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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】頭皮保護組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/37 20060101AFI20231226BHJP
   A61Q 5/04 20060101ALI20231226BHJP
   A61K 8/36 20060101ALI20231226BHJP
   A61K 8/46 20060101ALI20231226BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20231226BHJP
   A61K 8/60 20060101ALI20231226BHJP
   A61K 8/86 20060101ALI20231226BHJP
   A61Q 5/10 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
A61K8/37
A61Q5/04
A61K8/36
A61K8/46
A61K8/44
A61K8/60
A61K8/86
A61Q5/10
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022093706
(22)【出願日】2022-06-09
(65)【公開番号】P2022189789
(43)【公開日】2022-12-22
【審査請求日】2022-06-09
(31)【優先権主張番号】110121484
(32)【優先日】2021-06-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】515102242
【氏名又は名称】百達精密化學股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100124431
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 順也
(74)【代理人】
【識別番号】100174160
【弁理士】
【氏名又は名称】水谷 馨也
(74)【代理人】
【識別番号】100175651
【弁理士】
【氏名又は名称】迫田 恭子
(74)【代理人】
【識別番号】100122448
【弁理士】
【氏名又は名称】福井 賢一
(72)【発明者】
【氏名】シー ホウコアン
(72)【発明者】
【氏名】ホン ロンツォン
(72)【発明者】
【氏名】タン シュイホア
(72)【発明者】
【氏名】チェン ユイカイ
(72)【発明者】
【氏名】リアン アンホン
(72)【発明者】
【氏名】ツァイ チェンシアン
【審査官】阪▲崎▼ 裕美
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-306786(JP,A)
【文献】国際公開第2012/131848(WO,A1)
【文献】特開2002-053429(JP,A)
【文献】特開2014-231501(JP,A)
【文献】特開2017-101018(JP,A)
【文献】特開2001-316236(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0201305(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2022-0071610(KR,A)
【文献】中国特許出願公開第107184428(CN,A)
【文献】特開2017-057161(JP,A)
【文献】特開2017-057164(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0166035(US,A1)
【文献】米国特許第05437860(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00-8/99
A61Q 1/00-90/00
CAplus/REGISTRY(STN)
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
髪染め用薬剤またはパーマ用薬剤を髪に塗布する前に、頭皮保護組成物を頭皮に塗布することを含み、
前記頭皮保護組成物は、下記式(I)で示されるカルボン酸エステル化合物と、乳化剤と、水と、を含み、
【化1】
該式(I)中、R1は、C4~C8のアルキル基を表し、R2は、C10~C26のアルキル基を表すことを特徴とする頭皮保護方法
【請求項2】
前記式(I)中、R1は、C4~C8の分枝鎖アルキル基を表すことを特徴とする請求項1に記載の頭皮保護方法
【請求項3】
前記式(I)中、R1は、総炭素数がC4~C8且つα炭素またはβ炭素の少なくとも1つの水素がアルキル基で置換された分枝鎖アルキル基を表すことを特徴とする請求項2に記載の頭皮保護方法
【請求項4】
前記式(I)中、R2は、C10~C26の分枝鎖アルキル基を表すことを特徴とする請求項1又は2に記載の頭皮保護方法
【請求項5】
前記カルボン酸エステル化合物は、下記式(I-1)~式(I-3)からなる群より選ばれる少なくとも1つであり、
【化2】
【化3】
【化4】
該式(I-2)中、R21は、C10~C11の直鎖アルキル基または分枝鎖アルキル基を表し、R22は、C12~C13の直鎖アルキル基または分枝鎖アルキル基を表し、
該式(I-3)中、R23は、C10の分枝鎖アルキル基を表すことを特徴とする請求項1又は2に記載の頭皮保護方法
【請求項6】
前記乳化剤は、脂肪酸塩、スルホン酸塩、アミノ酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、スルホン酸アルキル、蔗糖エステル、アルキルポリグルコシド、グリセリド、ポリグリセロールエステル、ソルビタンエステル、ポリソルベート、アルカノールアミド、脂肪族アルコールポリオキシエチレンエーテル、脂肪族アルコールポリアルキレングリコールエーテル、アルキルアミドベタイン、アルキルベタイン、塩化アルキルアンモニウムからなる群より選ばれる少なくとも1つであることを特徴とする請求項1又は2に記載の頭皮保護方法
【請求項7】
前記頭皮保護組成物の総量を100wt%として、前記カルボン酸エステル化合物の含有量は、0.5wt%~99wt%の範囲内にあることを特徴とする請求項1又は2に記載の頭皮保護方法
【請求項8】
前記頭皮保護組成物の総量を100wt%として、前記乳化剤の含有量は、0.5wt%~50wt%の範囲内にあることを特徴とする請求項1又は2に記載の頭皮保護方法
【請求項9】
前記頭皮保護組成物の総量を100wt%として、前記水の含有量は、0.5wt%~99wt%の範囲内にあることを特徴とする請求項1又は2に記載の頭皮保護方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、頭皮保護組成物に関し、特に髪染め用薬剤やパーマ用薬剤などのヘア用製品に対して頭皮を保護する頭皮保護組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
市販の髪染め用薬剤及びパーマ用薬剤のほとんどはpH値が約8.0~14.0のアルカリ性を有するので、使用者の頭皮に接触すると、使用者の頭皮が損傷を受けて痒みや赤い腫れなどを引き起こす。従って、髪染め用薬剤及びパーマ用薬剤を髪に塗布する前に、髪染め用薬剤及びパーマ用薬剤が頭皮に直接に接触することを防止するために、頭皮に隔離用の頭皮保護剤を塗布する必要がある。
【0003】
従来の頭皮保護剤は、例えば耐強アルカリ性を有するジメチコーン(dimethicone)、鉱物油または特許文献1に記載されているものを使用して、頭皮と髪染め用薬剤及びパーマ用薬剤との隔離を達成する。
【0004】
また、頭皮保護剤としては、上記の成分以外を有効成分として使用するものも求められているので、市場の必要により新しい頭皮保護剤を開発することが必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2021-31477号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、新しい頭皮保護組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を実現するために、本発明は、
下記式(I)で示されるカルボン酸エステル化合物と、乳化剤と、水と、を含み、
【化1】
該式(I)中、R1は、C4~C8のアルキル基を表し、R2は、C10~C26のアルキル基を表すことを特徴とする頭皮保護組成物を提供する。
【発明の効果】
【0008】
上記のように、本発明の頭皮保護組成物は、式(I)で示されるカルボン酸エステル化合物を使用することにより、例えば髪染め用薬剤やパーマ用薬剤などのアルカリ性のヘア用製品に対して、優れた耐加水分解性(Hydrolysis-Resistant)を有するので、髪染め用薬剤及びパーマ用薬剤を髪に塗布する前に、頭皮に本発明の頭皮保護組成物を塗布することにより、髪染め用薬剤及びパーマ用薬剤が頭皮に直接に接触して頭皮が損傷を受けることを防止できる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書において、「ヘア用製品」とは、アルカリ性、特に強アルカリ性を有するヘア用製品を指し、例えば髪染め用薬剤やパーマ用薬剤が挙げられるが、それらに限らない。
【0010】
本発明の頭皮保護組成物は、髪染め用薬剤やパーマ用薬剤を髪に塗布する前に、頭皮に塗布して頭皮を保護することに適用するものであって、カルボン酸エステル(carboxylic ester)化合物と、乳化剤(emulsifier)と、水とを含む。
【0011】
前記カルボン酸エステル化合物は下記式(I)で示されるものである。
【化2】
該式(I)中、R1は、C4~C8のアルキル基を表し、C4~C8の分枝鎖アルキル基を表すことが好ましく、それにより、例えば髪染め用薬剤やパーマ用薬剤などのアルカリ性のヘア用製品に対して、より優れた耐加水分解性を有し、総炭素数がC4~C8且つα炭素またはβ炭素の少なくとも1つの水素がアルキル基で置換された分枝鎖アルキル基を表すことが更に好ましい。
該式(I)中、R2は、C10~C26のアルキル基を表し、C10~C26の分枝鎖アルキル基を表すことが好ましく、それによりアルカリ性のヘア用製品に対してより優れた耐加水分解性を有する。
【0012】
一部の実施形態において、前記カルボン酸エステル化合物は、下記式(I-1)~式(I-3)からなる群より選ばれる少なくとも1つである。
【化3】
(2-エチルヘキサン酸2-オクチルドデシル、2-octyldodecyl 2-ethylhexanoate、CAS番号:69275-04-3)
【化4】
【化5】
該式(I-2)中、R21は、C10~C11の直鎖アルキル基または分枝鎖アルキル基を表し、R22は、C12~C13の直鎖アルキル基または分枝鎖アルキル基を表す。
該式(I-3)中、R23は、C10の分枝鎖アルキル基を表す。C10の分枝鎖アルキル基として、例えばイソデシル基(isodecyl group)及び該イソデシル基の分枝鎖構造異性体が挙げられる。
【0013】
前記カルボン酸エステル化合物の合成方法は特に制限がなく、R1及びR2の種類に基づいて、従来のエステル化反応条件を参考して調整でき、例えば、触媒なしの環境中でR1-COOHとR2-OHとをエステル化反応させ、または、触媒ありの環境中でR1-COOHとR2-OHとをエステル化反応させることが挙げられるが、それらに限らない。
【0014】
該触媒として、例えば、シュウ酸スズ(II)(Tin oxalate)、酸化スズ(II)(stannous oxide)、テトラブチルチタネート(Tetrabutyl titanate、CAS番号:5593-70-4)、チタンイソプロポキシド(Titanium isopropoxide)、メタンスルホン酸(Methanesulfonic acid)など常用のエステル化反応用触媒が挙げられる。
【0015】
好ましくは、前記頭皮保護組成物の総量を100wt%として、前記カルボン酸エステル化合物の含有量は、0.5wt%~99wt%の範囲内にあり、それにより、前記頭皮保護組成物が頭皮に十分に塗布することができて、アルカリ性のヘア用製品からの損傷をより完全に防止できる。
【0016】
好ましくは、前記乳化剤は、脂肪酸塩(fatty acid salt)、スルホン酸塩(sulfonic acid salt)、アミノ酸塩(amino acid salt)、アルキルエーテル硫酸塩(alkyl ether sulfate)、スルホン酸アルキル(alkyl sulfonate)、蔗糖エステル(sucrose ester)、アルキルポリグルコシド(alkyl polyglucoside、APG)、グリセリド(glyceride)、ポリグリセロールエステル(polyglycerol ester)、ソルビタンエステル(sorbitan ester)、ポリソルベート(polysorbate)、アルカノールアミド(Alkanolamide)、脂肪族アルコールポリオキシエチレンエーテル(fatty alcohol polyoxyethylene ether)、脂肪族アルコールポリアルキレングリコールエーテル(fatty alcohol polyalkylene glycol ether)、アルキルアミドベタイン(alkyl amido betaine)、アルキルベタイン(alkyl betaine)、塩化アルキルアンモニウム(alkyl ammonium chloride)からなる群より選ばれる少なくとも1つである。
【0017】
前記乳化剤の含有量は特に制限しなく、例えば前記頭皮保護組成物の総量を100wt%として、前記乳化剤の含有量は、0.5wt%~50wt%の範囲内にあることが挙げられるが、それに限らない。
【0018】
前記水の含有量は特に制限しなく、例えば前記頭皮保護組成物の総量を100wt%として、前記水の含有量は、0.5wt%~99wt%の範囲内にあることが挙げられるが、それに限らない。
【0019】
前記頭皮保護組成物の形態として、例えば水中油(O/W)型、油中水(W/O)型、W/O/W型またはO/W/O型のエマルション(emulsions)、ゲル(gel)、クリーム(cream)、塗布薬(liniment)、スプレー(spray)、フォーム(foam)、分散液(dispersion)、滴下剤(drop)、ムース(mousse)などの形態が挙げられるが、それらに限らない。
【0020】
本発明の頭皮保護組成物の使用方法は、例えば、髪染め用薬剤やパーマ用薬剤などのアルカリ性のヘア用製品を髪に塗布する前に、本発明の頭皮保護組成物を頭皮に均一に塗布し、本発明の頭皮保護組成物の優れた耐加水分解性により、該頭皮保護組成物はアルカリ性のヘア用製品により加水分解されにくく、頭皮を安定して覆うので、頭皮と髪染め用薬剤及びパーマ用薬剤などのアルカリ性のヘア用製品とを有効に隔離する。
【実施例
【0021】
以下、実施例をもって本発明を更に説明する。これらの例は、単に本発明の頭皮保護組成物を例示することを意図しており、限定的であると解釈されるべきではない。
【0022】
[合成例1]式(I-1)で示されるカルボン酸エステル化合物
反応器中に、触媒が存在している環境で、269±5%gの2-エチルヘキサン酸(2-ethylhexanoic acid、CAS番号:149-57-5)と、562±5%gの2-オクチル-1-ドデカノール(2-octyl-1-dodecanol、CAS番号:5333-42-6)とを、220℃の反応温度でエステル化反応を行い、エステル化反応完了後エステル化の産物が得られた。該エステル化の産物を降温してから、触媒及び未反応の2-エチルヘキサン酸を除去し、そして脱色、脱臭した後、式(I-1)で示されるカルボン酸エステル化合物が得られた。
【0023】
[合成例2]式(I-2)で示されるカルボン酸エステル化合物
反応器中に、触媒が存在している環境で、248±5%gの3,5,5-トリメチルヘキサン酸(3,5,5-trimethylhexanoic acid、CAS番号:3302-10-1)と、579±5%gのISOFOL 2426(C24~C26の分枝鎖アルキルアルコール(alkyl alcohol)を含む、南アフリカSasol Limited.社から購入)とを、220℃の反応温度でエステル化反応を行い、エステル化反応完了後エステル化の産物が得られた。該エステル化の産物を降温してから、触媒及び未反応の3,5,5-トリメチルヘキサン酸を除去し、そして脱色、脱臭した後、式(I-2)で示されるカルボン酸エステル化合物が得られた。
【0024】
[合成例3]式(I-3)で示されるカルボン酸エステル化合物
反応器中に、触媒が存在している環境で、337±5%gのピバル酸(neopentanoic acid、CAS番号:75-98-9)と、522±5%gのC10の分枝鎖アルキルアルコール(イソデシルアルコール及び該イソデシルアルコールの分枝鎖構造異性体を含む、米ExxonMobil.社から購入、型番:EXXAL 10)とを、220℃の反応温度でエステル化反応を行い、エステル化反応完了後エステル化の産物を得た。該エステル化の産物を降温してから、触媒及び未反応のピバル酸を除去し、そして脱色、脱臭した後、式(I-3)で示されるカルボン酸エステル化合物を得た。
【0025】
[実施例1]
11.5gの合成例1の式(I-1)で示されるカルボン酸エステル化合物と、3.5gの乳化剤(独BASF社から購入、型番:Emulgade(登録商標)1000 NI)と、86gの水とを均一に混合して、実施例1の頭皮保護組成物を得た。
【0026】
[比較例1]
比較例1は、イソステアリン酸オクチルドデシル(2-octyldodecyl isostearate、CAS番号:93803-87-3、台湾Patech Fine Chemicals Co., Ltd.社から購入、型番:PaesterTM ODIS)である。
【0027】
[比較例2]
比較例2は、カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド(INCI名:caprylic/capric triglyceride、台湾Patech Fine Chemicals Co., Ltd.社から購入、型番:PaesterTM GTCC)である。
【0028】
[比較例3]
比較例3は、鉱物油である。
【0029】
[性質評価]
耐加水分解性:
10gの合成例1の式(I-1)で示されるカルボン酸エステル化合物と、20g且つpH値が13の水酸化ナトリウム水溶液とを混合し、40℃±1℃の環境で4時間反応し、且つ、反応から第45分、第120分、第180分及び第240分の時点で、第0分(即ち反応開始前)に対する酸価(mgKOH/g)の変化量を測定した。
合成例2~合成例3及び比較例1~比較例2も同じく酸価の変化量を測定した。
合成例1~合成例3及び比較例1~比較例2の酸価の変化量は、表1に示され、酸価の変化量が小さいほど、強アルカリに対する耐加水分解性が優れる。
【0030】
展延性:
50μLの合成例1の式(I-1)で示されるカルボン酸エステル化合物を定量用濾紙NO.5Cの中央に滴下し、5分後、合成例1のカルボン酸エステル化合物の定量用濾紙NO.5Cにおける展延した面積を測定し、該展延面積を展延時間(5分)で割ることにより展延速度(mm2/分)を得た。
合成例2~合成例3及び比較例1~比較例3も同じく展延速度を測定した。
合成例1~合成例3及び比較例1~比較例3の展延速度は、表1に示され、展延速度が高いほど、展延性が優れる。
【0031】
保湿性:
0.1gの実施例1の頭皮保護組成物を、被験者の皮膚に塗布した後、皮膚の水和レベル分析皮膚分析システム(デンマークCortex Technology社、型番:DermaLab Combo)を使用して、20℃±3℃の温度且つ30%±5%の湿度の環境において、被験者の皮膚の3時間内の水分量を測定し、被験者の皮膚の塗布後第60分、第120分及び第180分の皮膚の水分量(%)を測定した。
比較例1及び比較例3も同じく皮膚の水分量を測定した。
実施例1、比較例1及び比較例3の皮膚の水分量は、表2に示され、皮膚の水分量が高いほど、保湿性が優れる。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
表1に示されるように、合成例1~合成例3のカルボン酸エステル化合物の酸価の変化量は、比較例1~比較例2のエステルの酸価の変化量より大幅に小さく、それは、合成例1~合成例3のカルボン酸エステル化合物(即ち、式(I-1)~式(I-3)で示されるカルボン酸エステル化合物)の強アルカリに対する耐加水分解性がより優れたことを示すので、式(I)で示されるカルボン酸エステル化合物を含む頭皮保護組成物は、髪染め用薬剤やパーマ用薬剤などの強アルカリ性のヘア用製品に対してより優れた耐加水分解性を有することを証明した。
【0035】
また、表1に示されるように、合成例1及び合成例3のカルボン酸エステル化合物の展延速度は、比較例1~比較例2のエステル及び比較例3の鉱物油の展延速度より大幅に高く、それは、合成例1及び合成例3のカルボン酸エステル化合物(即ち、式(I-1)及び式(I-3)で示されるカルボン酸エステル化合物)の展延性がより優れたことを示し、また、合成例2のカルボン酸エステル化合物の展延速度は、比較例3の鉱物油の展延速度より大幅に高く、それは、合成例2のカルボン酸エステル化合物(即ち、式(I-2)で示されるカルボン酸エステル化合物)の展延性が比較例3の鉱物油の展延速度より優れたことを示すので、式(I)で示されるカルボン酸エステル化合物を含む頭皮保護組成物は、優れた展延性を有して、簡単に頭皮に塗布できることが証明された。
【0036】
表2に示されるように、実施例1の頭皮保護組成物の被験者における3時間内の皮膚の水分量は、比較例1のエステル及び比較例3の鉱物油の被験者における3時間内の皮膚の水分量より大幅に高く、それは、実施例1の頭皮保護組成物の保湿性がより優れたことを示す。
【0037】
上記のように、本発明の頭皮保護組成物は、例えば髪染め用薬剤やパーマ用薬剤などのアルカリ性のヘア用製品に対して、優れた耐加水分解性を有するので、髪染め用薬剤及びパーマ用薬剤を髪に塗布する前に、頭皮に本発明の頭皮保護組成物を塗布することにより、髪染め用薬剤及びパーマ用薬剤が頭皮に直接に接触して頭皮が損傷を受けることを防止できる。また、本発明の頭皮保護組成物は、優れた展延性及び優れた保湿性を有する。従って、本発明の頭皮保護組成物は本発明の目的を達成できる。
【0038】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、最も広い解釈の精神および範囲内に含まれる様々な構成として、全ての修飾および均等な構成を包含するものとする。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明の頭皮保護組成物は、頭皮を保護することに適用でき、特に髪染め用薬剤やパーマ用薬剤などのアルカリ性のヘア用製品に対して頭皮を保護することに好適である。