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特許7410195モジュール式乗り物車両のためのシステム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】モジュール式乗り物車両のためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A63G 31/02 20060101AFI20231226BHJP
【FI】
A63G31/02
【請求項の数】 20
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022019452
(22)【出願日】2022-02-10
(62)【分割の表示】P 2020065727の分割
【原出願日】2015-08-10
(65)【公開番号】P2022058963
(43)【公開日】2022-04-12
【審査請求日】2022-02-16
(31)【優先権主張番号】14/461,141
(32)【優先日】2014-08-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511077292
【氏名又は名称】ユニバーサル シティ スタジオズ リミテッド ライアビリティ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】ボイル パトリック デヴィン
【審査官】西村 民男
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-516675(JP,A)
【文献】特開2008-168135(JP,A)
【文献】特開平8-57159(JP,A)
【文献】特開平2-4399(JP,A)
【文献】国際公開第2014/002077(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63G 1/00-33/00
A63H 1/00-37/00
B61L 1/00-99/00
G05D 1/00- 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊園地におけるアトラクションのための乗り物システムであって、
それぞれが乗り物サイクル中に1又は2以上の乗客を運ぶように構成された第1の乗り物車両及び第2の乗り物車両と、
制御回路と、
を備え、前記制御回路は、
前記乗り物サイクルの第1の部分の期間中に、前記第1の乗り物車両の乗客及び前記第2の乗り物車両の乗客が単一の乗り物車両に搭乗しているとの錯覚を提供するように前記第1の乗り物車両及び前記第2の乗り物車両を連結して一体の統合乗り物車両として動作するように制御し、
前記乗り物サイクルの第2の部分の期間中に、前記第1の乗り物車両及び前記第2の乗り物車両を互いに分離して単独で移動するように制御する、
ように構成される、乗り物システム。
【請求項2】
前記制御回路は、前記乗り物サイクルの前記第1の部分の期間中に、前記第1の乗り物車両及び前記第2の乗り物車両を前後構成で連結するように制御するように構成される、請求項1に記載の乗り物システム。
【請求項3】
前記制御回路は、前記乗り物サイクル中に、前記第1の乗り物車両及び前記第2の乗り物車両を模擬イベントと強調して互いに連結又は分離するように制御するように構成される、請求項1に記載の乗り物システム。
【請求項4】
前記制御回路は、前記乗り物サイクル中に、前記第1の乗り物車両及び前記第2の乗り物車両をストーリー展開と強調して互いに連結又は分離するように制御するように構成される、請求項1に記載の乗り物システム。
【請求項5】
前記制御回路は、前記乗り物サイクル中に、前記第1の乗り物車両及び前記第2の乗り物車両を地形の変化と強調して互いに分離して異なる方向に進むように制御するように構成され、前記地形の変化は、前記第1の乗り物車両及び前記第2の乗り物車両が移動する経路の分裂を含む、請求項1に記載の乗り物システム。
【請求項6】
前記制御回路は、前記第1の乗り物車両及び前記第2の乗り物車両を、前記第1の乗り物車両が前記分裂後に第1の経路部分に沿って第1の方向に向けられ、前記第2の乗り物車両が前記分裂後に第2の経路部分に沿って第2の方向に向けられるように互いに分離して単独で移動するように制御するように構成される、請求項5に記載の乗り物システム。
【請求項7】
前記乗り物サイクルの前記第1の部分は、前記第1の乗り物車両及び前記第2の乗り物車両が乗客乗車ゾーンから離れた後の前記乗り物サイクルの開始部分を含み、前記乗り物サイクルの前記第2の部分は、前記乗り物サイクルの前記開始部分の後であって前記乗り物サイクルの終了部分の前の、前記乗り物サイクルの中間部分を含む、請求項1に記載の乗り物システム。
【請求項8】
前記制御回路は、前記乗り物サイクルの第3の部分の期間中に、前記第1の乗り物車両及び前記第2の乗り物車両を連結して共に移動するように制御するように構成され、前記乗り物サイクルの前記第2の部分は、前記乗り物サイクルの前記第1の部分と前記乗り物サイクルの前記第3の部分との間である、請求項1に記載の乗り物システム。
【請求項9】
第3の乗り物車両をさらに備え、前記制御回路は、前記乗り物サイクルの前記第1の部分の期間中に、前記第1の乗り物車両、前記第2の乗り物車両及び前記第3の乗り物車両を共に連結して移動して前記第1の乗り物車両、前記第2の乗り物車両及び前記第3の乗り物車両が統合乗り物車両である視覚的効果を提供するように制御するように構成され、前記制御回路は、前記乗り物サイクルの前記第2の部分の期間中に、前記第1の乗り物車両、前記第2の乗り物車両及び前記第3の乗り物車両を互いに分離して単独で移動するように制御するように構成される、請求項1に記載の乗り物システム。
【請求項10】
前記第1の乗り物車両は、前記第1の乗り物車両のそれぞれの動きを駆動するように構成された第1の駆動システムを含み、前記第2の乗り物車両は、前記第2の乗り物車両のそれぞれの動きを駆動するように構成された第2の駆動システムを含む、請求項1に記載の乗り物システム。
【請求項11】
遊園地のアトラクションのための乗り物システムであって、
乗り物サイクルを通じて複数の乗客を運ぶように構成された複数の乗り物車両と、
前記複数の乗り物車両の各乗り物車両の乗客が単一の乗り物車両に搭乗しているとの錯覚を提供するように前記複数の乗り物車両が一体の統合乗り物車両として動作するように、前記複数の乗り物車両を前記乗り物サイクルの第1の部分の期間中に互いに連結し、前記乗り物サイクルの第2の部分の期間中に互いに分離するように制御するように構成された制御回路と、
を備え、前記制御回路は、前記複数の乗り物車両のうちの第1の乗り物車両が、前記複数の乗客のうちの、前記乗り物サイクルの前記第2の部分の少なくとも一部を体験する1又は2以上の乗客を運ぶように、前記複数の乗り物車両を異なる経路に沿って互いに分離して単独で移動するように制御するように構成される、乗り物システム。
【請求項12】
前記制御回路は、前記乗り物サイクルの前記第1の部分の期間中に、前記複数の乗り物車両を物理的係合によって互いに連結するように制御するように構成される、請求項11に記載の乗り物システム。
【請求項13】
遊園地のアトラクションにおいて使用される乗り物システムの動作方法であって、
制御回路が、乗り物サイクルの第1の部分の期間中に複数の乗り物車両を連結するステップと、
前記複数の乗り物車両の各乗り物車両の乗客が単一の統合乗り物車両に搭乗しているとの錯覚を提供するように前記複数の乗り物車両が一体の統合乗り物車両として動作するように、前記制御回路が、前記乗り物サイクルの前記第1の部分の期間中に互いに連結された前記複数の乗り物車両を同期的に移動させるステップと、
前記制御回路が、前記乗り物サイクルの第2の部分の期間中に前記複数の乗り物車両を互いに分離するステップと、
前記制御回路が、前記乗り物サイクルの前記第2の部分の期間中、前記分離された複数の乗り物車両の各乗り物車両を単独で移動させるステップと、を含む方法。
【請求項14】
前記制御回路が、前記乗り物サイクルの第3の部分の期間中に前記複数の乗り物車両を互いに連結するステップを含み、前記乗り物サイクルの前記第1の部分は、前記複数の乗り物車両が乗客乗車ゾーンから離れた後の前記乗り物サイクルの開始部分であり、前記乗り物サイクルの前記第3の部分は、前記乗り物サイクルの終了部分であり、前記乗り物サイクルの前記第2の部分は、前記開始部分と前記終了部分との間の前記乗り物サイクルの中間部分である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記制御回路が、前記複数の乗り物車両が前記乗り物サイクルを通過する際にイベントのシミュレーションを促す画像を表示するようにディスプレイ画面に命令するステップを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記乗り物サイクル中に1又は2以上のさらなる乗客を運ぶように構成された第3の乗り物車両を備え、前記制御回路は、
前記第1、第2及び第3の乗り物車両を、前記乗り物サイクルの前記第1の部分の期間中に互いに連結して移動して前記第1、第2及び第3の乗り物車両が前記統合乗り物車両である視覚的効果を提供するように制御し、
前記第1、第2及び第3の乗り物車両を、前記乗り物サイクルの前記第2の部分の期間中に互いに順に分離して単独で移動して前記統合乗り物車両が各段階で各部分に分かれるさらなる視覚的効果を提供するように制御する、
ように構成される、請求項1に記載の乗り物システム。
【請求項17】
前記制御回路は、前記第1の乗り物車両及び前記第2の乗り物車両を、前記乗り物サイクルの前記第3の部分の期間中に共に連結して移動して、前記第1の乗り物車両及び前記第2の乗り物車両から乗客が退出する降車ステーションに移動する前記統合乗り物車両を前記第1の乗り物車両及び前記第2の乗り物車両が再形成するさらなる視覚的効果を提供するように制御するように構成される、請求項8に記載の乗り物システム。
【請求項18】
前記制御回路は、前記乗り物サイクル中に、前記複数の乗り物車両を、前記アトラクションの周囲に位置するモーションベースシステム上に移動するように制御するように構成される、請求項11に記載の乗り物システム。
【請求項19】
前記制御回路は、前記異なる経路に沿って異なるストーリー展開を提供し、前記複数の乗り物車両を前記異なる経路に沿って異なる動きを行うように制御し、又はこれらの両方を行うように構成される、請求項11に記載の乗り物システム。
【請求項20】
前記複数の乗り物車両を連結する前記ステップは、前記複数の乗り物車両を物理的係合によって互いに物理的に連結するステップを含む、請求項13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
一般に、遊園地、カーニバルなどにおける乗り物車両は、乗り物全体を通じて1人又は2人以上の乗客を安全に運ぶように利用される。特定の種類の乗り物のために設計される乗り物車両には数多くの種類が存在する。例えば、いくつかの例を挙げると、ジェットコースターは、乗り物車両が取り付けられて移動する軌道を含み、シミュレータは、乗り物車両をモーションベースシステムに取り付ける必要があるとともにシミュレーションディスプレイを含むことができ、ウォーターライドは、浮遊能力を有する乗り物車両を含むことができる。典型的な乗り物車両は、独立した異なる車両、又は連結された一体型乗り物車両(例えば、固定軌道上の車列)のいずれかを含む。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
以下、当初の特許請求の範囲の主題と同一範囲のいくつかの実施形態を要約する。これらの実施形態は、本開示の範囲を制限するものではなく、むしろ開示するいくつかの実施形態の概要を示すものにすぎない。実際に、本開示は、以下に示す実施形態に類似することができる、又はそれとは異なることができる様々な形態を含むことができる。
【0003】
本開示の1つの態様によれば、システムが、複数の乗り物車両モジュール(ride vehicle module)を含み、複数の乗り物車両モジュールの各々は、他の乗り物車両モジュールに連結してクラスタを形成する連結動作と、他の乗り物車両モジュールから分離する切り離し動作とを乗り物全体を通じて実行するように構成された連動システム(interlock system)と、連動システムとそれぞれの乗り物車両モジュールの動きとを単独で又はクラスタの一部として制御するように構成された制御回路と、クラスタの内部及び/又は外部の他の乗り物車両モジュールと無線で通信するように構成された通信回路とを含む。クラスタは、連動システムを制御する複数の乗り物車両モジュールの各々の制御回路と、複数の乗り物車両モジュール間で動作を協調させる通信回路とを介して連結動作及び切り離し動作を望む通りに実行することにより、乗り物全体を通じてサイズを変更するように構成される。
【0004】
本開示の別の態様によれば、システムが、各モジュール式乗り物車両(modular ride vehicle)の1又は2以上の側面に取り付けられたいずれかの連動システムを介してクラスタの形で互いに同期して連結するように構成された複数の乗り物車両モジュールを含む。クラスタ内の複数の乗り物車両モジュールは、車載制御回路及び通信回路を介して1つの統一乗り物車両として一体に動くとともに、乗り物全体を通じて他の乗り物車両モジュールを連結し、又は既に連結されている乗り物車両モジュールから分離することによってサイズを変更するように構成される。
【0005】
本開示の別の態様によれば、方法が、制御回路を介して、乗り物全体を通じた乗り物車両モジュールの1又は2以上のクラスタの所望のサイズを決定するステップと、制御回路及び通信回路を介して、1又は2以上のクラスタのサイズを設定するステップと、乗り物車両モジュールの各々に取り付けられた連動システムを制御するように構成された制御回路と、乗り物車両モジュール間の通信を行うように構成された通信回路とを介して、乗り物全体を通じた1又は2以上のクラスタの設定されたサイズに基づいて、連動システムを介して連結動作及び切り離し動作を実行するステップとを含む。
【0006】
全体を通じて同じ部分を同じ符号によって示す添付図面を参照しながら以下の詳細な説明を読めば、本開示のこれらの及びその他の特徴、態様及び利点がより良く理解されるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1A】本開示による、数多くの小さな乗り物車両モジュールに分離できる統一乗り物車両の実施形態の概略図である。
図1B】本開示による、数多くの小さな乗り物車両モジュールに分離できる統一乗り物車両の実施形態の概略図である。
図1C】本開示による、数多くの小さな乗り物車両モジュールに分離できる統一乗り物車両の実施形態の概略図である。
図1D】本開示による、数多くの小さな乗り物車両モジュールに分離できる統一乗り物車両の実施形態の概略図である。
図1E】本開示による、数多くの小さな乗り物車両モジュールに分離できる統一乗り物車両の実施形態の概略図である。
図1F】本開示による、数多くの小さな乗り物車両モジュールに分離できる統一乗り物車両の実施形態の概略図である。
図2】本開示による、連結されて統一乗り物車両として動作する数多くの乗り物車両モジュールの実施形態の斜視図である。
図3】本開示による、乗り物車両回路のブロック図である。
図4A】本開示による、乗り物車両モジュール間の接続部を隠す実施形態の斜視図である。
図4B】本開示による、乗り物車両モジュール間の接続部を隠す実施形態の斜視図である。
図4C】本開示による、乗り物車両モジュール間の接続部を隠す実施形態の斜視図である。
図4D】本開示による、乗り物車両モジュール間の接続部を隠す実施形態の斜視図である。
図5A】本開示による、連結動作中に利用される連動システムの実施形態の斜視図である。
図5B】本開示による、連結動作中に利用される連動システムの実施形態の斜視図である。
図5C】本開示による、連結動作中に利用される連動システムの実施形態の斜視図である。
図5D】本開示による、連結動作中に利用される連動システムの実施形態の斜視図である。
図5E】本開示による、連結動作中に利用される連動システムの実施形態の斜視図である。
図5F】本開示による、連結動作中に利用される連動システムの実施形態の斜視図である。
図5G】本開示による、連結動作中に利用される連動システムの実施形態の斜視図である。
図5H】本開示による、連結動作中に利用される連動システムの実施形態の斜視図である。
図6A】本開示による、飛行機型乗り物車両及びその切り離し機能の実施形態の斜視図である。
図6B】本開示による、飛行機型乗り物車両及びその切り離し機能の実施形態の斜視図である。
図7A】本開示による、映画館型乗り物車両及びその切り離し機能の実施形態の斜視図である。
図7B】本開示による、映画館型乗り物車両及びその切り離し機能の実施形態の斜視図である。
図8A】本開示による、乗り物の途中で連結及び切り離し動作を実行することによってクラスタサイズを構成する乗り物車両モジュールの実施形態の上面図である。
図8B】本開示による、乗り物の途中で連結及び切り離し動作を実行することによってクラスタサイズを構成する乗り物車両モジュールの実施形態の上面図である。
図8C】本開示による、乗り物の途中で連結及び切り離し動作を実行することによってクラスタサイズを構成する乗り物車両モジュールの実施形態の上面図である。
図9】本開示による、乗り物の途中で乗り物車両のクラスタサイズを構成する処理である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
開示する実施形態は、乗り物の途中で連結及び切り離し動作を実行することによって複数の乗り物車両モジュールのクラスタサイズを構成するシステム及び方法に関する。クラスタ化された乗り物車両モジュールは、様々なモジュールサブセット(例えば、中間車両)に再構成できる統合車両を形成して所望の乗り物効果(例えば、単一の車両が各段階で各部分に分かれる錯覚)をもたらすことができる。特に、本開示で開示する実施形態は、乗り物車両モジュールの物理的及び/又は仮想的な連結及び切り離しを行うシステム及び方法に関する。乗り物車両のモジュール性は、これらの単独ユニットの構成を意味することができ、以下、本明細書では、様々なサイズのクラスタの柔軟な配置及び構成についてこのことを詳細に説明する。モジュール式乗り物車両は、様々なサイズのクラスタで又は個々のユニットモジュールとして同期的又は非同期に移動することができる。乗り物車両モジュールは、乗り物の開始時には、連動システムによって1つの統一乗り物車両のように見えるように基本的に切れ目なく連結することができる。換言すれば、乗り物車両が実際には連結された複数の乗り物車両モジュールのクラスタである場合、来園客は、1つの完全に一体の統合された乗り物車両に乗り込んでいるという印象を受けることができる。実際に、来園客は、乗り物車両モジュールの連結方法に基づいて、統一乗り物車両が小型の乗り物車両モジュールのクラスタに分離できることに気付くこともないと考えられる。
【0009】
さらに、いくつかの実施形態では、乗り物車両モジュールが、クラスタの形で物理的に連結している時に電子的かつ通信可能に結合することもできる。すなわち、乗り物車両回路(例えば、制御回路及び通信回路)は、連結された乗り物車両モジュールに単一の統一乗り物車両として一体に行動させることができる。いくつかの実施形態では、各個々の乗り物車両モジュールが、クラスタの形の他の乗り物車両モジュールと一体に指示通りに行動できるモーションベースシステムに接続することができる。また、乗り物車両モジュールは、クラスタから切り離された時には、制御回路(例えば、プロセッサ)を利用して付属のモーションベースシステムを制御することによって単独で動作又は行動することもできる。例えば、各乗り物車両モジュールは、自動化コントローラ(例えば、プログラマブルロジックコントローラ)を含むことができ、このコントローラは、車両モジュールがクラスタ化されてクラスタ全体又は統一的モジュール式乗り物車両の統一的な動きを行う際に、他の乗り物車両モジュールの(例えば、1次コントローラ及び補助的な2次コントローラを指定する)他のコントローラと協調することができる。なお、乗り物車両モジュールは、無人搬送車(AGV)を意味することができ、本明細書では、所定の経路をたどり、6つの自由度(例えば、ロール、ピッチ、ヨー、サージ、ヒーブ及びスウェイ)で動き、他の同様のAGVとの間で連結及び切り離しを行うことができる移動車両として定義することができる。
【0010】
例示すると、特定の実施形態では、来園客が、1つの大型の一体的乗り物車両シミュレータのように見えるモジュール式飛行機型乗り物車両に入場することができる。飛行機がそのシミュレーション内で離陸する際には、制御回路及び通信回路が、統一的な飛行機型乗り物車両の前方の乗り物車両モジュールに上昇するように指示し、統一的な飛行機型乗り物車両の後方の乗り物車両モジュールに下降するように指示することができる。一方で、この飛行機は、飛行シミュレーションの途中に、複数の乗り物車両モジュールを分裂させ、例えば飛行機の中心を横切って分断することによって墜落をシミュレートすることもできる。その後、飛行機型乗り物車両の前半分(例えば、初期モジュールアセンブリの車両モジュールの第1のサブセット)は、向きを変えて乗り物内の1つの経路を移動し始めることができ、飛行機型乗り物車両の後半分(例えば、初期モジュールアセンブリの車両モジュールの第2のサブセット)は、向きを変えて乗り物内の別の経路を移動し始めることができる。飛行機型乗り物車両の各半分又は中間クラスタ(車両モジュールのそれぞれのクラスタ)は、互いに通信するそれぞれのプロセッサ(例えば、自動化コントローラのプロセッサ)の制御下で、一体に統一乗り物車両として機能することができる。また、各経路は、異なるストーリー及び/又は動きをもたらすことができ、したがって来園客は、その後の乗り物の過程中に数多くの異なる体験を取得することができる。
【0011】
さらに乗り物を進むと、この例では完全な飛行機であった初期のクラスタの一方又は両方の半分は、乗り物車両モジュールをさらに小さな中間クラスタに切り離すさらなるイベントを体験することができる。乗り物車両クラスタのサイズは、望ましくなるまで縮小することができる。実際に、この分裂は、全ての乗り物車両モジュールが分離され、したがって個々の来園客又は来園客の一部が単独で乗り物の一部を体験するようになるまで継続することができる。その後、乗り物が終わりに近付き、又は来園客が乗り物車両モジュールから退出すると、乗り物車両モジュールは、連結動作を行って初期クラスタを再構築することによって再接続することができる。これにより、この乗り物を体験したいと望む次の来園客グループのために初期の飛行機型乗り物車両を準備することができる。なお、乗り物車両の例として飛行機を使用したが、本開示を限定する意図はない。理解できるように、単一の乗り物車両のように見えて予想外にさらに分裂することができる切れ目なく連結された乗り物車両モジュールは、来園客が最初にどこに座っているかに依存して驚きと複数の体験とを与えることによって来園客の体験を高めることができる。
【0012】
まず図1A図1Fに、数多くの小さな乗り物車両モジュールに分離できる統一乗り物車両の実施形態の一連の概略図を示す。最初に、図1Aに、4つの個々の乗り物車両モジュール12、14、16及び18と、障壁(例えば、壁部及び/又は天井)20とを含むことができる統一乗り物車両10を示す。4つの個々の乗り物車両モジュール12、14、16及び18の各々は、複数の座席22を含むことができる。障壁20は、統一乗り物車両10への1又は2以上の入場路24と、統一乗り物車両10からの1又は2以上の退場路26とを含むことができる。なお、4つの個々の乗り物車両モジュールを示しているが、本開示では、あらゆる数の乗り物車両モジュールを連結して統一乗り物車両10を形成することができる。実際に、いくつかの実施形態では、各個々の座席22が、その独自の個々の乗り物車両モジュールの一部である。したがって、統一乗り物車両10は、25個の座席を含む場合には25個の個々の乗り物車両モジュールを含むことができ、他の数の場合も同様である。
【0013】
図示のように、個々の乗り物車両モジュール12、14、16及び18を連結し、障壁20によって取り囲むと、4つの別個の乗り物車両モジュールではなく1つの統一乗り物車両10のように見える。個々の乗り物車両モジュールは4つの辺を有することができ、4つの辺のいずれかにおいて互いに連結することができる。すなわち、乗り物車両モジュールは、他の乗り物車両モジュールと前後及び/又は左右に連結することができる。以下で詳細に説明するように、乗り物車両モジュールは、連動システムを利用して複数の方法で連結することができる。また、乗り物車両モジュールは、とりわけ、車載シミュレータ(onboard simulator)、モーションベースシステム、駆動及び/又は軌道への接続のための牽引システム(例えば、タイヤ、トレッドなど)、浮遊能力(例えば、いかだ)、乗り物車両モジュールを駆動及び/又は推進させる駆動システム、ナビゲーションシステム、懸架システム、乗り物車両モジュールの制御及び他の乗り物車両モジュールとの通信のための乗り物車両回路を含むことができる。
【0014】
いくつかの実施形態では、統一乗り物車両10を飛行機とすることができ、乗り物車両モジュール12、14、16及び18を、乗り物車両間の接続部を隠す歩道によって分離された飛行機の異なる区分とすることができる。別の実施形態では、統一乗り物車両10が映画館を表すことができ、乗り物車両モジュール12、14、16及び18を、乗り物車両モジュール間の接続部を隠す歩道によって分離された映画館の異なる区分とすることができる。いずれかの実施形態では、開示する技術が、複数の個々の乗り物車両モジュールを共に配置して、1つの一体型車両であるかのように見える統一乗り物車両10にすることができる。また、以下で詳細に説明するように、いくつかの実施形態では、乗り物車両モジュールを、乗り物車両モジュールに含まれる制御回路及び通信回路によって制御されるモーションベースシステムに接続することができる。したがって、モーションベースシステムを共に制御して、乗り物車両モジュールで構成された統一乗り物車両10を1つの一体型ユニットとして動かす(例えば、ピッチ、ロール、振動、サージ、ヒーブ及びスウェイ)ことができる。
【0015】
統一乗り物車両10は、乗り物の途中で、非一時的機械可読媒体(例えば、メモリ)に記憶されたコンピュータ命令、乗り物車両から離れた所に位置する制御システムからの受信信号又は固定軌道などによって分裂を引き起こす(例えば、切り離し動作を実行する)ことができる。いくつかの実施形態では、この分裂を、シミュレートした衝突、爆発、自然災害及び恐竜/動物の攻撃などの、乗り物内で発生するイベントに応答して引き起こすことができる。この結果、図1Bに、2つの異なる中間統一乗り物車両28及び30に分裂する(例えば、波線32は垂直分裂を表す)ように切り離し動作を実行する統一乗り物車両10の実施形態を示す。図示のように、中間統一乗り物車両は垂直に分裂しているが、乗り物車両モジュールは4つの辺の全てにおいて連結できるので、同様に水平に分裂することもできる。なお、乗り物車両モジュール12、14、16及び18を取り囲む障壁20も、本明細書で説明する技術を利用して乗り物車両モジュールと同様に分かれることができる。いくつかの実施形態では、閉じ込めシステムを利用して、来園客をいずれかの離脱ゾーンから分離されるように物理的に拘束することができる。さらに、離脱ゾーンは、連結時に邪魔にならないように来園客の座席から十分に離間させることができる。
【0016】
中間統一乗り物車両28及び30の各々は、2つの個々の乗り物車両モジュールのクラスタを表す。具体的には、中間統一乗り物車両28は、乗り物車両モジュール12及び18を含み、中間統一乗り物車両30は、乗り物車両モジュール14及び16を含む。したがって、中間統一乗り物車両28は、乗り物車両モジュール12及び18を、これらの制御回路及び通信回路の利用を通じて一体に操作することによって単一の一体型乗り物車両として機能することができる。中間統一乗り物車両30、並びにその連結された乗り物車両モジュール14及び16についても同様である。
【0017】
上述したように、乗り物車両モジュールは、これらの4つの辺全てにおいて連結及び切り離し動作を実行することができる。乗り物が進むにつれ、この能力を利用して、特定のイベントの発生時に乗り物車両モジュールの(単複の)クラスタサイズをさらに減少させることが望ましいと思われる。説明に役立つように、図1Cに、各個々の乗り物車両モジュール12、14、16及び18を4辺のうちの2つにおいて切り離した図1Aの統一乗り物車両10を示す。図示のように、各個々の乗り物車両モジュール12、14、16及び18は、他の乗り物車両モジュールから解放され、独自の経路を進み続けて全く異なるストーリー及び/又は動きを体験することができ、以下、このことについてさらに詳細に説明する。
【0018】
したがって、各個々の乗り物車両モジュール12、14、16及び18は、単独で移動することができる。例えば、図1Dに、前後(矢印36)、左右(矢印38)に移動して左右に向きを変える(矢印40)ことができる、統一乗り物車両から切り離された乗り物車両モジュール12を示す。なお、複数の乗り物車両モジュールを含む統一乗り物車両(例えば、10、28及び30)は、いずれも一体型ユニットとしてあらゆる方向に移動できると理解されたい。
【0019】
さらに、乗り物が進むにつれ、乗り物車両モジュールに接続されてモジュールを取り囲むことができる障壁(例えば、壁部及び/又は天井)20を除去することもできる。図1Eに示すように、障壁20の一部を乗り物車両モジュール12から分離することができる。乗り物のタイプによっては、障壁20を除去することが望ましいと思われる。例えば、シミュレートされた恐竜が墜落した飛行機を襲って壁部又は天井の一部をもぎ取る乗り物では、互いに切り離されてそれぞれの車両モジュールから離れた障壁(例えば、壁部及び/又は天井)20又はその一部を有することが有益となり得る。実際に、除去できる障壁20は、乗り物の途中で来園客の体験及び興奮レベルをさらに高めることができる。
【0020】
いくつかの実施形態では、乗り物内に配置されたロボット(例えば、恐竜、巨人などに見えるように装飾したロボット)によって天井を物理的に除去し、乗り物車両の側壁を直ちに乗り物車両の下部に格納することができる。或いは、ロボットによって側壁を除去することもできる。また、いくつかの実施形態では、壁部を再接続する際、及び/又は外れた物体を乗り物車両に収容する際に邪魔にならないように、壁部が除去された後に適所に留まる透明な壁部(例えば、アクリルガラス)が存在することもできる。他の実施形態では、閉じ込めシステムを利用して、来園客をいずれかの離脱ゾーンから分離されるように物理的に拘束することができる。これには、ロック式ラップバー、オーバーヘッドロック式チェストバー、シートベルト、又はこれらのいずれかの組み合わせの使用を含めることができる。
【0021】
図1Fに示すように、いくつかの実施形態では、乗り物車両モジュール12を中間統一乗り物車両とし、このモジュール自体の個々の乗り物車両モジュール42に取り付けることができる複数の座席22を含めることができる。したがって、中間統一乗り物車両12は、乗り物の過程中に全ての単一の座席22及び乗り物車両モジュール42が単独で動作するようになるまで何度でも望むだけ分裂するように切り離し動作を実行することができる。例えば、来園客は、1人だけで川を下るカヌー(例えば、乗り物の一部の期間中に乗り物車両モジュール42が連結するカバー)で浮かんで乗り物を終了することができる。したがって、乗り物車両モジュールは、乗り物の異なる部分において非同期的に移動することができる。実際に、乗り物のいくつかの経路では、特定のイベント、地形、ストーリー展開などに応じて乗り物車両モジュールが切り離しを行って非同期的に動き、他の経路では、特定のイベント、地形、ストーリー展開などに応じて乗り物車両モジュールが同期的に動いて再接続することもできる。さらに、いくつかの実施形態では、完全に別個の乗り物要素が乗り物車両モジュールに連結することもできる。例えば、乗り物車両モジュール42は、乗り物の暗い部分の最中に、乗り物車両モジュール42の見た目を変化(例えば、飛行機の破片のように見えるものからカヌーに変化)させる要素に連結することができる。開示した乗り物車両の連結動作及びモジュール式の側面の結果として、1つの乗り物において複数の異なる体験をもたらすことができ、これによって来園客をもう一度アトラクションに乗る気にさせることができる。
【0022】
本開示の態様をさらに示すと、図2は、連結されて単一の統一乗り物車両10として動作する数多くの乗り物車両モジュール12、14、16及び18の実施形態の斜視図を含む。上述したように、乗り物車両モジュールは、物理的及び/又は仮想的に連結することができる。物理的連結は、後述する連動システムなどによって可能にすることができる。乗り物車両モジュールは、乗り物車両モジュールが統一乗り物車両10として一体に行動できるようにする車載乗り物車両回路(例えば、通信回路、制御回路及び/又はセンサ回路)を通じて仮想的に連結することもできる。すなわち、乗り物車両モジュールは、単一の一体型ユニットとして動作を行うように動きを協調させることができる。実際に、統一乗り物車両10は、各連結された乗り物車両モジュールの動きを適宜に協調させることにより、ピッチ、ロール時などに車両自体を平らに保つことができる。例えば、乗り物が、統一乗り物車両10を右にロールさせる必要がある場合、統一乗り物車両10の右側の乗り物車両モジュールが下向きに傾斜し、統一乗り物車両10の左側の乗り物車両モジュールが上向きに傾斜することができる。この結果、統一乗り物車両10の左側縁部は最高点に達し、統一乗り物車両10の残り部分は、右側縁部が最低点に達するまで一体型プラットフォームとして下向きに傾斜することができる。
【0023】
統一乗り物車両10の一体的な動きは、連結した乗り物車両モジュールのプラットフォーム46の各々に取り付けられたモーションベースシステム44及び懸架システム(suspension system)45によって可能にすることができる。モーションベースシステム44は、各乗り物車両モジュールに含まれる乗り物車両回路を通じて制御することができ、以下、この乗り物車両回路について詳細に説明する。乗り物車両回路は、制御回路(例えば、プロセッサ)が乗り物車両に望む通りに動くように指示するために実行する、有形の非一時的機械可読媒体(例えば、メモリ、ストレージ)に記憶されたコンピュータ命令を含むことができる。或いは、乗り物車両回路は、乗り物車両の外部に存在する制御システムなどの遠隔ソースから、乗り物車両に望む通りに動くように指示するコマンド又は命令を受け取ることもできる。例えば、乗り物車両モジュール12、14、16及び18は、互いに通信することにより、右側の乗り物車両モジュールのモーションベースシステム44及び懸架システム45が、付属のプラットフォーム46を下向きに傾斜させると同時に、左側の乗り物車両モジュールのモーションベースシステム44及び懸架システム45が、付属のプラットフォーム46を上向きに傾斜させて、高速での右旋回に関連する物理的効果をシミュレートすることができる。
【0024】
さらに、各乗り物車両モジュールは、視覚表示及び音声を提供する車載シミュレータ(図示せず)を含むことができる。モーションベースシステム44は、視覚表示信号及び音声信号と同期して、没入できる切れ目のない現実的な体験を来園客に与えることができる。乗り物車両モジュールが統一乗り物車両10として連結した場合、各乗り物車両モジュールの視覚表示信号及び音声信号は、与える体験が一体化されるように同期することができる。また、懸架システム45は、統一された体験を与えるためにシミュレータの動きに反応するように適応することができる。例えば、懸架システム45は、流体を磁石で励磁することによって制御できる減衰流体をショックアブソーバ内に利用することができる。磁石は、所望の時点で懸濁液を変質させるシミュレータを用いて時間的に反応するようにプログラムすることができる。また、モーションベースシステム44は、駆動及び/又は軌道への接続などを可能にする牽引システム(例えば、タイヤ、トレッド)48を含むこともできる。モーションベースシステム44は、乗り物車両モジュールの駆動時における速度及び加速度などの運動特性を高めることができる。
【0025】
別の実施形態では、乗り物車両モジュールをモーションベースシステムに取り付けなくてもよく、或いは乗り物車両モジュールが車載シミュレータを含まなくてもよい。その代わりに、乗り物全体を通じて配置された様々なモーションベースシステム及びシミュレータに乗り物車両モジュールを進ませて離れさせることができる。なお、モーションベースシステムを含まない乗り物車両モジュールは、それでもなお連結動作を実行し、乗り物全体を通じてクラスタサイズを構成することができる。実際に、この乗り物車両モジュールの実施形態は、乗り物車両モジュールを一様に又は単独で制御し、他の乗り物車両モジュール及びシステムなどと通信するように構成された乗り物車両回路を含むこともできる。
【0026】
統一乗り物車両及び/又は乗り物車両モジュールは、固定軌道を使用せずに動作することができるので、ナビゲーションシステムを利用して位置を追跡し、必要に応じて調整を行うことによって動きを誘導することができる。乗り物車両モジュール経路を追跡するために利用できるナビゲーションシステムの実施形態は、ジャイロスコープ式ナビゲーション、有線誘導式ナビゲーション、及び/又はレーザー誘導式ナビゲーションを含む複数のものが存在する。ジャイロスコープ式ナビゲーションは、車輪が達成した回転数をカウントすることによって乗り物車両モジュールの位置を追跡することができる。ジャイロスコープ式ナビゲーションを使用する利点は、プログラマが、乗り物車両モジュールの経路を、位置を特定するために必要な固定軌道及びランドマークの不在に起因する将来的なコースの変化に対応するように容易にプログラムできる点である。また、乗り物車両モジュールを取り囲む物体をモニタして仮想3次元空間を構築し、位置を参照して適宜に動きを制御する立体カメラを乗り物車両モジュール沿いに含む視覚誘導を利用することもできる。
【0027】
これに加えて、又はこれとは別に、有線誘導システムは、乗り物車両モジュールの位置基準を経路に沿って提供することができ、レーザー誘導システムは、経路沿いに配置した反射テープからレーザーを反射させて乗り物車両モジュールの位置を参照することができる。いずれかの実施形態では、複数のセンサを利用して、乗り物車両モジュールの各々に含まれる制御回路に位置データを戻すことができる。例えば、レーザー誘導システムは、異なる方向の様々な物体にレーザーを放出する小塔を乗り物車両モジュールに取り付けることができ、乗り物車両回路は、これらの物体からの測定距離に基づいて位置を特定することができる。これにより、乗り物車両モジュールが動きを同期させて連結動作を実行するために互いの距離を知るという利点を得ることができる。
【0028】
上述したように、いくつかの実施形態では、乗り物車両モジュール12、14、16及び18を無軌道コースで走行させることができる。したがって、各乗り物車両モジュールは、駆動システムを含むことができる。利用できる駆動システムには、電気式又油圧式を含む複数の異なる実施形態が存在する。1つの実施形態では、電気駆動システムが、複数のモータを利用して乗り物車両モジュールを駆動することができ、これらのモータは非同期モータ又は同期モータとすることができる。別の実施形態では、液体ベースのシステムを含む油圧システムを利用することができる。油圧システムを使用する利点は、自動注油式であることによって他のタイプの駆動システムを使用するよりも保守コストを下げることができる点である。上述したように、乗り物車両モジュールは、分裂時に、個別に取り付けられたモーションベースシステム44、ナビゲーションシステム、乗り物車両回路、駆動システム及び牽引システム48によって単独走行及び単独移動する(例えば、走行、ピッチ、ロール、方向転換する)ことができる。
【0029】
さらに、いくつかの実施形態では、乗り物車両モジュールが、乗り物車両モジュール、並びに乗り物車両回路及びシミュレータの視聴覚ディスプレイなどのいずれかの車載部品に給電するために車載式充電池を含むことができる。1つの実施形態では、乗り物車両モジュールが、 乗り物を通じて設置された誘電接地板に接続して充電できる、車両の底部に取り付けられた導電レセプタを含むことができる。別の実施形態では、地上に設置された充電パッド内の一次コイルと、乗り物車両モジュールに取り付けられたレセプタ内の2次コイルとを含む無線充電システムを利用することができる。充電パッドは、レセプタと整列した時にレセプタに電気を送信してバッテリを充電することができる。
【0030】
このことを踏まえ、図3に、各乗り物車両モジュールの乗り物車両回路50の一部とすることができ、連結動作を実行してとりわけ乗り物車両モジュール間の動き及び/又はシミュレーションを統一するために使用できる様々な構成要素のブロック図を示す。図示のように、乗り物車両回路50は、通信回路52、プロセッサ54(例えば、制御回路)、センサ55、メモリ56及びストレージ58などを含むことができる。通信回路52は、乗り物車両モジュールと他のシステム(例えば、制御システム)及び/又は装置との間の通信を容易にすることができる無線又は有線通信要素とすることができる。通信回路52は、IEEE 802.11b/gなどの業界標準を満たすことができる。例えば、統一乗り物車両が異なる中間クラスタに分離すると、通信回路52は、中間クラスタに含まれる乗り物車両モジュールが、統一乗り物車両として再形成する連結動作を協調できるようにすることができる。また、乗り物車両モジュールが統一乗り物車両として連結されると、通信回路52は、一体型ユニットとしての動作を可能にすることもできる。プロセッサ54は、コンピュータ実行可能コードを実行できるあらゆるタイプのコンピュータプロセッサ又はマイクロプロセッサとすることができる。いくつかの実施形態では、プロセッサ54を1又は2以上のマイクロコントローラとすることができる。
【0031】
また、プロセッサ54のアーキテクチャにも複数の実施形態が存在する。例えば、1つの実施形態では、1つの中央処理装置54が、通信回路52及びセンサ55などからの全てのデータを直接処理することができる。別の実施形態では、さらに複雑な決定のために中央処理装置54にデータを供給するプロセッサ54をそれぞれ有する複数のサブシステムが存在することができる。例えば、ナビゲーションシステムは、プロセッサ54を含むことができ、通信回路52も、プロセッサ54を含むことができ、センサ55も、中央処理装置54にデータを提供するプロセッサ54を含むことができ、他も同様である。複数のプロセッサ54の利用は、冗長性を可能にすることができる。連結された乗り物車両モジュール間の動きを協調させるために、1つの実施形態では、1つの連結された乗り物車両モジュールをマスター制御装置として指定し、他の連結された乗り物車両モジュールをスレーブとして指定することができる。この実施形態では、マスターのプロセッサ54が、通信回路52を介してクラスタ全体の制御に関する情報をスレーブに中継することができ、スレーブのプロセッサ54が、一体に動くようにクラスタ内の位置に対して反応する方法を決定することができる。
【0032】
上述したように、センサ55は、とりわけ乗り物車両モジュールが乗り物内のどこに位置するか、及び他の乗り物車両モジュールをどのように同期して動かしてこれらに接続するかを決定できるようにすることができる。メモリ56及びストレージ58は、プロセッサ実行可能コード又はデータなどを記憶する媒体としての役割を果たすことができるいずれかの製造の物品とすることができる。これらの製造の物品は、開示する技術を実行するためにプロセッサ54が使用するプロセッサ実行可能コードを記憶できる有形のコンピュータ可読媒体(すなわち、いずれかの好適な形の有形メモリ又はストレージ)を表すことができる。メモリ56及びストレージ58は、ビデオデータ及びオーディオデータを記憶するために使用することもできる。
【0033】
次に、本開示による、乗り物車両モジュール間の接続線を隠す実施形態の一連の斜視図を含む図4A図4Dを参照する。一般に、連結された乗り物車両モジュールの間の接続線は、乗り物車両モジュールのプラットフォームの表面上の模様、窪み、照明/影付け及び重複材料(例えば、カーペット)などを用いて隠すことができる。乗り物車両モジュール間の接続線を隠すと、連結された乗り物車両モジュールが単一の統一乗り物車両であるという外観を強化することができる。以下で説明する技術は、乗り物車両モジュールを横並びに及び/又は前後に連結する際に適用することができる。
【0034】
これらを踏まえ、図4Aに、横並びに連結された乗り物車両モジュール12及び14を示す。いくつかの実施形態では、乗り物車両モジュールのプラットフォーム面が、歩道を形成するトラック照明のレールとすることができる線60を含むことができる。理解できるように、このような歩道は、一般に飛行機及び/又は映画館で見られるものに類似することができる。他の実施形態では、線60を、(例えば、塗料、影を用いて)暗くしたり深くしたりすることができるプラットフォーム内の凹溝とすることができる。図示のように、乗り物車両モジュール12及び14間の接続線62は線60の直近に存在し、したがって2つのプラットフォームが接する割れ目は、トラック照明の設備又は単なる別の凹溝と一体化しているように見える。トラック照明を利用して接続線62に影を落としてさらに隠すこともできる。さらに、プラットフォームの側面は、楔形64に設計することができる。楔形のプラットフォームは、とりわけ、乗り物車両モジュールの底部から光が生じて接続線62を露出させるのを防ぐように互いに組み合わさることができる。また、上述したように、座席22と接続線62(例えば、分離点)との間の距離は、乗り物の途中で乗り物車両モジュール同士を連結(例えば、接続)する際のあらゆる障害を防ぐのに十分な距離66とすることができる。
【0035】
別の実施形態では、図4Bに、ジグザグパターンを利用することによって、横並びに連結された乗り物車両モジュール12及び14間の接続線62を隠すことを示す。このパターンは、乗り物車両モジュールのプラットフォームの表面に設置されたカーペットの一部、乗り物車両モジュールのプラットフォームの表面に塗装したもの、乗り物車両モジュールのプラットフォームなどの表面上の溝として窪ませたものなどとすることができる。このパターンは、プラットフォーム面全体を覆うことも、或いはその一部のみを覆うこともできる。カーペット又は塗装では、接続線62を隠すために暗い色(例えば、黒色、灰色)を使用することができる。また、ジグザグが凹溝である場合、この溝も、塗装及び/又は影付けを用いて暗くすることができる。プラットフォームの側面は、連結時に対応する歯が噛み合うことができるようにジグザグに設計することができる。
【0036】
別の実施形態では、図4Cに、噛み合う四角形パターンを利用することによって横並びに連結された乗り物車両モジュール12及び14間の接続線62を隠すことを示す。このパターンは、乗り物車両モジュールのプラットフォームの表面に設置されたカーペットの一部、乗り物車両モジュールのプラットフォームの表面に塗装したもの、乗り物車両モジュールのプラットフォームなどの表面上の溝として窪ませたものなどとすることができる。このパターンは、プラットフォーム面全体を覆うことも、或いはその一部のみを覆うこともできる。カーペット又は塗装では、接続線62を隠すために暗い色(例えば、黒色、灰色)を使用することができる。さらに、噛み合う四角形が凹溝である場合、この溝も、塗装及び/又は影付けを用いて暗くすることができる。プラットフォームの側面は、連結時に対応する歯が組み合わさるように噛み合う四角形に設計することができる。
【0037】
さらに別の実施形態では、乗り物車両モジュールのうちの1つの乗り物車両モジュールのプラットフォーム面が、接続線62を完全に覆うために、接続された乗り物車両モジュール上に延びるフラップを含むことができる。このフラップは、カーペット及びゴムなどで構成することができる。このフラップは、プラットフォームが統一されて見えるように、連結された乗り物車両モジュールのプラットフォームの表面全体に含まれるパターンと調和するパターンを含むことができる。
【0038】
図4Dに、前後左右に連結された乗り物車両モジュール12、14、16及び18を示す。この実施形態では、左右の接続線62及び前後の接続線68が、チェックパターンの一部として隠されている。上述したように、このチェックパターンは、乗り物車両モジュールのプラットフォームの表面に設置されたカーペットの一部、乗り物車両モジュールのプラットフォームの表面に塗装したもの、乗り物車両モジュールのプラットフォームなどの表面上の溝として窪ませたものなどとすることができる。カーペット又は塗装では、接続線62を隠すために暗い色(例えば、黒色、灰色)を使用することができる。さらに、チェックパターンを構成する線が凹溝である場合、この溝も、塗装及び/又は影付けを用いて暗くすることができる。このパターンは、組み立てた乗り物車両モジュール12、14、16及び18が実際に1つの統一された完全に一体的な乗り物車両であるという印象を来園客が受けるように、接続線62及び68をパターンの一部として隠すのに役立つことができる。
【0039】
次に、乗り物車両モジュールの物理的連結方法に移ると、図5A図5Mは、本開示による、連結動作を行うために乗り物車両モジュールが利用できる連動システムの実施形態の一連の斜視図を含む。開示する連動システムの実施形態は、各乗り物車両モジュールの側面、前面及び/又は後面に取り付けることができる。いくつかの実施形態では、この連動システムを、乗り物車両モジュールに含まれる乗り物車両回路50によって制御することができる。例えば、乗り物車両回路50は、乗り物車両モジュールが完全に適所にロックされた時にフィードバックを受け取ることができる。このフィードバックは、乗り物車両の側面、前面及び/又は後面上に取り付けられたセンサ(例えば、近接センサ)を介して取得することができる。乗り物車両回路50は、この情報を用いて、ロックされた乗り物車両モジュールと、統一乗り物車両として動作するように通信することができる。同様に、乗り物車両回路50は、乗り物車両モジュールが切り離された時にも(例えば、センサを介して)フィードバックを受け取ることができる。乗り物車両回路50は、この情報を用いて、乗り物車両モジュールを残りのいずれかの接続された乗り物車両モジュールと一体に操作し続けることができ、或いは乗り物車両モジュールが1つである場合、その乗り物車両モジュールを単独で操作し続けることができる。さらに、この連動システムは、乗り物車両モジュールを強固にしっかりとロックすることによって一体型ユニットとして機能させることもできる。
【0040】
図5Aには、T字型ねじレールロック(T-screw rail lock)70を含む連動システムの実施形態を示す。T字型ねじ72は、第1の乗り物車両上に取り付けて、必要になるまで床と平行に格納しておくことができる。T字型ねじ72は、乗り物車両回路50によって接近中の乗り物車両モジュールに接続するように作動又は指示されると、図示のように伸びて接近中の乗り物車両モジュール内のレール74に入り込み、回転してロックすることができる。その後、第1の乗り物車両モジュールは、T字型ねじ72を格納して、接続された車両モジュールをできるだけ近くに引き寄せることができる。T字型ねじレールロック70は、とりわけT字型ねじ72の回転に耐え、レール74内に強力な保持力をもたらしてアライメントを管理する肉厚ゴムパッド76を含むことができる。T字型ねじ72は、接続された乗り物車両モジュールから分離するように指示されると、再び回転して当初の位置に後退することができる。これにより、乗り物車両モジュール間の素早い分離を可能にすることができる。なお、各乗り物車両モジュールは、側面、前面及び/又は後面にモジュール性を高めるいずれかの組み合わせで取り付けられたT字型ねじ72及び/又はレール74を含むことができる。
【0041】
別の実施形態では、図5B図5Cに、ボルトロック(bolt lock)80を含む連動システムを示す。図5Bに示すように、第1の乗り物車両モジュール84にロック部材82を取り付け、第2の乗り物車両モジュール88の内部にボルト86を取り付けることができる。乗り物車両回路50によって第2の乗り物車両モジュール88に接続するように作動又は指示されると、第2の乗り物車両モジュール88の開口部90内にロック部材82を誘導することができる。その後、図5Cに示すように、ロックにボルト86を挿通して閉じ、乗り物車両モジュール84及び88を適所に保持することができる。接続された乗り物車両モジュールから分離するように指示されると、ロック部材82からボルト86が除去され、第1の乗り物車両モジュール84が離れることによって第2の乗り物車両モジュール88からロック部材82を後退させることができる。ボルト86及び/又はロック部材82は、接続を強化するために、乗り物車両モジュールの側面、前面及び後面に沿って望む通りに複数配置することができる。
【0042】
別の実施形態では、図5D図5Eに、乗り物車両モジュールに取り付けられた電磁ロック(electromagnetic lock)94を含む連動システムを示す。乗り物車両回路50によって別の乗り物車両モジュールに接続するように作動又は指示されると、図5Eに示すように電磁石96に電流を供給して、所望の乗り物車両モジュールを共に引っ張ることができる。分離するように指示されると、電磁石96に供給する電流をオフにし、乗り物車両モジュールを分離して、単独で又は残りのいずれかの接続された乗り物車両モジュールと一体に操作することができる。電磁石96は、接続を強化するために、乗り物車両モジュールの側面、前面及び後面に沿って望む通りに複数配置することができる。
【0043】
別の実施形態では、図5F図5Gに、スライド式ロック(slide lock)100を含む連動システムを示す。図5Fに示すように、第1の車両モジュール104にボルト102を取り付け、第2の乗り物車両モジュール108の内部に凹部106を取り付けることができる。乗り物車両回路50によって連結動作を行うように作動又は指示されると、図5Gに示すように、第2の乗り物車両モジュール108にボルト102を挿入し、機構によって第2の乗り物車両モジュール108の凹部106内に降下させることができる。分離するように指示されると、この機構に、ボルト102を上昇させて第2の乗り物車両モジュール108の凹部106から引き抜くように指示することができる。スライド式ロック100は、接続を強化するために、乗り物車両モジュールの側面、前面及び後面に沿って望む通りに複数配置することができる。
【0044】
別の実施形態では、図5Hに、ドロップピンコネクタ式ロック(drop pin connector lock)110を含む連動システムを示す。図5Hに示すように、第1の乗り物車両モジュール114にコネクタ112を取り付けて第1の乗り物車両モジュール114から延ばし、第2の乗り物車両モジュール116に別のコネクタ112を取り付けて第2の乗り物車両モジュール116から延ばすことができる。乗り物車両回路50によって連結するように作動又は指示されると、第1の乗り物車両モジュール114と第2の乗り物車両モジュール116の両方のコネクタ112を位置合わせし、第1の乗り物車両モジュール114又は第2の乗り物車両モジュール116上の機構によってコネクタ112にドロップピン118を挿通させてロックすることができる。分離するように指示されると、機構によってコネクタ112からドロップピン118除去し、乗り物車両モジュールが分離することによってコネクタ112も分離する。ドロップピン118及びコネクタ112は、接続を強化するために、乗り物車両モジュールの側面、前面及び後面に沿って望む通りに複数配置することができる。
【0045】
図6A及び図6Bは、本開示による切り離し能力を示す、飛行機型乗り物車両130の実施形態の斜視図を含む。図6Aに示すように、飛行機型乗り物車両130は、2つの連結された乗り物車両モジュール132及び134、壁部136及び天井138を含む。各乗り物車両モジュール132及び134は、様々なサイズのグループで配置された複数の座席22を含むことができる。飛行機型乗り物車両130を表示画面140の方に向け、又は各乗り物車両モジュール132及び134に表示画面140を取り付けることができる。この実施形態では、接続線142が、2列の座席22をこれらの間の通路に沿って分割する。接続線142を隠すことに関して上述した技術を利用することができる。なお、他の乗り物車両モジュールを横並びに取り付ける場合には、あらゆる数の座席22の列が存在することができる。また、乗り物車両モジュール132及び134の前面及び/又は後面に取り付けられた他の乗り物車両モジュールが存在することもできる。実際には、数多くの乗り物車両モジュールを連結して、乗り物車両が単一の一体型ユニットとして動作する1つの大型の飛行機型乗り物車両130に見えるように接続線を隠すことができる。例えば、離陸をシミュレートする際には、飛行機型乗り物車両130の前部を上昇させ、飛行機型乗り物車両130の後部を下降させることができる。
【0046】
飛行機型乗り物車両130は、各モジュール式乗り物車両に取り付けられたモーションベースシステムを含むことも、又は含まないこともできる。飛行機型乗り物車両130内で連結される各乗り物車両モジュールは、乗り物全体を通じて乗り物車両モジュールの駆動及び/又はジェットコースターの軌道への接続を可能にする車輪144を含む。さらに、壁部136及び天井138は、来園客に分裂することが分からないように結合することができる。例えば、接続線146は、飛行機でよく見られる2つの外部金属パネルが接続された接続線に類似することができる。すなわち、外部では、壁部136及び天井138が、いずれも実際の飛行機に類似するように接続線146の近くにボルト又は締結具を含むことができる。この時、内部では、接続線146が、2つの壁部パネルが一体になった窪みのように見える。プラットフォーム面の接続線をカモフラージュすることに関して上述した、影付け及び模様などの同様の技術を利用することができる。この結果、来園客は、完全にクラスタ化された構成の乗り物車両に入ると、乗り物体験全体を通じて壁部及び天井がユニットとして原形を保つであろうという錯覚に陥ることができる。
【0047】
図6Bに、乗り物車両モジュール132及び134を切り離す飛行機型乗り物車両の能力を示す。さらに、図示の実施形態には、乗り物車両モジュールの天井138が分離可能及び/又は除去可能であることを示す。上述したように、各乗り物車両モジュールに含まれる乗り物車両回路は、別の乗り物車両モジュールから物理的に分離する(例えば、切り離す)命令を実行することができる。この命令は、乗り物の途中で発生する特定のイベントによって誘発することができる。例えば、飛行機型乗り物車両130は、とりわけ山に衝突し、又は乗り物車両をバラバラにする巨大な嵐に突入することができる。この時、飛行機型乗り物車両130は、乗り物車両モジュールが接続されたあらゆる箇所で望む通りに(例えば、左右、前後に)分裂することができる。
【0048】
図には、中央から垂直に分裂した飛行機型乗り物車両130を示しているが、本明細書で開示する技術は、飛行機型乗り物車両130をあらゆる数の方法で(例えば、中央から水平に)分裂させることができると理解されたい。各乗り物車両モジュール132及び134は、他の乗り物車両モジュールから切り離された後は単独で動作することができる。これにより、各乗り物車両モジュール132及び134は、乗り物内で別個の経路を進むことができる。例えば、乗り物車両モジュール132は、ジェットコースターに取り付けて降下させることにより、飛行機が衝突した山から落下することができる一方で、他方の乗り物車両モジュール134は、森林内に着陸することができる。乗り物車両モジュール134は、天井138をはぎ取るアニマトロニクスの恐竜148にさらに遭遇することができる。波状の線146は、天井138と壁部136とが分離できるこれらの間の接続線を表す。また、壁部は、乗り物車両の下部に格納し、又は物理的に除去することなどによって取り壊すこともできる。また、乗り物車両モジュール132及び134は、いずれも乗り物全体を通じてモーションベースシステム上に、及びモーションベースシステムから移動させ、及び/又はシミュレータ内に位置付けることもできる。このように、各乗り物車両モジュール132及び134は、同じ乗り物内で異なる体験をもたらす異なるシミュレーション及び/又は動きを体験することができる。
【0049】
また、図7A及び図7Bは、本開示による切り離し能力を示す、映画館型乗り物車両150の実施形態の斜視図を含む。図7Aに示すように、映画館型乗り物車両150は、接続線160において連結された4つの乗り物車両モジュール152、154、156及び158を含む。映画館型乗り物車両150は、(破線162によって表す)壁部及び天井、並びに複数の入場路164及び退場路166を含むことができる。しかしながら、いくつかの実施形態では、壁部及び天井162を乗り物車両モジュール152、154、156及び158に接続しなくてもよい。各乗り物車両モジュール152、154、156及び158は、様々なサイズのグループで配置された複数の座席22を含むことができる。映画館型乗り物車両150は、ビデオ表示画面140の方を向くことができる。或いは、各乗り物車両モジュール152、154、156及び158が、オーディオ及びビデオ表示画面140を含む車載シミュレータ(図示せず)を含むこともできる。いくつかの実施形態では、乗り物車両モジュールが、プラットフォーム46の表面の接続線160を隠すことに関して上述した技術を利用することができる。図示のように、乗り物車両モジュールのプラットフォーム46の表面上には接続線160が見えない。この結果、来園客は、この部屋を通常の映画館であると感じることができる。すなわち、来園客は、自分達が乗り物に入場したことを全く実感しないことさえもある。その代わり、来園客は、自分達が移動も分裂もしない何らかの種類の映画シミュレータ内にいるという印象を受けることができる。
【0050】
なお、乗り物車両モジュールは、あらゆる数を左右及び/又は前後に取り付けることができ、これらのモジュールは、望む通りにあらゆる数の座席22を含むことができる。実際には、数多くの乗り物車両モジュールを連結し、これらの乗り物車両モジュールが1つの大きな映画館に見えるように接続線を隠すことができる。さらに、連結された乗り物車両モジュールの回路50は、単一の統合映画館型乗り物車両150としての同期操作を可能にすることもできる。例えば、地震、揺れなどをシミュレートする際には、映画館型乗り物車両150の前部の上昇と、映画館型乗り物車両150の後部の下降とを同時に繰り返すことができる。
【0051】
映画館型乗り物車両150は、各乗り物車両モジュール152、154、156及び158に取り付けられたモーションベースシステム44を含むことも、或いは含まないこともできる。しかしながら、図示の実施形態では、映画館型乗り物車両150が、各乗り物車両モジュール152、154、156及び158に取り付けられたモーションベースシステム44を含む。モーションベースシステム44は、乗り物全体を通じて駆動及び/又はジェットコースター軌道への接続を可能にする牽引システム(例えば、車輪)48を含むことができる。さらに、壁部及び天井162は、来園客に分裂することが分からないように結合することができる。例えば、接続線は、室内の接続された壁部及び天井によく見られる接続線に類似することができる。或いは、映画館の室内で一般に利用されるカーテンによって接続線を覆うこともできる。壁部と天井との間の接続線を隠すには、プラットフォーム46の表面の接続線をカモフラージュすることに関して上述した、影付け及び模様などの同様の技術を利用することができる。この結果、車両モジュールの完全なクラスタに入った来園客は、体験を通じて壁部及び天井がユニットとして原形を保つであろうという錯覚に陥ることができる。
【0052】
図7Bに、乗り物車両モジュール152、154、156及び158を切り離す映画館型乗り物車両の能力を示す。さらに、上述した乗り物車両モジュールの壁部及び/又は天井162は、分離可能及び/又は除去可能とすることができる。いくつかの実施形態では、ロボット又は機械的アームなどによって壁部及び/又は天井162を除去することができる。或いは、壁部を乗り物車両モジュールの下部に格納し、又は壁部を乗り物車両モジュールに全く接続しないこともできる。上述したように、各乗り物車両モジュールに含まれる乗り物車両回路50は、接続された乗り物車両モジュールから物理的に分離する(例えば、切り離し動作を行う)命令を実行することができる。この命令は、乗り物内でのシミュレーション中に発生する特定のイベントによって誘発することができる。例えば、映画館型乗り物車両150は、地震又は揺れなどの通常の映画館に影響を与え得る自然災害をシミュレートすることができ、或いはビデオ表示画面140が3次元シミュレーションで流星群を表示し、浮遊隕石が画面140に「衝突」することもできる。いずれのシナリオにおいても、この時、映画館型乗り物車両150は、乗り物車両モジュール152、154、156及び158が接続されたあらゆる箇所で望む通りに(例えば、左右に、前後に、対角線に沿って、曲線に沿って、複数の接続部に沿って)分裂することができる。
【0053】
図には、前後左右に分割することによって、全ての乗り物車両モジュール152、154、156及び158を解放する映画館型乗り物車両150を示している。各乗り物車両モジュールは、他の乗り物車両モジュールから切り離された後に単独で動作することができる。これにより、各乗り物車両は、乗り物内の別個の経路を進むことができる。具体的には、各乗り物車両モジュールの回路50が、このモジュール自体のモーションベースシステム44を単独で制御して乗り物車両モジュールを所望の方向に動かす(例えば、駆動する)ことができる。さらに、モーションベースシステム44は、車載シミュレータ(図示せず)と同期して、ロール、ピッチ、ヨー、サージ、ヒーブ及び/又はスウェイ(例えば、6自由度の動き)を行うことができる。例えば、乗り物車両モジュール152、154、156及び158の全てが異なる経路を進み、1つの乗り物車両モジュールが、シミュレートした市街地の通りを疾走して地震から逃れようとする一方で、別の乗り物車両が、ジェットコースターに結合して、シミュレートした竜巻、エイリアンの宇宙船又恐竜などから飛行機で飛び去ることもできる。モーションベースシステム44は、その間ずっと、車載シミュレータ内で発生するイベントと同期して振動し、変調する。このように、各乗り物車両モジュール152、154、156及び158は、同じ乗り物内で異なる体験をもたらす異なるシミュレーション及び/又は動きを体験することができる。
【0054】
図8A図8Cは、乗り物車両モジュールが移動できる異なる経路を示すのに役立つように、乗り物の途中で連結動作を行うことによってクラスタサイズを構成する乗り物車両モジュールの一連の上面図を含む。なお、各乗り物車両モジュールは、1又は2以上の座席を含むことができる。さらに、各乗り物車両モジュール間の接続線は、上述した技術を利用することによって乗り物車両モジュールのプラットフォームの表面上で来園客に見えないようにすることができる。図8Aには、乗り物の開始時における統一乗り物車両170を示す。例えば、統一乗り物車両170は、上述した飛行機型乗り物車両又は映画館型乗り物車両、或いは1又は2以上の連結された乗り物車両モジュール172を含む他のいずれかの統一乗り物車両170とすることができる。最初の時点(t1)において、統一乗り物車両170は、何らかのイベントによって切り離し動作の実行を開始し、1又は2以上の乗り物車両モジュール172を含む2つの異なる中間統一乗り物車両174及び176に分離する。乗り物車両回路50を利用して、中間統一乗り物車両174及び176を一体型ユニットとして動作させて、別個の経路を走行又は移動させることができる。図示のように、中間統一乗り物車両174は経路178を進み、中間統一乗り物車両176は経路180を進むことができる。
【0055】
上述したように、両経路178及び180は、異なるストーリー、シミュレーション及び動きを含むことができる。実際に、一方又は両方の経路は、中間統一乗り物車両174及び/又は176が接続できるジェットコースター軌道、中間統一乗り物車両174及び/又は176が浮かんで流れることができるウォータシュート及び/又は水域、並びに中間統一乗り物車両174及び/又は176が走行できる舗装道路などを含むことができる。同様に、中間統一乗り物車両174及び176が体験する音響要素及び映像要素も異なることができる。
【0056】
さらに、図8Bに、第2の時点(t2)において別のイベントによって中間統一乗り物車両174が切り離されて2つの異なる中間統一乗り物車両182及び184に分裂することができる、経路178をさらに進んだ上面図を示す。その後、各中間統一乗り物車両182及び184は、異なる経路を進むことができる。例えば、中間統一乗り物車両182は、経路186を進むことができ、中間統一乗り物車両184は、経路188を進むことができる。ここでは、各中間統一乗り物車両182及び184が、再び異なるストーリー、シミュレーション及び/又は動きを体験することができる。理解できるように、中間統一乗り物車両は、単一の乗り物車両モジュールしか残らなくなるまで分裂し続けることができる。中間統一乗り物車両が分裂する度に、結果として残る乗り物車両(例えば、単一の乗り物車両モジュール又はモジュールのサブセット)は異なる体験を取得することができる。これにより、全ての異なる経路を体験するために何度もアトラクションに乗ることを促すことができる。
【0057】
乗り物車両モジュールは、乗り物内の何らかの時点で再連結することが望ましいと考えられる。したがって、図8Cに、第3の時点(t3)において連結動作を行って再接続する2つの中間統一乗り物車両190及び192を示す。時点t3は、シミュレーション内のストーリーの一部とすることができる、乗り物の途中で発生する何らかのイベントに応答することができる。例えば、来園客及び乗り物車両を人体の静脈内を移動する血球とする乗り物では、動脈に出くわした時などに血球が再結合することができる。或いは、来園客及び乗り物車両を戦闘機とする乗り物では、戦闘機が任務終了時に航空母艦に戻ることができる。したがって、中間統一乗り物車両190及び192は、統一乗り物車両194としての必然的な印象を与えるように再連結することができる。この時点で乗り物は終了し、来園客は統一乗り物車両194から退出することができる。
【0058】
他の実施形態では、分離した乗り物車両クラスタが、来園客を異なる出口部分で別々に降ろし、来園客が退出してしまうまで次の乗り物サイクルのために再結合しないようにすることができる。さらに、乗り物全体を通じて、乗り物車両クラスタが移動中のサイズを変化させるように連結動作を行う他の地点が存在することもできる。いずれかの実施形態では、乗り物車両モジュールが、乗り物全体を通じて移動中のクラスタのサイズを増減することができると理解されたい。この結果、来園客は、アトラクションに何回も乗り、どの統一乗り物車両、クラスタ又は乗り物車両モジュールに座るかに応じて新しい何かを体験することができる。
【0059】
また、図9は、乗り物車両モジュールの動作処理200のブロック図である。処理200は、クラスタサイズを決定するステップ(処理ブロック202)と、クラスタサイズを設定するステップ(処理ブロック204)と、乗り物車両連結動作を実行するステップ(処理ブロック206)と含むことができる。具体的は、クラスタサイズを決定するステップ(処理ブロック202)は、複数の乗り物車両モジュールの乗り物車両の回路50(例えば、プロセッサ)が乗り物全体を通じて互いに通信することによって行うことができる。例えば、乗り物内の特定の時点において、統一乗り物車両又はクラスタの分裂を引き起こすイベントをシミュレーション内で又はコースの一部として発生させ、乗り物車両の回路50が、分裂したクラスタにいくつの乗り物車両モジュールを含めるべきかを決定することができる。クラスタのサイズは、乗り物のコース内の特定の時間/イベントに関連する、乗り物車両回路50がアクセスできる有形の非一時的媒体(例えば、メモリ)に記憶することができる。この結果、乗り物車両の回路50は、これに応じてクラスタサイズを設定することができる(処理ブロック204)。その後、切り離して分裂させる必要がある乗り物車両モジュールは切り離し動作を実行して、決定されたクラスタサイズに分離することができる(処理ブロック206)。
【0060】
同様に、処理200は、クラスタサイズを増やす必要がある時にも利用することができる。例えば、乗り物内の特定の時点において、1又は2以上のクラスタ(例えば、中間統一乗り物車両)の連結動作の実行を引き起こして再接続させるイベントを発生させることができる。乗り物車両の回路50は、本明細書で説明した技術を利用していくつの乗り物車両モジュールを連結すべきかを決定することを含め、(単複の)クラスタのサイズを決定することができる(処理ブロック202)。その後、処理ブロック204において、乗り物車両の回路50がクラスタサイズを設定し、処理ブロック206において、乗り物車両モジュールが、これに応じて所望のサイズの(単複の)クラスタを実現するために連結動作を実行する。
【0061】
本明細書では、本開示のいくつかの特徴のみを図示し説明したが、当業者には多くの修正及び変更が浮かぶであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、本開示の実際の趣旨に含まれる全てのこのような修正及び変更も対象とすることが意図されていると理解されたい。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図5H
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図8C
図9