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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】自動二輪車の補助スタンド
(51)【国際特許分類】
   B62H 1/02 20060101AFI20231226BHJP
   B62H 1/06 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
B62H1/02 A
B62H1/02 E
B62H1/06
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2022023044
(22)【出願日】2022-02-17
(65)【公開番号】P2023119916
(43)【公開日】2023-08-29
【審査請求日】2022-10-17
(73)【特許権者】
【識別番号】522062841
【氏名又は名称】田中 寿典
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【弁理士】
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(74)【代理人】
【識別番号】100219483
【弁理士】
【氏名又は名称】宇野 智也
(72)【発明者】
【氏名】田中 寿典
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第5484153(US,A)
【文献】米国特許第3998470(US,A)
【文献】米国特許第6340166(US,B1)
【文献】米国特許第4768800(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62H 1/00
B62H 1/02
B62H 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動二輪車のサイドスタンドの上部に脱着可能に設けられる取付部と、
前記サイドスタンドの軸支位置よりも車体寄りの位置の地面上に配置されるベース部と、
前記取付部と前記ベース部とを連結するジョイント部と
を含む自動二輪車の補助スタンド。
【請求項2】
前記ジョイント部は、伸縮可能であり、かつ、上端部が前記取付部に斜め下方より挿入されて固定されるものである請求項1記載の自動二輪車の補助スタンド。
【請求項3】
前記ジョイント部は、伸長状態で長さを固定するロック部材を有する請求項2記載の自動二輪車の補助スタンド。
【請求項4】
前記ベース部は、平面視Y字状またはX字状である請求項1から3のいずれか1項に記載の自動二輪車の補助スタンド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動二輪車のサイドスタンドに装着されて使用される補助スタンドに関する。
【背景技術】
【0002】
自動二輪車は、停車中の車体を傾斜させた状態で保持するためのサイドスタンドを有している。サイドスタンドは、車体の一側方下部に、上端が軸支された状態で設けられている。このようなサイドスタンドは、軸支された上端を中心に回動させ、車体を傾斜させたときに下端部が地面に接地することで、前後輪と相まって3点支持の状態で車体を支持する(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-116952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、路面が傾斜しているようなところでは3点支持のバランスが崩れ、車体が動いて転倒することがあり、安定性が悪い。
そこで、本発明においては、自動二輪車のサイドスタンドの安定性を向上させることが可能な補助スタンドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の自動二輪車の補助スタンドは、自動二輪車のサイドスタンドの上部に脱着可能に設けられる取付部と、サイドスタンドの軸支位置よりも車体寄りの位置の地面上に配置されるベース部と、取付部とベース部とを連結するジョイント部とを含むものである。
【0006】
本発明の自動二輪車の補助スタンドは、自動二輪車のサイドスタンドの上部に取付部が装着され、この取付部とサイドスタンドの軸支位置よりも車体寄りの位置の地面上に配置されるベース部とがジョイント部により連結されることで、停車中の車体を傾斜させた状態で保持するサイドスタンドをその軸支位置よりも車体寄りの位置で地面上に支持する。
【0007】
ジョイント部は、伸縮可能であり、かつ、上端部が取付部に斜め下方より挿入されて固定されるものであることが望ましい。これにより、停車中の車体を傾斜させてサイドスタンドにより保持したままの状態で、ジョイント部の上端部を取付部に斜め下方より挿入した後、伸長させて地面上のベース部との間で突っ張らせて支持することができる。
【0008】
ここで、ジョイント部は、伸長状態で長さを固定するロック部材を有するものであることが望ましい。これにより、停車中の車体を傾斜させてサイドスタンドにより保持したままの状態で、ジョイント部の上端部を取付部に斜め下方より挿入した後、伸長させて地面上のベース部との間で突っ張らせて支持する際、ロック部材により伸長状態で長さを固定することができる。
【0009】
ベース部は、平面視Y字状またはX字状であることが望ましい。これにより、サイドスタンドを地面上で3方向または4方向に支持することが可能となる。
【発明の効果】
【0010】
(1)自動二輪車のサイドスタンドの上部に脱着可能に設けられる取付部と、サイドスタンドの軸支位置よりも車体寄りの位置の地面上に配置されるベース部と、取付部とベース部とを連結するジョイント部とを含む構成により、停車中の車体を傾斜させた状態で保持するサイドスタンドをその軸支位置よりも車体寄りの位置の地面上で支持して、サイドスタンドの安定性を向上させることができる。
【0011】
(2)ジョイント部が伸縮可能であり、かつ、上端部が取付部に斜め下方より挿入されて固定される構成により、停車中の車体を傾斜させてサイドスタンドにより保持したままの状態で、本発明の自動二輪車の補助スタンドを簡単に取り付けることが可能となる。
【0012】
(3)ジョイント部が伸長状態で長さを固定するロック部材を有する構成により、停車中の車体を傾斜させてサイドスタンドにより保持したままの状態で、ジョイント部の上端部を取付部に斜め下方より挿入した後、伸長させて地面上のベース部との間で突っ張らせて支持する際、ロック部材により伸長状態で長さを固定することで安定性を向上させることができる。
【0013】
(4)ベース部が平面視Y字状またはX字状であることにより、サイドスタンドを地面上で3方向または4方向に支持することが可能となり、サイドスタンドの安定性をさらに向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1の実施の形態における自動二輪車のサイドスタンドおよび補助スタンドを車両後方からみた正面図である。
図2図1の左側面図である。
図3】取付部とジョイント部の一部の正面・平面・右側面の斜視図である。
図4】取付部とジョイント部の一部の正面・底面・左側面の斜視図である。
図5】取付部およびジョイント部を分解した状態の正面・平面・右側面の斜視図である。
図6】取付部を分解した状態の正面・底面・左側面の斜視図である。
図7図6のカバーを裏側からみた斜視図である。
図8図3のVIII-VIII断面図である。
図9図3のIX-IX断面図である。
図10】ジョイント部の詳細を示す図であって、(A)は正面図、(B)は分解した状態を示す右側面図である。
図11】ベース部の平面図である。
図12図11のXII矢視図である。
図13】本発明の第2の実施の形態における自動二輪車のサイドスタンドおよび補助スタンドを車両後方からみた正面図である。
図14図13の取付部の斜視図である。
図15図13の取付部の詳細を示す図であって、(A)は左側面図、(B)は正面図、(C)は右側面図である。
図16図14の取付部を開いた状態を示す右側面図である。
図17図14の取付部を分解した状態を示す右側面図である。
図18図13のジョイント部の詳細を示す図であって、(A)は正面図、(B)は底面図である。
図19】バーロックの正面図である。
図20図13のベース部の斜視図である。
図21図20のベース部の連結部を分解した状態を示す斜視図である。
図22図21の連結部を下方からみた斜視図である。
図23図21の連結部の正面図である。
図24】本発明の第3の実施の形態における自動二輪車のサイドスタンドおよび補助スタンドを車両後方からみた正面図である。
図25図24の第1ジョイント部の正面図である。
図26図24の第2ジョイント部の詳細を示す図であって、(A)は正面図、(B)は右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
<実施の形態1>
図1は本発明の第1の実施の形態における自動二輪車のサイドスタンドおよび補助スタンドを車両後方からみた正面図、図2図1の左側面図である。
【0016】
図1および図2に示すように、本発明の第1の実施の形態における自動二輪車の補助スタンド1は、自動二輪車のサイドスタンドSに装着されて使用される。補助スタンド1は、サイドスタンドSの上部に脱着可能に設けられる取付部2と、サイドスタンドSの軸支位置Pよりも車体B寄りの位置(図1の右側)の地面(路面)上に配置されるベース部3と、取付部2とベース部3とを連結するジョイント部4とから構成される。
【0017】
図3は取付部2とジョイント部4の一部の正面・平面・右側面の斜視図、図4は取付部2とジョイント部4の一部の正面・底面・左側面の斜視図、図5は取付部2およびジョイント部4を分解した状態の正面・平面・右側面の斜視図、図6は取付部2を分解した状態の正面・底面・左側面の斜視図、図7図6のカバー2Bを裏側からみた斜視図、図8図3のVIII-VIII断面図、図9図3のIX-IX断面図、図10はジョイント部4の詳細を示す図であって、(A)は正面図、(B)は分解した状態を示す右側面図、図11はベース部3の平面図、図12図11のXII矢視図である。
【0018】
図3図9に示すように、取付部2は、サイドスタンドSを凹部20内に保持する平面視略U字状の取付部本体2Aと、取付部本体2Aの凹部20の開口部21を閉塞する板状のカバー2Bとから構成される。取付部本体2Aは開口部21から凹部20内にサイドスタンドSを挿入するように装着される。取付部本体2Aには、図5に示すようにジョイント部4の先端の挿入部40を挿入するための挿入口22が形成されている。
【0019】
カバー2Bは、取付部本体2Aに対して下方から取り付けられる。カバー2Bには、前後方向への移動を規制する規制部25と、下方への脱落を防止するストッパー部26とが突設されている。取付部本体2Aには、規制部25が下方から進入して嵌合する嵌合凹部23と、ストッパー部26が下方から進入可能な切欠き凹部24が形成されている。挿入口22は切欠き凹部24と連通している。図9に示すように、カバー2Bが取付部本体2Aに取り付けられた状態でジョイント部4の挿入部40の先端に突設された凸部41が挿入されると、ストッパー部26はジョイント部4の凸部41に支持され、下方へのカバー2Bの脱落が防止される。
【0020】
図10に示すように、ジョイント部4は、本体部42と、本体部42に形成された中空部42Aに対して進退可能に形成されたロッド部43と、ロッド部43の先端に設けられたヘッド部44とを有する。前述の挿入部40はヘッド部44上に設けられている。また、挿入部40には、図示しないバネにより外側へ向かって付勢されたロック爪40Aが設けられている。ロック爪40Aは、図8に示すように取付部本体2Aの挿入口22に挿入された際に、この挿入口22内に形成された凹部22A内へ突出することで、ジョイント部4が取付部2から脱落しにくくなる。
【0021】
ジョイント部4は、ロッド部43が本体部42の中空部42Aから進退することにより伸縮可能となっている。また、ジョイント部4は、伸長状態で長さを固定するロック部材45を有する。ロック部材45には、本体部42の上部および下部にそれぞれ挿入可能なロックピン45A,45Bが形成されている。ロックピン45Aは、ジョイント部4の伸長状態において本体部42およびロッド部43にそれぞれ同軸上に形成されたピン孔42B,43A内に嵌合する。ロックピン45Bは、本体部42のボトム部46に形成されたピン孔42Cに嵌合する。また、ロックピン45Bの先端部には、ロック部材45が外れないようにロックするためのロック孔45Cが形成されている。
【0022】
図11に示すように、ベース部3は、平面視X字状に形成されたプレートである。ベース部3には、ジョイント部4のボトム部46を挟み込む連結部30が設けられている。連結部30には、ジョイント部4のボトム部46を挟み込んだ状態で、ボトム部46のピン孔42Cと連通するピン孔31が形成されている。この連結部30のピン孔31とボトム部46のピン孔42Cの位置を合わせてロック部材45のロックピン45Aをピン孔42B,43Aに、ロックピン45Bをピン孔42C,31に挿入することで、ジョイント部4が伸長状態でベース部3に固定される。
【0023】
次に、上記構成の補助スタンド1の使用方法について説明する。
(1)取付部2の取付部本体2Aを自動二輪車のサイドスタンドSの最上部へ嵌め込む。
(2)取付部2のカバー2Bを取付部本体2Aの下方より上方へ向かってスライドさせるようにして、カバー2Bの規制部25およびストッパー部26をそれぞれ取付部本体2Aの嵌合凹部23および切欠き凹部24へ嵌め込む。
【0024】
(3)カバー2Bがずれないように保持したまま、ジョイント部4の挿入部40を取付部本体2Aの挿入口22へ挿入する。これにより、カバー2Bのストッパー部26がジョイント部4の凸部41に支持され、カバー2Bが取付部本体2Aに固定される。
(4)ジョイント部4を伸長させ、そのボトム部46をベース部3の連結部30に挟み込み、連結部30のピン孔31とボトム部46のピン孔42Cの位置を合わせてロック部材45のロックピン45Aをピン孔42B,43Aに、ロックピン45Bをピン孔42C,31Cに挿入する。これにより、ジョイント部4が伸長状態でベース部3に固定される。
【0025】
(5)最後に、ロック孔45Cに市販のバーロック9(図19参照。)等を嵌めると、ロック部材45がジョイント部4にロックされる。これにより、停車中の自動二輪車の車体を傾斜させた状態で保持するサイドスタンドSがその軸支位置よりも車体寄りの位置の地面上で支持され、サイドスタンドSの安定性が向上する。
【0026】
なお、図3図10においては、説明を容易にするため、ジョイント部4の上端部の挿入部40が取付部2に対して水平方向に挿入されるように図示しているが、実際には、図1に示すように、ジョイント部4は、上端部が取付部2に斜め下方より挿入されて固定される。このジョイント部4の挿入角度については自動二輪車の車種に応じて適宜変更される。
【0027】
本実施形態における補助スタンド1では、ジョイント部4が伸縮可能であり、かつ、上端部が取付部2に斜め下方より挿入されて固定されるため、停車中の車体を傾斜させてサイドスタンドSにより保持したままの状態で、簡単に取り付けることが可能となっている。
【0028】
また、本実施形態における補助スタンド1では、ジョイント部4が伸長状態で長さを固定するロック部材45を有するので、停車中の車体を傾斜させてサイドスタンドSにより保持したままの状態で、ジョイント部4の上端部を取付部2に斜め下方より挿入した後、伸長させて地面上のベース部3との間で突っ張らせて支持する際、ロック部材45により伸長状態で長さを固定することで、安定性を向上させている。
【0029】
また、本実施形態においては、ベース部3が平面視X字状の例について説明したが、平面視Y字状とすることも可能である。このようにベース部3が平面視Y字状またはX字状であることにより、サイドスタンドSを地面上で3方向または4方向に支持することが可能となり、サイドスタンドSの安定性がさらに向上する。
【0030】
<実施の形態2>
次に、本発明の自動二輪車の補助スタンドの第2の実施の形態について説明する。図13は本発明の第2の実施の形態における自動二輪車のサイドスタンドおよび補助スタンドを車両後方からみた正面図である。なお、以下において前述の第1の実施形態と共通する構成要素については、同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0031】
図13に示すように、本発明の第2の実施の形態における自動二輪車の補助スタンド5は、サイドスタンドSの上部に脱着可能に設けられる取付部6と、サイドスタンドSの軸支位置Pよりも車体B寄りの位置の地面上に配置されるベース部7と、取付部6とベース部7とを連結するジョイント部8とから構成される。
【0032】
図14は取付部6の斜視図、図15は取付部6の詳細を示す図であって、(A)は左側面図、(B)は正面図、(C)は右側面図、図16は取付部6を開いた状態を示す右側面図、図17は取付部6を分解した状態を示す右側面図である。
【0033】
図14および図15に示すように、取付部6は、サイドスタンドSを保持する保持部60と、ジョイント部8が連結される連結部61とを有する。取付部6は、図16に示すように、中央部に設けられたヒンジ62を中心として開閉可能に連結された第1部品63Aおよび第2部品63Bから構成される。すなわち、取付部6はヒンジ62を中心に第1部品63Aおよび第2部品63Bを開くことで保持部60が開放されることにより、サイドスタンドSの上部に脱着することが可能となる。
【0034】
連結部61は、保持部60より外側の第1部品63Aの端部と第2部品63Bの端部との間隙に形成される。第1部品63Aには、取付部6を閉じた状態で第2部品63Bに向かって延びるピン61Aが設けられている。一方、第2部品63Bには、ピン61Aが嵌合する凹部61Bが設けられている。また、第1部品63Aおよび第2部品63Bには、それぞれピン61Aおよび凹部61Bを中心とする円周上に所定間隔で複数のピン孔61Cが開孔されている。
【0035】
図18はジョイント部8の詳細を示す図であって、(A)は正面図、(B)は底面図である。ジョイント部8は、棒状の本体部80と、本体部80に形成された中空部80Aに対して進退可能に形成されたロッド部81と、ロッド部81の上端に設けられたヘッド部82と、本体部80の下端に設けられたボトム部83とを有する。
【0036】
中空部80Aの内周面には雌ネジが形成されている。ロッド部81の外周面には、この中空部80Aの雌ネジに螺合する雄ネジが形成されている。すなわち、ロッド部81を本体部80に対して回転、または本体部80をロッド部81に対して回転させることにより、ジョイント部8の長さを調整することが可能となっている。
【0037】
ヘッド部82には、連結部61のピン61Aに軸支されるための支持孔84と、ピン孔61Cに対して後述のバーロック9で固定するためのピン孔85とが形成されている。ボトム部83には、ベース部7に支持するための円柱部86が設けられている。
【0038】
図19はバーロック9の正面図である。図19に示すように、バーロック9は、本体90に対してバー91が開閉する市販の錠である。ジョイント部8のヘッド部82の支持孔84に連結部61のピン61Aを挿通して取付部6を閉じ、複数のピン孔61Cから任意のピン孔61Cを選択してバーロック9のバー91によりピン孔85と共に閉じることで、ジョイント部8の角度を調整することが可能となっている。
【0039】
図20はベース部7の斜視図、図21はベース部7の連結部70を分解した状態を示す斜視図、図22図21の連結部70を下方からみた斜視図、図23は連結部の正面図である。なお、ベース部7の連結部70以外の構成については前述のベース部3と同様であり、図示および詳細な説明を省略する。
【0040】
図20図22に示すように、連結部70は、ジョイント部8が下方より挿入可能な挿入孔71を有する。また、連結部70の下面側には、ジョイント部8の円柱部86が配置される第1凹部72が形成されている。第1凹部72は挿入孔71を挟み込むように前後両側に形成されている。また、第1凹部72よりさらに下方側にはカバー部材76が嵌合する第2凹部73が形成されている。さらに、第2凹部73より下方側には固定プレート79を固定するための第3凹部74が形成されている。
【0041】
カバー部材76の上面側には、ジョイント部8の円柱部86が配置される凹溝77が形成されている。また、凹溝77の左右両側には、第2凹部73に嵌合するウイング部78が形成されている。固定プレート79は、図23に示すように、ジョイント部8の円柱部86を連結部70に挟み込んだ状態で、カバー部材76を第3凹部74にネジ75により固定するためのものである。固定プレート79にはネジ75が挿通される挿通孔75Aが形成されており、第3凹部74にはネジ75が螺合されるネジ孔75Bが形成されている。
【0042】
上記構成の補助スタンド5は以下の手順で使用する。
(1)ベース部7の連結部70の挿入孔71に対し、下方よりジョイント部8を挿入する。
(2)カバー部材76によりジョイント部8の円柱部86を連結部70に挟み込んだ状態で、カバー部材76をネジ75により固定して、ベース部7を地面に設置する。
(3)ジョイント部8のロッド部81を本体部80に対して回転、または本体部80をロッド部81に対して回転させることにより、ジョイント部8の長さを調整する。
【0043】
(4)取付部6の保持部60にサイドスタンドSの上部を挟み込むようにセットし、ジョイント部8のヘッド部82の支持孔84に連結部61のピン61Aを挿通して取付部6を閉じる。
(5)ジョイント部8の角度が適切となるように複数のピン孔61Cから任意のピン孔61Cを選択してバーロック9のバー91によりピン孔85と共に閉じ、ロックする。これにより、停車中の自動二輪車の車体Bを傾斜させた状態で保持するサイドスタンドSがその軸支位置よりも車体B寄りの位置の地面上で支持され、サイドスタンドSの安定性が向上する。
【0044】
<実施の形態3>
次に、本発明の自動二輪車の補助スタンドの第3の実施の形態について説明する。図24は本発明の第3の実施の形態における自動二輪車のサイドスタンドおよび補助スタンドを車両後方からみた正面図である。なお、以下において前述の第1、第2の実施形態と共通する構成要素については、同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0045】
図24に示すように、本発明の第3の実施の形態における自動二輪車の補助スタンド10は、サイドスタンドSの上部に脱着可能に設けられる取付部6と、サイドスタンドSの軸支位置Pよりも車体B寄りの位置の地面上に配置されるベース部7と、取付部6とベース部7とを連結する第1ジョイント部11および第2ジョイント部12とから構成される。
【0046】
図25は第1ジョイント部11の正面図である。図25に示すように、第1ジョイント部11は、本体部110と、前述の第2実施形態におけるジョイント部8と同様のロッド部111およびヘッド部112とを有する。ロッド部111は、本体部110に形成された中空部110Aに対して進退可能に形成されている。また、本体部110の下端には、第2ジョイント部12が連結される連結穴113が設けられている。
【0047】
中空部110Aの内周面には雌ネジが形成されている。ロッド部111の外周面には、この中空部110Aの雌ネジに螺合する雄ネジが形成されている。すなわち、ロッド部111を本体部110に対して回転、または本体部110をロッド部111に対して回転させることにより、第1ジョイント部11の長さを調整することが可能となっている。
【0048】
ヘッド部112には、連結部61のピン61Aに軸支されるための支持孔114と、ピン孔61Cに対してバーロック9で固定するためのピン孔115とが形成されている。
【0049】
図26は第2ジョイント部12の詳細を示す図であって、(A)は正面図、(B)は右側面図である。図26に示すように、第2ジョイント部12は、棒状の本体部121と、本体部121の上端に設けられたヘッド部122と、本体部121の下端に設けられたボトム部123とを有する。ボトム部123には、ベース部7に支持するための円柱部124が設けられている。
【0050】
棒状の本体部121は、途中で所定角度に屈曲した形状である。本体部121の長さと屈曲角度θは車種別に設定される。屈曲角度θは、図24に示すように、補助スタンド10による地面への支持位置により決定される。
【0051】
ヘッド部122は本体部110の連結穴113に嵌合する形状となっている。また、ヘッド部122には、図示しないバネにより外側へ向かって付勢されたロック爪122Aが設けられている。ロック爪122Aは、ヘッド部122が本体部110の連結穴113に挿入された際に、この連結穴113内に形成された凹部113A内へ突出することで、第2ジョイント部12が第1ジョイント部11から脱落しにくくなる。
【0052】
上記構成の補助スタンド10は以下の手順で使用する。
(1)ベース部7の連結部70の挿入孔71に対し、下方より第2ジョイント部12を挿入する。
(2)カバー部材76により第2ジョイント部12の円柱部124を連結部70に挟み込んだ状態で、カバー部材76をネジ75により固定して、ベース部7を地面に設置する。
(3)第2ジョイント部12のヘッド部122を第1ジョイント部11の連結穴113に挿入する。
【0053】
(4)第1ジョイント部11のロッド部111を本体部110に対して回転させることにより第1ジョイント部11の長さを調整する。
(5)取付部6の保持部60にサイドスタンドSの上部を挟み込むようにセットし、第1ジョイント部11のヘッド部112の支持孔114に連結部61のピン61Aを挿通して取付部6を閉じる。
(6)第1ジョイント部11の角度が適切となるように複数のピン孔61Cから任意のピン孔61Cを選択してバーロック9のバー91によりピン孔115と共に閉じ、ロックする。これにより、停車中の自動二輪車の車体Bを傾斜させた状態で保持するサイドスタンドSがその軸支位置よりも車体B寄りの位置の地面上で支持され、サイドスタンドSの安定性が向上する。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明の自動二輪車の補助スタンドは、自動二輪車のサイドスタンドに装着されて使用され、自動二輪車のサイドスタンドの安定性を向上させることが可能な補助スタンドとして有用である。
【符号の説明】
【0055】
B 車体
S サイドスタンド
P 軸支位置
1,5,10 補助スタンド
2 取付部
2A 取付部本体
2B カバー
20 凹部
21 開口部
22 挿入口
22A 凹部
23 嵌合凹部
24 切欠き凹部
25 規制部
26 ストッパー部
3 ベース部
30 連結部
31 ピン孔
4 ジョイント部
40 挿入部
40A ロック爪
41 凸部
42 本体部
42A 中空部
42B,42C ピン孔
43 ロッド部
43A ピン孔
44 ヘッド部
45 ロック部材
45A,45B ロックピン
45C ロック孔
46 ボトム部
6 取付部
60 保持部
61 連結部
61A ピン
61B 凹部
61C ピン孔
62 ヒンジ
63A 第1部品
63B 第2部品
7 ベース部
70 連結部
71 挿入孔
72 第1凹部
73 第2凹部
74 第3凹部
75 ネジ
75A 挿通孔
75B ネジ孔
76 カバー部材
77 凹溝
78 ウイング部
79 固定プレート
8 ジョイント部
80 本体部
80A 中空部
81 ロッド部
82 ヘッド部
83 ボトム部
84 支持孔
85 ピン孔
86 円柱部
9 バーロック
90 本体
91 バー
11 第1ジョイント部
110 本体部
110A 中空部
111 ロッド部
112 ヘッド部
113 連結穴
113A 凹部
114 支持孔
115 ピン孔
12 第2ジョイント部
121 本体部
122 ヘッド部
122A ロック爪
123 ボトム部
124 円柱部
図1
図2
図3
図4
図5
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