(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】フィーダ管理方法
(51)【国際特許分類】
H05K 13/02 20060101AFI20231226BHJP
G05B 19/418 20060101ALI20231226BHJP
H05K 13/00 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
H05K13/02 Z
G05B19/418 Z
H05K13/00 Z
(21)【出願番号】P 2022124420
(22)【出願日】2022-08-04
(62)【分割の表示】P 2022021765の分割
【原出願日】2016-06-13
【審査請求日】2022-09-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 大輔
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/068712(WO,A1)
【文献】特開2011-199217(JP,A)
【文献】特開2001-251091(JP,A)
【文献】特開平10-200290(JP,A)
【文献】特開2005-216965(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/02
G05B 19/418
H05K 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品を保持するキャリアテープを巻回したリールを交換可能に保持して、電子部品装着機の複数の配設位置に着脱可能に装備されるフィーダの管理方法であって、
前記電子部品装着機に装備されている電子部品の現状部品種と、その前記配設位置とを対応付けたデータを取得し、
以降に生産する複数の種類の基板種に装着する電子部品の必要部品種と、当該必要部品種を供給する前記配設位置の情報とを含んだ生産計画を取得し、
取得した前記データと前記生産計画とに基づいて、前記現状部品種の次以降の基板種の生産における使用状況を把握し、
前記現状部品種が次の前記基板種の生産で使用されず、かつ、次の次以降の前記基板種の生産で異なる前記配設位置から供給される場合に、前記現状部品種の前記電子部品を供給する前記フィーダを取り外して後で異なる前記配設位置に再配置する案内を行うとともに、当該の前記フィーダを特定する情報
、当該の前記フィーダを再装備するタイミング、および再装備する前記配設位置を案内する、
フィーダ管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、複数種類の基板の生産順序を定めた生産計画に基づいて基板を生産するときのフィーダ管理方法およびフィーダ管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多数の電子部品が実装された基板を生産する設備として、はんだ印刷機、電子部品装着機、リフロー機、基板検査機などがある。これらの基板生産設備を連結して基板生産ラインを構成することが一般的になっている。このうち電子部品装着機は、基板搬送装置、部品供給装置、部品移載装置、および制御装置を備える。部品供給装置の代表例として、複数の電子部品を保持したキャリアテープを繰り出す方式のフィーダを着脱可能に複数台列設した構成が知られている。
【0003】
近年の消費者ニーズの多様化に応じて多品種少量生産の傾向が進み、複数種類の基板の生産順序を定めた生産計画に基づいて基板を生産するケースが発生する。このケースでは、基板の種類を変更する際に、部品供給装置から供給する電子部品の部品種を変更する段取り替え作業を行うことになる。部品種を変更する方法として、キャリアテープを巻回したリールを交換する第1の方法と、フィーダ自体を交換する第2の方法とがある。第2の方法では、次に使用するリールを予め交換用フィーダに保持させておき、段取り替え作業で交換用フィーダを装備する。一般的に、リールとフィーダの対応関係は、それぞれに付設されたIDコードの対応付けによって管理されることが多い。この種のフィーダ管理方法に関する技術例が、特許文献1、2に開示されている。
【0004】
特許文献1のチップ部品供給装置は、キャリアテープを巻回したリールを交換自在に保持するリール保持部と、リール保持部を一端に保持する棒状部材と、棒状部材の他端に配置されてキャリアテープを送り込むリール送り手段と、キャリアテープを取り込んで部品収納テープとトップテープとに分離するリールガイド部と、トップテープを巻き取る巻取りリールとを具備する。実施形態の説明によれば、テープの交換時に、リールを逆に回転させて使用済みテープおよびトップテープを巻き戻すとともに、リールガイド部を電子部品装着機の外部に移動させて交換作業を行う。これによれば、リールを使いかけで頻繁に交換する状況下でも、交換作業を効率化して作業の迅速化とコストダウンを実現できる、とされている。
【0005】
また、特許文献2のフィーダ管理方法は、現在生産中の基板種に用いている部品の現部品種が次以降の基板種に用いられるか否かを判別するステップと、判別結果に基づいてフィーダの取扱い作業を案内するステップとを備え、フィーダ管理装置は、現在の生産ジョブの実施中に2つのステップを実行する。さらに、案内ステップは、現部品種が次の基板種に用いられるときにフィーダを現在の装着スロットに維持し、現部品種が次次以降の基板種に用いられるときにフィーダを空スロットまたは現装着機用棚に保管し、現部品種が別の電子部品装着機に用いられるときにフィーダを別装着機用棚に保管し、現部品種が以降用いられないときにフィーダを倉庫用棚に保管する旨を案内表示する。これによれば、段取り替え作業の内容を確認する作業者の確認工数を低減できるとともに、迅速に作業に取り掛かることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2000-261191号公報
【文献】特開2011-199217号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献2のフィーダ管理方法は、段取り替え作業の際にフィーダの取り外しの要否を判別し、加えて、取り外したフィーダの保管場所を案内する技術である。ここで、多品種少量生産の傾向が進展してくると、電子部品の種類数が増加してフィーダの手持ち台数を大幅に超過するとともに、段取り替え作業が頻繁に発生する。この結果、特許文献1に例示されるリール交換作業の頻度が増加する。しかしながら、特許文献2の技術には、リール交換作業に関する記載が無く、作業者は、フィーダからリールを取り外したほうが良いか否かの判断にまごつく。従来、この判断を正確に行うために、生産計画を調査して電子部品の使用予定の有無を確認する煩雑な手間が必要であった。
【0008】
また、装着動作の最適化技術を用いて、基板の種類ごとに部品供給装置上のフィーダの配設順序、すなわち部品種の並び順序を最適化することが一般的となっている。このとき、続けて使用するフィーダであっても、装着スロットの位置を変更する場合が生じ得る。さらに、基板の或る種類で用いられず休止期間となり、その前後に用いられるフィーダについて、休止期間中も装着スロットを占有し続けて良いか否かが分かりづらい。このようなフィーダの使用形態を考慮すると、特許文献2の案内ステップは、必ずしも適切かつ十分であるとは言えない。
【0009】
それゆえ、本明細書は、生産計画に基づいてフィーダの着脱やリールの取り外しを適切に案内し、作業効率を向上したフィーダ管理方法およびフィーダ管理装置を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本明細書は、電子部品を保持するキャリアテープを巻回したリールを交換可能に保持して、電子部品装着機の複数の配設位置に着脱可能に装備されるフィーダの管理方法であって、或る基板種の基板の生産が終了して次の前記基板種の生産に移行する際に、或る前記基板種の生産に使用した前記フィーダに関する案内を行う案内ステップにおいて、前記フィーダが供給していた前記電子部品の現状部品種が次の前記基板種の生産で同じ配設位置から供給される場合に、前記フィーダの現在の状態を維持する案内を行い、前記現状部品種が次以降の前記基板種の生産で使用されない場合に、前記フィーダから前記リールを取り外す案内を行い、前記現状部品種が次の次以降の前記基板種の生産で異なる前記配設位置から供給される場合に、前記フィーダを前記リールが保持された状態で取り外して後で再装備する案内を行うとともに、当該の前記フィーダの個体を示す情報、現在の前記配設位置、および再装備する前記配設位置を案内する、フィーダ管理方法を開示する。
【0011】
また、本明細書は、電子部品を保持するキャリアテープを巻回したリールを交換可能に保持して、電子部品装着機の複数の配設位置に着脱可能に装備されるフィーダの管理装置であって、或る基板種の基板の生産が終了して次の前記基板種の生産に移行する際に、或る前記基板種の生産に使用した前記フィーダに関する案内を行う案内部を備え、前記案内部は、前記フィーダが供給していた前記電子部品の現状部品種が次の前記基板種の生産で同じ配設位置から供給される場合に、前記フィーダの現在の状態を維持する案内を行い、前記現状部品種が次以降の前記基板種の生産で使用されない場合に、前記フィーダから前記リールを取り外す案内を行い、前記現状部品種が次の次以降の前記基板種の生産で異なる前記配設位置から供給される場合に、前記フィーダを前記リールが保持された状態で取り外して後で再装備する案内を行うとともに、当該の前記フィーダの個体を示す情報、現在の前記配設位置、および再装備する前記配設位置を案内する、フィーダ管理装置を開示する。
【発明の効果】
【0012】
本明細書で開示するフィーダ管理方法やフィーダ管理装置では、現状で供給できる電子部品の現状部品種と、以降の生産計画で必要とされる部品種とを比較して、現状部品種が次に同じ配設位置から供給される場合に、フィーダの現在の状態を維持する案内を行う。また、現状部品種が以降の基板種の生産で未使用とされている場合に、フィーダからリールを取り外す案内を行う。さらに、現状部品種が次の次以降の基板種の生産で異なる配設位置から供給される場合に、フィーダをリールが保持された状態で取り外して後で異なる前記配設位置に再装備する案内を行う。したがって、作業者は、案内にしたがってまごつくことなく作業を行え、作業効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施形態のフィーダ管理方法およびフィーダ管理装置を適用する電子部品装着機の平面図である。
【
図2】フィーダの一構成例を模式的に説明する側面図である。
【
図3】実施形態のフィーダ管理装置を説明する機能ブロック図である。
【
図4】実施形態のフィーダ管理方法を説明する処理フローの図である。
【
図5】
図4に示された現状記憶ステップおよび計画記憶ステップで記憶される情報を例示した一覧表の図である。
【
図6】リール取り外し案内ステップ、フィーダ取り外し案内ステップ、現状維持案内ステップ、および再装備案内ステップにおける案内内容の例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(1.電子部品装着機1の構成)
まず、実施形態のフィーダ管理方法およびフィーダ管理装置を適用する電子部品装着機1の構成について説明する。
図1は、実施形態のフィーダ管理方法およびフィーダ管理装置を適用する電子部品装着機1の平面図である。
図1の紙面の左右方向は、基板Kを搬送するX方向であり、紙面の上下方向がY方向となる。図示されるように、電子部品装着機1は、基板搬送装置2、部品供給装置3、および部品移載装置4などで構成されている。
【0015】
基板搬送装置2は、機台9の上面に配設されており、基板KをX方向に搬送して、装着実施位置に位置決めする。基板搬送装置2は、一対のガイドレール21、一対のコンベアベルト22、およびクランプ装置23などで構成される。一対のガイドレール21は、X方向に延在して互いに平行に配置されている。一対のコンベアベルト22は、基板Kを載置できる環状であって、ガイドレール21の向かい合う内側に輪転可能に設けられている。クランプ装置23は、一対のガイドレール21の間のX方向の中央あたりに設定された装着実施位置の下方に配設されている。基板Kは、ガイドレール21によって案内されつつ、コンベアベルト22によって搬入出され、クランプ装置23によって装着実施位置に位置決め固定される。
【0016】
部品供給装置3は、略矩形のパレット部材31を主部材にして構成されている。パレット部材31の上面には、Y方向に延在して、X方向に並んだ複数のスロット32が形成されている。スロット32が形成されたスロット位置は、フィーダ6を装備する配設位置に相当する。パレット部材31の前側上部には、各スロット32に対応する表示部33がそれぞれ設けられている。表示部33として、LEDランプを例示でき、これに限定されない。部品供給装置3は、フィーダ6の複数台を複数のスロット32にそれぞれ着脱可能に装備する。部品供給装置3は、表示部33および装備されているフィーダ6を制御する部品供給制御部35(
図3に示す)を有する。
【0017】
フィーダ6は、リールRを後側に交換可能に保持し、部品供給位置67を前側上部に有する(詳細後述)。
図1の例で、パレット部材31に16組のスロット32および表示部33が設けられている。そして、パレット部材31の右端寄りの2箇所および左端寄りの4箇所、合計で6箇所のスロット32に、それぞれフィーダ6が装備されている。
【0018】
部品移載装置4は、一対の固定レール41、ヘッド移動レール42、装着ヘッド43、および吸着ノズル44などで構成される。一対の固定レール41は、基板搬送装置2の上方をY方向に延在して、互いに平行に配置されている。ヘッド移動レール42は、X方向に延在しており、その両端が固定レール41に移動可能に支持されている。ヘッド移動レール42は、図略のボールねじ送り機構によってY方向に駆動される。装着ヘッド43は、ヘッド移動レール42に移動可能に支持されている。装着ヘッド43は、図略のボールねじ送り機構によってX方向に駆動される。装着ヘッド43は、吸着ノズル44および基板認識用カメラ45を下向きに有している。吸着ノズル44は、フィーダ6から電子部品を吸着して採取し、位置決めされた基板Kに装着する。基板認識用カメラ45は、位置決めされた基板Kの正確な座標位置を認識する。
【0019】
基板搬送装置2と部品供給装置3との間に、部品認識用カメラ5が配設されている。部品認識用カメラ5は、吸着ノズル44に採取された電子部品の吸着状態を下方から認識する。
【0020】
図2は、フィーダ6の一構成例を模式的に説明する側面図である。フィーダ6は、リール保持軸61、テープガイド部材62、スプロケット63、駆動モータ64、フィーダ制御部65、操作パネル66、およびテープ検出センサ68などが側板69に取り付けられて構成されている。リール保持軸61は、側板69の後側の下寄りに設けられている。リール保持軸61は、電子部品を保持するキャリアテープTを巻回したリールRを交換可能に保持する。本実施形態において、フィーダ6がスロット32に装備された状態で、リール保持軸61のリールRを交換できるものとする。これに限定されず、フィーダ6をスロット32から取り外して、リール保持軸61のリールRを交換する構造であってもよい。
【0021】
リールRの個体別に付設されたリールIDコードRidは、部品供給装置3のコード読み取り部36(
図1、
図3に示す)によって読み取られ、部品供給制御部35に認識される。リールIDコードRidとしてバーコードを例示でき、コード読み取り部36としてバーコードリーダを例示できる。リールIDコードRidにより、リールRに巻回されたキャリアテープTから供給される電子部品の部品種が判明する。
【0022】
テープガイド部材62は、保持されたリールRの前側から前方上向きに傾斜して延在し、側板の69の上縁に達してからは前方に水平に延在している。テープガイド部材62は、リールRから繰り出されるキャリアテープTを前側上部の部品供給位置67へと案内する。テープガイド部材62の前寄りの下側に、スプロケット63が軸承されている。スプロケット63の外周の歯は、キャリアテープTのスプロケット孔に係入している。駆動モータ64は、スプロケット63を正転方向および逆転方向のいずれにも回転駆動できる。駆動モータ64は、フィーダ制御部65によって制御される。
【0023】
フィーダ制御部65は、CPUを有してソフトウェアで動作するコンピュータ制御装置である。フィーダ制御部65は、フィーダ6の個体別に設定されたフィーダIDコードを記憶している。フィーダ制御部65は、前面に設けられたコネクタ651を介して、部品供給制御部35と通信接続されている。スプロケット63、駆動モータ64、およびフィーダ制御部65は、テープ繰り出し機構を構成する。
【0024】
操作パネル66は、側板69の後部寄りの上面に設けられている。操作パネル66は、繰り出しスイッチ661および巻き戻しスイッチ662を有する。繰り出しスイッチ661および巻き戻しスイッチ662は、作業者が操作する手動スイッチであり、その操作状況はフィーダ制御部65に伝送される。繰り出しスイッチ661または巻き戻しスイッチ662が押されると、テープ繰り出し機構のスプロケット63が間欠的に正転駆動または逆転駆動される。これにより、キャリアテープTは、少量ずつ繰り出され、または少量ずつ巻き戻される。
【0025】
通常の稼動時に操作パネル66の機能は規制され、テープ繰り出し機構は、キャリアテープTをピッチ送りで繰り出し、部品供給位置47に電子部品を順次供給する。一方、電子部品装着機1で生産する基板Kの種類を変更する際の段取り替え作業では、操作パネル66の機能が用いられる。すなわち、作業者は、リールRをリール保持軸61にセットし、キャリアテープTの先端をスプロケット63まで差し込んだ後に、繰り出しスイッチ661を押す。これにより、テープ繰り出し機構は、キャリアテープTを少量ずつ繰り出してゆく。
【0026】
一方、リールRの取り外しに関しては、2種類の動作モードが選択可能となっている。第1の動作モードは、自動巻き戻しモードであり、操作パネル66の機能は用いられない。自動巻き戻しモードにおいて、テープ繰り出し機構は、自動でキャリアテープTをリールRへ巻き戻す。第2の動作モードは、手動巻き戻しモードであり、操作パネル66の機能が用いられる。手動巻き戻しモードにおいて、巻き戻しスイッチ662が長押しされたときに、テープ繰り出し機構は、キャリアテープTを連続的にリールRへ巻き戻すことが許容される。これにより、リールRの取り外し作業の便宜が図られる。
【0027】
自動巻き戻しモードは、後述する自動巻き戻しステップで選択され、手動巻き戻しモードは、後述する手動巻き戻しステップで選択される。なお、フィーダ6の機種に応じて、自動巻き戻しモードおよび手動巻き戻しモードの一方のみが固定的に付与されていてもよい。
【0028】
テープ検出センサ68は、テープガイド部材62の後側寄りの傾斜部分に配置されている。テープ検出センサ68は、繰り出されるキャリアテープTの有無を検出して、検出結果をフィーダ制御部65に送出する。リールRの交換作業時に、テープ繰り出し機構によってキャリアテープTが巻き戻されても、キャリアテープTの先端は、スプロケット63までしか戻らない。この後、作業者がキャリアテープTの先端をリールRまで巻き戻すと、テープ検出センサ68の検出結果が「テープ有り」から「テープ無し」に変化する。この検出結果の変化を以って、フィーダ制御部65は、リールRが取り外されたと判定する。
【0029】
(2.実施形態のフィーダ管理装置7の構成)
実施形態のフィーダ管理装置およびフィーダ管理方法の説明に移る。上述した電子部品装着機1は、他の基板生産設備とともに基板生産ラインを構成する。基板生産ラインの稼動状況を管理するために、ホストコンピュータが用いられる。そして、実施形態のフィーダ管理装置7は、ホストコンピュータのソフトウェアによって実現される。また、実施形態のフィーダ管理方法は、フィーダ管理装置7によって実施される。
図3は、実施形態のフィーダ管理装置7を説明する機能ブロック図である。
図3において、電子部品装着機1の部品供給装置3は、簡易化されており、5箇所のスロット32すなわち第1~第5スロットSL1~SL5にそれぞれにフィーダ6が装備される。
【0030】
ホストコンピュータは、フィーダ管理装置7以外の機能として、生産計画管理部81およびフィーダ管理部82を有する。生産計画管理部81は、所定の将来期間における複数種類の基板Kの生産順序を定めた生産計画を管理する。生産計画管理部81は、生産の進捗状況や、新しい種類の基板Kのオーダーの追加などに基づいて、逐次生産計画を更新する。生産計画は、複数種類の基板Kに装着される電子部品の必要部品種や、電子部品の必要部品種を供給するフィーダ6のスロット位置(第1~第5スロットSL1~SL5のいずれか)などの情報を含んでいる。
【0031】
一方、部品供給装置3の部品供給制御部35は、装備されているフィーダ6のフィーダIDコードを、それぞれのフィーダ制御部65から通信によって取得する。これにより、部品供給制御部35は、各フィーダ6のフィーダIDコードと、スロット位置とを対応付けて記憶できる。次に、部品供給制御部35は、各フィーダ6にセットされるリールRに順番に着目し、コード読み取り部36を用いて、付設されたリールIDコードRidを取得できる。これにより、部品供給制御部35は、フィーダを識別するフィーダIDコードと、リールを識別するリールIDコードRidとを対応付けて記憶するコード対応付けステップを行うことができる。なお、使いかけのリールRを予め保持しているフィーダ6では、フィーダ6がリールRを保持した時点でコード対応付けステップが既に行われているため、再度のコード対応付けステップは必要でない。部品供給制御部35は、現状で装備されているフィーダ6がそれぞれ供給する電子部品の現状部品種と、装備されているフィーダ6のスロット位置と、を対応付けて記憶できる。
【0032】
フィーダIDコードとリールIDコードRidとを対応付けた情報、および電子部品の現状部品種とフィーダ6のスロット位置とを対応付けた情報は、部品供給制御部35からフィーダ管理部82に送達される。フィーダ管理部82は、部品供給制御部35から送達された情報だけでなく、別の部品供給制御部からの情報や、過去に送達された情報もまとめて管理している。つまり、フィーダ管理部82は、別の電子部品装着機に使用されているフィーダ6や、一時的に取り外されているフィーダ6も管理対象としている。
【0033】
ホストコンピュータは、フィーダ管理装置7の機能として、現状記憶部71、計画記憶部72、リール取り外し案内部73、フィーダ取り外し案内部74、現状維持案内部75、再装備案内部76、および案内表示部77を有する。案内表示部77は、作業者に向けて案内内容を表示するディスプレイ装置などのハードウェアである。案内表示部77以外の各部71~76は、ソフトウェアを用いて実現されている。案内表示部77以外の各部71~76の機能は、次に説明する実施形態のフィーダ管理方法に示されている。
【0034】
(3.実施形態のフィーダ管理方法)
図4は、実施形態のフィーダ管理方法を説明する処理フローの図である。この処理フローは、或る基板種の基板Kの生産が終了して次の基板種に移行する際に、段取り替え作業の便宜を図って実行される。
図4の現状記憶ステップS1で、現状記憶部71は、現状で装備されているフィーダ6がそれぞれ供給する電子部品の現状部品種と、装備されているフィーダ6のスロット位置と、を対応付けて記憶する。現状記憶部71は、必要な情報をフィーダ管理部82から取得する。次の計画記憶ステップS2で、計画記憶部72は、複数種類の基板Kに装着される電子部品の必要部品種と、電子部品の必要部品種を供給するフィーダ6のスロット位置と、を対応付けて記憶する。計画記憶部72は、必要な情報を生産計画管理部81から取得する。
【0035】
図5は、
図4に示された現状記憶ステップS1および計画記憶ステップS2で記憶される情報を例示した一覧表の図である。図中のF1~F8は、フィーダ6の個体を示し、かっこ内のP1~P8は、電子部品の部品種の区別を示している。この例では、基板Kの生産順序を簡易化して1番目から4番目までとし、生産する基板Kの種類を基板種B1~B4の4種類としている。また、スロット32を第1~第5スロットSL1~SL5の5箇所に簡易化して、1基板種の基板Kに装着される電子部品の部品種を5種類以下に簡易化している。今、
図5に示される生産順序1番目の基板種B1の基板Kの生産が終了した時点を想定する。
【0036】
図示される生産順序1番目において、第1スロットSL1にフィーダF1が装備され、フィーダF1から部品種P1の電子部品が供給されていた。同様に、第2スロットSL2にフィーダF2が装備され、フィーダF2から部品種P2の電子部品が供給されていた。さらに、第3~第5スロットSL3~SL5にフィーダF3~F5が装備され、フィーダF3~F5から部品種P3~P5の電子部品が供給されていた。フィーダF1~F5のフィーダIDコードと、部品種P1~P5の電子部品を供給するリールRのリールIDコードRidとは、前述したコード対応付けステップによって予め対応付けられている。
【0037】
したがって、現状記憶部71は、現状部品種P1と第1スロットSL1とを対応付けて記憶する。同様に、現状記憶部71は、現状部品種P2と第2スロットSL2とを対応付けて記憶し、さらに、現状部品種P3~P5と、第3~第5スロットSL3~SL5とをそれぞれ対応付けて記憶する。
【0038】
また、生産順序2番目において、第1スロットSL1および第5スロットSL5は、未使用の計画とされている。そして、第2スロットSL2にフィーダF2が装備され、フィーダF2から部品種P2の電子部品が供給される計画となっている。同様に、第3、第4スロットSL3、SL4にフィーダF6、F7が装備され、フィーダF6、F7から部品種P6、P7の電子部品が供給される計画となっている。
【0039】
したがって、計画記憶部72は、必要部品種P2と第2スロットSL2とを対応付けて記憶する。同様に、計画記憶部72は、必要部品種P6と第3スロットSL3とを対応付けて記憶し、さらに、必要部品種P7と、第4スロットSL4とを対応付けて記憶する。
【0040】
同様に、生産順序3番目において、第1スロットSL1は、未使用の計画とされている。計画記憶部72は、必要部品種P2と第2スロットSL2とを対応付けて記憶し、必要部品種P4と第3スロットSL3とを対応付けて記憶する。さらに、計画記憶部72は、必要部品種P8と第4スロットSL4とを対応付けて記憶し、必要部品種P5と第5スロットSL5とを対応付けて記憶する。
【0041】
さらに同様に、生産順序4番目において、第1スロットSL1および第5スロットSL5は、未使用の計画とされている。計画記憶部72は、必要部品種P2と第2スロットSL2とを対応付けて記憶し、必要部品種P3と第3スロットSL3とを対応付けて記憶する。さらに、計画記憶部72は、必要部品種P7と第4スロットSL4とを対応付けて記憶する。
【0042】
図4に戻り、ステップS3で、フィーダ管理装置7は、着目する対象スロットを第1スロットSL1に設定する。次のステップS4で、フィーダ管理装置7は、着目する第1スロットSL1の現状部品種P1が必要部品種のいずれかに一致しているか否か判定する。フィーダ管理装置7は、現状部品種P1が必要部品種P2~P8のいずれにも一致していないことを認識し、処理フローをリール取り外し案内ステップS5に進める。
【0043】
リール取り外し案内ステップS5で、リール取り外し案内部73は、フィーダF1からリールを取り外す案内を案内表示部77に表示させる。
図6は、リール取り外し案内ステップS5、フィーダ取り外し案内ステップS8、現状維持案内ステップS23、および再装備案内ステップS24における案内内容の例を示した図である。図示されるように、案内表示部77の第1スロットSL1の位置に、「フィーダF1からリールを取り外して下さい。」という案内内容が表示される。したがって、作業者は、段取り替え作業でまごつくことなくフィーダF1からリールRを取り外す作業を開始できる。
【0044】
また、リール取り外し案内ステップS5は、自動巻き戻しステップまたは手動巻き戻しステップを含んでいる。自動巻き戻しステップを含む場合、リール取り外し案内部73は、自動巻き戻しモードを選択し、部品供給制御部35を介してフィーダF1に指令する。これにより、フィーダF1のテープ繰り出し機構は、自動でキャリアテープTをリールRへ巻き戻す。手動巻き戻しステップを含む場合、リール取り外し案内部73は、手動巻き戻しモードを選択し、部品供給制御部35を介してフィーダF1に指令する。これにより、フィーダF1では、巻き戻しスイッチ662が長押しされたときに、テープ繰り出し機構がキャリアテープTを連続的にリールRへ巻き戻す。
【0045】
次のステップS6で、リール取り外し案内部73は、フィーダF1のリールRが取り外されるのを待つ。リールRが取り外された情報は、テープ検出センサ68からフィーダ制御部65、部品供給制御部35、およびフィーダ管理部82を経由して、リール取り外し案内部73に送達される。リールRが取り外されると、リール取り外し案内部73は、処理フローを対応付け削除ステップS7に進める。対応付け削除ステップS7で、リール取り外し案内部73は、フィーダF1のフィーダIDコードと、部品種P1の電子部品を供給するリールRのリールIDコードRidとの対応付けを削除する。
【0046】
次のフィーダ取り外し案内ステップS8で、フィーダ取り外し案内部74は、部品供給装置3からフィーダF1を取り外す案内を案内表示部77に表示させる。
図6に示されるように、案内表示部77の第1スロットSL1の位置の案内内容は、「フィーダF1を取り外して下さい。」に変更表示される。
【0047】
さらに、フィーダ取り外し案内ステップS8は、情報表示ステップを含む。すなわち、フィーダ取り外し案内部74は、部品供給制御部35を介して、第1スロットSL1と対応する表示部33に取り外し情報を表示する。これにより、例えば、表示部33としてのLEDランプが点灯する。したがって、作業者は、段取り替え作業で表示部33の取り外し情報を視認して、まごつくことなくフィーダF1を取り外す作業を開始できる。
【0048】
次のステップS9で、フィーダ取り外し案内部74は、フィーダF1が取り外されるのを待つ。フィーダF1が取り外された情報は、部品供給制御部35およびフィーダ管理部82を経由して、フィーダ取り外し案内部74に送達される。フィーダF1が取り外されると、フィーダ取り外し案内部74は、取り外し情報を消去し、例えばLEDランプを消灯して、処理フローをステップS10に進める。
【0049】
ステップS10で、フィーダ管理装置7は、全スロットの処理が終了したか否かを判定する。初回のステップS10では、第1スロットSL1の処理が終了しただけなので、処理フローはステップS11に進められる。ステップS11で、フィーダ管理装置7は、対象スロットの番号を1だけ増加して第2スロットSL2に着目し、処理フローをステップS4に戻す。
【0050】
2度目のステップS4で、フィーダ管理装置7は、着目する第2スロットSL2の現状部品種P2が生産順序2番目の第2スロットSL2の必要部品種P2に一致していることを認識して、処理フローをステップS21に進める。ステップS21で、フィーダ管理装置7は、現状部品種P2が次回も同じスロットから供給されるか否か判定する。現状部品種P2は、次の生産順序2番目で同じ第2スロットSL2から供給されるので、フィーダ管理装置7は、処理フローをステップS22に進める。ステップS22で、フィーダ管理装置7は、第2スロットSL2を他の必要部品種に一旦明け渡す必要が有るか否かを判定する。その必要が無いことは明らかであり、フィーダ管理装置7は、処理フローを現状維持案内ステップS23に進める。
【0051】
現状維持案内ステップS23で、現状維持案内部75は、フィーダF2の現在の状態を維持する案内を案内表示部77に表示させる。これにより、
図6に示されるように、案内表示部77の第2スロットSL2の位置に「フィーダF2の現状を維持して下さい。」という案内内容が表示される。したがって、作業者は、段取り替え作業でまごつくことがない。現状維持案内ステップS23が終了すると、フィーダ管理装置7は、処理フローをステップS10に合流させ、ステップS11で第3スロットSL3に着目し、処理フローをステップS4に戻す。
【0052】
3度目のステップS4で、フィーダ管理装置7は、着目する第3スロットSL3の現状部品種P3が生産順序4番目の第3スロットSL3の必要部品種P3に一致していることを認識して、処理フローをステップS21に進める。ステップS21で、フィーダ管理装置7は、現状部品種P3が次回には生産順序4番目で同じ第3スロットSL3から供給されることを認識して、処理フローをステップS22に進める。ステップS22で、フィーダ管理装置7は、生産順序2番目および3番目で第3スロットSL3を必要部品種P6、P4に一旦明け渡す必要が有ること認識して、処理フローを再装備案内ステップS24に進める。
【0053】
再装備案内ステップS24で、再装備案内部76は、フィーダF3をリールが保持された状態で取り外して後で再装備する案内を案内表示部77に表示させる。これにより、
図6に示されるように、案内表示部77の第3スロットSL3の位置に、「フィーダF3をリールが保持された状態で取り外して、生産順序4番目で第3スロットSL3に再装備して下さい。」という案内内容が表示される。また、再装備案内ステップS24は、情報表示ステップを含んでおり、第3スロットSL3と対応する表示部33に取り外し情報を表示する。したがって、作業者は、段取り替え作業でまごつくことなく、フィーダF3を取り外して、生産順序4番目で再装備できる。再装備案内ステップS24が終了すると、フィーダ管理装置7は、処理フローをステップS10に合流させ、ステップS11で第4スロットSL4に着目し、処理フローをステップS4に戻す。
【0054】
4度目のステップS4で、フィーダ管理装置7は、着目する第4スロットSL4の現状部品種P4が生産順序3番目の第3スロットSL3の必要部品種P4に一致していることを認識して、処理フローをステップS21に進める。このように、同じ部品種P4であっても、基板の種類が変更されたときに異なるスロット位置から供給されることが生じ得る。例えば、装着動作の最適化技術を用いて、基板Kの種類ごとに部品供給装置3上のフィーダ6の配設順序、すなわち部品種の並び順序を最適化する場合がある。この場合、部品供給装置3の幅方向の中央の第3スロットSL3は、基板Kや部品認識用カメラ5に最も近く、装着動作が短時間で行われる。これに対して、部品供給装置3の幅方向の端のスロットに近づくにつれて、装着動作に長時間を要する。したがって、生産順序3番目の基板種B3で必要部品種P4が多数装着される場合に、部品種P4の供給位置が第4スロットSL4から第3スロットSL3に変更されて装着動作が最適化される。
【0055】
ステップS21で、フィーダ管理装置7は、現状部品種P4は生産順序3番目で異なる第3スロットSL3から供給されることを認識して、処理フローを再装備案内ステップS24に進める。再装備案内ステップS24で、再装備案内部76は、フィーダF4をリールが保持された状態で取り外して後で再装備する案内を、案内表示部77に行う。これにより、
図6に示されるように、案内表示部77の第4スロットSL4の位置に、「フィーダF4をリールが保持された状態で取り外して、生産順序3番目で第3スロットSL3に再装備して下さい。」という案内内容が表示される。また、再装備案内ステップS24は、情報表示ステップを含んでおり、第4スロットSL4と対応する表示部33に取り外し情報を表示する。したがって、作業者は、段取り替え作業でまごつくことなく、フィーダF4を取り外して、生産順序3番目で再装備できる。再装備案内ステップS24が終了すると、フィーダ管理装置7は、処理フローをステップS10に合流させ、ステップS11で第5スロットSL5に着目し、処理フローをステップS5に戻す。
【0056】
5度目のステップS4で、フィーダ管理装置7は、着目する第5スロットSL5の現状部品種P5が生産順序3番目の第5スロットSL5の必要部品種P5に一致していることを認識して、処理フローをステップS21に進める。ステップS21で、フィーダ管理装置7は、現状部品種P5が生産順序3番目で同じ第5スロットSL5から供給されることを認識して、処理フローをステップS22に進める。ステップS22で、フィーダ管理装置7は、生産順序2番目に第5スロットSL5が未使用とされ他の必要部品種に一旦明け渡す必要が無く、フィーダF5が第5スロットSL5を占有し続けてもよいと認識できる。したがって、フィーダ管理装置7は、処理フローを現状維持案内ステップS23に進める。
【0057】
現状維持案内ステップS23で、現状維持案内部75は、フィーダF5の現在の状態を維持する案内を案内表示部77に表示させる。これにより、
図6に示されるように、案内表示部77の第5スロットSL5の位置に、「フィーダF5の現状を維持して下さい。」という案内内容が表示される。フィーダF5は、生産順序2番目では第5スロットSL5に装備されつつも使用されず、生産順序3番目で使用される。
【0058】
現状維持案内ステップS23が終了すると、フィーダ管理装置7は、処理フローをステップS10に合流させる。ここで、全スロットの処理が終了しているので、フィーダ管理装置7は、処理フローを終了する。
【0059】
次に、生産順序2番目の基板種B2の基板Kの生産が終了した時点を想定し、新しい種類の基板Kのオーダーの追加は無いものとする。このとき、案内表示部77は、
図7に示される案内内容を表示する。
図7は、案内内容の別の例を示した図である。
【0060】
生産順序2番目から3番目に変更するとき、第1スロットSL1は未使用状態が継続する。このため、案内表示部77の第1スロットSL1の位置に「未使用です。」という案内内容が表示される。第2スロットSL2では、フィーダF2からの部品種P2の供給が継続される。このため、案内表示部77の第2スロットSL2の位置に「フィーダF2の現状を維持して下さい。」という案内内容が表示される。
【0061】
また、第3スロットSL3では、フィーダF6からの部品種P6の供給が終了し、以降使用される計画がない。このため、案内表示部77の第3スロットSL3の位置に「フィーダF6からリールを取り外して下さい。」という案内内容が表示される。このとき、自動巻き戻しステップまたは手動巻き戻しステップが行われる。そして、実際にリールRが取り外されると、案内内容は「フィーダF6を取り外して下さい。」に変更表示される。さらに、情報表示ステップにより、第3スロットSL3と対応する表示部33に取り外し情報が表示される。
【0062】
第4スロットSL4では、フィーダF7から部品種P7を供給しており、生産順序3番目でフィーダF8から部品種P8を供給し、生産順序4番目で再度フィーダF7から部品種P7を供給する計画となっている。つまり、フィーダF7の部品種P7は、第4スロットSL4を一旦別の必要部品種に明け渡す必要がある。このため、案内表示部77の第4スロットSL4の位置に「フィーダF7をリールが保持された状態で取り外して、生産順序4番目で第4スロットSL4に再装備して下さい。」という案内内容が表示される。加えて、情報表示ステップにより、第4スロットSL4と対応する表示部33に取り外し情報が表示される。
【0063】
第5スロットSL5では、未使用状態で装備されていたフィーダF5が生産順序3番目で用いられる。このため、案内表示部77の第5スロットSL5の位置に「フィーダF5の現状を維持して下さい。」という案内内容が表示される。
【0064】
このように、基板種B2の基板Kの生産が終了した時点においても、フィーダ管理装置7は、スロット位置ごとにリールRの取り外し案内やフィーダ6の取り外し案内、現状維持の案内や再装備の案内を適切に行える。加えて、リールRの取り外し案内では自動巻き戻しステップまたは手動巻き戻しステップが併用され、フィーダ6の取り外し案内では情報表示ステップが併用される。したがって、作業者は、段取り替え作業でまごつくことがなく、作業効率が格段に向上する。
【0065】
(4.実施形態のフィーダ管理方法およびフィーダ管理装置7の態様および効果)
実施形態のフィーダ管理方法は、基板Kを搬入出および位置決めする基板搬送装置2、電子部品を保持するキャリアテープTを巻回したリールRを交換可能に保持するフィーダ6の複数台が複数の配設位置(スロット位置)にそれぞれ着脱可能に装備される部品供給装置3、ならびに、フィーダ6から電子部品を採取して位置決めされた基板Kに装着する部品移載装置4を備えた電子部品装着機1を用い、所定の将来期間における複数種類B1~B4の基板Kの生産順序を定めた生産計画に基づいて基板Kを生産するときにフィーダ6を管理する方法であって、現状で装備されているフィーダ6がそれぞれ供給する電子部品の現状部品種P1~P5と、装備されているフィーダ6の配設位置と、を対応付けて記憶する現状記憶ステップS1と、複数種類B2~B4の基板Kに装着される電子部品の必要部品種P2~P8と、電子部品の必要部品種P2~P8を供給するフィーダ6の配設位置と、を対応付けて記憶する計画記憶ステップS2と、必要部品種P2~P8のいずれにも一致しない現状部品種P1の電子部品を供給するフィーダF1からリールRを取り外す案内を行うリール取り外し案内ステップS5と、を備えた。
【0066】
これによれば、現状で供給できる電子部品の現状部品種P1~P5と、生産計画に必要とされる電子部品の必要部品種P2~P8とを記憶して比較することで、使用予定の無い現状部品種P1を自動的に判別できる。そして、段取り替え作業に先立ち、使用予定の無い現状部品種P1の電子部品を供給するフィーダF1からリールRを取り外す案内を行う。したがって、作業者は、まごつくことなくフィーダF1からリールRを取り外すことができる。これにより、電子部品の使用予定の有無を確認してリールRを取り外すか否かを判断する煩雑な手間が不要となり、作業効率が向上する。
【0067】
さらに、実施形態のフィーダ管理方法は、フィーダ6がリールRを保持したときに、フィーダ6を識別するフィーダIDコードと、リールRを識別するリールIDコードRidとを対応付けて記憶するコード対応付けステップをさらに備え、リール取り外し案内ステップS5は、フィーダF1のフィーダIDコードとリールRのリールIDコードRidとの対応付けを削除する対応付け削除ステップを含む。これによれば、フィーダとリールの対応付けの管理が自動で行われるので、作業者の手間が不要であり、加えて、人為的なミスに起因する対応付けの誤りが発生しない。
【0068】
さらに、フィーダ6は、キャリアテープTの繰り出しおよび巻き戻しを行うテープ繰り出し機構(スプロケット63、駆動モータ64、フィーダ制御部65)を有し、リール取り外し案内ステップS5は、フィーダF1のテープ繰り出し機構にキャリアテープTをリールRへ巻き戻させる自動巻き戻しステップを含んでもよい。
【0069】
あるいは、フィーダ6は、キャリアテープTの繰り出しを行うテープ繰り出し機構(スプロケット63、駆動モータ64、フィーダ制御部65)、および、テープ繰り出し機構にキャリアテープTの少量をリールRへ巻き戻させる巻き戻しスイッチ662を有し、リール取り外し案内ステップS5は、フィーダF1の巻き戻しスイッチ662が長押しされたときに、テープ繰り出し機構がキャリアテープTを連続的にリールRへ巻き戻すことを許容する手動巻き戻しステップを含んでもよい。
【0070】
自動巻き戻しステップまたは手動巻き戻しステップを含むことにより、キャリアテープTを巻き戻す手間が軽減されるので、リールRを取り外す作業の作業効率が向上する。
【0071】
さらに、実施形態のフィーダ管理方法は、部品供給装置3からフィーダF1を取り外す案内を行うフィーダ取り外し案内ステップS8をさらに備えている。これによれば、作業者は、まごつくことなくフィーダF1を取り外すことができ、作業効率が向上する。
【0072】
さらに、部品供給装置3は、複数の配設位置(スロット位置)とそれぞれ対応する表示部33を有し、フィーダ取り外し案内ステップS8は、フィーダF1が装備されている配設位置と対応する表示部33に取り外し情報を表示するとともに、フィーダF1が配設位置から取り外された時点で取り外し情報を消去する情報表示ステップを含む。これによれば、取り外し情報によって取り外すフィーダ6が明瞭化されるので、作業効率が向上するとともに、作業者は取り外すフィーダ6を誤らない。
【0073】
また、実施形態のフィーダ管理方法は、基板Kを搬入出および位置決めする基板搬送装置2、電子部品を保持するキャリアテープTを巻回したリールRを交換可能に保持するフィーダ6の複数台が複数の配設位置(スロット位置)にそれぞれ着脱可能に装備される部品供給装置3、ならびに、フィーダ6から電子部品を採取して位置決めされた基板Kに装着する部品移載装置4を備えた電子部品装着機1を用い、所定の将来期間における複数種類B1~B4の基板Kの生産順序を定めた生産計画に基づいて基板Kを生産するときにフィーダ6を管理する方法であって、現状で装備されているフィーダ6がそれぞれ供給する電子部品の現状部品種P1~P5と、装備されているフィーダ6の配設位置と、を対応付けて記憶する現状記憶ステップS1と、複数種類B2~B4の基板Kに装着される電子部品の必要部品種P2~P8と、電子部品の必要部品種P2~P8を供給するフィーダ6の配設位置と、を対応付けて記憶する計画記憶ステップS2と、必要部品種P2、P5に一致する現状部品種P2、P5が有り、かつ一致する現状部品種P2、P5に対応する第2、第5スロットSL2、SL5に装備されているフィーダF2、F5を取り外す必要が無い場合に、フィーダF2、F5の現在の状態を維持する案内を行う現状維持案内ステップS23と、必要部品種P3、P4に一致する現状部品種P3、P4が有り、かつ現状部品種P3、P4を供給するフィーダF3、F4を取り外す必要が有る場合に、フィーダF3、F4をリールRが保持された状態で取り外して後で再装備する案内を行う再装備案内ステップS24と、を備えた。
【0074】
これによれば、使用予定の有る現状部品種P2~P5を自動的に判別でき、さらに、使用予定の有る現状部品種P2~P5に対応する第2~第5スロットSL2~SL5に装備されているフィーダF2~F5を取り外す必要の有無を自動的に判別できる。そして、フィーダF2、F5の現在の状態を維持する案内や、フィーダF3、F4をリールRが保持された状態で取り外して後で再装備する案内を行う。したがって、作業者は、まごつくことなくフィーダF2~F5の取り扱い作業を適正に行え、誤ってフィーダF2~F5からリールRを取り外すことが生じない。これにより、生産計画を調査してフィーダ6の取り扱い作業の内容を判断する必要が無くなり、作業効率が向上する。
【0075】
さらに、実施形態のフィーダ管理方法において、必要部品種P4に対応する生産順序3番目の第3スロットSL3が生産順序1番目の第4スロットSL4に重ならない場合、および、必要部品種P3に対応する生産順序4番目の第3スロットSL3が生産順序1番目の第3スロットSL3に重なっても、生産計画の途中において、他の必要部品種P6、P4の電子部品を供給するフィーダF6、F4に第3スロットSL3を一旦明け渡す必要が有る場合に、再装備案内ステップS24を行う。これによれば、フィーダ6の様々な使用形態に応じて、適正な取り扱い作業が案内される。
【0076】
また、実施形態のフィーダ管理装置7は、基板Kを搬入出および位置決めする基板搬送装置2、電子部品を保持するキャリアテープTを巻回したリールRを交換可能に保持するフィーダ6の複数台が複数の配設位置(スロット位置)にそれぞれ着脱可能に装備される部品供給装置3、ならびに、フィーダ6から電子部品を採取して位置決めされた基板Kに装着する部品移載装置4を備えた電子部品装着機1を用い、所定の将来期間における複数種類B1~B4の基板の生産順序を定めた生産計画に基づいて基板Kを生産するときにフィーダ6を管理する装置であって、現状で装備されているフィーダ6がそれぞれ供給する電子部品の現状部品種P1~P5と、装備されているフィーダ6の配設位置と、を対応付けて記憶する現状記憶部71と、複数種類B2~B4の基板Kに装着される電子部品の必要部品種P2~P8と、電子部品の必要部品種P2~P8を供給するフィーダ6の配設位置と、を対応付けて記憶する計画記憶部72と、必要部品種P2~P8のいずれにも一致しない現状部品種P1の電子部品を供給するフィーダF1からリールRを取り外す案内を行うリール取り外し案内部73と、を備えた。
【0077】
これによれば、リール取り外し案内ステップS5を備えた実施形態のフィーダ管理方法と同様に、リールRを取り外すか否かを判断する手間が不要となり、作業効率が向上する。
【0078】
さらに、実施形態のフィーダ管理装置7は、基板Kを搬入出および位置決めする基板搬送装置2、電子部品を保持するキャリアテープTを巻回したリールRを交換可能に保持するフィーダ6の複数台が複数の配設位置(スロット位置)にそれぞれ着脱可能に装備される部品供給装置3、ならびに、フィーダ6から電子部品を採取して位置決めされた基板Kに装着する部品移載装置4を備えた電子部品装着機1を用い、所定の将来期間における複数種類B1~B4の基板の生産順序を定めた生産計画に基づいて基板Kを生産するときにフィーダ6を管理する装置であって、現状で装備されているフィーダ6がそれぞれ供給する電子部品の現状部品種P1~P5と、装備されているフィーダ6の配設位置と、を対応付けて記憶する現状記憶部71と、複数種類B2~B4の基板Kに装着される電子部品の必要部品種P2~P8と、電子部品の必要部品種P2~P8を供給するフィーダ6の配設位置と、を対応付けて記憶する計画記憶部72と、必要部品種P2~P5に一致する現状部品種P2~P5が有り、かつ一致する現状部品種P2、P5に対応する第2、第5スロットSL2、SL5に装備されているフィーダF2、F5を取り外す必要が無い場合に、フィーダF2、F5の現在の状態を維持する案内を行う現状維持案内部75と、必要部品種P3、P4に一致する現状部品種P3、P4が有り、かつフィーダF3、F4を取り外す必要が有る場合に、フィーダF3、F4をリールRが保持された状態で取り外して後で再装備する案内を行う再装備案内部76と、を備えた。
【0079】
これによれば、現状維持案内ステップS23および再装備案内ステップS24を備えた実施形態のフィーダ管理方法と同様に、フィーダの取り扱い作業の内容を判断する必要が無くなり、作業効率が向上する。
【0080】
(5.実施形態の応用および変形)
なお、実施形態において、フィーダ6の構成は適宜変更できる。例えば、リール保持軸61の近傍にリールRを逆転駆動する巻き戻し機構を追加して、自動でキャリアテープTの先端をリールRまで巻き戻すように構成してもよい。また例えば、テープ検出センサ68に代えて、リールの有無を直接的に検出するリール検出センサをリール保持軸61の近傍に設けてもよい。さらに、対応付け削除ステップS7において、IDコードの対応関係を削除するだけでなく、フィーダIDコードとリールIDコードRidの対応関係にさらに紐付けされた制約条件を併せて解除してもよい。制約条件として、例えば、使用可能な基板生産ラインの制約条件や、使用可能な基板の種類の制約条件などがある。また、フィーダ管理装置7は、ホストコンピュータ以外のコンピュータ装置を用いて構成することも可能である。実施形態は、その他にも様々な応用や変形が可能である。
【符号の説明】
【0081】
1:電子部品装着機 2:基板搬送装置
3:部品供給装置 32:スロット 33:表示部
4:部品移載装置 6:フィーダ
63:スプロケット 64:駆動モータ 65:フィーダ制御部
662:巻き戻しスイッチ(手動スイッチ)
7:フィーダ管理装置 71:現状記憶部 72:計画記憶部
73:リール取り外し案内部 74:フィーダ取り外し案内部
75:現状維持案内部 76:再装備案内部 77:案内表示部
K:基板 R:リール T:キャリアテープ
SL1~SL5:第1~第5スロット(配設位置)