物品。
17. 前記アルケンモノマー種が、3~9モルパーセントの量で前記コポリマーまたはターポリマー中に存在することを特徴とする、実施形態15に記載の物品。
18. 前記アルケンモノマー種が、エチレン、ブテンおよび1-オクテンからなる群より選択されることを特徴とする、実施形態15に記載の物品。
19. 少なくとも700MPaの引張弾性率を有することを特徴とする、実施形態15に記載の物品。
20. ASTM D638に従って70パーセント超の破断点伸びを有することを特徴とする、実施形態15に記載の物品。
21. ASTM D256に従って40J/m超のノッチ付き衝撃強さを有することを特徴とする、実施形態15に記載の物品。
22. 物品を形成する方法であって、
球状、回転楕円体形状、または球状と回転楕円体形状の混合物を有するコポリマーまたはターポリマーの粒子を含む粉末組成物を提供する工程;および
付加製造技術によって前記粉末組成物を物品に形成する工程
を含み、
前記コポリマーまたはターポリマーが、1つまたは複数のアルケンモノマー種および残りのポリプロピレンを含み、
前記物品が、18~23MPa超の引張強度を有する
ことを特徴とする、方法。
23. 前記付加製造技術が、粉末床溶融結合技術であることを特徴とする、実施形態22に記載の方法。
24. 前記粉末床溶融結合技術が、選択的レーザ焼結または選択的レーザ溶融であることを特徴とする、実施形態23に記載の方法。
25. 前記粒子が、0.5~1のアスペクト比を有することを特徴とする、実施形態23に記載の方法。
26. 前記アルケンモノマー種が、3~9モルパーセントの量で前記コポリマーまたはターポリマー中に存在することを特徴とする、実施形態23に記載の方法。
27. 前記アルケンモノマー種が、エチレン、ブテンおよび1-オクテンからなる群より選択されることを特徴とする、実施形態23に記載の方法。
28. 前記物品が、ASTM D638に従って70パーセント超の破断点伸びを有することを特徴とする、実施形態23に記載の方法。
29. 前記物品が、ASTM D256に従って40J/m超のノッチ付き衝撃強さを有することを特徴とする、実施形態23に記載の方法。
30. 前記物品が、5未満の空隙率(vol.% porosity)を有することを特徴とする、実施形態23に記載の方法。
31. 前記粉末組成物が、 0.4~0.6g/cm の見掛け密度を有することを特徴とする、実施形態23に記載の方法。