(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】可搬型空気圧縮機の操作アプリケーション、および可搬型空気圧縮機の操作端末用の操作アプリケーションの操作方法
(51)【国際特許分類】
H04Q 9/00 20060101AFI20231226BHJP
F04B 41/00 20060101ALI20231226BHJP
F04B 39/00 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
H04Q9/00 301B
F04B41/00 D
F04B39/00 106Z
(21)【出願番号】P 2021574358
(86)(22)【出願日】2020-01-30
(86)【国際出願番号】 JP2020003359
(87)【国際公開番号】W WO2021152762
(87)【国際公開日】2021-08-05
【審査請求日】2022-06-16
(73)【特許権者】
【識別番号】502129933
【氏名又は名称】株式会社日立産機システム
(74)【代理人】
【識別番号】110001829
【氏名又は名称】弁理士法人開知
(72)【発明者】
【氏名】内田 光
(72)【発明者】
【氏名】大畠 瑛人
【審査官】前田 健人
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-294029(JP,A)
【文献】特開2013-187917(JP,A)
【文献】特開2011-220288(JP,A)
【文献】特開2009-238575(JP,A)
【文献】PRIUS PHV 取扱書,日本,トヨタ自動車株式会社,2019年09月, 第3版,pp.296,500,https://toyota.jp/pages/contents/priusphv/002_p_007/pdf/spec/priusphv_201909.pdf
【文献】コンプアプリ 取扱説明書,日本,マックス株式会社,2017年12月08日,pp.3,9,https://wis.max-ltd.co.jp/kikouhin/pdf/torisetsu/ak-1270e2_series_torisetsu_app.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04Q 9/00
F04B 41/00
F04B 39/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可搬型空気圧縮機を無線通信にて操作する
タッチパネル式の画面を有する操作端末
用の操作アプリケーションであって、
前記操作
アプリケーションは、
少なくとも3つの運転モードを切り替える
一つの操作ボタンおよびその他のボタンが表示される画面を
表示させ、
前記操作ボタンの周囲に、前記運転モードが表示され、
前記操作ボタンは常に押下できないようロックされた状態であり、
前記その他のボタンは常に押下可能な状態であり、
前記操作ボタンに対して所定動作がなされたときに運転モード切り替えのロックが解除され、前記運転モードの切り替えが可能とな
り、
前記運転モードの切り替えが、前記可搬型空気圧縮機の負荷が増加する順序で行われる
ことを特徴とする
可搬型空気圧縮機の操作
アプリケーション。
【請求項2】
請求項
1に記載の
可搬型空気圧縮機の操作
アプリケーションにおいて、
前記画面には、前記運転モードに加え、前記
運転モードの切り替わりの順序が表示される
ことを特徴とする
可搬型空気圧縮機の操作
アプリケーション。
【請求項3】
請求項
1に記載の
可搬型空気圧縮機の操作
アプリケーションにおいて、
前記運転モードの切り替えが、
最も負荷が大きい運転モードの後には最も負荷が小さい運転モードに切り替わる
ことを特徴とする
可搬型空気圧縮機の操作
アプリケーション。
【請求項4】
請求項1に記載の
可搬型空気圧縮機の操作
アプリケーションにおいて、
前記所定動作は、前記操作ボタンの長押し、あるいは前記操作ボタンを複数回連続して押下する、のいずれかである
ことを特徴とする
可搬型空気圧縮機の操作
アプリケーション。
【請求項5】
請求項
4に記載の
可搬型空気圧縮機の操作
アプリケーションにおいて、
前記所定動作の後で所定秒以内に前記操作ボタンが操作されなかったときは前記運転モードの切り替えをロックする
ことを特徴とする
可搬型空気圧縮機の操作
アプリケーション。
【請求項6】
可搬型空気圧縮機を無線通信にて操作するタッチパネル式の画面を有する操作端末用の操作アプリケーションの操作方法であって、
前記
可搬型空気圧縮機と無線通信にて接続されており、
少なくとも3つの運転モードを切り替える
一つの操作ボタンおよびその他のボタンが表示される画面
が表示され、
前記操作ボタンの周囲に、前記運転モードが表示され、前記操作ボタンは常に押下できないようロックされた状態であり、前記その他のボタンは常に押下可能な状態である操作
アプリケーションの前記操作ボタンに対して所定動作がなされたときは、運転モード切り替えのロックを解除し、前記運転モードの切り替えを可能と
し、前記運転モードの切り替えを、前記可搬型空気圧縮機の負荷が増加する順序で行う
ことを特徴とする
可搬型空気圧縮機の
操作端末用の操作アプリケーションの操作方法。
【請求項7】
請求項
6に記載の
可搬型空気圧縮機の
操作端末用の操作アプリケーションの操作方法において、
前記画面に、前記運転モードに加え、前記
運転モードの切り替わりの順序を表示する
ことを特徴とする
可搬型空気圧縮機の
操作端末用の操作アプリケーションの操作方法。
【請求項8】
請求項
6に記載の
可搬型空気圧縮機の
操作端末用の操作アプリケーションの操作方法において、
前記運転モードの切り替えを、
最も負荷が大きい運転モードの後には最も負荷が小さい運転モードに切り替える
ことを特徴とする
可搬型空気圧縮機の
操作端末用の操作アプリケーションの操作方法。
【請求項9】
請求項
6に記載の
可搬型空気圧縮機の
操作端末用の操作アプリケーションの操作方法において、
前記所定動作は、前記操作ボタンの長押し、あるいは前記操作ボタンを複数回連続して押下する、のいずれかとする
ことを特徴とする
可搬型空気圧縮機の
操作端末用の操作アプリケーションの操作方法。
【請求項10】
請求項
9に記載の
可搬型空気圧縮機の
操作端末用の操作アプリケーションの操作方法において、
前記所定動作の後で所定秒以内に前記操作ボタンが操作されなかったときは前記運転モードの切り替えをロックする
ことを特徴とする
可搬型空気圧縮機の
操作端末用の操作アプリケーションの操作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可搬型空気圧縮機の操作アプリケーション、および可搬型空気圧縮機の操作端末用の操作アプリケーションの操作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイの技術や無線通信技術の進歩により、遠隔からリモートコントロールによる操作を可能にする端末や、タッチパネルで操作するための端末等が普及してきている。産業機械分野においても、遠隔でのリモートコントロールが求められつつある。
【0003】
特許文献1では、リモートコントローラの一例として、太陽光発電装置と給湯装置とを統合して制御可能なリモートコントローラにおいて、操作スイッチを介した第1の特定操作を検出したときに、操作スイッチによる操作を無効とするマイクロコンピュータを備えている、ことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1には、太陽光発電装置または給湯装置を操作可能なコントローラーに対して、運転および停止動作を切り替える操作部が特定の動作を検出した場合に制御部が誤操作と判定して操作部による操作を無効にする機能を搭載することが記載されている。
【0006】
しかしながら、この特許文献1に記載の技術は、基本的に装置自体の操作パネルに相当する部分に適用される技術である。更に、特許文献1に記載の機能では、基本的には誤操作されたと判定されたときに初めて切り替えが無効になる。
【0007】
このような特許文献1に記載された技術を、空気圧縮機に限られず、空気以外の流体を扱う各種流体機械の遠隔操作を行う端末に適用する場合、以下のような課題が生じ、それを解決する技術が望まれることが明らかとなった。
【0008】
例えば、可搬型の小型空気圧縮機は、建設現場での釘打ちや塗装等のエア源として使用される。建設現場では、圧縮機を仮設置された電源付近に置き、作業従事者がエアホースを介して離れた箇所で作業することが多くみられる。結果として圧縮機が作業従事者の目の届かないところに置かれたまま動くことが多くなる。
【0009】
このため、運転させる・停止する・運転モードを変更する等の圧縮機の操作が必要になった場合、一旦作業を停止して圧縮機の設置場所まで行き、所定の操作を行う必要があった。
【0010】
このような事情は、可搬型の小型空気圧縮機に限られず、大型や固定型の空気圧縮機、更には流体機械でも同様であり、操作が必要になった場合には、一旦作業を停止して、機械や操作盤の置かれている箇所まで行き、所定の操作を行う必要があった。
【0011】
このような不便を解決するために、流体機械とスマートフォン等の外部通信端末とを無線通信にて接続し、外部携帯端末にインストールされた専用のアプリケーションを用いて流体機械を操作したり、状態監視を行うことが知られている。
【0012】
このような専用アプリケーションにて流体機械の操作、状態監視を行う技術によれば、携帯端末による操作が可能となり、流体機械を操作するために作業場を離れて流体機械の設置個所まで行く必要がなくなる。このため、製品の使い勝手が向上し、作業従事者の利便性が向上する。
【0013】
しかしながら、外部携帯端末を用いる場合の特有の課題が生じる。
【0014】
例えば、作業従事者の予期しないタイミングで外部携帯端末が操作される可能性がある。より具体的には、予期しない操作の入力によって流体機械の誤操作、より具体的には、流体機械の運転モードが意図しないタイミングで切り替わったり、ポケットなどに収納した外部携帯端末が誤操作されることによって流体機械が予期しない動きをとることが考えられる。また、その頻度が増すことが懸念される。
【0015】
このような流体機械の意図しない、あるいは予期しない動作は、流体機械やそれを使用する系に不必要な負荷がかかるとともに、作業従事者の利便性が低下して流体機械の使用に支障が出るため、誤操作を極力避けることが望ましい。
【0016】
これらの事情から、特許文献1に記載の技術を上述のような外部携帯端末に単純に搭載しても、衣服のポケットなどに出し入れする際や作業中に誤ってディスプレイに触れて誤った指示が入力されても運転モードの切り替わりが防がれるわけではなく、誤操作によって運転モードが切り替わってしまう、との課題を有しおり、この課題の解決が待たれていた。
【0017】
本発明は、上述のような課題に鑑みなされたものであって、従来に比べて誤操作による運転モードの切り替えを抑制することができる可搬型空気圧縮機の操作アプリケーション、および可搬型空気圧縮機の操作端末用の操作アプリケーションの操作方法を提供することをと目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、可搬型空気圧縮機を無線通信にて操作するタッチパネル式の画面を有する操作端末用の操作アプリケーションであって、前記操作アプリケーションは、少なくとも3つの運転モードを切り替える一つの操作ボタンおよびその他のボタンが表示される画面を備え、前記操作ボタンの周囲に、前記運転モードが表示され、前記操作ボタンは常に押下できないようロックされた状態であり、前記その他のボタンは常に押下可能な状態であり、前記操作ボタンに対して所定動作がなされたときに運転モード切り替えのロックが解除され、前記運転モードの切り替えが可能となり、前記運転モードの切り替えが、前記可搬型空気圧縮機の負荷が増加する順序で行われることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、従来に比べて誤操作による運転モードの切り替えを抑制することができる。上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施例の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明を適用した実施例1に係る空気圧縮機と空気圧縮機操作用アプリケーションがインストールされた外部携帯端末との通信状態の概略を示す図である。
【
図2】実施例1に係る空気圧縮機の本体の断面の状態を示す図である。
【
図3】実施例1に係る空気圧縮機の外観の一例を示す図である。
【
図5】実施例1に係る空気圧縮機操作用アプリケーションに対応した空気圧縮機の制御系の概略構造を示す図である。
【
図6】実施例1の空気圧縮機操作用アプリケーションがインストールされた外部携帯端末の画面の一例を示す図である。
【
図7】実施例1の空気圧縮機操作用アプリケーションによって外部携帯端末の画面に表示されるモード切り替え画面の一例を示す図である。
【
図8】実施例1の空気圧縮機操作用アプリケーションによって外部携帯端末の画面に表示されるモード切り替え画面の一例を示す図である。
【
図9】実施例1の空気圧縮機操作用アプリケーションによって外部携帯端末の画面に表示されるモード切り替え画面の他の一例を示す図である。
【
図10】実施例1の空気圧縮機操作用アプリケーションによって外部携帯端末の画面に表示されるモード切り替え画面の他の一例を示す図である。
【
図11】実施例1に係る空気圧縮機と外部携帯端末の操作形態の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に本発明を適用した流体機械の操作端末、および流体機械の操作方法の実施例を図面を用いて説明する。
【0022】
なお、以下に示す各実施例では、流体機械が可搬型の空気圧縮機へ本発明を適用した場合について説明するが、流体機械は可搬型の空気圧縮機に限定されず、固定型の空気圧縮機とすることができる。また、流体機械は可搬型および固定型のいずれにおいても空気圧縮機に限られず、空気以外の気体を圧縮する圧縮機や、流体を圧縮するポンプとすることができる。
【0023】
但し、可搬型の流体機械を用いる環境は工場などに比べて流体機械を遠隔操作する環境が整っておらず、流体機械を遠隔操作する要求が非常に高いことから、本発明は可搬型の流体機械に非常に好適である。
【0024】
<実施例1>
本発明を適用した流体機械の操作端末、および流体機械の操作方法の実施例1について
図1乃至
図11を用いて説明する。
【0025】
最初に、本発明を適用した実施例1に係る空気圧縮機36と外部携帯端末37との関係の概略について
図1を用いて説明する。
図1は本実施例に係る空気圧縮機36と空気圧縮機36の操作用アプリケーションがインストールされた外部携帯端末37との通信状態の概略を示す図である。
【0026】
図1に示すように、可搬型の空気圧縮機36と外部携帯端末37とが無線通信により接続されており、相互の情報を無線通信によりやり取りしている。
【0027】
本実施例においては、空気圧縮機36と外部携帯端末37との無線接続にはBluetooth(登録商標)が用いられている。なお、空気圧縮機36と外部携帯端末37とがBluetoothによりペアリングされる場合について示しているが、空気圧縮機36と外部携帯端末37とのペアリング・情報の授受の方法はBluetoothに限定されず、Wi-Fi(登録商標)や赤外線通信、第4世代移動通信システム(略称4G)、第5世代移動通信システム(略称5G)など、様々な方法でペアリングして情報の授受を行うことができる。
【0028】
また、外部携帯端末37には空気圧縮機36の動作を制御するための専用アプリケーションがインストールされており、外部携帯端末37のユーザ(作業従事者)がホーム画面においてアプリアイコンを選択することで操作画面37a(
図6参照)が起動され、空気圧縮機36の操作、例えば、空気圧縮機36の運転・停止や、運転モードの切り替え、エラーのリセットなどを専用アプリケーションを通じ遠隔操作を行うことが可能となっている。操作画面37aの詳細は後述する。
【0029】
外部携帯端末37にインストールされている専用アプリケーションは、例えばAPPストアやGoogle Play(登録商標)等の各種アプリケーションの配信ストアから作業従事者自身がダウンロードし、インストールすることができる。
【0030】
本実施例では、外部携帯端末37がスマートフォンやタブレットの場合について説明しているが、スマートフォンやタブレットの詳細は特に限定されず、移動体通信事業者や携帯端末製造業者などが民生品用に販売している様々な各種携帯用端末とすることができる。また、スマートフォンやタブレットに限定されず、専用の外部携帯端末や、眼鏡型・腕時計型等のウェアラブル端末などとすることもできる。
【0031】
次いで、本発明を適用した実施例1に係る可搬型の空気圧縮機36の構造を、
図2乃至
図5を用いて説明する。
図2は空気圧縮機36の本体の断面の状態を示す図、
図3は空気圧縮機36の外観の一例を示す図、
図4は
図3のA-A’断面図、
図5は操作用アプリケーションに対応した空気圧縮機36の制御系の概略構造を示す図である。
【0032】
図2乃至
図5に示すように、可搬型の空気圧縮機36は、大きく分けると、空気を圧縮する圧縮機本体1と、圧縮機本体1を駆動するモータ6と、冷却ファン10と、空気タンク24,25と、制御組30と、操作部34と、スイッチ基板40と、電源部(昇圧回路)41と、から構成されている。
【0033】
図2において、大きな点線の枠で囲んだ領域は空気を圧縮する圧縮機本体1であり、小さな点線の枠で囲んだ領域は圧縮機本体1を駆動するモータ6である。
【0034】
圧縮機本体1は、クランクケース1Aとクランクケース1Aに取り付けられたシリンダ18A,18Bとを備えている。クランクケース1A内には、モータ6のシャフト(回転軸)6Aが貫通している。
【0035】
クランクケース1Aは、圧縮機本体1およびモータ6を覆っている。クランクケース1Aの一端側にはステータ2が直接固定されている。また、クランクケース1Aには、シャフト6Aを軸支するベアリング3が装着されており、ステータ2の取り付け側と反対側にはシャフト6Aを軸支するベアリング4が装着された軸受箱5が勘合された構造となっている。
【0036】
クランクケース1A内を貫通するシャフト6Aの中央部にはキー12が埋め込まれている。このキー12が埋め込まれたシャフト6Aには、ベアリング15Aと偏心したエキセントリック16Aを介して、バランス17と共に、空気をシール、圧縮するためのピストンリング13Aを有した連接棒組14Aに挿入されている。また、シャフト6Aには、ベアリング15Bと偏心したエキセントリック16Bを介して、空気をシール、圧縮するためのピストンリング13Bを有した連接棒組14Bも挿入されている。
【0037】
連接棒組14A,14Bおよびバランス17は、クランクケース1Aおよび軸受箱5に装着された2個のベアリング3,4によって両側から支持されている。この構造により、連接棒組14A,14Bは、ベアリング15A,15Bを介してエキセントリック16A,16Bに対して回転自在に接続されている。
【0038】
本実施例では、低圧側のシリンダ18A、高圧側のシリンダ18B、合計で2つのシリンダ18A,18Bがクランクケース1Aを挟んで互いに対向するように取り付けられている。
【0039】
シリンダ18Aは、フランジ19A、空気弁20A、シリンダヘッド21A、通しボルト22Aを備える。フランジ19Aはシリンダ18Aを取り付けるためにクランクケース1Aに設けられており、シリンダ18A、空気弁20A、シリンダヘッド21Aが、通しボルト22Aによってフランジ19Aに固定されることで、低圧側の圧縮室23Aを形成している。
【0040】
同様に、シリンダ18Bは、フランジ19B、空気弁20B、シリンダヘッド21B、通しボルト22Bを備える。フランジ19Bも、シリンダ18Bを取り付けるためにクランクケース1Aに設けられており、シリンダ18B、空気弁20B、シリンダヘッド21Bが、通しボルト22Bによってフランジ19Bに固定されることで、高圧側の圧縮室23Bを形成している。
【0041】
なお、本実施例では、低圧側のシリンダ18A内で往復動する連接棒組14Aおよび高圧側のシリンダ18B内で往復動する連接棒組14Bにピストンリング13A,13Bを設ける場合について説明しているが、いずれか一方、例えば高圧側のみにピストンリングを設けることができる。
【0042】
モータ6は、ステータ2、ベアリング3、シャフト6A、キー7、ロータ8、ワッシャ9を有し、シャフト6Aの端部には冷却ファン10が取り付けられている。また、シャフト6Aの一端側にキー7を介してロータ8が装着されている。ロータ8はワッシャ9と冷却ファン10を取り付けるためのファンシャフト11によって、軸方向に固定されている。
【0043】
冷却ファン10は冷却カバー26の内部に冷却風を供給し、圧縮機本体1やモータ6、空気タンク24,25などの空気圧縮機36の各構成要素を冷却する。冷却ファン10もファンシャフト11によってシャフト6Aの端部に設けられており、モータ6によって駆動されるシャフト6Aの回転に伴い回転する。
【0044】
空気タンク24,25は、
図3に示すように、冷却カバー26によって覆われている圧縮機本体1の下部に配置されている。そして、
図4に示すように、これら2つの空気タンク24,25の間には空気圧縮機36の運転を制御する制御組30が配置されている。
【0045】
図3に示すように、操作部34は、スイッチ34aを複数有しており、電源投入や運転モードの変更などの各種動作指示を行うことができるように構成されている。またこの操作部34には、空気圧縮機36の運転状態などを表示するためのLEDなどから構成される表示部34bが設けられている。
【0046】
制御組30では、
図5に示すように、電源部41より電源が供給され、モータ6を駆動することで圧縮機本体1を動作させる。
【0047】
制御組30の内部は、コンバータ30b、コンデンサ30c、スイッチング素子30d、マイクロコンピュータ等で構成されたCPU(Central Processing Unit)30a等で構成されている。コンバータ30bは、電源部41から供給される交流電圧を直流電圧に変換し、コンデンサ30cで平滑された直流電圧をスイッチング素子30dで交流電力に変換する。
【0048】
CPU30aは、操作部34あるいは外部携帯端末37の操作によりスイッチ基板40から入力された作業従事者の各種指示や、温度センサ32、温度・回転数センサ33、温度センサ35での検出結果に基づいて、モータ6の運転状態を決定し、決定した運転状態を実現するための駆動制御信号を演算する。そのうえで、CPU30aは、演算した駆動制御信号をスイッチング素子30dに対して出力し、スイッチング素子30dを駆動する。
【0049】
また、本実施例の空気圧縮機36は圧力運転制御方式を採用していることから、
図4および
図5に示すように、空気タンク24に取り付けられた圧力センサ31にてセンシングした圧力に応じて、制御組30で運転制御を行う。
【0050】
また、制御組30には温度センサ32が備えられている。温度センサ32は制御組30の温度をモニタリングしており、温度センサ32が所定の温度を検知すると、制御組30は空気圧縮機36の運転を停止させ、操作部34の表示部34bを点灯させ、エラーが発生したことを作業従事者に報知する。
【0051】
更に、モータ6には、温度・回転数センサ33が備えられている。温度・回転数センサ33はモータ6のコイル温度、およびモータ6の回転数をモニタリングしており、所定の温度を検知すると、制御組30は空気圧縮機36の運転を停止させ、操作部34の表示部34bを点灯させ、エラーが発生したことを作業従事者に報知する。
【0052】
また、温度・回転数センサ33が検知した回転数情報は制御組30に常時送られるが、操作部34に設けられている空気圧縮機36の運転ボタンを押してもモータ6が回転しない等の異常がある場合は、操作部34の表示部34bを点灯させ、エラーが発生したことを作業従事者に報知する。
【0053】
その上、操作部34にも温度センサ35が備えられている。温度センサ35は可搬型空気圧縮機36の周囲温度をモニタリングしているサーミスタなどで構成される。本実施例のような可搬型の空気圧縮機36は屋外で使用されることも多く、温度環境の変化が大きい。温度センサ35が検出した温度が所定値より低いまたは高い場合は、制御組30が最高圧力を自動的に低下させるなど、運転に制限をかけて製品の保護を行う。
【0054】
次に、本実施例の空気圧縮機36の運転モードについて説明するが、これはあくまでも一例に過ぎない。
【0055】
釘打ち機などに用いられる空気圧縮機36では、作業内容や環境に応じ、何パターンかの運転モードを備えることが一般的であり、運転モードは圧力制御範囲変更やスイッチング素子30dを用いた回転数変更により設定されることが多い。圧力制御とは、所定の設定圧力に空気タンク24,25の圧力が達すると圧縮機の運転を停止し空気タンク24,25の圧力が所定の設定圧力以下になった場合に圧縮機を再起動させる運転制御のことである。
【0056】
本実施例の空気圧縮機36には、ノーマルモード、パワフルモード、低速運転モードの3つの運転モードが備えられている。
【0057】
ノーマルモードは、モータ6の回転数がある範囲内(例えば、1800~2850min-1)可変であり、空気タンク24内の圧力が上限圧力値(例えば4.2MPa)になると動作を停止し、下限圧力値(例えば3.2MPa)になると動作を再起動させる、という運転制御が実行されるモードである。パワフルモードは、モータ6の回転数範囲はノーマルモードと同様の範囲内において可変であり、下限圧力値をノーマルモードよりも上昇させた運転モード(例えば、3.8Mpa~4.2Mpaの圧力制御範囲)である。低速運転モードは、圧力制御範囲がノーマルモードと同じで、モータ6の回転数をノーマルモードよりも低い回転数(例えば1500min-1)に固定した運転モードである。
【0058】
ここで、本実施例においては、制御組30のCPU30aでは、運転モードの切り替えが、所定の順序、例えば、空気圧縮機36の負荷が増加する順序で行われ、最も負荷が大きい運転モードの後には最も負荷が小さい運転モードに切り替わるように実行される。モード切り替え遷移の順序は、操作部34の操作指示、あるいは後述する外部携帯端末37の操作画面37aからの操作指示のいずれからでも同じであるが、異なってもよい。
【0059】
上述のように、ノーマルモードとパワフルモードは回転数推移が同じであり、ノーマルモードと低速運転モードは圧力制御範囲が同じである。これらのモードが隣接して順序通りに切り替わることによって、例えば一度低速運転モードからノーマルモードに切り替わり、回転数推移が一定速から可変に切り替わるが、低速運転モードに戻すためにはパワフルモードを経由することになる。
【0060】
ここで、ノーマルモードと低速運転モードを即座に行き来可能な場合、空気圧縮機36の回転数がモード切り替えボタン38dを操作するたびに変化してしまい、製品に必要以上の負荷がかかる恐れがある。
【0061】
また、圧力制御範囲においてもノーマルモードと低速運転モードとが同じ範囲であり、パワフルモードのみ異なる範囲であるため、低速運転モードとパワフルモードが即座に行き来できる場合、起動したり、停止したりモード切り替えボタンを操作するたびに動作が変わったり、回転数も頻繁に昇降したりと空気圧縮機36にかかる負荷が大きくなる恐れがある。
【0062】
しかしながら、操作部34でのモード切り替え操作でも外部携帯端末37のアプリケーション側からのモード切り替え操作でも、モード切り替えの順を同様に負荷の増加する方向とすることによって、空気圧縮機36に負荷がかかりにくくすることができる。
【0063】
また、モータ6の回転数の変化は空気圧縮機36にとって大きな負荷となるため、回転数が変化するモードの切り替え(例えば低速運転からノーマル、パワフルから低速運転)の場合に追加ロックを設けてもよい。更には、負荷がかかりにくいモード切り替え順序として、モード切り替えの遷移はノーマル・パワフル・低速運転の順序でも、ノーマル・低速運転・パワフルの順序でもよい。
【0064】
次いで、本実施例における圧縮機本体1の動作について説明する。
【0065】
本実施例における圧縮機本体1は、電源部41から電力を投入してロータ8を駆動することによりシャフト6Aが回転すると、エキセントリック16Aによって連接棒組14Aが圧縮室23A内を往復運動する。この連接棒組14Aが上死点から下死点へ向かう吸い込み工程ではシリンダヘッド21A、空気弁20Aを通じて圧縮室23A内へ空気を吸い込み、逆に上死点へ向かう吐き出し工程では吸い込んだ空気を圧縮しつつ、空気弁20A、シリンダヘッド21Aを通じて吐き出す構造である。
【0066】
シリンダヘッド21Aを通じて吐き出された空気は、さらに他方のシリンダ18Bに送られる。シリンダ18Bでは、シャフト6Aが回転して、連接棒組14Bが上死点から下死点へ向かう吸い込み工程ではシリンダヘッド21B、空気弁20Bを通じて圧縮室23B内へシリンダ18Aで圧縮した空気を吸い込み、逆に上死点へ向かう吐き出し工程では吸い込んだ空気を更に圧縮しつつ、空気弁20B、シリンダヘッド21Bを通じて吐き出す。
【0067】
この吐き出された圧縮された空気は、空気タンク24,25に貯留される。本実施例では、一方のシリンダ18Aで圧縮した空気を更に他方のシリンダ18Bで更に圧縮する2段圧縮を行うことにより効率よく空気を圧縮している。2段の空気圧縮機36は、1段圧縮の場合よりも低圧側、高圧側の圧力比が各々小さくなるため、効率がよくなることから、圧縮部に発生する熱を少なくすることができる。
【0068】
次に本実施例における空気圧縮機36を遠隔操作するための外部携帯端末37に表示される画面について、
図6乃至
図8を参照しつつ以下に説明する。
図6は、空気圧縮機36の操作用アプリケーションがインストールされた外部携帯端末37の画面の一例を示す図である。
図7乃至
図10は、実施例1の空気圧縮機36の操作用アプリケーションによって外部携帯端末の画面に表示されるモード切り替え画面の一例を示す図である。
【0069】
外部携帯端末37のホーム画面においてアプリアイコンが選択されると、
図6に示すような操作画面37aが表示される。
【0070】
この操作画面37aには、
図6に示すように、運転状態表示領域38a、ペアリングアイコン38b、ノーマル運転モードアイコン38c1、パワフル運転モードアイコン38c2、低速運転モードアイコン38c3、モード切り替えボタン38d、モード遷移方向表示領域38e、停止アイコン38f、復帰アイコン38g、注意事項表示領域38hが表示される。
【0071】
運転状態表示領域38aは、空気圧縮機36の運転状態や、空気タンク24,25内の圧力など、空気圧縮機36の情報が表示される領域である。
【0072】
ペアリングアイコン38bは、空気圧縮機36の電源がONのタイミングに空気圧縮機36とペアリングする際に押下する領域であり、このペアリングアイコン38bが押下されると空気圧縮機36と外部携帯端末37とがBluetoothにより相互に通信可能となる。
【0073】
ノーマル運転モードアイコン38c1、パワフル運転モードアイコン38c2、および低速運転モードアイコン38c3は、空気圧縮機36の運転モードについて表示する領域であり、運転中に該当する運転モードの領域がハイライト表示され、いずれの運転モードで運転されているかが一目でわかるようになっている。
【0074】
モード切り替えボタン38dは、ノーマル運転モードアイコン38c1、パワフル運転モードアイコン38c2、および低速運転モードアイコン38c3の内周側に配置されており、運転モードを切り替える際に押下されるボタンである。
【0075】
本実施例では、モード切り替えボタン38dは普段ロック状態となっており、モード切り替えボタン38dに対して所定動作がなされたときに運転モード切り替えのロックが解除され、運転モードの切り替えが可能となっている。
【0076】
ロック時は、
図7に示すように、モード切り替えボタン38dと現在の運転モードアイコンが弱いハイライト表示されており、所定動作によりロックが解除されると、
図8に示すようにモード切り替えボタン38dと現在の運転モードアイコン(
図8ではパワフル運転モードアイコン38c2)がハイライト表示され、モード切り替えが可能な状態となる。
【0077】
また、本実施例では、所定動作によりロックが解除された後で所定秒以内、例えば例えば5秒以内にモード切り替えボタン38dが操作されなかったときは運転モードの切り替えをロックするようになっており、所定秒数以内に更にモード切り替えボタン38dが操作されることではじめて運転モードが次の運転モードへと遷移する。
【0078】
なお、モード切り替えボタン38dとノーマル運転モードアイコン38c1、パワフル運転モードアイコン38c2、および低速運転モードアイコン38c3との配置関係は、
図6や
図7に示すようなモードアイコンの内周側にモード切り替えボタン38dが配置される形態に限られない。
【0079】
例えば、
図9に示すように、モード切り替えボタン38dの側部に各運転モードアイコンが配置され、各運転モードの遷移方向を示すモード遷移方向表示領域38eが表示される形態や、
図10に示すように、モード切り替えボタン38dの下方に各運転モードアイコンが並んで配置され、各運転モードの遷移方向を示すモード遷移方向表示領域38eが表示される形態とすることができる。
【0080】
このように、モード切り替えボタン38dの側部に各運転モードアイコンの配置関係は特に限定されるものではなく、ボタンとモードの数に対応したアイコンとが配置されているものであれば特に限定されない。
【0081】
また、各ボタンやアイコン自体は、
図6や
図7のようにボタン名やモード名と図形とが併せて表示される形態に限られず、
図9や
図10に示すようにボタン名やモード名のみが表示される形態であってもよいし、図形のみの形態であってもよい。
【0082】
モード遷移方向表示領域38eは、モード切り替えボタン38dの周囲に表示されており、
図6乃至
図10に示すように、運転モードの切り替え順序の方向を表示する矢印形状をしている。この矢印によってモード切り替えボタン38dを操作する際に、作業従事者は次はどの運転モードに遷移するかを視覚的に判断することができる。
【0083】
なお、このモード遷移方向表示領域38eは、
図7に示すようにモード切り替えボタン38dの周囲に表示される場合に限られず、
図9や
図10に示すように、各運転モードの切り替え順序を示すように表示されている形態であればよい。
【0084】
停止アイコン38fは、空気圧縮機36の運転を停止する際に押下する領域であり、この停止アイコン38fが押下された際は、空気圧縮機36の運転が停止する。
【0085】
復帰アイコン38gは、エラーなどによって停止した際に押下する領域であり、これにより運転状態に復帰する。
【0086】
注意事項表示領域38hは、エラー情報やメンテナンス情報などの作業従事者に対して注意喚起を促す必要がある情報が表示される領域である。
【0087】
次に、本実施例に係る空気圧縮機36の外部携帯端末37による操作の流れについて
図11を参照して説明する。
図11は、空気圧縮機36の操作用アプリケーションにおける空気圧縮機36と外部携帯端末37の操作形態の一例を示す図である。
【0088】
図11に示すように、まず、作業従事者が空気圧縮機36の電源プラグを電源供給部に接続し、製品を通電状態(スタンバイ状態)にする(ステップc1)。
【0089】
空気圧縮機36を起動するためには、操作部34の押しボタンスイッチを押す(ステップc2)。あるいは、外部携帯端末37の専用アプリケーションを立ち上げて(ステップs1)、操作画面のペアリングアイコン38bを押下して通電状態の空気圧縮機36と外部携帯端末37とを接続した後、アプリケーション側の画面上スイッチを操作する(ステップs2)。これらの操作により、空気圧縮機36が運転を開始する(ステップc3)。
【0090】
ペアリング後は、作業従事者は外部携帯端末37の操作画面37aを操作することで、運転・停止や運転モードの切り替え、異常時の運転復帰等を行うことができる(ステップs2)。
【0091】
この際、空気圧縮機36の情報(モータ6の電流、モータ6の電圧、モータ6の回転数、空気タンク24,25内圧力、モータ6のコイル温度、制御組30温度、周囲温度他)は制御組30内のCPU30a、およびスイッチ基板40のBLEモジュール40aを介して外部携帯端末37に伝達される(ステップc4)。外部携帯端末37では、伝達された情報に基づいて、空気タンク内圧力、現在の運転モード、接続状態等の情報が操作画面37aの運転状態表示領域38aに表示される。また、空気圧縮機36の運転にエラーが生じた場合は、エラーやその原因の情報が操作画面37aの注意事項表示領域38hに表示される(ステップs3)。
【0092】
作業従事者が、空気圧縮機36本体の操作部34の停止ボタンを操作する(ステップc5)、あるいは外部携帯端末37の操作画面37aの停止アイコン38fを押下する(ステップs4)と、空気圧縮機36のモータ6の回転が止まり、運転が停止する(ステップc6)。
【0093】
次に、本実施例の効果について説明する。
【0094】
上述した実施例1の空気圧縮機36を無線通信にて操作する外部携帯端末37は、運転モードを切り替えるモード切り替えボタン38dが表示される操作画面37aを備えており、モード切り替えボタン38dに対して所定動作がなされたときに運転モード切り替えのロックが解除され、運転モードの切り替えが可能となる。
【0095】
作業従事者は、空気圧縮機36を任意の設定で動作開始させてその日の作業に適切なモードに設定した後、専用アプリケーションがインストールされた外部携帯端末37をポケットに入れたり、作業台の上に置いたりすることとなる。また、作業台に置いておいた場合、外部携帯端末37に作業従事者以外の誰かが触れることも想定される。このように、外部携帯端末37の操作画面37aでは、操作部34の物理ボタン操作と比較して、外乱によるモード切り替えの誤操作が起こりやすくなる。
【0096】
しかしながら、本発明によれば、一度触れる程度であれば運転モードの切り替えは起こらず、作業従事者が意図的に所定動作を行わない限り運転モードは変更されないことから、上述のような外的要因によって容易に空気圧縮機36の運転状態が変更されることを抑制することができ、空気圧縮機36の誤操作を抑制し、製品保護につなげることができる。また、外部携帯端末37による遠隔操作自体は可能であるため、作業従事者は遠隔操作で意図した運転モードでの作業を行うことができ、作業効率が損なわれることはなく、利便性を向上させることができる。
【0097】
また、モード切り替えボタン38dの周囲に、空気圧縮機36の運転モードが表示されるため、作業従事者は現在の運転モードがいずれであるか、またどのような運転モードがあるかを一目で把握することができるため、作業従事者の利便性の更なる向上を図ることができる。
【0098】
更に、運転モードの切り替えが、所定の順序で行われること、特には空気圧縮機36の負荷が増加する順序で行われ、最も負荷が大きい運転モードの後には最も負荷が小さい運転モードに切り替わることで、過度な回転数の変化や空気圧縮機36の運転・停止の切り替えを抑制できるため、製品の更なる保護を図ることができる。
【0099】
また、操作画面37aには、運転モードに加え、所定の順序が表示されることにより、視覚的に次の運転モードがどのようになるのかを把握することができ、作業従事者の利便性を更に向上させることができる。
【0100】
また、誤操作が連続で起こってしまうことで空気圧縮機36の運転モードが短いスパンで変化してしまう場合に、回転数がモードによって異なるため、空気圧縮機36に予期せぬストレスがかかってしまうことが懸念される。しかしながら、所定動作の後で所定秒以内にモード切り替えボタン38dが操作されなかったときは運転モードの切り替えをロックすることにより、衣服のポケットなどに出し入れする際や別の操作中において連続的にモードが切り替わることをより抑制することができ、更に製品の保護を図ることができる。
【0101】
<実施例2>
本発明を適用した実施例2の流体機械の操作端末、および流体機械の操作方法について以下説明する。実施例1と同じ構成には同一の符号を示し、説明は省略する。以下の実施例においても同様とする。
【0102】
本実施例は、操作画面37a中のモード切り替えボタン38dの周囲にモード遷移方向表示領域38eが表示されない形態である。
【0103】
本実施例では、モード切り替えボタン38dに対して所定操作がなされてモード切り替えが指示されたときの運転モードの切り替わりの順序は、実施例1のように負荷が徐々に増加する順序で行ってもよいし、モード切り替えが可能な間にノーマル運転モードアイコン38c1、パワフル運転モードアイコン38c2、低速運転モードアイコン38c3のいずれかが選択されたときに該当するモードに切り替える方式のいずれであってもよく、特に限定されるものではない。
【0104】
その他の構成・動作は前述した実施例1の流体機械の操作端末、および流体機械の操作方法と略同じ構成・動作であり、詳細は省略する。
【0105】
本発明を適用した実施例2の流体機械の操作端末、および流体機械の操作方法においても、前述した実施例1の流体機械の操作端末、および流体機械の操作方法とほぼ同様な効果が得られる。
【0106】
<実施例3>
本発明を適用した実施例3の流体機械の操作端末、および流体機械の操作方法について説明する。
【0107】
本実施例の操作端末や操作方法では、モード切り替えボタン38dのロック解除方の所定動作が、モード切り替えボタン38dの長押し、あるいはモード切り替えボタン38dを複数回連続して押下する、のいずれとなっている。
【0108】
その場合、例えば5秒以上長押しした場合に、あるいは2回以上連続して押下した場合に、モード切り替えの操作が可能になることで、誤操作の可能性を低下させることができる。
【0109】
同様に、誤操作防止策として、モード切り替えボタン38dの長押し等の操作ではなく、外部携帯端末37がタッチパネル操作可能の場合に、モード切り替えボタン38dのフリック操作を行うことによってロックが解除されるものとしてもよい。
【0110】
更に、外部携帯端末37にジャイロセンサが搭載されている場合は、外部携帯端末37を所定回数振ることによってロックの解除およびモードの切り替えを行ってもよい。
【0111】
その他の構成・動作は前述した実施例1の流体機械の操作端末、および流体機械の操作方法と略同じ構成・動作であり、詳細は省略する。
【0112】
本発明を適用した実施例3の流体機械の操作端末、および流体機械の操作方法においても、前述した実施例1の流体機械の操作端末、および流体機械の操作方法とほぼ同様な効果が得られる。
【0113】
また、所定動作は、モード切り替えボタン38dの長押し、あるいはモード切り替えボタン38dを複数回連続して押下する、のいずれかであることにより、更にモードの切り替えに作業従事者の意図した操作が必要となり、意図しない運転モードの切り替わりを従来に比べてより抑制することができる。
【0114】
<実施例4>
本発明を適用した実施例4の流体機械の操作端末、および流体機械の操作方法について説明する。
【0115】
本実施例では、運転モードの切り替えのロック解除方法やモード切り替え操作の詳細は前述した実施例1乃至実施例3と同じである。相違点は、運転モードの切り替え順序を、最も標準的なノーマルモードを起点としてパワフルモードと低速運転モードを切り替える動作とする点であり、これによって空気圧縮機36への負荷を軽減するものである。
【0116】
ノーマルモードの際にモード切り替えボタン38dに対して所定操作に加えて更に操作されると、パワフルモードへ切り替わり、もう一度操作するとノーマルモードに戻る。その後にモード切り替えボタン38dを操作すると、次は低速モードに切り替わり、またモード切り替えボタン38dを操作するとノーマルモードに戻る。この場合も、操作画面37aに実施例1で示したようにモード遷移方向表示領域38eに相当するアイコンを表示することができる。
【0117】
その他の構成・動作は前述した実施例1の流体機械の操作端末、および流体機械の操作方法と略同じ構成・動作であり、詳細は省略する。
【0118】
本発明を適用した実施例4の流体機械の操作端末、および流体機械の操作方法においても、前述した実施例1の流体機械の操作端末、および流体機械の操作方法とほぼ同様な効果が得られる。
【0119】
また、本実施例によれば、ノーマル・パワフル・ノーマル・低速・ノーマル・パワフル・・・といったようにパワフルモードから低速運転モードに直接推移することはなく、一度標準的なノーマルモードを介して切り替わるため、空気圧縮機36の運転状況が急激に変化することが実施例1乃至実施例3に比べてより抑制される。
【0120】
特に、低速運転モードからノーマルモードに遷移した後、再度低速運転モードに移行するためには3度のモード切り替えボタン38dの操作を要する。これによって空気圧縮機36の頻繁な回転数変更が更に抑制され、より故障の防止を図ることができる。
【0121】
なお、実施例1乃至実施例3のようにノーマル・パワフル・低速・ノーマル・・・のループと、本実施例のようにノーマル・パワフル・ノーマル・低速・ノーマル・パワフル・・・、との切り替えを行うための設定ボタンなどを設けることができる。このようなボタンは操作部34に設けたり、操作画面37aに設けることができる。
【0122】
<実施例5>
本発明を適用した実施例5の流体機械の操作端末、および流体機械の操作方法について説明する。
【0123】
上記の実施例4では、運転モード切り替えの順序をノーマルモード起点で推移することとしたが、低速運転モードは回転数がノーマル・パワフルから大幅に変化する運転モードである。低速運転モードとそのほかの2つのモードが即座に切り替わり続ける場合に、空気圧縮機36の回転数が急激に増減を繰り返すことが懸念される。
【0124】
そこで、更なる製品保護のため、低速運転モードは特殊なモードととらえ、本実施例では、外部携帯端末37の操作画面37aによるアプリ操作では容易に低速運転モードに入らないよう制限をかける。
【0125】
上記の実施例4ではノーマル・パワフル・ノーマル・低速・ノーマル・パワフル・・・とノーマルモードを起点にパワフルモードと低速モードとが切り替わっているが、本実施例では低速運転モードには入らず、ノーマルモードとパワフルモードを行き来することとする。
【0126】
しかし、モード切り替えボタン38dを一定以上の間隔を開けずに2度押しした場合に限り、低速運転モードに遷移するものとすることができるが、このような操作に限定されない。
【0127】
例えば、モード切り替えボタン38dが一度操作された後0.5秒以内にもうモード切り替えボタン38dが一度操作された場合は、その時の運転モードの如何にかかわらず低速運転モードに切り替わる。その後にモード切り替えボタン38dがもう一度操作された場合はノーマルモードに切り替わる。低速運転モードからボタン操作によって遷移するのは空気圧縮機36の保護の観点から常にノーマルモードとする。
【0128】
その他の構成・動作は前述した実施例1の流体機械の操作端末、および流体機械の操作方法と略同じ構成・動作であり、詳細は省略する。
【0129】
本発明を適用した実施例5の流体機械の操作端末、および流体機械の操作方法においても、前述した実施例1の流体機械の操作端末、および流体機械の操作方法とほぼ同様な効果が得られる。
【0130】
また、本実施例5によれば、外部携帯端末37による誤操作が多発したとしても、ノーマルモードとパワフルモードの間で切り替わるか、常に低速運転モードのままとなり、回転数の増減は起こらないため、更に空気圧縮機36への負荷がかかりにくくなり、製品保護を強く図ることができる。
【0131】
<その他>
なお、本発明は、上記の実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。上記の実施例は、本発明の適用例を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
【0132】
また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることも可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることも可能である。
【符号の説明】
【0133】
1…圧縮機本体
6…モータ
6A…シャフト(回転軸)
8…ロータ
10…冷却ファン
13A,13B…ピストンリング
14A,14B…連接棒組
15A,15B…ベアリング
16A,16B…エキセントリック
18A,18B…シリンダ
19A,19B…フランジ
20A,20B…空気弁
21A,21B…シリンダヘッド
23A,23B…圧縮室
24,25…空気タンク
30…制御組
30a…CPU
30b…コンバータ
30c…コンデンサ
30d…スイッチング素子
31…圧力センサ
32…温度センサ
33…温度・回転数センサ
34…操作部
34a…スイッチ
34b…表示部
35…温度センサ
36…空気圧縮機
37…外部携帯端末
37a…操作画面
38a…運転状態表示領域
38b…ペアリングアイコン
38c1…ノーマル運転モードアイコン
38c2…パワフル運転モードアイコン
38c3…低速運転モードアイコン
38d…モード切り替えボタン
38e…モード遷移方向表示領域
38f…停止アイコン
38g…復帰アイコン
38h…注意事項表示領域
40…スイッチ基板
40a…BLEモジュール
41…電源部(昇圧回路)