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特許7410292運動・締付固定装置、及び、ブレードホルダ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】運動・締付固定装置、及び、ブレードホルダ
(51)【国際特許分類】
   G01N 1/06 20060101AFI20231226BHJP
【FI】
G01N1/06 G
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022526828
(86)(22)【出願日】2019-11-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-01-05
(86)【国際出願番号】 CN2019117134
(87)【国際公開番号】W WO2021092725
(87)【国際公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-07-28
(73)【特許権者】
【識別番号】500113648
【氏名又は名称】ライカ ビオズュステムス ヌスロッホ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】ファン、ジャグアン
【審査官】西浦 昌哉
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/201865(WO,A1)
【文献】国際公開第2012/023405(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0030523(US,A1)
【文献】特開2010-066264(JP,A)
【文献】特開2008-209303(JP,A)
【文献】特開2010-230495(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第103817719(CN,A)
【文献】特表2003-532109(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00- 1/44
A47J 42/00-44/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ミクロトームのブレードホルダのための運動・締付固定装置であって
レードホルダ(100)はブレードを受容し、締付固定するよう構成されたブレード受容部(120)を含み
動・締付固定装置(200)は、
前記ブレード受容部(120)を回転部材(210)の回転軸に対し直角をなす方向において運動するように駆動するよう構成された回転部材(210);及び、
前記ブレード受容部(120)を締付固定又は解放するよう作動するために、前記回転部材(210)の前記回転軸において運動可能に構成された締付固定部材(220)
を含み、
前記回転部材(210)は前記締付固定部材(220)に回転可能に外嵌されていること
を特徴とする、運動・締付固定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の運動・締付固定装置において、
前記回転部材(210)はギア部(212)を含み、前記ブレード受容部(120)はラック部(126)を含み、前記回転部材(210)の前記ギア部(212)は前記ブレード受容部(120)の前記ラック部(126)に噛合するよう構成されており、かくして、前記回転部材(210)は、前記ブレード受容部(120)を前記ラック部(126)の延伸方向において運動するよう駆動することができること
を特徴とする、運動・締付固定装置。
【請求項3】
請求項2に記載の運動・締付固定装置において、
前記回転部材(210)は、前記ギア部(212)に固定的に結合されかつ前記ギア部(212)に対し同心をなすよう配置されたプーリ部(214)を含むこと
を特徴とする、運動・締付固定装置。
【請求項4】
請求項3に記載の運動・締付固定装置において、
前記運動・締付固定装置は、更に、
第1出力軸(262)を備えた第1電動機(260);及び、
前記第1電動機(260)の前記第1出力軸(262)の一端部に結合されかつ前記回転部材(210)の前記プーリ部(214)にベルト(280)を介して駆動可能に連結された駆動プーリ(270)
を含むこと
を特徴とする、運動・締付固定装置。
【請求項5】
請求項2に記載の運動・締付固定装置において、
前記回転部材(210)は、前記ギア部(212)に固定的に結合されかつ前記ギア部(212)に対し同心をなすよう配置された更なるギア部を含むこと
を特徴とする、運動・締付固定装置。
【請求項6】
請求項5に記載の運動・締付固定装置において、
前記運動・締付固定装置は、更に、
第1出力軸(262)を備えた第1電動機(260);及び、
前記第1電動機(260)の前記第1出力軸(262)の一端部に結合されかつ前記回転部材(210)の前記更なるギア部と噛合可能な駆動ギア
を含むこと
を特徴とする、運動・締付固定装置。
【請求項7】
請求項2~6の何れかに記載の運動・締付固定装置において、
前記ブレード受容部(120)は開口部(124)を備えた受容溝(122)を画定し、前記締付固定部材(220)は係合部(222)と前記係合部(222)に結合された軸部(224)を含み、前記係合部(222)は前記受容溝(122)に受容され、前記軸部(224)は前記開口部(124)を介して前記受容溝(122)から延出し、前記回転部材(210)の前記ギア部(212)は前記締付固定部材(220)の前記軸部(224)に外嵌され、前記軸部(224)は、前記ブレード受容部(120)を締付固定又は解放するために、前記係合部(222)を前記受容溝(122)の壁部に当接し又は該壁部から離隔するよう作動可能に駆動するべく前記回転部材(210)の前記回転軸に沿って運動可能であること
を特徴とする、運動・締付固定装置。
【請求項8】
請求項7に記載の運動・締付固定装置において、
前記締付固定部材(220)は第1傾斜面(2264)を備えた空所(2262)を画定する作動部(226)を含み、運動・締付固定装置(200)は前記作動部(226)の前記空所(2262)に受容されかつ前記空所(2262)の前記第1傾斜面(2264)と協働するよう構成された第2傾斜面(232)を備えた楔状部材(230)を更に含み、かくして、前記楔状部材(230)が前記回転軸に対し直角をなす(直交する)方向において運動するとき、前記回転軸に対し直角をなす方向における前記楔状部材(230)の運動は前記回転軸(の方向)における前記作動部(226)の運動へ変換されることができること
を特徴とする、運動・締付固定装置。
【請求項9】
請求項8に記載の運動・締付固定装置において、
前記運動・締付固定装置は、更に、第1チャンバ(242)及び前記第1チャンバ(242)と流体連通する第2チャンバ(244)を画定しかつ前記回転部材(210)の前記回転軸において延在するハウジング(240)を含み、前記楔状部材(230)は前記第1チャンバ(242)に受容されかつ前記回転部材(210)の前記回転軸に対し直角をなす方向において運動可能であり、前記作動部(226)は前記第2チャンバ(244)に少なくとも部分的に受容されかつ前記第2チャンバ(244)に沿って運動可能であること
を特徴とする、運動・締付固定装置。
【請求項10】
請求項9に記載の運動・締付固定装置において、
前記運動・締付固定装置は、更に、前記回転部材(210)の前記回転軸に対し直角をなす方向において前記ハウジング(240)の2つの対向壁において回転可能に支持されたスピンドル(250)を含み、前記スピンドル(250)は雄ネジを備え、前記楔状部材(230)は前記スピンドル(250)の前記雄ネジと螺合する雌ネジを備え、かくして、前記スピンドル(250)は前記楔状部材(230)に嵌め込まれかつ前記楔状部材(230)を前記回転軸の方向に対し直角をなす方向において運動するよう駆動することができること
を特徴とする、運動・締付固定装置。
【請求項11】
請求項10に記載の運動・締付固定装置において、
前記運動・締付固定装置は、更に、第2出力軸(292)を有する第2電動機(290)を含み、前記第2出力軸(292)は前記スピンドル(250)に固定的に結合されているか、又は、前記第2出力軸(292)と前記スピンドル(250)は一体的に構成されていること
を特徴とする、運動・締付固定装置。
【請求項12】
請求項7~11の何れかに記載の運動・締付固定装置において、
前記受容溝(122)と前記開口部(124)は前記ブレード受容部(120)の前記ラック部(126)の延伸(延在)方向において前記ブレード受容部(120)を貫通して延在(延伸)すること
を特徴とする、運動・締付固定装置。
【請求項13】
請求項12に記載の運動・締付固定装置において、
前記ブレード受容部(120)の前記ラック部(126)の延伸方向に沿った前記開口部の断面積は、前記ブレード受容部(120)の前記ラック部(126)の延伸方向に沿った前記受容溝(122)の断面積よりも小さいこと
を特徴とする、運動・締付固定装置。
【請求項14】
請求項7~13の何れかに記載の運動・締付固定装置において、
前記ラック部(126)は前記開口部(124)の内部の2つの対向壁の各々に設けられており、前記回転部材(210)の前記ギア部(212)は前記開口部(124)に受容されかつ2つの前記ラック部(126)と噛合すること
を特徴とする、運動・締付固定装置。
【請求項15】
ミクロトームのためのブレードホルダであって
レードホルダ(100)は、
基部(110);
ブレードを受容し、締付固定するよう構成されかつ案内スロット(121)を画定するブレード受容部(120);
前記案内スロット(121)に嵌合可能な案内レールを備えた枢動部(130)、但し前記ブレード受容部(120)は案内レール(132)の延伸方向において前記枢動部(130)にスライド可能に取り付け可能に構成されており、前記枢動部(130)は前記基部(110)に取り付けられておりかつ前記案内レール(132)の前記延伸方向の周りで枢動可能に構成されている;及び、
請求項1~14の何れかに記載の運動・締付固定装置(200)、但し前記運動・締付固定装置(200)は前記枢動部(130)の案内レール(132)に沿って前記ブレード受容部(120)を運動させること及び前記ブレード受容部(120)を前記枢動部(130)に対して締付固定することが可能である、
を含むこと
を特徴とする、ブレードホルダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ミクロトームの技術分野に関し、より具体的には、運動・締付固定装置、及び、ブレードホルダに関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術では、ブレードホルダはミクロトームにおいて使用される。ブレードホルダはブレードを保持するための機械的構成要素である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】CN 108801723 A
【文献】CN 207593622 U
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ブレードの全長を完全に使用するためには、ユーザは、使用中、ブレードホルダを横方向にスライドさせる必要がある。ユーザは、ブレードを解放し、ブレードを含むブレード受容部をブレードホルダの基部に対し相対的に所望の位置へ移動させ、そして、ブレードを手作業で締付固定する(clamp)必要があるが、これは、労力を要し、ブレードホルダの構成要素の摩耗を引き起こし、締付固定力の不均一な分布を生じさせる。
【0005】
本開示の実施形態は、関連技術に存在する複数の問題の少なくとも1つを少なくともある程度まで解決することを追求する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の視点により、ミクロトームのブレードホルダのための運動・締付固定装置が提供される。
前記ブレードホルダはブレードを受容し、締付固定するよう構成されたブレード受容部を含み、
前記運動・締付固定装置は、
前記ブレード受容部を回転部材の回転軸に対し直角をなす方向において運動するように駆動するよう構成された回転部材;及び、
前記ブレード受容部を締付固定又は解放するよう作動するために、前記回転部材の前記回転軸において運動可能に構成された締付固定部材
を含み、
前記回転部材は前記締付固定部材に回転可能に外嵌されていること
を特徴とする(形態1)。
更に、本発明の第2の視点において、ミクロトームのためのブレードホルダが提供される。
前記ブレードホルダは、
基部;
ブレードを受容し、締付固定するよう構成されかつ案内スロットを画定するブレード受容部;
前記案内スロットに嵌合可能な案内レールを備えた枢動部、但し前記ブレード受容部は前記案内レールの延伸方向において前記枢動部にスライド可能に取り付け可能に構成されており、前記枢動部は前記基部に取り付けられておりかつ前記案内レールの前記延伸方向の周りで枢動可能に構成されている;及び、
本発明の運動・締付固定装置、但し前記運動・締付固定装置は前記枢動部の案内レールに沿って前記ブレード受容部を運動させること及び前記ブレード受容部を前記枢動部に対して締付固定することが可能である、
を含むこと
を特徴とする(形態15)。
【発明を実施するための形態】
【0007】
(形態1)上記本発明の第1の視点参照。
(形態2)形態1の運動・締付固定装置において、
前記回転部材はギア部を含み、前記ブレード受容部はラック部を含み、前記回転部材の前記ギア部は前記ブレード受容部の前記ラック部に噛合するよう構成されており、かくして、前記回転部材は、前記ブレード受容部を前記ラック部の延伸方向において運動するよう駆動することができることが好ましい。
(形態3)形態2の運動・締付固定装置において、
前記回転部材は、前記ギア部に固定的に結合されかつ前記ギア部に対し同心をなすよう配置されたプーリ部を含むことが好ましい。
(形態4)形態3の運動・締付固定装置において、
前記運動・締付固定装置は、更に、
第1出力軸を備えた第1電動機;及び、
前記第1電動機の前記第1出力軸の一端部に結合されかつ前記回転部材の前記プーリ部にベルトを介して駆動可能に連結された駆動プーリ
を含むことが好ましい。
(形態5)形態2の運動・締付固定装置において、
前記回転部材は、前記ギア部に固定的に結合されかつ前記ギア部に対し同心をなすよう配置された更なるギア部を含むことが好ましい。
(形態6)形態5の運動・締付固定装置において、
前記運動・締付固定装置は、更に、
第1出力軸を備えた第1電動機;及び、
前記第1電動機の前記第1出力軸の一端部に結合されかつ前記回転部材の前記更なるギア部と噛合可能な駆動ギア
を含むことが好ましい。
(形態7)形態2~6の何れかの運動・締付固定装置において、
前記ブレード受容部は開口部を備えた受容溝を画定し、前記締付固定部材は係合部と前記係合部に結合された軸部を含み、前記係合部は前記受容溝に受容され、前記軸部は前記開口部を介して前記受容溝から延出し、前記回転部材の前記ギア部は前記締付固定部材の前記軸部に外嵌され、前記軸部は、前記ブレード受容部を締付固定又は解放するために、前記係合部を前記受容溝の壁部に当接し又は該壁部から離隔するよう作動可能に駆動するべく前記回転部材の前記回転軸に沿って運動可能であることが好ましい。
(形態8)形態7の運動・締付固定装置において、
前記締付固定部材は第1傾斜面を備えた空所を画定する作動部を含み、前記運動・締付固定装置は前記作動部の前記空所に受容されかつ前記空所の前記第1傾斜面と協働するよう構成された第2傾斜面を備えた楔状部材を更に含み、かくして、前記楔状部材が前記回転軸に対し直角をなす(直交する)方向において運動するとき、前記回転軸に対し直角をなす方向における前記楔状部材の運動は前記回転軸(の方向)における前記作動部の運動へ変換されることができることが好ましい。
(形態9)形態8の運動・締付固定装置において、
前記運動・締付固定装置は、更に、第1チャンバ及び前記第1チャンバと流体連通する第2チャンバを画定しかつ前記回転部材の前記回転軸において延在するハウジングを含み、前記楔状部材は前記第1チャンバに受容されかつ前記回転部材の前記回転軸に対し直角をなす方向において運動可能であり、前記作動部は前記第2チャンバに少なくとも部分的に受容されかつ前記第2チャンバに沿って運動可能であることが好ましい。
(形態10)形態9の運動・締付固定装置において、
前記運動・締付固定装置は、更に、前記回転部材の前記回転軸に対し直角をなす方向において前記ハウジングの2つの対向壁において回転可能に支持されたスピンドルを含み、前記スピンドルは雄ネジを備え、前記楔状部材は前記スピンドルの前記雄ネジと螺合する雌ネジを備え、かくして、前記スピンドルは前記楔状部材に嵌め込まれかつ前記楔状部材を前記回転軸の方向に対し直角をなす方向において運動するよう駆動することができることが好ましい。
(形態11)形態10の運動・締付固定装置において、
前記運動・締付固定装置は、更に、第2出力軸を有する第2電動機を含み、前記第2出力軸は前記スピンドルに固定的に結合されているか、又は、前記第2出力軸と前記スピンドルは一体的に構成されていることが好ましい。
(形態12)形態7~11の何れかの運動・締付固定装置において、
前記受容溝と前記開口部は前記ブレード受容部の前記ラック部の延伸(延在)方向において前記ブレード受容部を貫通して延在(延伸)することが好ましい。
(形態13)形態12の運動・締付固定装置において、
前記ブレード受容部の前記ラック部の延伸方向に沿った前記開口部の断面積は、前記ブレード受容部の前記ラック部の延伸方向に沿った前記受容溝の断面積よりも小さいことが好ましい。
(形態14)形態7~13の何れかの運動・締付固定装置において、
前記ラック部は前記開口部の内部の2つの対向壁の各々に設けられており、前記回転部材の前記ギア部は前記開口部に受容されかつ2つの前記ラック部と噛合することが好ましい。
(形態15)上記本発明の第2の視点参照。
【0008】
本開示の第1の視点の実施形態(複数)は、ミクロトームのブレードホルダのための運動・締付固定装置(moving and clamping device)を提供する。ブレードホルダはブレードを受容し、締付固定するよう構成されたブレード受容部を含む。運動・締付固定装置は、回転部材と締付固定部材を含む。回転部材は、ブレード受容部を回転部材の回転軸に対し直角をなす(直交する)方向において運動するように駆動するよう構成されており、締付固定部材は、ブレード受容部を締付固定又は解放するよう作動するために、回転部材の回転軸(の方向)において運動可能に構成されている。回転部材は締付固定部材に回転可能に外嵌されている。
【0009】
本開示の実施形態(複数)に応じた運動・締付固定装置では、締付固定部材に外嵌された回転部材を設けることによって、運動・締付固定装置は、運動構造体と締付固定構造体の統合(組合せ体)を実現可能にしつつ、運動構造体がブレード受容部を運動可能にすること及び締付固定構造体がブレード受容部を締付固定可能にすることを(夫々)独立に保証(確保)し、以って、ブレードホルダの小型化を容易化する。
【0010】
幾つかの実施形態では、回転部材はギア部を含み、ブレード受容部はラック部を含み、回転部材のギア部はブレード受容部のラック部に噛合するよう構成されており、かくして、回転部材は、ブレード受容部をラック部の延伸(延在)方向において運動するよう駆動することができる。
【0011】
幾つかの実施形態では、回転部材は、ギア部に固定的に結合されかつギア部に対し同心をなすよう(コアキシャルに)配置されたプーリ部を含む。このため、プーリ部は、ブレード受容部の運動を達成するために、ギア部を回転させるよう駆動されることができる。
【0012】
幾つかの実施形態では、運動・締付固定装置は、更に、第1出力軸を備えた第1電動機;及び、第1電動機の第1出力軸の一端部に結合されかつ回転部材のプーリ部にベルトを介して駆動可能に連結された駆動プーリを含む。このため、回転部材は第1電動機によって駆動されることができ、ブレード受容部の運動は動力化(自動化)されることができ、労力を大きく削減することができる。
【0013】
幾つかの実施形態では、回転部材は、ギア部に固定的に結合されかつギア部に対し同心をなすよう(コアキシャルに)配置された更なるギア部を含む。このため、更なるギア部は、ブレード受容部の運動を達成するために、ギア部を回転させるよう駆動されることができる。
【0014】
幾つかの実施形態では、運動・締付固定装置は、更に、第1出力軸を備えた第1電動機;及び、第1電動機の第1出力軸の一端部に結合されかつ回転部材の更なるギア部と噛合可能な駆動ギアを含む。このため、回転部材は第1電動機によって駆動されることができ、ブレード受容部の運動は動力化(自動化)されることができ、労力を大きく削減することができる。
【0015】
幾つかの実施形態では、ブレード受容部は開口部を備えた受容溝を画定し、締付固定部材は係合部と係合部に結合された軸部を含み、係合部は受容溝に受容され、軸部は開口部を介して受容溝から延出し、回転部材のギア部は締付固定部材の軸部に外嵌され、軸部は、ブレード受容部を締付固定又は解放するために、係合部を受容溝の(1つの)壁部に当接し又は該壁部から離隔するよう作動可能に駆動するべく回転部材の回転軸に沿って運動可能である。
【0016】
幾つかの実施形態では、締付固定部材は第1傾斜面を備えた空所を画定する作動部を含み、運動・締付固定装置は作動部の空所に受容されかつ空所の第1傾斜面と協働するよう構成された第2傾斜面を備えた楔状部材を更に含み、かくして、楔状部材が回転軸に対し直角をなす(直交する)方向において運動するとき、回転軸に対し直角をなす(直交する)方向における楔状部材の運動は回転軸(の方向)における作動部の運動へ変換されることができる。このため、楔状部材は締付固定部材にブレード受容部を締付固定又は解放させるよう駆動されることができる。
【0017】
幾つかの実施形態では、運動・締付固定装置は、更に、第1チャンバ及び第1チャンバと流体連通する第2チャンバを画定しかつ回転部材の回転軸(の方向)において延在(延伸)するハウジングを含み、楔状部材は第1チャンバに受容されかつ回転部材の回転軸に対し直角をなす(直交する)方向において運動可能であり、作動部は第2チャンバに少なくとも部分的に受容されかつ第2チャンバに沿って運動可能である。このため、締付固定部材の運動はハウジングの第2チャンバによって安定的に案内されることができ、かくして、締付(固定)力の分布の均一化(一様化)が容易化される。
【0018】
幾つかの実施形態では、運動・締付固定装置は、更に、回転部材の回転軸に対し直角をなす(直交する)方向においてハウジングの2つの対向壁において回転可能に支持されたスピンドルを含み、スピンドルは雄ネジを備え、楔状部材はスピンドルの雄ネジと螺合する雌ネジを備え、かくして、スピンドルは楔状部材に嵌め込まれかつ楔状部材を回転軸の方向に対し直角をなす(直交する)方向において運動するよう駆動することができる。
【0019】
幾つかの実施形態では、運動・締付固定装置は、更に、第2出力軸を有する第2電動機を含み、第2出力軸はスピンドルに固定的に結合されているか、又は、第2出力軸とスピンドルは一体的に構成されている。このため、締付固定部材は第2電動機によって駆動されることができ、ブレード受容部の締付固定は動力化(自動化)されることができ、ユーザの労力を大きく削減することができる。
【0020】
幾つかの実施形態では、受容溝と開口部はブレード受容部のラック部の延伸(延在)方向においてブレード受容部を貫通して延在(延伸)する。このため、ブレード受容部がラック部の延在(延伸)方向に沿って運動するとき、受容溝は締付固定部材の係合部に対し相対的にラック部の延在(延伸)方向に沿ってスライドする、即ち、締付固定部材はブレード受容部の運動に干渉する(妨げる)ことはない。
【0021】
幾つかの実施形態では、ブレード受容部のラック部の延伸(延在)方向に沿った開口部の断面積(断面)は、ブレード受容部のラック部の延伸(延在)方向に沿った受容溝の断面積(断面)よりも小さい。このため、受容溝と開口部はT形状のスロットを構成することができ、締付固定部材の係合部は開口部に隣接する受容溝の(1つの)壁部に当接し又は該壁部から離隔することができ、これによって、ブレード受容部の締付固定又は解放が達成される。
【0022】
幾つかの実施形態では、ラック部は開口部の内部の2つの対向壁の各々に設けられており、回転部材のギア部は開口部に受容されかつ2つのラック部と噛合する。このため、回転部材のギア部はブレード受容部の2つのラック部の間で安定的に支持されかつ回転されることができ、これによって、運動・締付固定装置の安定性は改善される。
【0023】
本開示の第2の視点の実施形態(複数)は、ミクロトームのためのブレードホルダを提供する。ブレードホルダは、基部、ブレード受容部、枢動部(旋回部)、及び、上記実施形態(複数)の何れかに応じた運動・締付固定装置を含む。ブレード受容部はブレードを受容し、締付固定するよう構成されかつ案内スロットを画定する。枢動部は、案内スロットに嵌合可能な案内レールを備え、ブレード受容部は案内レールの延伸(延在)方向において枢動部にスライド可能に取り付け可能に構成されており、枢動部は基部に取り付けられておりかつ案内レールの延伸方向の周りで枢動(旋回)可能に構成されている。かくして、運動・締付固定装置は枢動部の案内レールに沿ってブレード受容部を運動させること及びブレード受容部を枢動部に対して締付固定することが可能である。
【0024】
本開示の実施形態(複数)に応じたブレードホルダでは、運動・締付固定装置を設けることによって、運動・締付固定装置は、運動構造体と締付固定構造体の統合(組合せ体)を実現可能にしつつ、運動構造体がブレード受容部を運動させることができること及び締付固定構造体がブレード受容部を締付固定できることを(夫々)独立に保証(確保)し、
これによって、ブレードホルダの小型化が容易化され;ブレード受容部の締付固定は動力化(自動化)されることができ、労力を大きく削減することができ;運動・締付固定装置の摩耗を大きく抑制することができ、かくして、ブレードホルダの寿命を長くすることができる。
【0025】
本開示の実施形態(複数)の更なる視点及び利点は、部分的に以下の説明において与えられ、部分的に以下の説明から明らかとなり、又は、本開示の実施形態(複数)の具現化から知得される。
【0026】
本開示の実施形態(複数)のこれらの及び他の視点及び利点は、図面を参照してなされる以下の説明から明らかとなりかつより容易に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本開示の一実施形態に応じたブレードホルダの一例の斜視図。
図2】本開示の一実施形態に応じた運動・締付固定装置の一例の模式図。
図3図2に示した運動・締付固定装置の部分拡大図。
図4図2に示した運動・締付固定装置の斜視図。
【実施例
【0028】
本開示の実施形態(複数)について詳細に説明する。図面を参照してここに説明される実施形態(複数)は説明的、例証的なものであり、本開示を全般的に理解するために使用される。実施形態(複数)は本開示を限定するものと理解されるべきではない。同一又は類似の要素及び同一又は類似の機能を有する要素は本書全体において同じ(類似の)図面参照符号によって表される。
【0029】
本願において、別段の定めないしは限定がない限り、「中央」、「縦」、「横」、「前」、「後」、「右」、「左」、「内部」、「外部」、「下側」、「上側」、「水平」、「垂直」、「上」、「下」、「上方」、「頂部」、「底部」及びこれらの派生語(例えば「水平へ」、「下方へ」、「上方へ」等)のような相対的な用語は、次に説明されるようなないしは議論される図面に示されているような方向に関するものと理解されるべきものである。これらの相対的な用語は、説明の便宜のためのものであり、本開示が特定の方向で構築され又は作動されることを要求していない。
【0030】
本開示の説明においては、別段の定めないしは限定がない限り、用語「取り付けられる(mounted)」、「結合される(connected)」及び「連結される(coupled)」及びこれらの変化形は、広義に使用されており、機械的又は電気的取付け、結合及び連結のようなものを含み、また、2つの構成要素の内的(inner)取付け、結合及び連結であり得、更には、本開示の詳細な実施形態に従って当業者が理解可能な、直接的及び間接的取付け、結合及び連結であり得ると理解されるべきである。
【0031】
更に、「第1」や「第2」のような語句は、本書では説明の目的のために使用されており、相対的な重要性ないし有意性を指示又は示唆すること、又は、示された技術的特徴の個数を示唆することを意図していない。従って、「第1」や「第2」によって規定される特徴は、1つ以上の当該特徴を含み得る。本発明の説明において、用語「複数の」は、別段の定めがない限り、2つ又は3つ以上を意味する。
【0032】
本開示の実施形態(複数)によるミクロトームのブレードホルダ100のための運動・締付固定装置200について、図1図4を参照して以下に詳細に説明する。直交するXYZ軸は説明を容易化し、方向を決定するために示されている。ここで、X軸の正方向は右方向(右向き)でありかつX軸の負方向は左方向(左向き)である;Y軸の正方向は後方向(奥側向き)でありかつY軸の負方向は前方向(手前側向き)である;Z軸の正方向は上方向(上向き)でありかつZ軸の負方向は下方向(下向き)である。
【0033】
本開示の少なくとも1つの実施形態に応じ、ミクロトームのブレードホルダ100のための運動・締付固定装置200について、図1図4を参照して以下に説明する。
【0034】
図1に示されているように、ブレードホルダ100は、一般的に、ブレードを受容しかつ締付固定するよう構成されたブレード受容部120を含む。
【0035】
図2に示されているように、運動・締付固定装置200は、ブレード受容部120を回転部材210の回転軸に対し直角をなす(直交する)方向へ運動するように駆動するよう構成された回転部材210;及び、ブレード受容部120を締付固定又は解放するよう作動するために、回転部材210の回転軸において運動可能に構成された締付固定部材220を含み、回転部材210は締付固定部材220に回転可能に外嵌されている。
【0036】
本開示の実施形態(複数)による運動・締付固定装置200では、回転部材210を締付固定部材220に回転可能に外嵌することによって、運動・締付固定装置200は、運動構造体と締付固定構造体の統合(ないし一体化)を実現可能にする一方で、運動構造体がブレード受容部120を運動可能にすること及び締付固定構造体がブレード受容部120を締付固定可能にすることを(夫々)独立に保証(確保)し、以って、ブレードホルダ100の小型化を容易にする。
【0037】
幾つかの実施形態では、図3に示されているように、回転部材210はギア部212を含み、ブレード受容部120はラック部126を含み、回転部材210のギア部212はブレード受容部120のラック部126と噛合するよう構成されており、かくして、回転部材210は、ブレード受容部120をラック部126の延伸(延在)方向において運動するよう駆動することができる。
【0038】
ギア部212の軸は回転部材210の回転軸を規定し、ブレード受容部120のラック部126の延伸(延在)方向は回転部材210の回転軸に対し直角をなす(直交する)方向と一致し、従って、ブレード受容部120のラック部126の延伸(延在)方向はブレード受容部120の運動方向を規定すると理解することができる。
【0039】
幾つかの実施形態では、図3に示されているように、回転部材210は、ギア部212に固定的に結合されかつギア部212に対し同心に(コアキシャルに)配置されたプーリ部214を含む。そのため、プーリ部214は、ブレード受容部120の運動を達成するために、ギア部を回転させるよう駆動されることができる。
【0040】
幾つかの実施形態では、図3に示されているように、プーリ部214は、ギア部212の直径よりも大きい直径を有する。そのため、ギア部212は、より小さい所要力でのプーリ部214の操作によって駆動されることができ、かくして、ユーザが回転部材210のプーリ部214を手動で操作する場合、労力を削減することができる。
【0041】
幾つかの実施形態では、図3に示されているように、回転部材210は、更に、ギア部212とプーリ部214の間で結合された結合部216を含む。そのため、ギア部212とプーリ部214は回転部材210の回転軸に沿って(互いに対し)離隔されることにより、プーリ部214による噛合したギア部212とラック部126に対する干渉が妨げられ、かくして、運動・締付固定装置200の作動安定性は改善される。
【0042】
幾つかの実施形態では、図3に示されているように、運動・締付固定装置200は、更に、第1電動機260及び駆動プーリ270を含む。第1電動機260は第1出力軸262を備え、駆動プーリ270は、第1電動機260の第1出力軸262の一端部に結合され、かつ、回転部材210のプーリ部214にベルト280を介して駆動可能に結合されている。そのため、回転部材210は第1電動機260によって駆動されることができ、ブレード受容部120の運動は動力化(自動化)され、労力を大きく削減できる。
【0043】
幾つかの代替的実施形態では、回転部材210は、ギア部212に固定的に結合されかつギア部212に対し同心に(コアキシャルに)配置された他のギア部を含む。そのため、この他のギア部は、ブレード受容部120の運動を達成するために、ギア部212を回転させるよう駆動されることができる。
【0044】
幾つかの代替的実施形態では、運動・締付固定装置200は、更に、第1電動機260と駆動ギアを含む。第1電動機260は第1出力軸262を備え、駆動ギアは第1電動機260の第1出力軸262の一端部に結合されかつ回転部材210の他のギア部と噛合することができる。そのため、回転部材210は第1電動機260によって駆動されることができ、ブレード受容部120の運動は動力化(自動化)されることができ、労力を大きく削減することができる。
【0045】
幾つかの実施形態では、図1及び図3に示されているように、ブレード受容部120は開口部124を有する受容溝122を画定し、締付固定部材220は、係合部222及び係合部222に結合された軸部224を含み、係合部222は受容溝122に受容され、軸部224は開口部124を通って受容溝122から延出し、回転部材210のギア部212は締付固定部材220の軸部224に外嵌され、軸部224は、ブレード受容部120を締付固定又は解放するために、係合部222を受容溝122の壁部に当接し又は該壁部から離隔するように動作可能に駆動するよう、回転部材210の回転軸に沿って運動可能である。
【0046】
回転部材210の回転軸(の方向)における受容溝122の空間は締付固定部材210の係合部222の厚みよりも大きく、そのため、係合部222は、受容溝122の内部において回転部材210の回転軸(の方向)において運動することができると理解することができる。
【0047】
幾つかの実施形態では、図3及び図4に示されているように、締付固定部材220は、第1傾斜面2264を備えた空所2262を画定する作動部226を含み、運動・締付固定装置200は、更に、作動部226の空所2262に受容されかつ空所2262の第1傾斜面2264と協働するよう構成された第2傾斜面232を備えた楔状部材230を含み、かくして、楔状部材230が回転軸の方向に対し直角をなす(直交する)方向において運動するとき、回転軸に対し直角をなす方向における楔状部材230の運動は、回転軸(の方向)における作動部226の運動へ変換されることができる。そのため、楔状部材230は、締付固定部材220にブレード受容部120を締付固定又は解放させるよう駆動されることができる。
【0048】
幾つかの実施形態では、図3及び図4に示されているように、運動・締付固定装置200は、更に、第1チャンバ242及び第1チャンバ242と流体連通しかつ回転部材210の回転軸(の方向)において延在する第2チャンバ244を画定するハウジング240を含み、楔状部材230は、第1チャンバ242に受容されかつ回転部材210の回転軸に対し直角をなす(直交する)方向において運動可能であり、作動部226は、第2チャンバ244に少なくとも部分的に受容されかつ第2チャンバ244に沿って運動可能である。そのため、締付固定部材220の運動はハウジング240の第2チャンバ244によって安定的に案内されることができ、以って、締付力の均一な(一様な)分布(の形成)が容易になる。
【0049】
幾つかの実施形態では、図3及び図4に示されているように、運動・締付固定装置200は、更に、回転部材210の回転軸方向に対し直角をなす(直交する)方向においてハウジング240の2つの対向壁に回転可能に支持されたスピンドル250を含み、スピンドル250は雄ネジを備え、楔状部材230はスピンドル250の雄ネジと螺合する雌ネジを備え、かくして、スピンドル250は、楔状部材230に嵌め合わされ(取り付けられ)、楔状部材230を回転軸方向に対し直角をなす方向において運動するよう駆動することができる。
【0050】
楔状部材230とスピンドル250はボールネジペアを構成することができ、そのため、楔状部材230の位置は、楔状部材230が所望の位置へ移動された後、良好に維持されることができ、運動・締付固定装置200の摩耗を大きく抑制(削減)することができると理解することができる。
【0051】
幾つかの実施形態では、図3及び図4に示されているように、運動・締付固定装置200は、更に、第2出力軸292を有する第2電動機290を含み、第2出力軸292はスピンドル250に固定的に結合されるか、又は、第2出力軸292とスピンドル250は一体的に構成される。そのため、締付固定部材220は第2電動機290によって駆動されることができ、ブレード受容部120の締付固定は動力化(自動化)されることができ、ユーザの労力を大きく削減することができる。
【0052】
幾つかの実施形態では、図3及び図4に示されているように、受容溝122と開口部124は、ブレード受容部120のラック部126の延伸(延在)方向においてブレード受容部120を貫通して延伸する。従って、ブレード受容部120がラック部126の延伸(延在)方向に沿って運動するとき、受容溝122は締付固定部材220の係合部222に対し相対的にラック部126の延伸(延在)方向に沿ってスライドすることができる。即ち、締付固定部材220はブレード受容部120の運動に干渉する(運動を妨害する)ことはない。
【0053】
幾つかの実施形態では、図3に示されているように、ブレード受容部120のラック部126の延伸(延在)方向に沿った開口部124の断面積(断面)は、ブレード受容部120のラック部126の延伸(延在)方向に沿った受容溝122の断面積(断面)よりも小さい。そのため、受容溝122と開口部124はT形状のスロットを構成することができ、締付固定部材220の係合部222は開口部124に隣接する受容溝122の壁部に当接し又は該壁部から離隔することができ、かくして、ブレード受容部120の締付固定又は解放を達成することができる。
【0054】
幾つかの実施形態では、図1及び図3に示されているように、ラック部126は開口部124の内部の2つの対向壁の各々に設けられており、回転部材210のギア部212は開口部124に受容され、2つのラック部126と噛合する。そのため、回転部材210のギア部212は、ブレード受容部120の2つのラック部126の間で安定的に支持されかつ回転されることができ、かくして、運動・締付固定装置200の安定性を改善することができる。
【0055】
本開示の少なくとも1つの実施形態に応じ、ミクロトームのためのブレードホルダ100は、基部110、ブレード受容部120、枢動部(旋回部)130、及び、上記の実施形態(複数)の何れかに応じた運動・締付固定装置200を含む。ブレード受容部120は、ブレードを受容し、締付固定するよう構成されており、及び、案内スロット121を画定する。枢動部130は、案内スロット121と嵌合可能な案内レール132を備え、ブレード受容部120は、案内レール132の延伸(延在)方向において枢動部130にスライド可能に取り付けられることができ、枢動部130は基部110に取り付けられかつ案内レール132の延伸(延在)方向の周りで枢動(旋回)可能である。そのため、運動・締付固定装置200は、ブレード受容部120を枢動部130の案内レール132に沿って運動させること、そして、ブレード受容部120を枢動部130に対し締付固定することができる。
【0056】
第2電動機290とハウジング240は枢動部130に固定的に結合され得る、及び、第1電動機260は枢動部130に固定的に結合され得ると理解することができる。幾つかの(実施)例では、ハウジング240の構造は枢動部130に組み込まれ得、第1電動機260及び第2電動機290は枢動部130に受容され得ることにより、ブレードホルダ100の小型化は容易化される。
【0057】
本実施形態の少なくとも1つの代替的実施形態では、ミクロトームのためのブレードホルダ100は、基部110、ブレード受容部120、及び、上記の実施形態(複数)の何れかに応じた運動・締付固定装置200を含む。ブレード受容部120は、ブレードを受容し、締付固定するよう、及び、案内スロット121を画定するよう構成されている。基部110は、案内スロット121に嵌合可能な案内レール132を備え、ブレード受容部120は案内レール132の延伸(延在)方向において基部にスライド可能に取り付けられることができる。そのため、運動・締付固定装置200は、ブレード受容部120を基部110の案内レール132に沿って運動させること、及び、ブレード受容部120を基部110に対して締付固定することができる。
【0058】
第2電動機290とハウジング240は基部110に固定的に結合され得、第1電動機260は基部110に固定的に結合され得ると理解することができる。幾つかの(実施)例では、ハウジング240の構造体は基部110に組み込まれ得、第1電動機260及び第2電動機290は基部110に受容され得ることにより、ブレードホルダ100の小型化は容易化される。
【0059】
本開示の実施形態(複数)に応じたブレードホルダ100では、運動・締付固定装置200を設けることによって、運動・締付固定装置200は運動構造体と締付固定構造体の統合を実現することができると同時に、運動構造体がブレード受容部120を運動させることができること及び締付固定構造体がブレード受容部120を締付固定することを(夫々)独立に保証(確保)し、これによって、ブレードホルダ100の小型化が容易化され;ブレード受容部120の締付固定は動力化(自動化)されることができ、労力を大きく削減することができ;運動・締付固定装置200の摩耗を大きく抑制することができ、かくして、ブレードホルダ100の寿命を長くすることができる。
【0060】
図1図4に示されているように、本開示の特別な一実施形態に応じ、ブレードホルダ100は、基部110、ブレード受容部120、及び、枢動部(旋回部)130を含む。
【0061】
ブレード受容部120は、ブレードを受容し、該ブレードを締付固定するよう構成されている。ブレード受容部120は、枢動部130に取り付けられており、枢動部130に対し相対的に左右方向にスライドすることができる。とりわけ、枢動部130は、該左右方向に延伸(延在)する案内レール132を備え、ブレード受容部120は、案内レール132と嵌合する案内スロット121を画定し、かくして、ブレード受容部120は、枢動部130に対し相対的に該左右方向に沿ってスライドすることができる。枢動部130は基部110に取り付けられており、基部110に対し相対的に該左右方向の(軸の)周りで枢動(旋回)することができる。
【0062】
ブレードホルダ100は、更に、運動・締付固定装置200を含む。運動・締付固定装置200は、回転部材210及び締付固定部材220を含む。回転部材210は、ブレード受容部120を上記の左右方向において運動するように駆動するよう構成されており、締付固定部材220は、該左右方向に対し直角をなす(直交する)方向において運動可能に構成されており、かくして、ブレード受容部120を締付固定し又は解放するよう作動する。
【0063】
とりわけ、回転部材210は、ギア部212、プーリ部214、及び、ギア部212とプーリ部214の間で固定的に結合された結合部216を含む。ギア部212とプーリ部214は、回転部材210の回転軸がギア部の軸及びプーリ部214の軸と一致するよう、同心に(コアキシャルに)配置されている。回転部材210は、更に、ギア部212、プーリ部214及び結合部216を回転部材210の回転軸に沿って貫通して延伸する貫通孔218を画定する。
【0064】
締付固定部材220は、係合部222、軸部224、及び、作動部226を含む。係合部222は矩形状のプレートである。軸部224は、回転部材210の回転軸に平行な軸を有するシリンダ(円柱状部材)である。作動部226は、左右方向に即ち回転部材210の回転軸に対し直角をなす(直交する)方向に延伸する軸を有するシリンダ(円柱ないし円盤状部材)である。係合部222と作動部226は軸部224の2つの端部に夫々固定的に結合されており、かくして、締付固定部材220は実質的に(断面で見て)T形状(ないしH字状)の部材である。軸部224は、回転部材210の貫通孔218を貫通通過する、即ち、回転部材210は締付固定部材220に回転可能に外嵌されている。作動部226は、第1傾斜面2264を備えた空所2262を画定し、第1傾斜面2264は(紙面の)左側から右側に向かって斜め上方に延在する。
【0065】
ブレード受容部120は、開口部124を備えた受容溝122を画定している。受容溝122と開口部124は、上記左右方向においてブレード受容部120を貫通して延在(延伸)し、該左右方向に沿った開口部124の断面積(断面)は、該左右方向に沿った受容溝122の断面積(断面)よりも小さい、即ち、受容溝122と開口部124は実質的に(断面が)T形状のスロットを構成する。係合部222は受容溝122に受容され、軸部224は開口部124を通って受容溝122から延出する。軸部224は、ブレード受容部120を締付固定又は解放するために、係合部222を受容溝122の壁部に当接し又は該壁部から離隔するよう動作可能に駆動するべく回転部材210の回転軸に沿って運動することができる。
【0066】
ブレード受容部120は上記左右方向に延在(延伸)するラック部126を含み、ラック部126は開口部124の内部の2つの対向壁の各々に設けられており、回転部材210のギア部212は開口部124に受容されかつ2つのラック部126と噛合し、かくして、回転部材210は、ブレード受容部120をラック部126の延伸(延在)方向に沿って運動するよう安定的に駆動することができる。
【0067】
運動・締付固定装置200は、更に、楔状部材230を含み、楔状部材230は偏心円錐台状部材(切頂偏心コーン状部材)である。楔状部材230は、作動部226の空所2262に受容され、かつ、作動部226の空所2262の第1傾斜面2264と協働(スライド係合)するよう構成された第2傾斜面232を備え、かくして、楔状部材230が上記左右方向において運動するとき、該左右方向における楔状部材230の運動は、回転軸(の方向)における作動部226の運動へ変換されることができる。
【0068】
運動・締付固定装置200は、第1チャンバ242及び第1チャンバ242と流体連通する第2チャンバ244を画定するハウジング240を含み、楔状部材230は、第1チャンバ242に受容されかつ上記左右方向において運動可能であり、作動部226は、第2チャンバ244に少なくとも部分的に受容されかつ第2チャンバ244に沿って運動可能であり、第2チャンバ244は回転部材210の回転軸(の方向)において延伸(延在)する。
【0069】
運動・締付固定装置200はスピンドル250を含み、スピンドル250は上記左右方向においてハウジング240の2つの対向壁に回転可能に支持されている。スピンドル250は雄ネジを備え、楔状部材230はスピンドル250の雄ネジと螺合する雌ネジを備え、かくして、スピンドル250は、楔状部材230に嵌め合わされ(取り付けられ)、楔状部材230を上記左右方向において運動するよう駆動することができる。
【0070】
運動・締付固定装置200は、第1出力軸262を備えた第1電動機260;及び、第1電動機260の第1出力軸262の一端部に結合されかつ回転部材210のプーリ部214にベルト280を介して駆動可能に結合された駆動プーリ270を含み、かくして、第1電動機は、回転部材210を駆動プーリ270、ベルト280及び回転部材210のプーリ部214を介して回転するよう駆動することができる。
【0071】
運動・締付固定装置200は第2出力軸292を有する第2電動機290を含み、第2出力軸292はスピンドル250に固定的に結合されているか、又は、第2出力軸292とスピンドル250は一体的に構成されており、かくして、第2電動機290は、楔状部材230をスピンドル250を介して上記左右方向において運動するよう駆動することができる。
【0072】
ブレードホルダ100の作動プロセスを以下に簡潔に説明する。
【0073】
ブレード受容部120が上記左右方向において運動する必要がある場合、第2電動機290は楔状部材230を左側へ運動するよう駆動するために回転するよう通電され、かくして、楔状部材230の第2傾斜面232は作動部226の第1傾斜面2264から脱係合(離隔)される。第1電動機260は回転部材210を回転するよう駆動するために回転するよう通電され、回転部材210はブレード受容部120を枢動部130に沿って上記左右方向において運動するよう駆動する。ブレード受容部120が所望の位置に到達すると、第1電動機260は通電停止され、第2電動機290が反対方向に回転するよう通電され、かくして、楔状部材230は右側へ運動するよう駆動される。楔状部材230の第2傾斜面232は作動部226の第1傾斜面2264に接触し、固定部材220は、係合部222に受容溝122の下側壁部を強く(しっかりと)押圧させるために下方に運動するよう駆動され、かくして、ブレード受容部120は枢動部130(上)に締付固定される。そして、第2電動機290は通電停止される。

【0074】
本書全体を通じての「実施形態」、「幾つかの実施形態」、「一実施形態」、「他の(実施)例」、「一(実施)例」、「一特定(実施)例」又は「幾つかの(実施)例」への参照は、実施形態又は(実施)例に関連して説明される(1つの)特定の特徴、構造、材料又は性質が、本開示の少なくとも1つの実施形態又は(実施)例に含まれることを意味する。従って、本書全体を通じて幾つかの箇所において現れる「幾つかの実施形態では」、「一実施形態では」、「実施形態では」、「他の(実施)例では」、「一(実施)例では」、「一特定(実施)例では」又は「幾つかの(実施)例では」のような語句は、必ずしも本開示の同じ実施形態又は(実施)例を指すものではない。更に、特定の特徴(複数)、構造(複数)、材料(複数)又は性質(複数)は、任意の適切な方法で、1つ以上の実施形態又は(実施)例において組み合わせられることが可能である。
【0075】
例示的実施形態を示しかつ説明したが、上記の実施形態は本開示を限定するものと理解されてはならないこと、及び、本開示の精神、原理及び範囲から逸脱しないで実施形態(複数)に対してなされ得る変更、置換及び修正が可能であることは、当業者であれば分かるはずである。
図1
図2
図3
図4