(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】プロジェクタ光学エンジン
(51)【国際特許分類】
G03B 21/14 20060101AFI20231226BHJP
G02B 7/02 20210101ALI20231226BHJP
【FI】
G03B21/14 D
G02B7/02 C
G02B7/02 Z
(21)【出願番号】P 2022110880
(22)【出願日】2022-07-11
【審査請求日】2022-07-11
(32)【優先日】2021-09-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】503133874
【氏名又は名称】揚明光學股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100202326
【氏名又は名称】橋本 大佑
(72)【発明者】
【氏名】李 嘉樟
【審査官】川俣 郁子
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-230198(JP,A)
【文献】特開2012-168418(JP,A)
【文献】特開2020-134664(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0083585(US,A1)
【文献】特開2015-045776(JP,A)
【文献】特開2006-018247(JP,A)
【文献】特開2020-008840(JP,A)
【文献】特開2010-066628(JP,A)
【文献】特開2008-268627(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0002645(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B7/02-7/16
G03B21/00-21/10
21/12-21/13
21/134-21/30
33/00-33/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンケースと、
伝動部材と、
鏡筒と
を含み、
前記伝動部材上には、第1伝動部と、第1結合部と、第2結合部とが設けられ、前記伝動部材が前記第1結合部と前記第2結合部の位置において前記エンジンケースと接続され、前記第1伝動部と前記第1結合部と前記第2結合部が同一直線上に設けられ、
前記鏡筒には鏡筒フランジが設けられ、前記鏡筒フランジ上に、第2伝動部と、第3結合部と、第4結合部とが設けられ、前記鏡筒フランジが前記第3結合部と前記第4結合部の位置におい
て前記伝動部材と接続され、前記第2伝動部と前記第3結合部と前記第4結合部が同一直線上に設けられた、
プロジェクタ光学エンジン。
【請求項2】
光学エンジン筐体と、
第1伝動部が設けられた伝動部材と、
鏡筒フランジが設けられ、前記鏡筒フランジ上に第2伝動部が設けられた、鏡筒と、
前記光学エンジン筐体と前記伝動部材とを接続し、前記伝動部材が前記光学エンジン筐体に対して第1の方向に直線移動可能である、第1接続部材と、
前記伝動部材と前記鏡筒フランジとを接続し、前記鏡筒フランジが前記伝動部材に対して前記第1の方向とは異なる第2の方向に直線移動可能である、第2接続部材と
を含む、
プロジェクタ光学エンジン。
【請求項3】
第1伝送機構を更に含み、
前記第1伝送機構の1つの部材上に第1
作動部が設けられ、前記第1伝動部と接触する、
請求項1又は2に記載のプロジェクタ光学エンジン。
【請求項4】
前記第1伝送機構が、ギア、ラック、スクリュー、ウォーム、又はそれらの組合せを含む、
請求項3に記載のプロジェクタ光学エンジン。
【請求項5】
前記第1伝送機構と接触して、前記第1伝送機構を駆動して前記伝動部材を動かす動力を提供可能な、駆動ギアを更に含む、
請求項3に記載のプロジェクタ光学エンジン。
【請求項6】
前記第1伝送機構と接触して、前記第1伝送機構を駆動して前記伝動部材を動かす動力を提供可能な、動力源を更に含む、
請求項3に記載のプロジェクタ光学エンジン。
【請求項7】
前記動力源がモータである、
請求項6に記載のプロジェクタ光学エンジン。
【請求項8】
第2伝送機構を更に含み、
前記第2伝送機構の1つの部材上に第2
作動部が設けられ、前記第2伝動部と接触する、
請求項1又は2に記載のプロジェクタ光学エンジン。
【請求項9】
前記第2伝送機構と接触して、前記第2伝送機構を駆動して前記鏡筒フランジを動かす動力を提供可能な、駆動ギアを更に含む、
請求項8に記載のプロジェクタ光学エンジン。
【請求項10】
前記第2伝送機構と接触して、前記第2伝送機構を駆動して前記鏡筒フランジを動かす動力を提供可能な、動力源を更に含む、
請求項8に記載のプロジェクタ光学エンジン。
【請求項11】
前記第1伝動部と前記第2伝動部のそれぞれが、スタッド、ラック、部分ギア、ネジ山、ウォーム、ギア、プーリ、スプロケット、カップリング、シャフト、又はそれらの組合せを含む、
請求項1又は2に記載のプロジェクタ光学エンジン。
【請求項12】
エンジンケースと、
第1滑動部が設けられた伝動部材と、
鏡筒フランジが設けられ、前記鏡筒フランジ上に第2滑動部が設けられた、鏡筒と、
前記第1滑動部に対応する位置に設けられ、前記エンジンケースと前記伝動部材とを接続し、前記エンジンケースを前記伝動部材に対して第1の方向に直線移動可能とさせる、第1接続部材と、
前記第2滑動部に対応する位置に設けられ、前記鏡筒フランジと前記伝動部材とを接続し、前記鏡筒フランジを前記伝動部材に対して第2の方向に直線移動可能とさせる、第2接続部材と
を含む、
プロジェクタ光学エンジン。
【請求項13】
前記第1接続部材と前記第2接続部材のそれぞれが、ネジ、リベット、スリーブ、ナックル、ショルダーボルト、ボルト、ナット、ネジ釘、ピン、キー、又はそれらの組合せを含む、
請求項2又は12に記載のプロジェクタ光学エンジン。
【請求項14】
前記第1接続部材と前記第2接続部材のそれぞれが、ショルダースクリューを含む、
請求項2又は12に記載のプロジェクタ光学エンジン。
【請求項15】
前記鏡筒フランジと前記伝動部材のそれぞれに、前記鏡筒フランジ又は前記伝動部材の方向を案内するために用いられる案内部が設けられ、前記案内部が、ガイドスロット、ガイドシャフト、又はガイドレール形状の構造である、
請求項2又は12に記載のプロジェクタ光学エンジン。
【請求項16】
前記第1接続部材と前記2接続部材のそれぞれの一部が前記ガイドスロット内に設けられた、
請求項15に記載のプロジェクタ光学エンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プロジェクタ光学エンジンに関する。
【背景技術】
【0002】
プロジェクタは使用時において、プロジェクタ配置可能な位置が限られることから、使用者が投影画面を適切な位置に調整できるよう、投影画面を投影面上で変位できるよう設計されている。投影画面を移動させる方法は、投影レンズをライトバルブ又は他の映像源に対して移動させることであり、ライトバルブは、例えば、DMD(digital micro-mirror device)、LCOS(liquid-crystal-on-silicon)パネル、透過式液晶パネル、又は他の適切な空間光変調器である。
【0003】
投影レンズのライトバルブに対する移動は、レンズシフト装置により達成可能である。
図1は、従来のレンズシフト装置と鏡筒の概略側面図である。
図1を参照し、従来のレンズシフト装置50は1つの全体的なモジュールであり、接続ベースプレート52と、水平移動プレート54と、垂直移動プレート56と、固定プレート58等の四層構造を用いることにより、投影レンズの鏡筒60を移動させる。そのうち、鏡筒は垂直移動プレート56上に固定され、固定プレート58はベースプレート52に対し固定されて動かない。使用者はノブ59を回転させることにより水平移動プレート54をベースプレート52に対し水平移動させ、垂直移動プレート56をベースプレート52に対し垂直移動させて、鏡筒60をベースプレート52上のライトバルブ又は映像ソースに対し2つの次元にて偏移させることができる。
【0004】
従来のレンズシフト装置が投影レンズの水平方向と垂直方向の変位を独立して調整できる機能を達成するとはいえ、この四層構造は構造が複雑であり、体積が大きく、コストが高く、組立てが容易でない等の課題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、部品の簡素化、体積の削減、精度の向上、組立て時間の短縮という効果を達成可能なプロジェクタ光学エンジンを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の1つの実施形態は、光学エンジン筐体と、伝動部材と、鏡筒と、第1接続部材と、第2接続部材とを含むプロジェクタ光学エンジンを提供する。伝動部材には第1伝動部が設けられ、鏡筒には鏡筒フランジが設けられ、鏡筒フランジには第2伝動部が設けられる。第1接続部材は光学エンジン筐体と伝動部材とを接続し、伝動部材は光学エンジン筐体に対して第1の方向において直線移動可能である。第2接続部材は伝動部材と鏡筒フランジとを接続し、鏡筒フランジは伝動部材に対して第2の方向において直線移動可能であり、そのうち第1の方向は第2の方向と異なる。
【0007】
本発明の1つの実施形態は、エンジンケースと、伝動部材と、鏡筒と、第1接続部材と、第2接続部材とを含むプロジェクタ光学エンジンを提供する。伝動部材には第1滑動部が設けられ、鏡筒には鏡筒フランジが設けられ、鏡筒フランジ上には第2滑動部が設けられる。第1接続部材は第1滑動部に対応する位置に設けられ、伝動部材がエンジンケースに対して第1の方向に直線移動可能であるよう、エンジンケースと伝動部材とを接続する。第2接続部材は第2滑動部に対応する位置に設けられ、鏡筒フランジが伝動部材に対して第2の方向に直線移動可能であるよう、伝動部材と鏡筒フランジとを接続する。
【0008】
本発明の1つの実施形態は、エンジンケースと、伝動部材と、鏡筒とを含むプロジェクタ光学エンジンを提供する。伝動部材上には、第1伝動部と、第1結合部と、第2結合部とが設けられる。伝動部材は、第1結合部と第2結合部の位置にてエンジンケースと接続する。第1伝動部と第1結合部と第2結合部は、同一直線上に設けられる。鏡筒には鏡筒フランジが設けられ、鏡筒フランジ上には、第2伝動部と、第3結合部と、第4結合部とが設けられる。鏡筒フランジは、第3結合部と第4結合部の位置にて伝動部材と接続する。第2伝動部と第3伝動部と第4伝動部は、同一直線上に設けられる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の実施形態は、プロジェクタ光学エンジンが本来有するエンジンケースを用いて従来のレンズシフト装置のベースプレートを置き換え、鏡筒上に鏡筒フランジを設けて従来のレンズシフト装置の垂直移動プレートを置き換える。また、本発明の実施形態において、接続部材を用いて従来のレンズシフト装置の固定プレートを置き換えることができる。このため、本発明の実施形態のプロジェクタ光学エンジンは二層構造を採用して従来の四層構造を置き換え、部品の簡素化、体積の削減、精度の向上、組立て時間の短縮という効果を達成する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、従来のレンズシフト装置と鏡筒の概略側面図である。
【
図2】
図2は、本発明の1つの実施形態によるプロジェクタ光学エンジンの概略斜視図である。
【
図4】
図4は、
図2のプロジェクタ光学エンジンの正面図である。
【
図5】
図5は、本発明のもう1つの実施形態によるプロジェクタ光学エンジンの概略斜視図である。
【
図6】
図6は、本発明のまた別の1つの実施形態によるプロジェクタ光学エンジンの概略斜視図である。
【
図7】
図7は、本発明の更に1つの実施形態によるプロジェクタ光学エンジンの概略斜視図である。
【
図8】
図8は、本発明のもう1つの実施形態によるプロジェクタ光学エンジンの概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図2は、本発明の1つの実施形態によるプロジェクタ光学エンジンの概略斜視図であり、
図3は、
図2のI-I線に沿った概略断面図であり、
図4は、
図2のプロジェクタ光学エンジンの正面図である。
図2、
図3、
図4を参照し、本実施形態のプロジェクタ光学エンジン100は、光学エンジン筐体110(即ちエンジンケース)と、伝動部材200と、鏡筒300と、少なくとも第1接続部材400(
図4では3つの第1接続部材400を例としている)と、少なくとも第2接続部材500(
図4では3つの第2接続部材500を例としている)とを含む。伝動部材200には第1伝動部120が設けられ、鏡筒300には鏡筒フランジ310が設けられ、鏡筒フランジ310上には1つの第2伝動部130が設けられる。第1接続部材400は光学エンジン筐体110と伝動部材200とを接続し、伝動部材200は光学エンジン筐体110に対して第1の方向D1に直線移動可能である。第2接続部材500は伝動部材200と鏡筒フランジ310とを接続し、鏡筒フランジ310は伝動部材200に対して第2の方向D2に直線移動可能であり、そのうち第1の方向D1と第2の方向D2は異なる。本実施形態において、第1の方向D1は、例えば第2の方向D2に垂直であるが、本発明はこれに限定されない。
【0012】
そのうち、所謂接続部材とは、2つ以上の部材が暫定的又は永久的に結合されることを指し、また結合は2つの部材が相対運動できないことを表しておらず、特定の状況において、やはりある程度の相対運動を許容する。一般的な接続部材には、ボルト、ナット、ネジ釘、リベット、ピン、キー、ネジ、スリーブ、ナックル、ショルダーボルト、又はそれらの組合せを含む。伝動部材は、力又は運動の伝達に用いられる部材を指し、一般的な伝動部材には、ギア、プーリ、スプロケット、カップリング、シャフト、スタッド、ラック、部分ギア、ネジ山、ウォーム、又はそれらの組合せを含む。部材上に設けられる伝動部は、部材上で力又は運動の伝達に用いられる部分を指す。部材上に設けられる滑動部は、部材が他の部材に対して滑動可能な部分を指し、能動式又は受動式であってよく、対応する2つの部材の配置によって異なり、例えば、1つの部材上に滑動部としてガイドスロットを設ける場合、もう1つの部材には該ガイドスロットに深く入る突起を滑動部としてよく、或いは、別の移動式接続部材を介して接続することにより、該接続部材に接続する部分を滑動部としてよい。
【0013】
本実施形態において、伝動部材200は、例えば光学エンジン筐体110に対して第1の方向D1に沿って移動する1つの調整片、即ち1つのプレートであってよい。第1伝動部120と第2伝動部130のそれぞれは、スタッド、ラック、部分ギア、ネジ山、ウォーム、ギア、プーリ、スプロケット、カップリング、シャフト、又はそれらの組合せを含む。
図2の実施形態において、第1伝動部120は、例えば部分ギア又はウォームホイールであり、第2伝動部130は1つの貫孔132の内壁にネジ山を有してよいが、本発明はこれに限定されない。伝動部材200には1つの第1滑動部210が設けられ、鏡筒フランジ310上には1つの第2滑動部312が設けられており、第1滑動部210と第2滑動部312のそれぞれは、例えば鏡筒フランジ310又は伝動部材200の方向を案内するために用いられる1つの案内部であり、この案内部は、例えばガイドスロット、ガイドロッド、又はガイドレール形状の構造である。
図2と
図4において、第1滑動部210と第2滑動部312は、例えばガイドスロットである。
【0014】
第1接続部材400と第2接続部材500のそれぞれは、ネジ、リベット、スリーブ、ナックル、ショルダーボルト、ボルト、ナット、ネジ釘、ピン、キー、又はそれらの組合せを含む。
図2~
図4において、第1接続部材400と第2接続部材500は、例えばいずれもショルダースクリューであるが、本発明はこれに限定されない。第1接続部材400は第1滑動部210に対応する位置に設けられ、伝動部材200が光学エンジン筐体110に対して第1の方向D1に直線移動可能なように、光学エンジン筐体110と伝動部材200とを接続する。つまり、第1接続部材400の一部には第1滑動部210が設けられ(即ちガイドスロット内)、第1滑動部210は第1接続部材400に対し滑動可能である。第2接続部材500は第2滑動部312に対応する位置に設けられ、鏡筒フランジ310が伝動部材200に対して第2の方向D2に直線移動可能なように、伝動部材200と鏡筒フランジ310とを接続する。つまり、第2接続部材500の一部は第2滑動部312に設けられ(即ちガイドスロット内)、第2滑動部312は第2接続部材500に対し滑動可能である。
【0015】
本実施形態において、プロジェクタ光学エンジン100は1つの第1伝送機構140を更に含み、第1伝送機構140の1つの部材上には、第1伝動部120と接触する第1伝動部142が設けられる。第1伝送機構140は、ギア、ラック、スクリュー、ウォーム、又はそれらの組合せを含んでよい。
図2の実施形態において、第1伝送機構140はウォームである。このウォーム上の歯は第1伝動部120(即ちウォームホイール)の歯と噛み合うことができ、このためウォームが回動するとき第1伝動部120を回転させることができる。第1伝動部120の一端は1つの拡孔122を有してよく、伝動部材200の一端は1つの突出ピラー220を有してよく、突出ピラー220は拡孔122内に位置して拡孔122の制限を受けてよい。このため、第1伝動部120が回動するとき、拡孔122の孔壁により突出ピラー220に対し力が加わり、伝動部材200を光学エンジン筐体110に対して第1の方向D1に沿って移動させることができる。もう1つの実施形態において、第1伝動部120の一端が突出ピラーを有し、伝動部材200の一端が対応する拡孔を有してもよい。
【0016】
本実施形態において、プロジェクタ光学エンジン100は1つの第2伝送機構150を更に含み、第2伝送機構150の1つの部材上には、第2伝動部130と接触する第2伝動部152が設けられる。第2伝送機構150は、ギア、ラック、スクリュー、ウォーム、又はそれらの組合せを含んでよい。
図2の実施形態において、第2伝送機構150はスクリューである。このスクリュー上の歯は第2伝動部130の貫孔132内壁における歯と噛み合うことができ、このためスクリューが回動するとき第2伝動部130を第2の方向D2に沿って移動させることができる。第2伝動部130の一端は1つの開口134を有してよく、伝動部材200の一端は1つの突出ピラー230を有してよく、突出ピラー230は開口134内に位置して開口134内壁の制限を受けてよい。このため、第2伝動部130が第2の方向D2に沿って移動するとき、開口134の内壁により突出ピラー230に対し力が加わり、鏡筒フランジ310を鏡筒300を伴い伝動部材200及び光学エンジン筐体110に対して第2の方向D2に沿って移動させることができる。もう1つの実施形態において、第2伝動部130の一端が突出ピラーを有し、伝動部材200の一端が対応する開口を有してもよい。
【0017】
このようにして、本実施形態において、第1伝送機構140と第2伝送機構150の作動により、鏡筒300を光学エンジン筐体110に対し第1の方向D1及び第2の方向D2の2つの次元にて移動させることができ、且つこれら2つの次元での移動は独立して調整可能である。鏡筒300内には投影レンズを設けることができ、鏡筒300は第3の方向D3の相反する方向の一方側にライトバルブ160又は他の映像源を設けてよく、それは光学エンジン筐体110上に固定されてよい。そのうち、ライトバルブ160は、例えばデジタルマイクロミラー部材、LCOSパネル、透過式液晶パネル、又は他の適切な空間光変調器である。鏡筒300が光学エンジン筐体110に対して2つの次元にて移動するとき、鏡筒300はライトバルブ160又は他の映像源に対して2つの次元上(即ち、第1の方向D1と第2の方向D2上)においても移動し、投影画面位置を調整する効果を達成する。本実施形態において、投影レンズの光軸は第3の方向D3に平行であり、また、第1の方向D1、第2の方向D2、及び第3の方向D3は互いに垂直である。
【0018】
本実施形態は、プロジェクタ光学エンジン100が本来有する光学エンジン筐体110を用いて従来のレンズシフト装置のベースプレートを置き換え、鏡筒300上に鏡筒フランジ310を設けて従来のレンズシフト装置の垂直移動プレートを置き換える。また、本実施形態において、第1接続部材400と第2接続部材500とを用いて従来のレンズシフト装置の固定プレートを置き換えることができる。このため、本発明の実施形態のプロジェクタ光学エンジン100は二層構造を採用して従来の四層構造を置き換え、部品の簡素化、体積の削減、精度の向上、組立て時間の短縮という効果を達成する。
【0019】
本実施形態において、
図3に示すように、第1接続部材400は、スプリング172と、金属ワッシャ174と、ポリマーワッシャ176と、ポリマースリーブ178とを貫通して光学エンジン筐体110上にロックされ、ポリマースリーブ178は第1滑動部210(例えばガイドスロット)内に位置しており、ガイドスロットはポリマースリーブ178に対し滑動するのに適している。ポリマーワッシャ176及びポリマースリーブ178の材質は、例えばポリオキシメチレン(POM)、テフロン、又は他の適切なポリマー材料であり、滑動時の摩擦力を効果的に低下させることができるが、本発明はこれに限定されない。また、第1接続部材400(ショルダースクリュー)のショルダーはスプリング172及び金属ワッシャ174を介してポリマーワッシャ176に圧力を加え、ポリマースリーブ178の底部はポリマーワッシャ176と、ある適切な挟持力で伝動部材200を第1滑動部210の付属部材の部分に挟持することができることで、伝動部材200が移動していないときに適切な固定効果を有する。同様に、第2接続部材500も上述したような、スプリング172と、金属ワッシャ174と、ポリマーワッシャ176と、ポリマースリーブ178とを組み合わせられて、鏡筒フランジ310の第2滑動部312を貫通して伝動部材200にロックされ、その作用及び効果は上述したとおりであり、ここでは繰り返し述べない。
【0020】
図4に示すように、伝動部材200には3つの第1滑動部210が設けられ、滑動部は結合部と見なすこともでき、そのうちの2つの第1滑動部210は第1結合部210aと第2結合部210bと見なすことができる。鏡筒フランジ310には3つの第2滑動部312が設けられ、滑動部は結合部と見なすこともでき、そのうちの2つの第2滑動部312は第3結合部312aと第4結合部312bと見なすことができる。伝動部材200は、第1結合部210aと第2結合部210bの位置で光学エンジン筐体110と接続され、例えば上述した第1接続部材400を介して接続される。第1伝動部120、第1結合部210aと第2結合部210bは、同一直線L1上に設けられる。鏡筒フランジ310は、第3結合部312aと第4結合部312bの位置で伝動部材200と接続され、例えば上述した第2接続部材500を介して接続される。第2伝動部130、第3結合部312aと第4結合部312bは、同一直線L2上に設けられる。
【0021】
更に具体的には、突出ピラー220と第1結合部210a及び第2結合部210bは、いずれも同一直線L1上に位置しており、突出ピラー230と第3結合部312a及び第4結合部312bは、いずれも同一直線L2上に位置しており、つまり力点とガイドスロットが同一直線上に位置しており、このようにして過度なトルクが発生して鏡筒300の不適切な回転を引き起こすことを回避することができる。また、3つの第1滑動部210と3つの第2滑動部312は、それぞれがいずれもダブルインラインスロットを形成して直線移動ガイドとしており、寸法公差の制御が容易である。
【0022】
図5は、本発明のもう1つの実施形態によるプロジェクタ光学エンジンの概略斜視図である。
図2と
図5を参照し、本実施形態のプロジェクタ光学エンジン100c(
図5を参照)は
図2のプロジェクタ光学エンジン100に類似しており、両者の差異は、本実施形態のプロジェクタ光学エンジン100cが、それぞれ第1伝送機構140(例えばウォーム)と第2伝送機構150(例えばスクリュー)に接続された手動調整ノブ182と184を更に含む点にある。使用者が手動調整ノブ182と184を回転させたとき、ウォームとスクリューを回転させて、鏡筒300を光学エンジン筐体110に対して第1の方向D1と第2の方向D2において二次元移動させることができ、映像画面の位置を調整する効果を達成する。
【0023】
本実施形態において、手動調整ノブ182と184はアンチロック構造を有してよく、第1滑動部210と第2滑動部312が終点まで滑動したが手動調整ノブ182と184が継続して回転されたとき、手動調整ノブ182と184は第1伝送機構140と第2伝送機構150に対して空転し、手動調整ノブ182と184が過度なトルクを提供して機構が引っ掛かり他方への運動が困難となることがないようにする。
【0024】
図6は、本発明のまた別の1つの実施形態によるプロジェクタ光学エンジンの概略斜視図である。
図2と
図6を参照し、本実施形態のプロジェクタ光学エンジン100d(
図6を参照)は
図2のプロジェクタ光学エンジン100に類似しており、両者の差異は以下に述べるとおりである。本実施形態のプロジェクタ光学エンジン100dは、第1伝送機構140と接触して、第1伝送機構140を駆動して伝動部材200を動かす動力を提供可能な、駆動ギア192を更に含む。例を挙げると、駆動ギア192は、回転を介して、第1伝送機構140と接続されたギア193を動かして第1伝送機構140を回転させることができる。本実施形態のプロジェクタ光学エンジン100dは、第2伝送機構150と接触して、第2伝送機構150を駆動して鏡筒フランジ310を動かす動力を提供可能な、駆動ギア194を更に含む。例を挙げると、駆動ギア194は、回転を介して、第2伝送機構150と接続されたギア195を動かして第2伝送機構150を回転させることができる。
【0025】
本実施形態において、プロジェクタ光学エンジン100dは、第1伝送機構140と接触して(例えば、駆動ギア192とギア193とを介して第1伝送機構140と接触)、第1伝送機構140を駆動して伝動部材200を動かす動力を提供可能な、動力源610を更に含む。また、本実施形態において、プロジェクタ光学エンジン100dは、第2伝送機構150と接触して(例えば、駆動ギア194とギア195とを介して第2伝送機構150と接触)、第2伝送機構150を駆動して鏡筒フランジ310を動かす動力を提供可能な、動力源620を更に含む。本実施形態において、動力源610と620は、例えばモータである。このようにして、鏡筒300を二次元方向において光学エンジン筐体110に対して移動させるよう電動制御する効果を達成することができる。本実施形態におけるホイール状構造(例えば、駆動ギア192、194、又はギア193、195等)も、上述したようなアンチロック構造を有してよい。
【0026】
図7は、本発明の更に1つの実施形態によるプロジェクタ光学エンジンの概略斜視図である。
図7を参照し、本実施形態のプロジェクタ光学エンジン100eは
図2のプロジェクタ光学エンジン100に類似しており、両者の差異は以下に述べるとおりである。本実施形態において、第1伝動部120eはギアであってよく、やはり第1伝動部120のような拡孔122を有して突出ピラー220を収容する。また、第1伝送機構140eは、例えばギアセットであり、第1伝動部120eと噛み合って第1伝動部120eを動かす。また、第2伝動部130aは、例えば接続ロッドであり、一端の貫通孔の内壁にはネジ山があり、第2伝送機構150(即ちスクリュー)のネジ山と噛み合う。第2伝動部130aの他端は鏡筒フランジ310に接続される。また、プロジェクタ光学エンジン100eはギアセット150eを更に含んでよく、ギアセット150eの歯は第2伝送機構150(即ちスクリュー)の一端の歯と噛み合ってよい。このようにして、ギアセット150eはスクリューを回動させることができる。
【0027】
図8は、本発明のもう1つの実施形態によるプロジェクタ光学エンジンの概略斜視図である。
図8を参照し、本実施形態のプロジェクタ光学エンジン100fは
図2のプロジェクタ光学エンジン100に類似しており、両者の差異は以下に述べるとおりである。本実施形態において、第1伝動部120fはラックであってよく、伝動部材200に接続される。第1伝送機構140fはギアであってよく、その歯はラックの歯と噛み合う。第1伝送機構140fが回転するとき、第1伝動部120f(即ちラック)を第1の方向D1に沿って移動させて伝動部材200を第1の方向D1に沿って移動させることができる。
【0028】
また、本実施形態において、第2伝動部130fはラックであってよく、鏡筒フランジ310に接続される。第2伝送機構150fはギアであってよく、その歯は第2伝動部130f(即ちラック)の歯と噛み合う。第2伝送機構150fが回転するとき、第2伝動部130f(即ちラック)を第2の方向D2に沿って移動させて鏡筒フランジ310を第2の方向D2に沿って移動させることができる。
【0029】
上記をまとめると、本発明の実施形態は、プロジェクタ光学エンジンが本来有するエンジンケースを用いて従来のレンズシフト装置のベースプレートを置き換え、鏡筒上に鏡筒フランジを設けて従来のレンズシフト装置の垂直移動プレートを置き換える。また、本発明の実施形態において、接続部材を用いて従来のレンズシフト装置の固定プレートを置き換えることができる。このため、本発明の実施形態のプロジェクタ光学エンジンは二層構造を採用して従来の四層構造を置き換え、部品の簡素化、体積の削減、精度の向上、組立て時間の短縮という効果を達成する。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明のプロジェクタ光学エンジンは、プロジェクタ、プロジェクションディスプレイ、光学ディスプレイシステム等の分野に応用することができる。
【符号の説明】
【0031】
50:レンズシフト装置
52:ベースプレート
54:水平移動プレート
56:垂直移動プレート
58:固定プレート
60:鏡筒
100、100c、100d、100e、100f:プロジェクタ光学エンジン
110:光学エンジン筐体
120、120e、120f:第1伝動部
122:拡孔
130、130a、130f:第2伝動部
132:貫孔
134:開口
140、140e、140f:第1伝送機構
142:第1伝動部
150、150f:第2伝送機構
150e:ギアセット
152:第2伝動部
160:ライトバルブ
172:スプリング
174:金属ワッシャ
176:ポリマーワッシャ
178:ポリマースリーブ
182、184:手動調整ノブ
192、194:駆動ギア
193、195:ギア
200:伝動部材
210:第1滑動部
210a:第1結合部
210b:第2結合部
220、230:突出ピラー
300:鏡筒
310:鏡筒フランジ
312:第2滑動部
312a:第3結合部
312b:第4結合部
400:第1接続部材
500:第2接続部材
610、620:動力源
D1:第1の方向
D2:第2の方向
D3:第3の方向
L1、L2:直線