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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】伝熱プレートおよびプレート式熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F28F 3/04 20060101AFI20231226BHJP
   F28F 3/00 20060101ALI20231226BHJP
   F28D 9/02 20060101ALI20231226BHJP
【FI】
F28F3/04 A
F28F3/00 311
F28D9/02
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022549004
(86)(22)【出願日】2021-01-15
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-04
(86)【国際出願番号】 EP2021050785
(87)【国際公開番号】W WO2021160370
(87)【国際公開日】2021-08-19
【審査請求日】2022-10-11
(31)【優先権主張番号】2050164-9
(32)【優先日】2020-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】509005513
【氏名又は名称】アルファ-ラヴァル・コーポレート・アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】イェンス・ロムルンド
【審査官】礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2006/043864(WO,A1)
【文献】特表平01-503558(JP,A)
【文献】特表2017-507312(JP,A)
【文献】特開平11-311491(JP,A)
【文献】中国実用新案第2847203(CN,Y)
【文献】独国特許出願公開第102014005149(DE,A1)
【文献】国際公開第95/000810(WO,A1)
【文献】独国特許出願公開第102010036664(DE,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0033015(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28D 1/00 - 13/00
F28F 1/00 - 99/00
F25B 39/00 - 39/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の流体と第2の流体との間で熱交換するように構成されたプレート式熱交換器(1)によって備えられる伝熱プレート(2)であって、前記伝熱プレート(2)が、
前記伝熱プレート(2)の延長平面(p)と平行に延在し、リッジおよび谷部をもつ起伏部(7)を備える熱交換器領域(6)であって、前記起伏部(7)が、前記延長平面(p)の一方の側の一次レベル(p')から、前記延長平面(p)の反対側の二次レベル(p")まで延在する、熱交換器領域(6)と、
前記熱交換器領域(6)の周囲に延在する縁部領域(10)と、
前記縁部領域(10)の内側に位置し、ポートホール縁部(13)によって画定されたそれぞれのポートホール(12)を各々取り囲み、前記伝熱プレート(2)を貫いて延在するいくつかのポートホール領域(11'、11")とを備える伝熱プレート(2)において、
前記ポートホール領域(11'、11")が、前記ポートホール(12)の周囲に延在し、前記二次レベル(p")に位置するそれぞれの環状ベース領域(14)を備える2個の第1のポートホール領域(11')を備えることと、
前記第1のポートホール領域(11')の各々が、
前記ポートホール(12)の周囲に設けられ、前記二次レベル(p")での前記環状ベース領域(14)から前記一次レベル(p')まで突出する第1の環状リッジ(21)、および、
前記第1の環状リッジ(21)の周囲にかつ前記第1の環状リッジ(21)から離れて設けられ、前記二次レベル(p")での前記環状ベース領域(14)から前記一次レベル(p')まで突出する第2の環状リッジ(22)を備えることと、
前記第1および第2の環状リッジ(21、22)の各々が、いくつかの窪み(25)によって貫いて分断されていることと、を特徴とする伝熱プレート(2)。
【請求項2】
前記第1の環状リッジ(21)および前記第2の環状リッジ(22)の前記窪み(25)が、前記第1および第2の環状リッジ(21、22)を通る流体連通路を形成する、請求項1に記載の伝熱プレート(2)。
【請求項3】
前記第1のポートホール領域(11')の各々の前記第1の環状リッジ(21)が、それぞれの前記ポートホール(12)の前記ポートホール縁部(13)から離れて位置する、請求項1および2のいずれか一項に記載の伝熱プレート(2)。
【請求項4】
前記第1の環状リッジ(21)を貫いて延在する前記いくつかの窪み(25)のうちのいずれか1個が、前記第2の環状リッジ(22)を貫いて延在する前記いくつかの窪み(25)のうちの前記いずれか1個を通って延在する前記ポートホール(12)のいかなる半径方向線からも変位され、その結果、前記第1の環状リッジ(21)を貫いて延在する前記いくつかの窪み(25)のうちのいずれか1個が、窪み(25)を有しない前記第2の環状リッジ(22)の一部に対向して位置する、請求項1から3のいずれか一項に記載の伝熱プレート(2)。
【請求項5】
前記第1のポートホール領域(11')の各々が、前記第2の環状リッジ(22)の周囲にかつ前記第2の環状リッジ(22)から離れて設けられ、前記二次レベル(p")での前記環状ベース領域(14)から前記一次レベル(p')まで突出する第3の環状リッジ(23)を備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の伝熱プレート(2)。
【請求項6】
前記第3の環状リッジ(23)が、いくつかの窪み(25)によって貫いて分断されている、請求項5に記載の伝熱プレート(2)。
【請求項7】
前記第3の環状リッジ(23)の前記窪み(25)が、前記第3の環状リッジ(23)を通る流体連通路を形成する、請求項6に記載の伝熱プレート(2)。
【請求項8】
前記第1のポートホール領域(11')の前記ポートホールのいかなる半径方向線も、最大で2個の窪み(25)を通って延在する、請求項6および7のいずれか一項に記載の伝熱プレート(2)。
【請求項9】
前記窪み(25)が、前記二次レベル(p")まで延在する、請求項の1から8のいずれか一項に記載の伝熱プレート(2)。
【請求項10】
前記窪み(25)の数が、少なくとも1個、および最大で10個、最大で9個、最大で8個、最大で7個、または最大で6個である、請求項1から9のいずれか一項に記載の伝熱プレート(2)。
【請求項11】
各窪み(25)が、前記ポートホール縁部(13)の周方向に平行な幅、および前記幅に対して垂直な長さを有し、前記幅は前記長さのオーダーである、請求項1から10のいずれか一項に記載の伝熱プレート(2)。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載の複数の伝熱プレート(2)を備える蒸発用のプレート式熱交換器(1)であって、前記伝熱プレート(2)が、前記第1の流体用の第1のプレート間隙(8)、および前記第2の流体用の第2のプレート間隙(9)を形成する、プレート式熱交換器(1)。
【請求項13】
前記伝熱プレート(2)が、ろう付けによって互いに恒久的に接合される、請求項12に記載のプレート式熱交換器(1)。
【請求項14】
前記第1および第2の流体の少なくとも一方が、二酸化炭素である、請求項12および13のいずれか一項に記載のプレート式熱交換器(1)。
【請求項15】
前記プレート式熱交換器(1)のどの第2の伝熱プレート(2)も、1個の伝熱プレート(2)の前記第1の環状リッジ(21)の上面が、隣接する伝熱プレート(2)の前記第1の環状リッジ(21)の上面に隣接するように配置される、請求項12から14のいずれか一項に記載のプレート式熱交換器(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに記載された、第1の流体と第2の流体との間で熱交換するように構成されたプレート式熱交換器によって備えられる伝熱プレートに関する。また、本発明は、複数の伝熱プレートを備えるプレート式熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
特定のプレート式熱交換器の用途では、高いまたは非常に高い設計圧力が必要とされる。すなわち、プレート式熱交換器は、プレート式熱交換器のプレートの間隙を通って流れる流体の一方または両方の高圧または超高圧に耐えるように設計されなければならない。したがって、上記で定義された種類のプレート式熱交換器、特に、例えば、ろう付けによって恒久的に接合された伝熱プレートを有するプレート式熱交換器において、そのような高圧を許容できることが望ましい。このような高い設計圧力は、外部の強化する構成要素を設けることなく達成することは困難である。
【0003】
伝熱プレートの重要な区域は、ポートホールのそれぞれの周囲または周囲付近のポートホール領域である。ポートホール領域は、設計圧力の上限を決定し得る。
【0004】
非常に高い設計圧力を必要とする用途の一例は、プレート式熱交換器、例えば、蒸発器および凝縮器であり、それには、プレート熱交換器の中を流れる流体のうちの1個または2個が、二酸化炭素、または高い設計圧力を必要とする他のいかなる適切な冷却剤を含むか、またはそれらからなる。
【0005】
この文脈において、二酸化炭素は、フッ化物、アンモニウムなどを含有する従来の冷却剤と比較して、環境の観点から非常に有利である。
【0006】
欧州特許第2257759号には、第1のプレート間隙および第2のプレート間隙を有するプレートパッケージを形成するために、互いに並んで設けられ、互いに恒久的に接合された複数の伝熱プレートを備えるプレート式熱交換器が開示されている。各プレートは、伝熱領域、およびそれぞれのポートホール縁部によって画定される4個のポートホール領域を有する。ポートホール領域の各々が、一次および二次レベルの一方に位置する環状平面領域、ならびに一次および二次レベルの他方における環状平坦領域上の一組の内側部分を備える。各内側部分は、ポートホール縁部に隣接する内側部、および内側部に隣接し、少なくとも180°の角度延長部を有する外側セグメントを有する。外側セグメントは、連続的な輪郭および半径Rを有する。
【0007】
米国特許出願公開第2007/0089872号には、第1および第2のハウジングを備える熱交換器が開示されている。第1のハウジングには、その中に形成された開口部、およびそこから上方に延在し、開口部の周囲に位置する周辺隆起部を有する上面部が含まれる。周辺隆起部には、開口部内に延在する周辺フランジ、および周辺隆起部を貫いて形成された溝が含まれる。第2のハウジングには、その中に形成された開口部、およびその中に形成され、開口部の周囲に位置する周辺凹部を有する上面が含まれる。周辺壁が、そこから延在し、周辺凹部と開口部との間に配置される。周辺フランジは、開口部の中へと延在する。第2のハウジングは、周辺凹部を通って延在するダクトを含み、その中に形成された経路を有する。第1のハウジングの溝および第2のハウジングの経路は、第2のハウジングが第1のハウジング上に配置されたときに、熱媒体が周辺隆起部および周辺凹部を通って流れるようにするための流路を形成する。第1および前記第2のハウジングの周辺フランジは、第1のハウジングが第2のハウジング上に配置されるときに、重ね合わせられて、互いに接触する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】欧州特許第2257759号
【文献】米国特許出願公開第2007/0089872号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、上述の問題を克服することである。特に、本発明は、非常に高い設計圧力を可能にする伝熱プレートおよびプレート式熱交換器を目標とする。特に、本発明は、ポートホールの周辺の領域の強化を目標とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本目的は、最初に定義された伝熱プレートによって達成され、この伝熱プレートは、
ポートホール領域が、ポートホールの周囲に延在し、二次レベルに位置するそれぞれの環状ベース領域を備える2個の第1のポートホール領域を備えることと、
第1のポートホール領域の各々が、
ポートホールの周囲に設けられ、二次レベルでの環状ベース領域から一次レベルまで突出する第1の環状リッジ、および
第1の環状リッジの周囲にかつ第1の環状リッジから離れて設けられ、二次レベルでの環状ベース領域から一次レベルまで突出する第2の環状リッジを備えることと、
第1および第2の環状リッジの各々が、いくつかの窪みによって貫いて分断されていることとを特徴とする。
【0011】
第1および第2の環状リッジは、ポートホール領域の強化に寄与する。したがって、第1のポートホール領域は、そのような伝熱プレートを組み立てたプレート式熱交換器が、例えば140バールまでの高いまたは非常に高い設計圧力を有することを許容する。したがって、プレート式熱交換器は、第1の流体および第2の流体のうちの少なくとも1個として、例えば、二酸化炭素を含有するか、または供給されるのに適し得る。環状リッジのおかげで、ポートホール領域での伝熱プレートの曲げに対する抵抗が増加するか、または著しく増加することさえあり得る。第1および第2の環状リッジは、プレート式熱交換器の隣接する伝熱プレートのそれぞれ対向する第1および第2の環状リッジに隣接して接合されるように構成され得ることもあり、したがって、プレート式熱交換器全体を通して第1のポートホール領域を強化する一因となり得る。
【0012】
また、環状ベース領域は、第1のポートホール領域を強化する一因となる。環状ベース領域は、プレート式熱交換器の隣接する伝熱プレートの対向する環状ベース領域に隣接して接合されるように構成され得ることがあり、したがって、プレート式熱交換器全体を通して第1のポートホール領域を強化する一因になり得る。
【0013】
本発明の一実施形態によれば、第1の環状リッジおよび第2の環状リッジの窪みは、第1および第2の環状リッジを通る流体連通路を形成する。したがって、第1または第2の流体は、ポートホールから、第1および第2の環状リッジ間の環状スペースに向かって、第1の環状リッジの1個または複数の窪みを通って流れ、前記環状スペースから、第2の環状リッジの1個または複数の窪みを通って流れ得る。
【0014】
本発明の一実施形態によれば、第1および第2の環状リッジは、ポートホール縁部と同心である。
【0015】
本発明の一実施形態によれば、ポートホール縁部は円形である。有利には、第1および第2の環状リッジも円形であり得る。
【0016】
本発明の一実施形態によれば、第1のポートホール領域の各々の第1の環状リッジは、それぞれのポートホールのポートホール縁部から離れて位置する。したがって、伝熱プレートの環状ベース領域の内側環状部分が、プレート式熱交換器の隣接する伝熱プレートの環状ベース領域の内側環状部分に隣接して接合され得ることがあり、それにより、プレート式熱交換器全体にわたってポートホール縁部を強化する一因となり得る。
【0017】
本発明の一実施形態によれば、第1の環状リッジを貫いて延在する前記いくつかの窪みのうちのいずれか1個は、第2の環状リッジを貫いて延在する前記いくつかの窪みのうちのいずれか1個を通って延在するポートホールのいかなる半径方向線からも変位され、その結果、第1の環状リッジを貫いて延在する前記いくつかの窪みのうちのいずれか1個は、窪みを有しない第2の環状リッジの一部に対向して位置する。このような窪みの位置決めは、伝熱プレートの第1のポートホール領域を更に強化することに寄与し、特に、第1のポートホール領域の曲げ抵抗を増加させる一因となる。
【0018】
本発明の一実施形態によれば、第1のポートホール領域の各々は、第2の環状リッジの周囲にかつ第2の環状リッジから離れて設けられ、二次レベルでの環状ベース領域から一次レベルまで突出する第3の環状リッジを備える。第3の環状リッジは、第1のポートホール領域を更に強化する一因となり得る。
【0019】
本発明の一実施形態によれば、第3の環状リッジは、いくつかの窪みによって貫いて分断されている。
【0020】
本発明の一実施形態によれば、第3の環状リッジの窪みは、第3の環状リッジを通る流体連通路を形成する。
【0021】
本発明の一実施形態によれば、第1のポートホール領域のポートホールの任意の半径方向線は、最大で2個の窪みを通って延在する。
【0022】
本発明の一実施形態によれば、窪みは二次レベルまで延在する。
【0023】
本発明の一実施形態によれば、窪みの数は、少なくとも1個、および最大で10個、最大で9個、最大で8個、最大で7個、最大で6個、最大で5個、最大で4個、最大で3個または最大で2個である。窪みの数は、個々のプレート式熱交換器ごとに選択し得ることもあり、強度の要件および第1または第2の流体用の大きな流通面積の必要性によって決定され得る。特に、第1の環状リッジは、少なくとも1個、および最大で10個、最大で9個、最大で8個、最大で7個、最大で6個、最大で5個、最大で4個、最大で3個、または最大で2個の窪みを備え得る。更に、第2の環状リッジは、少なくとも1個、および最大で10個、最大で9個、最大で8個、最大で7個、最大で6個、最大で5個、最大で4個、最大で3個または最大で2個の窪みを備え得る。また更に、第3の環状リッジは、少なくとも1個、および最大で10個、最大で9個、最大で8個、最大で7個、最大で6個、最大で5個、最大で4個、最大で3個または最大で2個の窪みを備え得る。
【0024】
本発明の一実施形態によれば、各窪みは、ポートホール縁部の周方向に平行な幅、および幅に対して垂直な長さを有し、幅は長さのオーダーである。したがって、窪みの幅は比較的小さい。窪みの最終的な幅は、強度の要件および第1または第2の流体用の大きな流通面積の必要性によっても決定され得る。
【0025】
また、本発明の目的は、上記で定義された複数の伝熱プレートを備える蒸発用のプレート式熱交換器によっても達成され、ここで、伝熱プレートが第1の流体用の第1のプレート間隙、および第2の流体用の第2のプレート間隙を形成する。第1および第2のプレート間隙は、プレート式熱交換器において交互順に配置され得る。プレート式熱交換器は、例えば、140バールまでの高いまたは非常に高い設計圧力を有し得る。したがって、プレート式熱交換器は、第1の流体および第2の流体のうちの少なくとも1個として、二酸化炭素を含有するか、または供給されるのに適し得る。環状リッジのおかげで、ポートホール領域の強度が増強され得るか、または著しく増強されることさえあり得る。
【0026】
どの第2の伝熱プレートの環状リッジも、隣接する伝熱プレートの環状リッジに隣接して接合され、強固なポートホール領域を形成し得る。したがって、プレート式熱交換器は、高いまたは非常に高い設計圧力に耐え得る。
【0027】
本発明の一実施形態によれば、伝熱プレートは、ろう付けによって互いに恒久的に接合される。
【0028】
本発明の一実施形態によれば、第1および第2の流体の少なくとも一方は、二酸化炭素、または高い設計圧力を必要とする何か他の冷却剤である。
【0029】
本発明の一実施形態によれば、プレート式熱交換器のどの第2の伝熱プレートも、複数の伝熱プレートのうちの1個の第1の環状リッジの上面が、隣接する伝熱プレートの第1の環状リッジの上面に隣接するように配置される。更に、複数の伝熱プレートのうちの1個の第2の環状リッジの上面は、隣接する伝熱プレートの第2の環状リッジの上面に隣接し得る。また更に、複数の伝熱プレートのうちの1個の第3の環状リッジの上面は、隣接する伝熱プレートのそれぞれの第3の環状リッジの上面に隣接し得る。
【0030】
ここで、本発明を、様々な実施形態の説明を通して、添付の図面を参照して、より詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の第1の実施形態によるプレート式熱交換器の平面図を概略的に表した図である。
図2図1における線II-IIに沿った長手方向断面図を概略的に表した図である。
図3図1のおけるプレート式熱交換器の伝熱プレートの平面図を概略的に表した図である。
図4図3における伝熱プレートの第1のポートホール領域の平面図を概略的に表した図である。
図5図4における線V-Vに沿った第1のポートホール領域の断面図を概略的に表した図である。
図6】本発明の第2の実施形態による伝熱プレートの第1のポートホール領域の平面図を概略的に表した図である。
図7】本発明の第3の実施形態による伝熱プレートの第1のポートホール領域の平面図を概略的に表した図である。
図8】本発明の第4の実施形態による伝熱プレートの第1のポートホール領域の平面図を概略的に表した図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
図1および図2には、プレート式熱交換器1が開示されている。プレート式熱交換器1は、プレート式熱交換器1のプレートパッケージ5によって備えられるように、互いに並んで配置された複数の伝熱プレート2を備える。また、プレートパッケージ5は、第1のエンドプレート3および第2のエンドプレート4を備え得る。図2で分かるように、伝熱プレート2は、第1のエンドプレート3と第2のエンドプレート4との間に配置される。
【0033】
伝熱プレート2、第1のエンドプレート3、および第2のエンドプレート4の各々は、図1および図3に示される長手方向中心軸xに沿って延在する。
【0034】
伝熱プレート2、第1のエンドプレート3、および第2のエンドプレート4の各々は、図2に示される、それぞれの延長平面pと平行に延在する。
【0035】
プレートパッケージ5の伝熱プレート2は、例えば、ろう付け材料を用いて、およびろう付けプロセスを通じて、互いに、ならびに第1および第2のエンドプレート3およびエンドプレート4に恒久的に接合され得る。
【0036】
図3を参照すると、伝熱プレート2の各々は、伝熱プレート2の延長平面pと平行に延在する熱交換器領域6を備える。熱交換器領域6は、リッジおよび谷部をもつ起伏部7を備える。起伏部7は、図5を参照すると、延長平面pの一方の側の一次レベルp'から、延長平面pの反対側の二次レベルp"まで延在する。したがって、起伏部7は、一次レベルp'と二次レベルp"との間で上下している。プレート式熱交換器1では、1個の伝熱プレート2の谷部が、隣接する伝熱プレート2のリッジに隣接して接合される。一次レベルp'と二次レベルp"との間の距離は、伝熱プレート2のプレスの深さに等しい。
【0037】
伝熱プレート2は、プレートパッケージ5内で互いに積み重ねられて、第1の流体用の第1のプレート間隙8および第2の流体用の第2のプレート間隙9を形成する。第1および第2のプレート間隙8および9は、図2および図5に示されるように、プレートパッケージ5内に交互順に配置される。
【0038】
また、伝熱プレート2の各々は、熱交換器領域6の周囲に延在し、取り囲む縁部領域10を備える。縁部領域10は、中央領域6に隣接し得る。縁部領域10は、図2を参照すると、延長平面pに対して傾斜角を形成するフランジからなり得るか、またはフランジを備え得る。
【0039】
開示される実施形態では、伝熱プレート2および第1のエンドプレート3の各々は、縁部領域10の内側に位置し、ポートホール縁部13によって画定されたそれぞれのポートホール12を各々取り囲み、伝熱プレート2を貫いて延在する4個のポートホール領域11'、11"を備える。ポートホール領域11'、11"は、図3を参照すると、2個の第1のポートホール領域11'および2個の第2のポートホール領域11"を備える。
【0040】
開示される実施形態では、第1のポートホール領域11'のポートホール12は、第1のプレート間隙8に出入りする第1の流体のための、入口および出口をそれぞれ備えるか、または形成する。第2のポートホール領域11"のポートホール12は、第2のプレート間隙9に出入りする第2の流体のための、入口および出口をそれぞれ備えるか、または形成する。図3に示すように、第1のポートホール領域11'は、長手方向中心軸xの同じ側に位置し、第2のポートホール領域11"は、長手方向中心軸xの反対側に位置する。したがって、ポートホール領域11'、11"は、プレート式熱交換器1を通るいわゆる平行流を許容するように配置される。
【0041】
あるいは、第1のポートホール領域11'は、互いに対角線上に対向して位置し得る。その場合、第2のポートホール領域11"は、互いに対角線上に対向して位置することになる。
【0042】
開示される実施形態では、ポートホール領域11'、11"の各々は、ポートホール12の周囲をポートホール縁部13まで延在する環状ベース領域14を備える。したがって、環状ベース領域14は、熱交換器領域6および/または縁部領域10からポートホール縁部13まで延在し得る。第1のポートホール領域11'の環状ベース領域14は、図5を参照すると、二次レベルp"に位置するか、またはその上に位置する。第2のポートホール領域11"の環状ベース領域14は、一次レベルp'に位置するか、またはその上に位置する。
【0043】
第1の実施形態では、図4および図5を参照すると、第1のポートホール領域11'の各々は、第1の環状リッジ21、第2の環状リッジ22、および第3の環状リッジ23を備える。
【0044】
第1の環状リッジ21は、ポートホール12の周囲に設けられ、二次レベルp"での環状ベース領域14から一次レベルp'まで突出する。
【0045】
第1の環状リッジ21は、それぞれのポートホール12のポートホール縁部13から離れて位置し得る。したがって、環状ベース領域14の内側環状部分は、ポートホール縁部13と第1の環状リッジ21との間に設けられ得る。
【0046】
第2の環状リッジ22は、第1の環状リッジ21の周囲に、かつ離れて設けられ、二次レベルp"での環状ベース領域14から一次レベルp'まで突出する。したがって、環状ベース領域14の第1の中間環状部分は、第1の環状リッジ21と第2の環状リッジ22との間に設けられ得る。
【0047】
第3の環状リッジ23は、第2の環状リッジ22の周囲に、かつ離れて設けられ、二次レベルp"での環状ベース領域14から一次レベルp'まで突出する。したがって、環状ベース領域14の第2の中間環状部分は、第2の環状リッジ22と第3の環状リッジ23との間に設けられ得る。
【0048】
第1、第2、および第3の環状リッジ21、22、23の各々は、一次レベルp'に位置する上面を有する。図5に概略的に示されるように、上面は、平坦であり得るか、または湾曲し得ることもあり、それにより、短いまたは線状の幅を有し得る。
【0049】
第1、第2、および第3の環状リッジ21、22、23の各々は、図4および図5で分かるように、いくつかの窪み25によって貫いて分断されている。第1の環状リッジ21、第2の環状リッジ22、および第3の環状リッジ23の窪み25は、それぞれの第1、第2、および第3の環状リッジ21、22、23を通る流体連通路を形成する。
【0050】
第1、第2、および第3の環状リッジ21、22、23の窪み25は、一次レベルp'での上面から二次レベルp"まで、即ち環状ベース領域14と同じレベルまで延在する。
【0051】
第1、第2、および第3の環状リッジ21、22、23の一部もしくは全部の窪み25の全部または一部が、一次レベルp'での上面から、中間レベルより上まで、または二次レベルp"から離れて延在し得ることに留意すべきである。
【0052】
第1、第2、および第3の環状リッジ21、22、23の窪み25の各々は、ポートホール縁部13の周方向に平行な幅、およびその幅に対して垂直な半径方向の長さを有する。窪み25の幅は、窪み25の長さに等しくなり得るか、または窪み25の長さのオーダーであり得る。
【0053】
第1、第2、および第3の環状リッジ21、22、23の各々は、ポートホール12から熱交換器領域6に隣接するプレート間隙8、9へ流体が流れるようにするため、少なくとも1個の窪み25を備える。第1の実施形態では、第1、第2、および第3の環状リッジ21、22、23の各々は、1個の窪み25のみを備える。
【0054】
第1、第2および第3の環状リッジ21、22、23の各々は、最大で10個、最大で9個、最大で8個、最大で7個、最大で6個、最大で5個、最大で4個、最大で3個または最大で2個の窪み25を備え得る。窪み25の数は、第1、第2または第3の環状リッジ21、22、23の各々に等しいことがあり得る。あるいは、第1、第2および第3の環状リッジ21、22、23は、異なる数の窪み25を有し得る。窪み25の数は、個々の伝熱プレート2またはプレート式熱交換器1ごとに選択し得て、強度の要件および第1または第2の流体用の大きな流路面積の必要性によって決定され得る。
【0055】
第1の実施形態では、第1のポートホール領域11'のポートホール12のいかなる半径方向線も、ポートホール12の中心から最大で2個の窪み25を通って延在する。特に、図4で分かるように、ポートホール12の中心から、第2および第3の環状リッジ22、23の窪み25を通って、窪み25を有しない第1の環状リッジ21の一部を通って延在する半径方向線が存在する。更に、図4でも分かるように、ポートホール12の中心から、第1の環状リッジ21の窪み25を通って、窪み25を有しない第2および第3の環状リッジ22の一部を通って延在する半径方向線が存在する。
【0056】
2個の第2のポートホール領域11"は、2個の第1のポートホール領域11'と同じ構成を有し得るが、第1、第2および第3の環状リッジ21、22、23が、代わりに、一次レベルp'でのまたはその上の環状ベース領域14から二次レベルp"まで延在し得る。したがって、第1、第2および第3のリッジ21、22、33の窪み25は、二次レベルp"から、一次レベルp'まで、または中間レベルまでずっと延在し得る。
【0057】
プレート式熱交換器1では、どの第2の伝熱プレート2も、1個の伝熱プレート2の第1、第2および第3の環状リッジ21、22、23の上面が隣接するように配置され得て、隣接する伝熱プレート2の第1、第2および第3の環状リッジ21、22、23のそれぞれの上面に接合し得る。更に、1個の伝熱プレート2のポートホール領域11'、11"の環状ベース領域14は、隣接する伝熱プレート2の対向する環状ベース領域14に隣接して接合され得る。伝熱プレートのこの配置は、2個の異なる種類の伝熱プレートを押圧することによって、延長平面pにおいてどの第2の伝熱プレートも180度回転させることによって達成し得る。後者の場合、ポートホール領域11'、11"のすべてが、同じ構成を有する必要があり、または斜めに位置決めされたポートホール領域11'、11"が、同じ構成を有する必要がある。
【0058】
図5に示すように、1個の伝熱プレート2の第1の環状リッジ21の窪み25は、隣接する伝熱プレート2の第1の環状リッジ25の窪み25と、プレート式熱交換器1の残りの伝熱プレート2の窪み25とは対向して位置する。また、1個の伝熱プレート2の第2および第3の環状リッジ22、23の窪み25は、隣接する伝熱プレート2のそれぞれの第2および第3の環状リッジ25の窪み25と、プレート式熱交換器1の残りの伝熱プレート2の窪み25とは対向して位置する。この構成は、窪み25が、隣接する伝熱プレート2の間の距離に対応する高さ、言い換えればプレスの深さの2倍の高さを有する流体連通路を構築し得ることを意味する。
【0059】
あるいは、第1、第2および第3の環状リッジ21~23のうちの1個または複数の窪み25は、隣接する熱交換プレート2のそれぞれの環状リッジ21~23の窪みから周方向に変位され得る。この構成は、窪み25が、隣接する伝熱プレート2の間の半分の距離に対応する高さ、言い換えればプレスの深さの半分の高さを有する流体連通路を構築し得ることを意味する。
【0060】
図6は、第2の実施形態を示しており、第1のポートホール領域11'および第2のポートホール領域11"の各々が、第1の環状リッジ21および第2の環状リッジ22のみを備えるという点で第1の実施形態とは異なる。第2の実施形態では、第1の環状リッジ21は、2個の窪み25を備え、第2の環状リッジ22は1個の窪み25を備える。更に、第1の環状リッジ21を貫いて延在する窪み25は、第2の環状リッジ22を貫いて延在する窪み25を通って延在するポートホール12のいかなる半径方向線からも変位され、その結果、第1の環状リッジ21を貫いて延在する窪み25が、窪み25を有しない第2の環状リッジ22の一部と対向して位置する。
【0061】
図7は、第3の実施形態を示しており、第1、第2および第3の環状リッジ21、22、23の各々が、2個の窪み25、即ち第1および第2の窪み25を備えるという点で第1の実施形態とは異なる。半径方向線は、ポートホール12の中心から、第1、第2および第3の環状リッジ21、22、23の各々の第1の窪み25を通って延在し、別の半径方向線は、ポートホール12の中心から、第1、第2および第3の環状リッジ21、22、23の各々の第2の窪み25を通って延在する。
【0062】
図8は、第3の実施形態を示しており、第1および第2の環状リッジ21、22の各々が、2個の窪み25、即ち第1および第2の窪み25を備えるという点で第1の実施形態とは異なる。第3の環状リッジ23は、3個の窪み25を備える。窪み25は、ポートホール12の中心から延在するいかなる半径方向線も第1の窪み25のうちの1個のみを通って延在し得るように位置する。
【0063】
窪み25の数および異なる窪み25の位置の両方に関して、異なる環状リッジ21、22、23を貫いて窪み25を配置するための多くの様々な可能性があることに留意すべきである。
【0064】
本発明は、開示された実施形態に限定されず、以下の特許請求の範囲内で変更および修正され得る。
【符号の説明】
【0065】
1 プレート式熱交換器
2 伝熱プレート
3 第1のエンドプレート
4 第2のエンドプレート
5 プレートパッケージ
6 熱交換器領域
7 起伏部
8 第1のプレート間隙
9 第2のプレート間隙
10 縁部領域
11' 第1のポートホール領域
11" 第2のポートホール領域
12 ポートホール
13 ポートホール縁部
14 環状ベース領域
21 第1の環状リッジ
22 第2の環状リッジ
23 第3の環状リッジ
25 窪み
P 延長平面
p' 一次レベル
p" 二次レベル
x 長手方向中心軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8