(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】滅菌プロセスからのエチレンオキシドの回収
(51)【国際特許分類】
A61L 2/20 20060101AFI20231226BHJP
A61L 2/24 20060101ALI20231226BHJP
F25J 3/06 20060101ALI20231226BHJP
F25J 3/08 20060101ALI20231226BHJP
B01D 53/26 20060101ALI20231226BHJP
C07D 301/32 20060101ALI20231226BHJP
B01D 5/00 20060101ALI20231226BHJP
A61L 101/38 20060101ALN20231226BHJP
A61L 101/44 20060101ALN20231226BHJP
【FI】
A61L2/20 104
A61L2/24
F25J3/06
F25J3/08
B01D53/26 100
C07D301/32
B01D5/00 Z
A61L101:38
A61L101:44
(21)【出願番号】P 2022539679
(86)(22)【出願日】2020-06-22
(86)【国際出願番号】 US2020038881
(87)【国際公開番号】W WO2021145919
(87)【国際公開日】2021-07-22
【審査請求日】2022-07-26
(32)【優先日】2020-06-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2020-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】522256336
【氏名又は名称】ダフ,ジョセフ
(73)【特許権者】
【識別番号】522256347
【氏名又は名称】パガネシ,ジョセフ
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダフ,ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】パガネシ,ジョセフ
【審査官】松原 宜史
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2019/0275184(US,A1)
【文献】特開昭60-019778(JP,A)
【文献】米国特許第03549312(US,A)
【文献】特開2010-179061(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 2/00- 2/28
A61L 11/00-12/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
滅菌プロセスにおいてエチレンオキシドを使用する滅菌室の排出ガス流からエチレンオキシドを回収する方法であって、エチレンオキシドを回収する前記方法が、
前記排出ガス流を加圧して、加圧されたガス流を生成するステップと、
前記加圧されたガス流を乾燥させて、水分を除去し、それによって、乾燥ガス流を生成するステップと、
前記乾燥ガス流を濾過して、任意の粒子状不純物を除去し、それによって、濾過されたガス流を生成するステップと、
前記濾過されたガス流を、前記濾過されたガス流からのエチレンオキシドを凝縮させる温度まで冷却し、それによって、第1の凝縮液体エチレンオキシド流および第1の排出ガス流を生成するステップと、
再循環および再利用のために、前記第1の凝縮液体エチレンオキシド流を収集するステップと、
前記第1の排出ガス流を処理および排出するステップと、
前記排出ガス流中、前記加圧されたガス流中、前記乾燥ガス流中、および前記濾過されたガス流中に温度センサを導入して、これらのガス流の温度を判定するステップと、
前記排出ガス流中、前記加圧されたガス流中、前記乾燥ガス流中、および前記濾過されたガス流中に圧力センサを導入して、これらのガス流の圧力を判定するステップと、
前記排出ガス流中、前記加圧されたガス流中、前記乾燥ガス流中、および前記濾過されたガス流中にエチレンオキシドセンサを導入して、これらのガス流のエチレンオキシド含有量を判定するステップと、をさらに含み、
前記ガス流の前記圧力、温度、およびエチレンオキシド含有量を、前記乾燥ガス流がエチレンオキシド凝縮を達成するための冷却要件を決定する制御システムによって受信する、エチレンオキシドを回収する方法。
【請求項2】
前記排出ガス流を圧縮器によって加圧するステップと、
前記濾過されたガス流をチラーによって冷却するステップと、
制御システムによって前記圧縮器および前記チラーを制御するステップであって、前記制御システムが、前記温度センサから温度読み取り値、前記圧力センサから圧力読み取り値、および前記エチレンオキシドセンサからエチレンオキシド読み取り値を取得して、前記エチレンオキシド
の凝縮を達成するための、前記排出ガス流を加圧するための圧力、および前記濾過されたガス流を冷却する温度を決定する、ステップと、をさらに含む、請求項
1に記載のエチレンオキシドを回収する方法。
【請求項3】
前記制御システムが、直近の読み取り値を取得し、前記エチレンオキシド
の凝縮を達成するために、前記加圧されたガス流の前記エチレンオキシド含有量に応じて、直ちに前記圧力および温度を調整する、請求項
2に記載のエチレンオキシドを回収する方法。
【請求項4】
前記第1の排出ガス流をさらに凝縮し冷却して、前記第1の排出ガス流中のエチレンオキシドを凝縮させ、それによって第2の凝縮液体エチレンオキシド流および第2の排出ガス流を生成するステップと、
再利用のために、前記第2の凝縮液体エチレンオキシド流を収集するステップと、
第2の排出ガス流をさらに冷却して、前記第2の排出ガス流中のエチレンオキシドを凝縮し、それによって第3の凝縮液体エチレンオキシド流および第3の排出ガス流を生成するステップと、
再利用のために、前記第3の凝縮液体エチレンオキシド流を収集するステップと、
前記第3の排出ガス流を処理し、排出するステップと、
をさらに含む、請求項1に記載のエチレンオキシドを回収する方法。
【請求項5】
前記第2の排出ガス流を熱交換器に誘導するステップと、
前記第3の排出ガス流を前記熱交換器に誘導して、前記第2の排出ガス流を冷却し、それによって、前記方法の冷却負荷要件を低減するステップと、をさらに含む、請求項
4に記載のエチレンオキシドを回収する方法。
【請求項6】
前記加圧されたガス流をふるい乾燥器で乾燥させるステップと、
前記第3の排出ガス流を加熱するステップと、
前記第3の排出ガス流を前記ふるい乾燥器に誘導するステップと、
前記第3の排出ガス流を前記ふるい乾燥器を通して逆流させて、溜まった水分を除去し、前記ふるい乾燥器を再生するステップと、をさらに含む、請求項
5に記載のエチレンオキシドを回収する方法。
【請求項7】
滅菌プロセスにおいてエチレンオキシドを使用する滅菌室のベントガス流からエチレンオキシドを回収する方法であって、前記方法が、
前記ベントガス流を14.7~30psiaの動作圧力まで加圧するステップと、
前記ベントガス流を乾燥させて水分を除去し、乾燥ガス流を生成するステップと、
前記乾燥ガス流を濾過して任意の粒子状不純物を除去し、濾過されたガス流を生成するステップと、
前記濾過されたガス流を第1の温度まで冷却して、前記加圧されたガス流からエチレンオキシドの第1の部分を凝縮させ、それによって、第1の凝縮液体エチレンオキシド流および第1の排出ガス流を生成するステップと、
再利用のために、前記第1の凝縮液体エチレンオキシド流を収集するステップと、
前記第1の排出ガス流を加圧して、第2の加圧されたガス流を生成するステップと、
前記第2の加圧されたガス流を第2の温度まで冷却して、前記第2の加圧されたガス流からエチレンオキシドの第2の部分を凝縮させ、それによって、第2の凝縮液体エチレンオキシド流および第2の排出ガス流を生成するステップと、
再利用のために、前記第2の凝縮液体エチレンオキシド流を収集するステップと、
前記第2の排出ガス流をさらに冷却し凝縮して、前記第2の排出ガス流から残りのエチレンオキシドを凝縮し、それによって、第3の凝縮液体エチレンオキシド流および第3の排出ガス流を生成するステップと、
再利用のために、第3の凝縮エチレンオキシド流を収集するステップと、
前記第3の排出ガス流を処理し、排出するステップと、
前記ベントガス流、前記加圧されたガス流、前記乾燥ガス流、前記濾過されたガス流、前記第1の排出ガス流、前記第2の排出ガス流、および前記第3の排出ガス流に温度センサを導入して、これらのガス流の温度を判定するステップと、
前記ベントガス流、前記加圧されたガス流、前記乾燥ガス流、前記濾過されたガス流、前記第1の排出ガス流、前記第2の排出ガス流、および前記第3の排出ガス流に圧力センサを導入して、これらのガス流の圧力を判定するステップと、
前記ベントガス流、前記加圧されたガス流、前記乾燥ガス流、前記濾過されたガス流、前記第1の排出ガス流、前記第2の排出ガス流、および前記第3の排出ガス流にエチレンオキシドセンサを導入して、これらのガス流のエチレンオキシド含有量を判定するステップと、
前記温度センサ、前記圧力センサ、および前記エチレンオキシドセンサと通信して前記温度、圧力、およびエチレンオキシド含有量を監視する制御システムを提供するステップと、をさらに含み、
前記加圧されたガス流、前記第1の排出ガス流、および第2の排出ガスの冷却要件を決定し、エチレンオキシド凝縮を達成するために、前記ガス流の前記圧力、温度、およびエチレンオキシド含有量を前記制御システムによって受信する、エチレンオキシドを回収する方法。
【請求項8】
前記ベントガス流を圧縮器によって加圧するステップと、
前記加圧されたガス流を分子ふるい乾燥器によって乾燥させるステップと、
前記乾燥ガス流をフィルタによって濾過するステップと、
前記濾過されたガス流をチラーによって冷却するステップと、
前記第1の排出ガス流を第1の熱交換器によって冷却するステップと、
前記第2の排出ガス流を第2の熱交換器によって冷却するステップと、
前記制御システムによって前記圧縮器、前記チラー、前記第1の熱交換器、および前記第2の熱交換器を制御するステップであって、前記制御システムが、前記温度センサから温度読み取り値、前記圧力センサから圧力読み取り値、および前記エチレンオキシドセンサからエチレンオキシド読み取り値を取得して、エチレンオキシド
の凝縮を達成するための、前記濾過されたガス流を加圧するための圧力と、前記加圧されたガス流、前記第1の排出ガス流、および前記第2の排出ガス流を冷却する温度とを決定する、ステップと、をさらに含む、請求項
7に記載のエチレンオキシドを回収する方法。
【請求項9】
前記第2の排出ガス流を前記第2の熱交換器に誘導するステップと、
前記第3の排出ガス流を前記第2の熱交換器に誘導して、前記第2の排出ガス流を冷却し、それによって、前記方法の冷却負荷要件を低減するステップと、をさらに含む、請求項
8に記載のエチレンオキシドを回収する方法。
【請求項10】
前記加圧されたガス流をふるい乾燥器において乾燥させるステップと、
前記第3の排出ガス流を加熱するステップと、
前記第3の排出ガス流を前記ふるい乾燥器に誘導するステップと、
前記第3の排出ガス流を前記ふるい乾燥器を通して逆流させて、溜まった水分を除去し、前記ふるい乾燥器を再生するステップと、をさらに含む、請求項
8に記載のエチレンオキシドを回収する方法。
【請求項11】
第1の乾燥器および第2の乾燥器を提供するステップであって、前記第1の乾燥器および第2の乾燥器が、前記制御システムによって監視かつ制御される、ステップと、
前記制御システムによって制御される3方向バルブを提供するステップであって、吸入バルブが前記ベントガス流を受け入れ、第1の出口バルブが前記ベントガス流を前記第1の乾燥器に誘導し、第2の出口バルブが前記ベントガス流を前記第2の乾燥器に誘導する、ステップと、
前記第1の乾燥器または第2の乾燥器が、最適な乾燥状態であるか、または再生状態であるかを判定する、ステップと、
前記最適な乾燥状態にあるかに応じて、前記ベントガス流を前記第1の乾燥器または前記第2の乾燥器のいずれかに誘導する、ステップと、をさらに含む、請求項
10に記載のエチレンオキシドを回収する方法。
【請求項12】
エチレンオキシド(EO)を含有するガスを使用して、滅菌室のベントガス供給流からエチレンオキシドを回収および再循環させるためのシステムであって、前記システムが、
複数の温度センサから温度データを読み取り、複数の圧力センサから圧力データを読み取り、複数のEOセンサからEO濃度データを読み取り、前記EO濃度データを使用して、ブースタポンプおよび圧縮器を用いて前記システム内の圧力を制御し、前記システム内の前記EO濃度データを使用して、第1のチラー、同時熱交換器、第1の凝縮器、および第2の凝縮器を用いて前記システム内の温度を制御し、前記ベントガス供給流からのEO
の凝縮、液化、および除去を達成する、制御システムと、
ベント供給ガス流を前記システムに送達するベント導管、前記ベント供給ガス流の温度を測定するために前記ベント導管内に挿入されたベント供給ガス温度センサ、前記ベント供給ガス流の圧力を測定するために前記ベント導管内に挿入されたベント供給圧力センサであって、前記ベント導管が、前記ベント供給ガス流をブースタポンプに送達し、前記制御システムが、前記ブースタポンプを制御して、前記ベント供給ガス流圧力を14.7~30psiaに増加させ、加圧されたガス流導管内に搬送される加圧されたガス流を生成する、ベント導管、ベント供給ガス温度センサ、ベント供給圧力センサと、
2つの分子ふるい乾燥器のうちの一方に取り付けられた2つの乾燥器供給導管のうちの一方に、前記加圧されたガス流を誘導するために前記加圧されたガス流導管に取り付けられた、乾燥器の前の3方向バルブであって、前記2つの分子ふるい乾燥器のうちの一方が、乾燥サイクルまたは再生サイクルで回転され、前記乾燥サイクルが、前記加圧されたガス流から水分を除去して乾燥ガス流を生成し、前記再生サイクルが、前記分子ふるい乾燥器から水分を除去し、前記乾燥ガス流が、2つの乾燥ガス導管のうちの一方で搬送される、乾燥器の前の3方向バルブと、
2つの乾燥ガス導管のうちの一方の各々に取り付けられた2つのフィルタであって、2つの乾燥ガス流のうちの一方から粒子状物質を除去し、2つの濾過されたガス導管のうちの一方に排出する、2つのフィルタと、
前記濾過されたガス流を第1のチラー供給導管、第1のチラー温度センサ、および前記第1のチラー供給導管に取り付けられた第1のチラー圧力センサに誘導するために前記2つの濾過されたガス導管のうちの一方の両方に取り付けられた乾燥器の後の3方向バルブであって、前記第1のチラー供給導管が、前記濾過されたガス流を第1の熱交換器に導き、前記制御システムが、前記第1のチラー温度センサからの温度読み取り値を使用し、前記第1の熱交換器を制御して、前記濾過されたガス流の温度をEOの凝縮温度よりも低くし、前記濾過されたガス流から一部の前記EOを凝縮して、第1の液体ガス導管によって第1の液体-ガス分離器に送達される第1の液体-ガス流を生成し、前記第1の液体-ガス分離器が、前記ガス流から液体EOを分離して、第1の排出ガス流導管を介して非凝縮ガスをEO緩和システムに誘導する、乾燥器の後の3方向バルブと、を備え、
前記第1の液体-ガス分離器からの前記液体EOが、再利用のために再循環される、エチレンオキシドを回収および再循環させるためのシステム。
【請求項13】
前記第1の排出ガス流導管中の第1の排出圧力センサと、
前記第1の排出ガス流導管に取り付けられた第2の圧縮器であって、前記制御システムが、前記第1の排出圧力センサから圧力データを取得して、前記ガス流の適切な圧力を決定し、かつ第1の排出ガス流を前記適切な圧力に加圧し、それによって第2の圧縮ガス流導管に送達される加圧された排出ガス流を生成する、前記第2の圧縮器を制御する、第2の圧縮器と、
前記第2の圧縮ガス流導管内に挿入され、第2の圧縮ガス流の温度を測定する、第2の圧縮ガス流導管温度センサと、
前記第2の圧縮ガス流導管内に挿入され、前記第2の圧縮ガス流の圧力を測定する、第2の圧縮ガス流導管圧力センサと、
前記第2の圧縮ガス流のガスを冷却する、同時熱交換器と、
前記第2の圧縮ガス流の温度をさらに低くして、EOの凝縮温度を下げて、前記EOの一部を凝縮する、第2の凝縮器と、
前記ガス流の前記温度を測定するために前記第2の圧縮ガス流内に挿入された、第2の凝縮器の後の温度センサと、
第2の凝縮ガス流に取り付けられ、前記第2の凝縮ガス流によって供給される第2の液体-ガス分離器であって、前記第2の液体-ガス分離器が、第2の液体EO流を第2の圧縮ガス流から分離する、第2の液体-ガス分離器と、
第2の液体ガス分離器から前記液体を吐出し、前記液体EOを再循環かつ再利用されるように送達する、第2の液体ガス供給ラインと、
第2のストリップされたガス流の温度をEOの凝縮温度よりも低くして、前記ガス流内の残りのEOの大部分を凝縮する、第3の凝縮器と、
前記液体EOを残りのガス流から分離する、第3の液体-ガス分離器であって、
前記残りのガス流が、前記ガス流中に懸濁されたままの0.05%EO未満を有し、さらに前記残りのガス流が、残りのガス流導管中に送達される、第3の液体-ガス分離器と、
前記残りのガス流導管に組み込まれた、残りのガス流圧力センサと、
前記残りのガス流導管に取り付けられ、前記残りのガス流導管によって供給される、フラッシュバルブであって、前記フラッシュバルブが、前記残りのガス流の圧力を低下させて、前記残りのガス流の温度を低下させる、フラッシュバルブと、
フラッシュバルブの後の残りのガス流導管に組み込まれ、フラッシュバルブの後のガス流の温度を測定する、残りのガス流温度センサであって、前記フラッシュバルブの後のガス流が、前記同時熱交換器に送達され、前記フラッシュバルブの後のガス流が、前記第2の圧縮ガス流を冷却するために使用され、
同時熱交換器の後のフラッシュバルブの後のガス流が、前記ガス流から任意の残りのEOを除去するためにEO緩和システムに送達される、残りのガス流温度センサと、をさらに含む、請求項
12に記載のエチレンオキシドを回収および再循環させるためのシステム。
【請求項14】
分子ふるい乾燥器の再生のために外気供給流を取り入れる外気吸入導管と、
前記外気吸入導管中に配置され、前記外気供給流から任意の粒子状物質を濾過して除去する外気フィルタと、
前記外気供給流を加圧するための外気圧縮器であって、前記外気供給流が、前記同時熱交換器の後のフラッシュバルブの後のガス流と組み合わされて、再生供給流導管に搬送される再生供給流を生成する、前記外気圧縮器と、
前記再生供給流の温度および圧力を測定するために、前記再生供給流導管中に組み込まれた、第1の再生温度センサおよび第1の再生圧力センサと、
前記再生供給流導管上に配置され、前記再生供給流の前記温度を上昇させる再生ヒータと、
前記再生供給流中に配置され、前記再生供給流を2つの逆流再生供給流のうちの一方に誘導し、2つのふるい乾燥器のうちの一方を再生する、ふるい乾燥器再生3方向バルブと、をさらに含み、
前記制御システムが、2つの前記ふるい乾燥器のうちのどちらの一方が再生を必要とするかを判定し、前記乾燥器の後の3方向バルブを制御して、前記加圧されたガス流を2つの前記ふるい乾燥器のうちの一方に誘導し、前記ふるい乾燥器再生3方向バルブを制御して、再生のために前記2つの前記ふるい乾燥器のうちの他方に前記再生供給流を誘導し、
前記再生供給流が、2つの前記ふるい乾燥器のうちも前記他方を再生した後、前記EO緩和システムに誘導される、請求項
13に記載のエチレンオキシドを回収および再循環させるためのシステム。
【請求項15】
前記ふるい乾燥器が、分子ふるい乾燥器である、請求項
12に記載のエチレンオキシドを回収および再循環させるためのシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2020年1月17日に出願された米国特許出願第16/746,133号の優先権を主張する。
連邦政府資金による研究開発の記載
該当なし
共同研究契約の当事者の氏名
該当なし
コンパクトディスクによる提出材料の参照による援用
該当なし
【0002】
発明の背景
本発明は、滅菌/燻蒸室の排出流からのエチレンオキシド(EO)の回収および再循環に関する。具体的には、本発明は、エチレンオキシドの、水分および任意の他の不純物からの分離、続く、非凝縮性ガスからのエチレンオキシドの大部分の液化、ならびに液体エチレンオキシドの貯蔵システムへの再循環を提供する。
【背景技術】
【0003】
滅菌および燻蒸は、感染症および微生物による食品の腐敗の制御および防止に不可欠である。(いくつか挙げると)医薬品、薬品、病院機器、使い捨ておよび再利用可能な医療品、包装材料、食品、医療用デバイス、書籍、ミュージアムの工芸品、科学的機器、衣類、毛皮、鉄道車両、航空機、ならびに養蜂箱を滅菌する能力がなければ、微生物および疾患の拡散および予防は困難であり、場合によっては不可能である。
【0004】
様々なプラスチック、生地、紙、ガラス、および金属製品を滅菌するための病院、産業用滅菌、および燻蒸の施設で使用される化学的滅菌剤の最も一般的な形態は、100%エチレンオキシドまたはエチレンオキシドおよび不活性ガスの混合からなる。典型的には、エチレンオキシドは、熱および湿度に敏感な製品のための普遍的な滅菌剤として、ならびに微生物または昆虫を制御するための燻蒸剤として使用される。推定では、全ての医療用デバイスの56%がエチレンオキシドを使用して滅菌されているということを示している。本出願で使用される「滅菌剤(sterilant)」という用語は、物体上または物体内に含まれるあらゆる種類の微生物および昆虫、ならびにそれらの卵、幼虫、および胞子の生存能力を完全に不活性化または破壊することができる滅菌剤(sterilizing agent)を意味する。
【0005】
エチレンオキシドは、滅菌剤として多くの望ましい特性を有する。熱滅菌、放射線、または過酸化物などの他の技術とは異なり、エチレンオキシドは普遍的な滅菌剤であり、抗生物質耐性生物を含むあらゆる形態の生物に対して破壊的であり、比較的迅速な作用を有する。さらに、エチレンオキシドは非腐食性であり、滅菌プロセス中に物質または機器を損傷しない。エチレンオキシドは低温(80~150°Fの範囲)で使用でき、多くの包装材料およびほとんどの生物の膜に対して透過性がある。
【0006】
エチレンオキシドにはそれ自体についての問題がある。エチレンオキシドの毒性により、普遍的な滅菌剤であり、人間の曝露にも有害である。エチレンオキシドは強い毒性を持ち、その結果、多くの規則がエチレンオキシドの処分を規定している。これらの規則は、環境中へのエチレンオキシドの大量放出を防止する。これらの規則は、将来の使用のための回収および再循環を可能にし、持続可能なプロセスを提供する。
【0007】
長年にわたり、病院は環境への懸念および従業員の曝露を理由にエチレンオキシドから遠ざかってきた。これにより、病院は再利用可能なデバイスを滅菌するためのいくつかの課題に直面している。米国だけで、薬剤耐性感染症による死亡者は、毎年23,000人、病気は、200万人に達している。2015年にロサンゼルスでこのような大流行が起こったとき、エチレンオキシドは大流行を制御するのに効果的であることが証明された唯一の滅菌剤であった。
【0008】
2014年、米国環境保護庁は、エチレンオキシドをヒト発がん性物質に分類した。この分類により、一部の州では、エチレンオキシドの放出を防止する、または大気中への放出が許容される量を減少させる法律が通過している。2019年3月26日、米国食品医薬品局の食品医薬品局長官は、イリノイ州の契約エチレンオキシド滅菌施設の閉鎖中に、医療用デバイスの潜在的な不足を防止し、安全かつ効果的な滅菌を確実にするために同局が取っている措置に関する声明を発表した。契約滅菌施設は、安全基準を超えるエチレンオキシドが周辺集団に曝露したため、閉鎖された。少量のエチレンオキシド滅菌の設備能力の封鎖が、医療用デバイスの安全な供給に大きな影響を与えた。
【0009】
滅菌プロセスは、使用されるエチレンオキシドのごく一部を消費し、これは、滅菌プロセスの後にかなりの量のエチレンオキシドが残ることを意味する。エチレンオキシドの大部分は、エチレングリコールに変換されるか、またはCO2と水とに分解され、環境への放出を緩和する必要がある。別の汚染物質中のエチレンオキシドを変換する現在の緩和技術を使用することは、解決策にはならない。したがって、滅菌プロセスから、未使用のエチレンオキシドを回収するための効果的かつ効率的な方法が必要である。
【0010】
滅菌剤としてのエチレンオキシドの利用を成功させるために、典型的なプロセスは、医療機器などの製品を、滅菌器と呼ばれる密閉室内でエチレンオキシドに曝露することを伴う。典型的な滅菌プロセスは、滅菌のための所望の雰囲気を作り出すためのいくつかのステップを包含する。最初のステップは、滅菌器の酸素の雰囲気を事前に定義された濃度にパージするために、何度かの真空排気および不活性ガスでの再加圧サイクルを通じて非爆発性の雰囲気を作り出すことである。次に、水分、エチレンオキシド、不活性ガスを加え、滅菌器を設定温度に加熱することにより、滅菌剤混合物を滅菌器内で生成する。製品を事前に定義された時間、滅菌剤混合物に曝露し、製品を滅菌する。
【0011】
プロセスの最後のステップは、滅菌剤室を排気して、滅菌剤を雰囲気および製品から除去することである。このプロセスを完了するために、不活性ガスまたは空気で何回もの排気および再加圧サイクルを実行して、製品を洗浄する。滅菌器の雰囲気からエチレンオキシドの濃度を許容可能なレベルまで下げ、残留エチレンオキシドを除去することは、現在の滅菌製品の安全な取り扱いに適している。
【0012】
今日の医療用デバイスの製造生産需要を満たすために、多くの滅菌室が並行またはほぼ並行して動作し、各滅菌室が異なる滅菌レシピを潜在的に利用する滅菌器を動作させており、必ずしもそうではないが、異なる動作温度、圧力、動作時間、および滅菌ガスの構成につながる。さらに、これらのレシピは、各滅菌器で検証し、レシピが繰り返し可能であり、FDAの仕様を満たしており、製品に害を及ぼさないことを立証する必要がある。
【0013】
各滅菌器動作の最後のステップは、複数のガス洗浄でエチレンオキシド(EO)を除去して、滅菌器および目下滅菌された医療用デバイスから残留EOを除去することである。複数の滅菌器が並行またはほぼ並行して動作して、各滅菌器が異なる滅菌レシピで動作することにより、共通のベント流内の複数の滅菌室に由来するEOの濃度は、滅菌器の動作方法を変更せずに判定または制御することが困難であり、多大なコストをかけてプロセスを再検証することにつながる。
【0014】
1987年に完成したモントリオール議定書は、オゾン層破壊物質(ODS)の生産および消費を段階的に廃止することで成層圏のオゾン層を保護するための、世界的な合意である。2010年以前、最も知られているEO滅菌ガス混合物は、12%EOおよび88%ジクロロジフルオロメタン(フレオン)でシリンダに予混合されていた。滅菌室に水を加え、相対湿度を調整する。2010年以降、滅菌ガスの構成は、不活性ブランケットガスとしての大気、窒素、または二酸化炭素と、水と、EOと、に変更され、様々な濃度で適用されるようになった。特許第5,472,667号、同第5,283,035号、同第5,261,250号、同第5,149,500号、同第5,069,686号、同第4,954,315号、同第4,822,563号、同第4,249,917号、同第3,989,461号、および同第3,549,312号は、いずれも、滅菌ガス混合物の一部として、12%EOおよび88%ジクロロジフルオロメタン、クロロフルオロカーボン(CFC)、またはハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)の混合物を含有する滅菌ガスを使用する。残念ながら、ジクロロジフルオロメタン、クロロフルオロカーボン(CFC)、およびハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)は、オゾン層破壊物質(ODS)であり、モントリオール議定書がODSを禁止した結果、これらの特許に開示されている発明のいずれも、米国または世界中のどこにおいても使用可能ではない。
【0015】
特許第5,472,667号および同第5,283,035号のみが、ODSなしで利用されるEOを認識している。特許第5,472,667号、同第5,283,035号、同第5,261,250号、同第5,149,500号、同第5,069,686号、同第4,954,315号、同第4,822,563号、同第3,989,461号、および同第3,549,312号は、EOおよびODSを凝縮させ、EO/ODS液体混合物を生成することとなるが、前述のように、もはやこれは許容されていない。水およびODSを含む複数種の滅菌ガスに含有されているEOを凝縮させる場合、得られた凝縮液は再循環できない危険物であり、適切に処分されなければならない。この現在の危険物を処分するための要件により、滅菌ガスのその部分の低減または再利用の不能をもたらし、EOの持続可能性を低減させる。
【0016】
水の凝縮温度は、EOといくらか重なっている。ガス流中のEOの濃度に応じて、EOは標準気圧(14.7psia)および0℃で凝縮し始める。ガス流が標準気圧(14.7psia)よりも高い圧力下にあり、水を除去する前に冷却されている場合、EOの一部が凝縮水中に存在する。この水とEOとの液体混合物は、危険物である。滅菌ガスを処理するために、何らかの方法で圧力勾配をシステムに加え、ガスを室から移動させ、システムを通して回収される。この圧力と、水を除去することを目的としたガス流の冷却との組み合わせは、EOの一部が水と共に凝縮されることにつながる。この水およびEOの凝縮物は、危険物であり、適切に処分されなければならない。さらに、プロセスの回収効率が低減され、コストがより高くなり、環境緩和機器の必要性がより高まり、環境への影響がより大きくなる。
【0017】
冷却前にガス流から水分を除去すると、ガス流中のEOの露点を下回る水の露点が低下し、流が冷却されたときに水分が凝縮することを防止し、水の汚染および浸透が起こるのを防止する。特許第5,149,500号および同第5,261,250号は、滅菌ガス流を凝縮する前に、ガス流から水を除去するための予冷却器または任意の他の手段を利用しない。さらに、滅菌ガスにはODSが含有されており、またEOおよび水と共に凝縮され、EO凝縮物を汚染する。特許第4,954,315号は、予冷却器が凝縮器であり得、任意選択的であることを記載している。この任意選択的な動作が利用されるとき、凝縮器は、水、EO、およびODSを凝縮することとなる。さらに、特許第4,954,315号は、再利用のためにEOとODSを分離するための充填塔を使用する追加のプロセスステップを挙げている。
【0018】
特許第5,472,667号および第5,283,035号は、水蒸気を除去する乾燥剤または分子ふるいを使用して水蒸気をガス流から除去し、水蒸気露点が-80℃~-100℃のガス流をもたらす。しかしながら、いずれも-80℃~-130Cの低温の凝縮器を動作させる。これらの温度で動作すると、ガス流中の残りの水蒸気が凝縮し、EO凝縮物を汚染する。しかしながら、特許第5,472,667号は、システムの最後で真空ポンプを使用することによってシステム内の圧力を上昇させることを回避する。真空ポンプは、システムの動作圧力を標準気圧(14.7psia)よりも低くし得、EO回収率が低くなるか、またはEOを凝縮させて回収率を維持するために凝縮温度が低くなるかのいずれかをもたらす。
【0019】
特許第3,989,461号は、乾燥剤を使用してガス流から水蒸気を除去する。この乾燥ガス流のもたらされた露点は不明である。ガス流は乾燥剤から離れ、次にガス流は、密封液としてエチレングリコールまたはプロピレングリコールのいずれかを使用して、液体リングポンプに入る。この密封液は、ガス流と物理的に接触することとなり、したがって、微量のグリコール、およびもし存在する場合は水により、ガス流を汚染する。このグリコールは凝縮器内で凝縮することとなり、EOと、ODSと、微量のエチレン、プロピレングリコール、および水との混合物をもたらす。
【0020】
さらに、特許第4,822,563号は、滅菌ガスを滅菌器から回収システムに移動させるために、プロセス中に蒸気を注入する。蒸気は、いかなる除去手段もなしで、滅菌ガスを水和させ、滅菌ガスの相対湿度を上昇させる。これは、システムの動作圧力を上げるために使用される圧縮器が、システムの温度に応じて水をガス流中から凝縮させる可能性があるため、プロセスにとって問題である。あらゆる凝縮した水は、ポンプの浸食を引き起こすこととなり、ポンプの故障につながる。さらに、この蒸気の追加は、凝縮器内の水量の増加につながり、EO凝縮物を汚染する。特許第5,149,500号および同第5,261,250号は、ガス流から水を分離せず、水とEOとの混合物が凝縮されることにつながる。特許第4,249,917号は、有機溶媒を使用してEOおよびジクロロジフルオロメタンを吸収することにより、この問題を回避する。
【0021】
複数種の滅菌ガスに含有されているEOを分離するために、特許第5,472,667号、同第5,283,035号、同第5,261,250号、同第5,149,500号、同第5,069,686号、同第4,954,315号、同第4,822,563号、同第4,249,917号、同第3,989,461号、および同第3,549,312号はいずれも、様々な方法でこれを行う。しかしながら、特許第5069686号は、多くの周知の手段を通じてこれを行う。例えば、それはスクラバ、触媒酸化装置、または他の化学的反応床を使用することができる。前述の技術は全て、EOを異なる物質に変換する。システムは、まずEOを除去し、次に再利用のために、膜を使用してODSを回収するように設計されている。
【0022】
特許第5,472,667号、同第5,283,035号、同第5,261,250号、同第5,149,500号、同第4,954,315号、同第4,822,563号、同第3,989,461号、および同第3,549,312号はいずれも、-40℃~-130℃で動作する凝縮器を使用してEOを分離し、様々な方法でこれを行う。しかしながら、各システムの動作圧力は静的である。さらに、これらのシステムの圧力は、特許出願または記載された技術に記載されている制限に基づき、0PSIAから少なくとも22PSIAの未知の高圧の範囲である。システムが、複数の入ってくる種のガスからのEOのガス流濃度に基づいて、EOの分離のための最適な条件下で動作するように凝縮器の動作圧力または温度を変更することができないため、回収可能なEOの量が制限される。特許第5,283,035号および同第3,989,461号は、非凝縮ガスを滅菌器室内に再循環させてプロセスを繰り返すことによって、これを解決しようとする。このプロセスは、並行またはほぼ並行して動作する滅菌プロセスを成立させる、ガス洗浄中に多くの滅菌室からEOを回収する能力を制限する。特許第5,472,667号、同第5,261,250号、同第5,149,500号、同第4,954,315号、同第4,822,563号、および同第3,549,312号は、それらの動作条件下で凝縮するもののみを収集し、結果として総収集効率が低下する。
【0023】
全てのエチレンオキシド滅菌プロセスが初期雰囲気を希釈するために不活性ガスを使用しているわけではないことに注意すべきである。不活性ガスを滅菌プロセスに取り入れない場合、必要な初期排気の数は1である。製品要件に応じて、真空または圧力レベル、エチレンオキシド濃度、不活性ガス希釈数、および洗浄数が異なる。エチレンオキシドの滅菌プロセスは、滅菌を必要とする製品を大規模に製造する前に、滅菌プロセスを検証するように設計された小型滅菌器を使用して判定される。ガス洗浄は、エチレンオキシドの濃度を低減し、初期の真空排気後の効率的な回収を困難かつエネルギー集約的にする。
【0024】
滅菌剤としてのエチレンオキシドの使用にはいくつかの欠点がある。例えば、エチレンオキシドは、正確な割合で空気と混合するとき、非常に可燃性で爆発性がある。エチレンオキシドの爆発性および引火性の特性からある程度の安心感を得るために、混合物を二酸化炭素、窒素、アルゴン、フレオン、および他の化学的に不活性な化合物で希釈し、混合物を非爆発性にする。June and Dyeは、エチレンオキシド-窒素混合物の爆発限界について、出版物であるPlant/Operations Progressの第9巻第2号、1990年4月、p73に記載した。
【0025】
Fox(米国特許第4,130,393号)、およびBoynton(米国特許第5,128,101号)のいずれも、エチレンオキシドと、主に二酸化炭素または窒素の不活性ガスとの混合物の、再圧縮、貯蔵、および再循環の使用を示している。それらは、再循環されたガス混合物は、このガス混合物が不燃性の範囲内にとどまっていることを確実にするために監視する必要があると述べている。酸素濃度を所望の限界を下回るように維持するために、貯蔵システムは、混合物の相対的な留分の定期的なベンティングを受ける必要がある。ガス相中のガス混合物中の成分を維持するために、不活性ガスおよびエチレンオキシドを要件に基づいて加える。
【0026】
滅菌ガス混合物に水分を加えるとき、エチレンオキシドの水への溶解度が高いことにより、再循環システムの温度を水分の飽和温度よりも高く保つように注意しなければならない。Boyntonは、酸素の汚染負荷を低減するために、不活性ガスで滅菌/燻蒸室の最初のパージを実行することにより、部分ベント前の許容再循環数を拡大した。これを行うことにより、相対的なエチレンオキシドの回収率が増加した。
【0027】
滅菌および燻蒸にエチレンオキシドを使用する産業プロセスでは、プロセスで使用されるエチレンオキシドの99%超が未反応であり、滅菌/燻蒸室から排出される。したがって、この未利用のエチレンオキシドを回収し、再利用し、再循環させるためのシステムが必要である。
【発明の概要】
【0028】
本発明のプロセスは、温度および圧力を使用してエチレンオキシドを液化し、次いで、液化されたエチレンオキシドを非凝縮性ガスから分離し再循環させることによって、エチレンオキシドを捕捉することを可能にする。本発明は、ユーザが排出されたエチレンオキシドの大部分を回収してから再循環させることを可能にし、これにより、エチレンオキシドの利用率が著しく増加し、それによって現場で必要とされるエチレンオキシドの量を低減する。二次的な利益として、原料および緩和コストの両方の低減が顕著になる。
【0029】
エチレンオキシド(「EO」)は、他のガス、典型的には、窒素、酸素、およびアルゴンの組み合わせと一体となっている溶液であり、しばしば溶液中の二酸化炭素と一体となっている溶液において、燻蒸または滅菌プロセスにおいて頻繁に使用される。多くの場合、水蒸気水分は滅菌/燻蒸溶液の一部でもある。水蒸気を除いて、エチレンオキシドは、溶液の他の成分よりもはるかに高い凝縮温度を有する。標準気圧(14.7psia)では、窒素の凝縮温度は-196℃であり、アルゴンは-186℃で凝縮し、酸素は-183℃で凝縮し、二酸化炭素は-78.5℃で凝縮する。対照的に、エチレンオキシドは0℃で凝縮し始める。このため、気容体を冷却かつ加圧してエチレンオキシドを凝縮させ、溶液からエチレンオキシドを除去し、それによってエチレンオキシドを再循環させることができる。
【0030】
本発明は、一連の圧縮器およびチラーまたは凝縮器を使用して、EOをガス流から凝縮かつ除去する。本発明は、ガス流の温度、圧力、およびEO濃度を判定するための温度、圧力、およびEOセンサを含む。これらのセンサは、ガス流のパラメータを評価し、次に圧力および温度を調整してEOの凝縮を最大化する、コンピュータ制御の制御システムと通信している。液化したEOは、将来の滅菌使用のためにEO保持タンクに吐出され戻される。このシステムは、ガス流中のEOの99.5%超の回収および再循環を可能にする。
【0031】
このシステムの利点は、並行またはほぼ並行して動作する単一または複数の滅菌器のベントガス流から再利用のためにEOを回収することができることである。システムは、動的圧力および温度制御を使用して、凝縮器の動作条件を変更し、凝縮器に入る供給流中のEOの濃度に基づいてEOの分離を最適化する。システムは再利用を可能にする凝縮されたEOを汚染しないこととなるため、EOの持続可能な供給がもたらされる。このEOの持続可能な供給は、エチレンオキシド滅菌プロセスが実行される周辺環境の環境への影響を低下させることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】典型的なエチレンオキシド回収システムのフローチャートである。
【0033】
【
図2】供給Aのエチレンオキシド回収対凝縮温度および動作圧力を示すグラフである。
【0034】
【
図3】供給Bのエチレンオキシド回収対凝縮温度および動作圧力を示すグラフである。
【0035】
【
図4】温度および圧力の関数として、凝縮を開始するために必要な供給流中の最小モル分率(EO濃度/100)を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明の詳細な実施形態を本明細書に開示する。開示された実施形態が単に本発明の例示であり、様々な他の代替的実施形態が存在し得ることを理解されたい。図面は必ずしも縮尺通りではなく、いくつかの特徴は、特定の構成要素の詳細を示すために誇張または最小限にされ得る。したがって、本明細書に開示される特定の構造および機能の詳細は、限定するものではなく、本発明の様々な実施形態を採用することを当業者に教示するための単なる根拠として解釈されるべきである。
【0037】
本発明は、未使用のエチレンオキシドを気容体中から凝縮させることにより、未使用のエチレンオキシドを滅菌プロセスから回収する。本発明は、エチレンオキシドは、水を除き、溶液中の他のガスよりもはるかに高い温度で凝縮するという事実に依存している。EOが凝縮される前に、プロセスの開始時に供給流から水が除去される。標準気圧(14.7psia)では、窒素の凝縮温度は-196℃であり、アルゴンは-186℃で凝縮し、酸素は-183℃で凝縮し、二酸化炭素は-78.5℃で凝縮する。対照的に、エチレンオキシドは0℃で凝縮し始める。このため、気容体を冷却かつ加圧してエチレンオキシドを凝縮させ、溶液からエチレンオキシドを除去し、それによってエチレンオキシドを再循環させることができる。システムは、一連のチラーおよび凝縮器を使用してガス流を操作し、ガス流からのエチレンオキシドの最大限の凝縮を達成し、それによって除去され再循環されたEOの量を最大化する。
【0038】
図1は、ガス滅菌または燻蒸プロセスからエチレンオキシドガスを回収するための装置の概略構成を示す。供給流101は、滅菌/燻蒸室真空ポンプまたは複数の滅菌/燻蒸室真空ポンプのベント排出で生じる。本明細書に記載されるように、供給流101などのシステムのガス流は、適切なサイズで適切に構成された導管、配管、またはチューブを通して搬送され、したがって、「供給流101」への言及は、所望の圧力および温度を維持するために適切なサイズの配管を通して搬送されるものとしての供給流101のガス流を意味する。この時点で、未反応のエチレンオキシドを含有するガス流である供給流101は、60~150°Fであり、気圧よりもわずかに高い。供給流101は、表1に存在するような分子種組成範囲を有する。
【表1】
【0039】
供給流101内のガスの圧力および温度を測定するために使用される、温度センサ201および圧力センサ202が、供給流101中に組み込まれている。典型的には、ガス流のエチレンオキシドの温度、圧力、または濃度を正確に判定することができる任意の標準的な温度、圧力、もしくはエチレンオキシドセンサまたは測定デバイスが作動することとなる。供給流101は、ブースタポンプ301に排出されて、ガス流圧力を14.7psia~30psiaに増加させる。圧力の上昇により、ガス温度は約50°F上昇する。ブースタポンプ301は、加圧されたガス流を供給流102内に排出し、供給流102は、3方向ダイバータバルブ401内に誘導される。温度センサ203、圧力センサ204、およびエチレンオキシドセンサ205が、供給流102中に組み込まれている。
【0040】
これらのセンサは、ガス流中のエチレンオキシドの圧力、温度、および濃度を測定するために使用される。制御システム(図示せず)は、温度センサ201および203、ならびに圧力センサ202および204からの測定値を使用して、ブースタポンプ301からの出力を調整および制御し、所望のEO凝縮結果を達成する。制御システムは、(wi-fiによるハードワイヤのいずれかによって)通信され、システム内のハードウェア-本明細書に記載される様々なセンサ、ポンプ、圧縮器、チラー、凝縮器、およびバルブ-を制御する、典型的かつ既知のコンピュータ制御の制御システムである。制御システムは、センサから関連するデータ、すなわち、温度センサから温度、圧力センサから圧力、およびEOセンサからEO濃度を取得する。制御システムは、システム内の任意の地点で即座に温度、圧力、およびEOの読み取り値を取得し、開示された圧縮器および熱交換器を即座にかつ動的に調整して、EOの最大限の凝縮を達成するための所望の温度および圧力を達成することができる。制御システムは、オペレータがシステムの他の構成要素、チラー、凝縮器、ポンプ、バルブなどを制御して、システムの動作を制御し、ガス供給流を所望の圧力および温度に操作して、システム全体で所望のレベルのEO凝縮を達成し、EOの回収を最大化することを可能にする。供給流内のEO濃度に基づく凝縮を達成するために必要な圧力および温度の詳細は、以下でより詳細に説明されている。3方向ダイバータバルブ401は、制御システムによって制御されて、供給流102を2つの平行な分子ふるい乾燥器303または302のうちの一方に、2つの供給流104または103のうちの一方を介して誘導し、3方向ダイバータバルブ402または403、および供給流103または104にそれぞれ供給して、供給流105または106に向かわせ、これらは、分子ふるい乾燥器302または303内に排出される。
【0041】
分子ふるい乾燥器302および303は、同一に動作し、供給流105または106から水蒸気(水分)を除去する。分子ふるい乾燥器は、業界において既知であり、供給流105または106から水分を除去して、もたらされた露点が-80°F以下の乾燥ガス流を提供するために採用される。制御システムは、使用方法に基づいて分子ふるい乾燥器302または303の使用を交代させる。各乾燥器は、指定された時間使用される。一方の乾燥器を使用している場合、他方は以下に記載されるように再生している。乾燥器302および303は、以下に記載されるように、分子ふるい乾燥器302および303の温度を測定して再生の完了を判定するために、温度センサ206および207と共に組み込まれている。
【0042】
分子ふるい乾燥器302および303は、供給流107または108に排出し、3方向ダイバータバルブ404または405に供給する。ダイバータバルブ404、アド405は、以下でより詳細に説明されるように、ふるい乾燥器再生で使用される。3方向ダイバータバルブ404または405は、供給流109および110に排出し、これらの目下乾燥された供給流109および110は、フィルタ305または304に排出され、供給流から粒子状物質を除去する。粒子状物質の除去では、次の2つの主要な機能を果たす限り、任意の適切で一般的かつ既知の濾過技術を採用することができる。1つ目は、分子ふるい媒体が分子ふるい乾燥器302および303から出てシステムに入るのを防止すること、2つ目は、ガス流から粒子状物質を除去することにより、粒子サイズが大幅に低減し、それによって、機器の性能に悪影響を及ぼす可能性のある粒子状物質による機器の下流への付着物を軽減することである。
【0043】
フィルタ305または304は、目下濾過されたガス流を供給流111および112に排出し、次いで3方向ダイバータバルブ405に排出する。3方向ダイバータバルブ405は、供給流113に排出してガス流を再結合する。脱水され濾過されたガスの圧力および温度を測定するための温度センサ208および圧力センサ209が、供給流113中に組み込まれている。供給流113は、第1の熱交換器306に排出され、これにより得られた供給流113の温度は、制御システムによって設定される冷却要件に応じて、標準的な冷却または冷凍システムからであり、冷却液供給流115によって供給され、5~80°Fである冷却液排出流116を介して戻される、プロセス冷却液の制御を通じて、10~85°Fに低減される。この時点で、制御システムは、第1の熱交換器306を出て、供給流114に排出される供給流温度を制御する。さらに、供給流114の温度および圧力を測定するための温度センサ210および圧力センサ211が、供給流114中に組み込まれている。第1の熱交換器306の両側に位置する温度および圧力センサは、制御システムが第1の熱交換器306内の冷却の有効性を判定することを可能にし、制御システムがEOの最大限の凝縮を達成するために必要に応じて冷却を調整することを可能にする。
【0044】
供給流114の温度は、制御システムによって選択され、第1の熱交換器306によって操作されて、エチレンオキシドセンサ205および214から測定されるように、ガス相エチレンオキシド濃度を約40%に維持する。この時点およびそれ以降、供給流の温度および圧力をシステム全体で制御して、エチレンオキシドが爆発しないことを確実にする必要がある。供給流中のエチレンオキシド濃度が40%を超えると、プロセス温度は約10°Fに低減されるため、エチレンオキシドの一部を凝縮させることによって、エチレンオキシド濃度をその爆発限界を下回って低減させる。制御システムおよびセンサは、システムをリアルタイムで調整して、必要な圧力および温度パラメータを維持することができる。
【0045】
本明細書に記載されるように、液流117などの液流は、適切な導管、配管またはチューブを通って搬送され、したがって、「液流117」への言及は、所望の圧力および温度を維持するために適切なサイズの配管を通って搬送されるものとしての液流117の液流を意味する。供給流114は、任意の液体エチレンオキシドを照査するために第1の液体-ガス分離器307内に供給される。液体-ガス分離器は一般的であり、業界で知られている。第1の液体-ガス分離器307に貯蔵されている液体エチレンオキシドの量を制御するために使用される2つのリミットセンサ212および213が、第1の液体-ガス分離器307中に組み込まれている。既知であり、典型的には、液体-ガス分離器内の液体エチレンオキシドの量を正確に判定するために配備され得る任意の標準的なリミットセンサまたは測定デバイスとしての、このようなリミットセンサの使用は、効果を発揮することとなり、適切な動作に必要なセンサの数を1つのセンサに低減し得る。液体-ガス分離器307が高レベルの液体エチレンオキシドに達すると、制御システムはバルブ407を開けて、第1の凝縮液体エチレンオキシドを第1の液体-ガス分離器307から液流117に排出し、バルブ407を通って、液流118に排出する。液流118は、両方のシステムの動作圧力に応じて、直接圧力または液体ポンプのいずれかによって、液体エチレンオキシドを貯蔵場所に供給する。この貯蔵された液体EOは、貯蔵または再利用のために送達され得る。液体エチレンオキシドのレベルが所定の低レベルに達すると、制御システムはバルブ407を閉じて、液体エチレンオキシドの排出を終了する。低レベルは、第1の液体-ガス分離器307内の液体エチレンオキシドの収集を常に可能にするように決定され、したがって、任意のガスがシステムから逃れることを防止する。
【0046】
第1の液体-ガス分離器307からの非凝縮ガスは、第1の排出ガス流である供給流119に排出される。エチレンオキシドセンサ214が、供給流119中に組み込まれている。供給流119は、以下の
図2、
図3、および
図4の考察に記載されるように、所望の回収効率を達成するために、エチレンオキシドセンサ214から測定された現在のエチレンオキシド濃度のための必要な凝縮温度に基づいて、ガス流圧力が所望の動作圧力に増加される圧縮器308の入口に排出される。システム全体、および圧縮器308の最大段階的圧縮比(出口圧力/入口圧力)は、4未満であることが好ましい。6を超えると、エチレンオキシド混合物が起爆する可能性があるからである。圧縮器308の出口圧力を制御するための多くの異なる方法がある。採用される任意の方法は、制御システムからの動的圧力制御を可能にする限り効果を発揮することとなる。圧縮器308の両側の圧力センサ211および216は、制御システムがこの圧縮比を制御し、それを許容可能な限度内に維持することを可能にする。圧縮された供給流120は、圧縮器308から排出される。
【0047】
排出供給流120は、逆流熱交換器309に誘導され、そこで供給流117からの送入高温ガス間の顕熱の大部分は、送出低温流133(以下でより詳細に説明する)と交換され、よって供給流120が冷却され、第1の凝縮器310上の熱負荷を低減する。流120内のガスの圧力および温度を測定するための温度センサ215および圧力センサ216が、供給流120中に組み込まれている。逆流熱交換器309は、供給流121を介して凝縮器310に排出する。
【0048】
第1の凝縮器310は、供給流121のガス処理温度を低下させ、よって、エチレンオキシドの一部を凝縮することによってエチレンオキシド濃度を低減させる。凝縮器310は、一次冷媒または二次冷媒を使用して、プロセス冷却水またはより低い温度(-35°F未満)の標準的な冷凍システムのいずれかを使用して冷却され得る。凝縮器310は、液体-蒸気の混合物を、温度センサ219と共に組み込まれた供給流123に排出する。温度センサ219は、凝縮器310から出るガス温度を測定する。制御システムは、219からの温度測定を利用して、凝縮器310から出るガス温度を制御する。制御システムは、冷凍システムからの冷却供給流122sの流れおよび温度の両方、または冷凍システムからの冷却供給流122sの流れもしくは温度を単独で制御することによって、これを行う。冷却供給流122sおよび冷却帰還流122rが、各流の温度をそれぞれ測定するために温度センサ217および218と共に組み込まれている。任意の液体エチレンオキシドを照査するために、供給流123は、第2の液体-ガス分離器313内に排出される。
【0049】
第2の液体-ガス分離器313は、ハイリミットセンサ220およびローリミットセンサ221を含む。液体-ガス分離器313が高レベルの液体エチレンオキシドに達すると、制御システムは、バルブ408を開けて、液体エチレンオキシドを第2の液体-ガス分離器313から第2の凝縮液流125に排出し、バルブ408を通って、液流128に排出する。液体エチレンオキシドを照査するために、液流128は、第3の液体-ガス分離器315内に排出される。液体-ガス分離器313が高レベルの液体エチレンオキシドであるとき、液体-ガス分離器313は、液流121に排出し、バルブ408に供給し、液流123に排出する。
【0050】
液流123は、第3の液体-ガス分離器315に供給する液体エチレンオキシドを測定するために温度センサ219と共に組み込まれている。第2の液体-ガス分離器313は、第3の液体-ガス分離器315が高液レベルの貯蔵された液体エチレンオキシドに達するときにのみ、第3の液体-ガス分離器315に供給する。液体-ガス分離器313内の液体エチレンオキシドの量を制御するために使用される、2つのリミットセンサ220および221が、液体-ガス分離器313中に組み込まれている。典型的には、液体-ガス分離器内の液体エチレンオキシドの量を正確に判定できる、任意の標準的なリミットセンサまたは測定デバイスが効果を発揮することとなり、適切な動作に必要なセンサの数を1つのセンサに低減し得る。液体エチレンオキシドのレベルが低レベルに達すると、制御システムはバルブ408を閉じ、液体エチレンオキシドの排出を終了する。この低休暇は、液体-ガス分離器313内の液体エチレンオキシドの収集を常に可能にするように設定されており、ガスがシステムから逃れるのを防止する。
【0051】
第2の液体-ガス分離器313は、供給流124を介して、第2の非凝縮気相ガスを第2の凝縮器312に排出する。凝縮器312は、液体-蒸気の混合物を供給流129に排出する。供給流129は、第2の凝縮器312から出る排出された液体-蒸気流の温度を測定するための温度センサ225と共に組み込まれている。第2の凝縮器312は、追加のエチレンオキシドが凝縮され、プロセス冷却液供給126sおよびプロセス冷却液帰還126rの制御を通じて制御システムによって制御される、より低い温度(非凝縮性ガスに応じて、-35~-110°F以下)で動作する。
【0052】
制御システムは、冷却供給流126sの、流れおよび温度の両方、または流れおよび温度を別々に制御する。冷却供給流126sは、標準的、既知の外部冷凍または冷却システムによって供給される。冷却供給流126sおよび冷却帰還流126rは、それぞれ、流の温度を測定するための温度センサ222および223と共に組み込まれている。制御システムは、温度センサ225の測定に基づいて、冷却供給流126sの流れおよび温度を設定する。
【0053】
照査のために、任意の液体エチレンオキシド液体-蒸気流128が、第3の液体-ガス分離315内に排出される。第3の液体-ガス分離器315は、供給流131に排出する。第3の液体-ガス分離器315内に貯蔵されている液体エチレンオキシドの量を制御するために使用される2つのリミットセンサ228および229が、第3の液体-ガス分離器315中に組み込まれている。典型的には、液体-ガス分離器内の液体エチレンオキシドの量を正確に判定できる、任意の標準的なリミットセンサまたは測定デバイスが効果を発揮することとなり、適切な動作に必要なセンサの数を1つのセンサに低減し得る。液体エチレンオキシドのレベルが低レベルに達すると、制御システムはバルブ409を閉じ、液体エチレンオキシドの排出を終了する。低レベルは、第3の液体-ガス分離器315内の液体エチレンオキシドの収集を常に可能にするように設定され、任意のガスがシステムから逃れることを防止する。第3の液体-ガス分離器315が高レベルの液体エチレンオキシドに達すると、制御システムは、バルブ409を開けて、液体エチレンオキシドを第3の液体-ガス分離器315から第2の凝縮液流129に排出し、バルブ409を通って、結合されたEO液流130に排出する。液流130は、両方のシステムの動作圧力に応じて、直接圧力または液体ポンプのいずれかによって、液体エチレンオキシド貯蔵を供給する。液流130に組み込まれた温度センサ226および圧力センサ227は、貯蔵場所に排出される液流の圧力および温度を測定するためのものである。第2の液体-ガス分離器313は、先に第3の液体-ガス分離器315に凝縮液EOを排出したため、残りの全ての液体EOは、単一の流中にある。
【0054】
液体-ガス分離器315は、ガス流内に残存する任意の非凝縮エチレンオキシドを、流内の全ての非凝縮性ガスと共に第2の排出供給流131に排出する。この時点で、ガス流にEOがほとんど残っていないはずである。3つのチラー/凝縮器を直列に使用すると、ガス流の段階的な冷却、および典型的には供給流内の元のEOの95.5%超の除去が可能になる。残りの非凝縮性ガスは、フラッシュバルブ410に供給される。ガス流内の圧力を測定するために使用される圧力センサ230が、供給流131中に組み込まれている。フラッシュバルブは既知であり、加圧されたガスをより低い圧力に排出し、急速な冷却をもたらす。フラッシュバルブ410は、過冷却供給流132に排出し、より低い圧力および過冷却ガス流を生成し、同時熱交換器309に排出される。供給流132の過冷却ガスの使用により、システムが同時熱交換器309内の供給流120を上述のように冷却することが可能になる。供給流120を冷却するための過冷却供給流132のこの使用は、追加の冷却の必要性を除去し、したがって、システムの全体的なエネルギー要件を低減し、よって、システムを動作させるためのコストも低減する。ガス流の温度を測定するための温度センサ231が、供給流132中に組み込まれている。同時熱交換器309は、再加熱されたガスを供給流133に排出する。供給流133中のエチレンオキシドの濃度を測定するために使用されるエチレンオキシドセンサ232が、供給流133中に組み込まれている。この時点で、EO濃度は0.05%未満でなければならない。
【0055】
供給流133は、次に3方向ダイバータバルブ411を介して、ふるい乾燥器に誘導され、ふるい乾燥器の再生に使用される。再生の必要性がない場合、3方向ダイバータバルブ411は、供給流133を、EO緩和システム319にガス流を送り出す排出供給流145に誘導する。分子ふるい乾燥器302または303を再生する必要性に基づいて、バルブ411からのガスは、供給流139と混合する供給流134に供給されて、乾燥器パージガス139を生成し、これは、分子ふるい乾燥器から余分な水分をパージしてそれらを再生するために、供給流105または106の流れの反対方向に分子ふるい乾燥器を通過する。システムは乾燥器パージガス139に、供給流135において持ち込まれる追加の大気を加える。供給流135は、フィルタ316に大気を供給して任意の粒子状物質を除去し、濾過された空気流136は、大気を乾燥器パージガス139と同じ圧力まで圧縮し、次いで供給流137を供給バルブ412に排出する、圧縮器317に排出される。バルブ412は、流138に誘導される適切なレートに流れを調節する。供給流138中の濾過および圧縮された空気は、指揮フローバルブ413に排出され、その後、混合ガス供給流139に供給される。方向性フローバルブ413は、流れの方向を制御するために採用され、したがって、供給流134および供給流139からのガスの混合から生じる任意の逆流を防止する。圧力センサ233および温度センサ234が、供給流139内に組み込まれている。
【0056】
供給流139は、流れ140に排出されて3方向バルブ414に供給される前に、乾燥器パージガス温度を250~400°Fに増加させ、分子ふるい乾燥器のパージを改善するために、ヒータ318に排出される。制御システムは、水分を含んだ分子ふるい乾燥器(302または303のいずれか)の水分をフラッシュする必要性に基づいて、流141または142のどちらに供給するかを決定する。水分を含んだ分子ふるい乾燥器の水分をフラッシュして再生する動作は、システムを通る経路を除いて同一である。上述したように、分子ふるい乾燥器が乾燥供給流105または106で使用されている場合、他方は逆流乾燥器パージガスによって再生されている。
【0057】
供給流141または142は、どちらの分子ふるい乾燥器302または303が現在採用されているかに応じて、3方向バルブ404または405のいずれかに供給され、上述したように、滅菌/燻蒸室真空ポンプの排出から入ってくる供給流105または106を脱水する。3方向バルブ404または405は、供給流107または108に排出し、これは供給流105または106と反対方向に流れ、分子ふるい乾燥器302または303に供給される。分子ふるい乾燥器302または303をパージして分子ふるい乾燥器302または303を再生し、次に、3方向バルブ402または403に供給する供給流105または106の導管または配管に排出する。3方向バルブ402または403は、供給流142または143に排出し、エチレンオキシド緩和システム319に供給する。分子ふるい乾燥器302または303は、パージガスの逆流によって余分な水分をフラッシュし、パージガスを加熱することによって所望の床温を達成することによって再生され、所望の床温は、組み込まれた温度センサ207または208からの測定によって制御システムによって決定される。所望の分子ふるい床温に達すると、乾燥器パージガス熱風を伴うフラッシュは終了され、分子ふるい床は、供給流139から持ち込まれる周囲の空気で冷却され、続いて、ヒータ318で加熱されず、分子ふるい床(302または303)を冷却するために非加熱でシステム内に供給される、供給流133に由来する冷却された非凝縮性ガスによる冷却パージが行われる。パージガスがそれぞれの分子ふるい乾燥器302または303を通過した後、ガスは143または144で排出され、エチレンオキシド緩和システム319内に入る。エチレンオキシド緩和システム319は、本発明の外部にある。この時点で、最終供給流143または144は、0~0.5%のエチレンオキシドを有する。残りの少量のEOは、いくつかの異なる方法で緩和される。最も一般的な2つは、酸化またはスクラバの使用によるものであり、どちらも業界でよく知られている。緩和されたガス流は、次に、緩和システム319から排出供給流146、および雰囲気中にベントされる。他の緩和技術も使用され得る。
【0058】
供給流101で持ち込まれる初期原料の異なる濃度は、エチレンオキシド回収のパーセンテージを最大化するために異なる温度および圧力を必要とする。制御システムは、動的に動作し、システム内のEOセンサを用いて記載された場所でEO濃度の測定を常に行い、ブースタポンプ301および圧縮器308を用いて圧力を常に調整し、第1の技能交換器306、逆流熱交換器309、第1の凝縮器310、および第2の凝縮器312を用いて温度を調整して、最大限のEO凝縮を達成する。
図2は、表2に示すように、原料Aの潜在的なエチレンオキシド回収対システム圧力および温度である。
【表2】
図2から最良に理解され得るように、エチレンオキシドの凝縮温度は、圧力に応じて変化し、これは、エチレンオキシド回収のパーセンテージに影響する。したがって、例えば、14.7psia(標準気圧)では、最大量のエチレンオキシドは、-100°Fの温度で回収され、一方、-40°Fでは、約60%のEOしか回収されない。
図3は、表3に示すように、原料Bの潜在的なエチレンオキシド回収対システム圧力および温度である。
【表3】
図3および
図4の両方において見ることができるように、EO回収のパーセンテージは、圧力が増加するか、または温度が低下するにつれて増加する。温度を低下させ、1サイクル中の圧力を増加させることにより、最大限のEO回収を達成することが可能であるが、これには専門的で高価な圧縮および冷凍機器が必要となり得る。現在のシステムは、標準的な圧縮器および凝縮器またはチラーを使用して、段階的にこれらの結果を達成する。好ましい実施形態では、これは、本明細書に記載されるように、2つの圧縮器および4つの熱交換器を使用して行われる。さらに、冷却された供給流132を使用して供給流120を冷却することにより、追加の冷却機器の必要性を低減し、したがって、システムコストおよび運用コストを低減する。制御システムは、滅菌プロセスから排出される初期供給流101の濃度を識別することとなり、システム全体の加圧および冷却を制御することができる。各ステップで、制御システムは、プロセスの初期段階で、ガス流のEO濃度を取得して圧力を調整し、その後、プロセスの後期段階で冷却を調整して、最大限の凝縮を達成し、EOをガス流から除去することとなる。
【0059】
図4は、エチレンオキシドの凝縮を開始するための、ガス流に必要なエチレンオキシドの最小モル分率を示している。関連する技術文献中に、温度の関数としてエチレンオキシドの蒸気圧を容易に見つけることができる。モル分率により、ガス流中のエチレンオキシドの分圧を計算することができる。制御システムはこの情報を有し得、システムの圧力および温度を調整するために使用されることとなる。分圧がその温度での蒸気圧より大きい場合、成分は凝縮する。供給AおよびBのエチレンオキシド露点は、それぞれ7.85°Fおよび41.9°Fである。この最小モル分率値を超える任意の値は、エチレンオキシドをそのレベルまで凝縮させることを可能にし得、したがって、非凝縮性の気体エチレンオキシドと液体エチレンオキシドとの混合物から液体エチレンオキシドを分離することを可能にする。表4には、記載されたシステム圧力で流AおよびBについて99.5%のエチレンオキシド回収を達成するために必要な推定凝縮器温度が示されている。
【表4】
このデータは制御システムに統合されており、したがって、制御システムは供給流中のEOの濃度を評価し、圧力もしくは温度を、またはその両方を動的にリアルタイムで調整してEOの最大限の凝縮を達成することができる。
【0060】
このプロセスを採用することには、いくつかの大きな利点がある。エチレンオキシドの利用率が低いパーセンテージから高いパーセンテージに増加すると、適切な処分のためにエチレンオキシドを有害な生産物に変換する必要性を大幅に低減させる。システムは99.5%超のEOを回収し、これにより、将来の滅菌ニーズのために回収、再循環、および再利用することができる。これは、環境に配慮していない他のプロセスによって回収または軽減されなければならないことが、わずかにしか残っていないことを意味する。このシステムを使用すると、エチレンオキシドの購入を低減することによって、運用費用を低下させ、シリンダの変更により、偶発的なエチレンオキシド放出のリスクを低減し、在庫におけるエチレンオキシドの現場での貯蔵の必要性を削減し、エチレングリコールおよび汚水貯留の現場での貯蔵量、原料の送達品の発送および受領、ならびに廃棄物の処分を低減する。
【符号の説明】
【0061】
101-初期ベント排出ガス供給流;102-加圧排出ガス供給流;
103-乾燥器1へのガス流;104-乾燥器2へのガス流;105-バルブの後の乾燥器1へのガス流;
106-バルブの後の乾燥器2へのガス流;107-乾燥ガス流1;108-乾燥ガス流2;109-フィルタ2への乾燥ガス流;110-フィルタ1への乾燥ガス流;111-濾過されたガス流1;
112-濾過されたガス流2;113-再結合された濾過されたガス流;114-第1の冷却されたガス流;115-第1のチラー吸入ガス流;116-第1のチラー流出ガス流;117-第1の液体エチレンオキシドEO液体排出流;118-再循環する第1の液体EO流;119-第1の液体-ガス分離器排出ガス流;120-第2の圧縮ガス流;121-同時熱交換器の後のガス流;122sおよび122r-第1のチラーの冷凍流;123-第1の凝縮器の後のガス流;124-第2の液体-ガス分離器の後のガス流;125-第2の液体-ガス分離器の後の第2の液体EO流;126sおよび126r-第2の凝縮器用の冷凍流;127-制御バルブの後の第2の液体EO流;128-第2の凝縮器の後のガス流;129-第3の液体-ガス分離器の後の第3の液体EO流;130-制御バルブの後の第3の液体EO流;131-第3の液体-ガス分離器の後のガス排出流;132-フラッシュバルブの後の排出ガス流;133-同時熱交換器の後の排出ガス流;134-ふるい乾燥器の再生用の3方向ダイバータバルブの後の排出ガス流;135-外気吸入空気流;136-フィルタの後の外気流;137-圧縮器の後の外気流;138-制御バルブの後の外気;139-方向性バルブの後の再生空気およびガスの混合物;140-ヒータの後の再生空気およびガスの混合物;141-第2の乾燥器への再生混合物;142-第1の乾燥器への再生混合物;143-第2の乾燥器の後の再生混合物;144-第1の乾燥器の後の再生混合物;145-再生3方向バルブの後の排出ガス供給流;146-再循環後の排出混合物;201-排出ガス温度センサ;202-排出ガス圧力センサ;203-加圧排出ガス温度センサ;204-加圧排出ガス圧力センサ;205-加圧排出ガスEOセンサ;206-乾燥器2内の温度センサ;207-乾燥器1内の温度センサ;208-濾過されたガス流温度センサ;209-濾過されたガス流圧力センサ;210-冷却されたガス流温度センサ;211-冷却されたガス流圧力センサ;212-第1の液体-ガス分離器上限リミットセンサ;213-第1の液体-ガス分離器下限リミットセンサ;214-液体-ガス分離器の後のEOセンサ;215-第2の圧縮ガス流温度センサ;216-第2の圧縮ガス流圧力センサ;217-第2の凝縮ガス流入力温度センサ;218-第2の凝縮ガス流出力温度センサ;219-第2の凝縮器の後の凝縮ガス流温度センサ;220-第2の液体-ガス分離器上限リミットセンサ;221-第2の液体-ガス分離器下限リミットセンサ;222-第3の凝縮器入力ガス流温度センサ;223-第3の凝縮器出力ガス流温度センサ;224-第2のL-Gの後の液体温度センサ;225-第3の凝縮器の後のガス流温度センサ;226-第3のL-Gの後の液体温度センサ;227-第3のL-Gの後の液体圧力センサ;228-第3の液体-ガス分離器下限リミットセンサ;229-第3の液体-ガス分離器上限リミットセンサ;230-フラッシュバルブの前のガス流圧力センサ;231-フラッシュバルブの後のガス流温度センサ;232-同時熱交換器の後のガス流EOセンサ;233-混合ガスおよび空気流の後の圧力センサ;234-混合ガスおよび空気流の後の温度センサ;235-パージガス温度センサ;236-最終排出ガスEOセンサ;301-ブーストポンプ;302-分子ふるい乾燥器1;303-分子ふるい乾燥器2;304-フィルタ2;305-フィルタ1;306-第1のチラー;307-第1の液体-ガス分離器;308-圧縮器;309-同時熱交換器;310-第1の凝縮器(チラー);311-第1の凝縮器用の第1の冷凍システム;312-第2の凝縮器(チラー);313-第2の液体-ガス分離器;314-第2の凝縮器用の第2の冷凍システム;315-第3の液体-ガス分離器;316-外気フィルタ;317-外気圧縮器;318-再生空気ヒータ;319-ベンターガスEO再循環システム;401-乾燥器の前の3方向ダイバータバルブ;402-乾燥器1への3方向バルブ;403-乾燥器2への3方向バルブ;404-再生1の3方向バルブ;405-再生2の3方向バルブ;406-フィルタの後の再結合3方向バルブ;407-第1の液体-ガス排出バルブ;408-第2の液体-ガス排出バルブ;409-第3の液体-ガス排出バルブ;410-フラッシュバルブ;411-再生方向3方向バルブ;412-外気方向性;413-外気制御バルブ;414-再生逆流3方向。
【0062】
本発明は、目的を遂行し、言及された目標および利点の両方、ならびにそれらに固有の他の利益を達成するように、十分に適合される。本発明は、本発明の特定の実施形態を参照して、描写され、説明され、定義されてきたが、そのような参照は、本発明への限定を示唆せず、そのような限定は推測されるべきではない。本発明の描写および説明される実施形態は、単に例示的であり、本発明の範囲を網羅していない。したがって、本発明は、あらゆる点で等価物に完全に認識を与える、特許請求の範囲の趣旨および範囲によってのみ限定されることを意図する。