(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】コンタクタ及びそれを備えた電気制御キャビネット
(51)【国際特許分類】
H01H 3/28 20060101AFI20231226BHJP
【FI】
H01H3/28 B
(21)【出願番号】P 2022538763
(86)(22)【出願日】2020-12-24
(86)【国際出願番号】 CN2020139016
(87)【国際公開番号】W WO2021129740
(87)【国際公開日】2021-07-01
【審査請求日】2022-06-22
(31)【優先権主張番号】201911349686.4
(32)【優先日】2019-12-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】594083128
【氏名又は名称】シュネーデル、エレクトリック、インダストリーズ、エスアーエス
【氏名又は名称原語表記】SCHNEIDER ELECTRIC INDUSTRIES SAS
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハン シュー
(72)【発明者】
【氏名】ティアン ハイフェン
(72)【発明者】
【氏名】シア シュエトン
(72)【発明者】
【氏名】シントーメッツ ダニエル
【審査官】片岡 弘之
(56)【参考文献】
【文献】特開昭61-114429(JP,A)
【文献】中国実用新案第205582858(CN,U)
【文献】特開2016-201274(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンタクタであって、
フレームと、
固定接点と、
オン位置とオフ位置との間で移動可能な可動接点であって、前記オン位置では前記可動接点と前記固定接点が接合されて前記コンタクタをオンにし、前記オフ位置では前記可動接点と前記固定接点の接合が解除されて前記コンタクタをオフにする可動接点と、
弾性素子を備え、前記可動接点をオフ位置に向けて偏圧することに用いられるリセット機構であって、前記弾性素子は一体型部材であり、本体部、及び前記本体部の両端に位置する弾性力付勢部材を備え、前記弾性力付勢部材は可動接点の対向する両側に設置されるリセット機構と、を備え
、
前記リセット機構は回転アームをさらに備え、前記回転アームは前記弾性素子の前記本体部の縦方向軸線と同軸の枢動軸線を備えることで、前記回転アームは枢動軸線の周りに枢動可能であり、前記回転アームは第1位置と第2位置との間で枢動可能であり、前記回転アームの枢動は前記可動接点を移動させ、前記第1位置は前記オン位置に対応し、前記第2位置は前記オフ位置に対応し、前記弾性力付勢部材により施される弾性力は回転アームを第2位置に向けて偏圧するコンタクタ。
【請求項2】
弾性素子はねじりばねであり、前記弾性力付勢部材はねじりアームであり、前記ねじりばねは、縦方向軸線を有する本体部と、本体部から延出する中間支持脚と、前記本体部の両端に位置するねじりアームとを備え、前記ねじりアームは可動接点の対向する両側に設けられる請求項1に記載のコンタクタ。
【請求項3】
前記ねじりアームは同じ方向に沿って互いに平行に延出している請求項2に記載のコンタクタ。
【請求項4】
前記コンタクタは作動機構をさらに備え、前記作動機構はコイルを備え、コイルが通電するとき、作動機構はリセット機構により施される偏圧力を克服してオン位置に移動するように可動接点を作動させ、コイルが非通電のとき、前記リセット機構は可動接点をオフ位置に戻す請求項1に記載のコンタクタ。
【請求項5】
前記回転アームは下向きの凹座を備え、前記弾性素子の本体部は少なくとも部分的に前記凹座内に収容される請求項
1に記載のコンタクタ。
【請求項6】
前記凹座は弧状であり、前記凹座の長さは少なくとも本体部の長さに等しい請求項
5に記載のコンタクタ。
【請求項7】
前記凹座は半円形である請求項
6に記載のコンタクタ。
【請求項8】
前記コンタクタは可動接点ブラケットをさらに備え、可動接点ブラケットとともに固定接点に対して移動するように、可動接点は前記可動接点ブラケットに取り付けられ、前記可動接点ブラケットは前記回転アームに枢動可能に取り付けられ、前記可動接点ブラケットの枢動軸線と前記回転アームの枢動軸線は平行であり、且つ間隔をあけている請求項1
から請求項4のいずれか一項に記載のコンタクタ。
【請求項9】
前記フレームにガイド部品が設けられ、前記可動接点ブラケットに嵌合ガイド部品が設けられ、それによりオン位置とオフ位置との間での可動接点ブラケットの移動をガイドする請求項
8に記載のコンタクタ。
【請求項10】
前記ガイド部品は細長い溝及び細長い溝内に設けられるピンのうちの一方であり、前記嵌合ガイド部品は細長い溝及び細長い溝内に設けられるピンのうちの他方である請求項
9に記載のコンタクタ。
【請求項11】
前記ガイド部品はレール及びレール上を移動するスライダーのうちの一方であり、前記嵌合ガイド部品はレール及びレール上を移動するスライダーのうちの他方である請求項
9に記載のコンタクタ。
【請求項12】
前記本体部は第1本体部及び第2本体部を備え、前記第1本体部と第2本体部は同じ縦方向軸線を有し、前記
中間支持脚は第1本体部と第2本体部との間に位置する請求項2
または請求項3に記載のコンタクタ。
【請求項13】
前記フレームに支持部が設けられ、前記ねじりばねの中間支持脚は支持部に当接する請求項2
または請求項3に記載のコンタクタ。
【請求項14】
回転アームはボディー部、及びボディー部の両側から延出するアーム部を有し、前記弾性力付勢部材は対応するアーム部の内側の係合部に係止される請求項
1に記載のコンタクタ。
【請求項15】
ねじりばねの本体部の縦方向軸線に垂直な平面での前記ねじりアームと前記
中間支持脚の投影がなす角度は90°以上である請求項2
または請求項3に記載のコンタクタ。
【請求項16】
請求項1
から請求項15のいずれか一項に記載のコンタクタを備える電気制御キャビネット。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本願は、2019年12月24日に中国特許庁に提出された中国出願CN201911349686.4の優先権を主張する。
【技術分野】
【0002】
本開示の実施例はコンタクタ及び該コンタクタを備えた電気制御キャビネットに関する。
【背景技術】
【0003】
広義には、コンタクタとは、産業用電力では、コイルを使用して電流を流し、磁場を発生させて接点をオンにすることで負荷を制御する電気機器を指す。コンタクタは、電力、配電及びほかの電力消費の場合に適用される。電気工学では、交流と直流主回路を迅速に遮断し且つ大電流制御回路を頻繁にオン/オフにすることができるため、モーターの制御によく使用されており、工場設備、電気ヒーター、工作機械及び様々な電力ユニットなどの電気負荷の制御にも使用でき、コンタクタは回路をオン/オフにすることができるだけでなく、低電圧解除保護効果も備えている。コンタクタは制御容量が大きく、頻繁な操作及び長距離制御に適用でき、自動制御システムの重要な素子の1つである。
【0004】
コンタクタのコイルが非通電のとき、コンタクタのリセット装置がコンタクタをオフ状態に戻す。一般的に使用されるリセット装置は、コンタクタの可動接点ユニットと固定接点ユニットとの間に取り付けられる圧縮ばねであるリセットばねであり、オフ位置に向ける偏圧力を提供する。コンタクタのコイルが非通電のとき、リセットばねの偏圧力はコンタクタの可動接点ユニットをオフ位置に移動させ、コンタクタのコイルが通電するとき、電磁力はリセットばねの偏圧力を克服して可動接点ユニットを固定接点ユニットに接触するオン位置に入らせる。従来の製品では、圧縮ばねは中間に配置された1つの圧縮ばねであり得る。別の従来の製品では、圧縮ばねは左右対称に配置された2つの圧縮ばねであり得る。配置形態にかかわらず、磁石の中間又は側面には圧縮ばねを取り付けるためのスペースを残す必要があり、従って、圧縮ばねを取り付けるために余分な幅又は深さが必要である。そして、交流コンタクタは、通常、三相交流回路に用いられ、コンタクタをオン/オフにするとき、三相同期が必要である。しかしながら、上記のように圧縮ばねを使用してコンタクタをオフにする製品は、三相バランスを実現することが困難である場合がよくあり、従って、特に第1相と第3相は非同期である。小さいコンタクタの場合、この現象はそれほど明らかではない。しかし、大型コンタクタの場合、復元力も磁石の重力も大きいため、三相非同期問題は明らかである。
【0005】
また、従来の高出力コンタクタはねじりばねを使用する。可動接点ユニットは、ピボット付きのブラケットに取り付けられることで、オン位置とオフ位置との間で枢動可能な可動接点を備える。ブラケットの両側にそれぞれ2つのねじりばねが設けられ、ねじりばねの支持脚はブラケットの両側の接合部位に延出し、それによりブラケットにオフ位置に向けて枢動する偏圧力を提供する。2つのねじりばねは2つの同軸のスリーブ内に取り付けられ、取り付け時、2つのスリーブの間に位置する固定端が互いに対して位置決めされることで、2つのねじりばねはブラケットの両側でブラケットにほぼ同じ偏圧力を提供する。それにより、コンタクタのコイルが非通電のとき、2つのねじりばねの偏圧力はコンタクタの可動接点ユニットをオフ位置に移動させる。しかしながら、このような配置には問題があり、まず、取り付けは複雑であり、特に2つのねじりばねのスリーブ内での視野無し取り付け及び互いの位置決めは複雑であり、次に、このような装置の対称性は確保できず、場合によっては、ある程度のアンバランス問題、つまり三相非同期の問題がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を克服又は少なくとも部分的に軽減するために、本発明を提案する。
【0007】
第1態様によれば、本発明はコンタクタを開示し、フレームと、固定接点と、オン位置とオフ位置との間で移動可能な可動接点であって、前記オン位置では前記可動接点と前記固定接点が接合されて前記コンタクタをオンにするが、前記オフ位置では前記可動接点と前記固定接点の接合が解除されて前記コンタクタをオフにする可動接点と、弾性素子を備え、前記可動接点をオフ位置に向けて偏圧することに用いられるリセット機構であって、前記弾性素子は一体型部材であり、本体部、及び前記本体部の両端に位置する弾性力付勢部材を備え、前記弾性力付勢部材は可動接点の対向する両側に設置されるリセット機構と、を備える。一体型弾性素子を使用して可動接点の対向する両側で弾性力を付勢することにより、よりバランスの取れた移動が実現される。
【0008】
好適には、弾性素子はねじりばねであり、前記弾性力付勢部材はねじりアームであり、前記ねじりばねは、縦方向軸線を有する本体部と、本体部から延出する中間支持脚と、前記本体部の両端に位置するねじりアームとを備え、前記ねじりアームは可動接点の対向する両側に設けられる。両側にねじりアームを備えた一体型反力ばねを使用することにより、ばねの取り付けがより容易になり、両側のねじりアームの反力がよりバランスよくなり、各相非同期の問題が改善される。
【0009】
好適には、ねじりアームは同じ方向に沿って互いに平行に延出している。好適には、コンタクタは作動機構をさらに備え、前記作動機構はコイルを備え、コイルが通電するとき、作動機構はリセット機構により施される偏圧力を克服してオン位置に移動するように可動接点を作動させ、コイルが非通電のとき、前記リセット機構は可動接点をオフ位置に戻す。
【0010】
好適には、リセット機構は回転アームをさらに備え、前記回転アームは前記ねじりばねの本体部の縦方向軸線と同軸の枢動軸線を備えることで、前記回転アームは枢動軸線の周りに枢動可能であり、前記回転アームは第1位置と第2位置との間で枢動可能であり、前記回転アームの枢動は前記可動接点を移動させ、前記第1位置は前記オン位置に対応し、前記第2位置は前記オフ位置に対応し、前記弾性力付勢部材により施される弾性力は回転アームを第2位置に向けて偏圧する。一体型弾性素子が回転アームを駆動し、さらに可動接点を移動させることにより、より確実でよりバランスの取れた力分布及び可動接点の移動が実現される。
【0011】
好適には、回転アームは下向きの凹座を備え、前記弾性素子の本体部は少なくとも部分的に前記凹座内に収容される。それにより、このような構造では、ねじりばねが簡単に凹座内に上向きに配置でき、取り付けステップが簡素化され、従来技術で視野無し取り付けを行わざるを得ず、取り付けが困難であるという問題が解消される。
【0012】
好適には、凹座は弧状であり、前記凹座の長さは少なくとも本体部の長さに等しい。好適には、前記凹座は半円形である。凹座の形状がねじりばねの本体部の略円形形状に対応することで、ねじりばねの形状によりよくマッチングし、より良い取り付け及び制限機能を実現することができ、それにより安定的、確実でバランスの取れた力出力機構が提供され、さらに各相非同期の問題が改善される。
【0013】
好適には、コンタクタは可動接点ブラケットをさらに備え、可動接点ブラケットとともに固定接点に対して移動するように、可動接点は前記可動接点ブラケットに取り付けられ、前記可動接点ブラケットは前記回転アームに枢動可能に取り付けられ、前記可動接点ブラケットの枢動軸線と前記回転アームの枢動軸線は平行であり且つ間隔をあけている。それにより可動接点の移動は二重枢動を重ね合わせることによって行われ、ブラケットの移動自由度が高く、ガイド部材に十分に嵌合する効果を提供することができる。好適には、前記フレームにはガイド部品が設けられ、前記可動接点ブラケットに嵌合ガイド部品が設けられ、それによりオン位置とオフ位置との間での可動接点ブラケットの移動をガイドする。ガイド部品が設けられることにより、可動接点の移動がよりバランスよく制御可能になり、さらに三相非同期の問題が改善される。好適には、前記ガイド部品は細長い溝及び細長い溝内に設けられるピンのうちの一方であり、前記嵌合ガイド部品は細長い溝及び細長い溝内に設けられるピンのうちの他方である。好適には、前記ガイド部品はレール及びレール上を移動するスライダーのうちの一方であり、前記嵌合ガイド部品はレール及びレール上を移動するスライダーのうちの他方である。
【0014】
好適には、前記本体部は第1本体部及び第2本体部を備え、前記第1本体部と第2本体部は同じ縦方向軸線を有し、前記支持脚は第1本体部と第2本体部との間に位置する。中間に位置する支持脚はさらに対称的でバランスの取れた移動出力を提供し、さらに各相非同期の問題を改善する。
【0015】
好適には、フレームに支持部が設けられ、前記ねじりばねの中間支持脚は支持部に当接する。好適には、回転アームはボディー部、及びボディー部の両側から延出するアーム部を有し、前記弾性素子出力部は対応するアーム部の内側の係合部に係止される。それにより、ねじりばねは2つのねじりアームの係合位置及び中間支持脚の計3箇所で支持され、下方を向く凹座では凹座と本体部との嵌合によって制限され、ねじりばねの確実な位置決めが実現される。
【0016】
好適には、ねじりばねの本体部の縦方向軸線に垂直な平面でのねじりアームと前記支持脚の投影がなす角度は90°以上である。該角度により、ねじりアーム及び支持脚でのねじりばねの確実な支持を実現し、十分なトルクを提供し、重力、衝撃などによるねじりばねの落下を防止することができる。
【0017】
第2態様によれば、本発明は、上記いずれかに記載のコンタクタを備える電気制御キャビネットを提供する。
図面の簡単な説明
【0018】
本開示の実施例の技術的解決手段をより明確に説明するために、以下、実施例に使用される必要がある図面を簡単に説明し、理解できるように、以下の図面は単に本開示の特定のいくつかの実施例を示し、従って、保護範囲を限定するものとみなされるべきではなく、当業者であれば、創造的な努力をせずに、これらの図面に基づいてほかの関連図面を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は本発明によるコンタクタの一部の上面図を示す。
【
図2】
図2は本発明の実施例によるねじりばねの斜視図を示す。
【
図3】
図3は本発明の実施例によるねじりばねの正面図を示す。
【
図4】
図4は本発明の実施例によるコンタクタの一部の模式図を示す。
【
図5】
図5はねじりばねと回転アームとの嵌合関係を示す模式図である。
【
図6】
図6は回転アームと可動接点ブラケットとの嵌合関係を示す模式図である。
【
図7】
図7は可動接点ブラケットとフレームとの嵌合関係を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本開示の実施例の目的、技術的解決手段及び利点をより明確にするために、以下、本開示の実施例の図面を参照しながら本開示の実施例の技術的解決手段を明確かつ完全に説明する。明らかなように、説明される実施例は本開示の一部実施例であり、すべての実施例ではない。たとえば、当業者が理解できるように、本開示の各実施例の特徴を互いに組み合わせることができ、組み合わせられた実施形態も本開示の範囲に属する。説明された本開示の実施例に基づいて、当業者が創造的な努力をせずに想到し得るほかの実施例はすべて本開示の保護範囲に属する。
【0021】
別途定義されていない限り、本開示で使用される技術用語又は科学用語は当業者が理解する通常の意味であるべきである。本開示で使用される「第1」、「第2」及び類似する単語はいかなる順序、数量又は重要性を示さず、単に異なる構成部分を区別することに用いられる。「備える」又は「含む」などの類似する単語とは、該単語の前に出現する素子又は部品が該単語の後ろに挙げられた素子又は部品及びその同等物をカバーするが、ほかの素子又は部品を排除しないことを意味する。「上」、「下」、「左」、「右」などは単に相対的な位置関係を示すことに用いられ、説明対象の絶対位置が変化すると、該相対的な位置関係もその分変化する。
【0022】
図1は一実施例によるコンタクタ10の一部の上面図を示す。図示される部分は可動接点及びその動作関連機構を含む部分である。図示するように、コンタクタ10はフレーム16、フレームに取り付けられる可動接点ブラケット13及び回転アーム14を備える。可動接点は該可動接点ブラケット13の連動部材に取り付けられる。可動接点ブラケット13は可動接点をオン位置とオフ位置との間で移動させることが可能である。回転アーム14は、フレーム16に枢動可能に取り付けられ、ボディー部、及びボディー部の両側から延出するアーム部を備える。
【0023】
図2及び
図3は本実用新案の一実施例によるねじりばね12を示す。ねじりばね12は第1本体部121(図中の右側の本体部を参照)と第2本体部122(図中の左側の本体部を参照)とを備える。第1本体部121及び第2本体部122はねじりばねの力蓄積機構であり、本実施例では、図示するように、筒状巻線である。第1本体部121は、第2本体部122の縦方向軸線にほぼ位置合わせされる縦方向軸線Lを限定する。第1本体部121。中間支持脚125は第1と第2本体部121、122の間に設けられる。第1本体部121と第2本体部122の中間側は中間支持脚125によって一体に接続される。第1本体部121と第2本体部122の中間側から離れた端部にはそれぞれ第1ねじりアーム123(図中の右側のねじりアームを参照)及び第2ねじりアーム124(図中の右側のねじりアームを参照)が設けられる。第1ねじりアーム123と第2ねじりアーム124は長さが同じであり、互いに対称的に配置される。示される実施例では、第1ねじりアーム123と第2ねじりアーム124は同じ角度で延出し、それにより第1ねじりアーム123と第2ねじりアーム124は互いに平行である。ねじりばね12の各部分は一体型シングルトン構造を形成する。また、図示するように、ねじりばね12の各部分は第1及び第2本体部121、122の縦方向軸線Lに垂直で且つ接続部分を等分する平面Aに対して左右対称に配置される。つまり、接続部125の左半分と右半分は平面Aに対して対称であり、第1本体部121と第2本体部122は平面Aに対して対称的に配置され、且つ第1ねじりアーム123と第2ねじりアーム124は平面Aに対して対称的に配置される。
【0024】
図4はコンタクタの一部の模式図を示し、ねじりばね12の取り付け関係を示す。回転アームはピボット146によってフレーム16に枢動可能に取り付けられる。回転アーム12は下方を向く半円形凹座142を有し、ねじりばね12の第1及び第2本体部121、122を収容することに用いられる。実際には、半円形凹座142は第1及び第2本体部121、122の略半分のみを収容することがわかる。中間支持脚125は回転アーム14の後部から延出し(回転アームのアーム部の延出方向を前とする場合)、フレームの支持部162の支持面163に当接する。アーム部の内側には、上向きに開放するノッチを有する係合部148が設けられる。ねじりばね12のねじりアーム123、124は回転アーム14のアーム部の内側に沿って延伸し、アーム部の内側に設けられた係合部148のノッチに係止されることによりアーム部148に固定される。係合部148はねじりアームの横方向位置を固定するとともに、下方からねじりアームを支持する。凹座142は形状マッチングによってねじりばねの移動を防止する。しかし、凹座142自体の点から、ねじりばね12の下向き移動が可能であり、それにより凹座142はねじりばね12を簡単に所定の位置に上向きに取り付けることができる。支持部162は、落下を防止するように支持脚125を支持する。それにより、ねじりばね12は回転アーム14の係合部148、凹座142及びフレーム16の支持部162によって所定の位置に保持される。示される実施例では、
図4の視点から見て(すなわち、回転アーム14の枢動軸線に垂直な平面において)、ねじりばね12のねじりアーム123、124と支持脚とがなす角度は110°である。それにより、ねじりばね12に対する支持脚125、2つの係合部148の3点支持を実現することが確保されるとともに、凹座142はねじりばね12を制限する。
【0025】
図4に示すように、回転アーム14のアーム部の自由端にはスルーホール144がさらに設けられる。
図6に示すように、可動接点ブラケット13には対応するスルーホール131が設けられ、軸15はスルーホール131及びスルーホール144を貫通し、それにより可動接点ブラケットは軸15によって回転アーム14にヒンジ連結される。
図5に示すように、回転アーム14は下方を向く半円形凹座を有し、ねじりばね12は下方から回転アーム14に取り付けられる。
図7に示すように、軸15の端部がフレーム16の長孔161内に伸び込み、それにより可動接点ブラケット13がオン位置とオフ位置との間で移動するとき、長孔161が軸15の端部をガイドして長孔161内を移動させることが確保される。フレームにレール164がさらに設けられ、可動接点ブラケットにスライダー132が設けられる。スライダー132はレール164に取り付けられ、それによりレール164はスライダーの移動をガイドし、さらに可動接点ブラケット13の移動をガイドする。回転アーム14のピボットはボディー部の両側に位置する短軸146であり、フレームの対応するレセプタクル内に枢動可能に取り付けられてもよい。また、明らかなように、回転アーム14のボディー部の後側の、中間支持脚に対応する位置に窪み部143が存在する。中間支持脚125が支持部に当接してさらに移動できないため、回転アーム14が中間支持脚125に向けて移動するとき、該窪み部143は中間支持脚125を少なくとも部分的に収容することに用いられ得る。このような構造により、回転アーム14が枢動過程で中間支持脚125を押し出すこと、及び/又は中間支持脚125によって阻止されることを回避できる。
【0026】
本実施例では、ねじりばね12を取り付けるとき、底部からねじりばね12の本体部を上向きに半円形凹座142内に入れるだけでよく、この過程は視認可能な場合に行われ、従って非常に容易になる。次に、2つのねじりアーム123、124をそれぞれ両側の係合部148に係止し、次に回転アーム14の短軸146をフレームの対応するレセプタクル、この実施例では、取付孔165内に配置する。このとき、ねじりばね12の中間支持脚125は支持部162の支持面163に当接して適切に変形する。
【0027】
示される実施例では、弾性素子としてねじりばねを使用するが、実際には、ほかの弾性素子も可能であり、弾性素子は本体部、及び本体部の両端に位置する対称的な弾力付勢部材を備える一体型部材であればよく、たとえば、このような構造を有する板ばねなどが挙げられる。このような構造により、一体型弾性素子が可動接点の両側から弾性力を施すことを可能にし、移動がよりバランスよくなる。
【0028】
示される実施例では、ねじりばねのねじりアームは上から下に係合部のノッチ内に係合されるが、ほかの適切な構造も可能であり、下方からねじりアームを安定的に支持し、ねじりアームにより施されるトルクが回転アーム全体を回転させることができればよく、たとえば、係合部は回転アーム14に位置してもよく、軸15に直接位置してもよい。短軸146は回転アーム14を貫通する長い貫通軸で代替されてもよい。
【0029】
示される実施例では、凹座は半円形であり、略円形のねじりばね本体部を収容する。当業者が理解できるように、凹座の表面は完全なものではなく、部分的にくり抜かれていてもよく、ねじりばね本体部の収容及びある程度の制限機能を実現できればよい。また、凹座は半円形ではなく、180°未満の弧状であってもよく、このような弧状構造によってねじりばね本体部を部分的に収容し且つある程度の制限機能を実現することができればよい。180°よりも大きいもの、たとえば、やや大きいものであってもよく、視野無し取り付けが不要で、ねじりばねを下側から該空間に入れことができればよい。従って、好適には、弧状凹部に対応する角度は150°~200°であってもよい。
【0030】
示される実施例では、ねじりばねの支持脚とねじりアームとの間の角度は110°であるが、ねじりばねの落下を防止するように3点支持を実現できるいずれの角度も可能である。好適には、ねじりばねの本体部の縦方向軸線に垂直な平面においてねじりばねの支持脚とねじりアームがなす角度は90°以上である。好適には、当該角度は90°~145°である。より好適には、角度は100°~120°である。
【0031】
実施例では、示される支持部はフレームに形成されたボスによって形成されるが、これに限定されず、支持部はフレーム壁などのいずれの構造であってもよく、適切な支持面を有するものであればよい。好適には、少なくとも部分的に上を向く成分を有する支持を実現するように、該支持面の角度は90°以上である。
【0032】
本開示の範囲は上記説明された実施形態ではなく、添付特許請求の範囲及びその同等範囲によって定められる。
【符号の簡単な説明】
【0033】
10コンタクタ 131スルーホール
12反力ばね(ねじりばね) 132スライダー
13可動接点ブラケット 142凹座
14回転アーム 143窪み部
15軸 144スルーホール
16フレーム 146短軸
121第1本体部 148係合部
122第2本体部 161長孔
123第1ねじりアーム 163支持面
124第2ねじりアーム 162支持部
125中間支持脚 164レール
165取付孔