(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】バルーン型電極カテーテル
(51)【国際特許分類】
A61B 18/14 20060101AFI20231226BHJP
A61M 25/10 20130101ALI20231226BHJP
【FI】
A61B18/14
A61M25/10 510
(21)【出願番号】P 2022029639
(22)【出願日】2022-02-28
【審査請求日】2023-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】594170727
【氏名又は名称】日本ライフライン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116274
【氏名又は名称】富所 輝観夫
(72)【発明者】
【氏名】森 謙二
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 洋平
【審査官】滝沢 和雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-010729(JP,A)
【文献】特開2023-099356(JP,A)
【文献】特開2010-082276(JP,A)
【文献】特開平08-187291(JP,A)
【文献】特開昭63-139567(JP,A)
【文献】特表2022-550233(JP,A)
【文献】特表2002-510229(JP,A)
【文献】特表平09-507151(JP,A)
【文献】実開平05-068549(JP,U)
【文献】実開平05-065350(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2020/0170662(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0049759(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0296266(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2005/0228431(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第106880400(CN,A)
【文献】中国実用新案第203989420(CN,U)
【文献】中国実用新案第209678589(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/14
A61M 25/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
体内に挿入されるカテーテルシャフトと、
前記カテーテルシャフトの先端側に設けられ、前記カテーテルシャフトの基端側から供給される流体によって拡張可能なバルーンと、
前記バルーンの表面に配置される電極と、を備え、
前記バルーンは、前記バルーンの内外を連通してバルーン内の前記流体をバルーン外に放出するための貫通孔を有するとともに、拡張した状態において先端側大径部と、前記先端側大径部より前記カテーテルシャフトの基端側に位置する基端側大径部と、前記先端側大径部および前記基端側大径部の間に位置し
前記先端側大径部および前記基端側大径部より径の小さい小径部と、前記先端側大径部および前記小径部をつなぐ先端側傾斜部と、前記基端側大径部および前記小径部をつなぐ基端側傾斜部と、を有し、
前記電極は、少なくとも前記小径部において露出し、
前記貫通孔は、前記先端側傾斜部および前記基端側傾斜部の少なくとも一方に配置さ
れ、
前記小径部、前記先端側傾斜部および前記基端側傾斜部で構成される括れ部に、体内の隔壁に設けられた隔壁貫通孔の周縁部が嵌入し、前記小径部において露出する前記電極に前記周縁部が当接し、前記電極への通電により前記周縁部に対しアブレーションを行う、
バルーン型電極カテーテル。
【請求項2】
前記貫通孔は、少なくとも前記先端側傾斜部に配置される、
請求項1に記載のバルーン型電極カテーテル。
【請求項3】
前記貫通孔は、前記先端側傾斜部および前記基端側傾斜部の両方に配置される、
請求項1または2に記載のバルーン型電極カテーテル。
【請求項4】
前記貫通孔は、前記電極を避けて配置される、
請求項2または3に記載のバルーン型電極カテーテル。
【請求項5】
前記カテーテルシャフトの基端側から先端側に向かって延びる導線と、
前記バルーンより前記カテーテルシャフトの先端側に配置され、前記導線および前記電極を電気的に接続する接続部材と、を備え、
前記電極は、前記接続部材から前記先端側傾斜部を経て前記小径部まで延在するとともに、端部が前記小径部より前記カテーテルシャフトの基端側に配置される、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載のバルーン型電極カテーテル。
【請求項6】
前記電極における前記接続部材から前記先端側傾斜部までの領域の少なくとも一部を被覆する絶縁被膜を備える、
請求項5に記載のバルーン型電極カテーテル。
【請求項7】
前記カテーテルシャフトは、前記流体をバルーン内に流入させる供給ルーメンと、バルーン内の気体を排出させる排出ルーメンと、を有する、
請求項1乃至6のいずれか1項に記載のバルーン型電極カテーテル。
【請求項8】
前記供給ルーメンは、バルーン内に前記流体を流入させる供給口をバルーン内に有し、
前記排出ルーメンは、バルーン外に前記気体を流出させる排出口をバルーン内に有し、
前記供給口は、前記排出口より前記カテーテルシャフトの先端側に位置する、
請求項7に記載のバルーン型電極カテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、バルーン型電極カテーテルに関する。
【背景技術】
【0002】
心不全や肺高血圧症等に罹患した患者は、心房の血圧が高まることがある。この心房圧の上昇を抑える治療法として、心房圧の逃げ道となるシャント(貫通孔)を心房中隔に形成するシャント手術が知られている。シャント手術では、貫通孔が所定の期間維持されるように、先端に電極を有するアブレーション用カテーテルで貫通孔の周縁部を熱焼灼することがある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したアブレーション用カテーテルを用いたアブレーションでは、電極から高周波エネルギーが放出される。このため、電極の周囲の血液が凝固して血栓ができるおそれがある。アブレーションにともなう血栓の形成は、抑制することが望まれる。
【0005】
本開示はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、アブレーションにともなう血栓の形成を抑制するための技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のある態様は、バルーン型電極カテーテルである。このバルーン型電極カテーテルは、体内に挿入されるカテーテルシャフトと、カテーテルシャフトの先端側に設けられ、カテーテルシャフトの基端側から供給される流体によって拡張可能なバルーンと、バルーンの表面に配置される電極と、を備える。バルーンは、バルーンの内外を連通してバルーン内の流体をバルーン外に放出するための貫通孔を有するとともに、拡張した状態において先端側大径部と、先端側大径部よりカテーテルシャフトの基端側に位置する基端側大径部と、先端側大径部および基端側大径部の間に位置し2つの大径部より径の小さい小径部と、先端側大径部および小径部をつなぐ先端側傾斜部と、基端側大径部および小径部をつなぐ基端側傾斜部と、を有する。電極は、少なくとも小径部において露出する。貫通孔は、先端側傾斜部および基端側傾斜部の少なくとも一方に配置される。
【0007】
以上の構成要素の任意の組合せ、本開示の表現を方法、装置、システムなどの間で変換したものもまた、本開示の態様として有効である。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、アブレーションにともなう血栓の形成を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施の形態に係るバルーン型電極カテーテルの平面図である。
【
図2】バルーン型電極カテーテルの先端側の拡大斜視図である。
【
図3】バルーン型電極カテーテルの先端側の拡大断面図である。
【
図4】バルーン型電極カテーテルの先端側の拡大断面図である。
【
図5】バルーン型電極カテーテルの先端側の拡大側面図である。
【
図6】
図6(A)は、バルーン型電極カテーテルの先端側の拡大斜視図である。
図6(B)は、バルーン型電極カテーテルの先端側の断面模式図である。
【
図7】
図7(A)は、バルーン型電極カテーテルの基端側の拡大斜視図である。
図7(B)は、バルーン型電極カテーテルの基端側の拡大断面図である。
【
図8】
図8(A)、
図8(B)および
図8(C)は、バルーン型電極カテーテルの作動方法を説明する図である。
【
図9】バルーン型電極カテーテルの作動方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本開示を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。実施の形態は、本開示を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも本開示の本質的なものであるとは限らない。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図に示す各部の縮尺や形状は、説明を容易にするために便宜的に設定されており、特に言及がない限り限定的に解釈されるものではない。また、本明細書または請求項中に「第1」、「第2」等の用語が用いられる場合には、特に言及がない限りこの用語はいかなる順序や重要度を表すものでもなく、ある構成と他の構成とを区別するためのものである。また、各図面において実施の形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0011】
図1は、実施の形態に係るバルーン型電極カテーテル1の平面図である。バルーン型電極カテーテル1は、カテーテルシャフト2と、バルーン4と、ハンドル6とを備える。カテーテルシャフト2は、長尺の管状部材である。カテーテルシャフト2の長さは、例えば600mm~1800mmである。バルーン4は、カテーテルシャフト2の先端(遠位端)側に設けられる。ハンドル6は、カテーテルシャフト2の基端(近位端)側に設けられる。以下では適宜、バルーン型電極カテーテル1あるいはカテーテルシャフト2におけるバルーン4が設けられる側を単に「先端側」といい、ハンドル6が設けられる側を単に「基端側」という。カテーテルシャフト2は、先端側から体内に挿入される。これにより、バルーン4が体内に送り込まれる。ハンドル6は、体外に配置されて施術者によって操作される。
【0012】
図2は、バルーン型電極カテーテル1の先端側の拡大斜視図である。
図3は、バルーン型電極カテーテル1の先端側の拡大断面図である。
図4は、バルーン型電極カテーテル1の先端側の拡大断面図である。
図2~
図4には、バルーン4が拡張した状態が図示されている。また、各図では説明の便宜上、一部の部材の図示を省略している。
【0013】
図2および
図3に示すように、カテーテルシャフト2は、アウターシャフト8と、インナーシャフト10とを有する。アウターシャフト8およびインナーシャフト10は、ポリオレフィンやポリアミドといった樹脂等の公知の可撓性材料で構成される。アウターシャフト8は管状であり、内部にインナーシャフト10が収容される。インナーシャフト10は、アウターシャフト8に対しアウターシャフト8の軸方向に相対変位可能な状態でアウターシャフト8に収容される。
【0014】
本実施の形態のアウターシャフト8は、マルチルーメン構造を有する。具体的には、アウターシャフト8は、アウターシャフト8の中心軸と重なる領域に延在するメインルーメン12と、メインルーメン12の周囲に配置される複数のサブルーメン14とを有する。メインルーメン12および各サブルーメン14は、アウターシャフト8の先端側から基端側にかけて延在する。インナーシャフト10は、メインルーメン12に収容される。複数のサブルーメン14は、一部が供給ルーメン14aを構成し、他の一部が排出ルーメン14bを構成し、他の一部が導線用ルーメン14cを構成し、他の一部がセンサ用ルーメン14dを構成する。各サブルーメン14の機能については、後に詳細に説明する。
【0015】
インナーシャフト10は、バルーン4より先端側に位置する先端部がアウターシャフト8から突出している。この先端部には、キャップ状の先端チップ16が被せられている。先端チップ16は、カテーテルシャフト2と同様に公知の樹脂材料で構成される。先端チップ16とインナーシャフト10とは、一例として融着により互いに接合される。先端チップ16の外周面の一部には、接続部材18が嵌め込まれている。一例としての接続部材18はリング状であり、白金やイリジウム等の金属材料で構成される。したがって、接続部材18は導電性を有する。先端チップ16および接続部材18は、バルーン4より先端側に配置される。
【0016】
図4に示すように、先端チップ16の内周面には、先端チップ16の基端から先端側に向かって延びる溝16aが設けられている。また、先端チップ16には、溝16aの先端から接続部材18に向かって延びる導線用貫通孔16bが設けられている。バルーン型電極カテーテル1は、カテーテルシャフト2の基端側から先端側に向かって延びる導線20を備える。導線20は、カテーテルシャフト2の基端側から導線用ルーメン14c内を通り、先端チップ16に至る。先端チップ16に至った導線20は、溝16aおよび導線用貫通孔16bを通り、接続部材18に電気的に接続される。接続部材18と導線20とは、一例として溶接により互いに接合される。溝16aのバルーン4内を臨む開口は、接着剤等で封止される。導線20の基端側は、ハンドル6を介して外部の給電装置に接続される。
【0017】
本実施の形態のインナーシャフト10は、シングルルーメン構造を有する。インナーシャフト10は、インナーシャフト10の中心軸と重なる領域に延在するワイヤ用ルーメン22を有する。先端チップ16は、カテーテルシャフト2の軸方向でワイヤ用ルーメン22と重なる位置に、ワイヤ用貫通孔16cを有する。ワイヤ用ルーメン22およびワイヤ用貫通孔16cには、ガイドワイヤGW(
図8(A)等参照)が通される。
【0018】
バルーン4は、カテーテルシャフト2の基端側から供給される流体によって拡張可能である。流体は、例えば生理食塩水である。バルーン4は、ポリオレフィンやポリアミドといった樹脂を含む、公知の可撓性材料で構成される。
図2および
図3に示すように、バルーン4は、カテーテルシャフト2の基端側から順にアウター接合部24と、基端側膨張部26と、括れ部28と、先端側膨張部30と、インナー接合部32とを有する。
【0019】
アウター接合部24は、アウターシャフト8とおおよそ同径の筒状であり、アウターシャフト8におけるバルーン4に隣接する領域の外周面を包み込む。アウター接合部24とアウターシャフト8とは、一例として融着により互いに接合される。これにより、バルーン4の一端側がアウターシャフト8に接合される。なお、本実施の形態では、アウターシャフト8におけるバルーン4に隣接する領域の外周面がアウター接合部24の厚み分だけ薄くなっている。このため、当該領域とアウター接合部24とが接合された状態で、アウター接合部24の外周面とアウターシャフト8の外周面とが面一になっている。
【0020】
インナー接合部32は、先端チップ16とおおよそ同径の筒状であり、先端チップ16における接続部材18より基端側の外周面を包み込む。インナー接合部32と先端チップ16とは、一例として融着により互いに接合される。これにより、バルーン4の他端側がバルーン4とアウターシャフト8との接合部(アウター接合部24)に対しカテーテルシャフト2の軸方向にずれた位置で、インナーシャフト10に接合される。なお、本実施の形態では、先端チップ16とインナー接合部32とが接合された状態で、インナー接合部32の外周面と接続部材18の外周面とが面一になっている。
【0021】
基端側膨張部26は、アウター接合部24と括れ部28との間に延在し、バルーン4の最大径の部分を含む。先端側膨張部30は、インナー接合部32と括れ部28との間に延在し、バルーン4の最大径の部分を含む。括れ部28は、基端側膨張部26および先端側膨張部30の間で、バルーン4の周方向(カテーテルシャフト2の軸周り方向)の全域にわたって径方向に落ち窪んだ部分である。拡張したバルーン4は、基端側膨張部26、括れ部28および先端側膨張部30によってダンベル状となる。
【0022】
バルーン4は、拡張した状態において先端側大径部34と、基端側大径部36と、小径部38とを有する。基端側大径部36は、先端側大径部34よりカテーテルシャフト2の基端側に位置する。小径部38は、先端側大径部34および基端側大径部36の間に位置する。先端側大径部34および基端側大径部36は、小径部38より径が大きく、小径部38は、2つの大径部より径が小さい。例えば、先端側大径部34および基端側大径部36の直径は9mm~15mmであり、小径部38の直径は6mm~12mmである。
【0023】
また、バルーン4は、先端側傾斜部40と、基端側傾斜部42とを有する。先端側傾斜部40は、先端側大径部34および小径部38をつなぐ部分であり、先端側大径部34から小径部38に向かってカテーテルシャフト2に近づくように傾斜している。基端側傾斜部42は、基端側大径部36および小径部38をつなぐ部分であり、基端側大径部36から小径部38に向かってカテーテルシャフト2に近づくように傾斜している。
【0024】
本実施の形態のバルーン4では、先端側膨張部30に先端側大径部34が配置され、基端側膨張部26に基端側大径部36が配置され、括れ部28に小径部38、先端側傾斜部40および基端側傾斜部42が配置されている。一例として、先端側大径部34および基端側大径部36は、バルーン4において最大径の部分である。また、小径部38は、括れ部28において最小径の部分である。なお、基端側膨張部26および先端側膨張部30は、括れ部28を軸として互いに反転した形状を有するが、2つの膨張部の形状はこれに限定されない。例えば、一方の膨張部のみがバルーン4の最大径の部分を含んでもよい。また、先端側大径部34および基端側大径部36は、径が異なってもよい。
【0025】
バルーン4の内部には、アウターシャフト8の供給ルーメン14aと、排出ルーメン14bとが接続される。供給ルーメン14aは、流体をバルーン4に流入させるルーメンである。供給ルーメン14aは、バルーン4内に流体を流入させる供給口14a1をバルーン4内に有する。供給ルーメン14aの基端側はハンドル6を介して外部の流体給排装置に接続される。流体給排装置から送られる流体は、供給ルーメン14aを通り、供給口14a1からバルーン4内に吐出される。これにより、バルーン4を拡張させることができる。
【0026】
排出ルーメン14bは、バルーン4内の気体を排出させるルーメンである。排出ルーメン14bは、バルーン4外に気体を流出させる排出口14b1をバルーン4内に有する。排出ルーメン14bの基端側は、ハンドル6を介して外部に接続される。例えばバルーン型電極カテーテル1の使用に先立つエア抜き処理の際に、排出ルーメン14bが用いられる。つまり、流体給排装置から供給ルーメン14aを介してバルーン4内に流体が供給される。バルーン4内に供給された流体は、バルーン4内の気体とともに排出口14b1から排出ルーメン14b内に流れ、排出ルーメン14bを介して外部に排出される。なお、バルーン4内の気体だけでなく、供給ルーメン14a内の気体も外部に排出することができる。バルーン型電極カテーテル1の使用中にバルーン4を収縮させる際は、供給ルーメン14aを介して流体がバルーン4内から排出される。
【0027】
本実施の形態では、供給口14a1が排出口14b1よりカテーテルシャフト2の先端側に位置する。これにより、カテーテルシャフト2の先端に近い側からバルーン4内に流体を流入させ、カテーテルシャフト2の基端に近い側から気体を排出することができる。よって、より確実なエア抜きが可能となる。本実施の形態のアウターシャフト8は、バルーン4内に位置する先端部の周方向の一部が切り欠かれている。具体的には、先端部における排出ルーメン14bが延在する部分が切り欠かれている。先端部の残った部分には、供給ルーメン14aが延在する。この結果、供給口14a1が排出口14b1よりカテーテルシャフト2の先端側にずれている。
【0028】
アウターシャフト8の先端部が切り欠かれていることで、インナーシャフト10の一部は、バルーン4内で露出している。インナーシャフト10の露出部には、バルーン4の径方向(カテーテルシャフト2の軸と直交する方向)から見て小径部38と重なる位置に、造影マーカ44が設けられている。施術者は、造影マーカ44を指標としてバルーン4、ひいては小径部38の位置を把握することができる。
【0029】
図3および
図4に示すように、バルーン型電極カテーテル1は、バルーン4の表面に配置される電極46を備える。本実施の形態の電極46は、バルーン4の表面に積層された金属薄膜で構成される。この場合、電極46を構成する金属を含有する導電性インクをバルーン4の表面に塗布することで、電極46を形成することができる。
【0030】
電極46は、接続部材18から先端側傾斜部40を経て小径部38まで延在する。また、電極46の端部46aは、小径部38より基端側に配置される。本実施の形態の端部46aは、基端側傾斜部42に配置される。したがって、電極46は、バルーン4のインナー接合部32、先端側膨張部30および括れ部28にかけて延在する。電極46におけるカテーテルシャフト2の先端側の端部は、接続部材18に接続される。これにより、導線20および電極46が接続部材18を介して電気的に接続される。本実施の形態の電極46は、接続部材18側がインナー接合部32とおおよそ同径の筒状である。また、筒状部分の先端側膨張部30側の端部から複数の短冊状部分が放射状に広がっている。そして、各短冊状部分の端部46aが基端側傾斜部42に位置している。
【0031】
図5は、バルーン型電極カテーテル1の先端側の拡大側面図である。バルーン型電極カテーテル1は、絶縁被膜48を備える。絶縁被膜48は、電極46における接続部材18から先端側傾斜部40までの領域の少なくとも一部を被覆する。電極46は、少なくとも小径部38において、絶縁被膜48で覆われずに露出する。一例として絶縁被膜48は、公知の絶縁材を含有する塗料を電極46の表面に塗布することで形成することができる。本実施の形態の絶縁被膜48は、バルーン4のインナー接合部32の全体、先端側膨張部30の全体および先端側傾斜部40の一部にわたって延在している。したがって、電極46は、先端側傾斜部40の残部、小径部38および基端側傾斜部42において露出している。カテーテルシャフト2の軸方向における電極46の露出部の幅W1、換言すれば絶縁被膜48の基端側端部から電極46の端部46aまでの幅W1は、例えば1.5mm~4.5mmである。
【0032】
また、バルーン4は、貫通孔50を有する。貫通孔50は、バルーン4の内外を連通し、バルーン4内の流体をバルーン4外に放出するための孔である。貫通孔50は、バルーン4へのレーザー光の照射等によって形成することができる。貫通孔50は、先端側傾斜部40および基端側傾斜部42の少なくとも一方に配置される。好ましくは、貫通孔50は少なくとも先端側傾斜部40に配置される。より好ましくは、貫通孔50は先端側傾斜部40および基端側傾斜部42の両方に配置される。本実施の形態では、先端側傾斜部40および基端側傾斜部42のそれぞれに複数の貫通孔50が設けられている。
【0033】
カテーテルシャフト2の軸方向において、先端側傾斜部40に配置される貫通孔50は、電極46の露出部分に対して距離W2だけ離れた位置に設けられる。また、基端側傾斜部42に配置される貫通孔50は、電極46の露出部分に対して距離W3だけ離れた位置に設けられる。距離W2,W3は、例えば0.5mm~1.5mmである。なお、距離W2,W3は、同じ値であっても異なる値であってもよい。各傾斜部において複数の貫通孔50は、バルーン4の周方向に所定の間隔をあけて配列される。一例として、複数の貫通孔50は、周方向に45°間隔で配列される。また、貫通孔50は、電極46を避けて、つまり電極46と重ならないように配置される。
【0034】
図6(A)は、バルーン型電極カテーテル1の先端側の拡大斜視図である。
図6(B)は、バルーン型電極カテーテル1の先端側の断面模式図である。各図では説明の便宜上、一部の部材の図示を省略している。
図6(A)および
図6(B)に示すように、アウターシャフト8は、センサ用ルーメン14dの内外を連通するセンサ用貫通孔52をバルーン4より基端側に有する。一例としてセンサ用貫通孔52は、アウター接合部24と重なる位置に設けられる。
【0035】
バルーン型電極カテーテル1は、電極46の温度を測定するための温度センサ54を有する。温度センサ54は、例えば熱電対で構成される。温度センサ54は、カテーテルシャフト2の基端側からセンサ用ルーメン14dを通り、センサ用貫通孔52に至る。そして、温度センサ54は、センサ用貫通孔52を通り、アウター接合部24に至る。バルーン4は二層構造となっており、温度センサ54はバルーン4の層間を通って電極46の温度を測定可能な位置まで延びる。センサ用ルーメン14dのバルーン4内を臨む開口は、接着剤等で封止される。温度センサ54の基端側は、ハンドル6を介して外部の制御装置に接続される。
【0036】
図7(A)は、バルーン型電極カテーテル1の基端側の拡大斜視図である。
図7(B)は、バルーン型電極カテーテル1の基端側の拡大断面図である。ハンドル6は、ハブ部56と、流体用ポート58と、エア用ポート60と、コネクタ62と、ガイドワイヤ用ポート64とを有する。ハブ部56は、カテーテルシャフト2の基端部に接続される。ハブ部56内で供給ルーメン14a、排出ルーメン14b、導線用ルーメン14cおよびセンサ用ルーメン14dが互いに分割されている。
【0037】
流体用ポート58は、第1保護チューブ66を介してハブ部56に接続される。第1保護チューブ66は、一端側が流体用ポート58に接続され、他端側がハブ部56に接続される。ハブ部56内の供給ルーメン14aは、第1保護チューブ66に挿入される。これにより、供給ルーメン14aは、第1保護チューブ66を介して流体用ポート58に接続される。第1保護チューブ66と供給ルーメン14aとの接続部は、樹脂モールド等で封止される。
【0038】
エア用ポート60は、第2保護チューブ68を介してハブ部56に接続される。第2保護チューブ68は、一端側がエア用ポート60に接続され、他端側がハブ部56に接続される。ハブ部56内の排出ルーメン14bは、第2保護チューブ68に挿入される。これにより、排出ルーメン14bは、第2保護チューブ68を介してエア用ポート60に接続される。第2保護チューブ68と排出ルーメン14bとの接続部は、樹脂モールド等で封止される。
【0039】
コネクタ62は、第3保護チューブ70を介してハブ部56に接続される。第3保護チューブ70は、一端側にコネクタ62が接続され、他端側がハブ部56に接続される。ハブ部56内の導線用ルーメン14cから延びる導線20およびセンサ用ルーメン14dから延びる温度センサ54は、第3保護チューブ70に挿入され、コネクタ62に内蔵される端子に接続される。第3保護チューブ70と導線用ルーメン14cおよびセンサ用ルーメン14dとの接続部は、樹脂モールド等で封止される。
【0040】
ガイドワイヤ用ポート64は、ハブ部56から突出するインナーシャフト10の基端部に接続される。ハブ部56におけるインナーシャフト10の出口には、筒状のチャック部材72が固定される。チャック部材72には、操作リング74が取り付けられる。チャック部材72の外周面と操作リング74の内周面とには螺溝が設けられており、操作リング74は、チャック部材72に螺合する。操作リング74は、自身の回転によってハブ部56に対して接近および離間することができる。操作リング74とガイドワイヤ用ポート64との間には、インナーシャフト10を支持する支持筒76が設けられる。支持筒76は、インナーシャフト10の軸方向に延びる貫通孔を有し、この貫通孔にインナーシャフト10が挿通される。支持筒76とインナーシャフト10とは、互いに接合される。
【0041】
インナーシャフト10は、ハブ部56、チャック部材72および操作リング74に固定されておらず、これらに対して変位可能である。一方、アウターシャフト8は、第1保護チューブ66および供給ルーメン14aの連結や第2保護チューブ68および排出ルーメン14bの連結により、ハブ部56に固定される。操作リング74がハブ部56から離間する方向に変位すると、操作リング74によって支持筒76が基端側に押される。これにより、支持筒76とともにインナーシャフト10がアウターシャフト8から引き抜かれる方向に変位する。なお、インナーシャフト10を変位させる機構は、上述のものに限定されない。
【0042】
続いて、バルーン型電極カテーテル1の作動方法について説明する。
図8(A)~
図8(C)および
図9は、バルーン型電極カテーテル1の作動方法を説明する図である。各図では説明の便宜上、一部の部材の図示を省略している。一例としてバルーン型電極カテーテル1は、心房中隔IASにシャントS(貫通孔)を形成するシャント手術に用いることができる。
【0043】
まず、バルーン型電極カテーテル1の使用に先立って準備処理が実施される。準備処理では、流体用ポート58から供給ルーメン14aを介してバルーン4内に流体が供給される。このとき、エア用ポート60は開いた状態とされる。バルーン4内に供給された流体の一部は、バルーン4内および供給ルーメン14a内の気体とともに排出ルーメン14bおよびエア用ポート60を介して外部に排出される。このエア抜き処理の後に、エア用ポート60が閉じられ、供給ルーメン14aおよび流体用ポート58を介してバルーン4内の流体が排出される。これにより、バルーン4内が陰圧となってバルーン4が折り畳まれる。
【0044】
図8(A)に示すように、RFニードル等の穿刺によって、心房中隔IASの処置部位にシャントSが設けられる。次に、シース78が下大静脈および右房RAを経てシャントSに通される。続いて、ガイドワイヤGWがシース78内を通されて左房LAまで送られる。バルーン型電極カテーテル1は、ワイヤ用ルーメン22にガイドワイヤGWが通された状態とされる。ガイドワイヤGWが左房LAに到達した後、カテーテルシャフト2がシース78内を通されて体内に挿入される。そして、ガイドワイヤGWに沿わせてカテーテルシャフト2の先端部が左房LAまで送られる。バルーン型電極カテーテル1は、バルーン4がシャントSに挿入され、小径部38がシャントSと重なるように位置合わせされる。施術者は、心腔内エコー(ICE)またはX線透視等で造影マーカ44の位置を確認することで、バルーン型電極カテーテル1の位置合わせを行うことができる。
【0045】
図8(B)に示すように、バルーン4が心房中隔IASまで到達した後に、シース78が引き抜かれる。これにより、バルーン4が露出する。バルーン4が露出した状態で、流体用ポート58からバルーン4内に流体が供給され、バルーン4がダンベル状に拡張する。このとき、エア用ポート60は閉じた状態とされる。バルーン4が拡張すると、括れ部28にシャントSの周縁部が嵌入する。これにより、バルーン4が心房中隔IASに固定される。シャントSの周縁部は、小径部38において露出する電極46に当接する。
【0046】
バルーン4は、貫通孔50を有する。このため、バルーン4内に流体が流入すると、
図8(C)に示すように、貫通孔50から流体が放出される。これにより、イリゲーション(灌流)が実施される。貫通孔50は、先端側傾斜部40および基端側傾斜部42に設けられている。このため、括れ部28と心房中隔IASとの隙間に流体を流しやすくすることができる。したがって、電極46周辺の血流が滞留することをより効果的に抑制でき、アブレーションにともなう血栓の形成を抑制することができる。
【0047】
左房LAで血栓が形成されると、右房RAで血栓が形成される場合に比べて脳梗塞等の重大疾患を引き起こしやすい。このため、左房LAでの血栓の形成を抑制することがより重要である。そして、一般的なシャント術では、バルーン4の先端側が左房LAに配置され、バルーン4の基端側が右房RAに配置される。このため、貫通孔50は、少なくとも左房LAに配置される先端側傾斜部40に設けられることが好ましい。これにより、左房LAにおける血栓の形成をより抑制しやすくすることができる。
【0048】
また、本実施の形態のように、先端側傾斜部40および基端側傾斜部42の両方に貫通孔50が配置される場合には、左房LAおよび右房RAの両側において血栓の形成を抑制することができる。よって、シャント術の安全性をより向上させることができる。なお、先端側傾斜部40および基端側傾斜部42の少なくとも一方に貫通孔50が設けられていれば、血栓形成の抑制効果を少なからず発揮することができる。また、本実施の形態では、貫通孔50が電極46を避けて配置されている。これにより、流体の流れによって電極46が過度に冷却されることを抑制することができる。よって、より確実なアブレーションが可能となる。
【0049】
続いて、操作リング74が操作され、
図9に示すようにアウターシャフト8およびインナーシャフト10が相対変位する。本実施の形態では、インナーシャフト10がアウターシャフト8を支点にしてバルーン型電極カテーテル1の基端側に変位する。これにより、バルーン4の先端部および基端部がカテーテルシャフト2の軸方向に沿って接近するように変形する。この結果、先端側傾斜部40および基端側傾斜部42が互いに接近し、シャントSの周縁部と各傾斜部との接触面積が増加する。したがって、シャントSの周縁部と電極46との接触面積も増加する。
【0050】
この状態で、電極46に高周波電流が通電され、アブレーションが実施される。アブレーションにより、シャントSの周縁部が熱焼灼される。熱焼灼によってシャントSの周縁部が変性するため、シャントSを所望の期間にわたって維持しやすくすることができる。なお、熱焼灼は、高周波電流以外のエネルギーで実施されてもよい。
【0051】
流体の流入によって拡張したバルーン4をカテーテルシャフト2の軸方向に潰れるように変形させることで、先端側傾斜部40および基端側傾斜部42でシャントSの周縁部を挟み込むことができる。これにより、アブレーション中に電極46がずれることをより抑制することができる。また、電極46とシャントSの周縁部とがより密着するため、シャントSの周縁部に高周波エネルギーを与えやすくすることができる。また、バルーン4とシャントSの周縁部との隙間が浅くなるため、血液の滞留ひいては血栓の形成をより抑制することができる。
【0052】
また、本実施の形態では、インナー接合部32がアウター接合部24よりカテーテルシャフト2の先端側に配置される。そして、インナー接合部32がアウター接合部24に接近することでバルーン4が変形する。つまり、アウターシャフト8に対してインナーシャフト10を基端側へ変位させることで、バルーン4をカテーテルシャフト2の軸方向に縮めている。このような構成によれば、括れ部28に嵌入するシャントSの周縁部にかかる負荷を抑制しながら、バルーン4を変形させることができる。よって、バルーン4をより変形させやすくすることができる。
【0053】
また、本実施の形態のインナーシャフト10は、バルーン4より先端側にアウターシャフト8から突出する先端部を有し、この先端部に接続部材18が配置される。アウターシャフト8から露出するインナーシャフト10の先端部は、少なくともアウターシャフト8の厚み分だけ径が細い。このため、インナーシャフト10の先端部に接続部材18を配置することで、接続部材18の設置によるカテーテルシャフト2の大径化を抑制することができる。
【0054】
また、バルーン4より先端側に接続部材18が配置されることで、電極46の端部46aを小径部38より基端側に配置させやすくすることができる。バルーン4の小径部38より基端側は右房RAに配置されるため、電極46の端部46aも右房RAに配置されることになる。一般的に、電極46は端部46aが高温になりやすい。したがって、高温になりやすい端部46aを右房RAに配置することで、左房LAでの血栓の形成をより一層抑制することができる。また、本実施の形態のバルーン型電極カテーテル1は、電極46における接続部材18から先端側傾斜部40までの領域の少なくとも一部を被覆する絶縁被膜48を備える。電極46の小径部38より先端側は、左房LAに配置される。このため、バルーン型電極カテーテル1が絶縁被膜48を備えることで、左房LAでの血栓の形成をより一層抑制することができる。
【0055】
また本実施の形態のカテーテルシャフト2は、流体をバルーン4に流入させる供給ルーメン14aと、バルーン4内の気体を排出させる排出ルーメン14bとを有する。これにより、バルーン4内の気体が貫通孔50から体内に放出されることを抑制することができる。また、気体によって電極46と流体との接触が妨げられて電極46の温度が局所的に上昇し、アブレーションの進行が妨げられることを抑制できる。また、供給ルーメン14aの供給口14a1は、排出ルーメン14bの排出口14b1よりカテーテルシャフト2の先端側に位置する。これにより、バルーン4内の気体をより排出しやすくすることができる。
【0056】
以上、本開示の実施の形態について詳細に説明した。前述した実施の形態は、本開示を実施するにあたっての具体例を示したものにすぎない。実施の形態の内容は、本開示の技術的範囲を限定するものではなく、請求の範囲に規定された本開示の思想を逸脱しない範囲において、構成要素の変更、追加、削除等の多くの設計変更が可能である。設計変更が加えられた新たな実施の形態は、組み合わされる実施の形態および変形それぞれの効果をあわせもつ。前述の実施の形態では、このような設計変更が可能な内容に関して、「本実施の形態の」、「本実施の形態では」等の表記を付して強調しているが、そのような表記のない内容でも設計変更が許容される。各実施の形態に含まれる構成要素の任意の組み合わせも、本開示の態様として有効である。図面の断面に付したハッチングは、ハッチングを付した対象の材質を限定するものではない。
【0057】
実施の形態は、以下に記載する項目によって特定されてもよい。
[第1項目]
体内に挿入されるカテーテルシャフト(2)と、
カテーテルシャフト(2)の先端側に設けられ、カテーテルシャフト(2)の基端側から供給される流体によって拡張可能なバルーン(4)と、
バルーン(4)の表面に配置される電極(46)と、を備え、
バルーン(4)は、バルーン(4)の内外を連通してバルーン(4)内の流体をバルーン(4)外に放出するための貫通孔(50)を有するとともに、拡張した状態において先端側大径部(34)と、先端側大径部(34)よりカテーテルシャフト(2)の基端側に位置する基端側大径部(36)と、先端側大径部(34)および基端側大径部(36)の間に位置し2つの大径部より径の小さい小径部(38)と、先端側大径部(34)および小径部(38)をつなぐ先端側傾斜部(40)と、基端側大径部(36)および小径部(38)をつなぐ基端側傾斜部(42)と、を有し、
電極(46)は、少なくとも小径部(38)において露出し、
貫通孔(50)は、先端側傾斜部(40)および基端側傾斜部(42)の少なくとも一方に配置される、
バルーン型電極カテーテル(1)。
[第2項目]
貫通孔(50)は、少なくとも先端側傾斜部(40)に配置される、
第1項目に記載のバルーン型電極カテーテル(1)。
[第3項目]
貫通孔(50)は、先端側傾斜部(40)および基端側傾斜部(42)の両方に配置される、
第1項目または第2項目に記載のバルーン型電極カテーテル(1)。
[第4項目]
貫通孔(50)は、電極(46)を避けて配置される、
第2項目または第3項目に記載のバルーン型電極カテーテル(1)。
[第5項目]
カテーテルシャフト(2)の基端側から先端側に向かって延びる導線(20)と、
バルーン(4)よりカテーテルシャフト(2)の先端側に配置され、導線(20)および電極(46)を電気的に接続する接続部材(18)と、を備え、
電極(46)は、接続部材(18)から先端側傾斜部(40)を経て小径部(38)まで延在するとともに、端部(46a)が小径部(38)よりカテーテルシャフト(2)の基端側に配置される、
第1項目乃至第4項目のいずれかに記載のバルーン型電極カテーテル(1)。
[第6項目]
電極(46)における接続部材(18)から先端側傾斜部(40)までの領域の少なくとも一部を被覆する絶縁被膜(48)を備える、
第5項目に記載のバルーン型電極カテーテル(1)。
[第7項目]
カテーテルシャフト(2)は、流体をバルーン(4)内に流入させる供給ルーメン(14a)と、バルーン(4)内の気体を排出させる排出ルーメン(14b)と、を有する、
第1項目乃至第6項目のいずれかに記載のバルーン型電極カテーテル(1)。
[第8項目]
供給ルーメン(14a)は、バルーン(4)内に流体を流入させる供給口(14a1)をバルーン(4)内に有し、
排出ルーメン(14b)は、バルーン(4)外に気体を流出させる排出口(14b1)をバルーン(4)内に有し、
供給口(14a1)は、排出口(14b1)よりカテーテルシャフト(2)の先端側に位置する、
第7項目に記載のバルーン型電極カテーテル(1)。
【符号の説明】
【0058】
1 バルーン型電極カテーテル、 2 カテーテルシャフト、 4 バルーン、 14a 供給ルーメン、 14a1 供給口、 14b 排出ルーメン、 14b1 排出口、 18 接続部材、 20 導線、 34 先端側大径部、 36 基端側大径部、 38 小径部、 40 先端側傾斜部、 42 基端側傾斜部、 46 電極、 46a 端部、 48 絶縁被膜、 50 貫通孔。