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特許7410336ラクトバチルス・ガセリBNR17を含む更年期疾患治療用組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2023-12-25
(45)【発行日】2024-01-09
(54)【発明の名称】ラクトバチルス・ガセリBNR17を含む更年期疾患治療用組成物
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/747 20150101AFI20231226BHJP
   A61P 15/02 20060101ALI20231226BHJP
   A61P 15/12 20060101ALI20231226BHJP
   A61P 19/10 20060101ALI20231226BHJP
   A61P 25/24 20060101ALI20231226BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20231226BHJP
   A61K 36/489 20060101ALI20231226BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20231226BHJP
   A23L 33/105 20160101ALI20231226BHJP
   A23L 33/135 20160101ALI20231226BHJP
【FI】
A61K35/747
A61P15/02
A61P15/12
A61P19/10
A61P25/24
A61P25/00
A61K36/489
A61P43/00 121
A23L33/105
A23L33/135
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022575673
(86)(22)【出願日】2021-02-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-04-12
(86)【国際出願番号】 KR2021002034
(87)【国際公開番号】W WO2021167350
(87)【国際公開日】2021-08-26
【審査請求日】2022-08-26
(31)【優先権主張番号】10-2020-0019129
(32)【優先日】2020-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【微生物の受託番号】KCTC  KCTC 10902BP
(73)【特許権者】
【識別番号】522327175
【氏名又は名称】エースバイオメ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ACEBIOME INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100139594
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 健次郎
(72)【発明者】
【氏名】パク,ハンオ
(72)【発明者】
【氏名】キム,ミョンヒ
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ポンジュン
(72)【発明者】
【氏名】ユ, ウォンパク
【審査官】松浦 安紀子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2008/016214(WO,A1)
【文献】国際公開第2010/038714(WO,A1)
【文献】特開2014-055195(JP,A)
【文献】特開2012-180375(JP,A)
【文献】特開2009-242431(JP,A)
【文献】特開2003-252772(JP,A)
【文献】特表2007-512320(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 35/747
A61P 15/02
A61P 15/12
A61P 19/10
A61P 25/24
A61P 25/00
A61K 36/489
A61P 43/00
A23L 33/105
A23L 33/135
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
KCTC 10902BPとして寄託されたラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)BNR17を有効成分として含有する更年期疾患治療用医薬組成物であって、
前記医薬組成物は、
(i)骨粗鬆症の改善;
(ii)更年期鬱病の緩和;
(iii)痛覚過敏症の改善;及び
(iv)膣乾燥症の改善;からなる群から選ばれるいずれか一つ以上の効果を発揮することを特徴とする、更年期疾患治療用医薬組成物。
【請求項2】
前記組成物は、エンジュ抽出物をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の更年期疾患治療用医薬組成物。
【請求項3】
前記エンジュ抽出物は、エンジュ果実抽出物であることを特徴とする、請求項に記載の更年期疾患治療用医薬組成物。
【請求項4】
KCTC 10902BPとして寄託されたラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)BNR17を有効成分として含有する更年期症状の予防又は改善用機能性食品組成物であって、
前記食品組成物は、
(i)骨粗鬆症の改善;
(ii)更年期鬱病の緩和;
(iii)痛覚過敏症の改善;及び
(iv)膣乾燥症の改善;からなる群から選ばれるいずれか一つ以上の効果を発揮することを特徴とする、更年期症状の予防又は改善用機能性食品組成物。
【請求項5】
前記組成物は、エンジュ抽出物をさらに含むことを特徴とする、請求項に記載の更年期症状の予防又は改善用機能性食品組成物。
【請求項6】
前記エンジュ抽出物は、エンジュ果実抽出物であることを特徴とする、請求項に記載の更年期症状の予防又は改善用機能性食品組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)BNR17を有効成分として含有する更年期疾患治療用医薬組成物、及びラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)BNR17を有効成分として含有する更年期症状の予防又は改善用機能性食品組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
更年期障害は、女性の閉経による女性ホルモンであるエストロゲンの急激な減少によってもたらされる多様な症状を総称する。近年、エストロゲンを補充する療法などが用いられているが、長期的な使用時、子宮出血、乳癌、脳卒中、子宮癌などの副作用がもたらされており、最近、その代案として植物由来のエンジュ果実抽出物が注目されている。エンジュ果実抽出物には、イソフラボンの一種であるソフォリコシド成分が豊富に入っており、これは、女性の更年期症状の緩和効果に関しても臨床的に効能が確認された(薬学会誌第49巻第4号(2005年)、317~322頁)。
【0003】
一方、人間の母乳から由来したラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)BNR17は、耐酸性、耐胆汁性及び腸管付着能が強いので、体内に生息しながら消化酵素によって分解された低糖類炭水化物を、体内に吸収されない高分子多糖物質に転換させて排出させることによって糖尿病の予防又は治療効果を確認した乳酸菌である(大韓民国公開特許10-2008-0048976号)。
【0004】
本発明者等は、人間の平均寿命の延長による女性の中年期以降の生活の質を向上させるために更年期症状を改善できる方案を模索した結果、ラクトバチルス・ガセリBNR17菌株が骨粗鬆症の改善、更年期鬱病の緩和、痛覚過敏症の改善及び膣乾燥症の改善などの多様な更年期症状の緩和に効果を有することを確認することによって本発明を完成した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)菌株の新規用途を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明は、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)BNR17を有効成分として含有する更年期疾患治療用医薬組成物を提供する。
【0007】
また、本発明は、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)BNR17を有効成分として含有する更年期症状の予防又は改善用機能性食品組成物を提供する。
【0008】
また、本発明は、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)BNR17を、更年期疾患の治療が要求される個体に投与する段階を含む更年期疾患の治療方法を提供する。
【0009】
また、本発明は、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)BNR17を、更年期症状の予防や改善が必要な個体に投与する段階を含む更年期症状の予防又は改善方法を提供する。
【0010】
また、本発明は、更年期疾患の治療又は更年期症状の予防や改善のためのラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)BNR17の用途を提供する。
【0011】
また、本発明は、更年期疾患の治療のための薬物の製造におけるラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)BNR17の用途を提供する。
【0012】
また、本発明は、更年期症状の予防や改善のための機能性食品の製造におけるラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)BNR17の用途を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】更年期動物モデルにおいて、本発明に係るラクトバチルス・ガセリBNR17の投与による血液内のカルシトニン、オステオカルシン、セロトニンの変化を分析した結果を示す図である。
【0014】
図2】更年期動物モデルにおいて、本発明に係るラクトバチルス・ガセリBNR17の投与による小便のデオキシピリジノリンの変化を分析した結果を示す図である。
【0015】
図3】更年期動物モデルにおいて、本発明に係るラクトバチルス・ガセリBNR17の投与による膣上皮角化の改善効果を確認した結果を示す図である。
【0016】
図4】更年期動物モデルにおいて、本発明に係るラクトバチルス・ガセリBNR17の投与による大腿部骨密度の変化を測定した結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
他の方式で定義されない限り、本明細書で使用された全ての技術的及び科学的用語は、本発明の属する技術分野で熟練した専門家によって通常的に理解されるのと同一の意味を有する。一般に、本明細書で使用された命名法は、本技術分野でよく知られており、通常使用されるものである。
【0018】
本発明では、人間の母乳から由来したラクトバチルス・ガセリBNR17を、卵巣が摘出された更年期動物モデルに投与する場合、痛覚の敏感度増加の抑制、血液と小便での更年期指標の改善、膣角化上皮細胞比率の増加、骨密度の増加及び骨粗鬆症の改善などの更年期症状の改善効果を確認した。
【0019】
したがって、本発明は、一観点において、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)BNR17(受託番号KCTC 10902BP)を有効成分として含有する更年期疾患治療用医薬組成物に関する。
【0020】
本発明において、前記医薬組成物は、(i)骨粗鬆症の改善;(ii)更年期鬱病の緩和;(iii)痛覚過敏症の改善;及び(iv)膣乾燥症の改善;で構成された群から選ばれるいずれか一つ以上の効果を発揮することを特徴とすることができるが、これに限定されない。
【0021】
本発明において、前記組成物は、エンジュ抽出物をさらに含むことを特徴とすることができるが、これに限定されなく、その効果を増進させるために、更年期疾患の治療効果が立証された公知の物質と併用して投与されてもよい。
【0022】
本発明において、前記エンジュ抽出物は、エンジュ果実抽出物であることを特徴とすることができるが、これに限定されない。
【0023】
本発明の医薬組成物は、生菌の菌体、乾燥菌株の形態、菌株の培養物、菌株の破砕物又はその薬剤学的に許容可能な担体或いは媒体と組み合わされ得る組成物として提供され得る。用いられる担体或いは媒体は、溶媒、分散剤、コーティング、吸収促進剤、制御された放出剤(すなわち、徐放剤)、及び1種以上の不活性賦形剤(澱粉、ポリオール、顆粒剤、極微細セルロース(microfine cellulose)、微細結晶形セルロース(例えば、セルフィア、セルフィアビーズ(Celphere beads)、希釈剤、潤滑剤、結着剤(binder)、崩壊剤などを含む)などを含むことができる。必要な場合、開示された組成物の錠剤の剤形は、標準水性或いは非水性手法によってコーティングされてもよい。薬剤学的に許容可能な担体及び薬剤学的に許容可能な不活性担体として用いるための賦形剤、及び前記追加成分の例としては、結着剤、充填剤、崩壊剤、潤滑剤、抗微生物剤及びコーティング剤を挙げることができるが、これらに制限されない。
【0024】
本発明において、前記組成物は、更年期疾患を治療する効果を発揮することができ、本発明において、前記「治療する」とは、他の方式で言及されない限り、前記用語が適用される疾患又は疾病、或いは、前記疾患又は疾病の一つ以上の症状を逆転させたり、緩和させたり、その進行を抑制したり、又は予防することを意味し、本発明で使用された前記「治療」という用語は、「治療する」が前記のように定義されるとき、治療する行為を示す。
【0025】
前記医薬組成物は、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)BNR17及び/又はエンジュ抽出物のみを有効量だけ含んだり、一つ以上の薬学的に許容される担体、賦形剤又は希釈剤を含むことができる。
【0026】
本発明において、「有効量(又は、有効な量)」という用語は、好ましい効果を伝達するのに非常に十分であるが、医学的判断範囲内で深刻な副作用を十分に防止する程度に少ない量を意味する。本発明の組成物によって体内に投与される組成物の量は、投与経路及び投与対象を考慮した上で適宜調整され得る。
【0027】
本発明の組成物は、対象個体に毎日1回以上投与され得る。単位投与量は、人間の被験者及び他の哺乳動物のための単位投与に適するように物理的に分離された単位を意味し、各単位は、適切な薬剤学的担体を含み、治療効果を示す本発明の組成物の予定された量を含有する。大人の患者の経口投与用投与単位は、本発明の組成物を0.001g以上含有することが好ましく、本発明の組成物の経口投与量は、1回に0.001g乃至10g、好ましくは0.01g乃至5gである。本発明の組成物の薬学的有効量は、0.01g/1日乃至10g/1日である。しかし、投与量は、患者の疾患の深刻度及び使用される微生物と補助有効成分によって可変的である。また、1日の総投与量を複数回に分割し、必要によって連続的に投与することができる。よって、前記投与量の範囲は、如何なる方式でも本発明の範囲を制限しない。
【0028】
また、前記「薬学的に許容される」とは、生理学的に許容され、人間に投与されるとき、通常、胃腸障害、めまいなどのアレルギー反応又はこれと類似する反応を起こさない組成物を示す。
【0029】
本発明の組成物は、哺乳動物に投与された後、活性成分の迅速、持続又は遅延された放出を提供できるように当業界に公知となった方法を用いて剤形化され得る。剤形は、粉末、顆粒、錠剤、エマルジョン、シロップ、エアゾール、軟質又は硬質ゼラチンカプセル、滅菌注射溶液、滅菌粉末の形態であり得る。また、本発明に係る疾患の予防又は治療用組成物は、経口、経皮、皮下、静脈又は筋肉を含む多くの経路を介して投与され得、活性成分の投与量は、投与経路、患者の年齢、性別、体重及び患者の重症度などの多くの因子によって適宜選択され得る。本発明に係る更年期疾患の予防又は治療用組成物は、疾患の症状を予防、改善又は治療する効果を有する公知の化合物と併用して投与することができる。
【0030】
本発明の医薬的組成物は、特に、経口用単位剤形であり、腸溶被覆された腸溶性製剤として提供され得る。本明細書における「腸溶被覆」は、胃酸によって分解されないので被覆が維持されるが、小腸では十分に分解され、活性成分が小腸内に放出され得るようにする、薬剤学的に許容可能な全ての種類の公知の被覆を含む。本発明の「腸溶被覆」は、pH1のHCl溶液などの人工胃液を36℃乃至38℃で接触させるとき、2時間以上にわたってそのまま維持され、好ましくは、以降にpH6.8のKHPO緩衝溶液などの人工腸液で30分以内に分解される被覆を称する。
【0031】
本発明の腸溶被覆は、1個のコアに約16mg乃至30mg、好ましくは16mg乃至20mg又は25mg以下の量で被覆される。本発明の腸溶被覆の厚さが5μm乃至100μm、好ましくは20μm乃至80μmである場合は、腸溶被覆として満足すべき結果を示す。腸溶被覆の材料は、公知の各高分子物質から適宜選択される。適当な高分子物質は、多数の公知文献(L.Lachmanの他、The Theory and Practice of Industrial Pharmacy、3版、1986、pp.365-373)に列挙されており、セルロースエステル誘導体、セルロースエーテル、アクリル樹脂のメチルアクリレート共重合体、及びマレイン酸及びフタル酸誘導体の共重合体がこれらに含まれ得る。
【0032】
本発明の腸溶被覆は、腸溶被覆溶液をコアに噴霧する通常の腸溶被覆法を用いて製造され得る。腸溶被覆工程に使用される適当な溶媒は、エタノールなどのアルコール、アセトンなどのケトン、ジクロロメタン(CHCl)などのハロゲン化炭化水素溶媒であり、これらの溶媒の混合溶媒が使用されてもよい。ジ(di)-n-ブチルフタレート又はトリアセチンなどの軟化剤を1:約0.05乃至約0.3(被覆材料:軟化剤)の比率で被覆溶液に添加する。噴霧過程を連続的に行うことが適切であり、被覆の条件を考慮した上で噴霧量を調節することが可能である。噴霧圧は、多様に調節することができ、一般に、約1バール乃至約1.5バール(bar)の噴霧圧で満足すべき結果が得られる。
【0033】
本発明において、「予防」という用語は、疾病を縮小させる防止(averting)、遅延(delaying)、妨害(impeding)又は阻害(hindering)と関連したものである。
【0034】
本発明において、「治療」という用語は、疾病の症状を改善、治癒又は減少させたり、又は疾病の進行を減少又は停止させるために疾病にかかった被験者の面倒を見るのと関連したものである。
【0035】
本発明は、他の観点において、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)BNR17を有効成分として含有する更年期症状の予防又は改善用機能性食品組成物に関する。
【0036】
前記食品組成物は、(i)骨粗鬆症の予防又は改善;(ii)更年期鬱病の予防又は緩和;(iii)痛覚過敏症の予防又は改善;及び(iv)膣乾燥症の予防又は改善;で構成された群から選ばれるいずれか一つ以上の効果を発揮することを特徴とすることができるが、これに限定されない。
【0037】
本発明において、前記食品組成物は、エンジュ抽出物をさらに含むことを特徴とすることができるが、これに限定されなく、その効果を増進させるために、更年期症状の予防又は改善効果が立証された公知の物質と併用して投与されてもよい。
【0038】
本発明において、前記エンジュ抽出物は、エンジュ果実抽出物であることを特徴とすることができるが、これに限定されない。
【0039】
本発明において、前記エンジュ抽出物は、1日投与量として0.1mg乃至1000mg、好ましくは1mg乃至500mg、さらに好ましくは30mg乃至300mgで含まれ得るが、これに限定されない。
【0040】
前記食品組成物は、食品添加用組成物を含むものであり、更年期症状の改善や緩和及び予防などの効果を発揮するための食品、例えば、食品の主原料、副原料、食品添加剤、健康機能食品又は機能性飲料として容易に活用できるが、これに限定されない。
【0041】
前記食品とは、栄養素を一つ又はそれ以上含有している天然物又は加工品を意味し、好ましくは、ある程度の加工工程を経て直接食べられる状態になったものを意味し、通常の意味として、食品、食品添加剤、健康機能食品及び機能性飲料を全て含むものを示す。
【0042】
本発明に係る前記食品用組成物を添加できる食品としては、例えば、各種食品類、飲料、ガム、お茶、ビタミン複合剤、機能性食品などがある。さらに、本願発明において、食品は、特殊栄養食品(例、調製乳類、乳幼児食など)、食肉加工品、魚肉製品、豆腐類、ムック類、麺類(例、ラーメン類、麺類など)、パン類、健康補助食品、調味食品(例、醤油、味噌、コチュジャン、混合醤など)、ソース類、お菓子類(例、スナック類)、キャンデー類、チョコレート類、ガム類、アイスクリーム類、乳加工品(例、発酵乳、チーズなど)、その他の加工食品、キムチ、漬物食品(各種のキムチ類、漬物など)、飲料(例、果実飲料、野菜類飲料、豆乳類、発酵飲料類など)、天然調味料(例、ラーメンスープなど)を含むが、これに限定されない。前記食品、飲料又は食品添加剤は、通常の製造方法で製造され得る。
【0043】
前記健康機能食品とは、物理的、生化学的、生物工学的手法などを用いて該当の食品の機能を特定の目的で作用及び発現するように付加価置を付与した食品群、又は食品組成が有する生体防御リズムの調節、疾病の防止及び回復などに関する体内調節機能を生体に対して十分に発現するように設計して加工した食品を意味する。前記機能性食品には、食品学的に許容可能な食品補助添加剤を含むことができ、機能性食品の製造に通常使用される適切な担体、賦形剤及び希釈剤をさらに含むことができる。
【0044】
本発明において、前記機能性飲料とは、喉の渇きを解消したり味を楽しむための飲み物を総称し、指示された比率で必須成分として前記疾患症状の改善又は予防用組成物を含むこと以外に、他の成分には特別な制限がなく、通常の飲料のように様々な香味剤又は天然炭水化物などを追加成分として含有することができる。
【0045】
さらに、前記記述したこと以外に、本発明の食品組成物が含有する食品は、様々な栄養剤、ビタミン、鉱物(電解質)、合成風味剤及び天然風味剤などの風味剤、着色剤及び充填剤(チーズ、チョコレートなど)、ペクチン酸及びその塩、アルギン酸及びその塩、有機酸、保護性コロイド増粘剤、pH調節剤、安定化剤、防腐剤、グリセリン、アルコール、炭酸飲料に使用される炭酸化剤などを含有することができ、前記成分は、独立的に又は組み合わせて使用することができる。
【0046】
本発明の食品用組成物を含有する食品において、本発明に係る組成物の量は、食品の全体重量の0.001重量%乃至100重量%で含むことができ、好ましくは1重量%乃至99重量%で含むことができ、例えば、一様態として1重量%乃至80重量%、他の様態として1重量%乃至90重量%で含むことができる。飲料の場合は、100mlを基準にして0.001g乃至10g、好ましくは0.01g乃至1gの比率で含むことができるが、健康及び衛生を目的としたり、健康調節を目的とする長期間摂取の場合は、前記範囲以下であってもよく、有効成分は、安全性の面で何ら問題もないので前記範囲以上の量で使用可能であり、前記範囲に限定されない。
【0047】
本発明の食品組成物は、前記BNR17菌株及び/又はエンジュ抽出物のみを使用できるが、許容可能な担体に添加したり、人間又は動物が摂取するのに適した組成物の形態で製造され得る。すなわち、本発明の食品組成物は、他のプロバイオティクス細菌を含有していない食品及び既にいくつかのプロバイオティクス細菌を含有した食品に添加されて使用され得る。例えば、本発明の食品を製造するにおいて、本発明の菌株と共に使用可能な他の微生物は、人間や動物が摂取するのに適しており、摂取時に病原性有害細菌を抑制したり、哺乳動物の腸管内の微生物均衡を改善できるプロバイオティクス活性を有するものであり、特に制限されない。このようなプロバイオティクス微生物の例としては、サッカロミケス(Saccharomyces)、カンジダ(Candida)、ピキア(Pichia)及びトルロプシス(Torulopsis)を含む酵母(yeast)、アスペルギルス(Aspergillus)、リゾプス(Rhizopus)、ムコール(Mucor)、ペニシリウム(Penicillium)などのカビ、及びラクトバチルス(Lactobacillus)、ビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)、ロイコノストック(Leuconostoc)、ラクトコッカス(Lactococcus)、バチルス(Bacillus)、ストレプトコッカス(Streptococcus)、プロピオニバクテリウム(Propionibacterium)、エンテロコッカス(Enterococcus)、及びペディオコッカス(Pediococcus)属に属する細菌などがある。適当なプロバイオティクス微生物の具体的な例としては、サッカロミケス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、バチルス・コアグランス(Bacillus coagulans)、バチルス・リケニフォルミス(Bacillus licheniformis)、バチルス・サブチルス(Bacillus subtilis)、ビフィドバクテリウム・ビフィドゥム(Bifidobacterium bifidum)、ビフィドバクテリウム・インファンティス(Bifidobacterium infantis)、ビフィドバクテリウム・ロングム(Bifidobacterium longum)、エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)、エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)、ラクトバチルス・アシドフィラス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・アリメンタリウス(Lactobacillus alimentarius)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・クルヴァトゥス(Lactobacillus curvatus)、ラクトバチルス・デルブリュッキイ(Lactobacillus delbruckii)、ラクトバチルス・ ジョンソニー(Lactobacillus johnsonii)、ラクトバチルス・ファルシミナス(Lactobacillus farciminus)、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)、ラクトバチルス・サケイ(Lactobacillus sakei)、ラクトコッカス・ラクティス(Lactococcus lactis)、ペディオコッカス・アシディラクティシ(Pediococcus acidilactici)などを挙げることができる。好ましくは、優れたプロバイオティクス活性を有しながら免疫活性増強効果に優れたプロバイオティクス微生物混合菌を本発明の食品用組成物にさらに含むことによって、その効果をさらに増進させることができる。本発明の食品用組成物に使用され得る担体の例としては、増量剤、高繊維添加剤、カプセル化剤、脂質、凍結乾燥保護剤などを挙げることができ、これらの担体の例は、当業界に十分に公知となっている。本発明の組成物は、凍結乾燥又はカプセル化された形態又は培養懸濁液や乾燥粉末の形態であり得る。担体の含量は、0.001重量%乃至90重量%、0.01重量%乃至50重量%、又は0.1重量%乃至20重量%、例えば、0.001重量%乃至1重量%であり得るが、これに限定されない。
【0048】
本発明の実施様態として、本発明のBNR17菌株は、耐酸性、耐胆汁性及び抗菌活性に優れるので、多様な乳酸菌発酵乳及び発酵製品を生産するための種菌として使用することができ、このとき、前記発酵乳食品としては、ヨーグルト、カルピス、チーズ、バターなどを挙げることができ、発酵製品としては、豆腐、味噌、清麹醤、ゼリー、キムチなどを挙げることができるが、必ずしもこれに限定されるのではない。前記発酵乳及び発酵製品は、通常の製造方法で菌株のみを本発明の乳酸菌の菌株に取り替えることによって容易に製造することができる。
【0049】
前記のように、本発明の組成物は、食品又は食品用添加剤であってもよく、食品は、好ましくは発酵食品又は健康機能食品である。また、本発明の組成物は、粉末又は顆粒の形態であってもよく、粉末又は顆粒の形態は、当業界で通常の方法で容易に製造することができる。
【0050】
本発明に係る医薬組成物は、一般食餌による正常体重個体のみならず、高炭水化物食餌による肥満個体においても、(i)骨粗鬆症の改善;(ii)更年期鬱病の緩和;(iii)痛覚過敏症の改善;及び(iv)膣乾燥症の改善;で構成された群から選ばれる一つ以上の更年期治療効果を発揮することを特徴とすることができる。
【0051】
また、前記食品組成物は、一般食餌による正常体重個体のみならず、高炭水化物食餌による肥満個体においても、(i)骨粗鬆症の予防又は改善;(ii)更年期鬱病の予防又は緩和;(iii)痛覚過敏症の予防又は改善;及び(iv)膣乾燥症の予防又は改善;で構成された群から選ばれる一つ以上の更年期症状の予防又は改善効果を発揮することを特徴とすることができる。
【0052】
本発明は、更に他の観点において、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)BNR17を、更年期疾患の治療が要求される個体に投与する段階を含む更年期疾患の治療方法に関する。
【0053】
本発明は、更に他の観点において、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)BNR17を、更年期症状の予防や改善が必要な個体に投与する段階を含む更年期症状の予防又は改善方法に関する。
【0054】
本発明は、更に他の観点において、更年期疾患の治療又は更年期症状の予防や改善のためのラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)BNR17の用途に関する。
【0055】
本発明は、更に他の観点において、更年期疾患の治療のための薬物の製造におけるラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)BNR17の用途に関する。
【0056】
本発明は、更に他の観点において、更年期症状の予防や改善のための機能性食品の製造におけるラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)BNR17の用途に関する。
【0057】
以下、実施例を通じて本発明をより詳細に説明する。これらの実施例は、本発明をより具体的に説明するためのものに過ぎなく、本発明の範囲がこれらの実施例によって制限されないことは、当該技術分野で通常の知識を有する者にとって自明である。したがって、本発明の実質的な範囲は、添付の特許請求の範囲とそれらの等価物によって定義されると言える。
【実施例
【0058】
実施例1.実験方法及び準備
【0059】
1-1.更年期実験動物モデルの製作及び試料投与
【0060】
実験動物としては、生後7週で卵巣を切除し、治癒過程を経た9週齢の雌ラット(Sprague-Dawley)を大韓バイオリンク(DBL Co.,Ltd)で購入し、1週間馴化させた後、無作為にグループ化して使用した。実験動物は、自動的に温湿度が維持される飼育チャンバー(JD-SY-02DS-C、Jungdo B&P、韓国)で1ケージ当たり2匹ずつ入れて飼育した。飼育室は、23±1℃の温度、55±5%の湿度、12時間の照明、150Lux~300Luxの照度に維持した。実験群により、一般固形飼料(TEKLAD CERTIFIED IRRADIATED GLOBAL 18% PROTEIN RODENT DIET 2918C、Harlan TEKLAD、USA)及び高糖固形飼料(AIN-76A Purified Diet、Envigo、USA)を自律的に給餌させた。飼育箱、給餌器、給水瓶は週2回交換され、動物の飼育に使用される飼料、敷きわら、給水瓶などは滅菌して使用した。動物の飼育は、Sinagen Therapeutics Corporationの標準作業指針書に従って実施した。
【0061】
前記各実験群に下記の表1のような投与量で試料を投与し、動物の実験群は、正常実験群(G1)、陰性対照群(G2)、試料投与群(G3)、陽性対照群(G4)とし、G1~G4まで合計4群に分けた。投与試料を製作するにおいて、ラクトバチルス・ガセリBNR17乳酸菌は、乾燥した状態で経口投与される粉末の形態であり、凍結乾燥保護剤を含んでいるので、G1(正常実験群)を除いたG2(陰性対照群)、G3(試料投与群)、G4(陽性対照群)グループには、凍結乾燥保護剤(10%のスキムミルク+1%の可溶性澱粉)が同量で投与された。陽性対照群として使用されたエンジュ果実抽出物は、水とエタノールを使用した抽出方法を通じて加工された粉末試料であり、(株)BTCから購入して使用された。
【0062】
【表1】
【0063】
試験物質は、毎日電子天秤(Adventurer Pro AVG114C、Ohaus、USA)を用いて重さを測量し、PBS(C-9024、Bioneer、韓国)で適切な容量に希釈し、ゾンデを用いて口腔に14週間毎日2回投与した。
【0064】
1-2.剖検及びサンプルの採取
【0065】
実験を終了する該当の日付を基準にして、実験動物は、剖検する16時間前に絶食を開始し、剖検前に体重を電子天秤(FX-2000i、韓国AND、韓国)で測定した。動物に呼吸麻酔器(Rodent Circuit Controller;RC2、VETEQUIP(登録商標)、USA)を用いて呼吸麻酔剤(TerrelTM Isoflurane、Piramal、USA)に露出して麻酔させた後、深度麻酔状態になると開腹し、腹大動脈を露出させた。腹大動脈から10mlの使い捨て注射器(10mlの注射器、韓国ワクチン、韓国)を用いて採血し、EDTAチューブ(367841、BD、USA)に500μl分注した後、残量をSSTチューブ(367955、BD、USA)に入れて保管した。全血は、抗凝固剤とよく混ぜて冷蔵庫に保管し、SSTチューブに入れた全血は、30分間常温に置いた後、遠心分離機(Centrifuge Combi 514R、 Hanil Scientific Inc.,韓国)を用いて4℃、3500RPMで15分間遠心分離し、上澄み液を液体窒素で急速冷却し、分析するまで-70℃(Deep Freezer、NF-400SF、日本フリーザー株式会社)に保管した。
【0066】
小便は、前記実験を終了する最後の日に16時間にわたって絶食した後、絶食網に置いて0.5ml~1mlを得た。遠心分離機を用いて4℃、8000RPMで15分間遠心分離し、沈殿物を除去した上澄み液を採取した後、分析するまで上澄み液を-70℃で保管した。血清更年期指標の分析においては、オステオカルシン(CSB-E05129r、CUSABIO、China)、カルシトニン(CSB-E05132r、CUSABIO、China)、5-HT-2A(CSB-E14956r、CUSABIO、China)を、小便更年期指標の分析においては、デオキシピリジノリン(CSB-E08400r、CUSABIO、China)を購入し、ELISAキット方法でマイクロプレートリーダー(micro plate reader、infinity M200 pro、TECAN、Switzerland)を用いて分析した。
【0067】
1-3.血液と小便での生化学及び更年期指標変化の分析
【0068】
閉経で変化する血中生化学指標を測定するために、実験を終了した後、実施例1-2の方法によって血液を採取した後、血中検査であるALT(Alanine Aminotransferase)、AST(Aspartate aminotransferase)、BUN(Blood Urea Nitrogen)、カルシトニン、オステオカルシン、5-HT-2A(セロトニン)、デオキシピリジノリンの濃度を測定した。基本的な肝機能検査としてのALT及びASTの高い数値は、脂肪肝及び多様な形態の肝炎が発病したという指標として確認され得る。BUNは、血液内の尿素窒素を測定することによって腎臓機能を確認できる指標として確認され得る。カルシトニンは、カルシウム調節ホルモンの一つであり、不足する場合、骨を再生産する過程に問題を発生させることによって骨弱化、骨粗鬆症及びこれによる痛覚過敏を起こすが、更年期患者では濃度が低くなり、これを補充するために治療療法として処方される。骨形成指標として知られているオステオカルシンは、骨形成程度を反映する単一指標として使用され、骨疾患時に増加する指標である。5-HT-2A(セロトニン)は、神経伝達物質の一つであり、その量が閉経時に減少し、このような量的減少が更年期鬱病を起こす原因になる。デオキシピリジノリンは、骨と象牙質にのみ存在するので、骨代謝を反映するのに比較的特異度が高いものとして知られており、骨吸収時に生体内で代謝されずに小便に排泄されるので、骨吸収評価において良い指標として使用される。
【0069】
1-4.痛覚敏感度の分析(von Freyフィラメント試験)
【0070】
従来研究された報告によると、卵巣摘出手術後に痛覚の敏感度が高くなると知られている。実験動物モデルでの適用は、機械的アロディニアの程度を数値化して評価され、von Freyフィラメント試験法が適用された。実験動物を、鉄網実験台が設置された箱に入れて15分間安定化させ、von Freyフィラメント(JD-SI-11F、Jungdo B&P、韓国)を用いて機械逃避閾値(g)を評価した。フィラメントを後側の右足の中央部位に垂直に接触させてから5秒~6秒間維持させ、実験動物が迅速な回避反応を示すか、又はフィラメントを剥がすと直ぐぎくりとしたり、足裏を舐めることを陽性反応と見なし、弱いフィラメント刺激から強いフィラメント刺激まで順次進行することによって、陽性反応を示す最小の刺激大きさを閾値とした。
【0071】
1-5.膣角化上皮細胞変化試験
【0072】
膣乾燥症は、最も代表的な更年期症状の一つであるので、本実験では、各群の膣上皮細胞の変化を観察することによって実験物質が更年期症状に役立つかどうかを確認した。膣上皮角化試験は、健康機能食品機能性評価ガイドラインのうち更年期女性の健康機能性を確認するための動物試験のバイオマーカーとして、泌尿器系の変化を観察できる重要な指標の一つである。剖検前に、膣粘膜細胞を掻いてスライドに塗抹し、ホルマリン(GD4018、GD chem、韓国)で3分間固定した後、残余ホルマリンを除去し、メチレンブルー(Methylene Blue solution、03978-250ML、sigma、USA)で5分間染色し、顕微鏡(235095(Ts2-FL)、Nikon、JAPAN)を用いて100X倍率で無作為に3~4部位を撮影し、膣粘膜細胞のうち角化上皮細胞の比率を調査した。膣粘膜細胞のうち角化上皮細胞の比率が高いことは、膣上皮角化水準が減少し、膣粘膜が柔軟であることを示す。
【0073】
1-6.大腿部骨密度の測定
【0074】
前記実施例1-2の方法によって実験終了後の動物を犠牲させ、動物の大腿骨頭を保存するように分離し、皮膚組織及び筋肉組織を除去した後、ホルマリン(GD4018、GD chem、韓国)に固定して保管した。該当の大腿骨を用いてMicro-CT装備(Quntum GX、PerkinElmer、USA)で骨密度を測定した。
【0075】
実施例2.卵巣摘出を通じた更年期動物モデルの分析
【0076】
2-1.血中生化学指標の分析
【0077】
卵巣摘出手術後に変化する血中の生化学的指標の変化を測定するために、実験終了後に動物を犠牲させ、実施例1-2及び1-3の方法によって血液を採取して分析した。
【0078】
その結果、表2に示したように、血中ALT、AST数値は、いずれもG2(陰性対照群)及びG4(陽性対照群)ではG1(正常実験群)に比べて増加したが、G3(BNR17)グループではG1(正常実験群の水準)の数値に近似するように減少していることが確認された。BUNの場合は、各グループで大きな差を示していないことが確認された。よって、BNR17を14週間服用したとき、肝及び腎臓機能に異常反応を示しておらず、卵巣摘出群で表れた肝機能異常に対して有益な効果を示すことを確認できた。
【0079】
【表2】
【0080】
2-2.血中更年期指標の分析
【0081】
実験終了後に動物を犠牲させ、実施例1-2及び1-3の方法によって血液を採取し、血中更年期指標を分析した。
【0082】
その結果、図1に示したように、血中カルシトニンの量は、G3(BNR17)グループでG2(陰性対照群)グループ及びG4(陽性対照群)グループに比べて著しく増加することを確認した(G2:4.03±0.29pg/ml;G3:20.51±3.32pg/ml;G4:5.31±0.67pg/ml)。
【0083】
また、G1(正常実験群)と比較したとき、G2(陰性対照群)で増加したオステオカルシンは、G3(BNR17)グループでG1(正常実験群)及びG4(陽性対照群)の水準に回復されたことを確認した(G2:34.84±3.89ng/ml;G3:28.5±3.25ng/ml;G4:24.51±4.04ng/ml)。
【0084】
G2(陰性対照群)グループでG1(正常実験群)グループに比べて減少したと確認された5-HT-2A(セロトニン)においても、G3(BNR17)グループでG1(正常実験群)及びG4(陽性対照群)の水準に回復されることを確認した(G2:9.57±0.32pg/ml;G3:11.74±1.11pg/ml;G4:13.47±0.98pg/ml)。
【0085】
該当の各結果は、更年期で発生し得る骨粗鬆症の誘発と関連した各血中指標が、BNR17の投与により、陽性対照群であるエンジュ果実抽出物の効果と同等又はそれ以上に改善されることを示し、これによって、本発明に係るBNR17が更年期鬱病の緩和効果を示すことを確認できた。
【0086】
2-3.尿中更年期指標の分析
【0087】
実験終了後の動物を犠牲させ、実施例1-2及び1-3の方法によって小便を採取し、尿中更年期指標を分析した。
【0088】
その結果、図2に示したように、血中デオキシピリジノリンの量は、G3(BNR17)グループで0.63±0.1pmol/Lを示し、0.98±0.14pmol/Lと確認されたG2(陰性対照群)グループに比べて著しく改善された効果を示し、これは、G1(正常実験群)の水準である0.79±0.13pmol/Lと比較しても低い値であることが確認された。
【0089】
したがって、該当の結果から、更年期で発生し得る骨粗鬆症がBNR17の投与で改善され得ることを確認できた。
【0090】
2-4.痛覚敏感度の分析
【0091】
更年期動物モデルにおいて、試料投与による痛覚の敏感度変化効能を比較するために、前記実施例1-4の方法によってvon Freyフィラメント試験を実施し、痛覚の敏感度を測定した。
【0092】
その結果、表3に示したように、卵巣を摘出したG2(陰性対照群)グループでは、G1(正常実験群)グループに比べて痛覚を感じる力の閾値が著しく減少し、痛覚敏感度が増加したことを確認した。しかし、卵巣を摘出した後、BNR17を投与したG3(BNR17)グループではG1(正常実験群)の水準以上に閾値が増加し、この数値は、G4である陽性対照群(エンジュ果実抽出物)群よりも優れた水準であることが確認された。
【0093】
前記結果から、BNR17投与は、更年期症状の一つである痛覚敏感度を改善させ得ることを確認できた。
【0094】
【表3】
【0095】
2-5.膣角化上皮細胞の分析
【0096】
更年期動物モデルにおける試料投与による膣乾燥症変化効能を比較するために、前記実施例1-5の方法によって膣上皮角化実験を実施した。
【0097】
その結果、図3のように、角化細胞分布の比較を通じて、G1(正常実験群)に比べてG2(陰性対照群)グループで角化上皮細胞分布が著しく減少している一方で(G1:100±38.87%;G2:1.83±0.39%)、G3(BNR17)グループでは角化上皮細胞分布が増加することを観察し、これは、陽性対照群であるG4(エンジュ果実抽出物)と類似する水準であることが確認された(G3:12.85±5.63%;G4:16.16±7.73%)。
【0098】
この結果から、BNR17投与は、膣上皮角化水準を減少させ、膣粘膜を柔軟にすることによって膣乾燥症に効果を発揮することが分かった。
【0099】
2-6.大腿部骨密度の分析
【0100】
前記実施例1-6の方法を通じて骨密度測定装備(Quntum GX、PerkinElmer、USA)を用いて骨密度(BDM)を測定した。
【0101】
その結果、図4に示したように、G2(陰性対照群)グループではG1(正常実験群)に比べて骨密度が著しく減少した一方で、G3(BNR17)グループではG2(陰性対照群)に比べて骨密度が相当増加したことを確認し、この効果は、G4(エンジュ果実抽出物)と比較したときにも同等以上であることを確認できた。
【0102】
前記のような結果から、BNR17は、骨密度の改善に効果を発揮することを確認できた。
【0103】
以上では、本発明の内容の特定部分を詳細に記述したが、当業界で通常の知識を有する者にとって、このような具体的な記述は好ましい実施様態に過ぎなく、これによって本発明の範囲が制限されないことは明白であろう。したがって、本発明の実質的な範囲は、添付の特許請求の範囲とそれらの等価物によって定義されると言えるだろう。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明に係るラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)BNR17は、食薬処の認証で安全性が立証された母乳の乳酸菌であり、前記乳酸菌を投与する場合、更年期の代表的な症状である骨粗鬆症の改善、更年期鬱病の緩和、痛覚過敏症の改善及び膣乾燥症の改善などの多様な更年期症状の緩和に効果を示すことが確認されたので、ラクトバチルス・ガセリBNR17は、更年期疾患や更年期症状を治療、予防又は改善するための医薬又は食品用組成物で有用に使用可能である。
図1
図2
図3
図4