(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】物理ランダムアクセスチャネルのデータ統合方法、装置および記憶媒体
(51)【国際特許分類】
H04L 27/26 20060101AFI20231226BHJP
H04B 7/08 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
H04L27/26 410
H04B7/08 372A
(21)【出願番号】P 2022523156
(86)(22)【出願日】2020-10-19
(86)【国際出願番号】 CN2020121775
(87)【国際公開番号】W WO2021073632
(87)【国際公開日】2021-04-22
【審査請求日】2022-04-19
(31)【優先権主張番号】201910996258.4
(32)【優先日】2019-10-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522155279
【氏名又は名称】深▲チェン▼市中興微電子技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】SANECHIPS TECHNOLOGY CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】ZTE Industrial Park, Liuxian Avenue, Xili Street, Nanshan District, Shenzhen, Guangdong 518055, China
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100135703
【氏名又は名称】岡部 英隆
(72)【発明者】
【氏名】李 東
(72)【発明者】
【氏名】劉 文月
【審査官】川口 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/161806(WO,A1)
【文献】特表2017-522744(JP,A)
【文献】特開平11-252045(JP,A)
【文献】特表2020-532239(JP,A)
【文献】Qualcomm Incorporated,PRACH design consideration[online],3GPP TSG-RAN WG1 #88bis R1-1705571,Internet<URL:http://www.3gpp.org/ftp/tsg_ran/WG1_RL1/TSGR1_88b/Docs/R1-1705571.zip>,2017年03月25日
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 27/26
H04B 7/02 - 7/12
H04L 1/02 - 1/06
3GPP TSG RAN WG1-4
3GPP TSG SA WG1-2
3GPP TSG CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハードウェア加速モジュールにより実行されるデータ統合方法であって、
今回の物理ランダムアクセスチャネルPRACHデータ統合のタスクパラメータを解析することと、
PRACHデータキャッシュから統合待ちアンテナのPRACHデータを読み取ることと、
前記タスクパラメータに基づき、複数のアンテナ間のPRACHデータ統合と、自アンテナのPRACH内のRACHデータ統合との少なくとも1つを行うことと、
統合されたデータを共有キャッシュに出力することとを含み、
前記ハードウェア加速モジュールは、ソフトウェア処理モジュールとの間に、前記共有キャッシュによりデータのやり取りを行い、
前記タスクパラメータは、PRACHフォーマット、データ統合方式、前記PRACHデータキャッシュから読み取られたPRACHデータの記憶アドレス、および現在の直交周波数分割多重OFDMシンボルにおけるPRACHデータ量を含み、
前記PRACHデータキャッシュから統合待ちアンテナのPRACHデータを読み取ることは、
OFDMシンボルを単位として前記PRACHデータキャッシュから統合待ちPRACHデータを順次読み取り、1つのOFDMシンボルデータを受信する毎に、PRACHデータ統合処理を開始することを含む、
物理ランダムアクセスチャネルのデータ統合方法。
【請求項2】
前記タスクパラメータに基づき、複数のアンテナ間のPRACHデータ統合と、自アンテナのPRACH内のRACHデータ統合との少なくとも1つを行うことは、
前記複数のアンテナ間のPRACHデータ統合を行う必要があるか否かを判断し、前記複数のアンテナ間のPRACHデータ統合を行う必要があることに応答して、各OFDMシンボル時間での前記複数のアンテナ間のPRACHデータを統合し、統合されたPRACHデータに対して、各アンテナのPRACH内のRACHデータを統合することを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
アンテナ間またはアンテナのPRACH内のRACHデータ統合の場合、現在のOFDMシンボル時間のPRACHデータを処理した後に、現場データをキャッシュし、次のOFDMシンボル時間のPRACHデータが到達するまで待機してから、対応するアンテナの現場データを復元して処理し続け、前記現場データは、現在のOFDMシンボル時間で、前記複数のアンテナ間のPRACHデータまたは各アンテナのPRACH内のRACHデータを統合されたデータである、
請求項2に記載の方法。
【請求項4】
今回のPRACHデータ統合のタスクパラメータを解析する前に、
前記今回のPRACHデータ統合のタスクパラメータを設定することを更に含む。
請求項1に記載の方法。
【請求項5】
統合されたPRACHデータを共有キャッシュに出力した後に、
前記ソフトウェア処理モジュールが、統合されたpreamble系列に対して、高速フーリエ変換FFT、周波数領域マザーコード相関、逆高速フーリエ変換IFFT、およびデータ統合ピーク値検出処理を行うことを更に含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項6】
コンピュータ命令が記憶されたコンピュータ可読記憶媒体であって、
前記コンピュータ命令は
、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法を
プロセッサに実行させる命令である、
コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項7】
メモリとプロセッサとを備え、
前記メモリにコンピュータ命令が記憶されており、
前記コンピュータ命令は、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法を
前記プロセッサに実行させる命令である、
電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、通信分野に関し、例えば、物理ランダムアクセスチャネル(Physical Random Access Channel、PRACH)のデータ統合方法、装置および記憶媒体に関する。
【0002】
本願は、2019年10月18日に中国専利局に提出された出願番号が201910996258.4である中国特許出願に対して優先権を主張するものであり、該出願の全ての内容を引用により本願に援用する。
【背景技術】
【0003】
物理ランダムアクセスチャネルは、第5世代移動体通信技術(the 5th Generation mobile communication technology、5G)新しい無線・アクセス技術(New Radio、NR)プロトコルにおいて、複数種のアクセスformatフォーマット、長フォーマット、短フォーマット、および対応する様々な組み合わせ方式がある。
【0004】
5G NRプロトコルにおけるPRACHの処理では、同じPRACHにおける複数のRACHデータを統合し、異なるアンテナ間のPRACHデータを統合する必要がある。
【0005】
PRACHダウンコンバート後に、データ統合は、異なるPRACHフォーマットに応じて異なる方式に分けられる。
図1に示すように、長フォーマットの統合は、複数のアンテナのPRACHデータを加算して統合することである。
図2に示すように、短フォーマットの統合方式は2種あり、一方が複数のアンテナのPRACHデータを加算して統合した後に、統合したPRACHデータ内の隣接する2つのRACHを更に加算して統合するか、または全てのRACHを加算して統合し、他方が複数のアンテナのPRACHデータを統合せず、直接それぞれのアンテナのPRACHデータ内の隣接する2つのRACHを加算するか、または全てのRACHを加算する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
関連技術において、通常、ソフトウェアによって単一周波数ポイントのランダムアクセスデータの統合を実現することが多く、即ち、ソフトウェアは、一度に、1つのアンテナ、1つの周波数ポイントのランダムアクセスデータの統合を処理し、このように、以下のような問題が存在する。
【0007】
まず、周波数分割複信(Frequency Division Duplex、FDD)モードの場合、1つのアクセス周波数ポイントのみがあるため、1つの単一周波数ポイント装置があれば良い。しかし、時間分割複信(Time Division Duplex、TDD)モードの場合、複数の周波数ポイントが存在すれば、複数の単一周波数ポイント装置を採用するとともに複数の周波数ポイントを並列処理し、即ち、複数の装置を追加し、リソースの浪費が存在するか、あるいは該装置を時間分割で多重化し、処理遅延が大きく、処理計算量が大きい。
【0008】
次に、各本のアンテナのPRACHデータ量が大きいため、全てのアンテナのPRACHデータをキャッシュしてからデータの統合を行うと、記憶空間は大きくなり、中央処理ユニット(Central Processing Unit、CPU)の処理遅延は大きくなる。
【0009】
本開示は、関連技術においてソフトウェアによって単一周波数ポイントのランダムアクセスデータの統合を実現することに存在する処理効率が低いという問題を解決するための物理ランダムアクセスチャネルのデータ統合方法、装置および記憶媒体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
今回のPRACHデータ統合のタスクパラメータを解析することと、PRACHデータキャッシュから統合待ちアンテナのPRACHデータを読み取ることと、前記タスクパラメータに基づき、複数のアンテナ間のPRACHデータ統合および/または自アンテナのPRACH内のRACHデータ統合を行うことと、統合されたPRACHデータを共有キャッシュに出力することとを含む、
物理ランダムアクセスチャネルのデータ統合方法を提供する。
【0011】
今回のPRACHデータ統合のタスクパラメータを解析するように構成される解析モジュールと、PRACHデータキャッシュから統合待ちアンテナのPRACHデータを読み取るように構成される読取モジュールと、前記タスクパラメータに基づき、複数のアンテナ間のPRACHデータ統合および/または自アンテナのPRACH内のRACHデータ統合を行うように構成される統合モジュールと、統合されたPRACHデータを共有キャッシュに出力するように構成される出力モジュールとを備える、
物理ランダムアクセスチャネルのデータ統合装置を更に提供する。
【0012】
好ましくは、前記タスクパラメータは、PRACHフォーマット、データ統合方式、データの記憶アドレス、および現在のOFDMシンボルにおける有効なPRACHデータ量のうちの少なくとも1つを含む。
【0013】
好ましくは、前記読取モジュールは、OFDMシンボルを処理単位として前記PRACHデータキャッシュから統合待ちPRACHデータを順次読み取り、1つのOFDMシンボルデータを受信する毎に、データの統合を開始する。
【0014】
好ましくは、前記統合モジュールは、統合待ち複数のアンテナのPRACHデータを統合する必要があるか否かを判断するように構成される判断ユニットと、前記複数のアンテナのPRACHデータを統合する必要がある場合、OFDMシンボル時間に基づいて統合待ち複数のアンテナのPRACHデータを時間分割で統合するように構成される第1統合ユニットと、第1統合ユニットにより統合されたPRACHデータ内のRACHデータを統合するように構成される第2統合ユニットとを更に備える。
【0015】
好ましくは、前記統合モジュールは、アンテナ間のPRACHデータ統合または自アンテナのPRACH内のRACHデータ統合の場合、現在のOFDMシンボル時間のPRACHデータを処理した後に、現場データをキャッシュし、次のOFDMシンボルのPRACHデータが到達するまで待機してから、対応するアンテナの現場データを復元して処理し続けるように構成されるキャッシュおよび復元ユニットを更に備える。
【0016】
好ましくは、前記装置は、今回のPRACHデータ統合のタスクパラメータを設定するように構成される設定モジュールを更に備える。
【0017】
好ましくは、前記装置は、統合されたpreamble系列に対して、FFT、周波数領域マザーコード相関、IFFT、およびピーク値検出処理を行うように構成されるソフトウェア処理モジュールを更に備える。
【0018】
コンピュータプログラムが記憶された記憶媒体であって、
前記コンピュータプログラムは、実行されると、本開示に記載の方法を実現するように構成される、
記憶媒体を更に提供する。
【0019】
メモリとプロセッサとを備え、
前記メモリにコンピュータプログラムが記憶されており、
前記プロセッサは、前記コンピュータプログラムを実行することにより本開示に記載の方法を実現するように構成される、
電子機器を更に提供する。
【0020】
ここで説明する図面は、本開示に対する理解を提供するためのものであり、本願の一部を構成し、本開示の模式的な実施例およびその説明は、本開示を不当に限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】関連技術によるアンテナ間のPRACHデータ統合の模式図である。
【
図2】関連技術によるPRACH内のRACHデータ統合の模式図である。
【
図3】本発明の実施例によるPRACHデータ統合方法のフローチャートである。
【
図4】本発明の好ましい実施例によるPRACHデータ統合のフローチャートである。
【
図5】本発明の実施例による処理装置の模式図である。
【
図6】本発明の実施例によるシングルアンテナの場合におけるデータ処理の模式図である。
【
図7】本発明の実施例によるマルチアンテナの場合におけるデータ処理の模式図である。
【
図8】本発明の実施例によるソフトウェア処理モジュールの処理フローの模式図である。
【
図9】本発明の実施例によるPRACHデータ統合装置の構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面および実施例を参照しながら本開示について説明する。なお、矛盾しない限り、本開示における実施例と実施例における特徴は、互いに任意に組み合わせることができる。
【0023】
なお、本発明の明細書、特許請求の範囲、および上記図面における「第1」、「第2」等の用語は、類似する対象を区別するためのものであり、指定された順序または優先順位を記述するために用いる必要わけではない。
【0024】
本実施例において、物理ランダムアクセスチャネルのデータ統合方法を提供し、
図3は、本発明の実施例による方法のフローチャートであり、
図3に示すように、該フローは、以下のようなステップを含む。
【0025】
ステップS301において、今回のPRACHデータ統合のタスクパラメータを解析する。
【0026】
ステップS302において、PRACHデータキャッシュから統合待ちアンテナのPRACHデータを読み取る。
【0027】
ステップS303において、前記タスクパラメータに基づき、複数のアンテナ間のPRACHデータ統合および/またはアンテナのPRACH内の前後のRACHデータ統合を行う。
【0028】
ステップS304において、統合されたPRACHデータを共有キャッシュに出力する。
【0029】
本実施例のステップS301において、前記タスクパラメータは、PRACHフォーマット、データ統合方式、データの記憶アドレス、および現在の直交周波数分割多重(Orthogonal Frequency Division Multiplexing、OFDM)シンボルにおけるPRACHデータ量のうちの少なくとも1つを含む。
【0030】
本実施例のステップS302において、OFDMシンボルを単位としてアンテナのPRACHデータキャッシュから統合待ちPRACHデータを順次読み取り、1つのOFDMシンボルデータを受信する毎に、PRACHデータ統合を開始する。
【0031】
本実施例のステップS303において、前記複数のアンテナ間のPRACHデータ統合を行う必要があるか否かを判断し、前記複数のアンテナ間のPRACHデータ統合を行う必要がある場合、OFDMシンボル時間に基づいて前記複数のアンテナ間のPRACHデータを時間分割で統合し、アンテナ内のPRACH内の前後のRACHデータを統合する。
【0032】
本実施例のステップS303において、アンテナ間またはアンテナ内のPRACHデータを統合する場合、現在のOFDMシンボル時間のPRACHデータを処理した後に、現場データをキャッシュし、次のOFDMシンボル時間のPRACHデータが到達するまで待機してから、対応するアンテナの現場データを復元して処理し続ける。
【0033】
本実施例のステップS301の前に、今回のPRACHデータ統合のタスクパラメータを設定することを更に含んでもよい。
【0034】
本実施例のステップS304の後に、統合されたpreamble系列に対して、高速フーリエ変換(Fast Fourier Transform、FFT)、周波数領域マザーコード相関、逆高速フーリエ変換(Inverse Fast Fourier Transform、IFFT)、およびデータ統合ピーク値検出処理を行うことを更に含んでもよい。
【0035】
本開示の上記実施例において、タスクパラメータにより、複数の周波数ポイントおよび複数種のPRACHフォーマットを柔軟に適合させることができ、複数の異なるPRACHのデータ処理を行うことができ、処理効率を向上させる。
【0036】
本発明の実施例を理解しやすいために、以下、適用シーンにおける実施例により記述する。
【0037】
本実施例は、5G NRのPRACHデータ統合方法を提供する。本実施例において、異なるアンテナおよび周波数ポイント数設定状況を選択し、複数の周波数ポイントのPRACHのデータ統合を同時に完了することができる。また、本実施例において、異なる帯域幅と異なるPRACHフォーマットとの組み合わせ設定をサポートすることができ、速度が速く、演算量を節約し、処理リソースおよび消費電力を節約し、且つ、良好な柔軟性および拡張性を有する。
【0038】
本実施例において、OFDM symbolを処理単位とし、毎回n個のOFDM symbolのPRACHデータ(nは、ソフトウェアにより設定され得る)を処理し、複数のアンテナのPRACHデータを時間分割で統合する。複数のアンテナはPRACHデータ統合モジュールを多重化し、それぞれの処理を順次完了する。PRACHデータ統合を開始する前に、設定されたパラメータ設定を解析し、PRACH Formatフォーマット、統合タイプ、統合するデータ量、PRACH周波数ポイント、現在のPRACHで完了された統合データ量等のような現在のデータ統合処理の情報を取得し、統合処理に使用する。
【0039】
図4に示すように、本実施例の処理ステップであり、順に、設定パラメータの解析、PRACHデータの読み取り、アンテナ間のPRACHデータ統合、アンテナのPRACH内のRACHデータ統合、FFT、マザーコード相関、IFFT、およびピーク値検出である。
【0040】
図5は、本実施例の処理装置の模式図である。
図5に示すように、
図4の各ステップの特徴に応じ、本装置は、ハードウェア加速モジュールとソフトウェア処理モジュールとの2つの基本モジュールに分けられる。
【0041】
ハードウェア加速モジュールは、設定パラメータの解析、PRACHデータの読み取り、アンテナ間のPRACHデータ統合、アンテナのPRACH内のRACHデータ統合を順次完了する。ソフトウェア処理モジュールは、FFT、周波数領域マザーコード相関、IFFT処理、およびピーク値検出機能を順次完了する。2つのモジュールは、共有キャッシュによりデータのやり取りを行う。
【0042】
本実施例において、PRACHのデータは、OFDM symbolを単位としてデータメモリに順次書き込まれるため、PRACHのデータ統合もOFDMシンボル時間を単位としてデータを処理し、余分なデータをキャッシュせず、異なるPRACHフォーマット処理にリアルタイムに応答する。1つのOFDMのデータを受信する毎に、PRACHデータ統合処理を開始し、次のOFDMシンボルのデータは、異なるセル、異なるPRACHフォーマットのアンテナデータであってもよい。
【0043】
図6は、シングルアンテナのデータ処理の模式図であり、
図6に示すように、シングルアンテナハードウェア加速モジュールは、OFDMシンボル時間でPRACHによって受信されたデータを読み取り、ソフトウェア処理モジュールにより、PRACHデータ統合処理の開始を制御し、その後に、現場データをキャッシュし、次のOFDMシンボルのデータの到達を待つ。
【0044】
図7は、マルチアンテナのデータ処理の模式図であり、
図7に示すように、マルチアンテナの場合、1つのOFDMシンボルに複数のアンテナのPRACHデータ統合処理があれば、異なるアンテナのPRACHに対して、アンテナ間のデータ統合を行ってからアンテナのPRACH内のRACHデータ統合を行い、その後に、現場データをキャッシュし、次のOFDMシンボルのPRACHデータの到達を待ち、対応するアンテナの現場データを復元して処理し続ける必要がある。最後に、加速器は、アンテナ間のデータ統合結果およびRACHのデータ統合結果を出力し、データキャッシュに出力し、ソフトウェアで後続のPRACHデータ処理を行う。
【0045】
ソフトウェア処理モジュールは、FFT/IFFT処理を完了する必要があり、データインターリーブが存在するため、OFDMシンボルのデータを処理単位とすることができず、ハードウェア加速モジュールでアンテナの完全なPRACHデータ処理を完了してからソフトウェアの後続の処理を開始する必要がある。
【0046】
本開示の上記実施例において、関連技術と比べ、PRACHダウンコンバート後のデータ統合処理は、完全にソフトウェアでPRACH統合処理を完了することよりも効率が高く、且つ、完全にハードウェアで処理することよりも、複数種のPRACHフォーマットを柔軟に適合させることができ、消費電力を節約してリソース消費を低減し、処理の時間を減少し、ユーザーエクスペリエンスを改良する。それとともに、パラメータ選択の面で、ソフトウェアによる制御で処理するため、5G NRプロトコルのイボリューションに柔軟に適応し、更に投資を保護することができる。
【0047】
以下、モジュール毎に上記実施例における装置について説明する。
【0048】
本実施例の装置は、5G NR PRACHプロトコルの複数種のロングコードフォーマットおよびショートコードフォーマットをサポートする。
【0049】
図5に示すように、OFDMシンボル毎に1つの時間割り込みが発生し、この時、パラメータ解析モジュールは、キャッシュから今回のデータ処理のタスクパラメータを取得し、タスクパラメータから必要なPRACHフォーマット、データ統合方式、データの記憶アドレス、現在のOFDMシンボルにおけるPRACHデータ量を取得する。
【0050】
アンテナ間データ統合モジュールは、異なるアンテナ間のPRACHデータを統合し、複数のアンテナのそれぞれのPRACHデータを対応して加算し、シングルアンテナの場合、またはアンテナ間のデータの統合を行わないようにソフトウェアで設定される場合、データを統合する必要がない。複数のアンテナおよび異なるPRACH formatをサポートするために、統合されたデータを保護して現場を復元する操作が必要となる。
【0051】
アンテナのPRACH内のRACH統合ユニットは、自アンテナのPRACH内の前後のRACHデータを対応して加算し、複数のアンテナの場合、現場を保護して現場を復元する操作が必要となるため、複数のアンテナに対してアンテナ間のデータ統合を行ってから、アンテナのPRACH内のRACHデータ統合を行うことができる。従い、現場保護および現場復元は、本装置のコアであり、5Gのプロトコルイボリューションに適応し、高い柔軟性を有する。
【0052】
図8は、ソフトウェア処理モジュールの機能の模式図である。ソフトウェア処理モジュールは、1つの完全なpreamble系列に対して、FFT、周波数領域マザーコード相関、IFFT等の後続処理を行う。ソフトウェア処理モジュールは、まず、ハードウェア加速モジュールの出力データを読み込み、FFT演算を完了する。FFTによって生成された周波数領域信号は、スペクトル分布に基づいて複数の周波数ポイントの系列を直接抽出することができ、系列長はn個のポイント(プロトコルによって異なる定義がある)である。FFTおよびIFFTは、1つのFFTコアを多重化し、256ポイント、320ポイント、384ポイント、512ポイント、640ポイント、768ポイント、1024ポイント、1280ポイント、1536ポイント、1920ポイント、2048ポイント、2304ポイント、3072ポイント、3584ポイント、4096ポイント、5120ポイント、6144ポイント、7168ポイント、8192ポイントのFFT/IFFT処理を完了することができる。
【0053】
更に、ローカルマスターコードの生成を完了する。セルのパラメータルート系列インデックスに基づき、各ルート系列に対応するZadoff-Chu系列のDFT変換を生成する。
【0054】
マザーコード相関処理で得られた839または139等の異なる長さの系列をゼロパディングして1536または256ポイント長さの系列を取得し、該系列に対して更にIFFTを行って最終的な出力結果を取得する。最後に、ピーク値検出機能を完了する。
【0055】
本開示の上記実施例は、以下のような技術的効果を有する。
【0056】
1)OFDMシンボル時間に基づいてPRACHのデータの統合処理を時間分割で行い、5G NR PRACHのデータ処理をリアルタイムに達成し、処理性能を向上させ、処理遅延を減少し、ソフトウェア処理の時間を減少し、上りリンクアクセス性能を向上させる。
【0057】
2)パラメータを柔軟に設定することにより、最大限の柔軟性を保持し、5Gのプロトコルイボリューションをサポートすることができる。強い拡張性を有し、様々な異なるPRACHフォーマットをサポートし、PRACHによって要求が異なる統合処理をサポートする。
【0058】
3)異なる製品の仕様要求に応じ、設定パラメータを任意に採用し、処理装置を追加して仕様要求を満たすことができ、高い拡張能力を有する。
【0059】
以上の実施形態の説明により、当業者は、上記実施例の方法がソフトウェアに必要な汎用ハードウェアプラットフォームを加えた方式で実現でき、ハードウェアによっても実現できることを理解できる。本開示は、ソフトウェア製品の形式で具現化でき、該コンピュータソフトウェア製品は1つの記憶媒体(例えば、ROM/RAM、磁気ディスク、光ディスク)に記憶され、1台の端末(携帯電話、コンピュータ、サーバ、またはネットワークデバイス等)に本開示の各実施例に係る方法を実行させるための複数の命令を含む。
【0060】
本実施例において、上記実施例および好ましい実施形態を実現するための物理ランダムアクセスチャネルのデータ統合装置を更に提供し、既に説明された内容を省略する。以下に使用される「モジュール」または「ユニット」という用語は、所定の機能を実現できるソフトウェアおよび/またはハードウェアの組み合わせである。
【0061】
図9は、本発明の実施例による物理ランダムアクセスチャネルのデータ統合装置の構造のブロック図であり、該装置は、モジュール機能の区分で前述した装置と異なり、
図9に示すように、該装置は、解析モジュール10と、読取モジュール20と、統合モジュール30と、出力モジュール40とを備える。
【0062】
解析モジュール10は、今回のPRACHデータ統合のタスクパラメータを解析するように構成される。
【0063】
読取モジュール20は、アンテナのPRACHデータキャッシュから統合待ちPRACHデータを読み取るように構成される。
【0064】
統合モジュール30は、前記タスクパラメータに基づき、複数のアンテナ間のPRACHデータ統合および/またはアンテナ内のPRACHデータ統合を行うように構成される。
【0065】
出力モジュール40は、統合されたPRACHデータを共有キャッシュに出力するように構成される。
【0066】
1つの好ましい実施例において、前記統合モジュール30は、判断ユニット31と、第1統合ユニット32と、第2統合ユニット33と、キャッシュおよび復元ユニット34とを備えてもよい。
【0067】
判断ユニット31は、前記複数のアンテナ間のPRACHデータ統合を行う必要があるか否かを判断するように構成される。第1統合ユニット32は、前記複数のアンテナ間のPRACHデータ統合を行う必要がある場合、OFDMシンボル時間に基づいて前記複数のアンテナ間のPRACHデータを時間分割で統合するように構成される。第2統合ユニット33は、アンテナのPRACH内のRACHデータを統合するように構成される。キャッシュおよび復元ユニット34は、現在のOFDMシンボル時間のPRACHデータを処理した後に、現場データをキャッシュし、次のOFDMシンボル時間のPRACHデータが到達するまで待機してから、対応するアンテナの現場データを復元して処理し続けるように構成される。
【0068】
1つの好ましい実施例において、該前記装置は、設定モジュール50とソフトウェア処理モジュール60とを更に備えてもよい。
【0069】
設定モジュール50は、今回のPRACHデータ統合のタスクパラメータを設定するように構成される。ソフトウェア処理モジュール60は、統合されたpreamble系列に対して、FFT、周波数領域マザーコード相関、IFFT、およびピーク値検出処理を行うように構成される。
【0070】
上記複数のモジュールは、ソフトウェアまたはハードウェアで実現でき、後者の場合、上記モジュールが全て同じプロセッサに位置という方式、または、上記複数のモジュールが任意の組み合わせの形式で異なるプロセッサにそれぞれ位置するという方式により実現できるが、これらに限定されない。
【0071】
本開示の実施例は、コンピュータプログラムが記憶された記憶媒体であって、該コンピュータプログラムは、実行されると、上記いずれかの方法の実施例におけるステップを実行するように構成される記憶媒体を更に提供する。
【0072】
好ましくは、本実施例において、上記記憶媒体は、USB、読み出し専用メモリ(Read-Only Memory、ROMと略称される)、ランダムアクセスメモリ(Random Access Memory、RAMと略称される)、リムーバブルハードディスク、磁気ディスクまたは光ディスク等の様々なコンピュータプログラムを記憶可能な媒体を含んでもよいが、これらに限定されない。
【0073】
本開示の実施例は、メモリとプロセッサとを備え、該メモリには、コンピュータプログラムが記憶され、該プロセッサは、コンピュータプログラムを実行することにより、上記いずれかの方法の実施例におけるステップを実行するように構成される電子機器を更に提供する。
【0074】
明らかに、当業者であれば、上記本開示の複数のモジュールまたは複数のステップは汎用の計算装置で実現でき、それらは、単一の計算装置に集中されてもよいし、または複数の計算装置からなるネットワークに分布されてもよく、好ましくは、それらは、計算装置実行可能プログラムコードで実現でき、これにより、それらを記憶装置に記憶して計算装置により実行することができ、且つ、ある場合、ここでの順序と異なる順序で示されたまたは説明されたステップを実行してもよく、あるいは、それらを複数の集積回路モジュールに作製し、またはそれらにおける複数のモジュールまたはステップを単一の集積回路モジュールに作製して実現する。本開示は、任意の指定されたハードウェアとソフトウェアとの組み合わせに限定されない。