(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】V2X通信におけるリソース割り当てを処理するための方法、システム、およびデバイス、ならびに媒体
(51)【国際特許分類】
H04W 72/25 20230101AFI20231226BHJP
H04W 4/40 20180101ALI20231226BHJP
H04W 72/40 20230101ALI20231226BHJP
H04W 92/18 20090101ALI20231226BHJP
【FI】
H04W72/25
H04W4/40
H04W72/40
H04W92/18
(21)【出願番号】P 2022549595
(86)(22)【出願日】2021-02-05
(86)【国際出願番号】 CN2021075651
(87)【国際公開番号】W WO2021164589
(87)【国際公開日】2021-08-26
【審査請求日】2022-10-17
(31)【優先権主張番号】202010098781.8
(32)【優先日】2020-02-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520122781
【氏名又は名称】スプレッドトラム コミュニケーションズ(シャンハイ) カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ミミ
【審査官】新井 寛
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/011336(WO,A1)
【文献】特開2018-029323(JP,A)
【文献】国際公開第2019/174742(WO,A1)
【文献】特開2019-169981(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 - 7/26
H04W 4/00 - 99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
V2X通信におけるリソース割り当てを処理するための方法であって、V2X通信におけるリソース割り当てを処理するための前記方法は、受信器UEに適用され、
V2X通信におけるリソース割り当てを処理するための前記方法は、
干渉源UEの予約リソースと送信器UEの予約リソースとの間に競合があるかどうかを判定するステップと、
前記競合があると判定することに応答して、補助情報を生成し、該補助情報を前記送信器UEに送信するステップであって、前記補助情報は前記競合を表すために用いられる、ステップと
を含み、前記干渉源UEの前記予約リソースと前記送信器UEの前記予約リソースとの間に前記競合があるかどうかを判定する前記ステップは、
前記送信器UEの前記予約リソースと前記干渉源UEの前記予約リソースとの間にIBE問題または隠れノード問題があるかどうかを判定するステップと、
前記IBE問題または前記隠れノード問題があると判定することに応答して、前記競合があると判定するステップと
を含み、前記送信器UEの前記予約リソースと前記干渉源UEの前記予約リソースとの間に前記IBE問題または前記隠れノード問題があるかどうかを判定する前記ステップは、
前記送信器UEの前記予約リソースが前記干渉源UEの前記予約リソースに隣接するかどうかまたは同じであるかどうかを判定するステップと、
前記送信器UEの前記予約リソースが前記干渉源UEの前記予約リソースに隣接するかまたは同じであることに応答して、隣接するかまたは同じ前記予約リソースのRSRPが予め設定された閾値を超えるかどうかを判定するステップと、
隣接するかまたは同じ前記予約リソースの前記RSRPが前記予め設定された閾値を超えることに応答して、前記IBE問題または前記隠れノード問題があると判定するステップと
を含み、前記補助情報は、競合タイプを含み、前記競合タイプは、前記IBE問題または前記隠れノード問題を表すために用いられる、方法。
【請求項2】
請求項
1に記載のV2X通信におけるリソース割り当てを処理するための方法であって、
前記補助情報は、送信データの優先度をさらに含み、前記送信データは、前記予約リソースによって送信されるデータを指し、
前記方法は、
前記送信器UEの前記予約リソースと前記干渉源UEの前記予約リソースとの間に前記IBE問題または前記隠れノード問題があると判定することに応答して、前記送信器UEにおける送信データの優先度が前記干渉源UEにおける送信データの優先度以下であるかどうかを判定するステップと、
前記送信器UEにおける前記送信データの前記優先度が前記干渉源UEにおける前記送信データの前記優先度以下であることに応答して、前記競合があると判定するステップと
をさらに含む、
方法。
【請求項3】
請求項1
または2に記載のV2X通信におけるリソース割り当てを処理するための方法であって、前記補助情報は、前記干渉源UEの前記予約リソースを含む、方法。
【請求項4】
請求項
3に記載のV2X通信におけるリソース割り当てを処理するための方法であって、前記補助情報は、前記干渉源UEの前記予約リソースの予約期間をさらに含む、方法。
【請求項5】
請求項1から
4の少なくとも一項に記載のV2X通信におけるリソース割り当てを処理するための方法であって、前記補助情報を前記送信器UEに送信する前記ステップは、
SCIデータを介して前記補助情報を前記送信器UEに送信するステップ
を含む、方法。
【請求項6】
請求項
5に記載のV2X通信におけるリソース割り当てを処理するための方法であって、
SCIデータを介して前記補助情報を前記送信器UEに送信する前記ステップは、
前記補助情報を含む新しいSCIデータを生成するステップと、
前記新しいSCIデータを前記送信器UEに送信するステップと
を含むか、または、
SCIデータを介して前記補助情報を前記送信器UEに送信する前記ステップは、
前記補助情報をSCIデータに追加して、新しいSCIデータを形成するステップと、
前記補助情報に基づいて新しい無線ネットワーク一時識別子を生成するステップと、
前記新しい無線ネットワーク一時識別子を用いて前記新しいSCIデータをスクランブルするステップと、
スクランブルされた前記新しいSCIデータを前記送信器UEに送信するステップと
を含む、
方法。
【請求項7】
請求項1から
4の少なくとも一項に記載のV2X通信におけるリソース割り当てを処理するための方法であって、
前記補助情報を前記送信器UEに送信する前記ステップは、
PC5-RRCシグナリングを介して前記補助情報を前記送信器UEに送信するステップ
を含む、
方法。
【請求項8】
V2X通信におけるリソース割り当てを処理するための方法であって、V2X通信におけるリソース割り当てを処理するための前記方法は、送信器UEに適用され、
V2X通信におけるリソース割り当てを処理するための前記方法は、
受信器UEによってフィードバックされた補助情報を取得するステップであり、前記補助情報は、前記送信器UEの予約リソースと干渉源UEの予約リソースとの間の競合を表すために用いられる、ステップと、
前記補助情報に基づいて前記送信器UEの前記予約リソースを調整して、前記競合を回避するステップと
を含み、前記補助情報に基づいて前記送信器UEの前記予約リソースを調整する前記ステップは、
前記送信器UEの前記予約リソースを再選択するステップ、または、
前記送信器UEの前記予約リソースの出射電力を増加させるステップ
を含み、前記補助情報は、競合タイプを含み、前記競合タイプは、IBE問題または隠れノード問題を表すために用いられ、
前記送信器UEの前記予約リソースを再選択する前記ステップは、
前記競合タイプが前記IBE問題であることに応答して、前記送信器UEの前記予約リソースに隣接するリソース以外の候補リソースを選択するステップと、
前記競合タイプが前記隠れノード問題であることに応答して、前記送信器UEの前記予約リソース以外の候補リソースを選択するステップと
を含む、
方法。
【請求項9】
請求項
8に記載のV2X通信におけるリソース割り当てを処理するための方法であって、前記補助情報は、前記干渉源UEの前記予約リソースを含み、
前記送信器UEの前記予約リソースを再選択する前記ステップは、
前記干渉源UEの前記予約リソースに隣接するかまたは同じリソース以外の候補リソースを選択するステップ
を含む、
方法。
【請求項10】
請求項
9に記載のV2X通信におけるリソース割り当てを処理するための方法であって、前記補助情報は、前記予約リソースの予約期間をさらに含み、
V2X通信におけるリソース割り当てを処理するための前記方法は、
前記干渉源UEの前記予約リソースに隣接するかまたは同じ前記リソース以外の前記候補リソースを選択する前に、前記送信器UEの前記予約リソースの予約期間が前記干渉源UEの前記予約リソースの予約期間と同じであるかどうかを判定するステップと、
前記送信器UEの前記予約リソースの前記予約期間が前記干渉源UEの前記予約リソースの前記予約期間と同じであることに応答して、前記干渉源UEの前記予約リソースに隣接するかまたは同じ前記リソース以外の前記候補リソースを選択するステップと
をさらに含む、
方法。
【請求項11】
V2X通信におけるリソース割り当てを処理するための方法であって、
受信器UEが、競合を回避するように請求項1から
7のいずれか一項に記載の方法を通じて送信器UEに補助情報を送信するステップであって、前記補助情報は、前記送信器UEの前記予約リソースと前記干渉源UEの前記予約リソースとの間の前記競合を表すために用いられる、ステップと、
前記送信器UEが、請求項
8から
10のいずれか一項に記載の方法を通じて、前記補助情報に基づいて前記予約リソースを調整するステップと
を含む方法。
【請求項12】
V2X通信におけるリソース割り当てを処理するためのシステムであって、V2X通信におけるリソース割り当てを処理するための前記システムは、受信器UEに適用され、
V2X通信におけるリソース割り当てを処理するための前記システムは、決定モジュールおよびフィードバックモジュールを含み、
前記決定モジュールは、
干渉源UEの予約リソースと送信器UEの予約リソースとの間に競合があるかどうかを判定し、
前記競合があると判定することに応答して、前記フィードバックモジュールを呼び出す
ように構成され、
前記フィードバックモジュールは、
補助情報を生成し、該補助情報を前記送信器UEに送信し、前記補助情報は、前記競合を表すために用いられる
ように構成され、前記決定モジュールは、
前記送信器UEの前記予約リソースと前記干渉源UEの前記予約リソースとの間にIBE問題または隠れノード問題があるかどうかを判定し、
前記IBE問題または前記隠れノード問題があると判定することに応答して、前記競合があると判定する
ようにさらに構成され、前記決定モジュールは、
前記送信器UEの前記予約リソースが前記干渉源UEの前記予約リソースに隣接するかどうかまたは同じであるかどうかを判定し、
前記送信器UEの前記予約リソースが前記干渉源UEの前記予約リソースに隣接するかまたは同じであることに応答して、隣接するかまたは同じ前記予約リソースのRSRPが予め設定された閾値を超えるかどうかを判定し、
隣接するかまたは同じ前記予約リソースの前記RSRPが前記予め設定された閾値を超えることに応答して、前記IBE問題または前記隠れノード問題があると判定する
ようにさらに構成され、前記補助情報は、競合タイプを含み、前記競合タイプは、前記IBE問題または前記隠れノード問題を表すために用いられる、システム。
【請求項13】
請求項
12に記載のV2X通信におけるリソース割り当てを処理するためのシステムであって、
前記補助情報は、送信データの優先度をさらに含み、前記送信データは、前記予約リソースによって送信されるデータを指し、
前記決定モジュールは、
前記送信器UEの前記予約リソースと前記干渉源UEの前記予約リソースとの間に前記IBE問題または前記隠れノード問題があると判定することに応答して、前記送信器UEにおける送信データの優先度が前記干渉源UEにおける送信データの優先度以下であるかどうかを判定し、
前記送信器UEにおける前記送信データの前記優先度が前記干渉源UEにおける前記送信データの前記優先度以下であることに応答して、前記競合があると判定す
る
ようにさらに構成される、
システム。
【請求項14】
請求項
12または13に記載のV2X通信におけるリソース割り当てを処理するためのシステムであって、前記補助情報は、前記干渉源UEの前記予約リソースを含む、システム。
【請求項15】
請求項
14に記載のV2X通信におけるリソース割り当てを処理するためのシステムであって、前記補助情報は、前記干渉源UEの前記予約リソースの予約期間をさらに含む、システム。
【請求項16】
請求項
12から
15の少なくとも一項に記載のV2X通信におけるリソース割り当てを処理するためのシステムであって、前記フィードバックモジュールは、SCIデータを介して前記補助情報を前記送信器UEに送信するようにさらに構成される、システム。
【請求項17】
請求項
16に記載のV2X通信におけるリソース割り当てを処理するためのシステムであって、
前記フィードバックモジュールは、
前記補助情報を含む新しいSCIデータを生成し、
前記新しいSCIデータを前記送信器UEに送信する
ようにさらに構成されるか、または、
前記フィードバックモジュールは、
前記補助情報をSCIデータに追加して、新しいSCIデータを形成し、
前記補助情報に基づいて新しい無線ネットワーク一時識別子を生成し、
前記新しい無線ネットワーク一時識別子を用いて前記新しいSCIデータをスクランブルし、
スクランブルされた前記新しいSCIデータを前記送信器UEに送信する
ようにさらに構成される、
システム。
【請求項18】
請求項
12から
15の少なくとも一項に記載のV2X通信におけるリソース割り当てを処理するためのシステムであって、前記フィードバックモジュールは、PC5-RRCシグナリングを介して前記補助情報を前記送信器UEに送信するようにさらに構成される、システム。
【請求項19】
V2X通信におけるリソース割り当てを処理するためのシステムであって、V2X通信におけるリソース割り当てを処理するための前記システムは、送信器UEに適用され、
V2X通信におけるリソース割り当てを処理するための前記システムは、取得モジュールおよび調整モジュールを含み、
前記取得モジュールは、受信器UEによってフィードバックされた補助情報を取得し、前記補助情報は、前記送信器UEの予約リソースと干渉源UEの予約リソースとの間の競合を表すために用いられるように構成され、
前記調整モジュールは、前記補助情報に基づいて前記送信器UEの前記予約リソースを調整して、前記競合を回避するように構成され、前記調整モジュールは、
前記送信器UEの前記予約リソースを再選択するか、または、
前記送信器UEの前記予約リソースの出射電力を増加させる
ように構成され、前記補助情報は、競合タイプを含み、前記競合タイプは、IBE問題または隠れノード問題を表すために用いられ、
前記調整モジュールは、
前記競合タイプが前記IBE問題であることに応答して、前記送信器UEの前記予約リソースに隣接するリソース以外の候補リソースを選択し、
前記競合タイプが前記隠れノード問題であることに応答して、前記送信器UEの前記予約リソース以外の候補リソースを選択する
ようにさらに構成される、
システム。
【請求項20】
請求項
19に記載のV2X通信におけるリソース割り当てを処理するためのシステムであって、前記補助情報は、前記干渉源UEの前記予約リソースを含み、
前記調整モジュールは、前記干渉源UEの前記予約リソースに隣接するかまたは同じリソース以外の候補リソースを選択するようにさらに構成される、
システム。
【請求項21】
請求項
20に記載のV2X通信におけるリソース割り当てを処理するためのシステムであって、前記補助情報は、前記予約リソースの予約期間をさらに含み、
前記調整モジュールは、
前記送信器UEの前記予約リソースの予約期間が前記干渉源UEの前記予約リソースの予約期間と同じであるかどうかを判定し、
前記送信器UEの前記予約リソースの前記予約期間が前記干渉源UEの前記予約リソースの前記予約期間と同じであることに応答して、前記干渉源UEの前記予約リソースに隣接するかまたは同じ前記リソース以外の前記候補リソースを選択する
ようにさらに構成される、
システム。
【請求項22】
請求項
12から
18のいずれか一項に記載のシステムと、請求項
19から
21のいずれか一項に記載のシステムとを含む、V2X通信におけるリソース割り当てを処理するためのシステム。
【請求項23】
メモリと、プロセッサと、前記メモリに記憶され、前記プロセッサで実行可能なコンピュータプログラムとを含む電子デバイスであって、
前記プロセッサは、前記コンピュータプログラムを実行すると、請求項1から
7のいずれか一項に記載のV2X通信におけるリソース割り当てを処理するための方法、または、請求項
8から
10のいずれか一項に記載のV2X通信におけるリソース割り当てを処理するための方法、または、請求項
11に記載のV2X通信におけるリソース割り当てを処理するための方法を実行する、
電子デバイス。
【請求項24】
コンピュータプログラムを記憶したコンピュータ可読記憶媒体であって、
前記コンピュータプログラムは、プロセッサによって実行されると、請求項1から
7のいずれか一項に記載のV2X通信におけるリソース割り当てを処理するための方法のステップ、または、請求項
8から
10のいずれか一項に記載のV2X通信におけるリソース割り当てを処理するための方法のステップ、または、請求項
11に記載のV2X通信におけるリソース割り当てを処理するための方法のステップを実行させる、
コンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2020年2月18日に中国国家知識産権局(CNIPA)に出願された中国特許出願第202010098781.8号の優先権を主張し、その全体は参照により本願に組み込まれる。
【0002】
本開示は、無線通信の分野に関し、特に、V2X通信におけるリソース割り当てを処理するための方法およびシステム、ならびにデバイスおよび媒体に関する。
【背景技術】
【0003】
無線通信技術は発展し、より多くの分野で応用されている。例えば、車両通信の分野では、高速デバイス間、高速デバイスと低速デバイス間、または高速デバイスと静止デバイス間で低遅延かつ高信頼性の通信を実現するためのvehicle-to-everything(車両対万物、V2X)技術が専らである。Xは、車両、歩行者、インフラ、ネットワークなどを表すことができる。すなわち、V2Xは、vehicle-to-vehicle(車車間、V2V)通信、vehicle-to-infrastructure(車両対インフラ、V2I)通信、vehicle-to-pedestrian(車両対歩行者、V2P)通信、またはvehicle-to-network(車両対ネットワーク、V2N)通信などを含むことができる。
【0004】
V2X技術は、将来のインテリジェント交通システムのための鍵となる技術である。車両は、V2X技術によって外部と通信し、リアルタイムの道路状況、道路情報、歩行者情報などの一連の交通情報を得ることができ、それによって、運転の安全性の向上、渋滞の緩和、交通効率の向上、車内エンターテイメント情報の提供などを実現することができる。
【0005】
現在、V2Xのリソース割り当てには、モード1およびモード2の2つのモードがある。モード1では、リソースは基地局(拡張ノードB、eNB)によりスケジューリングされる。モード2では、リソースはユーザ機器(User Equipment、UE)によって自律的に選択される。モード2では、UEは、一定の規則に従って、送信用のリソースプールからリソースを自律的に選択し、V2X Sidelink(サイドリンク送信)通信は、リソース競合を低減するための知覚機構を採用する。
【0006】
モード2で動作するユーザ機器は、常にリソース知覚状態にあり、候補リソースを決定する。受信器UEとして機能するユーザ機器は、送信器UEが送信したデータパケットを受信すると、データパケット到着前の期間内に候補リソースを知覚し、候補リソースの中から、次の1回の送信とその後の複数の送信のためのリソースをランダムに選択し、送信ごとにSCI(Sidelink Control Information、サイドリンク制御情報)において、現在の送信に使用するリソースとその後の最大2回の送信のために予約するリソース、および予約リソースに対する予約期間とを示す。
【0007】
UE1-UE5が現在の通信範囲内で動作しており、時刻nにUE4にデータパケットが到着し、時間期間(n-t,n)がリソース知覚窓として用いられ(ここで、t>0)、時間期間(n+T1,n+T2)がリソース選択窓として用いられていると仮定する(ここで、T2>T1)。UE4は、リソース知覚窓内に一部のリソースを除外して、候補リソースの集合を決定する。まず、UE4は、他のUE(UE1、UE2、UE3、またはUE5など)のSCIを復号して他のUEのリソース予約情報を取得し、RSRP(Reference Signal Receiving Power、基準信号受信電力)を測定する。干渉が強い場合、すなわち、RSRPが予め設定された閾値よりも高い場合、そのリソースは除外される。UE4が、UE1およびUE5の予約リソースのRSRPが予め設定された閾値より高く、UE2およびUE3の予約リソースのRSRPが予め設定された閾値以下であると測定した場合、UE4は、UE1およびUE5の予約リソースを候補リソースの集合から除外する。候補リソースの集合に含まれる残りのリソースが、最終候補リソースとされる。UE4は、選択窓内に、最終候補リソースから送信用のリソースをランダムに選択し、各送信のSCIにおいて、同一TB(transmission block、送信ブロック)の今回の送信に使用するリソースとその後の複数の送信に使用するリソースを示し、異なるTBでの送信に使用する予約リソースの予約期間を示す。モード2では、SCIにおいて、最大3回の送信のための予約リソースを示すこと、およびリソースの周期的な予約を示すことがサポートされる。UE4の近くに位置するUEは、リソースを知覚すると、UE4のリソース予約情報を受信することが可能である。
【0008】
図1に示すように、UE1とUE2は、通信距離が50m(メートル)、出射電力が10dBm(デシベルミリワット)のユニキャスト通信を行い、UE3とUE4は、通信距離が300m、出射電力が23dBmのユニキャスト通信を行う。UE3がUE1の周波数領域リソースに近い周波数領域リソースを選択したと仮定すると、UE3の出射電力が大きいため、受信端UE2はUE3によって干渉される。このような場合、UEの出射電力の差が大きいと干渉が大きくなり、IBE(帯域内出射)問題が発生する。
【0009】
図2は、リソース割り当てモード2での隠れノード問題を示す図である。UE1とUE2は、通信距離が50m、出射電力が10dBmのユニキャスト通信を行い、UE1とUE3は離れており、UE3はUE1の知覚範囲外にいるものとし、UE3とUE4は通信距離が300m、出射電力が23dBmのユニキャスト通信を行うと仮定する。UE1は、リソースを知覚すると、UE3が選択する周波数領域リソースを認識しない。UE1が、UE3が選択した周波数領域リソースと同じ周波数リソースを選択し、UE3と同時に周波数リソースを使用する場合、衝突が発生し、UE2はUE1から通信データを正常に受信することができない。
【0010】
従来技術では、LTE(Long Term Evolution) V2Xにおけるリソース割り当てモード4も、知覚に基づくUEのリソース選択処理である。したがって、LTE V2Xモード4においても、IBE問題が存在する。
図3に示すように、UE1およびUE3は、それぞれUE2、UE4とブロードキャスト通信を行っており、いずれも出射電力は23dBmである。UE1とUE3が遠く離れていて、互いに隣接するリソースを選択すると仮定すると、受信端のUE2はUE3から干渉を受ける。距離が短いと干渉が大きくなり、それによってIBE問題が発生する。
【0011】
LTE V2Xモード4では、リソースプールを分割するためにZone ID(ゾーンID)を使用し、異なるゾーンのUEが互いに直交する周波数領域リソースを使用することによってIBE問題を解決している。UE1とUE3は離れており、異なるゾーンに属しているため、UE1とUE3が使用するリソースも互いに分離され、IBE問題は解決される。
【0012】
LTE V2Xモード4では、ブロードキャスト通信のみがサポートされ、UEの出射電力は同一であり、最大出射電力である。そのため、IBE問題は、送信器UEと干渉源UEとが離れている場合にのみ存在する。そこで、LTE V2Xモード4では、Zone IDを使用してリソースプールを分割することができ、送信器UEと干渉源UEを異なるゾーンに分類することで、IBE問題を解決する。
【0013】
しかし、NR(New Radio、新しい無線) V2X モード2では、ブロードキャスト通信だけでなく、ユニキャスト通信とマルチキャスト通信がサポートされている。ユニキャスト通信およびマルチキャスト通信は、出射電力の調整をサポートしているため、通信距離が長く出射電力が同じ状況だけでなく、通信距離は比較的短いが出射電力の差が大きい状況においてもIBE問題が存在する。したがって、Zone IDでリソースプールを分割する方法では、NR V2Xモード2におけるIBE問題を解決することができない。また、Zone IDでリソースプールを分割する方法は、NR V2Xモード2ではサポートされていない。
【0014】
V2X通信のリソース割り当てモード2において、UEはリソースを知覚し選択することによりV2V(車車間)通信を実行する。送信器UEがリソースを知覚、選択する際に受信器UE側の状況を認識しない場合、受信器UE側でIBE(帯域内出射)問題または隠れノード問題が発生し、受信器UEは、送信器UEが選択したリソース上で受信が成功しないことがある。また、V2Xモード2ではリソースの周期的な予約がサポートされているため、連続的な衝突および他の競合の問題が発生し、情報の送受信の精度が低くなる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本開示が解決しようとする技術的課題は、従来技術によるV2X通信の自律的なリソース選択モードでは、送信器UEが選択したリソース上で受信器UEが正常に受信できず、情報の送受信の精度が低くなることである。そこで、本開示では、V2X通信におけるリソース割り当てを処理するための方法およびシステム、ならびに、デバイスおよび媒体が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の技術的課題は、本開示において、以下の技術的解決策によって解決される。
V2X通信におけるリソース割り当てを処理するための方法が提供される。V2X通信におけるリソース割り当てを処理するための方法は、受信器UEに適用され、
干渉源UEの予約リソースと送信器UEの予約リソースとの間に競合があるかどうかを判定するステップと、
競合があると判定することに応答して、補助情報を生成し、補助情報を送信器UEに送信するステップであり、補助情報は競合を表すために用いられる、ステップと
を含む。
【0017】
一実施形態において、干渉源UEの予約リソースと送信器UEの予約リソースとの間に競合があるかどうかを判定するステップは、
送信器UEの予約リソースと干渉源UEの予約リソースとの間にIBE問題または隠れノード問題があるかどうかを判定するステップと、
送信器UEの予約リソースと干渉源UEの予約リソースとの間にIBE問題または隠れノード問題があると判定することに応答して、競合があると判定するステップと
を含む。
【0018】
一実施形態において、送信器UEの予約リソースと干渉源UEの予約リソースとの間にIBE問題または隠れノード問題があるかどうかを判定するステップは、
送信器UEの予約リソースが干渉源UEの予約リソースに隣接するかどうかまたは同じであるかどうかを判定するステップと、
送信器UEの予約リソースが干渉源UEの予約リソースに隣接するかまたは同じであることに応答して、隣接するかまたは同じ予約リソースのRSRPが予め設定された閾値を超えるかどうかを判定するステップと、
隣接するかまたは同じ予約リソースのRSRPが予め設定された閾値を超えることに応答して、IBE問題または隠れノード問題があると判定するステップと
を含む。
【0019】
一実施形態において、補助情報は、IBE問題または隠れノード問題を表すための競合タイプを含む。
一実施形態において、補助情報は、送信データの優先度をさらに含み、送信データは、予約リソースによって送信されるデータを指し、
方法は、さらに、
送信器UEの予約リソースと干渉源UEの予約リソースとの間にIBE問題または隠れノード問題があると判定することに応答して、送信器UEにおける送信データの優先度が干渉源UEにおける送信データの優先度以下であるかどうかを判定するステップと、
送信器UEにおける送信データの優先度が干渉源UEにおける送信データの優先度以下であることに応答して、競合があると判定するステップと
を含む。
【0020】
一実施形態において、補助情報は、干渉源UEの予約リソースを含む。
一実施形態において、補助情報は、干渉源UEの予約リソースの予約期間をさらに含む。
【0021】
一実施形態において、補助情報を送信器UEに送信するステップは、SCIデータを介して補助情報を送信器UEに送信するステップを含む。
一実施形態において、SCIデータを介して補助情報を送信器UEに送信するステップは、
補助情報を含む、新しいSCIデータを生成するステップと、
新しいSCIデータを送信器UEに送信するステップと
を含むか、または、
SCIデータを介して補助情報を送信器UEに送信するステップは、
補助情報をSCIデータに追加して、新しいSCIデータを形成するステップと、
補助情報に基づいて新しい無線ネットワーク一時識別子を生成するステップと、
新しい無線ネットワーク一時識別子を用いて新しいSCIデータをスクランブルするステップと、
スクランブルされた新しいSCIデータを送信器UEに送信するステップと
を含む。
【0022】
一実施形態において、補助情報を送信器UEに送信するステップは、PC5-RRCシグナリングを介して補助情報を送信器UEに送信するステップを含む。
V2X通信におけるリソース割り当てを処理するための方法が提供される。V2X通信におけるリソース割り当てを処理するための方法は、送信器UEに適用され、
受信器UEによってフィードバックされた補助情報を取得するステップであって、補助情報は、送信器UEの予約リソースと干渉源UEの予約リソースとの間の競合を表すために使用される、ステップと、
補助情報に基づいて送信器UEの予約リソースを調整して、競合を回避するステップと
を含む。
【0023】
一実施形態において、補助情報に基づいて送信器UEの予約リソースを調整するステップは、
送信器UEの予約リソースを再選択するステップ、または、
送信器UEの予約リソースの出射電力を増加させるステップ
を含む。
【0024】
一実施形態において、補助情報は、IBE問題または隠れノード問題を表すための競合タイプを含み、
送信器UEの予約リソースを再選択するステップは、
競合タイプがIBE問題であることに応答して、送信器UEの予約リソースに隣接するリソース以外の候補リソースを選択するステップと、
競合タイプが隠れノード問題であることに応答して、送信器UEの予約リソース以外の候補リソースを選択するステップと
を含む。
【0025】
一実施形態において、補助情報は、干渉源UEの予約リソースを含み、
送信器UEの予約リソースを再選択するステップは、干渉源UEの予約リソースに隣接するかまたは同じリソース以外の候補リソースを選択するステップを含む。
【0026】
一実施形態において、補助情報は、予約リソースの予約期間をさらに含み、
V2X通信におけるリソース割り当てを処理するための方法は、さらに、
干渉源UEの予約リソースに隣接するかまたは同じリソース以外の候補リソースを選択する前に、送信器UEの予約リソースの予約期間が干渉源UEの予約リソースの予約期間と同じであるかどうかを判定するステップと、
送信器UEの予約リソースの予約期間が干渉源UEの予約リソースの予約期間と同じであることに応答して、干渉源UEの予約リソースに隣接するかまたは同じリソース以外の候補リソースを選択するステップと
を含む。
【0027】
V2X通信におけるリソース割り当てを処理するための方法が提供される。V2X通信におけるリソース割り当てを処理するための方法は、
受信器UEによって、競合を回避するように上記に記載の方法を通じて送信器UEに補助情報を送信するステップであって、補助情報は、送信器UEの予約リソースと干渉源UEの予約リソースとの間の競合を表すために用いられる、ステップと、
送信器UEによって、上記に記載の方法を通じて、補助情報に基づいて予約リソースを調整するステップと
を含む。
【0028】
V2X通信におけるリソース割り当てを処理するためのシステムが提供される。V2X通信におけるリソース割り当てを処理するためのシステムは、受信器UEに適用される。V2X通信におけるリソース割り当てを処理するためのシステムは、決定モジュールおよびフィードバックモジュールを含み、
決定モジュールは、干渉源UEの予約リソースと送信器UEの予約リソースとの間に競合があるかどうかを判定し、競合があると判定することに応答して、フィードバックモジュールを呼び出すように構成され、
フィードバックモジュールは、補助情報を生成し、補助情報を送信器UEに送信し、補助情報は、競合を表すために用いられるように構成される。
【0029】
一実施形態において、決定モジュールは、送信器UEの予約リソースと干渉源UEの予約リソースとの間にIBE問題または隠れノード問題があるかどうかを判定し、送信器UEの予約リソースと干渉源UEの予約リソースとの間にIBE問題または隠れノード問題があると判定することに応答して、競合があると判定するようにさらに構成される。
【0030】
一実施形態において、決定モジュールは、送信器UEの予約リソースが干渉源UEの予約リソースに隣接するかどうかまたは同じであるかどうかを判定し、送信器UEの予約リソースが干渉源UEの予約リソースに隣接するかまたは同じであることに応答して、隣接するかまたは同じ予約リソースのRSRPが予め設定された閾値を超えるかどうかを判定し、隣接するかまたは同じ予約リソースのRSRPが予め設定された閾値を超えることに応答して、IBE問題または隠れノード問題があると判定するようにさらに構成される。
【0031】
一実施形態において、補助情報は、IBE問題または隠れノード問題を表すための競合タイプを含む。
一実施形態において、補助情報は、送信データの優先度をさらに含み、送信データは、予約リソースによって送信されるデータを指し、
決定モジュールは、送信器UEの予約リソースと干渉源UEの予約リソースとの間にIBE問題または隠れノード問題があると判定することに応答して、送信器UEにおける送信データの優先度が干渉源UEにおける送信データの優先度以下であるかどうかを判定し、送信器UEにおける送信データの優先度が干渉源UEにおける送信データの優先度以下であることに応答して、競合があると判定するようにさらに構成される。
【0032】
一実施形態において、補助情報は、干渉源UEの予約リソースを含む。
一実施形態において、補助情報は、干渉源UEの予約リソースの予約期間をさらに含む。
【0033】
一実施形態において、フィードバックモジュールは、SCIデータを介して補助情報を送信器UEに送信するようにさらに構成される。
一実施形態において、フィードバックモジュールは、補助情報を含む新しいSCIデータを生成し、新しいSCIデータを送信器UEに送信するようにさらに構成されるか、または、
フィードバックモジュールは、補助情報をSCIデータに追加して、新しいSCIデータを形成し、補助情報に基づいて新しい無線ネットワーク一時識別子を生成し、新しい無線ネットワーク一時識別子を用いて新しいSCIデータをスクランブルし、スクランブルされた新しいSCIデータを送信器UEに送信するようにさらに構成される。
【0034】
一実施形態において、フィードバックモジュールは、PC5-RRCシグナリングを介して補助情報を送信器UEに送信するようにさらに構成される。
V2X通信におけるリソース割り当てを処理するためのシステムが提供される。V2X通信におけるリソース割り当てを処理するためのシステムは、送信器UEに適用される。V2X通信におけるリソース割り当てを処理するためのシステムは、取得モジュールおよび調整モジュールを含み、
取得モジュールは、受信器UEによってフィードバックされた補助情報を取得し、補助情報は、送信器UEの予約リソースと干渉源UEの予約リソースとの間の競合を表すために用いられるように構成され、
調整モジュールは、補助情報に基づいて送信器UEの予約リソースを調整して、競合を回避するように構成される。
【0035】
一実施形態において、調整モジュールは、送信器UEの予約リソースを再選択するか、または、送信器UEの予約リソースの出射電力を増加させるように構成される。
一実施形態において、補助情報は、IBE問題または隠れノード問題を表すための競合タイプを含み、
調整モジュールは、競合タイプがIBE問題であることに応答して、送信器UEの予約リソースに隣接するリソース以外の候補リソースを選択し、競合タイプが隠れノード問題であることに応答して、送信器UEの予約リソース以外の候補リソースを選択するようにさらに構成される。
【0036】
一実施形態において、補助情報は、干渉源UEの予約リソースを含み、
調整モジュールは、干渉源UEの予約リソースに隣接するかまたは同じリソース以外の候補リソースを選択するようにさらに構成される。
【0037】
一実施形態において、補助情報は、予約リソースの予約期間をさらに含み、
調整モジュールは、送信器UEの予約リソースの予約期間が干渉源UEの予約リソースの予約期間と同じであるかどうかを判定し、送信器UEの予約リソースの予約期間が干渉源UEの予約リソースの予約期間と同じであることに応答して、干渉源UEの予約リソースに隣接するかまたは同じリソース以外の候補リソースを選択するようにさらに構成される。
【0038】
V2X通信におけるリソース割り当てを処理するためのシステムが提供される。V2X通信におけるリソース割り当てを処理するためのシステムは、上述の送信器UEに適用されるシステムと、上述の受信器UEに適用されるシステムとを含む。
【0039】
メモリと、プロセッサと、メモリに記憶され、プロセッサ上で実行可能なコンピュータプログラムとを含む、電子デバイスが提供される。プロセッサは、コンピュータプログラムを実行すると、上述のV2X通信におけるリソース割り当てを処理するための、送信器UEに適用される方法、または、上述のV2X通信におけるリソース割り当てを処理するための、受信器UEに適用される方法、または、上述のV2X通信におけるリソース割り当てを処理するための、送信器UEおよび受信器UEに適用される方法を実行する。
【0040】
コンピュータプログラムを記憶したコンピュータ可読記憶媒体が提供される。コンピュータプログラムは、プロセッサによって実行されると、上述のV2X通信におけるリソース割り当てを処理するための、送信器UEに適用される方法、または、上述のV2X通信におけるリソース割り当てを処理するための、受信器UEに適用される方法、または、上述のV2X通信におけるリソース割り当てを処理するための、送信器UEおよび受信器UEに適用される方法のステップを実行させる。
【発明の効果】
【0041】
本開示の有利な効果について、以下に説明する。
本開示によれば、送信器UEから送信された予約リソースと、干渉源UEから送信された予約リソースとを受信することにより、干渉源UEの予約リソースと送信器UEの予約リソースとの間に競合があるかどうかを判定し、競合がある場合は、補助情報を生成して送信器UEに送信する。このように、送信器UEは、リソースを知覚、選択する際に受信器UE側の状況を明確に知ることができるので、送信器UEは、補助情報に基づいて、リソースを調整して、競合を解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】従来技術におけるUE1-UE4の間でIBE問題が発生した場合のシナリオを示す概略図である。
【
図2】従来技術におけるUE1-UE4の間で隠れノード問題が発生した場合のシナリオを示す概略図である。
【
図3】従来技術におけるLTE V2X モード4でのブロードキャスト通信中にIBE問題が発生した場合のシナリオを示す概略図である。
【
図4】本開示の第1の実施形態によるV2X通信におけるリソース割り当てを処理するための方法のフローチャートである。
【
図5】本開示の第2の実施形態によるV2X通信におけるリソース割り当てを処理するための方法におけるステップ3のフローチャートである。
【
図6】本開示の第2の実施形態によるV2X通信におけるリソース割り当てを処理するための方法におけるステップ31のフローチャートである。
【
図7】本開示の第2の実施形態によるV2X通信におけるリソース割り当てを処理するための方法におけるステップ31’のフローチャートである。
【
図8】本開示の第2の実施形態によるV2X通信におけるリソース割り当てを処理するための方法におけるステップ41のフローチャートである。
【
図9】本開示の第2の実施形態によるV2X通信におけるリソース割り当てを処理するための方法におけるステップ41の別のフローチャートである。
【
図10】本開示の第3の実施形態によるV2X通信におけるリソース割り当てを処理するための方法のフローチャートである。
【
図11】本開示の第4の実施形態によるV2X通信におけるリソース割り当てを処理するための方法におけるステップ61のフローチャートである。
【
図12】本開示の第5の実施形態によるV2X通信におけるリソース割り当てを処理するための方法のフローチャートである。
【
図13】本開示の第6の実施形態によるV2X通信におけるリソース割り当てを処理するためのシステムの概略ブロック図である。
【
図14】本開示の第8の実施形態によるV2X通信におけるリソース割り当てを処理するためのシステムの概略ブロック図である。
【
図15】本開示の第11の実施形態による電子デバイスの概略構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
以下、本開示を実施形態により説明するが、本開示は、記載された実施形態の範囲に限定されない。
本開示の実施形態で開示されるV2X通信におけるリソース割り当てを処理するための方法の実行主体は、別個のチップ、チップモジュール、またはUEであってもよく、UEに統合されたチップまたはチップモジュールであってもよいことに留意されたい。
【0044】
本開示の実施形態において説明されるV2X通信におけるリソース割り当てを処理するためのシステムは、具体的には、別個のチップ、チップモジュール、またはUEであってもよく、またはUEに統合されたチップまたはチップモジュールであってもよい。V2X通信におけるリソース割り当てを処理するためのシステムに含まれる各モジュール/ユニットは、ソフトウェアモジュール/ユニットであってもよく、ハードウェアモジュール/ユニットであってもよく、モジュール/ユニットの一部がソフトウェアモジュール/ユニットであってもよく、モジュール/ユニットの別の一部がハードウェアモジュール/ユニットであってもよい。例えば、チップに適用されるまたはチップに統合される各デバイスおよび製品について、そこに含まれるモジュール/ユニットの各々は、回路などのハードウェアによって実装されてもよい。あるいは、モジュール/ユニットの少なくともいくつかは、チップに統合されたプロセッサ上で動作するソフトウェアプログラムによって実装され、モジュール/ユニットの残りのものは、回路などのハードウェアによって実装されてもよい。チップモジュールに適用されるまたはチップモジュールに統合される各デバイスおよび製品について、そこに含まれるモジュール/ユニットの各々は、すべて回路などのハードウェアによって実装されてもよく、異なるモジュール/ユニットが同じ部品(チップ、回路モジュールなど)またはチップモジュールの異なる部品に配置されてもよい。あるいは、モジュール/ユニットの少なくともいくつかは、チップモジュールに統合されたプロセッサ上で動作するソフトウェアプログラムによって実装され、モジュール/ユニットの残りのものは、回路などのハードウェアによって実装されてもよい。UEに適用される、またはUEに統合される各デバイスおよび製品について、そこに含まれるモジュール/ユニットの各々は、すべて回路などのハードウェアによって実装されてもよく、異なるモジュール/ユニットが端末内の同じ部品(チップ、回路モジュールなど)に配置されてもよく、異なる部品に配置されてもよい。あるいは、モジュール/ユニットの少なくともいくつかは、UEに統合されたプロセッサ上で動作するソフトウェアプログラムによって実装され、モジュール/ユニットの残りのものは、回路などのハードウェアによって実装されてもよい。
【0045】
第1実施形態
本開示の一実施形態において、V2X通信におけるリソース割り当てを処理するための方法が提供される。本方法は、受信器UEに適用される。
【0046】
図4に示すように、V2X通信におけるリソース割り当てを処理するための方法は、以下のステップ1-ステップ4を含む。
ステップ1では、送信器UEから送信されたSCI情報および干渉源UEから送信されたSCI情報が受信される。
【0047】
SCI情報は、予約リソースを含む。
ステップ2において、送信器UEから送信されたSCI情報に基づいて送信器UEの予約リソースが取得され、干渉源UEから送信されたSCI情報に基づいて干渉源UEの予約リソースが取得される。
【0048】
ステップ3では、干渉源UEの予約リソースと送信器UEの予約リソースとの間に競合があるかどうかが判定される。処理は、競合があると判定することに応答して、ステップ4に進む。
【0049】
ステップ4では、補助情報が生成され、送信器UEに送信される。
補助情報は、競合を表すために使用される。
実施形態によれば、干渉源UEの予約リソースと送信器UEの予約リソースとの間に競合があるかどうかが判定され、競合があると判定された場合、補助情報が生成され、送信器UEに送信される。これにより、送信UEは、リソースを知覚、選択する際に受信器UE側の状況を明確に知ることができるので、送信器UEは、補助情報に基づいてリソースを調整して、競合を解決することができる。
【0050】
第2の実施形態
本開示の一実施形態では、V2X通信におけるリソース割り当てを処理するための方法が提供される。第2の実施形態に係る方法の第1の実施形態に係る方法との相違点について、以下に説明する。
図5に示すように、ステップ3は、ステップ31およびステップ32を含む。
【0051】
ステップ31では、送信器UEの予約リソースと干渉源UEの予約リソースとの間にIBE問題または隠れノード問題があるかどうかが判定される。処理は、IBE問題または隠れノード問題があると判定することに応答して、ステップ32に進む。
【0052】
ステップ32では、競合があると判定される。
図6に示すように、ステップ31は、ステップ311-ステップ313を含む。
ステップ311では、送信器UEの予約リソースが干渉源UEの予約リソースに隣接しているか、または同じであるかどうかが判定される。処理は、送信器UEの予約リソースが干渉源UEの予約リソースに隣接しているか、または同じであると判定することに応答して、ステップ312に進む。
【0053】
ステップ312において、隣接するまたは同じ予約リソースのRSRPが予め設定された閾値を超えているかどうかが判定される。処理は、隣接するまたは同じ予約リソースのRSRPが予め設定された閾値を超えていると判定することに応答して、ステップ313に進む。
【0054】
ステップ313において、IBE問題または隠れノード問題が存在すると判定する。
補助情報は、競合タイプを含む。この競合タイプは、IBE問題または隠れノード問題を表すために使用される。
【0055】
補助情報は、さらに、送信データの優先度を含む。送信データは、予約リソースによって送信されるデータを指す。競合の判定精度をさらに向上させるために、V2X通信におけるリソース割り当てを処理するための方法は、
図7に示すように、ステップ31’をさらに含む。処理は、ステップ31において、IBE問題または隠れノード問題があると判定されることに応答して、ステップ31’に進む。
【0056】
ステップ31’では、送信器UEにおける送信データの優先度が干渉源UEにおける送信データの優先度より低いかまたは同じであるかどうかが判定される。処理は、送信器UEにおける送信データの優先度が干渉源UEにおける送信データの優先度より低いかまたは同じであると判定することに応答して、ステップ32に進む。
【0057】
補助情報は、干渉源UEの予約リソースを含む。
補助情報は、干渉源UEの予約リソースの予約期間をさらに含む。
ステップ4は、ステップ41を含む。ステップ41において、補助情報は、SCIデータを介して送信器UEに送信される。
【0058】
あるいは、ステップ4は、ステップ41’を含む。ステップ41’では、補助情報は、PC5-RRCシグナリングを介して送信器UEに送信される。
図8に示すように、ステップ41は、ステップ411およびステップ412を含む。
【0059】
ステップ411において、新しいSCIデータが生成される。新しいSCIデータは、補助情報を含む。
ステップ412において、新しいSCIデータは送信器UEに送信される。
【0060】
あるいは、
図9に示すように、ステップ41は、ステップ411’-ステップ414’を含む。
ステップ411’では、補助情報がSCIデータに追加されて、新しいSCIデータが形成される。
【0061】
ステップ412’では、補助情報に基づいて、新しい無線ネットワーク一時識別子が生成される。
ステップ413’で、新しいSCIデータは、新しい無線ネットワーク一時識別子を用いてスクランブルされる。
【0062】
ステップ414’では、スクランブルされた補助情報が送信器UEに送信される。
本実施形態によれば、受信器UEの補助情報が利用される。これにより、送信器UEは、リソースを知覚、選択する際に受信器UE側の状況を明確に知ることができるので、送信器UEは、補助情報に基づいてリソースを調整して、競合を解決することができ、これにより、V2X通信のリソース割り当てモード2におけるIBE問題および隠れノード問題を解決し、連続的な衝突を回避し、V2X通信システムの信頼性とリソース利用率を向上させることができる。
【0063】
第3の実施形態
本開示の一実施形態において、V2X通信におけるリソース割り当てを処理するための方法がさらに提供される。V2X通信におけるリソース割り当てを処理するための方法は、送信器UEに適用される。
【0064】
図10に示すように、V2X通信におけるリソース割り当てを処理するための方法は、ステップ5およびステップ6を含む。
ステップ5では、受信器UEによってフィードバックされた補助情報が取得される。補助情報は、送信器UEの予約リソースと干渉源UEの予約リソースとの間の競合を表すために使用される。
【0065】
ステップ6において、送信器UEの予約リソースは、補助情報に基づいて、競合を回避するように調整される。
本実施形態によれば、受信器UEによってフィードバックされた補助情報を取得することにより、送信器UEは、リソースを知覚、選択する際に受信器UEの状況を明確に知ることができるので、送信器UEが補助情報に基づいてリソースを調整して、競合を解決することができ、これにより、V2X通信のリソース割り当てモード2におけるIBE問題および隠れノード問題を解決し、リソース衝突を回避し、V2X通信システムの信頼性とリソース使用率を向上させることができる。
【0066】
第4の実施形態
一実施形態では、V2X通信におけるリソース割り当てを処理するための方法が提供される。第4の実施形態に係る方法の第3の実施形態に係る方法との相違点を以下に説明する。
【0067】
ステップ6は、ステップ61を含む。ステップ61において、送信器UEの予約リソースは再選択される。
あるいは、ステップ6は、ステップ62を含む。ステップ62において、送信器UEの予約リソースの出射電力は増加される。
【0068】
補助情報は、競合タイプを含む。競合タイプは、IBE問題または隠れノード問題を表すために使用される。
図11に示すように、ステップ61は、ステップ611-ステップ613を含む。
【0069】
ステップ611では、競合タイプの値が決定される。プロセスは、競合タイプがIBE問題であることに応答して、ステップ612に進む。プロセスは、競合タイプが隠れノード問題であることに応答して、ステップ613に進む。
【0070】
ステップ612において、送信器UEの予約リソースに隣接するリソース以外の候補リソースが選択される。
ステップ613において、送信器UEの予約リソース以外の候補リソースが選択される。
【0071】
あるいは、リソース調整の効率および精度を向上させるために、補助情報は、干渉源UEの予約リソースを含んでもよく、ステップ61は、ステップ611’を含む。
ステップ611’では、干渉源UEの予約リソースに隣接するまたは同じリソース以外の候補リソースが選択される。
【0072】
リソース調整の効率および精度をさらに向上させるために、補助情報は、周期的な競合を回避するように、予約リソースの予約期間をさらに含んでもよい。
本方法は、ステップ611’の前にステップ610をさらに含む。
【0073】
ステップ610において、送信器UEの予約リソースの予約期間が干渉源UEの予約リソースの予約期間と同じであるかどうかが判定される。処理は、送信器UEの予約リソースの予約期間と干渉源UEの予約リソースの予約期間が同じであることに応答して、ステップ611’に進む。
【0074】
予約期間に基づいてリソースを調整することにより、周期的な衝突を回避し、連続的なリソースの衝突を回避し、V2X通信システムの信頼性とリソース使用率をさらに向上させることができる。
【0075】
第5の実施形態
一実施形態では、V2X通信におけるリソース割り当てを処理するための方法が提供される。
図12に示すように、第5の実施形態のV2X通信におけるリソース割り当てを処理するための方法は、ステップ51およびステップ52を含む。
【0076】
ステップ51では、第2の実施形態で説明した方法によって、受信器UEから送信器UEに補助情報が送信される。補助情報は、送信器UEの予約リソースと干渉源UEの予約リソースとの間の競合を表すために使用される。
【0077】
ステップ52において、送信器UEの予約リソースは、競合を回避するように、送信器UEによって、第4の実施形態で説明した方法を通じて、補助情報に基づいて調整される。
【0078】
第5の実施形態において、受信器UEは、送信器UEが送信した予約リソースと干渉源UEが送信した予約リソースとを受信することによって、干渉源UEの予約リソースと送信器UEの予約リソースとの間に競合があるかどうかを判定することができる。競合があると判定された場合、補助情報が生成され、送信器UEに送信される。送信UEは、受信器UEによってフィードバックされた補助情報を取得することによって、リソースを知覚、選択する際に受信器UE側の状況を明確に把握することができるので、補助情報に基づいてリソースを調整して、競合を解決することができ、これにより、V2X通信のリソース割り当てモード2におけるIBE問題および隠れノード問題を解決し、リソースの衝突を回避し、V2X通信プロセスの信頼性およびリソース利用率を向上させることができる。
【0079】
第6の実施形態
一実施形態では、V2X通信におけるリソース割り当てを処理するためのシステムがさらに提供される。V2X通信におけるリソース割り当てを処理するためのシステムは、受信器UEに適用される。
【0080】
図13に示すように、V2X通信におけるリソース割り当てを処理するためのシステムは、受信モジュール61と、決定モジュール62と、判定モジュール63と、フィードバックモジュール64と、を含む。
【0081】
受信モジュール61は、送信器UEから送信されたSCI情報および干渉源UEから送信されたSCI情報を受信するように構成される。SCI情報は、予約リソースを含む。
決定モジュール62は、送信器UEから送信されたSCI情報に基づいて送信器UEの予約リソースを取得し、干渉源UEから送信されたSCI情報に基づいて干渉源UEの予約リソースを取得するように構成される。
【0082】
受信モジュール61および決定モジュール62は、従来技術により実現されてもよい。
判定モジュール63は、干渉源UEの予約リソースと送信器UEの予約リソースとの間に競合があるかどうかを判定し、競合があると判定することに応答して、フィードバックモジュールを呼び出すように構成される。
【0083】
フィードバックモジュール64は、補助情報を生成し、補助情報を送信器UEに送信するように構成される。補助情報は、競合を表すために使用される。
第6の実施形態によれば、送信器UEから送信された予約リソースと、干渉源UEから送信された予約リソースとを受信することによって、干渉源UEの予約リソースと送信器UEの予約リソースとの間に競合があるかどうかが判定される。競合があると判定された場合、補助情報を生成して送信器UEに送信するので、リソースを知覚、選択する際に受信器UE側の状況を送信器UEが明確に知ることができ、送信器UEは、補助情報に基づいてリソースを調整して、競合を解決することができる。
【0084】
第7の実施形態
一実施形態では、V2X通信におけるリソース割り当てを処理するためのシステムが提供される。第6の実施形態と比較して、第7の実施形態における判定モジュール63は、送信器UEの予約リソースと干渉源UEの予約リソースとの間にIBE問題または隠れノード問題があるかどうかを判定し、IBE問題または隠れノード問題があると判定することに応答して、競合があると判定するようにさらに構成される。
【0085】
判定モジュール63はさらに、送信器UEの予約リソースが干渉源UEの予約リソースに隣接するか、または同じであるかどうかを判定し、送信器UEの予約リソースが干渉源UEの予約リソースに隣接するか、または同じであることに応答して、隣接するまたは同じ予約リソースのRSRPが予め設定された閾値を超えているかどうかを判定し、隣接するまたは同じ予約リソースのRSRPが予め設定された閾値を超えていることに応答して、IBE問題または隠れノード問題が存在することを判定するように構成される。
【0086】
補助情報は、競合タイプを含む。この競合タイプは、IBE問題または隠れノード問題を表すために使用される。
補助情報は、さらに、送信データの優先度を含む。送信データは、予約リソースによって送信されるデータを指す。
【0087】
判定モジュール63は、送信器UEの予約リソースと干渉源UEの予約リソースとの間にIBE問題または隠れノード問題があると判定した後、送信器UEにおける送信データの優先度が干渉源UEにおける送信データの優先度より低いかまたは等しいかどうかを判定し、送信器UEにおける送信データの優先度が干渉源UEにおける送信データの優先度より低いかまたは等しいことに応答して、競合が存在すると判定するように構成される。
【0088】
補助情報は、干渉源UEの予約リソースを含む。
補助情報は、干渉源UEの予約リソースの予約期間をさらに含む。
フィードバックモジュール64は、SCIデータを介して補助情報を送信器UEに送信するようにさらに構成される。
【0089】
フィードバックモジュール64は、補助情報を含む新しいSCIデータを生成し、新しいSCIデータを送信器UEに送信するようにさらに構成される。
あるいは、フィードバックモジュール64は、SCIデータに補助情報を追加して、新しいSCIデータを形成し、補助情報に基づいて新しい無線ネットワーク一時識別子を生成し、新しい無線ネットワーク一時識別子を用いて新しいSCIデータをスクランブルし、スクランブルされた新しいSCIデータを送信器UEに送信するようにさらに構成される。
【0090】
フィードバックモジュール64は、PC5-RRCシグナリングを介して、補助情報を送信器UEに送信するようにさらに構成される。
本実施形態によれば、受信器UEの補助情報が利用される。これにより、送信器UEは、リソースを知覚、選択する際に受信器UE側の状況を明確に知ることができるので、送信器UEは、補助情報に基づいてリソースを調整して、競合を解決することができ、これにより、V2X通信のリソース割り当てモード2におけるIBE問題および隠れノード問題を解決し、連続的な衝突を回避し、V2X通信システムの信頼性とリソース利用率を向上させることができる。
【0091】
第8の実施形態
一実施形態では、V2X通信におけるリソース割り当てを処理するためのシステムがさらに提供される。V2X通信におけるリソース割り当てを処理するためのシステムは、送信器UEに適用される。
【0092】
図14に示すように、V2X通信におけるリソース割り当てを処理するためのシステムは、取得モジュール81と、調整モジュール82と、を含む。
取得モジュール81は、受信器UEによってフィードバックされる補助情報を取得するように構成される。補助情報は、送信器UEの予約リソースと干渉源UEの予約リソースとの間の競合を表すために使用される。
【0093】
調整モジュール82は、補助情報に基づいて送信器UEの予約リソースを調整し、競合を回避するように構成される。
本実施形態によれば、送信器UEは、受信器UEによってフィードバックされた補助情報を取得することにより、リソースを知覚、選択する際に受信器UE側の状況を明確に知ることができるので、補助情報に基づいてリソースを調整して、競合を解決することにより、V2X通信のリソース割り当てモード2におけるIBE問題および隠れノード問題を解決し、リソース衝突を回避し、V2X通信システムの信頼性とリソース使用率とを向上させることができる。
【0094】
第9の実施形態
一実施形態では、V2X通信におけるリソース割り当てを処理するためのシステムがさらに提供される。第9の実施形態におけるシステムの第8の実施形態におけるシステムとの相違点は、第9の実施形態における調整モジュール82が、送信器UEの予約リソースを再選択する、または送信器UEの予約リソースの出射電力を増加させるように構成されていることである。
【0095】
一例において、補助情報は、競合タイプを含む。競合タイプは、IBE問題または隠れノード問題を表すために使用される。
調整モジュール82は、さらに、競合タイプがIBE問題であることに応答して、送信器UEの予約リソースに隣接するリソース以外の候補リソースを選択し、競合タイプが隠れノード問題であることに応答して、送信器UEの予約リソース以外の候補リソースを選択するように構成される。
【0096】
一例において、補助情報は、干渉源UEの予約リソースを含む。
調整モジュール82はさらに、干渉源UEの予約リソースに隣接するまたは同じリソース以外の候補リソースを選択するように構成される。
【0097】
一例において、補助情報は、予約リソースの予約期間をさらに含む。
調整モジュール82は、さらに、送信器UEの予約リソースの予約期間が干渉源UEの予約リソースの予約期間と同じであるかどうかを判定し、送信器UEの予約リソースの予約期間が干渉源UEの予約リソースの予約期間と同じであることに応答して、干渉源UEの予約リソースに隣接するまたは同じリソース以外の候補リソースを選択するように構成される。
【0098】
予約期間に基づいてリソースを調整することにより、周期的な衝突が回避されるため、連続的なリソースの衝突を回避し、V2X通信システムの信頼性とリソースの利用率をさらに向上させることができる。
【0099】
第10の実施形態
一実施形態では、V2X通信におけるリソース割り当てを処理するためのシステムがさらに提供される。V2X通信におけるリソース割り当てを処理するためのシステムは、第6の実施形態に開示されたシステムと、第9の実施形態に開示されたシステムと、を含む。
【0100】
第6の実施形態に係るシステムは、補助情報を送信器UEに送信するように構成される。補助情報は、送信器UEの予約リソースと干渉源UEの予約リソースとの間の競合を表すために使用される。
【0101】
送信器UEは、第9の実施形態において、システムを介して、補助情報に基づいて予約リソースを調整するように構成される。
本実施形態によれば、受信器UEは、送信器UEから送信されたSCI情報および干渉源UEから送信されたSCI情報をそれぞれ受信し、送信器UEから送信されたSCI情報に基づいて送信器UEの予約リソースを取得し、干渉源UEから送信されたSCI情報に基づいて干渉源UEの予約リソースを取得する。受信器UEは、干渉源UEの予約リソースと送信器UEの予約リソースとの間に競合があるかどうかを判定し、競合があると判定したことに応答して補助情報を生成し、補助情報を送信器UEに送信する。送信器UEは、受信器UEによってフィードバックされた補助情報を取得することにより、リソースを知覚、選択する際に受信器UE側の状況を明確に知ることができ、補助情報に基づいてリソースを調整して、競合を解決することができるので、V2X通信のリソース割り当てモード2におけるIBE問題または隠れノード問題を解決し、リソース衝突を回避し、V2X通信プロセスの信頼性とリソース使用率を向上することができる。
【0102】
第11の実施形態
図15は、本開示の第11の実施形態による電子デバイスの概略構造図である。電子デバイスは、メモリと、プロセッサと、メモリに記憶され、プロセッサで実行可能なコンピュータプログラムとを含む。プロセッサは、プログラムを実行すると、第1および第2の実施形態のいずれか1つで提供されるV2X通信におけるリソース割り当てを処理するための方法、または第3および第4の実施形態のいずれか1つで提供されるV2X通信におけるリソース割り当てを処理するための方法、または第5の実施形態で提供されるV2X通信におけるリソース割り当てを処理するための方法を実行する。
図15に示す電子デバイス150は単なる一例であり、本開示の実施形態の機能および適用範囲に対するいかなる限定にもなってはならない。
【0103】
図15に示すように、電子デバイス150は、サーバデバイスなどの汎用コンピューティングデバイスであってよい。電子デバイス150の構成要素は、少なくとも1つのプロセッサ151、少なくとも1つのメモリ152、および(メモリ152およびプロセッサ151を含む)異なるシステム構成要素を接続するバス153を含んでもよいが、これらに限定されるものではない。
【0104】
バス153は、データバス、アドレスバス、および制御バスを含む。
メモリ152は、ランダムアクセスメモリ(RAM)1521および/またはキャッシュメモリ1522などの揮発性メモリを含んでもよく、さらに読み取り専用メモリ(ROM)1523を含んでもよい。
【0105】
メモリ152は、プログラムモジュール5241(少なくとも1つのプログラムモジュール)のセットを有するプログラム/実用ツール1525をさらに含んでもよい。プログラムモジュール1524は、オペレーションシステム、1つまたは複数のアプリケーションプログラム、他のプログラムモジュールおよびプログラムデータを含み、これらの例の各1つまたは組み合わせは、ネットワーク環境の実装に使用されてもよいが、これらに限定されない。
【0106】
プロセッサ151は、メモリ152に記憶されたコンピュータプログラムを実行することにより、第1および第2の実施形態のいずれか1つで提供されるV2X通信におけるリソース割り当てを処理するための方法、または第3および第4の実施形態のいずれか1つで提供されるV2X通信におけるリソース割り当てを処理するための方法、または第5の実施形態で提供されるV2X通信におけるリソース割り当てを処理するための方法などの各種機能アプリケーションおよびデータ処理を行うことができる。
【0107】
電子デバイス150は、少なくとも1つの外部デバイス154(キーボード、ポインティングデバイスなど)と通信してもよい。このような通信は、入出力(I/O)インターフェース155を介して実行されてもよい。モデル生成デバイス150は、ネットワークアダプタ156を介して1つまたは複数のネットワーク(例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、および/またはインターネットなどの公衆ネットワーク)と通信してもよい。
図15に示すように、ネットワークアダプタ156は、バス153を介してモデル生成デバイス150の他のモジュールと通信する。図示しないが、他のハードウェアおよび/またはソフトウェアモジュールをモデル生成デバイス150と共に使用してもよいことを理解されたい。ハードウェアおよび/またはソフトウェアモジュールは、マイクロコード、デバイスドライバ、冗長プロセッサ、外部ディスクドライブアレイ、redundant arrays of independent disks(独立ディスクの冗長アレイ、RAID)システム、テープドライブ、およびデータバックアップ記憶システムを含むが、これらに限定されない。
【0108】
上記の詳細な説明で言及したが、電子デバイスのユニット/モジュールまたはサブユニット/モジュールは、単に例示的なものであって必須ではないことに留意されたい。本開示の実施形態によれば、上述したユニット/モジュールのうちの2つ以上の特徴および機能は、1つのユニット/モジュールに具現化されてもよい。あるいは、上述したユニット/モジュールのうちの1つの特徴および機能は、複数のユニット/モジュールにさらに細分化されてもよい。
【0109】
第12の実施形態
一実施形態では、コンピュータプログラムを記憶するコンピュータ可読記憶媒体がさらに提供される。このプログラムは、プロセッサによって実行されると、第1および第2の実施形態のいずれか1つで提供されるV2X通信におけるリソース割り当てを処理するための方法、または第3および第4の実施形態のいずれか1つで提供されるV2X通信におけるリソース割り当てを処理するための方法、または第5の実施形態で提供されるV2X通信におけるリソース割り当てを処理するための方法のステップを実行させる。
【0110】
可読記憶媒体は、ポータブルディスク、ハードディスク、ランダムアクセスメモリ、読み取り専用メモリ、消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ、光学記憶デバイス、磁気記憶デバイス、またはそれらの組み合わせを含むことができるが、これらに限定されない。
【0111】
可能な実施態様において、本開示は、プログラムコードを含むプログラム製品の形態で実施され得る。プログラム製品が端末デバイスで実行される場合、プログラムコードは、第1および第2の実施形態のいずれか1つで提供されるV2X通信におけるリソース割り当てを処理するための方法、または第3および第4の実施形態のいずれか1つで提供されるV2X通信におけるリソース割り当てを処理するための方法、または第5の実施形態で提供されるV2X通信におけるリソース割り当てを処理するための方法のステップを端末デバイスに実行させる。
【0112】
本開示を実施するためのプログラムコードは、1つのプログラミング言語で記述されてもよいし、より多くのプログラミング言語の任意の組み合わせで記述されてもよい。プログラムコードは、ユーザ機器で完全に実行されてもよく、ユーザ機器で部分的に実行されてもよく、スタンドアロンソフトウェアパッケージとして実行されてもよく、ユーザ機器で部分的に実行され、リモートデバイスで部分的に実行されてもよく、リモートデバイスで完全に実行されてもよい。
【0113】
本開示の特定の実施形態が上述されたが、当業者は、実施形態は単に例示であり、本開示の保護範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義されることを理解するべきである。当業者は、本開示の原理および本質から逸脱することなく、実施形態に様々な変更または修正を加えることができ、その変更および修正は、本開示の保護範囲に含まれる。